説明

神経変性疾患の処置のための1−フェニルアルカンカルボン酸誘導体

1−フェニルアルカンカルボン酸誘導体、それらの調製の方法および神経変性疾患、例えばアルツハイマー病の処置および/または予防におけるそれらの使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1−フェニルアルカンカルボン酸、それらのプロドラッグおよびカルボキシル部分の生物学的等価体(bioisoster)に関する。本発明は、それらの調製のための方法および本発明における、または神経変性疾患、殊にはアルツハイマー病の治療的処置におけるそれらの使用にも関する。
【背景技術】
【0002】
アルツハイマー病は、大脳皮質の萎縮および皮質性ニューロンおよび皮質に向かう核基底のコリン作動性突起の大量の損失を特徴とする神経変性障害である。組織病理学的観点からは、アルツハイマー患者の大脳実質組織内に、細胞外および脈間周囲の神経炎性プラークおよび細胞内の神経細繊維のもつれの広範な存在がある。
【0003】
神経炎性プラークは、β−アミロイド(βA)、そしてアミノ酸の数に応じて、Aβ39、Aβ40、Aβ42およびAβ43として知られる39〜43個のアミノ酸残基を有するタンパク質の集合体から主として成る。
【0004】
これらの組織病理学的損傷に加えて、いくらかの神経伝達物質、殊にはアセチルコリン、セロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミン、グルタマートおよびP物質の欠乏がある。主としてアセチルコリンエステラーゼ阻害剤を介するアセチルコリン脳レベルの上昇を目標とする薬理学的探究方法は、臨床的観点からは不十分な結果、またはいずれにしても疾患の進行を顕著には防止できないという結果を得た。この理由から、近年では患者の脳内の主要な病理的損傷、すなわち神経炎性プラークおよび神経細繊維のもつれの双方の形成の機構に興味が集中し、そしてさらに有効な治療方法が探究されている。
【0005】
疫学的研究は、非ステロイド抗炎症薬(NSAID)の長期投与が、規則的にそれらの薬剤を摂取している集団内でアルツハイマー病の発病を著しく低下することを証明した。かかるNSAID予防作用の基となる機構はまだ完全には解明されていなが、しかしシクロオキシゲナーゼ(COX)酵素を阻害するそれらの能力と関連するらしい。
【0006】
さらに最近では、ある種の非ステロイド抗炎症薬(NSAID)の新規の薬理学的作用が記載されており、すなわちインドメタシン、スリンダク、イブプロフェンおよびフルルビプロフェンは、細胞カルチャー内のβ−アミロイドペプチドの大部分の神経毒性イソ型、すなわちアミノ酸42個を含む形(Aβ42)の産生を選択的に低下でき、これにより有害度の低いイソ型、Aβ38の放出をもたらすことができる(非特許文献1)。しかし、γ−セクレターゼ(アスパルチル−プロテアーゼ活性を有する巨大分子/マルチプロテイン(multiprotein)酵素複合体)とそれらの薬剤の相互作用に帰属できるAβ42の産生の阻害は、著しく高い濃度でin vitroで観察された。in vitro実験に使用された投与量に相当する血漿および脳内レベルは、処置された患者内に、COX阻害剤に典型的な副作用、例えば消化器管内出血および穿孔性潰瘍の危険を著しく増大するであろう。
【0007】
特許文献1は、Aβ42低下剤を投与することにより、Aβ38のレベルが上昇しそしてAβ42のレベルが変化しないままである条件下でアルツハイマー病の進行を予防、遅延または逆転させる方法を特許請求している。さらに、Aβ42低下剤を同定および開発するための方法および材料およびアルツハイマー病を発病、または進行を加速する危険を増加する薬剤を同定するための方法も開示している。実施例は、インドメタシンおよびフルフェナミン酸誘導体に関するものであるが、しかしフルルビプロフェン誘導体に関する
実施例は報告されていない。
【0008】
非特許文献2は、酸化窒素を放出できるフルルビプロフェン誘導体を記載している。その論文は、フルルビプロフェン誘導体が、β−アミロイド沈着を除去する場合に他のNSAIDよりもさらに有効らしいと一般的に述べているが、しかしいかなるAβ42低下選択活性に関する言及はない。
【0009】
この治療シナリオにおいて、および慣用のNSAIDの潜在的問題を考慮して、ペプチドAβ42に対してさらに選択的でかつさらに強力な阻害活性を有し、他方ではシクロオキシゲナーゼを低い程度で、または全く阻害しない新規の誘導体は、アルツハイマー病の発病を予防および/または初期段階の疾患を表す認知減退を遅らせることを目的とする治療における著しい進歩となるであろう。
【0010】
置換された1−フェニル−2,2−ジアルキルカルボン酸誘導体は、抗炎症剤、鎮痛剤および解熱剤として特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6および特許文献7中に記載された。
【0011】
3−ハロ−4−アルキル−またはシクロアルキル置換された1−フェニルシクロアルカンカルボン酸誘導体は、特許文献8および特許文献9中に、同様の活性を有する物質として記載された。
【0012】
一連のフェニル酢酸誘導体の構造−活性研究を取り扱った非特許文献3の論文中では、α炭素原子の位置へのシクロプロパン基の導入は、抗炎症性および鎮痛活性を低下すると一般的に述べられている。
【0013】
特許文献10中では、アルツハイマー病を含む多数の疾患の処置に有用で、シクロオキシゲナーゼ−2阻害剤として抗炎症活性を有する新規のビアリール−酢酸誘導体が特許請求されている。
【特許文献1】国際公開第01/78721号パンフレット
【特許文献2】英国特許(GB)第1,198,212号明細書
【特許文献3】米国特許(US)第3,978,071号明細書
【特許文献4】米国特許(US)第757,136号明細書
【特許文献5】英国特許(GB)第1,352,723号明細書
【特許文献6】特開昭49−100089号公報
【特許文献7】特開昭50−046669号公報
【特許文献8】特公昭47−047375号公報
【特許文献9】仏国特許出願公開(FR)第2,012,285号明細書
【特許文献10】国際公開第99/41224号パンフレット
【非特許文献1】Weggen et al.,Nature 2001;414(6860):212−6
【非特許文献2】Jantzen et al.,J.Neurosci.2002;22:2246−2254
【非特許文献2】Kuzuma S et al.,Takeda Kenkyushoho 1975,34,467−473
【発明の開示】
【0014】
本発明は、1−フェニルアルカンカルボン酸、それらのプロドラッグ、およびカルボキシル部分上の生物学的等価体(bioisoster)、それらの調製のための方法、それらを含む製薬学的組成物および本発明における、または神経変性疾患、殊にはアルツハイマー病の治療的処置におけるそれらの使用に関する。
【0015】
本発明の化合物は、Aβ42ペプチドの放出を阻害し、それによりその他の重要な代謝過程に影響することなくガンマ−セクレターゼ活性を調節できる。
【0016】
本発明は、一般式(I):
【0017】
【化1】

【0018】
〔式中、
RおよびRは同一でありそして直鎖状もしくは分枝状C〜Cアルキルの群から選択され、
あるいはそれらは、それらが結合する炭素原子と一緒に三〜六員炭素原子環を形成し、
Gは、
− COOR”基(ここで、R”はH、直鎖状もしくは分枝状C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、またはアスコルビルである)、
− CONHまたはCONHSOR'''基(ここで、R'''は直鎖状もしくは分枝状C〜C−アルキルまたはC〜C−シクロアルキルである)、
− テトラゾリル残基
であり、
は、H、CF、OCFまたはF、Cl、Br、Iの群から選択されたハロゲン、好ましくはフッ素であり、
Arは、式
【0019】
【化2】

【0020】
(式中、Rは、
− 上記に定義したのと同じハロゲン;
− CF
− 場合により1個またはそれ以上のC〜Cアルキルおよび/またはオキソ基で置換されたC〜Cシクロアルキル;
− CH=CH
− CN;
− CHOH;
− メチレンジオキシもしくはエチレンジオキシ;
− NO
− 下記の基:ハロゲン;CF;OCF;OH;直鎖状もしくは分枝状C〜Cアルキル;少なくとも4個の炭素原子および少なくとも1個のヘテロ原子を有する飽和複素環;直鎖状もしくは分枝状C〜Cアルキル、CFまたはOHの1個またはそれ以上で場合によりさらに置換されていてもよいC〜Cシクロアルキル;の1個またはそれ以上で場合により置換されていてもよいフェニル、
− ORまたはNHCOR(ここで、Rは、CF、直鎖状もしくは分枝状C〜Cアルケニルもしくはアルキニル;ベンジル;下記の基:ハロゲン、CF、OCF、OH、直鎖状もしくは分枝状C〜Cアルキルの1個またはそれ以上で場合により置換されていてもよいフェニル;少なくとも4個の炭素原子および少なくとも1個のヘテロ原子を有する飽和複素環;直鎖状もしくは分枝状C〜Cアルキル、CFまたはOHの1個またはそれ以上で場合によりさらに置換されていてもよいC〜Cシクロアルキルである)、
− SR、SOまたはCOR(ここで、Rは直鎖状もしくは分枝状C〜Cアルキルである)
から独立して選択された1個またはそれ以上の基を表す)
の基であり、
あるいはArは、1個またはそれ以上の上記に定義されたのと同じ基Rで場合により置換されたチオフェン、ベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、チアントレン、ピロール、ピラゾール、フラン、ベンゾフラン、ジベンゾフラン、インドール、イソインドール、ベンゾフラン、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、ベンゾオキサゾール、チアゾール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、キノキサリン、シンノリン、ピラゾール、ピラン、ベンゾピラン、ピロリジン、フタラジン、1,5−ナフチリジン、1,3−ジオキソール、1,3−ベンゾジオキソールの群から選択された複素環である〕
の化合物、それらの製薬学的に許容できる塩およびエステルに関する。
【0021】
好ましい化合物の第一のグループは、
RおよびRが、それらが結合している炭素原子と一緒に三員炭素原子環を形成し、
がフッ素であり、
GがCOOR”(式中R”が、H、直鎖状もしくは分枝状C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキルまたはアスコルビルである)であり、
Arが上記に定義されたフェニルである
化合物である。
【0022】
好ましい化合物の第二のグループは、
RおよびRが、それらが結合している炭素原子と一緒に三員炭素原子環を形成し、
がフッ素であり、
GがCONHまたはCONHSOR'''(ここで、R'''が、直鎖状もしくは分枝状C〜CアルキルまたはC〜Cシクロアルキルである)であり、
Arが上記に定義されたのと同じフェニルである
化合物である。
【0023】
好ましい化合物の第三のグループは、
RおよびRの両者がメチルであり、
がフッ素であり、
GがCOOR”(ここで、R”が上記に定義されたのと同じである)であり、
Arが上記に定義されたフェニルである
化合物である。
【0024】
好ましい化合物の第四のグループは、
RおよびRの両者がメチルであり、
がフッ素であり、
GがCONHまたはCONHSOR'''(ここで、R'''は上記に定義されたのと同じである)であり、
Arが上記に定義されたのと同じフェニルである
化合物である。
【0025】
好ましい化合物の第五のグループは、
RおよびRが、それらが結合している炭素原子と一緒に三員炭素原子環を形成し、
がフッ素であり、
GがCOOR”(ここで、R”が上記に定義されたのと同じである)であり、
Arが上記に定義された複素環である
化合物である。
【0026】
好ましい化合物の第六のグループは、
RおよびRの両者がメチルであり、
がフッ素であり、
GがCOOR”(ここで、R”が上記に定義されたのと同じである)であり、
Arが上記に定義された複素環である
化合物である。
【0027】
殊に好ましくは、下記の化合物である:
2−メチル−2(2−フルオロ−4’−トリフルオロメチルビフェン−4−イル)プロピオン酸(CHF4810)
2−メチル−2(2−フルオロ−4’シクロヘキシルビフェン−4−イル)プロピオン酸(CHF4961)
1−(2−フルオロ−4’−トリフルオロメチルビフェニル−4−イル)シクロプロパンカルボン酸(CHF5022)
1−(4’−シクロヘキシル−2−フルオロビフェニル−4−イル)シクロプロパンカルボン酸(CHF5023)
1−(4’−ベンジルオキシ−2−フルオロビフェニル−4−イル)シクロプロパンカルボン酸(CHF5042)
1−(2−フルオロ−4’−イソプロピルオキシビフェニル−4−イル)シクロプロパンカルボン酸(CHF5044)
1−(2−フルオロ−3’−トリフルオロメトキシビフェニル−4−イル)シクロプロパンカルボン酸(CHF5045)
1−(2−フルオロ−4’−トリフルオロメトキシビフェニル−4−イル)シクロプロパンカルボン酸(CHF5046)
1−(2−フルオロ−3’−トリフルオロメチルビフェニル−4−イル)シクロプロパンカルボン酸(CHF5058)
1−(4’−シクロペンチル−2−フルオロビフェニル−4−イル)シクロプロパンカル
ボン酸(CHF5059)
1−(4’−シクロヘプチル−2−フルオロビフェニル−4−イル)シクロプロパンカルボン酸(CHF5060)
1−(2’−シクロヘキシル−2−フルオロビフェニル−4−イル)シクロプロパンカルボン酸(CHF5061)
1−(2−フルオロ−4’−ヒドロキシビフェニル−4−イル)シクロプロパンカルボン酸(CHF5070)
1−〔2−フルオロ−4’−(テトラヒドロピラン−4−イルオキシ)ビフェニル−4−イル〕−シクロプロパンカルボン酸(CHF5071)
1−(2,3’,4’−トリフルオロビフェニル−4−イル)シクロプロパンカルボン酸(CHF5073)
1−(3’,4’−ジクロロ−2−フルオロビフェニル−4−イル)シクロプロパンカルボン酸(CHF5074)
1−(3’,5’−ジクロロ−2−フルオロビフェニル−4−イル)シクロプロパンカルボン酸(CHF5075)
1−(3’−クロロ−2,4’−ジフルオロビフェニル−4−イル)シクロプロパンカルボン酸(CHF5076)
1−(4−ベンゾ〔b〕チオフェン−3−イル−3−フルオロフェニル)シクロプロパンカルボン酸(CHF5077)
1−(2−フルオロ−4’−プロプ−2−イニルオキシ−ビフェニル−4−イル)−シクロプロパンカルボン酸(CHF5078)
1−(4’−シクロヘキシルオキシ−2−フルオロ−ビフェニル−4−イル)−シクロプロパンカルボン酸(CHF5079)
1−〔2−フルオロ−4’−(テトラヒドロピラン−4−イル)−ビフェニル−4−イル〕−シクロプロパンカルボン酸(CHF5080)
1−〔2−フルオロ−4’−(4−オキソ−シクロヘキシル)−ビフェニル−4−イル〕−シクロプロパンカルボン酸(CHF5081)
1−(2”−フルオロ−4−ヒドロキシ−〔1,1’:4’,1”〕tert−フェニル−4”−イル)−シクロプロパンカルボン酸(CHF5083)
1−〔4’−(4,4−ジメチルシクロヘキシル)−2−フルオロ〔1,1’−ビフェニル〕−4−イル〕−シクロプロパンカルボン酸(CHF5084)
1−〔2−フルオロ−4’−〔〔4−(トリフルオロメチル)ベンゾイル〕アンミノ〕〔1,1’−ビフェニル〕−4−イル〕−シクロプロパンカルボン酸(CHF5094)
1−〔2−フルオロ−4’−〔〔4−(トリフルオロメチル)シクロヘキシル〕オキシ〕〔1,1’−ビフェニル〕−4−イル〕−シクロプロパンカルボン酸(CHF5096)1−〔2−フルオロ−4’−〔(3,3,5,5−テトラメチルシクロヘキシル)オキシ〕〔1,1’−ビフェニル〕−4−イル〕−シクロプロパンカルボン酸(CHF5102)
1−〔4’−〔(4,4−ジメチルシクロヘキシル)オキシ〕−2−フルオロ〔1,1’−ビフェニル〕−4−イル〕−シクロプロパンカルボン酸(CHF5103)
1−(2,3’,4”−トリフルオロ〔1,1’:4’,1”−tert−フェニル〕−4−イル)−シクロプロパンカルボン酸(CHF5104)
1−(2,2’,4”−トリフルオロ〔1,1’:4’,1”−tert−フェニル〕−4−イル)−シクロプロパンカルボン酸(CHF5105)
1−(2,3’−ジフルオロ−4”−ヒドロキシ〔1,1’:4’,1”−tert−フェニル〕−4−イル)−シクロプロパンカルボン酸(CHF5106)
1−(2,2’−ジフルオロ−4”−ヒドロキシ〔1,1’:4’,1”−tert−フェニル〕−4−イル)−シクロプロパンカルボン酸(CHF5107)
2−(2−フルオロ−3’,5’−ビス(クロロ)ビフェン−4−イル)プロピオン酸アミド(CHF5125)
化合物のさらに好ましい群は、RおよびRがそれらが結合している炭素原子と一緒に三員炭素原子環を形成し、
がフッ素であり、
GがCOOHであり、
Arが、ソフトウエア クイックプロップ(QikProp)(R)リリースバージョン2.1(Schrodinger Inc)を用いて計算機で計算して全分子のlogP(n−オクタノールと水との間の分配係数)が4.5に等しいかまたはそれを越えるような様式で1個またはそれ以上の基で置換されたフェニルである
化合物である。
【0028】
実際に、分子のlogPが高いほど、Aβ42ペプチドの放出の阻害能力が大きくそして殊に強力な化合物はそのlogPが4.5に等しいかまたはそれを越え、好ましくは5.0を越える化合物であることが見いだされた。
【0029】
それらの化合物の例は、CHF5022、CHF5074、CHF5096、CHF5105、CHF5106およびCHF5107である。
【0030】
本発明は、血脳関門の通過を増加させるために調製される製薬学的に許容できる塩およびエステルにも関する。
【0031】
本発明のさらなる目的は、薬剤としての式(I)の化合物、殊には神経変性疾患、例えばアルツハイマー病の処置および/または予防のための製薬学的組成物の調製におけるそれらの使用である。
【0032】
本発明のさらに別の目的は、製薬学的に許容できる賦形剤および/またはキャリヤ、例えば「レミントンの薬剤科学ハンドブック」第17版(Remington’s Pharmaceutical Sciences Handbook,XVII Ed.,Mack Pub.,N.Y.,U.S.A.)に記載のものと混合された少なくとも1種の式(I)の化合物を含んでなる、好ましくは経口使用のための固体または液体の製薬学的組成物である。
【0033】
R”がHである一般式(I)の化合物は、文献の方法に従って、式(II)
【0034】
【化3】

【0035】
(式中、R、RおよびRは上記に定義されておりそしてXは臭素またはヨウ素、好ましくはヨウ素である)のハロゲン化アリールと、ホウ酸またはエステルArB(OL)(式中、Lはアルキル鎖である)との間で、スキーム1に報告された条件下でのパラジウム触媒反応により調製できる。
【0036】
【化4】

【0037】
式(II)の化合物は、市販されているか、または下記の合成経路に従って調製できる。
RおよびRが直鎖または分枝状C〜Cアルキルである誘導体(IIa)
該化合物は、式(III)の化合物(式中、RおよびRは上記に定義されそしてXは臭素またはヨウ素である)のアリール酢酸から出発して、スキーム2に記載の合成経路に従って調製できる。
【0038】
式(III)の酸をエステル化、アルキル化し、そして最終生成物中の基GがCOOHである場合には場合により加水分解する。
【0039】
【化5】

【0040】
RおよびRが、それらが結合している炭素原子と三〜六員炭素環を形成する誘導体(IIb)
該化合物は、市場で入手できるか、またはnが1〜4の整数であるスキーム3中に報告された合成経路に従って調製できる。
【0041】
【化6】

【0042】
ホウ酸または相当するホウ酸塩は、市場で入手できるか、または文献中で公知の方法に従って相当するハロゲン化物から調製できる。
【0043】
GがCOOR”(式中R”がH、直鎖状もしくは分枝状C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキルもしくはアスコルビルである)である式(I)の化合物は、GがCOOHである式(I)の化合物をエステル化して調製できる。
【0044】
GがCONHまたはCONHSOR'''(式中R'''が直鎖状もしくは分枝状C〜CアルキルまたはC〜Cシクロアルキルである)である式(I)の化合物は、相当するエステルとNHまたはアミンNHSOR'''との反応により調製できる。
【0045】
Gがテトラゾリルである式(I)の化合物は、公知の方法により、例えばカルボン酸をアミドに変換し、アミドをニトリルに脱水しそしてそれをアジ化トリブチルスズと反応させて、式(I)の化合物から調製できる。
実施例
化学的調製の実施例
【実施例1】
【0046】
2−メチル−2−(2−フルオロ−4’−トリフルオロメチルビフェン−4−イル)プロピオン酸(CHF4810)の調製
メチル〔2−(2−フルオロ−4’−トリフルオロメチルビフェン−4−イル)〕プロピオナートの調製
メタノール(3ml)中の2−(2−フルオロ−4’−トリフルオロメチルビフェニル−4−イル)プロピオン酸(0.2g、0.64ミリモル)の溶液に98%硫酸(0.5g)を加えそして2.5時間還流する。溶剤を減圧下で除去し、残留物を酢酸エチル(5ml)中に取り込みそして5%NaHCO溶液(5ml)、次いで水を用いて洗浄する。溶液をNaSO上で乾燥しそして減圧下で濃縮すると油状物(0.2g、95%)が生成する。
HPLC−UV純度(215nm):99%
メチル〔2−メチル−2−(2−フルオロ−4’−トリフルオロメチルビフェン−4−イ
ル)〕プロピオナートの調製
0℃および窒素雰囲気下で無水THF(3ml)中のメチル〔2−(2−フルオロ−4’−トリフルオロメチルビフェン−4−イル)〕プロピオナート(0.2g、0.61ミリモル)の溶液に60%NaH(30mg、0.75ミリモル)を加える。混合物を30分間攪拌しそしてCHI(70μl、0.91ミリモル)を加える。3時間後に混合物を減圧下で濃縮しそして酢酸エチル(5ml)中に取り込む。得られた溶液を5%NaHCO溶液(5ml)、次いで水を用いて洗浄し、NaSO上で乾燥しそして減圧下で濃縮すると油状物(0.18g、87%)が生成し、それはこれ以上は精製しないで次の反応に使用する。
2−メチル−2−(2−フルオロ−4’−トリフルオロメチルビフェン−4−イル)プロピオン酸の調製
エタノール(5ml)中のメチル〔2−メチル−2−(2−フルオロ−4’−トリフルオロメチルビフェン−4−イル)〕プロピオナート(0.18g、0.53ミリモル)の溶液にKOH(60mg、1ミリモル)を加えそして攪拌しながら3時間、室温で保持する。混合物をHO(5ml)を用いて希釈しそして溶液をエチルエーテル(5ml)を用いて洗浄する。有機相は廃棄する。水相をHClを用いてpH=2に酸性化し、次いで酢酸エチル(10ml)を用いて抽出する。有機相をNaSO上で乾燥しそして減圧下で濃縮すると白色固体が生成し、それをSiO上のフラッシュクロマトグラフィー(溶離剤:ヘキサン/酢酸エチル8/2v/v)により精製すると、生成物が白色固体として得られる(16mg、10%)。
HPLC−UV純度(215nm):97%
H NMR(DMSO−d6):12.56(s br,1H)、7.84(d,2H)、7.78(d,2H)、7.57(dd,1H)、7.32(s,1H)、7.29(m,1H)、1.52(s,6H);
MS(EI):326m/z(M+)、281、253
同様の手順に従いそして適切な反応試薬、化合物を用いてCHF4961が調製された。
【実施例2】
【0047】
1−(2−フルオロビフェニル−4−イル)シクロプロパンカルボン酸(CHF5041)の調製
4−ブロモ−3−フルオロベンジルブロミドの調製
四塩化炭素(100ml)中の4−ブロモ−3−フルオロトルエン(10g、0.053モル)の溶液にN−ブロモスクシンイミド(NBS;14g、0.08モル)を加える。混合物を還流し、ジベンゾイルペルオキシド(100mg、0.4ミリモル)を加え、1時間還流し、次いで室温に冷却しそして水を用いて抽出する。水相を廃棄し、有機相を塩水を用いて洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥しそして減圧下で濃縮すると油状物(16g)が得られ、それをヘキサンで溶離するシルカゲルカラム(150g)上のクロマトグラフィーで処理すると、生成物が得られる。
4−ブロモ−3−フルオロフェニルアセトニトリルの調製
エタノール(100ml)中の4−ブロモ−3−フルオロベンジルブロミド(12.2g、0.03モル)の溶液にNaCN(2g、0.04モル)を加えそして2時間還流する。混合物を減圧下で濃縮する。得られた残留物を水を用いて取り込み、次いで酢酸エチルを用いて抽出する。有機相を塩水を用いて洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥しそして減圧下で濃縮すると暗色油状物(10g)が得られ、それをヘキサン:エーテル7;3で溶離するシルカゲルカラム(150g)上のクロマトグラフィーで処理すると、固体状の生成物が得られる。
4−ブロモ−3−フルオロフェニルシクロプロパンニトリルの調製
トルエン(20ml)中の4−ブロモ−3−フルオロフェニルアセトニトリル(5g、23ミリモル)の溶液に1,2−ジブロモエタン35ミリモル、50%NaOH水溶液(
20ml)およびテトラブチルアンモニウムブロミド(1.6g、5ミリモル)を加える。混合物を攪拌しながら室温で5〜12時間保持し、次いで水を用いて希釈しそして酢酸エチルを用いて抽出する。有機相を1N HCl、次いで塩水を用いて洗浄し、最後に乾燥および減圧下で濃縮すると褐色固体が得られ、これをヘキサン−エチルエーテル 1−1で溶離するシルカゲルカラム(200g)上のクロマトグラフィーで処理すると、固体形の生成物が得られる。
4−ブロモ−3−フルオロフェニルシクロプロパンカルボン酸の調製
メタノール(10ml)中の4−ブロモ−3−フルオロフェニルシクロプロパンニトリル(21ミリモル)の懸濁液に35%NaOH水溶液(40ml)および35%H水溶液(3ml)を加え、次いで4時間還流し、室温に冷却しそして2N HCl(260ml)を加える。沈降した固体を濾過して捕集しそして5%NaHCO水溶液(300ml)中に再溶解する。不溶分を濾過分離し、そして透明な濾液を2N HClを用いてpH=2に酸性化する。生成物が白色固体として沈降し、それを濾過して回収しそして減圧下で乾燥する。
1−(2−フルオロビフェニル−4−イル)シクロプロパンカルボン酸の調製
4−ブロモ−3−フルオロフェニルシクロプロパンカルボン酸800mg(3.1ミリモル)およびフェニルホウ酸650mg(3.4ミリモル)を2M KCO水溶液8ml中に懸濁する。混合物にテトラブチルアンモニウムブロミド(960mg、3ミリモル)および酢酸パラジウム(II)(40mg、0.18ミリモル)を加えそして密閉反応器中で130℃に30分間加熱する。室温に冷却した後、混合物に2M HCl(25ml)を加えそして酢酸エチルを用いて抽出する。有機相を1N HCl、次いで塩水を用いて洗浄し、最後に乾燥および減圧下濃縮すると油状物(1.7g)が得られ、それをイソプロピルエーテル−ヘキサンから結晶化すると生成物が白色固体(0.2g)として得られる。
HPLC(215nm)98%
MS(EI;TSQ700;パラメーター180C;70V;200uA):256(M+);210;196、
H NMR(DMSO):12.4(s br,1H)、7.56−7.35(m,6H)、7.27(m,1H)、7.24(s,1H)、1.48(m,2H)、1.22(m,2H)
実施例1記載と同様の手順に従い、適切な4−ブロモフェニルシクロアルカンカルボン酸から出発しそして適切な反応試薬を使用して、化合物CHF5022、CHF5023、CHF5042、CHF5045、CHF5046、CHF5058、CHF5059、CHF5060、CHF5061、CHF5070、CHF5071、CHF5073、CHF5074、CHF5075、CHF5076、CHF5077、CHF5078、CHF5079、CHF5080、CHF5081、CHF5083、CHF5084、CHF5094、CHF5096、CHF5102、CHF5103、CHF5104、CHF5105、CHF5106、CHF5107およびCHF5002が調製された。
【実施例3】
【0048】
薬理学的活性
H4−15x細胞の上清中のAβ42放出の阻害
H4−15x細胞(β−アミロイドタンパク質APP695の前駆体をコードするヒト遺伝子を用いてトランスフェクションされたヒト神経膠腫細胞)を、関係する遺伝子を連続的に発現する細胞に対して選択圧力を維持するハイグロマイシンおよびブラスチシジンの存在下でフラスコ中で培養(インキュベーター内、37℃、5%二酸化炭素を含む水蒸気飽和雰囲気中)した。
【0049】
細胞が約90%の集密度に達した時点で、それらを捕集しそして完全培地0.5ml中
の24ウエルプレート中に再接種した(それぞれ細胞2x10個)。細胞がウエル表面に接着しそして集密に達する約24時間後に、最終濃度100マイクロモルまで化合物(I)を補足した新鮮な培地0.5mlを用いてそれぞれのウエルの培地を交換した。それぞれの試験濃度で3回反復した。処置に使用した分子は、ジメチルスルホキシド(DMSO)中またはジメチルスルホキシド/水混合物中にあらかじめ溶解させ、ウエル内のDMSOの最終濃度は1%を越えなかった。このようにして、調製したプレートを再び一晩(14〜16時間)インキュベーションした。その後、細胞上清をそれぞれのウエルから採取しそしてAβ42およびAβ40タンパク質を定量した。アッセイはマイクロプレート化学蛍光分析のための計器を用いて行い、それは2種のタンパク質を別々に定量できそして常磁性マイクロビーズ上の分析物−抗体複合体の不動化に基づいている。複合体の抗体の一つをルテニウム化合物を用いて標識し、それは電気化学的励起をすると存在する分析物の量に比例する強度を有する光信号を与える。
ラット全血中のシクロオキシゲナーゼ−1(COX−1)の阻害
全血をラットの腹部動脈から採取しそしてヘパリンを加えた試験管内に直ちに入れた。ヘパリンを加えた血液の試料(500μl)を試験化合物の100μM濃度と一緒にまたはキャリヤ(DMSO)のみと一緒に1時間、37℃で予備インキュベーションした。エイコサノイド産生がカルシウムイオノフォアA23187(最終濃度5x10−5M)の添加により誘発されそして30分間のインキュベーション後に試料をドライアイス中に迅速に入れて中断した。その後、試料を遠心分離(12000gx3分間、4℃)しそしてTxBトロンボキサンB2の産生を放射免疫アッセイにより算出した。
【0050】
100μMにおけるAβ42放出の阻害比率および同じ濃度でのCOX−1阻害比率として表した結果を表1に報告する。同じ濃度で比較物として使用されたフルルビプロフェンは、Aβ42放出の約25%阻害およびCOX−1阻害活性の100%阻害を示した。
【0051】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I):
【化1】

〔式中、
RおよびRは同一でありそして直鎖状もしくは分枝状C〜Cアルキルであり、
またはそれらは、それらが結合する炭素原子と共一緒に三〜六員炭素原子環を形成し、
Gは、
− COOR”基(ここで、R”はH、直鎖状もしくは分枝状C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、またはアスコルビルである)、
− CONHまたはCONHSOR'''基(ここで、R'''は直鎖状もしくは分枝状C〜C−アルキルまたはC〜C−シクロアルキルである)、
− テトラゾリル残基
であり、
は、H、CF、OCFまたはF、Cl、Br、Iの群から選択されたハロゲン、好ましくはフッ素であり、
Arは、式
【化2】

〔式中、Rは、
− 上記に定義したのと同じハロゲン;
− CF
− 場合により、1個またはそれ以上のC〜Cアルキルおよび/またはオキソ基で置換されていてもよいC〜Cシクロアルキル;
− CH=CH
− CN;
− CHOH;
− メチレンジオキシまたはエチレンジオキシ;
− NO
− 下記の基:ハロゲン;CF;OCF;OH;直鎖状もしくは分枝状C〜Cアルキル;少なくとも4個の炭素原子および少なくとも1個のヘテロ原子を有する飽和複素環;直鎖状もしくは分枝状C〜Cアルキル、CFまたはOHの1個またはそれ以上で場合によりさらに置換されていてもよいC〜Cシクロアルキル;の1個またはそれ以上で場合により置換されていてもよいフェニル;
− ORまたはNHCOR(ここで、Rは、CF、直鎖状もしくは分枝状C〜Cアルケニルもしくはアルキニル;ベンジル;下記の基:ハロゲン、CF、OCF、OH、直鎖状もしくは分枝状C〜Cアルキルの1個またはそれ以上で場合により置換されていてもよいフェニル;少なくとも4個の炭素原子および少なくとも1個のヘテロ原子を有する飽和複素環;直鎖状もしくは分枝状C〜Cアルキル、CFまたはOHの1個またはそれ以上で場合によりさらに置換されていてもよいC〜Cシクロアルキ
ルである)、
− SR、SOまたはCOR(ここで、Rは直鎖状もしくは分枝状C〜Cアルキルである)
から独立して選択された1個またはそれ以上の基を表す〕
の基であり、
あるいはArは、1個またはそれ以上の上記に定義されたのと同じ基Rで場合により置換されていてもよいチオフェン、ベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、チアントレン、ピロール、ピラゾール、フラン、ベンゾフラン、ジベンゾフラン、インドール、イソインドール、ベンゾフラン、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、ベンゾオキサゾール、チアゾール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、キノキサリン、シンノリン、ピラゾール、ピラン、ベンゾピラン、ピロリジン、フタラジン、1,5−ナフチリジン、1,3−ジオキソール、1,3−ベンゾジオキソールの群から選択された複素環である〕
の化合物、それらの製薬学的に許容できる塩およびその他のエステル。
【請求項2】
RおよびRが、それらが結合している炭素原子と一緒に三員炭素原子環を形成し、Rがフッ素であり、GがCOOR”基(ここでR”がH、直鎖状もしくは分枝状C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキルまたはアスコルビルである)であり、Arが請求項1中で定義されたのと同じフェニルである、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
RおよびRが、それらが結合している炭素原子と一緒に三員炭素原子環を形成し、Rがフッ素であり、GがCONHまたはCONHSOR'''(ここで、R'''が、直鎖状もしくは分枝状C〜CアルキルまたはC〜Cシクロアルキルである)であり、Arが請求項1中で定義されたのと同じフェニルである、請求項1記載の化合物。
【請求項4】
RおよびRの両者がCHであり、Rがフッ素であり、GがCOOR”(ここで、R”が請求項1で定義されている)であり、Arが請求項1中で定義されたのと同じフェニルである、請求項1記載の化合物。
【請求項5】
RおよびRの両者がCHであり、Rがフッ素であり、GがCONHまたはCONHSOR'''(ここで、R'''は上記に定義されたのと同じである)であり、Arが場合により置換フェニルで置換されたフェニルである請求項1記載の化合物。
【請求項6】
RおよびRが、それらが結合している炭素原子と一緒に三員炭素原子環を形成し、Rがフッ素であり、GがCOOR”基(ここで、R”が上記に定義されたのと同じである)であり、Arが請求項1中で定義された複素環である、請求項1記載の化合物。
【請求項7】
RおよびRの両者がCHであり、GがCOOR”基(ここで、R”が上記に定義されたのと同じである)であり、Rがフッ素であり、Arが請求項1中で定義されたのと同じ複素環である、請求項1記載の化合物。
【請求項8】
RおよびRが、それらが結合している炭素原子と一緒に三員炭素原子環を形成し、GがCOOHであり、Rがフッ素であり、Arが、ソフトウエア キックプロップ(QikProp)(R)リリースバージョン2.1(Schrodinger Inc)を用いて計算機で計算して全分子のlogPが4.5に等しいかまたはそれを越えるような様式で1個またはそれ以上の基で置換されたのと同じフェニルである、請求項1記載の化合物。
【請求項9】
CHF5022、CHF5074、CHF5096、CHF5105およびCHF5106およびCHF5107の群から選択される、請求項8記載の化合物。
【請求項10】
薬剤としての請求項1〜9記載の化合物。
【請求項11】
製薬学的に許容できるキャリヤおよび/または賦形剤と混合した式(I)の化合物を含む製薬学的組成物。
【請求項12】
経口投与のための、請求項11記載の製薬学的組成物。
【請求項13】
神経毒性ペプチドAβ42の増加した産生と関連する疾患の処置のための薬剤の調製のための、請求項1〜9記載の式(I)の化合物の使用。
【請求項14】
神経変性疾患の予防または治療的処置のための薬剤の調製のための、請求項1〜9記載の式(I)の化合物の使用。
【請求項15】
アルツハイマー病の処置のための、請求項14記載の式(I)の化合物の使用。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I):
【化1】

〔式中、
RおよびRは同一でありそして直鎖状もしくは分枝状C〜Cアルキルであり、
またはそれらは、それらが結合する炭素原子と一緒に三〜六員炭素原子環を形成し、
Gは、
− COOR”基(ここで、R”はH、直鎖状もしくは分枝状C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、またはアスコルビルである);
− CONHまたはCONHSOR'''基(ここで、R'''直鎖状もしくは分枝状C〜C−アルキルまたはC〜C−シクロアルキルである);
− テトラゾリル残基;
であり、
は、H、CF、OCFまたはF、Cl、Br、Iの群から選択されたハロゲンであり、
Arは、式
【化2】

(式中、Rは、
− 上記に定義したのと同じハロゲン;
− CF
− 場合により1個またはそれ以上のC〜Cアルキルおよび/またはオキソ基で置換されたC〜Cシクロアルキル;
− CH=CH
− CN;
− CHOH;
− メチレンジオキシまたはエチレンジオキシ;
− NO
− 下記の基:ハロゲン、CF、OCF、OH、直鎖状もしくは分枝状C〜Cアルキル;少なくとも4個の炭素原子および少なくとも1個のヘテロ原子を有する飽和複素環;直鎖状もしくは分枝状C〜Cアルキル、CFまたはOHの1個またはそれ以上で場合によりさらに置換されていてもよいC〜Cシクロアルキル;の1個またはそれ以上で場合により置換されたフェニル、
− ORまたはNHCOR(ここで、Rは、CF、直鎖状もしくは分枝状C〜Cアルケニルもしくはアルキニル;ベンジル;下記の基:ハロゲン、CF、OCF、OH、直鎖状もしくは分枝状C〜Cアルキルの1個またはそれ以上で場合により置換されていてもよいフェニル;少なくとも4個の炭素原子および少なくとも1個のヘテロ原子を有する飽和複素環;直鎖状もしくは分枝状C〜Cアルキル、CFまたはOHの1個またはそれ以上で場合によりさらに置換されていてもよいC〜Cシクロアルキルである)、
− SR、SOまたはCOR(ここで、Rは直鎖状もしくは分枝状C〜Cアルキルである)
から独立して選択された1個またはそれ以上の基を表す)
の基であり、
あるいはArは、1個またはそれ以上の上記に定義されたのと同じ基Rで場合により置換されていてもよいチオフェン、ベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、チアントレン、ピロール、ピラゾール、フラン、ベンゾフラン、ジベンゾフラン、インドール、イソインドール、ベンゾフラン、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、ベンゾオキサゾール、チアゾール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、キノキサリン、シンノリン、ピラゾール、ピラン、ベンゾピラン、ピロリジン、フタラジン、1,5−ナフチリジン、1,3−ジオキソール、1,3−ベンゾジオキソールの群から選択された複素環である〕
あって、RおよびRがCHの場合にはRはフッ素である化合物、それらの製薬学的に許容できる塩およびその他のエステル。
【請求項2】
がフッ素である、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
RおよびRが、それらが結合している炭素原子と一緒に三員炭素原子環を形成し、Rがフッ素であり、GがCOOR”基(ここで、R”がH、直鎖状もしくは分枝状C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキルまたはアスコルビルである)であり、Arが請求項1中で定義されたのと同じフェニルである、請求項1記載の化合物。
【請求項4】
RおよびRが、それらが結合している炭素原子と一緒に三員炭素原子環を形成し、R
がフッ素であり、GがCONHまたはCONHSOR'''(ここで、R'''が、直鎖状もしくは分枝状C〜CアルキルまたはC〜Cシクロアルキルである)であり、Arが請求項1中で定義されたのと同じフェニルである、請求項1記載の化合物。
【請求項5】
RおよびRの両者がCHであり、Rがフッ素であり、GがCOOR”(ここで、R”が請求項1で定義されている)であり、Arが請求項1中で定義されたのと同じフェニルである、請求項1記載の化合物。
【請求項6】
RおよびRの両者がCHであり、Rがフッ素であり、GがCONHまたはCONHSOR'''(ここで、R'''は上記に定義されたのと同じである)であり、Arが場合により置換フェニルで置換されたフェニルである請求項1記載の化合物。
【請求項7】
RおよびRが、それらが結合している炭素原子と一緒に三員炭素原子環を形成し、Rがフッ素であり、GがCOOR”基(ここで、R”が上記に定義されたのと同じである)であり、Arが請求項1中で定義されたのと同じ複素環である、請求項1記載の化合物。
【請求項8】
RおよびRの両者がCHであり、GがCOOR”基(ここで、R”が上記に定義されたのと同じである)であり、Rがフッ素であり、Arが請求項1中で定義されたのと同じ複素環である、請求項1記載の化合物。
【請求項9】
RおよびRが、それらが結合している炭素原子と一緒に三員炭素原子環を形成し、GがCOOHであり、Rがフッ素であり、Arが、ソフトウエア キックプロップ(QikProp)(R)リリースバージョン2.1(Schrodinger Inc)を用いて計算機で計算して全分子のlogPが4.5に等しいかまたはそれを越えるような様式で1個またはそれ以上の基で置換されたフェニルである、請求項1記載の化合物。
【請求項10】
CHF5022、CHF5074、CHF5096、CHF5105およびCHF5106およびCHF5107の群から選択される、請求項記載の化合物。
【請求項11】
薬剤としての請求項1〜10記載の化合物。
【請求項12】
製薬学的に許容できるキャリヤおよび/または賦形剤と混合した請求項1〜10の化合物を含む製薬学的組成物。
【請求項13】
経口投与のための、請求項12記載の製薬学的組成物。
【請求項14】
アルツハイマー病に罹患している患者内の神経毒性ペプチドAβ42の産生を低下するための、請求項1〜10記載の化合物の使用。
【請求項15】
神経変性疾患の予防または治療的処置のための薬剤の調製のための、請求項1〜10の化合物の使用。
【請求項16】
アルツハイマー病の処置のための、請求項15記載の化合物の使用。

【公表番号】特表2006−518351(P2006−518351A)
【公表日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−501896(P2006−501896)
【出願日】平成16年2月19日(2004.2.19)
【国際出願番号】PCT/EP2004/001596
【国際公開番号】WO2004/074232
【国際公開日】平成16年9月2日(2004.9.2)
【出願人】(591095465)キエシ・フアルマチエウテイチ・ソチエタ・ペル・アチオニ (12)
【Fターム(参考)】