説明

神経成長因子コンジュゲート及びその使用

本発明は、医学、公衆衛生学、免疫学、分子生物学及びウイルス学の分野である。本発明は、少なくとも一つの抗原に連結されるウイルス様粒子(VLP)を含む組成物であって、前記抗原がNGF抗原である組成物を提供する。また、本発明は組成物を産生する方法を提供する。本発明の組成物は、特に疼痛の治療のためのワクチンの産生に有用である。さらに、本発明の組成物は、有効な免疫応答、特に抗体反応を誘導する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医学、公衆衛生学、免疫学、分子生物学及びウイルス学の分野である。本発明は、少なくとも一つの抗原に連結されるウイルス様粒子(VLP)を含む組成物であって、前記抗原はNGF抗原である、組成物を提供する。また、本発明は、組成物を製造する方法を提供する。本発明の組成物は、特に、慢性疼痛の治療のためのワクチンの産生に有用である。さらに、本発明の組成物は、特に抗体反応における効率的な免疫応答を誘発する。
【技術背景】
【0002】
神経成長因子(NGF)(NGFβとしても知られている)は神経栄養因子であり、NGFの他に脳由来ニューロトロフィック因子(BDNF)、ニューロトロフィン3及びニューロトロフィン4/5から成るニューロトロフィンのファミリーの創立メンバーである(Pezet and McMahon, Annu. Rev. Neurosci. 29: 507-38 (2006))。全てのニューロトロフィンと同様に、NGFは約27kDaの前駆タンパク質として発現され、約14kDaの成熟形態に切断される(Edwards et al., J Biol Chem. 263(14): 6810-5(1988); Seidah et al., Biochem J. 314: 951-60 (1996))。この成熟形態は、2つの受容体、一般的な受容体p75NTR(低親和性により全てのニューロトロフィンと結合する)及び高親和性トロポミオシン受容体キナーゼA(trkA)受容体に結合することによって、その生物学的機能を発揮する。TrkAは、リガンド結合性に応じて二量体になる受容体チロシンキナーゼであり、異なるシグナル伝達経路を活性化する(Patapontian and Reichardt, Curr Opin Neurobiol. 11(3): 272-80 2001))。初期発生の間、NGF−trkA相互作用によって活性化されるこれらのシグナル伝達経路がアポトーシスを遮断し、侵害受容システムの感覚性ニューロンの生存及び神経伸長を促進する(Patel et al., Neuron 25(2): 345-57(2000))。出生後、これらのニューロンは生存のためのNGFに対するその依存を緩めるが、NGFは出生後期の間も、侵害受容体上に重大な生物学的影響を発揮し続ける。それは神経伝達物質、受容体及び電位型イオンチャネルの発現を調整し、それにより侵害受容体の反応性を制御する。NGFの別の機能的に重要な作用は、一過性受容体電位・バニロイド1(TRPV1)の改良された反応性につながる翻訳後制御を通して、侵害受容体反応性を敏感にすることである(Pezet and McMahon, Annu. Rev. Neurosci. 29: 507-38 (2006))。
【0003】
NGFは、成人の侵害受容体反応の調節におけるその役割に対して、動物とヒトの痛み感受の仲介に関与している。NGFのわずかな皮下注入又は筋肉内注入は、何日も続く痛みと圧痛を引き起こす(Pezet and McMahon, Annu. Rev. Neurosci. 29: 507-38 (2006))。ヒトにおいて、NGF濃度と痛み強度との間の相関は、慢性前立腺炎(Miller et al., Urology, 2002. 59(4): 603-8 (2002))、間質性膀胱炎(Lowe et al., Br J Urol. 79(4): 572-7 (1997))及びその他のような痛みを伴う病状の多くにおいて、評価できるであろう。基本的に、2種類の痛みが識別されうる:侵害受容性疼痛と神経障害疼痛。侵害受容性疼痛が、例えば損傷または外科的な切開後に、炎症の経過で組織損害によって生じる侵害受容体の刺激から起こる一方で、神経障害疼痛は、例えば、神経圧縮または外傷の後、または感染症または感覚性ニューロンに影響を与える自己免疫病の後で神経系自体の病状から生じる。
【0004】
炎症の間、NGFは、発痛性の炎症性メディエータとして働く。それは、ケラチノサイト、上皮細胞、平滑筋細胞及びシュワン細胞のような末梢において、多数の異なる細胞型によって、特にマストセル及びマクロファージによる炎症の間、産生される。NGF濃度は、動物とヒトにおいて、炎症及び慢性疼痛のある状態の間、かなり上昇する。NGFの遮断は、齧歯動物の侵害受容性疼痛モデルの多数において、痛覚感受性をかなり減少させることが示された。例えば、それはCFAの皮膚注入後、熱的及び機械的痛覚過敏を減少させ(Woolf et al., Br. J. Pharmacol. 121(3): 417-24 (1997)、とりわけ関節炎に関連する疼痛(Shelton et al., Pain 116(1-2): 8-16 (2005))及び骨肉腫性疼痛(Sevcik et al., Pain 115(1-2): 128-41(2005))を抑制した。神経障害疼痛におけるNGFの役割は炎症性疼痛におけるものよりも確立されておらず、いくつかのグループは、また、齧歯動物の神経障害疼痛のモデルの抗−NGF治療の成功を示した(Ramer et al., Neurosci. Lett. 251(1): 53-6 (1998), Ramer et al., Eur. J. Neurosci. 11(3): 837-46 (1999))。米国特許第5147294号は、痛みを治療するためのNGFアンタゴニスト(その中ではNGFモノクローム抗体)の使用を請求する。その後、慢性疼痛の治療のための、NGFに対するモノクローナル抗体の使用をクレームする数多くの特許が出願された。慢性疼痛は、ヨーロッパ及び米国の人口のほぼ20%に影響を及ぼしている深刻な健康問題である。現在使われている治療により十分な救助を得られるのは、慢性疼痛で苦しんでいる患者の30%未満である(Pezet and McMahon, Annu. Rev. Neurosci. 29: 507-38 (2006)。更には、慢性疼痛の治療に使用される既存の薬物(大部分はオピオイドと非ステロイド系抗炎症薬(NSAID))は、長期間摂取した場合、重大な副作用を伴う。
【発明の開示】
【0005】
本願明細書において開示される新規な治療的ストラテジーは、NGFβに対する能動免疫に基づく。患者の免疫系によってNGF−中和抗体の産生を誘発する組成物が、開示される。能動免疫は、NGFβの永続的な中和に結果としてなりうるものであり、したがって1日の薬物摂取の要求を減らすことができる。我々は、現在、驚くべきことに、それぞれ少なくとも一つのNGF抗原を含む本発明の組成物とワクチンが、特定の抗体反応においてNGFに対して高い抗体価を誘導する免疫応答を誘発することができることを見いだした。さらに驚くべきことに、それぞれ少なくとも一つのNGF抗原を含む本発明の組成物及びワクチンは、慢性疼痛のための動物モデルの痛みを減らすことができることを見いだした。従って、これは、免疫応答、特に本発明の組成物及びワクチンによってそれぞれ生成される抗体が、インビボでNGFに特異的に結合し、その機能を中和して阻害することができることを示す。
【0006】
そのため、本発明の一態様は、(a)少なくとも一つの第1の付着部位を有するウイルス様粒子(VLP);及び(b)少なくとも一つの第2の付着部位を有する少なくとも一つの抗原を含む組成物であって、前記少なくとも一つの抗原はNGF抗原であり;(a)及び(b)は、前記少なくとも一つの第1の付着部位と前記少なくとも一つの第2の付着部位を通して連結される、組成物である。NGFβは、動物に投与された場合、望まれていない副作用に結果としてなる可能性がある生物学的活性を含む受容体リガンドである。従って、本発明は、前記NGFタンパク質がNGF突然変異タンパク質であり、前記NGF突然変異タンパク質は減少した生物学的活性を含むか又は生物学的活性を含まないが、それでもNGFβ中和抗体を誘発する能力を保持する組成物を提供する。したがって、本発明の好ましい実施形態において、前記NGF抗原は、NGF突然変異タンパク質である。
【0007】
通常、非常に望ましくない副作用は、抗NGFβワクチンによるT細胞応答の誘導に関連する場合がある。しかしながら、本発明の組成物は、不必要なT細胞応答を除去するか又は低減すると共に、特定の状況において、NGF抗原に対して強い抗体反応を誘発するために効率的に役立つ。好ましい実施態様において、本発明の組成物は、従って、少なくとも一つのポリアニオン性巨大分子を更に含み、前記ポリアニオン性巨大分子は前記VLPにパッケージ化され、好ましくは前記ポリアニオン性巨大分子はポリアニオン性ポリペプチドであり、好ましくは前記ポリアニオン性ポリペプチドはポリグルタミン酸またはポリアスパラギン酸であり、最も好ましくはポリグルタミン酸である。
【0008】
本発明の更なる態様は、本発明の組成物の治療上有効量を含むワクチンの組成物である。
【0009】
本発明の更なる態様は、(a)本発明の組成物;及び(b)薬学的に許容可能な担体とを含む医薬組成物である。
【0010】
本発明の更なる態様は、好ましくはNGFβに対する免疫化の方法であり、前記方法は、動物に、好ましくはヒトに、本発明の組成物、本発明のワクチン組成物または本発明の医薬組成物を投与することを含む。
【0011】
本発明の更なる態様は、医薬としての使用するための、本発明の組成物、本発明のワクチン組成物または本発明の医薬組成物である。
【0012】
本発明の更なる態様は、痛みの、好ましくは慢性疼痛の治療のための医薬の製造のための、本発明の組成物の使用または本発明のワクチン組成物の使用である。
【0013】
本発明の更なる態様は、痛みの、好ましくは慢性疼痛の治療に用いられる、本発明の組成物または本発明のワクチン組成物または本発明の医薬組成物である。
【0014】
本発明の更なる態様は、本発明の組成物を産生する方法であって、(a)少なくとも一つの第1の付着部位を有するVLPを提供すること;(b)少なくとも一つの第2の付着部位を有する少なくとも一つのNGF抗原を提供すること;及び(c)前記組成物を産生するために前記VLPと前記NGF抗原を結合することを含んで成り、前記NGF抗原と前記VLPは、前記少なくとも一つの第1の付着部位と前記少なくとも一つの第2の付着部位を通して連結される、方法である。
【0015】
(発明の詳細な説明)
他に定められない限り、本願明細書において用いられる全ての技術用語及び科学用語は、本発明が帰属する分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。
【0016】
抗原:本明細書で用いる「抗原」という用語は、MHC分子により提示された場合、抗体又はT細胞受容体(TCR)により結合されることができる分子を指す。「抗原」という用語は、本明細書で用いる場合、T細胞エピトープも含む。抗原はさらに、免疫系により認識されることができ、及び/又は、B及び/又はTリンパ球の活性化をもたらす体液性免疫応答及び/又は細胞性免疫応答を誘導することができる。しかしながら、これは、少なくとも特定の場合に、抗原がTH細胞エピトープを含むか、又は結合していて、アジュバントと投与される必要がある場合がある。抗原は、1つ又は複数のエピトープ(BおよびTエピトープ)を有することができる。上に記載した特異的反応は、抗原が、好ましくは、一般的に高度に選択的にその対応する抗体又はTCRと反応し、他の抗原により誘起される他の多数の抗体又はTCRと反応しないことを示すことを意味する。抗原は、本明細書で用いる数種の抗原の混合物であってもよい。非常に好ましい実施態様において、抗原はNGF抗原である。
【0017】
エピトープ:ここで使用される場合、「エピトープ」なる用語は、エピトープはMHC分子のT細胞レセプターにより又は抗体により免疫特異的に結合されうる、ポリペプチドの連続的又は非連続的部分を指す。免疫特異性結合性は、非特異的結合性を除外するが、交差反応性を必ずしも除外するというわけではない。エピトープは、典型的には、エピトープに特有である空間コンフォメーションに5−10のアミノ酸を含む。
【0018】
会合した:「会合した」(またはその名詞:会合)なる用語は、本願明細書において使用する場合、2分子が連結される全てのありうる方法、好ましくは化学相互作用をさす。化学相互作用は、共有結合及び非共有結合の相互作用を含む。非共有結合的相互作用の典型的な例は、イオン相互作用、疎水性相互作用または水素結合であり、共有結合的相互作用は、例えば、共有結合(例えばエステル、エーテル、リン酸エステル、アミド、ペプチド、炭素−リン結合、炭素−硫黄結合(例えばチオエーテル)またはイミド結合)に基づく。
【0019】
付着部位、第1:本明細書で用いる「第1の付着部位」という句は、VLPに、好ましくはRNA−バクテリオファージのVLPに天然に存在する要素、又はVLPに、好ましくはRNA−バクテリオファージのVLPに人工的に付加された要素であって、第2の付着部位に結合されうる要素をさす。第1付着部位は、タンパク質、ポリペプチド、アミノ酸、ペプチド、糖、ポリヌクレオチド、天然又は合成ポリマー、二次代謝物又は化合物(ビオチン、フルオレセイン、レチノール、ジゴキシゲニン、金属イオン、フェニルメチルスルホニルフルオリド)、又はアミノ基、カルボキシル基、スルフヒドリル基、ヒドロキシル基、グアニジル基、ヒスチジニル基のような化学反応基あるいはその組合せであってもよい。第1の付着部位である化学反応基の好ましい実施態様は、リジンのようなアミノ酸のアミノ基である。好ましい実施態様において、前記第1の付着部位は、リジン残基のアミノ基であって、好ましくは前記リジン残基は、前記VLPに、好ましくはRNA−バクテリオファージの前記VLPに、天然に存在するリジン残基である。
【0020】
第1の付着部位は、典型的には、VLPの、好ましくはRNA−バクテリオファージの、最も好ましくはRNA−バクテリオファージQβのVLPの表面上に、好ましくは外面上に位置する。多数の第1の付着部位は、ウイルス様粒子の、好ましくはRNA−バクテリオファージの、最も好ましくはRNA−バクテリオファージQβのVLPの表面上に、好ましくは外面上に典型的には存在し、好ましくは反復性の配置で存在する。好ましい実施態様において、第1の付着部位は、VLPに、少なくとも一つの共有結合により、好ましくは少なくとも1つのペプチド結合により会合する。更なる好ましい実施態様において、第1の付着部位は、VLPに天然に存在する。あるいは、他の好ましい実施形態において、第1の付着部位は、VLPに人工的に付加される。好ましい実施態様において、第1の付着部位は、前記VLPは、少なくとも一つの共有結合により、好ましくは少なくとも一つのペプチド結合により会合し、前記VLPは、RNA−バクテリオファージの、好ましくはRNA−バクテリオファージQβのVLPである。更なる好ましい実施態様において、前記第1の付着部位は、リジン残基のアミノ基であって、前記リジン残基は、コートタンパク質の、好ましくはRNA−バクテリオファージのコートタンパク質の、最も好ましくはRNA−バクテリオファージQβのコートタンパク質のリジン残基である。更なる好ましい実施態様において、前記第1の付着部位は、RNA−バクテリオファージのコートタンパク質のリジン残基のアミノ基であって、好ましくは前記コートタンパク質は、配列番号1のアミノ酸配列を含むか又はそれから好ましくは成る。更なる好ましい実施態様において、前記第1の付着部位は、リジン残基であって、好ましくは前記リジン残基は、コートタンパク質の、好ましくはRNA−バクテリオファージのコートタンパク質の、最も好ましくはRNA−バクテリオファージQβのコートタンパク質のリジン残基である。更なる好ましい実施態様において、前記第1の付着部位は、RNA−バクテリオファージQβのコートタンパク質のリジン残基である。
【0021】
付着部位、第2:本明細書で用いる「第2の付着部位」という句は、NGF抗原に天然に存在するか又は人工的に付加される要素であって、第1の付着部位が連結される要素をさす。NGF抗原の第2の付着部位は、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、アミノ酸、糖、ポリヌクレオチド、天然又は合成ポリマー、二次代謝物または化合物(ビオチン、フルオレセイン、レチノール、ジゴキシゲニン、金属イオン、フェニルメチルスルホニルフルオリド)または化学反応基(例えばアミノ基、カルボキシル基、スルフヒドリル基、ヒドロキシル基、グアニジル基、ヒスチジニル基またはその組合せ)であってもよい。第2の付着部位である化学反応基の好ましい実施態様は、スルフヒドリル基である。更なる好ましい実施態様において前記第2の付着部位がスルフヒドリル基であって、好ましくはシステイン残基のスルフヒドリル基である。本願明細書において使用する場合、「少なくとも一つの第2の付着部位を有する抗原」なる用語及び交換可能に使用される用語の「少なくとも一つの第2の付着部位を有するNGF抗原」は、NGF抗原と少なくとも一つの第2の付着部位含んで成るコンストラクトをさす。好ましい一実施形態において、第2の付着部位は、NGF抗原に天然に存在する。他の好ましい実施形態において、第2の付着部位は、NGF抗原に人工的に付加される。好ましい一実施形態において、第2の付着部位は、少なくとも一つの共有結合により、好ましくは少なくとも一つのペプチド結合により、NGF抗原に会合する。好ましい一実施形態において、少なくとも一つの第2の付着部位を有するNGF抗原は、リンカーを更に含んでなり、好ましくは前記リンカーは、少なくとも一つの第2の付着部位を含み、更に好ましくは前記リンカーは、ペプチド結合によってNGF抗原に融合する。
【0022】
コートタンパク質:本明細書中で用いる「コートタンパク質」なる用語はウイルスキャプシド又はVLPに組み込まれることができる、ウイルスタンパク質、好ましくはウイルスの、好ましくはRNAバクテリオファージの天然のキャプシド集合体を指す。コートタンパク質なる用語は、キャプシドタンパク質としても知られている。
【0023】
連結した:「連結した」(またはその名詞:連結)は、本願明細書において使われる場合、少なくとも一つの第1の付着部位と少なくとも一つの第2の付着部位が連結される全てのありうる方法、好ましくは化学相互作用を指す。化学相互作用は、共有結合及び非共有結合の相互作用を含む。非共有結合的相互作用の典型的な例は、イオン相互作用、疎水性相互作用または水素結合であり、共有結合的相互作用は、例えば、共有結合(例えばエステル、エーテル、リン酸エステル、アミド、ペプチド、炭素−リン結合、炭素−硫黄結合(例えばチオエーテル)またはイミド結合)に基づく。特定の好ましい実施形態において、第1の付着部位と第2の付着部位は、少なくとも一つの共有結合により、好ましくは少なくとも一つの非ペプチド結合により、より好ましくは非ペプチド結合により連結される。しかしながら、本願明細書において使用される「連結される」なる用語は、少なくとも一つの第1の付着部位と少なくとも一つの第2の付着部位の直接的な連結を含むだけでなく、代わりに及び好ましくは、中間体分子を介した少なくとも一つの第1の付着部位と少なくとも一つの第2の付着部位との間接的な連結であって、典型的には及び好ましくは、少なくとも1つの、好ましくは1つのヘテロ二官能性架橋剤による連結をも含む。したがって、好ましい実施態様において、前記少なくとも1つの第1の付着部位と前記少なくとも1つの第2の付着部位は、少なくとも1つの、好ましくは正確に1つのヘテロ二官能性架橋剤を経て連結される共有結合であって、好ましくは前記第1の付着部位はリジン残基のアミノ基であって、更に好ましくは前記第2の付着部位はシステイン残基のスルフヒドリル基である。
【0024】
リンカー:本願明細書において使われる場合、「リンカー」は第2の付着部位をNGF抗原に会合させるか、又は第2の付着部位を含むか、本質的にそれから成るか、又はそれから成る。好ましくは、本願明細書において使われる場合、「リンカー」は第2の付着部位を、基本的には及び好ましくは、しかし必然的にではなく、1つのアミノ酸残基として、好ましくはシステイン残基として含む。好ましい実施態様において、前記リンカーは、アミノ酸リンカーである。非常に好ましい実施態様において、前記リンカーは、正確に1つのシステイン残基から成る。更に好ましい実施態様において、前記リンカーは正確に1つのシステイン残基を含むかまたはそれから成り、前記第2の付着部位は前記正確に1つのシステイン残基のスルフヒドリル基である。本発明に有用な更なるリンカーは、C1−C6アルキル、シクロアルキル(例えばシクロペンチルまたはシクロヘキシル)、シクロアルケニル、アリールまたはヘテロアリール部分含んで成る分子である。更に、好ましくはC1−C6アルキル、シクロアルキル−(C5、C6)、アリール又はヘテロアリール−部分を含むリンカー及び本発明のリンカーとしても使用できる付加的なアミノ酸は、本発明の範囲内で含まれる。NGF抗原へのリンカーの会合は、好ましくは少なくとも一つの共有結合を、より好ましくは少なくとも一つのペプチド結合を経由する。NGF抗原に天然に存在する第2の付着部位の場合には、リンカーは、少なくとも一つの第2の付着部位(例えばシステイン)に、好ましくは少なくとも一つの共有結合を経由して、より好ましくは、少なくとも一つのペプチド結合を経由して、会合する。
【0025】
アミノ酸リンカー:「アミノ酸リンカー」なる用語は、少なくとも一つのアミノ酸残基を含むリンカーに指す。通常、「アミノ酸リンカー」なる用語は、前記アミノ酸リンカーがアミノ酸残基だけから成ることを意味しない。しかしながら、好ましい実施態様において、前記アミノ酸リンカーは、アミノ酸残基だけから成る。リンカーのアミノ酸残基は、好ましくは天然に存在するアミノ酸、又は既知の非天然アミノ酸のall−Lまたはall−D、またはそれらの混合物、最も好ましくはall−Lから成る。本発明に係るリンカーの更なる好ましい実施態様において、スルフヒドリル基又はシステイン残基を含む分子及びこのような分子類は、従って、本発明に含まれる。
【0026】
NGF抗原:本願明細書において使われる「NGF抗原」なる用語は、NGFタンパク質、NGF断片またはNGF突然変異タンパク質を指す。非常に好ましくは、前記NGF抗原は、NGF突然変異タンパク質である。本願明細書において使われる「NGF抗原」なる用語は、上記とおり、NGF抗原のグリコシル化、アセチル化、リン酸エステル化を非限定的に含む翻訳後修飾を含む。典型的に及び好ましくは、しかし必然的ではなく、前記NGF抗原は、モノクローナルおよび/またはポリクローナル抗NGFβ抗体に特異的に結合される。
【0027】
NGFタンパク質:本願明細書において使われる「NGFタンパク質」は、配列番号22のヒトNGF、配列番号24のマウスNGF又は任意の他の動物由来の対応するオルソログを含むか又は好ましくはそれから成るポリペプチドを含む。さまざまな動物種由来の非常に好適なNGFオルソログは、配列番号32から39のポリペプチドである。NGFタンパク質は、典型的には、しかし必然的にではなく、好ましくは細胞増殖アッセイにおける生物学的活性を含む。更には、本願明細書で使用する「NGFタンパク質」なる用語は、配列番号22のヒトNGF、配列番号24のマウスNGF又は任意の他の動物由来の対応するオルソログと、70%を超える、好ましくは80%を超える、より好ましくは85%を超える、更により好ましくは90%を超える、再度より好ましくは95%を超える、最も好ましくは97%を超えるアミノ酸配列同一性を有する任意の天然又は遺伝的に改変された変異体から成るか、代替的に又は好ましくはそれらから成るポリペプチドを含む。
本願明細書において使われる「NGFタンパク質」なる用語は、上記とおり、NGFタンパク質のグリコシル化、アセチル化、リン酸エステル化を非限定的に含む翻訳後修飾を含む。好ましくは、本明細書で定義されるNGFタンパク質は、長くても200アミノ酸長、より好ましくは長くても150アミノ酸長、更に好ましくは長くても130アミノ酸長から成る。典型的に及び好ましくは、前記NGFタンパク質は、モノクローナルおよび/またはポリクローナル抗NGFβ抗体に特異的に結合する。さらにまた、本発明の目的にとって有用なNGFタンパク質は、典型的に及び好ましくは、動物に免疫原コンジュゲートの形態で、好ましくはバクテリオファージQβのVLPとのコンジュゲートの形態で投与された場合に、前記動物において抗NGF抗体の形成を誘導することが出来る。最も好ましくは、動物に免疫原コンジュゲートの形態で、好ましくはバクテリオファージQβのVLPとのコンジュゲートの形態で投与された場合に、前記動物において抗NGF抗体の形成を誘導出来るNGFタンパク質であって、前記抗NGF抗体は、好ましくは本願明細書(参照:実施例9〜12と15)に記載されているように、インビトロ及び/又はインビボアッセイでNGFタンパク質の生物学的活性を中和することができる。典型的に及び好ましくは、特定種のNGFタンパク質含む本発明の組成物によって誘導される抗体は、前記種のNGF抗体に特異的に結合でき、及び/又は中和できるであろうことは当業者にとって自明である。
【0028】
NGF断片:本願明細書において使われる「NGF断片」なる用語は、NGFタンパク質の少なくとも8、好ましくは少なくとも12、より好ましくは少なくとも20、更により好ましくは少なくとも30の連続アミノ酸を含むか、それから本質的に成るか、又は代替的に又は好ましくはそれからなるペプチド、及び本願明細書に規定のNGFタンパク質の連続するアミノ酸の多くとも60、好ましくは多くとも50、更により好ましくは多くとも45、更により好ましくは多くとも40アミノ酸を含むか、それから本質的に成るか、代替的に又は好ましくはそれからなる同ポリペプチド、加えてそれに対して70%を超える、より好ましくは80%を超える、更に好ましくは90%を超える、更により好ましくは95%を超えるアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸を含む。好ましい実施態様において、前記NGF断片は、(a)本明細書で定義するNGFタンパク質、好ましくは配列番号22のうちの8から60、好ましくは12から60、より好ましくは20から60、更により好ましくは30から60から成るポリペプチド、及び(b)(a)のポリペプチドに対して70%を超える、好ましくは80%を超える、より好ましくは90%を超える、更により好ましくは95%を超えるアミノ酸配列同一性を有するポリペプチドから選択されるポリペプチドを含むか、それから本質的にそれから成るか、又はそれから成る。好ましくは、本願明細書において使用する「NGF断片」なる用語は、配列番号22のNGFタンパク質の少なくとの12の連続するアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、代替的に又は好ましくはそれからなる任意のペプチド、及び配列番号22のNGFタンパク質の多くとも45の、更により好ましくは多くとも40の連続するアミノ酸を含むか、それから本質的になるか、代替的に又は好ましくはそれからなる同ペプチドを含む。本願明細書において使われる「NGF断片」なる用語は、上記とおり、NGF断片のグリコシル化、アセチル化、リン酸エステル化を非限定的に含む翻訳後修飾を含む。NGF断片は、典型的には、しかし必然的にではなく、好ましくは細胞増殖アッセイにおける生物学的活性を含む。典型的に及び好ましくは、しかし必然的ではなく、前記NGF断片は、モノクローナルおよび/またはポリクローナル抗NGFβ抗体に特異的に結合される。さらにまた、本発明の目的にとって有用なNGF断片は、典型的に及び好ましくは、動物に免疫原コンジュゲートの形態で、好ましくはバクテリオファージQβのVLPとのコンジュゲートの形態で投与された場合に、前記動物において抗NGF抗体の形成を誘導することが出来る。最も好ましくは、動物に免疫原コンジュゲートの形態で、好ましくはバクテリオファージQβのVLPとのコンジュゲートの形態で投与された場合に、前記動物において抗NGF抗体の形成を誘導出来るNGF断片であって、前記抗NGF抗体は、好ましくは本願明細書(参照:実施例9〜12と15)に記載されているように、インビトロ及び/又はインビボアッセイでNGFタンパク質の生物学的活性を中和することができる。典型的に及び好ましくは、特定種のNGF断片を含む本発明の組成物によって誘導される抗体は、前記種のNGF抗体に特異的に結合でき、及び/又は中和できるであろうことは当業者にとって自明である。
【0029】
NGF突然変異タンパク質:本願明細書において使用する「NGF突然変異タンパク質」なる用語は、突然変異したアミノ酸配列を含むか、代替的に又は好ましくはそれから成る任意のポリペプチドを含み、突然変異するアミノ酸配列は、NGFタンパク質、好ましくはヒトNGFタンパク質、最も好ましくは配列番号22であり、突然変異する前記アミノ酸配列は、少なくとも一つ及び多くとも20の位置で、好ましくは少なくとも一つ及び多くても10の位置で、より好ましくは少なくとも一つ及び多くても10の位置で変化し、前記位置においてアミノ酸残基は、置換によって、欠失によって、挿入によって、またはそれらの任意の組合せによって変化する。非常に好ましい実施形態において、前記NGF突然変異タンパク質は突然変異したアミノ酸配列であり、突然変異されるアミノ酸配列は配列番号22であり、前記突然変異されるアミノ酸配列は、少なくとも1つ及び多くとも4つの位置において、置換によって、欠失によって、それらの組合せによって変化し、好ましくは前記位置のアミノ酸残基は置換によって変化する。典型的には、しかし必然的ではなく、前記NGF突然変異タンパク質は、モノクローナル及び/又はポリクローナル抗NGFβ抗体によって特異的に結合する。突然変異タンパク質は、突然変異される前記アミノ酸配列と比較して、減じた生物学的活性を含む。最も好ましくは、前記NGF突然変異タンパク質は、検出可能な生物学的活性を含まない。さらにまた、本発明の目的にとって有用なNGF突然変異タンパク質は、典型的に及び好ましくは、動物に免疫原コンジュゲートの形態で、好ましくはバクテリオファージQβのVLPとのコンジュゲートの形態で投与された場合に、前記動物において抗NGF抗体の形成を誘導することが出来る。最も好ましくは、動物に免疫原コンジュゲートの形態で、好ましくはバクテリオファージQβのVLPとのコンジュゲートの形態で投与された場合に、前記動物において抗NGF抗体の形成を誘導出来るNGF突然変異タンパク質であって、前記抗NGF抗体は、好ましくは本願明細書(参照:実施例9〜12と15)に記載されているように、インビトロ及び/又はインビボアッセイでNGFタンパク質の生物学的活性を中和することができる。
典型的に及び好ましくは、NGF突然変異タンパク質を含む本発明の組成物であって、突然変異させられるアミノ酸配列は特定種であるものによって誘導される抗体は、前記種のNGFタンパク質に特異的に結合でき、及び/又は中和できるであろうことは当業者にとって自明である。
【0030】
本出願の範囲内で、抗原に対する抗体、好ましくはモノクローナルまたはポリクローナル抗体の特異的な結合性は、10−1以上、好ましくは10−1以上、より好ましくは108M−1以上、最も好ましくは10−1以上の親和性(Ka)によって特徴づけられる結合性を指す。抗体の親和性は、当該分野の通常の技術によって(例えば、スキャッチャード解析、Biacore−またはELISAベースの方法によって)、容易に決定することができる。最も好ましくは、NGF抗原に対するモノクローナルのおよび/またはポリクローナル抗NGF抗体の特異的な結合は、ELISAによって、最も好ましくは本願明細書の実施例5に記載した基本的条件下でアッセイされる。
【0031】
生物学的活性:本願明細書において使用する「生物学的活性」なる用語は、細胞増殖アッセイにおける抗原、好ましくはNGF抗原、最も好ましくはNGFタンパク質、NGF断片および/またはNGF突然変異タンパク質の活性をさし、好ましくは前記細胞増殖アッセイは、NGF依存性ヒト赤白血病のTF−1細胞株に基づくものであり、なお更に好ましくは、前記細胞増殖アッセイは本願明細書の実施例6に記載されているように基本的条件下で実施される。NGF抗原は、それが細胞増殖の検出可能なレベルを誘導することができる場合、生物学的に活性があると見なされる。典型的に及び好ましくは、適切な標準によって得られる最大増殖の少なくとも20%、好ましくは少なくとも50%、まだ更に好ましくは少なくとも80%である細胞増殖を誘発することができる場合、NGF抗原は生物学的に活性である。NGF抗原、好ましくはNGF突然変異タンパク質は、それが細胞増殖の検出可能なレベルを誘導しない場合、生物学的に活性ではない。典型的に及び好ましくは、適切な標準によって得られる最大増殖の多くとも20%、好ましくは多くとも15%、まだ更に好ましくは多くとも10%、また更に好ましくは多くとも5%である細胞増殖を誘発することができる場合、NGF抗原は生物学的に活性でない。NGF突然変異タンパク質は、それが前記突然変異されたアミノ酸配列を含むポリペプチドと比較して、100%未満、好ましくは80%未満、またより好ましくは60%未満、またより好ましくは40%未満、またより好ましくは20%未満である細胞増殖を誘発する場合に、減じた生物学的活性を含むと見なされる。本発明において、NGF抗原、特にNGFタンパク質、NGF断片及びNGF突然変異タンパク質は、試験動物に免疫原コンジュゲートの形態で投与された場合に抗体応答を誘導した場合であって、前記抗体応答の抗体は前記NGF抗原に特異的に結合するものである場合に、「抗体を誘導できる」と見なされる。典型的には及び好ましくは、前記NGFタンパク質は、ウイルス様粒子とのコンジュゲートの形態で、最も好ましくはRNA−バクテリオファージQβのウイルス粒子とのコンジュゲートの形態で、前記試験動物に投与される。最も好ましくは、前記NGF抗原は、本願明細書において開示される組成物、ワクチの組成物または医薬組成物の形態の前記試験動物に投与される。非常に好ましくは、抗体を誘導するNGF抗原の能力は、基本的に、実施例8において説明したような条件下でアッセイされる。本発明において、NGF抗原、特にNGFタンパク質、NGF断片及びNGF突然変異タンパク質は、試験動物に免疫原コンジュゲートの形態で投与された場合に抗体応答を誘導したならば、前記抗体応答において産生される抗体は前記NGFタンパク質を中和でき、「抗体の中和を誘導できる」と見なされる。NGFタンパク質を中和する抗体能力は、細胞増殖アッセイを使用するインビトロ・アッセイで分析され、好ましくは前記細胞増殖アッセイは、NGF依存性ヒト赤白血病のTF−1細胞株に基づくものであり、なお更に好ましくは、前記細胞増殖アッセイは、基本的に本願明細書の実施例6及び9に記載されている条件下で実施される。抗体は、それが前記細胞増殖アッセイにおいて前記NGFタンパク質の生物学的活性を減らすかまたは除去することができる場合、NGFタンパク質を中和できると見なされる。あるいは、NGFタンパク質を中和する抗体能力は、インビボアッセイにおいて、好ましくは疼痛のための動物モデルにおいて分析され、NGFタンパク質を中和する前記抗体の能力は、前記動物モデルの疼痛の改善として、最終的に検出される。疼痛のための好適な動物モデルは、マウスのコラーゲンによって誘導された関節炎、マウスのザイモサンAによって誘導された炎症性疼痛、タキソールによって誘発された神経障害疼痛であって、好ましくは、前記アッセイは、基本的には、実施例10、11または15にて開示する条件下で実施される。
【0032】
規則正しい反復性抗原アレイ:本願明細書で使用する「規則正しい反復性抗原アレイ」なる用語は、通常抗原の反復パターンを指すか、または典型的には及び好ましくは、ウイルス様粒子に関して抗原の空間配置の均一性の高い規則性によって特徴づけられる。本発明の一実施形態において、反復パターンは幾何学模様であってもよい。本発明の特定の実施態様は、例えばRNA−バクテリオファージのVLPは、1から30ナノメーター、好ましくは2から15ナノメーター、より好ましくは2から10ナノメーター、さらにより好ましくは2から8ナノメーター、さらにより好ましくは1.6から7ナノメーターの間隔を有する抗原の準結晶性の厳密に反復性の規則性を持つ、適切に規則正しい反復性抗原アレイの典型的及び好適な例である。
【0033】
ポリペプチド:本願明細書中で用いられる「ポリペプチド」なる用語は、アミド結合(ペプチド結合ともいう)によって、直線的に連結されるモノマー(アミノ酸)から成る分子を指す。これはアミノ酸の分子鎖を示し、産物の特定の長さを指すわけではない。ゆえに、ペプチド、ジペプチド、トリペプチド、オリゴペプチド及びタンパク質は、ポリペプチドの定義の中に含まれる。たとえば、グリコシル化、アセチル化、リン酸化など、ポリペプチドの翻訳後修飾も包含する。ポリペプチドのアミノ酸配列同一性は、公知のコンピュータプログラム(例えばBestfitプログラム)を使用して、従来通り決定されうる。対照標準アミノ酸配列に対して、例えば95%同一性を有するかを決定するために、他の任意の配列配列プログラムも使用する場合、好ましくはBestfitを使用する場合、同一性のパーセンテージは対照標準アミノ酸配列の完全長に対して算出され、対照標準配列におけるアミノ酸残基の総数の多くとも5%の相同性におけるギャップが許可されるように、パラメータは設定される。ポリペプチド間の同一性のパーセンテージを決定における上述の方法は、本発明において開示される全てのタンパク質、ポリペプチドまたはそれらの断片に適用できる。当業者に理解されるように、保存的アミノ酸置換には等配性の置換、すなわちアミノ酸の荷電、極性、芳香族、脂肪族又は疎水性性質が維持される置換が含まれる。代表的な保存的アミノ酸置換は、以下のグループのうちの1グループ内のアミノ酸間の置換である:(a)Gly、Ala;Val、Ile、及びLeu;(b)Asp、Glu;Asn、Gln;Ser、Thr、Cys;Lys、及びArg;及び(c)Phe及びTyr。
【0034】
ウイルス粒子:本明細書中で用いられる「ウイルス粒子」なる用語は、ウイルスの形態学的形状を指す。いくつかのウイルス型には、タンパク質キャプシドに囲まれるゲノムを含む;他のものは付加的な構造(例えばエンベロープ、テイルなど)を有する。
【0035】
ウイルス様粒子(VLP):本明細書で用いられる「ウイルス様粒子」なる用語は、非反復可能性又は非感染性、好ましくは非反復可能性又は非感染性のウイルス粒子、又は非反復可能性又は非感染性、好ましくは非反復可能性又は非感染性のウイルス粒子に類似した構造、好ましくはウイルスのキャプシドを指す。本願明細書において使われる「非反復可能性」なる用語は、VLPによって含まれるゲノムを繰り返すことができないことを指す。本願明細書において使われる「非感染性」なる用語は、宿主細胞に入ることができないことを指す。好ましくは、本発明に係るウイルス様粒子は、遺伝子操作のために又は物理的、化学的失活のために、ウイルスゲノムまたはゲノム機能の全部または一部を欠いているので、非反復可能性でおよび/または非感染性である。典型的には及び好ましくは、ウイルス様粒子は、ウイルスゲノムの反復可能性及び感染性構成部分の全部または一部を欠いている。本発明に係るウイルス様粒子は、ウイルスゲノムとは別の核酸を含むことができる。本発明のウイルス様粒子の典型的及び好適な実施態様は、対応するウイルス、バクテリオファージ、好ましくはRNA−バクテリオファージのウイルスカプシドのようなウイルスカプシドである。「ウイルスカプシド」または「カプシド」なる用語は、ウイルスタンパク質サブユニットから成る巨大分子アセンブリをさす。通常は、60、120、180、240、300、360及び360以上のウィルスタンパク質サブユニットがある。典型的には及び好ましくは、これらのサブユニットの相互作用は、本来の反復性の構成を有するウイルスカプシド又はウイルスカプシド様の構造の形成につながり、前記構造は、典型的には球状又は管状である。
【0036】
組換えVLP:本願明細書において使われる「組換えVLP」なる用語は、組換えDNA技術の少なくとも一つの工程を含む方法によって得られるVLPを指す。
【0037】
パッケージ化:本願明細書において使用する「パッケージ化」なる用語は、VLPに関するポリアニオン性巨大分子の状態を指す。本願明細書において使用する「パッケージ化」なる用語は、例えば化学的結合による共有結合、または例えばイオン相互作用、疎水性相互作用、水素結合等による非共有結合であってもよい結合を含む。好ましい実施形態において、「パッケージ化」なる用語は、VLPによるポリアニオン性巨大分子の封入または部分的な封入を指す。したがって、ポリアニオン性巨大分子は、実際の結合の存在なしに、特に共有結合の存在なしにVLPによって封入されることができる。好ましい実施形態において、少なくとも一つのポリアニオン性巨大分子は、前記VLPに、最も好ましくは非共有の方法で、パッケージ化される。VLPに、特にRNA−バクテリオファージのVLPに、ポリグルタミン酸のようなポリアニオン性巨大分子をパッケージ化する方法は、WO2006/037787に開示される。WO2006/037787の実施例4を特に引用する。
【0038】
ポリアニオン性巨大分子:本願明細書において使われる「ポリアニオン性巨大分子」なる用語は、負の電荷の反復性の基を含む高い相対分子質量の分子であって、その構造は基本的に、実際にまたは概念的に低い相対分子質量の分子に由来する単位の多重反復を含む分子を指す。本願明細書において使用する「ポリアニオン性巨大分子」なる用語は、toll様受容体を活性化することができない分子を指す。したがって、「ポリアニオン性巨大分子」なる用語は、Toll様受容体リガンドを除外するものであり、Toll様受容体リガンドのような免疫応答を誘発および/または改良することができる物質、免疫応答を誘導および/または改良することができる核酸及びリポ多糖体(LPS)を除外する。より好ましくは、本願明細書において使われる「ポリアニオン性巨大分子」なる用語は、サイトカイン産生を誘導することができない分子を指す。好ましくは、ポリアニオン性巨大分子は、ポリアニオン性ポリペプチドまたはアニオン性デキストランである。好ましい実施態様において、前記ポリアニオン性巨大分子は、ポリアニオン性ポリペプチドであって、好ましくは前記ポリアニオン性ポリペプチドは、以下からなるグループから選択される:(a)ポリグルタミン酸;(b)ポリアスパラギン酸;(c)ポリ(GluAsp)及び(d) (a)から(c)の任意の化学修飾。化学修飾の例は、グリコシル化、アセチル化及びリン酸化を含むが、これに限定されるものではない。更なる好ましい実施態様において、前記ポリアニオン性巨大分子は、以下からなるグループから選択されるアニオン性デキストランである:(a)デキストラン硫酸;(b)カルボキシルメチルデキストラン;(c)スルホプロピルデキストラン;(d)メチルスルホナートデキストラン;及び(e)デキストランホスフェート。
【0039】
ポリアスパラギン酸:本願明細書において使われる「ポリアスパラギン酸」なる用語は、前記ポリペプチドによって含まれるアミノ酸残基の総数から少なくとも50%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも99%、より好ましくは100%のアスパラギン酸残基を含むポリペプチドを指す。前記ポリペプチドのアスパラギン酸残基は、all−L、all−Dのどちらか又はL−とD−アスパラギン酸の混合物である。最も好ましくは前記ポリペプチドは、L−アスパラギン酸残基のみを含む。
【0040】
ポリグルタミン酸:本願明細書において使われる「ポリグルタミン酸」なる用語は、前記ポリペプチドによって含まれるアミノ酸残基の総数から少なくとも50%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも99%、より好ましくは100%のグルタミン酸残基を含むポリペプチドを指す。前記ポリペプチドのグルタミン酸残基は、all−L、all−Dのどちらか又はL−とD−グルタミン酸の混合物である。最も好ましくは、前記ポリペプチドは、L−グルタミン酸残基のみを含む。
【0041】
ポリ(GluAsp):本願明細書において使われる「ポリ(GluAsp)」なる用語は、前記ポリペプチドによって含まれるアミノ酸残基の総数から少なくとも50%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも99%、より好ましくは100%のグルタミン酸残基及びアスパラギン酸残基を含むポリペプチドを指す。グルタミン酸分子とアスパラギン酸分子は、all−L又はall−Dのどちらか、又はそれらの混合物である。最も好ましくは、前記ポリペプチドは、L−グルタミン酸残基及びL−アスパラギン酸残基を含む。
【0042】
疼痛:疼痛受容体(侵害受容性疼痛)の刺激から、例えば損傷によって起こる疼痛、又は神経系の機能不全によって生じる疼痛は、明らかな物理的原因(神経障害疼痛)なしに、それは脳に送られる疼痛シグナルを導く。疼痛は、例えば、骨関節炎疼痛、リウマチ様関節炎疼痛、癌性疼痛、内臓痛、慢性的な腰痛症及び慢性的な頭痛、線維症、糖尿病性ニューロパシ、幻想肢痛及び帯状疱疹後神経痛を含む。
【0043】
侵害受容性疼痛:本願明細書において使われる「侵害受容性疼痛」なる用語は、組織、例えば関節炎と癌に影響を及ぼす損傷、手術または疾患のために、疼痛受容体の刺激から起こっている疼痛を指す。また、侵害受容性疼痛は、慢性疼痛を含む。侵害受容性疼痛の好適な種類は、骨関節炎疼痛、リウマチ様関節炎疼痛、癌性疼痛、内臓痛、慢性的腰痛症及び慢性的頭痛である。
【0044】
神経障害性疼痛:本願明細書において使われる「神経障害性疼痛」なる用語は、明らかな物理的原因無しに、脳に送られる疼痛シグナルを導く神経系の機能不全によって生じる疼痛を指す。例えば糖尿病性ニューロパシ、幻想肢痛及び帯状疱疹後神経痛である。ウイルス粒子とウイルス様粒子の1つの共通の特徴は、それらのサブユニットの高度に規則正しい反復性の配置である。
【0045】
RNA−バクテリオファージのウイルス様粒子:本願明細書において使われる「RNA−バクテリオファージのウイルス様粒子」なる用語は、RNA−バクテリオファージのコートタンパク質、突然変異体又はその断片を含むか、又は好ましくはそれから本質的になるか、又はそれから成る。加えて、RNA−バクテリオファージのウイルス様粒子は、RNA−バクテリオファージの構造に似ている。さらにまた、RNA−バクテリオファージのウイルス様粒子は、非反復可能性で非感染性である。典型的に及び好ましくは、「RNA−バクテリオファージのウイルス様粒子」は、RNA−バクテリオファージ複製装置をコードする遺伝子の少なくとも1つ、好ましくは全てを欠如し、典型的に及び更に好ましくは、宿主へのウイルス付着又は侵入の役割を果たしているタンパク質をコードする遺伝子の少なくとも1つ、好ましくは全てを欠如するRNA−バクテリオファージのウイルス様粒子を指す。しかしながら、この定義は、RNA−バクテリオファージのウイルス様粒子を含み、上述の遺伝子は、依然として存在するが不活性であり、従って、RNA−バクテリオファージの非反復可能性で非感染性のウイルス様粒子を導く。従って、最も広い定義では、「RNA−バクテリオファージのウイルス様粒子」は、そのゲノムは物理的又は化学的又は遺伝子の方法によって不活性化され、そのためウイルス粒子が非反復可能性および/または非感染性であるRNA−バクテリオファージのウィルス粒子を含む。RNA−バクテリオファージの好適なVLPは、正二十面体対称を呈する180のサブユニットから成る。
【0046】
One、a、又はan:用語「one」、「a」、又は「an」を本開示中で使用するとき、それらは、特に示さない限りは、「少なくとも1つ」、又は「1つ又は複数」を意味する。
【0047】
本発明は、動物またはヒトのNGFに対する免疫応答を改良するための組成物及び方法を提供する。本発明の組成物は、(a)少なくとも一つの第1の付着部位を有するウイルス様粒子(VLP);及び(b)少なくとも一つの第2の付着部位を有する少なくとも一つの抗原を含み、少なくとも一つの抗原はNGF抗原であり、(a)と(b)は少なくとも1つの第1の付着部位と少なくとも一つの第2の付着部位を通して連結される。好ましくは、NGF抗原はVLPに連結され、それにより規則正しい反復性抗原−VLPアレイを形成する。本発明の好ましい実施形態において、少なくとも20、好ましくは少なくとも30、より好ましくは少なくとも60において、さらにより好ましくは少なくとも120、最も好ましくは少なくとも180のNGF抗原がVLPに連結される。規則正しい反復性構造を有する公知技術の任意のウイルスは、本発明のVLPとして選択されることができる。
【0048】
図示するDNA又はRNAウイルス、そのコートタンパク質は、WO2004/009124の25頁10から21行目、26頁11から28行目、28頁の4行目から31頁の4行目に開示されたVLPの調整に使用することができる。これらの開示は、参照により本願明細書において組み込まれる。
【0049】
ウイルスまたはウイルス様粒子は、ウイルス感染した細胞培養から産生し精製されることができる。ワクチン接種の目的において、結果として生じるウイルスまたはウイルス様粒子は、毒性が欠けていることを必要とする。遺伝子工学の他に、物理的又は化学的方法が、ウイルスゲノム機能を機能させないために使用することができる。例えばUV照射、ホルムアルデヒド処理。
【0050】
好ましい一実施形態において、VLPは組換えVLPである。ほとんどすべての一般に知られているウイルスは、配列決定されており、公的に容易に入手できる。コートタンパク質をコードしている遺伝子は、当業者によって容易に同定することができる。宿主でコートタンパク質を組換えにより発現するVLPの調製は、当業者の常識の範囲内である。好ましい一実施形態において、ウイルス様粒子は、以下のから成るグループから選択されるウイルスの組換えタンパク質、その突然変異体又は断片を含むか、又はそれから成る:(a)RNA−バクテリオファージ;(b)バクテリオファージ;(c)B型肝炎ウィルス、好ましくはそのコートタンパク質 (Ulrich, et al., Virus Res. 50: 141-182 (1998))又は表面タンパク質(WO92/11291);(d)はしかウィルス(Warnes, et al., Gene 160:173-178 (1995));(e)シンドビスウィルス;(f)ロタウィルス(US5071651及びUS5374426);(g)口蹄疫ウィルス(Twomey, et al., Vaccine 13:1603 1610, (1995));(h)ノーウォーク・ウイルス(Jiang, X., et al., Science 250:1580 1583 (1990); Matsui, S.M., et al., J. Clin. Invest. 87:1456 1461 (1991));(i)アルファウイルス;j)レトロウィルス、好ましくはそのGAGタンパク質(WO96/30523);(k)レトロトランスポゾンTy、好ましくはタンパク質p1;(l)ヒトパピローマウィルス(WO98/15631);(m)ポリオーマウィルス;(n)タバコモザイクウィルス;及び(o)フロックハウス・ウイルス。
【0051】
好ましい一実施形態において、VLPは、組換えタンパク質、その突然変異体又はその断片のうちの1より多いアミノ酸配列、好ましくは2つのアミノ酸配列を含む。別の好ましい実施形態では、VLPは、少なくとも1つの第1のポリペプチド及び少なくとも1つの第2のポリペプチドから成り、前記第1のポリペプチド及び前記第2のポリペプチドは、コートタンパク質、その変異体または断片のアミノ酸配列を含み、前記第1のポリペプチドと前記第2のポリペプチドのアミノ酸配列は同一でない。別の好ましい実施形態では、前記第1のポリペプチドは、第1のコートタンパク質の、その変異体の又は断片のアミノ酸配列を含み、前記第2のポリペプチドは第2のコートタンパク質の、その変異体の又は断片のアミノ酸配列を含み、前記第1のコートタンパク質と前記第2のコートタンパク質は同じウイルスのコートタンパク質であって、好ましくは前記ウイルスはRNA−バクテリオファージである。1より多いポリペプチド種を含むか、又はそれから成るVLPはモザイクVLPと呼ばれる。
【0052】
本願明細書において使われる「組換えタンパク質の断片」または「コートタンパク質の断片」は、野生型組換えタンパク質又はコートタンパク質の長さの少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、更により好ましくは少なくとも95%のポリペプチドで、好ましくはVLPを形成する能力を保持しているものと定義される。好ましくは、断片は少なくとも1つの内部欠失、少なくとも一つの切り詰めまたはそれらの少なくとも一つの組合せである。更に好ましくは、断片は、多くても5、4、3、2つの内部欠失によって、多くても2つの切り詰めによって又は正確にそれらの1つの組合せによって得られる。
【0053】
「組換えタンパク質の断片」または「コートタンパク質の断片」なる用語は、それぞれ上に定義した「組換えタンパク質の断片」または「コートタンパク質の断片」に対して、少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは95%のアミノ酸同一性を有し、好ましくはウイルス様粒子に組み立てられることができるものである。本発明において交換可能に使用される「突然変異体リコンビナントタンパク質」なる用語または「組換えタンパク質の突然変異体」なる用語、本発明において交換可能に使用される「突然変異体コートタンパク質」なる用語または「コートタンパク質の突然変異体」なる用語は、それぞれ、野生型組換えタンパク質またはコートタンパク質に由来するアミノ酸配列を有するポリペプチド指すものであり、アミノ酸配列は野生型配列と少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%または少なくとも99%の同一性を有し、好ましくは前記ポリペプチドはVLPに組み立てられる能力を保持する。
【0054】
好ましい一実施形態において、本発明のウイルス様粒子は、B型肝炎ウィルスのものである。B型肝炎ウィルス様粒子の調製は、WO00/32227、WO01/85208及びWO01/056905において開示される。全3つの文献は、対照標準を経由して本願明細書に明示的に組み込まれる。本発明の実行ために適切なHBcAgの他の変異体は、WO01/056905において、特にその34から39頁に開示される。
【0055】
更なる本発明の好ましい実施形態において、リジン残基は、HBcAgのVLPに対するNGF抗原の連結を介在するために、HBcAgポリペプチドに導入される。好ましい実施態様において、本発明のVLP及び組成物は、修飾されアミノ酸の位置79及び80がGly−Gly−Lys−Gly−Glyのアミノ酸配列を有するペプチドに置き換えられた配列番号20のアミノ酸1−144又は1−149、1−185を含むか又はそれから成るHBcAgを使用して調製される。この修飾は、配列番号20から配列番号21への変化である。更なる好ましい実施態様において、配列番号21(またはそれに対応する断片、好ましくは1−144または1−149)の位置48と110のシステイン残基は、セリンに変異する。本発明は、上記の対応するアミノ酸変異を有するB型肝炎コアタンパク質変異体を含む組成物を更に含む。本発明は、配列番号21に対して少なくとも80%、85%、90%、95%、97%または99%同一のアミノ酸配列を含むか又はそれから成るHBcAgポリペプチドをそれぞれ含む組成物及びワクチンを含む。
【0056】
本発明の一実施例において、ウイルス様粒子は、RNA−バクテリオファージのウイルス様粒子であって、好ましくは前記RNA−バクテリオファージは、(a)バクテリオファージQβ;(b)バクテリオファージR17;(c)バクテリオファージfr;(d)バクテリオファージGA;(e)バクテリオファージSP;(f)バクテリオファージMS2;(g)バクテリオファージM11;(h)バクテリオファージMX1;(i)バクテリオファージNL95;(k)バクテリオファージf2;(l)バクテリオファージPP7、及び(m)バクテリオファージAP205からなる群から選択される。非常に好適な実施態様において、前記ウイルス様粒子は、RNA−バクテリオファージQβのウイルス様粒子である。
【0057】
別の好ましい実施形態では、前記ウイルス様粒子は、RNA−バクテリオファージの組換えコートタンパク質、その突然変異体又はその断片を含むか、それから本質的に成るか、又はそれから成り、好ましくは前記RNA−バクテリオファージは、(a)バクテリオファージQβ;(b)バクテリオファージR17;(c)バクテリオファージfr;(d)バクテリオファージGA;(e)バクテリオファージSP;(f)バクテリオファージMS2;(g)バクテリオファージM11;(h)バクテリオファージMX1;(i)バクテリオファージNL95;(k)バクテリオファージf2;(l)バクテリオファージPP7、及び(m)バクテリオファージAP205から成るグループから選択される。更に好ましい実施態様において、前記ウイルス様粒子は、RNA−バクテリオファージの組換えコートタンパク質、突然変異体又はその断片を含むか、それから本質的に成るか、又はそれから成り、前記RNAバクテリオファージは、Qβ、fr、AP205またはGAから選択される。非常に好適な実施態様において、前記ウイルス様粒子は、RNA−バクテリオファージQβの組換えコートタンパク質、突然変異体又はその断片を含むか、それから本質的に成るか、又はそれから成る。
【0058】
本発明の一実施形態において、組成物は、コートタンパク質、その突然変異体又はその断片を含み、好ましくは前記コートタンパク質は、以下から成るグループから選択されるアミノ酸配列を含むか又は好ましくはそれから成る:(a)配列番号1;Qβ CPを指す;(b)配列番号1と配列番号2の混合物(Qβ A1タンパク質を指す);(c)配列番号3;(d)配列番号4;(e)配列番号5;(f)配列番号6,(g)配列番号6と配列番号7との混合物;(h)配列番号8;(i)配列番号9;(j)配列番号10;(k)配列番号11;(l)配列番号12;(m)配列番号13;(n)配列番号14;(o)配列番号40;(p)配列番号41;及び(q)配列番号42。
【0059】
別の好ましい実施形態では、前記ウイルス様粒子は、RNA−バクテリオファージの組換えコートタンパク質、突然変異体又はその断片を含むか、それから本質的に成るか、又はそれから成る。別の好ましい実施形態では、前記ウイルス様粒子は、RNA−バクテリオファージの組換えコートタンパク質、突然変異体又はその断片を含むか、それから本質的に成るか、又はそれから成り、前記コートタンパク質は、以下から成るグループから選択されるアミノ酸配列を含むか又は好ましくはそれから成る:(a)配列番号1; Qβ CPを指す;(b)配列番号1と配列番号2の混合物(Qβ A1タンパク質を指す);(c)配列番号3;(d)配列番号4;(e)配列番号5;(f)配列番号6,(g)配列番号6と配列番号7との混合物;(h)配列番号8;(i)配列番号9;(j)配列番号10;(k)配列番号11;(l)配列番号12;(m)配列番号13;及び(n)配列番号14;(o)配列番号40;(p)配列番号41;及び(q)配列番号42。
【0060】
別の好ましい実施形態では、前記ウイルス様粒子は、組換えコートタンパク質を含むか、本質的にそれから成るか、又はそれから成り、前記組換えコートタンパク質は、配列番号1のアミノ酸配列を含むかまたは好ましくはそれから成る。本発明の一実施形態において、VLPは、RNA−バクテリオファージのコートタンパク質、その変異体またはその断片の1より多いアミノ酸配列、好ましくは2つのアミノ酸配列を含むか、あるいはそれから成るモザイクVLPである。ある非常に好適な実施態様において、VLPは、RNA−バクテリオファージの2つの異なるコートタンパク質を含むか、あるいはそれから成り、前記2つの異なるコートタンパク質は、配列番号1及び配列番号2、又は配列番号6及び配列番号7のアミノ酸配列をそれぞれ含むか、あるいは好ましくはそれから成る。好ましい一実施形態において、前記VLPは、RNA−バクテリオファージQβのVLPである。
【0061】
Qβのカプシドまたはウイルス様粒子は、直径25nm及びT=3見かけ対称性を有する正二十面体のファージ様カプシド構造を示す。カプシドは180コピーのコートタンパク質を含み、それはジスルフィド架橋(Golmohammadi, R. et al., Structure 4:543-5554 (1996))によって共有結合性五量体と六量体に連結され、Qβカプシドの顕著な安定性を導く。しかしながら、組換えQβコートタンパク質から作成されるカプシドまたはVLPは、カプシド中の他のサブユニットにジスルフィド結合を経て連結されないサブユニットか、または不完全に連結したサブユニットを含むことができる。QβのカプシドまたはVLPは、有機溶媒及び変性剤に通常でない耐性を示す。驚くべきことに、30%と同じ高さのDMSO及びアセトニトリル濃度、1Mと同じ高さのグアニジニウム濃度はカプシドの安定性に影響を及ぼさないことが観察された。Qβのカプシド及びVLPの高い安定性は、特に、本発明に係る哺乳類及びヒトの免疫化及びワクチン接種におけるその使用に有利な特徴である。
【0062】
本発明に係るRNA−バクテリオファージ、特にRNA−バクテリオファージQβとRNA−バクテリオファージfrの更なる好適なウイルス様粒子はWO02/056905において開示され、その開示は参照により完全に本願明細書に援用される。特に、WO02/056905の実施例18は、RNA−バクテリオファージQβのVLPの調製の詳細な説明を提供する。
【0063】
他の好ましい例として、前記VLPは、RNA−バクテリオファージAP205のVLPである。アミノ酸5のプロリンがスレオニンに置換されたAP205コートタンパク質又はアミノ酸14のアスパラギンがアスパラギン酸に置換されたAP205コートタンパク質を含むAP205 VLPの組み立て可能な変異体の形態は、本発明の実行に使用されてもよく、本発明の好ましい他の実施形態につながる。WO2004/007538は、特に実施例1と実施例2において、AP205コートタンパク質を含むVLPをどのように得るかについて、及び特にその発現と精製を記載する。WO2004/007538は、参照により本願明細書に援用される。AP205 VLPは高度に免疫原性であり、典型的には及び好ましくは、配向性及び反復性の様式で抗原を提示するワクチン・コンストラクトを生成するために、抗原に連結されることができる。高い抗体価はが提示された抗原に対して引き出され、連結された抗原は免疫系の細胞、典型的には及び好ましくはB細胞と相互作用することが可能であり、従って、免疫原性である。
【0064】
好ましい一実施形態において、前記VLPは、好ましくはRNA−バクテリオファージの、ウイルスの変異体コートタンパク質を含むかまたはそれから成り、変異体コートタンパク質は、置換の方法でおよび/または欠失の方法で、少なくとも一つのリジン残基が除去されることによって修飾されている。他の好ましい実施形態において、本発明のVLPは、ウイルスの、好ましくはRNA−バクテリオファージの変異体コートタンパク質を含むか、又はそれから成り、変異体コートタンパク質は、置換の方法でおよび/または欠失の方法で、少なくとも一つのリジン残基が付加されることによって修飾されている。少なくとも一つのリジン残基の欠失、置換または付加は、カップリングの程度を変化させてることを可能にし、すなわち、VLPの、好ましくはRNA−バクテリオファージのVLPのサブユニットにつき結合している抗原量を変化させることを可能にする。したがって、特異的ワクチンの設計の必要条件を、満たすことができる。
【0065】
好ましい一実施形態において、本発明の組成物とワクチンは、0.5から4.0の抗原密度を有する。本願明細書において使われる「抗原密度」なる用語は、VLPの、好ましくはRNA−バクテリオファージのVLPのサブユニット、好ましくはコートタンパク質につき連結される抗原分子の、平均数を指す。したがって、この値は、本発明の組成物またはワクチンにおいて、前記VLPの、好ましくはRNA−バクテリオファージの前記VLPの、全てのサブユニットにおける平均として算出される。Qβコートタンパク質のVLPまたはカプシドは、定まった数のリジン残基をそれらの表面に提示し、3つのリジン残基がカプシドの内部を向いておりRNAと相互作用し、4つの別のリジン残基がカプシドの外側に曝らされる定まったトポロジーを有する。好ましくは、少なくとも一つの第1の付着部位は、VLPの外側を向いているか又はそこに存在するリジン残基である。より好ましくは、少なくとも一つの第1の付着部位は、VLPの外側を向いているか又はそこに存在するリジン残基のアミノ基である。更なる好ましい実施態様において、前記第1の付着部位は、RNA−バクテリオファージQβのコートタンパク質のリジン残基のアミノ基である。更なる好ましい実施態様において、前記第1の付着部位は、配列番号1のリジン残基のアミノ基である。更なる好ましい実施態様において、前記第1の付着部位は、配列番号1の位置2、13、16、46、60、63及び67のリジン残基のうちの任意の一つのアミノ基である。更なる好ましい実施態様において、前記第1の付着部位は、カプシドの外側に向かうリジン残基の任意の一つのアミノ基である。
【0066】
露出したリジン残基がアルギニンと交換されたQβ変異体が、本発明のために使われてもよい。したがって、別の本発明の好ましい実施形態において、ウイルス様粒子は、変異体Qβのコートタンパク質を含むか、基本的にそれから成るか、またはそれから成る。好ましくは、これらの変異体コートタンパク質は、(a)Qβ−240(配列番号15、配列番号1のLys13−Arg);(b)Qβ−243(配列番号16、配列番号1のAsn10−Lys);(c)Qβ−250(配列番号17、配列番号1のLys2−Arg);(d)Qβ−251(配列番号18、配列番号1のLys16−Arg);及び(e)Qβ−259(配列番号19、配列番号1のLys2−Arg、Lys16−Arg)からなるグループから選択されるアミノ酸配列を含むか、あるいはそれから成る。上記のQβ変異体コートタンパク質、変異体Qβコートタンパク質VLP及びカプシドのコンストラクト、発現及び精製は、それぞれWO02/056905に記載されている。特に、WO02/056905の実施例18はここに援用される。
【0067】
別の本発明の好ましい実施形態において、ウイルス様粒子は、変異体コートタンパク質Qβまたは変異体または断片及び対応するA1タンパク質を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる。更なる好ましい実施態様において、ウイルス様粒子は、変異体コートタンパク質からを含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなり、前記変異体コートタンパク質は、配列番号15、16、17、18及び19及び対応するA1タンパク質の任意の一つから選択される。
【0068】
更なるRNA−バクテリオファージ・コートタンパク質はバクテリア宿主の発現において自己集合することが示されている(Kastelein, RA. et al., Gene 23:245-254 (1983), Kozlovskaya, TM. et al., Dokl. Akad. Nauk SSSR 287:452-455 (1986), Adhin, MR. et al., Virology 170:238-242 (1989), Priano, C. et al., J. Mol. Biol. 249:283-297 (1995))。特に、GA(Ni, CZ., et al., Protein Sci. 5: 2485-2493 (1996), Tars, K et al., J. Mol.Biol. 271:759-773(1997))及びfr(Pushko P. et al., Prot. Eng. 6: 883-891 (1993), Liljas, L et al. J Mol. Biol. 244:279-290,(1994))の生物学的及び生化学的特性が開示されている。いくつかのRNA−バクテリオファージの結晶構造が決定されている(Golmohammadi, R. et al., Structure 4:543-554 (1996))。このような情報を用いて、表面露出した残基は同定されることができ、したがって、一つ以上の反応性のアミノ酸残基が挿入または置換により挿入されることができるように、RNA−バクテリオファージのコートタンパク質は修飾されることができる。RNA−バクテリオファージに由来するVLPの別の有利な点は、手頃なコストで大量の物質の産生を可能にするバクテリアにおける、高い発現生産量である。
【0069】
好ましい一実施形態において、NGF抗原はNGFタンパク質である。好ましい一実施形態において、NGFタンパク質は、以下からなるグループから選択される:(a)ヒトNGFタンパク質;(b)イヌNGFタンパク質;(c)ネコNGFタンパク質;(d)マウスNGFタンパク質、及び(e)ウマNGFタンパク質。更なる好ましい実施態様において、NGFタンパク質は、ヒトのまたは他動物の、好ましくは哺乳類のNGFであって、更に好ましくは前記NGFタンパク質は、配列番号22から25及び32から39の任意の一つから選択される。好ましい一実施形態において、NGFタンパク質はヒトNGFである。
【0070】
更なる好ましい実施態様において、ヒトNGFは、配列番号22に記載されるアミノ酸配列を含むか、又は好ましくはそれから成る。別の好ましい実施態様では、NGFタンパク質は、配列番号22と少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、又は好ましくはそれからなる。好ましい一実施形態において、NGFタンパク質は、アミノ酸配列を含むか又は好ましくはそれから成り、配列番号22は、置換及び/又は欠失及び/又は挿入又はそれらの組み合わせによって、少なくとも1つの及び多くとも20の、好ましくは少なくとも1つの及び多くとも10の、より好ましくは少なくとも1つの及び多くとも5のアミノ酸が変化する。
【0071】
別の好ましい実施形態では、NGFタンパク質は、変異したアミノ酸配列を含むか又は好ましくはそれから成り、突然変異されるアミノ酸配列は配列番号22であり、前記突然変異されるアミノ酸配列は、置換及び/又は欠失及び/又は挿入又はそれらの組み合わせによって、少なくとも1つの及び多くとも20の、好ましくは少なくとも1つの及び多くとも10の、より好ましくは少なくとも1つの及び多くとも5のアミノ酸が変化される。
【0072】
好ましい一実施形態において、NGFタンパク質は、アミノ酸配列を含むかまたは好ましくはそれから成り、配列番号22は、少なくとも1つの及び多くとも20の、好ましくは少なくとも1つの及び多くとも10の、より好ましくは少なくとも1つの及び多くとも5のアミノ酸が欠失により変化される。
【0073】
更なる好ましい実施態様において、NGFタンパク質は、アミノ酸配列を含むかまたは好ましくはそれから成り、配列番号22は、1、2、又は3つのアミノ酸の欠失によって変えられる。別の好ましい実施態様では、NGFタンパク質は、突然変異したアミノ酸配列を含むかまたは好ましくはそれから成り、突然変異されるアミノ酸配列は、配列番号22であり、多くとも10、9、8、7、6、5又は4アミノ酸残基が前記突然変異されるアミノ酸配列から欠失される。非常に好適な実施態様において、NGFタンパク質は、突然変異したアミノ酸配列を含むかまたは好ましくはそれから成り、突然変異されるアミノ酸配列は、配列番号22であり、3、2又は好ましくは1つのアミノ酸残基が前記突然変異されるアミノ酸配列から欠失する。好ましい一実施形態において、NGFタンパク質は、アミノ酸配列を含むかまたは好ましくはそれから成り、配列番号22は、少なくとも1つの及び多くとも20の、好ましくは少なくとも1つの及び多くとも10の、より好ましくは少なくとも1つの及び多くとも5のアミノ酸が挿入により変化する。
【0074】
更なる好ましい実施態様において、NGFタンパク質はアミノ酸配列を含むかまたは好ましくはそれから成り、配列番号22は、1、2、又は3つのアミノ酸挿入によって変えられる。別の好ましい実施形態では、NGFタンパク質は、突然変異したアミノ酸配列を含むかまたは好ましくはそれから成り、突然変異されるアミノ酸配列は、配列番号22であり、多くとも20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5又は4アミノ酸残基が前記突然変異されるアミノ酸配列に挿入される。非常に好適な実施態様において、NGFタンパク質は、突然変異したアミノ酸配列を含むかまたは好ましくはそれから成り、突然変異されるアミノ酸配列は配列番号22であり、3、2又は好ましくは1つのアミノ酸残基は、前記突然変異されるアミノ酸配列に挿入される。
【0075】
好ましい一実施形態において、NGFタンパク質は、アミノ酸配列を含むかまたは好ましくはそれからなり、配列番号22は、少なくとも1つの及び多くとも20の、好ましくは少なくとも1つの及び多くとも10の、より好ましくは少なくとも1つの及び多くとも5のアミノ酸が置換により、好ましくは保存的置換により、変化する。更なる好ましい実施態様において、NGFタンパク質は、アミノ酸配列を含むかまたは好ましくはそれから成り 配列番号22は、1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10のアミノ酸置換によって、好ましくは保存的置換によって変化する。
【0076】
更なる好ましい実施態様において、NGFタンパク質はアミノ酸配列を含むかまたは好ましくはそれから成り、配列番号22は、1、2、又は3つのアミノ酸置換によって、好ましくは保存的置換によって変化する。別の好ましい実施例では、NGFタンパク質は、突然変異したアミノ酸配列を含むかまたは好ましくはそれから成り、突然変異されるアミノ酸配列は配列番号22であり、前記突然変異されるアミノ酸配列の多くとも20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、 7、6、5、又は4つのアミノ酸残基がアミノ酸置換により交換され、好ましくは前記アミノ酸置換は、保守的アミノ酸置換である。非常に好適な実施態様において、NGFタンパク質は、突然変異したアミノ酸配列を含むかまたは好ましくはそれから成り、突然変異されるアミノ酸配列は、配列番号22であり、突然変異される前記アミノ酸配列の3、2、好ましくは1つのアミノ酸残基は、アミノ酸置換によって交換され、好ましくは前記アミノ酸置換は、保守的なアミノ酸置換である。
【0077】
好ましい一実施形態において、NGFタンパク質はヒトNGF前駆体である。更なる好ましい実施態様において、ヒトNGF前駆体は、配列番号23に記載されるアミノ酸配列を含むかまたは好ましくはそれから成る。他の好ましい実施形態において、NGFタンパク質はアミノ酸配列を含むかまたは好ましくはそれから成り、それは配列番号23と少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%同一である。
【0078】
好ましい一実施形態において、NGF抗原はNGF断片であり、前記NGF断片は少なくとも一つのエピトープを含むか、あるいはそれから成る。タンパク質のエピトープを決定する方法は、当業者に知られている。PCT/EP2005/004980は26頁の第1段落から27頁の第4段落に、これらの方法のいくつかを詳細に記載しており、これらの具体的開示は本願明細書に援用したものとする。これらの方法が他のポリペプチド抗原に通常適用できる点に留意される必要があり、ゆえに、PCT/EP2005/004980に開示のIL−23 p19に制限されない。
【0079】
本発明の好ましい実施態様において、NGF抗原はNGF断片である。更に好ましい実施態様において、前記NGF断片は、配列番号22のヒトNGFの少なくとも8、好ましくは少なくとも12、より好ましくは少なくとも20、なお好ましくは少なくとも30の連続するアミノ酸を含むか、あるいは好ましくはそれから成る。更なる好ましい実施態様において、前記NGF断片は、配列番号22の5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29又は30の連続するアミノ酸から成り、好ましくは前記NGF断片は配列番号10の連続するアミノ酸を含み、更に好ましくは前記NGF断片は配列番号22の10のN末端基アミノ酸を含む。したがって、非常に好適な実施態様において、前記NGF断片は、配列番号44のアミノ酸配列から成る。
【0080】
好ましい一実施形態において、NGF抗原は、NGF突然変異タンパク質であって、好ましくは前記NGF突然変異タンパク質は、減少した生物学的活性を含み、更なる好ましくは前記NGF突然変異タンパク質は、免疫原性コンジュゲートの形態で動物に投与された場合、抗体中和を誘発することができる。非常に好適な実施態様において、NGF突然変異タンパク質は生物学的活性を含まず、前記NGF突然変異タンパク質は、免疫原性コンジュゲートの形態で動物に投与された場合、抗体中和を誘発することができる。
【0081】
更に好ましい実施態様において、前記NGF突然変異タンパク質は、突然変異したアミノ酸配列を含むかまたは好ましくはそれから成り、突然変異されるアミノ酸配列は、配列番号22であり、前記変異される前記アミノ酸配列は少なくとも1及び多くとも9、好ましくは少なくとも1及び多くても3、より好ましくは、少なくとも1及び多くとも2、最も好ましくは正確に1つの位置において変えられ、前記位置のアミノ酸残基は、置換によってまたは欠失によって、最も好ましくは置換によって変えられる。更に好ましい実施態様において、前記NGF突然変異タンパク質は、突然変異したアミノ酸配列から成り、突然変異されるアミノ酸配列は配列番号22であり、前記アミノ酸配列は、少なくとも1及び多くとも9の位置で変えられ、前記位置のアミノ酸残基は配列番号22から欠失され、好ましくは前記欠失するアミノ酸残基は配列番号22のアミノ酸残基1から9から選択され、更に好ましくは前記欠失するアミノ酸残基は、配列番号22のアミノ酸残基4H、5P、7F又は8Hの何らかの一つから選択される(Kullander et al. J Biol Chem, 1997. 272(14): p. 9300-7; Woo, S.B. and K.E. Neet J Biol Chem, 1996. 271(40): p. 24433-41; and Beglova, N., et al. J Biol Chem, 1998. 273(37): p. 23652-8)。非常に好適な実施態様において、前記NGF突然変異タンパク質は配列番号45から成る。
【0082】
更に好ましい実施態様において、前記NGF突然変異タンパク質は、突然変異したアミノ酸配列を含むかまたは好ましくはそれから成り、突然変異されるアミノ酸配列は配列番号22であり、変異される前記アミノ酸配列は少なくとも1及び多くとも3、好ましくは少なくとも1及び多くても2、最も好ましくは正確に1つの位置において変化し、前記位置のアミノ酸残基は置換によって変化する。
【0083】
更に好ましい実施態様において、前記NGF突然変異タンパク質は、突然変異したアミノ酸配列を含むかまたは好ましくはそれから成り、突然変異されるアミノ酸配列は配列番号22であり、前記突然変異される前記アミノ酸配列は少なくとも1及び多くとも3、好ましくは少なくとも1及び多くても2、最も好ましくは正確に1つの位置において変化し、前記位置のアミノ酸残基は置換によって変えられ、置換するアミノ酸残基は配列番号22のアミノ酸残基4H、5P、7F又は8Hのいずれかの1つから選択される(Kullander et al. J Biol Chem, 1997. 272(14): p. 9300-7; Woo, S.B. and K.E. Neet J Biol Chem, 1996. 271(40): p. 24433-41; and Beglova, N., et al. J Biol Chem, 1998. 273(37): p. 23652-8)。非常に好適な実施態様において、前記NGF突然変異タンパク質は、配列番号46から52の何れか一つから成る。
【0084】
更に好ましい実施態様において、前記NGF突然変異タンパク質は、突然変異するアミノ酸配列を含むかまたは好ましくはそれから成り、突然変異されるアミノ酸配列は配列番号22であり、前記突然変異されるアミノ酸配列は少なくとも1及び多くとも3の、好ましくは少なくとも1及び多くても2の、最も好ましくは正確に1つの位置において変えられ、前記位置のアミノ酸残基は置換によって変えられ、置換されたアミノ酸残基は、配列番号22のアミノ酸残基43から45、48及び49の何れかの一つから選択される(Kullander et al. J Biol Chem, 1997. 272(14): p. 9300-7; Beglova, N., et al. J Biol Chem, 1998. 273(37): p. 23652-8, and Xie, Y., et al. J Biol Chem, 2000. 275(38): p. 29868-74.)。非常に好適な実施態様において、前記NGF突然変異タンパク質は、配列番号53から60の何れかの一つから成る。
【0085】
更に好ましい実施態様において、前記NGF突然変異タンパク質は、突然変異するアミノ酸配列を含むかまたは好ましくはそれから成り、突然変異するアミノ酸配列は配列番号22であり、前記突然変異されるアミノ酸配列は少なくとも1及び多くとも3の、好ましくは少なくとも1及び多くても2の、最も好ましくは正確に1つの位置において変えられ、前記位置のアミノ酸残基は置換によって変えられ、置換されるアミノ酸残基は、配列番号22のアミノ酸残基94G、95K及び96Qの何れか一つから選択される(Kullander et al. J Biol Chem, 1997. 272(14): p. 9300-7; Beglova, N., et al. J Biol Chem, 1998. 273(37): p. 23652-8, and Xie, Y., et al. J Biol Chem, 2000. 275(38): p. 29868-74.)。非常に好適な実施態様において、前記NGF突然変異タンパク質は、配列番号61から66の何れか一つから成る。
【0086】
更に好ましい実施態様において、前記NGF突然変異タンパク質は、突然変異するアミノ酸配列を含むかまたは好ましくはそれから成り、突然変異するアミノ酸配列は配列番号22であり、前記突然変異されるアミノ酸置換によって正確に1つの位置において変えられ、置換されたアミノ酸残基はアミノ酸残基75H、84H、100R、111V、112l、114R、115K、113Sの何れか一つのアミノ酸から選択される(Kullander, K. et al. J Biol Chem, 1997. 272(14): p. 9300-7; Larsson, E. et al. Neurobiol Dis, 2008, Kruttgen, A., et al. J Biol Chem, 1997. 272(46): p. 29222-8)。非常に好適な実施態様において、前記NGF突然変異タンパク質は配列番号67から74の何れか一つから成る。
【0087】
更に好ましい実施態様において、前記NGF突然変異タンパク質は、突然変異するアミノ酸配列を含むかまたは好ましくはそれから成り、突然変異されるアミノ酸配列は配列番号22であり、前記突然変異されるアミノ酸は正確に2つの位置において変えられ、前記位置のアミノ酸残基は置換によって変えられ、置換されたアミノ酸残基は75H及び84Hである(Kullander et al. J Biol Chem, 1997. 272(14): p. 9300-7)。非常に好適な実施態様において、前記NGF突然変異タンパク質は配列番号75から成る。
【0088】
好ましい実施態様では、組成物は、(a)少なくとも一つの第1の付着部位を有するウイルス様粒子;及び(b)少なくとも一つの第2の付着部位を有する少なくとも一つの抗原を含むか、本質的にそれから成るか又はそれから成り、前記少なくとも一つの抗原はNGF抗原であり;(a)と(b)は前記少なくとも一つの第1の付着部位と前記少なくとも一つの第2の付着部位を介して連結し、前記結合は少なくとも一つのペプチド結合、好ましくはペプチド結合だけを経るものである。
【0089】
更なる好ましい実施態様において、少なくとも一つの第1の付着部位を有する前記ウイルス様粒子と前記少なくとも一つの抗原は、遺伝子融合の手段により連結される。NGF抗原をコードする遺伝子は、内部に、または好ましくはVLPのコートタンパク質をコードする遺伝子のN−またはC−末端にインフレームでライげーションされる。また、融合は、NGF抗原の配列を、コートタンパク質配列の部分が欠失したコートタンパク質の変異体であって、トランケーション変異体と呼ばれるものに挿入することによって遂行されることができる。トランケーション変異体は、コートタンパク質の配列の一部のN−またはC末端欠失、又は内部欠失を有することができる。融合タンパク質は、好ましくは発現に応じてVLPに組み立てられる能力を保持し、それは電子顕微鏡によって調べられることができる。
【0090】
隣接するアミノ酸残基は、コートタンパク質とNGF抗原との間の距離を増大させるために、NGF抗原に加えられることができる。グリシンとセリン残基は、隣接配列において使用される特に好ましいアミノ酸残基である。このような隣接配列は、融合コンスストラクトに追加的な柔軟性を与える。これは、VLPサブユニットの配列に融合した外来配列を不安定にする効果の可能性を減少し、従ってVLPアセンブリによる外来配列の干渉を減少させる。他の実施態様において、NGF抗原は他のウイルスコートタンパク質の多くに、例えばQβのA1タンパク質の切断型のC末端に融合することができる(Kozlovska, T. M., et al., Intervirology 39:9-15 (1996))。あるいは、NGF抗原は、CP伸長の位置72と73の間に挿入されることができる。例えば、Kozlovska et al.,(Intervirology, 39: 9-15 (1996))はエピトープが、位置19で切断されたQCP伸長のC末端に融合したQA1タンパク質融合を記載する。別の例として、NGF抗原は、fr CPのアミノ酸2と3との間に挿入されることができる(Pushko P. et al., Prot. Eng. 6: 883-891 (1993))。さらにまた、NGF抗原は、RNA−バクテリオファージMS−2(WO92/13081)のコートタンパク質のN末端基突出したヘアピンに融合することができる。あるいは、NGF抗原は、パピローマウイルスのコートタンパク質に、ウシパピローマウイルス・タイプ1のコートタンパク質の主要コートタンパク質L1(BPV−1)に融合させることができる(Chackerian, B. et al., Proc. Natl. Acad. Sci.USA 96:2373-2378 (1999), WO00/23955)。また、NGF抗原を有するBPV−1 L1のアミノ酸130−136の置換も、本発明の実施態様である。ウイルスのコートタンパク質に、または変異体又はその断片に、NGF抗原を融合する更なる実施形態は、WO2004/009124の62頁20行目から68頁17行目に開示されており、引用により本願明細書に組み込まれる。
【0091】
他の好ましい実施形態において、NGF抗原は、RNA−バクテリオファージAP205のコートタンパク質、変異体又はその断片のN末端又はC末端のどちらかに融合し、好ましくは前記コートタンパク質、変異体又はその断片は配列番号14、40から42の何れか一つのアミノ酸配列、好ましくは配列番号41のアミノ酸配列を含むか又は好ましくはそれから成る。
【0092】
更に好ましい実施態様において、融合タンパク質は、スペーサを更に含み、前記スペーサーはRNA−バクテリオファージAP205のコートタンパク質、その変異体又はその断片と前記NGF抗原との間に入る。好ましくは、前記スペーサーは、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6又は5未満アミノ酸から成る。非常に好ましくは、前記スペーサーは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14又は15のアミノ酸から成る。
【0093】
好ましい実施形態では、組成物は、(a)少なくとも一つの第1の付着部位を有するウイルス様粒子;及び(b)少なくとも一つの第2の付着部位を有する少なくとも一つの抗原を含むか、本質的にそれから成るか、又はそれから成り、前記少なくとも一つの抗原はNGF抗原であって;(a)と(b)は前記少なくとも一つの第1の付着部位と前記少なくとも一つの第2の付着部位を通して連結し、前記連結は少なくとも一つの非ペプチド共有結合であり、好ましくは前記第1の付着部位はスルフヒドリル基を含まないか又はそれでなく、より好ましくは、前記第1の付着部位はシステインのシステインのスルフヒドリル基を含まないか又はそれではない。
【0094】
好ましい実施形態において、第1の付着部位はアミノ基、好ましくはリジン残基のアミノ基を含むか、好ましくはそれから成る。更に好ましい実施形態において、前記第1の付着部位はリジン残基のアミノ基を含むか、好ましくはそれから成り、前記リジン残基は、前記VLPに含まれる組換えコートタンパク質のリジン残基である。更に好ましい実施形態において、前記第1の付着部位はリジン残基のアミノ基を含むか、好ましくはそれであり、前記リジン残基は、前記VLPに含まれるRNAバクテリオファージの組換えコートタンパク質のリジン残基である。
【0095】
更に好ましい実施態様において、前記少なくとも一つの第1の付着部位を有する前記ウイルス様粒子は、RNA−バクテリオファージ、好ましくはRNA−バクテリオファージQβのウイルス様粒子であり、前記第1の付着部位はリジン残基のアミノ基を含むか又は好ましくはそれであり、好ましくは前記リジン残基は、組換えコートタンパク質、好ましくはRNA−バクテリオファージQβの組換えコートタンパク質ののリジン残基であって、前記組換えコートタンパク質は、RNA−バクテリオファージの前記ウイルス様粒子に含まれる。
【0096】
更に好ましい実施態様において、少なくとも一つの第1の付着部位を有する前記ウイルス様粒子は、RNA−バクテリオファージ、好ましくはRNA−バクテリオファージQβのコートタンパク質、その変異体又はその断片を含むか、本質的にそれから成り、あるいはそれから成り、前記第1の付着部位は、リジン残基のアミノ基を含むか、好ましくはそれであり、好ましくは前記リジン残基は、前記RNA−バクテリオファージの、好ましくは前記RNA−バクテリオファージQβの前記組換えコートタンパク質、その変異体またはその断片に含まれるリジン残基である。
【0097】
更に好ましい実施態様において、少なくとも一つの第1の付着部位を有する前記ウイルス様粒子は、RNA−バクテリオファージの組換えコートタンパク質を含むか、本質的にそれから成るか、またはそれから成り、前記組換えコートタンパク質は、配列番号1のアミノ酸配列を含むかまたは好ましくはそれから成り;好ましくは前記第1の付着部位は配列番号1のリジン残基のアミノ基を含むか、又はそれである。
【0098】
別の本発明の好ましい実施形態において、第2の付着部位は、スルフヒドリル基、好ましくはシステイン残基のスルフヒドリル基を含むか、好ましくはそれから成る。本発明の非常に好適な実施態様において、少なくとも一つの第1の付着部位はアミノ基、好ましくはリジン残基のアミノ基であり、少なくとも一つの第2の付着部位はスルフヒドリル基、好ましくはシステイン残基のスルフヒドリル基である。
【0099】
本発明の好適な一実施形態において、典型的には及び好ましくはNGF抗原は、ヘテロ二官能性架橋剤を用いて、化学的架橋結合を経由してVLPに連結される。好ましい実施態様において、ヘテロ二官能性架橋剤は、好適な第1の付着部位、好ましくはアミノ基、より好ましくはVLPのリジン残基のアミノ基と反応できる官能基と、好適な第2の付着部位、すなわちスルフヒドリル基、好ましくはNGF抗原に本来からあるか又は人工的に付加されたシステイン残基のスルフヒドリル基と反応することができ、場合により還元による反応に利用される更なる官能基を含む。複数のヘテロ二官能性架橋剤は、従来技術で周知である。これらは好適な架橋剤であるSMPH(ピアス)、スルホ−MBS、スルホ−EMC、スルホ−GMBS、スルホ−SIAB、スルホ−SMPB、スルホ−SMCC、SVSB、SIA及び例えばピアス化学会社から入手できる他の架橋剤、及びアミノ基に対して反応できる1つの官能基とスルフヒドリル基に対して反応できる1つの官能基とを有するものを含む。上述の全ての架橋剤は、アミノ基との反応後アミド結合の形成に、スルフヒドリル基との反応後チオエーテル結合の形成につながる。本発明の実施において適切な架橋剤の別のクラスは、結合の際にNGF抗原とVLPとの間のジスルフィド結合の導入によって特徴づけられる。このクラスに属している好適な架橋剤は、例えばSPDPとスルホ−LC−SPDP(ピアス)を含む。
【0100】
好ましい実施形態において、本発明の組成物はリンカーを更に含む。NGF抗原への第2の付着部位のエンジニアリングはリンカーの会合によって達成され、好ましくは本発明の開示に従って第2の付着部位として適切な少なくとも一つのアミノ酸を含む。従って、本発明の好ましい実施態様において、リンカーは少なくとも一つの共有結合により、好ましくは少なくとも1つの、典型的には1つのペプチド結合をにより、NGF抗原に会合する。好ましくは、リンカーは第2の付着部位を含むか、又はそれから成る。別の好ましい実施形態では、リンカーは、好ましくはシステイン残基のスルフヒドリル基を含む。他の好ましい実施形態として、アミノ酸リンカーは、システイン残基である。別の好ましい実施形態では、アミノ酸リンカーは、CGG−またはGCG−リンカー、好ましくはCGG−リンカーである。本発明のために適切であるリンカーはWO2005/108425A1(32−33頁)に開示され、それは引用により本願明細書において組み込まれる。
【0101】
上述の好適な方法によるヘテロ二官能性架橋剤を使用したVLPへのNGF抗原の連結は、配向性の様式でVLPへNGF抗原を結合することを可能にする。NGF抗原をVLPに連結する他の方法は、NGF抗原が、カルボジイミドEDC及びNHSを使用して、VLPに架橋結合する方法を含む。また、NGF抗原は、最初に、例えばSATA、SATPまたはイミノチオランとの反応によってチオール化されてもよい。次に、NGF抗原は、必要であれば脱保護の後で、以下の通りにVLPに結合することができる。過剰なチオール化試薬の分離後、NGF抗原はVLP(システイン反応の部分を含むヘテロ二官能性架橋剤によって前もって活性化されたもの)と反応させ、その結果、システイン残基に反応性である少なくとも1つ又は複数の官能基であって、そこに上述のようにチオール化されたNGF抗原が反応することができる官能基を提示する。場合により、低量の還元剤は、反応混合物に含まれる。更なる方法において、NGF抗原は、グルタルアルデヒド、DSG、BM[PEO]4、BS3(ピアス)のようなホモ二官能性架橋剤又はVLPのアミノ基又はカルボキシル基に反応性である官能基を有するホモ二官能性架橋剤を使用してVLPに取り付けられる。
【0102】
本発明の他の実施態様において、組成物は、化学的相互作用を経て、NGF抗原に連結されたウイルス様粒子を含むかまたは本質的にそれから成り、これらの相互作用のうちの少なくとも1つは共有結合でない。このような相互作用は、抗原−抗体相互作用、受容体−リガンド相互作用を含むが、これに限定されるものではない。NGF抗原へのVLPの結合は、以下によって遂行されることができる:VLPをビオチン化すること、及びストレプトアビジン−融合タンパク質としてNGF抗原を発現すること。
【0103】
立体配置的に許容可能であるならば、1または複数の抗原分子(すなわちNGF抗原)は、VLPの1つのサブユニット、好ましくはRNA−バクテリオファージのコートタンパク質に、好ましくはRNA−バクテリオファージのVLPのコートタンパク質の露出したリジン残基を介して、取り付けられることができる。RNA−バクテリオファージ、特にRNA−バクテリオファージQβのVLPの特殊な特徴は、したがって、サブユニットにつき複数の抗原を結合させるという可能性である。これは、密度の高い抗原アレイの生成を可能にする。
【0104】
本発明の非常に好適な実施態様において、NGF抗原は、NGF抗原のN末端基かC末端に付加されたシステイン残基を介してまたはNGF抗原の天然システイン残基を介して、RNA−バクテリオファージのコートタンパク質の、特にRNA−バクテリオファージQβのコートタンパク質のVLPのリジン残基に連結される。上記の通り、4つのリジン残基は、Qβコートタンパク質のVLPの表面に露出する。典型的に及び好ましくは、これらの残基は、架橋剤分子との反応により誘導体化される。露出したリジン残基の全てが抗原に接続することができるというわけでない例として、架橋剤と反応したリジン残基は、誘導体化工程の後、ε−アミノ基に取り付けられた架橋剤分子をあとに残す。これは1または複数の正の電荷の消失につながり、それはVLPの溶解性と安定性に有害である可能性がある。開示されたQβコートタンパク質変異体の場合のように、いくつかのリジン残基をアルギニンと交換することによって、アルギニン残基が好適な架橋剤と反応しないことにより、正電荷の過剰な消失を妨げる。さらに、より少ない部位が抗原と反応可能である場合に、アルギニン残基によるリジン残基の置換は、より多くの形成された抗原アレイを導くことができる。
【0105】
したがって、露出したリジン残基は、以下のQβコートタンパク質変異体のアルギニンと交換された:Qβ−240(Lys13−Arg;配列番号15)、Qβ−250(Lys2−Arg、Lys13−Arg;配列番号17)、Qβ−259(Lys2−Arg,Lys16−Arg;配列番号19)及びQβ−251;(Lys16−Arg、配列番号18)。さらなる実施態様において、1つの追加的なリジン残基Qβ−243を有するRNA−バクテリオファージQβの変異体コートタンパク質を開示する(Asn10−Lys;配列番号16)それは、RNA−バクテリオファージQβの野生型コートタンパク質によって、より高い密度の抗原アレイさえ得ることに適している(配列番号1)。
【0106】
本発明の一実施態様において、前記ウイルス様粒子は宿主によって組換えにより産生され、前記ウイルス様粒子は宿主RNAから本質的に離れており、好ましくは前記ウイルス様粒子は宿主核酸を本質的に含まず、好ましくは前記ウイルス様粒子は、RNA−バクテリオファージのウイルス様粒子である。更なる好ましい実施形態では、組成物は、VLPに結合したか、好ましくはVLPにパッケージ化されているか又は封入されている少なくとも1つのポリアニオン性巨大分子を更に含む。
【0107】
好ましい実施形態において、前記ウイルス様粒子は、RNA−バクテリオファージ、好ましくはRNA−バクテリオファージQβのウイルス様粒子のウイルス様粒子であって、前記RNA−バクテリオファージのウイルス様粒子、好ましくは前記RNA−バクテリオファージQβのウイルス様粒子は組換えによって宿主により産生され、前記RNA−バクテリオファージのウイルス様粒子、好ましくは前記RNA−バクテリオファージQβのウイルス様粒子は宿主RNAを本質的に含まず、前記組成物は少なくとも1つのポリアニオン性巨大分子を含み、前記少なくとも1つのポリアニオン性巨大分子は、前記RNA−バクテリオファージのウイルス様粒子に、好ましくは前記RNA−バクテリオファージQβのウイルス様粒子にパッケージ化されている。更に非常に好ましい実施態様において、前記ポリアニオン性巨大分子は、ポリグルタミン酸および/またはポリアスパラギン酸であって、好ましくはポリグルタミン酸である。
【0108】
この記載において、本願明細書で使用される「本質的に宿主RNAを含まない」なる用語は、VLPにより含まれる宿主RNA、好ましくは宿主核酸の量を指し、典型的に及び好ましくはVLPの1mgにつき、30mg未満、好ましくは20mg未満、より好ましくは10mg未満、更により好ましくは8mg未満であり、更により好ましくは6mg、更に好ましくは4mg未満であり、最も好ましくは2mg未満である。最も好ましくは、前記VLPおよび/または本発明の前記組成物に含まれる宿主RNA、好ましくは宿主核酸は、検出限界の下にある。前述の記載において使われているように、宿主はVLPが組換えにより産生される宿主を指し、前記宿主は、典型的に及び好ましくは、大腸菌である。RNA、好ましくは核酸の量を決定する従来法は、当業者に知られている。本発明に係る、RNA、好ましくは核酸の量を決定する典型的及び好適な方法は、WO2006/037787A2の実施例17に記載されている。同一、類似または相似の条件が、典型的に及び好ましくは、Qβ以外のVLPを含む本発明の組成物のために、RNA、好ましくは核酸の量の測定のために使われる。最終的に必要とされる条件の変更は、当業者の知識の範囲内である。決定される量の数値は、典型的に及び好ましくは、示された値の±10%の偏差、好ましくは±5%の偏差を有する値を含むものとして理解されるべきである。
【0109】
宿主RNA、好ましくは宿主核酸:「宿主RNA、好ましくは宿主核酸」なる用語は、もともと宿主によって合成されたRNAまたは好ましくは核酸を指す。しかしながら、RNA、好ましくは核酸は、RNA、好ましくは核酸の量を減らすか又は除去する手順において、化学的および/または物理的変化を被る可能性があり、典型的に及び好ましくは本発明の方法により、例えば、RNA、好ましくは核酸のサイズが短く成る可能性やその二次構造が変えられる可能性がある。宿主RNAまたは核酸なる用語はこれらの分解生成物を含む。
【0110】
宿主RNA、好ましくは宿主核酸の量の減少させること又は除去することは、不必要なT細胞応答(例えば炎症性T細胞応答及び細胞障害性T細胞応答)と他の不必要な副作用を(例えば発熱)を最小限に抑えるかまたは減らし、その一方で抗原に対して強い抗体反応を維持する。
【0111】
一態様では、本発明は、本発明の組成物を産生する方法に関し、前記方法は、(a)少なくとも一つの第1の付着部位を有するVLPを提供すること;(b)少なくとも一つの第2の付着部位を有するNGF抗原を提供すること、及び(c)組成物を産生するために前記VLPと前記NGF抗原を結合する工程を含み、前記NGF抗原と前記VLPは、第1の付着部位および第2の付着部位で連結される。別の好ましい実施形態では、少なくとも一つの第1の付着部位を有する前記VLPを提供する工程は、更に(a)前記ウイルス様粒子、好ましくはRNA−バクテリオファージの前記ウイルス様粒子を、前記コートタンパク質、その変異体またはその断片に分解すること、(b)前記コートタンパク質、その変異体またはその断片を精製すること;(c)前記精製されたコートタンパク質、その変異体またはその断片をウイルス様粒子に再組立てする工程を含み、好ましくは前記ウイルス様粒子は、宿主RNA、好ましくは宿主核酸を本質的に含まない。なお更に好ましい実施態様において、前記精製されたコートタンパク質を再組立てすることは、少なくとも一つのポリアニオン性巨大分子の存在下で遂行される。少なくとも一つのポリアニオン性巨大分子の存在下で、RNA−バクテリオファージのコートタンパク質を再組立てする方法は、例えば、WO2006/037787A2において開示される。
【0112】
ある態様では、本発明は、本発明の組成物を含むワクチンの組成物を提供する。
【0113】
更なる態様において、本発明はワクチンの組成物を提供し、前記ワクチンの組成物は、本発明の組成物の何れか一つの治療的有効量を含むかまたはそれから成る。
【0114】
更に好ましい実施例では前記ワクチンの組成物は、少なくとも一つのアジュバントを含む。少なくとも1つのアジュバントの投与は、本発明の組成物の投与の前、同時にまたは後に生じる。本願明細書において使用する「アジュバント」なる用語は、宿主のデポーの生成を可能にする免疫応答または免疫物質の非特異的刺激因子を指し、本発明のワクチン組成物及び医薬組成物とそれぞれ組合わせた場合、より増強された免疫応答を提供することができる。少なくとも一つのアジュバントの実施態様は、完全及び不完全フロイントアジュバント、水酸化アルミニウム、アルミニウム塩類及び修飾されたムラミルジペプチドを含むか、好ましくはそれから成る。更なるアジュバントは、水酸化アルミニウムのようなミネラルゲル、例えばリゾレシチンのような界面活性物質、プルロニックポリオル、ポリアニオン、ペプチド、油乳濁液、キーホールリンペットヘモシニアン、ジニトロフェノール及びBCG(カルメット・ゲラン桿菌)及びコルネバクテリウム・パルバムのような役立つ可能性があるヒトアジュバントである。このようなアジュバントも、また公知技術である。本発明の組成物と共に投与されることができる更なるアジュバントは、一リン酸化脂質免疫修飾物質、AdjuVax 100a、QS−21、QS−18、CRL1005、アルミニウム塩類(ミョウバン)、MF−59、OM−174、OM−197、OM−294とVirosomalアジュバント技術を含むが、これに限定されるものではない。なお更なるアジュバントは免疫賦活性核酸、好ましくは、主鎖に1又は複数の修飾、好ましくはホスホロチオネート修飾を含む免疫賦活性核酸を含む。修飾は分解に対して核酸を安定させるためである。
【0115】
他の好ましい実施形態において、ワクチンの組成物はアジュバントを欠く。アジュバントの非存在下でさえ、本発明の有利な特徴は、組成物の高い免疫原性である。したがって、患者へのワクチンの組成物の投与は、好ましくはワクチンの組成物の投与の前、同時又は後に、同じ患者に少なくとも一つのアジュバントを投与せずに起こる。VLPは一般にアジュバントとして記載されていた。しかしながら、本出願の記載で使われる場合は「アジュバント」なる用語は、VLPではなく、むしろ前記VLPに付け加えて本発明のために使用するアジュバントを指す。
【0116】
本発明のワクチン組成物は、その投与が受容個体によって許容されることができる場合、「薬学的に許容可能である」と言われている。更に、本発明のワクチン組成物は、「治療上の有効量」、すなわち所望の生理作用を産生する量において投与される。本発明において、所望の生理作用は、典型的に及び好ましくは、疼痛の抑制または縮小である。
【0117】
ある態様では、本発明は、医薬組成物を提供し、前記医薬組成物は、薬学的に許容可能な担体と共に本発明の組成物またはワクチン組成物を含む。好ましい実施態様において、前記医薬組成物は、本発明の組成物の治療上の有効量を含む。組成物またはワクチンの組成物が個体に投与される場合、それは塩類、バッファー、アジュバントまたはコンジュゲートの効果を改良するために所望の他の物質を含む形態であってもよい。医薬組成物の調製ために使用する適切な物質の例は、Remington's Pharmaceutical Sciences(Osol, A, ed., Mack Publishing Co., (1990))を含む数多くの出典に提供されている。医薬組成物の更なる成分は、無菌水性(例えば、生理食塩水)か非水溶媒及び懸濁液とを含む。非水溶媒の例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブオイルのような植物油、およびオレイン酸エチルのような注射可能な有機エステルである。担体または密封包帯は、皮膚透過性を増大してと抗原吸収を改良するために用いることができる。
【0118】
本発明は、好ましくはNGF抗原に対する免疫化の方法を更に開示し、前記方法は、動物に、好ましくはヒトに、組成物、ワクチンの組成物または医薬組成物を投与することを含む。動物は、好ましくは哺乳類、例えばマウス、サル、チンパンジー、イヌ、ネコ、ウマと特にヒトである。組成物、ワクチン組成物または医薬組成物は、前記動物に、好ましくはヒトに、従来技術の様々な方法によって、投与されることができる。典型的に及び好ましくは、組成物、ワクチン組成物または医薬組成物は、注射、注入、吸入または経口投与によって、前記動物に、好ましくは前記ヒトに投与される。更に好ましくは、組成物、ワクチン組成物または医薬組成物は、筋肉内に、静脈内に、経粘膜的に、経皮的に、鼻腔内に、腹膜内にまたは皮下に投与される。
【0119】
一態様では、本発明は、疼痛を予防するか、又は特に治療するための方法を提供し、前記方法は、前記組成物、前記ワクチン組成物または前記医薬組成物を、動物に、好ましくはヒトに投与することを含み、典型的に及び好ましくは、前記動物、好ましくは前記ヒトは、疼痛に苦しんでいる。好ましい一実施形態において、前記疼痛は、侵害受容性疼痛である。非常に好適な実施態様において、前記疼痛は、慢性的な炎症性疼痛である。更に好ましい実施態様において、疼痛は、骨関節炎疼痛、リウマチ様関節炎疼痛、癌性疼痛、内臓痛、慢性的な腰痛症及び慢性的な頭痛、または慢性的な頭痛、膵臓炎痛、膀胱炎痛または前立腺炎痛を含む。非常に好適な実施態様において、前記疼痛は、骨癌性疼痛である。好ましい一実施形態において、疼痛は、損傷によって生じる。
【0120】
好ましい一実施形態において、前記疼痛は、例えば、損傷による神経圧縮/神経外傷によって、帯状疱疹後神経痛のような神経細胞の感染によって生じることがある、脳卒中または変性神経疾患または幻想肢痛のような神経細胞の損害につながっている状態の神経障害疼痛である。
【0121】
本発明の更なる態様は前記組成物の、前記ワクチン組成物のまたは前記医薬品組成物の医薬としての使用である。
【0122】
別の態様において、本発明は、動物、好ましくはヒトの疼痛の治療のための医薬の製造のための、前記組成物のまたは前記ワクチン組成物の使用を提供し、好ましくは前記疼痛は、侵害受容性疼痛または神経障害疼痛である。非常に好適な実施態様において、前記疼痛は、慢性的な炎症性疼痛である。更なる好ましい実施態様において、前記疼痛は、骨関節炎疼痛、リウマチ様関節炎疼痛、癌性疼痛、内臓痛、慢性的な腰痛症及び慢性的な頭痛、または慢性的な頭痛、膵臓炎痛、膀胱炎痛または前立腺炎痛を含む。非常に好適な実施態様において、前記疼痛は、骨癌性疼痛である。好ましい一実施形態において、疼痛は、損傷によって生じる。
【0123】
別の態様において、本発明は、動物の、好ましくはヒトの疼痛の治療のための本願明細書において記載の組成物、ワクチン組成物または医薬組成物を提供し、更に好ましくは前記組成物、前記ワクチン組成物または前記医薬組成物は、前記動物に、好ましくは前記ヒトに投与されることになっており、なお更に好ましくは前記疼痛は侵害受容性疼痛または神経障害疼痛である。
【0124】
ある実施形態において、本発明は、(a)少なくとも一つの第1の付着部位を有するウイルス様粒子(VLP)であって、前記VLPがRNA−バクテリオファージQβのVLPであり、及び(b)少なくとも一つの第2の付着部位を有する少なくとも一つの抗原であって、前記少なくとも一つの抗原はNGFタンパク質とリンカーを含み、好ましくは前記NGFタンパク質は、配列番号22から成り、(a)と(b)は前記少なくとも一つの第1の付着部位と前記少なくとも一つの第2の付着部位を通して連結し、前記第1の付着部位はバクテリオファージQβの前記VLPのリジン残基のアミノ基であり、前記第2の付着部位は前記リンカーを含み、前記リンカーはペプチド結合によって前記NGFタンパク質に融合し、前記第2の付着部位はシステインのスルフヒドリル基であり;好ましくは前記第1の付着部位と前記第2の付着部位は、ヘテロ二官能性架橋剤で、好ましくはSMPHによって連結されるものを含むか、本質的にそれから成るか、又は好ましくはそれから成る。
【0125】
ある実施形態において、本発明は、(a)少なくとも一つの第1の付着部位を有するウイルス様粒子(VLP)、前記VLPはRNA−バクテリオファージQβのVLPであり、及び(b)少なくとも一つの第2の付着部位を有する少なくとも一つの抗原であって、前記少なくとも一つの抗原はNGF断片とリンカーを含み、好ましくは前記NGF断片は配列番号44から成り、(a)と(b)は前記少なくとも一つの第1の付着部位と前記少なくとも一つの第2の付着部位を通して連結し、前記第1の付着部位はバクテリオファージQβの前記VLPのリジン残基のアミノ基であり、前記第2の付着部位は前記リンカーを含み、前記リンカーはペプチド結合によって前記NGFタンパク質に融合し、前記第2の付着部位はシステインのスルフヒドリル基であり;好ましくは前記第1の付着部位と前記第2の付着部位は、ヘテロ二官能性架橋剤で、好ましくはSMPHによって連結されるものを含むか、本質的にそれから成るか、又は好ましくはそれから成る。
【0126】
ある実施形態において、本発明は、(a)少なくとも一つの第1の付着部位を有するウイルス様粒子(VLP)であって、前記VLPはRNA−バクテリオファージQβであり、及び(b) 少なくとも一つの第2の付着部位を有する少なくとも一つの抗原であって、前記少なくとも一つの抗原はNGF突然変異タンパク質とリンカーを含み、好ましくは前記NGF突然変異タンパク質は、配列番号45から75の何れか一つから成り;(a)と(b)は前記少なくとも一つの第1の付着部位と前記少なくとも一つの第2の付着部位を通して連結し、前記第1の付着部位はバクテリオファージQβの前記VLPのリジン残基のアミノ基であり、前記第2の付着部位は前記リンカーを含み、前記リンカーはペプチド結合によって前記NGFタンパク質に融合し、前記第2の付着部位はシステインのスルフヒドリル基であり;好ましくは前記第1の付着部位と前記第2の付着部位は、ヘテロ二官能性架橋剤で、好ましくはSMPHによって連結されるものを含むか、本質的にそれから成るか、又は好ましくはそれから成る。
【0127】
ある実施形態において、(a)少なくとも一つの第1の付着部位を有するウイルス様粒子(VLP)であって、前記VLPは、配列番号1を含むかまたは好ましくはそれから成り、及び(b)少なくとも一つの第2の付着部位を有する少なくとも一つの抗原であって、前記少なくとも一つの抗原はNGF抗原とリンカーとを含み、前記NGF抗原は、(i)NGFタンパク質、好ましくは配列番号22;(ii)NGF断片、好ましくは配列番号44;及び(iii)NGF突然変異タンパク質、好ましくは配列番号45から75の何れか一つ;から成るグループから選択され、(a)と(b)は前記少なくとも一つの第1の付着部位と前記少なくとも一つの第2の付着部位を通して連結し、前記第1の付着部位は配列番号1の前記VLPのリジン残基のアミノ基であり、前記第2の付着部位は前記リンカーを含み、前記リンカーはペプチド結合によって前記NGFタンパク質に融合し、前記第2の付着部位はシステインのスルフヒドリル基であり;好ましくは前記第1の付着部位と前記第2の付着部位は、ヘテロ二官能性架橋剤で、好ましくはSMPHによって連結されるものを含むか、本質的にそれから成るか、又は好ましくはそれから成る。
【0128】
ある実施態様において、(a)少なくとも一つの第1の付着部位を有するウイルス様粒子(VLP)であって、前記VLPはRNA−バクテリオファージQβであり、及び(b)少なくとも一つの第2の付着部位を有する少なくとも一つの抗原であって、前記少なくとも一つの抗原はNGF抗原とリンカーとを含み、前記NGF抗原は、(i)NGFタンパク質、好ましくは配列番号22;(ii)NGF断片、好ましくは配列番号44;及び(iii)NGF突然変異タンパク質、好ましくは配列番号45から75何れか一つ;から成るグループから選択され;(a)と(b)は前記少なくとも一つの第1の付着部位と前記少なくとも一つの第2の付着部位を通して連結し、前記第1の付着部位はバクテリオファージQβの前記VLPのリジン残基のアミノ基であり、前記第2の付着部位は前記リンカーを含み、前記リンカーはペプチド結合によって前記NGFタンパク質に融合し、前記第2の付着部位はシステインのスルフヒドリル基であり;好ましくは前記第1の付着部位と前記第2の付着部位は、ヘテロ二官能性架橋剤で、好ましくはSMPHによって連結され、更に前記組成物は、少なくとも一つのポリアニオン性巨大分子を含み、前記ポリアニオン性巨大分子は前記VLPにパッケージ化され、好ましくは前記ポリアニオン性巨大分子はポリグルタミン酸であるものを含むか、本質的にそれから成るか、又は好ましくはそれから成る。
【図面の簡単な説明】
【0129】
【図1】免疫マウスの精製されたトータルIgGによるmNGFのインビトロ中和。mNGFβに応答するTF−1細胞の増殖は、BrdU取込みを介して測定された。Qβ免疫化動物の10μg/mlのトータルIgGの存在下において、10ngの/mlのmNGFβに応答する増殖は100%とセットされ、他の全ての状態に応答するTF−1増殖は、その値に関して算出した。円は、Qβ免疫化動物のIgG2と共にプレインキュベーションした後に由来する値を表わし、正方形はQβ−mNGFβ−His−GGC−免疫化動物からのIgGと共にプレインキュベーションした後に由来する値を表わす。三組の平均+/−SDを示す。
【図2】臨床スコアの発現とCIAマウスの平均体重。マウスは日0、10及び20において免疫化され、CIAは日27及び48において誘導された。A)Qβ(黒四角)またはQβ−mNGFβ−His−GGC(白丸)によって免疫化されたマウスの臨床関節炎スコア。値は、マウスにつき全ての四肢のスコアの平均及びグループ(n=8)+/−SEMとして示す。B)Qβ(黒四角)またはQβ−mNGFβ−His−GGC(白丸)によって免疫化されたマウスの平均体重。値は平均体重(n=8)+/−SEMとして示す。
【図3】ザイモサンAで誘発された炎症性疼痛における熱過敏性及び機械的異痛症。マウスは日0、10及び20において免疫化され、炎症性疼痛は日31に左後足へのザイモサンAの注射によって誘導された。A)足撤回時間として測定された、Qβ(黒四角)またはQβ−mNGFβ−His−GGC(白丸)によって免疫化されたマウスの熱過敏性。値は平均(n=4)+/−SEMとして与えられる。B)足撤回を引き起こす加圧力として測定された、Qβ(黒四角)またはQβ−mNGFβ−His−GGC(白丸)によって免疫化されたマウスの機械的異痛症。値は平均(n=4)+/−SEMとして与えられる。
【図4】Qβ−(PolyGlu)−mNGFβ−His−GGC免疫化マウスにおいて、ザイモサンAで誘発された炎症性疼痛における熱過敏性及び機械的異痛症。マウスは日0、14、28及び42で免疫化され、炎症性疼痛はザイモサンAの左後足への注入によって日62に誘発された。A)足撤回時間として測定された、Qβ(PolyGlu)(黒四角)、Qβ(PolyGlu)−mNGFβ−His−GGC(黒三角)またはQβ−mNGFβ−His−GGC(白丸)によって免疫化されたマウスの機械的異痛症。値は平均(n=4)+/−SEMとして与えられる。B)足撤回を引き起こす加圧力として測定された、Qβ(PolyGlu)(黒四角)、Qβ(PolyGlu)−mNGFβ−His−GGC(灰色丸)またはQβ−mNGFβ−His−GGC(白丸)によって免疫化されたマウスの機械的異痛症。値は平均(n=4)+/−SEMとして与えられる。
【実施例】
【0130】
実施例1
mproNGFβcDNAの原核生物の発現ベクターへのクローニング
マウスproNGFβは、マウスの胎児性脳組織のcDNAライブラリから以下のプライマーを使用してPCRによって増幅された:Nde−proNGF−F(配列番号26)及びproNGF−Xho−R(配列番号27)。PCR産物は、NdeIとXhoIによって消化されて、pM−His−GGCベクターにライげーションされた。結果として生じるプラスミドはpM−proNGF−HisGGCという名前をつけられ、それはマウスNGFβ、HisタグおよびC末端に2つのグリシン続いてシステインを含むリンカーを含む融合タンパク質をコードする。
【0131】
実施例2
pCB28_proNGFβ−His−GGC真核生物の発現ベクターの構築
mproNGFβ配列は、pM−proNGF−HisGGCベクターから、以下の2つのプライマーを使用するPCRによって増幅された:mproNGFeuk_var1_f(配列番号28)及びmproNGFeuk_var1_r(配列番号29)。PCR産物は、pCRII−TOPOベクター(インビトロゲン)にライゲーションされた。pCRII−TOPOベクターはPacIとXhoIによって消化され、結果として生じるmproNGFβ−HisGGC断片はpCB28ベクターにライげーションされる。結果として生じるプラスミドは、pCB28_mproNGF_His_Cという名前をつけられ、mproNGFβ配列、Hisタグ及びC末端に2つのグリシン続いてシステインを含むリンカーが続くpSECTag2/HygroA,B,Cベクター(インビトロゲン)に由来したγイムノグロブリンのカッパ軽鎖に由来するシグナル配列をコードする。
【0132】
実施例3
293T HEK細胞のpCB28−proNGFβ−His−GGCの発現
ピューロマイシン耐性遺伝子を含むpCB28_proNGF_His_C発現ベクターの1μgは、200μlのOpti−MEM(インビトロゲン)と7.5μlのリポフェクタミン2000(インビトロゲン)と混合されて、1.5*10のHEK 293T細胞にトランスフェクションさせた。4時間後に、細胞に、10%のFCSと1%の非必須アミノ酸(インビトロゲン)を含むD−MEM培地を再供給した。24時間後、1mg/lのピューロマイシン(インビトロゲン)は、ピューロマイシン耐性の選択を可能にするために、培地に加えられた。ピューロマイシン耐性細胞は、10mg/lの還元型グルタチオン(Fluka)、161mg/lのN−アセチル−L−システイン(Fluka)1%の非必須アミノ酸、1%のペニシリン/ストレプトマイシン(インビトロゲン)及び1mg/lのピューロマイシンを含むFCS−なしのD−MEM培地のポリ‐L‐リジン被覆ローラーボトルにおいて増殖させた。
【0133】
ピューロマイシン耐性細胞の上清は収集されて、Amicon超遠心フィルター装置(ミリポア)によって濃縮されて、還元条件下で12%のNUPAGEビス/トリス・ゲル(インビトロゲン)上で泳動した。NGFの発現は、抗ペンタ・ヒスチジン−特異的抗体(キアゲン)を使用するイムノブロット分析によって視覚化された。発現は、Hisタグとリンカー(配列番号30)を含む、期待サイズ14.7kDaの成熟mNGFβに対応する約15kDaのバンドの視覚化によって証明された。mproNGFβ−His−GGCを発現するHEK293T細胞から上清中に放出された成熟mNGFβ−HisGGCの正しい処理は、エドマン分解によって確認され、SSTHPを成熟mNGFβの5つのN末端基アミノ酸として明らかにした。これは、成熟したmNGFβの5つの期待されるアミノ酸に対応し、HEK293T細胞によるmproNGFβ−His−GGCのmNGFβ−His−GGCへの処理と正しい発現を確認した。
【0134】
実施例4
mNGFβ−His−GGCの精製
mNGFβ−His−GGCは、Ni2−親和性精製によりHEK293Tの上清から精製された。簡潔に、上清は1/10量のニッケル−ニトリロトリ酢酸(Ni−NTA)結合バッファー(500mMのNaHPO、1.5MのNaCl、100mMのイミダゾール、100mMのβ−メルカプトエタノール、pH8)を添加され、それからカラムに詰められた平衡化Ni−NTA superflowビーズ(キアゲン)にペリスタル型ポンプを使用して4℃で16時間カラムに注入された。結合後、カラムはAEKTA清浄器FPLCシステムに接続され、Ni−NTA superflowビーズは非特異的に結合した不純物の量を減らすために洗浄バッファー(50mMのNaHPO、150mMのNaCl、20mMのイミダゾール、pH8)の4カラム体積によって洗われた。続いて、mNGFβは、2カラム体積の洗浄から溶出バッファー(50mMのNaHPO、150mMのNaCl、500mMのイミダゾール、pH8)の勾配によって溶出させられた。溶出したタンパク質は、精製の品質を点検するために、還元条件下、12%のNUPAGEビス/トリス・ゲル上で泳動した。非常に純粋なmNGFβ−His−GGCが、このような方法で引き出される場合があり、実施例7にて説明したようにQβ−mNGFβ−His−GGCの更なる発現のために使われた。
【0135】
実施例5
モノクローナル抗体によるmNGFβ−His−GGCの認識
天然タグと比較してmNGFβ−His−GGCとマウスの顎下腺から精製されるリンカーなしのmNGFβの結合性は、捕獲のためのモノクローナル抗NGFβ抗体(ケミコン・インターナショナル)及び検出のためのポリクローナル・ヒツジ抗mNGFβ抗体(ケミコン・インターナショナル)を使用して、サンドイッチELISAによって決定された。簡潔には、モノクローナル抗mNGFβ抗体は、カーボネイト・バッファー(0.1MのNaHCO、pH9.6)に0.85μg/mlに希釈し、マイクロタイタウェル上に4℃でオーバーナイトで被覆した。次に、プレートはPBS−0.05%のTween20(PBS−T)で3回洗浄され、その後37℃で2時間、2%のBSAのPBS−T溶液によってブロックされた。次に、プレートは0.2から200ng/mlのmNGFβ−His−GGCの濃度増加と共に室温で2時間暖められ、顎下腺から分離されたmNGFβは1%BSAのPBS−T溶液に希釈した。次に、プレートは、PBS−Tで6回洗浄されて、室温で1時間10mg/mlのヒツジ抗mNGFβ抗体と共にインキュベートされた。PBS−Tによる6回の洗浄後、プレートは、60μg/mlのペルオキシダーゼ抱合型ウサギ抗ヒツジ抗体(ケミコン・インターナショナル)と共に室温で30分間暖められた。PBS−Tによる6回の最終的な洗浄工程の後、酵素反応は、10mgのOPD基質(Fluka)及び8μlのH(30%)の25mlのクエン酸バッファー(66mMのNaHPO、35mMのクエン酸、pH5)溶液からなる100mlの溶液を全てのウェルに加えることによって開始した。呈色反応は5%のHSOで停止され、吸光度はELISA読取り器(バイオラド)を使用して450nmで測定された。ELISAは、両方ともに組換えにより発現されたmNGFβ−His−GGCとmNGFβの等しい認識を明らかにし、これはmNGFβ−His−GGCは正しく発現され、正しい三次元構造に折り畳まれたことを示す。
【0136】
実施例6
mNGFβ−His−GGCの生理活性
mNGFβ−His−GGCの生理活性は、他(R&D NGFβ産物シート)に記載されているように、mNGFβ反応性因子依存性ヒト赤白血病TF−1細胞株(ATCC)を、読出し装置として使用して、インビトロ細胞増殖アッセイにおいて試験した。簡潔には、10のTF−1細胞は、96ウェルの平底プレートのウェルにつき、100μlのDMEM培地(10%のFCS、10mMのHEPES、1%のペニシリン/ストレプトマイシン及び1%のGlutamaxで補充された)にまかれた。0.8から100ng/mlに増大する濃度のマウスの顎下腺から精製されたmNGFβ−HisGGCまたはmNGFβは、細胞に加えられた。48時間後、細胞はBrdU標識試薬(ロシュ・ダイアグノスティク)により、増殖細胞に組み込まれるために、標識された。24時間後に、細胞は固定され、続いてペルオキシダーゼ抱合型抗−BrdUモノクローナル抗体(ロシュ・ダイアグノスティク)と共にインキュベートされた。十分な洗浄後、100μlのテトラベンジル−ベンジジン基質溶液を各ウェルに与えた。呈色反応は5%のHSOで停止され、吸光度はELISA読取り器(バイオラド)を使用して450nmで測定された。顎下腺からのmNGFβ−His−GGCとmNGFβは同じように増殖を刺激し、これはmNGFβ−His−GGCが生物学的に活性であることを示した。
【0137】
実施例7
Qβ−VLPへのmNGFβ−His−GGCの結合
Qβ−VLP(2mg/ml)は、5倍のモル過剰のヘテロ二官能性架橋剤スクシンイミジル−6−(β−マレイミドプロピオンアミド)ヘキサノネート(SMPH,Pierce)と共に、室温で30分間、反応させた。SMPHは、ジメチルスルホキシド中に溶解された50mMストックから取り出された。反応生成物は、10kDaの分子量カットオフ(Slide−A−Lyzer, Pierce)と共に、結合バッファー(20mMのME、300mMのNaCl、10%のグリセリン、pH6)に対して2回透析された。透析は、室温で行われた。このような方法で誘導体化されるQβ−VLPが、次に標的タンパク質に結合させるために使われた。
【0138】
結合前に、実施例4に記載の通りに得られた精製されたmNGFβ−His−GGCは、結合バッファー中に透析され、5モル過剰量のTCEPと共に室温(RT)で1時間、還元された。還元されたmNGFβ−His−GGC(0.25mg/ml)は、4℃で4時間100μlの総容積で誘導体化されたQβ(0.25mg/ml)と共に暖められた。反応の完了後、反応チューブは、ありうる沈殿を取り除くために遠心分離機にかけられた。結合反応は還元条件下で12%のNuPAGEビス/トリス・ゲル上で結合産物を泳動することによって分析され、抗−ペンタHis抗体によりイムノブロット分析し、Qβ−VLPへのmNGFβの有効な結合を明らかにした。タンパク質濃度はブラッドフォードで測定された。
【0139】
実施例8
Qβ−mNGFβ−His−GGCの免疫原性
雄のDBA/1マウスは、アジュバントの非存在下で日0、日10と日20において、実施例7から得られるmNGFβ−His−GGCに結合する50μgのQβ VLPによって、皮下に免疫化された。ネガティブコントロールのマウスはQβ−VLPだけによって免疫化された。日10、20と30に血液は採取された。血清は、血清管(Mirotainer、BDバイオサイエンス)の血液サンプルを10分間、10.000gで遠心させることによって調製された。血清試料のmNGFβ−特異的抗体の検出は、コーティングに、マウスの顎下腺から精製される、タグ及びリンカー無しのmNGFβを使用してELISAによって行われた。簡潔には、mNGFβはカーボネイト・バッファー(0.1MのNaHCO、pH9.6)に2.5μg/mlの濃度で希釈し、マイクロタイター・ウェル上に4℃で終夜、被覆した。次に、プレートはPBS−0.05% Tween20(PBS−T)で3回洗浄され、その後37℃で2時間、2%BSAのPBS−T溶液によってブロックされた。次に、プレートは、1:200の開始希釈物から始めて3倍の希釈工程を使用して、PBS−T +2%BSAに希釈した血清試料と共に室温で2時間インキュベートされた。次に、プレートは、PBS−Tにより6回洗浄され、ペルオキシダーゼ抱合型ヤギ抗マウスIgG−Fc抗体(Jackson ImmunoResearch Laboratories)の1:1000希釈によって1時間室温でインキュベートされた。6回洗浄後、酵素反応は、全てのウェルに、10mgOPD基質及び8μlのH(30%)の25mlのクエン酸バッファー(66mMのNaHPO、35mMのクエン酸、pH5)溶液を加えることによって始まった。呈色反応は5%のHSOで停止され、吸光度はELISA読取り器(バイオラド)を使用して450nmで測定された。ELISAは、mNGFβに対する強い自己抗体応答が上記の免疫化プロトコルを使用してQβ−mNGFβ−His−GGCによって誘発される可能性があることを明らかにした。
【0140】
実施例9
Qβ−mNGFβ−His−GGCによって上昇する抗体の中和活性
Qβ−mNGFβ−His−GGCによる免疫化によって上昇するインビトロでの抗体の中和活性は、実施例6に記載のように、インビトロ細胞増殖アッセイにおいて試験された。簡潔には、マウスは、実施例8に記載のように、Qβ又はQβ−mNGFβ−His−GGCによって免疫化された。免疫化された動物の血清は収集されて、トータルIgG分画はタンパク質G精製によって血清から分離された。次に、QβまたはQβ−mNGFβ−His−GGC免疫マウスからの精製されたトータルIgGの、mNGFβの生理活性を中和するための能力は、TF−1細胞増殖アッセイで試験された。簡潔には、10のTF−1細胞は、96ウェルの平底プレートのウェルにつき、100mlのDMEM培地(10%のFCS、10mMのHEPES、1%のペニシリン/ストレプトマイシン及び1%のGlutamaxで補充された)にまかれた。0.2から100ng/mlに増大する濃度の顎下腺から精製されたmNGFβは、室温で30分間Qβ又はQβ−mNGFβ−His−GGCと共に免疫化されたマウスの血清から精製されたトータルIgGと共にプレインキュベートされ、次に細胞に加えられた。48時間後、細胞はBrdU標識試薬(ロシュ・ダイアグノスティク)により、増殖細胞に組み込まれるために、標識された。24時間後に、細胞は固定され、続いてペルオキシダーゼ抱合型抗−BrdUモノクローナル抗体(ロシュ・ダイアグノスティク)と共にインキュベートされた。十分な洗浄後、100μlのテトラベンジル−ベンジジン基質溶液を各ウェルに与えた。呈色反応は5%のHSOで停止され、吸光度はELISA読取り器(バイオラド)を使用して450nmで測定された。Qβ免疫マウスから10μg/mlまたは50μg/mlのトータルIgGと共にプレインキュベートされたmNGFβの増加濃度により刺激された細胞は、増殖の抑制を示さなかった。Qβ免疫マウスから10μg/mlまたは50μg/mlのトータルIgGと共にプレインキュベートされたmNGFβの増加濃度により刺激された細胞は、一方でかなり減少した増殖速度を示し、Qβ−mNGFβ−His−GGC(図1)による免疫化によって上昇した抗体のNGF中和活性を立証した。
【0141】
実施例10
コラーゲンによって誘導された関節炎の悪液質の抑制におけるQβ−mNGF−His−GGCワクチン接種の有効性
自己免疫関節炎の悪液質を減少するQβ−mNGF−His−GGCワクチンの能力は、リウマチ様関節炎(RA)、いわゆるコラーゲン誘導関節炎(CIA)のマウスモデルにおいて評価された。このモデルにおいて、RAは、完全フロイント・アジュバント(CFA)のコラーゲン2型(MD Biosciences)の皮内注射によって、続いて21日後に、不完全フロイント・アジュバント(IFA)のコラーゲンII型の皮内注射によって、誘発された。炎症は絶え間なく進行して、減量を伴う強直と永続性の関節破壊に達する。雄のDBA/1マウス(n=8)は日−35、日−21及び日−7で50μgのQβ−mNGF−His−GGCによって免疫化され、同様にネガティブコントロールのマウスはQβだけで免疫化された。3回の免疫処置後、RAは日0で誘発された。炎症進行は7−9週にわたって監視され、臨床スコアは以下の定義に従って各四肢に割り当てられた:0 正常、1 軽度の紅斑および/または趾/足の腫張、2 完全な足/関節全体にひろがる紅斑と膨張、3 強直を伴う足/関節の強い膨張、変形。図2Aは、QβとQβ−mNGF−His−GGC免疫動物の両方における関節炎の進行を示す。関節炎は、両群において非常に同じように進行した。同期間に、マウスの体重は、毎日測定され(図2B)、特にQβ−mNGF−His−GGC免疫マウスの悪液質に関連する自己免疫の抑制を示す疾患の発症の後、両群間の平均体重に相当なずれを示した。
【0142】
実施例11
マウスのザイモサンA誘導炎症性疼痛モデルの炎症性疼痛の抑制におけるQβ−mNGFβ−His−GGCワクチン接種の有効性
雄のBL/6マウスの後足の足底側へのイースト抽出物ザイモサンA(シグマ)の注入によって生じる熱的及び機械的刺激に応答して、Qβ−mNGF−His−GGCワクチンの炎症性過敏症を減じる能力を以下のようにして評価した:雄のBL/6マウス(n=4)は、50μgのQβ−mNGFβ−His−GGCまたはQβ単独により、日0、10及び20に免疫化された。各時点で、両後足の足底部の熱過敏症は、熱的及び機械的刺激に応じて決定された。熱感受性の測定のために、所定の強度の熱源(赤外線ビーム)による刺激後の足撤回の待ち時間が測定された。待ち時間は、電子制御計測器(Plantartest、Ugo Basile)で測定された。無処置の動物で待ち時間がほぼ16秒となるように、熱源の強度は調整された。各後足ごとに、6回の測定値が取られ、平均値を算出した。機械的感受性を測定するために、いわゆるフォン・フレイ・フィラメントによる刺激への反応が測定された。フォン・フレイ・フィラメントは、増大する圧力をマウス足の足底部に適用できる調整されたプラスチック・フィラメントである。電子制御計測器(IITC, Woodland Hills, USA)により、足撤回にを導いた加圧力が測定された。6回の測定は足ごとに行われ、平均値を計算された。日31において、炎症性疼痛は、左後足の足底部に、ザイモサンAの3mg/ml溶液を20μl注入によって誘発された。ザイモサンA誘導の炎症が開始した直後に生じる熱的及び機械的刺激に応答する過敏症は、炎症性疼痛の誘導の2時間、4時間、6時間、8時間、1日、2日、3日、4日、及び7日後に、上記のように足撤回により測定された。図3に証明されたように、Qβ−mNGF−His−GGCによって免疫化された動物は、Qβだけによって免疫化される動物と比較して、熱的(図3A)及び機械的刺激(図3B)の後でかなり減少した過敏症を示した。
【0143】
実施例12
慢性的な収縮性損傷により誘導されたマウスの神経障害疼痛モデルにおける神経障害疼痛の抑制におけるNGF−His−GGCの有効性
雄のBL/6マウス(n=6)は、50μgのQβ−mNGFβ−His−GGCまたはQβ単独により日0、14及び28に免疫化される。実施例11に記載のように、各時点で、両後足の足底部の熱過敏症は、熱的及び機械的刺激への応答で測定された。日42に、慢性的収縮損傷(CCI)は、座骨神経を結さつするか又はそれを影響を受けないままにすることによって誘発される(見かけ作動した対照群)。座骨神経の結さつ術によって、各四肢の過敏症が生じ、それは14日以内に発現し、消えるまで別に2−3週間持続する。CCIは、神経障害疼痛の確立された齧歯類モデルである。CCI手術後、熱的及び機械的刺激に応答する感受性は、実施例11にて説明したように、一日おきに測定される。
【0144】
実施例13
ヒトNGFβのクローニング、発現、精製及びQβ−VLPに対する結合
ヒトproNGFβはPCRによってヒト胎児性脳組織cDNAライブラリーから増幅され、PCR産物はpCB28発現ベクターにライゲーションされる。結果として生じるプラスミドは、pCB28_huproNGF_His_Cという名前をつけられ、ガンマイムノグロブリンのカッパ軽鎖に由来するシグナル配列、続いてhuproNGFβ配列、His6タグ及びC末端で2つのグリシンに続いてシステインを含むリンカーをコードする。真核生物発現ベクターpCB28_huproNGF_His_Cは実施例3に記載のように、基本的にHEK293T細胞をトランスフェクションし、実施例4に記載のように、成熟huNGFβ−His−GGCを含む上清は基本的にNi−NTAによって精製のために収集される。精製されたタンパク質は、配列番号31に記載の配列を有する。精製されたhuNGFβ−His−GGCは、実施例7に記載のプロトコルに従って、SMPH誘導体化されたQβ−VLPに結合する。
【0145】
実施例14
ポリアニオン性巨大分子ポリグルタミン酸を含むQβ粒子に結合するmNGFβ−His−GGCによるワクチン接種の有効性
ポリアニオン性巨大分子ポリグルタミン酸を含むQβ粒子(以後Qβ(PolyGlu)と呼ぶ)は、WO06/037787の実施例4に説明の通りに生成された。実施例7に先に記載したように、mNGFβ−His−GGCはQβ(PolyGlu)に結合された。Qβ(PolyGlu)−mNGFβ−His−GGCの免疫原性は、以下のようにして決定された:雌のBL6マウス(グループにつきn=4)は、アジュバントとして0.33%のAlhydrogelと混合されたQβ(PolyGlu)、Qβ(PolyGlu)−mNGFβ−His−GGCまたはQβ−mNGFβ−His−GGCのいずれか50ugにより日0、14、28および42に皮下に免疫化された。日0、14、28、42及び56に、採血された。血清は調製され、mNGFβ−特異的抗体が実施例8に記載のようにELISAによって決定された。Qβ(PolyGlu)−mNGFβ−His−GGCによる免疫化によって誘導される抗mNGFβ−特異的抗体のタイターは、Qβ−mNGFβ−His−GGCによって誘導されるものより有意に低く、減少したIgG2aであるが高いIgG1抗体価により示されるようにTh2 IgGアイソタイプ・パターンを示した。

表1:Qβ(PolyGlu)−mNGF−His−GGCまたはQβ−mNGF−His−GGCによる免疫化後のmNGF−特異的抗体の誘導。マウスは、Qβ(PolyGlu)、Qβ(PolyGlu)−mNGF−His−GGCまたはQβ−mNGF−His−GGCにより日0、14、28及び42で免疫化された。血液は日0、14、28、42及び56に採血され、血清は生成された、血清試料のmNGF特異的トータルIgG、IgG1アイソタイプ及びIgG2aアイソタイプのタイターはELISAによって分析された。

【0146】
Qβ(PolyGlu)−mNGFβ−His−GGCにより免疫化によって誘発される抗−mNGFβ特異的自己抗体の、ザイモサンA誘導化炎症性疼痛モデルにおいて侵害受容性疼痛を抑制する能力は、以下のようにして評価した:雌のBL6マウス(グループにつきn=4)は、アジュバントとして0.33%のAlhydrogelと混合されたQβ(PolyGlu)、Qβ(PolyGlu)−mNGFβ−His−GGCまたはQβ−mNGFβ−His−GGCのいずれか50μgにより日0、14、28および42に皮下に免疫化された。日62に、炎症性疼痛は、左後足の足底側に、ザイモサンAの3mg/ml溶液を20ml注入することによって誘導された。過敏症を減らすワクチンの能力は、実施例11に説明したように、熱的及び機械的刺激に応じて評価された。図4に示したように、Qβ(PolyGlu)−mNGFβ−His−GGCによりワクチン接種によって誘導される抗−mNGFβ自己抗体レベルは、熱的及び機械的刺激後に過敏症を減らすのに十分だった。減少は、Qβ−mNGFβ−His−GGCによる免疫化後に観察されたものと類似していた。
【0147】
実施例15
Qβ−mNGFb−His−GGCによる神経障害疼痛の抑制;ラットのタキソール誘発性神経障害疼痛モデルの有効性
成体雄Sprague−Dawleyラットは、500μgのQβ−mNGFβ−His−GGCまたはQβ単独により日0、14及び28に免疫化される。日35に、神経障害疼痛は、一日おきに(35、37、39、41)2mg/kgのパクリタキセルの4回の腹こう内投与によって誘発される。palitaxelの最後の注射3日後に開始し、4週間連続で続けて、、変化した痛覚感受性の試験は、実施例11でマウスについて記載されているように基本的に後足の足底の表面上に、熱的痛覚過敏と機械的異痛症を測定することによって一日おきに行われる。
【0148】
実施例16
Qβ−VLPに結合する抗原候補としてのNGF突然変異タンパク質の評価
上記の配列修飾を有するNGF突然変異タンパク質(配列番号45から75)は組換えにより発現されて、実施例1−4にて説明したように精製される。実施例4に記載されているように、産生された突然変異タンパク質の生理活性は基本的にインビトロ生理活性アッセイにおいて試験される。実施例7に記載されているように、インビトロ・アッセイにおいて低い生理活性を有する突然変異タンパク質から生理活性を有さない突然変異タンパク質は選択され、本質的にQβ VLPと結合させた。実施例8及び9に記載されているように、Qβ−VLPに結合する突然変異タンパク質の免疫原性及び誘導された抗体の中和活性を測定する。Qβ−VLPに結合する場合、低い生理活性を有するか生理活性を有さないが、それでも中和抗体を誘導する突然変異タンパク質が、選択される。疼痛と悪液質を抑制する誘導された抗体のインビボ有効性は、実施例10−15にて説明したように、インビボモデルにおいて試験される。
【0149】
実施例17
AP205 VLPに対するmNGFβ−His−GGC及びFlagペプチド抗原の結合、及びAP205 VLPに結合したmNGFβ−His−GGCによるマウスの免疫処置
A.組換えAP205 VLPへのmNGFβ−His−GGCペプチド及びFlag ペプチドの結合
ペプチドmNGFβ−His−GGC(配列番号31)及びFlag(配列番号43)は公知技術の方法に従って化学的に合成される。AP205 VLP(配列番号14)は発現して、PCT/EP2003/007572(75−79頁)の実施例1及び2に説明したように精製され、20mMのHepesと150mMのNaClのバッファー(pH7.4)(HBSバッファー)に再溶解した。再溶解されたAP205VLPは、2mg/mlブラッドフォード・アッセイで測定)の濃度で、2.85mMのSMPH(ピアス)と、30分間室温(RT)で反応させる。次に、反応混合物は、HBSバッファーに対して透析されて、50mMのDMSOストックから反応混合物に希釈した0.714mMのmNGFβ−His−GGCまたはFLAGと反応させる。結合反応は、15℃で2時間進行させたままにし、反応混合物は2×2時間、10倍体積のHBSに対して透析し、保存用アリコートは液体窒素で急速冷凍され、更なる使用までの−80℃で保存する。アリコートは解凍され、AP205サブユニットに結合された抗原は、SDS−PAGEによって評価され、タンパク質濃度は、ブラッドフォード・アッセイで測定される。架橋結合剤によるAP205 VLPの誘導体化に応じて、架橋性によって産生される二量体、三量体、四量体、五量体及び六量体は、サブユニットの一量体形態に加えて、SDS−PAGEにおいて検出される。
B.組換えAP205 VLPに結合するmNGFβ−His−GGCペプチドによるマウスの免疫化 免疫応答の解析及びIgGサブタイプの決定
mNGFβ−His−GGCペプチドに結合したAP205 VLPは、日0と14にマウス(各3匹)の皮下に注入される。各マウスはPBSで200μlにまで希釈された10μgワクチンによって免疫化される。マウスは日20に後眼窩から採血され、mNGFβ−His−GGCペプチドに特異的な抗体のタイターは、mNGFβ−His−GGCペプチドに対してELISAで測定された。mNGFβ−His−GGCは、化学架橋剤スルホ−SPDPを使用してウシRNAse Aに結合する。ELISAプレートは、10μg/mlの濃度で、結合したRNAse調製物によりコートされる。プレートはブロックされて、次に連続的に希釈されたマウス血清によって暖められる。結合抗体は、それぞれのサブタイプごとに酵素により標識された抗マウスIgG抗体によって検出される。対照として、同じマウスの免疫化前の血清も試験される。
【0150】
実施例18
AP205VLPに対するmNGFβ断片の融合及びAP205VLPに融合したmNGFβ断片によるマウスの免疫処置
mNGFβ1−10ペプチドのN−またはC末端部に融合されたAP205を含むコンストラクトは、PCT/EP2005/054721の実施例1において開示される方法によって得られた。発現された融合タンパク質の精製の方法は、PCT/EP2005/054721の実施例2にて開示したものと実質的に同じである。PAP405及びpAP283のコンストラクトと配列は、それぞれPCT/EP2005/054721及びWO2004/007538A2に記載されている。成熟雌、C57BL/6マウス(グループに付き5匹)はmNGFβ 1−10ペプチドにC末端に融合されたAP205によってワクチン接種された(配列番号44)。50μgの透析されたワクチンは、200μlの量にPBSに希釈されて、日0、14、28及び42に皮下に注入された(腹側2箇所に100μl)。ワクチンはアジュバントなしで投与された。対照として、マウスの1グループは、PBSと共に又はAP205 VLP単独で注入された。マウスは日0、14、28、42、56及び70に、後眼窩から採血され、それらの血清はELISAによって分析された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)少なくとも一つの第1の付着部位を有するウイルス様粒子(VLP);及び
(b)少なくとも一つの第2の付着部位を有する少なくとも一つの抗原
を含む組成物であって、前記少なくとも一つの抗原はNGF抗原であり;
(a)と(b)は前記少なくとも一つの第1の付着部位と前記少なくとも一つの第2の付着部位を通して連結される、組成物。
【請求項2】
前記少なくとも一つの抗原はNGFタンパク質、NGF断片またはNGF突然変異タンパク質である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記少なくとも一つの抗原はNGFタンパク質であり、前記NGFタンパク質はアミノ酸配列からなり、前記アミノ酸配列は配列番号22のアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性を含み、好ましくは前記NGFタンパク質は配列番号22のアミノ酸配列からなる、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記少なくとも一つの抗原はNGF断片であり、好ましくは前記NGF断片には配列番号44を含む、請求項1から3の何れか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記少なくとも一つの抗原がNGF突然変異タンパク質であり、好ましくは前記NGF突然変異タンパク質は減少した生物学的活性を含み、最も好ましくは前記NGF突然変異タンパク質は生物学的活性を含まない、請求項1から4の何れか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記少なくとも一つの抗原がNGF突然変異タンパク質であり、前記NGF突然変異タンパク質が配列番号45から75の何れか一つから選択されるアミノ酸配列を含む、請求項1から5の何れか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記VLPはRNA−バクテリオファージのVLPであり、
好ましくは前記RNA−バクテリオファージは
(a)バクテリオファージQβ;
(b)バクテリオファージR17;
(c)バクテリオファージfr;
(d)バクテリオファージGA;
(e)バクテリオファージSP;
(f)バクテリオファージMS2;
(g)バクテリオファージM11;
(h)バクテリオファージMX1;
(i)バクテリオファージNL95;
(k)バクテリオファージf2;
(l)バクテリオファージPP7、及び
(m)バクテリオファージAP205
からなるグループから選択される、請求項1から6の何れか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記VLPは、RNA−バクテリオファージの組換えコートタンパク質、その変異体又はその断片を含み、好ましくは前記コートタンパク質は、配列番号1を含むか又は好ましくはそれから成る、請求項1から7の何れか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記第1の付着部位は、少なくとも一つの共有結合を介して前記第2の付着部位に連結される、請求項1から8の何れか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記共有結合は非ペプチド結合である、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
前記第1の付着部位が、アミノ基、好ましくはリジン残基のアミノ基を含むか、好ましくはそれである、請求項1から10の何れか一項に記載の組成物。
【請求項12】
前記第2の付着部位が、スルフヒドリル基、好ましくはシステイン残基のスルフヒドリル基を含む、請求項1から11の何れか一項に記載の組成物。
【請求項13】
前記少なくとも一つの共有結合はペプチド結合であり、好ましくは前記VLPはRNA−バクテリオファージAP205のVLPである、請求項9に記載の組成物。
【請求項14】
前記VLPが組換えVLPであり、前記組換えVLPが宿主RNAを本質的に含まない、請求項1から13の何れか一項に記載の組成物。
【請求項15】
前記組成物は少なくとも一つのポリアニオン性巨大分子を含み、前記ポリアニオン性巨大分子は前記VLPにパッケージ化され、好ましくは前記ポリアニオン性巨大分子はポリアニオン性ポリペプチドまたはアニオン性デキストランである、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
前記ポリアニオン性巨大分子は、(a)ポリグルタミン酸;(b)ポリアスパラギン酸;(c)ポリ(GluAsp);及び(d)(a)から(c)の任意の化学修飾からなるグループから選択されるポリアニオン性ポリペプチドであり、好ましくは前記ポリアニオン性ポリペプチドはポリグルタミン酸および/またはポリアスパラギン酸であり、より好ましくは前記ポリアニオン性ポリペプチドはポリグルタミン酸である、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
前記ポリアニオン性巨大分子はアニオン性デキストランであり、前記アニオン性デキストランは
(a)デキストラン硫酸;
(b)カルボキシメチル・デキストラン;
(c)スルホプロピル・デキストラン;
(d)メチル・スルホナート・デキストラン;及び
(e)デキストラン・ホスフェイト
から成るグループから選択される、請求項15に記載の組成物。
【請求項18】
請求項1から17の何れか一項に記載の組成物の治療上の有効量を含むをワクチン組成物であって、更に好ましくはアジュバントを含む前記ワクチンの組成物。
【請求項19】
(a)請求項1から17の何れか一項に記載の組成物;及び
(b)薬学的に許容可能な担体
を含む医薬組成物。
【請求項20】
請求項1から17の何れか一項に記載の組成物、請求項18に記載のワクチン組成物、または請求項19に記載の医薬組成物を動物、好ましくはヒトに投与すること含む免疫化方法。
【請求項21】
医薬として使用するための請求項1から17の何れか一項に記載の組成物、請求項18のワクチン組成物、または請求項19に記載の医薬組成物。
【請求項22】
疼痛の、好ましくは慢性疼痛の、最も好ましくはリウマチ様関節炎疼痛を治療するための医薬の製造のための、請求項1から17の何れか一項に記載の組成物の使用、又は請求項18のワクチン組成物の使用。
【請求項23】
疼痛の、好ましくは慢性疼痛の、最も好ましくはリウマチ様関節炎疼痛の治療に使用するための請求項1から17の何れか一項に記載の組成物、請求項18のワクチン組成物、または請求項19に記載の医薬組成物。
【請求項24】
(a)少なくとも一つの第1の付着部位を有するVLPを提供すること;
(b)少なくとも一つの第2の付着部位を有する少なくとも一つのNGF抗原を提供すること;及び
(c)前記組成物を産生するために前記VLPと前記NGF抗原を連結し、前記NGF抗原と前記VLPは、前記少なくとも一つの第1の付着部位と前記少なくとも一つの第2の付着部位を通して連結されること
を含む、請求項1から17の何れか一項に記載の組成物を製造する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2011−506582(P2011−506582A)
【公表日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−538799(P2010−538799)
【出願日】平成20年12月22日(2008.12.22)
【国際出願番号】PCT/EP2008/068209
【国際公開番号】WO2009/080823
【国際公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【出願人】(304042375)サイトス バイオテクノロジー アーゲー (26)
【Fターム(参考)】