説明

神経因性疼痛の治療法

本発明は、2−[4−(4−フルオロ−ベンジル)−ピペリジン−1−イル]−2−オキソ−N−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−ベンゾオキサゾール−6−イル)アセトアミドのようなピペリジン誘導体およびその薬剤的に許容される塩を投与することを含んでなる、糖尿病性の神経因性疼痛を治療する方法に関する。ヘルペス後神経痛、慢性腰痛、変形性関節症、および急性炎症性疼痛を治療する方法について記載される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピペリジン誘導体、例えば2−[4−(4−フルオロ−ベンジル)−ピペリジン−1−イル]−2−オキソ−N−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−ベンゾオキサゾール−6−イル)アセトアミドおよびその薬剤的に許容される塩を投与することによる、神経因性疼痛を治療する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
神経因性疼痛は、神経系の損傷に起因する神経性状態の不均一な一群である。神経因性疼痛は、末梢性および/または中枢性感覚経路の傷害または機能障害、および神経系の機能障害に起因する疼痛を指し、この疼痛はしばしば明らかに有害な入力なしに起こるかまたは持続する。これには末梢神経障害、同様に中枢性神経因性疼痛に関する疼痛が含まれる。脳または脊髄への損傷に関与する中枢性神経因性疼痛は、脳卒中、脊髄傷害に続いて、および多発性硬化症の結果として起こり得る。
【0003】
有痛性の神経障害は、糖尿病を有する患者に一般的である。10〜20%の糖尿病患者が、治療を必要とするのに十分重篤である慢性神経因性疼痛を有すると推定されている(Boulton,Clin.Diabetes,23,9−15,2005)。糖尿病性神経障害に付随する疼痛は、しばしば併存症を導く。有痛性の糖尿病性神経障害を有する患者は、生活の質の低下を経験するのみではなく、医療費の増大もまた被る。
【0004】
ヘルペス後神経痛は非常に一般的であり、米国における全人口のおおよそ20%が一生の間に発症する。米国では年間100万ほど、かつ世界的には英語圏、西洋、および裕福なアジア諸国において300万の症例が存在し得る。ヘルペス後神経痛は一般に、発症後少なくとも1か月持続するかまたは再発する、個体の帯状疱疹の治癒に続く疼痛と定義される。この疼痛には、発疹の治癒に続く、発疹治癒後少なくとも3か月持続するいずれの疼痛も含まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
糖尿病性神経因性疼痛およびヘルペス後神経痛は、治療の困難な異なる疾患である。例えば、糖尿病性神経因性疼痛に最も一般的に用いられる医薬は、多くの場合に組み合わせて用いられる抗痙攣薬、抗うつ薬、およびオピオイドである。しかしながらこれらの薬剤は全ての患者に有効ではなく、しばしば症状を部分的に軽減するのみであり、かつ望まれない副作用の原因になり得る。従って、糖尿病性神経因性疼痛およびヘルペス後神経痛のような状態を治療するための、安全であり、さらに許容できる、広範囲の患者(特に利用可能な医薬品に対して耐性のある患者)に有効な新しい医薬品、または既存の薬物の有効性を補う薬物に対する必要が絶えず存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様によれば、本発明は、2−[4−(4−フルオロ−ベンジル)−ピペリジン−1−イル]−2−オキソ−N−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−ベンゾオキサゾール−6−イル)アセトアミドのようなピペリジン誘導体およびその薬剤的に許容される塩を投与することを含んでなる、糖尿病性の神経因性疼痛を治療する方法に関する。別の実施形態によれば、ヘルペス後神経痛、慢性腰痛、脊髄傷害、関節リウマチ、変形性関節症、および急性炎症性疼痛を治療する方法について記載される。
【0007】
一態様によれば、本発明は式(I):
【化1】

式中、VおよびUはそれぞれ独立して
水素、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、ニトロ、アミノ、1以上のハロゲンにより任意に置換されるC−Cアルキルアミノ、1以上のハロゲンにより任意に置換されるアリールアミノ、1以上のハロゲンにより任意に置換されるアラルキルアミノ、1以上のハロゲンにより任意に置換されるC−Cアルキルスルホンアミド、1以上のハロゲンにより任意に置換されるC−Cアルカノイルアミド、アリールスルホンアミド、C−Cアルキルスルホニルオキシ、カルボキシル、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、C−Cアルキル−SO−NH−CH−、NH−(CH1−4−SO−NH−、NH−(CH1−4−(CO)−NH−、スルファモイル[NH−SO−]、ホルミル[−CHO]、アミノメチル[−CH−NH]、ヒドロキシメチル、C−Cアルキル、C−Cアルコキシメチル、ハロゲン化メチル、テトラゾリル、
またはそれぞれがアミノ基により任意に置換される、C−Cアルコキシ、C−Cアルコキシカルボニル、C−Cアルカノイルオキシ、フェニル、もしくはC−Cアルコキシ、または
共に1以上が同一であるかまたは異なる追加のヘテロ原子である隣接するVおよびU基、および/または−CH=、および/または4〜7員の置換ホモ−もしくはヘテロ環(例えばモルホリン、ピロール、ピロリジン、オキソ−ピロリジン、チオキソ−ピロリジン、ピラゾール、ピラゾリジン、イミダゾール、イミダゾリジン、オキソ−イミダゾール、チオキソ−イミダゾール、イミダゾリジン、1,4−オキサジン、オキサゾール、オキサゾリジン、オキソ−オキサゾリジン、チオキソ−オキサゾリジン、または3−オキソ−1,4−オキサジン)を任意に形成する−CH−基であり;
WおよびXが同時にメチレンにはなり得ないという条件下で、WおよびXはそれぞれ独立して−CO−、−CH−、または−CH(C−Cアルキル)−であり;
Yは−O−、C−Cアルキレン、C−Cアルキニレン、シクロアルキレン、アミノカルボニル、−NH−、−N(C−Cアルキル)−、−CHO−、−CH(OH)−、または−OCH−であり;
Zは水素、ハロゲン、ニトロ、アミノ、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、シアノ、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、またはカルボキシであり;
およびRはそれぞれ独立して水素もしくはアルキルであるか、またはRおよびRは共に、任意に置換されるC−C橋を形成し、かつ
nおよびmが同時に0にはなり得ないという条件下で、nおよびmは独立して0〜3である)
で表される化合物;
およびその薬剤的に許容される塩もしくは溶媒和物(例えば水和物)、またはその薬剤的に許容される塩の溶媒和物を;
さらに
Zが水素であるとき、Yは−CH−、mおよびnは2、RおよびRは水素、Wは−CO−、Xは−CH−、かつVは水素であり、次にUは4−ブロモ置換基以外であり、かつ
Zが水素であるとき、Yは−CH−、mおよびnは2、RおよびRは水素、WおよびXは−CO−、かつVは水素であり、次にUは4−カルボキシルまたは4−エトキシカルボニル置換基以外であるという条件下で、治療上有効な量を患者の必要性に応じて投与することを含んでなる、糖尿病性神経因性疼痛を治療するための方法に関する。
【0008】
一実施形態によれば、式(I)で表される化合物は2−[4−(4−フルオロ−ベンジル)−ピペリジン−1−イル]−2−オキソ−N−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−ベンゾオキサゾール−6−イル)アセトアミド(radiprodil)、またはその薬剤的に許容される塩である。radiprodilの合成については、例えば米国特許出願公開第2004/0157886に記載される。
【0009】
典型的な実施形態によれば、本発明は治療上有効な量の2−[4−(4−フルオロ−ベンジル)−ピペリジン−1−イル]−2−オキソ−N−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−ベンゾオキサゾール−6−イル)アセトアミド、またはその薬剤的に許容される塩を患者の必要性に応じて投与することによる、糖尿病性神経因性疼痛を治療するための方法に関する。
【0010】
一実施形態によれば、有効成分の投与により、糖尿病性神経因性疼痛(糖尿病性神経障害)の治療における治療効果が提供される。一実施形態によれば、糖尿病性神経因性疼痛は糖尿病(例えばタイプIまたはタイプII糖尿病)に起因する。さらなる実施形態によれば、有効成分の投与により、糖尿病性末梢神経因性疼痛(DPNP)の治療における治療効果が提供される。別の実施形態によれば、有効成分の投与により、糖尿病性自律神経性神経因性疼痛の治療における治療効果が提供される。別の実施形態によれば、有効成分の投与により、糖尿病性近位神経因性疼痛の治療における治療効果が提供される。別の実施形態によれば、有効成分の投与により、糖尿病性限局性神経因性疼痛の治療における治療効果が提供される。
【0011】
さらなる実施形態によれば、本発明は治療上有効な量の式(I)で表される化合物(例えば2−[4−(4−フルオロ−ベンジル)−ピペリジン−1−イル]−2−オキソ−N−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−ベンゾオキサゾール−6−イル)アセトアミド)を患者の必要性に応じて投与することを含んでなる、神経痛(例えばヘルペス後神経痛)の治療に関する。
【0012】
さらなる実施形態によれば、本発明は治療上有効な量の式(I)で表される化合物(例えば2−[4−(4−フルオロ−ベンジル)−ピペリジン−1−イル]−2−オキソ−N−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−ベンゾオキサゾール−6−イル)アセトアミド)を患者の必要性に応じて投与することを含んでなる、腰痛(例えば慢性腰痛)の治療に関する。
【0013】
さらなる実施形態によれば、本発明は治療上有効な量の式(I)で表される化合物(例えば2−[4−(4−フルオロ−ベンジル)−ピペリジン−1−イル]−2−オキソ−N−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−ベンゾオキサゾール−6−イル)アセトアミド)を患者の必要性に応じて投与することを含んでなる、脊髄傷害の治療に関する。
【0014】
別の実施形態によれば、本発明は治療上有効な量の式(I)で表される化合物(例えば2−[4−(4−フルオロ−ベンジル)−ピペリジン−1−イル]−2−オキソ−N−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−ベンゾオキサゾール−6−イル)アセトアミド)を患者の必要性に応じて投与することを含んでなる、関節リウマチ、変形性関節症、または急性炎症性疼痛の治療に関する。
【0015】
特定の実施形態によれば、式(I)で表される化合物(例えば2−[4−(4−フルオロ−ベンジル)−ピペリジン−1−イル]−2−オキソ−N−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−ベンゾオキサゾール−6−イル)アセトアミド)は、約0.01mgないし約150mg、例えば約10mgないし約150mgのような、約5mgないし約150mgの量で投与される。
【0016】
さらなる実施形態によれば、式(I)で表される化合物(例えば2−[4−(4−フルオロ−ベンジル)−ピペリジン−1−イル]−2−オキソ−N−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−ベンゾオキサゾール−6−イル)アセトアミド)は、約1mg、約2mg、約3mg、約4mg、約5mg、約6mg、約7mg、約8mg、約9mg、約10mg、約12mg、約15mg、約18mg、約20mg、約21mg、約24mg、約25mg、約27mg、約30mg、約35mg、約36mg、約40mg、約45mg、約50mg、約54mg、約63mg、約72mg、約75mg、約90mg、約100mg、約108mg、約125mg、約135mg、または約150mgの量で投与される。
【0017】
例えば、式(I)で表される化合物(例えば2−[4−(4−フルオロ−ベンジル)−ピペリジン−1−イル]−2−オキソ−N−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−ベンゾオキサゾール−6−イル)アセトアミド)は、約18mg、約27mg、約36mg、約45mg、約54mg、約63mg、約72mg、約90mg、約108mg、または約135mgの量で投与されてよい。
【0018】
別の実施形態によれば、本発明は治療上有効な量のradiprodilまたはその薬剤的に許容される塩を、約10mgないし約150mgの投薬量で患者の必要性に応じて投与することを含んでなる、糖尿病性神経因性疼痛を治療するための方法に関する。
【0019】
さらに別の実施形態によれば、本発明は治療上有効な量のradiprodilまたはその薬剤的に許容される塩を、約18mg、約27mg、約30mg、約36mg、約40mg、約45mg、約50mg、約54mg、約60mg、約63mg、約72mg、約75mg、約80mg、約85mg、約90mg、約95mg、約100mg、約105mg、約108mg、約115mg、約120mg、約125mg、約130mg、約135mg、約140mg、約145mg、または約150mgの投薬量で患者の必要性に応じて投与することを含んでなる、糖尿病性神経因性疼痛を治療するための方法に関する。
【0020】
別の実施形態によれば、本発明は治療上有効な量のradiprodilまたはその薬剤的に許容される塩を、約10mgないし約150mgの投薬量で患者の必要性に応じて投与することを含んでなる、神経痛を治療するための方法に関する。
【0021】
さらに別の実施形態によれば、本発明は治療上有効な量のradiprodilまたはその薬剤的に許容される塩を、約18mg、約27mg、約30mg、約36mg、約40mg、約45mg、約50mg、約54mg、約60mg、約63mg、約72mg、約75mg、約80mg、約85mg、約90mg、約95mg、約100mg、約105mg、約108mg、約115mg、約120mg、約125mg、約130mg、約135mg、約140mg、約145mg、または約150mgの投薬量で患者の必要性に応じて投与することを含んでなる、神経痛を治療するための方法に関する。
【0022】
別の実施形態によれば、本発明は治療上有効な量のradiprodilまたはその薬剤的に許容される塩を、約10mgないし約150mgの投薬量で患者の必要性に応じて投与することを含んでなる、腰痛(例えば慢性腰痛)を治療するための方法に関する。
【0023】
さらに別の実施形態によれば、本発明は治療上有効な量のradiprodilまたはその薬剤的に許容される塩を、約18mg、約27mg、約30mg、約36mg、約40mg、約45mg、約50mg、約54mg、約60mg、約63mg、約72mg、約75mg、約80mg、約85mg、約90mg、約95mg、約100mg、約105mg、約108mg、約115mg、約120mg、約125mg、約130mg、約135mg、約140mg、約145mg、または約150mgの投薬量で患者の必要性に応じて投与することを含んでなる、腰痛(例えば慢性腰痛)を治療するための方法に関する。
【0024】
別の実施形態によれば、本発明は治療上有効な量のradiprodilまたはその薬剤的に許容される塩を、約10mgないし約150mgの投薬量で患者の必要性に応じて投与することを含んでなる、脊髄傷害を治療するための方法に関する。
【0025】
さらに別の実施形態によれば、本発明は治療上有効な量のradiprodilまたはその薬剤的に許容される塩を、約18mg、約27mg、約30mg、約36mg、約40mg、約45mg、約50mg、約54mg、約60mg、約63mg、約72mg、約75mg、約80mg、約85mg、約90mg、約95mg、約100mg、約105mg、約108mg、約115mg、約120mg、約125mg、約130mg、約135mg、約140mg、約145mg、または約150mgの投薬量で患者の必要性に応じて投与することを含んでなる、脊髄傷害を治療するための方法に関する。
【0026】
別の実施形態によれば、本発明は治療上有効な量のradiprodilまたはその薬剤的に許容される塩を、約10mgないし約150mgの投薬量で患者の必要性に応じて投与することを含んでなる、関節リウマチ、変形性関節症、または急性炎症性疼痛の治療のための方法に関する。
【0027】
さらに別の実施形態によれば、本発明は治療上有効な量のradiprodilまたはその薬剤的に許容される塩を、約18mg、約27mg、約30mg、約36mg、約40mg、約45mg、約50mg、約54mg、約60mg、約63mg、約72mg、約75mg、約80mg、約85mg、約90mg、約95mg、約100mg、約105mg、約108mg、約115mg、約120mg、約125mg、約130mg、約135mg、約140mg、約145mg、または約150mgの投薬量で患者の必要性に応じて投与することを含んでなる、関節リウマチ、変形性関節症、または急性炎症性疼痛の治療のための方法に関する。
【0028】
望ましい用量は、一日あたり1以上の副用量(sub dose)として、一日を通して適切な時間間隔で投与されてよいか、または単一用量、例えば朝もしくは夕方に投与されてよい。例えば一日あたりの投薬量は、1、2、3、または4に分割された一日用量であってよい。特定の実施形態によれば、有効成分は1、2、または3(例えば3)に分割された一日用量で投与される。
【0029】
典型的な実施形態によれば、式(I)で表される化合物(例えば2−[4−(4−フルオロ−ベンジル)−ピペリジン−1−イル]−2−オキソ−N−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−ベンゾオキサゾール−6−イル)アセトアミド)は、約6mgTID(約18mg/日)、約9mgTID(約27mg/日)、約12mgTID(約36mg/日)、約15mgTID(約45mg/日)、約18mgTID(約54mg/日)、約21mgTID(約63mg/日)、約24mgTID(約72mg/日)、約30mgTID(約90mg/日)、約36mgTID(約108mg/日)、または約45mgTID(約135mg/日)の量で投与されてよい。
【0030】
治療期間は利点が持続する限り、数十年、数年、数か月、数週間、または数日であってよい。
【0031】
薬剤的に許容される塩は、塩を形成するために塩基として無機または有機酸と作用する主要化合物を反応させることによって得られるもの、例えば塩酸、硫酸、リン酸、メタンスルホン酸、カンファースルホン酸、シュウ酸、、マレイン酸、コハク酸、クエン酸、ギ酸、臭化水素酸、安息香酸、酒石酸、フマル酸、サリチル酸、マンデル酸、および炭酸の塩を含む。薬剤的に許容される塩はまた、主要化合物が酸として作用し、例えばナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、およびコリン塩を形成するために適切な塩基と反応するものも含む。当業者は、特許請求される化合物の酸付加塩が、幾つかの公知の方法を通した化合物と適切な無機または有機酸との反応によって調製され得ることをさらに認識するであろう。あるいはアルカリおよびアルカリ土類金属塩は、本発明の化合物を適切な塩基と様々な公知の方法を通して反応させることにより調製され得る。
【0032】
以下は、無機または有機酸との反応によって得ることのできる酸性塩のさらなる例である:酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、クエン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、樟脳酸塩、ジグルコン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、フマル酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシ−エタンスルホン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、シュウ酸塩、パルモエート(palmoate)、ペクチネート(pectinate)、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トシレート、メシラート、およびウンデカン酸塩。
【0033】
一実施形態によれば、薬剤的に許容される塩は塩酸塩である。
【0034】
本発明において有用な化合物の幾つかは、異なる多形型で存在し得る。当該技術分野において公知であるように、多型は1を超える異なった結晶性の、または「多形性の」種として結晶化する化合物の能力である。多形は、固体の段階において化合物分子の少なくとも2の異なる配置または多形型を有する、化合物の固体の結晶性段階である。いずれの所定の化合物の多形型も同じ化学式または組成物により定義され、2つの異なる化学化合物の結晶性構造として化学構造において異なっている。このような多形の使用は本発明の範囲内である。
【0035】
本発明において有用な化合物の幾つかは、異なる溶媒和物型で存在し得る。本発明の化合物の溶媒和物は、結晶化過程の間に溶媒分子が化合物分子の結晶性格子構造内に取り込まれる際にもまた形成され得る。例えば、適切な溶媒和物は水和物、例えば一水和物、二水和物、セスキ水和物、および半水和物を含む。このような溶媒和物の使用は本発明の範囲内である。
【0036】
式(I)で表される化合物は、有効成分として単独で、または薬剤的に許容される組成物の追加成分として投与され得る。
【0037】
本発明による化合物の投与に適した様々な製剤の調製手順について記載される、多数の標準的な参考文献が入手可能である。可能性のある製剤および調製については、例えばHandbook of Pharmaceutical Excipients,American Pharmaceutical Association(現行の版);Marcel Dekker,Inc.により発行されるPharmaceutical Dosage Forms:Tablets(編者、Lieberman、Lachman、およびSchwartz)の現行の版、同様にRemington’s Pharmaceutical Sciences(編者、Arthur Osol)、1553−1593(現行の版)に記載される。
【0038】
投与の様式と剤形は、所定の治療応用に対して望ましくかつ効果的な、化合物または組成物の治療用の量と密接に関連する。
【0039】
適切な剤形は、経口、経直腸、舌下、粘膜内、経鼻、眼内、皮下、筋肉内、静脈内、経皮、脊髄内、髄腔内、関節内、動脈内、くも膜下、気管支内、リンパ管内、および子宮内投与、ならびに有効成分の全身性送達のためのその他の剤形を含むが、これらに限定されない。経口投与に適した製剤が好ましい。
【0040】
錠剤、ゲルカプセル、カプセル、カプレット、顆粒、舐剤、および原薬粉末としてのこのような固体形を含む様々な固形経口剤形が、有効成分を投与するために用いられてよい。このような固形剤形では、有効成分は、クエン酸ナトリウムまたは第二リン酸カルシウムのような少なくとも1の不活性の薬剤的に許容される担体、および/またはa)デンプン、乳糖、ショ糖、グルコース、マンニトール、およびケイ酸のような注入剤または増量剤、b)例えばカルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリジノン、ショ糖、およびアカシアのような結合剤、c)グリセロールのような保湿剤、d)寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモまたはタピオカデンプン、アルギン酸、特定のケイ酸塩、および炭酸ナトリウムのような崩壊剤、e)パラフィンのような溶解遅延剤(solution retarding agent)f)第四アンモニウム塩のような吸収促進剤、g)例えばセチルアルコールおよびモノステアリン酸グリセロールのような湿潤剤、h)カオリンおよびベントナイトクレイのような吸収剤、およびi)タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウムのような潤滑剤、ならびにそれらの混合物と共に混合される。カプセル、錠剤、および丸剤の場合、剤形は緩衝剤もまた含んでよい。
【0041】
頬または舌下投与に適した組成物は、有効成分が糖およびアカシア、トラガカント、またはゼラチンおよびグリセリンのような担体と共に処方される、錠剤、舐剤、およびトローチを含む。
【0042】
錠剤、カプセル、丸剤、および顆粒の固形剤形は、腸溶コーティングおよび医薬品処方分野において公知のその他のコーティングのような、コーティングおよびシェルを用いて調製できる。これらは任意に乳白剤を含んでよく、かつ本発明の結晶性化合物を放出する組成物にもなり得る。本発明の別の実施形態によれば、radiprodilは、本発明の結晶性化合物の標的放出においてもまた有利である、徐放カプセル、錠剤、およびゲルに処方することができる。
【0043】
水性および非水性溶液、乳濁液、懸濁液、シロップ、およびエリキシル剤を含む様々な液体経口剤形もまた、有効成分を投与するために使用できる。有効成分に加え、液体剤形は、例えば水またはその他の溶媒、例えばエチルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、プロピレングリコール、油、脂肪酸エステルのような可溶化剤および乳化剤、ならびにそれらの混合物のような、当該技術分野において一般に使用される不活性の希釈剤を含んでよい。不活性の希釈剤に加え、経口組成物は、湿潤剤、乳化剤および懸濁剤、甘味料、香味料および香料のような補助剤もまた含んでよい。エアロゾル製剤は、生理的に許容される水性または非水性溶媒中で、本発明の結晶性化合物の溶液または微細な懸濁液を典型的に含んでなり、通常密封された容器内の無菌の形で、単一または複数用量の量において供給される。
【0044】
本発明の注射可能な調製品、例えば無菌の注射可能な水性または油性の懸濁液は、適切な分散剤または湿潤剤、および懸濁剤を用いる公知の技術に従って処方されてよい。
【0045】
有効成分の直腸投与のための坐薬は、化合物を適切な賦形剤、例えばココアバター、サリチル酸塩、およびポリエチレングリコールと混合することにより調製できる。膣内投与のための製剤は、ペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、パストフォーム(past foam)、またはスプレー処方の形であってよく、これらは有効成分に加え、当該技術分野において公知であるような適切な担体を含む。
【0046】
局所投与のために、医薬組成物は、皮膚、眼、耳、または鼻への投与に適した、クリーム、軟膏、塗布薬、ローション、乳濁液、懸濁液、ゲル、溶液、ペースト、散剤、スプレー、および液滴の形であってよい。局所投与は、経皮パッチのような手段を通した経皮投与もまた含んでよい。
【0047】
吸入を通した投与に適するエアロゾル製剤もまた製造されてよい。例えば気道疾患の治療のために、有効成分は散剤(例えば微粒子化された)の形、または霧状の溶液もしくは懸濁液の形での吸入によって投与できる。エアロゾル製剤は、加圧が許容される噴霧剤内に含ませてよい。
【0048】
本発明はまた、糖尿病性神経因性疼痛、ヘルペス後神経痛、慢性腰痛、変形性関節症、および急性炎症性疼痛のような状態を治療するための薬剤の製造における、式(I)で表される化合物の使用も提供する。
【0049】
一実施形態によれば、本発明の組成物はradiprodilを、薬剤的に許容される組成物の重量の約0.01%ないし約25%、約0.05%ないし約25%、約0.1%ないし約25%、約0.25%ないし約25%、約0.5%ないし約25%、約1%ないし約25%、約2%ないし約20%、約4%ないし約18%、約6%ないし約16%、約8%ないし約14%、約10%ないし約12%含む。
【0050】
このような医薬品剤形を調製するため、有効成分は、従来の医薬品配合技術によって医薬品担体と典型的に混合される。担体は、投与に望まれる調製品の形に依存した広範な種類の形をとってよい。
【0051】
経口剤形の形における組成物の調製のため、通常の医薬溶媒のいずれも用いられてよい。従って、例えば懸濁液、エリキシル剤、および溶液のような液体経口調製品のために適した担体ならびに添加物は、水、グリコール、油、アルコール、香味料、保存料、着色料などを含む。例えば散剤、カプセル、および錠剤のような固体調製品のために適した担体ならびに添加物は、デンプン、糖、希釈剤、造粒剤、潤滑剤、結合剤、崩壊剤などを含む。錠剤およびカプセルは、それらの投与における容易さから、最も有利な投薬量単位の形を代表する。所望により、錠剤は標準的な技術による糖衣錠または腸溶コーティング錠であってよい。
【0052】
非経口製剤に対しては、担体は通常滅菌水を含んでなり得るが、その他の成分、例えば溶解度の補助または保存のための成分が含まれてよい。注射可能な溶液もまた、適切な安定剤が用いられ得る場合に調製されてよい。
【0053】
幾つかの応用では、リポソームまたはその他の被包媒体内の有効薬剤の被包によるか、またはタンパク質、リポタンパク質、糖タンパク質、多糖から選択されるような適切な生体分子上への、例えば共有結合、キレート化、または配位結合(associative coordination)による有効薬剤の固定によるような、「ベクター化」された形の有効薬剤の利用が有利であろう。
【0054】
経口投与に適した製剤を用いる本発明の治療法は、それぞれが規定の量の有効成分を、例えば散剤もしくは顆粒として含む、カプセル、カシェ剤、錠剤、または舐剤のような別々の単位として提供されてよい。任意に、シロップ、エリキシル剤、乳濁液、または水薬のような、水性濃縮液もしくは非水性の液体中の懸濁液が用いられてよい。
【0055】
錠剤は、任意に1以上の補助成分と共に、圧縮もしくは成形、または湿式造粒法により製造されてよい。圧縮錠は、例えば結合剤、崩壊剤、潤滑剤、不活性の希釈剤、表面活性剤、または放出剤(discharging agent)と任意に混合された、粉末または顆粒のような流動体の有効化合物を適切な装置内で圧縮することにより調製されてよい。粉末の有効化合物と適切な担体の混合物から構成される成形錠剤は、適切な装置内で成形することにより製造されてよい。
【0056】
シロップは、濃縮された糖、例えばショ糖の水溶液中に有効化合物を添加することにより製造されてよく、そこへはいずれの補助成分もまた添加され得る。このような補助成分は、香味料、適切な保存料、糖の結晶化を遅延させる薬剤、およびポリヒドロキシアルコール、例えばグリセロールまたはソルビトールのような、その他のいずれの成分の溶解度を増大させる薬剤を含んでよい。
【0057】
非経口投与に適した製剤は、通常、好ましくはレシピエントの血液に等張(例えば生理食塩水)な有効化合物の無菌水性調製品を含んでなる。このような製剤は、懸濁剤および増粘剤、ならびに化合物を血液成分または1以上の臓器に標的化するために設計された、リポソームまたはその他の微粒子系を含んでよい。製剤は単位用量または複数用量の形で提供されてよい。
【0058】
非経口投与は、全身性送達のいずれの適切な形を含んでなってよい。投与は例えば静脈内、動脈内、髄腔内、筋肉内、皮下、筋肉内、腹内(例えば腹腔内)などであってよく、点滴ポンプ(外部型または埋め込み型)または望ましい投与様式に適した適切なその他のいずれの手段によって効果を及ぼしてよい。
【0059】
経鼻およびその他の粘膜スプレー製剤(例えば吸入可能な形)は、有効化合物の精製された水溶液を、保存料および等張液と共に含んでよい。このような製剤は、鼻またはその他の粘膜に適合するpHおよび等張状態へ好ましく調節される。あるいは、これらはガス担体に懸濁された、微粉化された固体粉末の形であってよい。このような製剤は、いずれの適切な手段または方法、例えばネブライザー、アトマイザー、定量吸入器などにより送達されてよい。
【0060】
直腸投与のための製剤は、坐薬として、ココアバター、硬化脂肪、または硬化脂肪カルボン酸のような適切な担体と共に提供されてよい。
【0061】
経皮製剤は、セルロース媒体、例えばメチルセルロースまたはヒドロキシエチルセルロースのような揺変性またはゼラチン状の担体内に有効薬剤を取り込むことによって調製されてよく、得られた製剤は、次に着用者の皮膚に接触して固定するように適応された経皮装置内に詰められる。
【0062】
前述の成分に加え、本発明の製剤は、希釈剤、緩衝剤、香味料、結合剤、崩壊剤、表面活性剤、増粘剤、潤滑剤、保存料(抗酸化剤を含む)などから選択される1以上の補助成分をさらに含んでよい。
【0063】
本発明の製剤は、即時放出、持続放出、遅延放出、または当業者に公知のその他のいずれの放出特性を有してよい。
【0064】
式(I)で表される化合物は、疼痛(例えば糖尿病性神経因性疼痛、ヘルペス後神経痛のような神経因性疼痛)の治療に有用なさらなる有効薬剤との組み合わせにより付属的に投与されてよい。例えば式(I)で表される化合物は、抗うつ薬、鎮痛剤、筋弛緩剤、食欲低下薬、刺激薬、抗てんかん薬、鎮静剤/催眠剤、およびそれらの組み合わせの1以上と組み合わせて投与されてよい。式(I)で表される化合物と共に投与されてよい化合物の特定の例は、ミルナシプラン、ガバペンチン、プレガバリン、プラミペキソール、1−DOPA、アンフェタミン、チザニジン、クロニジン、トラマドール、モルヒネ、三環系抗うつ薬、コデイン、カルバマゼピン、シブトラミン、アンフェタミン、バリウム、トラゾドン、およびそれらの組み合わせ(それらの塩および/または溶媒和物を含む)を含むが、限定されるものではない。
【0065】
付属的な投与とは、同一の剤形における化合物の同時投与、別々の剤形における化合物の同時投与、および化合物の別々の投与を意味する。
【0066】
典型的な実施形態によれば、式(I)で表される化合物(例えば、2−[4−(4−フルオロ−ベンジル)−ピペリジン−1−イル]−2−オキソ−N−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−ベンゾオキサゾール−6−イル)アセトアミド)またはその薬剤的に許容される塩は、ミルナシプランまたはその薬剤的に許容される塩(例えばミルナシプラン塩酸塩)と組み合わせて投与される。
【発明を実施するための形態】
【0067】
定義
「薬剤的に許容される」との語は、動物またはヒトにおけるin vivo使用に対して生物学的もしくは薬理学的に適合性であることを意味し、かつ好ましくは、動物、さらに詳細にはヒトにおける使用に対して、連邦または州政府の監督官庁により承認されているか、または米国薬局方もしくはその他の一般に認められている薬局方に収載されていることを意味する。
【0068】
「治療する(treat)」、「治療(treatment)」、および「治療している(treating)」との語は、以下の1以上を意味する:
(a)例えば糖尿病性神経因性疼痛、ヘルペス後神経痛を含む、被験体の疾患の少なくとも1の症状を軽減または緩和すること;
(b)限定はされないが、所定の刺激(例えば圧力、組織傷害、低温など)へ反応するものを含む、被験体によって経験される疾患の徴候の強度および/または持続を軽減または緩和すること;
(c)発症(すなわち疾患の臨床症状に先立つ期間)を抑止、遅延させることおよび/または疾患が進展または悪化する危険性を減少させること。
【0069】
「有効量」は、疾病を治療するために患者(例えば哺乳類)に投与した際、疾病に対するこのような治療が効果を及ぼすために十分な有効成分の量、または本発明の目的を達成するための、NMDA受容体(例えばNR2B受容体)の調節に十分な量を意味する。「有効量」は、化合物、疾病およびその重症度、ならびに治療される患者の年齢、体重、反応性などに依存して変動し得る。
【0070】
治療用化合物の投与が、疾病または疾患に対する有効な最適投薬方式である被験体または患者は、好ましくはヒトであるが、治験またはスクリーニングもしくは活性実験に関連する実験動物を含むいずれの動物であってもよい。従って、当業者によって容易に認識されるように、本発明の方法、化合物および組成物はいずれの動物、特に哺乳類への投与に適しており、限定しようとするものではないが、すなわち獣医学における使用のための、ヒト、ネコまたはイヌの被験体のような家畜、限定はされないがウシ、ウマ、ヤギ、ヒツジ、およびブタの被験体のような農場動物、野生動物(野生であるか動物園にいるかに関わらず)、マウス、ラット、ウサギ、ヤギ、ヒツジ、ブタ、イヌ、ネコなどのような実験動物、ニワトリ、シチメンチョウ、鳴禽などのような鳥類が含まれる。
【0071】
「約」または「おおよそ」との語は、当業者によって決定された特定の値に対する許容可能な誤差範囲内を意味し、これは値がどのように測定または決定されたか、すなわち測定系の限界に部分的に依存し得る。例えば「約」は、当該技術分野における1実行あたりの、1以内、または1を超える標準偏差を意味し得る。あるいは組成物に関して「約」は、20%まで、好ましくは10%まで、さらに好ましくは5%までのプラスまたはマイナスの範囲を意味し得る。
【実施例】
【0072】
本開示を読むことにより本発明に包含される多くの変更および均等物が当業者に明らかとなり得るように、以下の実施例は本発明の単なる実例であり、本発明の範囲を限定するものとしてどのようにも解釈されてはならない。
【実施例1】
【0073】
この臨床研究は、患者における、無作為抽出の、二重盲検の、プラセボにより制御される研究として実行され得る。1年を超える糖尿病の病歴があり、タイプIまたはタイプII糖尿病による有痛性の神経障害(スクリーニング前、3か月)であると臨床的に診断された患者を含む基準を用いて選択された、総数72名までの患者について研究され得る。
【0074】
6までのコホートで、2−[4−(4−フルオロ−ベンジル)−ピペリジン−1−イル]−2−オキソ−N−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−ベンゾオキサゾール−6−イル)アセトアミド(radiprodil)またはプラセボを3:1の比で無作為に割り当てられたそれぞれ12名の患者について連続的に実行され得る。スクリーニングにおいて全ての参加基準を満たした患者は、なお適格であることを確認するため、最初の用量の日よりも1日前に研究の場へ入院し得る。救済の鎮痛剤療法として、研究の間を通してアセトアミノフェンまたは非ステロイド性の抗炎症剤が使用され得る。スクリーニングおよびベースライン(1日目)における全ての参加要件を満たした患者は、radiprodilまたはプラセボ(両方共、1日3回投与される(TID))の二重盲検漸増用量試験へと無作為抽出され得る。二重盲検処置相の期間は各コホートに対する投薬計画に基づいて変動し得るが、38日よりも長くは続かず、かつ2日間の非処置PKサンプリング相がそれに続き得る。
【0075】
コホート1および2
コホート1の目的は最大許容用量(MTD)を同定することであり、コホート2の目的はMTDを確認または拡大することである。以下に示される固定された投薬計画に従い、コホート1における最初の投薬量は6mgTID(18mg/日)であってよく、3日間隔で45mgTID(135mg/日)またはMTDへ漸増する。コホート1に無作為抽出された患者は、以下の投薬量を投与される:
1〜3日目 6mg radiprodil TID(18mg/日)またはプラセボ
4〜6日目 9mg radiprodil TID(27mg/日)またはプラセボ
7〜9日目 12mg radiprodil TID(36mg/日)またはプラセボ
10〜12日目 15mg radiprodil TID(45mg/日)またはプラセボ
13〜15日目 18mg radiprodil TID(54mg/日)またはプラセボ
16〜18日目 21mg radiprodil TID(63mg/日)またはプラセボ
19〜21日目 24mg radiprodil TID(72mg/日)またはプラセボ
22〜24日目 30mg radiprodil TID(90mg/日)またはプラセボ
25〜27日目 36mg radiprodil TID(108mg/日)またはプラセボ
28〜30日目 45mg radiprodil TID(135mg/日)またはプラセボ
31日目 45mg radiprodilを朝のみ(45mg/日)またはプラセボ
【0076】
次のコホートの投薬計画は、コホート1で用いた投薬量の安全性および耐容性を再検討した後に決定され得る。コホート2が実施される場合、コホート1の用量設定による投与計画が繰り返され得る。耐容性を増大させるため、いずれの投薬量において費やされた時間も増大され得る。コホート1においてMTDが決定されなかった場合、コホート3における投薬が開始され得る。
【0077】
コホート3〜5
コホート1および2(該当する場合)に見られた安全性および耐容性に基づき、続くコホート3〜5は、45mgTIDのMTDまでのその他の用量設定による投与計画の使用を通して耐容性が増大され得るか否かを探索するために用いられ得る。用量の漸増は3mgないし15mgTIDの範囲となり得り(頻度は2日おきを超えない)、MTDまたは45mgTIDを超過し得ない。二重盲検処置相は38日よりも長くは続かず、かつ2日間の非処置PKサンプリング相がそれに続き得る。
【0078】
コホート6
最後のコホートは、最も短い期間でMTDまたは45mgTIDに達する投薬計画を反復し得り、かつMTDまたは45mgTIDにおける用量を維持し得る。用量の漸増は3mgないし15mgTIDの範囲となり得り(2日おきよりも頻繁ではない)、MTDまたは45mgTIDを超過し得ない。二重盲検処置相は38日よりも長くは続かず(MTDまたは45mgTIDにおける最大14日の維持を含む)、かつ2日間の非処置PKサンプリング相がそれに続き得る。
【0079】
上記の治療計画の結果は、radiprodilが糖尿病に付随する神経因性疼痛を安全かつ有効に治療するために使用できることを驚くほどに示すであろう。
【実施例2】
【0080】
有痛性糖尿病性神経障害を有する患者(すなわちミシガン神経障害診断基準(Michigan Neuropathic Screening Instrument)によるスコアが少なくとも3である患者)の、多施設の、無作為抽出の、二重盲検の、プラセボにより制御される研究としての臨床研究が実行され得る。この研究は最大5週間のスクリーニング/休薬期間(治療における1週間の単純盲検主導を含む)と、それに続く17週間の二重盲検処置相(5週間の用量設定期間および12週間の安定した投薬からなる)からなり得る。4週間の退薬相がこれに続く。
【0081】
患者は5の二重盲検処置群(低用量radiprodil、中程度用量radiprodil、高用量radiprodil、比較薬物、プラセボ)のうちの1つに無作為抽出(1:1:1:1:1)され得る。
【0082】
上記の治療計画の結果は、radiprodilが有痛性糖尿病性神経障害を安全かつ有効に治療するために使用できることを驚くほどに示すであろう。
【実施例3】
【0083】
ヘルペス後神経痛を有する患者は医師の研究室または外来に来院している。患者の症状を改善するため、1日あたり約1ないし約150mgのradiprodilが患者に投与される。患者のバイタルサインおよびECGを記録する。有害事象もまた記録される。健康診断が行われ、血液および尿サンプルが回収される。医師の判断により、radiprodilの投薬量は必要に応じて減少または増大できる。上記の治療計画の結果は、radiprodilがヘルペス後神経痛を安全かつ有効に治療するために使用できることを驚くほどに示すであろう。
【実施例4】
【0084】
慢性腰痛を有する患者は医師の研究室または外来に来院している。患者の症状を改善するため、1日あたり約1ないし約150mgのradiprodilが患者に投与される。患者のバイタルサインおよびECGを記録する。有害事象もまた記録される。健康診断が行われ、血液および尿サンプルが回収される。医師の判断により、radiprodilの投薬量は必要に応じて減少または増大できる。上記の治療計画の結果は、radiprodilが慢性腰痛を安全かつ有効に治療するために使用できることを驚くほどに示すであろう。
【実施例5】
【0085】
この臨床研究は、脊髄傷害による神経因性疼痛を有した患者における、無作為抽出の、二重盲検の、プラセボにより制御される研究として実行され得る。
【0086】
1週間の非処置による慣らし期間の後、4週間のradiprodilまたはプラセボの経口投与、続く1週間の休薬期間、それに続く2回目のradiprodilまたはプラセボによる4週間の処置という連続した処置に無作為抽出される。radiprodilによる処置期間における患者は、17日間にわたり、6mgTIDの開始投薬量から15mgTIDの投薬量まで用量設定され得る。
【0087】
上記の治療計画の結果は、radiprodilが脊髄傷害による神経因性疼痛を治療するために安全かつ有効に使用できることを驚くほどに示すであろう。
【実施例6】
【0088】
変形性関節症を有する患者は医師の研究室または外来に来院している。患者の症状を改善するため、1日あたり約1ないし約150mgのradiprodilが患者に投与される。患者のバイタルサインおよびECGを記録する。有害事象もまた記録される。健康診断が行われ、血液および尿サンプルが回収される。医師の判断により、radiprodilの投薬量は必要に応じて減少または増大できる。上記の治療計画の結果は、radiprodilが変形性関節症を安全かつ有効に治療するために使用できることを驚くほどに示すであろう。
【実施例7】
【0089】
急性炎症性疼痛を有する患者は医師の研究室または外来に来院している。患者の症状を改善するため、1日あたり約1ないし約150mgのradiprodilが患者に投与される。患者のバイタルサインおよびECGを記録する。有害事象もまた記録される。健康診断が行われ、血液および尿サンプルが回収される。医師の判断により、radiprodilの投薬量は必要に応じて減少または増大できる。上記の治療計画の結果は、radiprodilが急性炎症性疼痛を安全かつ有効に治療するために使用できることを驚くほどに示すであろう。
【実施例8】
【0090】
有痛性糖尿病性神経障害を有する患者(すなわちミシガン神経障害診断基準(Michigan Neuropathic Screening Instrument)によるスコアが少なくとも3である患者)の、多施設の、無作為抽出の、二重盲検の、プラセボにより制御される研究としての臨床研究が実行され得る。この研究は最大5週間のスクリーニング/休薬期間(治療における1週間の単純盲検主導を含む)と、それに続く17週間の二重盲検処置相(5週間の用量設定期間および12週間の安定した投薬からなる)からなり得る。4週間の退薬相がこれに続く。
【0091】
患者は4の二重盲検処置群(プラセボ、radiprodil、ミルナシプラン塩酸塩、radiprodilおよびミルナシプラン塩酸塩の組み合わせ)のうちの1つに無作為抽出(1:1:1:1)され得る。
【0092】
上記の治療計画の結果は、radiprodilおよびミルナシプラン塩酸塩の組み合わせが有痛性糖尿病性神経障害を安全かつ有効に治療するために使用できることを驚くほどに示すであろう。radiprodilおよびミルナシプラン塩酸塩の組み合わせは、radiprodilまたはミルナシプラン塩酸塩単独で処置された患者に比較して、相乗的な結果を提供し得る。
【0093】
本発明は、本明細書に記載される特定の実施形態による範囲に限定されるものではない。実際に本明細書に記載されるものに加えて、本発明の様々な改変が、前述の説明および添付される図から当業者に明らかとなるであろう。このような改変は、付属の請求項の範囲内であることが意図される。さらに、全ての値はおおよそのものであり、説明のために提供されることが理解されなければならない。
【0094】
上記または下記に引用される全ての出願、特許、および出版物全ての全体的開示は、その全体が参照により本明細書に取り込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

式中、VおよびUはそれぞれ独立して
水素、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、ニトロ、アミノ、1以上のハロゲンにより任意に置換されるC−Cアルキルアミノ、1以上のハロゲンにより任意に置換されるアリールアミノ、1以上のハロゲンにより任意に置換されるアラルキルアミノ、1以上のハロゲンにより任意に置換されるC−Cアルキルスルホンアミド、1以上のハロゲンにより任意に置換されるC−Cアルカノイルアミド、アリールスルホンアミド、C−Cアルキルスルホニルオキシ、カルボキシル、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、C−Cアルキル−SO−NH−CH−、NH−(CH1−4−SO−NH−、NH−(CH1−4−(CO)−NH−、スルファモイル、ホルミル、アミノメチル、ヒドロキシメチル、C−Cアルキル、C−Cアルコキシメチル、ハロゲン化メチル、テトラゾリル、
またはそれぞれがアミノ基により任意に置換される、C−Cアルコキシ、C−Cアルコキシカルボニル、C−Cアルカノイルオキシ、フェニル、もしくはC−Cアルコキシ、または
共に1以上が同一であるかまたは異なる追加のヘテロ原子である隣接するVおよびU基、および/または−CH=、および/または4〜7員の置換ホモ−もしくはヘテロ環を任意に形成する−CH−基であり;
WおよびXが同時にメチレンにはなり得ないという条件下で、WおよびXはそれぞれ独立して−CO−、−CH−、または−CH(C−Cアルキル)−であり;
Yは−O−、C−Cアルキレン、C−Cアルキニレン、シクロアルキレン、アミノカルボニル、−NH−、−N(C−Cアルキル)−、−CHO−、−CH(OH)−、または−OCH−であり;
Zは水素、ハロゲン、ニトロ、アミノ、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、シアノ、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、またはカルボキシであり;
およびRはそれぞれ独立して水素もしくはアルキルであるか、またはRおよびRは共に、任意に置換されるC−C橋を形成し、かつ
nおよびmが同時に0にはなり得ないという条件下で、nおよびmは独立して0〜3である)
で表される化合物;
およびその薬剤的に許容される塩もしくは溶媒和物、またはその薬剤的に許容される塩の溶媒和物を;
さらに
Zが水素であるとき、Yは−CH−、mおよびnは2、RおよびRは水素、Wは−CO−、Xは−CH−、かつVは水素であり、次にUは4−ブロモ置換基以外であり、かつ
Zが水素であるとき、Yは−CH−、mおよびnは2、RおよびRは水素、WおよびXは−CO−、かつVは水素であり、次にUは4−カルボキシルまたは4−エトキシカルボニル置換基以外であるという条件下で、治療上有効な量を患者の必要性に応じて投与することを含んでなる、糖尿病性神経因性疼痛、ヘルペス後神経痛、慢性腰痛、変形性関節症、および急性炎症性疼痛から選択される疾患を治療するための方法。
【請求項2】
式(I)で表される化合物が、2−[4−(4−フルオロ−ベンジル)−ピペリジン−1−イル]−2−オキソ−N−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−ベンゾオキサゾール−6−イル)アセトアミド、またはその薬剤的に許容される塩、その溶媒和物、またはその薬剤的に許容される塩の溶媒和物である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
糖尿病性神経因性疼痛が糖尿病性末梢神経因性疼痛である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
糖尿病性神経因性疼痛が糖尿病性自律神経性神経因性疼痛である、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
糖尿病性神経因性疼痛が糖尿病性近位神経因性疼痛である、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
糖尿病性神経因性疼痛が糖尿病性限局性神経因性疼痛である、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
疾患がヘルペス後神経痛である、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
疾患が慢性腰痛である、請求項2に記載の方法。
【請求項9】
疾患が脊髄傷害である、請求項2に記載の方法。
【請求項10】
疾患が関節リウマチである、請求項2に記載の方法。
【請求項11】
疾患が変形性関節症である、請求項2に記載の方法。
【請求項12】
疾患が急性炎症性疼痛である、請求項2に記載の方法。
【請求項13】
投与される治療上有効な量が約10mgないし約150mgである、請求項2に記載の方法。
【請求項14】
式(I)で表される化合物が、1、2、3、または4に分割された一日用量で投与される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
投与される治療上有効な量が約10mgないし約150mgである、請求項3に記載の方法。
【請求項16】
投与される治療上有効な量が約10mgないし約150mgである、請求項4に記載の方法。
【請求項17】
投与される治療上有効な量が約10mgないし約150mgである、請求項5に記載の方法。
【請求項18】
投与される治療上有効な量が約10mgないし約150mgである、請求項6に記載の方法。
【請求項19】
投与される治療上有効な量が約10mgないし約150mgである、請求項7に記載の方法。
【請求項20】
投与される治療上有効な量が約10mgないし約150mgである、請求項8に記載の方法。
【請求項21】
投与される治療上有効な量が約10mgないし約150mgである、請求項9に記載の方法。
【請求項22】
投与される治療上有効な量が約10mgないし約150mgである、請求項10に記載の方法。
【請求項23】
投与される治療上有効な量が約10mgないし約150mgである、請求項11に記載の方法。
【請求項24】
投与される治療上有効な量が約10mgないし約150mgである、請求項12に記載の方法。
【請求項25】
式(I)で表される化合物が、抗うつ薬、鎮痛剤、筋弛緩剤、食欲低下薬、刺激薬、抗てんかん薬、鎮静剤/催眠剤、およびそれらの組み合わせと共に付属的に投与される、請求項2に記載の方法。
【請求項26】
式(I)で表される化合物が、ミルナシプラン、ガバペンチン、プレガバリン、プラミペキソール、1−DOPA、アンフェタミン、チザニジン、クロニジン、トラマドール、モルヒネ、三環系抗うつ薬、コデイン、カルバマゼピン、シブトラミン、アンフェタミン、バリウム、トラゾドン、およびそれらの組み合わせと共に付属的に投与される、請求項26に記載の方法。

【公表番号】特表2012−500800(P2012−500800A)
【公表日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−524017(P2011−524017)
【出願日】平成21年8月21日(2009.8.21)
【国際出願番号】PCT/US2009/054563
【国際公開番号】WO2010/022300
【国際公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(591180314)リヒター ゲデオン ニルバーノシャン ミーケデーレスベニュタールシャシャーグ (33)
【Fターム(参考)】