説明

神経変性疾患用治療薬としての選択的セロトニン2A/2C受容体インバースアゴニスト

新規選択的5HT2A/2C受容体インバースアゴニストである式(I)の化合物を使った行動薬理学データにより、精神病およびジスキネジアのモデルにおけるインビボ効力を実証する。これには、MK−801誘発性移動行動の逆転(この化合物が有効な抗精神病薬であることを示唆する)およびジスキネジアのMPTP霊長類モデルにおける活性(抗ジスキネジア剤としての効力を示唆する)が含まれる。これらのデータは、5HT2A/2C受容体インバースアゴニズムがヒトで抗精神病効力および抗ジスキネジア効力を付与しうることを裏付け、パーキンソン病、関連ヒト神経変性疾患および精神病の新規治療薬としての式(I)の化合物および関連薬剤の用途を示す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パーキンソン病、ハンチントン病、レビー小体痴呆、およびアルツハイマー病を含む様々なヒト神経変性疾患を処置するための、N−(1−メチルピペリジン−4−イル)−N−(4−フルオロフェニルメチル)−N'−(4−(2−メチルプロピルオキシ)フェニルメチル)カルバミドおよび関連セロトニン2A/2C受容体インバースアゴニストの使用に関する。具体的に述べると、これらの薬剤は、パーキンソン病およびハンチントン病において、運動機能を改善する。具体的には、N−(1−メチルピペリジン−4−イル)−N−(4−フルオロフェニルメチル)−N'−(4−(2−メチルプロピルオキシ)フェニルメチル)カルバミドおよび関連化合物は、これらの疾患状態の全てに存在する行動的発現および神経精神的発現を制御するために使用することができる。N−(1−メチルピペリジン−4−イル)−N−(4−フルオロフェニルメチル)−N'−(4−(2−メチルプロピルオキシ)フェニルメチル)カルバミドと既存の治療剤との組合せからなる医薬組成物も開示する。
【背景技術】
【0002】
神経変性障害(ND)は、共通する病態生理学的特徴、すなわち時間の経過と共に起こる選択的ニューロン集団の進行性の変性を示す、一群の関連ヒト疾患である。これらの神経変性疾患には、たとえばアルツハイマー病および関連痴呆、パーキンソン病、ハンチントン病、レビー小体病および関連運動障害、ならびにフリードライヒ失調および関連脊髄小脳失調などが含まれるが、これらに限るわけではない。これらの各障害は、発症年齢、進行の時間経過、神経徴候および神経症状、神経精神症状、ならびに既知治療剤に対する感受性など、それぞれに特有の臨床面を持っている。また、これらの各障害の病態生理学的基礎は、各疾患に特有の遺伝的機序によって引き起こされる。
【0003】
本質的に異なるこれらの障害の基礎を成している遺伝的原因の解明はかなり進んでいるにもかかわらず、それらの全てに共通する選択的ニューロン変性を引き起こす生化学的機序については、わかっていることが比較的少ない。また、これらの障害のうち、パーキンソン病およびアルツハイマー病を含む最も一般的なものについては、稀にしか見られない家族型のこれらの疾患を引き起こす遺伝因子が発見されているものの、散発例の大部分については、その病態生理学的基礎はまだ分かっていない。そのため、疾患の進行を直接的に変化させることのできる特異的治療剤は、今のところ存在しない。その代わりに臨床家達は、これらの障害を特徴づける運動的発現、認知的発現および神経精神的発現の症状緩和を達成するために、様々な既存の薬剤を利用している。これら既存の薬剤はいずれも、ND患者を特異的に処置するために設計、開発されたものではない。
【0004】
NDを特徴づける様々な神経症状のうち、動作緩慢、ジスキネジアおよび舞踏病を含む運動機能の異常、ならびに精神病および不安やうつ病などの情動症状を含む神経精神症状の出現は、共通する症状であり、患者の機能状態と生活の質に深刻な影響を及ぼす。残念なことに、抗精神病薬および抗うつ剤を含めてほとんどの既存治療剤は、これらの患者でしばしば効力を示すものの、その認容性は著しく低い。また、利用可能なパーキンソン病治療剤は、L−ドーパおよびドーパミンアゴニストを含めて、概して有効ではあるものの、現時点では薬物療法で対処できないほど重篤な処置制限副作用の出現を引き起こす。
【0005】
複数の要因(疾患と関連薬物の両方)が、主として、これらの薬剤の認容性が制限される原因になっている。第1に、神経変性疾患を持つ患者は、血液脳関門を横切ってニューロン標的(有害な運動症状または神経精神症状に対抗する効力を付与するもの)と相互作用するように設計されているほとんどの治療剤に対して、特に高い感受性を持っている。たとえば、非定型抗精神病薬は、健常ボランティアや、統合失調症のような原発性精神障害、すなわちニューロン変性を特徴としない脳状態を持つ患者においては、概して認容性が高い。対照的に、パーキンソン病またはハンチントン病を持つ患者に投与した場合、これらの薬剤は、運動機能に対して重篤な処置制限有害作用を示し、重篤な鎮静を引き起こし、認知機能を悪化させうる。NDに特有なニューロン喪失の直接作用と、これに続発する適応変化は、どちらも、この余分な感受性を付与するND患者の神経化学的および/または神経生理学的状態を作り出すと考えられる。
【0006】
第2に、特定ニューロン系の特異的変化に派生する一部の患者集団では、ドーパミン受容体のアンタゴニズムを含むこれらの薬物の既知の作用機序は、認容されない。たとえば、パーキンソン病患者は、上行性ドーパミン作動性ニューロン系の比較的選択的な変性を示し、その結果として彼らは、中枢ドーパミン神経伝達に欠陥を持つ。したがって、ドーパミン受容体を遮断することによってドーパミン作動性神経伝達をさらに減弱する薬物の認容性が高くないことは、驚くに当たらない。
【0007】
最後に、現在知られているほぼ全ての治療剤は、その作用機序に特異性を欠いている。抗精神病薬および抗うつ薬は、たとえば細胞表面受容体、イオンチャネルおよび再取り込み輸送体のホストなど、重要なニューロンタンパク質との間に、薬理学的に意味のある多数の相互作用を持っている。この薬物標的特異性の欠如は、非ND患者集団に様々な有害作用を与え、ND患者ではそれが質的および量的に悪化することが知られている。
【0008】
これらの知見は、身体障害をもたらすこれら特定の症状に対して効力を示すだけでなく、これら特異的患者集団において認容性をも持つように特異的に設計された、新規治療剤を開発する必要性を浮き彫りにしている。これは、新しい治療剤の薬物標的相互作用の選択性を改善することによって、達成することができる。具体的には、既存の薬剤に関連する既知の落とし穴を回避する新規な作用機序を持つ薬剤の開発が望まれる。また、選択性の改善により、非効力付与薬物標的との相互作用に関連する既知の有害作用を回避することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本明細書には、式(I):
【化1】

の化合物と医薬的に許容できる担体とを含む組成物を開示する。一部の実施形態では、本組成物は追加治療剤をさらに含む。一部の実施形態では、追加治療剤が、レボドパ(SINEMET(商標)、SINEMET−CR(商標))、ブロモクリプチン(PARLODEL(商標)、ペルゴリド(PERMAX(商標))、硫酸エフェドリン(EPHEDRINE(商標))、ペモリン(CYLERT(商標))、マチンドール(SANOREX(商標))、d,1−α−メチルフェネチルアミン(ADDERALL(商標))、メチルフェニデート(RITALIN(商標))、プラミペキソール(MIRAPEX(商標))、モダフィニル(PROVIGIL(商標))、およびロピニロール((REQUIP(商標))から選択される。別の実施形態では、追加治療剤が、バクロフェン(Lioresal(商標))、ボツリヌス毒素(Botox(商標))、クロナゼパム(Klonopin(商標))、およびジアゼパム(Valium(商標))から選択される抗ジスキネジア剤である。別の実施形態では、追加治療剤が、バクロフェン(LIORESAL(商標))、ボツリヌス毒素(BOTOX(商標))、クロナゼパム(KLONOPIN(商標))、およびジアゼパム(VALIUM(商標))から選択される抗ジストニア剤、抗ミオクローヌス剤、または抗振戦剤である。別の実施形態では、追加治療剤が、ドーパミン作動性受容体アンタゴニズムを持つ抗精神病剤である。別の実施形態では、追加治療剤が、クロルプロマジン(THORAZINE(商標))、ハロペリドール(HALDOL(商標))、モリンドン(MOBAN(商標))、チオリダジン(MELLARIL(商標))、フェノチアジン類、ブチロフェノン類、ジフェニルブチルピペリジン(ピモジド)、チオキサンチン類(フルフェンチキソール)、置換ベンズアミド類(スルピリド)、セルチンドール、アミスルプリド、リスペリドン、クロザピン、オランザピン、ジプラシドン、アリピプラゾール、およびそれらの活性代謝産物(N−デスメチルクロザピン、N−デスメチルオランザピン、9−OH−リスペリドン)から選択される抗精神病剤である。
【0010】
本明細書には、神経変性疾患を処置する方法であって、神経変性疾患を患っている患者を同定することと、セロトニン受容体に選択的なインバースアゴニストを前記患者に有効量投与することとを含み、よってドーパミン療法関連ジスキネジアを軽減する方法も開示する。一部の実施形態では、神経変性疾患がパーキンソン病、ハンチントン病、アルツハイマー病、脊髄小脳萎縮、トゥーレット症候群、フリードライヒ失調、マシャド・ジョセフ病、レビー小体痴呆、ジストニア、進行性核上性麻痺、または前頭側頭型痴呆である。ある実施形態では、セロトニン受容体が5HT2A受容体である。もう一つの実施形態では、セロトニン受容体が5HT2C受容体である。一部の実施形態では、インバースアゴニストが5HT2A受容体または5HT2C受容体に結合する。一部の実施形態では、インバースアゴニストが式(I)の化合物である。ある実施形態は、ドーパミン作動剤を式(I)の化合物と組み合わせて投与することを、さらに含む。一部の実施形態では、前記試薬がドーパミン作動活性を増加させるものであり、レボドパ、SINAMET(商標)、SINAMETCR(商標)、ブロモクリプチン(PARLODEL(商標))、ペルゴリド(PERMAX(商標))、硫酸エフェドリン(EPHEDRINE(商標))、ペモリン(CYLERT(商標))、マチンドール(SANOREX(商標))、d,1−α−メチルフェネチルアミン(ADDERALL(商標))、メチルフェニデート(RITALIN(商標))、プラミペキソール(MIRAPEX(商標))、モダフィニル(PROVIGIL(商標))、およびロピニロール(REQUIP(商標))からなる群より選択される。
【0011】
また本明細書には、ドーパミン療法に関連するジスキネジアを処置する方法であって、ドーパミン療法関連ジスキネジアを患っている患者を同定すること、セロトニン受容体に選択的なインバースアゴニストを前記患者に有効量投与することとを含み、よってドーパミン療法関連ジスキネジアを軽減する方法も開示する。ある実施形態では、セロトニン受容体が5HT2A受容体である。もう一つの実施形態では、セロトニン受容体が5HT2C受容体である。一部の実施形態では、インバースアゴニストが5HT2A受容体および5HT2C受容体に結合する。ある実施形態では、インバースアゴニストが式(I)の化合物である。一部の実施形態は、抗ジスキネジア剤を式(I)の化合物と組み合わせて投与することを、さらに含む。一部の実施形態では、前記抗ジスキネジア剤が、バクロフェン(Lioresal(商標))、ボツリヌス毒素(Botox(商標)、クロナゼパム(Klonopin(商標))、およびジアゼパム(Valium(商標))からなる群より選択される。一部の実施形態では、患者が、パーキンソン病、ハンチントン病、アルツハイマー病、脊髄小脳萎縮、トゥーレット症候群、フリードライヒ失調、マシャド・ジョセフ病、レビー小体痴呆、ジストニア、進行性核上性麻痺、および前頭側頭型痴呆からなる群より選択される神経変性疾患を患っている。
【0012】
さらに本明細書には、ドーパミン療法に関連するジストニア、ミオクローヌス、または振戦を処置する方法であって、ドーパミン療法に関連するジストニア、ミオクローヌス、または振戦を患っている患者を同定することと、およびセロトニン受容体に選択的なインバースアゴニストを前記患者に有効量投与することとを含み、よってドーパミン療法に関連するジストニア、ミオクローヌス、または振戦を軽減する方法も開示する。ある実施形態では、セロトニン受容体が5HT2A受容体である。もう一つの実施形態では、セロトニン受容体が5HT2C受容体である。一部の実施形態では、インバースアゴニストが5HT2A受容体および5HT2C受容体に結合する。一部の実施形態では、インバースアゴニストが式(I)の化合物である。一部の実施形態は、式(I)の化合物と組み合わされた抗ジストニア剤、抗ミオクローヌス剤、または抗振戦剤を、さらに含む。一部の実施形態では、抗ジストニア剤、抗ミオクローヌス剤、または抗振戦剤が、バクロフェン(LIORESAL(商標))、ボツリヌス毒素(BOTOX(商標))、クロナゼパム(KLONOPIN(商標))およびジアゼパム(VALIUM(商標))からなる群より選択される。
【0013】
本明細書には、ドーパミン療法に関連する精神病を処置する方法であって、ドーパミン療法関連精神病を患っている患者を同定することと、およびセロトニン受容体に選択的なインバースアゴニストを前記患者に有効量投与することとを含み、よってドーパミン療法関連精神病の症状を軽減する方法も開示する。ある実施形態では、セロトニン受容体が5HT2A受容体である。もう一つの実施形態では、セロトニン受容体が5HT2C受容体である。一部の実施形態では、インバースアゴニストが5HT2A受容体および5HT2C受容体に結合する。一部の実施形態では、インバースアゴニストが式(I)の化合物である。一部の実施形態は、式(I)の化合物と組み合わされた抗精神病剤を、さらに含む。一部の実施形態では、抗精神病剤が、クロルプロマジン(THORAZINE(商標))、ハロペリドール(HALDOL(商標))、モリンドン(MOBAN(商標))、チオリダジン(MELLARIL(商標))、フェノチアジン類、ブチロフェノン類、ジフェニリブチルピペリジン(ピモジド)、チオキサンチン類(フルフェンチキソール)、置換ベンズアミド類(スルピリド)、セルチンドール、アミスルプリド、リスペリドン、クロザピン、オランザピン、ジプラシドン、アリピプラゾール、およびそれらの活性代謝産物(N−デスメチルクロザピン、N−デスメチルオランザピン、9−OH−リスペリドン)からなる群より選択される。一部の実施形態では、患者が、パーキンソン病、ハンチントン病、アルツハイマー病、脊髄小脳萎縮、トゥーレット症候群、フリードライヒ失調、マシャド・ジョセフ病、レビー小体痴呆、ジストニア、進行性核上性麻痺、および前頭側頭型痴呆からなる群より選択される神経変性疾患を患っている。
【0014】
また本明細書には、神経精神疾患を処置する方法であって、神経精神疾患を患っている患者を同定することと、セロトニン受容体に選択的なインバースアゴニストを前記患者に有効量投与することとを含む方法も開示する。一部の実施形態では、神経精神疾患が、統合失調症、分裂情動障害、躁病、痴呆に関連する行動障害および精神病性うつ病からなる群より選択される。一部の実施形態では、セロトニン受容体が5HT2A受容体である。一部の実施形態では、セロトニン受容体が5HT2C受容体である。一部の実施形態では、インバースアゴニストが5HT2A受容体または5HT2C受容体に結合する。ある実施形態では、インバースアゴニストが式(I)の化合物である。一部の実施形態は、抗精神病剤をインバースアゴニストと組み合わせて投与することを、さらに含み、その抗精神病剤は、クロルプロマジン(THORAZINE(商標))、ハロペリドール(HALDOL(商標))、モリンドン(MOBAN(商標))、チオリダジン(MELLARIL(商標))、フェノチアジン類、ブチロフェノン類、ジフェニルピペリジン(ピモジド)、チオキサンチン類(フルフェンチキソール)、置換ベンズアミド類(スルピリド)、セルチンドール、アミスルプリド、リスペリドン、クロザピン、オランザピン、ジプラシドン、アリピプラゾール、およびそれらの活性代謝産物(N−デスメチルクロザピン、N−デスメチルオランザピン、9−OH−リスペリドン)からなる群より選択される。
【0015】
また本明細書には、式(I):
【化2】

の構造を持つ化合物も開示する。
【0016】
さらに本明細書には、モノアミン受容体の活性を阻害する方法であって、前記モノアミン受容体または前記モノアミン受容体を含有する系を、前記モノアミン受容体の活性を阻害するのに有効な量の式(I)の化合物と接触させることを含む方法も開示する。一部の実施形態では、モノアミン受容体がセロトニン受容体である。ある実施形態では、セロトニン受容体が5−HT2Aサブクラスである。一部の実施形態では、セロトニン受容体が中枢神経系にある。一部の実施形態では、セロトニン受容体が末梢神経系にある。一部の実施形態では、セロトニン受容体が血液細胞中または血小板中にある。一部の実施形態では、セロトニン受容体が突然変異または修飾を受けている。一部の実施形態では、活性がシグナル伝達である。一部の実施形態では、活性が構成的である。一部の実施形態では、活性がセロトニン受容体活性化に関連する。
【0017】
また本明細書には、モノアミン受容体の活性化を阻害する方法であって、前記モノアミン受容体または前記モノアミン受容体を含有する系を、前記モノアミン受容体の活性化を阻害するのに有効な量の式(I)の化合物と接触させることを含む方法も開示する。一部の実施形態では、活性化がアゴニスト剤によるものである。一部の実施形態では、アゴニスト剤が外因性である。一部の実施形態では、アゴニスト剤が内因性である。一部の実施形態では、活性化が構成的である。一部の実施形態では、モノアミン受容体がセロトニン受容体である。一部の実施形態では、セロトニン受容体が5−HT2Aサブクラスである。一部の実施形態では、セロトニン受容体が中枢神経系にある。一部の実施形態では、セロトニン受容体が末梢神経系にある。一部の実施形態では、セロトニン受容体が血液細胞中または血小板中にある。一部の実施形態では、セロトニン受容体が突然変異または修飾を受けている。
【0018】
また本明細書には、モノアミン受容体に関連する疾患状態を処置する方法であって、そのような処置を必要とする対象に、式(I)の化合物を治療有効量投与することを含む方法も開示する。一部の実施形態では、疾患状態が、統合失調症、精神病、片頭痛、高血圧、血栓症、血管痙直、虚血、うつ病、不安、睡眠障害および食欲障害からなる群より選択される。一部の実施形態では、疾患状態がモノアミン受容体の機能障害に関連する。一部の実施形態では、疾患状態がモノアミン受容体の活性化に関連する。一部の実施形態では、疾患状態がモノアミン受容体の増加した活性に関連する。一部の実施形態では、モノアミン受容体がセロトニン受容体である。一部の実施形態では、セロトニン受容体が5−HT2Aサブクラスである。一部の実施形態では、セロトニン受容体が中枢神経系にある。一部の実施形態では、セロトニン受容体が末梢神経系にある。一部の実施形態では、セロトニン受容体が血液細胞中または血小板中にある。一部の実施形態では、セロトニン受容体が突然変異または修飾を受けている。
【0019】
本明細書には、統合失調症を処置する方法であって、そのような処置を必要とする対象に、式(I)の化合物を治療有効量投与することを含む方法も開示する。
【0020】
本明細書には、片頭痛を処置する方法であって、そのような処置を必要とする対象に、式(I)の化合物を治療有効量投与することを含む方法も開示する。
【0021】
本明細書には、精神病を処置する方法であって、そのような処置を必要とする対象に、式(I)の化合物を治療有効量投与することを含む方法も開示する。
【0022】
本明細書には、式(I)の化合物に応答する素因を対象に与える遺伝子多型を同定する方法であって、前記化合物を対象に治療有効量投与することと、前記化合物に対する前記対象の応答を測定することにより、モノアミン受容体に関連する疾患状態が改善している応答性対象を同定することと、その応答性対象における遺伝子多型を同定することとを含み、その遺伝子多型が前記化合物に応答する素因を対象に与える方法も開示する。一部の実施形態では、改善される疾患状態が5−HTクラスまたは5−HT2Aサブクラスのモノアミン作動性受容体に関連する。
【0023】
さらに本明細書には、請求項48の化合物による処置に適した対象を同定する方法であって、前記化合物に応答する素因を対象に与える多型の存在を検出することを含み、前記多型の存在が、その対象は式(I)の化合物による処置に適していることを示す方法も開示する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
(定義)
本明細書においては、技術用語を定義するために以下の定義をそのまま用い、そしてまた、請求項においてその保護を求める組成物の範囲を定義するためにも、以下の定義をそのまま用いるものとする。
【0025】
「構成的活性」は、アゴニストの存在に依存しない、受容体の上昇した基礎活性と定義される。受容体の構成的活性は、細胞(たとえば膜)調製物(たとえばBarrおよびManning,J. Biol. Chem. 272:32979−87(1997)参照)、関連Gタンパク質を伴うまたは関連Gタンパク質を伴わないリン脂質小胞中の精製再構成受容体(Cerioneら,Biochemistry 23:4519−25(1984))、および機能的細胞アッセイ(米国特許出願第60/103,317号)または当技術分野で知られる他の任意の方法を含む多種多様な方法を使って測定することができる。
【0026】
「アゴニスト」は、受容体と接触した時にその受容体の基礎活性を増加させる化合物と定義される。
【0027】
「アンタゴニスト」は、受容体への結合に関してアゴニストまたはインバースアゴニストと競合し、そうすることによって、その受容体に対するアゴニストまたはインバースアゴニストの作用を遮断する化合物と定義される。しかし、アンタゴニスト(「ニュートラル」アンタゴニストとも呼ばれる)は、構成的受容体活性に対する作用は持たない。
【0028】
「インバースアゴニスト」は、受容体の基礎活性(すなわちその受容体が媒介するシグナル伝達)を低下させる化合物と定義される。そのような化合物はネガティブアンタゴニストとも呼ばれている。インバースアゴニストは、リガンドが何も存在しない場合に生じる基礎状態と比較して、受容体に不活性な状態をとらせる、その受容体のリガンドである。したがって、アンタゴニストがアゴニストの活性を阻害できるのに対して、インバースアゴニストは、アゴニストの不在下で受容体のコンフォメーションを変化させることができるリガンドである。インバースアゴニストの概念は、Nature 374:272(1995)において、Bondらによって探求されている。より具体的に述べると、Bondらは、リガンド非結合型β2−アドレノセプターは、不活性コンフォメーションと自発的活性コンフォメーションとの平衡状態で存在すると提案した。アゴニストは、活性コンフォメーションの受容体を安定化するとされる。逆に、インバースアゴニストは、不活性受容体コンフォメーションを安定化すると考えられる。したがって、アンタゴニストがアゴニストを阻害することによってその活性を発現するのに対して、インバースアゴニストは、リガンド非結合型受容体の活性コンフォメーションへの自発的変換を阻害することにより、アゴニストの不在下でもその活性を発現することができる。
【0029】
「5−HT2A受容体」は、Saltzmanら,Biochem. Biophys. Res. Comm. 181:1469−78およびJuliusら,Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:928−932に詳述されているように、分子クローニングおよび薬理学によって特徴づけられた当該ヒトセロトニン受容体サブタイプの活性に相当する活性を持つ受容体と定義される。
【0030】
「対象」という用語は、処置、観察または実験の目的となる動物、好ましくは哺乳動物、最も好ましくヒトを指す。
【0031】
「選択的」とは、特定の受容体タイプ、サブタイプ、クラスまたはサブクラスから所望の応答を引き出すのに十分な量の化合物が、他の受容体タイプの活性には、かなり少ない作用を持つか、実質上ほとんど作用を持たないか、または全く作用を持たないという、化合物の特性と定義される。たとえば、選択的化合物は、所望の受容体の活性に対して、他の受容体タイプに対するよりも少なくとも10倍は強い作用を持ちうる。場合により、選択的化合物は、所望の受容体の活性に対して、他の受容タイプに対するよりも少なくとも20倍は強い作用、または少なくとも50倍は強い作用、または少なくとも100倍は強い作用、または少なくとも1000倍は強い作用、または少なくとも10,000倍は強い作用、または少なくとも100,000倍は強い作用、または100,000倍を超える強さの作用を持ちうる。「選択性」または「選択的」は、インバースアゴニストとしては、5−HT2A受容体を効果的にインバースアゴナイズ(inversely agonize)し、それによってその活性を低下させる化合物の量が、他の関連受容体または無関連受容体ではインバースアゴニスト活性またはアンタゴニスト活性をほとんどまたは全く引き起こさないという、本発明化合物の特性と理解される。特に、ある実施形態では、驚いたことに、ある化合物は、5−HT2A受容体のシグナル伝達が強くまたは完全に阻害される濃度において、他のセロトニン受容体(5−HT 1A、1B、1D、1E、1F、2B、2C、4A、6、および7)と強くは相互作用しないことが見いだされた。ある実施形態では、その化合物は、ドーパミン作動性受容体、ヒスタミン作動性受容体、アドレナリン作動性受容体およびムスカリン性受容体などの他のモノアミン結合受容体に関しても選択的である。5−HT2A受容体に高度に選択的な化合物は、今までこの目的に提案されてきた薬物に関連する有害作用を回避すると同時に、精神病、統合失調症または類似する神経精神障害の処置に有益な作用を持ちうる。
【0032】
本明細書に記載する一部の実施形態は、セロトニン2Aまたは2C受容体インバースアゴニスト(神経変性疾患の処置によく使用されるドーパミン作動剤関連療法が惹起または増悪する一定の副作用を処置するための組成物および方法を含む)に関する。たとえば、本明細書に開示する化合物は、神経変性疾患であるパーキンソン病の処置に用いられるドーパミン療法に関連するジスキネジアおよび精神病を処置するのに役立つ。ある実施形態によれば、式(I)の構造を持つ化合物、N−(1−メチルピペリジン−4−イル)−N−(4−フルオロフェニルメチル)−N'−(4−(2−メチルプロピルオキシ)フェニルメチル)カルバミドが提供される:
【化3】

【0033】
ある実施形態は、式(I)の化合物と医薬的に許容される担体とを含む組成物に関する。本組成物は、他の化合物、たとえばジスキネジア、ジストニアまたは精神病を処置するための化合物なども含有しうる。
【0034】
ある実施形態によれば、化合物N−(1−メチルピペリジン−4−イル)−N−(4−フルオロフェニルメチル)−N'−(4−(2−メチルプロピルオキシ)フェニルメチル)カルバミドの酒石酸塩は、経口による生物学的利用能を持つ強力かつ選択的な5−HT2A受容体インバースアゴニストである。式(I)の化合物は、5−HT2C受容体インバースアゴニストとしても、弱い力価を持ち、残りのモノアミン作動性受容体サブタイプでは固有の活性を持たない。式(I)の化合物がドーパミン受容体サブタイプにおける活性を持たないことは、おそらく最も注目すべきことだろう(米国特許出願第09/800,096号参照)。式(I)の化合物の包括的な行動薬理学的プロファイリングは、抗精神病薬作用および抗ジスキネジア薬作用の前臨床モデルを含めて、パーキンソン病および関連ヒト神経変性疾患における本化合物の治療的使用に裏付けを与える。
【0035】
パーキンソン病(PD)はよく見られる進行性神経変性疾患である。最新の概算によると、米国では900,000人近くがPDを持つこと、そして米国人口が加齢するにつれて罹患率も増えつつあることが、示唆されている。運動機能障害などのPDの症状を緩和するには、ドーパミン受容体アゴニストが使用される。残念なことに、これらドーパミン作動剤の長期間にわたる使用は、やがて、神経精神副作用(精神病)および煩わしい運動副作用(ジスキネジア)を、それぞれ患者の30〜80%に引き起こす。
【0036】
抗精神病薬およびドーパミン受容体アンタゴニストは、これらの有害作用を有効に改善することができる。残念なことに、これらの化合物の多くは、PD患者の運動機能を、その低ドーパミン状態に続いて、かなり悪化させてしまう。これらの患者におけるジスキネジアおよび精神病の発症にセロトニン作動性神経伝達の増強を病態生理学的に関係づけることができるという仮説は、生化学データおよび薬理データにより、裏付けられている。この理論に拘泥するわけではないが、セロトニン作動活性とドーパミン療法に関連する負の副作用との関係を探求するために、本明細書に開示する化合物を選択した。
【0037】
L−ドーパはPDの処置に用いられる典型的なドーパミン作動性化合物である。L−ドーパは、齧歯類脳における中枢セロトニンの放出量、ターンオーバー、および代謝産物濃度を増加させることが示されている。ペルゴリドのような直接作用性ドーパミン受容体アゴニストは、そのドーパミン受容体アゴニスト特性に加えて、セロトニン2A(5−HT2A)および2C(5−HT2C)受容体での強力なアゴニスト活性も持っていることは、様々なインビトロ薬理アッセイによって証明されるとおりである。
【0038】
ある実施形態では、ドーパミン療法に起因する多くの副作用を処置するために、本明細書に開示する化合物を使用することができる。たとえば、ここに開示する化合物は、L−ドーパなどの他の治療剤の副作用として惹起または増悪されるジスキネジアまたは精神病の処置にも有用である。ある実施形態では、本化合物は、L−ドーパ処置に関連するジスキネジアまたは精神病の処置に、好ましく使用される。
【0039】
本化合物は、既存のジスキネジアもしくは精神病を処置するために使用することができ、あるいはたとえばL−ドーパ療法を開始する必要があると考えられ、ジスキネジアもしくは精神病が発症する恐れがある場合などに、予防的に使用することができる。
【0040】
本化合物は、ジスキネジアまたは精神病を処置するために単剤療法として使用するか、ある医薬によって惹起されるジスキネジア副作用または精神病副作用を予防または処置するためにその医薬に対する補助薬として使用するか、あるいはやはりジスキネジアを軽減する他の化合物と組み合わせて投与することができる。
【0041】
一部の実施形態では、本明細書に記載の化合物を、それを必要とする患者に投与するための組成物に製剤化することができる。適切な組成物は、その組成物のあるべき使用法に応じて、いくつかの異なる形態をとりうる。たとえば、本組成物は、散剤、錠剤、カプセル剤、液剤、軟膏、クリーム剤、ゲル剤、ヒドロゲル剤、エアロゾルスプレー、ミセル、リポソームまたは医薬的に許容できる他の任意の形態をとりうる。ここに開示する本発明化合物と共に使用される適切な賦形剤が、その組成物の受容者にとって高い認容性を持つものであるべきであることは、当業者にはすぐに理解されるだろう。賦形剤は、適切な標的受容体への本化合物の送達を、たやすく可能にするべきでもある。たとえば、そのような製剤に関する指針について、Anselら「Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems」(Lippincott Williams & Wilkins Publishers,第7版,1999)または類似の教科書を調べることは、当業者には知られているだろう。
【0042】
本発明の組成物はいくつかの方法で使用することができる。たとえば全身投与が必要な場合がある。その場合は、ここに開示する化合物を、錠剤、カプセル剤または液剤の形で経口摂取することができる組成物に製剤化することができる。もう一つの選択肢として、本組成物を血流への注射によって投与することもできる。注射は、静脈内注射(ボーラスもしくは注入)または皮下注射(ボーラスもしくは注入)であることができる。ここに開示する化合物は、脳内送達、脳室内送達または髄腔内送達により、中枢に投与することもできる。
【0043】
本化合物は時間遅延放出装置を一緒に使用してもよい。そのような装置をたとえば皮膚下に挿入し、何週または何ヶ月にもわたって化合物を放出させることができる。そのような装置は、長期ジスキネジアを持つ患者(たとえばPDを処置するために継続的L−ドーパ療法を受けている患者など)には特に有用である。通常であれば頻繁な投与(たとえば頻繁な注射)が必要になるであろう化合物を使用する場合には、これらの装置が特に有利になりうる。
【0044】
ある化合物の必要量が生物学的活性および生物学的利用能によって決まり、そしてその生物学的活性および生物学的利用能は、投与様式、使用する化合物の物理化学的特性、その化合物が単剤療法として使用されているか併用療法として使用されているかに依存することは、容易に理解されるだろう。投与頻度も、上記の要因の影響、そして特に、処置対象内でのその化合物の半減期の影響を受けるだろう。
【0045】
組成物の具体的処方および厳密な治療計画(化合物の1日量および投与頻度など)を既知の手法で決定できることは、当業者には理解されるだろう。医薬産業界で従来から使用されてきたそのような手法には、インビボ実験および臨床試験が含まれる。
【0046】
一般に、本明細書に開示する方法では、1日量として0.01μg/kg体重〜1.0g/kg体重のセロトニン2A/2C受容体インバースアゴニストを使用することができる。ある実施形態では、1日量が0.01mg/kg体重〜100mg/kg体重、またはここに開示した範囲内の任意のミリグラム量もしくは半ミリグラム量(たとえば1.5、2、2.5など)である。
【0047】
1日量は、単回投与(たとえば経口消費用の1日量錠剤または1日1回の注射など)として投与することができる。あるいは、使用する化合物は、個々の患者に関連する薬物動態に依存して、1日に2回以上の投与を必要する場合もある。もう一つの選択肢として、投与を繰り返さなくても患者に最適な用量を与えることができるように、徐放装置を使用してもよい。
【0048】
(生化学的証拠)
PDにおける薬理学的介入の基礎は、今なお、L−ドーパに基づく治療法である。L−ドーパは血液脳関門を容易に横切り、ニューロンによって取り込まれ、ドーパミン作動性ニューロン中のL−芳香族酸デカルボキシラーゼ(LAAD)活性により、ドーパミンへの迅速な酵素変換を受ける。これらのニューロンからのドーパミンの利用可能性と放出量の増加は、明らかに、ドーパミン作動性伝達の増加と、PDに見られる低ドーパミン状態の運動作用を逆転させる臨床効力の増加につながる。しかし、L−ドーパはドーパミン作動系に対する特異性を欠き、LAADは脳内で広く発現される。ラット脳における初期の生化学的観察では、L−ドーパが中枢セロトニンストアをかなり減少させ、主要セロトニン代謝産物5−ヒドロキシンドール酢酸(5−HIAA)の濃度を増加させることがわかった(1)。組織化学的アプローチにより、L−ドーパはセロトニン作動性ニューロン内に蓄積することが実証されている。また、神経伝達物質放出実験により、L−ドーパはドーパミンの放出量とセロトニンの放出量をどちらも著しく増加させること、セロトニンの放出がLAAD活性に依存すること、そしてそれはドーパミン作動性ニューロンの選択的破壊によって排除されないことが実証されている(2,3)。これらの知見から、PD患者へのL−ドーパの投与は中枢セロトニンの放出量の著しい増加をもたらして、セロトニン作動性神経伝達を増強することが示唆される。最後に、精神病を発症したPD患者の死後生化学解析では、神経精神障害を発症しなかった対応群と比較して、精神病を持つ患者では、複数の皮質構造および皮質下構造、とりわけ赤核を含む種々の中脳核に、セロトニンレベルおよび5−HIAAレベルの有意な上昇があったことがわかった(4)。
【0049】
セロトニン、すなわち5−ヒドロキシトリプタミン(5−HT)は、哺乳類の身体機能に重要な役割を果たしている。中枢神経系では、5−HTは、睡眠、摂食、移動運動、痛みの知覚、学習および記憶、性行動、体温および血圧の調節などの多様な行動および応答に関係づけられる重要な神経伝達物質および神経調節物質である。脊柱では、セロトニンは、求心性末梢侵害受容器の制御系に重要な役割を果たしている(Moulignier,Rev. Neurol. 150:3−15(1994))。心血管系、血液系および胃腸系における末梢機能も5−HTによるものと考えられている。5−HTは、血管平滑筋および非血管平滑筋の収縮ならびに血小板凝集を含む様々な収縮、分泌、および電気生理学的作用を媒介することがわかっている(Fuller,Biology of Serotonergic Transmission,1982、Botillin,Serotonin In Mental Abnormalities 1:316(1978)、Barchasら「Serotonin and Behavior」(1973))。5−HT2A受容体サブタイプ(サブクラスともいう)は、高次認知機能および情動機能の調整に関与すると推測される多くの皮質領域、辺縁領域、および前脳領域を含むヒト脳に広く、ただし離散して発現している。この受容体サブタイプは成熟した血小板でも発現し、そこでは、一つには、血管血栓形成過程の初期ステップの一つである血小板凝集を媒介している。
【0050】
体内にセロトニンが広く分布していることを考えると、セロトニン作動系に影響を及ぼす薬物に強い関心が寄せられていることは理解できる(Gershonら「The Peripheral Actions of 5−Hydroxytryptamine」246(1989)、Saxenaら,J. Cardiovascular Pharmacol. 15:Supp.7(1990))。セロトニン受容体は、細胞間コミュニケーションの変換器として機能する膜貫通タンパク質の大きなヒト遺伝子ファミリーのメンバーである。セロトニン受容体は、ニューロンおよび血小板を含む様々な細胞タイプの表面に存在し、そこでは、その内因性リガンドセロトニンまたは外部から投与された薬物によって活性化されると、そのコンフォメーション構造を変化させ、次いで細胞シグナル伝達の下流媒介物質と相互作用する。5−HT2Aサブクラスを含めて、これらの受容体の多くはGタンパク質共役受容体(GPCR)であり、これはグアニンヌクレオチド結合タンパク質(Gタンパク質)を活性化し、その結果として、サイクリックAMP、イノシトールリン酸、およびジアシルグリセロールなどの第二メッセンジャー分子を生成または阻害することにより、シグナルを伝達する。次に、これらの第二メッセンジャーは、キナーゼおよびイオンチャネルを含む様々な細胞内酵素の機能を調整し、それが最終的には細胞の興奮性および機能に影響を及ぼす。
【0051】
少なくとも15の遺伝子的に異なる5−HT受容体サブタイプが同定され、7つのファミリー(5−HT1〜7)の一つに割り当てられている。各サブタイプはユニークな分布、様々なリガンドに対する選択性、および機能相関を示す。セロトニンは、様々なタイプの病理学的状態、たとえば一定の精神障害(うつ病、攻撃性、パニック発作、強迫性障害、精神病、統合失調症、自殺傾向)、一定の神経変性障害(アルツハイマー型痴呆、パーキンソニズム、ハンチントン舞踏病)、食欲不振、過食症、アルコール依存症に関連する障害、脳血管発作、および片頭痛などにおいて、重要な成分でありうる(Meltzer,Neuropsychopharmacology,21:106S−115S(1999)、BarnesおよびSharp,Neuropharmacology,38:1083−1152(1999)、Glennon,Neurosci. Biobehavioral Rev.,14:35(1990))。最近得られた証拠により、5−HT2受容体サブタイプは、高血圧、血栓症、偏頭痛、血管痙攣、虚血、うつ病、不安、精神病、統合失調症、睡眠障害、および食欲障害などの医学的状態の病因に、強く関係づけられている。
【0052】
統合失調症は、人口の約1%を冒すとりわけ破壊的な精神神経障害である。この疾患に冒された個々人の診断、処置および社会生産性の喪失に対する財政コストの総額は、米国の国民総生産(GNP)の2%を超えると見積もられている。最新の処置は、主として、抗精神病薬と呼ばれる薬物クラスによる薬物療法を伴う。抗精神病薬は陽性症状(たとえば幻覚および妄想)の改善には有効であるが、陰性症状(たとえば社会的および感情的引きこもり、無感情、ならびに会話の貧困)は改善しないことが多い。
【0053】
現在、精神症状の処置には、9つの主要抗精神病薬クラスが処方されている。しかし、これらの化合物の使用は、その副作用プロファイルによって制限される。「定型」化合物または旧世代化合物は、そのほぼ全てが、ヒト運動機能に対して重大な有害作用を持っている。これらの「錐体外路」副作用(これは調節性ヒト運動系に対するそれらの作用ゆえにそう呼ばれる)は、急性の場合(たとえばジストニア反応、生命を脅かす可能性があるがまれな神経遮断薬悪性症候群)も、慢性の場合(たとえば静坐不能、振戦、および遅発性ジスキネジア)もある。したがって薬物開発の努力は、これらの有害作用を持たない、新しい「非定型」薬剤に集中して注がれてきた。
【0054】
抗精神病薬は、ドーパミン作動性受容体、セロトニン作動性受容体、アドレナリン作動性受容体、ムスカリン性受容体、およびヒスタミン作動性受容体を含む多数の中枢モノアミン作動性神経伝達物質受容体と相互作用することが示されている。これらの薬物の治療作用と有害作用は、相異なる受容体サブタイプによって媒介されるようである。これらの受容体サブタイプ間の遺伝的相同性および薬理学的相同性が高いことは、サブタイプ選択的化合物の開発ならびに特定受容体サブタイプの正常な生理学的役割または病態生理学的役割の決定を妨げてきた。したがって、モノアミン作動性神経伝達物質受容体の中で個々の受容体クラスおよびサブクラスに対して選択的な薬物を開発する必要がある。
【0055】
抗精神病薬の作用機序に関する有力な理論には、ドーパミンD2受容体のアンタゴニズムが含まれる。残念なことに、ドーパミンD2受容体のアンタゴニズムは錐体外路副作用も媒介するようである。5−HT2Aのアンタゴニズムは、おそらくはセロトニン作動系による増大したまたは過大なシグナル伝達のアンタゴニズムによる抗精神病効力を持つ薬物の、もう一つの分子機序である。したがって5−HT2Aアンタゴニストは、錐体外路副作用を伴わずに精神病を処置するための、よい候補である。
【0056】
伝統的には、これらの受容体は、アゴニスト(受容体を活性化する薬物)の結合によって活性化されない限り、静止状態で存在すると考えられてきた。現在では、GPCRモノアミン受容体の(大半ではないとしても)多くが、その内因性アゴニストの不在下でも、部分的に活性化された状態で存在できると理解されている。この増加した基礎活性(構成的活性)は、インバースアゴニストと呼ばれる化合物によって阻害することができる。アゴニストとインバースアゴニストはどちらも、単独でこれらの分子をそれぞれ活性化または不活化することができるという点で、受容体における固有の活性を持っている。対照的に、古典的アンタゴニスト、すなわちニュートラルアンタゴニストは、受容体へのアクセスに関して、アゴニストおよびインバースアゴニストと競合するが、上昇した基礎受容体応答または構成的受容体応答を阻害する固有の能力は持っていない。
【0057】
我々は、5−HT2サブクラスのセロトニン受容体の研究に、受容体選択増幅技術(Receptor Selection and Amplification Technology)(米国特許第5,707,798号(1998)、Chem. Abstr. 128:111548(1998)およびそこに記載されている引例)を応用することにより、5−HT2A受容体機能の重要な一面を解明した。R−SATは、哺乳類線維芽細胞における受容体の異種発現を伴う受容体機能の表現型アッセイである。この技術を使用することにより、我々は、天然5−HT2A受容体がかなりの構成的受容体活性、すなわちアゴニスト非依存的受容体活性を持つことを実証することができた(米国特許出願第60/103,317号)。さらに、神経精神疾患に既知の臨床活性を持つ多数の中枢作用性医薬化合物を直接試験することにより、我々は、抗精神病効力を持つ化合物がいずれも共通する分子特性を持つことを確認した。精神科医が精神病の処置に使用するこれらの化合物は、そのほぼ全てが、強力な5−HT2Aインバースアゴニストであることがわかった。単一の受容体サブタイプにおけるこのユニークな臨床薬理学的相関は、5−HT2A受容体インバースアゴニズムがヒトにおける抗精神病効力の分子機序であることを示す説得力のある証拠である。
【0058】
多数の抗精神病化合物の詳細な薬理学的特性解析により、それらは複数の関連受容体サブタイプで広い活性を持つことが明らかになった。これらの化合物の大半は、セロトニン作動性受容体、ドーパミン作動性受容体、アドレナリン作動性受容体、ムスカリン性受容体およびヒスタミン作動性受容体を含む複数のモノアミン作動性受容体サブタイプでアゴニスト活性、競合的アンタゴニスト活性、またはインバースアゴニスト活性を示す。この広い活性は、おそらく、これらの化合物の鎮静副作用、降圧副作用、および運動副作用の原因だろう。したがって、5−HT2A受容体の選択的インバースアゴニストであるが他のモノアミン受容体サブタイプ、特にドーパミンD2受容体に対する活性はほとんどまたは全く持っていない化合物を開発することは、極めて有益だろう。そのような化合物はヒト疾患の処置に(たとえば抗精神病薬として)役立ち、非選択的受容体相互作用に関連する有害副作用を回避しうる。
【0059】
式(I)の化合物はモノアミン受容体、特にセロトニン受容体において活性である。ある実施形態では、本化合物は5−HT2A受容体においてインバースアゴニストとして作用する。たとえば、前記受容体のヒト表現型を一過性に発現させる細胞で実験を行うことにより、式(I)の化合物は、受容体に作用する他のリガンドの不在下で、そのような受容体のシグナル伝達を減弱することが示されている。このように本化合物は、この受容体において固有の活性を持つことが見いだされており、5−HT2A受容体が示す基礎的な、アゴニスト刺激によらない、構成的シグナル伝達応答を減弱することができる。式(I)の化合物がインバースアゴニストであるという知見は、この化合物が、内因性アゴニストまたは外因性合成アゴニストリガンドによって媒介される5−HT2A受容体の活性化をアンタゴナイズする能力を持つことも示す。
【0060】
ある実施形態では、式(I)の化合物は、5−HT2Aサブタイプのセロトニン受容体に対して、セロトニン(5−HT)受容体ファミリーの他のサブタイプならびに他の受容体、特にドーパミン受容体などのモノアミン作動性Gタンパク質共役受容体と比較して、相対的に高度な選択性を示す。
【0061】
したがって、式(I)の化合物は、特に5−HT2A受容体の機能障害(とりわけ活性レベルの上昇)に関連する疾患状態の症状を、その機能障害が不適正なレベルの受容体刺激に関連するものか、表現型の異常によるものかにかかわらず、処置または緩和するのに役立ちうる。
【0062】
一定の神経精神疾患はモノアミン受容体の構成的活性レベルの変化によって惹起されるのかもしれないという仮説は、他の研究者によって以前から設けられていた。そのような構成的活性は、適当な受容体を合成インバースアゴニストと接触させることにより、修正することができるかもしれない。神経精神疾患において既知の臨床活性を持つ数多くの中枢作用性医薬化合物を直接試験することにより、我々は、抗精神病効力を持つ化合物がいずれも共通する分子特性を持つことを確認した。精神科医が精神病の処置に使用するこれらの化合物は、そのほぼ全てが、強力な5−HT2Aインバースアゴニストであることがわかった。この相関は、5−HT2A受容体インバースアゴニズムがヒトにおける抗精神病効力の分子機序であることを示す説得力のある証拠である。
【0063】
我々の研究室で行われた多数の抗精神病化合物の詳細な薬理学的特性解析により、それらは複数の関連受容体サブタイプで広い活性を持つことが明らかになった。これらの化合物の大半は、セロトニン作動性受容体、ドーパミン作動性受容体、アドレナリン作動性受容体、ムスカリン性受容体およびヒスタミン作動性受容体を含む複数のモノアミン作動性受容体サブタイプでアゴニスト活性、競合的アンタゴニスト活性、またはインバースアゴニスト活性のいずれかを示す。この広い活性は、おそらく、これらの化合物の鎮静副作用、降圧副作用、および運動副作用の原因だろう。ある実施形態では、式(I)の化合物は、たとえば新規抗精神病薬などとしての効力を持つが、重篤な副作用は既存の化合物よりも少ないか弱いだろう。
【0064】
ある実施形態では、モノアミン受容体の活性を阻害するための方法を提供する。この方法は、モノアミン受容体またはモノアミン受容体を含有する系を、有効量の式(1)の化合物と接触させることを含む。ある実施形態によれば、モノアミン受容体はセロトニン受容体である。ある実施形態では、前記化合物は5−HT2A受容体サブクラスに選択的である。もう一つの実施形態では、前記化合物は、他のタイプの受容体(他のセロトニン作動性受容体、そして特に、ドーパミン作動性受容体などのモノアミン作動性Gタンパク質共役受容体を含む)に対して、ほとんどまたは実質上全く活性を持たない。
【0065】
モノアミン受容体を含有する系は、たとえば、哺乳動物、非ヒト霊長類またはヒトなどの対象であることができる。受容体は中枢神経系、末梢神経系、血液細胞または血小板中に存在しうる。
【0066】
上記の系は、モノアミン受容体を発現させる細胞培養モデル系、モノアミン受容体を含有するその無細胞抽出物、または精製受容体などのインビボ実験モデルまたはインビトロ実験モデルであってもよい。そのような系の例として、当該受容体を発現させる組織培養細胞またはその抽出物もしくは溶解液があげられるが、これらに限るわけではない。本方法で使用することのできる細胞には、モノアミン受容体(特に5−HT2A受容体)を介したシグナル伝達を、この受容体の内因的発現(たとえば一定のタイプのニューロン細胞株は元々5−HT2A受容体を発現させる)によって媒介する能力を持つか、または当該受容体遺伝子を含有するプラスミドによる細胞のトランスフェクション後に媒介する能力を持つ、任意の細胞が含まれる。そのような細胞は、典型的には、哺乳類細胞(または他の真核細胞、たとえば昆虫細胞もしくはアフリカツメガエル卵母細胞)である。なぜなら下等生物の細胞はこの目的に適したシグナル伝達系路を一般に持たないからである。好適な細胞の例には、トランスフェクトされた5−HT2A受容体に応答して成長を刺激するマウス線維芽細胞株NIH3T3(ATCC CRL1658)、RAT1細胞(Paceら,Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:7031−35(1991))、および下垂体細胞(Vallarら,Nature 330:556−58(1987))などがある。本方法に役立つ他の哺乳類細胞には、HEK293細胞、CHO細胞、およびCOS細胞などがある。
【0067】
ある実施形態は、天然型、突然変異型または修飾型モノアミン受容体の活性を阻害する方法を提供する。それを実施するためのキットも提供する。ある実施形態では、受容体の活性がシグナル伝達活性である。もう一つの実施形態では、受容体の活性が、その受容体の構成的基礎活性である。
【0068】
ある実施形態では、受容体の活性が、内因性アゴニスト(たとえば5−HT)または外因性アゴニスト剤(薬物もしくは他の合成リガンド)に対する、シグナル伝達応答などの応答である。式(I)の化合物は、受容体をインバースアゴナイズまたはアンタゴナイズすることによって作用しうる。
【0069】
ある実施形態では、式(I)の化合物が、5−HT2A受容体に選択的なインバースアゴニストであり、その化合物は他のセロトニン作動性受容体または他のモノアミン作動性受容体(たとえばドーパミン作動性受容体)に対してほとんどまたは実質上全く活性を持たない。
【0070】
さらなる実施形態では、モノアミン受容体の活性化を阻害する方法であって、前記モノアミン受容体または前記モノアミン受容体を含有する系を、式(I)の化合物と接触させることを含む方法を提供する。受容体の活性化は、外因性または内因性アゴニスト剤によるものであってもよいし、天然型、突然変異型または修飾型受容体に関連する構成的活性化であってもよい。受容体は精製されていても、インビトロ系またはインビボ系に存在していてもよい。受容体は、非ヒト対象またはヒト対象の中枢神経系、末梢神経系、血液細胞または血小板中に存在していてもよい。これを実施するためのキットも提供する。
【0071】
ある実施形態では、式(I)の化合物が5−HTクラスセロトニン受容体、たとえば5−HT2Aサブクラスのセロトニン受容体に選択的である。もう一つの実施形態では、前記化合物が、抗ドーパミン作動活性をほとんどまたは実質上全く持たない。
【0072】
ある実施形態は、モノアミン受容体に関連する疾患状態を処置する方法であって、そのような処置を必要とする哺乳動物に、式(1)の化合物を治療有効量投与することを含む方法を提供する。ある実施形態は、天然型ならびに突然変異型または他の修飾型の中枢セロトニン受容体(特に5−HTクラスのそのような受容体)の不適正な機能または刺激に関連する疾患状態を処置または緩和する方法であって、そのような処置を必要とするホストに、式(I)の選択的インバースアゴニストを有効量投与することを含む方法を提供する。それを実施するためのキットも提供する。
【0073】
ある実施形態では、受容体が5−HT2Aサブクラスである。ある実施形態では、疾患状態が、セロトニン受容体の機能障害に関連する。もう一つの実施形態では、疾患状態が、セロトニン受容体の活性化、たとえば不適切に上昇した活性化または構成的活性化、上昇したセロトニン作動性緊張、ならびにそのような病変によって損なわれた二次細胞機能に関連する疾患状態に関連する。
【0074】
式(I)の化合物を使った上述の処置が役立つ疾患の例には、統合失調症および関連する特発性精神病、不安、睡眠障害、食欲障害、情動障害(大うつ病、双極性障害および精神病的特徴を伴ううつ病など)、およびトゥーレット症候群、薬物性精神病、神経変性障害に続発する精神病(アルツハイマー病またはハンチントン病など)などの神経精神疾患が含まれるが、これらに限るわけではない。式(I)の化合物、特にドーパミン作動性受容体に対してほとんどまたは全く活性を示さない5−HT2Aの選択的インバースアゴニストは、統合失調症の処置にとりわけ役立ちうる。式(I)の化合物を使った処置は、片頭痛、血管痙攣、高血圧、種々の血栓症状態、たとえば心筋梗塞、血栓性または虚血性脳卒中、特発性および血栓性血小板減少性紫斑病、ならびに末梢血管疾患の処置にも役立ちうる。
【0075】
さらなる実施形態では、本発明は、天然型ならびに突然変異型または他の修飾型の中枢または末梢モノアミン受容体の不適正な機能または刺激に関連する疾患状態を処置または緩和する方法であって、そのような処置を必要とするホストに、式(I)の化合物を有効量投与することを含む方法を提供する。ある実施形態では、モノアミン受容体が末梢神経系、血液または血小板中のセロトニン受容体である。一部の実施形態では、セロトニン受容体が5−HT2Aサブクラス受容体である。さらなる実施形態では、疾患状態がセロトニン受容体の増加した活性または活性化に関連する。それを実施するためのキットも提供する。
【0076】
一部の実施形態は、予後(予測)を目的として薬理ゲノミクスを使用する予測医学の分野にも関連する。薬理ゲノミクスは、患者における薬物素因および異常作用に起因する、薬物に対する応答の、臨床的に意味のある遺伝的変動を取り扱う。たとえばEichelbaum,Clin Exp Pharmacol. Physiol. 23:983−985(1996)、およびLinder,Clin. Chem. 43:254−66(1997)を参照されたい。一般に、薬物が身体に作用する方法を変化させる単一因子として遺伝する遺伝学的状態(薬物作用の変化)と、身体が薬物に作用する方法を変化させる単一因子として遺伝する遺伝学的状態(薬物代謝の変化)という、2つのタイプの薬理遺伝学的状態を区別することができる。これらの薬理遺伝学的状態は天然の多型として存在しうる。
【0077】
薬物応答を予言する遺伝子を同定するための薬理ゲノミクス的アプローチの一つ(「ゲノムワイド関連」と呼ばれる)は、主として、既知の遺伝子関連マーカー(たとえば、ヒトゲノム上の60,000〜100,000個の多型部位または可変部位からなり、そのそれぞれが2つの変異体を持つ「2対立遺伝子(bi−allelic)」遺伝子マーカーマップ)からなるヒトゲノムの高分解能マップに依拠する。そのような高分解能遺伝子マップは、観察された特定の薬物応答または副作用に関連するマーカーを同定するために、第II/III相治験に参加している統計的に有意な数の患者のそれぞれのゲノムのマップと比較することができる。もう一つの選択肢として、そのような高分解能マップは、ヒトゲノム中にある数千万個の既知一塩基多型(SNP)の組合せから作成することもできる。ここにいう「SNP」は、一続きのDNA内の単一ヌクレオチド塩基中に出現する一般的な変異である。たとえばSNPは、DNA1,000塩基につき1つの割合で生じうる。SNPは疾患過程に関与しうるが、その大半は疾患関連性を持たないだろう。そのようなSNPの出現に基づく遺伝子マップがあれば、個々のゲノムに見られるSNPの特定のパターンに応じて、個体を遺伝的カテゴリーにグループ分けすることができる。そのようにして、遺伝的に類似する個体のグループに、そのような遺伝的に類似する個体間に共通しうる形質を考慮して、処置計画を適応させることができる。
【0078】
もう一つの選択肢として、薬物応答を予言する遺伝子を同定するために、「候補遺伝子アプローチ」と呼ばれる方法を利用することもできる。この方法によれば、薬物の標的をコードする遺伝子が分かっている場合には(たとえば本発明のタンパク質または受容体)、その遺伝子の一般的な変異体はいずれも、集団中にかなり容易に同定することができ、ある型に対して別の型の遺伝子を持っていることが特定薬物応答と関連するかどうかを決定することができる。
【0079】
もう一つの選択肢として、薬物応答を予言する遺伝子を同定するために、「遺伝子発現プロファイリング」と呼ばれる方法を利用することもできる。たとえば、薬物(たとえば本発明の分子または調節物質)を投与した動物の遺伝子発現は、毒性に関係する遺伝子パスウェイが作動していないかどうかの指標になりうる。
【0080】
ある個体の予防的処置または治療的処置に適した投与量および処置計画を決定するために、2以上の上記薬理ゲノミクス的アプローチから得られる情報を使用することができる。この知識を投薬または薬物選択に応用すれば、有害反応または治療の失敗を回避し、よって、本発明の分子または調節物質(たとえば本明細書に記載する代表的スクリーニングアッセイの1つによって同定される調節物質)で対象を処置する際の治療効率または予防効率を高めることができる。先に述べたように、このアプローチは、新規候補受容体またはインビトロおよびインビボでのさらなる薬理学的特性解析に適した他の遺伝子を同定するためにも使用することができる。
【0081】
したがって、ある実施形態は、式(I)の化合物に応答する素因を対象に与える遺伝子多型を同定するための方法およびキットを提供する。この方法は、ある対象に化合物を有効量投与すること、モノアミン受容体に関連する疾患状態が改善している応答性対象を同定すること、そしてその応答性対象における遺伝子多型を同定することを含み、その遺伝子多型は前記化合物に応答する素因を対象に与える。この方法は、どの個体が当該化合物の治療作用に応答するかを予測するためにも、有害副作用応答を起こしそうな個体を予測するためにも、役立ちうると予想される。このアプローチは、たとえば、構成的活性化をもたらす(それゆえにインバースアゴニスト療法に馴染みやすい)セロトニン受容体中の多型などの同定に役立ちうる。また、この方法は、毒性副産物が体内で生成されることになるような薬物代謝の変化をもたらす多型の同定にも役立ちうる。そのような機序は、非定型精神病薬クロザピンの、まれではあるが生命を脅かす可能性がある副作用に関係づけられている。
【0082】
関連する一実施形態では、式(I)の化合物による処置に適した対象を同定する方法を提供する。この方法では、当該化合物に応答する素因を対象に与える多型の存在が検出され、多型の存在は、その対象が処置に適していることを示す。それを実施するためのキットも提供する。
【0083】
式(I)の化合物は、好ましくは、5−HT2A受容体に対する選択的インバースアゴニスト活性を示す。そのような活性は、この受容体の構成的シグナル伝達活性を減弱または破壊するリガンドの能力によって定義される。この文脈において、選択性とは、5−HT2A受容体を効果的にインバースアゴナイズし、それによってその活性を低下させる量の化合物が、他の関連受容体または無関連受容体ではインバースアゴニスト活性またはアンタゴニスト活性をほとんどまたは全く惹起しないという、本発明化合物の特性であると解釈される。特に、式(I)の化合物は、驚いたことに、5−HT2A受容体のシグナル伝達が強くまたは完全に阻害される濃度で、他のセロトニン受容体(5−HT 1A、1B、1D、1E、1F、2B、2C、4A、6、および7)と強くは相互作用しないことがわかっている。ある実施形態では、当該化合物が、他のモノアミン結合受容体、たとえばドーパミン作動性受容体、ヒスタミン作動性受容体、アドレナリン作動性受容体およびムスカリン性受容体などについても選択的である。
【0084】
本発明のある実施形態は、モノアミン受容体活性(特に5−HT2Aセロトニン作動性受容体活性)の修飾が有益な作用を持つような疾患状態を緩和または処置する方法であって、そのような処置を必要とする対象に、式(I)の化合物を治療有効量投与することによる方法に関する。そのような疾患または状態は、たとえばセロトニン作動性受容体の不適切な刺激または活性化などに起因しうる。ある特定セロトニン受容体サブタイプ(特に5−HT2A)に選択的な化合物を使用することにより、既知の抗精神病薬で観察される有害副作用の問題(錐体外路作用など)を実質上回避しうると予想される。
【0085】
本明細書で使用する「治療有効量」という用語は、研究者、獣医師、医師または他の臨床家が求めている組織、系、動物またはヒト中の生物学的または医学的応答(処置対象疾患の症状の緩和、改善、または減少を含む)を引き出すか、または疾患の進行もしくは症状の増加を防止もしくは減速する、活性化合物または医薬剤の量を意味する。
【0086】
一実施形態として、式(I)の化合物は単回1日量で投与するか、または総1日量を分割した用量で、たとえば1日に2回、3回または4回投与することができる。さらに、式(I)の化合物は、鼻腔内剤形で適切な鼻腔内賦形剤の局所使用によって、または当業者に周知の経皮皮膚貼付剤の剤形を使って経皮経路によって、または植込み型ポンプによって、または他の任意の適切な投与手段によって、投与することができる。たとえば経皮送達系の形で投与する場合、その投薬は、もちろん、その投与計画の全体にわたって断続的ではなく連続的になる。
【0087】
式(I)の化合物を利用する投与計画は、患者のタイプ、種、年齢、体重、性別および医学的状態、処置すべき状態の重症度、投与経路、患者の腎機能および肝機能、ならびに使用する特定の化合物を含む様々な要因にしたがって選択される。通常の技量を持つ医師または獣医師であれば、処置されている疾患または障害の進行を防止、阻止または停止するのに必要な薬物の有効量を容易に決定し、処方することができる。
【0088】
経口投与の場合、式(I)の化合物を含有する組成物は、処置すべき患者への投与量を症状に合わせて調節するために、好ましくは、0.01、0.05、0.1、0.5、1.0、2.5、5.0、10.0、15.0、25.0または50.0mgの活性成分を含有する錠剤の形態で提供される。ある実施形態では、1回量が約0.001mg〜約50mgの活性成分を含有する。もう一つの実施形態では、1回量が約1mg〜約10mgの活性成分を含有する。
【0089】
式(I)の化合物は、潜在的毒性または他の望ましくない作用を最小限に抑えつつ、モノアミン作動性受容体、特に5−HT2Aセロトニン作動性受容体サブタイプに対して最適な薬理学的作用が達成されるように日常的な試験によって定められる適切な投与量で、単独使用することできる。また、本化合物の作用を改善する他の薬剤の同時投与または逐次的投与が望ましい場合もありうる。
【0090】
ある実施形態では、式(I)の化合物を追加治療剤と組み合わせることができる。追加治療剤としては、たとえば以下の治療剤をあげることができる:レボドパ(SINEMET(商標)、SINEMET−CR(商標))、ブロモクリプチン(PARLODEL(商標))、ペルゴリド(PERMAX(商標))、硫酸エフェドリン(EPHEDRINE(商標))、ペモリン(CYLERT(商標))、マチンドール(SANOREX(商標))、d,1−α−メチルフェネチルアミン(ADDERALL(商標))、メチルフェニデート(RITALIN(商標))、プラミペキソール(MIRAPEX(商標))、モダフィニル(PROVIGIL(商標))、ロピニロール(REQUIP(商標))、抗ジスキネジア剤、抗ジストニア剤、抗ミオクローヌス剤、抗振戦剤、または抗精神病剤。一部の実施形態では、抗ジスキネジア剤が、バクロフェン(Lioresal(商標))、ボツリヌス毒素(Botox(商標))、クロナゼパム(Klonopin(商標))、またはジアゼパム(Valium(商標))から選択される。一部の実施形態では、抗ジストニア剤、抗ミオクローヌス剤、または抗振戦剤が、バクロフェン(LIORESAL(商標))、ボツリヌス毒素(BOTOX(商標))、クロナゼパム(KLONOPIN(商標))、またはジアゼパム(VALIUM(商標))から選択される。一部の実施形態では、抗精神病剤が、クロルプロマジン(THORAZINE(商標))、ハロペリドール(HALDOL(商標))、モリンドン(MOBAN(商標))、チオリダジン(MELLARIL(商標))、フェノチアジン類、ブチロフェノン類、ジフェニルブチルピペリジン(ピモジド)、チオキサンチン類(フルフェンチキソール)、置換ベンズアミド類(スルピリド)、セルチンドール、アミスルプリド、リスペリドン、クロザピン、オランザピン、ジプラシドン、アリピプラゾール、またはそれらの活性代謝産物(N−デスメチルクロザピン、N−デスメチルオランザピン、9−OH−リスペリドン)から選択される。
【0091】
特定のセロトニン作動性受容体サブタイプに対する式(I)の化合物の薬理学的特性および選択性は、組換え受容体タイプ(入手可能であるなら、好ましくは、ヒト受容体のもの)を用いるいくつかの異なるアッセイ方法、たとえば従来の第二メッセンジャーアッセイまたは結合アッセイなどによって、実証することができる。とりわけ便利な機能アッセイ系は、受容体DNA(たとえば種々のセロトニン作動性サブタイプをコードするもの)をトランスフェクトした細胞がその受容体のリガンドの存在下で増幅できることを利用して生体活性化合物のスクリーニングを行う方法を記載した米国特許第5,707,798号に開示されている受容体選択増幅アッセイである。細胞増殖は、やはりその細胞によって発現されるマーカーレベルの増加として検出される。
【0092】
(神経精神障害の処置)
ある実施形態では、統合失調症、分裂情動障害、躁病および精神病性うつ病を含む様々なヒト神経精神疾患を処置するために、式(I)の化合物および関連セロトニン2Aおよび/または2C受容体インバースアゴニストを単独で使用するか、または他の抗精神病薬(特にドーパミンアンタゴニスト特性を持つもの)と組み合わせて使用する。具体的に述べると、単独で使用するか、他の抗精神病薬と組み合わせて使用した場合、式(I)の化合物および関連セロトニン2A/2C受容体インバースアゴニストは、精神症状(外部の力によって制御されている感覚、そこには無いものを聞いたり、見たり、匂ったり、感じたりすること、幻覚および異常な信念、妄想)、陰性症状(疲労、集中力の喪失ならびに活力および動機づけの欠如を含む正常な行動の喪失)、精神病患者における認知機能を改善することができる。これらの薬剤は、既存の抗精神病薬の使用に関連する副作用も減少させ、抗精神病効力を達成するために必要な既存薬剤の用量を低下させる。具体的に述べると、これらの疾患状態の全てに存在する行動的発現および神経精神的発現を制御するために、式(I)の化合物および関連化合物を単独で、または既存の抗精神病薬と組み合わせて、使用することができる。一部の実施形態では、式(I)の化合物と既存の抗精神病剤との組合せから構成される医薬組成物を使用する。
【0093】
精神病に関連する神経精神障害は人口の大部分を冒す。精神病は、統合失調症、分裂情動状態、躁病、精神病性うつ病などを含む多様な障害で、優勢な症状として出現する。現在の処置選択肢には、抗精神病薬と呼ばれる薬物クラスによる薬物療法が含まれる。抗精神病薬はこれらの障害の陽性総体症状を効果的に改善するが、陰性症状および認知症状は改善しないことが多く、それらを悪化させる場合もある。抗精神病剤の使用には重大な処置制限副作用がよくみられる。
【0094】
抗精神病特性を持つ薬物は1950年代初頭から臨床使用されてきた。抗精神病薬は、精神症状を処置するために、その病因にかかわりなく、広く処方されている。しかしこれらの化合物の臨床使用はそれらの副作用プロファイルによって制限される。「定型」化合物または第1世代化合物は、そのほぼ全てが、ヒト運動機能に対して重大な有害作用を持っている。これらの「錐体外路」副作用(これはヒト運動系に対するそららの作用ゆえにそう呼ばれる)は、急性の場合も、慢性の場合もある。急性作用には、ジストニア反応や、生命を脅かす可能性があるがまれな症状布置、神経遮断薬悪性症候群が含まれる。慢性副作用には、静坐不能、振戦、および遅発性ジスキネジアが含まれる。身体障害をもたらすこれらの副作用が大きな理由の一つとなって、抗精神病薬の開発は、有害な運動作用を誘発する傾向が少ないと思われる、新しい「非定型(atypical)」薬剤(クロザピン、オランザピン、クエチアピン、リスペリダル(risperidal)、アラピプラゾール(arapiprazole))に集中してきた。しかし、これらの新しい薬物は、心血管異常の誘発、極端な鎮静、病的な肥満、II型糖尿病、血液疾患および膵炎をはじめとする別の制限的副作用を欠点として持っている。
【0095】
抗精神病薬作用を媒介する正確な分子機序はまだ解明されていないが、抗精神病薬は、ドーパミン作動性受容体、セロトニン作動性受容体、アドレナリン作動性受容体、ムスカリン性受容体、およびヒスタミン作動性受容体を含む多数の中枢モノアミン作動性神経伝達物質受容体と相互作用することが、インビトロ法とインビボ法の両方で示されている。これらの薬物の治療作用と有害作用は分離することができ、相異なる受容体サブタイプによって媒介されると思われる。
【0096】
現在、抗精神病薬は、ドーパミンD2受容体を遮断することによって、これらの障害における陽性症状を軽減すると考えられている。これは、これらの抗精神病薬がいずれも、インビトロでこの受容体に対して妥当な親和性を持ち、D2受容体を遮断するそれらの力価とこれらの障害の陽性症状を軽減するそれらの能力との間には相関関係が存在するという知見に基づいている。残念なことに、ドーパミンD2受容体のアンタゴニズムは、身体障害をもたらす錐体外路副作用も媒介すると思われる。
【0097】
これらの薬物が一つのクラスとして唯一、一貫して示す他の受容体相互作用は、5−HT2A受容体のインバースアゴニズムであり、このことから、これらの受容体のインバースアゴニズムは、抗精神病効力を付与する代替分子機序であることが示唆される。この理論は、セロトニン作動系、特に5−HT2A受容体に関するいくつかの基礎科学的知見および臨床的知見によって裏付けられる(US6,358,698i)。
【0098】
しかし、既知の抗精神病薬は、そのほぼ全てが、その作用機序に特異性を欠いている。ドーパミンD2受容体および5−HT2A受容体で活性を持つことに加えて、これらの薬物は一つのクラスとして、たとえば細胞表面受容体、イオンチャネルおよび再取り込み輸送体のホストなどの重要なニューロンタンパク質との間に、薬理学的に意味のある多数の相互作用を持っている。この薬物標的特異性の欠如は、おそらく、既存の抗精神病剤の使用に関連する多数の有害作用の一因だろう。
【0099】
これらの知見は、身体障害をもたらすこれら特定の症状に対して効力を示すだけでなく、これら特異的患者集団において認容性をも持つように特異的に設計された、新規治計画を開発する必要性を際だたせる。これは、新しい治療剤の薬物標的相互作用の選択性を改善することによって、達成することができる。具体的には、既存の薬剤に関連する既知の落とし穴を回避する新規な作用機序を持つ薬剤の開発が望まれる。また、選択性の改善により、非効力非標的受容体相互作用との相互作用に関連する既知の有害作用を回避することができる。たとえば多くの抗精神病薬は、H1受容体との高親和性相互作用を持っている。H1アンタゴニズムは鎮静に関連する。さらに、他の抗精神病薬は、α受容体との親和性相互作用を持っている。α−1受容体のアンタゴニズムは起立性低血圧に関連する。それぞれが選択的標的相互作用を持つ2以上の薬剤を相加的または相乗的利益が得られるように組み合わせることによって、治療効力および安全性の改善も達成することができる。具体的には、アンタゴニストとしてD2受容体と特異的に相互作用する1つの薬物と、アンタゴニストまたはインバースアゴニストとして5−HT2A/2C受容体と特異的に相互作用する式(I)の化合物のようなもう1つの薬物とを組み合わせることにより、既存抗精神病薬の数多くの非標的相互作用を避けることができる。
【0100】
ある実施形態では、統合失調症、分裂情動障害、躁病、痴呆に関連する行動障害および精神病性うつ病を含む種々のヒト神経精神疾患を処置するために、セロトニン2Aおよび/または2C受容体インバースアゴニストを使用する。たとえば、本明細書に開示する化合物は、一定の神経精神疾患を持つ患者における陽性症状を軽減し、陰性症状を改善し、認知機能を高めるのに役立つ。
【0101】
抗精神病薬およびドーパミン受容体アンタゴニストは、統合失調症および関連疾患における陽性症状を効果的に改善することができる。残念なことに、これらの化合物の多くは、これらの患者における運動機能をかなり悪化させ、陰性症状を増加させるか、またはそれらの症状および他の症状を処置しないまま放置する。生化学データおよび薬理データは、セロトニン作動性神経伝達の強化がこれらの望ましくない作用の発生に病態生理学的に重要であり、逆にセロトニン作動性神経伝達の遮断は抗精神病薬物療法に関連する副作用を軽減しうるという仮説を裏付けている。この理論に拘泥するわけではないが、セロトニン作動活性と抗精神病薬療法に関連する制限的作用との関係を探求するために、式(I)の化合物を選択した。
【0102】
ハロペリドールは、D2受容体アンタゴニストとして特異性を持つ定型抗精神病薬である。この化合物は、統合失調症の急性憎悪に関連する陽性症状を処置するために、よく使用される。残念なことに、この化合物の使用は、静坐不能、パーキンソニズム、遅発性ジスキネジアおよび神経遮断薬悪性症候群を含む極めて多くの望ましくない運動副作用を伴う。また、この化合物はこれらの患者における陰性症状および認知機能を変化させないか、悪化させる。
【0103】
ある実施形態では、抗精神病薬療法に起因する多くの副作用を処置するために、式(I)の化合物を使用することができる。たとえば式(I)の化合物は、ハロペリドールなどの他の抗精神病剤の運動副作用の処置に役立ちうる。ある実施形態では、ハロペリドール処置に関連する運動副作用の処置に、式(I)の化合物を使用する。
【0104】
ある実施形態では、たとえばハロペリドール療法を開始する必要があると考えられ、運動欠損が発症する恐れがある場合などに、式(I)の化合物を予防的に使用することができる。
【0105】
一部の実施形態では、精神病を処置するために式(I)の化合物を単剤療法として使用するか、あるいは、ある医薬が惹起する抗精神病薬副作用を防止または処置するために、その医薬の補助剤として使用することができる。あるいは、式(I)の化合物を、やはり抗精神病薬の副作用を軽減する他の化合物と組み合わせて与えてもよい。
【0106】
ある実施形態では、統合失調症を含む一定の神経精神疾患の陰性症状を処置するために式(I)の化合物を単剤療法として、またはこれらの疾患の陽性症状を処置するために使用される医薬の補助剤として、使用することができる。
【0107】
また、一部の実施形態では、統合失調症を含む一定の神経精神疾患において認知機能を改善させるために、式(I)の化合物を単剤療法として、またはこれらの疾患の陽性症状を処置するために用いられる医薬の補助剤として使用することができる。
【0108】
(製造方法)
式(I)の化合物は、以下に記載する方法またはこれらの方法の修飾した方法によって、合成することができる。この方法論に変更を加える方法としては、とりわけ温度、溶媒、試薬などの変更があげられる。
【0109】
以下に示す合成の第1段階は、式(II)の化合物を製造するために、酢酸、NaBH3CN、およびメタノールの存在下で行われる。
【0110】
【化4】

【0111】
式(IV)の化合物は、式(III)の化合物を、約80℃のジメチルホルムアミド(DMF)中、臭化イソブチルおよび炭酸カリウムで処理することによって合成することができる。
【0112】
【化5】

【0113】
式(IV)の化合物は、メタノール/水中、水酸化カリウムとの反応により、式(V)の化合物に変換することができる。
【0114】
【化6】

【0115】
式(V)の化合物をジフェニルリン酸アジド(DPPA)およびプロトンスポンジと共にテトラヒドロフラン(THF)中で加熱還流することにより、式(VI)の化合物を製造する。
【0116】
【化7】

【0117】
最後に、式(II)の化合物を塩化メチレン中で式(VI)の化合物と反応させると、式(I)の化合物が得られる。
【0118】
【化8】

【0119】
式(I)の化合物の酒石酸塩はエタノール中でL−(+)−酒石酸と混合することによって製造することができる。
【0120】
【化9】

【実施例】
【0121】
以下の実施例は本発明を限定するものではなく、本明細書に開示した実施形態の一部を例示するために記載するものである。
【0122】
〔実施例1〕
(アゴニスト試験)
パーキンソン病は通例、直接作用性ドーパミンアゴニストを使って管理される。この化合物クラスの例には、ペルゴリド、ブロモクリプチン、プラミペキソールおよびロピニロールが含まれる。これらの薬物は、線条体領域および前脳領域に位置するドーパミンD2、D3およびD4受容体におけるそれらのアゴニスト活性ゆえに有効であると考えられている。この活性は、PDを特徴づける前脳ドーパミン作動性神経支配の進行性の喪失を補償するのだろう。しかしこれらの薬物は、これらのドーパミン作動性受容体に特異的ではなく、5HT2A受容体および5HT2C受容体などの他の受容体で強力なアゴニスト活性も持っている。生理学的予測を与えるインビトロ機能アッセイを使って、ペルゴリド、リスリド、およびブロモクリプチンが、5HT2A受容体において、ヒトD2受容体で観察されるものに匹敵するアゴニスト力価を発揮することを、以下に示す(図1Aおよび1Bならびに表1)。
【0123】
R−SATアッセイを使って、ドーパミン受容体タイプおよびセロトニン受容体タイプに対する一般的ドーパミン作動性化合物の活性を調べた(米国特許第5,912,132号および第5,955,281号)。図1では、基準完全アゴニスト(100%)に対して決定したアゴニスト応答百分率対薬物濃度として、データをプロットした。D2受容体に使用した基準完全アゴニストはキンピロールであり、一方、5HT2A受容体にはセロトニンを使用した。試験した化合物には、ドーパミン(■)、キンピロール(●)、リスリド(▲)、ブロモクリプチン(◆)、セロトニン(□)およびペルゴリド(▼)が含まれる。ドーパミンD2受容体を使った代表的な用量応答曲線の力価を決定し、それを図1Aに示す(ペルゴリド−0.21nM、ドーパミン−8.0nM、リスリド−0.023nM、キンピロール−3.3nM、ブロモクリプチン−0.43nM、およびセロトニン−応答なし)。図1Bは、セロトニン5−HT2A受容体に対する化合物の力価を示す(ドーパミン−応答なし、キンピロール−174nM、リスリド−0.028nM、ブロモクリプチン−2.7nM、セロトニン−33nM、およびペルゴリド−0.22nM)。
【0124】
これらの薬物は診療室ではD2受容体占有を達成するために投与されるので、これらのデータは、PD患者に治療用量で投与した場合に、直接作用性ドーパミンアゴニストがインビボで5HT2A受容体アゴニストとしても振る舞うことを示している。
【0125】
【表1】

【0126】
データはR−SATアッセイから得たものである。上記のように、全ての化合物が完全な(>75%)相対的アゴニスト効力を示した。データは−Log(EC50)値±3〜8回の独立した決定の標準偏差として報告する。これらの研究には、5HT2C受容体のVGVアイソフォームおよび短縮型D2受容体を使用した。NAは活性なしを表し、NTは未検を表す。
【0127】
ヒト5HT2A/C受容体におけるこれら抗パーキンソン病剤のアゴニスト活性は、ヒトの幻覚および精神病の生成および処置にとって、特別な意味を持っている。一定の天然および合成化学化合物がヒトで幻覚状態を誘発できることから、これらの幻覚誘発薬または精神異常発現薬の作用機序が詳細に調査されることになった。これらの努力により、これらの薬物クラスが持ついくつかの分子活性が、正常健常個体において幻覚、特に幻視を誘発する能力に関係すると、意味づけられた。幻覚薬は、2つの相異なる化学クラス、すなわちフェニルエタノールアミン類と置換トリプタミン類とに分類され、それらはどちらも構造上セロトニンに関係している。放射性リガンド結合技術ならびに機能薬理アッセイを使った多くのインビトロ研究により、これらの薬物が強力な5HT2Aおよび5HT2C受容体アゴニストであることは、繰り返し実証されている(5)。正常ボランティアに幻覚薬MDMA(エクスタシー)を投与した後、臨床応答を評価すると共に、機能的神経画像化技術を利用して脳活性化の解剖学的尺度を評価評価した最近のインビボ試験では、抗精神病薬ならびに化合物ケタンセリンによって、幻覚薬の精神測定学的活性および薬理活性を遮断できることが実証されている(6,7)。これらの薬物は5HT2A受容体インバースアゴニズムという共通の分子特性を持っている。
【0128】
〔実施例2〕
(インバースアゴニスト研究)
PD患者において処置誘発性の運動症状および神経精神症状がいったん発症してしまうと、これらの障害を管理するための実用的な治療選択肢はほとんどない。これら2つの症状クラスでは処置戦略が異なるが、臨床上一様に有効であるが認容性に乏しいアプローチの一つでは、抗精神病剤を使用する。抗精神病薬は、ドーパミンD2サブクラスのドーパミン受容体に対して高い親和性を持つことが知られており、これらの受容体のニュートラルアンタゴニズムが、ヒト精神病におけるこれらの薬物の治療効力の根底にある。ドーパミンD2受容体アンタゴニズムの他にも、これらの薬剤は、セロトニン受容体、アドレナリン作動性受容体、ムスカリン性受容体およびヒスタミン作動性受容体を含む他のモノアミン作動性受容体サブタイプの多くで、広範囲にわたる強力で薬理学的に意味のある追加の活性を持っている。これら追加の分子作用のうち、5HT2A受容体相互作用は、重要な研究の対象になってきた。抗精神病薬がセロトニン2受容体を含む複数の受容体サブタイプに対して高い親和性を持つことは、放射性リガンド結合技術の応用によって実証された(8)。これを証拠づけるために使用された方法論では、抗精神病性と与えられた受容体との相互作用の性質を明確にすることはできない。たとえば、薬物が正(アゴニスト)または負(インバースアゴニスト)の固有活性を持つかどうか、あるいは薬物が固有活性を欠き、ニュートラルアンタゴニストして機能するかどうかは、これらの方法では識別できない。最近、薬物−標的相互作用の機序的性質を弁別することができる機能アッセイを使って、この薬物クラスがプロファイリングされた(9)。
【0129】
このアプローチにより、抗精神病薬作用の新規な側面がいくつか明らかになった(米国特許第6,358,698号参照)。これらの薬物は一つのクラスとして、D2受容体において強力なニュートラルアンタゴニスト活性を持つことが確認された。重要なことに、置換ベンズアミド類を除くほぼ全ての抗精神病薬が、5HT2A受容体において、強力な負の固有活性(インバースアゴニズム)をも持つことも明らかになった。これらの努力により、5HT2A受容体のにおけるインバースアゴニスト活性は抗精神病薬作用の重要な分子成分であることが確認されると共に、選択的5HT2A受容体インバースアゴニストである化合物はD2受容体活性の不在下でも抗精神病効力を持ちうることが示唆される。
【0130】
ハロペリドールをはじめとする古い定型抗精神病薬はいずれも、PD患者の運動状態を著しく悪化させるので、PD患者に投与することはできない。最近、新しい非定型薬剤、すなわち運動副作用を誘発する傾向が少ない(ただし存在しないわけではないことは明らか)ものが開発されたことにより、ジスキネジアおよび幻覚を制御するためにこれらの薬剤をPD患者に使用することがおそらくできるだろうと考えられた。残念なことに、これらの薬剤の大半は、運動機能の悪化により、PD患者では認容されない(10)。非定型薬剤のうち、唯一クロザピンだけが、PD患者におけるこれらの処置誘発性有害副作用を、不都合な運動障害を伴わずに処置する効力を示した。したがって、クロザピンのインビトロ分子プロファイルをより良く理解することにより、処置することが困難なこれらの適応症のための新規薬剤の設計への重要な洞察を得ることができる。
【0131】
PD患者においてクロザピンが認容されることは、処置誘発性精神病に関する研究によって実証される。2つの綿密に計画された偽薬対照二重盲臨床試験により、クロザピンは、25〜35mg/日の範囲の用量で、精神病性PD患者に有効であるが、パーキンソニズムを悪化させないことが示されている(11,12)。同様に、L−ドーパおよびアポモルフィン誘発性ジスキネジアにおけるクロザピンの2つのオープンラベル試験でも、これらの患者で50〜100mg/日程度の低用量のクロザピンの効力および認容性が実証されている(13,14)。これらのPD患者に使用された投与量は、難治性統合失調症で使用される典型的な600〜900mg/kgという用量範囲よりもはるかに低い。この低用量に対応して、精神病を持つPD患者におけるクロザピンの血漿レベルも4.5〜16.1ng/mlの範囲にあった(15)。これは、難治性統合失調症患者における治療的応答に関連する≧250ng/mlという平均血清レベルよりも、劇的に低い。
【0132】
予想どおり、低用量のクロザピンの投与、およびこれらの用量で得られる相応の血漿レベルは、D2受容体の占有に必要なものよりもかなり低く、このことから、これらの投与量がこれらの患者における運動障害に関して認容される理由の機序が理解される(統合失調症患者の陽電子放射断層撮影(PET)研究により、高度な線条体ドーパミンD2受容体占有をもたらすのに必要なクロザピンの定常状態血漿濃度が確定されている)。これらのデータは、ジスキネジアおよび精神病における効力が、この薬物の非D2受容体標的の1以上によって媒介されることも示している。インビトロ薬理アッセイによって決定される受容体力価の序列がインビボ受容体作用の信頼できる予測子であることは繰り返し示されているので、クロザピンがD2受容体より高い力価を示す受容体部位は、この適応症におけるその臨床効力を潜在的に媒介すると予測される。30を超える既知モノアミン作動性受容体サブタイプに対するクロザピンの詳細な機能プロファイリングにより、ドーパミンD2受容体、ヒスタミンH1受容体、ムスカリン性m1およびm4受容体、ならびにセロトニン2A、2B、および6受容体よりも高い親和性を持つ部位が5つだけ同定された。表2に、生理学的予測を与えるインビトロR−SATアッセイによって決定した、これらのモノアミン受容体標的の一部におけるクロザピンの絶対力価および相対力価を報告する。これらのデータは、クロザピンの臨床用量およびPDで観察される血清レベルでは、2つの受容体部位、すなわちヒスタミンH1受容体および5HT2A受容体が、優先的に占有されることを示唆している。
【0133】
逆に、50mg/日のクロザピンで達成される血漿レベルは、皮質5HT2A受容体の完全な占有をもたらし、精神病に関して処置されたPD患者で観察される血漿レベルに外挿すると、これらの投与量で同様に5HT2A受容体のほぼ完全な占有が示唆される(16)。5HT2A受容体の中枢占有が、負の固有活性と合わせて、これらの状態における効力を媒介しうるのに対して、ヒスタミンH1受容体の中枢占有は鎮静を惹起することが知られており、これは低用量クロザピンで処置されたPD患者の大半に観察された作用である。これらのデータを総合すると、この臨床状況ではクロザピンは主として5HT2A受容体受容体インバースアゴニストとして作用していることが示唆される。
【0134】
【表2】

【0135】
データは(9)から得たものであり、D2受容体については競合アンタゴニストして決定したKi値、そして残りの受容体についてはインバースアゴニストとして決定したEC50値(単位はナノモル濃度)±3〜8回の独立した決定の標準偏差として報告する。
よびとして記載する。
【0136】
(行動薬理学的証拠)
化合物N−(1−メチルピペリジン−4−イル)−N−(4−フルオロフェニルメチル)−N'−(4−(2−メチルプロピルオキシ)フェニルメチル)カルバミド(式(I)の化合物)の酒石酸塩は経口による生物学的利用能を持つ強力かつ選択的な5HT2A受容体インバースアゴニストである。式(I)の化合物は、5−HT2C受容体インバースアゴニストとしても、弱い力価を持ち、残りのモノアミン作動性受容体サブタイプでは固有の活性を持たない。式(I)の化合物がドーパミン受容体サブタイプにおける活性を持たないことは、おそらく最も注目すべきことだろう(米国特許出願第09/800,096号参照)。この薬剤の包括的な行動薬理学的プロファイリングは、抗精神病薬作用および抗ジスキネジア薬作用の前臨床モデルを含めて、パーキンソン病および関連ヒト神経変性疾患における式(I)の化合物の治療的使用を支持する。
【0137】
〔実施例3〕
(動物試験)
潜在的なインビボ抗精神病活性を決定するために、我々は、ヒトにおけるそのような効力を予測する動物モデルで、式(I)の化合物を調べた。式(I)の化合物は、非競合性N−メチル−d−アスパラギン酸(NMDA)アンタゴニストMK801(ジゾシルピン)によって誘発させる活動亢進を、1mg/kg(皮下)(図2A)および10mg/kg(経口)(図2B)の最小有効用量で減弱する。式(I)の化合物は、3mg/kg以上(皮下)の用量(図2A)および10〜100mg/kgの経口用量(図2B)でも、自発的移動運動を減少させた。図2Aおよび2Bにおいて、*印はそれぞれの賦形剤対照と比較した統計的有意性(p<0.05)を示す。MK−801の阻害は、大半の非定型抗精神病剤が共通して持っている特性であり、非定型抗精神病薬クロザピンと同様に式(I)の化合物も、腹腔内投与後に、1mg/kgでMK−801活動亢進を減弱した。
【0138】
〔実施例4〕
(霊長類動物試験)
潜在的なインビボ抗ジスキネジア活性を決定するために、我々は、ヒトにおけるそのような効力を予測する動物モデルで、式(I)の化合物を試験した。サルでパーキンソニズムを誘発するために1−メチル−4−フェニル−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン(MPTP)を使用すると共に、L−ドーパの長時間投与すると、重篤なジスキネジアが誘発される。偽薬注射動物に存在する異常運動に対する百分率としてスコア化した観察可能な異常運動の減少によって決定したところ、式(I)の化合物は、ジスキネジア霊長類に皮下投与した場合に、L−ドーパ誘発性ジスキネジアを用量依存的に有意に減少させることがわかった(図3)。
【0139】
〔実施例5〕
(パーキンソン病の5HT2A/Cセロトニンアンタゴニスト処置)
本実施例では、パーキンソン病患者における式(I)の化合物による5HT2A/C受容体の遮断が、レボドパ関連ジスキネジアおよび運動応答変動を減少させることを実証する。さらに、式(I)の化合物は、有効な用量で安全であり認容されることを示す。また、式(I)の化合物はパーキンソン病症状に対するレボドパの有益な作用を増強する。
【0140】
約5週間継続して行われる二重盲偽薬対照試験で、21人のパーキンソン病患者からなる群に、式(I)の化合物を経口投与する。初期偽薬導入期間後に、式(I)の化合物または偽薬の無作ため化(アクティブ)期間を設ける不均衡並行群用量増加法を用いる。式(I)の化合物を4週間にわたって毎日1回投与し、毎週1回用量を増加させる。評価は各用量増加段階の1日目に行う。
【0141】
この研究は外来患者で行った。レボドパに対する運動応答に式(I)の化合物が及ぼす作用は、ドーパミン様作用薬の定常状態注入を利用してデータ収集の信頼性を最大化すると共に、抗パーキンソン病効力半減期の決定を可能にする、標準的Experimental Therapeutics Branch(ETB)パラダイムにしたがって試験した。
【0142】
この試験に参加する患者は特定の特徴を持つ。患者は30〜80歳である(両端を含む)。患者は、特徴的な病歴および神経学的所見の存在に基づいて、特発性パーキンソン病と診断されている。患者は、比較的進行した疾患症状を示すと共に、レボドパ関連運動応答合併症(ピーク時ジスキネジアおよびすり減り変動を含む)を示した。
【0143】
主要評価項目、統一パーキンソン病評価尺度(Unified Parkinson's Disease Rating Scale:UPDRS))パートIII運動機能検査について、サンプルサイズを計算する。17人というサンプルサイズでは、0.05の有意性で両側t検定を使って、標準化効果サイズ1で、予想される差(40%減少)の検出に関して80%の検出力が得られる。これは、式(I)の化合物の抗ジスキネジア作用が(先のETB試験で観察されたように)アマンタジンの作用に匹敵することと、式(I)の化合物の直線的な用量応答とを仮定している。この第2相試験では、我々は、有意水準0.05の両側αを許容するだろう。偽薬群用に4人の患者を加えて、合計21人の被験者がこの試験に登録されるだろう。
【0144】
患者は、全ての禁止薬物治療を少なくとも4週間にわたって中止した後、直ちに、試験のレボドパ注入最適速度決定(用量発見)部分に入る。患者が、レボドパに関して過去3ヶ月以内に最適化された静脈内投与速度を持っていた場合は、それらの用量をこの研究に使用してもよい。
【0145】
レボドパの静脈内注入は入院患者病室で行う。全ての注入の前夜に、被験者の通常の抗パーキンソン病薬物治療を差し控える(午前12時までにレボドパ、午後6時までにドーパミンアゴニスト)。最適速度決定の第1日および第2日中に、レボドパ注入に先立って、2回のベースラインUPDRS評価を行う。最初は、レボドパ注入の「最適」速度を各個体について注意深く滴定して、パーキンソン病徴候の「最適」減少および(患者の通常の「オン」状態と同等な)軽いが評価可能なジスキネジアを特徴とする安定「オン」状態を達成するのに必要な最少用量を決定する。ジスキネジアの重症度は、各患者が通常の治療計画で経験するものと同様である。レボドパは留置静脈内カテーテルを使って投与されるだろう。レボドパの初期注入速度は80mg/時を超えないだろう。その後、最適速度が見つかるまで、最高を2mg/kg/時として、注入速度を徐々に増加させる。
【0146】
レボドパ注入は通常は最高8時間まで継続するが、信頼できる運動機能の評価が得られるように、数日間中断せずに続けるか、日を改めて繰り返してもよい。レボドパの静脈内投与の少なくとも1時間前から、末梢デカルボキシラーゼ阻害剤カルビドパ(50mg、3時間ごとに投与)を経口投与し始めて、レボドパ作用がなくなるまで続ける。レボドパ注入に関する初期「最適」速度発見後は、その後の全ての注入を前もって決定した「最適速度」で行う。静脈内レボドパ製剤はこの国では市販されていないので、ETB IND 22,663の下に投与する。
【0147】
患者には表3にしたがって投薬する。
【0148】
【表3】

【0149】
患者は、この用量増加スキームに沿って第5週まで、または最大認容用量に達するまで進む。
【0150】
この試験中は、薬物安全性および認容性に関して、入院中は毎週、そして処置の2週間後、外来追跡来診時に、患者を評価する。各入院中、患者はスタッフ医および看護師による徹底的な医学的監視下に置かれる。処置期間中の任意の時点で、スタッフ医が、患者は与えられた用量を認容しないと判断した場合は、その患者は最大認容用量に達しているとみなされ、それ以上は式(I)の化合物を与えないようにする。患者は、試験日の合間に試験医と接触して有害な体験を何でも報告するように促される。
【0151】
患者は病院で観察され、重大な有害作用があるとすれば、それが全てなくなるまでは退院させない。試験日に行われる安全性評価には、有害経験、バイタルサインの監視、標準安全性監視、および心臓監視が含まれる。
【0152】
患者群IIの被験者は、レボドパ関連ジスキネジアおよび運動応答変動の減少を示す。患者群IIの被験者は、投与した全ての用量で、式(I)の化合物を認容する。また、式(I)の化合物による治療は、パーキンソン病症状に対するリボドパの有益な作用を増強する。
【0153】
〔実施例6〕
(R−SATアッセイ)
機能的受容体アッセイ、受容体選択増幅技術(R−SAT)を使って、5HT2A受容体におけるインバースアゴニストしての式(I)の化合物の活性を調べた。式(I)の化合物は、5HT2A受容体において、高い力価(pIC50は9.1)および高い効力(98%)を示した。
【0154】
〔実施例7〕
(抗精神病活性試験)
潜在的なインビボ抗精神病活性を決定するために、我々は、ヒトの陽性症状に対するそのような効力を予測する動物モデルで、式(I)の化合物を試験した(図4)。図4において、ACPとは式(I)の化合物を指す。10.0mg/kg(経口)以下の用量でマウスに単独投与した場合、式(I)の化合物は、3.0mg/kg(腹腔内)の間接的ドーパミンアゴニスト、d−アンフェタミンによって誘発された活動亢進を、軽減しなかった。予想どおり、ハロペリドールはアンフェタミン活動亢進を用量依存的に軽減し、その最低有意作用は0.1mg/kg(皮下)で見られた。用量10.0mg/kg(経口)の式(I)の化合物を様々な皮下用量のハロペリドールと組み合わせて投与したところ、最低有意量は0.03mg/kgに低下した。この組合せにより、アンフェタミン活動亢進は完全に覆される。したがって、不活性用量の式(I)の化合物は、不活性用量のハロペリドールと組み合わせると、アンフェタミン活動亢進の完全な逆転をもたらす。これは、式(I)の化合物と組み合わせると、ハロペリドールの抗精神病活性が、有意に強化されうることを示唆している。式(I)の化合物をハロペリドールと組み合わせると、効力を損なうことなくハロペリドールの用量を低下させうることも、同様に重要である。これにより、神経精神疾患におけるハロペリドールの臨床使用に関する安全域が改善されると期待される。
【0155】
(引用文献)
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【0156】
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【図面の簡単な説明】
【0172】
【図1】生理学的予測を与える細胞に基づくインビボR−SATアッセイによって決定したパーキンソン病治療薬のD2および5−HT2A受容体アゴニスト活性のプロットを示す図である。図1AはヒトD2受容体における薬物活性を表す。図1Bはヒトセロトニン2A受容体における薬物活性を表す。
【0173】
【図2】図2Aは、10分間にわたる皮下投与後に、対照との比較で、ラットのMK−801誘発性移動行動を減少させることに関する、式(I)の化合物の効力のプロットである。図2Bは、30分間にわたる経口投与後に、対照との比較で、ラットのMK−801誘発性移動行動を減少させることに関する、式(I)の化合物の効力のプロットである。
【0174】
【図3】式(I)の化合物の3つの投与量レベルおよび霊長類モデルにおけるジスキネジアの軽減に対する各投与量の効果を示す図である。
【0175】
【図4】様々な用量のハロペリドールと併用した場合の、マウスにおけるアンフェタミン誘発性活動亢進に対する式(I)の化合物の作用を示す図である。である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

の化合物と医薬的に許容できる担体とを含む組成物。
【請求項2】
追加治療剤をさらに含む、請求項1の組成物。
【請求項3】
追加治療剤が、レボドパ(SINEMET(商標)、SINEMET−CR(商標)、ブロモクリプチン(PARLODEL(商標))、ペルゴリド(PERMAX(商標))、硫酸エフェドリン(エフェドリン(商標))、ペモリン(CYLERT(商標))、マチンドール(SANOREX(商標))、d,1−α−メチルフェネチルアミン(ADDERALL(商標))、メチルフェニデート(RITALIN(商標))、プラミペキソール(MIRAPEX(商標))、モダフィニル(PROVIGIL(商標))、およびロピニロール(REQUIP(商標))からなる群より選択される、請求項2の組成物。
【請求項4】
追加治療剤が抗ジスキネジア剤である、請求項2の組成物。
【請求項5】
追加治療剤が、バクロフェン(Lioresal(商標)))、ボツリヌス毒素(Botox(商標))、クロナゼパム(Klonopin(商標))、およびジアゼパム(Valium(商標))からなる群より選択される抗ジスキネジア剤である、請求項2の組成物。
【請求項6】
追加治療剤が、バクロフェン(LIORESAL(商標))、ボツリヌス毒素(BOTOX(商標))、クロナゼパム(KLONOPIN(商標))、およびジアゼパム(VALIUM(商標))からなる群より選択される抗ジストニア剤、抗ミオクローヌス剤、または抗振戦剤である、請求項2の組成物。
【請求項7】
追加治療剤がドーパミン作動性受容体アンタゴニズムを持つ抗精神病剤である、請求項2の組成物。
【請求項8】
追加治療剤が、クロルプロマジン(THORAZINE(商標))、ハロペリドール(HALDOL(商標))、モリンドン(MOBAN(商標))、チオリダジン(MELLARIL(商標))、フェノチアジン類、ブチロフェノン類、ジフェニルブチルピペリジン(ピモジド)、チオキサンチン類(フルフェンチキソール)、置換ベンズアミド類(スルピリド)、セルチンドール、アミスルプリド、リスペリドン、クロザピン、オランザピン、ジプラシドン、アリピプラゾール、およびそれらの活性代謝産物(N−デスメチルクロザピン、N−デスメチルオランザピン、9−OH−リスペリドン)からなる群より選択される抗精神病剤である、請求項2の組成物。
【請求項9】
神経変性疾患を処置する方法であって、神経変性疾患を患っている患者を同定することと、セロトニン受容体に選択的なインバースアゴニストを前記患者に有効量投与することとを含み、よってドーパミン療法関連ジスキネジアを軽減する方法。
【請求項10】
神経変性疾患が、パーキンソン病、ハンチントン病、アルツハイマー病、脊髄小脳萎縮、トゥーレット症候群、フリードライヒ失調、マシャド・ジョセフ病、レビー小体痴呆、ジストニア、進行性核上性麻痺、および前頭側頭型痴呆からなる群より選択される、請求項9の方法。
【請求項11】
セロトニン受容体が5HT2A受容体である、請求項9の方法。
【請求項12】
セロトニン受容体が5HT2C受容体である、請求項9の方法。
【請求項13】
インバースアゴニストが5HT2A受容体または5HT2C受容体に結合する、請求項9の方法。
【請求項14】
インバースアゴニストが式(I)の化合物である、請求項9の方法。
【請求項15】
ドーパミン作動剤を式(I)の化合物と組み合わせて投与することをさらに含む、請求項9の方法。
【請求項16】
試薬がドーパミン作動活性を増加させるものであり、レボドパ、SINAMET(商標)、SINAMETCR(商標)、ブロモクリプチン(PARLODEL(商標))、ペルゴリド(PERMAX(商標))、硫酸エフェドリン(EPHEDRINE(商標))、ペモリン(CYLERT(商標))、マチンドール(SANOREX(商標))、d,1−α−メチルフェネチルアミン(ADDERALL(商標))、メチルフェニデート(RITALIN(商標))、プラミペキソール(MIRAPEX(商標))、モダフィニル(PROVIGIL(商標))、およびロピニロール(REQUIP(商標))からなる群より選択される、請求項9の方法。
【請求項17】
ドーパミン療法に関連するジスキネジアを処置する方法であって、ドーパミン療法関連ジスキネジアを患っている患者を同定することと、セロトニン受容体に選択的なインバースアゴニストを前記患者に有効量投与することとを含み、よってドーパミン療法関連ジスキネジアを軽減する方法。
【請求項18】
セロトニン受容体が5HT2A受容体である、請求項17の方法。
【請求項19】
セロトニン受容体が5HT2C受容体である、請求項17の方法。
【請求項20】
インバースアゴニストが5HT2A受容体および5HT2C受容体に結合する、請求項17の方法。
【請求項21】
インバースアゴニストが式(I)の化合物である、請求項17の方法。
【請求項22】
抗ジスキネジア剤を式(I)の化合物と組み合わせて投与することをさらに含む、請求項21の方法。
【請求項23】
抗ジスキネジア剤が、バクロフェン(Lioresal(商標))、ボツリヌス毒素(Botox(商標))、クロナゼパム(Klonopin(商標))、およびジアゼパム(Valium(商標))からなる群より選択される、請求項22の方法。
【請求項24】
患者が、パーキンソン病、ハンチントン病、アルツハイマー病、脊髄小脳萎縮、トゥーレット症候群、フリードライヒ失調、マシャド・ジョセフ病、レビー小体痴呆、ジストニア、進行性核上性麻痺、および前頭側頭型痴呆からなる群より選択される神経変性疾患を患っている、請求項14の方法。
【請求項25】
ドーパミン療法に関連するジストニア、ミオクローヌス、または振戦を処置する方法であって、ドーパミン療法に関連するジストニア、ミオクローヌス、または振戦を患っている患者を同定することと、セロトニン受容体に選択的なインバースアゴニストを前記患者に有効量投与することとを含み、よってドーパミン療法に関連するジストニア、ミオクローヌス、または振戦を軽減する方法。
【請求項26】
セロトニン受容体が5HT2A受容体である、請求項25の方法。
【請求項27】
セロトニン受容体が5HT2C受容体である、請求項25の方法。
【請求項28】
インバースアゴニストが5HT2A受容体および5HT2C受容体に結合する、請求項25の方法。
【請求項29】
インバースアゴニストが式(I)の化合物である、請求項25の方法。
【請求項30】
抗ジストニア剤、抗ミオクローヌス剤、または抗振戦剤を式(I)の化合物と組み合わせて投与することをさらに含む、請求項29の方法。
【請求項31】
抗ジストニア剤、抗ミオクローヌス剤、または抗振戦剤が、バクロフェン(LIORESAL(商標))、ボツリヌス毒素(BOTOX(商標))、クロナゼパム(KLONOPIN(商標))、およびジアゼパム(VALIUM(商標))からなる群より選択される、請求項30の方法。
【請求項32】
ドーパミン療法に関連する精神病を処置する方法であって、ドーパミン療法関連精神病を患っている患者を同定することと、セロトニン受容体に選択的なインバースアゴニストを前記患者に有効量投与することとを含み、よってドーパミン療法関連精神病の症状を軽減する方法。
【請求項33】
セロトニン受容体が5HT2A受容体である、請求項32の方法。
【請求項34】
セロトニン受容体が5HT2C受容体である、請求項32の方法。
【請求項35】
インバースアゴニストが5HT2A受容体および5HT2C受容体に結合する、請求項32の方法。
【請求項36】
インバースアゴニストが式(I)の化合物である、請求項32の方法。
【請求項37】
抗精神病剤を式(I)の化合物と組み合わせて投与することをさらに含む、請求項36の方法。
【請求項38】
抗精神病剤が、クロルプロマジン(THORAZINE(商標))、ハロペリドール(HALDOL(商標))、モリンドン(MOBAN(商標))、チオリダジン(MELLARIL(商標))、フェノチアジン類、ブチロフェノン類、ジフェニルブチルピペラジン(ピモジド)、チオキサンチン類(フルフェンチキソール)、置換ベンズアミド類(スルピリド)、セルチンドール、アミスルプリド、リスペリドン、クロザピン、オランザピン、ジプラシドン、アリピプラゾール、およびそれらの活性代謝産物(N−デスメチルクロザピン、N−デスメチルオランザピン、9−OH−リスペリドン)からなる群より選択される、請求項37の方法。
【請求項39】
患者が、パーキンソン病、ハンチントン病、アルツハイマー病、脊髄小脳萎縮、トゥーレット症候群、フリードライヒ失調、マシャド・ジョセフ病、レビー小体痴呆、ジストニア、進行性核上性麻痺、および前頭側頭型痴呆からなる群より選択される神経変性疾患を患っている、請求項32の方法。
【請求項40】
神経精神疾患を処置する方法であって、神経精神疾患を患っている患者を同定することと、セロトニン受容体に選択的なインバースアゴニストを前記患者に有効量投与することとを含む方法。
【請求項41】
精神神経疾患が、統合失調症、分裂情動障害、躁病、痴呆に関連する行動障害、および精神病性うつ病からなる群より選択される、請求項40の方法。
【請求項42】
セロトニン受容体が5HT2A受容体である、請求項40の方法。
【請求項43】
セロトニン受容体が5HT2C受容体である、請求項40の方法。
【請求項44】
インバースアゴニストが5HT2A受容体または5HT2C受容体に結合する、請求項40の方法。
【請求項45】
インバースアゴニストが式(I)の化合物である、請求項40の方法。
【請求項46】
クロルプロマジン(THORAZINE(商標))、ハロペリドール(HALDOL(商標))、モリンドン(MOBAN(商標))、チオリダジン(MELLARIL(商標))、フェノチアジン類、ブチロフェノン類、ジフェニルブチルピペリジン(ピモジド)、チオキサンチン類(フルフェンチキソール)、置換ベンズアミド類(スルピリド)、セルチンドール、アミスルプリド、リスペリドン、クロザピン、オランザピン、ジプラシドン、アリピプラゾール、およびそれらの活性代謝産物(N−デスメチルクロザピン、N−デスメチルオランザピン、9−OH−リスペリドン)からなる群より選択される抗精神病薬をインバースアゴニストと組合せて投与することをさらに含む、請求項40の方法。
【請求項47】
インバースアゴニストが式(I)の化合物である、請求項46の方法。
【請求項48】
式(I):
【化2】

の構造を持つ化合物。
【請求項49】
モノアミン受容体の活性を阻害する方法であって、前記モノアミン受容体または前記モノアミン受容体を含有する系を、前記モノアミン受容体の活性を阻害するのに有効な量の式(I)の化合物と接触させることを含む方法。
【請求項50】
モノアミン受容体がセロトニン受容体である、請求項49の方法。
【請求項51】
セロトニン受容体が5−HT2Aサブクラスである、請求項50の方法。
【請求項52】
セロトニン受容体が中枢神経系にある、請求項50の方法。
【請求項53】
セロトニン受容体が末梢神経系にある、請求項50の方法。
【請求項54】
セロトニン受容体が血液細胞中または血小板中にある、請求項50の方法。
【請求項55】
セロトニン受容体が突然変異または修飾を受けている、請求項50の方法。
【請求項56】
活性がシグナル伝達活性である、請求項49の方法。
【請求項57】
活性が構成的である、請求項49の方法。
【請求項58】
活性がセロトニン受容体活性化に関連する、請求項49の方法。
【請求項59】
モノアミン受容体の活性化を阻害する方法であって、前記モノアミン受容体または前記モノアミン受容体を含有する系を、前記モノアミン受容体の活性化を阻害するのに有効な量の式(I)の化合物と接触させることを含む方法。
【請求項60】
活性化がアゴニスト剤によるものである、請求項59の方法。
【請求項61】
アゴニスト剤が外因性である、請求項60の方法。
【請求項62】
アゴニスト剤が内因性である、請求項60の方法。
【請求項63】
活性化が構成的である、請求項59の方法。
【請求項64】
モノアミン受容体がセロトニン受容体である、請求項59の方法。
【請求項65】
セロトニン受容体が5−HT2Aサブクラスである、請求項64の方法。
【請求項66】
セロトニン受容体が中枢神経系にある、請求項64の方法。
【請求項67】
セロトニン受容体が末梢神経系にある、請求項64の方法。
【請求項68】
セロトニン受容体が血液細胞中または血小板中にある、請求項64の方法。
【請求項69】
セロトニン受容体が突然変異または修飾を受けている、請求項64の方法。
【請求項70】
モノアミン受容体に関連する疾患状態を処置する方法であって、そのような処置を必要とする対象に、式(I)の化合物を治療有効量投与することを含む方法。
【請求項71】
疾患状態が、統合失調症、精神病、片頭痛、高血圧、血栓症、血管痙攣、虚血、うつ病、不安、睡眠障害および食欲障害からなる群より選択される、請求項70の方法。
【請求項72】
疾患状態がモノアミン受容体の機能障害に関連する、請求項70の方法。
【請求項73】
疾患状態がモノアミン受容体の活性化に関連する、請求項70の方法。
【請求項74】
疾患状態がモノアミン受容体の増加した活性に関連する、請求項70の方法。
【請求項75】
モノアミン受容体がセロトニン受容体である、請求項70の方法。
【請求項76】
セロトニン受容体が5−HT2Aサブクラスである、請求項75の方法。
【請求項77】
セロトニン受容体が中枢神経系にある、請求項75の方法。
【請求項78】
セロトニン受容体が末梢神経系にある、請求項75の方法。
【請求項79】
セロトニン受容体が血液細胞中または血小板中にある、請求項75の方法。
【請求項80】
セロトニン受容体が突然変異または修飾を受けている、請求項75の方法。
【請求項81】
統合失調症を処置する方法であって、そのような処置を必要とする対象に、式(I)の化合物を治療有効量投与することを含む方法。
【請求項82】
片頭痛を処置する方法であって、そのような処置を必要とする対象に、式(I)の化合物を治療有効量投与することを含む方法。
【請求項83】
精神病を処置する方法であって、そのような処置を必要とする対象に、式(I)の化合物を治療有効量投与することを含む方法。
【請求項84】
式(I)の化合物に応答する素因を対象に与える遺伝子多型を同定する方法であって、前記化合物を対象に治療有効量投与することと、前記化合物に対する前記対象の応答を測定することにより、モノアミン受容体に関連する疾患状態が改善している応答性対象を同定することと、その応答性対象における遺伝子多型を同定することとを含み、その遺伝子多型が前記化合物に応答する素因を対象に与える方法。
【請求項85】
改善される疾患状態が5−HTクラスまたは5−HT2Aサブクラスのモノアミン作動性受容体に関連する、請求項84の方法。
【請求項86】
請求項48の化合物による処置に適した対象を同定する方法であって、前記化合物に応答する素因を対象に与える多型の存在を検出することを含み、前記多型の存在が、その対象は式(I)の化合物による処置に適していることを示す方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

の化合物と医薬的に許容できる担体とを含む組成物。
【請求項2】
追加治療剤をさらに含む、請求項1の組成物。
【請求項3】
追加治療剤が、レボドパ(SINEMET(商標)、SINEMET−CR(商標)、ブロモクリプチン(PARLODEL(商標))、ペルゴリド(PERMAX(商標))、硫酸エフェドリン(エフェドリン(商標))、ペモリン(CYLERT(商標))、マチンドール(SANOREX(商標))、d,1−α−メチルフェネチルアミン(ADDERALL(商標))、メチルフェニデート(RITALIN(商標))、プラミペキソール(MIRAPEX(商標))、モダフィニル(PROVIGIL(商標))、およびロピニロール(REQUIP(商標))からなる群より選択される、請求項2の組成物。
【請求項4】
追加治療剤が抗ジスキネジア剤である、請求項2の組成物。
【請求項5】
追加治療剤が、バクロフェン(Lioresal(商標)))、ボツリヌス毒素(Botox(商標))、クロナゼパム(Klonopin(商標))、およびジアゼパム(Valium(商標))からなる群より選択される抗ジスキネジア剤である、請求項2の組成物。
【請求項6】
追加治療剤が、バクロフェン(LIORESAL(商標))、ボツリヌス毒素(BOTOX(商標))、クロナゼパム(KLONOPIN(商標))、およびジアゼパム(VALIUM(商標))からなる群より選択される抗ジストニア剤、抗ミオクローヌス剤、または抗振戦剤である、請求項2の組成物。
【請求項7】
追加治療剤がドーパミン作動性受容体アンタゴニズムを持つ抗精神病剤である、請求項2の組成物。
【請求項8】
追加治療剤が、クロルプロマジン(THORAZINE(商標))、ハロペリドール(HALDOL(商標))、モリンドン(MOBAN(商標))、チオリダジン(MELLARIL(商標))、フェノチアジン類、ブチロフェノン類、ジフェニルブチルピペリジン(ピモジド)、チオキサンチン類(フルフェンチキソール)、置換ベンズアミド類(スルピリド)、セルチンドール、アミスルプリド、リスペリドン、クロザピン、オランザピン、ジプラシドン、アリピプラゾール、およびそれらの活性代謝産物(N−デスメチルクロザピン、N−デスメチルオランザピン、9−OH−リスペリドン)からなる群より選択される抗精神病剤である、請求項2の組成物。
【請求項9】
神経変性疾患を処置する方法であって、神経変性疾患を患っている患者を同定することと、セロトニン受容体に選択的なインバースアゴニストをドーパミン作動活性を増加させる薬剤と組み合わせて前記患者に有効量投与することとを含む方法。
【請求項10】
神経変性疾患が、パーキンソン病、ハンチントン病、アルツハイマー病、脊髄小脳萎縮、トゥーレット症候群、フリードライヒ失調、マシャド・ジョセフ病、レビー小体痴呆、ジストニア、進行性核上性麻痺、および前頭側頭型痴呆からなる群より選択される、請求項9の方法。
【請求項11】
セロトニン受容体が5HT2A受容体である、請求項9の方法。
【請求項12】
セロトニン受容体が5HT2C受容体である、請求項9の方法。
【請求項13】
インバースアゴニストが5HT2A受容体または5HT2C受容体に結合する、請求項9の方法。
【請求項14】
インバースアゴニストが式(I)の化合物である、請求項9の方法。
【請求項15】
ドーパミン作動活性を増加させる薬剤が、レボドパ、SINAMET(商標)、SINAMETCR(商標)、ブロモクリプチン(PARLODEL(商標))、ペルゴリド(PERMAX(商標))、硫酸エフェドリン(EPHEDRINE(商標))、ペモリン(CYLERT(商標))、マチンドール(SANOREX(商標))、d,1−α−メチルフェネチルアミン(ADDERALL(商標))、メチルフェニデート(RITALIN(商標))、プラミペキソール(MIRAPEX(商標))、モダフィニル(PROVIGIL(商標))、およびロピニロール(REQUIP(商標))からなる群より選択される、請求項9の方法。
【請求項16】
ドーパミン療法に関連するジスキネジアを処置する方法であって、ドーパミン療法関連ジスキネジアを患っている患者を同定すること、セロトニン受容体に選択的なインバースアゴニストを抗ジスキネジア剤と組み合わせて前記患者に有効量投与することを含み、よってドーパミン療法関連ジスキネジアを軽減する方法。
【請求項17】
セロトニン受容体が5HT2A受容体である、請求項16の方法。
【請求項18】
セロトニン受容体が5HT2C受容体である、請求項16の方法。
【請求項19】
インバースアゴニストが5HT2A受容体および5HT2C受容体に結合する、請求項16の方法。
【請求項20】
インバースアゴニストが式(I)の化合物である、請求項16の方法。
【請求項21】
抗ジスキネジア剤が、バクロフェン(Lioresal(商標))、ボツリヌス毒素(Botox(商標))、クロナゼパム(Klonopin(商標))、およびジアゼパム(Valium(商標))からなる群より選択される、請求項16の方法。
【請求項22】
患者が、パーキンソン病、ハンチントン病、アルツハイマー病、脊髄小脳萎縮、トゥーレット症候群、フリードライヒ失調、マシャド・ジョセフ病、レビー小体痴呆、ジストニア、進行性核上性麻痺、および前頭側頭型痴呆からなる群より選択される神経変性疾患を患っている、請求項16の方法。
【請求項23】
ドーパミン療法に関連するジストニア、ミオクローヌス、または振戦を処置する方法であって、ドーパミン療法に関連するジストニア、ミオクローヌス、または振戦を患っている患者を同定することと、セロトニン受容体に選択的なインバースアゴニストを抗ジストニア剤、抗ミオクローヌス剤、または抗振戦剤と組み合わせて前記患者に有効量投与することとを含み、よってドーパミン療法に関連するジストニア、ミオクローヌス、または振戦を軽減する方法。
【請求項24】
セロトニン受容体が5HT2A受容体である、請求項23の方法。
【請求項25】
セロトニン受容体が5HT2C受容体である、請求項23の方法。
【請求項26】
インバースアゴニストが5HT2A受容体および5HT2C受容体に結合する、請求項23の方法。
【請求項27】
インバースアゴニストが式(I)の化合物である、請求項23の方法。
【請求項28】
抗ジストニア剤、抗ミオクローヌス剤、または抗振戦剤が、バクロフェン(LIORESAL(商標))、ボツリヌス毒素(BOTOX(商標))、クロナゼパム(KLONOPIN(商標))、およびジアゼパム(VALIUM(商標))からなる群より選択される、請求項23の方法。
【請求項29】
ドーパミン療法に関連する精神病を処置する方法であって、ドーパミン療法関連精神病を患っている患者を同定することと、セロトニン受容体に選択的なインバースアゴニストを抗精神病剤と組み合わせて前記患者に有効量投与することとを含み、よってドーパミン療法関連精神病の症状を軽減する方法。
【請求項30】
セロトニン受容体が5HT2A受容体である、請求項29の方法。
【請求項31】
セロトニン受容体が5HT2C受容体である、請求項29の方法。
【請求項32】
インバースアゴニストが5HT2A受容体および5HT2C受容体に結合する、請求項29の方法。
【請求項33】
インバースアゴニストが式(I)の化合物である、請求項29の方法。
【請求項34】
抗精神病剤が、クロルプロマジン(THORAZINE(商標))、ハロペリドール(HALDOL(商標))、モリンドン(MOBAN(商標))、チオリダジン(MELLARIL(商標))、フェノチアジン類、ブチロフェノン類、ジフェニルブチルピペラジン(ピモジド)、チオキサンチン類(フルフェンチキソール)、置換ベンズアミド類(スルピリド)、セルチンドール、アミスルプリド、リスペリドン、クロザピン、オランザピン、ジプラシドン、アリピプラゾール、およびそれらの活性代謝産物(N−デスメチルクロザピン、N−デスメチルオランザピン、9−OH−リスペリドン)からなる群より選択される、請求項29の方法。
【請求項35】
患者が、パーキンソン病、ハンチントン病、アルツハイマー病、脊髄小脳萎縮、トゥーレット症候群、フリードライヒ失調、マシャド・ジョセフ病、レビー小体痴呆、ジストニア、進行性核上性麻痺、および前頭側頭型痴呆からなる群より選択される神経変性疾患を患っている、請求項29の方法。
【請求項36】
神経精神疾患を処置する方法であって、神経精神疾患を患っている患者を同定することと、セロトニン受容体に選択的なインバースアゴニストを抗精神病剤と組み合わせて前記患者に有効量投与することを含む方法。
【請求項37】
精神神経疾患が、統合失調症、分裂情動障害、躁病、痴呆に関連する行動障害および精神病性うつ病からなる群より選択される、請求項36の方法。
【請求項38】
セロトニン受容体が5HT2A受容体である、請求項36の方法。
【請求項39】
セロトニン受容体が5HT2C受容体である、請求項36の方法。
【請求項40】
インバースアゴニストが5HT2A受容体または5HT2C受容体に結合する、請求項36の方法。
【請求項41】
インバースアゴニストが式(I)の化合物である、請求項36の方法。
【請求項42】
抗精神病剤が、クロルプロマジン(THORAZINE(商標))、ハロペリドール(HALDOL(商標))、モリンドン(MOBAN(商標))、チオリダジン(MELLARIL(商標))、フェノチアジン類、ブチロフェノン類、ジフェニルブチルピペリジン(ピモジド)、チオキサンチン類(フルフェンチキソール)、置換ベンズアミド類(スルピリド)、セルチンドール、アミスルプリド、リスペリドン、クロザピン、オランザピン、ジプラシドン、アリピプラゾール、およびそれらの活性代謝産物(N−デスメチルクロザピン、N−デスメチルオランザピン、9−OH−リスペリドン)からなる群より選択される、請求項36の方法。
【請求項43】
インバースアゴニストが式(I)の化合物である、請求項42の方法。
【請求項44】
式(I):
【化2】

の構造を持つ化合物。
【請求項45】
モノアミン受容体の活性を阻害する方法であって、前記モノアミン受容体または前記モノアミン受容体を含有する系を、前記モノアミン受容体の活性を阻害するのに有効な量の式(I)の化合物と接触させることを含む方法。
【請求項46】
モノアミン受容体がセロトニン受容体である、請求項45の方法。
【請求項47】
セロトニン受容体が5−HT2Aサブクラスである、請求項46の方法。
【請求項48】
セロトニン受容体が中枢神経系にある、請求項46の方法。
【請求項49】
セロトニン受容体が末梢神経系にある、請求項46の方法。
【請求項50】
セロトニン受容体が血液細胞中または血小板中にある、請求項46の方法。
【請求項51】
セロトニン受容体が突然変異または修飾を受けている、請求項45の方法。
【請求項52】
活性がシグナル伝達活性である、請求項45の方法。
【請求項53】
活性が構成的である、請求項45の方法。
【請求項54】
活性がセロトニン受容体活性化に関連する、請求項45の方法。
【請求項55】
モノアミン受容体の活性化を阻害する方法であって、前記モノアミン受容体または前記モノアミン受容体を含有する系を、前記モノアミン受容体の活性化を阻害するのに有効な量の式(I)の化合物と接触させることを含む方法。
【請求項56】
活性化がアゴニスト剤によるものである、請求項55の方法。
【請求項57】
アゴニスト剤が外因性である、請求項56の方法。
【請求項58】
アゴニスト剤が内因性である、請求項56の方法。
【請求項59】
活性化が構成的である、請求項55の方法。
【請求項60】
モノアミン受容体がセロトニン受容体である、請求項55の方法。
【請求項61】
セロトニン受容体が5−HT2Aサブクラスである、請求項60の方法。
【請求項62】
セロトニン受容体が中枢神経系にある、請求項60の方法。
【請求項63】
セロトニン受容体が末梢神経系にある、請求項60の方法。
【請求項64】
セロトニン受容体が血液細胞中または血小板中にある、請求項60の方法。
【請求項65】
セロトニン受容体が突然変異または修飾を受けている、請求項60の方法。
【請求項66】
モノアミン受容体に関連する疾患状態を処置する方法であって、そのような処置を必要とする対象に、式(I)の化合物を治療有効量投与することを含む方法。
【請求項67】
疾患状態が、統合失調症、精神病、片頭痛、高血圧、血栓症、血管痙攣、虚血、うつ病、不安、睡眠障害および食欲障害からなる群より選択される、請求項66の方法。
【請求項68】
疾患状態がモノアミン受容体の機能障害に関連する、請求項66の方法。
【請求項69】
疾患状態がモノアミン受容体の活性化に関連する、請求項66の方法。
【請求項70】
疾患状態がモノアミン受容体の増加した活性に関連する、請求項66の方法。
【請求項71】
モノアミン受容体がセロトニン受容体である、請求項66の方法。
【請求項72】
セロトニン受容体が5−HT2Aサブクラスである、請求項71の方法。
【請求項73】
セロトニン受容体が中枢神経系にある、請求項71の方法。
【請求項74】
セロトニン受容体が末梢神経系にある、請求項71の方法。
【請求項75】
セロトニン受容体が血液細胞中または血小板中にある、請求項71の方法。
【請求項76】
セロトニン受容体が突然変異または修飾を受けている、請求項71の方法。
【請求項77】
統合失調症を処置する方法であって、そのような処置を必要とする対象に、式(I)の化合物を治療有効量投与することを含む方法。
【請求項78】
片頭痛を処置する方法であって、そのような処置を必要とする対象に、式(I)の化合物を治療有効量投与することを含む方法。
【請求項79】
精神病を処置する方法であって、そのような処置を必要とする対象に、式(I)の化合物を治療有効量投与することを含む方法。
【請求項80】
式(I)の化合物に応答する素因を対象に与える遺伝子多型を同定する方法であって、前記化合物を対象に治療有効量投与することと、前記化合物に対する前記対象の応答を測定することにより、モノアミン受容体に関連する疾患状態が改善している応答性対象を同定することと、その応答性対象における遺伝子多型を同定することとを含み、その遺伝子多型が前記化合物に応答する素因を対象に与える方法。
【請求項81】
改善される疾患状態が5−HTクラスまたは5−HT2Aサブクラスのモノアミン作動性受容体に関連する、請求項80の方法。
【請求項82】
式(I)の化合物による処置に適した対象を同定する方法であって、前記化合物に応答する素因を対象に与える多型の存在を検出することを含み、前記多型の存在が、その対象は式(I)の化合物による処置に適していることを示す方法。
【請求項83】
治療用の、ドーパミン作動活性を増加させる薬剤と組み合わされた、セロトニン受容体に選択的なインバースアゴニスト。
【請求項84】
セロトニン受容体が5HT2A受容体である、請求項83の組合せ。
【請求項85】
セロトニン受容体が5HT2C受容体である、請求項83の組合せ。
【請求項86】
インバースアゴニストが5HT2A受容体または5HT2C受容体に結合する、請求項83の組合せ。
【請求項87】
ドーパミン作動活性を増加させる薬剤が、レボドパ、SINAMET(商標)、SINAMETCR(商標)、ブロモクリプチン(PARLODEL(商標))、ペルゴリド(PERMAX(商標))、硫酸エフェドリン(EPHEDRINE(商標))、ペモリン(CYLERT(商標))、マチンドール(SANOREX(商標))、d,1−α−メチルフェネチルアミン(ADDERALL(商標))、メチルフェニデート(RITALIN(商標))、プラミペキソール(MIRAPEX(商標))、モダフィニル(PROVIGIL(商標))、およびロピニロール(REQUIP(商標))からなる群より選択される、請求項83の組合せ。
【請求項88】
治療用の式(I)の化合物。
【請求項89】
治療用の、ドーパミン作動活性を増加させる薬剤と組み合わされた、式(I)の化合物。
【請求項90】
ドーパミン作動活性を増加させる薬剤が、レボドパ、SINAMET(商標)、SINAMETCR(商標)、ブロモクリプチン(PARLODEL(商標))、ペルゴリド(PERMAX(商標))、硫酸エフェドリン(EPHEDRINE(商標))、ペモリン(CYLERT(商標))、マチンドール(SANOREX(商標))、d,1−α−メチルフェネチルアミン(ADDERALL(商標))、メチルフェニデート(RITALIN(商標))、プラミペキソール(MIRAPEX(商標))、モダフィニル(PROVIGIL(商標))、およびロピニロール(REQUIP(商標))からなる群より選択される、請求項89の組合せ。
【請求項91】
神経変性疾患を処置するための医薬の製造における、ドーパミン作動活性を増加させる薬剤と組み合わされた、セロトニン受容体に選択的なアゴニストの使用。
【請求項92】
神経変性疾患が、パーキンソン病、ハンチントン病、アルツハイマー病、脊髄小脳萎縮、トゥーレット症候群、フリードライヒ失調、マシャド・ジョセフ病、レビー小体痴呆、ジストニア、進行性核上性麻痺、および前頭側頭型痴呆からなる群より選択される、請求項91の使用。
【請求項93】
セロトニン受容体が5HT2A受容体である、請求項91の使用。
【請求項94】
セロトニン受容体が5HT2C受容体である、請求項91の使用。
【請求項95】
インバースアゴニストが5HT2A受容体または5HT2C受容体に結合する、請求項91の使用。
【請求項96】
インバースアゴニストが式(I)の化合物である、請求項91の使用。
【請求項97】
ドーパミン作動活性を増加させる薬剤が、レボドパ、SINAMET(商標)、SINAMETCR(商標)、ブロモクリプチン(PARLODEL(商標))、ペルゴリド(PERMAX(商標))、硫酸エフェドリン(EPHEDRINE(商標))、ペモリン(CYLERT(商標))、マチンドール(SANOREX(商標))、d,1−α−メチルフェネチルアミン(ADDERALL(商標))、メチルフェニデート(RITALIN(商標))、プラミペキソール(MIRAPEX(商標))、モダフィニル(PROVIGIL(商標))、およびロピニロール(REQUIP(商標))からなる群より選択される、請求項91の使用。
【請求項98】
治療用の、抗ジスキネジア剤と組み合わされた、セロトニン受容体に選択的なインバースアゴニスト。
【請求項99】
セロトニン受容体が5HT2A受容体である、請求項98の組合せ。
【請求項100】
セロトニン受容体が5HT2C受容体である、請求項98の組合せ。
【請求項101】
インバースアゴニストが5HT2A受容体および5HT2C受容体に結合する、請求項98の組合せ。
【請求項102】
抗ジスキネジア剤が、バクロフェン(Lioresal(商標))、ボツリヌス毒素(Botox(商標))、クロナゼパム(Klonopin(商標))、およびジアゼパム(Valium(商標))からなる群より選択される、請求項98の組合せ。
【請求項103】
治療用の、抗ジスキネジア剤と組み合わされた、式(I)の化合物。
【請求項104】
抗ジスキネジア剤が、バクロフェン(Lioresal(商標))、ボツリヌス毒素(Botox(商標))、クロナゼパム(Klonopin(商標))、およびジアゼパム(Valium(商標))からなる群より選択される、請求項103の組合せ。
【請求項105】
ドーパミン療法に関連するジスキネジアを処置する際に使用するための、セロトニン受容体に選択的なインバースアゴニストと組み合わされた、抗ジスキネジア剤。
【請求項106】
抗ジスキネジア剤が、バクロフェン(Lioresal(商標))、ボツリヌス毒素(Botox(商標))、クロナゼパム(Klonopin(商標))、およびジアゼパム(Valium(商標))からなる群より選択される、請求項105の組合せ。
【請求項107】
セロトニン受容体が5HT2A受容体である、請求項105の組合せ。
【請求項108】
セロトニン受容体が5HT2C受容体である、請求項105の組合せ。
【請求項109】
インバースアゴニストが5HT2A受容体および5HT2C受容体に結合する、請求項105の組合せ。
【請求項110】
インバースアゴニストが式(I)の化合物である、請求項105の組合せ。
【請求項111】
患者が、パーキンソン病、ハンチントン病、アルツハイマー病、脊髄小脳萎縮、トゥーレット症候群、フリードライヒ失調、マシャド・ジョセフ病、レビー小体痴呆、ジストニア、進行性核上性麻痺、および前頭側頭型痴呆からなる群より選択される神経変性疾患を患っている、請求項105の組合せ。
【請求項112】
治療用の、抗ジストニア剤、抗ミオクローヌス剤、または抗振戦剤と組み合わされた、セロトニン受容体に選択的なインバースアゴニスト。
【請求項113】
セロトニン受容体が5HT2A受容体である、請求項112の組合せ。
【請求項114】
セロトニン受容体が5HT2C受容体である、請求項112の組合せ。
【請求項115】
インバースアゴニストが5HT2A受容体および5HT2C受容体に結合する、請求項112の組合せ。
【請求項116】
抗ジストニア剤、抗ミオクローヌス剤、または抗振戦剤が、バクロフェン(LIORESAL(商標))、ボツリヌス毒素(BOTOX(商標))、クロナゼパム(KLONOPIN(商標))、およびジアゼパム(VALIUM(商標))からなる群より選択される、請求項112の組合せ。
【請求項117】
治療用の、抗ジストニア剤、抗ミオクローヌス剤、または抗振戦剤と組み合わされた、式(I)の化合物。
【請求項118】
抗ジストニア剤、抗ミオクローヌス剤、または抗振戦剤が、バクロフェン(LIORESAL(商標))、ボツリヌス毒素(BOTOX(商標))、クロナゼパム(KLONOPIN(商標))、およびジアゼパム(VALIUM(商標))からなる群より選択される、請求項117の組合せ。
【請求項119】
ドーパミン療法に関連するジストニア、ミオクローヌス、または振戦を処置するための医薬の製造における、抗ジストニア剤、抗ミオクローヌス剤、または抗振戦剤と組み合わされた、セロトニン受容体に選択的なアゴニストの使用。
【請求項120】
セロトニン受容体が5HT2A受容体である、請求項119の使用。
【請求項121】
セロトニン受容体が5HT2C受容体である、請求項119の使用。
【請求項122】
インバースアゴニストが5HT2A受容体および5HT2C受容体に結合する、請求項119の使用。
【請求項123】
インバースアゴニストが式(I)の化合物である、請求項119の使用。
【請求項124】
抗ジストニア剤、抗ミオクローヌス剤、または抗振戦剤が、バクロフェン(LIORESAL(商標))、ボツリヌス毒素(BOTOX(商標))、クロナゼパム(KLONOPIN(商標))、およびジアゼパム(VALIUM(商標))からなる群より選択される、請求項119の使用。
【請求項125】
治療用の、抗精神病薬と組み合わされた、セロトニン受容体に選択的なインバースアゴニスト。
【請求項126】
セロトニン受容体が5HT2A受容体である、請求項125の組合せ。
【請求項127】
セロトニン受容体が5HT2C受容体である、請求項125の組合せ。
【請求項128】
インバースアゴニストが5HT2A受容体および5HT2C受容体に結合する、請求項125の組合せ。
【請求項129】
抗精神病薬が、クロルプロマジン(THORAZINE(商標))、ハロペリドール(HALDOL(商標))、モリンドン(MOBAN(商標))、チオリダジン(MELLARIL(商標))、フェノチアジン類、ブチロフェノン類、ジフェニルブチルピペラジン(ピモジド)、チオキサンチン類(フルフェンチキソール)、置換ベンズアミド類(スルピリド)、セルチンドール、アミスルプリド、リスペリドン、クロザピン、オランザピン、ジプラシドン、アリピプラゾール、およびそれらの活性代謝産物(N−デスメチルクロザピン、N−デスメチルオランザピン、9−OH−リスペリドン)からなる群より選択される、請求項125の組合せ。
【請求項130】
治療用の、抗精神病剤と組み合わされた、式(I)の化合物。
【請求項131】
抗精神病剤が、クロルプロマジン(THORAZINE(商標))、ハロペリドール(HALDOL(商標))、モリンドン(MOBAN(商標))、チオリダジン(MELLARIL(商標))、フェノチアジン類、ブチロフェノン類、ジフェニルブチルピペラジン(ピモジド)、チオキサンチン類(フルフェンチキソール)、置換ベンズアミド類(スルピリド)、セルチンドール、アミスルプリド、リスペリドン、クロザピン、オランザピン、ジプラシドン、アリピプラゾール、およびそれらの活性代謝産物(N−デスメチルクロザピン、N−デスメチルオランザピン、9−OH−リスペリドン)からなる群より選択される、請求項130の組合せ。
【請求項132】
ドーパミン療法に関連する精神病を処置するための医薬の製造における、抗精神病剤と組み合わされた、セロトニン受容体に選択的なアゴニストの使用。
【請求項133】
セロトニン受容体が5HT2A受容体である、請求項132の使用。
【請求項134】
セロトニン受容体が5HT2C受容体である、請求項132の使用。
【請求項135】
インバースアゴニストが5HT2A受容体および5HT2C受容体に結合する、請求項132の使用。
【請求項136】
インバースアゴニストが式(I)の化合物である、請求項132の使用。
【請求項137】
患者が、パーキンソン病、ハンチントン病、アルツハイマー病、脊髄小脳萎縮、トゥーレット症候群、フリードライヒ失調、マシャド・ジョセフ病、レビー小体痴呆、ジストニア、進行性核上性麻痺、および前頭側頭型痴呆からなる群より選択される神経変性疾患を患っている、請求項132の使用。
【請求項138】
抗精神病剤が、クロルプロマジン(THORAZINE(商標))、ハロペリドール(HALDOL(商標))、モリンドン(MOBAN(商標))、チオリダジン(MELLARIL(商標))、フェノチアジン類、ブチロフェノン類、ジフェニルブチルピペリジン(ピモジド)、チオキサンチン類(フルフェンチキソール)、置換ベンズアミド類(スルピリド)、セルチンドール、アミスルプリド、リスペリドン、クロザピン、オランザピン、ジプラシドン、アリピプラゾール、およびそれらの活性代謝産物(N−デスメチルクロザピン、N−デスメチルオランザピン、9−OH−リスペリドン)からなる群より選択される、請求項132の使用。
【請求項139】
神経精神疾患を処置するための医薬の製造における、抗精神病剤と組み合わされた、セロトニン受容体に選択的なアゴニストの使用。
【請求項140】
神経精神疾患が、統合失調症、分裂情動障害、躁病、痴呆に関連する行動障害および精神病性うつ病からなる群より選択される、請求項139の使用。
【請求項141】
セロトニン受容体が5HT2A受容体である、請求項139の使用。
【請求項142】
セロトニン受容体が5HT2C受容体である、請求項139の使用。
【請求項143】
インバースアゴニストが5HT2A受容体または5HT2C受容体に結合する、請求項139の使用。
【請求項144】
インバースアゴニストが式(I)の化合物である、請求項139の使用。
【請求項145】
抗精神病剤が、クロルプロマジン(THORAZINE(商標))、ハロペリドール(HALDOL(商標))、モリンドン(MOBAN(商標))、チオリダジン(MELLARIL(商標))、フェノチアジン類、ブチロフェノン類、ジフェニルブチルピペリジン(ピモジド)、チオキサンチン類(フルフェンチキソール)、置換ベンズアミド類(スルピリド)、セルチンドール、アミスルプリド、リスペリドン、クロザピン、オランザピン、ジプラシドン、アリピプラゾール、およびそれらの活性代謝産物(N−デスメチルクロザピン、N−デスメチルオランザピン、9−OH−リスペリドン)からなる群より選択される、請求項139の使用。
【請求項146】
モノアミン受容体の活性を阻害するための医薬の製造における式(I)の化合物の使用。
【請求項147】
モノアミン受容体がセロトニンである、請求項146の使用。
【請求項148】
セロトニン受容体が5−HT2Aサブクラスである、請求項146の使用。
【請求項149】
セロトニン受容体が中枢神経系にある、請求項146の使用。
【請求項150】
セロトニン受容体が末梢神経系にある、請求項146の使用。
【請求項151】
セロトニン受容体が血液細胞中または血小板中にある、請求項146の使用。
【請求項152】
セロトニン受容体が突然変異または修飾を受けている、請求項146の使用。
【請求項153】
活性がシグナル伝達活性である、請求項146の使用。
【請求項154】
活性が構成的である、請求項146の使用。
【請求項155】
活性がセロトニン受容体活性化に関連する、請求項146の使用。
【請求項156】
モノアミン受容体の活性化を阻害するための医薬の製造における式(I)の化合物の使用。
【請求項157】
活性化がアゴニスト剤によるものである、請求項156の使用。
【請求項158】
アゴニスト剤が外因性である、請求項156の使用。
【請求項159】
アゴニスト剤が内因性である、請求項156の使用。
【請求項160】
活性化が構成的である、請求項156の使用。
【請求項161】
モノアミン受容体がセロトニン受容体である、請求項156の使用。
【請求項162】
セロトニン受容体が5−HT2Aサブクラスである、請求項161の使用。
【請求項163】
セロトニン受容体が中枢神経系にある、請求項161の使用。
【請求項164】
セロトニン受容体が末梢神経系にある、請求項161の使用。
【請求項165】
セロトニン受容体が血液細胞中または血小板中にある、請求項161の使用。
【請求項166】
セロトニン受容体が突然変異または修飾を受けている、請求項161の使用。
【請求項167】
モノアミン受容体に関連する疾患状態を処置するための医薬の製造における式(I)の化合物の使用。
【請求項168】
疾患状態が、統合失調症、精神病、片頭痛、高血圧、血栓症、血管痙攣、虚血、うつ病、不安、睡眠障害および食欲障害からなる群より選択される、請求項167の使用。
【請求項169】
疾患状態がモノアミン受容体の機能障害に関連する、請求項167の使用。
【請求項170】
疾患状態がモノアミン受容体の活性化に関連する、請求項167の使用。
【請求項171】
疾患状態がモノアミン受容体の増加した活性に関連する、請求項167の使用。
【請求項172】
モノアミン受容体がセロトニン受容体である、請求項167の使用。
【請求項173】
セロトニン受容体が5−HT2Aサブクラスである、請求項172の使用。
【請求項174】
セロトニン受容体が中枢神経系にある、請求項172の使用。
【請求項175】
セロトニン受容体が末梢神経系にある、請求項172の使用。
【請求項176】
セロトニン受容体が血液細胞中または血小板中にある、請求項172の使用。
【請求項177】
セロトニン受容体が突然変異または修飾を受けている、請求項172の使用。
【請求項178】
統合失調症を処置するための医薬の製造における式(I)の化合物の使用。
【請求項179】
片頭痛を処置するための医薬の製造における式(I)の化合物の使用。
【請求項180】
精神病を処置するための医薬の製造における式(I)の化合物の使用。
【請求項181】
式(I)の化合物に応答する素因を対象に与える遺伝子多型を同定するための式(I)の化合物の使用であって、応答性対象への前記化合物の投与がモノアミン受容体に関連する疾患状態の改善をもたらす使用。
【請求項182】
改善される疾患状態が5−HTクラスまたは5−HT2Aサブクラスのモノアミン作動性受容体に関連する、請求項181の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2006−516284(P2006−516284A)
【公表日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−501009(P2006−501009)
【出願日】平成16年1月15日(2004.1.15)
【国際出願番号】PCT/US2004/001234
【国際公開番号】WO2004/064738
【国際公開日】平成16年8月5日(2004.8.5)
【出願人】(502295674)アカディア ファーマシューティカルズ,インコーポレーテッド (16)
【Fターム(参考)】