説明

神経学的疾患の処置のためのピペラジンおよびピペラジン誘導体

本発明は、ピペリジンおよびピペリジン誘導体に関する。これらの誘導体は、ニューロン損傷(特に、神経学的疾患に関連する損傷)を処置するため、または予防するために、特に有用である。これらの化合物はまた、神経成長を刺激するために有用である。本発明はまた、本発明の化合物を含む組成物を提供する。本発明はまた、ニューロン損傷を処理するかまたは予防するため、あるいは神経成長を刺激するために、上記組成物を利用する方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の援用)
本願は、2002年10月3日に出願した米国特許仮出願番号60/416,134の利益を主張する。この米国特許仮出願の開示全体は、参考として本明細書中に援用される。
【0002】
(発明の技術分野)
本発明は、ピペラジンおよびピペラジン誘導体に関し、これらは、ニューロン損傷(特に、神経学的疾患に関連する損傷)を処置または予防するために特に有用である。これらの化合物はまた、神経成長を刺激するために有用である。本発明はまた、本発明の化合物を含む組成物、およびニューロン損傷を処置もしくは予防するため、または神経成長を刺激するための、上記組成物を利用する方法を提供する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
神経学的疾患は、ニューロン細胞の死またはニューロン細胞に対する損傷と関連がある。神経学的疾患の代表的処置は、ニューロン細胞死を阻害可能である薬物を含む。より最近のアプローチは、ニューロン成長を促進することにより神経再生の促進を含む。
【0004】
ニューロン成長は、ニューロンの生存のために重要であり、これは、神経成長因子(NGF)によってインビトロで刺激される。例えば、神経膠細胞株由来神経栄養因子(GDNF)は、インビボおよびインビトロの両方で神経栄養活性を示し、現在は、パーキンソン病の処置について調査中である。インスリンおよびインスリン様増殖因子は、ラット褐色細胞腫PC12細胞ならびに培養交感ニューロンおよび感覚ニューロンにおいて、神経突起の成長を刺激することが示されている[Recio−Pintoら、J.Neurosci.,6,pp.1211〜1219(1986)]。インスリンおよびインスリン様増殖因子はまた、損傷した運動神経の再生をインビボおよびインビトロで刺激する[Nearら、Proc.Natl.Acad.Sci.pp.89,11716〜11720(1992);およびEdbladhら、Brain Res.641,pp.76〜82(1994)]。同様に、線維芽細胞増殖因子(FGF)は、神経増殖を刺激し[D.Gospodarowiczら、Cell Differ.,19,p.1(1986)]および神経成長を刺激する[M.A.Walterら、Lymphokine Cytokine Res.12,p.135(1993)]。
【0005】
しかし、神経学的疾患を処置するための神経成長因子の使用に関連するいくつかの不利点が存在する。これらは、血液脳関門を容易には通過しない。これらは、血漿中では不安定であり、これらは、乏しい薬物送達特性しか有さない。
【0006】
最近、低分子が、神経突起の成長をインビボで刺激することが示されている。神経学的疾患に罹患しちえる個体において、このニューロン成長刺激は、ニューロンがさらに変性することから保護し、神経細胞の再生を加速する。例えば、エストロゲンは、軸索および樹状突起の成長を促進することが示されている。これらは、神経細胞から出ている神経突起であり、発生中の脳または損傷した成体の脳において互いに連絡している[C.Dominique、Toran−Allerandら、J.Steroid Biochem.Mol.Biol.56,pp.169〜78(1996);およびB.S.McEwenら、Brain Res.Dev.Brain.Res.87,pp.91〜95(1995)]。アルツハイマー病の進行は、エストロゲンを摂取している女性において遅延される。エストロゲンは、NGFおよび他のニューロトロフィンを補完することによってニューロンが分化および生存するのを補助すると仮説を立てられている。
【0007】
神経変性疾患の処置のための他の標的部位は、イムノフィリンクラスのタンパク質である。イムノフィリンは、免疫抑制剤(例えば、シクロスポリンA、FK506、およびラパマイシン)の作用を媒介する可溶性タンパク質のファミリーである。特に興味深いのは、12kDaのイムノフィリンであり、これは、FK−506結合タンパク質(FKBP12)である。FKBP12は、FK506およびラパマイシンに結合し、これにより、T細胞の活性化および増殖の阻害がもたらされる。興味深いことに、FK506およびラパマイシンの作用機構は、異なる。概説について、S.H.Solomonら、Nature Med.1,pp.32〜37(1995)を参照のこと。タンパク質のロトマーゼ活性を阻害するFKBP12に対する親和性を有する化合物は、神経成長刺激活性を保有することが、報告されている[Lyonsら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,91,pp.3191〜3195(1994)]。これらのこのような化合物の多くはまた、免疫抑制活性を有する。
【0008】
FK506(タクロリムス)は、PC12細胞および知覚神経節において神経突起の成長を刺激する際に、NGFを相乗的に作用することが示されている[Lyonsら(1994)]。この化合物はまた、限局性大脳虚血において神経保護的であることが示されており[J.SharkeyおよびS.P.Butcher,Nature、371、pp.336〜339(1994)]、損傷した坐骨神経において軸索再生の速度を増加することが示されている[B.Goldら、J.Neurosci.15,pp.7509〜16(1995)]。
【0009】
しかし、免疫抑制化合物の使用は、これらの化合物を用いる長期処置により腎毒性が引き起こされ得るという欠点[Koppら、J.Am.Soc.Nephrol.1,@.162(1991)]、神経学的欠損という欠点[P.C.DeGroenら、N.Eng.J.Med.317,p.861(1987)]および脈管高血圧という欠点[Kahanら、N.Eng.J.Med.321,p.1725(1989)を有する。
【0010】
ロトマーゼ活性を阻害するが免疫抑制機能はその称するところによると欠失しているFKBP結合化合物のサブクラスが、神経成長を刺激する際の使用および神経保護のために、開示されている[米国特許第5,614,547号;WO 96/40633;WO96/410140;WO97/16190;WO98/13343;WO98/13355;WO98/29116;WO98/29117;WO98/35675;WO98/37882;WO 98/37885;J.P.Steinerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,94,pp.2019〜23(1997);およびG.S.Hamiltonら、Bioorg.Med.Chem.Lett.7,pp.1785〜90(1997)参照]。
【0011】
ピペリジン誘導体による神経細胞中の神経軸索の刺激が、WO96/41609に記載される。軸索成長を刺激することについて現在までに公知であるピペリジンおよびピペリジン誘導体の臨床的使用は、有望ではなかった。なぜなら、これらの化合物は、血漿中では安定ではなく、十分な量が血液脳関門を通過しないからである。
【0012】
より最近、FKBPに結合する能力を欠きかつ免疫抑制機能を欠く種類の化合物が、神経成長を刺激する際および神経変性を防止する際の使用について記載されている[WO98/20891;WO98/20892;WO98/20893;およびWO99/10340を参照]。
【0013】
神経学的変性疾患を処置または予防するために広範な種類の化合物が記載されているが、これらのうちのたった2種類しか、現在臨床試験中ではなく、市販化を認可されているものはない。本明細書中に開示される化合物に対する特定の構造類似性を共有する化合物が、米国特許第4,115,569号および同第4,374,990号に記載されているが、これらの特許のいずれみ、本発明の化合物を具体的には教示も示唆もしておらず、そのような化合物が神経成長を刺激する際または神経変性を防止する際に有用性を有するといういかなる教示も存在しない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
従って、神経学的状態に関連するニューロン損傷を予防および/または処置する能力を有する新規な化合物および組成物の発見および設計をする必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
(発明の要旨)
本発明は、式I
【0016】
【化4】

の化合物を提供する。この式において、
各Qは、N、O、またはSから選択される1個〜4個のヘテロ原子を有する3員〜7員の単環式の飽和環または部分不飽和環であり;
Qは、少なくとも1つのNH環原子基を有し;
Q中の4個までの水素原子は、ハロ、−OH、=O、=N−OR、(C〜C)直鎖アルキルもしくは(C〜C)分枝鎖アルキル、Ar置換(C〜C)直鎖アルキルもしくはAr置換(C〜C)分枝鎖アルキル、(C〜C)の直鎖もしくは分枝鎖のアルケニルもしくはアルキニル、Ar置換の(C〜C)の直鎖もしくは分枝鎖のアルケニルもしくはアルキニル、O−(C〜C)直鎖アルキルもしくはO−(C〜C)分枝鎖アルキル、O−[(C〜C)の直鎖もしくは分枝鎖のアルキル]−Ar、O−(C〜C)の直鎖もしくは分枝鎖のアルケニルもしくはアルキニル、O−[(C〜C)直鎖もしくは分枝鎖のアルケニルもしくはアルキニル]−Ar、またはO−Arで、必要に応じて独立して置換され;
各Rは、(C〜C)直鎖アルキルもしくは(C〜C)分枝鎖アルキル、Ar置換(C〜C)直鎖アルキルもしくはAr置換(C〜C)分枝鎖アルキル、シクロアルキル置換(C〜C)直鎖アルキルもしくはシクロアルキル置換(C〜C)分枝鎖アルキル、(C〜C)の直鎖もしくは分枝鎖のアルケニルもしくはアルキニル、またはAr置換(C〜C)の直鎖もしくは分枝鎖のアルケニルもしくはアルキニルから独立して選択され;
中のアルキル鎖、アルケニル鎖、もしくはアルキニル鎖の1個〜2個のCH基は、O、S、S(O)、S(O)、C(O)、またはN(R)で必要に応じて独立して置換されており、ここでRが窒素に結合している場合は、その窒素に直接結合しているRのCH基は、C(O)では置換され得ず;
Arは、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、インデニル、アズレニル、2−フリル、3−フリル、2−チエニル、3−チエニル、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、ピラキソリル、ピラゾリニル、ピラオリジニル、イソキサゾリル、イソチアゾリル、1,2,3−オキサジアゾリル、1,2,3−トリアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、1,2,4−トリアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、1,2,3−チアジアゾリル、ベノキサゾリル、ピリダジニル、2−ピリミジニル、4−ピリミジニル、5−ピリミジニル、ピラジニル、1,3,5−トリアジニル、1,3,5−トリチアニル、インドリジニル、インドリル、イソインドリル、3H−インドリル、インドリニル、ベンゾ[b]フラニル、ベンゾ[b]チオフェニル、1H−インダゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリル、プリニル、4H−キノリニジニル、キノリニリル、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリニル、イソキノリニル、1,2,3,4−テトラヒドロキノリニル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、1,8−ナフチリジニル、または他の任意の化学的に実現可能な単環式環系もしくは二環式環系から選択され、各環は、5員環〜7員環の原子からなり、各環は、N、O、もしくはSから独立して選択される0個〜3個のヘテロ原子を含み、
各Arは、ハロ、ヒドロキシ、ニトロ、−SOH、=O、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、(C〜C)直鎖アルキルもしくは(C〜C)分枝鎖アルキル、(C〜C)直鎖アルケニルもしくは(C〜C)分枝鎖アルケニル、O−[(C〜C)の直鎖もしくは分枝鎖のアルキル]、O−[(C〜C)の直鎖もしくは分枝鎖のアルケニル]、O−ベンジル、O−フェニル、1,2−メチレンジオキシ、−(R)(R)、カルボキシル、N−(C〜Cの直鎖もしくは分枝鎖のアルキルまたはC〜Cの直鎖もしくは分枝鎖のアルケニル)カルボキサミド、N,N−ジ−(C〜Cの直鎖もしくは分枝鎖のアルキルまたはC〜Cの直鎖もしくは分枝鎖のアルケニル)カルボキサミド、N−(C〜Cの直鎖もしくは分枝鎖のアルキルまたはC〜Cの直鎖もしくは分枝鎖のアルケニル)スルホンアミド、あるいはN,N−ジ−(C〜Cの直鎖もしくは分枝鎖のアルキルまたはC〜Cの直鎖もしくは分枝鎖のアルケニル)スルホンアミドから選択される1個〜3個の置換基で必要に応じて独立して置換され;
およびRの各々は、(C〜C)の直鎖もしくは分枝鎖のアルキル、(C〜C)の直鎖もしくは分枝鎖のアルケニルもしくはアルキニル、水素、フェニルまたはベンジルから独立して選択されるか、RおよびRは、そのRおよびRが結合している窒素原子と一緒になって、5員〜7員の複素環式環を形成し;
各Rは、水素、(C〜C)の直鎖もしくは分枝鎖のアルキル、または(C〜C)の直鎖もしくは分枝鎖のアルケニルもしくはアルキニルから独立して選択され;
Xは、C(R、N、N(R)、O、S、S(O)、またはS(O)から選択され;
Yは、結合、−O−、(C〜C)の直鎖もしくは分枝鎖のアルキル、または(C〜C)の直鎖もしくは分枝鎖のアルケニルもしくはアルキニルから選択され、Yは、記載された環に単結合または二重結合を介して結合され;そのアルキル、アルケニル、またはアルキニルのCH基のうちの1個〜2個は、O、S、S(O)、S(O)、C(O)、またはN(R)で必要に応じて独立して置換され;
pは0、1、または2であり;
AおよびBの各々は、水素もしくはArから独立して選択されるか、またはAもしくはBのうちの1つは存在せず;そして
示された環構造中の2つの炭素環原子は、C〜C直鎖アルキルまたはC〜C直鎖アルケニルを介して互いに結合して二環式部分を形成し得る。
【0017】
別の実施形態において、本発明は、式(I)の化合物を含む薬学的組成物を提供する。これらの組成物は、患者において、またはエキソビボでの神経細胞において、ニューロン修復を促進するための方法、またはニューロン損傷を防止するための方法において、利用され得る。より具体的には、本発明の方法は、種々の神経学的疾患を処理する際に有用である。このような疾患の例としては、身体的損傷または身体的疾患(例えば、糖尿病)に起因する末梢神経破壊;中枢神経系(例えば、脳または脊髄)に対する物理的損傷;発作;神経変性に起因する神経学的障害(例えば、パーキンソン病、アルツハイマー病、および筋萎縮性側索硬化症)が挙げられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
(発明の詳細な説明)
本発明は、式(I):
【0019】
【化5】

の化合物を提供する。この式(I)において、
各Qは、N、O、またはSから選択される1個〜4個のヘテロ原子を有する3員〜7員の単環式の飽和環または部分不飽和環であり;
Qは、少なくとも1つのNH環原子基を有し;
Q中の4個までの水素原子は、ハロ、−OH、=O、=N−OR、(C〜C)直鎖アルキルもしくは(C〜C)分枝鎖アルキル、Ar置換(C〜C)直鎖アルキルもしくはAr置換(C〜C)分枝鎖アルキル、(C〜C)の直鎖もしくは分枝鎖のアルケニルもしくはアルキニル、Ar置換の(C〜C)の直鎖もしくは分枝鎖のアルケニルもしくはアルキニル、O−(C〜C)直鎖アルキルもしくはO−(C〜C)分枝鎖アルキル、O−[(C〜C)の直鎖もしくは分枝鎖のアルキル]−Ar、O−(C〜C)の直鎖もしくは分枝鎖のアルケニルもしくはアルキニル、O−[(C〜C)直鎖もしくは分枝鎖のアルケニルもしくはアルキニル]−Ar、またはO−Arで、必要に応じて独立して置換され;
各Rは、(C〜C)直鎖アルキルもしくは(C〜C)分枝鎖アルキル、Ar置換(C〜C)直鎖アルキルもしくはAr置換(C〜C)分枝鎖アルキル、シクロアルキル置換(C〜C)直鎖アルキルもしくはシクロアルキル置換(C〜C)分枝鎖アルキル、(C〜C)の直鎖もしくは分枝鎖のアルケニルもしくはアルキニル、またはAr置換(C〜C)の直鎖もしくは分枝鎖のアルケニルもしくはアルキニルから独立して選択され;
中のアルキル鎖、アルケニル鎖、もしくはアルキニル鎖の1個〜2個のCH基は、O、S、S(O)、S(O)、C(O)、またはN(R)で必要に応じて独立して置換されており、ここでRが窒素に結合している場合は、その窒素に直接結合しているRのCH基は、C(O)では置換され得ず;
Arは、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、インデニル、アズレニル、2−フリル、3−フリル、2−チエニル、3−チエニル、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、ピラキソリル、ピラゾリニル、ピラオリジニル、イソキサゾリル、イソチアゾリル、1,2,3−オキサジアゾリル、1,2,3−トリアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、1,2,4−トリアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、1,2,3−チアジアゾリル、ベノキサゾリル、ピリダジニル、2−ピリミジニル、4−ピリミジニル、5−ピリミジニル、ピラジニル、1,3,5−トリアジニル、1,3,5−トリチアニル、インドリジニル、インドリル、イソインドリル、3H−インドリル、インドリニル、ベンゾ[b]フラニル、ベンゾ[b]チオフェニル、1H−インダゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリル、プリニル、4H−キノリニジニル、キノリニリル、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリニル、イソキノリニル、1,2,3,4−テトラヒドロキノリニル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、1,8−ナフチリジニル、または他の任意の化学的に実現可能な単環式環系もしくは二環式環系から選択され、各環は、5員環〜7員環の原子からなり、各環は、N、O、もしくはSから独立して選択される0個〜3個のヘテロ原子を含み、
各Arは、ハロ、ヒドロキシ、ニトロ、−SOH、=O、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、(C〜C)直鎖アルキルもしくは(C〜C)分枝鎖アルキル、(C〜C)直鎖アルケニルもしくは(C〜C)分枝鎖アルケニル、O−[(C〜C)の直鎖もしくは分枝鎖のアルキル]、O−[(C〜C)の直鎖もしくは分枝鎖のアルケニル]、O−ベンジル、O−フェニル、1,2−メチレンジオキシ、−(R)(R)、カルボキシル、N−(C〜Cの直鎖もしくは分枝鎖のアルキルまたはC〜Cの直鎖もしくは分枝鎖のアルケニル)カルボキサミド、N,N−ジ−(C〜Cの直鎖もしくは分枝鎖のアルキルまたはC〜Cの直鎖もしくは分枝鎖のアルケニル)カルボキサミド、N−(C〜Cの直鎖もしくは分枝鎖のアルキルまたはC〜Cの直鎖もしくは分枝鎖のアルケニル)スルホンアミド、あるいはN,N−ジ−(C〜Cの直鎖もしくは分枝鎖のアルキルまたはC〜Cの直鎖もしくは分枝鎖のアルケニル)スルホンアミドから選択される1個〜3個の置換基で必要に応じて独立して置換され;
およびRの各々は、(C〜C)の直鎖もしくは分枝鎖のアルキル、(C〜C)の直鎖もしくは分枝鎖のアルケニルもしくはアルキニル、水素、フェニルまたはベンジルから独立して選択されるか、RおよびRは、そのRおよびRが結合している窒素原子と一緒になって、5員〜7員の複素環式環を形成し;
各Rは、水素、(C〜C)の直鎖もしくは分枝鎖のアルキル、または(C〜C)の直鎖もしくは分枝鎖のアルケニルもしくはアルキニルから独立して選択され;
Xは、C(R、N、N(R)、O、S、S(O)、またはS(O)から選択され;
Yは、結合、−O−、(C〜C)の直鎖もしくは分枝鎖のアルキル、または(C〜C)の直鎖もしくは分枝鎖のアルケニルもしくはアルキニルから選択され、Yは、記載された環に単結合または二重結合を介して結合され;そのアルキル、アルケニル、またはアルキニルのCH基のうちの1個〜2個は、O、S、S(O)、S(O)、C(O)、またはN(R)で必要に応じて独立して置換され;
pは0、1、または2であり;
AおよびBの各々は、水素もしくはArから独立して選択されるか、またはAもしくはBのうちの1つは存在せず;そして
示された環構造中の2つの炭素環原子は、C〜C直鎖アルキルまたはC〜C直鎖アルケニルを介して互いに結合して二環式部分を形成し得る。
【0020】
用語「環原子」とは、本明細書中で使用される場合、その環を構成する骨格の原子を指す。そのような環原子は、C、N、OまたはSから選択され、2個または3個のそのような環原子(二環式環系中の特定の環原子の場合は、3個)に結合する。用語「環原子」は、水素は包含しない。
【0021】
用語「アルキル」および「アルケニル」は、Yの定義において使用される場合に、Yに結合している部分によって適切な価が完成される脂肪族部分の部分を示す(すなわち、一端において、Yが結合している環原子;もう一端において、AおよびB)ことが、当業者にとって容易に明らかである。従って、例えば、本発明の目的のために、Yは、以下の構造(部分は、太字で示されるYを示す)の各々におけるCアルキルと見なされる:
【0022】
【化6】


【0023】
好ましい実施形態において、Qは、1つの非置換窒素ヘテロ原子を有する、3員〜7員の単環式の飽和環または不飽和環である。
【0024】
本発明のより好ましい実施形態に従って、式(I)の化合物中のQは、1つの非置換窒素環原子と4個〜5個の炭素環原子とをそれぞれ含む、5員〜6員の部分不飽和または完全飽和の複素環式環から選択され、その環は、3員環に必要に応じて縮合される。より好ましくは、Qは、1つの非置換窒素環原子と、4個〜5個の炭素環原子とをそれぞれ含む、5員〜6員の部分不飽和または完全飽和の環である。より好ましいのは、Qが、環原子のうちの1つにおいてフェニル、メチル、またはヒドロキシで必要に応じて置換されている、ピペリジルまたはピロリジルである場合である。なおより好ましいのは、Qが、非置換ピペリジルまたは非置換ピロリジルである場合である。
【0025】
別の好ましい実施形態によると、Rは、(C〜C)直鎖アルキル、(C〜C)直鎖アルキルAr、(C〜C)直鎖アルキル−シクロアルキル、(C〜C)の直鎖もしくは分枝鎖のアルケニル、または(C〜C)の直鎖もしくは分枝鎖のアルケニル−Arから選択される。なおより好ましいのは、Rが、メチル、エチル、−CH−フェニル、−CH−メチルフェニル、−CH−メトキシフェニル、−CH−フルオロフェニル、−CH−ジフルオロフェニル、−CH−CH−フェニル、−CH−シクロプロピル、−CH−CH=C(CH、−CH−CH=CH、または−CH−CH=CH−フェニルから選択される場合である。
【0026】
なお別の好ましい実施形態において、pは0または1であり、XがCまたはNである。
【0027】
式(I)の化合物の別の好ましい実施形態において、Yは、結合、−O−、−CH<、または=CH<である。
【0028】
別の好ましい実施形態に従って、AまたはBのうちの一方は、存在しないか、または水素、フェニル、クロロフェニル、ジクロロフェニル、フルオロフェニル、もしくはジフルオロフェニルから選択され、AまたはBのうちのもう一方は、フェニル、クロロフェニル、ジクロロフェニル、フルオロフェニル、またはジフルオロフェニルから選択される。
【0029】
別の実施形態に従って、本発明は、式IA:
【0030】
【化7】

を有する化合物を提供し、式IAにおいて、
nは、1または2であり;
AおよびBの各々は、フェニル、クロロフェニル、ジクロロフェニル、フルオロフェニル、またはジフルオロフェニルから独立して選択される。
【0031】
好ましくは、nは1である。別の好ましい実施形態に従って、nは2である。
【0032】
最も好ましくは、本発明の化合物は、以下の式:
【0033】
【化8】

を有する。
【0034】
式(I)の化合物は、立体異性体、幾何異性体、または安定な互変異性体であり得る。本発明は、すべての可能な異性体(例えば、E異性体およびZ異性体、SエナンチオマーおよびRエナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ化合物、およびこれらの混合物)を想定する。
【0035】
本発明の化合物は、公知の合成方法を使用して容易に調製され得る。例えば、式(I)の化合物は、下記にスキームIにおいて示されるように調製され得る:
【0036】
【化9】


【0037】
上記に示したスキームでは、以下の略号を用いる:iPrEtN=ジイソプロピルエチルアミン;DCM=ジクロロメタン。
【0038】
当業者は、式(I)の他の化合物を調製するための類似の合成方法を熟知している。
【0039】
本発明の化合物の神経成長刺激活性は、当該分野で公知のいくつかの細胞培養アッセイを用いて最初にアッセイされ得る。例えば、本発明の化合物は、Lyonsら,PNAS,91,3191−3195頁(1994)によって記載される通りのクロム親和性細胞腫PC12細胞を用いて、軸索突起増殖アッセイにおいて試験され得る。類似のアッセイは、SH−SY5Yヒト神経芽細胞腫細胞において実施され得る。あるいは、米国特許5,614,547またはG.S.Hamiltonら,Bioorg.Med.Chem.Lett.(1997)およびその中に引用される参考文献に記載されるニワトリ後根神経節アッセイが利用され得る。
【0040】
本発明の化合物はまた、パーキンソン病のマウスモデル[J.P.Steinerら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,94,頁2019−23 (1997),米国特許5,721,256]を用いてインビボで、またはラットにおいて外科手術的坐骨神経粉砕後に、神経成長刺激活性についてアッセイされ得る。
【0041】
本発明の化合物の神経保護活性は、NMDAに対するグルタミン酸レセプターにその後曝露される、培養中のラット胚腹側中脳細胞を用いてアッセイされ得る。このアッセイは、実施例の節に詳細に記載される。
【0042】
別の実施形態によれば、本発明は、式(I)の化合物および薬学的に受容可能なキャリアを含む組成物を提供する。
【0043】
これらの薬学的組成物において用いられ得る薬学的に受容可能なキャリアとしては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、血清タンパク質(例えば、ヒト血清アルブミン、緩衝物質(例えば、ホスフェート、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物性脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、塩または電解質(例えば、硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸カリウム、塩化ナトリウム)、亜鉛塩、コロイド状シリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロースベースの物質、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリレート、ワックス、ポリエチレン−ポリオキシプロピレン−ブロックポリマー、ポリエチレングリコールおよび羊毛脂。
【0044】
別の実施形態では、本発明の薬学的組成物は、式(I)の化合物、薬学的に受容可能なキャリア、および1以上さらなる治療剤から構成される。
【0045】
例えば、さらなる薬剤は、神経栄養因子であり得る。
【0046】
本明細書中で用いられる用語「神経栄養因子」とは、神経組織の成長または増殖を刺激し得る、化合物をいう。多数の神経栄養因子が当該分野で同定されており、これらの因子のいずれもが、本発明の組成物において利用され得る。これらの神経栄養因子としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:神経成長因子(NGF)、インスリン様増殖因子(IGF−1)およびそれらの活性な短縮誘導体(例えば、gIGF−1およびDes(1−3)IGF−I)、酸性および塩基性の線維芽細胞増殖因子(それぞれ、aFGFおよびbFGF)、血小板由来増殖因子(PDGF)、脳由来神経栄養因子(BDNF)、毛様体神経栄養因子(CNTF)、グリア細胞株由来神経栄養因子(GDNF)、ニューロトロフィン−3(NT−3)およびニューロトロフィン4/5(NT−4/5)。本発明の組成物において最も好ましい神経栄養因子は、NGFである。
【0047】
本明細書中で用いる場合、本発明の薬学的組成物および方法において用いられる、記載された化合物は、それらの薬学的に受容可能な誘導体を含むと定義される。「薬学的に受容可能な誘導体」は、本発明の化合物の任意の薬学的に受容可能な塩、エステルもしくはこのようなエステルの塩、または患者に投与されると、本発明の化合物を(直接的もしくは間接的に)提供し得る任意の他の化合物、または疾患もしくは物理的外傷からのニューロンの損傷の修復もしくは予防を促進する能力によって特徴付けられる、それらの代謝産物もしくは残部を示す。
【0048】
記載された化合物の薬学的に受容可能な塩が用いられる場合、これらの塩は好ましくは、無機酸または有機酸および無機塩基または有機塩基に由来する。このような酸性塩に含まれるのは、以下である:酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、樟脳酸塩、樟脳スルホン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、シュウ酸塩、パモエート(palmoate)、ペクチン酸塩(pectinate)、過硫酸塩、3−フェニル−プロピオン酸塩、ピクリン酸塩、ピバレート(pivalate)、プロピオン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トシレートおよびウンデカン酸塩。塩基性塩としては、以下が挙げられる:アンモニウム塩、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩およびカリウム塩)、アルカリ土類金属塩(例えば、カルシウム塩およびマグネシウム塩)、有機塩基を有する塩(例えば、ジシクロヘキシルアミン塩、N−メチル−D−グルカミンおよびアミノ酸(例えば、アルギニン、リジンなど)を有する塩)。また、塩基性窒素含有基は、以下のような薬剤を用いて四級化され得る:ハロゲン化低級アルキル(例えば、塩化メチル、臭化メチル、ヨウ化メチル、塩化エチル、臭化エチル、ヨウ化エチル、塩化プロピル、臭化プロピル、ヨウ化プロピル、塩化ブチル、臭化ブチルおよびヨウ化ブチル);硫酸ジアルキル(例えば、硫酸ジメチル、硫酸ジエチル、硫酸ジブチルおよび硫酸ジアミル)、ハロゲン化長鎖(例えば、塩化デシル、塩化ラウリル、塩化ミリスチル、塩化ステアリル、臭化デシル、臭化ラウリル、臭化ミリスチル、臭化ステアリル、ヨウ化デシル、ヨウ化ラウリル、ヨウ化ミリスチルおよびヨウ化ステアリル)、ハロゲン化アラルキル(例えば、臭化ベンジルおよび臭化フェネチルなど)。水溶性、水分散性、油溶性または油分散性の生成物が、これにより得られる。
【0049】
本発明の組成物および方法において利用される、記載される化合物はまた、適切な官能基を付属させて、選択的生物学的特性を増強することにより改変され得る。このような改変は、当該分野で公知であり、そして以下が挙げられる;所定の生物学的系への生物学的透過を増大させる改変(例えば、血液、リンパ系、中枢神経系)、経口アベイラビリティーを増大させる改変注入、注入による投与を許容する溶解度を増大させる能力、代謝を変更する能力、および排出速度を改変する能力。
【0050】
本発明の組成物は、経口的に、非経口的に、吸入スプレーによって、局所的に、直腸に、鼻腔に、頬に、膣に、または移植されたレザバを介して、投与され得る。用語「非経口的に」は、本明細書中で用いられる場合、皮下、静脈内、筋肉内、関節内、滑膜内、今日骨内、蜘蛛膜下内、肝臓内、病巣内および頭蓋内での注射技術または注入技術を包含する。好ましくは、これらの組成物は、経口的、腹腔内または静脈内に投与される。
【0051】
本発明の無菌の注射可能形態の組成物は、水性または油性懸濁物であり得る。これらの懸濁物は、適切な分散剤または湿潤剤および懸濁剤を用いて当該分野で公知の技術に従って処方され得る。無菌の注射可能調製物はまた、例えば、1,3−ブタンジオール中の溶液としての、無毒性の非経口的に受容可能な希釈剤または溶媒中の、無菌の注射可能溶液または注射可能懸濁液であり得る。用いられ得る受容可能なビヒクルおよび溶媒のなかでも特に、水、リンゲル溶液および等張性塩化ナトリウム溶液がある。さらに、無菌の固定油が、溶媒または懸濁媒体として従来用いられる。この目的のために、合成のモノグリセリドまたはジグリセリドを含め、任意の無刺激固定油が用いられ得る。脂肪酸(例えば、オレイン酸およびそのグリセリド誘導体)は、天然の薬学的に受容可能な油(例えば、オリーブ油またはヒマシ油、特に、それらのポリオキシエチレン化版)と同様に、注射可能物の調製において有用である。これらの油溶液または懸濁物はまた、長鎖アルコール希釈剤または分散剤(例えば、Ph.Helvまたは類似のアルコール)を含み得る。
【0052】
本発明の薬学的組成物は、カプセル剤、錠剤、水性懸濁剤または液剤を含め、任意の経口的に受容可能な投薬形態で経口投与され得る。経口用途の錠剤の場合、通常用いられるキャリアとしては、ラクトースおよびコーンスターチが挙げられる。滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム)もまた、代表的に添加される。カプセル剤の形態での経口投与のためには、有用な希釈剤としては、ラクトースおよび乾燥コーンスターチが挙げられる。水性懸濁物が経口用途に必要とされる場合、活性成分は、乳化剤および懸濁剤と合わされる。所望の場合、特定の甘味剤、矯味矯臭剤または着色剤もまた添加され得る。
【0053】
あるいは、本発明の薬学的組成物は、直腸投与のために坐剤の形態で投与され得る。これらは、室温にて固体であるが直腸温度で液体であって、それゆえ、直腸中で溶解して薬物を放出する、適切な非刺激性の賦形剤と、薬剤を混合することによって調製され得る。このような物質としては、カカオ脂、蜜蝋およびポリエチレングリコールが挙げられる。
【0054】
本発明の薬学的組成物はまた、特に処置の標的が局所適用によって容易に到達可能な領域または器官(目、皮膚または下部腸管が挙げられる)を含む場合、局所的に投与され得る。好適な局所処方物は、これらの領域または器官のそれぞれのために、容易に調製される。
【0055】
下部腸管のための局所適用は、直腸座剤処方物(上記参照)または好適な浣腸処方物において、達成され得る。局所的経皮パッチもまた、使用され得る。
【0056】
局所適用のために、薬学的処方物は、1以上のキャリア中に懸濁したかまたは溶解した活性成分を含有する好適な軟膏で処方され得る。本発明の化合物の局所投与のためのキャリアとしては、鉱物油、流動パラフィン、白色ワセリン、プロピレングリコール、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン化合物、乳化ろうおよび水が挙げられるが、これらに限定されない。あるいは、薬学的組成物は、1以上の薬学的に受容可能なキャリア中に懸濁したかまたは溶解した活性成分を含有する好適なローションまたはクリームで処方され得る。好適なキャリアとしては、鉱物油、ソルビタンモノステアレート、ポリそるベート60、セテアリルエステルろう、セテアリルアルコール、2−オクチルドデカノール、ベンジルアルコールおよび水が挙げられるが、これらに限定されない。
【0057】
眼用使用のために、薬学的処方物は、保存料(例えば、塩化ベンジルアルコニウム)を含むかまたは含まない、等張のpH調整済生理食塩水中微粉懸濁液のまたは、好ましくは等張のpH調整済生理食塩水中の溶液として処方され得る。あるいは、眼用使用のために、薬学的組成物は、ワセリンのような軟膏で処方され得る。
【0058】
本発明の薬学的組成物はまた、鼻用エアロゾルまたは吸入薬によって投与され得る。このような組成物は、薬学的処方物の分野で周知の技術に従って調製され、そして生理食塩水中の溶液として、ベンジルアルコールまたはたの好適な保存料、バイオアベイラビリティを増大させるための吸収促進剤、フルオロカーボンおよび/または他の従来の可溶化剤または分散剤として調製され得る。
【0059】
上記化合物、および任意のキャリア物質と合わせられて単回用量形態を産生し得る神経栄養因子の両方の量は、処置される宿主または特定の投与様式に依存して変動する。好ましくは、組成物は、0.01〜100mg/kg体重/日の用量の上記化合物が投与され得るように処方されるべきである。神経栄養因子が組成物中に存在する場合、従って、0.01μg〜100mg/kg体重/日の神経栄養因子が、これらの組成物を受ける患者に投与され得る。
【0060】
また、任意の特定の患者のための特定の用量および処置レジメンは、種々の要因(使用される特定の化合物の活性、年齢、体重、全身的健康、性別、食事、投与の時間、排出率、薬物組み合わせ、および処置する主治医の判断、ならびに処置される特定の疾患の重篤度)に依存することが理解されるべきである。活性成分の量はまた、組成物中の特定の上記化合物および神経栄養因子に依存する。
【0061】
別の実施形態に従い、本発明は、インビボまたはエキソビボの神経細胞の神経損傷の修復または防止を促進するための方法を提供する。このような方法は、神経細胞、神経膠細胞、クロム親和細胞(chromafin cell)または幹細胞を、上述の化合物のいずれかで処置する工程を包含する。好ましくは、この方法は、患者における神経損傷の修復または防止を促進し、この化合物は、薬学的に受容可能なキャリアをさらに含有する組成物内に処方される。これらの方法において使用される化合物の量は、約0.01mg/kg体重/日と100mg/kg体重/日との間である。
【0062】
代替の実施形態に従い、神経損傷の修復または防止を促進する方法は、神経細胞を本発明の薬学的組成物中に含有されるような神経栄養因子で処置するさらなる工程を、包含する。この実施形態は、単回用量形態または別々の多回用量形態で、この化合物および神経栄養剤を投与することを包含する。別々の用量形態が使用される場合、これらは、同時にか、連続的にか、または約5時間未満で交代に投与され得る。
【0063】
別の実施形態に従い、本発明の方法は、神経細胞における軸索成長を刺激するために使用される。従って、この化合物は、広範な種々の疾患または身体的外傷によって引き起こされる神経損傷を処置または防止するために好適である。これらとしては、以下が挙げられるが、いかに限定されない:アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、ハンティングトン病、ツレット症候群、多発性硬化症、発作および発作関連虚血、神経パロパシー(neural paropathy)、他の神経変性疾患、運動神経疾患、末梢神経障害(化学療法誘導性神経障害、坐骨損傷、脊髄および脳の損傷、顔面神経損傷、外科手術および化学療法に関連する神経損傷が挙げられる)、網膜症、黄斑変性、鬱または精神分裂病。
【0064】
神経細胞において軸索成長を刺激するために使用され得る本発明の方法はまた、神経移植片の生存および分化の増加、幹細胞移植物の生存および分化、ならびに神経膠細胞移植物の生存および分化においても有用である。
【0065】
本発明の特に好ましい実施形態において、この方法は、以下に罹患する患者を処置するために使用される:三叉神経痛、舌咽神経痛(glosspharyngeal neuralgia)、ベル麻痺、筋無力症、筋ジストロフィー、筋損傷、進行性筋萎縮、進行性球遺伝性筋萎縮、椎間板ヘルニア症候群(herniated invertebrae disk syndrome、ruptured invertebrae disk syndrome、またはprolapsed invertebrae disk syndrome)、頚椎症、叢障害、胸郭出口破壊症候群、鉛により引き起こされる末梢神経障害、ダプソンにより引き起こされる末梢神経障害、マダニにより引き起こされる末梢神経障害、もしくはポルフィリン症により引き起こされる末梢神経障害のような、神経障害、他の末梢ミエリン障害、アルツハイマー病、ギヤン−バレー症候群、パーキンソン病および他のパーキンソン症候群障害、筋萎縮性側索硬化症、ツレット症候群、多発性硬化症、他の中枢ミエリン障害、発作および発作中関連虚血、神経パロパシー(neural paropathy)、他の神経変性疾患、運動神経疾患、坐骨損傷、糖尿病関連神経障害、脊髄損傷、顔面神経損傷および他の損傷、化学療法誘導性神経障害および他の投薬誘導性神経障害、ハンティングトン病、ならびにびまん性レヴィー小体病(Diffuse Lewy Body disease)、アルツハイマー病−レヴィー小体変種、家族性英国痴呆(FBD)(Famillal British Dementia)、および前頭側頭骨痴呆のようなタンパク質原線維化疾患(protein fibrillization diseases)。
【0066】
より好ましくは、本発明の組成物は、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、アルツハイマー病、発作、神経痛、筋萎縮、およびギヤン−バレー症候群を処置するために使用される。
【0067】
好ましい実施形態に従い、上記の方法は、式IAの化合物を使用する。
【0068】
より好ましくは、上記方法は、化合物9、化合物17および化合物28を使用する。
【0069】
本発明に従う化合物の医薬としての使用のために、これらは、活性成分だけでなくキャリア、補助物質、および/または経腸投与(enteric administration)もしくは非経口投与に好適な添加物もまた含有する薬学的調製物形態で投与される。投与は、カプセル剤または錠剤の形態の固体として、溶液剤、懸濁剤、エリキシル剤、エアロゾル剤もしくは乳剤の経口または舌下投与、または座剤形態での直腸投与であり得、あるいは皮下、筋肉内、もしくは静脈内で与えられ得るか、または局所的にもしくはくも膜下腔内で与えられ得る注射のための溶液の形態でありえる。所望の医薬処方物のための補助物質としては、当該分野で公知の不活性有機キャリアおよび無機キャリア(例えば、水、ゼラチン、アラビアゴム、乳糖、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、タルク、植物油、ポリアルキレングリコールなどが挙げられる。医薬処方物はまた、保存剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、もしくは浸透圧を変えるための塩または緩衝液を含有し得る。
【0070】
注射のための溶液剤または懸濁剤は、非経口投与のために好適であり、特にポリヒドロキシ−エトキシ化ヒマシ油中の活性化合物の水溶液が好適である。
【0071】
界面活性補助物質(例えば、没食子酸の塩、動物性脂質もしくは植物性脂質、またはそれらの混合物、およびリポソームもしくはその構成成分は、キャリア系として使用され得る。
【0072】
本発明の式(I)の化合物およびその薬学的に受容可能な塩の神経栄養作用は、当該分野で公知の幾種かの細胞培養アッセイまたは実施例66に記載のアッセイを使用して、測定され得る。例えば、本発明の化合物は、クロム親和細胞腫PC12細胞を、W.E.Lyonsら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,91,3191−3195頁(1994)に記載されるように使用して、神経突起成長において試験され得る。類似のアッセイが、SH−SY5Yヒト神経芽細胞において実施され得る。あるいは、米国特許第5,614,547号またはG.S.Hamiltonら,Bioorg.Med.Chem.Lett.,(1997)およびこれらにおいて挙げられている参考文献に記載されるニワトリ後根神経節アッセイもまた、使用され得る。
【0073】
本発明の化合物はまた、神経増殖活性について、パーキンソン病のマウスモデルを使用してインビボでアッセイされ得る[J.P.Steinerら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,94,2019−23頁(1997)]。
【0074】
本発明を、より完全に理解するために、以下の実施例を示す。本実施例は、例示の目的のみであり、決して本発明の範囲を限定すると解釈されない。
【実施例】
【0075】
(実施例1)
【0076】
【化10】

(A)ビス−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−メタノール 3)
1−ブロモ−2,4−ジフルオロ−1−ベンゼン(1,201.18g、1.04mol)を、無水エーテル(1L)中に溶解した。ブチルリチウム(1.6M)(665mL、1.06mol)を、−78℃で60分にわたって添加した。−78℃で2時間後、2,4ジフルオロベンズアルデヒド(2,146.65g、1.03mol)を滴下し、温度を−65℃より低く維持した。反応混合物を、室温まで一晩暖めた。反応物を1N HCl(600mL)でクエンチした後、有機層を分離し、水層をエーテルで抽出した(2×1L)。合わせた有機層を、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、次いで、乾燥するまで蒸発させた。粗生成物3(定量可能な収率)を、更なる精製なしで使用した。
【0077】
(B)ビス−(2,4−ジフルオロベンズヒドリル)クロリド 4)
上述のように得られた粗3の無水ベンゼン(750mL)中溶液(273.37g、1.07mol)に、塩化チオニル(88.2mL,1.21mol)を添加した。反応物を還流させ、そしてTLCによってモニターした;さらなる塩化チオニル(2×45ml)を、30分後に加えた。還流下で1時間後、反応物を室温まで冷却し、次いで、減圧下で蒸発させた。残渣を、ヘプタンおよびトルエンの2つのチャージと共沸し、全ての塩化チオニルの名残を除去した。得られた粗4を、直ちに次の工程で使用した。
【0078】
(C)1−[ビス−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−メチル]ピペラジン 6)
粗4(243.9g、0.89mol)を、アセトニトリル(1550ml)中に溶解し、ピペラジン5(765g、8.88mol)を添加した。炭酸カリウム(147.29g、1.7mol)を撹拌しながら加え、そして反応物を一晩還流した。冷却後、混合物を濾過し、そして濾過物を、減圧下で蒸発させた。粗物質を、エチルアセテート(2000ml)中に溶解し、次いで、連続的に水(5×500ml)およびブライン(500ml)で洗浄し、最後に、硫酸ナトリウムで乾燥させた。所望の生成物6(237.66g、88%)を、更なる精製なしに次の工程で使用した。
【0079】
(D)2−{4−[ビス−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−メチル]ピペラジン−1−カルボニル}−ピペリジン−1−カルボン酸(tert−ブチルエステル 8)
(S)−(−)−1−(tert−ブトキシカルボニル)−2−ピペリジン−カルボン酸(7、78.48g、0.34mol)およびトリエチルアミン(95.4ml、0.68mol)の塩化メチレン(2280ml)中溶液に、塩化ピバロイル(pivaloyl)(42.15ml、0.34mol)を室温で滴下した。添加が終わった後、この溶液を2時間撹拌した。次いで、室温で、6(111.0g、0.34mol)の塩化メチレン(580ml)中溶液を、1時間にわたって添加した。この反応混合物を、室温で一晩撹拌し、次いで、10% NaOH(4x1L)およびブライン(2x1L)で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、次いで、減圧下で蒸発させた。得られた乾燥黄色泡状物を、高真空において室温で乾燥させ、純粋生成物8(184.49g)を、92%の収率で得た。
【0080】
(E){4−[ビス−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−メチル]−ピペラジン−1−yl}−ピペリジン−2−イル−メタノン 9)
2−{4−[ビス−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−メチル]ピペラジン−1−カルボニル}−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(8)(13.14g、37.16mmol)の塩化メチレン中(205ml)溶液に、トリフルオロ酢酸を(74ml)室温で滴下した。反応混合物を、3時間撹拌した。反応が完了した後、揮発物を除去し、そしてサンプルを、減圧下で濃縮した。粗物質を、塩化メチレン(100ml)中に溶解し、そして1M NaOH(2×100ml)で洗浄した。有機層を、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で蒸発させて、14.56gの化合物8(収率90%)を、淡黄色オイルとして得た。粗生成物を、340gのシリカゲル上のクロマトグラフィー(溶出液:CHCl/MeOH/NH0H;95/5/0.1)によって精製し、化合物9を、白色固体として得た(8.67g、収率54%、mp=84〜85℃)。
【0081】
質量分析:M+1m/z=436、M+2m/z437(API−ES,ポジティブモード)。最適回転:[α]=−5.0°(c=0.475g/100ml CHCl)。HPLC(カラム:50mm C18)Rt 3.973分(純度97.93%)。
【0082】
({4−[ビス−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−メチル]−ピペラジン−1−イル}−ピペリジン−2−イル−メタノンジヒドロクロリド、9)
化合物9(5.59g、12.8mmol)を、20mlの塩化メチレン中に溶解し、そして200mlのジエチルエーテルで希釈した。1.0M HClのジエチルエーテル中無水溶液(70ml、70mmol)を、滴下した。沈殿物が形成し、そして1.5時間の拡販後、沈殿物を収集しそして減圧下50℃で乾燥させ、ジヒドロクロリド塩(6.06g)を得た。HPLC(C18カラム(150mm)):Rt4.784分(純度100%)。
【0083】
(実施例2)
【0084】
【化11】

(A)ビス−(3,4−ジフルオロ−フェニル)−メタノール 13)
3,4−ジフルオロ−1−ブロモベンゼン 11(200g、1.04mol)を、乾燥ジエチルエーテル(1000ml)に溶解させた。n−ブチルリチウム(ヘキサン中1.6M)の溶液(660ml、1.06mol、1.2eq.)を、窒素下−78℃で1時間にわたって添加した。この反応混合物を、−78℃でさらに2時間攪拌し、その後、温度を−70℃に保ちながら、3,4−ジフルオロベンズアルデヒド 12(146g、1.0eq.)を滴下した。この反応混合物を、−70℃で3時間攪拌した。この反応物を、一晩で室温までゆっくりと温めた。1N HCl(500ml)を添加して、反応をクエンチした。有機相を分離し、そして水相をジエチルエーテル(2×600ml)で抽出した。合わせた有機相を、ブライン(2×500ml)で洗浄し、そして硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を除去した後、258g(98%)の粗生成物13を、褐色油として得た。この粗生成物を、さらに精製せずに次の反応に使用した。
【0085】
(B)ビス−(3,4−ジフルオロベンズヒドリル)クロライド 14)
塩化チオニル(136.8g、1.15mol、1.15eq.)を、乾燥ベンゼン(750ml)中の13(258g、1mol)の溶液に滴下した。この反応物を還流し、TLCによりモニタリングした。2時間後、さらに塩化チオニル(68g、0.57mol)を添加した。さらに1時間の還流後、この反応物を冷却し、その後、減圧下でエバポレートした。残存する微量の塩化チオニルを共沸して除去するためにヘプタンおよびトルエンの2つの充填物を使用し、268g(97%)の粗生成物14を褐色油として得た。
【0086】
(C)1ー(ビス−(3,4−ジフルオロフェニル)−メチル)−ピペラジン 15)
粗生成物14(248g、0.9mol)を、アセトニトリル(1400ml)に溶解させ、ピペラジン5(752.6g、8.7mol、9.7eq.)を添加した。炭酸カリウム(145g、1.15mol、1.2eq.)を攪拌しながら添加し、その後、この反応物を一晩還流した。冷却後、この混合物を濾過し、濾液を圧力下でエバポレートした。残渣を、塩化メチレン(3000ml)に溶解させ、飽和炭酸水素ナトリウム(2×400ml)およびブライン(500ml)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を除去した後、302gの15を褐色油として得た。
【0087】
(D)2−(4−(ビス−(3,4−ジフルオロ−フェニル)−メチル)ピペラジン−1−カルボニル)−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル 16)
塩化ピバロイル(53g、0.44mol、1eq.)を、塩化メチレン(1500ml)中の(S)−(+)−1−(tert−ブトキシカルボニル)−2−ピペリジンカルボン酸7(100g、0.44mol)およびトリエチルアミン(89g、0.88mol、2.0eq.)の溶液に、室温で1時間にわたって滴下した。室温でさらに2時間攪拌後、塩化メチレン(5000ml)中の15(143g、0.44mol)の溶液を、2時間にわたって添加した。この反応混合物を、室温で一晩攪拌し、その後、NaOH(1N、800ml)およびブライン(2×500ml)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を除去した後、この粗生成物をシリカゲルでのクロマトグラフィー(ヘプタン/酢酸エチル/トリエチルアミン=50/50/1)によって精製して、188g(80%)の純粋物16を無色油として得た。
【0088】
(E)(4−(ビス−(3,4−ジフルオロ−フェニル)−メチル)ピペラジン−1−イル)−ピペラジン−2−イル−メタノン 17)
トリフルオロ酢酸(700ml、9.1mol)を、塩化メチレン(2000ml)中の16(187.8g、0.35mol)の溶液に、室温で2時間にわたって添加した。室温で1時間攪拌した後、TLCで反応の完了を確認し、そして溶媒を真空下で除去した。残渣を、6Lの塩化メチレンに再溶解し、1N NaOH(2×600ml)およびブライン(2×600ml)で洗浄し、そして硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を除去した後、この粗生成物を、シリカゲルで精製(塩化メチレン/メタノール/水酸化アンモニウム=12/1/0.5)して、100gの純粋物を、無色油として得た。
【0089】
質量分析:M+1 m/z=436(API−ES、ポジティブモード)。旋光度:[α]=−2.7(c=0.548g/100ml CHCl)。HPLC(C18カラム(50mm))Rt 4.007分間(99.7%)。
【0090】
(F)(4−(ビス−(3,4−ジフルオロ−フェニル)−メチル)ピペラジン−1−イル)−ピペリジン−2−イル−メタノンジヒドロクロライド 17)
化合物17(5.2g、11.9mmol)を、20mlの塩化メチレンに溶解させ、そして200mlのジエチルエーテルで希釈した。ジエチルエーテル(70ml、70mmol)中の1.0M HClの無水溶液を、滴下した。沈殿物が形成され、1.5時間攪拌した後、この沈殿物を回収し、50℃にて真空下で乾燥させて、ジヒドロ塩化物(6.03g)を得た。HPLC(C18カラム(150mm)):Rt 4.971分間(100%純粋)
(実施例3)
【0091】
【化12】

(A)2−{4−[ビス−(4−フルオロ−フェニル)−メチル]−ピペラジン−1−カルボニル}−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル 27)
塩化ピバロイル(4.3ml、34.9mmol)を、塩化メチレン(150ml)中の(S)−(+)−1−(tert−ブトキシカルボニル)−2−ピペラジンカルボン酸(8g、34.89mmol)およびトリエチルアミン(12.5ml、90mmol)に、室温で15分間にわたって滴下した。1.5時間攪拌した後、塩化メチレン(100ml)中の1−ビス−(4,4’−ジフルオロ−ベンズヒドリル)ピペラジン(9.51g、33mmol)を、1.5時間にわたって添加し、この反応物を室温で一晩攪拌した。この反応物を1N水酸化ナトリウム(2×100ml)およびブラインで洗浄し、この有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒の除去後、この粗生成物を、クロマトグラフィー(シリカゲル)によって精製し、塩化メチレン/酢酸エチル(7/3)で希釈してて、16.5g(定量的収量)の所望の精製物を得た。
【0092】
(B)(4−(ビス−(4−フルオロ−フェニル)−メチル)ピペラジン−1−イル)−ピペラジン−2−イル−メタノンジヒドロクロライド 28)
2−{4−[ビス−(4−フルオロ−フェニル)−メチル]−ピペラジン−1−カルボニル}−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(16.84g、33mmol)を、酢酸エチル(250ml)に溶解させ、5℃まで冷却した。無水塩化水素を、溶液中で泡立て、15分後、沈殿物が形成された。この沈殿物を濾過し、ジエチルエーテルで洗浄し、50℃にて真空下で乾燥させて、15.7gの所望の生成物を得た。
【0093】
質量分析:M+1 m/z=400.4(ES、ポジティブモード)。HPLC(C18カラム(150mm))Rt 3.847分間(100%)。
【0094】
(実施例4)
(神経保護アッセイ)
腹側中脳領域を、15日の齢Sprague−Dawleyラット胚(Harlan)から解剖し、トリプシン処理と粉砕との組み合わせによって単一細胞懸濁液中に解離させた(Costantiniら、Neurobiol Dis.、97〜106頁(1998))。解離VM細胞を、ポリ−L−オルニチンでコーティングした96ウェルプレートに、18%加熱不活性化ウマ血清、0.24%グルコース、2mMグルタミンおよび50u/ml ペニシリン/ストレプトマイシンを補充した100μLのDMEM中の1ウェル当たり85,000細胞の密度でプレートし、そして5% COインキュベーター中でインキュベートした。培養の1日後、(DIV1)、培地を、DMSOまたは種々の濃度の本発明の化合物を含む100μLの規定培地(1×N2カクテル(Gibco−BRL)、0.12%グルコース、2mMグルタミン、および50ユニット/ml ペニシリン/ストレプトマイシンを補充したDMEM)と交換した。DIV5において、神経興奮性傷害を、種々の濃度のグルタメートレセプターアゴニストNMDA(100〜400μM)の添加によって誘導した。培養物を、神経毒と共に20時間インキュベートし、ニューロフィリン化合物の効果を、ParkおよびMytilineou(Brain Res.、599、83−97頁(1992))により発行された手順に従う高親和性H−ドーパミン取込みを使用して評価した。
【0095】
以下の表は、本発明の種々の化合物についての本アッセイの結果を示す。
【0096】
(表1.化合物活性)
【0097】
【表1】

(n.d.=検出せず)。
【0098】
本発明のすべての化合物が、本アッセイにおいて検出可能な活性を示すことが予期される。
【0099】
本発明者らは、本発明の多くの実施形態を記載してきたが、本発明者らの基本的な実施例が、本発明の化合物および方法が利用される他の実施形態を提供するために変更され得ることは明らかである。従って、本発明の範囲が、例えば、実施例によって表される特定の実施形態によってではなく、添付の特許請求の範囲によって規定されることが理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】

【化1】

の化合物であって、
各Qは、N、O、またはSから選択される1個〜4個のヘテロ原子を有する3員〜7員の単環式の飽和環または部分不飽和環であり;
Q中の4個までの水素原子は、ハロ、−OH、=O、=N−OR、(C〜C)直鎖アルキルもしくは(C〜C)分枝鎖アルキル、Ar置換(C〜C)直鎖アルキルもしくはAr置換(C〜C)分枝鎖アルキル、(C〜C)の直鎖もしくは分枝鎖のアルケニルもしくはアルキニル、Ar置換の(C〜C)の直鎖もしくは分枝鎖のアルケニルもしくはアルキニル、O−(C〜C)直鎖アルキルもしくはO−(C〜C)分枝鎖アルキル、O−[(C〜C)の直鎖もしくは分枝鎖のアルキル]−Ar、O−(C〜C)の直鎖もしくは分枝鎖のアルケニルもしくはアルキニル、O−[(C〜C)直鎖もしくは分枝鎖のアルケニルもしくはアルキニル]−Ar、またはO−Arで、必要に応じて独立して置換され;
Qは、少なくとも1つのNH環原子基を有し;
各Rは、(C〜C)直鎖アルキルもしくは(C〜C)分枝鎖アルキル、Ar置換(C〜C)直鎖アルキルもしくはAr置換(C〜C)分枝鎖アルキル、シクロアルキル置換(C〜C)直鎖アルキルもしくはシクロアルキル置換(C〜C)分枝鎖アルキル、(C〜C)の直鎖もしくは分枝鎖のアルケニルもしくはアルキニル、またはAr置換(C〜C)の直鎖もしくは分枝鎖のアルケニルもしくはアルキニルから独立して選択され;
中のアルキル鎖、アルケニル鎖、もしくはアルキニル鎖の1個〜2個のCH基は、O、S、S(O)、S(O)、C(O)、またはN(R)で必要に応じて独立して置換されており、ここでRが窒素に結合している場合は、該窒素に直接結合しているRのCH基は、C(O)では置換され得ず;
Arは、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、インデニル、アズレニル、2−フリル、3−フリル、2−チエニル、3−チエニル、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、ピラキソリル、ピラゾリニル、ピラオリジニル、イソキサゾリル、イソチアゾリル、1,2,3−オキサジアゾリル、1,2,3−トリアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、1,2,4−トリアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、1,2,3−チアジアゾリル、ベノキサゾリル、ピリダジニル、2−ピリミジニル、4−ピリミジニル、5−ピリミジニル、ピラジニル、1,3,5−トリアジニル、1,3,5−トリチアニル、インドリジニル、インドリル、イソインドリル、3H−インドリル、インドリニル、ベンゾ[b]フラニル、ベンゾ[b]チオフェニル、1H−インダゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリル、プリニル、4H−キノリニジニル、キノリニリル、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリニル、イソキノリニル、1,2,3,4−テトラヒドロキノリニル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、1,8−ナフチリジニル、または他の任意の化学的に実現可能な単環式環系もしくは二環式環系から選択され、各環は、5員環〜7員環の原子からなり、各環は、N、O、もしくはSから独立して選択される0個〜3個のヘテロ原子を含み、
各Arは、ハロ、ヒドロキシ、ニトロ、−SOH、=O、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、(C〜C)直鎖アルキルもしくは(C〜C)分枝鎖アルキル、(C〜C)直鎖アルケニルもしくは(C〜C)分枝鎖アルケニル、O−[(C〜C)の直鎖もしくは分枝鎖のアルキル]、O−[(C〜C)の直鎖もしくは分枝鎖のアルケニル]、O−ベンジル、O−フェニル、1,2−メチレンジオキシ、−(R)(R)、カルボキシル、N−(C〜Cの直鎖もしくは分枝鎖のアルキルまたはC〜Cの直鎖もしくは分枝鎖のアルケニル)カルボキサミド、N,N−ジ−(C〜Cの直鎖もしくは分枝鎖のアルキルまたはC〜Cの直鎖もしくは分枝鎖のアルケニル)カルボキサミド、N−(C〜Cの直鎖もしくは分枝鎖のアルキルまたはC〜Cの直鎖もしくは分枝鎖のアルケニル)スルホンアミド、あるいはN,N−ジ−(C〜Cの直鎖もしくは分枝鎖のアルキルまたはC〜Cの直鎖もしくは分枝鎖のアルケニル)スルホンアミドから選択される1個〜3個の置換基で必要に応じて独立して置換され;
およびRの各々は、(C〜C)の直鎖もしくは分枝鎖のアルキル、(C〜C)の直鎖もしくは分枝鎖のアルケニルもしくはアルキニル、水素、フェニルまたはベンジルから独立して選択されるか、RおよびRは、該RおよびRが結合している窒素原子と一緒になって、5員〜7員の複素環式環を形成し;
各Rは、水素、(C〜C)の直鎖もしくは分枝鎖のアルキル、または(C〜C)の直鎖もしくは分枝鎖のアルケニルもしくはアルキニルから独立して選択され;
Xは、C(R、N、N(R)、O、S、S(O)、またはS(O)から選択され;
Yは、結合、−O−、(C〜C)の直鎖もしくは分枝鎖のアルキル、または(C〜C)の直鎖もしくは分枝鎖のアルケニルもしくはアルキニルから選択され、Yは、記載された環に単結合または二重結合を介して結合され;該アルキル、アルケニル、またはアルキニルのCH基のうちの1個〜2個は、O、S、S(O)、S(O)、C(O)、またはN(R)で必要に応じて独立して置換され;
pは0、1、または2であり;
AおよびBの各々は、水素もしくはArから独立して選択されるか、またはAもしくはBのうちの1つは存在せず;そして
示された環構造中の2つの炭素環原子は、C〜C直鎖アルキルまたはC〜C直鎖アルケニルを介して互いに結合して二環式部分を形成し得る、化合物。
【請求項2】
請求項1に記載の化合物であって、Qは、単一の非置換窒素環原子を含む、5員〜6員の部分不飽和または完全飽和の複素環式環である、化合物。
【請求項3】
請求項2に記載の化合物であって、Qは、環炭素原子のうちの1つにてフェニル、メチル、またはヒドロキシで必要に応じて置換されている、ピペリド−2−イルまたはピロリド−2−イルから選択される、化合物。
【請求項4】
請求項1に記載の化合物であって、Rは、(C〜C)直鎖アルキル、(C〜C)直鎖アルキルAr、(C〜C)直鎖アルキルシクロアルキル、(C〜C)の直鎖もしくは分枝鎖のアルケニル、または(C〜C)の直鎖もしくは分枝鎖のアルケニルArから選択される、化合物。
【請求項5】
請求項4に記載の化合物であって、Rは、メチル、エチル、−CH−フェニル、−CH−メチルフェニル、−CH−メトキシフェニル、−CH−フルオロフェニル、−CH−ジフルオロフェニル、−CH−CH−フェニル、−CH−シクロプロピル、−CH−CH=C(CH、−CH−CH=CH、または−CH−CH=CH−フェニルから選択される、化合物。
【請求項6】
請求項1に記載の化合物であって、
pは0または1であり;
XはCまたはNであり;そして
Yは、結合、−O−、−CH<、または−CH=である、
化合物。
【請求項7】
請求項1に記載の化合物であって、AまたはBのうちの一方が、必要に応じて置換されたフェニルまたは必要に応じて置換されたピリジルから選択され、AまたはBのうちのもう一方が、水素、必要に応じて置換されたフェニル、必要に応じて置換されたピリジルから選択されるか、もしくは存在しない、化合物。
【請求項8】
請求項7に記載の化合物であって、AおよびBの各々が、フェニル、クロロフェニル、ジクロロフェニル、フルオロフェニル、またはジフルオロフェニルから独立して選択される、化合物。
【請求項9】
請求項8に記載の化合物であって、AおよびBの各々が、フルオロフェニルまたはジフルロロフェニルから独立して選択される、化合物。
【請求項10】
式IA
【化2】

を有する化合物であって、
nは1または2であり;
AおよびBの各々は、フェニル、クロロフェニル、ジクロロフェニル、フルオロフェニル、またはジフルオロフェニルから独立して選択される、化合物。
【請求項11】
請求項10に記載の化合物であって、該化合物は、化合物9、化合物17、または化合物28のうちのいずれか1つから選択される、化合物。
【請求項12】
神経成長を刺激するためまたは神経変性を防止するために十分な量、請求項1〜11のうちのいずれか1項に記載の化合物と、薬学的に受容可能なキャリアとを含む、組成物。
【請求項13】
請求項12に記載の組成物であって、神経栄養因子をさらに含む、組成物。
【請求項14】
請求項13に記載の組成物であって、前記神経栄養因子は、神経成長因子(NGF)、インスリン様成長因子(IGF−1)、ならびにgIGF−1およびDes(1−3)IGF−1のような該インスリン様成長因子の活性短縮型誘導体、酸性線維芽細胞増殖因子(aFGF)および塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)、血小板由来増殖因子(PDGF)、脳由来神経栄養因子(BDNF)、毛様体神経栄養因子(CNTF)、神経膠細胞株由来神経栄養因子(GDNF)、ニューロトロフィン3(NT−3)、およびニューロトロフィン4/5(NT−4/5)から選択される、組成物。
【請求項15】
請求項12に記載の組成物であって、該組成物は、患者への経口投与または非経口投与のために処方されている、組成物。
【請求項16】
請求項13に記載の組成物であって、該組成物は、患者への経口投与または非経口投与のために処方されている、組成物。
【請求項17】
患者またはエキソビボ神経細胞においてニューロン修復を促進するためまたはニューロン損傷を防止するための方法であって、
該患者または該細胞に、ニューロン修復を促進するかまたはニューロン損傷を防止するために十分な量の化合物を投与する工程
を包含し、該化合物は、
【化3】

を有し、
各Qは、N、O、またはSから選択される1個〜4個のヘテロ原子を有する3員〜7員の単環式の飽和環または部分不飽和環であり;
Q中の4個までの水素原子は、ハロ、−OH、=O、=N−OR、(C〜C)直鎖アルキルもしくは(C〜C)分枝鎖アルキル、Ar置換(C〜C)直鎖アルキルもしくはAr置換(C〜C)分枝鎖アルキル、(C〜C)の直鎖もしくは分枝鎖のアルケニルもしくはアルキニル、Ar置換の(C〜C)の直鎖もしくは分枝鎖のアルケニルもしくはアルキニル、O−(C〜C)直鎖アルキルもしくはO−(C〜C)分枝鎖アルキル、O−[(C〜C)の直鎖もしくは分枝鎖のアルキル]−Ar、O−(C〜C)の直鎖もしくは分枝鎖のアルケニルもしくはアルキニル、O−[(C〜C)直鎖もしくは分枝鎖のアルケニルもしくはアルキニル]−Ar、またはO−Arで、必要に応じて独立して置換され;
Qは、少なくとも1つのNH環原子基を有し;
各Rは、(C〜C)直鎖アルキルもしくは(C〜C)分枝鎖アルキル、Ar置換(C〜C)直鎖アルキルもしくはAr置換(C〜C)分枝鎖アルキル、シクロアルキル置換(C〜C)直鎖アルキルもしくはシクロアルキル置換(C〜C)分枝鎖アルキル、(C〜C)の直鎖もしくは分枝鎖のアルケニルもしくはアルキニル、またはAr置換(C〜C)の直鎖もしくは分枝鎖のアルケニルもしくはアルキニルから独立して選択され;
中のアルキル鎖、アルケニル鎖、もしくはアルキニル鎖の1個〜2個のCH基は、O、S、S(O)、S(O)、C(O)、またはN(R)で必要に応じて独立して置換されており、ここでRが窒素に結合している場合は、該窒素に直接結合しているRのCH基は、C(O)では置換され得ず;
Arは、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、インデニル、アズレニル、2−フリル、3−フリル、2−チエニル、3−チエニル、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、ピラキソリル、ピラゾリニル、ピラオリジニル、イソキサゾリル、イソチアゾリル、1,2,3−オキサジアゾリル、1,2,3−トリアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、1,2,4−トリアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、1,2,3−チアジアゾリル、ベノキサゾリル、ピリダジニル、2−ピリミジニル、4−ピリミジニル、5−ピリミジニル、ピラジニル、1,3,5−トリアジニル、1,3,5−トリチアニル、インドリジニル、インドリル、イソインドリル、3H−インドリル、インドリニル、ベンゾ[b]フラニル、ベンゾ[b]チオフェニル、1H−インダゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリル、プリニル、4H−キノリニジニル、キノリニリル、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリニル、イソキノリニル、1,2,3,4−テトラヒドロキノリニル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、1,8−ナフチリジニル、または他の任意の化学的に実現可能な単環式環系もしくは二環式環系から選択され、各環は、5員環〜7員環の原子からなり、各環は、N、O、もしくはSから独立して選択される0個〜3個のヘテロ原子を含み、
各Arは、ハロ、ヒドロキシ、ニトロ、−SOH、=O、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、(C〜C)直鎖アルキルもしくは(C〜C)分枝鎖アルキル、(C〜C)直鎖アルケニルもしくは(C〜C)分枝鎖アルケニル、O−[(C〜C)の直鎖もしくは分枝鎖のアルキル]、O−[(C〜C)の直鎖もしくは分枝鎖のアルケニル]、O−ベンジル、O−フェニル、1,2−メチレンジオキシ、−N(R)(R)、カルボキシル、N−(C〜Cの直鎖もしくは分枝鎖のアルキルまたはC〜Cの直鎖もしくは分枝鎖のアルケニル)カルボキサミド、N,N−ジ−(C〜Cの直鎖もしくは分枝鎖のアルキルまたはC〜Cの直鎖もしくは分枝鎖のアルケニル)カルボキサミド、N−(C〜Cの直鎖もしくは分枝鎖のアルキルまたはC〜Cの直鎖もしくは分枝鎖のアルケニル)スルホンアミド、あるいはN,N−ジ−(C〜Cの直鎖もしくは分枝鎖のアルキルまたはC〜Cの直鎖もしくは分枝鎖のアルケニル)スルホンアミドから選択される1個〜3個の置換基で必要に応じて独立して置換され;
およびRの各々は、(C〜C)の直鎖もしくは分枝鎖のアルキル、(C〜C)の直鎖もしくは分枝鎖のアルケニルもしくはアルキニル、水素、フェニルまたはベンジルから独立して選択されるか、RおよびRは、該RおよびRが結合している窒素原子と一緒になって、5員〜7員の複素環式環を形成し;
は、水素、(C〜C)の直鎖もしくは分枝鎖のアルキル、または(C〜C)の直鎖もしくは分枝鎖のアルケニルもしくはアルキニルから独立して選択され;
Xは、C、N(R)、N、O、S、S(O)、またはS(O)から選択され;
Yは、結合、−O−、(C〜C)の直鎖もしくは分枝鎖のアルキル、または(C〜C)の直鎖もしくは分枝鎖のアルケニルもしくはアルキニルから選択され、Yは、記載された環に単結合または二重結合を介して結合され;該アルキル、アルケニル、またはアルキニルのCH基のうちの1個〜2個は、O、S、S(O)、S(O)、C(O)、またはN(R)で必要に応じて独立して置換され;
pは0、1、または2であり;
AおよびBの各々は、水素もしくはArから独立して選択され;そして
示された環構造中の2つの炭素環原子は、C〜C直鎖アルキルまたはC〜C直鎖アルケニルを介して互いに結合して二環式部分を形成し得る、方法。
【請求項18】
患者においてかまたはエキソビボの神経細胞、神経膠細胞、クロム親和細胞または幹細胞において、ニューロン修復を促進するかまたはニューロン損傷を防止するための方法であって、
該患者または該細胞に、ニューロン修復を促進するかまたはニューロン損傷を防止するために十分な量で、請求項1〜11のうちのいずれか1項に記載の化合物を投与する工程
を包含する、方法。
【請求項19】
請求項17に記載の方法であって、
前記患者に、神経栄養因子を、前記化合物と一緒にした複数投与量の一部としてかまたは別個の投与形態としてのいずれかで投与する工程
をさらに包含する、方法。
【請求項20】
請求項18に記載の方法であって、
前記患者に、神経栄養因子を、前記化合物と一緒にした複数投与量の一部としてかまたは別個の投与形態としてのいずれかで投与する工程
をさらに包含する、方法。
【請求項21】
請求項19または20に記載の方法であって、前記神経栄養因子は、神経成長因子(NGF)、インスリン様成長因子(IGF−1)、ならびにgIGF−1およびDes(1−3)IGF−1のような該インスリン様成長因子の活性短縮型誘導体、酸性線維芽細胞増殖因子(aFGF)および塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)、血小板由来増殖因子(PDGF)、脳由来神経栄養因子(BDNF)、毛様体神経栄養因子(CNTF)、神経膠細胞株由来神経栄養因子(GDNF)、ニューロトロフィン3(NT−3)、およびニューロトロフィン4/5(NT−4/5)から選択される、方法。
【請求項22】
請求項17に記載の方法であって、該方法は、三叉神経痛、舌咽神経痛、ベル麻痺、筋無力症、筋ジストロフィー、筋損傷、進行性筋萎縮、進行性球遺伝性筋萎縮、椎間板ヘルニア症候群、頚椎症、叢障害、胸郭出口破壊症候群、鉛により引き起こされる末梢神経障害、ダプソンにより引き起こされる末梢神経障害、マダニにより引き起こされる末梢神経障害、もしくはポルフィリン症により引き起こされる末梢神経障害のような、神経障害、他の末梢ミエリン障害、アルツハイマー病、ギヤン−バレー症候群、パーキンソン病および他のパーキンソン症候群障害、筋萎縮性側索硬化症、ツレット症候群、多発性硬化症、他の中枢ミエリン障害、発作および発作関連虚血、神経パロパシー、他の神経変性疾患、運動神経疾患、坐骨損傷、糖尿病関連神経障害、脊髄損傷、顔面神経損傷および他の損傷、化学療法誘導性神経障害および他の投薬誘導性神経障害、ハンティングトン病、ならびにびまん性レヴィー小体病、アルツハイマー病−レヴィー小体変種、家族性英国痴呆、および前頭側頭骨痴呆のようなタンパク質原線維化疾患から選択される疾患に罹患している患者を処理するために使用される、方法。
【請求項23】
請求項18に記載の方法であって、該方法は、三叉神経痛、舌咽神経痛、ベル麻痺、筋無力症、筋ジストロフィー、筋損傷、進行性筋萎縮、進行性球遺伝性筋萎縮、椎間板ヘルニア症候群、頚椎症、叢障害、胸郭出口破壊症候群、鉛により引き起こされる末梢神経障害、ダプソンにより引き起こされる末梢神経障害、マダニにより引き起こされる末梢神経障害、もしくはポルフィリン症により引き起こされる末梢神経障害のような、神経障害、他の末梢ミエリン障害、アルツハイマー病、ギヤン−バレー症候群、パーキンソン病および他のパーキンソン症候群障害、筋萎縮性側索硬化症、ツレット症候群、多発性硬化症、他の中枢ミエリン障害、発作および発作関連虚血、神経パロパシー、他の神経変性疾患、運動神経疾患、坐骨損傷、糖尿病関連神経障害、脊髄損傷、顔面神経損傷および他の損傷、化学療法誘導性神経障害および他の投薬誘導性神経障害、ハンティングトン病、ならびにびまん性レヴィー小体病、アルツハイマー病−レヴィー小体変種、家族性英国痴呆、および前頭側頭骨痴呆のようなタンパク質原線維化疾患から選択される疾患に罹患している患者を処理するために使用される、方法。
【請求項24】
請求項19または20に記載の方法であって、該方法は、三叉神経痛、舌咽神経痛、ベル麻痺、筋無力症、筋ジストロフィー、筋損傷、進行性筋萎縮、進行性球遺伝性筋萎縮、椎間板ヘルニア症候群、頚椎症、叢障害、胸郭出口破壊症候群、鉛により引き起こされる末梢神経障害、ダプソンにより引き起こされる末梢神経障害、マダニにより引き起こされる末梢神経障害、もしくはポルフィリン症により引き起こされる末梢神経障害のような、神経障害、他の末梢ミエリン障害、アルツハイマー病、ギヤン−バレー症候群、パーキンソン病および他のパーキンソン症候群障害、筋萎縮性側索硬化症、ツレット症候群、多発性硬化症、他の中枢ミエリン障害、発作および発作関連虚血、神経パロパシー、他の神経変性疾患、運動神経疾患、坐骨損傷、糖尿病関連神経障害、脊髄損傷、顔面神経損傷および他の損傷、化学療法誘導性神経障害および他の投薬誘導性神経障害、ハンティングトン病、ならびにびまん性レヴィー小体病、アルツハイマー病−レヴィー小体変種、家族性英国痴呆、および前頭側頭骨痴呆のようなタンパク質原線維化疾患から選択される疾患に罹患している患者を処理するために使用される、方法。
【請求項25】
請求項21に記載の方法であって、該方法は、三叉神経痛、舌咽神経痛、ベル麻痺、筋無力症、筋ジストロフィー、筋損傷、進行性筋萎縮、進行性球遺伝性筋萎縮、椎間板ヘルニア症候群、頚椎症、叢障害、胸郭出口破壊症候群、鉛により引き起こされる末梢神経障害、ダプソンにより引き起こされる末梢神経障害、マダニにより引き起こされる末梢神経障害、もしくはポルフィリン症により引き起こされる末梢神経障害のような、神経障害、他の末梢ミエリン障害、アルツハイマー病、ギヤン−バレー症候群、パーキンソン病および他のパーキンソン症候群障害、筋萎縮性側索硬化症、ツレット症候群、多発性硬化症、他の中枢ミエリン障害、発作および発作関連虚血、神経パロパシー、他の神経変性疾患、運動神経疾患、坐骨損傷、糖尿病関連神経障害、脊髄損傷、顔面神経損傷および他の損傷、化学療法誘導性神経障害および他の投薬誘導性神経障害、ハンティングトン病、ならびにびまん性レヴィー小体病、アルツハイマー病−レヴィー小体変種、家族性英国痴呆、および前頭側頭骨痴呆のようなタンパク質原線維化疾患から選択される疾患に罹患している患者を処理するために使用される、方法。

【公表番号】特表2006−504717(P2006−504717A)
【公表日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−541991(P2004−541991)
【出願日】平成15年10月2日(2003.10.2)
【国際出願番号】PCT/US2003/031080
【国際公開番号】WO2004/031148
【国際公開日】平成16年4月15日(2004.4.15)
【出願人】(598032106)バーテックス ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (414)
【氏名又は名称原語表記】VERTEX PHARMACEUTICALS INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】130 Waverly Street, Camridge, Massachusetts 02139−4242, U.S.A.
【Fターム(参考)】