神仏具
【課題】神仏具が転倒したとしても、ロウソクや線香が神仏具から転がり出るのを防止するとともに神仏具内でロウソクや線香を高い確率で消す。
【解決手段】水平面内において背面部材は基台11の底面の半径よりも大きな曲率半径で後側に湾曲するとともに前面部材16は基台11の底面の半径よりも大きな曲率半径で前側に湾曲し、起立状態の前面部材16と背面部材とで形成される火袋空間3の水平面内での断面形状が基台11の底面の直径と略同一の長軸を有する略楕円形状となる。
【解決手段】水平面内において背面部材は基台11の底面の半径よりも大きな曲率半径で後側に湾曲するとともに前面部材16は基台11の底面の半径よりも大きな曲率半径で前側に湾曲し、起立状態の前面部材16と背面部材とで形成される火袋空間3の水平面内での断面形状が基台11の底面の直径と略同一の長軸を有する略楕円形状となる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、墓又は室内の仏壇や祭壇等の前側に配置され、ロウソクや線香を立てるために使用される神仏具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、故人の冥福、神や精霊などを奉る時、墓地における墓又は室内の仏壇や祭壇等の前にロウソクを立てて火を灯すことがあり、それに際して灯籠が使用されることがある。例えば特許文献1に記載の灯籠では、器体の上面中央部に芯金が立設されており、当該芯金でロウソクを支持可能となっている。また、器体の上面周縁部に段部が設けられ、当該段部に対して透明なガラスあるいはプラスチックから製作された風除け筒体がはめ込み方式で着脱自在となっている。そして、ロウソクに火を灯した後に、風除け筒体を器体の段部にはめ込んで座着させて風によりロウソクの火が消えるのを防いでいる。また、この風除け筒体の上縁に逆U字形の固定部材をはめ込むことによって、接続支持部材となる4本の支柱を直立させるとともに、これらの支柱によって屋根状部材を支持している。また、お墓や仏壇にお供えとして線香を焚く際には上記灯籠と類似した構成の線香立てや香炉が用いられる(特許文献1の図2参照)。このように従来からロウソクや線香を立てるために、特許文献1に記載されたような神仏具(灯籠、線香立て・香炉)が用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平6−26660号公報(図2、図7)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように構成された神仏具のうち灯籠では、風除け筒体と屋根状部材との間に隙間が形成されている。このため、人や動物(室内犬や猫などのペット)が灯籠に触れたり、地震などにより灯籠が転倒すると、火の灯っているロウソクが芯金から抜け落ち、風除け筒体で囲まれた火袋から隙間を介して灯籠外に転がり出ることがある。そして、その状態を放置しておくと、火災を引き起こす可能性がある。また、火の灯っているロウソクが芯金から抜け落ちずに止まっているものの、灯籠が床や地面に転倒した状態でロウソクに火がついた状態のまま維持されると、ロウソクの火が風除け筒体に直接当たって灯籠が高温状態となる。そして、このように高温となった灯籠に人が触れると、火傷を受けてしまうことがある。また、線香立てについても同様の問題が発生することがあった。
【0005】
この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、神仏具が転倒したとしても、ロウソクや線香が神仏具から転がり出るのを防止するとともに神仏具内でロウソクや線香を高い確率で消すことができる神仏具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明にかかる神仏具の第1の態様は、上記目的を達成するため、略円盤状または略円錐台状の基台と、上方からの平面視で基台と重なるように基台の上面に配置された支持台と、基台の上面略中央部の上方に位置するように支持台の上面に配置されてロウソクを支持するロウソク立てと、ロウソク立ての後側で支持台に対して上向きに取り付けられた背面部材と、少なくとも1つ以上の窓部と窓部を塞ぐように配置された耐熱性透明部材とを有し、支持台に対して前側に起倒可能に取り付けられ、起立時に背面部材と支持台とでロウソク立てを取り囲んで内部空間を形成する前面部材と、起立状態の前面部材の上端部と背面部材の上端部との間に配置自在に設けられて内部空間を換気可能に覆う天井部材とを備え、水平面内において背面部材は基台の底面の半径よりも大きな第1の曲率半径で後側に湾曲するとともに前面部材は基台の底面の半径よりも大きな第2の曲率半径で前側に湾曲し、起立状態の前面部材と背面部材とで形成される内部空間の水平面内での断面形状が基台の底面の直径と略同一の長軸を有する略楕円形状となることを特徴としている。
【0007】
このように構成された発明では、支持台の上面に配置されたロウソク立てを前後方向から取り囲むように前面部材および背面部材がそれぞれ配置されて内部空間(火袋空間)が形成されるとともに、その内部空間を上側より覆うように天井部材が配置されている。このように形成された火袋空間内でロウソクに火が灯される。したがって、風の影響によってロウソクが消えるのを防止することができる。また、室内のカーテンなどがロウソクの火に接触するのを防止することができる。
【0008】
一方、ロウソクに火が灯った状態で人やペットなどが灯籠に接触したり、地震の発生などにより灯籠が転倒してロウソク立てからロウソクが抜け落ちたとしても、内部空間は支持台の上面、天井部材、前面部材および背面部材で取り囲まれているため、当該内部空間内に止まり、神仏具から転がり出るのを効果的に防止することができる(後で説明する図5(a)参照)。しかも、抜け落ちたロウソクの芯部分は内部空間を取り囲む部材(支持台、天井部材、前面部材および背面部材)の一部に接触してロウソクの火は消される。
【0009】
ここで、ロウソクがロウソク立てから抜け落ちずに止まる場合であっても、後で説明する図5(b)に示すようにロウソクが傾いて芯部分が前面部材や背面部材に接触すると、ロウソクの火は消される。また、ロウソクがロウソク立てにしっかりと支持されたまま止まっている場合には、転倒直後もロウソクに火が灯っていることがあるが、上記のように構成された本発明では燃焼した後のガス成分が内部空間に充満していきロウソクの火が消される。すなわち、本発明では、基台は略円盤状または略円錐台状を有しており、基台の底面形状は円形であり、上方からの平面視で基台と重なるように基台の上面に支持台が配置されている。そして、背面部材は水平面内で基台の底面の半径よりも大きな第1の曲率半径で後側に湾曲しながら支持台に対して上向きに取り付けられている。また、前面部材は基台の底面の半径よりも大きな第2の曲率半径で前側に湾曲しており、起立状態で背面部材とで水平面内で略楕円断面を有する内部空間を形成している。しかも、内部空間の断面は基台の底面の直径と略同一の長軸を有する略楕円形状となっており、その短軸は基台の底面の直径よりも短い。したがって、灯籠が転倒した際には、例えば後述する図5や図6に示すように、前面部材または背面部材の湾曲凸面が床面や地面に向くとともにロウソク立てが天井部材よりも高くなるように前面部材および背面部材が傾斜した状態で安定して静止する。このため、燃焼した後のガス成分の多くは内部空間の基台側に流れて充満していき、やがてロウソクの芯部分の周辺空間にまで充満し、その結果ロウソクの火が消される。
【0010】
また、本発明では、前面部材は少なくとも1つ以上の窓部と窓部を塞ぐように配置された耐熱性透明部材を有しているため、ロウソクの光を灯籠から耐熱性透明部材を介して取り出し可能となっている。しかも、前面部材は基台の底面の半径よりも大きな第2の曲率半径で前側に湾曲した形状を有しているため、窓部および耐熱性透明部材を幅方向(内部空間の略楕円断面における長軸方向)に広く、しかもロウソクに近づけて設けることができ、ロウソクの光を効率的に取り出すことができる。ここで、「耐熱性透明部材」とはロウソクの火により溶け出すことがない程度の耐熱性を有しながらロウソクの光を透過させる部材を意味しており、耐熱ガラスなどを用いることができる。
【0011】
また、上記した本発明にかかる神仏具の第1の態様では、支持台に対して背面部材および前面部材を取り付けているが、基台に対して背面部材および前面部材を直接取り付けてもよい。すなわち、本発明にかかる神仏具の第2の態様は、略円盤状または略円錐台状の基台と、基台の上面略中央部に配置されてロウソクを支持するロウソク立てと、ロウソク立ての後側で基台に対して上向きに取り付けられた背面部材と、少なくとも1つ以上の窓部と窓部を塞ぐように配置された耐熱性透明部材とを有し、基台に対して前側に起倒可能に取り付けられ、起立時に背面部材と基台でロウソク立てを取り囲んで内部空間を形成する前面部材と、起立状態の前面部材の上端部と背面部材の上端部との間に配置自在に設けられて内部空間を換気可能に覆う天井部材とを備え、水平面内において背面部材は基台の底面の半径よりも大きな第1の曲率半径で後側に湾曲するとともに前面部材は基台の底面の半径よりも大きな第2の曲率半径で前側に湾曲し、起立状態の前面部材と背面部材とで形成される内部空間の水平面内での断面形状が基台の底面の直径と略同一の長軸を有する略楕円形状となることを特徴としている。
【0012】
また、上記した本発明にかかる神仏具の第1の態様および第2の態様はいずれも灯籠として機能するものであるが、基台の上面略中央部の上方に位置するように線香保持部を配置して線香の下端部を保持して支持するように構成してもよい。例えばロウソク立てに線香保持部を直接取り付けてもよいし、ロウソク立てに対して線香保持部を並設してもよい。このように、線香保持部を設けることで線香の下端部が線香保持部により保持され、神仏具が倒れても線香は線香保持部によりしっかりと保持されるため、神仏具から転がり出るのを効果的に防止することができる。また、このように線香は線香保持部に保持されているために、転倒直後では線香は焚かれた状態のままであるが、上記のように構成された本発明ではロウソクと同様に燃焼した後のガス成分が内部空間(火袋空間であり、また香炉空間でもある)に充満して線香が消火される。
【0013】
また、上記した本発明にかかる神仏具の第3の態様はロウソクと線香を併存させた形で墓地、仏壇や祭壇などに設置されるが、線香のみを使用するように構成してもよい。すなわち、本発明にかかる神仏具の第4の態様は、略円盤状または略円錐台状の基台と、上方からの平面視で基台と重なるように基台の上面に配置された支持台と、基台の上面略中央部の上方に位置するように支持台の上面に配置されて線香の下端部を保持して支持する線香保持部と、線香保持部の後側で支持台に対して上向きに取り付けられた背面部材と、少なくとも1つ以上の窓部と窓部を塞ぐように配置された耐熱性透明部材とを有し、支持台に対して前側に起倒可能に取り付けられ、起立時に背面部材と支持台とで線香保持部を取り囲んで内部空間を形成する前面部材とを備え、水平面内において背面部材は基台の底面の半径よりも大きな第1の曲率半径で後側に湾曲するとともに前面部材は基台の底面の半径よりも大きな第2の曲率半径で前側に湾曲し、起立状態の前面部材と背面部材とで形成される内部空間の水平面内での断面形状が基台の底面の直径と略同一の長軸を有する略楕円形状となることを特徴としている。また、本発明にかかる神仏具の第5の態様は、略円盤状または略円錐台状の基台と、基台の上面略中央部に配置されてロウソクを支持するロウソク立てと、ロウソク立ての後側で基台に対して上向きに取り付けられた背面部材と、少なくとも1つ以上の窓部と窓部を塞ぐように配置された耐熱性透明部材とを有し、基台に対して前側に起倒可能に取り付けられ、起立時に背面部材と基台でロウソク立てを取り囲んで内部空間を形成する前面部材と、起立状態の前面部材の上端部と背面部材の上端部との間に配置自在に設けられて内部空間を換気可能に覆う天井部材とを備え、水平面内において背面部材は基台の底面の半径よりも大きな第1の曲率半径で後側に湾曲するとともに前面部材は基台の底面の半径よりも大きな第2の曲率半径で前側に湾曲し、起立状態の前面部材と背面部材とで形成される内部空間の水平面内での断面形状が基台の底面の直径と略同一の長軸を有する略楕円形状となることを特徴としている。
【0014】
このように構成された第4の態様および第5の態様にかかる神仏具においても、第3の態様と同様に、線香保持部により神仏具の転倒により線香が神仏具から転がり出るのを効果的に防止することができる。また、転倒後において、燃焼した後のガス成分が内部空間(香炉空間)に充満して線香を消火することができる。
【0015】
ここで、背面部材および前面部材の直下位置で、起立状態の前面部材の下端部と背面部材の下端部とで形成される略楕円形状の開口を塞ぐように設けられた弾性部材をさらに設けてもよい。このように弾性部材を設けることで支持台や基台の上面と背面部材および前面部材との気密性を高めることができる。その結果、神仏具が転倒した際に、燃焼した後のガス成分が内部空間(火袋空間や香炉空間)の基台側から漏れるのをより効果的に防止して当該ガスが内部空間に充満する時間を短縮し、その結果ロウソクや線香をより短時間で消火することが可能となる。
【0016】
また、基台の底面の直径よりも長い直径を有する略円盤形状または基台の底面の直径よりも長い直径を有する円を底面とする略円錐台形状を有し、基台に同心となるように基台の底面に取り付けられた補助部材をさらに備えてもよい。このように補助部材を設けることで神仏具の設置面積がより広がり、神仏具の転倒をより効果的に防止することができる。また、神仏具が転倒した際に、前面部材および背面部材の傾斜がより大きくなり、燃焼した後のガス成分が内部空間の基台側に流れ込む割合が増大してロウソクや線香の火をより短時間に消すことが可能となる。
【0017】
さらに、基台の底面の直径と略同一長さの短軸を有する略楕円盤形状または基台の底面の直径と略同一長さの短軸を有する略楕円を底面とする略楕円錐台形状を有し、長軸が内部空間の水平断面の長軸とほぼ一致するように基台の底面に取り付けられた補助部材をさらに備えてもよい。このように補助部材を設けることで神仏具の設置面積がより広がり、神仏具の転倒をより効果的に防止することができる。また、補助部材の長軸が内部空間の水平断面の長軸とほぼ一致するように基台の底面に取り付けられているため、神仏具が転倒する際は、前面部材または背面部材の湾曲凸面が床面や地面に向く方向に転倒することとなる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明にかかる神仏具の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1の神仏具の側断面図である。
【図3】図2のA−A線断面図である。
【図4】図1の神仏具を構成する天井部材を示す平面図である。
【図5】図1の神仏具が転倒した状態を示す側断面図である。
【図6】図1の神仏具が転倒した状態を示す側断面図である。
【図7】補助部材を備えた神仏具を示す斜視図である。
【図8】図7のB−B線断面図である。
【図9】図7と異なる形状の補助部材を示す断面図である。
【図10】前面部材と背面部材を基台に直接取り付けた神仏具を示す斜視図である。
【図11】本発明にかかる神仏具の他の実施形態を示す斜視図である。
【図12】図11に示す神仏具の断面図である。
【図13】本発明にかかる神仏具の別の実施形態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は本発明にかかる神仏具の一実施形態を示す斜視図であり、図2は図1の神仏具の側断面図であり、図3は図2のA−A線断面図であり、図4は図1の神仏具を構成する天井部材を示す平面図である。なお、この明細書では、図1ないし図3に矢印で示す向きに、前後方向および上下方向を設定する。
【0020】
神仏具1はいわゆる灯籠であり、以下のように構成されている。すなわち、神仏具1は、図1および図2に示すように、略円錐台状で例えばステンレス製などの金属製の基台11と、上方からの平面視で基台11と重なるように基台11の上面に配置され、例えばステンレス製などの金属製の支持台12と、支持台12の上面に配置された弾性部材13と、基台11の上面略中央部の上方に位置するように弾性部材13の上面に配置されてロウソク2を支持するロウソク立て14と、ロウソク立て14の後側で弾性部材13を介して支持台12に取り付けられた背面部材15と、ロウソク立て14の前側で弾性部材13を介して支持台12に前側に起倒可能に取り付けられ、起立時に背面部材15と弾性部材13とでロウソク立て14を取り囲んで火袋空間(内部空間)3を形成する前面部材16と、背面部材15の上端部と起立状態の前面部材16の上端部との間に配置自在に設けられた天井部材17とを備えている。なお、基台11は略円錐台状としているが、略円盤状としてもよい。この点については、後の実施形態においても同様である。
【0021】
支持台12は、図1ないし図3に示すように、平面視略D字状で、D字の直線部分が前側に位置するように、例えば溶接により基台11に固定されている。弾性部材13は、例えばゴム製で、全体として背面部材15および前面部材16の後述する形状に合わせて平面視略楕円板形状に形成されている。また、弾性部材13の前側側部から後側に延設された矩形状の切込部が設けられており、当該切込部に対してロウソク立て14の枠部141を挿入可能となっている。すなわち、ロウソク立て14は例えばステンレス製などの金属製で前後方向に延びる枠部141を有しており、この枠部141は弾性部材13の切込部に挿入された状態で支持台12に固定されている。また、枠部141の内側に台部142が嵌まり込んで前後方向に移動自在に配置されている。そして、図1に一点鎖線で示すように前面部材16を倒した状態で、把持部143を持って前方に引き出すことにより、ロウソク立て14を神仏具1の外部に出して、容易にロウソク2をロウソク立て14の芯金144にセットすることが可能になっている。
【0022】
背面部材15は、例えばステンレス製などの金属製の背面本体151と、この背面本体151の略中央部に設けられた1つの窓部152と、この窓部152を塞ぐように配置された耐熱ガラスなどの耐熱性透明部材153とを備えている。このように本実施形態では背面部材15に対して窓部152と耐熱性透明部材153とを設けることで、ロウソク立て14に立てられたロウソク2から放射される光を神仏具1の外部に導いて神仏具1の後側を照らすことが可能となっている。ただし、窓部152および耐熱性透明部材153の個数はこれに限定されるものではなく、複数個設けてもよいことは言うまでもない。また、背面側(後側)への光の取り出しが不要である場合には、背面部材15に窓部152を設けないのが望ましく、背面部材15の凹面を反射面とすることで前面側(前側)に取り出すことができる光量を増大させることができる。
【0023】
前面部材16は、例えばステンレス製などの金属製の前面本体161と、前面本体161の略中央部に設けられた1つの窓部162と、この窓部162を塞ぐように配置された耐熱ガラスなどの耐熱性透明部材163とを備えている。窓部162によって、ロウソク立て14に立てられたロウソク2から放射される光を神仏具1の外部に導いて神仏具1の前側を照らすことが可能となっている。また、蝶番164の一片が前面部材16の後側の下端に取り付けられ、他片が弾性部材13の上面に取り付けられており、この蝶番164によって、前面部材16は、図1および図2の矢印AR1に示すように、弾性部材13(支持台12)に対して前側に起倒可能になっている。なお、本実施形態では2本のコイルバネ165、165(図1)が設けられており、前面部材16を起立側に付勢している。すなわち、これらのコイルバネ165、165の一方端はロウソク立て14の枠部141に取り付けられるとともに、他方端が前面部材16の下方端部に取り付けられている。
【0024】
図3に示すように、水平面内において、背面部材15は後側に湾曲し、前面部材16は前側に湾曲している。ここで、基台11の底面の半径をR0とし、背面部材15の曲率半径をR1とし、前面部材16の曲率半径をR2とすると、R1>R0、R2>R0になっている。そして、起立状態の前面部材16と背面部材15とで形成される火袋空間3の水平面内での断面形状は、略楕円形状になっている。また、この略楕円である火袋空間3の水平面内での断面の長軸をL1とし、短軸をL2とし、基台11の底面の直径をD0(=2×R0)とすると、L1≒D0、L2<D0になっている。なお、この実施形態では図3に示すように背面部材15の曲率半径R1と、前面部材16の曲率半径R2とがほぼ同一となるように構成しているが、もちろん両曲率半径R1、R2が互いに異なる値となるように構成してもよい。
【0025】
天井部材17は、例えばステンレス製などの金属製の天井本体171と、この天井本体171の略中央部に設けられた開口172と、この開口172を塞ぐように配置された例えばステンレス製などの金属製の網部173と、例えばステンレスなどの金属板を折り曲げて形成され、一端が天井本体171の前端部に固定された係止部174とを備えている。また、蝶番175の一片が背面部材15の上端部に取り付けられ、他片が天井本体171の後端部に取り付けられており、この蝶番175によって、天井部材17は、図1および図2の矢印AR2に示すように、火袋空間3の上面を開閉可能になっている。すなわち、天井部材17を背面部材15の後側に倒した状態(図2の破線)で、前面部材16を前側に倒すことが可能になっている。また、前面部材16が起立した状態で天井部材17を蝶番175のピン回りに回転させ、係止部174の有する弾性で前面部材16の上端部を係止した状態(図2の実線)で、天井部材17が網部173を介して換気可能に火袋空間3を覆うこととなる。なお、この実施形態では図1および図2に示すようにロウソク2よりも十分に小さい間隔の網部173を設けているが、網部の代わりにパンチング孔を有する金属板などで開口172を塞ぐように構成してもよい。この点については後の実施形態においても同様である。
【0026】
次に、上記のように構成された神仏具1が転倒したときにロウソク2の火が消される手順について、図5および図6を参照しつつ詳述する。図5および図6は図1の神仏具1が転倒した状態を示す側断面図である。例えばロウソク2に火が灯った状態で人やペットなどが神仏具1に接触したり、地震の発生などにより神仏具1が転倒することがあり得る。このとき、図1の神仏具1は、略円盤状または略円錐台状の基台11を備えているため、どの向きにも同じように転倒する可能性がある。
【0027】
しかしながら、この実施形態の神仏具1は、図3を参照して説明したように構成されているため、転倒時の神仏具1の姿勢はほぼ一定となる。すなわち、基台11は略円盤状または略円錐台状を有しており、基台11の底面形状は円形であり、上方からの平面視で基台11と重なるように基台11の上面に支持台12が配置されている。そして、背面部材15は水平面内で基台11の底面の半径R0よりも大きな第1の曲率半径R1で後側に湾曲しながら支持台12に対して弾性部材13を介して上向きに取り付けられている。また、前面部材16は基台11の底面の半径R0よりも大きな第2の曲率半径R2で前側に湾曲しており、起立状態で背面部材15とで水平面内で略楕円断面を有する火袋空間3を形成している。しかも、火袋空間3の断面は基台11の底面の直径D0と略同一の長軸L1を有する略楕円形状となっており、その短軸L2は基台11の底面の直径D0よりも短い。
【0028】
神仏具1が上記したように構成されているため、神仏具1が転倒した際には、前面部材16または背面部材15の湾曲凸面が床面に向くとともに、ロウソク立て14が天井部材17よりも高くなるように前面部材16および背面部材15が傾斜した状態で安定して静止する。図5および図6では、転倒した神仏具1は、前面部材16の上端部と基台11の周縁部との2箇所が床面に接触し、前面部材16の湾曲凸面が床面に向くとともに、ロウソク立て14が天井部材17よりも高くなるように前面部材16および背面部材15が傾斜した状態で静止している。
【0029】
図5(a)は神仏具1が転倒したときの衝撃でロウソク2がロウソク立て14の芯金144から完全に抜け落ちた状態を示し、図5(b)はロウソク2がロウソク立て14の芯金144から完全に抜け落ちずに途中で止まった状態を示している。図5(a)に示すように、神仏具1が転倒してロウソク立て14の芯金144からロウソク2が完全に抜け落ちたとしても、火袋空間3は弾性部材13の上面、天井部材17、前面部材16および背面部材15で取り囲まれているため、ロウソク2は火袋空間3内に止まり、神仏具1から外に転がり出るのを効果的に防止することができる。
【0030】
また、図5(a)に示すように、神仏具1が転倒したときの衝撃でロウソク2がロウソク立て14の芯金144から完全に抜け落ちた場合には、ロウソク2の芯21が天井部材17に接触する。また、図5(b)に示すように、神仏具1が転倒したときの衝撃でロウソク2がロウソク立て14の芯金144から抜け落ちずに途中で止まった場合には、火袋空間3の水平面内での断面の短軸L2が基台11の底面の直径D0に比べて短い値になっているため、ロウソク2の芯21が下方の部材(図5(b)では前面部材16)に接触し易くなっている。そして、ロウソク2の芯21が天井部材17や前面部材16などの部材の一部に接触すると、芯21の温度が急激に低下してロウの気化が止まってロウソク2の火が消される。
【0031】
図6(a)(b)(c)は神仏具1が転倒してもロウソク2がロウソク立て14にしっかりと支持されたまま止まっており、転倒の衝撃でも火が消えずに灯ったままの状態を示している。なお、図6(a)(b)(c)における星印は、気化したロウが燃焼した後のガス成分を模式的に示している。同図に示すように、ロウソク立て14が天井部材17よりも高くなるように前面部材16および背面部材15が傾斜した状態で神仏具1は転倒しているため、燃焼した後のガス成分は次のように流動していく。すなわち、図6(a)に示すように、燃焼した後のガス成分は、背面部材15に衝突した後、一部は天井部材17側に流れるものの、大部分は傾斜した背面部材15に沿って上昇して基台11側に流れていく。そのまま火が灯った状態が続くと、図6(b)に示すように、燃焼した後のガス成分が火袋空間3の基台11側に充満していき、やがてロウソク2の芯21の周辺空間にまで充満すると、図6(c)に示すように、ロウソク2の火が消される。なお、ここでは前面部材16の湾曲凸面が床面に向いた状態で神仏具1が静止した場合について説明したが、背面部材15の湾曲凸面が床面に向いた場合も上記と同様にしてロウソク2の転出および消火が実行される。
【0032】
以上のように、本実施形態によれば、弾性部材13の上面に配置されたロウソク立て14を前後方向から取り囲むように前面部材16および背面部材15がそれぞれ配置されて火袋空間3が形成されるとともに、その火袋空間3を上側より換気可能に覆うように天井部材17が配置されている。このように形成された火袋空間3内でロウソク2に火が灯されるため、風の影響によってロウソク2が消えるのを防止することができる。また、室内のカーテンなどがロウソク2の火に接触するのを防止することができる。
【0033】
また、本実施形態によれば、神仏具1が転倒してロウソク立て14からロウソク2が抜け落ちたとしても、火袋空間3は弾性部材13の上面、天井部材17、前面部材16および背面部材15で取り囲まれているため、ロウソク2は火袋空間3内に止まり、神仏具1から外に転がり出るのを効果的に防止することができる。しかも、抜け落ちたロウソク2の芯21は火袋空間3を取り囲む部材(弾性部材13、天井部材17、前面部材16および背面部材15)の一部に接触するため、ロウソク2の火が消されるという利点がある。
【0034】
また、本実施形態では、後側に湾曲した背面部材15と前側に湾曲した前面部材16とで神仏具1の火袋空間3を形成し、その火袋空間3の水平面内での断面は、基台11の底面の直径D0と略同一の長軸L1を有する略楕円形状となっており、その短軸L2は基台11の底面の直径D0よりも短くなっている。したがって、神仏具1が転倒した際には、前面部材16または背面部材15の湾曲凸面が床面に向くとともにロウソク立て14が天井部材17よりも高くなるように前面部材16および背面部材15が傾斜した状態で安定して静止する。このため、本実施形態によれば、神仏具1が転倒しても火が消えずに灯ったままであったとしても、燃焼した後のガス成分の多くは火袋空間3の基台11側に流れて充満していき、やがてロウソク2の芯21の周辺空間にまで充満すると、ロウソク2の火が消されるという利点がある。
【0035】
また、本実施形態では、支持台12の上面に弾性部材13を配置し、前面部材16および背面部材15を支持台12に弾性部材13を介して取り付けて背面部材15および前面部材16の直下位置で、起立状態の前面部材16の下端部と背面部材15の下端部とで形成される略楕円形状の開口を塞いでいる。このため、支持台12の上面と背面部材15および前面部材16との気密性を高めることができ、神仏具1が転倒した際に、燃焼した後のガス成分が火袋空間3の基台11側から漏れるのをより効果的に防止する。その結果、上記ガス成分が火袋空間3に充満する時間を短縮してロウソク2の火をより短時間に消すことが可能となる。このように弾性部材13を設けることによる作用効果は以下に説明する実施形態においても同様である。
【0036】
また、本実施形態では、前面部材16は1つの窓部162と窓部162を塞ぐように配置された耐熱性透明部材163を有しているため、ロウソク2の光を神仏具1から耐熱性透明部材163を介して取り出し可能となっている。しかも、前面部材16は基台11の底面の半径R0よりも大きな曲率半径R2で前側に湾曲した形状を有しているため、窓部162および耐熱性透明部材163を幅方向(火袋空間3の略楕円断面における長軸L1の方向)に広く、しかもロウソク2に近づけて設けることができ、ロウソク2の光を効率的に取り出すことができる。
【0037】
また、本実施形態では、背面部材15は1つの窓部152と窓部152を塞ぐように配置された耐熱性透明部材153を有しているため、ロウソク2の光を神仏具1から耐熱性透明部材153を介して神仏具1の後側に取り出し可能となっている。しかも、前面部材16は基台11の底面の半径R0よりも大きな曲率半径R1で後側に湾曲した形状を有しているため、窓部152および耐熱性透明部材153を幅方向(火袋空間3の略楕円断面における長軸L1の方向)に広く、しかもロウソク2に近づけて設けることができ、神仏具1の後側にロウソク2の光を効率的に取り出すことができる。したがって、仏壇に配置するのに好適である。
【0038】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記実施形態では、基台11を神仏具1の構成部材の最下段の部材としているが、これに限られず、以下のように形状を有して基台11の底面に取り付けられた補助部材をさらに備えるようにしてもよい。この点に関しては、後で説明する神仏具1b〜1dにおいても同様である。
【0039】
図7は補助部材を備えた神仏具を示す斜視図であり、図8は図7のB−B線断面図である。また、図9は図7と異なる形状の補助部材を示す断面図である。なお、図7ないし図9において、上記実施形態と同一要素については同一符号を付している。図7の神仏具1aは、基台11の底面に取り付けられた補助部材18を備えている。この補助部材18は略円盤形状で、基台11に同心となるように基台11の底面に取り付けられている。また、補助部材18の直径をD1とすると、D0<D1、すなわち補助部材18の直径D1は基台11の底面の直径D0より大きくなっている。
【0040】
図7の形態でも、上記実施形態と同様に、神仏具1aが転倒したときにロウソク2の火が消されるという作用効果を奏することができる。さらに、図7のように補助部材18を設けることにより、神仏具1aの設置面積がより広がり、神仏具1aの転倒をより効果的に防止することができる。また、例えば図6に示すように神仏具1aが転倒した際に、前面部材16および背面部材15の傾斜がより大きくなり、燃焼した後のガス成分が火袋空間3の基台11側に流れ込む割合が増大してロウソク2の火をより短時間に消すことが可能となる。なお、図7、図8では補助部材18を略円盤形状としているが、基台11の底面の直径D0よりも長い直径を有する円を底面とする略円錐台形状としてもよい。
【0041】
また、図9に示すように、略楕円盤形状の補助部材18aを備えるようにしてもよい。図9の補助部材18aは、基台11の底面の直径D0と略同一長さの短軸L3を有する略楕円盤形状を有し、長軸が火袋空間3の水平断面の長軸とほぼ一致するように基台11の底面に取り付けられている。図9のような補助部材18aを設けることによっても、神仏具1aの設置面積がより広がり、神仏具1aの転倒をより効果的に防止することができる。また、補助部材18aの長軸が火袋空間3の水平断面の長軸とほぼ一致するように基台11の底面に取り付けられているため、神仏具1aが転倒する際は、前面部材16または背面部材15の湾曲凸面が床面や地面に向く方向に転倒することとなる。なお、図9では補助部材18aを略楕円盤形状としているが、基台11の底面の直径D0と略同一長さの短軸を有する略楕円を底面とする略楕円錐台形状としてもよい。
【0042】
また、図7の神仏具1aでは、上記実施形態と異なる形態の天井部材17aを採用している。すなわち、図7の天井部材17aは、略中央部に開口176を有する蓋体177と、開口176を塞ぐように配置された網部178とを有している。そして、背面部材15と起立状態の前面部材16の上端部に上側から蓋体177を被せることにより、天井部材17aが火袋空間3を換気可能に覆うようになっている。
【0043】
また、上記実施形態では、基台11の上面に支持台12を配置し、支持台12の上面に弾性部材13を配置し、弾性部材13を介して前面部材16および背面部材15を支持台12に取り付けているが、これに限られない。例えば弾性部材13を配置せずに、前面部材16および背面部材15を支持台12に直接取り付けてもよい。また、例えば支持台12を配置せずに、弾性部材13を介して前面部材16および背面部材15を基台11に取り付けてもよい。また、次に図10を参照して説明するように、例えば支持台12および弾性部材13を配置せずに、前面部材16および背面部材15を基台11に直接取り付けてもよい。
【0044】
図10は、支持台および弾性部材を配置せずに、前面部材16および背面部材15を基台11に直接取り付けて構成した神仏具1bを示す斜視図である。なお、図10において、上記実施形態と同一要素については同一符号を付している。図1の神仏具1bでは、蝶番164の一片が前面部材16の前側の下端に取り付けられ、他片が基台11の上面に取り付けられている。そして、この蝶番164によって、前面部材16は、図10の矢印AR1に示すように、基台11に対して前側に起倒可能になっている。
【0045】
なお、図10では、蝶番164の他片がロウソク立て14の下側に位置するように基台11の上面に取り付けられているが、これに限られず、起立時の前面部材16の前側に位置するように、蝶番164の他片を基台11の上面に取り付けてもよい。また、基台11の上面にスリット状の孔を穿設して、蝶番164のヒンジピン164aを埋め込むようにしてもよい。また、前面本体161の下端に細長の隙間を設けて、蝶番164のヒンジピン164aを埋め込むことによりヒンジピン164aが前面部材16の前側に突出しないようにしてもよい。要は、前面部材16が基台11に対して前側に起倒可能に構成されるように、蝶番164を前面部材16および基台11に取り付ければよい。
【0046】
また、例えば弾性部材を配置せずに、前面部材16および背面部材15を支持台12に直接取り付ける場合にも、図10と同様に、蝶番164の一片を前面部材16の前側の下端に取り付け、他片を支持台12の上面に取り付ければよい。但し、前面部材16および背面部材15を支持台12や基台11に直接取り付けずに、弾性部材13を介して取り付けた方が、以下の理由で好ましい。すなわち、上記したように、支持台12または基台11の上面と前面部材16および背面部材15との気密性を高められるので好ましい。さらに、前面部材16の厚みや蝶番164のヒンジピンの幅分の逃げを弾性部材13によって容易に形成できるため、図1などに示すように、蝶番164の一片を前面部材16の前側でなくて後側の下端に取り付けることができるので、見映えの点で好ましい。
【0047】
また、ロウソク立て14は上記実施形態に示した構成に限られない。例えば2本のロウソクが立てられるように構成してもよい。
【0048】
ところで上記実施形態にかかる神仏具1、1aはいわゆる灯籠であり、ロウソク2のみを使用するためのものであったが、例えば図11に示すように、ロウソク立て14にロウソク用の芯金144のみならず線香保持部4を並設してもよい。この場合、神仏具1cではロウソク2および線香5を同時使用可能となる。
【0049】
図11は本発明にかかる神仏具の他の実施形態を示す斜視図である。同図に示す実施形態では、ロウソク立て14の上面右端部にロウソク用の芯金144が取り付けられるとともに、上面左端部に支持板41が固定されている。また、この支持板41には、2本のコイル状保持部材42が上方に延設されている。各コイル状保持部材42は線香5の直径と同程度の内径を有する中空筒形状となっており、線香5の下端部をコイル状保持部材42の中空筒部に圧入すると、線香5がコイル状保持部材42によりしっかりと保持されて支持される。本実施形態では、支持板41および保持部材42により線香保持部4が形成されており、神仏具1cが転倒したとしても、線香5が保持部材42から抜け出すことなく保持されて神仏具1cから転がり出すのを効果的に防止することができる。なお、保持部材42の形状はコイル形に限定されるものではなく、線香5をしっかりと保持する構造であれば特に限定されるものではない。
【0050】
また、線香5は線香保持部4に保持されているために、転倒直後においても線香5を焚いた状態のままであるが、ロウソク2と同様に燃焼した後のガス成分が火袋空間3(この実施形態では火袋空間3は香炉空間としても機能し、本発明の「内部空間」に相当する)に充満して線香5の火を確実に消すことができる。
【0051】
図13は本発明にかかる神仏具の別の実施形態を示す斜視図である。この実施形態にかかる神仏具1dが図11に示す実施形態と大きく相違する点は、線香保持部4がロウソク立て14と分離して設けられている点である。なお、その他の構成は基本的に同一であるため、同一構成については同一符号を付して説明を省略する。
【0052】
この神仏具1dでは、弾性部材13に左右2つの貫通孔(図示省略)が形成されるとともに各貫通孔に対して円筒状の支持部61、62が取り付けられている。そして、これらの支持部61、62に対してロウソク立て14および線香保持部4が挿脱自在に設けられている。すなわち、ロウソク立て14は、支持部61、62の中空内径よりも細い外径を有する円筒部材145と、支持部61の外径よりも太く円筒部材145の上端部に取り付けられた円環部材146とを有しており、円筒部材145を支持部61、62の中空部に挿入すると、円筒部材145と円環部材146の段差部で支持部61、62に係止されるように構成されている。また、同図への図示は省略されているが、円筒部材145の側面に係合部が設けられるとともに係合部に対応して支持台12に係合バネが設けられており、円筒部材145を支持部61、62の中空部に挿入した際に係合部が係合バネと係合してロウソク立て14が簡単に貫通孔から抜け出すのが防止される。もちろん、係合バネの付勢力よりも強い力でロウソク立て14を貫通孔から引き出すことでロウソク立て14を取り出すことができる。そして、円環部材146の内にはコイル状のロウソク支持部147が設けられており、コイル内にロウソク2の下端部を挿入することでロウソク2を支持可能となっている。なお、同図中の符号148はロウソク立て14のハンドリング性を高めるために円環部材146に取り付けられた取手部である。
【0053】
また、線香保持部4もロウソク立て14と同様に、支持部61、62の中空内径よりも細い外径を有する円筒部材43を有している。そして、支持部61の外径よりも幅広のフランジ部44が円筒部材43の上端部に取り付けられており、円筒部材43を支持部61、62の中空部に挿入すると、フランジ部44の下面が支持部61、62で係止されるように構成されている。なお、円筒部材43の側面に上記係合バネに係合可能な係合部が設けられており、線香保持部4が簡単に貫通孔から抜け出さない点についてはロウソク立て14と同様である。また、フランジ部44の中央部に複数本(図13の実施形態では5本)のコイル状保持部材42がそれぞれ上下方向に延設されており、各保持部材42に対して線香5を圧入することで線香5がコイル状保持部材42によりしっかりと保持されて支持される。
【0054】
このように構成された神仏具1dにおいても、上記実施形態と同様に、神仏具1dが転倒したとしても、ロウソク2および線香5が神仏具1dから転がり出すのを防止することができるとともに、転倒後に燃焼したガス成分が内部空間3に充満することでロウソク2および線香5を確実に消火することができる。
【0055】
なお、図1〜図10に示す実施形態はロウソク2のみを使用するためのものであり、また図11〜図13に示す実施形態はロウソク2および線香5を同時使用可能なものであったが、ロウソク立て14を設けずに線香保持部4のみを設けてもよい。この場合、神仏具は線香立てや香炉として機能しており、線香5が保持部材42によりしっかりと保持されて支持されるため、この神仏具が転倒したとしても、線香5が神仏具から転がり出すのを防止することができる。
【0056】
また、本実施形態では、後側に湾曲した背面部材15と前側に湾曲した前面部材16とで神仏具の香炉空間(本発明の「内部空間」に相当)3を形成し、その香炉空間3の水平面内での断面は、基台11の底面の直径D0と略同一の長軸L1を有する略楕円形状となっており、その短軸L2は基台11の底面の直径D0よりも短くなっている。したがって、神仏具が転倒した際には、前面部材16または背面部材15の湾曲凸面が床面に向くとともに線香保持部4が天井部材17よりも高くなるように前面部材16および背面部材15が傾斜した状態で安定して静止する。このため、本実施形態によれば、神仏具が転倒しても線香が焚かれたままであったとしても、ガス成分の多くは香炉空間3の基台11側に流れて充満していき、やがて線香5の先端周辺空間にまで充満すると、線香5を消火することができる。
【符号の説明】
【0057】
1、1a、1b、1c、1d…神仏具、2…ロウソク、3…火袋空間(内部空間)、4…線香保持部、5…線香、11…基台、12…支持台、13…弾性部材、14…ロウソク立て、15…背面部材、16…前面部材、162…窓部、163…耐熱性透明部材、17、17a…天井部材、18、18a…補助部材、D0…基台の底面の直径、D1…略円盤形状の補助部材の底面の直径、L1…火袋空間の断面の長軸、L2…火袋空間の断面の短軸、L3…略楕円形状の補助部材の短軸、R0…基台の底面の半径
【技術分野】
【0001】
この発明は、墓又は室内の仏壇や祭壇等の前側に配置され、ロウソクや線香を立てるために使用される神仏具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、故人の冥福、神や精霊などを奉る時、墓地における墓又は室内の仏壇や祭壇等の前にロウソクを立てて火を灯すことがあり、それに際して灯籠が使用されることがある。例えば特許文献1に記載の灯籠では、器体の上面中央部に芯金が立設されており、当該芯金でロウソクを支持可能となっている。また、器体の上面周縁部に段部が設けられ、当該段部に対して透明なガラスあるいはプラスチックから製作された風除け筒体がはめ込み方式で着脱自在となっている。そして、ロウソクに火を灯した後に、風除け筒体を器体の段部にはめ込んで座着させて風によりロウソクの火が消えるのを防いでいる。また、この風除け筒体の上縁に逆U字形の固定部材をはめ込むことによって、接続支持部材となる4本の支柱を直立させるとともに、これらの支柱によって屋根状部材を支持している。また、お墓や仏壇にお供えとして線香を焚く際には上記灯籠と類似した構成の線香立てや香炉が用いられる(特許文献1の図2参照)。このように従来からロウソクや線香を立てるために、特許文献1に記載されたような神仏具(灯籠、線香立て・香炉)が用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平6−26660号公報(図2、図7)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように構成された神仏具のうち灯籠では、風除け筒体と屋根状部材との間に隙間が形成されている。このため、人や動物(室内犬や猫などのペット)が灯籠に触れたり、地震などにより灯籠が転倒すると、火の灯っているロウソクが芯金から抜け落ち、風除け筒体で囲まれた火袋から隙間を介して灯籠外に転がり出ることがある。そして、その状態を放置しておくと、火災を引き起こす可能性がある。また、火の灯っているロウソクが芯金から抜け落ちずに止まっているものの、灯籠が床や地面に転倒した状態でロウソクに火がついた状態のまま維持されると、ロウソクの火が風除け筒体に直接当たって灯籠が高温状態となる。そして、このように高温となった灯籠に人が触れると、火傷を受けてしまうことがある。また、線香立てについても同様の問題が発生することがあった。
【0005】
この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、神仏具が転倒したとしても、ロウソクや線香が神仏具から転がり出るのを防止するとともに神仏具内でロウソクや線香を高い確率で消すことができる神仏具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明にかかる神仏具の第1の態様は、上記目的を達成するため、略円盤状または略円錐台状の基台と、上方からの平面視で基台と重なるように基台の上面に配置された支持台と、基台の上面略中央部の上方に位置するように支持台の上面に配置されてロウソクを支持するロウソク立てと、ロウソク立ての後側で支持台に対して上向きに取り付けられた背面部材と、少なくとも1つ以上の窓部と窓部を塞ぐように配置された耐熱性透明部材とを有し、支持台に対して前側に起倒可能に取り付けられ、起立時に背面部材と支持台とでロウソク立てを取り囲んで内部空間を形成する前面部材と、起立状態の前面部材の上端部と背面部材の上端部との間に配置自在に設けられて内部空間を換気可能に覆う天井部材とを備え、水平面内において背面部材は基台の底面の半径よりも大きな第1の曲率半径で後側に湾曲するとともに前面部材は基台の底面の半径よりも大きな第2の曲率半径で前側に湾曲し、起立状態の前面部材と背面部材とで形成される内部空間の水平面内での断面形状が基台の底面の直径と略同一の長軸を有する略楕円形状となることを特徴としている。
【0007】
このように構成された発明では、支持台の上面に配置されたロウソク立てを前後方向から取り囲むように前面部材および背面部材がそれぞれ配置されて内部空間(火袋空間)が形成されるとともに、その内部空間を上側より覆うように天井部材が配置されている。このように形成された火袋空間内でロウソクに火が灯される。したがって、風の影響によってロウソクが消えるのを防止することができる。また、室内のカーテンなどがロウソクの火に接触するのを防止することができる。
【0008】
一方、ロウソクに火が灯った状態で人やペットなどが灯籠に接触したり、地震の発生などにより灯籠が転倒してロウソク立てからロウソクが抜け落ちたとしても、内部空間は支持台の上面、天井部材、前面部材および背面部材で取り囲まれているため、当該内部空間内に止まり、神仏具から転がり出るのを効果的に防止することができる(後で説明する図5(a)参照)。しかも、抜け落ちたロウソクの芯部分は内部空間を取り囲む部材(支持台、天井部材、前面部材および背面部材)の一部に接触してロウソクの火は消される。
【0009】
ここで、ロウソクがロウソク立てから抜け落ちずに止まる場合であっても、後で説明する図5(b)に示すようにロウソクが傾いて芯部分が前面部材や背面部材に接触すると、ロウソクの火は消される。また、ロウソクがロウソク立てにしっかりと支持されたまま止まっている場合には、転倒直後もロウソクに火が灯っていることがあるが、上記のように構成された本発明では燃焼した後のガス成分が内部空間に充満していきロウソクの火が消される。すなわち、本発明では、基台は略円盤状または略円錐台状を有しており、基台の底面形状は円形であり、上方からの平面視で基台と重なるように基台の上面に支持台が配置されている。そして、背面部材は水平面内で基台の底面の半径よりも大きな第1の曲率半径で後側に湾曲しながら支持台に対して上向きに取り付けられている。また、前面部材は基台の底面の半径よりも大きな第2の曲率半径で前側に湾曲しており、起立状態で背面部材とで水平面内で略楕円断面を有する内部空間を形成している。しかも、内部空間の断面は基台の底面の直径と略同一の長軸を有する略楕円形状となっており、その短軸は基台の底面の直径よりも短い。したがって、灯籠が転倒した際には、例えば後述する図5や図6に示すように、前面部材または背面部材の湾曲凸面が床面や地面に向くとともにロウソク立てが天井部材よりも高くなるように前面部材および背面部材が傾斜した状態で安定して静止する。このため、燃焼した後のガス成分の多くは内部空間の基台側に流れて充満していき、やがてロウソクの芯部分の周辺空間にまで充満し、その結果ロウソクの火が消される。
【0010】
また、本発明では、前面部材は少なくとも1つ以上の窓部と窓部を塞ぐように配置された耐熱性透明部材を有しているため、ロウソクの光を灯籠から耐熱性透明部材を介して取り出し可能となっている。しかも、前面部材は基台の底面の半径よりも大きな第2の曲率半径で前側に湾曲した形状を有しているため、窓部および耐熱性透明部材を幅方向(内部空間の略楕円断面における長軸方向)に広く、しかもロウソクに近づけて設けることができ、ロウソクの光を効率的に取り出すことができる。ここで、「耐熱性透明部材」とはロウソクの火により溶け出すことがない程度の耐熱性を有しながらロウソクの光を透過させる部材を意味しており、耐熱ガラスなどを用いることができる。
【0011】
また、上記した本発明にかかる神仏具の第1の態様では、支持台に対して背面部材および前面部材を取り付けているが、基台に対して背面部材および前面部材を直接取り付けてもよい。すなわち、本発明にかかる神仏具の第2の態様は、略円盤状または略円錐台状の基台と、基台の上面略中央部に配置されてロウソクを支持するロウソク立てと、ロウソク立ての後側で基台に対して上向きに取り付けられた背面部材と、少なくとも1つ以上の窓部と窓部を塞ぐように配置された耐熱性透明部材とを有し、基台に対して前側に起倒可能に取り付けられ、起立時に背面部材と基台でロウソク立てを取り囲んで内部空間を形成する前面部材と、起立状態の前面部材の上端部と背面部材の上端部との間に配置自在に設けられて内部空間を換気可能に覆う天井部材とを備え、水平面内において背面部材は基台の底面の半径よりも大きな第1の曲率半径で後側に湾曲するとともに前面部材は基台の底面の半径よりも大きな第2の曲率半径で前側に湾曲し、起立状態の前面部材と背面部材とで形成される内部空間の水平面内での断面形状が基台の底面の直径と略同一の長軸を有する略楕円形状となることを特徴としている。
【0012】
また、上記した本発明にかかる神仏具の第1の態様および第2の態様はいずれも灯籠として機能するものであるが、基台の上面略中央部の上方に位置するように線香保持部を配置して線香の下端部を保持して支持するように構成してもよい。例えばロウソク立てに線香保持部を直接取り付けてもよいし、ロウソク立てに対して線香保持部を並設してもよい。このように、線香保持部を設けることで線香の下端部が線香保持部により保持され、神仏具が倒れても線香は線香保持部によりしっかりと保持されるため、神仏具から転がり出るのを効果的に防止することができる。また、このように線香は線香保持部に保持されているために、転倒直後では線香は焚かれた状態のままであるが、上記のように構成された本発明ではロウソクと同様に燃焼した後のガス成分が内部空間(火袋空間であり、また香炉空間でもある)に充満して線香が消火される。
【0013】
また、上記した本発明にかかる神仏具の第3の態様はロウソクと線香を併存させた形で墓地、仏壇や祭壇などに設置されるが、線香のみを使用するように構成してもよい。すなわち、本発明にかかる神仏具の第4の態様は、略円盤状または略円錐台状の基台と、上方からの平面視で基台と重なるように基台の上面に配置された支持台と、基台の上面略中央部の上方に位置するように支持台の上面に配置されて線香の下端部を保持して支持する線香保持部と、線香保持部の後側で支持台に対して上向きに取り付けられた背面部材と、少なくとも1つ以上の窓部と窓部を塞ぐように配置された耐熱性透明部材とを有し、支持台に対して前側に起倒可能に取り付けられ、起立時に背面部材と支持台とで線香保持部を取り囲んで内部空間を形成する前面部材とを備え、水平面内において背面部材は基台の底面の半径よりも大きな第1の曲率半径で後側に湾曲するとともに前面部材は基台の底面の半径よりも大きな第2の曲率半径で前側に湾曲し、起立状態の前面部材と背面部材とで形成される内部空間の水平面内での断面形状が基台の底面の直径と略同一の長軸を有する略楕円形状となることを特徴としている。また、本発明にかかる神仏具の第5の態様は、略円盤状または略円錐台状の基台と、基台の上面略中央部に配置されてロウソクを支持するロウソク立てと、ロウソク立ての後側で基台に対して上向きに取り付けられた背面部材と、少なくとも1つ以上の窓部と窓部を塞ぐように配置された耐熱性透明部材とを有し、基台に対して前側に起倒可能に取り付けられ、起立時に背面部材と基台でロウソク立てを取り囲んで内部空間を形成する前面部材と、起立状態の前面部材の上端部と背面部材の上端部との間に配置自在に設けられて内部空間を換気可能に覆う天井部材とを備え、水平面内において背面部材は基台の底面の半径よりも大きな第1の曲率半径で後側に湾曲するとともに前面部材は基台の底面の半径よりも大きな第2の曲率半径で前側に湾曲し、起立状態の前面部材と背面部材とで形成される内部空間の水平面内での断面形状が基台の底面の直径と略同一の長軸を有する略楕円形状となることを特徴としている。
【0014】
このように構成された第4の態様および第5の態様にかかる神仏具においても、第3の態様と同様に、線香保持部により神仏具の転倒により線香が神仏具から転がり出るのを効果的に防止することができる。また、転倒後において、燃焼した後のガス成分が内部空間(香炉空間)に充満して線香を消火することができる。
【0015】
ここで、背面部材および前面部材の直下位置で、起立状態の前面部材の下端部と背面部材の下端部とで形成される略楕円形状の開口を塞ぐように設けられた弾性部材をさらに設けてもよい。このように弾性部材を設けることで支持台や基台の上面と背面部材および前面部材との気密性を高めることができる。その結果、神仏具が転倒した際に、燃焼した後のガス成分が内部空間(火袋空間や香炉空間)の基台側から漏れるのをより効果的に防止して当該ガスが内部空間に充満する時間を短縮し、その結果ロウソクや線香をより短時間で消火することが可能となる。
【0016】
また、基台の底面の直径よりも長い直径を有する略円盤形状または基台の底面の直径よりも長い直径を有する円を底面とする略円錐台形状を有し、基台に同心となるように基台の底面に取り付けられた補助部材をさらに備えてもよい。このように補助部材を設けることで神仏具の設置面積がより広がり、神仏具の転倒をより効果的に防止することができる。また、神仏具が転倒した際に、前面部材および背面部材の傾斜がより大きくなり、燃焼した後のガス成分が内部空間の基台側に流れ込む割合が増大してロウソクや線香の火をより短時間に消すことが可能となる。
【0017】
さらに、基台の底面の直径と略同一長さの短軸を有する略楕円盤形状または基台の底面の直径と略同一長さの短軸を有する略楕円を底面とする略楕円錐台形状を有し、長軸が内部空間の水平断面の長軸とほぼ一致するように基台の底面に取り付けられた補助部材をさらに備えてもよい。このように補助部材を設けることで神仏具の設置面積がより広がり、神仏具の転倒をより効果的に防止することができる。また、補助部材の長軸が内部空間の水平断面の長軸とほぼ一致するように基台の底面に取り付けられているため、神仏具が転倒する際は、前面部材または背面部材の湾曲凸面が床面や地面に向く方向に転倒することとなる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明にかかる神仏具の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1の神仏具の側断面図である。
【図3】図2のA−A線断面図である。
【図4】図1の神仏具を構成する天井部材を示す平面図である。
【図5】図1の神仏具が転倒した状態を示す側断面図である。
【図6】図1の神仏具が転倒した状態を示す側断面図である。
【図7】補助部材を備えた神仏具を示す斜視図である。
【図8】図7のB−B線断面図である。
【図9】図7と異なる形状の補助部材を示す断面図である。
【図10】前面部材と背面部材を基台に直接取り付けた神仏具を示す斜視図である。
【図11】本発明にかかる神仏具の他の実施形態を示す斜視図である。
【図12】図11に示す神仏具の断面図である。
【図13】本発明にかかる神仏具の別の実施形態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は本発明にかかる神仏具の一実施形態を示す斜視図であり、図2は図1の神仏具の側断面図であり、図3は図2のA−A線断面図であり、図4は図1の神仏具を構成する天井部材を示す平面図である。なお、この明細書では、図1ないし図3に矢印で示す向きに、前後方向および上下方向を設定する。
【0020】
神仏具1はいわゆる灯籠であり、以下のように構成されている。すなわち、神仏具1は、図1および図2に示すように、略円錐台状で例えばステンレス製などの金属製の基台11と、上方からの平面視で基台11と重なるように基台11の上面に配置され、例えばステンレス製などの金属製の支持台12と、支持台12の上面に配置された弾性部材13と、基台11の上面略中央部の上方に位置するように弾性部材13の上面に配置されてロウソク2を支持するロウソク立て14と、ロウソク立て14の後側で弾性部材13を介して支持台12に取り付けられた背面部材15と、ロウソク立て14の前側で弾性部材13を介して支持台12に前側に起倒可能に取り付けられ、起立時に背面部材15と弾性部材13とでロウソク立て14を取り囲んで火袋空間(内部空間)3を形成する前面部材16と、背面部材15の上端部と起立状態の前面部材16の上端部との間に配置自在に設けられた天井部材17とを備えている。なお、基台11は略円錐台状としているが、略円盤状としてもよい。この点については、後の実施形態においても同様である。
【0021】
支持台12は、図1ないし図3に示すように、平面視略D字状で、D字の直線部分が前側に位置するように、例えば溶接により基台11に固定されている。弾性部材13は、例えばゴム製で、全体として背面部材15および前面部材16の後述する形状に合わせて平面視略楕円板形状に形成されている。また、弾性部材13の前側側部から後側に延設された矩形状の切込部が設けられており、当該切込部に対してロウソク立て14の枠部141を挿入可能となっている。すなわち、ロウソク立て14は例えばステンレス製などの金属製で前後方向に延びる枠部141を有しており、この枠部141は弾性部材13の切込部に挿入された状態で支持台12に固定されている。また、枠部141の内側に台部142が嵌まり込んで前後方向に移動自在に配置されている。そして、図1に一点鎖線で示すように前面部材16を倒した状態で、把持部143を持って前方に引き出すことにより、ロウソク立て14を神仏具1の外部に出して、容易にロウソク2をロウソク立て14の芯金144にセットすることが可能になっている。
【0022】
背面部材15は、例えばステンレス製などの金属製の背面本体151と、この背面本体151の略中央部に設けられた1つの窓部152と、この窓部152を塞ぐように配置された耐熱ガラスなどの耐熱性透明部材153とを備えている。このように本実施形態では背面部材15に対して窓部152と耐熱性透明部材153とを設けることで、ロウソク立て14に立てられたロウソク2から放射される光を神仏具1の外部に導いて神仏具1の後側を照らすことが可能となっている。ただし、窓部152および耐熱性透明部材153の個数はこれに限定されるものではなく、複数個設けてもよいことは言うまでもない。また、背面側(後側)への光の取り出しが不要である場合には、背面部材15に窓部152を設けないのが望ましく、背面部材15の凹面を反射面とすることで前面側(前側)に取り出すことができる光量を増大させることができる。
【0023】
前面部材16は、例えばステンレス製などの金属製の前面本体161と、前面本体161の略中央部に設けられた1つの窓部162と、この窓部162を塞ぐように配置された耐熱ガラスなどの耐熱性透明部材163とを備えている。窓部162によって、ロウソク立て14に立てられたロウソク2から放射される光を神仏具1の外部に導いて神仏具1の前側を照らすことが可能となっている。また、蝶番164の一片が前面部材16の後側の下端に取り付けられ、他片が弾性部材13の上面に取り付けられており、この蝶番164によって、前面部材16は、図1および図2の矢印AR1に示すように、弾性部材13(支持台12)に対して前側に起倒可能になっている。なお、本実施形態では2本のコイルバネ165、165(図1)が設けられており、前面部材16を起立側に付勢している。すなわち、これらのコイルバネ165、165の一方端はロウソク立て14の枠部141に取り付けられるとともに、他方端が前面部材16の下方端部に取り付けられている。
【0024】
図3に示すように、水平面内において、背面部材15は後側に湾曲し、前面部材16は前側に湾曲している。ここで、基台11の底面の半径をR0とし、背面部材15の曲率半径をR1とし、前面部材16の曲率半径をR2とすると、R1>R0、R2>R0になっている。そして、起立状態の前面部材16と背面部材15とで形成される火袋空間3の水平面内での断面形状は、略楕円形状になっている。また、この略楕円である火袋空間3の水平面内での断面の長軸をL1とし、短軸をL2とし、基台11の底面の直径をD0(=2×R0)とすると、L1≒D0、L2<D0になっている。なお、この実施形態では図3に示すように背面部材15の曲率半径R1と、前面部材16の曲率半径R2とがほぼ同一となるように構成しているが、もちろん両曲率半径R1、R2が互いに異なる値となるように構成してもよい。
【0025】
天井部材17は、例えばステンレス製などの金属製の天井本体171と、この天井本体171の略中央部に設けられた開口172と、この開口172を塞ぐように配置された例えばステンレス製などの金属製の網部173と、例えばステンレスなどの金属板を折り曲げて形成され、一端が天井本体171の前端部に固定された係止部174とを備えている。また、蝶番175の一片が背面部材15の上端部に取り付けられ、他片が天井本体171の後端部に取り付けられており、この蝶番175によって、天井部材17は、図1および図2の矢印AR2に示すように、火袋空間3の上面を開閉可能になっている。すなわち、天井部材17を背面部材15の後側に倒した状態(図2の破線)で、前面部材16を前側に倒すことが可能になっている。また、前面部材16が起立した状態で天井部材17を蝶番175のピン回りに回転させ、係止部174の有する弾性で前面部材16の上端部を係止した状態(図2の実線)で、天井部材17が網部173を介して換気可能に火袋空間3を覆うこととなる。なお、この実施形態では図1および図2に示すようにロウソク2よりも十分に小さい間隔の網部173を設けているが、網部の代わりにパンチング孔を有する金属板などで開口172を塞ぐように構成してもよい。この点については後の実施形態においても同様である。
【0026】
次に、上記のように構成された神仏具1が転倒したときにロウソク2の火が消される手順について、図5および図6を参照しつつ詳述する。図5および図6は図1の神仏具1が転倒した状態を示す側断面図である。例えばロウソク2に火が灯った状態で人やペットなどが神仏具1に接触したり、地震の発生などにより神仏具1が転倒することがあり得る。このとき、図1の神仏具1は、略円盤状または略円錐台状の基台11を備えているため、どの向きにも同じように転倒する可能性がある。
【0027】
しかしながら、この実施形態の神仏具1は、図3を参照して説明したように構成されているため、転倒時の神仏具1の姿勢はほぼ一定となる。すなわち、基台11は略円盤状または略円錐台状を有しており、基台11の底面形状は円形であり、上方からの平面視で基台11と重なるように基台11の上面に支持台12が配置されている。そして、背面部材15は水平面内で基台11の底面の半径R0よりも大きな第1の曲率半径R1で後側に湾曲しながら支持台12に対して弾性部材13を介して上向きに取り付けられている。また、前面部材16は基台11の底面の半径R0よりも大きな第2の曲率半径R2で前側に湾曲しており、起立状態で背面部材15とで水平面内で略楕円断面を有する火袋空間3を形成している。しかも、火袋空間3の断面は基台11の底面の直径D0と略同一の長軸L1を有する略楕円形状となっており、その短軸L2は基台11の底面の直径D0よりも短い。
【0028】
神仏具1が上記したように構成されているため、神仏具1が転倒した際には、前面部材16または背面部材15の湾曲凸面が床面に向くとともに、ロウソク立て14が天井部材17よりも高くなるように前面部材16および背面部材15が傾斜した状態で安定して静止する。図5および図6では、転倒した神仏具1は、前面部材16の上端部と基台11の周縁部との2箇所が床面に接触し、前面部材16の湾曲凸面が床面に向くとともに、ロウソク立て14が天井部材17よりも高くなるように前面部材16および背面部材15が傾斜した状態で静止している。
【0029】
図5(a)は神仏具1が転倒したときの衝撃でロウソク2がロウソク立て14の芯金144から完全に抜け落ちた状態を示し、図5(b)はロウソク2がロウソク立て14の芯金144から完全に抜け落ちずに途中で止まった状態を示している。図5(a)に示すように、神仏具1が転倒してロウソク立て14の芯金144からロウソク2が完全に抜け落ちたとしても、火袋空間3は弾性部材13の上面、天井部材17、前面部材16および背面部材15で取り囲まれているため、ロウソク2は火袋空間3内に止まり、神仏具1から外に転がり出るのを効果的に防止することができる。
【0030】
また、図5(a)に示すように、神仏具1が転倒したときの衝撃でロウソク2がロウソク立て14の芯金144から完全に抜け落ちた場合には、ロウソク2の芯21が天井部材17に接触する。また、図5(b)に示すように、神仏具1が転倒したときの衝撃でロウソク2がロウソク立て14の芯金144から抜け落ちずに途中で止まった場合には、火袋空間3の水平面内での断面の短軸L2が基台11の底面の直径D0に比べて短い値になっているため、ロウソク2の芯21が下方の部材(図5(b)では前面部材16)に接触し易くなっている。そして、ロウソク2の芯21が天井部材17や前面部材16などの部材の一部に接触すると、芯21の温度が急激に低下してロウの気化が止まってロウソク2の火が消される。
【0031】
図6(a)(b)(c)は神仏具1が転倒してもロウソク2がロウソク立て14にしっかりと支持されたまま止まっており、転倒の衝撃でも火が消えずに灯ったままの状態を示している。なお、図6(a)(b)(c)における星印は、気化したロウが燃焼した後のガス成分を模式的に示している。同図に示すように、ロウソク立て14が天井部材17よりも高くなるように前面部材16および背面部材15が傾斜した状態で神仏具1は転倒しているため、燃焼した後のガス成分は次のように流動していく。すなわち、図6(a)に示すように、燃焼した後のガス成分は、背面部材15に衝突した後、一部は天井部材17側に流れるものの、大部分は傾斜した背面部材15に沿って上昇して基台11側に流れていく。そのまま火が灯った状態が続くと、図6(b)に示すように、燃焼した後のガス成分が火袋空間3の基台11側に充満していき、やがてロウソク2の芯21の周辺空間にまで充満すると、図6(c)に示すように、ロウソク2の火が消される。なお、ここでは前面部材16の湾曲凸面が床面に向いた状態で神仏具1が静止した場合について説明したが、背面部材15の湾曲凸面が床面に向いた場合も上記と同様にしてロウソク2の転出および消火が実行される。
【0032】
以上のように、本実施形態によれば、弾性部材13の上面に配置されたロウソク立て14を前後方向から取り囲むように前面部材16および背面部材15がそれぞれ配置されて火袋空間3が形成されるとともに、その火袋空間3を上側より換気可能に覆うように天井部材17が配置されている。このように形成された火袋空間3内でロウソク2に火が灯されるため、風の影響によってロウソク2が消えるのを防止することができる。また、室内のカーテンなどがロウソク2の火に接触するのを防止することができる。
【0033】
また、本実施形態によれば、神仏具1が転倒してロウソク立て14からロウソク2が抜け落ちたとしても、火袋空間3は弾性部材13の上面、天井部材17、前面部材16および背面部材15で取り囲まれているため、ロウソク2は火袋空間3内に止まり、神仏具1から外に転がり出るのを効果的に防止することができる。しかも、抜け落ちたロウソク2の芯21は火袋空間3を取り囲む部材(弾性部材13、天井部材17、前面部材16および背面部材15)の一部に接触するため、ロウソク2の火が消されるという利点がある。
【0034】
また、本実施形態では、後側に湾曲した背面部材15と前側に湾曲した前面部材16とで神仏具1の火袋空間3を形成し、その火袋空間3の水平面内での断面は、基台11の底面の直径D0と略同一の長軸L1を有する略楕円形状となっており、その短軸L2は基台11の底面の直径D0よりも短くなっている。したがって、神仏具1が転倒した際には、前面部材16または背面部材15の湾曲凸面が床面に向くとともにロウソク立て14が天井部材17よりも高くなるように前面部材16および背面部材15が傾斜した状態で安定して静止する。このため、本実施形態によれば、神仏具1が転倒しても火が消えずに灯ったままであったとしても、燃焼した後のガス成分の多くは火袋空間3の基台11側に流れて充満していき、やがてロウソク2の芯21の周辺空間にまで充満すると、ロウソク2の火が消されるという利点がある。
【0035】
また、本実施形態では、支持台12の上面に弾性部材13を配置し、前面部材16および背面部材15を支持台12に弾性部材13を介して取り付けて背面部材15および前面部材16の直下位置で、起立状態の前面部材16の下端部と背面部材15の下端部とで形成される略楕円形状の開口を塞いでいる。このため、支持台12の上面と背面部材15および前面部材16との気密性を高めることができ、神仏具1が転倒した際に、燃焼した後のガス成分が火袋空間3の基台11側から漏れるのをより効果的に防止する。その結果、上記ガス成分が火袋空間3に充満する時間を短縮してロウソク2の火をより短時間に消すことが可能となる。このように弾性部材13を設けることによる作用効果は以下に説明する実施形態においても同様である。
【0036】
また、本実施形態では、前面部材16は1つの窓部162と窓部162を塞ぐように配置された耐熱性透明部材163を有しているため、ロウソク2の光を神仏具1から耐熱性透明部材163を介して取り出し可能となっている。しかも、前面部材16は基台11の底面の半径R0よりも大きな曲率半径R2で前側に湾曲した形状を有しているため、窓部162および耐熱性透明部材163を幅方向(火袋空間3の略楕円断面における長軸L1の方向)に広く、しかもロウソク2に近づけて設けることができ、ロウソク2の光を効率的に取り出すことができる。
【0037】
また、本実施形態では、背面部材15は1つの窓部152と窓部152を塞ぐように配置された耐熱性透明部材153を有しているため、ロウソク2の光を神仏具1から耐熱性透明部材153を介して神仏具1の後側に取り出し可能となっている。しかも、前面部材16は基台11の底面の半径R0よりも大きな曲率半径R1で後側に湾曲した形状を有しているため、窓部152および耐熱性透明部材153を幅方向(火袋空間3の略楕円断面における長軸L1の方向)に広く、しかもロウソク2に近づけて設けることができ、神仏具1の後側にロウソク2の光を効率的に取り出すことができる。したがって、仏壇に配置するのに好適である。
【0038】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記実施形態では、基台11を神仏具1の構成部材の最下段の部材としているが、これに限られず、以下のように形状を有して基台11の底面に取り付けられた補助部材をさらに備えるようにしてもよい。この点に関しては、後で説明する神仏具1b〜1dにおいても同様である。
【0039】
図7は補助部材を備えた神仏具を示す斜視図であり、図8は図7のB−B線断面図である。また、図9は図7と異なる形状の補助部材を示す断面図である。なお、図7ないし図9において、上記実施形態と同一要素については同一符号を付している。図7の神仏具1aは、基台11の底面に取り付けられた補助部材18を備えている。この補助部材18は略円盤形状で、基台11に同心となるように基台11の底面に取り付けられている。また、補助部材18の直径をD1とすると、D0<D1、すなわち補助部材18の直径D1は基台11の底面の直径D0より大きくなっている。
【0040】
図7の形態でも、上記実施形態と同様に、神仏具1aが転倒したときにロウソク2の火が消されるという作用効果を奏することができる。さらに、図7のように補助部材18を設けることにより、神仏具1aの設置面積がより広がり、神仏具1aの転倒をより効果的に防止することができる。また、例えば図6に示すように神仏具1aが転倒した際に、前面部材16および背面部材15の傾斜がより大きくなり、燃焼した後のガス成分が火袋空間3の基台11側に流れ込む割合が増大してロウソク2の火をより短時間に消すことが可能となる。なお、図7、図8では補助部材18を略円盤形状としているが、基台11の底面の直径D0よりも長い直径を有する円を底面とする略円錐台形状としてもよい。
【0041】
また、図9に示すように、略楕円盤形状の補助部材18aを備えるようにしてもよい。図9の補助部材18aは、基台11の底面の直径D0と略同一長さの短軸L3を有する略楕円盤形状を有し、長軸が火袋空間3の水平断面の長軸とほぼ一致するように基台11の底面に取り付けられている。図9のような補助部材18aを設けることによっても、神仏具1aの設置面積がより広がり、神仏具1aの転倒をより効果的に防止することができる。また、補助部材18aの長軸が火袋空間3の水平断面の長軸とほぼ一致するように基台11の底面に取り付けられているため、神仏具1aが転倒する際は、前面部材16または背面部材15の湾曲凸面が床面や地面に向く方向に転倒することとなる。なお、図9では補助部材18aを略楕円盤形状としているが、基台11の底面の直径D0と略同一長さの短軸を有する略楕円を底面とする略楕円錐台形状としてもよい。
【0042】
また、図7の神仏具1aでは、上記実施形態と異なる形態の天井部材17aを採用している。すなわち、図7の天井部材17aは、略中央部に開口176を有する蓋体177と、開口176を塞ぐように配置された網部178とを有している。そして、背面部材15と起立状態の前面部材16の上端部に上側から蓋体177を被せることにより、天井部材17aが火袋空間3を換気可能に覆うようになっている。
【0043】
また、上記実施形態では、基台11の上面に支持台12を配置し、支持台12の上面に弾性部材13を配置し、弾性部材13を介して前面部材16および背面部材15を支持台12に取り付けているが、これに限られない。例えば弾性部材13を配置せずに、前面部材16および背面部材15を支持台12に直接取り付けてもよい。また、例えば支持台12を配置せずに、弾性部材13を介して前面部材16および背面部材15を基台11に取り付けてもよい。また、次に図10を参照して説明するように、例えば支持台12および弾性部材13を配置せずに、前面部材16および背面部材15を基台11に直接取り付けてもよい。
【0044】
図10は、支持台および弾性部材を配置せずに、前面部材16および背面部材15を基台11に直接取り付けて構成した神仏具1bを示す斜視図である。なお、図10において、上記実施形態と同一要素については同一符号を付している。図1の神仏具1bでは、蝶番164の一片が前面部材16の前側の下端に取り付けられ、他片が基台11の上面に取り付けられている。そして、この蝶番164によって、前面部材16は、図10の矢印AR1に示すように、基台11に対して前側に起倒可能になっている。
【0045】
なお、図10では、蝶番164の他片がロウソク立て14の下側に位置するように基台11の上面に取り付けられているが、これに限られず、起立時の前面部材16の前側に位置するように、蝶番164の他片を基台11の上面に取り付けてもよい。また、基台11の上面にスリット状の孔を穿設して、蝶番164のヒンジピン164aを埋め込むようにしてもよい。また、前面本体161の下端に細長の隙間を設けて、蝶番164のヒンジピン164aを埋め込むことによりヒンジピン164aが前面部材16の前側に突出しないようにしてもよい。要は、前面部材16が基台11に対して前側に起倒可能に構成されるように、蝶番164を前面部材16および基台11に取り付ければよい。
【0046】
また、例えば弾性部材を配置せずに、前面部材16および背面部材15を支持台12に直接取り付ける場合にも、図10と同様に、蝶番164の一片を前面部材16の前側の下端に取り付け、他片を支持台12の上面に取り付ければよい。但し、前面部材16および背面部材15を支持台12や基台11に直接取り付けずに、弾性部材13を介して取り付けた方が、以下の理由で好ましい。すなわち、上記したように、支持台12または基台11の上面と前面部材16および背面部材15との気密性を高められるので好ましい。さらに、前面部材16の厚みや蝶番164のヒンジピンの幅分の逃げを弾性部材13によって容易に形成できるため、図1などに示すように、蝶番164の一片を前面部材16の前側でなくて後側の下端に取り付けることができるので、見映えの点で好ましい。
【0047】
また、ロウソク立て14は上記実施形態に示した構成に限られない。例えば2本のロウソクが立てられるように構成してもよい。
【0048】
ところで上記実施形態にかかる神仏具1、1aはいわゆる灯籠であり、ロウソク2のみを使用するためのものであったが、例えば図11に示すように、ロウソク立て14にロウソク用の芯金144のみならず線香保持部4を並設してもよい。この場合、神仏具1cではロウソク2および線香5を同時使用可能となる。
【0049】
図11は本発明にかかる神仏具の他の実施形態を示す斜視図である。同図に示す実施形態では、ロウソク立て14の上面右端部にロウソク用の芯金144が取り付けられるとともに、上面左端部に支持板41が固定されている。また、この支持板41には、2本のコイル状保持部材42が上方に延設されている。各コイル状保持部材42は線香5の直径と同程度の内径を有する中空筒形状となっており、線香5の下端部をコイル状保持部材42の中空筒部に圧入すると、線香5がコイル状保持部材42によりしっかりと保持されて支持される。本実施形態では、支持板41および保持部材42により線香保持部4が形成されており、神仏具1cが転倒したとしても、線香5が保持部材42から抜け出すことなく保持されて神仏具1cから転がり出すのを効果的に防止することができる。なお、保持部材42の形状はコイル形に限定されるものではなく、線香5をしっかりと保持する構造であれば特に限定されるものではない。
【0050】
また、線香5は線香保持部4に保持されているために、転倒直後においても線香5を焚いた状態のままであるが、ロウソク2と同様に燃焼した後のガス成分が火袋空間3(この実施形態では火袋空間3は香炉空間としても機能し、本発明の「内部空間」に相当する)に充満して線香5の火を確実に消すことができる。
【0051】
図13は本発明にかかる神仏具の別の実施形態を示す斜視図である。この実施形態にかかる神仏具1dが図11に示す実施形態と大きく相違する点は、線香保持部4がロウソク立て14と分離して設けられている点である。なお、その他の構成は基本的に同一であるため、同一構成については同一符号を付して説明を省略する。
【0052】
この神仏具1dでは、弾性部材13に左右2つの貫通孔(図示省略)が形成されるとともに各貫通孔に対して円筒状の支持部61、62が取り付けられている。そして、これらの支持部61、62に対してロウソク立て14および線香保持部4が挿脱自在に設けられている。すなわち、ロウソク立て14は、支持部61、62の中空内径よりも細い外径を有する円筒部材145と、支持部61の外径よりも太く円筒部材145の上端部に取り付けられた円環部材146とを有しており、円筒部材145を支持部61、62の中空部に挿入すると、円筒部材145と円環部材146の段差部で支持部61、62に係止されるように構成されている。また、同図への図示は省略されているが、円筒部材145の側面に係合部が設けられるとともに係合部に対応して支持台12に係合バネが設けられており、円筒部材145を支持部61、62の中空部に挿入した際に係合部が係合バネと係合してロウソク立て14が簡単に貫通孔から抜け出すのが防止される。もちろん、係合バネの付勢力よりも強い力でロウソク立て14を貫通孔から引き出すことでロウソク立て14を取り出すことができる。そして、円環部材146の内にはコイル状のロウソク支持部147が設けられており、コイル内にロウソク2の下端部を挿入することでロウソク2を支持可能となっている。なお、同図中の符号148はロウソク立て14のハンドリング性を高めるために円環部材146に取り付けられた取手部である。
【0053】
また、線香保持部4もロウソク立て14と同様に、支持部61、62の中空内径よりも細い外径を有する円筒部材43を有している。そして、支持部61の外径よりも幅広のフランジ部44が円筒部材43の上端部に取り付けられており、円筒部材43を支持部61、62の中空部に挿入すると、フランジ部44の下面が支持部61、62で係止されるように構成されている。なお、円筒部材43の側面に上記係合バネに係合可能な係合部が設けられており、線香保持部4が簡単に貫通孔から抜け出さない点についてはロウソク立て14と同様である。また、フランジ部44の中央部に複数本(図13の実施形態では5本)のコイル状保持部材42がそれぞれ上下方向に延設されており、各保持部材42に対して線香5を圧入することで線香5がコイル状保持部材42によりしっかりと保持されて支持される。
【0054】
このように構成された神仏具1dにおいても、上記実施形態と同様に、神仏具1dが転倒したとしても、ロウソク2および線香5が神仏具1dから転がり出すのを防止することができるとともに、転倒後に燃焼したガス成分が内部空間3に充満することでロウソク2および線香5を確実に消火することができる。
【0055】
なお、図1〜図10に示す実施形態はロウソク2のみを使用するためのものであり、また図11〜図13に示す実施形態はロウソク2および線香5を同時使用可能なものであったが、ロウソク立て14を設けずに線香保持部4のみを設けてもよい。この場合、神仏具は線香立てや香炉として機能しており、線香5が保持部材42によりしっかりと保持されて支持されるため、この神仏具が転倒したとしても、線香5が神仏具から転がり出すのを防止することができる。
【0056】
また、本実施形態では、後側に湾曲した背面部材15と前側に湾曲した前面部材16とで神仏具の香炉空間(本発明の「内部空間」に相当)3を形成し、その香炉空間3の水平面内での断面は、基台11の底面の直径D0と略同一の長軸L1を有する略楕円形状となっており、その短軸L2は基台11の底面の直径D0よりも短くなっている。したがって、神仏具が転倒した際には、前面部材16または背面部材15の湾曲凸面が床面に向くとともに線香保持部4が天井部材17よりも高くなるように前面部材16および背面部材15が傾斜した状態で安定して静止する。このため、本実施形態によれば、神仏具が転倒しても線香が焚かれたままであったとしても、ガス成分の多くは香炉空間3の基台11側に流れて充満していき、やがて線香5の先端周辺空間にまで充満すると、線香5を消火することができる。
【符号の説明】
【0057】
1、1a、1b、1c、1d…神仏具、2…ロウソク、3…火袋空間(内部空間)、4…線香保持部、5…線香、11…基台、12…支持台、13…弾性部材、14…ロウソク立て、15…背面部材、16…前面部材、162…窓部、163…耐熱性透明部材、17、17a…天井部材、18、18a…補助部材、D0…基台の底面の直径、D1…略円盤形状の補助部材の底面の直径、L1…火袋空間の断面の長軸、L2…火袋空間の断面の短軸、L3…略楕円形状の補助部材の短軸、R0…基台の底面の半径
【特許請求の範囲】
【請求項1】
略円盤状または略円錐台状の基台と、
上方からの平面視で前記基台と重なるように前記基台の上面に配置された支持台と、
前記基台の上面略中央部の上方に位置するように前記支持台の上面に配置されてロウソクを支持するロウソク立てと、
前記ロウソク立ての後側で前記支持台に対して上向きに取り付けられた背面部材と、
少なくとも1つ以上の窓部と前記窓部を塞ぐように配置された耐熱性透明部材とを有し、前記支持台に対して前側に起倒可能に取り付けられ、起立時に前記背面部材と前記支持台とで前記ロウソク立てを取り囲んで内部空間を形成する前面部材と、
起立状態の前記前面部材の上端部と前記背面部材の上端部との間に配置自在に設けられて前記内部空間を換気可能に覆う天井部材とを備え、
水平面内において前記背面部材は前記基台の底面の半径よりも大きな第1の曲率半径で後側に湾曲するとともに前記前面部材は前記基台の底面の半径よりも大きな第2の曲率半径で前側に湾曲し、起立状態の前記前面部材と前記背面部材とで形成される前記内部空間の水平面内での断面形状が前記基台の底面の直径と略同一の長軸を有する略楕円形状となることを特徴とする神仏具。
【請求項2】
略円盤状または略円錐台状の基台と、
前記基台の上面略中央部に配置されてロウソクを支持するロウソク立てと、
前記ロウソク立ての後側で前記基台に対して上向きに取り付けられた背面部材と、
少なくとも1つ以上の窓部と前記窓部を塞ぐように配置された耐熱性透明部材とを有し、前記基台に対して前側に起倒可能に取り付けられ、起立時に前記背面部材と前記基台で前記ロウソク立てを取り囲んで内部空間を形成する前面部材と、
起立状態の前記前面部材の上端部と前記背面部材の上端部との間に配置自在に設けられて前記内部空間を換気可能に覆う天井部材とを備え、
水平面内において前記背面部材は前記基台の底面の半径よりも大きな第1の曲率半径で後側に湾曲するとともに前記前面部材は前記基台の底面の半径よりも大きな第2の曲率半径で前側に湾曲し、起立状態の前記前面部材と前記背面部材とで形成される前記内部空間の水平面内での断面形状が前記基台の底面の直径と略同一の長軸を有する略楕円形状となることを特徴とする神仏具。
【請求項3】
前記基台の上面略中央部の上方に位置するように配置されて線香の下端部を保持して支持する線香保持部をさらに備えた請求項1または2に記載の神仏具。
【請求項4】
略円盤状または略円錐台状の基台と、
上方からの平面視で前記基台と重なるように前記基台の上面に配置された支持台と、
前記基台の上面略中央部の上方に位置するように前記支持台の上面に配置されて線香の下端部を保持して支持する線香保持部と、
前記線香保持部の後側で前記支持台に対して上向きに取り付けられた背面部材と、
少なくとも1つ以上の窓部と前記窓部を塞ぐように配置された耐熱性透明部材とを有し、前記支持台に対して前側に起倒可能に取り付けられ、起立時に前記背面部材と前記支持台とで前記線香保持部を取り囲んで内部空間を形成する前面部材とを備え、
水平面内において前記背面部材は前記基台の底面の半径よりも大きな第1の曲率半径で後側に湾曲するとともに前記前面部材は前記基台の底面の半径よりも大きな第2の曲率半径で前側に湾曲し、起立状態の前記前面部材と前記背面部材とで形成される前記内部空間の水平面内での断面形状が前記基台の底面の直径と略同一の長軸を有する略楕円形状となることを特徴とする神仏具。
【請求項5】
略円盤状または略円錐台状の基台と、
前記基台の上面略中央部に配置されてロウソクを支持するロウソク立てと、
前記ロウソク立ての後側で前記基台に対して上向きに取り付けられた背面部材と、
少なくとも1つ以上の窓部と前記窓部を塞ぐように配置された耐熱性透明部材とを有し、前記基台に対して前側に起倒可能に取り付けられ、起立時に前記背面部材と前記基台で前記ロウソク立てを取り囲んで内部空間を形成する前面部材と、
起立状態の前記前面部材の上端部と前記背面部材の上端部との間に配置自在に設けられて前記内部空間を換気可能に覆う天井部材とを備え、
水平面内において前記背面部材は前記基台の底面の半径よりも大きな第1の曲率半径で後側に湾曲するとともに前記前面部材は前記基台の底面の半径よりも大きな第2の曲率半径で前側に湾曲し、起立状態の前記前面部材と前記背面部材とで形成される前記内部空間の水平面内での断面形状が前記基台の底面の直径と略同一の長軸を有する略楕円形状となることを特徴とする神仏具。
【請求項6】
前記背面部材および前記前面部材の直下位置で、起立状態の前記前面部材の下端部と前記背面部材の下端部とで形成される略楕円形状の開口を塞ぐように設けられた弾性部材をさらに備える請求項1ないし5のいずれか一項に記載の神仏具。
【請求項7】
前記基台の底面の直径よりも長い直径を有する略円盤形状または前記基台の底面の直径よりも長い直径を有する円を底面とする略円錐台形状を有し、前記基台に同心となるように前記基台の底面に取り付けられた補助部材をさらに備えた請求項1ないし6のいずれか一項に記載の神仏具。
【請求項8】
前記基台の底面の直径と略同一長さの短軸を有する略楕円盤形状または前記基台の底面の直径と略同一長さの短軸を有する略楕円を底面とする略楕円錐台形状を有し、長軸が前記内部空間の水平断面の長軸とほぼ一致するように前記基台の底面に取り付けられた補助部材をさらに備えた請求項1ないし6のいずれか一項に記載の神仏具。
【請求項1】
略円盤状または略円錐台状の基台と、
上方からの平面視で前記基台と重なるように前記基台の上面に配置された支持台と、
前記基台の上面略中央部の上方に位置するように前記支持台の上面に配置されてロウソクを支持するロウソク立てと、
前記ロウソク立ての後側で前記支持台に対して上向きに取り付けられた背面部材と、
少なくとも1つ以上の窓部と前記窓部を塞ぐように配置された耐熱性透明部材とを有し、前記支持台に対して前側に起倒可能に取り付けられ、起立時に前記背面部材と前記支持台とで前記ロウソク立てを取り囲んで内部空間を形成する前面部材と、
起立状態の前記前面部材の上端部と前記背面部材の上端部との間に配置自在に設けられて前記内部空間を換気可能に覆う天井部材とを備え、
水平面内において前記背面部材は前記基台の底面の半径よりも大きな第1の曲率半径で後側に湾曲するとともに前記前面部材は前記基台の底面の半径よりも大きな第2の曲率半径で前側に湾曲し、起立状態の前記前面部材と前記背面部材とで形成される前記内部空間の水平面内での断面形状が前記基台の底面の直径と略同一の長軸を有する略楕円形状となることを特徴とする神仏具。
【請求項2】
略円盤状または略円錐台状の基台と、
前記基台の上面略中央部に配置されてロウソクを支持するロウソク立てと、
前記ロウソク立ての後側で前記基台に対して上向きに取り付けられた背面部材と、
少なくとも1つ以上の窓部と前記窓部を塞ぐように配置された耐熱性透明部材とを有し、前記基台に対して前側に起倒可能に取り付けられ、起立時に前記背面部材と前記基台で前記ロウソク立てを取り囲んで内部空間を形成する前面部材と、
起立状態の前記前面部材の上端部と前記背面部材の上端部との間に配置自在に設けられて前記内部空間を換気可能に覆う天井部材とを備え、
水平面内において前記背面部材は前記基台の底面の半径よりも大きな第1の曲率半径で後側に湾曲するとともに前記前面部材は前記基台の底面の半径よりも大きな第2の曲率半径で前側に湾曲し、起立状態の前記前面部材と前記背面部材とで形成される前記内部空間の水平面内での断面形状が前記基台の底面の直径と略同一の長軸を有する略楕円形状となることを特徴とする神仏具。
【請求項3】
前記基台の上面略中央部の上方に位置するように配置されて線香の下端部を保持して支持する線香保持部をさらに備えた請求項1または2に記載の神仏具。
【請求項4】
略円盤状または略円錐台状の基台と、
上方からの平面視で前記基台と重なるように前記基台の上面に配置された支持台と、
前記基台の上面略中央部の上方に位置するように前記支持台の上面に配置されて線香の下端部を保持して支持する線香保持部と、
前記線香保持部の後側で前記支持台に対して上向きに取り付けられた背面部材と、
少なくとも1つ以上の窓部と前記窓部を塞ぐように配置された耐熱性透明部材とを有し、前記支持台に対して前側に起倒可能に取り付けられ、起立時に前記背面部材と前記支持台とで前記線香保持部を取り囲んで内部空間を形成する前面部材とを備え、
水平面内において前記背面部材は前記基台の底面の半径よりも大きな第1の曲率半径で後側に湾曲するとともに前記前面部材は前記基台の底面の半径よりも大きな第2の曲率半径で前側に湾曲し、起立状態の前記前面部材と前記背面部材とで形成される前記内部空間の水平面内での断面形状が前記基台の底面の直径と略同一の長軸を有する略楕円形状となることを特徴とする神仏具。
【請求項5】
略円盤状または略円錐台状の基台と、
前記基台の上面略中央部に配置されてロウソクを支持するロウソク立てと、
前記ロウソク立ての後側で前記基台に対して上向きに取り付けられた背面部材と、
少なくとも1つ以上の窓部と前記窓部を塞ぐように配置された耐熱性透明部材とを有し、前記基台に対して前側に起倒可能に取り付けられ、起立時に前記背面部材と前記基台で前記ロウソク立てを取り囲んで内部空間を形成する前面部材と、
起立状態の前記前面部材の上端部と前記背面部材の上端部との間に配置自在に設けられて前記内部空間を換気可能に覆う天井部材とを備え、
水平面内において前記背面部材は前記基台の底面の半径よりも大きな第1の曲率半径で後側に湾曲するとともに前記前面部材は前記基台の底面の半径よりも大きな第2の曲率半径で前側に湾曲し、起立状態の前記前面部材と前記背面部材とで形成される前記内部空間の水平面内での断面形状が前記基台の底面の直径と略同一の長軸を有する略楕円形状となることを特徴とする神仏具。
【請求項6】
前記背面部材および前記前面部材の直下位置で、起立状態の前記前面部材の下端部と前記背面部材の下端部とで形成される略楕円形状の開口を塞ぐように設けられた弾性部材をさらに備える請求項1ないし5のいずれか一項に記載の神仏具。
【請求項7】
前記基台の底面の直径よりも長い直径を有する略円盤形状または前記基台の底面の直径よりも長い直径を有する円を底面とする略円錐台形状を有し、前記基台に同心となるように前記基台の底面に取り付けられた補助部材をさらに備えた請求項1ないし6のいずれか一項に記載の神仏具。
【請求項8】
前記基台の底面の直径と略同一長さの短軸を有する略楕円盤形状または前記基台の底面の直径と略同一長さの短軸を有する略楕円を底面とする略楕円錐台形状を有し、長軸が前記内部空間の水平断面の長軸とほぼ一致するように前記基台の底面に取り付けられた補助部材をさらに備えた請求項1ないし6のいずれか一項に記載の神仏具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−127321(P2011−127321A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−286203(P2009−286203)
【出願日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【出願人】(504260416)精和電機産業株式会社 (5)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【出願人】(504260416)精和電機産業株式会社 (5)
【Fターム(参考)】
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