説明

神経変性疾患治療のための新規なクラスのスピロピペリジン

本明細書で規定する式(I)の構造を有する化合物およびその化合物の薬学的に許容できる塩が開示される。対応する医薬組成物、治療方法、合成方法、および中間体も開示される。
【化1】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒトを含めた哺乳動物におけるアルツハイマー病ならびに他の神経変性障害および/または神経障害の治療に関する。本発明はまた、ヒトを含めた哺乳動物において、アミロイドタンパク質の神経沈着物が生成する一因となり得る、Aβペプチドの産生を抑制することに関する。より詳細には、本発明は、アルツハイマー病やダウン症候群などの、Aβペプチド産生に関連する神経変性障害および/または神経障害の治療に有用なスピロ−ピペリジン化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
認知症は、多種多様な特有の病理学的経過の結果として生じる。認知症を引き起こす最も一般的な病理学的経過は、アルツハイマー病(AD)、脳アミロイド血管症(CM)、およびプリオン媒介疾患である(たとえば、Haanら、Clin.Neuro.Neurosurg.1990、92(4):305〜310;Glennerら、J.Neurol.Sci.1989、94:1〜28を参照されたい)。ADには、米国人口の最も急速に増加している部分である、85才過ぎの人々の半数近くが罹患している。したがって、米国におけるAD患者の数は、次の世紀の半ばまでに約400万人から約1400万人に増加することが予想される。
【0003】
ADの治療は通常、付き添いの家族によってなされる支援である。定期的に記憶の行使が刺激されると、記憶の喪失が止まりはしないが緩慢になることがわかっている。いくつかの薬物、たとえばAricept(商標)は、ADの治療になる。
【0004】
アルツハイマー病は、脳における2つの主要な病理学的所見、すなわち、神経原線維変化と、(時にβA4とも呼ばれる)Aβとして知られるペプチド断片の凝集物から主として構成されるβアミロイド(または老人)斑を特徴とする。ADの個体は、脳(βアミロイド斑)および脳血管(βアミロイド血管症)における特徴的なβアミロイド沈着、ならびに神経原線維変化を示す。神経原線維変化は、アルツハイマー病だけでなく、認知症を引き起こす他の障害にも存在する。剖検すると、これらの病変は、記憶および認知にとって重要なヒト脳領域で一般に多数見出される。これら病変は、臨床上ADに罹患していない大部分の老齢のヒトの脳では、より限定された解剖学的分布でより少数見出される。アミロイドによって形成される斑および血管のアミロイド血管症は、トリソミー21(ダウン症候群)、アミロイドーシスを伴う遺伝性脳出血(オランダ型)(HCHWA−D)、および他の神経変性障害の個体の脳の特徴でもある。
【0005】
βアミロイド斑は、主としてアミロイドβペプチドによって構成される。いく通りかの証拠は、β−アミロイドペプチド(Aβ)の脳への漸進的な沈着が、ADの病因において重要な役割を果たし、数年または数十年後に認知症状が現れる場合もあることを示唆している。たとえば、Selkoe、1991、Neuron 6:487を参照されたい。培地中で増殖させた神経細胞からAβが遊離したこと、および正常な個体とAD患者の両方の脳脊髄液(CSF)中にAβが存在したことも実証されている。たとえば、Seubertら、1992、Nature 359:325〜327を参照されたい。Aβペプチドは、APPのβ−セクレターゼによるプロセシングの結果として蓄積され、したがって、この酵素の活性を阻害することがADの治療のために望ましいと提唱されている。APPのβ−セクレターゼ切断部位でのin vivoプロセシングは、Aβ産生における律速段階であると考えられ、したがって、AD治療の治療ターゲットである。たとえば、Sabbagh,M.ら、1997、Alz.Dis.Rev.3、1〜19を参照されたい。
【0006】
β部位APP切断酵素1(BACE1)ノックアウトマウスは、Aβを産生せず、正常な表現型を示す。APPを過剰発現するトランスジェニックマウスと交雑させると、その子孫では、脳抽出物中のAβの量が対照動物と比べて減少している(Luoら、2001 Nature Neuroscience 4:231〜232)。この証拠は、β−セクレターゼ活性を阻害し、脳中のAβを減少させることが、ADおよび他のβアミロイド障害を治療する治療法になるという提言をさらに裏打ちするものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
現在のところ、アルツハイマー病の進行を停止させ、予防し、または逆転させる有効な治療はない。したがって、アルツハイマー病の進行を緩慢にし、かつ/またはそれを最初の段階で予防することのできる医薬品が火急に求められている。
【0008】
β−セクレターゼの有効な阻害剤であり、β−セクレターゼを媒介とするAPPの切断を阻害し、Aβ産生の有効な阻害剤であり、さらに/またはアミロイドβ沈着または斑を減少させるのに有効である化合物が、アミロイドβ沈着または斑を特徴とする、ADなどの疾患の治療および予防のために必要である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、薬学的に許容できるその塩を含めて、式Iの構造を有する化合物
【0010】
【化1】

[式中、式Iにおいて、Rに結合した炭素の箇所およびスピロ環炭素の箇所に示す立体化学は、絶対立体化学であり、Bは、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルであり、Bは、0〜3個のR基で置換されていてもよく、
Zは、(CH−O−(CH、またはシクロアルキレン部分であり、但し、Zが(CH−O−(CHであるとき、(CH鎖の末端メチレンは、ピペリジニル環の窒素に結合しており、
Aは、それぞれ独立に、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、またはヘテロアリールであり、前記アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、またはヘテロアリールは、1個〜3個のRで置換されていてもよく、
各Rは、それぞれ独立に、アルキル、ハロゲン、シアノ、SONHR、CON(R、N(R)COR、SON(R、N(R)SO、COR、SO、(CH−シクロアルキル、(CH−ヘテロシクロアルキル、(CH−アリール、(CH−ヘテロアリール、(CH−N(R、または(CH−ORであり、各Rアルキル、(CH−シクロアルキル、(CH−ヘテロシクロアルキル、(CH−アリール、または(CH−ヘテロアリールは、シアノ、アルキル、ハロゲン、またはORでそれぞれ独立に置換されていてもよく、
は、アルキル、シクロアルキル、またはアルケニルであり、前記アルキル、シクロアルキル、またはアルケニルは、ハロゲン、ヒドロキシル、またはシアノで置換されていてもよく、
3AおよびR3Bは、それぞれ独立に、水素、アリール、ヘテロアリール、またはRで置換されていてもよいアルキルであり、
またはR3AおよびR3Bは、これらが結合している炭素と一緒になって、C=O、C=NR、シクロアルキレン部分、ヘテロシクロアルキレン部分を形成しており、
各Rは、それぞれ独立に、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、ハロ、O−アルキル、O−シクロアルキル、SO、N(R、COR、CON(R、アルキル、(CH−シクロアルキル、(CH−ヘテロシクロアルキル、(CH−アリール、または(CH−ヘテロアリールであり、前記Rアルキル、(CH−シクロアルキル、(CH−ヘテロシクロアルキル、(CH−アリール、または(CH−ヘテロアリールは、Rで置換されていてもよく、
各Rは、それぞれ独立に、水素、アルキル、アルケニル、(CH−シクロアルキル、(CH−ヘテロシクロアルキル、(CH−アリール、または(CH−ヘテロアリールであり、前記アルキル、アルケニル、(CH−シクロアルキル、(CH−ヘテロシクロアルキル、(CH−アリール、または(CH−ヘテロアリールR置換基は、1個または複数のヒドロキシル、アリール、ヘテロアリール、ハロゲン、アルキル、シクロアルキル、SO、−NRCOR、−CON(R、COOR、−C(O)R、−CN、またはN(Rで置換されていてもよく、前記アリール、アルキル、シクロアルキル、およびヘテロアリール置換基は、1個または複数のハロゲン、アルキル、ヒドロキシル、または−O−アルキルで置換されていてもよく、
各Rは、それぞれ独立に、水素、アルキル、(CH−シクロアルキル、(CH−ヘテロシクロアルキル、(CH−アリール、または(CH−ヘテロアリールであり、前記(CH−シクロアルキル、(CH−ヘテロシクロアルキル、(CH−アリール、または(CH−ヘテロアリールは、1個〜3個のRで置換されていてもよく、
各Rは、それぞれ独立に、アルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、ハロゲン、シアノ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、(CH−シクロアルキル、(CH−ヘテロシクロアルキル、(CH−アリール、または(CH−ヘテロアリールであり、
各Rは、それぞれ独立に、水素、アルキル、(CH−シクロアルキル、(CH−ヘテロシクロアルキル、(CH−アリール、または(CH−ヘテロアリールであり、前記(CH−シクロアルキル、(CH−ヘテロシクロアルキル、(CH−アリール、または(CH−ヘテロアリールは、アルキル、ハロ、またはシアノで置換されていてもよく、
は、水素またはアルキルであり、
nは、1、2および3から選択される整数であり、
pは、0および1から選択される整数であり、但し、pが1である場合、nは2または3であり、
qは、0および1から選択される整数であり、但し、pが0である場合、qは0であり、
各tは、0、1、2および3からそれぞれ独立に選択される整数である]
または薬学的に許容できるその塩に関する。
【0011】
本発明の一実施形態では、nは1である。
【0012】
本発明の別の実施形態では、nは2である。
【0013】
本発明の別の実施形態では、nは3である。
【0014】
本発明の一実施形態では、pは0である。
【0015】
本発明の一実施形態では、Rは、(CH−ヘテロシクロアルキルであり、ここで、tは0であり、ヘテロシクロアルキルは、含窒素ヘテロシクロアルキルであり、窒素はAに直接結合しており、ヘテロシクロアルキルは、シアノ、アルキル、ハロゲン、またはORによってそれぞれ独立に置換されていてもよい。この実施形態の一例では、ヘテロシクロアルキルは、ピロリジニル、ピペリジニル、またはモルホリニルであり、シアノ、アルキル、ハロゲン、またはORによってそれぞれ独立に置換されていてもよい。
【0016】
本発明の別の実施形態では、Rは、CORであり、ここで、Rは、(CH−ヘテロシクロアルキルであり、tは0であり、ヘテロシクロアルキルは窒素を含んでおり、窒素は、CORのカルボニル炭素に直接結合しており、前記ヘテロシクロアルキルは、アルキル、ハロ、またはシアノで置換されていてもよい。この実施形態の一例では、ヘテロシクロアルキルは、ピロリジニル、ピペリジニル、またはモルホリニルであり、アルキル、ハロ、またはシアノで置換されていてもよい。
【0017】
本発明の別の実施形態では、Rは、SOであり、ここで、Rは、(CH−ヘテロシクロアルキルであり、tは0であり、ヘテロシクロアルキルは窒素を含んでおり、窒素は、SOのスルホニル硫黄に直接結合しており、前記ヘテロシクロアルキルは、アルキル、ハロ、またはシアノで置換されていてもよい。この実施形態の一例では、ヘテロシクロアルキルは、ピロリジニル、ピペリジニル、またはモルホリニルであり、アルキル、ハロ、またはシアノで置換されていてもよい。
【0018】
本発明の一実施形態では、Aは、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルであり、またAは、1個のR置換基で置換されていてもよい。この実施形態の一例では、Rは、それぞれ独立に、アルキル、ハロゲン、シアノ、SONHR、CON(R、N(R)COR、SON(R、N(R)SO、COR、SO、(CH−シクロアルキル、(CH−ヘテロシクロアルキル、(CH−アリール、(CH−ヘテロアリール、(CH−N(R、または(CH−ORであり、各Rアルキル、(CH−シクロアルキル、(CH−ヘテロシクロアルキル、(CH−アリール、または(CH−ヘテロアリールは、シアノ、アルキル、ハロゲン、またはORによってそれぞれ独立に置換されていてもよい。この実施形態の別の例では、Rは、ハロゲン、アルキル、OR、シアノ、トリフルオロアルキル、(CH−シクロアルキル、(CH−ヘテロシクロアルキル、(CH−アリール、または(CH−ヘテロアリールであり、各R(CH−シクロアルキル、(CH−ヘテロシクロアルキル、(CH−アリール、または(CH−ヘテロアリールは、OR、アルキル、シアノ、またはハロゲンによってそれぞれ独立に置換されていてもよい。この実施形態の別の例では、Rは、それぞれ独立に、アルキル、ハロゲン、シアノ、−N(R)COR、−COR、−(CH−シクロアルキル、−(CH−ヘテロシクロアルキル、−(CH−アリール、−(CH−ヘテロアリール、−(CH−N(R、または−(CH−ORであり、各Rアルキル、−(CH−シクロアルキル、−(CH−ヘテロシクロアルキル、(CH−アリール、または(CH−ヘテロアリールは、シアノ、アルキル、ハロゲン、または−ORによってそれぞれ独立に置換されていてもよい。この実施形態の別の例では、Rは、(CH−ヘテロシクロアルキルであり、ここで、tは0であり、ヘテロシクロアルキルは、ピロリジニル、ピペリジニル、またはモルホリニルであり、シアノ、アルキル、ハロゲン、またはORで置換されていてもよい。この実施形態のさらに別の例では、Rは、CORであり、ここで、Rは、(CH−ヘテロシクロアルキルであり、tは0であり、ヘテロシクロアルキルは窒素を含んでおり、窒素は、CORのカルボニル炭素に直接結合しており、前記ヘテロシクロアルキルは、アルキル、ハロ、またはシアノで置換されていてもよい。この特定の実施形態の一例では、ヘテロシクロアルキルは、ピロリジニル、ピペリジニル、またはモルホリニルであり、アルキル、ハロ、またはシアノで置換されていてもよい。この実施形態の別の例では、Rは、SOであり、ここで、Rは、(CH−ヘテロシクロアルキルであり、tは0であり、ヘテロシクロアルキルは窒素を含んでおり、窒素は、SOのスルホニル硫黄に直接結合しており、前記ヘテロシクロアルキルは、アルキル、ハロ、またはシアノで置換されていてもよい。この特定の実施形態の一例では、ヘテロシクロアルキルは、ピロリジニル、ピペリジニル、またはモルホリニルであり、アルキル、ハロ、またはシアノで置換されていてもよい。
【0019】
本発明の別の実施形態では、Aは、アリールであり、1個のR置換基で置換されていてもよい。この実施形態の一例では、Rは、それぞれ独立に、アルキル、ハロゲン、シアノ、−N(R)COR、−COR、−(CH−シクロアルキル、−(CH−ヘテロシクロアルキル、−(CH−アリール、−(CH−ヘテロアリール、−(CH−N(R、または−(CH−ORであり、各Rアルキル、−(CH−シクロアルキル、−(CH−ヘテロシクロアルキル、(CH−アリール、または(CH−ヘテロアリールは、シアノ、アルキル、ハロゲン、または−ORによってそれぞれ独立に置換されていてもよい。本発明の別の実施形態では、Aは、ヘテロアリールであり、1個のR置換基で置換されていてもよい。この実施形態の一例では、Rは、それぞれ独立に、アルキル、ハロゲン、シアノ、−N(R)COR、−COR、−(CH−シクロアルキル、−(CH−ヘテロシクロアルキル、−(CH−アリール、−(CH−ヘテロアリール、−(CH−N(R、または−(CH−ORであり、各Rアルキル、−(CH−シクロアルキル、−(CH−ヘテロシクロアルキル、(CH−アリール、または(CH−ヘテロアリールは、シアノ、アルキル、ハロゲン、または−ORによってそれぞれ独立に置換されていてもよい。
【0020】
本発明の別の実施形態では、Aは、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルであり、またAは、2個のR置換基で置換されていてもよい。この実施形態の一例では、各Rは、それぞれ独立に、アルキル、ハロゲン、シアノ、SONHR、CON(R、N(R)COR、SON(R、N(R)SO、COR、SO、(CH−シクロアルキル、(CH−ヘテロシクロアルキル、(CH−アリール、(CH−ヘテロアリール、(CH−N(R、または(CH−ORであり、各Rアルキル、(CH−シクロアルキル、(CH−ヘテロシクロアルキル、(CH−アリール、または(CH−ヘテロアリールは、シアノ、アルキル、ハロゲン、またはORによってそれぞれ独立に置換されていてもよい。この実施形態の別の例では、各Rは、それぞれ独立に、アルキル、ハロゲン、シアノ、−N(R)COR、−COR、−(CH−シクロアルキル、−(CH−ヘテロシクロアルキル、−(CH−アリール、−(CH−ヘテロアリール、−(CH−N(R、または−(CH−ORであり、各Rアルキル、−(CH−シクロアルキル、−(CH−ヘテロシクロアルキル、(CH−アリール、または(CH−ヘテロアリールは、シアノ、アルキル、ハロゲン、または−ORによってそれぞれ独立に置換されていてもよい。この実施形態の別の例では、各Rは、シアノ、アルキル、ハロゲン、またはORによってそれぞれ独立に置換されていてもよいアルキルである。この実施形態の別の例では、各Rは、それぞれ独立に、アルキル、ハロゲン、(CH−シクロアルキル、(CH−ヘテロシクロアルキル、(CH−アリール、または(CH−ヘテロアリールであり、各R(CH−シクロアルキル、(CH−ヘテロシクロアルキル、(CH−アリール、または(CH−ヘテロアリールは、シアノ、アルキル、ハロゲン、またはORによってそれぞれ独立に置換されていてもよい。この実施形態の別の例では、少なくとも一方のRは、(CH−ヘテロシクロアルキルであり、ここで、tは0であり、ヘテロシクロアルキルは、ピロリジニル、ピペリジニル、またはモルホリニルであり、シアノ、アルキル、ハロゲン、またはORで置換されていてもよい。この実施形態の別の例では、少なくとも一方のRは、CORであり、ここで、Rは、(CH−ヘテロシクロアルキルであり、tは0であり、ヘテロシクロアルキルは窒素を含んでおり、窒素は、CORのカルボニル炭素に直接結合しており、前記ヘテロシクロアルキルは、アルキル、ハロ、またはシアノで置換されていてもよい。この特定の実施形態の一例では、ヘテロシクロアルキルは、ピロリジニル、ピペリジニル、またはモルホリニルであり、アルキル、ハロ、またはシアノで置換されていてもよい。この実施形態の別の例では、少なくとも一方のRは、SOであり、ここで、Rは、(CH−ヘテロシクロアルキルであり、tは0であり、ヘテロシクロアルキルは窒素を含んでおり、窒素は、SOのスルホニル硫黄に直接結合しており、前記ヘテロシクロアルキルは、アルキル、ハロ、またはシアノで置換されていてもよい。この特定の実施形態の一例では、ヘテロシクロアルキルは、ピロリジニル、ピペリジニル、またはモルホリニルであり、アルキル、ハロ、またはシアノで置換されていてもよい。
【0021】
本発明の別の実施形態では、Aは、アリールであり、2個のR置換基で置換されていてもよい。この実施形態の一例では、各Rは、それぞれ独立に、アルキル、ハロゲン、シアノ、−N(R)COR、−COR、−(CH−シクロアルキル、−(CH−ヘテロシクロアルキル、−(CH−アリール、−(CH−ヘテロアリール、−(CH−N(R、または−(CH−ORであり、各Rアルキル、−(CH−シクロアルキル、−(CH−ヘテロシクロアルキル、(CH−アリール、または(CH−ヘテロアリールは、シアノ、アルキル、ハロゲン、または−ORによってそれぞれ独立に置換されていてもよい。本発明の一実施形態では、一方のRが、アルキル、ハロゲン、または−(CH−ORであり、他方のRが、それぞれ独立に、−(CH−シクロアルキル、−(CH−ヘテロシクロアルキル、−(CH−アリール、−(CH−ヘテロアリール、−(CH−N(R、または−(CH−ORであり、各Rアルキル、−(CH−シクロアルキル、−(CH−ヘテロシクロアルキル、(CH−アリール、または(CH−ヘテロアリールは、シアノ、アルキル、ハロゲン、または−OR6によってそれぞれ独立に置換されていてもよい。
【0022】
本発明の別の実施形態では、Aは、ヘテロアリールであり、2個のR置換基で置換されていてもよい。この実施形態の一例では、各Rは、それぞれ独立に、アルキル、ハロゲン、シアノ、−N(R)COR、−COR、−(CH−シクロアルキル、−(CH−ヘテロシクロアルキル、−(CH−アリール、−(CH−ヘテロアリール、−(CH−N(R、または−(CH−ORであり、各Rアルキル、−(CH−シクロアルキル、−(CH−ヘテロシクロアルキル、(CH−アリール、または(CH−ヘテロアリールは、シアノ、アルキル、ハロゲン、または−ORによってそれぞれ独立に置換されていてもよい。本発明の一実施形態では、一方のRが、アルキル、ハロゲン、または−(CH−ORであり、他方のRが、それぞれ独立に、−(CH−シクロアルキル、−(CH−ヘテロシクロアルキル、−(CH−アリール、−(CH−ヘテロアリール、−(CH−N(R、または−(CH−ORであり、ここで、各Rアルキル、−(CH−シクロアルキル、−(CH−ヘテロシクロアルキル、(CH−アリール、または(CH−ヘテロアリールは、シアノ、アルキル、ハロゲン、または−ORによってそれぞれ独立に置換されていてもよい。
【0023】
本発明の別の実施形態では、Aは、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルであり、Aは、3個のR置換基で置換されていてもよい。この実施形態の一例では、各Rは、それぞれ独立に、アルキル、ハロゲン、シアノ、SONHR、CON(R、N(R)COR、SON(R、N(R)SO、COR、SO、(CH−シクロアルキル、(CH−ヘテロシクロアルキル、(CH−アリール、(CH−ヘテロアリール、(CH−N(R、または(CH−ORであり、各Rアルキル、(CH−シクロアルキル、(CH−ヘテロシクロアルキル、(CH−アリール、または(CH−ヘテロアリールは、シアノ、アルキル、ハロゲン、またはORによってそれぞれ独立に置換されていてもよい。この実施形態の別の例では、各Rは、それぞれ独立に、アルキル、ハロゲン、シアノ、−N(R)COR、−COR、−(CH−シクロアルキル、−(CH−ヘテロシクロアルキル、−(CH−アリール、−(CH−ヘテロアリール、−(CH−N(R、または−(CH−ORであり、各Rアルキル、−(CH−シクロアルキル、−(CH−ヘテロシクロアルキル、(CH−アリール、または(CH−ヘテロアリールは、シアノ、アルキル、ハロゲン、または−ORによってそれぞれ独立に置換されていてもよい。この実施形態の別の例では、各Rは、シアノ、アルキル、ハロゲン、またはORでそれぞれ独立に置換されていてもよいアルキルである。この実施形態の別の例では、各Rは、それぞれ独立に、ハロゲン、OR、シアノ、トリフルオロアルキル、(CH−シクロアルキル、(CH−ヘテロシクロアルキル、(CH−アリール、または(CH−ヘテロアリールであり、各R(CH−シクロアルキル、(CH−ヘテロシクロアルキル、(CH−アリール、または(CH−ヘテロアリールは、シアノ、アルキル、ハロゲン、またはORによってそれぞれ独立に置換されていてもよい。この実施形態の別の例では、少なくとも1個のRは、(CH−ヘテロシクロアルキルであり、ここで、tは0であり、ヘテロシクロアルキルは、ピロリジニル、ピペリジニル、またはモルホリニルであり、シアノ、アルキル、ハロゲン、またはORによってそれぞれ独立に置換されていてもよい。この実施形態のさらに別の例では、少なくとも1個のRは、CORであり、ここで、Rは、(CH−ヘテロシクロアルキルであり、tは0であり、ヘテロシクロアルキルは窒素を含んでおり、窒素は、CORのカルボニル炭素に直接結合しており、前記ヘテロシクロアルキルは、アルキル、ハロ、またはシアノで置換されていてもよい。この特定の実施形態の一例では、ヘテロシクロアルキルは、ピロリジニル、ピペリジニル、またはモルホリニルであり、アルキル、ハロ、またはシアノで置換されていてもよい。この実施形態の別の例では、少なくとも1個のRは、SOであり、ここで、Rは、(CH−ヘテロシクロアルキルであり、tは0であり、ヘテロシクロアルキルは窒素を含んでおり、窒素は、SOのスルホニル硫黄に直接結合しており、前記ヘテロシクロアルキルは、アルキル、ハロ、またはシアノで置換されていてもよい。この特定の実施形態の一例では、ヘテロシクロアルキルは、ピロリジニル、ピペリジニル、またはモルホリニルであり、アルキル、ハロ、またはシアノで置換されていてもよい。
【0024】
本発明の一実施形態では、Bは、アリールである。この実施形態の一例では、Bは、1個だけのR置換基で置換されており、Rはハロゲンである。この例の別の実施形態では、Bは、2個のR置換基で置換されており、各Rはハロゲンである。
【0025】
本発明の別の実施形態では、Zは、シクロアルキレン部分である。
【0026】
本発明の別の実施形態では、Zは、(CH−O−(CHである。この実施形態の一例では、pは0である。
【0027】
本発明の一実施形態では、Rは、アルキルである。
【0028】
本発明の一実施形態では、Rは、ハロゲンで置換されていてもよいアルキルである。
【0029】
本発明の別の実施形態では、R3AおよびR3Bは、それぞれ独立に、水素またはアルキルである。この実施形態の一例では、R3AおよびR3Bは、それぞれが水素である。
【0030】
本発明の別の実施形態では、R3AおよびR3Bは、これらが結合している炭素と一緒になって、C=O、C=NR、シクロアルキレン部分、またはヘテロシクロアルキレン部分を形成している。この実施形態の一例では、R3AおよびR3Bは、これらが結合している炭素と一緒になって、C=Oを形成している。この実施形態の別の例では、R3AおよびR3Bは、これらが結合している炭素と一緒になって、C=NRを形成している。この実施形態のさらに別の例では、R3AおよびR3Bは、これらが結合している炭素と一緒になって、シクロアルキレン部分またはヘテロシクロアルキレン部分を形成している。
【0031】
本発明の一実施形態では、Rは、CORであり、ここで、Rは、(CH−ヘテロシクロアルキルであり、tは0であり、ヘテロシクロアルキルは窒素を含んでおり、窒素は、CORのカルボニル炭素に直接結合しており、前記ヘテロシクロアルキルは、アルキル、ハロ、またはシアノで置換されていてもよい。この特定の実施形態の一例では、ヘテロシクロアルキルは、ピロリジニル、ピペリジニル、またはモルホリニルであり、アルキル、ハロ、またはシアノで置換されていてもよい。
【0032】
本発明の別の実施形態では、Rは、SOであり、ここで、Rは、(CH−ヘテロシクロアルキルであり、tは0であり、ヘテロシクロアルキルは窒素を含んでおり、窒素は、SOのスルホニル硫黄に直接結合しており、前記ヘテロシクロアルキルは、アルキル、ハロ、またはシアノで置換されていてもよい。この特定の実施形態の一例では、ヘテロシクロアルキルは、ピロリジニル、ピペリジニル、またはモルホリニルであり、アルキル、ハロ、またはシアノで置換されていてもよい。
【0033】
本発明のさらに別の実施形態では、Rは、ハロゲンおよびアルキルからなる群からそれぞれ独立に選択される。
【0034】
本発明の一実施形態では、各Rは、それぞれ独立に、アルキル、アルケニル、(CH−シクロアルキル、(CH−ヘテロシクロアルキル、(CH−アリール、または(CH−ヘテロアリールであり、Rは、CORで置換されており、ここで、Rは、(CH−ヘテロシクロアルキルであり、tは0であり、ヘテロシクロアルキルは窒素を含んでおり、窒素は、CORのカルボニル炭素に直接結合しており、ヘテロシクロアルキルは、アルキル、ハロ、またはシアノで置換されていてもよい。
【0035】
本発明の別の実施形態では、各Rは、それぞれ独立に、アルキル、アルケニル、(CH−シクロアルキル、(CH−ヘテロシクロアルキル、(CH−アリール、または(CH−ヘテロアリールであり、またRは、SOで置換されており、ここで、Rは、(CH−ヘテロシクロアルキルであり、tは0であり、ヘテロシクロアルキルは窒素を含んでおり、窒素は、SOのスルホニル硫黄に直接結合しており、ヘテロシクロアルキルは、アルキル、ハロ、またはシアノで置換されていてもよい。
【0036】
本発明の別の実施形態では、Rは、(CH−ヘテロシクロアルキルであり、ここで、tは0であり、ヘテロシクロアルキルは、ピロリジニル、ピペリジニル、またはモルホリニルであり、1個または複数のヒドロキシル、アリール、ヘテロアリール、ハロゲン、アルキル、シクロアルキル、SO8、−NRCOR、−CON(R、COOR、−C(O)R、−CN、N(Rで置換されていてもよく、前記アリール、アルキル、シクロアルキル、およびヘテロアリール置換基は、1個または複数のハロゲン、アルキル、ヒドロキシル、または−O−アルキルで置換されていてもよい。
【0037】
本発明のさらに別の実施形態では、Rは、水素およびアルキルからなる群からそれぞれ独立に選択される。
【0038】
本発明の別の実施形態では、
Bは、アリールであり、
Bは、1個だけのRで置換されており、Rはハロゲンであり、
は、アルキルであり、
Zは、(CH−O−(CHであり、ここで、nは1であり、pは0であり、
Aは、1個のRで置換されているアリールであり、RはORであり、Rはアルキルであり、
、R3AおよびR3Bは、それぞれ独立にHである。
【0039】
本発明の別の実施形態では、
Bは、アリールであり、
Bは、1個だけのRで置換されており、Rはハロゲンであり、
は、アルキルであり、
Zは、(CH−O−(CHであり、ここで、nは1であり、pは0であり、
Aは、1個のRで置換されているアリールであり、Rは、(CH−ヘテロアリールであり、tは0であり、
前記R(CH−ヘテロアリールは、アルキルで置換されており、
、R3AおよびR3Bは、それぞれ独立にHである。
【0040】
本発明の別の実施形態では、
Bは、アリールであり、
Bは、1個だけのRで置換されており、Rはハロゲンであり、
は、アルキルであり、
Zは、(CH−O−(CHであり、ここで、nは1であり、pは0であり、
Aは、1個のRで置換されているアリールであり、Rはヘテロアリールであり、
は、アルキルであり、
3AおよびR3Bは、それぞれ独立にHである。
【0041】
本発明の別の実施形態では、
Bは、アリールであり、
Bは、1個だけのRで置換されており、Rはハロゲンであり、
は、アルキルであり、
Zは、(CH−O−(CHであり、ここで、nは1であり、pは0であり、
Aは、1個のRで置換されているヘテロアリールであり、RはORであり、Rはアルキルであり、
、R3AおよびR3Bは、それぞれ独立にHである。
【0042】
本発明による例示的化合物として、以下の化合物、すなわち、
(5R,7S)−1−(3−フルオロフェニル)−8−(3−イソプロポキシベンジル)−7−メチル−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン2,2−ジオキシド;
(5R,7S)−1−(3−フルオロフェニル)−8−[(6−イソプロポキシピリジン−2−イル)メチル]−7−メチル−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン2,2−ジオキシド;
(5R,7S)−1−(3−フルオロフェニル)−7−メチル−8−[3−(4−メチルピリジン−3−イル)ベンジル]−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン2,2−ジオキシド;
(5R,7S)−1−(3−フルオロフェニル)−8−(3−イソプロポキシベンジル)−3,7−ジメチル−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン2,2−ジオキシド;
(5R,7S)−1−(3−フルオロフェニル)−8−(3−イソプロポキシベンジル)−7−メチル−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン2,2−ジオキシド;
(5R,7S)−1−(3−フルオロフェニル)−8−(3−イソプロポキシベンジル)−7−メチル−3−(ピリジン−2−イルメチル)−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン2,2−ジオキシド;
5−{[(5R,7S)−1−(3−フルオロフェニル)−3,7−ジメチル−2,2−ジオキシド−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デス−8−イル]メチル}−2’−メチルビフェニル−2−オール;
(5R,7S)−1−(3−フルオロフェニル)−7−メチル−8−[3−(4−メチルピリジン−3−イル)ベンジル]−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン2,2−ジオキシド;
2−クロロ−4−{[(5R,7S)−1−(3−フルオロフェニル)−7−メチル−2,2−ジオキシド−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デス−8−イル]メチル}フェノール;
(5R,7S)−1−(3−フルオロフェニル)−7−メチル−8−[(2’−メチルビフェニル−3−イル)メチル]−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン2,2−ジオキシド;
(5R,7S)−8−[(2’−クロロビフェニル−3−イル)メチル]−1−(3−フルオロフェニル)−7−メチル−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン2,2−ジオキシド;
2−エトキシ−4−{[(5R,7S)−1−(3−フルオロフェニル)−7−メチル−2,2−ジオキシド−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デス−8−イル]メチル}フェノール;
(5R,7S)−8−[(2’−エチルビフェニル−3−イル)メチル]−1−(3−フルオロフェニル)−7−メチル−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン2,2−ジオキシド;
(5R,7S)−1−(3−フルオロフェニル)−7−メチル−8−(3−{[(1R)−1−メチルプロピル]オキシ}ベンジル)−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン2,2−ジオキシド;
4−{[(5R,7S)−1−(3−フルオロフェニル)−3,7−ジメチル−2,2−ジオキシド−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デス−8−イル]メチル}−2−イソプロポキシフェノール;
(5R,7S)−1−(3−フルオロフェニル)−3,7−ジメチル−8−[(2’−メチルビフェニル−3−イル)メチル]−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン2,2−ジオキシド;
(5R,7S)−8−{[4−(シクロプロピルメチル)−1,3−チアゾール−5−イル]メチル}−1−(3−フルオロフェニル)−3,7−ジメチル−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン2,2−ジオキシド;
(5R,7S)−1−(3−フルオロフェニル)−8−[(4−イソブチル−1,3−チアゾール−5−イル)メチル]−3,7−ジメチル−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン2,2−ジオキシド;
(5R,7S)−8−{[4−(シクロブチルメチル)−1,3−チアゾール−5−イル]メチル}−1−(3−フルオロフェニル)−3,7−ジメチル−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン2,2−ジオキシド;
(5R,7S)−1−(3−フルオロフェニル)−3,7−ジメチル−8−{3−[(2−メチル−1,3−ベンゾオキサゾール−6−イル)オキシ]ベンジル}−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン2,2−ジオキシド;
(5R,7S)−8−[(3−エチル−1H−インダゾール−5−イル)メチル]−1−(3−フルオロフェニル)−3,7−ジメチル−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン2,2−ジオキシド;
(5R,7S)−1−(3−フルオロフェニル)−3,7−ジメチル−8−{[3−(トリフルオロメチル)−1H−インダゾール−5−イル]メチル}−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン2,2−ジオキシド;
2’−エチル−5−{[(5R,7S)−1−(3−フルオロフェニル)−3,7−ジメチル−2,2−ジオキシド−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デス−8−イル]メチル}ビフェニル−2−オール;
2’−フルオロ−5−{[(5R,7S)−1−(3−フルオロフェニル)−3,7−ジメチル−2,2−ジオキシド−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デス−8−イル]メチル}ビフェニル−2−オール;
5’−フルオロ−5−{[(5R,7S)−1−(3−フルオロフェニル)−3,7−ジメチル−2,2−ジオキシド−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デス−8−イル]メチル}−2’−メチルビフェニル−2−オール;
4’−フルオロ−5−{[(5R,7S)−1−(3−フルオロフェニル)−3,7−ジメチル−2,2−ジオキシド−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デス−8−イル]メチル}−2’−メチルビフェニル−2−オール;
2’−クロロ−5−{[(5R,7S)−1−(3−フルオロフェニル)−3,7−ジメチル−2,2−ジオキシド−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デス−8−イル]メチル}ビフェニル−2−オール;
6−{[(5R,7S)−1−(3−フルオロフェニル)−3,7−ジメチル−2,2−ジオキシド−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デス−8−イル]メチル}−4−イソプロポキシピリジン−3−オール;
2−シクロペンチル−4−{[(5R,7S)−1−(3−フルオロフェニル)−3,7−ジメチル−2,2−ジオキシド−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デス−8−イル]メチル}フェノール;
4−{[(5R,7S)−1−(3−フルオロフェニル)−3,7−ジメチル−2,2−ジオキシド−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デス−8−イル]メチル}−2−イソブチルフェノール;
2−シクロヘキシル−4−{[(5R,7S)−1−(3−フルオロフェニル)−3,7−ジメチル−2,2−ジオキシド−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デス−8−イル]メチル}フェノール;
(5R,7S)−1−(3−フルオロフェニル)−8−(3−イソプロポキシベンジル)−7−メチル−3−ピリミジン−2−イル−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン2,2−ジオキシド;
(5R,7S)−1−(3−フルオロフェニル)−8−(3−イソプロポキシベンジル)−7−メチル−3−(ピリミジン−2−イルメチル)−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン2,2−ジオキシド;
(5R,7S)−1−(3−フルオロフェニル)−8−(3−イソプロポキシベンジル)−7−メチル−3−(ピリミジン−2−イルメチル)−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン2,2−ジオキシド;および
(5R,7S)−1−(3−フルオロフェニル)−8−(3−イソプロポキシベンジル)−3−(イソオキサゾール−3−イルメチル)−7−メチル−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン2,2−ジオキシド;またはこれらの薬学的に許容できる塩が挙げられる。
【0043】
一実施形態では、本発明はまた、本出願の実施例の項目で実施例1〜131として記載する個々の化合物それぞれ(遊離塩基または薬学的に許容できるその塩を含める)に関する。
【0044】
別の実施形態では、本発明は、以下のものからなる群から選択される化合物
4−(シクロプロピルオキシ)−6−{[(5R,7S)−1−(3−フルオロフェニル)−3,7−ジメチル−2,2−ジオキシド−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デス−8−イル]メチル}ピリジン−3−オール;
4−(シクロプロピルオキシ)−2−{[(5R,7S)−1−(3−フルオロフェニル)−3,7−ジメチル−2,2−ジオキシド−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デス−8−イル]メチル}ピリミジン−5−オール;
2−(シクロプロピルオキシ)−6−{[(5R,7S)−1−(3−フルオロフェニル)−3,7−ジメチル−2,2−ジオキシド−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デス−8−イル]メチル}ピリジン−3−オール;
6−{[(5R,7S)−1−(3−フルオロフェニル)−3,7−ジメチル−2,2−ジオキシド−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デス−8−イル]メチル}−4−(トリフルオロメトキシ)ピリジン−3−オール;
6−{[(5R,7S)−1−(3−フルオロフェニル)−3,7−ジメチル−2,2−ジオキシド−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デス−8−イル]メチル}−4−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−オール;
6−{[(5R,7S)−1−(3−フルオロフェニル)−3,7−ジメチル−2,2−ジオキシド−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デス−8−イル]メチル}−4−(2−メチルフェニル)ピリジン−3−オール;
4−(5−クロロ−2−チエニル)−6−{[(5R,7S)−1−(3−フルオロフェニル)−3,7−ジメチル−2,2−ジオキシド−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デス−8−イル]メチル}ピリジン−3−オール;
2−{[(5R,7S)−1−(3−フルオロフェニル)−3,7−ジメチル−2,2−ジオキシド−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デス−8−イル]メチル}−4−(トリフルオロメチル)ピリミジン−5−オール;
6−{[(5R,7S)−1−(3−フルオロフェニル)−3,7−ジメチル−2,2−ジオキシド−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デス−8−イル]メチル}−2−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−オール;
2−{[(5R,7S)−1−(3−フルオロフェニル)−3,7−ジメチル−2,2−ジオキシド−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デス−8−イル]メチル}−4−(トリフルオロメトキシ)ピリミジン−5−オール;
6−{[(5R,7S)−1−(3−フルオロフェニル)−3,7−ジメチル−2,2−ジオキシド−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デス−8−イル]メチル}−2−(トリフルオロメトキシ)ピリジン−3−オール;
4−{[(5R,7S)−1−(3−フルオロフェニル)−3−イソオキサゾール−4−イル−7−メチル−2,2−ジオキシド−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デス−8−イル]メチル}−2−イソプロポキシフェノール;
4−{[(5R,7S)−1−(3−フルオロフェニル)−7−メチル−3−(1,3−オキサゾール−2−イル)−2,2−ジオキシド−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デス−8−イル]メチル}−2−イソプロポキシフェノール;
4−{[(5R,7S)−1−(3−フルオロフェニル)−7−メチル−2,2−ジオキシド−3−(1,3−チアゾール−2−イル)−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デス−8−イル]メチル}−2−イソプロポキシフェノール;
6’−{[(5R,7S)−1−(3−フルオロフェニル)−3,7−ジメチル−2,2−ジオキシド−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デス−8−イル]メチル}−3−メチル−2,4’−ビピリジン−3’−オール;
6−{[(5R,7S)−1−(3−フルオロフェニル)−3,7−ジメチル−2,2−ジオキシド−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デス−8−イル]メチル}−4−(3−メチル−2−チエニル)ピリジン−3−オール;
4−(2−フルオロフェニル)−6−{[(5R,7S)−1−(3−フルオロフェニル)−3,7−ジメチル−2,2−ジオキシド−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デス−8−イル]メチル}ピリジン−3−オール;
4−(2−クロロフェニル)−6−{[(5R,7S)−1−(3−フルオロフェニル)−3,7−ジメチル−2,2−ジオキシド−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デス−8−イル]メチル}ピリジン−3−オール;
6’−{[(5R,7S)−1−(3−フルオロフェニル)−3,7−ジメチル−2,2−ジオキシド−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デス−8−イル]メチル}−4−メチル−3,4’−ビピリジン−3’−オール;
4−シクロブチル−6−{[(5R,7S)−1−(3−フルオロフェニル)−3,7−ジメチル−2,2−ジオキシド−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デス−8−イル]メチル}ピリジン−3−オール;
6−{[(5R,7S)−1−(3−フルオロフェニル)−3,7−ジメチル−2,2−ジオキシド−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デス−8−イル]メチル}−4−オキセタン−3−イルピリジン−3−オール;
4−{[(5R,7S)−1−(3,4−ジフルオロフェニル)−3,7−ジメチル−2,2−ジオキシド−2−チア−1,3,8 トリアザスピロ[4.5]デス−8−イル]メチル}−2−イソプロポキシフェノール;
4−フルオロ−2−[(5R,7S)−8−(4−ヒドロキシ−3−イソプロポキシベンジル)−3,7−ジメチル−2,2−ジオキシド−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デス−1−イル]ベンゾニトリル;
5−フルオロ−3−[(5R,7S)−8−(4−ヒドロキシ−3−イソプロポキシベンジル)−3,7−ジメチル−2,2−ジオキシド−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デス−1−イル]ピリジン−2−カルボニトリル;
4−{[(5R,7S)−1−(5−フルオロ−6−メチルピリジン−3−イル)−3,7−ジメチル−2,2−ジオキシド−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デス−8−イル]メチル}−2−イソプロポキシフェノール;
4−{[(5R,7S)−1−(1,3−ジメチル−1H−ピラゾール−4−イル)−3,7−ジメチル−2,2−ジオキシド−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デス−8−イル]メチル}−2−イソプロポキシフェノール;
4−{[(5R,7S)−1−(3−エチルイソオキサゾール−4−イル)−3,7−ジメチル−2,2−ジオキシド−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デス−8−イル]メチル}−2−イソプロポキシフェノール;
4−{[(5R,7S)−3,7−ジメチル−1−(5−メチル−1,3−チアゾール−4−イル)−2,2−ジオキシド−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デス−8−イル]メチル}−2−イソプロポキシフェノール;
N−シクロブチル−5−{[(5R,7S)−1−(3−フルオロフェニル)−3,7−ジメチル−2,2−ジオキシド−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デス−8−イル]メチル}−1,3−チアゾール−4−アミン;
(5R,7S)−8−{[4−(シクロブチルオキシ)−1,3−チアゾール−5−イル]メチル}−1−(3−フルオロフェニル)−3,7−ジメチル−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン2,2−ジオキシド;
(5R,7S)−1−(3−フルオロフェニル)−3,7−ジメチル−8−{[4−(オキセタン−3−イルメチル)−1,3−チアゾール−5−イル]メチル}−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン2,2−ジオキシド;
4−{[(5R,7S)−1−{5−フルオロ−2−[(2,2,2−トリフルオロエチル)アミノ]ピリジン−3−イル}−3,7−ジメチル−2,2−ジオキシド−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デス−8−イル]メチル}−2−イソプロポキシフェノール;
3−{(5R,7S)−3,7−ジメチル−8−[(2−メチルシクロブチル)メチル]−2,2−ジオキシド−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デス−1−イル}−5−フルオロピリジン−2−カルボニトリル;
5−フルオロ−3−{(5R,7S)−8−[(2−イソプロポキシシクロブチル)メチル]−3,7−ジメチル−2,2−ジオキシド−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デス−1−イル}ピリジン−2−カルボニトリル;および
(5R,7S)−1−(3−フルオロ−4−メチルフェニル)−8−[(イソプロポキシシクロブチル)メチル]−3,7−ジメチル−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン2,2−ジオキシド、または薬学的に許容できるその塩に関する。
【0045】
別の実施形態では、本発明は、神経障害および精神障害の治療方法であって、その必要のある患者に、そのような障害の治療に有効な量の式Iの化合物を投与することを含む方法を提供する。神経障害および精神障害としては、哺乳動物における急性の神経障害および精神障害、たとえば、心臓バイパス術および移植術後に生じる脳障害、卒中、脳虚血、脊髄外傷、頭部外傷、周産期低酸素症、心停止、低血糖神経損傷、認知症、AIDSによる認知症、血管性認知症、混合型認知症、年齢に関連する記憶障害、アルツハイマー病、ハンチントン舞踏病、筋萎縮性側索硬化症、眼傷害、網膜症、統合失調症および双極性障害に関連する認知障害を含めた認知障害、特発性および薬物誘発性パーキンソン病、筋痙縮ならびに振戦、てんかん、けいれん、片頭痛(migraine)、偏頭痛(migraine headache)、尿失禁、物質耐性、物質離脱、アヘン剤、ニコチン、タバコ製品、アルコール、ベンゾジアゼピン、コカイン、鎮静剤、および催眠剤からの離脱を含めた筋肉の痙縮を伴う障害、精神病、軽度認知障害、健忘性認知障害、多領域型認知障害、肥満、統合失調症、不安、全般性不安障害、社会不安障害、パニック障害、外傷後ストレス障害、強迫性障害、気分障害、うつ病、躁病、双極性障害、三叉神経痛、聴力損失、耳鳴、眼の黄斑変性、嘔吐、脳浮腫、疼痛、急性痛および慢性痛状態、激痛、難治性疼痛、神経因性疼痛、外傷後痛、遅発性ジスキネジア、睡眠障害、ナルコレプシー、注意欠陥/多動性障害、自閉症、アスペルガー病、および行為障害が挙げられるがこれに限らず、哺乳動物に、有効量の式Iの化合物または薬学的に許容できるその塩を投与することを含む。したがって、一実施形態では、本発明は、ヒトなどの哺乳動物において、上記状態から選択される状態を治療する方法であって、前記哺乳動物に式Iの化合物を投与することを含む方法を提供する。哺乳動物は、そのような治療を必要とする哺乳動物であることが好ましい。例として、本発明は、注意欠陥/多動性障害、統合失調症、およびアルツハイマー病の治療方法を提供する。
【0046】
別の実施形態では、本発明は、神経障害および精神障害の治療方法であって、その必要のある患者に、そのような障害の治療に有効な量の式Iの化合物を投与することを含む方法を提供する。式Iの化合物は、場合により別の活性薬剤と組み合わせて使用する。そのような活性薬剤は、たとえば、非定型抗精神病薬、コリンエステラーゼ阻害剤、またはNMDA受容体拮抗薬でよい。そうした非定型抗精神病薬としては、限定はしないが、ジプラシドン、クロザピン、オランザピン、リスペリドン、クエチアピン、アリピプラゾール、パリペリドンが挙げられ、そうしたNMDA受容体拮抗薬としては、限定はしないがメマンチンが挙げられ、そうしたコリンエステラーゼ阻害剤としては、限定はしないが、ドネペジルおよびガランタミンが挙げられる。追加の活性薬剤は、P糖タンパク質阻害剤(Pgp阻害剤)、多剤耐性抑制剤(MDR抑制剤)、またはチトクロムP450阻害剤(CYP阻害剤)(より詳細にはチトクロムP4503A4阻害剤を含める)でもよい。
【0047】
本発明はまた、式Iの化合物と、薬学的に許容できる担体とを含む医薬組成物も対象とする。組成物は、たとえば、限定はしないが、急性の神経障害および精神障害、たとえば、心臓バイパス術および移植術後に生じる脳障害、卒中、脳虚血、脊髄外傷、頭部外傷、周産期低酸素症、心停止、低血糖神経損傷、認知症、AIDSによる認知症、血管性認知症、混合型認知症、年齢に関連する記憶障害、アルツハイマー病、ハンチントン舞踏病、筋萎縮性側索硬化症、眼傷害、網膜症、統合失調症および双極性障害に関連する認知障害を含めた認知障害、特発性および薬物誘発性パーキンソン病、筋痙縮ならびに振戦、てんかん、けいれん、片頭痛(migraine)、偏頭痛(migraine headache)、尿失禁、物質耐性、物質離脱、アヘン剤、ニコチン、タバコ製品、アルコール、ベンゾジアゼピン、コカイン、鎮静剤、および催眠剤からの離脱を含めた筋肉の痙縮を伴う障害、精神病、軽度認知障害、健忘性認知障害、多領域型認知障害、肥満、統合失調症、不安、全般性不安障害、社会不安障害、パニック障害、外傷後ストレス障害、強迫性障害、気分障害、うつ病、躁病、双極性障害、三叉神経痛、聴力損失、耳鳴、眼の黄斑変性、嘔吐、脳浮腫、疼痛、急性痛および慢性痛状態、激痛、難治性疼痛、神経因性疼痛、外傷後痛、遅発性ジスキネジア、睡眠障害、ナルコレプシー、注意欠陥/多動性障害、自閉症、アスペルガー病、および行為障害を含めた神経傷害および精神障害からなる群から選択される状態を哺乳動物において治療するための組成物でよく、有効量の式Iの化合物または薬学的に許容できるその塩と、薬学的に許容できる担体とを投与することを含む。組成物は、場合により、非定型抗精神病薬、コリンエステラーゼ阻害剤、またはNMDA受容体拮抗薬をさらに含む。そうした非定型抗精神病薬としては、限定はしないが、ジプラシドン、クロザピン、オランザピン、リスペリドン、クエチアピン、アリピプラゾール、パリペリドンが挙げられ、そうしたNMDA受容体拮抗薬としては、限定はしないがメマンチンが挙げられ、そうしたコリンエステラーゼ阻害剤としては、限定はしないが、ドネペジルおよびガランタミンが挙げられる。
【発明を実施するための形態】
【0048】
【表1−1】

【0049】
【表1−2】

【0050】
用語「アルキル」とは、1個〜20個の炭素原子、一実施形態では1個〜12個の炭素原子、別の実施形態では1個〜10個の炭素原子、別の実施形態では1個〜6個の炭素原子、別の実施形態では1個〜4個の炭素原子を含んでいる、直鎖または分枝鎖の飽和ヒドロカルビル置換基(すなわち、水素の除去によって炭化水素から得られる置換基)を指す。そのような置換基の例として、メチル、エチル、プロピル(n−プロピルおよびイソプロピルを含める)、ブチル(n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、およびtert−ブチルを含める)、ペンチル、iso−アミル、ヘキシルなどが挙げられる。
【0051】
用語「ベンジル」とは、フェニルで置換されているメチルラジカル、すなわち、以下の構造:
【0052】
【化2】

を指す。
【0053】
用語「シクロアルキル」とは、飽和炭素環分子から水素を除去することにより得られ、3個〜14個の炭素原子を有する炭素環置換基を指す。一実施形態では、シクロアルキル置換基は、3個〜10個の炭素原子を有する。シクロアルキルの例として、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、およびシクロヘキシルが挙げられる。
【0054】
用語「シクロアルキレン部分」とは、飽和炭素環分子から2個の水素原子を除去することにより得られ、3個〜14個の炭素原子を有する炭素環置換基を指す。一実施形態では、シクロアルキレン置換基は、3個〜10個の炭素原子を有する。シクロアルキレンの例として、以下のものが挙げられる。
【0055】
【化3】

【0056】
用語「シクロアルキル」は、C〜C10芳香環または5〜10員ヘテロ芳香環に縮合した置換基も包含し、そのような縮合シクロアルキル基を置換基として有する基は、そのシクロアルキル基の炭素原子に結合している。そうした縮合シクロアルキル基は、1個または複数の置換基で置換されており、その1個または複数の置換基は、別段指定しない限り、それぞれがシクロアルキル基の炭素原子に結合している。縮合しているC〜C10芳香環または5〜10員ヘテロ芳香環は、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜C10シクロアルキル、または=Oで置換されていてもよい。
【0057】
シクロアルキルは、3〜6個の環原子を通常含んでいる単環でよい。例として、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、およびシクロヘキシルが挙げられる。一方、ビシクロデカニルやデカリニルなどの、2個または3個の環が互いに縮合したものでもよい。
【0058】
用語「アリール」とは、1個の環または2個もしくは3個の縮合した環を含んでいる芳香族置換基を指す。アリール置換基は、6個〜18個の炭素原子を有するものでよい。例として、アリール置換基は、6個〜14個の炭素原子を有するものでよい。用語「アリール」とは、フェニル、ナフチル、アントラセニルなどの置換基を指すといえる。用語「アリール」は、フェニル、ナフチル、アントラセニルなどの置換基が、CもしくはC炭素環などのC〜C10炭素環、または4〜10員複素環に縮合したものも包含し、そのような縮合アリール基を置換基として有する基は、アリール基の芳香族炭素に結合している。このような縮合アリール基が、1個または複数の置換基で置換されているとき、その1個または複数の置換基は、別段指定しない限り、それぞれがその縮合アリール基の芳香族炭素に結合している。縮合しているC〜C10炭素環または4〜10員複素環は、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜C10シクロアルキル、または=Oで置換されていてもよい。したがって、アリール基の例としては、フェニル、ナフタレニル、テトラヒドロナフタレニル(「テトラリニル」としても知られる)、インデニル、イソインデニル、インダニル、アントラセニル、フェナントレニル、ベンゾナフテニル(「フェナレニル」としても知られる)、およびフルオレニルが挙げられる。
【0059】
ある例では、ヒドロカルビル置換基(すなわち、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリールなど)中の炭素原子の数を、接頭辞「C〜C」によって表記するが、xは、その置換基中の炭素原子の最小数であり、yは最大数である。したがって、たとえば、「C〜Cアルキル」とは、1〜6個の炭素原子を含んでいるアルキル置換基を指す。さらに例示すると、C〜Cシクロアルキルは、3〜6個の炭素環原子を含んでいる飽和シクロアルキルを指す。
【0060】
ある例では、1個または複数のヘテロ原子を含んでいる環式置換基(すなわち、ヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキル)中の原子の数を、接頭辞「X〜Y員」によって表記するが、xは、その置換基の環式部分を形成する原子の最小数であり、yは最大数である。したがって、たとえば、5〜8員ヘテロシクロアルキルは、ヘテロシクロアルキルの環式部分中に、1個または複数のヘテロ原子を含めて5〜8個の原子を含んでいるヘテロシクロアルキルを指す。
【0061】
用語「水素」とは、水素置換基を指し、−Hと示すこともできる。
【0062】
用語「ヒドロキシ」または「ヒドロキシル」とは、−OHを指す。別の(1つまたは複数の)用語と組み合わせて使用するとき、接頭辞「ヒドロキシ」は、接頭辞が付いている置換基が、1個または複数のヒドロキシ置換基で置換されていることを示す。ヒドロキシ置換基が結合している炭素を有する化合物として、たとえば、アルコール、エノール、およびフェノールが挙げられる。
【0063】
用語「ヒドロキシアルキル」とは、少なくとも1個のヒドロキシ置換基で置換されているアルキルを指す。ヒドロキシアルキルの例として、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、およびヒドロキシブチルが挙げられる。
【0064】
用語「シアノ」(「ニトリル」とも呼ばれる)は、−CNを意味し、以下のように示すこともできる。
【0065】
【化4】

【0066】
用語「カルボニル」は、−C(O)−を意味し、以下のように示すこともできる。
【0067】
【化5】

【0068】
用語「アミノ」は、−NHを指す。
【0069】
用語「アルキルアミノ」とは、少なくとも1本のアルキル鎖が水素原子に代わってアミノ窒素に結合しているアミノ基を指す。アルキルアミノ置換基の例として、モノアルキルアミノ、たとえば、
【0070】
【化6】

と図示することもできる(式−NH(CH)によって例示される)メチルアミノ、およびジアルキルアミノ、たとえば、
【0071】
【化7】

と図示することもできる(式−N(CHによって例示される)ジメチルアミノが挙げられる。
【0072】
用語「ハロゲン」とは、フッ素(−Fと示すこともできる)、塩素(−Clと示すこともできる)、臭素(−Brと示すこともできる)、またはヨウ素(−Iと示すこともできる)を指す。一実施形態では、ハロゲンは塩素である。別の実施形態では、ハロゲンはフッ素である。
【0073】
接頭辞「ハロ」は、この接頭辞が付いている置換基が、それぞれ独立に選択される1個または複数のハロゲン置換基で置換されていることを示す。たとえば、ハロアルキルは、少なくとも1個のハロゲン置換基で置換されているアルキルを指す。2個以上の水素がハロゲンと交換される場合、ハロゲンは、同じでも異なってもよい。ハロアルキルの例として、クロロメチル、ジクロロメチル、ジフルオロクロロメチル、ジクロロフルオロメチル、トリクロロメチル、1−ブロモエチル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、2,2,2−トリフルオロエチル、ジフルオロエチル、ペンタフルオロエチル、ジフルオロプロピル、ジクロロプロピル、およびヘプタフルオロプロピルが挙げられる。さらに例示すると、「ハロアルコキシ」とは、少なくとも1個のハロゲン置換基で置換されているアルコキシを指す。ハロアルコキシ置換基の例としては、クロロメトキシ、1−ブロモエトキシ、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ(「ペルフルオロメチルオキシ」としても知られる)、および2,2,2−トリフルオロエトキシが挙げられる。置換基が2個以上のハロゲン置換基で置換されている場合、(別段記述しない限り)そうしたハロゲン置換基は、同じでも異なってもよいことを理解されたい。
【0074】
用語「オキソ」は、=Oを指す。
【0075】
用語「オキシ」は、エーテル置換基を指し、−O−と示す場合もある。
【0076】
用語「アルコキシ」とは、酸素に結合したアルキルを指し、−O−R(Rはアルキル基を表す)として表すこともできる。アルコキシの例として、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、およびブトキシが挙げられる。
【0077】
用語「ヘテロシクロアルキル」とは、合計3〜14個の環原子を含んでいる飽和または部分的に飽和した環構造から水素を除去することにより得られる置換基を指す。環原子の少なくとも1個は、ヘテロ原子(すなわち、酸素、窒素、または硫黄)であり、残りの環原子は、炭素、酸素、窒素、および硫黄からなる群からそれぞれ独立に選択される。ヘテロシクロアルキルは一方、互いに縮合した2個または3個の環を含むものでもよく、少なくとも1個のその環は、ヘテロ原子(すなわち、窒素、酸素、または硫黄)を環原子として含んでいる。ヘテロシクロアルキル置換基を有する基において、その基に結合している、ヘテロシクロアルキル置換基環原子は、その少なくとも1個のヘテロ原子でもよいし、または環炭素原子でもよく、環炭素原子は、少なくとも1個のヘテロ原子と同じ環にあるものでもよく、または環炭素原子は、少なくとも1個のヘテロ原子とは異なる環にあるものでもよい。同様に、今度はヘテロシクロアルキル置換基が基または置換基で置換されている場合、その基または置換基は、その少なくとも1個のヘテロ原子に結合していてもよいし、または環炭素原子に結合していてもよく、環炭素原子は、少なくとも1個のヘテロ原子と同じ環にあるものでもよく、または環炭素原子は、少なくとも1個のヘテロ原子とは異なる環にあるものでもよい。
【0078】
用語「ヘテロシクロアルキル」は、C〜C10芳香環または5〜10員ヘテロ芳香環に縮合した置換基も包含し、そのような縮合ヘテロシクロアルキル基を置換基として有する基は、ヘテロシクロアルキル基のヘテロ原子またはヘテロシクロアルキル基の炭素原子に結合している。このような縮合ヘテロシクロアルキル基が1個または複数の置換基で置換されているとき、その1個または複数の置換基は、別段指定しない限り、それぞれがそのヘテロシクロアルキル基のヘテロ原子またはそのヘテロシクロアルキル基の炭素原子に結合している。縮合しているC〜C10芳香環または5〜10員ヘテロ芳香環は、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜C10シクロアルキル、C〜Cアルコキシ、または=Oで置換されていてもよい。
【0079】
用語「ヘテロシクロアルキレン部分」とは、合計3〜14個の環原子を含んでおり、その環原子の少なくとも1個がヘテロ原子である、飽和または部分的に飽和した環構造から2個の水素原子を除去することにより得られる置換基を指す。一実施形態では、ヘテロシクロアルキレン置換基は、3個〜10個の環原子を有する。ヘテロシクロアルキレンの例としては、以下のものが挙げられる。
【0080】
【化8】

【0081】
用語「ヘテロアリール」とは、5〜14個の環原子を含んでおり、その環原子の少なくとも1個がヘテロ原子(すなわち、酸素、窒素、または硫黄)であり、残りの環原子が炭素、酸素、窒素、および硫黄からなる群からそれぞれ独立に選択されたものである芳香環構造を指す。ヘテロアリールは、単環でも、2個または3個の縮合した環でもよい。ヘテロアリール置換基の例として、ピリジル、ピラジル、ピリミジニル、ピリダジニルなどの6員環置換基;トリアゾリル、イミダゾリル、フラニル、チオフェニル、ピラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、1,2,3−、1,2,4−、1,2,5−または1,3,4−オキサジアゾリル、イソチアゾリルなどの5員環置換基;ベンゾチオフラニル、イソベンゾチオフラニル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、プリニル、アントラニリルなどの6/5員縮合環置換基;およびキノリニル、イソキノリニル、シンノリニル、キナゾリニル、1,4−ベンゾオキサジニルなどの6/6員縮合環が挙げられる。ヘテロアリール置換基を有する基において、その基に結合しているヘテロアリール置換基環原子は、その少なくとも1個のヘテロ原子でもよいし、または環炭素原子でもよく、環炭素原子は、少なくとも1個のヘテロ原子と同じ環にあるものでもよく、または環炭素原子は、少なくとも1個のヘテロ原子とは異なる環にあるものでもよい。同様に、今度はヘテロアリール置換基が基または置換基で置換されている場合、その基または置換基は、その少なくとも1個のヘテロ原子に結合していてもよいし、または環炭素原子に結合していてもよく、環炭素原子は、少なくとも1個のヘテロ原子と同じ環にあるものでもよく、または環炭素原子は、少なくとも1個のヘテロ原子とは異なる環にあるものでもよい。用語「ヘテロアリール」は、ピリジルN−オキシド、およびピリジンN−オキシド環を含んでいる基も包含する。
【0082】
単環ヘテロアリールおよびヘテロシクロアルキルの例としては、フラニル、ジヒドロフラニル、テトラジドロフラニル、チオフェニル(「チオフラニル」としても知られる)、ジヒドロチオフェニル、テトラヒドロチオフェニル、ピロリル、イソピロリル、ピロリニル、ピロリジニル、イミダゾリル、イソイミダゾリル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、ピラゾリル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、トリアゾリル、テトラゾリル、ジチオリル、オキサチオリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、チアゾリニル、イソチアゾリニル、チアゾリジニル、イソチアゾリジニル、チアオジアゾリル、オキサチアゾリル、オキサジアゾリル(オキサジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル(「アゾキシミル」としても知られる)、1,2,5−オキサジアゾリル(「フラザニル」としても知られる)、または1,3,4−オキサジアゾリルを含める)、オキサトリアゾリル(1,2,3,4−オキサトリアゾリルまたは1,2,3,5−オキサトリアゾリルを含める)、ジオキサゾリル(1,2,3−ジオキサゾリル、1,2,4−ジオキサゾリル、1,3,2−ジオキサゾリル、または1,3,4−ジオキサゾリルを含める)、オキサチアゾリル、オキサチオリル、オキサチオラニル、ピラニル(1,2−ピラニルまたは1,4−ピラニルを含める)、ジヒドロピラニル、ピリジニル(「アジニル」としても知られる)、ピペリジニル、ジアジニル(ピリダジニル(「1,2−ジアジニル」としても知られる)、ピリミジニル(「1,3−ジアジニル」または「ピリミジル」としても知られる)、またはピラジニル(「1,4−ジアジニル」としても知られる)を含める)、ピペラジニル、トリアジニル(s−トリアジニル(「1,3,5−トリアジニル」としても知られる)、as−トリアジニル(1,2,4−トリアジニルとしても知られる)、およびv−トリアジニル(「1,2,3−トリアジニル」としても知られる)を含める)、オキサジニル(1,2,3−オキサジニル、1,3,2−オキサジニル、1,3,6−オキサジニル(「ペントキサゾリル」としても知られる)、1,2,6−オキサジニル、または1,4−オキサジニルを含める)、イソオキサジニル(o−イソオキサジニルまたはp−イソオキサジニルを含める)、オキサゾリジニル、イソオキサゾリジニル、オキサチアジニル(1,2,5−オキサチアジニルまたは1,2,6−オキサチアジニルを含める)、オキサジアジニル(1,4,2−オキサジアジニルまたは1,3,5,2−オキサジアジニルを含める)、モルホリニル、アゼピニル、オキセピニル、チエピニル、およびジアゼピニルが挙げられる。
【0083】
2縮合環ヘテロアリールおよびヘテロシクロアルキルの例としては、インドリジニル、ピリンジニル、ピラノピロリル、4H−キノリジニル、プリニル、ナフチリジニル、ピリドピリジニル(ピリド[3,4−b]−ピリジニル、ピリド[3,2−b]−ピリジニル、またはピリド[4,3−b]−ピリジニルを含める)、プテリジニル、インドリル、イソインドリル、インドレニニル、イソインダゾリル、ベンゾアジニル、フタラジニル、キノキサリニル、キナゾリニル、ベンゾジアジニル、ベンゾピラニル、ベンゾチオピラニル、ベンゾオキサゾリル、インドキサジニル、アントラニリル、ベンゾジオキソリル、ベンゾジオキサニル、ベンゾオキサジアゾリル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾチエニル、イソベンゾチエニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾオキサジニル、ベンゾイソキサジニル、およびテトラヒドロイソキノリニルが挙げられる。
【0084】
3縮合環ヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキルの例としては、5,6−ジヒドロ−4H−イミダゾ[4,5,1−ij]キノリン、4,5−ジヒドロイミダゾ[4,5,1−hi]インドール、4,5,6,7−テトラヒドロイミダゾ[4,5,1−jk][1]ベンゾアゼピン、およびジベンゾフラニルが挙げられる。
【0085】
縮合環ヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキルの他の例として、ベンゾ縮合ヘテロアリール、たとえば、インドリル、イソインドリル(「イソベンゾアゾリル」または「プソイドイソインドリル」としても知られる)、インドレニニル(「プソイドインドリル」としても知られる)、イソインダゾリル(「ベンズピラゾリル」としても知られる)、ベンゾアジニル(キノリニル(「1−ベンゾアジニル」としても知られる)またはイソキノリニル(「2−ベンゾアジニル」としても知られる)を含める)、フタラジニル、キノキサリニル、キナゾリニル、ベンゾジアジニル(シンノリニル(「1,2−ベンゾジアジニル」としても知られる)またはキナゾリニル(「1,3−ベンゾジアジニル」としても知られる)を含める)、ベンゾピラニル(「クロマニル」または「イソクロマニル」を含める)、ベンゾチオピラニル(「チオクロマニル」としても知られる)、ベンゾオキサゾリル、インドキサジニル(「ベンゾイソオキサゾリル」としても知られる)、アントラニリル、ベンゾジオキソリル、ベンゾジオキサニル、ベンゾオキサジアゾリル、ベンゾフラニル(「クマロニル」としても知られる)、イソベンゾフラニル、ベンゾチエニル(「ベンゾチオフェニル」、「チオナフテニル」または「ベンゾチオフラニル」としても知られる)、イソベンゾチエニル(「イソベンゾチオフェニル」、「イソチオナフテニル」、または「イソベンゾチオフラニル」としても知られる)、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾオキサジニル(1,3,2−ベンゾオキサジニル、1,4,2−ベンゾオキサジニル、2,3,1−ベンゾオキサジニル、または3,1,4−ベンゾオキサジニルを含める)、ベンゾイソキサジニル(1,2−ベンゾイソキサジニルまたは1,4−ベンゾイソキサジニルを含める)、テトラヒドロイソキノリニル、カルバゾリル、キサンテニル、およびアクリジニルが挙げられる。
【0086】
用語「ヘテロアリール」は、ピリジルやキノリニルなどの置換基がCもしくはC炭素環などのC〜C10炭素環、または4〜10員複素環に縮合したものも包含し、そのような縮合アリール基を置換基として有する基は、ヘテロアリール基の芳香族炭素またはヘテロアリール基のヘテロ原子に結合している。このような縮合ヘテロアリール基が1個または複数の置換基で置換されているとき、その1個または複数の置換基は、別段指定しない限り、それぞれがそのヘテロアリール基の芳香族炭素またはそのヘテロアリール基のヘテロ原子に結合している。縮合しているC〜C10炭素環または4〜10員複素環は、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜C10シクロアルキル、または=Oで置換されていてもよい。
【0087】
ヘテロアリールおよびヘテロシクロアルキルの追加の例として、3−1H−ベンゾイミダゾール−2−オン、(1−置換)−2−オキソ−ベンゾイミダゾール−3−イル、2−テトラヒドロフラニル、3−テトラヒドロフラニル、2−テトラヒドロピラニル、3−テトラヒドロピラニル、4−テトラヒドロピラニル、[1,3]−ジオキサラニル、[1,3]−ジチオラニル、[1,3]−ジオキサニル、2−テトラヒドロチオフェニル、3−テトラヒドロチオフェニル、2−モルホリニル、3−モルホリニル、4−モルホリニル、2−チオモルホリニル、3−チオモルホリニル、4−チオモルホリニル、1−ピロリジニル、2−ピロリジニル、3−ピロリジニル、1−ピペラジニル、2−ピペラジニル、1−ピペリジニル、2−ピペリジニル、3−ピペリジニル、4−ピペリジニル、4−チアゾリジニル、ジアゾロニル、N−置換ジアゾロニル、1−フタルイミジニル、ベンゾオキサニル、ベンゾ[1,3]ジオキシン、ベンゾ[1,4]ジオキシン、ベンゾピロリジニル、ベンゾピペリジニル、ベンゾオキソラニル、ベンゾチオラニル、4,5,6,7−テトラヒドロピラゾール[1,5−α]ピリジン、ベンゾチアニル、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、ジヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロピラニル、ジヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、ピペリジノ、モルホリノ、チオモルホリノ、チオキサニル、ピペラジニル、アゼチジニル、オキセタニル、チエタニル、ホモピペリジニル、オキセパニル、チエパニル、オキサゼピニル、ジアゼピニル、チアゼピニル、1,2,3,6−テトラヒドロピリジニル、2−ピロリニル、3−ピロリニル、インドリニル、2H−ピラニル、4H−ピラニル、ジオキサニル、1,3−ジオキソラニル、ピラゾリニル、ジチアニル、ジチオラニル、ジヒドロピラニル、ジヒドロチエニル、ジヒドロフラニル、ピラゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサニル、3−アザビシクロ[4.1.0]ヘプタニル、3H−インドリル、キノリジニル、ピリジニル、イミダゾリル、ピリミジニル、ピラゾリル、トリアゾリル、ピラジニル、テトラゾリル、フリル、チエニル、イソオキサゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソチアゾリル、ピロリル、キノリニル、イソキノリニル、インドリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフラニル、シンノリニル、インダゾリル、インドリジニル、フタラジニル、ピリダジニル、トリアジニル、イソインドリル、プテリジニル、プリニル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、フラザニル、ベンゾフラザニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、キナゾリニル、キノキサリニル、ナフチリジニル、およびフロピリジニルが挙げられる。前述の基は、上で列挙した基から派生するものであるので、可能である場合、C結合型でもN結合型でもよい。たとえば、ピロール由来の基は、ピロール−1−イル(N結合型)でもピロール−3−イル(C結合型)でもよい。さらに、イミダゾール由来の基は、イミダゾール−1−イル(N結合型)でもイミダゾール−2−イル(C結合型)でもよい。
【0088】
置換基は、1個または複数の水素原子に結合している少なくとも1個の炭素、硫黄、酸素、または窒素原子を含む場合、「置換可能」である。したがって、たとえば、水素、ハロゲン、およびシアノは、この定義に含まれない。
【0089】
置換基について「置換されている」と述べる場合、その置換基の炭素、酸素、硫黄、または窒素上の水素置換基の代わりに非水素置換基が存在する。したがって、たとえば、置換されているアルキル置換基とは、そのアルキル置換基上の水素置換基の代わりに、少なくとも1個の非水素置換基が存在するアルキル置換基である。例示すると、モノフルオロアルキルは、1個のフルオロ置換基で置換されているアルキルであり、ジフルオロアルキルは、2個のフルオロ置換基で置換されているアルキルである。(別段記載しない限り)置換基に2つ以上の置換が存在する場合、各非水素置換基は、同一でも異なってもよいことを理解されたい。
【0090】
置換基について「置換されていてもよい」と述べる場合、その置換基は、(1)置換されていない、または(2)置換されているのどちらでもよい。置換基の炭素について、置換基のリストのうちの1個または複数で置換されていてもよいと述べる場合、炭素上の水素の1個または複数(あるだけの数まで)が、それぞれ独立に選択されるオプションの置換基で別個にかつ/または一緒に交換されていてよい。置換基の窒素について、置換基のリストのうちの1個または複数で置換されていてもよいと述べる場合、窒素上の水素の1個または複数(あるだけの数まで)が、それぞれ独立に選択されるオプションの置換基でそれぞれ交換されていてよい。一例となる置換基は、−NR’R”と示すことができ、ここで、R’およびR”は、これらが結合している窒素原子と一緒になって、複素環を形成していてもよい。R’およびR”から、これらが結合している窒素原子と一緒になって形成される複素環は、部分的に飽和していても完全に飽和していてもよい。一実施形態では、複素環は、4〜7個の原子からなる。別の実施形態では、複素環は、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、イソオキサゾリル、ピリジル、およびチアゾリルからなる群から選択される。
【0091】
本出願では、用語「置換基」、「ラジカル」、および「基」を区別なく使用する。
【0092】
置換基の群について、置換基のリストのうちの1個または複数で置換されていてもよいことを一まとめにして記載する場合、その群は、(1)置換不可能な置換基、(2)オプションの置換基で置換されていない置換可能な置換基、および/または(3)オプションの置換基の1個または複数で置換されている置換可能な置換基を包含し得る。
【0093】
置換基について、特定の個数までの非水素置換基で置換されていてもよいと記載する場合、置換基は、(1)置換されていないか、または(2)非水素置換基のその特定の個数、もしくは置換基上の置換可能な位置の最大数までのどちらか少ない方で置換されている場合がある。したがって、たとえば、置換基が、3個までの非水素置換基で置換されていてもよいヘテロアリールであると記載されている場合、3個未満しか置換可能な位置をもたないヘテロアリールならば、ヘテロアリールが有する置換可能な位置と同じ個数までの非水素置換基のみによって置換されていてもよいことになる。例示すると、(置換可能な位置を1箇所しかもたない)テトラゾリルならば、1個までの非水素置換基で置換されていてもよいことになる。さらに例示すると、アミノ窒素について、2個までの非水素置換基で置換されていてもよいと記載する場合、その窒素は、アミノ窒素が第一級窒素であるなら2個までの非水素置換基で置換されていてもよいが、アミノ窒素が第二級窒素であるなら1個までの非水素置換基によってのみ置換されていてもよいことになる。
【0094】
多部分置換基に付いている接頭辞は、最初の部分だけに適用される。例示すると、用語「アルキルシクロアルキル」は、2つの部分、すなわちアルキルとシクロアルキルを含んでいる。したがって、C〜CアルキルシクロアルキルのC〜C接頭辞は、アルキルシクロアルキルのアルキル部分が1〜6個の炭素原子を含んでいることを意味しており、C〜C接頭辞は、シクロアルキル部分について述べるのものではない。さらに例示すると、ハロアルコキシアルキルの接頭辞「ハロ」は、アルコキシアルキル置換基のアルコキシ部分だけが1個または複数のハロゲン置換基で置換されていることを示す。ハロゲン置換がアルキル部分にだけ存在し得る場合、その置換基は、「アルコキシハロアルキル」と記載されることになる。ハロゲン置換がアルキル部分とアルコキシ部分の両方に存在し得る場合、その置換基は、「ハロアルコキシハロアルキル」と記載されることになる。
【0095】
置換基がいくつもの部分からなる場合、別段表記しない限り、最後の部分が分子の残部への結合点になるものとする。たとえば、置換基A−B−Cでは、部分Cが分子の残部に結合している。置換基A−B−C−Dでは、部分Dが分子の残部に結合している。同様に、置換基アミノカルボニルメチルでは、メチル部分が分子の残部に結合しており、この置換基は以下のように示すこともできる。
【0096】
【化9】

【0097】
置換基トリフルオロメチルアミノカルボニルでは、カルボニル部分が分子の残部に結合しており、この置換基は以下のように示すこともできる。
【0098】
【化10】

【0099】
置換基について、群から「それぞれ独立に選択される」と記載する場合、各置換基は、他の置換基とは無関係に選択される。したがって、各置換基は、他の(1個または複数の)置換基と同一でも異なってもよい。
【0100】
異性体
以下では本発明の化合物と呼ぶ式Iの化合物に不斉中心が存在する場合、化合物は、光学異性体(鏡像異性体)の形で存在する場合がある。一実施形態では、本発明は、式Iの化合物のラセミ混合物を含めて、鏡像異性体および混合物を含む。別の実施形態では、2箇所以上の不斉中心を含んでいる式Iの化合物について、本発明は、ジアステレオ異性体形態(個々のジアステレオ異性体およびその混合物)の化合物を含む。式Iの化合物がアルキル基またはアルキル部分を含んでいるとき、幾何異性体が生じる場合もある。
【0101】
互変異性体形態
本発明は、互変異性体形態の式Iの化合物を含む。構造異性体が、低いエネルギー障壁で相互変換可能である場合、互変異性体の異性(「互変異性体」)が生じ得る。互変異性は、たとえばイミノ、ケト、もしくはオキシム基を含んでいる式Iの化合物ではプロトン互変異性、または芳香族部分を含んでいる化合物ではいわゆる原子価互変異性体の形をとり得る。これは、単一の化合物が1種類に留まらない異性を示す場合もあるということである。固体形態および液体形態での互変異性体の様々な比率は、分子上の様々な置換基、ならびに化合物の単離に使用される特定の結晶化技術に応じて決まる。
【0102】

本発明の化合物は、無機酸または有機酸から得られる塩の形で使用することもできる。特定の化合物によりけりであるが、化合物の塩は、塩の1つまたは複数の物理的性質、たとえば、異なる温度および湿度における薬学的安定性が向上していることや、水または油への望ましい溶解性のために有利な場合がある。ある例では、化合物の塩を、化合物の単離、精製、および/または分割の補助手段として使用する場合もある。
【0103】
塩を(たとえば、in vitroの状況で使用するのとは対照的に)患者に投与しようとする場合、その塩は、薬学的に許容できることが好ましい。用語「薬学的に許容できる塩」とは、式Iの化合物を、ヒトが摂取するのに適すると一般にみなされるアニオンまたはカチオンを有する酸または塩基と化合させることにより調製された塩を指す。薬学的に許容できる塩は、水への溶解度が親化合物より高いので、本発明の方法の生成物として特に有用である。医薬への使用では、本発明の化合物の塩は、非毒性の「薬学的に許容できる塩」である。用語「薬学的に許容できる塩」の範囲内にある塩は、遊離塩基を適切な有機酸または無機酸と反応させることにより一般に調製される、本発明の化合物の非毒性の塩を指す。
【0104】
本発明の化合物の薬学的に許容できる適切な酸付加塩としては、可能である場合、無機酸、たとえば、塩酸、臭化水素酸、フッ化水素酸、ホウ酸、フルオロホウ酸、リン酸、メタリン酸、硝酸、炭酸、スルホン酸、および硫酸、ならびに有機酸、たとえば、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコン酸、グリコール酸、イソチオン酸、乳酸、ラクトビオン酸、マレイン酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、コハク酸、トルエンスルホン酸、酒石酸、およびトリフルオロ酢酸から得られる塩が挙げられる。適切な有機酸としては、たとえば、脂肪族、脂環式、芳香族、芳香脂肪族(araliphatic)、複素環、炭素環、およびスルホン酸クラスの有機酸が一般に挙げられる。
【0105】
適切な有機酸の詳細な例として、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、ギ酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、グリコール酸塩、グルコン酸塩、ジグルコン酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸、クエン酸塩、アスコルビン酸塩、グルクロン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、ピルビン酸塩、アスパラギン酸塩、グルタミン酸塩、安息香酸塩、アントラニル酸、メシル酸塩、ステアリン酸塩、サリチル酸塩、p−ヒドロキシ安息香酸塩、フェニル酢酸塩、マンデル酸塩、エンボン酸塩(パモ酸塩)、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、パントテン酸塩、トルエンスルホン酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、スルファニル酸塩、シクロヘキシルアミノスルホン酸塩、アルゲン酸(algenic acid)、β−ヒドロキシ酪酸、ガラクタル酸塩、ガラクツロン酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、酪酸塩、ショウノウ酸塩、カンファースルホン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ドデシル硫酸塩、グリコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ニコチン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、シュウ酸塩、パルモ酸塩(palmoate)、ペクチン酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、チオシアン酸塩、トシル酸塩、およびウンデカン酸塩が挙げられる。
【0106】
さらに、本発明の化合物が酸性部分を有する場合では、適切な薬学的に許容できるその塩として、アルカリ金属塩、すなわち、ナトリウム塩またはカリウム塩;アルカリ土類金属塩、たとえば、カルシウム塩またはマグネシウム塩;および適切な有機配位子と共に形成される塩、たとえば、第四級アンモニウム塩を挙げることができる。別の実施形態では、塩基の塩は、アルミニウム、アルギニン、ベンザチン、コリン、ジエチルアミン、ジオールアミン、グリシン、リシン、メグルミン、オールアミン、トロメタミン、および亜鉛の塩を含めて、非毒性の塩を形成する塩基から生成されるものである。
【0107】
有機塩は、トロメタミン、ジエチルアミン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミン(N−メチルグルカミン)、プロカインなどの、第二級、第三級、または第四級アミンから生成されるものでもよい。塩基性窒素を含んでいる基は、低級アルキル(C〜C)ハロゲン化物(たとえば、メチル、エチル、プロピル、およびブチル塩化物、臭化物、およびヨウ化物)、ジアルキルスルフェート(すなわち、ジメチル、ジエチル、ジブチル、およびジアミルスルフェート)、長鎖ハロゲン化物(すなわち、デシル、ラウリル、ミリスチル、およびステアリル塩化物、臭化物、およびヨウ化物)、アリールアルキルハロゲン化物(すなわち、ベンジルおよびフェネチル臭化物)他などの物質で四級化することができる。
【0108】
一実施形態では、酸および塩基の半塩、たとえば、半硫酸塩および半カルシウム塩を生成することもできる。
【0109】
プロドラッグ
本発明の化合物のいわゆる「プロドラッグ」も、本発明の範囲内にある。すなわち、本発明の化合物の特定の誘導体は、それ自体は薬理活性をほとんどまたはまったくもたないが、身体または身体上に投与されたとき、たとえば加水分解による切断によって、所望の活性を有する本発明の化合物に変換される場合もある。そのような誘導体を「プロドラッグ」と呼ぶ。プロドラッグの使用についてのこれ以上の情報は、「Pro−drugs as Novel Delivery Systems」、第14巻、ACS Symposium Series(T HiguchiおよびW Stella)および「Bioreversible Carriers in Drug Design」、Pergamon Press、1987(E B Roche、American Pharmaceutical Association編)で見ることができる。本発明によるプロドラッグは、たとえば、式Iのいずれかの化合物中に存在する適切な官能基を、たとえばH.Bundgaardによる「Design of Prodrugs」(Elsevier、1985)に記載されているように、当業者に「プロ部分」として知られている特定の部分と交換することにより生成できる。
【0110】
同位体
本発明は、1個または複数の原子が、原子質量または質量数が自然界で通常見られる原子質量または質量数と異なっている原子で置き換えられていること以外は、式Iとして列挙した化合物と同一である、同位体標識された化合物も包含する。本発明の化合物に組み込むことのできる同位体の例としては、H、H、13C、11C、14C、15N、18O、17O、31P、32P、35S、18F、36Clなどの、それぞれ水素、炭素、窒素、酸素、リン、硫黄、フッ素、および塩素の同位体が挙げられる。前述の同位体および/または他の原子の他の同位体を含んでいる本発明の化合物、そのプロドラッグ、ならびに前記化合物または前記プロドラッグの薬学的に許容できる塩は、本発明の範囲内にある。本発明の特定の同位体標識された化合物、たとえば、Hや14Cなどの放射性同位体が組み込まれている化合物は、薬物および/または基質組織分布アッセイにおいて有用である。トリチウム(tritiated)、すなわちH、およびカーボン14、すなわち14C同位体は、調製しやすく、検出可能であるので、特に好ましい。さらに、ジュウテリウム、すなわちHなどのより重い同位体での置換は、代謝安定性がより高いために生じる特定の治療上の優位性、たとえば、in vivo半減期の延長または投与必要量の減少をもたらす場合があり、したがって、状況によっては好ましい場合もある。本発明の同位体標識された式Iの化合物およびそのプロドラッグは、スキームおよび/または以下の実施例および調製例で開示する手順を、同位体標識されていない試薬の代わりに容易に入手可能な同位体標識された試薬を用いて実施することによって一般に調製できる。
【0111】
投与および投薬(dosing)
通常、本発明の化合物は、本明細書に記載の状態の治療に有効な量で投与する。本発明の化合物は、適切な経路によって、その経路に適合させた医薬組成物の形で、目的の治療に有効な用量を投与する。医学的状態の進行に対する処置に必要となる、化合物の治療上有効な用量は、医学分野でよく知られている前臨床および臨床の手法を使用して、当業者の手で容易に突き止められる。
【0112】
本発明の化合物は、経口投与することができる。経口投与は、化合物が消化管に入るように飲み込むものでもよいし、または化合物が口から血流に直接入る頬側もしくは舌下投与を用いてもよい。
【0113】
別の実施形態では、本発明の化合物は、血流中、筋肉、または内臓に直接投与することもできる。非経口投与に適する手段には、静脈内、動脈内、腹腔内、くも膜下腔内、脳室内、尿道内、胸骨内、頭蓋内、筋肉内、および皮下が含まれる。非経口投与に適するデバイスとして、(微細針を含めた)針注射器、無針注射器、および注入技術が挙げられる。
【0114】
別の実施形態では、本発明の化合物は、皮膚または粘膜に局所的に、すなわち、皮膚上にまたは経皮的に投与することもできる。別の実施形態では、本発明の化合物は、鼻腔内にまたは吸入によって投与することもできる。別の実施形態では、本発明の化合物は、直腸投与または経膣投与することができる。別の実施形態では、本発明の化合物は、眼または耳に直接投与することもできる。
【0115】
化合物および/または化合物を含有する組成物の投与計画は、患者のタイプ、年齢、体重、性別、および医学的状態;医学的状態の重症度;投与経路;ならびに用いる特定の化合物の活性を含めた様々な要素に基づくものである。したがって、投与計画は多種多様となり得る。体重1キログラムあたり1日約0.01mg〜約100mg程度の投与量レベルが、上で示した状態の治療では有用である。一実施形態では、(1回量または分割した用量で投与される)本発明の化合物の合計1日量は通常、約0.01〜約100mg/kgである。別の実施形態では、本発明の化合物の合計1日量は、約0.1〜約50mg/kgであり、別の実施形態では、約0.5〜約30mg/kg(すなわち、体重1kgあたりの本発明の化合物mg)である。一実施形態では、投薬量は、0.01〜10mg/kg/日である。別の実施形態では、投薬量は、0.1〜1.0mg/kg/日である。投与量単位組成物は、そのような量または1日量を構成するその約数を含有するものでよい。多くの事例では、化合物の投与は、1日に複数回(通常は4回以下)繰り返される。所望なら、通常は、1日あたり複数回の用量を使用して、合計1日量を増やすこともできる。
【0116】
経口投与では、組成物は、患者への投与量を症状によって調整するために、0.01、0.05、0.1、0.5、1.0、2.5、5.0、10.0、15.0、25.0、50.0、75.0、100、125、150、175、200、250、および500ミリグラムの活性成分を含有する錠剤の形で提供することができる。医薬は通常、約0.01mg〜約500mgの活性成分、または別の実施形態では、約1mg〜約100mgの活性成分を含有する。静脈内について、定速注入の際の用量は、約0.1〜約10mg/kg/分の範囲をとり得る。
【0117】
本発明による適切な対象として、哺乳動物対象が挙げられる。本発明による哺乳動物には、限定はしないが、イヌ、ネコ、ウシ、ヤギ、ウマ、ヒツジ、ブタ、げっ歯動物、ウサギ、霊長類などが含まれ、子宮内の哺乳動物も包含される。一実施形態では、ヒトが適切な対象である。ヒト対象は、どちらの性の者でも、どの発育段階にある者でもよい。
【0118】
医薬の調製における使用
別の実施形態では、本発明は、本明細書で列挙した状態を治療する医薬を調製するための、1種または複数の本発明の化合物の使用を含む。
【0119】
医薬組成物
上で言及した状態を治療するために、本発明の化合物は、化合物それ自体として投与することができる。一方、薬学的に許容できる塩は、親化合物よりも水への溶解性が高いので、医学的な適用に適する。
【0120】
別の実施形態では、本発明は、医薬組成物を含む。そのような医薬組成物は、薬学的に許容できる担体と共に提供される本発明の化合物を含む。担体は、固体でも、液体でも、または両方でもよく、0.05重量%〜95重量%の活性化合物を含有し得る単位用量組成物、たとえば錠剤としての化合物に配合することができる。本発明の化合物は、ターゲット指向性薬物担体としての適切なポリマーと結合させることもできる。他の薬理活性物質が存在してもよい。
【0121】
本発明の化合物は、適切な任意の経路によって、好ましくはそのような経路に適合させた医薬組成物の形で、目的の治療に有効な用量を投与することができる。活性化合物および組成物は、たとえば、経口、直腸、非経口、または局所投与することができる。
【0122】
固体投与形態の経口投与は、たとえば、少なくとも1種の予め決められた量の本発明の化合物をそれぞれが含有する別個の単位、たとえば、硬カプセル剤もしくは軟カプセル剤、丸剤、カシェ剤、ロゼンジ、または錠剤の体裁にすることができる。別の実施形態では、経口投与は、粉末または顆粒形態にしてもよい。別の実施形態では、経口投与形態は、たとえばロゼンジなどの舌下である。このような固体剤形では、式Iの化合物に、1種または複数の佐剤が配合されているのが普通である。そうしたカプセル剤または錠剤は、徐放製剤を含有してもよい。カプセル剤、錠剤、および丸剤の場合では、剤形は、緩衝剤も含んでよく、または腸溶コーティングを施して調製することもできる。
【0123】
別の実施形態では、経口投与は、液体投与形態にすることができる。経口投与用の液体剤形としては、たとえば、当業界で一般に使用される不活性希釈剤(すなわち水)を含有する薬学的に許容できる乳濁液、溶液、懸濁液、シロップ、およびエリキシルが挙げられる。このような組成物は、湿潤剤、乳化剤、懸濁化剤、香味剤(たとえば甘味剤)、および/または着香剤などの佐剤も含んでよい。
【0124】
別の実施形態では、本発明は、非経口投与形態を含む。「非経口投与」は、たとえば、皮下注射、静脈内注射、腹腔内、筋肉内注射、胸骨内注射、および注入を包含する。注射用製剤(すなわち、無菌の注射可能な水性または油性懸濁液)は、適切な分散剤もしくは湿潤剤、および/または懸濁化剤を使用し、知られている技術に従って製剤することができる。
【0125】
別の実施形態では、本発明は、局所投与形態を含む。「局所投与」は、たとえば、経皮パッチやイオン導入デバイスを介してなどの経皮投与、眼内投与、または鼻腔内もしくは吸入投与を包含する。局所投与用の組成物として、たとえば、局所用のゲル、スプレー、軟膏、およびクリームも挙げられる。局所用製剤は、皮膚または他の患部を通しての活性成分の吸収または通過を強化する化合物を含有してもよい。本発明の化合物が経皮デバイスによって投与されるとき、投与は、貯蔵部および多孔膜型または固体基材型のいずれかのパッチを使用して実現される。この目的のための典型的な製剤としては、ゲル、ヒドロゲル、ローション、溶液、クリーム、軟膏、散粉剤、包帯剤、フォーム、フィルム、皮パッチ、ウェーハ、植込錠、スポンジ、繊維、絆創膏、およびマイクロエマルジョンが挙げられる。リポソームも使用することができる。典型的な担体として、アルコール、水、鉱油、流動パラフィン、白色ワセリン、グリセリン、ポリエチレングリコール、およびプロピレングリコールが挙げられる。浸透性改善剤を混ぜてもよい。たとえば、FinninおよびMorganによるJ Pharm Sci、88(10)、955〜958(1999年10月)を参照されたい。
【0126】
眼への局所投与に適する製剤としては、たとえば、本発明の化合物を適切な担体に溶解または懸濁させてある点眼剤が挙げられる。眼または耳への投与に適する典型的な製剤は、pH調整された等張性無菌食塩水中の超微粒子化懸濁液または溶液からなる滴剤の形でよい。眼および耳への投与に適する他の製剤として、軟膏、生分解性(すなわち、吸収性ゲルスポンジ、コラーゲン)および非生分解性(すなわち、シリコーン)植込錠、ウェーハ、レンズ、ならびにニオソームやリポソームなどの微粒子系または小胞系が挙げられる。架橋ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ヒアルロン酸、セルロース系ポリマー、たとえばヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、もしくはメチルセルロース、またはヘテロ多糖ポリマー、たとえばジェランガムなどのポリマーを、塩化ベンザルコニウムなどの保存剤と共に混ぜてもよい。このような製剤は、イオン導入法によって送達することもできる。
【0127】
鼻腔内投与または吸入による投与では、本発明の活性化合物は、患者によって圧搾もしくはポンプによる汲み出しがなされるポンプスプレー容器から溶液もしくは懸濁液の形で、または加圧容器もしくはネブライザーから適切な噴射剤を使用しながらエアロゾルスプレー体裁として送達することが好都合である。鼻腔内投与に適する製剤は通常、(単独、またはたとえばラクトースとの乾燥ブレンドにした混合物として、またはたとえばホスファチジルコリンなどのリン脂質と混合した混合型成分粒子としての)乾燥粉末の形で乾燥粉末吸入器から、または加圧容器、ポンプ、スプレー、アトマイザー(好ましくは、電気水力学を使用して微細な霧を生成するアトマイザー)、もしくはネブライザーから、1,1,1,2−テトラフルオロエタンや1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパンなどの適切な噴射剤を使用しもしくは使用せずにエアロゾルスプレーとして投与する。鼻腔内の使用では、粉末は、生体接着剤、たとえば、キトサンまたはシクロデキストリンを含んでよい。
【0128】
別の実施形態では、本発明は、直腸投与形態を含む。そのような直腸投与形態は、たとえば、坐剤の形でよい。カカオ脂が伝統的な坐剤基剤であるが、様々な代替品を適宜使用してよい。
【0129】
製薬の分野で知られている他の担体材料および投与方式も使用することができる。本発明の医薬組成物は、有効な製剤手順や投与手順などの、よく知られた薬学の技術のいずれかによって準備することができる。有効な製剤手順および投与手順に関する上記の考慮事項は、当業界でよく知られており、標準の教本に記載されている。薬物の製剤は、たとえば、Hoover,John E.、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」、Mack Publishing Co.、ペンシルヴェニア州イーストン、1975;Libermanら編、「Pharmaceutical Dosage Forms」、Marcel Decker、ニューヨーク州ニューヨーク、1980;およびKibbeら編、「Handbook of Pharmaceutical Excipients」(第3版)、American Pharmaceutical Association、ワシントン、1999で論述されている。
【0130】
共投与
本発明の化合物は、様々な状態または疾患状態の治療において、単独で、または他の治療薬と組み合わせて使用することができる。本発明の(1種または複数の)化合物および他の(1種または複数の)治療薬は、(同じ剤形または別々の剤形のいずれかで)同時に、または順次投与することができる。例となる治療薬は、たとえば、代謝型グルタミン酸受容体作動薬でよい。
【0131】
2種以上の化合物を「組み合わせて」の投与とは、2種の化合物を、一方の存在が他方の生物学的効果を変更するのに十分な近い時期に投与することを意味する。2種以上の化合物は、同時に、並行して、または順次投与することができる。さらに、同時投与は、投与前に化合物を混合して実施することもでき、または同時点であるが、異なる解剖学的部位で、もしくは異なる投与経路を使用して化合物を投与することにより実施することもできる。
【0132】
語句「並行投与」、「共投与」、「同時投与」、および「同時に投与」とは、化合物を組み合わせて投与することを意味する。
【0133】
キット
本発明は、上述の治療方法を実施する際に使用するのに適するキットもさらに含む。一実施形態では、キットは、本発明の化合物の1種または複数を含む第一の剤形と、その剤形の容器とを、本発明の方法を実施するのに十分な量で含んでいる。
【0134】
別の実施形態では、本発明のキットは、1種または複数の本発明の化合物を含む。
【0135】
中間体
別の実施形態では、本発明は、本発明の化合物を調製するのに有用な新規な中間体に関する。
【0136】
一般合成スキーム
式Iの化合物は、以下に記載の方法、ならびに有機化学の分野で知られている合成方法、または当業者によく知られている変更形態および派生形態によって調製することができる。本明細書で使用する出発材料は、市販されているか、または当業界で知られているごく普通の方法(たとえば、「COMPENDIUM OF ORGANIC SYNTHETIC METHODS」、第I巻〜第VI巻(Wiley−Interscience刊)などの標準の参考書に記載の方法)によって調製することができる。好ましい方法として、限定はしないが、以下に記載の方法が挙げられる。
【0137】
以下の合成順序のいずれかの際、問題のいずれかの分子上の高感度または反応性の基を保護することが必要であり、かつ/または望ましい場合もある。これは、T.W.Greene、「Protective Groups in Organic Chemistry」、John Wiley&Sons、1981;T.W.GreeneおよびP.G.M.Wuts、「Protective Groups in Organic Chemistry」、John Wiley&Sons、1991;ならびにT.W.GreeneおよびP.G.M.Wuts、「Protective Groups in Organic Chemistry」John Wiley&Sons、1999に記載のものなどの従来の保護基によって実現することができ、これらの文献を参照により本明細書に援用する。
【0138】
式Iの化合物またはその薬学的に許容できる塩は、以下本明細書で論述する反応スキームに従って調製することができる。別段表記しない限り、スキーム中の置換基は、上で定義したとおりである。生成物の単離および精製は、通常の化学者に知られている標準の手順によって実現される。
【0139】
当業者には、スキーム、方法、および実施例で使用する様々な記号、上付き文字、および下付き文字は、表示の都合上、かつ/またはこれらがスキームに導入される順序を反映させるために使用しており、付属の請求項における記号、上付き文字、または下付き文字に必ずしも対応するものではないことを理解されたい。スキームは、本発明の化合物の合成において有用な方法を代表するものである。スキームは、本発明の範囲に決して制約を課さない。
【0140】
作業例
以下では、本発明の様々な化合物の合成を例示する。本発明の範囲内にある追加の化合物は、そうした実施例で例示する方法を、単独で、または当業界で一般に知られている技術と組み合わせて使用し、調製することができる。
【0141】
【化11】

【0142】
スキーム1は、式Iによって示される環式スルファミド誘導体の、当業者によく知られている方法を用いての合成を例示するものである。出発ピペリジノンは、文献(Bioorganic&Medicinal Chemistry Letters、2006、16、6241〜6245)に記載の方法と類似の方法に従って調製し、キラルなHPLCを使用して分離する。スキーム1に関して、適切に保護されたピペリジノンとアミンNH−Bとを、酢酸中にてシアン化亜鉛を用い、Strecker反応にかけると、キラルHPLCでの分離の後、化合物2が得られる。ニトリル基をラネーニッケルおよび水素供給源で還元すると、中間体3が得られる。中間体3を、適切な試薬、たとえば、アセトニトリル中の3−(イミダゾール−1−スルホニル)−1−メチル−3H−イミダゾール−1−イウムトリフレート(S.Beaudoin、J.Org Chem.2003、68、115〜119)、またはピリジン中のスルファミド、またはDMF中の適切なカテコールスルフェートで処理して、4を得ることにより、環式スルファミドを生成することができる。4を、適切なハロゲン化アルキル、および水素化ナトリウムや炭酸セシウムなどの塩基で処理すると、中間体5を得ることができ、別法として、4を、アリール/ヘテロアリールハロゲン化物またはトリフレート、CuIで処理し、加熱すると、中間体5が得られる。パラジウム担持炭素などの適切な触媒を用いる水素化を使用して、4または5を脱保護すると、それぞれ中間体6または7が得られる。6もしくは7を、アルデヒドおよびトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムを用いる還元的アミノ化にかけるか、または6もしくは7を、A−Z−X(ここで、X=I、Br、Cl、OTfである)、および炭酸カリウムや炭酸セシウムなどの塩基を用いてアルキル化すると、式Iの化合物が得られる。キラルな式Iの化合物(Rは上で規定したとおり)は、当業者に知られている方法を使用して、たとえば、適切な基R−X(Xは上で規定したとおり)を用いてDMF中にてNaHを使用し、またはアリール/ヘテロアリールハロゲン化物もしくはトリフレート、CuIでの処理および加熱を使用して、式Iの化合物(Rは上で規定したとおり)を得る、1のアルキル化(R=Hである)によって調製することができる。
【0143】
【化12】

【0144】
スキーム2は、式Iによって示される環式スルファミド誘導体の、当業者によく知られている方法を用いての合成を例示するものである。中間体4Aおよび4Bは、スキーム1に記載したのと同様にして調製し、キラル分離は、異なるステップにおいて行う。式Iによって示されるキラル化合物は、スキーム1に記載したのと似たようにして調製する。
【0145】
【化13】

【0146】
スキーム3は、式Iによって示される環式スルファミド誘導体の、当業者によく知られている方法を用いての合成を例示するものである。6もしくは7を、アルデヒドおよびトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムを用いる還元的アミノ化にかけるか、または6もしくは7を、A−Z−X(Xは上で規定したとおり)、および炭酸カリウムや炭酸セシウムなどの塩基を用いてアルキル化すると、中間体8または10(X=ハロゲンまたはトリフレートであり、V、W、Y、Q、Sは、窒素または炭素原子であると規定する)が得られる。8または10の鈴木カップリングによる誘導体化は、アリールまたはヘテロアリールボロン酸、Pd(OAc)などのパラジウム(0)供給源、および炭酸セシウムなどの塩基を、DMF中で使用して実現することができる。別法として、8または10のBuchwaldカップリングによる誘導体化が、適切なアミン、Pd(dba)などのパラジウム(0)供給源、BINAPなどの配位子、および炭酸セシウムなどの塩基を、トルエン/DMA中で使用して実現される。別法として、8または10のエーテルを生成する変換が、適切なアルコール、CuCl、NMP、炭酸セシウムなどの塩基、および2、2、6、6−テトラメチル−ヘプタン−3,5−ジオン(TMHD)での処理によって実現される。9の式Iへの変換は、上述の方法と類似した方法によって実現される。
【0147】
【化14】

【0148】
スキーム5は、式Iによって示される環式スルファミド誘導体の、当業者によく知られている方法を用いての合成を例示するものである。中間体12は、中間体2から、上述の方法と類似した方法を使用して調製する。12をトルエン中にてDIBALを使用して還元すると、中間体13が得られる。別法として、中間体12は、適切なグリニャール試薬で処理した後、酸加水分解にかけることにより、ケトン15に変換することができる。13または15を還元的アミノ化にかけると、化合物14が得られる。上述したのと似たようにして処理することにより環式スルファミドを生成すると、式Iによって示される化合物を得ることができる。
【0149】
【化15】

【0150】
スキーム6は、式Iによって示される環式スルファミド誘導体の、当業者によく知られている方法を用いての合成を例示するものである。出発物質である適切に保護されたピペリジノン16(PG=保護基)は、上述の方法と類似した方法に従って調製する。ニトリル17のエステル18への変換は、酸で処理した後、リン酸緩衝液中にてトリエチルオキソニウムテトラフルオロボレートで処理することにより実現される。18をBurgess試薬19などの適切な試薬で処理すると、環式スルファミド20が得られる。パラジウム担持炭素などの適切な触媒を用いる水素化を使用して脱保護すると、式21の化合物が得られる。21をアルデヒドおよびトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムを用いる還元的アミノ化にかけるか、または21を、R−Z−X(Xは上で規定したとおりである)、および炭酸カリウムや炭酸セシウムなどの塩基を用いてアルキル化すると、式Iの化合物が得られる。別法として、リン酸緩衝液中にてトリエチルオキソニウムテトラフルオロボレートなどの適切なアルキル化剤を使用して、環式スルファミド20を22に変換する。22を適切なアミンで処理すると23が得られ、これを、上述した方法と類似した方法に従って式Iの化合物に変換する。
【0151】
実験の部
調製例
調製例1:(5R,7S)−1−(3−フルオロフェニル)−3,7−ジメチル−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン2,2−ジオキシド(P1)
【0152】
【化16】

ベンジル(2S,4R)−4−シアノ−4−[(3−フルオロフェニル)アミノ]−2−メチルピペリジン−1−カルボキシレート
【0153】
【化17】

実施例1のように調製したジアステレオ異性体混合物のベンジル(2S)−4−シアノ−4−[(3−フルオロフェニル)アミノ]−2−メチルピペリジン−1−カルボキシレート(36g)をクロマトグラフィーにかけて、ジアステレオ異性体生成物を分離した(カラム:Chiralcel OJ−H、溶離液:80:20 CO:MeOH)。(2S,4S)異性体が溶出された後、表題生成物(17g、47%)が溶出された。LCMS m/z 368.1 (M+1). 1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ ppm 1.49 (d, J=7.2 Hz, 3H), 1.70 (ddd,
J=13.1, 13.2, 4.4 Hz, 1H), 1.89 (dd, J=13.9, 6.5 Hz, 1H), 2.42-2.49 (m, 2H),
3.35 (ddd, J=14.6, 13.0, 2.4 Hz, 1H), 3.74 (s, 1H), 4.27 (m, 1H), 4.63 (m, 1H),
5.14 (d, AB四重線の半分, J=12.3 Hz, 1H), 5.18 (d, AB四重線の半分, J=12.3 Hz, 1H), 6.60-6.68 (m, 3H), 7.21 (m, 1H), 7.32-7.41 (m,
5H).これら生成物中の置換基の相対立体化学は、2種のジアステレオ異性体のNOESY NMRスペクトル、特にメチル基と他の水素のNOE相関を調べることにより確認した。
【0154】
ベンジル(2S,4R)−4−(アミノメチル)−4−[(3−フルオロフェニル)アミノ]−2−メチルピペリジン−1−カルボキシレート
【0155】
【化18】

実施例1のベンジル(2S)−4−シアノ−4−[(3−フルオロフェニル)アミノ]−2−メチルピペリジン−1−カルボキシレートからベンジル(2S)−4−(アミノメチル)−4−[(3−フルオロフェニル)アミノ]−2−メチルピペリジン−1−カルボキシレートを合成する一般手順に従い、ベンジル(2S,4R)−4−シアノ−4−[(3−フルオロフェニル)アミノ]−2−メチルピペリジン−1−カルボキシレートを表題生成物に変換した。シリカゲルクロマトグラフィー(勾配:1%→4%のMeOHジクロロメタン溶液)によって精製すると、生成物(7.8g、77%)が得られた。LCMS m/z 372.1 (M+1). 1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ ppm 1.17 (d, J=6.5 Hz, 3H), 1.56 (dd,
J=14.4, 8.3 Hz, 1H), 1.70 (m, 1H), 1.85 (ddd, J=13.9, 11.3, 6.2 Hz, 1H), 2.04
(dd, J=14.4, 6.3 Hz, 1H), 2.87 (d, AB四重線の半分, J=14 Hz,
1H), 2.91 (d, AB四重線の半分, J=14 Hz, 1H), 3.05 (ddd,
J=13.9, 11.5, 4.7 Hz, 1H), 3.93 (ddd, J=14.0, 6.0, 2.8 Hz, 1H), 4.12 (m, 1H),
5.08 (s, 2H), 6.31-6.40 (m, 3H), 6.99 (m, 1H), 7.23-7.31 (m, 5H).
【0156】
ベンジル(2S,4R)−4−[(3−フルオロフェニル)アミノ]−4−({[(2−ヒドロキシ−3−メトキシフェノキシ)スルホニル]アミノ}メチル)−2−メチルピペリジン−1−カルボキシレート
【0157】
【化19】

5−メトキシ−1,3,2−ベンゾジオキサチオール2,2−ジオキシド(A.M.Ticknerら、Synthetic Communications 1994、24、1631〜7の方法に従って調製したもの、599mg、2.96mmol)のジクロロメタン(0.8mL)溶液を、ベンジル(2S,4R)−4−(アミノメチル)−4−[(3−フルオロフェニル)アミノ]−2−メチルピペリジン−1−カルボキシレート(1.00g、2.69mmol)およびトリエチルアミン(0.20mL、1.4mmol)をDMF(13.5mL)に溶かした氷冷溶液に滴下し、得られる溶液を室温で終夜撹拌した。反応液をHCl水溶液(1%、20mL)中に注ぎ、ジクロロメタン(3×10mL)で抽出した。有機層を合わせてブライン(30mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮して、表題生成物を油状物(1.50g、97%)として得、これを精製せずに次のステップで使用した。LCMS m/z 574.0 (M+1).
【0158】
ベンジル(5R,7S)−1−(3−フルオロフェニル)−7−メチル−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシレート2,2−ジオキシド(化合物1)
【0159】
【化20】

ベンジル(2S,4R)−4−[(3−フルオロフェニル)アミノ]−4−({[(2−ヒドロキシ−3−メトキシフェノキシ)スルホニル]アミノ}メチル)−2−メチルピペリジン−1−カルボキシレート(1.50g、前のステップからのもの、2.61mmol)のジオキサン(26.2mL)溶液を66時間還流温度に加熱した。反応混合物を室温に冷却し、HCl水溶液(0.5M、20mL)中に注ぎ、次いで酢酸エチル(3×20mL)で抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー(勾配:0%→35%の酢酸エチルヘプタン溶液)によって精製して、生成物を白色の固体(440mg、39%)として得た。LCMS m/z 434.4 (M+1). 1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ ppm 1.16 (d, J=7.2 Hz, 3H), 1.58 (m,
1H), 1.66-1.75 (m, 2H), 2.02 (br d, J=12 Hz, 1H), 2.94 (m, 1H), 3.60 (dd,
J=11.6, 9.2 Hz, 1H), 3.72 (dd, J=12.0, 6.9 Hz, 1H), 4.08 (v br s, 1H), 4.50 (v
br s, 1H), 5.05 (d, AB四重線の半分, J=12.5 Hz, 1H), 5.09 (d,
AB四重線の半分, J=12.8 Hz, 1H), 5.56 (dd, J=8.7, 7.2 Hz, 1H),
7.07-7.18 (m, 3H), 7.29-7.37 (m, 5H), 7.39 (ddd, J=8.2, 8.2, 6.5 Hz, 1H).
【0160】
ベンジル(5R,7S)−1−(3−フルオロフェニル)−3,7−ジメチル−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシレート2,2−ジオキシド
【0161】
【化21】

実施例2の(5R,7S)−1−(3−フルオロフェニル)−8−(3−イソプロポキシベンジル)−7−メチル−2−チア−1,3,8トリアザスピロ[4.5]デカン2,2−ジオキシドから(5R,7S)−1−(3−フルオロフェニル)−8−(3−イソプロポキシベンジル)−3,7−ジメチル−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン2,2−ジオキシドを合成する一般手順に従い、ベンジル(5R,7S)−1−(3−フルオロフェニル)−7−メチル−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシレート2,2−ジオキシド(化合物1)を表題生成物に変換した。シリカゲルクロマトグラフィー(勾配:0%→100%の酢酸エチルヘプタン溶液)によって精製すると、生成物が白色の固体(560.4mg、89%)として得られた。
LCMS m/z 448.0 (M+1). 1H
NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ ppm
1.21 (d, J=7.2 Hz, 3H), 1.66 (m, 1H), 1.73-1.82 (m, 2H), 2.10 (br d, J=13 Hz,
1H), 2.85 (s, 3H), 3.03 (v br dd, J=14, 14 Hz, 1H), 3.38 (br d, J=9.3 Hz, 1H),
3.62 (d, J=9.3 Hz, 1H), 4.16 (v br s, 1H), 4.53 (v br s, 1H), 5.06 (br s, 2H),
7.10 (ddd, J=9.3, 2.2, 2.2 Hz, 1H), 7.15-7.21 (m, 2H), 7.28-7.37 (m, 5H), 7.41
(ddd, J=8.2, 8.2, 6.4 Hz, 1H).
【0162】
(5R,7S)−1−(3−フルオロフェニル)−3,7−ジメチル−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン2,2−ジオキシド(P1)
【0163】
【化22】

実施例1のベンジル(7S)−1−(3−フルオロフェニル)−7−メチル−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシレート2,2−ジオキシドから(7S)−1−(3−フルオロフェニル)−7−メチル−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン2,2−ジオキシドを合成する一般手順に従い、ベンジル(5R,7S)−1−(3−フルオロフェニル)−3,7−ジメチル−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシレート2,2−ジオキシドをP1に変換した。表題生成物を白色の泡沫(405mg、定量的)として得た。LCMS m/z 314.0 (M+1). 1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ ppm 1.00 (d, J=6.4 Hz, 3H), 1.41 (dd,
J=14.0, 10.0 Hz, 1H), 1.76 (ddd, J=14.1, 11.2, 4.6 Hz, 1H), 2.22-2.31 (m, 2H),
2.55 (ddd, J=12.8, 11.3, 3.0 Hz, 1H), 2.66 (m, 1H), 2.80-2.86 (m, 1H), 2.83 (s,
3H), 3.21 (d, AB四重線の半分, J=9.3 Hz, 1H), 3.28 (d, AB四重線の半分, J=9.3 Hz, 1H), 7.13-7.22 (m, 2H), 7.27 (ddd, J=8.0, 1.9, 1.1 Hz,
1H), 7.40 (ddd, J=8.1, 8.1, 6.4 Hz, 1H).
【0164】
調製例2:(5R,7S)−1−(3−フルオロフェニル)−7−メチル−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン2,2−ジオキシド(P2)
【0165】
【化23】

実施例1のベンジル(7S)−1−(3−フルオロフェニル)−7−メチル−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシレート2,2−ジオキシドから(7S)−1−(3−フルオロフェニル)−7−メチル−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン2,2−ジオキシドを合成する一般手順に従い、ベンジル(5R,7S)−1−(3−フルオロフェニル)−7−メチル−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシレート2,2−ジオキシド(化合物1)をP2に変換した。表題生成物を無色の油状物(1.055g、99%)として得た。LCMS m/z 299.37 (M+1). 1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ ppm 0.98 (d, J=6.3 Hz, 3H), 1.37 (dd,
J=14.3, 10.9 Hz, 1H), 1.69 (ddd, J=14.4, 12.2, 4.7 Hz, 1H), 2.17-2.22 (m, 2H),
2.46 (ddd, J=12.5, 12.5, 2.8 Hz, 1H), 2.56 (m, 1H), 2.80 (ddd, J=12.8, 4.6, 3.5
Hz, 1H), 3.29 (d, AB四重線の半分, J=11.9 Hz, 1H), 3.34 (d, AB四重線の半分, J=12.0 Hz, 1H), 7.08-7.14 (m, 2H), 7.19 (ddd, J=8.0, 2.0, 1.0 Hz,
1H), 7.36 (dddd, J=8.0, 8.0, 6.4, 0.8 Hz, 1H).
【0166】
調製例3:(5R,7S)−1−(3−フルオロフェニル)−8−(3−ヨードベンジル)−7−メチル−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン2,2−ジオキシド(P3)
【0167】
【化24】

実施例1の(7S)−1−(3−フルオロフェニル)−7−メチル−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン2,2−ジオキシドから(5R,7S)−1−(3−フルオロフェニル)−8−(3−イソプロポキシベンジル)−7−メチル−2−チア−1,3,8トリアザスピロ[4.5]デカン2,2−ジオキシド(1a)を合成する一般手順に従い、(5R,7S)−1−(3−フルオロフェニル)−7−メチル−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン2,2−ジオキシド(P2)をP3に変換した。シリカゲルクロマトグラフィー(勾配:0%→5%のMeOHジクロロメタン溶液)によって精製すると、P3が固体(230mg、48%)として得られた。LCMS m/z 516.1 (M+1). 1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ ppm 1.01 (d, J=6.7 Hz, 3H), 1.60 (ddd,
J=13.6, 6.1, 1.0 Hz, 1H), 1.81 (m, 1H), 1.92 (m, 1H), 1.99 (dd, J=13.6, 4.6 Hz,
1H), 2.19 (ddd, J=12.6, 7.0, 3.8 Hz, 1H), 2.46 (ddd, J=12.6, 8.1, 3.5 Hz, 1H),
2.67 (m, 1H), 3.23 (d, J=13.8, 1H), 3.43-3.53 (m, 2H), 3.54 (d, J=13.7 Hz, 1H),
5.40 (br s, 1H), 6.99 (dd, J=8.2, 7.7 Hz, 1H), 7.11-7.19 (m, 4H), 7.37 (m, 1H),
7.53-7.56 (m, 2H).
【0168】
調製例4:(5R,7S)−1−(3,5−ジフルオロフェニル)−7−メチル−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン2,2−ジオキシド(P4)
【0169】
【化25】

表題化合物は、3−フルオロアニリンの代わりに3,5−ジフルオロアニリンを使用したことを除き、(5R,7S)−1−(3−フルオロフェニル)−7−メチル−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン2,2−ジオキシド(P2)のために用いたのと同様にして調製した。シリカゲルクロマトグラフィー(勾配:1%→15%のMeOHジクロロメタン溶液)によって精製すると、P4が油状物として得られた。LCMS m/z 318.0 (M+1). 1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ ppm 1.01 (d, J=6.4 Hz, 3H), 1.34 (dd,
J=14.0, 10.4 Hz, 1H), 1.69 (ddd, J=14.0, 11.7, 4.8 Hz, 1H), 2.17-2.25 (m, 2H),
2.56 (m, 1H), 2.64 (m, 1H), 2.86 (ddd, J=12.8, 4, 4 Hz, 1H), 3.38 (d, AB四重線の半分, J=12.1 Hz, 1H), 3.43 (d, AB四重線の半分, J=12.1
Hz, 1H), 6.93 (tt, J=8.7, 2.3 Hz, 1H), 6.99-7.05 (m, 2H).
【実施例】
【0170】
【化26】

(実施例1)
(5R,7S)−1−(3−フルオロフェニル)−8−(3−イソプロポキシベンジル)−7−メチル−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン2,2−ジオキシド(1a)
【0171】
【化27】

ベンジル(2S)−4−シアノ−4−[(3−フルオロフェニル)アミノ]−2−メチルピペリジン−1−カルボキシレート
ベンジル(2S)−2−メチル−4−オキソピペリジン−1−カルボキシレート(C.Coburnら、PCT国際出願2007、WO2007011810を参照のこと;20.0g、80.9mmol)の酢酸(162mL)溶液に、3−フルオロアニリン(18.0g、162mmol)およびシアン化亜鉛(23.7g、202mmol)を加えた。反応液を室温で終夜撹拌した。反応液を0℃に冷却し、混合物が塩基性になるまで水酸化アンモニウムで失活させた。反応液を濾過して、黄色の固体を得、これを別の塩化メチレン抽出物と合わせ、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した。この材料を、シリカゲルクロマトグラフィーを使用して精製し、表題化合物(29.7g、72%)を得た。MS m/z 368.1 (M+1).
【0172】
【化28】

ベンジル(2S)−4−(アミノメチル)−4−[(3−フルオロフェニル)アミノ]−2−メチルピペリジン−1−カルボキシレート
ベンジル(2S)−4−シアノ−4−[(3−フルオロフェニル)アミノ]−2−メチルピペリジン−1−カルボキシレート(8.0g、21.8mmol)をNH(109mL、218mmol、1M MeOH溶液)に溶かした溶液に、水中ラネーニッケル(1.87g、21.8mmol)を加えた。反応液を12時間水素化し(50psi)、セライトで濾過し、濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、表題化合物(8.0g、72%)を得た。MS m/z 372.1 (M+1).
【0173】
【化29】

ベンジル(7S)−1−(3−フルオロフェニル)−7−メチル−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシレート2,2−ジオキシド
3−(イミダゾール−1−スルホニル)−1−メチル−3H−イミダゾール−1−イウムトリフレート(S.Beaudoin、J.Org Chem.2003、68、115〜119)(1.47g、4.04mmol)のアセトニトリル(3mL)溶液に、ベンジル(2S)−4−(アミノメチル)−4−[(3−フルオロフェニル)アミノ]−2−メチルピペリジン−1−カルボキシレート(1.0g、2.69mmol)のアセトニトリル(2mL)溶液を加え、反応液を室温で終夜撹拌した。反応液を濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィーによって精製すると、表題化合物(750mg、64%)が得られた。MS m/z 434.1 (M+1).
【0174】
【化30】

(7S)−1−(3−フルオロフェニル)−7−メチル−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン2,2−ジオキシド
ベンジル(7S)−1−(3−フルオロフェニル)−7−メチル−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシレート2,2−ジオキシド(90mg、0.2mmol)のMeOH(2mL)溶液に、水酸化パラジウム(15mg、0.1mmol)を加えた。混合物を50psiで終夜水素化した。反応液を濾過し、濃縮して、表題化合物(60mg、96%)を得た。MS m/z 300.1 (M+1).
【0175】
【化31】

(5R,7S)−1−(3−フルオロフェニル)−8−(3−イソプロポキシベンジル)−7−メチル−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン2,2−ジオキシド(1a)
(7S)−1−(3−フルオロフェニル)−7−メチル−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン2,2−ジオキシド(60mg、0.2mmol)および3−イソプロポキシベンズアルデヒド(3mg、0.2mmol)をジクロロエタン(2.0mL)に溶かした溶液に、酢酸(12mg、0.2mmol)を加えた。反応液を室温で5時間撹拌し、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(85mg、0.4mmol)を装入し、終夜撹拌した。反応液を炭酸水素ナトリウム水溶液で失活させ、塩化メチレンで抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した。20〜50%の酢酸エチル/ヘキサンの勾配を使用するシリカゲルクロマトグラフィーによって精製すると、第一の溶離液(9.7mg、11%)である(5S,7S)−1−(3−フルオロフェニル)−8−(3−イソプロポキシベンジル)−7−メチル−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン2,2−ジオキシド(1b)1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ ppm 1.17 (d, J=6.22 Hz, 3H) 1.30 (dd,
J=6.01, 3.52 Hz, 6H) 1.41 - 1.54 (m, 1H) 1.61 (dt, J=12.86, 4.15 Hz, 1H) 1.69 -
1.77 (m, 1H) 1.82 - 1.98 (m, 2H) 2.24 - 2.36 (m, 1H) 2.77 (td, J=12.34, 4.46,
3.11 Hz, 1H) 2.97 (d, J=13.27 Hz, 1H) 3.49 - 3.61 (m, 2H) 4.00 (d, J=13.27 Hz,
1H) 4.45 - 4.56 (m, 1H) 4.67 (t, J=7.46 Hz, 1H) 6.71 - 6.80 (m, 3H) 7.07 - 7.20
(m, 4H) 7.40 (ddd, J=8.09, 6.22 Hz, 1H), MS m/z 448.1 (M+1)および第二の溶離液(14.5mg、16%)である(5R,7S)−1−(3−フルオロフェニル)−8−(3−イソプロポキシベンジル)−7−メチル−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン2,2−ジオキシド(1a)が得られた。1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ ppm 1.03 (d, J=6.64 Hz, 3H) 1.30 (d,
J=6.22 Hz, 6H) 1.60 (dd, J=14.10, 5.39 Hz, 1H) 1.78 - 1.86 (m, 1H) 1.92 - 2.05
(m, 2H) 2.22 - 2.30 (m, 1H) 2.47 - 2.56 (m, 1H) 2.67 - 2.75 (m, 1H) 3.26 (d,
J=13.69 Hz, 1H) 3.44 - 3.56 (m, 2H) 3.59 (d, J=13.69 Hz, 1H) 4.44 - 4.55 (m,
1H) 4.85 (t, J=7.67 Hz, 1H) 6.74 (d, 2H) 6.73 (d, J=4.98 Hz, 1H) 7.07 - 7.19
(m, 4H) 7.33 - 7.41 (m, 1H), MS m/z 448.1 (M+1).
【0176】
【化32】

(実施例2)
(5R,7S)−1−(3−フルオロフェニル)−8−(3−イソプロポキシベンジル)−3,7−ジメチル−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン2,2−ジオキシド
(5R,7S)−1−(3−フルオロフェニル)−8−(3−イソプロポキシベンジル)−7−メチル−2−チア−1,3,8トリアザスピロ[4.5]デカン2,2−ジオキシド(1a)(20mg、0.045mmol)のDMF溶液を、NaH(3.6mg、0.09mmol)のDMF(0.6mL)中スラリーに0℃で加えた。反応液を0℃で2時間撹拌し、次いでヨウ化メチル(8.7mg、0.061mmol)のDMF(0.2mL)溶液を加えた。反応液を徐々に室温に温め、終夜撹拌した。反応液を水で希釈し、酢酸エチル(3×10mL)で抽出した。有機物を合わせて乾燥させ、濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、表題化合物(15mg、67%)を得た。1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ ppm 1.04 (d, J=6.64 Hz, 3H) 1.30 (d,
J=5.81 Hz, 6H) 1.64 (dd, J=13.69, 4.98 Hz, 1H) 1.89 - 1.96 (m, 2H) 2.04 (dd,
J=13.48, 4.77 Hz, 1H) 2.28 - 2.37 (m, 1H) 2.49 - 2.58 (m, 1H) 2.75 - 2.80 (m,
1H) 2.82 (s, 3H) 3.26 (d, J=9.13 Hz, 1H) 3.31 (d, J=13.69 Hz, 1H) 3.44 (d,
J=9.13 Hz, 1H) 3.56 (d, J=13.27 Hz, 1H) 4.44 - 4.54 (m, 1H) 6.73 (d, J=2.07 Hz,
1H) 6.75 (s, 2H) 7.09 - 7.21 (m, 4H) 7.34 - 7.43 (m, 1H); MS m/z 462.3
(M+1).
【0177】
(実施例3)
(5R,7S)−1−(3−フルオロフェニル)−8−(3−イソプロポキシベンジル)−7−メチル−3−(ピリジン−2−イルメチル)−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン2,2−ジオキシド(3)
【0178】
【化33】

(5R,7S)−1−(3−フルオロフェニル)−8−(3−イソプロポキシベンジル)−7−メチル−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン2,2−ジオキシド(化合物2、実施例1aとも記載する)
(5R,7S)−1−(3−フルオロフェニル)−7−メチル−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン2,2−ジオキシド(P2、312mg、1.04mmol)および炭酸セシウム(680mg、2.09mmol)をDMF(3mL)に混ぜた混合物に、1−(ブロモメチル)−3−イソプロポキシベンゼン(239mg、1.04mmol)のDMF(0.5mL)溶液を5分間かけて滴下し、得られる懸濁液を室温で終夜撹拌した。次いで、反応混合物を水(20mL)で希釈し、酢酸エチル(3×30mL)で抽出し、有機抽出物を合わせて硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。残渣を、シリカゲルクロマトグラフィー(勾配:0%→5%のMeOHジクロロメタン溶液)によって精製して、生成物を白色の固体(185mg、40%)として得た。LCMS m/z 448.1 (M+1). 1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ ppm 1.06 (br s, 3H), 1.32 (d, J=6.1
Hz, 6H), 1.61 (br m, 1H), 1.85 (br s, 1H), 1.96-2.09 (br m, 2H), 2.29 (m, 1H),
2.55 (br s, 1H), 2.73 (m, 1H), 3.28 (br d, J=13 Hz, 1H), 3.50 (dd, ABX系の半分, J=12.0, 9.0 Hz, 1H), 3.56 (dd, ABX系の半分,
J=12.1, 7.4 Hz, 1H), 3.62 (br d, J=13 Hz, 1H), 4.51 (七重線, J=6.0 Hz, 1H), 4.68 (br dd, J=8, 8 Hz, 1H), 6.74-6.77 (m, 3H),
7.10-7.19 (m, 4H), 7.38 (m, 1H).
【0179】
【化34】

(5R,7S)−1−(3−フルオロフェニル)−8−(3−イソプロポキシベンジル)−7−メチル−3−(ピリジン−2−イルメチル)−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン2,2−ジオキシド(3)
(5R,7S)−1−(3−フルオロフェニル)−8−(3−イソプロポキシベンジル)−7−メチル−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン2,2−ジオキシド(化合物2、28.3mg、0.0632mmol)および炭酸セシウム(103mg、0.316mmol)をDMF(1.5mL)に混ぜた混合物に、2−(ブロモメチル)ピリジン臭化水素酸塩(40.0mg、0.158mmol)を加え、得られる懸濁液を室温で終夜撹拌した。次いで、反応混合物を水で希釈し、酢酸エチル(3×20mL)で抽出した。有機抽出物を合わせて硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮して残渣を得、これをシリカゲルクロマトグラフィー(勾配 0%→5%のMeOHジクロロメタン溶液)によって精製した。表題生成物を白色の固体(22mg、65%)として得た。LCMS m/z 539.0 (M+1). 1H NMR (500 MHz, クロロホルム-d) δ 0.97 (br s, 3H), 1.30 (br d, J=6 Hz,
6H), 1.63 (m, 1H), 1.85 (m, 1H), 1.93-2.06 (m, 2H), 2.29 (m, 1H), 2.45 (m, 1H),
2.77 (m, 1H), 3.27 (br d, J=13 Hz, 1H), 3.40 (d, J=9.6 Hz, 1H), 3.49-3.56 (m,
2H), 4.36 (d, J=14.9 Hz, 1H), 4.47-4.54 (m, 2H), 6.72-6.75 (m, 3H), 7.13-7.24
(m, 4H), 7.28 (m, 1H, 推定, 溶媒ピークで一部不明確), 7.40 (m, 1H), 7.56 (br d, J= 7 Hz, 1H), 7.75 (ddd, J=7.7, 7.7,
1.8 Hz, 1H), 8.60 (m, 1H).
【0180】
(実施例4)
(5R,7S)−1−(3−フルオロフェニル)−8−(3−イソプロポキシベンジル)−7−メチル−3−(5−フェニル−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル)−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン2,2−ジオキシド(4)
【0181】
【化35】

(5R,7S)−1−(3−フルオロフェニル)−8−(3−イソプロポキシベンジル)−7−メチル−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン2,2−ジオキシド(化合物2、33mg、0.074mmol)、ジオキサン(2mL)、3−ブロモ−5−フェニル−4,5−ジヒドロイソオキサゾール(P.Caldirolaら、Tetrahedron Letters 1986、27、4647〜4650に従って調製したもの;50.2mg、0.222mmol)、ヨウ化銅(I)(42.5mg、0.222mmol)、および炭酸カリウム(30.7mg、0.222mmol)を、乾燥した密封可能なフラスコの中で合わせ、N,N’−ジメチルエタン−1,2−ジアミン(32μL、0.30mmol)で処理した。混合物を終夜105℃で加熱し、次いで室温に冷却し、セライトで濾過した。フィルターパッドを酢酸エチル(20mL)で洗浄し、合わせた濾液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(20mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。残渣をシリカゲルでのクロマトグラフィー(勾配:0%→100%の酢酸エチルヘプタン溶液)によって精製して、表題生成物をオフホワイトの固体(21.8mg、50%)として得た。LCMS m/z 593.1 (M+1). 1H NMR (500 MHz, クロロホルム-d) δ 1.09 (m, 3H), 1.32 (br d, J=6 Hz, 6H),
1.70 (m, 1H), 1.95-2.10 (m, 3H), 2.38 (m, 1H), 2.61 (m, 1H), 2.83 (m, 1H), 3.34
(br d, J=13 Hz, 1H), 3.45 (m, 1H), 3.62 (m, 1H), 3.83 (m, 1H), 3.90 (m, 1H),
4.10 (m, 1H), 4.51 (m, 1H), 5.72 (m, 1H), 6.75-6.78 (m, 3H), 7.12-7.23 (m, 4H),
7.33-7.45 (m, 6H).
【0182】
追加の実施例の構造は、表1、2および3に示す。表1〜3には、そうした追加実施例の物性データおよび調製に関する情報を示し、表4は、すべての実施例に関係のある生物学的データを含んでいる。データは、遊離塩基としての化合物、または化合物の薬学的に許容できる塩のどちらかで得たものである。
【0183】
方法
方法A:還元的アミノ化による8−置換(5R,7S)−1−(3−フルオロフェニル)−7−メチル−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン2,2−ジオキシド類似体の調製
【0184】
【化36】

3位が置換されていてもよい(5R,7S)−1−(3−フルオロフェニル)−7−メチル−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン2,2−ジオキシド(1当量)および適切なアルデヒド(1〜2当量)をジクロロエタンに溶かした溶液(一般に、基体中0.1M)に、酢酸(2当量)を加える。反応液を室温で5時間撹拌し、次いでトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(2当量)を装入し、終夜撹拌する。反応液を炭酸水素ナトリウム溶液で失活させ、塩化メチレンで抽出し、有機層を合わせて硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮する。生成物は、シリカゲルクロマトグラフィーによって精製することができる。必要となるアルデヒドが市販されていないか、または市販されている同様の化合物から容易に得られる場合、調製に関する情報を表1の脚注で示す。
【0185】
方法B:アルキル化による3−置換(5R,7S)−1−アリール−7−メチル−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン2,2−ジオキシド類似体の調製
【0186】
【化37】

方法BおよびCでは、必要となるアルキル化剤または関連する化合物(アルコール、アルデヒド、カルボン酸誘導体)が市販されていない場合、調製に関する情報を表1〜3の脚注で示す。8−置換(5R,7S)−1−アリール−7−メチル−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン2,2−ジオキシド(1当量)のDMF溶液(一般に、基体中0.1M)を、少量のDMF中のNaH(2当量)のスラリーに0℃で加える。反応液を0℃で2時間撹拌し、次いで、アルキル化剤(1〜1.4当量)を少量のDMFに溶かした溶液で処理する。反応液を徐々に室温に温める。別法として、基体(1当量)およびアルキル化剤(1〜3当量)をDMF中で合わせ(基体中0.1M)、室温にて炭酸セシウム(1.5〜5当量)で処理することができる。反応液を終夜撹拌し、次いで水で希釈し、酢酸エチルで抽出する。合わせた有機層を乾燥させ、濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、表題生成物を得る。
【0187】
方法C:アルキル化による8−置換(5R,7S)−1−アリール−7−メチル−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン2,2−ジオキシド類似体の調製
【0188】
【化38】

3位が置換されていてもよい(5R,7S)−1−アリール−7−メチル−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン2,2−ジオキシド(1当量)およびアルキル化剤(1〜2当量)をDMF中で合わせ(一般に、基体中0.1M)、室温にて炭酸セシウム(1.5〜3当量)で処理する。反応液を終夜撹拌し、次いで水で希釈し、酢酸エチルで抽出する。合わせた有機層を乾燥させ、濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、表題生成物を得る。
【0189】
方法D:1−置換−1H−ピラゾール−5−カルバルデヒドの調製
【0190】
【化39】

ステップ1.1−置換5−(ジエトキシメチル)−1H−ピラゾールの調製
(3E)−4−(ジメチルアミノ)−1,1−ジメトキシブト−3−エン−2−オン(2.5mmol)および適切な置換ヒドラジン(2.5mmol)をエタノール(12mL)中で合わせ、反応が進んで完了するまで85℃に加熱する。真空中で溶媒を除去すると、粗生成物が得られ、これを精製せずに用いてもよいし、またはシリカゲルクロマトグラフィーにかけてもよい。
【0191】
ステップ2.1−置換−1H−ピラゾール−5−カルバルデヒドの調製
前のステップからの1−置換5−(ジエトキシメチル)−1H−ピラゾールをHCl水溶液(0.4〜1.5N、10mL)に溶解させる。エタノールを加えて溶解性を高めてもよい。反応混合物を室温で反応させ、または反応が完了するまで60℃に加熱する。炭酸水素ナトリウムで中和した後、ジクロロメタンで抽出する。溶媒を除去すると残渣が得られ、これをシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、所望のピラゾールアルデヒドを得る。
【0192】
方法E:鈴木反応による8−(3−アリールベンジル)−置換(5R,7S)−1−(3−フルオロフェニル)−7−メチル−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン2,2−ジオキシド類似体の調製
【0193】
【化40】

(5R,7S)−1−(3−フルオロフェニル)−8−(3−ヨードベンジル)−7−メチル−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン2,2−ジオキシド(P3)(1当量)、適切なボロン酸(2〜3当量)、炭酸ナトリウム(5当量)、および水(100当量)をエタノール中で合わせ(基体中0.1M)、窒素で脱気する。テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.1当量)を加え、反応混合物を終夜40℃で加熱する。反応液を希炭酸水素ナトリウム水溶液中に注ぎ、ジクロロメタンで抽出する。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮する。シリカゲルクロマトグラフィーによって表題生成物を精製する。
【0194】
【表2−1】

【0195】
【表2−2】

【0196】
【表2−3】

【0197】
【表2−4】

【0198】
【表2−5】

【0199】
【表2−6】

【0200】
【表2−7】

【0201】
【表2−8】

【0202】
【表2−9】

【0203】
【表2−10】

【0204】
【表2−11】

【0205】
【表2−12】

【0206】
【表2−13】

【0207】
【表2−14】

【0208】
【表2−15】

【0209】
【表2−16】

【0210】
【表2−17】

【0211】
【表2−18】

【0212】
【表2−19】

【0213】
【表2−20】

【0214】
【表2−21】

【0215】
【表3】

【0216】
【表4−1】

【0217】
【表4−2】

【0218】
【表4−3】

【0219】
β−セクレターゼによって切断することができ、N末端ビオチンを有する合成APP基質を使用して、阻害性化合物の存在下または非存在下でβ−セクレターゼ活性を検定する。基質は、BACE切断部位周囲の野生型配列またはスウェーデン変異のどちらかを含んでいるものでよい(Vassar,R.、B.D.Bennettら(1999)、「Beta−secretase cleavage of Alzheimer’s amyloid precursor protein by the transmembrane aspartic protease BACE」、Science.286(5440):735〜741)。基質および試験化合物を384ウェルポリプロピレンプレートに加える。可溶性BACE酵素を加えて最終体積をウェルあたり12.5μLにすることにより、反応を開始する。最終アッセイ条件は、以下のとおりである。0.001〜300μMの化合物阻害剤、0.05Mの酢酸ナトリウム(pH4.5)、3μMの基質、可溶性ヒトBACE、および2%のDMSO。ヒト組換え型可溶性BACEを分泌する細胞からの濃縮された条件培地を滴定して、BACE酵素供給源とした。細胞培地は、未精製BACE調製物として使用してもよいし、または固定化BACE阻害剤精製カラムを含めた技術の幾種類かを使用してBACEを精製してもよい。アッセイ混合物を37℃で1時間インキュベートし、等体積の0.1Mトリス、pH8を加えて反応を失活させる。失活させた混合物の半分をストレプトアビジンコートされた透明な384ウェルポリスチレンプレートで1時間インキュベートする。次いで、BACEによる切断後に生じる新しいC末端を特異的に認識する組織内部の抗体を使用して、ELISAを実施する。2種の組織内部の抗体が利用可能であり、それぞれが切断特異的であるが、一方は野生型配列(APP591〜596)に対して産生されるものであり、他方は、スウェーデン変異(APP590〜596)に対して産生されるものである。(これらのポリクローナル抗体は、野生型可溶性APPβ配列のカルボキシ末端に存在する6アミノ酸残基(NH−ISEVKM−COOH)、またはβ切断部位にあるスウェーデン変異のカルボキシ末端に存在する7アミノ酸残基(NH−EISEVNL−COOH)をキーホールリンペットヘモシアニンに結合させたものからなる抗原を用い、当業者に知られている方法によって免疫化することにより、ウサギにおいて産生させた。)次いで、抗種西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)結合二次抗体を利用する。読み出し情報は、TMB基質でアッセイを展開し、0.09M硫酸で失活させた後の、450nmでの吸光度である。
【0220】
【表5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物
【化1】

[式中、式Iにおいて、Rに結合した炭素の箇所およびスピロ環炭素の箇所に示す立体化学は、絶対立体化学であり、Bは、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルであり、Bは、0〜3個のR基で置換されていてもよく、
Zは、(CH−O−(CHまたはシクロアルキレン部分であり、但し、Zが(CH−O−(CHであるとき、(CH鎖の末端メチレンは、ピペリジニル環の窒素に結合しており、
Aは、それぞれ独立に、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、またはヘテロアリールであり、前記アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、またはヘテロアリールは、1個〜3個のRで置換されていてもよく、
各Rは、それぞれ独立に、アルキル、ハロゲン、シアノ、SONHR、CON(R、N(R)COR、SON(R、N(R)SO、COR、SO、(CH−シクロアルキル、(CH−ヘテロシクロアルキル、(CH−アリール、(CH−ヘテロアリール、(CH−N(R、または(CH−ORであり、各Rアルキル、(CH−シクロアルキル、(CH−ヘテロシクロアルキル、(CH−アリール、または(CH−ヘテロアリールは、シアノ、アルキル、ハロゲン、またはORでそれぞれ独立に置換されていてもよく、
は、アルキル、シクロアルキル、またはアルケニルであり、前記アルキル、シクロアルキル、またはアルケニルは、ハロゲン、ヒドロキシル、またはシアノで置換されていてもよく、
3AおよびR3Bは、それぞれ独立に、水素、アリール、ヘテロアリール、またはRで置換されていてもよいアルキルであり、
またはR3AおよびR3Bは、これらが結合している炭素と一緒になって、C=O、C=NR、シクロアルキレン部分、ヘテロシクロアルキレン部分を形成しており、
各Rは、それぞれ独立に、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、ハロ、O−アルキル、O−シクロアルキル、SO、N(R、COR、CON(R、アルキル、(CH−シクロアルキル、(CH−ヘテロシクロアルキル、(CH−アリール、または(CH−ヘテロアリールであり、前記Rアルキル、(CH−シクロアルキル、(CH−ヘテロシクロアルキル、(CH−アリール、または(CH−ヘテロアリールは、Rで置換されていてもよく、
各Rは、それぞれ独立に、水素、アルキル、アルケニル、(CH−シクロアルキル、(CH−ヘテロシクロアルキル、(CH−アリール、または(CH−ヘテロアリールであり、前記アルキル、アルケニル、(CH−シクロアルキル、(CH−ヘテロシクロアルキル、(CH−アリール、または(CH−ヘテロアリールR置換基は、1個または複数のヒドロキシル、アリール、ヘテロアリール、ハロゲン、アルキル、シクロアルキル、SO、−NRCOR、−CON(R、COOR、−C(O)R、−CN、またはN(Rで置換されていてもよく、前記アリール、アルキル、シクロアルキル、およびヘテロアリール置換基は、1個または複数のハロゲン、アルキル、ヒドロキシル、または−O−アルキルで置換されていてもよく、
各Rは、それぞれ独立に、水素、アルキル、(CH−シクロアルキル、(CH−ヘテロシクロアルキル、(CH−アリール、または(CH−ヘテロアリールであり、前記(CH−シクロアルキル、(CH−ヘテロシクロアルキル、(CH−アリール、または(CH−ヘテロアリールは、1個〜3個のRで置換されていてもよく、
各Rは、それぞれ独立に、アルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、ハロゲン、シアノ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、(CH−シクロアルキル、(CH−ヘテロシクロアルキル、(CH−アリール、または(CH−ヘテロアリールであり、
各Rは、それぞれ独立に、水素、アルキル、(CH−シクロアルキル、(CH−ヘテロシクロアルキル、(CH−アリール、または(CH−ヘテロアリールであり、前記(CH−シクロアルキル、(CH−ヘテロシクロアルキル、(CH−アリール、または(CH−ヘテロアリールは、アルキル、ハロ、またはシアノで置換されていてもよく、
は、水素またはアルキルであり、
nは、1、2および3から選択される整数であり、
pは、0および1から選択される整数であり、但し、pが1である場合、nは2または3であり、
qは、0および1から選択される整数であり、但し、pが0である場合、qは0であり、
各tは、0、1、2および3からそれぞれ独立に選択される整数である]
または薬学的に許容できるその塩。
【請求項2】
Aが、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルであり、Aが、1個のR置換基で置換されていてもよい、請求項1に記載の化合物または薬学的に許容できるその塩。
【請求項3】
Aが、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルであり、Aが、2個のR置換基で置換されていてもよい、請求項1に記載の化合物または薬学的に許容できるその塩。
【請求項4】
Aがアリールであり、2個のR置換基で置換されていてもよい、請求項3に記載の化合物または薬学的に許容できるその塩。
【請求項5】
Aがヘテロアリールであり、2個のR置換基で置換されていてもよい、請求項3に記載の化合物または薬学的に許容できるその塩。
【請求項6】
が、それぞれ独立に、アルキル、ハロゲン、シアノ、−N(R)COR、−COR、−(CH−シクロアルキル、−(CH−ヘテロシクロアルキル、−(CH−アリール、−(CH−ヘテロアリール、−(CH−N(R、または−(CH−ORであり、各Rアルキル、−(CH−シクロアルキル、−(CH−ヘテロシクロアルキル、(CH−アリール、または(CH−ヘテロアリールは、シアノ、アルキル、ハロゲン、または−ORでそれぞれ独立に置換されていてもよい、前記請求項のいずれかに記載の化合物または薬学的に許容できるその塩。
【請求項7】
Bがアリールであり、1個だけのR置換基で置換されており、Rはハロゲンである、前記請求項のいずれか一項に記載の化合物または薬学的に許容できるその塩。
【請求項8】
Zが、(CH−O−(CHであり、pは0である、前記請求項のいずれか一項に記載の化合物または薬学的に許容できるその塩。
【請求項9】
がアルキルである、前記請求項のいずれか一項に記載の化合物または薬学的に許容できるその塩。
【請求項10】
3AおよびR3Bがそれぞれ水素である、前記請求項のいずれか一項に記載の化合物または薬学的に許容できるその塩。
【請求項11】
が、水素およびアルキルからなる群からそれぞれ独立に選択される、前記請求項のいずれか一項に記載の化合物または薬学的に許容できるその塩。
【請求項12】
(5R,7S)−1−(3−フルオロフェニル)−8−(3−イソプロポキシベンジル)−7−メチル−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン2,2−ジオキシド;
(5R,7S)−1−(3−フルオロフェニル)−8−(3−イソプロポキシベンジル)−7−メチル−3−(ピリジン−2−イルメチル)−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン2,2−ジオキシド;
5−{[(5R,7S)−1−(3−フルオロフェニル)−3,7−ジメチル−2,2−ジオキシド−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デス−8−イル]メチル}−2’−メチルビフェニル−2−オール;
(5R,7S)−1−(3−フルオロフェニル)−7−メチル−8−[3−(4−メチルピリジン−3−イル)ベンジル]−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン2,2−ジオキシド;
2−クロロ−4−{[(5R,7S)−1−(3−フルオロフェニル)−7−メチル−2,2−ジオキシド−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デス−8−イル]メチル}フェノール;
(5R,7S)−1−(3−フルオロフェニル)−7−メチル−8−[(2’−メチルビフェニル−3−イル)メチル]−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン2,2−ジオキシド;
(5R,7S)−8−[(2’−クロロビフェニル−3−イル)メチル]−1−(3−フルオロフェニル)−7−メチル−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン2,2−ジオキシド;
2−エトキシ−4−{[(5R,7S)−1−(3−フルオロフェニル)−7−メチル−2,2−ジオキシド−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デス−8−イル]メチル}フェノール;
(5R,7S)−8−[(2’−エチルビフェニル−3−イル)メチル]−1−(3−フルオロフェニル)−7−メチル−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン2,2−ジオキシド;
(5R,7S)−1−(3−フルオロフェニル)−7−メチル−8−(3−{[(1R)−1−メチルプロピル]オキシ}ベンジル)−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン2,2−ジオキシド;
4−{[(5R,7S)−1−(3−フルオロフェニル)−3,7−ジメチル−2,2−ジオキシド−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デス−8−イル]メチル}−2−イソプロポキシフェノール;
(5R,7S)−1−(3−フルオロフェニル)−3,7−ジメチル−8−[(2’−メチルビフェニル−3−イル)メチル]−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン2,2−ジオキシド;
(5R,7S)−8−{[4−(シクロプロピルメチル)−1,3−チアゾール−5−イル]メチル}−1−(3−フルオロフェニル)−3,7−ジメチル−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン2,2−ジオキシド;
(5R,7S)−1−(3−フルオロフェニル)−8−[(4−イソブチル−1,3−チアゾール−5−イル)メチル]−3,7−ジメチル−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン2,2−ジオキシド;
(5R,7S)−8−{[4−(シクロブチルメチル)−1,3−チアゾール−5−イル]メチル}−1−(3−フルオロフェニル)−3,7−ジメチル−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン2,2−ジオキシド;
(5R,7S)−1−(3−フルオロフェニル)−3,7−ジメチル−8−{3−[(2−メチル−1,3−ベンゾオキサゾール−6−イル)オキシ]ベンジル}−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン2,2−ジオキシド;
(5R,7S)−8−[(3−エチル−1H−インダゾール−5−イル)メチル]−1−(3−フルオロフェニル)−3,7−ジメチル−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン2,2−ジオキシド;
(5R,7S)−1−(3−フルオロフェニル)−3,7−ジメチル−8−{[3−(トリフルオロメチル)−1H−インダゾール−5−イル]メチル}−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン2,2−ジオキシド;
2’−エチル−5−{[(5R,7S)−1−(3−フルオロフェニル)−3,7−ジメチル−2,2−ジオキシド−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デス−8−イル]メチル}ビフェニル−2−オール;
2’−フルオロ−5−{[(5R,7S)−1−(3−フルオロフェニル)−3,7−ジメチル−2,2−ジオキシド−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デス−8−イル]メチル}ビフェニル−2−オール;
5’−フルオロ−5−{[(5R,7S)−1−(3−フルオロフェニル)−3,7−ジメチル−2,2−ジオキシド−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デス−8−イル]メチル}−2’−メチルビフェニル−2−オール;
4’−フルオロ−5−{[(5R,7S)−1−(3−フルオロフェニル)−3,7−ジメチル−2,2−ジオキシド−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デス−8−イル]メチル}−2’−メチルビフェニル−2−オール;
2’−クロロ−5−{[(5R,7S)−1−(3−フルオロフェニル)−3,7−ジメチル−2,2−ジオキシド−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デス−8−イル]メチル}ビフェニル−2−オール;
6−{[(5R,7S)−1−(3−フルオロフェニル)−3,7−ジメチル−2,2−ジオキシド−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デス−8−イル]メチル}−4−イソプロポキシピリジン−3−オール;
2−シクロペンチル−4−{[(5R,7S)−1−(3−フルオロフェニル)−3,7−ジメチル−2,2−ジオキシド−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デス−8−イル]メチル}フェノール;
4−{[(5R,7S)−1−(3−フルオロフェニル)−3,7−ジメチル−2,2−ジオキシド−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デス−8−イル]メチル}−2−イソブチルフェノール;
2−シクロヘキシル−4−{[(5R,7S)−1−(3−フルオロフェニル)−3,7−ジメチル−2,2−ジオキシド−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デス−8−イル]メチル}フェノール;
(5R,7S)−1−(3−フルオロフェニル)−8−(3−イソプロポキシベンジル)−7−メチル−3−ピリミジン−2−イル−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン2,2−ジオキシド;
(5R,7S)−1−(3−フルオロフェニル)−8−(3−イソプロポキシベンジル)−7−メチル−3−(ピリミジン−2−イルメチル)−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン2,2−ジオキシド;
(5R,7S)−1−(3−フルオロフェニル)−8−(3−イソプロポキシベンジル)−7−メチル−3−(ピリミジン−2−イルメチル)−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン2,2−ジオキシド;
(5R,7S)−1−(3−フルオロフェニル)−8−(3−イソプロポキシベンジル)−3−(イソオキサゾール−3−イルメチル)−7−メチル−2−チア−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン2,2−ジオキシドからなる群から選択される式Iの化合物、または薬学的に許容できるその塩。
【請求項13】
哺乳動物に、有効量の請求項1に記載の化合物または薬学的に許容できるその塩を投与することを含む、神経障害および精神障害からなる群から選択される疾患または状態の治療方法。
【請求項14】
請求項1に記載の化合物または薬学的に許容できるその塩と薬学的に許容できる担体とを含む医薬組成物。
【請求項15】
非定型抗精神病薬、コリンエステラーゼ阻害剤、ジメボン(dimebon)、またはNMDA受容体拮抗薬をさらに含む、請求項14に記載の組成物。

【公表番号】特表2011−519913(P2011−519913A)
【公表日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−508035(P2011−508035)
【出願日】平成21年5月4日(2009.5.4)
【国際出願番号】PCT/IB2009/051815
【国際公開番号】WO2009/136350
【国際公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【出願人】(593141953)ファイザー・インク (302)
【Fターム(参考)】