説明

神経増殖因子の活性を調節するペプチド及び関連分子

【課題】NGF(神経増殖因子)が原因因子として関連している疾病又は疾患に対する治療薬又は予防薬として使用することができる生物学的に活性なペプチド及びポリペプチドを提供する。
【解決手段】NGF活性を調節し、痛みを管理するのに有用な、NGFへの新規結合剤、または、NGF結合ペプチド。1又は複数のFcドメインに連結された上記ペプチドを有する薬理学的に活性な修飾ポリペプチド。および、前記修飾ポリペプチドを含有する組成物の治療的有効量を投与することを含む、NGF活性に関連する疾病又は疾患を治療又は予防する方法。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
米国内だけで、200万人を超える人々が、毎日、慢性的な痛みに苦しんでいる(T.M. Jessell & D.D. Kelly, Pain and Analgesia in PRINCIPLES OF NEURAL SCIENCE, third edition (E.R. Kandel, J.H. Schwartz, T.M. Jessell, ed.,(1991))。残念なことに、現在の痛みの治療は効果が不十分で、多くは衰弱的な副作用や危険な副作用も引き起こす。例えば、アスピリン、イブプロフェン、及びインドメタシンなどの非ステロイド性の抗炎症薬(「NSAID」)は、炎症性の痛みに対して適度な効果を示すが、これらは腎臓の毒素でもあり、高用量では、胃腸の炎症、潰瘍、出血、及び意識の混濁を引き起こす傾向がある。オピオイドによる治療を受けた患者は、意識の混濁を経験することが多く、長期にわたるオピオイドの使用は、耐性と依存性を伴う。リドカインやミクセリチンなどの局所麻酔薬は、同時に痛みを抑え、正常な感覚を喪失させる。
【0002】
痛みとは、環境から受取られ、神経系によって伝達され、判断されるシグナルに基づく知覚である(総説として、Millan, M. J. , The induction of pain: an integrative review. Prog Neurobiol 57: 1−164(1999)を参照)。熱や接触などの侵害刺激は、皮膚内の特殊な感覚受容体を誘発して、シグナルを中枢神経系(「CNS」)に送る。このプロセスは、侵害受容と称されており、これを媒介する末梢感覚神経が侵害受容器である。侵害受容器からのシグナルの強度とCNSによるこのシグナルの抽出及び精緻化に応じて、ヒトは侵害刺激を痛みとして認識する場合もあるし、認識しない場合もある。痛みの知覚が刺激の強度へと適切に較正されると、痛みは、その本来の保護的役割を果たす。しかし、ある種の組織損傷は、ヒトの痛みの閾値が低下しているために、比較的非侵害性の刺激が極めて強い痛みとして知覚されてしまう痛覚過敏又は侵害受容亢進として知られている現象を引き起こす。炎症及び神経損傷は何れも、痛覚過敏を誘発することができる。このため、日焼け、骨関節炎、大腸炎、心臓炎、皮膚炎、筋炎、神経炎、膠原血管病(慢性関節リウマチ及び狼瘡を含む)などの炎症性症状に苦しむヒトは、しばしば、痛覚の亢進を経験する。同様に、外傷、手術、切断、膿瘍、灼熱痛、膠原血管病、脱髄疾患、三叉神経痛、癌、慢性アルコール依存症、発作、視床痛症候群、糖尿病、ヘルペス感染症、後天性免疫不全症候群(「AIDS」)、毒素及び化学療法は、ひどい痛みをもたらす神経損傷を引き起こす。
【0003】
正常な状態及び痛覚過敏の状態下で痛覚受容器が外部シグナルを伝達する機序についての理解が進んだため、痛覚閾値の低下を阻害し、これによって体験される痛みの量を低下させるために、痛覚過敏への関与が推定されるプロセスを標的とすることが可能である。
【0004】
神経栄養因子は、生理的な痛みと病理的な痛みの伝達において重要な役割を果たすことが示されている。神経増殖因子(NGF)は、特に重要であると思われる(総説として、McMahon, S.B., NGF as a mediator of inflammatory pain, Phil Trans R Soc Lond 351:431−40 (1996); and Apfel, S.C., Neurotrophic Factors and Pain, The Clinical Journal of Pain 16: S7−SLL (2000)を参照)。NGFの局所投与及び全身投与は何れも、痛覚過敏と異痛症を引き起こすことが示されている(Lewin, et al., Peripheral and central mechanisms of NGF−induced hyperalgesia. Eur. J. Neurosci. 6: 1903−1912 (1994))。ヒトにNGFを静脈内注入すると全身的な筋肉痛が生じるのに対して、局所投与すると、全身的な効果に加えて、注射部位に痛覚過敏と異痛症が誘発される(Apfel, et al., Recombinant human nerve, growth factor in the treatment of diabetic polyneuropathy. Neurology 51:695−702(1998))。痛みが主要な特徴である症状に内在性のNGFが関与していることを示す一連の証拠も少なからず存在する。例えば、末梢神経傷害から少なくとも2ヵ月間にわたって、NGFはDRGのシュワン細胞中で上方制御され、関節炎の様々なモデルに罹患した動物の関節中でレベルが増加することが報告されている(例えば、Aloe, et al., The synovium of transgenic arthritic mice expressing human tumor necrosis factor contains a high level of nerve growth factor. Growth Factors 9: 149−155(1993))。ヒトでは、リウマチ又はその他の種類の関節炎の患者から得た滑液中のNGFレベルが上昇する(例えば、Aloe et al., Nerve growth factor in the synovial fluid of patients with chronic arthritis. Arthritis and Rheumatism 35:351−355(1992))。さらに、NGF機能を拮抗すると、神経障害性及び慢性炎症性の痛みのモデルで、痛覚過敏と異痛症が抑制されることが示されている。例えば、神経障害性の痛みのモデル(例えば、神経幹又は脊髄神経の結紮)では、NGFに対する中和抗体を全身注入すると、異痛症及び痛覚過敏がともに抑制される(Ramer, M.S., et al., Adrenergic innervation of rat sensory ganglia following proximal or distal painful sciatic neuropathy:distinct mechanisms revealed by anti−NGF treatment. Eur J Neurosci 11:837−846(1999); and Ro, L. S., et al., Effect of NGF and anti−NGF on neuropathic pain in rats following chronic constriction injury of the sciatic nerve. Pain 79: 265−274 (1999))。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】T.M. Jessell & D.D. Kelly, Pain and Analgesia in PRINCIPLES OF NEURAL SCIENCE, third edition E.R. Kandel, J.H. Schwartz, T.M. Jessell, ed.,(1991)
【非特許文献2】Millan, M. J. , The induction of pain: an integrative review. Prog Neurobiol 57: 1−164(1999)
【非特許文献3】McMahon, S.B., NGF as a mediator of inflammatory pain, Phil Trans R Soc Lond 351:431−40 (1996)
【非特許文献4】Apfel, S.C., Neurotrophic Factors and Pain, The Clinical Journal of Pain 16: S7−SLL (2000)
【非特許文献5】Lewin, et al., Peripheral and central mechanisms of NGF−induced hyperalgesia. Eur. J. Neurosci. 6: 1903−1912 (1994)
【非特許文献6】Apfel, et al., Recombinant human nerve, growth factor in the treatment of diabetic polyneuropathy. Neurology 51:695−702(1998)
【非特許文献7】Aloe, et al., The synovium of transgenic arthritic mice expressing human tumor necrosis factor contains a high level of nerve growth factor. Growth Factors 9: 149−155(1993)
【非特許文献8】Aloe et al., Nerve growth factor in the synovial fluid of patients with chronic arthritis. Arthritis and Rheumatism 35:351−355(1992)
【非特許文献9】Ramer, M.S., et al., Adrenergic innervation of rat sensory ganglia following proximal or distal painful sciatic neuropathy:distinct mechanisms revealed by anti−NGF treatment. Eur J Neurosci 11:837−846(1999)
【非特許文献10】Ro, L. S., et al., Effect of NGF and anti−NGF on neuropathic pain in rats following chronic constriction injury of the sciatic nerve. Pain 79: 265−274 (1999)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
明らかに、痛みに対する安全で有効な新規治療が必要とされている。NGF活性を調節し、痛みを管理するのに有用な、NGFへの新規結合剤を提供することが本発明の目的である。本発明のこのような結合剤は、NGF結合ペプチド及びNGF結合修飾ペプチド(すなわち、抗体のFc部分など他の分子に融合されたペプチドであり、このペプチド成分はNGFに特異的に結合する。)の形態を採る。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、神経増殖因子(NGF)に結合し、その活性を調節する新規物質に関する。
【0008】
本発明において、NGF活性の修飾物質は、以下の式:
Ca1011LQSCa161718(配列番号276):
(式中、
、a、a、a、a、a及びa18は、それぞれ独立に、存在しないか又はアミノ酸残基であり、
は、中性の疎水性アミノ酸残基又は極性の疎水性アミノ酸残基であり、
は、中性の疎水性アミノ酸残基又は極性の疎水性アミノ酸残基であり、
10は、中性の疎水性アミノ酸残基、中性の極性アミノ酸残基又は塩基性のアミノ酸残基であり、
11は、中性の疎水性アミノ酸残基、中性の極性アミノ酸残基又は塩基性のアミノ酸残基であり、
16は、中性の疎水性アミノ酸残基であり、
17は、中性の疎水性アミノ酸残基又は極性の疎水性アミノ酸残基である。)
のアミノ酸配列又は生理的に許容されるその塩を有する。
【0009】
式:bCWbGCb121314(配列番号:274)
(式中、
、b、b、b、b、b13及びb14は、それぞれ独立に、存在しないか又はアミノ酸残基であり、
は、中性の疎水性アミノ酸残基であり、
は、極性の疎水性アミノ酸残基であり、
12は、中性の疎水性アミノ酸残基又は酸性のアミノ酸残基である。)
のアミノ酸配列又は生理的に許容されるその塩を有する、NGF活性を調節するペプチドも本発明に属する。
【0010】
さらに、式:
QCcScGCc1213141516
(式中、
、c、c、c、c13及びc14は、それぞれ独立に、存在しないか又はアミノ酸残基であり、
は、中性の疎水性アミノ酸残基であり、
は、中性の疎水性アミノ酸残基又は極性の疎水性アミノ酸残基であり、
12は、中性の疎水性アミノ酸残基又は酸性のアミノ酸残基である。)
の化合物又は生理的に許容されるその塩も本発明に属する。
【0011】
さらに、
式:
PPd101112131415Pd1718192021222324
(式中、
は、W、Y、Q又はEであり;
は、V、L、F、S又はQであり;
は、W、F、G、S又はQであり;
は、A、Q、D、E又はKであり;
は、V、W、G又はRであり;
は、M、S、Y、Q、N、E、K又はRであり;
は、A、V、L、P、W、Q又はHであり;
10は、D又はEであり;
11は、V又はIであり;
12は、V、L、F又はYであり、
13は、V、L、G、Q又はEであり、
14は、Q、D又はEであり;
15は、W又はCであり;
17は、W、Y又はQであり;
18は、V、T、Q、N又はKであり;
19は、A、L又はPであり;
20は、P、Q、R又はHであり、
21は、V、I、W、Dであり、
22は、A、I、S、Q又はDであり;
23は、Lであり又は存在しない、
24は、Eであり又は存在しない。)
のアミノ酸配列又は生理的に許容されるその塩を有する、NGF活性を調節するペプチドも本発明に属する。
【0012】
本発明の別の側面は、式:
式:f1011Lf13EQYFf18Lf20PPG242526
(式中、
−f、f、f、f11、f18、f24、f25及びf26は、それぞれ独立に、存在しないか又はアミノ酸残基であり、
、f10及びf13は、それぞれ独立に、中性の疎水性アミノ酸残基又は極性の疎水性アミノ酸残基であり、
20は、T、M又はIである。)
のアミノ酸配列又は生理的に許容されるその塩を有する、NGF活性を調節するペプチドである。
【0013】
さらに、式:
LGh1011Lh13YFh16Lh18PPGh222324
(式中、
−h、h、h11、h23、及びh24は、それぞれ独立に、存在しないか又はアミノ酸残基であり、
10及びh13は、それぞれ独立に、中性の疎水性アミノ酸残基又は極性の疎水性アミノ酸残基であり、
16は、極性の疎水性アミノ酸残基又は塩基性のアミノ酸残基であり、
18は、中性の疎水性アミノ酸残基であり、
22は、中性の極性アミノ酸残基である。)
のアミノ酸配列又は生理的に許容されるその塩を有する、NGF活性を調節するペプチドも本発明に属する。
【0014】
本発明の別の側面には、
i.配列番号1ないし配列番号58、
ii.配列番号202ないし配列番号280、
iii.(i)又は(ii)の類縁体、
iv.(i)、(ii)又は(iii)の誘導体、
v.(i)、(ii)、(iii)又は(iv)の多量体、
vi.(i)、(ii)、(iii)、(iv)又は(v)の生理的に許容される塩、
からなる群から選択されるアミノ酸配列を有し、NGF活性を阻害することができる、薬理学的に活性なペプチド(P)も含まれる。
【0015】
本発明の別の側面には、
式:
(X−F−(X
(式中、
は、ビヒクル(好ましくは、Fcドメイン)であり、
とXは、それぞれ独立に、
−(L−P、−(L−P−(L−P、−(L−P−(L−P−(L−P及び−(L−P−(L−P−(L−P−(L−Pから選択され、
、L、L及びLは、それぞれ独立に、リンカーであり、
a、b、c、d、e及びfは、それぞれ独立に、0又は1であり(但し、aとbのうち少なくとも1つは1である)、
、P、P及びPは、それぞれ独立に、
i.配列番号1ないし配列番号58、
ii.配列番号202ないし配列番号280、
iii.(i)又は(ii)の類縁体、
iv.(i)、(ii)又は(iii)の誘導体、及び
v.(i)、(ii)、(iii)又は(iv)の生理的に許容される塩、
からなる群から選択される薬理学的に活性なペプチドの配列である。)
の、NGF活性を調節することができる修飾ペプチドが含まれる。
【0016】
本発明のペプチド及び修飾ペプチドは、標準的な合成法、組換えDNA技術又はペプチド及び融合タンパク質を調製する他のあらゆる方法によって調製し得る。
【0017】
非ペプチド部分を含む本発明の修飾ペプチドは、適用可能な場合、標準的なペプチド化学反応に加え、標準的な有機化学反応によって合成し得る。
【0018】
本発明のペプチド及び修飾ペプチドは、神経障害又は炎症に起因する慢性的な疼痛状態の処置に関して治療的な価値があり、偏頭痛、喘息、急迫性尿失禁(すなわち、過活動膀胱)、乾癬、及び癌(特に、膵臓癌及び悪性黒色腫)など(これらに限定されない)、NGFが原因因子として関連する他の疾病を治療するために使用することもできる。
【0019】
本発明のペプチド及び修飾ペプチドは、適切な医薬担体物質と調合し、これを必要としているヒト(又は他の哺乳動物)などの患者に有効量を投与することによって、治療又は予防の目的で使用することもできる。
【0020】
その他の有用なペプチド及び修飾ペプチドは、本発明に開示されているペプチド及び修飾ペプチドのアミノ酸を保存的に修飾することによって得ることができる。保存的な修飾は、このような修飾が加えられたペプチド又は修飾ペプチドと同様の機能的、物理的、科学的特性を有するペプチド及び修飾ペプチドを与えるであろう。
【0021】
本発明のさらなる側面及び利点は、以下に記載されている発明の詳細な説明を検討することによって明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1−A】図1は、本発明の典型的な又は好ましい修飾ペプチドの構造を示している。この図における「Fc」は、本明細書における「Fcドメイン」の意味の範疇に属する任意のFcバリアントを表している。修飾ペプチドは、各々付着ペプチドを1つ有する2つのFc単量体から構成されたホモ二量体から構成されている。精製された「二量体」は、図面に記されているように、2つの分子間ジスルフィド結合と4つの分子内ジスルフィド結合を形成する12のシステイン残基を有している。図1Aは、リンカー−ペプチド部分が、FcドメインのN末端から伸長する単鎖として存在する分子を示している。図1Bは、リンカーペプチド部分が、FcドメインのC末端から伸長する単鎖として存在する分子を示している。
【図1−B】図1は、本発明の典型的な又は好ましい修飾ペプチドの構造を示している。この図における「Fc」は、本明細書における「Fcドメイン」の意味の範疇に属する任意のFcバリアントを表している。修飾ペプチドは、各々付着ペプチドを1つ有する2つのFc単量体から構成されたホモ二量体から構成されている。精製された「二量体」は、図面に記されているように、2つの分子間ジスルフィド結合と4つの分子内ジスルフィド結合を形成する12のシステイン残基を有している。図1Aは、リンカー−ペプチド部分が、FcドメインのN末端から伸長する単鎖として存在する分子を示している。図1Bは、リンカーペプチド部分が、FcドメインのC末端から伸長する単鎖として存在する分子を示している。
【図2−A】本発明において使用することができるヒトIgG1 Fcの典型的な核酸及びアミノ酸配列(それぞれ、配列番号59及び配列番号60)を示している。
【図2−B】本発明において使用することができるヒトIgG1 Fcの典型的な核酸及びアミノ酸配列(それぞれ、配列番号59及び配列番号60)を示している。
【図3−A】発現プラスミドpAMG21のNdeI制限部位(pAMG21中の#5675位)とBamHI制限部位(pAMG21中の#5745位)との間に挿入されたFc N末端ベクターの二本鎖DNA配列を示しており(それぞれ、配列番号61及び62、上/センス鎖、下/アンチセンス鎖)、本発明のペプチド−Fc融合タンパク質を発現することができる発現プラスミドを与える。
【図3−B】発現プラスミドpAMG21のNdeI制限部位(pAMG21中の#5675位)とBamHI制限部位(pAMG21中の#5745位)との間に挿入されたFc N末端ベクターの二本鎖DNA配列を示しており(それぞれ、配列番号61及び62、上/センス鎖、下/アンチセンス鎖)、本発明のペプチド−Fc融合タンパク質を発現することができる発現プラスミドを与える。
【図4−A】発現プラスミドpAMG21のNdeI制限部位(pAMG21中の#5675位)とBamHI制限部位(pAMG21中の#5745位)との間に挿入されたFc C末端ベクターの二本鎖DNA配列を示しており(それぞれ、配列番号121及び122、上/センス鎖、下/アンチセンス鎖)、本発明のペプチド−Fc融合タンパク質を発現することができる発現プラスミドを与える。
【図4−B】発現プラスミドpAMG21のNdeI制限部位(pAMG21中の#5675位)とBamHI制限部位(pAMG21中の#5745位)との間に挿入されたFc C末端ベクターの二本鎖DNA配列を示しており(それぞれ、配列番号121及び122、上/センス鎖、下/アンチセンス鎖)、本発明のペプチド−Fc融合タンパク質を発現することができる発現プラスミドを与える。
【図5】図5は、Chungの神経障害性の痛みのラットモデルにおける抗NGF修飾ペプチド(表6に記載されているA−H)の抗異痛症効果(60mg/kg、皮下、投与から3又は4日後)をグラフで表している。
【図6】図6は、CFA炎症痛のラットモデルにおける抗NGF修飾ペプチド(表6に記載されているI−J)の抗異痛症効果(60mg/kg、皮下、投与から3又は4日後)をグラフで表している。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本明細書を通じて用いられる用語は、特定の事例において特段の断りがなければ、以下のように定義される。
【0024】
アミノ酸残基は、アミノ酸の完全な表記、以下の図に記されている標準的な3文字コード又は標準的な一文字コードという3通りに表記される。
【0025】
【表1】

【0026】
「含む」という用語は、ペプチド又は修飾ペプチドが、当該配列のN末端又はC末端の一方又は双方にアミノ酸がさらに付加されてもよいことを意味する。もちろん、付加されるこれらのアミノ酸は、ペプチド又は修飾ペプチドの活性を著しく妨害してはならない。
【0027】
修飾は、主として、治療用ペプチド及びタンパク質がタンパク分解酵素に曝露されるのを遮断して、治療用分子の安定性、循環時間及び生物学的活性を増加させることによって、治療用ペプチド及びタンパク質を保護することができる。タンパク質の修飾と融合タンパク質について記載する総説は、「Francis, Focus on Growth Factors Volume 3, pages 4−10, published by Mediscript, London (1992)」であり、参照により本明細書に組込まれる。
【0028】
1つの有用なタンパク質修飾は、抗体の「Fc」ドメインと組み合わせることである。抗体は、「Fab」として知られ、抗原を結合する可変ドメインと、「Fc」として知られ、補体活性化及び食細胞による攻撃といったエフェクター機能に関連する定常ドメインという機能的に独立な2つの部分を備えている。Fcドメインの血清半減期は長いが、Fabの血清半減期は短い。Capon et al., Nature, Volume 337, pages 525−31 (1989)。治療用タンパク質とともに構築されると、Fcドメインは、半減期を長期化させ、あるいは、Fc受容体結合、プロテインA結合、補体結合などの機能を取り込ませることができ、胎盤通過などの機能さえ取り込ませ得ることがある。
【0029】
本明細書において使用される「ネイティブFc」という用語は、完全な抗体を化学的又は酵素的に消化することによって得られる抗原非結合性断片の配列を有する分子又は配列を表す。ネイティブFcの取得源となる元の免疫グロブリンは、ヒト由来のものであることが好ましく、任意の免疫グロブリンであり得るが、IgG1及びIgG2が好ましい。ネイティブFcドメインは、共有(すなわち、ジスルフィド結合)及び非共有結合によって連結され、二量体又は多量体の形態を与えることができる単量体ポリペプチドから構成される。ネイティブFc分子のモノマーサブユニット間に存在する分子間ジスルフィド結合の数は、クラス(例えば、IgG、IgA、IgE)又はサブクラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgA1、IgGA2)に応じて、1ないし4の範囲にわたる。ネイティブFcの一例は、IgGのパパイン消化から得られるジスルフィド結合された二量体である。「Ellison et al., Nucleic Acids Res., Volume 10, pages 4071−4079(1982)」を参照されたい。
【0030】
「Fcバリアント」という用語は、ネイティブFcから修飾されているが、サルベージ受容体(salvage receptor)であるFcRnに対する結合部位をなお有している分子又は配列を表す。国際出願公開WO 97/34631及びWO 96/32478は、Fcバリアントの一例及びサルベージ受容体との相互作用について記載しており、参照により本明細書に組込まれる。このように、「Fcバリアント」という用語には、ヒト以外のネイティブFcからヒト化された分子又は配列が含まれる。さらに、ネイティブFcは、本発明の融合分子に不要な構造的機能又は生物学的活性を与えるという理由により、除去できる部位を有している。このように、「Fcバリアント」という用語には、(1)ジスルフィド結合の形成、(2)特定の宿主細胞との不適合性、(3)特定の宿主細胞で発現した際のN末端の不均一性、(4)グリコシル化、(5)補体との相互作用、(6)サルベージ受容体以外のFc受容体への結合又は(7)抗体依存性細胞傷害作用(ADCC;antibody−dependent cellular cytotoxicity)、に影響を与え又は関与する1又は複数のネイティブFc部位又は残基が欠如した分子又は配列が含まれる。Fcバリアントは、以下でさらに詳述されている。
【0031】
「Fcドメイン」という用語及び「Fc」という用語には、上記定義のとおり、ネイティブFcとFcバリアントの分子及び配列が包含されるものとする。
【0032】
公開された国際特許出願WO 00/24782は、生物学的に活性なペプチドに連結されたFc抗体ドメインを有する融合タンパク質及び薬剤としてのそれらの使用を記載している。Fcドメインをペプチドに連結させると、このような連結を行わなければインビボで急速に分解されるペプチドの半減期を増加することが開示されている。ペプチドは、ファージディスプレイ、E.コリ(E.coli)ディスプレイ、リボソームディスプレイ、RNA−ペプチドスクリーニング又は化学的ペプチドスクリーニングによって選択することができる。具体的な例としては、とりわけ、TPO(巨核球増殖及び分化因子)のペプチド模倣体(mimetics)並びにTNF−α、IL−1及びVEGFのペプチド阻害剤から作製されるFc融合生成物がある。
【0033】
「誘導体化する」及び「誘導体」又は「誘導体化された」という用語には、それぞれ、(1)ペプチド又は修飾ペプチドが、環状部分、例えば修飾ペプチド内にシステイン残基間の架橋、を有する;(2)ペプチド又は修飾ペプチドが、架橋され又は架橋部位を有する、例えばペプチド又は修飾ペプチドがシステイン残基を有しており、このため、培養時に又はインビボで架橋された二量体を形成する;(3)1又は複数のペプチド結合が非ペプチド結合に置換されている;(4)N末端が−NRR、NRC(O)R、−NRC(O)OR、−NRS(O)、−NHC(O)NHR、スクシンイミド基又は置換された若しくは置換されていないベンジルオキシカルボニル−NH−(式中、R及びR及び環置換基は、以下に定義されているとおりである。);(5)C末端が−C(O)R又は−NRに置換されている(式中、R、R及びRは、以下に定義されているとおりである。);(6)選択した側鎖又は末端残基と反応することができる物質を用いた処理によって各アミノ酸成分が修飾されている、ペプチド又は修飾ペプチドを与える方法及び得られたペプチド又は修飾ペプチドが含まれる。誘導体は、本明細書の以下にさらに記載されている。
【0034】
「NGF」という用語は、神経増殖因子を意味する。
【0035】
タンパク質リガンドとその受容体との相互作用は、比較的大きな接触部分で起こることが多い。しかし、ヒト成長ホルモンとその受容体について示されたところによれば、接触部分に位置する数個の重要な残基のみが結合エネルギーの大部分に寄与している。Clackson et al., Science, Volume 267, pages 383−386(1995)。タンパク質リガンドの大部分は、単に、結合エピトープを正しいトポロジーで提示するか、結合とは無関係の機能を果たしているにすぎない。このため、「ペプチド」長のみを有する分子が、ある巨大なタンパク質リガンドの受容体分子に結合することが可能である。このようなペプチドは、巨大なタンパク質リガンド(「ペプチドアゴニスト」)の生物活性を模倣し又は、拮抗的な結合を通じて、巨大タンパク質リガンド(「ペプチドアンタゴニスト」)の生物活性を阻害し得る。
【0036】
本明細書において一般的に使用される「ペプチド」という用語は、5ないし50個のアミノ酸の分子を表し、5ないし20個のアミノ酸の分子が好ましく、6ないし15個のアミノ酸の分子が最も好ましい。
【0037】
ファージディスプレイペプチドライブラリーは、ペプチドアゴニスト及びペプチドアンタゴニストを同定する強力な方法として登場した。例えば、Scott et al., Science, Volume 249, page 386(1990); Devlin et al. Science, Volume 249, page 404 (1990);1993年6月29日に付与された米国特許第5,223,409号;1998年3月31日に付与された米国特許第5,733,731号;1996年3月12日に付与された米国特許第5,498,530号;1995年7月11日に付与された米国特許第5,432,018号;1994年8月16日に付与された米国特許第5,338,665号;1999年7月13日に付与された米国特許第5,922,545号;1996年12月19日に公開されたWO 96/40987;1998年4月16日に公開されたWO 98/15833を参照されたい(それぞれ、参考文献として本明細書に援用する)。このようなライブラリーでは、繊維状ファージのコートタンパク質との融合によって、ランダムなペプチド配列がディスプレイされている。典型的には、ディスプレイされたペプチドは、抗体が固定された受容体の細胞外ドメインに対してアフィニティー溶出される。保持されたファージは、アフィニティー精製と再増殖を連続的に繰り返すことによって濃縮することができる。最も優れた結合ペプチドの配列を決定して、1又は複数の構造的に関連したペプチドのファミリー内で重要な残基を同定することができる。例えば、2つの別個のファミリーが同定されたCwirla et al., Science Volume 276, pages 1696−1699(1997)を参照されたい。ペプチド配列は、アラニンスキャニング又はDNAレベルでの突然変異誘発によって、何れの残基を安全に置換できるかについても示唆し得る。最も優れた結合物質の配列をさらに最適化するために、突然変異誘発ライブラリーを作製して、スクリーニングすることもできる。Lowman, Ann. Rev. Biophys. Biomol. Struct., Volume 26, pages 401−424(1997)。
【0038】
タンパク質−タンパク質相互作用の構造解析は、巨大なタンパク質リガンドの結合活性を模倣するペプチドを推測するために使用することもできる。このような分析では、そこからペプチドをデザインすることができる巨大なタンパク質リガンドの不可欠な残基の正体と相対的な配向性が、結晶構造から示唆され得る。例えば、Takasaki et al., Nature Biotech. Volume 15, pages 1266−1270 (1997)を参照されたい。これらの分析法は、受容体タンパク質とファージディスプレイによって選択されたペプチドとの相互作用を調べるために使用される場合もあり、これにより、結合親和性を増加させるためにペプチドのさらなる修飾が推定され得る。
【0039】
ペプチドの研究では、ファージディスプレイと同等の他の方法が存在する。ペプチドライブラリーは、lacレプレッサーのカルボキシ末端に融合して、E.コリ(E.coli)中で発現させることができる。E.コリ(E.coli)を利用した別の方法は、ペプチドグリカン結合リポタンパク質(PAL;peptidoglycan−associated lipoprotein)との融合によって、細胞の外膜上へのディスプレイを可能とする。以降、これらの方法及び関連する方法を「E.コリディスプレイ」と総称する。別の方法では、ランダムRNAの翻訳がリボソーム放出の前に停止され、それらに随伴するRNAがまだ付着した状態のポリペプチドのライブラリーが得られる。以降、この方法及び関連する方法を「リボソームディスプレイ」と総称する。さらに別の方法では、ペプチドのRNAへの化学的結合を使用する。例えば、「Roberts and Szostak, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, Volume 94, pages 12297−12303(1997)」を参照されたい。以降、これらの方法及び関連する方法を「RNA−ペプチドスクリーニング」と総称する。ポリエチレンの棒又は溶媒透過性の樹脂などの安定な非生体物質上にペプチドが固定化されている、化学的に生成されたペプチドライブラリーも開発されている。化学的に生成された別のペプチドライブラリーは、ガラススライド上に固定化されたペプチドをスキャンするためにフォトリソグラフィーを使用する。以降、これらの方法及び関連する方法を「化学的−ペプチドスクリーニング」と総称する。化学的−ペプチドスクリーニングは、Dアミノ酸や他の非天然類縁体、並びに非ペプチド要素が使用できる点で、有利な場合がある。生物学的な方法及び化学的な方法は何れも、「Wells and Lowman, Curr. Opin. Biotechnol., Volume 3, pages 355−362(1992)」に総説されている。
【0040】
理論的には、ファージディスプレイや上述した他の方法を用いて、任意のタンパク質のペプチド模倣体を発見することができる。これらの方法は、エピトープマッピング、タンパク質−タンパク質相互作用に不可欠なアミノ酸の同定に使用されてきた他、新規治療薬を発見するための第一歩として使用されてきた。例えば、「Cortese et al., Curr. Opin. Biotech. Volume 7, pages 616−621(1996)」を参照されたい。ペプチドライブラリーは、現在、エピトープマッピングなどの免疫学的研究において最も頻繁に使用されている。Kreeger, The Scientist, Volume 10, Number 13, pages 19−20 (1996)。ペプチドは、多くの場合、治療剤そのものというより、治療剤を開発する際の「リード化合物」とみなされている。他の多くのタンパク質と同様、それらは、腎臓によるろ過、細網内皮系の細胞によるクリアランス機構又はタンパク分解によって、インビボで迅速に除去されるであろう。「Francis, Focus on Growth Factors, Volume 3, pages 4−11 (1992)」を参照されたい。その結果、同定されたペプチドは、薬物標的を確認するために又は、化学的ライブラリースクリーニングでは容易に若しくは迅速に同定されない可能性がある有機的修飾ペプチドを設計するための足がかりとして使用されることが多い。Lowman, Ann. Rev. Biophys. Biomol. Struct. , Volume 26, pages 401−424 (1997); Kay et al., Drug Disc. Today, Volume 3, pages 370−378 (1998)。
【0041】
「薬理学的に活性な」という用語は、このように記載される物質が、医学的パラメータ又は病状(例えば、痛み)に影響を与える活性を有することが実証されていることを意味する。本発明において、この用語は、典型的には、NGFによって誘導され又はNGFによって媒介される疾病又は異常な医学的症状又は疾患を表し、より具体的には、痛みの拮抗を表す。
【0042】
「アンタゴニスト」及び「阻害剤」という用語は、当該関連するタンパク質の生物活性を遮断し又は何らかの方法で妨害する分子を表す。本発明の好ましい「アンタゴニスト」又は「阻害剤」は、NGF活性のインビトロアッセイにおいて、20nM以下のIC50で、NGFに結合し、NGFを阻害する分子である。本発明のさらに好ましい「アンタゴニスト」又は「阻害剤」は、NGF活性のインビトロアッセイにおいて、1nM以下のIC50で、NGFに結合し、NGFを阻害する分子である。最も本発明の好ましい「アンタゴニスト」又は「阻害剤」は、NGF活性のインビトロアッセイにおいて、20nM以下のIC50で、NGFに結合してNGFを阻害し、且つ少なくとも1つの一般的に受容されている神経の痛みのインビボ動物モデルで測定した場合に、痛みを抑制し、軽減し又は消失させる分子である。
【0043】
さらに、本発明の修飾ペプチドの生理的に許容される塩も本発明に包含される。「生理的に許容される塩」とは、薬剤として許容される(すなわち、温血動物の治療に有用である)ことが知られた又は後に見出された任意の塩を意味する。
【0044】
幾つかの具体例としては、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、塩化水素及び臭化水素などのハロゲン化水素、硫酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、グリコール酸塩、及びシュウ酸塩がある。
【0045】
修飾ペプチドの構造
総説。 本発明の修飾ペプチドに関しては、ペプチド部分は、ペプチドのN末端及び/又はC末端を介してビヒクル(すなわち、Fcドメイン)に付着させることができる。このため、得られるビヒクル−ペプチド複合物は、以下の式によって記載することができる。
【0046】
(X−F−(X (I)
(式中、
は、ビヒクル(好ましくは、Fcドメイン)であり、
とXは、それぞれ独立に、
−(L−P、−(L−P−(L−P、−(L−P−(L−P−(L−P及び−(L−P−(L−P−(L−P−(L−Pから選択され、
、L、L及びLは、それぞれ独立に、リンカーであり、
a、b、c、d、e及びfは、それぞれ独立に、0又は1であり(但し、aとbのうち少なくとも1つは1である)、
、P、P及びPは、それぞれ独立に、
i.配列番号1ないし配列番号58(配列番号1及び配列番号58を含む)、
ii.配列番号202ないし配列番号280(配列番号202及び配列番号280を含む)、
iii.(i)又は(ii)の類縁体、及び
iv.(i)、(ii)又は(iii)の誘導体
からなる群から選択される薬理学的に活性なペプチドである。)
【0047】
式Iの修飾ペプチドは、式:
−F (II)
(式中、FはFcドメインであり、XのC末端に付着している。)、
−X (III)
(式中、FはFcドメインであり、XのN末端に付着している。)、及び
−(L)−P (IV)
(式中、FはFcドメインであり、−(L)−PのN末端に付着している。)
の好ましい実施形態を含む。
【0048】
ペプチド(P)及び式(I)−(IV)によって表される修飾ペプチドに加えて、インビトロ及び/又はインビボでの抗NGF活性が実質的に等しい、このようなペプチド及び修飾ペプチドの断片(すなわち、「サブシーケンス(subsequence)」)、類縁体、及び誘導体も本発明の一部を構成するものとし、本明細書に開示されているペプチド(P)のうち任意のものの単量体又は多量体が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0049】
「類縁体」という用語は、ペプチド(P)又は(I)−(IV)で記された修飾ペプチドのアミノ酸配列の直線配列から得られた1又は複数のアミノ酸の置換、欠失及び/又は付加を表し、且つ本明細書に具体的に開示されている少なくとも1つの類似ペプチド又は修飾ペプチドに比べて、インビトロ及び/又はインビボ抗NGF活性が実質的に等しい分子を意味するものとする。
【0050】
本発明において、「実質的に相同な」配列とは、本分野で一般的に利用されている(例えば、GAPプログラム)及び/又は本明細書中に論述されている何れかのアラインメント法によって測定した場合に、P領域外では配列の相違がさらに顕著であるとしても、少なくとも10アミノ酸を有するPの何れかの領域にわたっては、少なくとも81%、好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一である。
【0051】
%配列同一性は、2つのポリペプチドのアミノ酸の位置の類似性を比較して、2つの各配列の最適なアラインメントを与えるために一般的に使用される標準的な方法によって決定することができる。このような方法には、「Computational Molecular Biology, Lesk, A. M., ed., Oxford University Press, New York, 1988; Biocomputing: Informatics and Genome Projects, Smith, D. W., ed., Academic Press, New York, 1993; Computer Analysis of Sequence Data, Part 1, Griffin, A. M., and Griffin, H. G., eds., Humana Press, New Jersey, 1994; Sequence Analysis in Molecular Biology, von Heinje, G., Academic Press, 1987; Sequence Analysis Primer, Gribskov, M. and Devereux, J., eds., M. Stockton Press, New York, 1991; and Carillo et al., SIAM J. Applied Math., 48:1073 (1988)」に記載されている方法が含まれるが、これらに限定されるものではない。同一性と類似性を決定する方法も、公開されて入手可能なコンピュータプログラムに記載されている。2つの配列間の同一性と類似性を決定するための好ましいコンピュータプログラム法としては、GAP(Devereux et al., Nucl. Acid. Res., 12: 387 (1984); Genetics Computer Group, University of Wisconsin, Madison, WI)、BLASTP、BLASTN、及びFASTA(Altschul et al., J. Mol. Biol., 215: 403−410 (1990))などのGCGプログラムパッケージが含まれるが、これらに限定されるものではない。BLASTXプログラムは、国立バイオテクノロジー情報センター(NCBI;National Center for Biotechnology Information)やその他の入手先(BLAST Manual, Altschul et al. NCB/NLM/NIH Bethesda, MD 20894; Altschul et al., supra)から公開されており、入手することができる。同一性を決定するために、周知のSmith Watermanアルゴリズムを使用することもできる。
【0052】
2つのアミノ酸配列を並列させるためのアラインメントスキームの中には、2つの配列の極めて短い領域のみをマッチングさせることがあり得るが、この並列された小さな領域は、2つの完全長の配列間に有意な関係が存在しない場合でも、極めて高い配列同一性を与えることがある。同一性及び/又は類似性を決定するための好ましい方法は、調べる配列間で最も大きな合致度を与えるように設計されている。例えば、コンピュータアルゴリズムGAP(Genetics Computer Group, University of Wisconsin, Madison, WI)を用いると、各アミノ酸の合致度が最適となるように(このアルゴリズムによって決定される、「合致したスパン(matched span)」)、%配列同一性を決定すべき2つのポリペプチドが並列される。ギャップオープニングペナルティー(平均ダイアゴナルの3倍として計算される。「平均ダイアゴナル」とは、使用している比較マトリックスのダイアゴナルの平均であり、「ダイアゴナル」とは、ある比較マトリックスが、各アミノ酸の完全な合致に対して与えるスコア又は数である)及びギャップ伸長ペナルティー(通常、ギャップオープニングペナルティーの1/10)、並びにPAM250又はBLOSUM 62などの比較マトリックスが、前記アルゴリズムとともに使用される。標準的な比較マトリックス(PAM 250比較マトリックスについては、Dayhoff et al., Atlas of Protein Sequence and Structure, vol. 5, supp. 3 (1978)を参照;BLOSUM 62比較マトリックスについては、Henikoff et al. , Proc. Natl. Acad. Sci USA, 89 : 10915−10919(1992)を参照)も、前記アルゴリズムによって使用される。ポリペプチド配列を比較するための好ましいパラメータとしては、以下のものが含まれる。
【0053】
アルゴリズム:Needleman et al., J. Mol. Biol., 48:443−453(1970);
比較マトリックス:Henikoff et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 89:10915−10919(1992)に記載のBLOSUM 62;
ギャップペナルティー:12
ギャップ長ペナルティー:4
類似度の閾値:0
GPAプログラムは、上記パラメータを用いると有用である。上記パラメータは、GAPアルゴリズムを用いたポリペプチド比較(エンドギャップに対するペナルティーは与えない)の初期設定パラメータである。
【0054】
核酸分子配列を比較するための好ましいパラメータには、以下のものが含まれる。
アルゴリズム:Needleman et al., J. Mol Biol., 48:443−453(1970);
比較マトリックス:マッチ=+10、ミスマッチ=0
ギャップペナルティー:50
ギャップ長ペナルティー:3
【0055】
GAPプログラムは、上記パラメータを用いても有用である。上記パラメータは、核酸分子を比較するための初期設定パラメータである。
【0056】
Program Manual, Wisconsin Package, Version 9, September, 1997に記載されているものなどの、その他の典型的なアルゴリズム、ギャップオープニングペナルティー、ギャップ伸長ペナルティー、比較マトリックス、類似度の閾値などを使用してもよい。具体的に行うべき選択は当業者にとって自明であり、DNA対DNA、タンパク質対タンパク質、タンパク質対DNAなどの具体的に行われる比較や、さらに、実際の配列対の間で比較が行われるか(このケースでは、GAP又はBestFitが一般に好ましい)、ある配列と巨大な配列データベースとの間で比較が行われるか(このケースでは、FASTA又はBLASTAが好ましい)どうかに依存するであろう。
【0057】
BLAST又はFASTAなどの公知のコンピュータプログラムを用いると、(一方若しくは両方の配列の全長に沿って又は一方若しくは両方の配列の所定の部分に沿って)それぞれのアミノ酸の合致度が最適になるように2つのポリペプチドが並列される。前記プログラムは、「初期設定」オープニングペナルティーと「初期設定」ギャップペナルティー、及びPAM250などのスコアリングマトリックスを与える。標準的なスコアリングマトリックスは、コンピュータプログラムとともに使用することができる。Dayhoff et al., in Atlas of Protein Sequence and Structure, volume 5, supplement 3 (1978)を参照。次いで、%同一性を以下のように計算することができる。
【0058】
【数1】

【0059】
本発明の類縁体ポリペプチドは、典型的には、1又は複数のアミノ酸の置換、欠失及び/又は挿入を有するであろう。一般に、保存的なアミノ酸の変化は、ポリペプチドの構造及び/又は機能を擾乱する可能性が最も少なく、あるアミノ酸を構造及び/又は機能が似通った別のアミノ酸(例えば、サイズ、電荷及び/又は形状が類似した側鎖を有するアミノ酸)に置換するのが一般的であると認められている。これらの置換の性質は、当業者に周知であり、典型的なアミノ酸置換が表1と2にまとめられている。
【0060】
【表2】

【0061】
【表3】

【0062】
所望のアミノ酸置換(保存的であると、非保存的であると否とを問わない)は、このような置換が望ましい場合に、当業者によって決定することができる。例えば、ペプチド配列の重要な残基を同定し又は本明細書に記載されているペプチド若しくはビヒクル−ペプチド分子(先述した式を参照)の親和性を増加若しくは減少させるために、アミノ酸置換を使用することができる。
【0063】
一部の実施形態では、保存的なアミノ酸置換に、生物系内での合成ではなく化学的なペプチド合成によって通例取り込まれる非天然アミノ酸残基も包含される。
【0064】
前節に記したように、天然の残基は、配列の修飾に有用であり得る共通な側鎖特性に基づいてクラスに分割することができる。例えば、非保存的置換では、これらのクラスの1つに属するメンバーを、別のクラスに属するメンバーと交換することがある。このような置換された残基は、ヒトでない相同分子種と相同なペプチドの領域中や、あるいは前記分子の非相同領域中に導入することができる。さらに、鎖の配向性に影響を与える目的で、P又はGを用いた修飾を施すこともできる。
【0065】
このような修飾を施す場合には、アミノ酸のヒドロパシー指標を検討することがある。各アミノ酸には、それらの疎水性と電荷特性に基づいて、以下のように、ヒドロパシー指標が割り振られる。これらは、イソロイシン(+4.5);バリン(+4.2);ロイシン(+3.8);フェニルアラニン(+2.8);システイン/シスチン(+2.5);メチオニン(+1.9);アラニン(+1.8);グリシン(−0.4);スレオニン(−0.7);セリン(−0.8);トリプトファン(−0.9);チロシン(−1.3);プロリン(−1.6);ヒスチジン(−3.2);グルタミン酸(−3.5);グルタミン(−3.5);アスパラギン酸(−3.5);アスパラギン(−3.5);リジン(−3.9);及びアルギニン(−4.5)である。
【0066】
タンパク質に対して相互作用的な生物機能を付与する上でのヒドロパシーアミノ酸指標の重要性は、本分野において理解されている。Kyte et al., J. Mol. Biol., 157:105−131(1982)。ある種のアミノ酸は、類似のヒドロパシー指標又はスコアを有する他のアミノ酸と置換することができ、類似の生物活性をなお保持し得ることが知られている。ヒドロパシー指標に基づいて変化を与える際には、そのヒドロパシー指標が±2以内にあるアミノ酸の置換が好ましく、ヒドロパシー指標が±1以内にあるアミノ酸の置換が特に好ましく、ヒドロパシー指標が±0.5以内にあるアミノ酸の置換がさらにとりわけ好ましい。
【0067】
親水性に基づいて、類似のアミノ酸の置換を効果的に行うことができることも、本分野において理解されている。その隣接するアミノ酸の親水性によって支配される、タンパク質の最大局所平均親水性は、その免疫原性及び抗原性と相関する、すなわち、タンパク質の生物特性と相関する。
【0068】
以下の親水性値が、アミノ酸残基に割り振られている。アルギニン(+3.0);リジン(+3.0);アスパラギン酸(+3.0±1);グルタミン酸(+3.0±1);セリン(+0.3);アスパラギン(+0.2);グルタミン(+0.2);グリシン(0);スレオニン(−0.4);プロリン(−0.5±1);アラニン(−0.5);ヒスチジン(−0.5);システイン(−1.0);メチオニン(−1.3);バリン(−1.5);ロイシン(−1.8);イソロイシン(−1.8);チロシン(−2.3);フェニルアラニン(−2.5);トリプトファン(−3.4)。類似の親水性値に基づいて変化を与える際には、その親水性値が±2以内にあるアミノ酸の置換が好ましく、親水性値が±1以内にあるアミノ酸の置換が特に好ましく、親水性値が±0.5以内にあるアミノ酸の置換がさらにとりわけ好ましい。親水性を基礎として、一次アミノ酸配列からエピトープを同定することもできる。これらの領域は、「エピトープのコア領域(epitopic core regions)」とも称される。
【0069】
当業者であれば、周知の技術を用いて、本明細書に記載されているペプチド及び修飾ペプチドの適切な類縁体を決定することが可能であろう。活性を破壊せずに変化させ得る分子の適切な領域を同定するために、当業者は、活性に重要でないと思われている領域を標的とすることができる。このような他の類似のペプチドに対して保存されていないペプチドの領域中の変化は、ペプチドの生物活性及び/又は構造に悪影響を与える可能性がより低いと思われることが理解されるであろう。当業者であれば、比較的保存された領域でさえ、活性を保持しながら、天然の残基を化学的に類似のアミノ酸に置換し得ること(保存的アミノ酸残基の置換)も知悉しているであろう。従って、生物活性又は構造にとって重要な可能性がある領域でさえ、生物活性を破壊せずに又はペプチド構造に悪影響を与えずに、保存的アミノ酸置換を行えることがある。
【0070】
さらに、当業者であれば、構造−機能研究を吟味して、活性又は構造にとって重要である類似ペプチドの残基を同定することができる。このような比較に照らして、類似ペプチド中の活性又は構造にとって重要なアミノ酸残基に対応するペプチド中のアミノ酸残基の重要性を予測することができる。当業者であれば、本発明のペプチド又は修飾ペプチドの、このような予測された重要なアミノ酸残基に対して、化学的に類似のアミノ酸置換を選択することができるであろう。
【0071】
当業者であれば、類似のペプチド又はポリペプチド中のその構造に関して、三次元構造やアミノ酸配列を分析することも可能である。その情報に照らして、当業者であれば、その三次元構造について、ペプチド又はポリペプチドのアミノ酸残基のアラインメントを予想し得るであろう。当業者であれば、タンパク質の表面上に存在すると予測されたアミノ酸残基に対して大きな変化を与えないことを選択するであろう。このような残基は、他の分子との重要な相互作用に関わっている可能性があるからである。さらに、当業者であれば、各所望のアミノ酸残基に単一のアミノ酸置換を含有する試験類縁体を作製することができるであろう。次いで、前記類縁体は、当業者に公知の活性アッセイを用いてスクリーニングすることができる。このようなデータは、適切な類縁体についての情報を集めるために使用することができる。例えば、あるアミノ酸残基に対する変化が、活性を破壊し、望ましくない程度まで活性を減少させ又は不適切な活性を生ぜしめることが発見された場合には、このような変化を有する類縁体は回避されるであろう。換言すれば、このような定型的な実験から集められた情報に基づいて、当業者は、単独で使用した場合又は他の変異と併用した場合にさらなる置換を回避すべきであるアミノ酸を容易に決定することができる。
【0072】
数多くの科学的著作が、二次構造を予測するために力を注いできた。「Moult J., Curr. Op. in Biotech., 7(4):422−427(1996), Chou et al., Biochemistry, 13(2):222−245(1974); Chou et al., Biochemistry, 113(2):211−222(1974); Chou et al., Adv. Enzymol. Relat. Areas Mol. Biol., 47:45−148(1978); Chou et al., Ann. Rev. Biochem., 47:251−276及びChou et al. , Biophys. J., 26: 367−384(1979)」を参照されたい。
さらに、現在では、二次構造の予測を補助するために、コンピュータプログラムを利用することができる。二次構造を予測する1つの方法は、相同性モデリングに基づいている。例えば、30%を超える配列同一性又は40%を超える類似性を有する2つのポリペプチド又はタンパク質は、類似の構造的トポロジーを有することが多い。タンパク質構造データベース(PDB)の最近の充実により、ポリペプチド又はタンパク質の構造内に存在すると思われるフォールディングの数など、二次構造の予測可能性が向上している。「Holm et al., Nucl. Acid. Res., 27(1):244−247(1999)」を参照されたい。あるポリペプチド又はタンパク質中に存在するフォールディングの数は限られており、一定数以上の構造が一度決定されれば、構造の予測精度は劇的に向上すると予想されることが示唆されている(Brenner et al., Curr. Op. Struct. Biol., 7(3):369−376(1997))。
【0073】
二次構造を予測する方法としては、さらに、「ネジきり(threading)」(Jones, D., Curr. Opin. Struct. Biol., 7(3):377−87(1997); Sippl et al., Structure, 4(1):15−9(1996))、「プロファイル分析」(Bowie et al., Science, 253:164−170(1991);Gribskov et al., Meth. Enzym., 183:146−159(1990);Gribskov et al., Proc. Nat. Acad. Sci., 84(13):4355−8(1987))、及び「進化的連関(evolutionary linkage)」(Home、上記、及びBrenner、上記を参照)が挙げられる。
【0074】
本発明に含まれるペプチドと修飾ペプチド断片(すなわち、サブシーケンス)は、完全長配列より短いが、抗NGF活性に関して、インビトロ及び/又はインビボで実質的に同一の生物活性を有しており、アミノ末端、カルボキシ末端、及び/又は内部が切断されている断片である。
【0075】
本発明のペプチド及び修飾ペプチド類縁体、断片及び誘導体は、本明細書に具体的に開示されているペプチド及び修飾ペプチドが有用である用途(すなわち、インビトロ及び/又はインビボでのNGF活性のアンタゴニスト)と同一の用途について有用である。
【0076】
ペプチド。本発明とともに使用されるペプチドは、上記のように、NGFの活性を調節する(例えば、増加又は減少させる)ペプチドである。ファージディスプレイは、特に、下表3に列記されているペプチド(配列番号1−29)を作製する上で有用であった。N末端にメチオニン残基を発現させ得る、これらの各ペプチドのメチオニル成熟(MET−1)型も有用である(配列番号30−58)。本発明の特に好ましいペプチドは、下表5に列記されているアフィニティー成熟ペプチド(affinity matured peptide)である(配列番号202−280)。
【0077】
ビヒクル。本明細書において使用される「ビヒクル」という用語は、治療用タンパク質の分解を抑え、及び/又は半減期を増加させ、毒性を軽減し、免疫原性を減少させ又は生物活性を増加させる分子を表す。本発明において、好ましいビヒクルには、Fcドメインが含まれる。本発明の1つの側面では、アミノ酸残基の1つのN末端、C末端、及び/又は側鎖を介してペプチドに付着した少なくとも1つのビヒクル(F)が存在する必要がある。例えば、各末端にFcドメイン(Fc)を設けるなど、複数のビヒクルを使用してもよい。
【0078】
Fcドメインは、ペプチドのN末端又はC末端に融合させてもよいし、あるいはN末端とC末端の両方に融合させてもよい。対象とされる基質(すなわち、NGF)への結合が維持されている限り、本発明に従って、ネイティブFcは、Fc類縁体を形成するために、大規模に修飾を加えてもよい。例えば、WO 97/34631号及びWO 96/32478号を参照されたい。このようなFcバリアントでは、本発明の融合分子が必要としない構造的な特徴又は機能的な活性を与えるネイティブFcの部位を1つ以上除去してもよい。これらの部位は、例えば、残基を置換若しくは欠失させ、前記部位に残基を挿入し又は前記部位を含有する部分を切断することによって除去することができる。挿入又は置換された残基は、ペプチド模倣体又はDアミノ酸などの改変アミノ酸とすることもできる。Fcバリアントは、数多くの理由によって、望ましいものとなることがあり、それらのうち幾つかは以下に記載されている。典型的なFcバリアントには、以下の分子及び配列が含まれる。
【0079】
1.ジスルフィド結合の形成に関与する部位が除去される。このような除去によって、本発明の分子を生成するために使用される宿主細胞中に存在する他のシステイン含有タンパク質との反応を回避し得る。この目的のために、N末端に存在するシステイン含有セグメントを末端切断し又はシステイン残基を欠失させ若しくは他のアミノ酸(例えば、アラニル又はセリル)と置換させることができる。
【0080】
2.選択した細胞との適合性を向上させるためにネイティブFcが修飾される。例えば、典型的なネイティブFcのN末端に近いPA配列(プロリンイミノペプチダーゼなどのE.コリ(E.coli)中の消化酵素によって認識され得る。)を除去することができる。特に、分子がE.コリ(E.coli)などの細菌細胞中で組換えによって発現されている場合には、N末端にメチオニン残基を付加することもできる。配列番号60のFcドメイン(図2)は、このようなFcバリアントの1つである。このようなFcバリアントは、本発明の幾つかの実施形態、とりわけ、以下の式を有する実施形態において好ましい。
【0081】
−P (V)
(式中、Fcドメインは、ペプチドのN末端に付着している。)
−(X) (VI)
(式中、Fcドメインは、修飾ペプチドのリンカー−ペプチド要素(X)のN末端に付着している。)
最も好ましくは、
−(L)−P (VII)
(式中、Fcドメインは修飾ペプチドのリンカー−ペプチド要素(X)のN末端に付着しており、(X)は式−(L)−Pを有する。)
【0082】
本発明の実施形態には、以下の式の修飾ペプチドも含まれる。
【0083】
P−F (VIII)
(式中、Fcドメインは、ペプチドのC末端に付着している。)
(X)−F (IX)
(式中、Fcドメインは、ペプチド−リンカー要素(X)のC末端に付着している。)
P−(L)−F (X)
(式中、Fcドメインはリンカー−ペプチド要素(X)のC末端に付着しており、(X)は式P−(L)を有する。)
式(VIII)−(X)の修飾ペプチドについて、好ましいビヒクルは、配列番号60に示されたFcドメインが配列番号60の1位に示されているメチオニン残基を欠いたFcバリアントである。
【0084】
3.選択した宿主細胞中で発現したときのN末端の不均一性を抑えるために、ネイティブFcのN末端の一部が除去される。この目的のために、N末端に存在する最初の20個のアミノ酸残基のうち何れか、とりわけ、1、2、3、4及び5位に存在するアミノ酸残基を除去することができる。特に、本発明のペプチド又は修飾ペプチドのリンカー−ペプチド要素のN末端にビヒクル(F)が付着されている場合には、このようなFcバリアントは、本発明の幾つかの実施形態において好ましい。
【0085】
4.1又は複数のグリコシル化部位が除去される。通例グリコシル化されている残基(例えば、アスパラギン)は、細胞溶解性の応答を与えることがある。このような残基は、欠失させるか又はグリコシル化されない残基(例えば、アラニン)と置換することができる。
【0086】
5.補体との相互作用に関与する部位(C1q結合部位など)が除去される。例えば、ヒトIgG1のEKK配列を欠失させ又は置換することができる。本発明の分子に関して、補体の動員が有利でないことがあり得るので、このようなFcバリアントを用いて回避することができる。
【0087】
6.サルベージ受容体以外のFc受容体への結合に影響を与える部位が取り除かれる。ネイティブFcは、本発明の融合分子にとって不要である、ある種の白血球と相互作用するための部位を有している可能性があり、取り除くことができる。
【0088】
7.ADCC部位が除去される。ADCC部位は本分野において公知であり、例えば、IgG1中のADCC部位に関して、「Molec. Immunol., Volume 29 Number 5, pages 633−639(1992)」を参照されたい。これらの部位も、本発明の修飾ペプチド(融合産物)にとって必要でないため、取り除いてもよい。
【0089】
8.ネイティブFcが非ヒト抗体に由来する場合、ネイティブFcはヒト化することができる。典型的には、ネイティブFcをヒト化するために、非ヒトネイティブFc中の選択された残基は、ヒトのネイティブFc中に本来存在する残基に置換されるであろう。抗体をヒト化するための技術は、本分野において周知である。
【0090】
本発明のペプチド又は修飾ペプチドとその実質的な相同体との間について、末端以外の、P領域中の6個以内の残基が異なることが好ましい。より好ましくは、本発明によって想定される実質的な相同体は、本発明のペプチド又は修飾ペプチドのP領域の末端以外の任意の部位に、最大約6つのアミノ酸置換、挿入又は欠失を有する分子を含む。最も好ましくは、ペプチド又は修飾ペプチドとその実質的な相同体との配列の相違、特に前記P領域中の配列の相違は、「保存的な修飾」の形態である。
【0091】
リンカー。任意の「リンカー」基が、必要に応じて使用される。リンカーが存在する場合、リンカーは主としてスペーサーとしての役割を果たすので、その化学的構造は重要でない。リンカーは、好ましくは、ペプチド結合によって互いに連結されたアミノ酸から構成される。このため、好ましい実施形態において、リンカーは、20の天然アミノ酸から選択され、ペプチド結合によって連結された1ないし20個のアミノ酸から構成される。当業者であれば理解できるように、これらのアミノ酸のうち幾つかはグリコシル化されていてもよい。より好ましい実施形態において、前記1ないし20個のアミノ酸は、グリシン、アラニン、プロリン、アスパラギン、グルタミン及びリジンから選択される。さらに好ましくは、リンカーは、グリシンおよびアラニンなどの立体的に妨害されない大半のアミノ酸から構成される。
【0092】
このように、好ましいリンカーは、ポリグリシン、特に(Gly)(配列番号284)、(Gly)(配列番号285)、(Gly)(配列番号286)並びにポリ(Gly−Ala)及びポリアラニンである。リンカーの他の具体例は、以下のとおりである。
【0093】
(Gly)Lys(Gly) (配列番号123);
(Gly)AsnGlySer(Gly) (配列番号124);
(Gly)Lys(Gly) (配列番号125);及び
GlyProAsnGlyGly (配列番号126)
上記命名法を説明すると、例えば、(Gly)Lys(Gly)は、Gly−Gly−Gly−Lys−Gly−Gly−Gly−Glyを意味する。GlyとAlaの組み合わせも好ましい。ここに示されたリンカーは、典型例にすぎない。本発明の範囲に属するリンカーは、さらにもっと長いものであってもよく、他の残基を含んでもよい。
【0094】
非ペプチドリンカーも可能である。例えば、−NH−(CH2)−C(O)−(式中、s=2−20)などのアルキルリンカーが、使用可能である。これらのアルキルリンカーは、低級アルキル(例えば、C−C)、低級アシル、ハロゲン(例えば,Cl、Br)、CN、NH、フェニルなど、立体障害のない任意の基によってさらに置換されてもよい。典型的な非ペプチドリンカーは、PEGリンカーである。
【0095】
【化1】

【0096】
(式中、nは、リンカーの分子量が100ないし5000キロダルトン(kD)、好ましくは100ないし500kDとなるようにする。)。ペプチドリンカーは、上記と同一の様式で、誘導体を形成するために改変してもよい。
【0097】
誘導体。本発明のペプチド又は修飾ペプチドの誘導体も想定される。このような誘導体は、前記ペプチド又は修飾ペプチドの溶解度、吸収、生物学的半減期などを向上させる可能性がある。あるいは、この成分は、ペプチド又は修飾ペプチドの望ましくない何らかの副作用などを除去し又は軽減する可能性がある。典型的な誘導体としては、以下のペプチド又は修飾ペプチドが挙げられる。
【0098】
1.ペプチド若しくは修飾ペプチド又はそれらの一部分が環状である。例えば、前記ペプチド又は修飾ペプチドのペプチド部分は、2以上のCys残基を(例えば、リンカー中に)含有するように修飾することができ、ジスルフィド結合の形成によって環状化することができるであろう。環状化された誘導体の調製に関する参考文献の引用に関しては、WO 00/24782号を参照されたい。
【0099】
2.ペプチド又は修飾ペプチドが架橋される又は分子間架橋を与えることができる。例えば、ペプチド又修飾ペプチドのペプチド部分は、1つのCys残基を含有するように修飾することができ、これにより、同様の分子と分子間ジスルフィド結合を形成することができる。修飾ペプチドは、以下に示されている分子におけるように、そのC末端を介して架橋させることもできる。
【0100】
【化2】

【0101】
3.1又は複数のペプチド[−C(O)NR−]連結(結合)が、非ペプチド連結に置換される。典型的な非ペプチド連結は、−CH−カルバメート[−CH−OC(O)NR−]、ホスフェート、−CH−スルホンアミド[−CH−S(O)NR−]、尿素[−NHC(O)NH−]、−CH−二級アミン及びアルキル化されたペプチド[−C(O)NR−(式中、Rは低級アルキル)]である。
【0102】
4.N末端が誘導体化される。典型的には、N末端は、アシル化されるか又は置換されたアミンに修飾することができる。典型的なN末端誘導体基には、−NRR(−NH以外)、NRC(O)R、−NRS(O)、−NHC(O)NHR、スクシンイミド又はベンジルオキシカルボニル−NH−(CBZ−NH−)が含まれる(式中、RとRは、それぞれ独立して、水素又は低級アルキルであり、フェニル環は、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、クロロ及びブロモからなる群から選択される1ないし3個の置換基で置換されてもよい。)。
【0103】
5.遊離のC末端が誘導体化される。典型的にはC末端がエステル化又はアミド化される。例えば、配列番号1ないし58のうち何れかを有する本発明の修飾ペプチドのC末端に(NH−CH−CH−NHを付加するために、本分野において記載されている方法を使用し得る。同様に、配列番号1ないし58の何れかを有する本発明の修飾ペプチドのC末端にNHを付加するために、本分野において記載されている方法を使用し得る。典型的なC末端誘導基には、例えば、−C(O)R(式中、Rは、低級アルコキシである。)又は−NR(RとRは、独立に、水素又はC−Cアルキル(好ましくはC−Cアルキル)である。)が含まれる。
【0104】
6.ジスルフィド結合が、他の架橋成分(例えば、アルキレン)、より好ましくはジスルフィド基より安定な架橋成分で置き換えられる。例えば、「Bhatnagar et al., J. Med. Chem., Volume 39, pages 3814−3819(1996); Alberts et al., Thirteenth Am. Pep. Symp., pages 357−359 (1993)」を参照されたい。
【0105】
二官能性物質(bifunctional agent)による誘導体化は、ペプチド若しくは修飾ペプチド又はそれらの機能的な誘導体を水に不溶性の支持体マトリックスに又は他の高分子ビヒクルに架橋させるのに有用である。一般に使用される架橋剤には、例えば、1,1−ビス(ジアゾアセチル)−2−フェニルエタン、グルタルアルデヒド、N−ヒドロキシスクシンアミドエステル、例えば、4−アジドサリチル酸とのエステル、3,3’−ジチオビス(スクシンイミジルプロピオネート)のようなジスクシンイミジルエステルを含むホモ二官能性イミドエステル、及びビス−N−マレイミド−1,8−オクタンなどの二官能性マレイミドが含まれる。メチル−3−[(p−アジドフェニル)ジチオ]−プロピオイミデートなどの誘導化剤は、光の存在下で架橋を形成することができる光活性化可能な中間体を与える。あるいは、米国特許第3,969,287号;第3,691,016号;第4,195,128号;第4,247,642号;第4,229,537号、及び第4,330,440号に記載されている、臭化シアンによって活性化された炭水化物のような水に不溶性の反応性マトリックスや反応性基質が、タンパク質の固定化のために使用される。
【0106】
炭水化物(オリゴ糖)基は、都合よく、タンパク質中のグリコシル化部位であることが知られている部位に付着させ得る。一般に、O−結合型のオリゴ糖はセリン(Ser)又はスレオニン(Thr)残基に付着されているのに対して、N−結合型のオリゴ糖はアスペラギン残基が配列Asn−X−Ser/Thr(Xは、プロリンを除く任意のアミノ酸であり得る)の一部であるときには、アスパラギン(Asn)残基に付着されている。Xは、好ましくは、プロリン以外の19種の天然アミノ酸の1つである。それぞれのタイプに見出されるN−結合型及びO−結合型オリゴ糖の構造と糖残基は様々である。両方に一般に見出される糖の1つのタイプは、N−アセチルノイラミン酸(シアル酸と称される)である。シアル酸は、通常、N−連結型とO−連結型の両オリゴ糖の末端基であり、その負電荷により、グリコシル化された修飾ペプチドに酸性特性を付与し得る。このような部位は、本発明の修飾ペプチドのリンカー中に取り込ませることができ(例えば、CHO、BHK、COSなどの哺乳類細胞中において)、ポリペプチド修飾ペプチドを組換え的に産生させる間に、細胞によってグリコシル化されることが好ましい。しかし、本分野において公知の合成または半合成手法によって、このような部位をさらにグリコシル化することもできる。
【0107】
他の考えられる修飾には、プロリン及びリジンの水酸化、セリン又はスレオニン残基の水酸基のリン酸化、Cys中の硫黄原子の酸化、リジン、アルギニン、及びヒスチジン側鎖のα−アミノ基のメチル化が含まれる。Creighton, Proteins: Structure and Molecule Properties, W. H. Freeman & Co., San Francisco, pages 79−86(1983)。
【0108】
修飾ペプチドの総合的な安定性を増加させることができる又は身体中での循環時間を増加させることができる少なくとも1つの成分を付着させることによるペプチドの化学的修飾も想定される。本発明において共有結合されたビヒクルとして有用な成分も、この目的のために使用し得る。このような成分の例には、ポリエチレングリオール(PEG)、エチレングリコールとプロピレングリコールの共重合体、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン及びポリプロリンが含まれる。例えば、「Abuchowski and Davis, Soluble Polymer−Enzyme Adducts, Enzymes as Drugs, Hocenberg and Roberts, eds., Wiley−Interscience, New York, NY, pages 367−383 (1981); Newmark et al., J. Appl. Biochem. Volume 4, pages 185−189(1982)」を参照されたい。使用できる可能性がある他のポリマーは、ポリ−1,3−ジオキソラン及びポリ−1,3,6−トリオキソカンである。PEG成分が好ましい。
【0109】
本発明のペプチド及び修飾ペプチドは、DNAレベルで変化させることもできる。修飾ペプチドの何れかの部分のDNA配列を、選択された宿主細胞との適合性がさらに優れたコドンに変化させ得る。好ましい宿主細胞であるE.コリ(E.coli)の場合、最適化されたコドンは本分野において公知である。選択された宿主細胞中でのDNAのプロセッシングを補助し得る、制限部位を除去し又はサイレントな制限部位を含めるためにコドンを置換させてもよい。ビヒクル、リンカー及びペプチドDNA配列は、先述した配列変化のうち何れかが含められるように修飾させることができる。
【0110】
作製の方法
本発明の修飾ペプチドは、通例、組換えDNA技術を用いて、形質転換された宿主細胞中で作製することができる。このようにするために、ペプチドをコードする組換えDNA分子を調製する。このようなDNA分子を調製する方法は、本分野において周知である。
組換えDNA技術の一般的な原理に関する参考資料としては、Watson et al., Molecular Biology of the Gene, Volumes I and II, The Benjamin/Cummings Publishing Company, Inc., Menlo Park, Calif. (1987); Darnell et al., Molecular Cell Biology, Scientific American Books, Inc., New York, N. Y.(1986); Lewin, Genes II, John Wiley & Sons, New York, N.Y.(1985); Old, et al., Principles of Gene Manipulation: An Introduction to Genetic Engineering, 2k edition, University of California Press, Berkeley, Calif. (1981); Sambrook et al., Molecular Cloning, A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY (1989);及びAusubel et al, Current Protocols in Molecular Biology, Wiley Interscience, N.Y., (1987,1992)が挙げられる。これらの文献は、その中に引用されている文献も含め、参照により全体を本明細書に組込む。
【0111】
例えば、ペプチドをコードする配列は、適切な制限酵素を用いてDNAから切り出すことができる。あるいは、DNA分子は、ホスホラミデート法などの化学的合成技術を用いて合成することができる。これらの技術の組み合わせも使用することができる。
【0112】
本発明には、適切な宿主中で前記ペプチド又は修飾ペプチドを発現することができるベクターも含まれる。該ベクターは、適切な発現調節配列に作動可能に連結されたペプチド又は修飾ペプチドをコードするDNA分子を備える。DNA分子がベクター中に挿入される前又は後の何れかに、この作動可能な連結を実施する方法は周知である。発現調節配列には、プロモーター、アクチベーター、エンハンサー、オペレーター、リボソーム結合部位、開始シグナル、停止シグナル、キャップシグナル、ポリアデニル化シグナル、及び転写又は翻訳の調節に関与するその他のシグナルが含まれる。
【0113】
このようにして得られた、その上にDNA分子を有するベクターは、適切な宿主を形質転換するために使用される。この形質転換は、本分野において周知の方法を用いて実施し得る。
【0114】
利用可能な周知の数多くの宿主細胞のうち任意のものを、本発明を実施する際に使用し得る。特定の宿主の選択は、本分野で認められている数多くの因子に依存する。これらには、例えば、選択した発現ベクターとの適合性、DNA分子によってコードされるペプチドの毒性、形質転換の割合、ペプチド又は修飾ペプチドの回収の容易さ、発現特性、生物学的安全性、及び費用などがある。あるDNA配列を発現させるのに、全ての宿主が同様に効果的であるとは限らないことを理解しながら、これらの因子の釣り合いを取らなければならない。
【0115】
これらの一般的なガイドラインの中では、有用な微生物宿主には、バチルス(Bacillus)、エシェリヒア(Escherichia)(E.coliなど)、シュードモナス(Pseudomonas)、ストレプトマイセス(Streptomyces)、サルモネラ(Salmonella)、エルビニア(Erwinia)の属から得られる細菌、及びハンセヌラ(Hansenula)、クルイベロミセス(Kluyveromyces)、ピヒア(Pichia)、リノスポリジウム(Rhinosporidium)、サッカロミセス(Saccharomyces)及びシゾサッカロミセス(Schizosaccharomyces)属から得られる酵母並びに他の真菌が含まれる。最も好ましい宿主は、ピヒア・パストリス(Pichia pastoris)、バチルス・ズブチリス(Bacillus・subtilis)、バチルス・ブレビス(Bacillus brevis)、サッカロミセス・セレビシアエ(Saccharomyces cerevisiae)の種、エシェリヒア・コリ(Escherichia coli)の様々な系統(例えば、HB101(ATCC番号33694)、DH5α、DH10及びMC1061(ATCC番号53338))、ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)である。
【0116】
本分野では、数多くの適切な哺乳類宿主細胞も公知であり、American Type Culture Collection(ATCC)、10801 University Boulevard、Manassas、VA 20110−2209から、多くが入手可能である。例として、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)(ATCC番号CLL61)、CHO−DHFR細胞(Urlaub et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 97:4216−4220(1980))、ヒト胎児由来腎臓(HEK)293又は293T細胞(ATCC番号CRL1573)又は3T3細胞(ATCC番号CCL92)などの哺乳類細胞が含まれるが、これらに限定されるものではない。適切な哺乳類宿主細胞の選択と、形質転換、培養、増幅、スクリーニング及び生成物の産生と精製法は、本分野において公知である。他の適切な哺乳類細胞株は、サルのCOS−1(ATCC番号CRL1650)及びCOS−7細胞株(ATCC番号CRL1651)並びにCV−1細胞株(ATCC細胞株CCL70)である。さらなる典型的な哺乳類細胞株には、霊長類の細胞株やげっ歯類の細胞株(形質転換された細胞株を含む)が含まれる。通常の二倍体細胞、一次組織のインビトロ培養から得られた細胞系統、及び一次外植片も適切である。候補細胞は、選択遺伝子が欠損した遺伝子型であってもよく、あるいは優性に作用する選択遺伝子を含有していてもよい。他の適切な哺乳類細胞には、マウスの神経芽細胞腫N2A細胞、HeLa、マウスL−929細胞、Swissに由来する3T3株、Balb−c又はNIHマウス、BHK又はHakハムスター細胞株が含まれ、これらはATCCから入手できる(これらに限定されるものではない。)。これらの各細胞株は、タンパク質発現の分野における当業者にとって公知であり、当業者が入手可能なものである。
【0117】
本発明のポリペプチドを発現させるために、当業者に公知である酵母細胞の多数の系統を宿主細胞として利用することもできる。好ましい酵母細胞には、例えば、サッカロミセス・セレビシアエ(saccharomyces cerivisae)及びピヒア・パストーリス(pichia pastoris)が含まれる。
【0118】
さらに、所望であれば、本発明の方法では、昆虫細胞系を利用することもできる。このような系は、例えば、Kitts et al., Biotechniques, 14: 810−817(1993); Lucklow, Curr. Opin. Biotechnol., 4: 564−572(1993) ;及びLucklow et al. (J. Virol., 67: 4566−4579 (1993)に記載されている。好ましい昆虫細胞は、Sf−9とHI5である(Invitrogen, Carlsbad, Ca)。本発明のペプチド及び修飾ペプチドを発現させるためにトランスジェニック動物を使用することもできる。例えば、トランスジェニックミルク産生動物(例えば、ウシ又はヤギ)を使用して、動物のミルク中にペプチド又は修飾ペプチドを得ることができる。本発明のペプチド及び修飾ペプチドを作製するために植物を使用することもできるが、一般に、植物中で起こるグリコシル化は、哺乳類細胞中で産生されるものとは異なっており、ヒトの治療に使用するには適していないグリコシル化産物が得られることがある。
【0119】
形質転換された宿主を培養し、単一クローンの単離体を精製する。所望の修飾ペプチドが発現されるように、慣用の発酵条件下で宿主細胞を培養され得る。このような発酵条件は本分野において周知である。宿主細胞中で機能する任意のプロモーターを、遺伝子発現を調節するために使用することができる。本発明の修飾ペプチド又は少なくともそのペプチド部分が分泌されることが好ましい。修飾ペプチド又はそのペプチド部分が分泌されれば、本分野において周知の方法によって、ペプチドを培地から精製することができる。
【0120】
修飾ペプチド又はそのペプチド部分が不溶性の封入体として細菌宿主中で発現されれば、修飾ペプチド又はそのペプチド部分は、本分野で公知の方法に従って、宿主細胞から採取することができる。例えば、洗浄され凍結された封入体の可溶化は、溶かした封入体にカオトロピック剤や還元剤を含有する緩衝液を添加することによって行うことができる。可溶化混合物は、リフォールディング緩衝液中に希釈して、正しいタンパク質のコンフォメーションとジスルフィド結合を形成させることが好ましい。可溶化混合物を添加する直前に、酸化還元試薬をリフォールディング緩衝液に添加してもよい。リフォールディング溶液は、粒状物を除去するためにフィルターシステムを通過させた後、低温(約5℃)の限外ろ過(UF)によって濃縮してもよい。低分子量の溶質を除去するために、低温での透析ろ過(DF;dialfiltration)を行ってもよい。一般的に、宿主細胞の不純物、生成物の凝集物、ミスフォールディングした不純物の大半を除去するために、酸性pHでの沈殿と清澄が行われる。残余の宿主細胞不純物と生成物の凝集物は、例えば、SP Sepharose FF media、Q Sepharoseカラム、及び/又はCeramic Hydroxyapatiteレジン(Bio−Rad, Hercules, CA)などの陽イオン交換クロマトグラフィーによって除去することができる。
【0121】
前記修飾ペプチド又は少なくともそのペプチド部分は、合成法によって作製することもできる。例えば、固相合成技術を使用することができる。適切な技術は本分野において周知であり、Merrifield, Chem. Polypeptides, pages 335−361 (Katsoyannis and Panayotis editors) (1973); Merrifield, J. Am. Chem. Soc., Volume 85, page 2149 (1963); Davis et al., Biochem. Intl., Volume 10, pages 394−414 (1985); Stewart and Young, Solid Phase Peptide Synthesis (1969);米国特許第3,941,763号; Finn et al., The Proteins (3d edition), Volume 2, pages 105−253 (1976);及びErickson et al., The Proteins (Third Edition), Volume 2, pages 257−527(1976)に記載されているものが含まれる。固相合成は、コスト効率に優れているため、個々のペプチドを作製するための好ましい技術である。非ペプチド基を含有する修飾ペプチドは、周知の有機化学技術によって合成することができる。
【0122】
医薬組成物
総論。本発明は、例えば、痛み(炎症性の痛み及びこれに伴う痛覚過敏や異痛症、神経障害性の痛み及びこれに伴う痛覚過敏や異痛症、糖尿病性神経障害の痛み、灼熱痛、交感神経によって維持される痛み、除神経後症候群、急性の痛み、緊張性頭痛、偏頭痛、歯痛、外傷からの痛み、手術の痛み、切断又は膿瘍から生じる痛み、灼熱痛、脱髄疾患、並びに三叉神経痛が含まれるが、これらに限定されない)の予防又は治療における、本発明のペプチド及び/又は修飾ペプチドの医薬組成物を使用する方法も提供する。本発明のペプチド及び修飾ペプチドは、喘息、強迫性尿失禁(すなわち、過活動膀胱)、乾癬、癌(特に、膵臓癌及び悪性黒色腫)、慢性アルコール依存症、発作、視床痛症候群、糖尿病、後天性免疫不全症候群(「AIDS」)、トキシン及び化学療法、一般的な頭痛、偏頭痛、群発性頭痛、混合血管性(mixed−vascular)及び非血管性症候群、一般的な炎症、関節炎、リウマチ性疾患、狼瘡、骨関節炎、炎症性大腸疾患、炎症性眼疾患、炎症性又は不安定膀胱疾患、乾癬、炎症性要素を伴う皮膚病、日焼け、心臓炎、皮膚炎、筋炎、神経炎、膠原血管病、慢性炎症症状、喘息、上皮組織の損傷又は機能障害、単純ヘルペス、呼吸、泌尿生殖器、胃腸又は血管領域における臓器の運動性の障害、創傷、火傷、アレルギー性の皮膚反応、掻痒、白斑、一般的な胃腸疾患、大腸炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、血管運動性又はアレルギー性鼻炎又は気管支疾患など(これらに限定されない)、NGFが原因因子として関連する他の疾病の予防又は治療において治療的価値を有する。
【0123】
本発明は、上に列記された同じ疾病の予防又は治療のための本発明のペプチド及び/又は修飾ペプチドの使用も提供する。
【0124】
従って、本発明は、上記疾患のうち任意の1つなど、疾患を治療するための医薬の製造における、本発明のペプチド及び/又は修飾ペプチドの1又は複数の使用にも関する。
【0125】
このような医薬組成物又は医薬は、注射による投与又は経口、経肺、経鼻、経皮又はその他の形態の投与用とすることができる。一般に、本発明は、薬剤として許容される希釈剤(diluent)、防腐剤、可溶化剤、乳化剤、アジュバント及び/又は担体とともに、本発明のペプチド又は修飾ペプチドの有効量(痛み又は本明細書に記載されているその他の医学的症状のうち任意のものを予防し、改善し又は消失させるのに有効な量)を含む医薬組成物を包含する。このような組成物は、様々な緩衝液内容物(例えば、Tris−HCl、酢酸塩、リン酸塩)、pH及びイオン強度の希釈剤、界面活性剤及び可溶化剤(例えば、Tween 80、Polysorbate 80)などの添加物、抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸、メタ重亜硫酸ナトリウム)、防腐剤(例えば、チメロソール(Thimerosol)、ベンジルアルコール)及びバルク物質(例えば、ラクトース、マニトール);ポリ乳酸、ポリグリコール酸等のポリマー性修飾ペプチドの粒子状調製物又はリポソーム中への前記物質の取り込みが含まれる。ヒアルロン酸も使用することができ、これは、循環中における持続を促進させる効果を有することがある。このような組成物は、本発明のタンパク質と誘導体の物理的状態、安定性、インビボ放出の速度、及びインビボクリアランスの速度に影響を与える可能性がある。例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences, 18th Edition., Mack Publishing Co., Easton, PA, pages 1435−1712(1990)(参考文献として、本明細書に援用される)を参照されたい。前記組成物は、液体の形態で調製してもよいし、あるいは、乾燥した粉末(凍結乾燥された形態など)として調製してもよい。インプラント可能な持続的放出調合物も、経皮調合物などとして、想定される。
【0126】
経口投薬剤形。本発明への使用が想定されるのは、固形の経口投薬剤形であり、これらは、参照により本明細書に組込まれる上記Remington’s Pharmaceutical Sciencesの第89章に総説されている。固形の投薬剤形には、錠剤、カプセル、丸薬、トローチ又はトローチ剤、カプセル(cachet)又は小丸薬(pellet)が含まれる。本発明の組成物を調合するために、リポソーム又はプロテイノイド封入も使用し得る(例えば、米国特許第4,925,673号に報告されたプロテイノイドミクロスフェアを参照)。リポソーム封入を使用することもでき、リポソームは様々なポリマーで誘導体化してもよい(例えば、米国特許第5,013,556号を参照)。可能な固形投薬剤形は、Marshall, K., Modern Pharmaceuticsの第10章、編集G. S. Banker and C. T. Rhodes (1979)に記載されており、本明細書に参照により組込む。一般に、前記調合物は、本発明の修飾ペプチドの他に、胃環境から保護して、腸内で修飾ペプチドを放出させ得る不活性成分を含む。
【0127】
本発明のペプチド又は修飾ペプチド自体の経口投薬剤形も、具体的に想定される。この点に関して、必要であれば、ペプチド又は修飾ペプチドは、経口送達が効果的となるように、化学的に修飾を施してもよい。本発明の修飾ペプチドの吸収を強化するための担体として、N−(8−[2−ヒドロキシベンゾイル]アミノ)カプリル酸ナトリウム(SNAC)などの修飾された脂肪族アミノ酸の塩を使用することも可能である。「Oral Drug Delivery Composition and Methods」と題された米国特許第5,792,451号を参照されたい。
【0128】
本発明のペプチド又は修飾ペプチドは、粒径が約1ミリメートルの顆粒又は小丸薬の形態の微細な多成分粒子(multiparticulate)として、前記調合物中に加えることができる。カプセル投与用の前記物質の調合物は、粉末、軽度に圧縮されたプラグ、あるいは錠剤とすることも可能であろう。治療薬は、圧縮によって調製することができる。
【0129】
着色剤及び着香剤は、すべて加えることができる。例えば、ペプチド若しくは修飾ペプチド又はそれらの誘導体を調合した後(例えば、リポソーム又はミクロスフェア封入によって)、さらに、着色剤や着香剤を含有する冷凍飲料などの食品中に含有させてもよい。
【0130】
不活性物質を用いて、本発明のペプチド又は修飾ペプチドの容量を希釈し又は増加させてもよい。これらの希釈剤には、炭水化物、特に、マニトール、α−ラクトース、無水ラクトース、セルロース、スクロース、修飾デキストラン及びデンプンが含まれ得るであろう。三リン酸カルシウム、炭酸マグネシウム及び塩化ナトリウムなど、ある種の無機塩も、充填剤として使用することができる。市販の希釈剤を幾つか挙げると、Fast−Flo、Emdex、STA−Rx 1500、Emcompress及びAvicellがある。
【0131】
固形投薬剤形の前記治療薬の調合物には、崩壊剤を加えてもよい。崩壊剤として使用される物質には、デンプン(デンプンを基本とした市販の崩壊剤Explotabを含む)が含まれるがこれに限定されない。デンプングリコール酸ナトリウム、Amberlite、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ウルトラミロペクチン(ultramylopectin)、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン、オレンジピール、酸性カルボキシメチルセルロース(acid carboxymethyl cellulose)、海綿(natural sponge)及びベントナイトも使用し得る。崩壊剤の別の形態は、不溶性の陽イオン交換樹脂である。粉末ゴム(powdered gum)を崩壊剤及び結合剤として使用してもよく、これらには、寒天、Karaya又はトラガカントなどの粉末ゴムが含まれ得る。アルギン酸及びそのナトリウム塩も、崩壊剤として有用である。
【0132】
医薬組成物の成分を互いに固定して硬質錠剤を形成させるために、結合剤を使用してもよく、結合剤には、アカシア、トラガカント、デンプン及びゼラチンなどの天然産物から得られる物質が含まれる。他の結合剤には、メチルセルロース(MC)、エチルセルロース(EC)及びカルボキシメチルセルロース(CMC)が含まれる。ポリビニルピロリドン(PVP)とヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)はともに、治療薬を粒状化するためにアルコール溶液中で使用することができるであろう。
【0133】
調合プロセス中の付着を抑えるために、抗摩擦剤を前記調合物中に加えてもよい。治療薬とダイ壁の間の層として、潤滑剤を使用することができ、これらには、ステアリン酸(そのマグネシウム塩とカルシウム塩を含む)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、流動パラフィン、植物油及び蝋が含まれ得るが、これらに限定されるものではない。ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウム、様々な分子量のポリエチレングリコール、Carbowax 4000及び6000などの可溶性潤滑剤を使用することもできる。
【0134】
調合時における修飾ペプチドの流動特性を改善し、圧縮時の再配置を補助し得る流動促進剤を加えてもよいであろう。このような流動促進剤には、デンプン、タルク、発熱性シリカ(pyrogenic silica)及び水和したアルミノケイ酸塩が含まれ得る。
【0135】
水性環境中への本発明のペプチド又は修飾ペプチドの溶解を補助するために、湿潤剤として、界面活性剤を添加してもよいであろう。このような界面活性剤には、ラウリル硫酸ナトリウム、ジオクチル・スルホコハク酸ナトリウム及びジオクチル・スルホン酸ナトリウムなどの陰イオン性界面活性剤が含まれ得る。陽イオン性界面活性剤を使用してもよく、塩化ベンザルコニウム又は塩化ベンゼトニウムが含まれ得る。前記調合物中に界面活性剤として加えることができる可能性のある非イオン性界面活性剤を列記すると、ラウロマクロゴール 400、ステアリン酸ポリオキシル 40、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油10、50及び60、モノステアリン酸グリセロール、ポリソルビン酸40、60、65及び80、スクロース脂肪酸エステル、メチルセルロース及びカルボキシメチルセルロースがある。これらの界面活性剤は、調合剤中に単独で存在させてもよいし、あるいは様々な比率で混合物として存在させてもよい。
【0136】
ペプチド又は修飾ペプチドの取り込みを増大させるために、調合物中に添加物を加えてもよい。この特性を有する可能性がある添加物には、例えば、オレイン酸、リノール酸及びリノレン酸などの様々な脂肪酸が含まれる。
【0137】
制御放出調合物が望ましいこともある。本発明のペプチド又は修飾ペプチドは、拡散又は浸出機構(例えば、ゴム)の何れかによって放出を可能とする不活性マトリックス中に取り込ませることができる。ゆっくりと変性するマトリックス、例えば、アルギネート又は多糖も、調合物中に取り込ませ得る。本発明のペプチド又は修飾ペプチドを制御放出する別の形式は、Oros治療システム(Alza Corp.)を基礎とする方法によるものである。すなわち、水を入らせることができ、浸透圧効果によって単一の小さな開口部から薬物を押し出すことができる半透膜中に、薬物が封入される。腸溶コーティングの中にも、遅延放出効果を有するものがある。
【0138】
これ以外のコーティングを前記調合物に対して使用してもよい。これらには、コーティングパン中に塗布し得る様々な糖が含まれる。前記治療剤は、フィルムでコートされた錠剤の中に与えることも可能であり、この事例で使用される物質は、2つのグループに分けられる。第一のグループは非腸溶性物質であり、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシ−エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピル−メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、プロビドン及びポリエチレングリコールが含まれる。第二のグループは、フタル酸の一般的なエステルである腸溶物質からなる。
【0139】
最適なフィルムコーティングを与えるために、物質の混合物を使用することもできる。フィルムコーティングは、パンコーティング装置(pan coater)中で、流動床中で又は圧縮コーティングによって実施することができる。
【0140】
経肺送達剤形。本明細書では、本発明による医薬組成物の経肺送達も想定される。前記ペプチド又は修飾ペプチド(又はそれらの誘導体)は、吸入によって哺乳類の肺に達し、肺上皮内壁から血流へ浸透する。この点に関して参考となり得る大分子の経肺送達に関する報告には、Adjei et al., Pharma.Res., Volume 7,pages 565−569(1990), Adjei et al., Internatl. J. Pharmaceutics, Volume 63, pages 135−144(1990)(酢酸ロイプロリド); Braquet et al., J.Cardiovasc.Pharmacol., Volume 13 (suppl.5),s143−146(1989)(エンドセリン−1);Hubbard et al., Annals Int.Med., Volume 3, pages 206−12(1989)(αl−アンチトリプシン);Smith et al., J.Clin.Invest., Volume 84, pages 1145〜1146(1989)(αl−プロテイナーゼ)、Oswein et al., “Aerosolization of Proteins”, Proc.Symp.Resp.Drug Delivery II、Keystone, Colorado(1990)(組換えヒト成長ホルモン)、Debs et al., J.Immunol., Volume 140、pages 3482−3488(1988)(インターフェロン−γ及び腫瘍壊死因子α)、及び米国特許第5,284,656号(顆粒球コロニー刺激因子)が含まれる。
【0141】
治療用製品を経肺送達するために設計された、当業者には公知であるネブライザー、定量噴霧式吸入器、及び粉末吸入器などの多岐にわたる機械装置(これらに限定されない)が本発明を実施する際に使用されることが想定される。本発明を実施するのに適した市販の装置のいくつかの具体例は、Mallinckrodt、Inc(ミズーリ州セントルイス)製のUltraventネブライザー、Marquest Medical Products(コロラド州エングルウッド)製のAcornIIネブライザー、Glaxo Inc.(ノースカロライナ州リサーチトライアングルパーク)製のVentolin定量式噴霧吸入器、及びFisons Corp.(マサチューセッツ州ベッドフォード)製のSpinhaler粉末吸入器である。
【0142】
このような装置では全て、前述のペプチド及び修飾ペプチドの投薬に適した調合物を使用することが必要である。一般に、それぞれの調合物は使用する装置の種類毎に固有であり、治療に有用な希釈剤、補助剤及び/又は担体に加えて適切な噴霧剤の使用を伴ってもよい。
【0143】
本発明のペプチド又は修飾ペプチドを遠位の肺に最も効果的に送達するためには、平均粒径10マイクロメータ(μm)又はミクロン未満、最も好ましくは0.5から5μmの範囲の粒状物形態に調製することが最も有利であろう。
【0144】
これら肺用組成物のための薬剤として許容される担体には、トレハロース、マニトール、キシリトール、スクロース、ラクトース及びソルビトールなどの炭水化物が含まれる。調合物に使用するその他の成分には、DPPC、DOPE、DSPC及びDOPCを含めることができる。天然又は合成界面活性剤を使用してもよい。(タンパク質又は類縁体の誘導体化に使用することは別として)PEGを使用してもよい。シクロデキストランなどのデキストラン、胆汁酸塩、セルロース及びセルロース誘導体も使用してもよい。例えば、緩衝調合物中に、アミノ酸を使用してもよい。
【0145】
さらに、リポソーム、マイクロカプセル又はミクロスフェア、包接複合体(inclusion complex)又はその他の種類の担体の使用も想定される。
【0146】
ジェット型又は超音波型の何れかのネブライザーで使用するのに適した調合物には一般に、溶液1ミリリットル(ml)当たり生物活性タンパク質約0.1から25ミリグラム(mg)の濃度で水に溶解した前述の修飾ペプチドが含まれる。前記調合物には、(例えば、ペプチドを安定化し、浸透圧を調節するための)緩衝液及び単糖を含めることもできる。ネブライザー調合物には、エアロゾルを形成するときの溶液の噴霧化によって引き起こされるタンパク質の表面誘導性の凝集を軽減又は抑制するために、界面活性剤を含めることもできる。
【0147】
定量噴霧吸入器装置で使用する調合物には一般に、界面活性剤を利用して噴射剤中に懸濁させた前述の修飾ペプチドを含有する超微粒子粉末が含まれる。噴射剤は、この目的のために使用される任意の慣用材料、例えば、クロロフルオロカーボン、ハイドロクロロフルオロカーボン、ハイドロフルオロカーボン又はハイドロカーボンとすることができ、トリクロロフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタノール及び1,1,1,2−テトラフルオロエタン又はそれらの組み合わせが含まれる。適切な界面活性剤には、トリオレイン酸ソルビタン及び大豆レシチンが含まれる。オレイン酸も、界面活性剤として使用することができる。
【0148】
粉末吸入装置から投薬するための調合物には、前述の修飾ペプチドを含有する超微粒子粉末が含まれ、ラクトース、ソルビトール、スクロース、マンニトール、トレハロース又はキシリトールなどのバルク剤を、前記装置からの粉末の投与を容易にする量、例えば、調合物の50から90重量%で含めることもできる。
【0149】
経鼻送達剤形。前記ペプチド及び修飾ペプチドの経鼻送達も想定される。経鼻送達によって、鼻に治療用製品を投与した後、肺に該製品を沈着させる必要なく、本発明の修飾ペプチドを直接血流へと通過させることが可能である。経鼻送達用の調合物には、デキストラン又はシクロデキストランを有するものが含まれる。その他の粘膜からの輸送を介した送達も想定される。
【0150】
投与量。関連する疾病又は疾患の治療法に必要な投薬計画は、治療薬の作用を変更する様々な要素、例えば、年齢、症状、体重、性別及び患者の食事状態、治療する症状の重症度、投与期間、及びその他の臨床要素を考慮して、主治医によって決定されるであろう。一般的に、毎日の投与計画は、体重1キログラム(kg)当たり修飾ペプチド1.0−10000マイクログラム(μg)の範囲、好ましくは体重1キログラム当たり1.0−1000μg、最も好ましくは体重1キログラム当たり1.0〜150μgとすべきである。
【0151】
(実施例)
本発明のペプチド及び修飾ペプチドは以下に説明したように調製することができる。これらの実施例には、本発明の好ましい実施形態が含まれるが、単に例示するだけにすぎず、それらに限定することを意図するものではない。
【実施例1】
【0152】
ペプチドファージディスプレイによるNGF阻害ペプチドの同定
1.NGFコーティング磁気ビーズの調製
A.NGFタンパク質のビオチン化。ヒト組換えNGFは、EZ−link−Sulfo−NHS−LC−ビオチン化キット(Pierce、イリノイ州ロックフォード)を使用し、製造者の指示に従ってビオチン化した。該ビオチン化NGFタンパク質をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で透析して、溶液から遊離の浮遊ビオチンを除去した。該ビオチン化NGFタンパク質溶液をImmunopure固定モノメリックアビジンカラム(Piece、イリノイ州ロックフォード)に通過させ、未結合のビオチン又は結合の弱いビオチンをすべて除去した。該ビオチン化NGFタンパク質含有溶液は、Centriconユニット(Amicon、マサチューセッツ州ベッドフォード)を使用して濃縮し、最終タンパク質濃度はBio−Radタンパク質アッセイ試薬(Bio−Rad Labs、カリフォルニア州ハーキュリーズ)を使用して測定した。精製濃縮したビオチン化NGFは、DRG神経をベースとしたNGF中和バイオアッセイ(詳細は以下の実施例3を参照)において、及びSCG神経をベースとした中和アッセイ(ここでは説明せず)においても十分な活性を有することが示された。
【0153】
B.磁気ビーズへのNGF固定。前記ビオチン化NGFタンパク質は、メーカーから購入したビーズストック100ミリリットル(ml)当たりビオチン化NGFタンパク質2ミリグラム(mg)の濃度でストレプトアビジンDynabead(Dynal、ニューヨーク州レイクサクセス)に固定した。磁石を使用してビーズを試験管の片側へ引き寄せ、液体をピペットで取り除くことによって、ビーズをリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で2回洗浄して、PBSに再懸濁した。ビオチン化NGFタンパク質を洗浄したビーズに上記濃度で添加し、回転させながら室温で1時間インキュベートした。次にNGFコーティングビーズにBSAを最終濃度1%まで添加することによってブロックし、回転させながら4℃で一晩インキュベートした。その後、得られたNGFコーティングビーズをPBST(すなわち、0.05%Tween20を含むPBS)で5回洗浄し、選択処理を行った。
【0154】
C.陰性選択用ビーズの調製
陰性選択用にも、さらにビーズを調製した。それぞれのパニング条件に対して、メーカーから購入したビーズストック250マイクロリットル(μl)に、ビオチン化NGFとのインキュベート段階を省くこと以外の前記処理(前記の1.A.項)を行った。最後の洗浄段階で、ビーズを50mlずつ5群に分割した。
【0155】
2.NGF結合ファージの選択
A.全体的方針。3種類の繊維状ファージライブラリー、TN8−IX(5x10個の独立した形質転換体)、TN12−I(1.4x10個の独立した形質転換体)及びLinear(2.3x10個の独立した形質転換体)(Dyax Corp.,マサチューセッツ州ケンブリッジ)を使用して、NGF結合ファージを選択した。各ライブラリーについて、抗体溶出(2.D.項)、受容体溶出(2.E.項)及びビーズ溶出(2.F.項)を行った。したがって、9種類の異なるパニング条件を実施した(抗体溶出法を使用したTN8−IX、受容体溶出法を使用したTN8−IX、ビーズ溶出法を使用したTN8−IX、抗体溶出法を使用したTN12−I、受容体溶出法を使用したTN12−I、ビーズ溶出法を使用したTN12−I、抗体溶出法を使用したLinear、受容体溶出法を使用したLinear、ビーズ溶出法を使用したLinear)。各条件について、選択を3回実施した。
【0156】
B.陰性選択。各パニング条件について、TN8−IX及びTN12−Iライブラリー(TN8−IXは5x1011pfu、TN12−Iは1.4x1011pfu)では約100個のランダムライブラリー相当物、Linearライブラリー(2.3x1010pfu)では約10個のランダムライブラリー相当物をライブラリーストックから小分けし、PBSTで300μlに希釈した。最終洗浄後、陰性選択用に調製したビーズ(1.B.項)の第1の分取試料50μlから液体を除去し、300μlに希釈したライブラリーストックを該ビーズに添加した。得られた混合物を室温で回転しながら10分間インキュベートした。磁石を使用してファージ上清を抜き取り、もう1つの陰性選択工程用の第2の分取試料50μlに添加した。このようにして、5回の陰性選択工程を実施した。
【0157】
C.NGFタンパク質コーティングビーズを使用した選択。
【0158】
最後の陰性選択工程(前記の1.B.項)後のファージ上清を、最終洗浄工程後(前記の1.A.項)のNGFコーティングビーズに添加した。この混合物を回転しながら室温で1時間から2時間インキュベートし、特異的なファージを標的タンパク質に結合させた。上清を廃棄した後、ビーズをPBSTで7回洗浄した。
【0159】
D.結合したファージの抗体溶出。最終洗浄工程後(前記の2.C.項)、10μMモノクローナル抗ヒト神経増殖因子−βクローン25623.1(カタログ番号N−3279、Sigma、ミズーリ州セントルイス)100μlを添加することによって、磁気ビーズから結合したファージを溶出した。回転しながら室温で1時間インキュベートした後、溶出したファージを含有する液体を抜き取り、他の試験管に移した。MinA塩溶液(60mM KHP0、33mM KHPO、7.6mM (NH)SO及び1.7mM クエン酸ナトリウム)900マイクロリットルを添加し、最終量を1mlとした。
【0160】
E.結合ファージの受容体(trkA)溶出。
【0161】
最終洗浄工程後(前記の2.C.項)、100μMの可溶性NGF受容体、trkA(Ig様細胞外サブドメイン、アミノ酸280〜384)100μlを添加することによって、磁気ビーズから結合したファージを溶出した。回転しながら室温で1時間インキュベートした後、溶出したファージを含有する液体を抜き取り、他の試験管に移した。MinA塩溶液(60mM KHP0、33mM KHPO、7.6mM (NH)SO及び1.7mM クエン酸ナトリウム)900マイクロリットルを添加し、最終量を1mlとした。
【0162】
F.ビーズ溶出。最終洗浄後、液体を抜き取り(2.C.項)、MinA塩溶液1mlを該ビーズに添加した。感染させるため、このビーズ混合物を濃縮細菌試料に直接添加した(以下の3.A.項及び3.B.項)。
【0163】
3.増幅
A.播種細胞の調製。新鮮なE.コリ(XL−1 Blue MRF’)は、テトラサイクリン12.5μg/mlを含有するLB培地でOD600=0.5になるまで培養した。パニング条件それぞれについて、この培養物20mlを氷上で冷却して、遠心した。細菌ペレットをMinA塩溶液1mlに再懸濁した。
【0164】
B.形質導入。異なる溶出方法(前記の2.D.項及び2.E.項)の混合物それぞれを濃縮細菌試料(3.A.項)に添加し、37℃で15分間インキュベートした。NZCYM培地(2XNZCYM、アンピシリン50μg/ml)2ミリリットルを各混合物に添加し、37℃で15分間インキュベートした。アンピシリン50μg/mlを含有する大きなNZCYM寒天プレートに得られた溶液4mlを播種し、37℃で一晩インキュベートした。
【0165】
C.ファージ回収。大きなNZCYM寒天プレートで一晩増殖させた細菌/ファージ混合物(3.B.項)それぞれをLB培地35mlに掻き取り、該寒天プレートをさらにLB培地35mlで洗浄した。LB培地中に得られた細菌/ファージ混合物を遠心して、細菌を除去した。該ファージ上清50ミリリットルを新しい試験管に移し、PEG溶液(20% PEG8000、3.5M 酢酸アンモニウム)12.5mlを添加し、氷上で2時間インキュベートして、ファージを沈殿させた。沈殿したファージを遠心し、ファージ再懸濁緩衝液(250mM NaCl、100mM Tris pH8、1mM EDTA)6mlに再懸濁した。残存する細菌を遠心除去し、もう一度PEG溶液1.5mlを添加することによってファージを沈殿化させ、このファージ溶液をさらに精製した。遠心工程の後、ファージペレットをPBS400mlに再懸濁した。この溶液に最後の遠心を行い、残存する一切の細菌残渣を除去した。得られたファージ調製物は、標準的プラーク形成アッセイ(Molecular Cloning、Maniatis他、3版)によって力価測定した。
【0166】
4.選択及び増幅の繰り返し。
【0167】
2回目は、1回目(3.C.項)で増幅したファージ(1010pfu)を投入ファージとして使用して、選択及び増幅工程(2項及び3項)を実施した。次に、2回目で増幅したファージ(1010pfu)を投入ファージとして使用して、3回目の選択及び増幅(2項及び3項)を実施した。3回目の溶出段階(2.D.項、2.E.項、及び2.F.)の後、溶出ファージの少量画分をプラーク形成アッセイとして播種した(3.C.項)。個々のプラークを採取し、各ウェルにTE緩衝液(10mM Tris、1mM EDTA、pH8.0)100μlを含有する96ウェルマイクロタイタープレートに播種した。Sambrook et al., Molecular Cloninng, A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harobr, NY(1989)。これらのマスタープレートを4℃で一晩インキュベートして、ファージをTE緩衝液に溶出させた。
【0168】
5.クローン分析(ファージELISA及び配列決定)
ファージクローンは、ファージELISA及び従来の配列決定方法によって分析した。該配列は、これら2種類のアッセイから得られた結果を合わせたものに基づいて分類した。
【0169】
A.ファージELISA。XL−1 Blue MRF’培養物を、OD600が0.5に達するまで培養した。この培養物30マイクロリットルを96ウェルMaxisorpマイクロタイタープレートの各ウェルに分注した。(4項の)溶出ファージ10マイクロリットルを各ウェルに添加し、室温で15分間細菌に感染させた。12.5μg/mlのテトラサイクリン及び50μg/mlのアンピシリンを含有するLB培地130マイクロリットルを各ウェルに添加した。次に、該マイクロタイタープレートを振盪しながら37℃で一晩インキュベートした。組換えNGFタンパク質(1mg/mlのPBS溶液)を96ウェルプレート(NUNC)に4℃で一晩コーティングした。対照として、純粋なストレプトアビジンを2μg/mlのPBSに溶かして、別のMaxisorpプレートにコーティングした。翌日、タンパク質をコーティングしたMaxisorpプレートの液体を廃棄し、5%ミルク溶液300ml中において、4℃で一晩(あるいは、室温で1時間)各ウェルをブロックした。ミルク溶液を廃棄し、ウェルをPBST溶液で3回洗浄した。最終洗浄工程後、タンパク質をコートしたMaxisorpプレートの各ウェルにPBST−4%ミルク50μlを添加した。96ウェルマイクロタイタープレートの一晩培養液それぞれ50μlをNGFコーティングプレート及び対照ストレプトアビジンコーティングプレートの対応するウェルに移した。2種類のプレート内の混合物100μlを室温で1時間インキュベートした。Maxisorpプレートの液体を廃棄し、ウェルをPBSTで5回洗浄した。HRP結合抗M13抗体(Pharmacia)を1:7500に希釈し、該希釈溶液100μlをMaxisorpプレートの各ウェルに添加し、室温で1時間インキュベートした。この液体を再度廃棄し、ウェルをPBSTで7回洗浄した。発色反応を起こすためにTMB基質(Sigma)100マイクロリットルを各ウェルに添加し、5N HSO溶液50μlで反応を停止させた。OD450は、プレートリーダー(Molecular Devices)で読み取った。
【0170】
B.ファージクローンの配列決定。各ファージクローンについて、配列決定用鋳型はPCR法によって調製した。以下のオリゴヌクレオチド対、第1プライマー、5’−CGGCGCAACTATCGGTATCAAGCTG−3’(配列番号127)及び第2プライマー、5’−CATGTACCGTAACACTGAGTTTCGTC−3’(配列番号128)を使用して、約500塩基対の断片を増幅した。以下の混合物を各クローンのために調製した。
【0171】
【表4】

【0172】
サーモサイクラー(GeneAmp PCRシステム9700、Applied Biosystems、Inc.、カリフォルニア州フォスターシティー)を使用して、以下の行程、94℃5分、(94℃30秒、55℃30秒、72℃45秒)x30回、72℃7分、4℃まで冷却を実施した。各反応のPCR生成物は、QIAquick Multiwell PCR精製キット(Qiagen)を使用して、製造者のプロトコールに従って精製した。精製した生成物は、10xアガロースゲル添加色素1μlを混合したPCR反応液それぞれ10μlを1%アガロースゲルで泳動することによって調べた。次にABI377シークエンサー(Applied Biosystems、カリフォルニア州フォスターシティー)を使用し、製造者が推薦するプロトコールに従って、残存する生成物の配列を決定した。
【0173】
6.ペプチド配列のランク付けとコンセンサス配列
A.配列のランク付け。ファージクローンは、ファージELISA及びDNA配列決定から得られた結果を合わせてランク付けした。何回も生じるペプチド配列は、改変用候補と見なした。さらに、ペプチドをコード化するヌクレオチド配列(5.B.項)それぞれをELISAデータと対比させた。対応するストレプトアビジンコーティングウェルで生じたOD450値よりもNGFコーティングウェルで生じたOD450値の方が高いファージクローンによって発現したペプチドも、改変用と見なした。これらの基準に基づいて改変用に選択された各ペプチド配列(配列番号1〜29)のモノマーは、実施例2で説明したようにヒトIgG1のFc領域にインフレームで融合させた(すなわち、修飾ペプチド)。
【0174】
B.コンセンサス配列の決定。TN8−IXライブラリーから、2種類の異なるコンセンサス配列を決定した。XCWF/WS/TEEGCXXX(配列番号274)、及びXL/FQCF/YSXXXX(配列番号275)である。下線を引いた「コアアミノ酸配列」は、それぞれの位置で最も生じる頻度が高いアミノ酸を決定することによって得られた。コア配列に隣接した2個のシステインはTN8−IXライブラリーにおいて固定されたアミノ酸であった。固定システインがその後に続くLQSモチーフ:XXXCXXXXXXXLQSCXXX(配列番号276)は、TN12−Iライブラリーの多くの配列に見いだされた。しかし、Linearライブラリーから得られた配列には、高度に保存されたモチーフは見いだされなかった。
【実施例2】
【0175】
ペプチド−Fc融合生成物の構築
前記のように選択した候補ペプチド配列を使用して、各ペプチドのモノマーがヒトIgG1のFc領域にインフレームで融合させた融合タンパク質を構築した。修飾ペプチドは、それぞれ、表3に示したオリゴヌクレオチド(「oligo」)対をアニーリングして、前記ペプチドと、前記ペプチドに応じて、NdeIからXhoI断片としてグリシン残基5個、ロイシン残基1個及びグルタミン酸残基1個を含むリンカーとをコードする二本鎖を作製することによって構築した。ヒトFc遺伝子を含有し、NdeI及びXhoIでも消化したベクター(pAMG21−FcN−末端、以下にさらに説明する)にこれらの二本鎖を連結した。得られた連結混合物をE.コリ細胞2596株にエレクトロポレーションすることによって形質転換した(GM221、以下にさらに説明する)。クローンが組換えタンパク質生成物を産生し、正確なヌクレオチド配列を有する遺伝子融合物を保持する能力をスクリーニングした。このような単一クローンを修飾ペプチド(すなわち、Fc−ペプチド融合生成物)それぞれについて選択した。試料NGF−C12からNGF−C18までのペプチド部分は、前述の分析に基づいたコンセンサス配列であった。
【0176】
【表5】

【0177】
pAMG21−Fc N末端ベクターの構築
pAMG21
発現プラスミドpAMG21(ATCC番号98113)は、発現ベクターpCFM1656(ATCC番号69576)及び米国特許第4,710,473号に記載された発現ベクター系から、国際特許出願第WO 00/24782号(100〜103ページに渡る実施例2の部分並びに図17A及び17Bを参照)に記載された方法に従って得た。
【0178】
Fc N末端ベクター
発現プラスミドpAMG21のNdeIとBamHI制限部位の間に挿入されたpAMG21−Fc N末端ベクターのDNA配列を図3に示す。上鎖、配列番号61、下鎖、配列番号62。
【0179】
前記のベクター中にスプライシングさせ、Fcペプチド融合生成物として発現させるために作製された30個のペプチド(配列番号1〜29)をコードするDNA配列が、配列番号63から91までによって示される。これらのDNA配列には、Met−1のコドンが含まれる(この特性は任意選択である)。
【0180】
これらのDNA配列によってコードされた、すなわちN末端にメチオニン残基を備えて発現した対応する「メチオニン成熟」ペプチドの配列が配列番号92から120までに示されている。
【0181】
これらの修飾ペプチドをFcへのN末端融合物として作製し、そのうちいくつかは、C末端融合生成物としても作製した。C末端融合生成物を作製するために使用したベクターを以下に示す。
【0182】
Fc C末端ベクター
発現プラスミドpAMG21のNdeIとBamHI制限部位の間に挿入されたpAMG21−Fc C末端ベクターのDNA配列を図4に示す。上鎖、配列番号121、下鎖、配列番号122。
【0183】
GM221(#2596)。Fc−ペプチド融合タンパク質を発現するために使用した宿主#2596株は、初期ebg領域の温度感受性ラムダリプレッサーcI857s7及び後期ebg領域のlacIリプレッサーの両方を含むように改変したE.コリ K−12株である。これら2種類のリプレッサー遺伝子が存在するおかげで、様々な発現系でこの宿主を使用することが可能であるが、該リプレッサーはluxPからの発現には関係がない。その構築に関する詳細は、WO 00/273782(その中の実施例2を参照のこと)に見いだされる。
【0184】
E.コリ中での発現。pAMG21−Fc融合構築物それぞれのE.コリ GM221における培養は、Terrific Broth培地中において、37℃で行った(前述のSambrookらの参考文献で引用したTartof and Hobbs、「プラスミド及びコスミドクローン増殖用の改変培地」(Improved media for growing plasmid and cosmid clones))Bethesda Research Labs Focus、Volume9、page12、1987参照)。合成された自動誘導物質N−(3−オキソヘキサノイル)−DL−ホモセリンラクトンを最終濃度1ミリリットル当たり20ナノグラム(ng/ml)で培地に添加すると、luxPRプロモーターからの遺伝子生成物発現の誘導が実現した。培養物を37℃でさらに6時間インキュベートした。次に、顕微鏡で細菌培養物中の封入体の存在について調べ、遠心によって収集した。光屈折性封入体が誘導培地で認められたことは、Fc融合物がおそらくE.コリの不溶性画分で産生されていることを示唆している。細胞ペレットは、10%のβ−メルカプトエタノールを含有するLaemmli試料緩衝液に再懸濁することによって直接溶解し、その後SDS−PAGEで分析した。いずれの場合でも、SDS−PAGEゲル上にクーマジーで強く染色される適切な分子量のバンドが認められた。
【0185】
精製。細胞は、高圧ホモゲナイズ(14000PSIで2回通過させる)を使用して水中で破壊し(1/10)、封入体は遠心によって(J−6B遠心器によって、4000RPMで1時間)収集した。封入体は、6M グアニジン、50mM Tris、10mM DTT、pH8.5の中で、1/10比で1時間可溶化した。Fcに融合させた直線ペプチドの場合は、可溶化混合物を2M 尿素、50mM Tris、160mM アルギニン、2mMシステイン、pH8.5で25倍に希釈した。この酸化を4℃で2日間続け、ジスルフィド結合化合物(すなわち、Fc−ペプチドホモダイマー)を形成させた。Fcに融合した環状ペプチドの場合は、同様の方法に、以下の3種類の折りたたみ条件、(1)2M 尿素、50mM Tris、160mM アルギニン、4mM システイン、1mM シスタミン、pH8.5、(2)4M 尿素、20% グリセロール、50mM Tris、160mM アルギニン、2mM システイン、pH8.5、及び(3)4M 尿素、20%グリセロール、50mM Tris、160mM アルギニン、4mM システイン、1mM シスタミン、pH8.5を加えた。リフォールディングしたタンパク質を1.5M 尿素、50mM NaCl、50mM Tris、pH9.0で透析した。この混合物のpHを酢酸でpH5まで下げた。沈殿物を遠心によって除去し、融合生成物それぞれの等電点に応じて上清のpHを5から6.5に調節した。該タンパク質を濾過し、20mM NaAc、50mM NaClで平衡化し、構築物それぞれについてpHを決定したSP−セファロースHPカラムに4℃で添加した。該タンパク質は、カラムの20倍量の同緩衝液で50mM NaClから500mM NaClの直線勾配を使用して溶出した。ピークを集め、濾過した。
【実施例3】
【0186】
修飾ペプチドのインビトロにおけるNGF阻害活性
実施例2で調製した修飾ペプチド(Fc融合生成物)のNGF活性阻害剤(すなわち、NGF「中和」)としての効果は、各修飾ペプチドがNGFによるバニロイド受容体1(VR1)発現の誘導をブロックする能力を測定することによって調べた。
【0187】
後根神経節神経細胞培養。一定期間妊娠し、最後に麻酔を行ったスプラーグ−ドーリーラット(Charles River、マサチューセッツ州ウィルミントン)の子宮から外科的に取り出した胎齢19日(E19)のラットの全脊髄部分から後根神神経節(DRG)を無菌条件下で1つずつ切断した。5%熱不活性化ウマ血清(GibcoBRL)を含有する氷冷L−15培地(GibcoBRL、ニューヨーク州グランドアイランド)にDRGを収集し、疎性結合組織及び血管を除去した。該DRGはCa2+及びMg2+を含まないダルベッコリン酸緩衝生理食塩水(DPBS)、pH7.4(GibcoBRL)で2回洗浄した。次に、パパイン分離系(Worthington Biochemical Corp.ニュージャージー州フリーホールド)を使用して該DRGを単一細胞懸濁液に分離した。簡単に説明すると、Earle‘s緩衝塩類溶液(EBSS)に溶かしたパパイン20U/mlを含有する消化溶液中でDRGを37℃で50分間インキュベートした。細胞は、MEM/Ham’s F12、1:1、1mg/ml オボムコイド阻害剤及び1mg/mlオボアルブミン、並びに0.005%のデオキシリボヌクレアーゼI(DNA分解酵素)からなる分離培地でファイアーポリッシュパスツールピペットによって磨砕して分離した。分離した細胞は、200xg、5分間でペレットにして、1mg/ml オボムコイド阻害剤、1mg/ml オボアルブミン及び0.005%のDNA分解酵素を含有するEBSSに再懸濁した。細胞懸濁液は、10mg/ml オボムコイド阻害剤、10mg/ml オボアルブミンを含有する勾配溶液において200xgで6分間遠心することによって細胞残渣を除去し、次に88μmのナイロンメッシュ(Fisher Scientific、ペンシルバニア州ピッツバーグ)で濾過して凝集を除去した。細胞数は血球計数計で測定し、細胞は完全培地に入れて、100μg/ml ポリオルニチン(Sigma、ミズーリ州セントルイス)及び1μg/ml マウスラミニン(GibcoBRL)でコーティングした96ウェルプレートに10x10細胞/ウェルで接種した。該完全培地は、基礎培地(MEM)及びHam’s F12、1:1、ペニシリン(100U/ml)、ストレプトマイシン(100μg/ml)、及び10%熱不活性化ウマ血清(GibcoBRL)から構成された。培養は、37℃、5%CO及び湿度100%で維持した。非神経細胞の増殖を制御するために、5−フルオロ−2’−デオキシウリジン(75μM)及びウリジン(180μM)を培地中に含めた。
【0188】
NGF及び抗NGFによる処理。播種して2時間後、細胞を濃度10ng/ml(0.38nM)の組換えヒトβ−NGF又は組換えラットβ−NGFで処理した。系列希釈した抗NGF抗体(R&B Systems、ミネソタ州ミネアポリス)を含む陽性対照を各培養プレートに添加した。(実施例2の)修飾ペプチドは、3.16倍系列希釈を使用して10段階の濃度を添加した。試料は全て、培地に添加する前に完全培地で希釈した。インキュベーションは、VR1発現を測定する前に40時間行った。
【0189】
DRG神経におけるVR1発現の測定。培養物は、Hank’s緩衝塩類溶液に溶かした4%パラホルムアルデヒド溶液で15分間固定し、Superblock(Pierce、イリノイ州ロックフォード)でブロックし、Tris.HCl(Sigma)緩衝生理食塩水(TBS)に溶かした0.25%のNonidet P−40(Sigma)を用いて、室温で1時間、透過処理を施した。培養物は0.1%のTween20(Sigma)を含有するTBSで1回洗浄し、ウサギ抗VR1IgG(Amgen製)とともに、室温で1時間及び1時間半インキュベートし、その後Eu標識抗ウサギ第2抗体(Wallac Oy、フィンランド、Turku)とともに、室温で1時間インキュベートした。各抗体とのインキュベートが終了した後、TBS洗浄(ゆっくり振盪しながら5分間3回)を行った。増強溶液(150μl/ウェル、Wallac Oy)を該培養物に添加した。次に蛍光シグナルを時間分割型蛍光計(Wallac Oy)で測定した。修飾ペプチドで処理した試料におけるVR1発現は、0−1000ng/mlのNGFで測定した標準曲線と比較して決定した。DRG神経におけるVR1発現に対するNGFの(可能な最大阻害値に対する)%阻害効果は、NGF処理していない対照と比較することによって決定した。表4に結果を示す。実施例1、6項、段落Aで同定したペプチドのサンプリングの効果も、前述と同様の方法で測定した(データは示さず)。
【0190】
【表6】

【0191】
「+」は、濃度18μM以下の修飾ペプチドで認められるNGF誘導活性の阻害が少なくとも50%であることを示す。
「−」は、少なくとも18μMの修飾ペプチドで認められるNGF誘導活性の阻害が50%未満であることを示す。
「n/a」は、適用しなかったことを意味する。
ペプチドがFcのC末端に結合させたことを表す「C末端」がなければ、このようなペプチドはFcのN末端に結合している。
【実施例4】
【0192】
NGF活性を調節することができる他のペプチドの同定
I.第2の抗NGFペプチドライブラリーの構築
A.エレクトロコンピテントE.コリ細胞。E.coli XL1−Blue MRF′エレクトロポレーションコンピテント細胞は、Stratagene Cloninng Systems(カリフォルニア州ラホーヤ)から購入した(カタログ番号200158)。
B.pCES1ベクターの改変。PCR反応は、Extend Long Template PCR Systems(Roche Diagnostics Corp.、インディアナ州インディアナポリス)で、鋳型はpCES1ベクター(TargetQuest Inc.、現Dyax Corp.、マサチューセッツ州ケンブリッジ)1μgを使用して実施した。PCR混合物の容量は100μlであり、1xPCR緩衝液、200nMの各プライマー、
【0193】
【化3】

、dNTP200nM、並びにTag DNAポリメラーゼ3単位を含有していた。TRIO−Thermoblock(Biometra、ゲッティンゲン、ドイツ)PCRシステムを使用して、以下の行程、94℃5分、(94℃30秒、50℃30秒、72℃45秒)を30回、72℃10分、4℃まで冷却を実施した。PCR生成物を1%アガロースゲルで泳動し、Qiagen Spinカラム(Qiagen Inc.、カリフォルニア州バレンシア)で、製造者のプロトコールに従って精製した。第2のPCR反応は、5μlのPCR生成物と200nMの2つの各プライマー、
【0194】
【化4】

(それぞれ配列番号191及び193)を用いて、前述と同様のPCR条件を使用して実施した。PCR生成物及び元のpCES1ベクターは、1xNEB2緩衝液、ApaLI(New England Biolabs、マサチューセッツ州ビバリー)60単位、BamHI(New England Biolabs)60単位を含有する反応液100μl中において、37℃で1時間別々に消化した。両方の消化されたDNA分子をQiagen Spinカラムで精製し、1x連結緩衝液及びT4 DNAリガーゼ(New England Biolabs)の40単位を含有する反応液40ulにおいて室温で一晩連結させた。
【0195】
ベクターをE.コリ細胞にトランスフェクトし、37℃で一晩インキュベートした。孤立した単一コロニーを選択し、プラスミドはQiagen Spinカラムで精製した。正確に挿入されたかどうかはDNA配列決定によって確認した。
【0196】
C.ベクターDNAの調製。改変pCES1ベクターDNA(前記、I.B.項)1マイクログラムは、Gene Pulser II(BIo−Rad Labs、カリフォルニア州ハーキュリーズ)を使用して、2500V、25μF、及び200オームに設定して、エレクトロコンピテントXL1−Blue E.コリ(I.A.項)40μlに形質転換した。次に、形質転換した細菌試料は、SOC(2%トリプトン、0.5%酵母抽出液、10mM NaCl、2.5mM KCl、20mM グルコース、10mM MgSO、10mM MgCl)960μlを含有する試験管にすぐに移し、この培養物を振盪しながら37℃で1時間増殖させた。次に、100μg/mlのアンピシリン、12.5μg/mlのテトラサイクリン及び2%グルコースを補給した2xYT寒天(2xYTAGT、Invitrogen Corporation、カリフォルニア州カールズバッド)のプレートに前記細胞を広げ、37℃で一晩インキュベートした。配列決定によって単一コロニーを確認し、これを使用して2xYTAGT培地2リットルに接種し、37℃で一晩振盪した。プラスミドベクターDNAはQiagen Plasmid Maxiキットで製造者のプロトコールに従って精製した。
【0197】
D.ベクターDNAの消化。全体で約1100マイクログラムのベクターDNAを2つのバッチで消化した。ベクターDNA800マイクログラム(I.C.項)は、1xNEB緩衝液2、ApaLI1000単位及びXhoI1000単位を含有する反応液1500μl中において、37℃で一晩消化した。残りのベクターDNA300マイクログラム(I.C.項)は、1xNEB緩衝液2、ApaLIの2300単位及びXhoIの300単位を含有する反応液500μl中において、37℃で一晩消化した。両制限酵素消化反応液を37℃で一晩インキュベートし、予め作製した0.8%アガロースゲル(Embi Tec、カリフォルニア州サンディエゴ)で分析した。直線化したベクターDNAはゲルから切り出して、QIAquickゲル抽出キット(Qiagen Inc.)で製造者の指示に従って抽出した。
E.ライブラリーオリゴヌクレオチドの調製。6種類のライブラリーオリゴヌクレオチド(固定2種類、ドープ4種類)は、以前の操作で得られた配列に基づいて設計した。2種類の固定ライブラリーオリゴヌクレオチドは、
【0198】
【化5】

(それぞれの配列番号は194及び195で、オリゴ合成中に、N及びKはそれぞれヌクレオチドA、G、C、T及びG、Tを同等に示す。)3種類の70%ドープしたライブラリーオリゴヌクレオチドは、
【0199】
【化6】

(それぞれ、配列番号196、197及び198であり、小文字は表記の塩基70%とその他3種類のヌクレオチドそれぞれ10%の混合物であることを示す。)である。91%ドープしたライブラリーオリゴは、
【0200】
【化7】

(配列番号199で、小文字は指示した塩基91%とその他3種類のヌクレオチドそれぞれ3%の混合物であることを示す。)であった。いずれも、AmgenDNA合成グループによって合成してもらった。これらのオリゴヌクレオチドはそれぞれ、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)において鋳型として使用した。
PCR反応用に、Expand High Fidelity PCRシステムキット(Roche Diagnostics Corp.)を使用した。各PCR反応の量は、2400μlで、半量はライブラリーオリゴヌクレオチド1nM、もう半量はライブラリーヌクレオチド10nM、1XPCR緩衝液、それぞれのプライマー、
【0201】
【化8】

300nM、200μMのdNTP、2mMのMgCl及びExpandポリメラーゼ84単位を含有する。熱循環器(GeneAmp PCRシステム9700、Applied Biosystems、カリフォルニア州フォスターシティー)を使用して、以下の行程、94℃5分、(94℃30秒、55℃30秒、72℃45秒)を30回、72℃7分、4℃まで冷却を実施した。遊離のヌクレオチドは、QIAquickPCR精製キット(Qiagen Inc.、カタログ番号28104)を使用して、製造者のプロトコールに従って除去した
【0202】
F.ライブラリーオリゴヌクレオチドの消化。反応液2400μl(I.E.項)から得られたPCR生成物それぞれは、1xNEB緩衝液2、ApaLI2500単位及びXhoI250単位を含有する反応液500μl中において、37℃で一晩消化した。消化したDNAは、既製の3%アガロースゲル(Embi Tec)で分離した。各反応から得られた目的のDNAバンドをゲルから切り出して、QIAquickゲル抽出キットで抽出した。
【0203】
G.ベクターとライブラリーオリゴヌクレオチドとの連結。直線化ベクター(I.D.項)及び各消化PCR生成物(I.F.項)を2つのバッチにおいてモル比1:5で連結した。第1のバッチでは、1xNEB連結緩衝液及びT4DNAリガーゼ20000単位を含有する反応液800μlに1種類の固定ライブラリーオリゴヌクレオチド及び3種類のドープライブラリーオリゴヌクレオチドを含め、16℃で一晩連結し、第2のバッチでは、1xNEB連結緩衝液及びT4DNAリガーゼ20000単位を含有する反応液400μlに2種類の固定ライブラリーオリゴヌクレオチド及び1種類のドープライブラリーオリゴヌクレオチドを含め、16℃で一晩連結した。連結生成物は、65℃で20分間インキュベートして、T4DNAリガーゼを不活性化し、NotI100単位で37℃において2時間さらにインキュベートしてベクターの自己連結を最小限に抑えた。次に、連結生成物を標準的なフェノール/クロロホルム抽出によって精製し(Molecular Cloning、Maniatis他、3版)、水100μlに再懸濁した。
【0204】
H.エレクトロポレーション形質転換。ライブラリーそれぞれについて、エレクトロポレーション反応を10回実施した。各形質転換のために、連結されたベクターDNA(I.G.項)10μl及びXL1−BLUE MR’細胞(I.A.項)300μlを0.2−cmキュベット(Bio−Rad Labs)内で混合した。得られた混合物をGene Pulser IIで、2500V、25μF、200オームに設定してパルスした。10回のエレクトロポレーション反応によって得られた形質転換細菌を一緒にして、SOC30mlを含有するフラスコに移して、37℃で1時間インキュベートした。次に、該細胞を2xYTAGT400mlに添加し、振盪しながら37℃で5時間増殖させた。次に該細胞を4℃、4000rpmで15分間遠心した。次に、15%グリセロールを含有する2xYTブロス12ml中に、細胞ペレット再懸濁し、−80℃で保存した。これがライブラリー用の第1ストックである。力価によって、ライブラリーの大きさは、固定ライブラリー及びドープライブラリーそれぞれについて、2.5x10(ライブラリー番号93)、2.5x10(ライブラリー番号59)、5.0x10(ライブラリー番号72)、8.0x10(ライブラリー番号95)、8.5x10(ライブラリー番号39)独立形質転換体、及び1.5x10(ライブラリー番号63)独立形質転換体であることが示された。
【0205】
II.ライブラリーの増幅。
【0206】
A.ライブラリーの第2ストックの作製。第1のライブラリー細胞ストック(I.H.項)を使用して、開始OD600が0.1に等しくなるように、(両固定ライブラリー93及び59については)2xYTAGT培地1700ml、(ドープライブラリー、72、95、39及び63についてはそれぞれ)1800ml、2700ml、3000ml、1000mlに接種した。OD600が0.5になるまで数時間、37℃で振盪しながら培養物を増殖させた。各ライブラリーから一定量の10分の1ずつを取り出して、他のフラスコで37℃でさらに2時間増殖させた。これら継代培養物を(Beckman JA−14ローターを使用して)、4℃、4000rpmで10分間遠心し、(各ライブラリーの)細菌ペレットを、15%グリセロールを含有する2xYT培地9.5mlに再懸濁して、−80℃で保存した。
【0207】
B.ファージの誘導。一定量のM13K07ヘルパーファージ(Amersham Biosciences、Inc.、Piscataway、NJ)をOD600=0.5(II.A.項)の残存細菌培養物に添加し、最終濃度を3x10pfu/mlにした。該ヘルパーファージを37℃で振盪せずに30分、ゆっくり振盪して30分細菌に感染させた。感染細胞を4℃、5000xgで15分間遠心した。細胞ペレットを、100μg/mlのアンピシリン、40μg/mlのカナマイシン及び12.5μg/mlのテトラサイクリンを含む同量の(II.A.項)2YT培養液(2xYTAKT)に再懸濁した。30℃で一晩振盪して、ファージミド産生を起こさせた。
【0208】
C.ファージの収集。細菌培養物(II.B.項)を4℃、5000rpmで15分間遠心した。上清を新しい瓶に移し、0.2倍量の20%PEG/2.5M NaClを添加し、氷上で1時間インキュベートしてファージミドを沈殿させた。沈殿したファージミドを、4℃、10000rpmで30分間遠心して、冷却したPBS100mlで注意深く再懸濁した。残存する細菌を、4℃、4000rpmで10分間遠心除去し、0.2倍量の20%PEG/2.5M NaClを添加してファージミドを沈殿化することによって、該ファージ溶液をさらに精製した。4℃、10000rpmで30分間ファージミドを遠心して、冷PBS18mを使用してファージミドペレットを再懸濁した。−80℃で保存するために、60%のグリセロール溶液6ミリリットルを該ファージミド溶液に添加した。ファージミドの力価は、標準的方法(Molecular Cloning、Maniatis他、3版参照)によって測定した。
【0209】
III.ヒトNGF結合ファージの選択
A.ヒトNGFのビオチン化。EZ−Link−Sulfo−NHS−LC−ビオチン化キット(Pierce、イリノイ州ロックフォード)を使用し、製造者の指示に従って、1mgのヒトNGFをビオチン化した。
【0210】
B.NGFの磁気ビーズへの固定。
【0211】
ビオチン化NGF(III.A.項)は、製造業者のビーズストック100μl当たりNGF200ngの濃度でDynabead M−280 ストレプトアビジン(DYNAL、ニューヨーク州レイクサクセス)に固定した。磁石を使用して該ビーズを試験管の片側へ引き寄せた後、液体をピペットで取り除き、該ビーズをリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で2回洗浄し、PBSに再懸濁した。該ビオチン化NGFタンパク質を前記濃度で洗浄したビーズに添加し、回転させながら室温で1時間インキュベートした。次に該NGFコーティングビーズにBSAを最終濃度2%まで添加し、回転させながら4℃で一晩インキュベートすることによってブロックした。次の項で説明した選択処理を行う前に、得られたNGFコーティングビーズをPBST(0.05%Tween20を含むPBS)で2回洗浄した。
【0212】
C.NGFコーティングビーズを使用した選択
約1000倍のライブラリー相当のファージミド(II.C.項)は、2%BSAを含有するPBS1mlで1時間ブロックした。ブロックしたファージミド試料に、盲検ビーズ(III.B.項と同じビーズであるが、NGFコーティングされていない)を加えることによって2種類の陰性選択段階を行い、この混合物を回転しながら室温で15分間インキュベートした。ファージミドを含有する上清は磁石を使用して採取し、盲検ビーズを含む第2の試験管に移し、この混合物を回転させながら室温で15分間インキュベートした。ファージミドを含有する上清は磁石を使用して採取し、NGFコーティングビーズ(III.B.項)を含む新しい試験管に移し、この混合物を回転させながら室温で1時間インキュベートした。該上清を廃棄した後、ファージミド結合ビーズを2%ミルク−PBSで10回、2%BSA−PBSで10回、PBSTで10回、PBSで2回洗浄した。次に、(ライブラリー72、95、39)のファージミドを、100mMのトリエチルアミン溶液(Sigma、ミズーリ州セントルイス)1ml中に、回転子上で10分間溶出させた。ファージミド含有溶液のpHは、1M Tris−HCl(pH7.5)0.5mlを添加することによって中和した。(ライブラリー93、59、63)のファージミドは、100nM、1000nM、100mMのTEAで順次溶出した。得られたファージミドを使用して、新たに増殖させたXL1−Blue MRF’細菌(OD600=約0.5)5mlに37℃で振盪させずに30分間、ゆっくり振盪して30分間感染させた。感染したXL1−Blue MRF’細胞全てを2xYTAG大プレートに播種し、30℃で一晩インキュベートした。
【0213】
D.ファージの誘導及び収穫。2xYTAGT培地の一定量10mlを該プレート(III.C.項)に添加し、XL1−BLUE MRF’細胞を再懸濁した。全XL1−BLUE MRF’細胞を試験管に収集し、これらの細胞の一定量250μlを2xYTAGT25mlに添加し、OD600が0.5に等しくなるまで37℃で増殖させた。M13KO7ヘルパーファージを3x10cfu/mlの濃度になるまで添加し、37℃で振盪せずに30分間、ゆっくり振盪して30分間インキュベートした。該細胞を4℃、5000rpmで10分間遠心し、25mlの2xYTAKで再懸濁した。該細菌を振盪しながら30℃で一晩増殖させた。誘導したファージミドを収穫し、II.C.項で説明したように精製した。
【0214】
E.2回目の選択。2回目の選択は、以下に記載されている事項を除き、III.B.項及びIII.C.項で概略したように実施した。III.D.項から得られた約100倍のライブラリー相当のファージミドを投入ファージミドとして使用した。
【0215】
F.3回目の選択。3回目の選択は、以下に記載されている事項を除き、III.B.項及びIII.C.項で概略したように実施した。III.E.項から得られた約10倍のライブラリー相当のファージミドを投入ファージミドとして使用した。ビオチン化NGF(III.A.項)20ngのみを使用してDynabead M−280ストレプトアビジンをコーティングした。ファージ結合ビーズを2%ミルク−PBSで10回、2%BSA−PBSで10回、PBSTで10回洗浄し、最後の洗浄では、PBST中において室温で30分インキュベートを行った。該ビーズをPBSで2回洗浄した。
【0216】
G.4回目の選択。4回目の選択は、以下に記載されている事項を除き、III.B.項及びIII.C.項で概略したように実施した。3.F.項から得られた約1倍のライブラリー相当のファージミドを投入ファージミドとして使用した。ビオチン化NGF(III.A.項)2ナノグラムのみを使用してDynabead M−280ストレプトアビジンをコーティングした。該ファージ結合ビーズは、3回目と同様にした。
【0217】
IV.クローン分析
A.マスタープレートの調製。2回目の選択のコロニー1個を採取し、ウェル当たり2xYTAGT120μlを含有する96ウェルプレートに接種した。該96ウェルプレートを振盪機中にて30℃で一晩インキュベートした。ウェル当たり60%グリセロール40マイクロリットルを添加し、−80℃で保存した。
【0218】
B.ファージミドディープウェルELISA。マスタープレートの細胞(IV.A.項)一定量約20μlを、ウェル当たり2xYTAGT500μlを含有する新しいCostar(登録商標)96ウェル2ミリリットルアッセイブロック(Corning Inc.、ニューヨーク州コーニング、カタログ番号3960)に接種し、OD600が約0.5に等しくなるまでこの新しいプレートの細胞を37℃で増殖させた。M13KO7ヘルパーファージ(1.5x1010cfu/ml)を含有する2xYTAGT40マイクロリットルを各ウェルに添加し、該96ウェルプレートを37℃で振盪せずに30分、ゆっくり振盪してさらに30分インキュベートした。4℃、2000rpm(Beckman CS−6R卓上遠心器)で該プレートを10分間遠心した。上清をウェルから除去し、各細胞ペレットはウェル当たり2xYTAKT500μlを使用して再懸濁した。プレートは、ファージミドを発現させるために30℃で一晩インキュベートした。
【0219】
ヒトNGFを5μg/mlの濃度で1xPBSに溶かして、4℃で一晩96ウェルMaxisorpプレート(NUNC)にコーティングした。対照として、BSA(Sigma)を別のMaxisorpプレートに5μg/mlでコーティングした。
【0220】
翌日、4℃、2000rpmで一晩培養した細胞を10分間遠心した。各ウェルの上清20マイクロリットルは、該上清を1:2から1:10の範囲に希釈するために、BSA/PBS溶液を含有する新しい96ウェルプレートに移した。得られた混合物を室温で振盪しながら1時間インキュベートし、ファージミドをブロックした。その間に、NGFコーティングプレートをウェル当たり2%BSA/PBS溶液200μl中において、室温で振盪しながら1時間ブロックした。BSA溶液を廃棄し、各ウェルをPBS溶液で3回洗浄した。最終洗浄段階後、ブロックしたファージミド溶液100μlをNGFコーティングプレート並びに対照プレートの各ウェルに添加し、振盪しながら室温で1時間インキュベートした。液体を廃棄し、各ウェルをPBST溶液で3回洗浄した。5000倍に希釈したHRP複合抗M13mAb(Amersham Biosciences、Inc.、ニュージャージー州ピスカタウェイ)100マイクロリットルをNGFコーティングプレート及び対照プレートの各ウェルに添加し、これらのプレートを振盪しながら室温で1時間インキュベートした。液体を再度廃棄し、各ウェルをPBST溶液で3回洗浄した。LumiGLO化学ルミネセンス基質(Kirkegaard&Perry Laboratories、メリーランド州ゲーザースバーグ)100マイクロリットルをウェルに添加し、各ウェルをLuminoskan Ascent DLRearly機(Labsystems、マサチューセッツ州フランクリン)で読み取った。
【0221】
C.ファージクローンの配列決定。PCR反応は、鋳型としてマスタープレート(IV.A.項)の各ウェルの細菌1μlを使用して実施した。PCR混合物それぞれの量は50μlであり、1xPCR緩衝液、プライマー、5’−GTTAGCTCACTCATTAGGCAC−3’(配列番号281)及び5’−GTACCGTAACACTGAGTTTCG−3’(配列番号282)それぞれ300nM、200μM dNTP、2mM MgCl並びに2.5単位のtaq DNAポリメラーゼ(Roche Molecular Biochemicals)を含めた。GeneAmp PCR Sysmen9700(Applied Biosystems、カリフォルニア州フォスターシティー)を使用して、以下の行程、94℃5分、(94℃45秒、55℃45秒、72℃90秒)を40回、72℃10分、4℃まで冷却を実施した。PCR生成物は、QIAquick96PCR精製キット(Qiagen Inc.)で製造者の指示に従って精製した。精製PCR生成物全ては、プライマー5’−CGGATAACAATTTCACACAGG−3’(配列番号283)によって、ABI3700シークエンサー(Perkin Elmer)を使用し、製造者の指示に従って配列決定した。
【0222】
V.配列のランク付け。ヌクレオチド配列(IV.C項)から翻訳したペプチド配列をELISAデータに関連づけた。改変用と見なしたペプチドは、対応するBSAコーティングウェルで生じたOD450値よりもNGFコーティングウェルにおけるOD450値の方が高いファージクローンによって発現したものである。複数回生じる配列によってコードされたペプチド配列も、改変用と見なした。この基準によって、ライブラリー93からは上位2個のペプチド、ライブラリー72から上位9個のペプチド、ライブラリー39からは上位17個のペプチド、ライブラリー95からは上位11個のペプチド、ライブラリー59からは上位6個、及びライブラリー63からは上位10個のペプチドを改変用に選択した。
【0223】
親和性成熟集団から選択した候補ペプチドを使用して、各ペプチドのモノマーがヒトIgG1のFc領域にインフレームで融合した融合タンパク質を構築した。ペプチドをFcのN末端に融合させるために、構築物はオリゴヌクレオチド(「oligo」)対をアニーリングして、該ペプチドと、該ペプチドに応じて、NdeIからXhoI断片としてグリシン残基5個、ロイシン残基1個及びグルタミン酸残基1個を含むリンカーとをコード化する二本鎖を作製した。ヒトFc遺伝子を含有し、またNdeI及びXhoIで消化したベクター(pAMG21−Fc N−末端、前述)にこれらの二本鎖分子を連結することによって作製した。得られた連結混合物をE.コリ2596細胞株にエレクトロポレーションすることによって形質転換した(GM221、以下にさらに説明する)。クローンが組換えタンパク質生成物を産生し、正確なヌクレオチド配列を有する遺伝子融合物を保持する能力をスクリーニングした。このような単一のクローンを表5に示した修飾ペプチド(すなわち、Fc−ペプチド融合生成物)それぞれについて選択した。ペプチドをFcのC末端に融合するために、構築物はオリゴヌクレオチド(「oligo」)対をアニーリングして、グリシン残基5個、アラニン1個及びグルタミン残基1個、該ペプチド、それに続いてApaLIからXhoI断片としてロイシン残基1個及びグルタミン酸残基1個をコード化する二本鎖を作製することによって構築した。ヒトFc遺伝子を含有し、またApaLI及びXhoIで消化したベクター(pAMG21−Fc C−末端、前述)にこれらの二本鎖分子を連結した。得られた連結混合物を前述のように形質転換し、スクリーニングした。切断型の選択ペプチドは、鋳型として親構築物を使用したPCRによって作製した。所望する配列をコード化するPCR生成物は、BsrGIからBamHI断片、NcoIからBsrGI断片又はNdeIからBsrGI断片として親構築物に連結した。得られた連結混合物を前述のように形質転換し、スクリーニングした。
【0224】
得られた修飾ペプチドのDRG中和アッセイ(方法については前記参照)における試験結果を表5に示す。親和性成熟集団から選択したペプチドの効果は、同様の方法でDRG中和アッセイによって測定した。
【0225】
【表7】


【0226】
「+」は、濃度20μM以下の修飾ペプチドで認められるNGF誘導活性の阻害が少なくとも50%であることを示す。
「−」は、少なくとも20μMの修飾ペプチドで認められるNGF誘導活性の阻害が50%未満であることを示す。
「n/a」は、適用しなかったことを意味する。
(L)−(P)融合物がFcドメイン(配列番号60)のC末端に結合させたことを表す「C末端」がなければ、(L)−(P)融合物はFcドメインN末端(メチオニンを欠失した配列番号60)のN末端に結合させた。
【実施例5】
【0227】
ラット疼痛モデルにおける抗NGF成熟修飾ペプチドの抗侵害受容活性
A.神経因性疼痛モデル。雄のスプラーグ−ドーリーラット(200g)をイソフルラン吸入麻酔で麻酔して、Kim and Chung(Kim、S.H..Chung、J.M.「分節脊髄神経連結によって作製したラットの末梢神経障害実験モデル(An experimental model for peripheral neuropathy produced by segmental spinal nerve ligation in the rat.)」Pain 50:355−363、(1992))によって最初に報告されたように、後根神経節末梢側で座骨神経に入る前に左腰髄をL5及びL6のレベルで強く結紮した(4−0絹縫合糸)。切り口を縫合し、ラットを回復させた。この方法では、ワイヤーメッシュ製観察用ケージから足裏(足蹠の中間)表面に垂直に(von Frey型刺激毛によって4.0から148.1mNの範囲の)段階的刺激を加え、(神経傷害と同側の)処置した足が回避する圧力を記録することによって評価を行ったところ、後肢左足において機械的(触覚)アロディニア(異痛症)が生じた。足の回避閾値(PWT)は、刺激強度を連続的に増加及び減少させることによって測定し、回避データはChaplan et al.,(Chaplan、S.R., Bach、F.W.,Pogrel, J.W.Chung,J.M., Yaksh, T.L., Quantitative assessment of tactile allodynia in the rat paw., J.Neurosci.Meth、53:55−63(1994))に記載されているように、ディクソンのノンパラメトリック検定を使用して分析した。
【0228】
正常なラット及び疑似処置ラット(神経は分離したが、結紮はしない)は、少なくとも148.1mN(15g相当)の圧力でも応答を示さず抵抗した。脊髄神経を結紮したラットは、処置した足では4.0mN(0.41g相当)といった少ない圧力であっても応答した。運動機能障害(例えば、足を引きずったり、垂れ下がったりする)を示さず、PWTが39.2mN(4.0gに相当)未満の場合のみ、そのラットをこの研究に加えた。術後少なくとも7日経ってから、インビトロで20nM以下の濃度でNGF誘導活性を少なくとも50%阻害することが既に認められている成熟修飾ペプチド(表5において「+」で示した成熟修飾ペプチド)でラットを処理した。一般的に、ラットは成熟修飾ペプチド又は対照希釈液(PBS)60mg/kgのスクリーニング用量でs.c.注射によって1回処理し、PWTをその後毎日7日間測定した(図5)。
【0229】
B.CFA炎症疼痛モデル。雄のスプラーグ−ドーリーラット(200g)をイソフルラン吸入麻酔で軽く麻酔して、後肢左足にフロインド完全アジュバント(CFA)0.15mlを注射した。この方法では、ワイヤーメッシュ製観察用ケージから足裏(足蹠の中間)表面に垂直に(von Frey型刺激毛によって4.0から148.1mNの範囲の)段階的刺激を加え、処置した足が回避する圧力を記録することによって評価を行ったところ、後肢左足において機械的(触覚)アロディニア(異痛症)が生じた。PWTは、刺激強度を連続的に増加及び減少させることによって測定し、Chaplan他(1994)が記載したようにディクソンのノンパラメトリック検定を使用して回避データを分析した。運動機能障害(例えば、足を引きずったり、垂れ下がったりする)又は皮膚破裂を示さず、PWTが39.2mN(4.0g相当)未満の場合のみ、そのラットはこの研究に含めた。
【0230】
CFA注射後少なくとも7日経ってから、既にインビトロで20nM以下の濃度でNGF誘導活性を少なくとも50%阻害することが認められた成熟修飾ペプチド(表5において「+」で示した成熟修飾ペプチド)で処理した。一般的に、ラットは成熟修飾ペプチド又は対照希釈液(PBS)60mg/kgのスクリーニング用量でs.c.注射によって1回処理し、PWTはその後毎日7日間測定した。平均足回避閾値(PWT)は、以下の式、%MPE=100(処理ラットのPWT−対照ラットのPWT)/(15−対照ラットのPWT)を使用した可能な最大効果のパーセント(%MPE)に変換した。したがって、15g(148.1mN)のカットオフ値は、MPEの100%に相当し、対照応答は0%MPEに相当する。
【0231】
スクリーニング用量60mg/kgでは、ある種の修飾ペプチドは1回s.c.注射すると3日又は4日位内に抗侵害受容性効果が生じた(図6)。活性のある修飾ペプチドの識別可能な効果は一般的に、注射後5日目と6日目の間に減退した。
【0232】
【表8】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式:aCa1011LQSCa161718(配列番号276)
(式中、
、a、a、a、a、a、及びa18は、それぞれ独立に、存在しないか又はアミノ酸残基であり、
は、中性の疎水性アミノ酸残基又は極性の疎水性アミノ酸残基であり、
は、中性の疎水性アミノ酸残基又は極性の疎水性アミノ酸残基であり、
10は、中性の疎水性アミノ酸残基、中性の極性アミノ酸残基又は塩基性のアミノ酸残基であり、
11は、中性の疎水性アミノ酸残基、中性の極性アミノ酸残基又は塩基性のアミノ酸残基であり、
16は、中性の疎水性アミノ酸残基であり、
17は、中性の疎水性アミノ酸残基又は極性の疎水性アミノ酸残基である。)
のアミノ酸配列又は生理的に許容されるその塩を有し、NGF活性を調節することができるペプチド。
【請求項2】
が、L、P、W、F、S、Y、N、R又はHであり、
が、L、W、F、S、Y、D又はRであり、
が、L、I、W、Y、D又はEであり、
が、A、L、G、D、E又はKであり、
が、A、L、F、S、N、E、K又はHであり、
が、L、P、Y又はNであり、
が、A、P、M、F、G、Q又はDであり、
が、P、M、T、G又はSであり、
10が、A、V、F、H、G又はSであり、
11が、V、L、I、F、T、N又はKであり、
16が、L、I、W、M又はFであり、
17が、A、G、S、W又はNであり、
18が、F、W又はYである、請求項1に記載のペプチド。
【請求項3】
が、Wであり、
が、Dであり、
が、Fであり、
10が、Aであり、
11が、Kであり、
16が、Fである、請求項2に記載のペプチド。
【請求項4】
−a18がWDMCHFSHAAKLQSCFPH(配列番号273)である、請求項3に記載のペプチド。
【請求項5】
請求項1から4に記載の少なくとも1つのペプチドと少なくとも1つのビヒクルとを含み、NGF活性を調節することができる、修飾ペプチド。
【請求項6】
前記ビヒクルが、Fcドメイン、ポリエチレングリコール、脂質、コレステロール基、炭水化物及びオリゴ糖からなる群から選択される、請求項5に記載の修飾ペプチド。
【請求項7】
環状である、請求項1、2、3又は4に記載のペプチド。
【請求項8】
請求項1、2、3又は4に記載のペプチドの二量体又は多量体。
【請求項9】
式:
(X−F−(X及びその多量体
(式中、
は、ビヒクルであり、
とXは、それぞれ独立に、
−(L−P
−(L−P−(L−P
−(L−P−(L−P−(L−P、及び
−(L−P−(L−P−(L−P−(L−P
から選択される
(式中、P、P、P及びPの一以上は、それぞれ独立に、請求項1、2、3又は4に記載のペプチドを含み、
、L、L及びLは、それぞれ独立に、リンカーであり、
a、b、c、d、e及びfは、それぞれ独立に、0又は1である(但し、aとbのうち少なくとも1つは1である。)。)。)
又は生理的に許容されるその塩を有し、NGF活性を調節することができる修飾ペプチド。
【請求項10】
、P、P及びPの一以上が、それぞれ独立に、配列番号273に示されているペプチドを有する、請求項9に記載の修飾ペプチド。
【請求項11】
式:X−F若しくはF−X又は生理的に許容されるその塩の請求項9に記載の修飾ペプチド
【請求項12】
式:F−(L−P又は生理的に許容されるその塩の請求項9に記載の修飾ペプチド。
【請求項13】
式:F−(L−P−(L−P又は生理的に許容されるその塩の請求項9に記載の修飾ペプチド。
【請求項14】
式:P−(L−F−(L−P又は生理的に許容されるその塩の請求項9に記載の修飾ペプチド。
【請求項15】
がFcドメイン又はその断片である、請求項9、10、11、12、13又は14に記載の修飾ペプチド。
【請求項16】
が配列番号60のアミノ酸配列を有する、請求項15に記載の修飾ペプチド。
【請求項17】
請求項1、5、9、14又は16に記載のペプチド又は修飾ペプチドをコードするポリヌクレオチド。
【請求項18】
請求項17のポリヌクレオチドを含む発現ベクター。
【請求項19】
請求項18の発現ベクターを含む宿主細胞。
【請求項20】
前記細胞が原核細胞である、請求項19に記載の宿主細胞。
【請求項21】
前記細胞がE.コリ(E.coli)細胞である、請求項20に記載の宿主細胞。
【請求項22】
前記細胞が真核細胞である、請求項19に記載の宿主細胞。
【請求項23】
式:bCWbGCb121314(配列番号274)
(式中、
、b、b、b、b、b13及びb14は、それぞれ独立に、存在しないか又はアミノ酸残基であり、
は、中性の疎水性アミノ酸残基であり、
は、極性の疎水性アミノ酸残基であり、
12は、中性の疎水性アミノ酸残基又は酸性のアミノ酸残基である。)
のアミノ酸配列又は生理的に許容されるその塩を有し、NGF活性を調節することができるペプチド。
【請求項24】
が、V、L、I、W、T、Y又はEであり、
が、L、W、M、Q又はHであり、
が、W、M、G、Q又はEであり、
が、F又はWであり、
が、T又はSであり、
が、A、P、W、S、E又はDであり、
が、A、G、Q、E又はKであり、
12が、V、I、P、D又はEである、請求項23に記載のペプチド。
【請求項25】
が、L又はIであり、
が、Q又はHであり、
が、G又はMであり、
が、F又はWであり、
が、T又はSであり、
が、E又はDであり、
が、E又はKであり、
12が、V又はEであり、
13が、V、W又はYであり、
14が、P、S又はQである、請求項23に記載のペプチド。
【請求項26】
IHGCWFTEEGCVWQ(配列番号277)及びLQMCWFTEKGCEVP(配列番号278)又は生理的に許容されるそれらの塩からなる群から選択され、NGF活性を調節することができるペプチド。
【請求項27】
少なくとも1つの請求項23、24又は25に記載のペプチドと少なくとも1つのビヒクルとを含み、NGF活性を調節することができる組成物。
【請求項28】
前記ビヒクルが、Fcドメイン、ポリエチレングリコール、脂質、コレステロール基、炭水化物及びオリゴ糖からなる群から選択される、請求項27に記載の組成物。
【請求項29】
環状である、請求項23、24又は25に記載のペプチド。
【請求項30】
請求項23、24又は25に記載のペプチドの二量体又は多量体。
【請求項31】
式:(X−F−(X及びその多量体
(式中、
は、ビヒクルであり、
とXは、それぞれ独立に、
−(L−P
−(L−P−(L−P
−(L−P−(L−P−(L−P、及び
−(L−P−(L−P−(L−P−(L−P
から選択される
(式中、P、P、P及びPの一以上は、それぞれ独立に、請求項23、24又は25に記載のペプチドを含み、
、L、L及びLは、それぞれ独立に、リンカーであり、
a、b、c、d、e及びfは、それぞれ独立に、0又は1である(但し、aとbのうち少なくとも1つは1である。)。)。)
又は生理的に許容されるその塩を有し、前記ペプチドがNGF活性を調節することができる、組成物。
【請求項32】
、P、P及びPの一以上が、それぞれ独立に、配列番号277及び278からなる群から選択されるペプチドを有する、請求項31に記載の組成物。
【請求項33】
式:X−F若しくはF−X又は生理的に許容されるその塩の請求項31に記載の組成物。
【請求項34】
式:F−(L−P又は生理的に許容されるその塩の請求項31に記載の組成物。
【請求項35】
式:F−(L−P−(L−P又は生理的に許容されるその塩の請求項31に記載の組成物。
【請求項36】
式:P−(L−F−(L−P又は生理的に許容されるその塩の請求項31に記載の組成物。
【請求項37】
がFcドメイン又はその断片である、請求項31に記載の組成物。
【請求項38】
が配列番号60のアミノ酸配列又はその断片を有する、請求項31に記載のた組成物。
【請求項39】
請求項23、27、31、36又は38に記載のペプチド又はポリペプチドをコードするポリヌクレオチド。
【請求項40】
請求項39のポリヌクレオチドを含む発現ベクター。
【請求項41】
請求項40の発現ベクターを含む宿主細胞。
【請求項42】
前記細胞が原核細胞である、請求項41に記載の宿主細胞。
【請求項43】
前記細胞がE.コリ(E.coli)細胞である、請求項42に記載の宿主細胞。
【請求項44】
前記細胞が真核細胞である、請求項41に記載の宿主細胞。
【請求項45】
式:cQCcScGCc1213141516
(式中、
、c、c、c、c13及びc14は、それぞれ独立に、存在しないか又はアミノ酸残基であり、
は、中性の疎水性アミノ酸残基であり、
は、中性の疎水性アミノ酸残基又は極性の疎水性アミノ酸残基であり、
12は、中性の疎水性アミノ酸残基又は酸性のアミノ酸残基である。)
のアミノ酸配列又は生理的に許容されるその塩を有し、NGF活性を調節することができるペプチド。
【請求項46】
が、V、I、T、Y、N又はKであり、
が、L、M又はFであり、
が、S、Q又はEであり、
が、L、F、W又はYであり、
が、W、M、T、G、S又はNであり、
が、A、V、G、S又はEであり、
12が、L、P、G、D又はEであり、
13が、K、I、L、Y又はQであり、
14が、A、S、P、V、M又はQである、請求項45に記載のペプチド。
【請求項47】
が、K又はTであり、
が、L又はFであり、
が、E又はQであり、
が、L,F又はYであり、
が、Tであり、
が、S又はAであり、
12が、P又はLであり、
15が、Lであり又は存在しない、
16が、Eであり又は存在しない、請求項46に記載のペプチド。
【請求項48】
配列番号208,209、224、233、234、241、246、279及び280又は生理的に許容されるそれらの塩からなる群から選択され、NGF活性を調節することができるペプチド。
【請求項49】
請求項45、46、47又は48に記載の少なくとも1つのペプチドと少なくとも1つのビヒクルとを含み、NGF活性を調節することができる、組成物。
【請求項50】
前記ビヒクルが、Fcドメイン、ポリエチレングリコール、脂質、コレステロール基、炭水化物及びオリゴ糖からなる群から選択される、請求項49に記載の組成物。
【請求項51】
環状である、請求項45、46、47又は48に記載のペプチド。
【請求項52】
請求項45、46、47又は48に記載のペプチドの二量体又は多量体。
【請求項53】
式:
(X−F−(X及びその多量体
(式中、
は、ビヒクルであり、
とXは、それぞれ独立に、
−(L−P
−(L−P−(L−P
−(L−P−(L−P−(L−P、及び
−(L−P−(L−P−(L−P−(L−P
から選択される
(式中、P、P、P及びPの一以上は、それぞれ独立に、請求項45、46、47又は48に記載のペプチドを含み、
、L、L及びLは、それぞれ独立に、リンカーであり、
a、b、c、d、e及びfは、それぞれ独立に、0又は1である(但し、aとbのうち少なくとも1つは1である。)。)。)
又は生理的に許容されるその塩を有し、前記ペプチドがNGF活性を調節することができる、組成物。
【請求項54】
、P、P及びPの一以上が、それぞれ独立に、配列番号208、209、224、233、234、241、246、279及び280からなる群から選択されるペプチドを有する、請求項53に記載の組成物。
【請求項55】
式:X−F若しくはF−X又は生理的に許容されるその塩の請求項53に記載の組成物。
【請求項56】
式:F−(L−P又は生理的に許容されるその塩の請求項53に記載の組成物。
【請求項57】
式:F−(L−P−(L−P又は生理的に許容されるその塩の請求項53に記載の組成物。
【請求項58】
式:P−(L−F−(L−P又は生理的に許容されるその塩の請求項53に記載の組成物。
【請求項59】
がFcドメイン又はその断片である、請求項53に記載の組成物。
【請求項60】
が配列番号60のアミノ酸配列又はその断片を有する、請求項53に記載の組成物。
【請求項61】
請求項45、47、49、53又は56に記載のペプチド又はポリペプチドをコードするポリヌクレオチド。
【請求項62】
請求項61のポリヌクレオチドを含む発現ベクター。
【請求項63】
請求項62の発現ベクターを含む宿主細胞。
【請求項64】
前記細胞が原核細胞である、請求項63に記載の宿主細胞。
【請求項65】
前記細胞がE.コリ(E.coli)細胞である、請求項64に記載の宿主細胞。
【請求項66】
前記細胞が真核細胞である、請求項63に記載の宿主細胞。
【請求項67】
式:
PPd101112131415Pd1718192021222324
(式中、
が、W、Y、Q又はEであり、
が、V、L、F、S又はQであり、
が、W、F、G、S又はQであり、
が、A、Q、D、E又はKであり、
が、V、W、G又はRであり、
が、M、S、Y、Q、N、E、K又はRであり、
が、A、V、L、P、W、Q又はHであり、
10が、D又はEであり、
11が、V又はIであり、
12が、V、L、F又はYであり、
13が、V、L、G、Q又はEであり、
14が、Q、D又はEであり、
15が、W又はCであり、
17が、W、Y又はQであり、
18が、V、T、Q、N又はKであり、
19が、A、L又はPであり、
20が、P、Q、R又はHであり、
21が、V、I、W、又はDであり、
22が、A、I、S、Q又はDであり、
23が、Lであり又は存在しない、
24が、Eであり又は存在しない。)
のアミノ酸配列又は生理的に許容されるその塩を有し、NGF活性を調節することができるペプチド。
【請求項68】
が、Q又はYであり、
が、Lであり、
が、W又はDであり、
が、D、E又はKであり、
が、V、W又はGであり、
が、Q、K又はRであり、
が、W又はLであり、
10が、E又はDであり、
11が、V又はIであり、
12が、V、L又はFであり、
13が、V、L又はGであり、
14が、Q、D又はEであり、
15が、W又はCであり、
17が、W又はYであり、
18が、Q、K又はNであり、
19が、P、V又はLであり、
20が、P又はSであり、
21が、Vであり、
22が、Q又はDであり、
23が、Lであり又は存在しない、
24が、Eであり又は存在しない、請求項67に記載のペプチド。
【請求項69】
配列番号203,228、240、247及び266又は生理的に許容されるそれらの塩からなる群から選択され、NGF活性を調節することができるペプチド。
【請求項70】
請求項67、68又は69に記載の少なくとも1つのペプチドと少なくとも1つのビヒクルとを含み、NGF活性を調節することができる、組成物。
【請求項71】
前記ビヒクルが、Fcドメイン、ポリエチレングリコール、脂質、コレステロール基、炭水化物及びオリゴ糖からなる群から選択される、請求項70に記載の組成物。
【請求項72】
環状である、請求項67、68又は69に記載のペプチド。
【請求項73】
請求項67、68又は69に記載のペプチドの二量体又は多量体。
【請求項74】
式:(X−F−(X及びそれらの多量体
(式中、
は、ビヒクルであり、
とXは、それぞれ独立に、
−(L−P
−(L−P−(L−P
−(L−P−(L−P−(L−P、及び
−(L−P−(L−P−(L−P−(L−P
から選択される
(式中、P、P、P及びPの一以上は、それぞれ独立に、請求項67、68又は69に記載のペプチドを含み、
、L、L及びLは、それぞれ独立に、リンカーであり、
a、b、c、d、e及びfは、それぞれ独立に、0又は1である(但し、aとbのうち少なくとも1つは1である。)。)。)
又は生理的に許容されるその塩を有し、前記ペプチドがNGF活性を調節することができる、組成物。
【請求項75】
、P、P及びPの一以上が、それぞれ独立に、配列番号203、228、240、247及び266からなる群から選択されるペプチドを有する、請求項73に記載の組成物。
【請求項76】
式:X−F若しくはF−X又は生理的に許容されるその塩の請求項73に記載の組成物。
【請求項77】
式:F−(L−P又は生理的に許容されるその塩の請求項73に記載の組成物。
【請求項78】
式:F−(L−P−(L−P又は生理的に許容されるその塩の請求項73に記載の組成物。
【請求項79】
式:P−(L−F−(L−P又は生理的に許容されるその塩の請求項73に記載の組成物。
【請求項80】
がFcドメイン又はその断片である、請求項73に記載の組成物。
【請求項81】
が配列番号60のアミノ酸配列又はその断片を有する、請求項73に記載の組成物。
【請求項82】
請求項67、68又は69に記載のペプチド又はポリペプチドをコードするポリヌクレオチド。
【請求項83】
請求項82のポリヌクレオチドを含む発現ベクター。
【請求項84】
請求項83の発現ベクターを含む宿主細胞。
【請求項85】
前記細胞が原核細胞である、請求項84に記載の宿主細胞。
【請求項86】
前記細胞がE.コリ(E.coli)細胞である、請求項85に記載の宿主細胞。
【請求項87】
前記細胞が真核細胞である、請求項84に記載の宿主細胞。
【請求項88】
式:f1011Lf13EQYFf18Lf20PPGf242526
(式中、
−f、f、f、f11、f18、f24、f25及びf26は、それぞれ独立に、存在しないか又はアミノ酸残基であり、
、f10及びf13は、それぞれ独立に、中性の疎水性アミノ酸残基又は極性の疎水性アミノ酸残基であり、
20は、T、M又はIである。)
のアミノ酸配列又は生理的に許容されるその塩を有し、NGF活性を調節することができるペプチド。
【請求項89】
が、Aであり又は存在しない、
が、Qであり又は存在しない、
が、L、M、T、Q又はNであり、
が、A、I、P、T、G又はQであり、
が、M、G、E又はDであり、
が、W又はHであり、
が、L、P又はMであり、
が、G、L、R又はSであり、
が、A、Q、D又はEであり、
10が、L、N又はMであり、
11が、P、R又はSであり、
13が、L、F又はYであり、
18が、A、Q、E又はRであり、
20が、T、M又はIであり、
24が、L、I、V又はYであり、
25が、Lであり又は存在しない、
26が、Eであり又は存在しない、請求項88に記載のペプチド。
【請求項90】
が、Aであり又は存在しない、
が、Qであり又は存在しない、
が、M、Q又はNであり、
が、I、P、T又はGであり、
が、M、G又はDであり、
が、W又はHであり、
が、L又はPであり、
が、G、L又はSであり、
が、A、Q又はDであり、
10が、L、N又はMであり、
11が、P、R又はSであり、
13が、L又はFであり、
18が、A、Q又はEであり、
20が、T、M又はIであり、
24が、L、I又はVであり、
25が、Lであり又は存在しない、
26が、Eであり又は存在しない、請求項89に記載のペプチド。
【請求項91】
配列番号210,230、232、236、239及び251又は生理的に許容されるそれらの塩からなる群から選択され、NGF活性を調節することができるペプチド。
【請求項92】
少なくとも1つの請求項88、89、90又は91に記載のペプチドと少なくとも1つのビヒクルとを含み、NGF活性を調節することができる修飾ペプチド。
【請求項93】
前記ビヒクルが、Fcドメイン、ポリエチレングリコール、脂質、コレステロール基、炭水化物及びオリゴ糖からなる群から選択される、請求項92に記載の組成物。
【請求項94】
環状である、請求項88、89、90又は91に記載のペプチド。
【請求項95】
請求項88、89、90又は91に記載のペプチドの二量体又は多量体。
【請求項96】
式:(X−F−(X及びその多量体
(式中、
は、ビヒクルであり、
とXは、それぞれ独立に、
−(L−P
−(L−P−(L−P
−(L−P−(L−P−(L−P、及び
−(L−P−(L−P−(L−P−(L−Pから選択される
(式中、P、P、P及びPの一以上は、それぞれ独立に、請求項88、89、90又は91に記載のペプチドを含み、
、L、L及びLは、それぞれ独立に、リンカーであり、
a、b、c、d、e及びfは、それぞれ独立に、0又は1である(但し、aとbのうち少なくとも1つは1である。)。)。)
又は生理的に許容されるその塩を有し、前記ペプチドがNGF活性を調節することができる、組成物。
【請求項97】
、P、P及びPの一以上が、それぞれ独立に、配列番号210、230、232、236、239及び251からなる群から選択されるペプチドを有する、請求項96に記載の組成物。
【請求項98】
式:X−F若しくはF−X又は生理的に許容されるその塩の請求項96に記載の組成物。
【請求項99】
式:F−(L−P又は生理的に許容されるその塩の請求項96に記載の組成物。
【請求項100】
式:F−(L−P−(L−P又は生理的に許容されるその塩の請求項96に記載の組成物。
【請求項101】
式:P−(L−F−(L−P又は生理的に許容されるその塩の請求項96に記載の組成物。
【請求項102】
がFcドメイン又はその断片である、請求項96に記載の組成物。
【請求項103】
が配列番号60のアミノ酸配列又はその断片を有する、請求項96に記載の組成物。
【請求項104】
請求項88、89、90又は91に記載のペプチド又はポリペプチドをコードするポリヌクレオチド。
【請求項105】
請求項104のポリヌクレオチドを含む発現ベクター。
【請求項106】
請求項105の発現ベクターを含む宿主細胞。
【請求項107】
前記細胞が原核細胞である、請求項106に記載の宿主細胞。
【請求項108】
前記細胞がE.コリ(E.coli)細胞である、請求項107に記載の宿主細胞。
【請求項109】
前記細胞が真核細胞である、請求項106に記載の宿主細胞。
【請求項110】
式:hLGh1011Lh13YFh16Lh18PPGh222324
(式中、
−h、h、h11、h23及びh24は、それぞれ独立に、存在しないか又はアミノ酸残基であり、
10及びh13は、それぞれ独立に、中性の疎水性アミノ酸残基又は極性の疎水性アミノ酸残基であり、
16は、極性の疎水性アミノ酸残基又は塩基性のアミノ酸残基であり、
18は、中性の疎水性アミノ酸残基であり、
22は、中性の極性アミノ酸残基である。)
のアミノ酸配列又は生理的に許容されるその塩を有し、NGF活性を調節することができるペプチド。
【請求項111】
が、Aであり又は存在しない、
が、Qであり又は存在しない、
が、V、G、Pであり又は存在しない、
が、V、T、S、Kであり又は存在しない、
が、S、E、Q又はDであり、
が、Q、N,K又はMであり、
が、S、G、Q又はDであり、
10が、W、Y又はFであり、
11が、A、L又はMであり、
13が、Q、N又はYであり、
16が、K、H、S又はRであり、
18が、A、V、L又はIであり、
22が、S、T又はGであり、
23が、Lであり又は存在しない、
24が、Eであり又は存在しない、請求項110に記載のペプチド。
【請求項112】
が、Aであり又は存在しない、
が、Qであり又は存在しない、
が、Pであり又は存在しない、
が、Tであり又は存在しない、
が、E又はDであり、
が、Q又はNであり、
が、E又はDであり、
10が、W又はYであり、
11が、L又はMであり、
13が、Q又はNであり、
16が、K又はRであり、
18が、V又はLであり、
22が、S又はTであり、
23が、Lであり又は存在しない、
24が、Eであり又は存在しない、請求項111に記載のペプチド。
【請求項113】
配列番号202,211、219、221、231、237及び272又は生理的に許容されるそれらの塩からなる群から選択され、NGF活性を調節することができるペプチド。
【請求項114】
少なくとも1つの請求項110、111、112又は113に記載のペプチドと少なくとも1つのビヒクルとを含み、前記ペプチドがNGF活性を調節することができる、組成物。
【請求項115】
前記ビヒクルが、Fcドメイン、ポリエチレングリコール、脂質、コレステロール基、炭水化物及びオリゴ糖からなる群から選択される、請求項114に記載の組成物。
【請求項116】
環状である、請求項110、111、112又は113に記載のペプチド。
【請求項117】
請求項110、111、112又は113に記載のペプチドの二量体又は多量体。
【請求項118】
式:(X−F−(X及びその多量体
(式中、
は、ビヒクルであり、
とXは、それぞれ独立に、
−(L−P
−(L−P−(L−P
−(L−P−(L−P−(L−P、及び
−(L−P−(L−P−(L−P−(L−P
から選択される
(式中、P、P、P及びPの一以上は、それぞれ独立に、請求項110、111、112又は113に記載のペプチドを含み、
、L、L及びLは、それぞれ独立に、リンカーであり、
a、b、c、d、e及びfは、それぞれ独立に、0又は1である(但し、aとbのうち少なくとも1つは1である。)。)。)
又は生理的に許容されるその塩を有し、前記ペプチドがNGF活性を調節することができる、組成物。
【請求項119】
、P、P及びPの一以上が、それぞれ独立に、配列番号202、211、219、221、231、237及び272からなる群から選択されるペプチドを有する、請求項118の組成物。
【請求項120】
式:X−F若しくはF−X又は生理的に許容されるその塩の請求項118に記載の組成物。
【請求項121】
式:F−(L−P又は生理的に許容されるその塩の請求項118に記載の組成物。
【請求項122】
式:F−(L−P−(L−P又は生理的に許容されるその塩の請求項118に記載の組成物。
【請求項123】
式:P−(L−F−(L−P又は生理的に許容されるその塩の請求項118に記載の組成物。
【請求項124】
がFcドメイン又はその断片である、請求項118に記載の組成物。
【請求項125】
が配列番号60のアミノ酸配列又はその断片を有する、請求項118に記載の組成物。
【請求項126】
請求項110、111、112又は113に記載のペプチド又はポリペプチドをコードするポリヌクレオチド。
【請求項127】
請求項126のポリヌクレオチドを含む発現ベクター。
【請求項128】
請求項127の発現ベクターを含む宿主細胞。
【請求項129】
前記細胞が原核細胞である、請求項128に記載の宿主細胞。
【請求項130】
前記細胞がE.コリ(E.coli)細胞である、請求項129に記載の宿主細胞。
【請求項131】
前記細胞が真核細胞である、請求項128に記載の宿主細胞。
【請求項132】
式:(X−F−(X
(式中、
は、Fcドメインであり、
とXは、それぞれ独立に、
−(L−P、−(L−P−(L−P、−(L−P−(L−P−(L−P及び−(L−P−(L−P−(L−P−(L−Pから選択され、
、L、L及びLは、それぞれ独立に、リンカーであり、
a、b、c、d、e及びfは、それぞれ独立に、0又は1であり(但し、aとbのうち少なくとも1つは1である)、
、P、P及びPは、それぞれ独立に、
i.配列番号1ないし配列番号58、
ii.配列番号202ないし配列番号280、
iii.(i)又は(ii)の類縁体、及び
iv.(i)、(ii)又は(iii)の誘導体
からなる群から選択される配列である。)
のアミノ酸配列を有し、NGF活性を調節することができる組成物。
【請求項133】
式:F−L−P
(式中、
Fは、Fcドメインであり、
Lは、リンカーであり、
Pは、
i.配列番号8、10、23及び24、
ii.(i)の類縁体、及び
iii.(i)又は(ii)の誘導体
からなる群から選択される。)
のアミノ酸配列を有し、NGF活性を調節することができる、請求項132に記載の組成物。
【請求項134】
ヒト又は動物の患者に、請求項1、5、9、14、16、23、27、31、36、38、45、48、49、51、53、56、58、67、68、70、72、74、77、79、88、89、90、92、94、96、97、99、101、110、111、112、114、116、117、118、121、123、132又は133に記載の組成物の治療的有効量を投与することを含む、NGF活性に関連する疾病又は疾患を治療又は予防する方法。
【請求項135】
前記疾病又は疾患が、神経の痛み、有痛性糖尿病性神経障害、ヘルペス後の神経痛、炎症性の痛み、偏頭痛、喘息、過活動膀胱、乾癬及び癌からなる群から選択される、請求項134に記載の方法。
【請求項136】
前記疾病又は疾患が痛みである、請求項134の方法。
【請求項137】
ヒト又は動物の患者に、請求項1、5、9、14、16、23、27、31、36、38、45、48、49、51、53、56、58、67、68、70、72、74、77、79、88、89、90、92、94、96、97、99、101、110、111、112、114、116、117、118、121、123、132又は133に記載の組成物の治療的有効量を投与することを含む、痛みを調節する又は鎮痛を促進する方法。
【請求項138】
前記疾病又は疾患が、急性の痛み、歯痛、外傷からの痛み、手術の痛み、切断もしくは膿瘍から生じる痛み、灼熱痛、脱髄疾患、三叉神経痛、癌、慢性アルコール依存症、発作、視床痛症候群、糖尿病、後天性免疫不全症候群(「AIDS」)、トキシン及び化学療法、一般的な頭痛、偏頭痛、群発性頭痛、混合血管性及び非血管性症候群、緊張性頭痛、一般的な炎症、関節炎、リウマチ性疾患、狼瘡、骨関節炎、炎症性大腸疾患、炎症性眼疾患、炎症性もしくは不安定膀胱疾患、乾癬、炎症性要素を伴う皮膚病、日焼け、心臓炎、皮膚炎、筋炎、神経炎、膠原血管病、慢性炎症症状、炎症性の痛み及びこれに伴う痛覚過敏及び異痛症、神経障害性の痛み及びこれに伴う痛覚過敏及び異痛症、糖尿病性神経障害の痛み、灼熱痛、交感神経によって維持される痛み、除神経後症候群、喘息、上皮組織の損傷もしくは機能障害、単純ヘルペス、ヘルペス後の神経痛、呼吸、泌尿生殖器、胃腸もしくは血管領域における臓器の運動性の障害、創傷、火傷、アレルギー性の皮膚反応、掻痒、白斑、一般的な胃腸疾患、大腸炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、血管運動性もしくはアレルギー性鼻炎又は気管支疾患からなる群から選択され、請求項1、5、9、14、16、23、27、31、36、38、45、48、49、51、53、56、58、67、68、70、72、74、77、79、88、89、90、92、94、96、97、99、101、110、111、112、114、116、117、118、121、123、132又は133に記載の化合物を投与する工程を含む、請求項134に記載の方法。
【請求項139】
請求項1、5、9、14、16、23、27、31、36、38、45、48、49、51、53、56、58、67、68、70、72、74、77、79、88、89、90、92、94、96、97、99、101、110、111、112、114、116、117、118、121、123、132又は133に記載の化合物と、薬剤として許容される希釈剤又は担体とを含む医薬組成物。
【請求項140】
急性の痛み、炎症性の痛み、神経障害性の痛み、歯痛、外傷からの痛み、手術の痛み、切断もしくは膿瘍から生じる痛み、灼熱痛、脱髄疾患、三叉神経痛、癌、慢性アルコール依存症、発作、視床痛症候群、糖尿病、後天性免疫不全症候群(「AIDS」)、トキシン及び化学療法、一般的な頭痛、偏頭痛、群発性頭痛、混合血管性及び非血管性症候群、緊張性頭痛、一般的な炎症、関節炎、リウマチ性疾患、狼瘡、骨関節炎、炎症性大腸疾患、炎症性眼疾患、炎症性もしくは不安定膀胱疾患、乾癬、炎症性要素を伴う皮膚病、日焼け、心臓炎、皮膚炎、筋炎、神経炎、膠原血管病、慢性炎症症状、炎症性の痛み及びこれに伴う痛覚過敏や異痛症、神経障害性の痛み及びこれに伴う痛覚過敏や異痛症、糖尿病性神経障害の痛み、灼熱痛、交感神経によって維持される痛み、除神経後症候群、喘息、上皮組織の損傷又は機能障害、単純ヘルペス、ヘルペス後の神経痛、呼吸、泌尿生殖器、胃腸もしくは血管領域における臓器の運動性の障害、創傷、火傷、アレルギー性の皮膚反応、掻痒、白斑、一般的な胃腸疾患、大腸炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、血管運動性もしくはアレルギー性鼻炎又は気管支疾患からなる群から選択される疾病又は疾患の治療用医薬を製造するための、請求項1、5、9、14、16、23、27、31、36、38、45、48、49、51、53、56、58、67、68、70、72、74、77、79、88、89、90、92、94、96、97、99、101、110、111、112、114、116、117、118、121、123、132又は133に記載の化合物の使用。
【請求項141】
i.配列番号8、10,23又は24;
ii.(i)の類縁体;及び
iii.(i)又は(ii)の生理的に許容される塩
からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、NGF活性を調節することができるペプチド。
【請求項142】
少なくとも1つの請求項141に記載のペプチドと少なくとも1つのビヒクルとを含み、NGF活性を調節することができる、組成物。
【請求項143】
前記ビヒクルが、Fcドメイン、ポリエチレングリコール、脂質、コレステロール基、炭水化物及びオリゴ糖からなる群から選択される、請求項142に記載の組成物。
【請求項144】
環状である、請求項141に記載のペプチド。
【請求項145】
請求項141に記載のペプチドの二量体又は多量体。
【請求項146】
式:(X−F−(X及びその多量体
(式中、
は、ビヒクルであり、
とXは、それぞれ独立に、
−(L−P
−(L−P−(L−P
−(L−P−(L−P−(L−P、及び
−(L−P−(L−P−(L−P−(L−P
から選択される
(式中、P、P、P及びPの一以上は、それぞれ独立に、請求項141に記載のペプチドを含み、
、L、L及びLは、それぞれ独立に、リンカーであり、
a、b、c、d、e及びfは、それぞれ独立に、0又は1である(但し、aとbのうち少なくとも1つは1である。)。)。)
又は生理的に許容されるその塩を有し、前記ペプチドがNGF活性を調節することができる組成物。
【請求項147】
式:X−F若しくはF−X又は生理的に許容されるその塩の請求項146に記載の組成物。
【請求項148】
式:F−(L−P又は生理的に許容されるその塩の請求項146に記載の組成物。
【請求項149】
式:F−(L−P−(L−P又は生理的に許容されるその塩の請求項146に記載の組成物。
【請求項150】
式:P−(L−F−(L−P又は生理的に許容されるその塩の請求項146に記載の組成物。
【請求項151】
がFcドメイン又はその断片である、請求項146、147、148、149又は150に記載の組成物。
【請求項152】
請求項141、142、143、144、145、146、147、148、149、150又は151に記載のペプチド又はポリペプチドをコードするポリヌクレオチド。
【請求項153】
請求項39のポリヌクレオチドを含む発現ベクター。
【請求項154】
請求項153の発現ベクターを含む宿主細胞。
【請求項155】
前記細胞が原核細胞である、請求項154に記載の宿主細胞。
【請求項156】
前記細胞がE.コリ(E.coli)細胞である、請求項155に記載の宿主細胞。
【請求項157】
前記細胞が真核細胞である、請求項154に記載の宿主細胞。

【図1−A】
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【図1−B】
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【図2−A】
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【図2−B】
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【図3−A】
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【図3−B】
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【図4−A】
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【図4−B】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−142236(P2010−142236A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−5579(P2010−5579)
【出願日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【分割の表示】特願2004−538415(P2004−538415)の分割
【原出願日】平成15年9月19日(2003.9.19)
【出願人】(500049716)アムジエン・インコーポレーテツド (242)
【Fターム(参考)】