説明

神経根障害を伴う、または伴わない軸性疼痛を診断するための組成物および方法

本発明は、イメージング技術と共に使用するために開発された、神経根障害を伴う、または伴わない軸性疼痛の疼痛発生体の診断およびモニターに有用な方法および組成物を提供し、さらに、神経根障害を伴う、または伴わない軸性疼痛の治療に有用な可能性がある治療化合物をスクリーニングする方法を提供する。あるいは、病理学的な疼痛症状が発症する前に、変性した椎間板をモニターして治療することができる。疼痛マーカーおよび変性マーカーとしては、ニューロン、血管、免疫およびマトリックスの構成要素のマーカーが挙げられる。

【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
本発明は、神経根障害を伴う、または伴わない軸性疼痛の発症に関連する疼痛発生体、および、潜在的疼痛発生体を診断およびモニターするのに有用な方法および組成物、ならびに、関連する治療化合物をスクリーニングする方法に関する。
【背景】
【0002】
背骨は、かなりの力に耐えることができる、著しく丈夫で柔軟な構造である。背骨は、複数の脊椎骨から形成され、そして脊椎骨のそれぞれは、個々に他の脊椎骨から椎間板によって分離されている。椎間板は、脊椎骨の脊柱管を通る脊椎の前部に位置する。椎間板は数々の機能を有しており、その1つは、脊椎骨のための衝撃吸収材としての機能を果たすことを含む。
【0003】
各椎間板は、髄核と呼ばれるゲル状の内層を取り囲む線維輪と呼ばれる比較的硬い外層を有する。線維輪は、絡み合った環状の束からなる同軸の層で構成され、これらは背骨にかけられた力に耐えるように配置されている。髄核と線維輪とは、軟骨終板によって隣接する脊椎骨から分離されている。後縦靱帯は、線維輪にしっかりと結合している。髄核は、幼年期の原始脊索由来の細胞と、成人期の軟骨細胞様細胞とで構成されており、これは、知覚神経の感受性を刺激したり、または、高めたりすることができる物質を多量に含む。これらの物質としては、プロスタグランジンE、ヒスタミン様物質、カリウムイオン、乳酸、および、数種のポリペプチドアミンが挙げられる。
【0004】
椎間板、または、椎間板に隣接する構成要素から生じる疼痛は、軸性疼痛、または、いわゆる椎間板性疼痛を引き起こす可能性があり、これは神経根障害の要素を伴うこともあるし、または、それらを伴わないこともある。必ずではないが、一般的に、特定の領域において疼痛を感じるには、その領域に神経終末が存在することが必要である。疼痛の原因の1つは、CおよびAデルタ線維に連結した特定の侵害受容器の活性化によって引き起こされる。その他の疼痛の原因は、知覚線維への傷害、または、中枢神経系へのダメージに関与する。あるいは、感覚ニューロンの伸長と、自律神経系の性質との異常な相互作用も、症候性疼痛に関与している可能性がある。従って、椎間板および椎間板に隣接する構成要素の神経支配は、椎間板性疼痛に研究にとって興味深い。
【0005】
ニューロンの伸長が椎間板領域および椎間板に隣接する領域に発達することは、運動衝撃を伝える機能、知覚を伝える機能、または、自律神経性の機能を示す。正常な椎間板において、外から三番目の線維輪より深いところまで神経が発達することはまれである。しかしながら、変性した、または、問題を含む椎間板においては、外から三番目の線維輪を超えて中心に向かって神経伸長が起こり、これらは第三目の線維輪の内部に達するか、または、髄核にまで達するという徴候がみられる。このようなニューロンの伸長の浸潤は、特にそれらがこのようなニューロンの伸長を刺激することができる髄核中の物質と接触する際に、疼痛を引き起こす可能性がある。また、神経根障害を伴う、または伴わない軸性疼痛の発症に関連する変性の徴候、例えば神経支配の増加は、椎間板に隣接する構成要素、例えば終板にも見出されている。
【0006】
椎間板は、一般的に無血管性であり、栄養素および代謝産物の輸送は主に拡散によって行われる。しかしながら、変性した椎間板は、正常な椎間板よりもより多くの血管を含む傾向がある。この椎間板の中心に向かって侵入する血管新生は、ニューロンの浸潤に類似しており、血管運動性または血管感覚性の機能を有する血管周囲の神経ネットワークを含む可能性がある。さらに、椎間板における血管新生の増加は、神経支配の増加に関連するため、椎間板性疼痛を引き起こす機会も増加する。
【0007】
変性した椎間板は、飛び出していない(contained)椎間板である場合もあるし、または、ヘルニアを起こした椎間板である場合もあるが、これらは、椎間板性疼痛(また、神経根障害を伴う、または伴わない軸性疼痛とも称される)を引き起こす。ヘルニア形成は、飛び出していないタイプのものであってもよく、例えば椎間板の隆起である。またヘルニアを起こした椎間板は、髄核のような椎間板の構成要素が椎間板の外側に飛び出した状態のことがある。変性した椎間板は、脊髄神経根などの周囲のニューロンの構成要素に影響を与え、神経根痛、または、神経根障害を引き起こす可能性がある。また神経根障害は、背骨が変性の影響を受けた程度に応じて、坐骨神経痛、または、腕または脚の疼痛とも称される。
【0008】
変性性椎間板および/または椎間板に隣接する構成要素の外観における変化は、密度の変化、例えば髄核の密度の増加、細胞外マトリックスの成分(例えばプロテオグリカン、メタロプロテイナーゼ、および、タンパク質分解酵素、コラーゲン、および、フィブロネクチンのフラグメント)のレベルおよびタイプ、ならびに、酸化窒素およびフリーラジカルの含量などのマトリックスの成分における変化に関連する可能性がある。
【0009】
免疫の構成要素としては、例えば、炎症促進性の物質、例えばサイトカイン、ケモカイン、増殖因子、ペプチド、ポリペプチド、および、一酸化窒素合成酵素などが挙げられ、これらもまた、神経根障害の臨床症状を伴う、または伴わない軸性疼痛に関連する、変性性のプロセスおよび症候性疼痛の発症に関与する可能性がある。
【0010】
ギャラップ調査において、米国の成人の42%が毎日疼痛を感じると述べている。このような慢性の痛みに苦しむ人々において、背骨に関連する問題が苦痛の大部分を構成する。背部および脚の疼痛は、一般人口の66%もの人々に存在すると推測されている。背部および脚の疼痛が個体に与える相当なつらさに加えて、背骨に関連する疼痛は、かなりの社会的な費用も要する。例えば、米国においては毎年、100万件もの脊椎手術、および、500万件ものインターベンション療法が行われていると推測されている。このような手法の純粋に医療面および心理的な負荷をはるかに超えて、それに続く生産性(productivity)、障害補償および税金の損失に関する社会的な費用は、かなりのものである。
【0011】
従って、治療的介入の有効性を高めるために、神経根障害を伴う、または伴わない軸性疼痛症状に関与する疼痛発生体(pain generator)の正確な位置を診断するためのより優れた方策が必要である。
【0012】
加えて、疼痛症状が生じる前に予防的治療を行うことを可能にするために、椎間板における、または、椎間板に隣接する位置における病理学的変化の進行をモニターするためのより優れた方策が必要である。
【発明の概要】
【0013】
本発明は、神経根障害を伴う、または伴わない軸性疼痛症状に関与する疼痛発生体、および、変性マーカーを診断およびモニターするのに有用な装置、方法および組成物、ならびに、これらの症状を治療するのに有用な可能性がある治療化合物をスクリーニングする方法を提供することによって、上記した、およびその他の従来の必要性を満たすものである。
【0014】
一局面において、本発明は、神経根障害を伴う、または伴わない軸性疼痛症状に関与する疼痛発生体、および、変性マーカーを診断およびモニターする装置を提供し、本装置は、疼痛マーカーまたは椎間板の変性マーカーの量を測定する検出器を含み、ここで該検出器は感知領域を含み、ここで該感知領域は、椎間板の内部に、または、椎間板に隣接して少なくとも部分的に挿入可能である。その他の実施態様において、本装置は、前記検出器に操作可能に連結された処理装置、および、該処理装置に操作可能に連結されたディスプレイさらに含む。
【0015】
その他の局面において、本発明は、治療対象において、神経根障害を伴う、または伴わない軸性疼痛症状に関与する疼痛発生体、および、変性マーカーを診断およびモニターする方法を提供し、本方法は、椎間板の内部、または、椎間板に隣接した位置における疼痛マーカーまたは変性マーカーの量を決定すること;治療対象の疼痛マーカーまたは変性マーカーの量を、相当する部位における正常なマーカーの範囲と比較することを含み、ここで疼痛マーカーまたは変性マーカーの量が正常な範囲から外れている場合、現存のまたは潜在的疼痛発生体が存在することを示す。一実施態様において、疼痛マーカーまたは変性マーカーの量は、検出器を含む装置を用いることによって評価される。その他の実施態様において、疼痛マーカーまたは変性マーカーの量はイメージング技術によって評価され、このようなイメージング技術としては、放射線撮影、MRI、PET、または、SPECT、CT、蛍光透視法、発光、および、それらのあらゆる組み合わせが挙げられる。その他の実施態様において、椎間板または椎間板に隣接する構成要素から採取されたサンプル中の疼痛マーカーまたは変性マーカーの量が測定され、体外で解析される。
【0016】
本発明の他の実施態様において、疼痛マーカーまたは椎間板変性のマーカーは、ニューロン、免疫、血管およびマトリックスの構成要素のマーカー、ならびにそれらのあらゆる組み合わせからなる群より選択される化合物を含む。
【0017】
より具体的には、疼痛マーカーまたは変性マーカーは、ニューロンの構成要素のマーカーであってもよく、これらは、神経毒、例えば色素、ニューロン成長因子、例えば、神経成長因子、脳由来の増殖因子、グリア細胞由来増殖因子、ニューロトロフィン−3、ニューロトロフィン−4、インスリン増殖因子、線維芽細胞増殖因子、および、白血病抑制因子、細胞外マトリックスの成分、例えば、コンドロイチン硫酸プロテオグリカン、ネトリン、セマフォリン、および、ミエリン/希突起膠細胞の成長抑制剤、例えばノゴ(Nogo)、MAG、および、Omgp、細胞接着分子、例えばNCAM、N−カドヘリン、および、インテグリン、細胞骨格の成長円錐の構成要素、または、ニューロフィラメント、ニューロンの構成要素を脱感作することができる物質、例えばショウノウ、メントール、ピペリン、カラシ油、クルクミン、および、オイゲノール、および、バニロイド受容体アゴニスト、および、アンタゴニスト、例えば8−メチル−N−バニリル−トランス−6−ノネンアミド(カプサイシン);Z−カプサイシン;ジンゲロール;ジンゲロン;8−メチル−N−バニリルノナンアミド(ジヒドロカプサイシン);6,7−デエポキシ−6,7−ジデヒドロ−5−デオキシ−21−デフェニル−21−(フェニルメチル)−ダフネトキシン(daphnetoxin)、20−(4−ヒドロキシ−5−ヨード−3−メトキシベンゼンアセタート)(5’−ヨードレシニフェラトキシン);(+)−イソベレラル(Isovelleral);N−バニリルオレオイルアミド(オルバニル);ホルボール12,13−ジノナノアート20−ホモバニラート;レシニフェラトキシン;N−(3−メトキシフェニル)−4−クロロシンナミド(SB−366791);2,3,4−トリヒドロキシ−6−メチル−5−[(2E,6E)−3,7,11−トリメチル−2,6,10−ドデカトリエニル]ベンズアルデヒド(スクチゲラル(Scutigeral));6,7−デエポキシ−6,7−ジデヒドロ−5−デオキシ−21−デフェニル−21−(フェニルメチル)−20−(4−ヒドロキシベンゼンアセタート)ダフネトキシン(チニアトキシン(Tinyatoxin));合成カプサイシン;および、カプサイシン誘導体、ならびに、バニロイド受容体アンタゴニスト、例えばN−[2−(4−クロロフェニル)エチル]−1,3,4,5−テトラヒドロ−7,8−ジヒドロキシ−2H−2−ベンズアゼピン−2−カルボチオアミド(カプサゼピン);[N−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)メチル]−5Z,8Z,11Z,14Z−エイコサテトラエナミド](アルバニル(Arvanil));N−(3−メトキシフェニル)−4−クロロシンナミド(SB−366791)、および、5’−ヨードレシニフェラトキシン、ニューロン受容体の存在およびレベルを示すことができる物質、ならびに、リガンドおよび受容体のトラフィッキング、分解および再利用に関与する関連リガンドおよび分子、例えば侵害受容器、アドレナリン作動性物質、コリン作動性物質、グルタマート、GABA、セロトニン、ソマトスタチン、オピオイド、ATP、Na、K、Ca2+、カンナビノイド、サブスタンスP、および、神経ペプチド受容体(それらの典型的な物質としては、例えば、アセチルコリン、アセチルコリンエステラーゼグルタマート、アドレナリン、エピネフリン、ボツリヌス毒素、抗痙攣薬、麻酔薬、鎮痛薬、オピオイド、および、カンナビノイドが挙げられる)、ニューロンの支持細胞またはグリア細胞を検出することができる物質、例えば星状細胞、希突起膠細胞、小グリア細胞、および、シュワン細胞のマーカー、例えばグリア細胞繊維性酸性タンパク質、S−100、CR3受容体、および、グリア細胞毒、例えばフルオロシトラート(fluorocitrate)、および、それらのあらゆる組み合わせからなる群より選択することができる。
【0018】
本発明の他の実施態様において、疼痛マーカーまたは変性マーカーは、免疫の構成要素のマーカーであり、これらは、炎症関連サイトカイン、ケモカイン、カリウムイオン、乳酸、神経ペプチド、および、数種のポリペプチドアミン、ブラジキニン、ヒスタミン、プロスタグランジンリガンド、ならびに、リガンドおよび受容体のトラフィッキング、分解および再利用に関与する関連受容体および分子、例えば、これらに限定されないが、IL−1、IL−6、IL−8、IL−10、TNF−アルファ、INF、および、IFN調節因子3、一酸化窒素合成酵素、Toll様受容体、および、アダプター分子、および、免疫の構成要素と相互作用することができる物質、例えばステロイド、非ステロイド性の抗炎症薬、COX阻害剤、NFkB調節因子、および、それらのあらゆる組み合わせからなる群より選択される。
【0019】
本発明の他の実施態様において、疼痛マーカーまたは変性マーカーは、血管の構成要素のマーカーであり、これらは、血管新生および抗血管新生性のリガンド、ならびに、リガンドおよび受容体のトラフィッキング、分解および再利用に関与する関連受容体および分子、例えば抗血管新生性のステロイド、または、血管新生抑制性のステロイド、例えば酢酸アネコルタブ、または、トリアムシノロンアセトニド、増殖因子、または、サイトカイン、例えば血管新生因子、線維芽細胞増殖因子、アンジオポエチン、色素上皮由来因子、または、α−IFN、血管の細胞外マトリックスの成分、例えばマトリックスメタロプロテイナーゼ、および、調節因子、例えばマリマスタット、血管の細胞接着分子、例えばカドヘリン、または、インテグリン、血管の構成要素のマーカー、例えばフォン−ウィルブランド因子、および、それらのあらゆる組み合わせからなる群より選択される。
【0020】
本発明の他の実施態様において、疼痛マーカーまたは変性マーカーは、マトリックスの構成要素のマーカーであり、このようなマーカーとしては、組織密度、例えば通常ゲル状の髄核の組織密度、細胞外マトリックスの成分のレベルおよびタイプ、例えばプロテオグリカン、メタロプロテイナーゼ、および、タンパク質分解酵素のレベルおよびタイプ、ケラチン硫酸塩、コラーゲン、フィブロネクチンのフラグメント、フリーラジカル、酸化窒素、および、それらのあらゆる組み合わせが挙げられる。
【0021】
本発明のその他の実施態様において、疼痛マーカーまたは変性マーカーは、身体活動または身体への刺激、例えば圧力、ニューロンの電気的活動、熱変化、pH、含水量、組織密度、電磁放射線の吸収、および、それらのあらゆる組み合わせを含み得る。
【0022】
本発明のその他の実施態様において、疼痛マーカーまたは変性マーカーは、イメージング技術を併用できるように改変されたニューロン、免疫、血管またはマトリックスの構成要素のマーカーであり、このようなイメージング技術としては、放射線撮影、MRI、PETまたはSPECT、CT、蛍光透視法、発光、および、それらのあらゆる組み合わせが挙げられる。より具体的には、ニューロン、免疫、血管またはマトリックスの構成要素のマーカーは、放射線同位体、例えば18F、H、124I、125I、131I、35S、14C、11C、または、蛍光分子に結合させることができる。典型的な物質としては、オピオイド受容体と結合することができる改変された物質、例えば18F1−(3−フルオロプロピル)−4−(4−シアノフェノキシメチル)ピペリジン、または、[(18)F]FPS、または、18F−FPSH、および、11Cカーフェンタニル、Hペンタゾシン、H−1,3−ジ−オルト−トリルグアニジン、(+)−p−11Cメチルベサミコール、11CSA4503、11CSA5845、N−[18F]4’−フルオロベンジルピペリジン−4−イル−(2−フルオロフェニル)アセトアミド([18F]FBFPA)、3−(4−クロロベンジル)−8−[11C]メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロクロメノ[3,4−c]ピリジン−5−オン、11Cネモナプリド、放射標識したペンタゾシン、プロゲステロン、SKF10,047、DuP734、BD1008、SM−21、ハロペリドール、DTG、プロゲステロン、グルタミン酸受容体HMK801と結合することができる改変された物質、1−アミノ−3−[18F]フルオロメチル−5−メチル−アダマンタン、11C−ABP688、コリン作動性受容体および輸送体を検出できるように改変された物質、例えば[18F]フルオロエトキシ−ベンゾベサミコール、2−[18F]F−A−85380、[11C]−メカミラミン、5−(3’−フルオロプロピル)−3−(2−(S)−ピロリジニルメトキシ)ピリジン(ニフロリジン(nifrolidine))、5−(2−(4−ピリジニル)ビニル)−6−クロロ−3−(1−メチル−2−(S)−ピロリジニルメトキシ)ピリジン、[N−11C−メチル]−ベンズトロピン、ニューロンのグリア細胞マーカー、例えば末梢のベンゾジアゼピン受容体に結合することができる分子、例えば、11C−R−PK11195、放射標識抗体、例えばマトリックスの構成要素のマーカーと結合することができる放射標識抗体、ケラチン硫酸塩が挙げられる。
【0023】
その他の局面において、本発明は、治療化合物を投与して、疼痛マーカーまたは変性マーカーから誘導されるシグナルの強度を減少させることを含む治療の能力を試験する方法を提供し、本方法は、第一時点に、椎間板の内部、または、椎間板に隣接した位置における疼痛マーカーまたは変性マーカーの量を決定すること(ここで前記第一時点は、治療化合物の第一の投与の前である);その後の第二時点に、椎間板の内部、または、椎間板に隣接する位置における疼痛マーカーまたは変性マーカーの量を決定することを含み;その際に、|M−N|>|M−N|であれば、神経根障害を伴う、または伴わない軸性疼痛、または、将来的にそれらを発症させる見込みを低くすることにおいて上記治療が効率的であることを示しており、ここで上記式中、Mは、第一時点に測定された疼痛マーカーの量に等しく;Mは、第二時点に測定された疼痛マーカーまたは変性マーカーの量に等しく;および、Nは、疼痛マーカーまたは変性マーカーの正常な範囲または量に等しい。本発明の他の実施態様において、上記治療は、治療化合物の確認、治療化合物の組み合わせ、治療化合物の用量、および、その他の治療の可変要素を含む。
【0024】
さらにその他の局面において、本発明は、神経根障害を伴う、または伴わない軸性疼痛、または、将来的にそれらを発症させる見込みをモニターする方法を提供し、本方法は、第一時点に、椎間板の内部、または、椎間板に隣接した位置における疼痛マーカーまたは変性マーカーの量を決定すること;その後の第二時点に、椎間板の内部、または、椎間板に隣接する位置における疼痛マーカーまたは変性マーカーの量を決定することを含み;その際に、|M−N|<|M−N|であれば、神経根障害を伴う、または伴わない軸性疼痛または将来的にそれらを発症させる見込みが増加していることを示しており、|M−N|>|M−N|であれば、疼痛または将来的にそれらを発症させる見込みが減少していることを示しており、ここで上記式中、Mは、第一時点に測定された疼痛マーカーまたは変性マーカーの量に等しく;Mは、第二時点に測定された疼痛マーカーの量に等しく;および、Nは、疼痛マーカーまたは変性マーカーの正常な範囲または量に等しい。
【0025】
その他の局面において、本発明は、検出方法の感度を改善するために、疼痛マーカーまたは変性マーカーから誘導されるシグナルを直接的または間接的に増加させることを目的とした誘発試験を提供し、本方法は、疼痛マーカーまたは変性マーカーの投与、活性化因子の投与、それに続く検出工程を含む。あるいは、活性化因子は、疼痛マーカーまたは変性マーカーより先に投与してもよいし、または、同時に投与してもよい。活性化因子は、化学的な性質、生物学的な性質、または、物理的な性質を有するものが可能である。
【詳細な記述】
【0026】
本発明は、椎間板性疼痛を診断およびモニターするのに有用な装置、方法および組成物、ならびに、神経根障害を伴う、または伴わない軸性疼痛の治療に有用な可能性がある治療化合物をスクリーニングする方法を提供する。
【0027】
定義
本発明の理解を補助するために、以下に非限定的な定義を示す:
椎間板に「隣接する」という用語は、脊柱内の部位を意味する。
【0028】
用語「脊柱」は、ニューロン、骨、血管および軟部組織で構成される。脊柱は、椎体とそれら全てを連結している関節(小関節面、肋椎関節、および、椎間板の境界面)、椎間板、内在筋、脊髄、脊髄神経、軸骨格に連結している交感神経および神経節、椎骨および椎間板の神経支配、ならびに、連結している全ての血管を含む。
【0029】
用語「軸(性)」は、被検体の頭、頚部および/または背部を意味する。
用語「診断」または「〜を診断すること」は、1種またはそれ以上の、神経根障害を伴う、または伴わない軸性疼痛に関連する疼痛発生体、または、潜在的疼痛発生体の存在、非存在および位置を同定することを意味する。
【0030】
用語「椎間板」は、脊柱内の全ての椎間板、例えば頚部、胸部および腰椎椎間板などであり得る。
用語「椎間板領域」は、椎間板の表面から約5cmにわたる領域と、それに加えて椎間板内の内部領域を含むこととする。
【0031】
用語「変性」は、解剖学的な変性の徴候を意味し、このような徴候としては、椎間板の高さの変化、椎間板の水和レベル、飛び出したタイプのヘルニア、または、飛び出していないタイプのヘルニア、環状の隆起、断裂の存在、または、骨棘(こっきょく)が挙げられる。椎間板の高さの減少は、変性した椎間板に見出される、最も一般的な初期の容易に検出可能な変化の1つであり得る。その他の変性の徴候は、一般的に、MRIスキャンの際のT2強調シグナルの損失であり、これは、中核の組織の水和が失われたことの指標である。変性は、飛び出していない椎間板であってもよく、この場合、このような椎間板は、終板またはヘルニアを起こした椎間板のサイズによって定められるスペースを占める。ヘルニア形成は、例えば椎間板の隆起とも呼ばれる飛び出していない性質を示すものでもよいし、または、ヘルニアを起こした椎間板はまた、椎間板の構成要素(例えば髄核)が椎間板の外側に放出されることによって飛び出したタイプであってもよい。また、炎症、組織密度、pHの変化、神経支配および血管新生の増加のような変性の徴候も、椎間板に隣接する構成要素に見出すこともできる。
【0032】
用語「神経根障害」は、椎間板または椎間板に隣接する構成要素の異常によって誘発された脚または腕の神経根痛を意味し、これは、脊髄神経根または脊柱内のその他のニューロンの構成要素に影響を与える可能性がある。
【0033】
用語「変性」は、神経根障害の症状を伴う、および伴わない軸性疼痛の発症に関連する、外傷性または進行性の異常を意味する。椎間板領域または椎間板に隣接する領域における変性の適切な例としては、隆起または突起、炎症、圧力、ニューロン、血管、免疫またはマトリックスの構成要素における変化、電気的活動、含水量、組織密度、および、pHが挙げられるが、これらに限定されない。
【0034】
タンパク質の「フラグメント」という用語は広義に解釈し、タンパク質全体も含むものとする。
用語「炎症関連サイトカイン」は、炎症促進性サイトカイン、例えばTNF−アルファ、IL−1およびIL−8と、抗炎症性サイトカイン、例えばIL−4およびIL−10の両方を意味する。ある種の状況において、炎症促進性サイトカインは、炎症が局所的に起こる際に出現し、炎症が治まったら迅速に消失するため、炎症促進性サイトカインを定量することがより有利である可能性がある。一方で、炎症が治まった後でも、抗炎症性サイトカインの検出は可能である。Igarashi等,SPINE 29(19):2091〜2095(2004)。
【0035】
用語「ニューロンの構成要素」は、ニューロンの本体;ニューロンの伸長部分、例えば軸索、軸索の分岐部、樹状突起、または、成長円錐;および、支持細胞、例えば、星状細胞、シュヴァン細胞、小グリア細胞、および、希突起膠細胞などのグリア細胞を含む。
【0036】
用語「血管の構成要素」は、血管、毛細血管、および、内皮細胞を含む。
用語「マトリックスの構成要素」は、ニューロン、血管または免疫の構成要素以外の、椎間板内の、または、椎間板に隣接する構成要素を意味する。
【0037】
用語「マーカー」は、神経根障害の症状を伴う、または伴わない軸性疼痛の発症に関連する疼痛発生体、または、潜在的疼痛発生体に含まれる、ニューロン、血管、免疫またはマトリックスの構成要素の存在、量または活性を直接的または間接的に示すことができる化学物質、生物学的物質または物理的な物質を意味する。
【0038】
用語「変性マーカー」は、椎間板内の、または、椎間板に隣接する構成要素内で存在し、将来的な疼痛症状の発症に関与する、潜在的疼痛発生体を同定することができるマーカーを意味する。
【0039】
用語「疼痛マーカー」は、椎間板内の、または、椎間板に隣接する構成要素内に存在し、疼痛症状に関与する、疼痛発生体を同定することができるマーカーを意味する。
用語「疼痛発生体(pain generator)」は、疼痛マーカーによって見出された、疼痛症状に関与する主要な要因と同定された椎間板または椎間板に隣接する構成要素を意味する。
【0040】
用語「潜在的疼痛発生体(potential pain generator)」は、変性マーカーによって見出された、潜在的に疼痛をもたらす可能性がある症状に関与するキーとなる構成要素と同定される椎間板または椎間板に隣接する構成要素を意味する。
【0041】
用語「活性化因子」は、神経根障害の症状を伴う、または伴わない軸性疼痛の発症に関連する疼痛発生体、または、潜在的疼痛発生体に含まれる、疼痛マーカーまたは変性マーカーから誘導されたシグナルの存在を直接的または間接的に示すことができるか、または、それらを改善することができる化学物質、生物学的物質または物理的な物質を意味する。
【0042】
用語「治療化合物」は、疼痛マーカーまたは変性マーカーを調節することができる化学物質、生物学的物質または物理的な物質を意味する。
用語「〜を調節する」は、マーカー、または、ニューロン、血管、免疫もしくはマトリックスの構成要素の活性、濃度、数またはレベルを減少させることを意味する。
【0043】
用語「治療対象(paitient)」は、本発明の方法および/または装置が用いられる生物であって、脊索動物門に属するものを含む。この用語は、これらに限定されないが、ヒトを含む。
【0044】
用語「専門家(practitioner)」は、本発明の開示に記載の方法および/または装置を治療対象に用いる人を意味する。この用語は、これらに限定されないが、医者、その他の医療関係者、獣医、および、科学者を含む。
【0045】
パラメーターの、「〜を定量する(quantifying)」、「量(quantity)を決定すること」、「量(amount)を決定すること」、または、「数を決定すること」という用語は、絶対値(例えば、メートル、グラム、モル)、および、相対評価(例えば、コントロール値と比較した相対発光量または比率)の両方を決定することを含む。これはまた、推測値でもよいし、または、計算値でもよく、この場合、1つの項目のレベルは、測定値に基づいて推測されるか、または、計算される。
【0046】
病気「を治療すること」、または、病気の「治療」という用語は、病気の徴候または症状を緩和する目的で、治療対象(ヒト、またはそれ以外)に手順を実行することを意味し、このような手順は、1種またはそれ以上の薬物、または、身体への治療行動、または、外科手術を施すことを含んでいてもよい。緩和は、病気の徴候または症状が現れる前に起こる場合もあるし、同様にそれらが現れた後に起こる場合もある。従って、「治療すること」または「治療」は、病気を「予防すること」または「予防」も含む。加えて、「治療すること」または「治療」は、徴候または症状を完全に緩和しなくてもよいし、治癒しなくてもよいし、具体的には、治療対象に必要最低限の効果のみを与えるプロトコールも含む。
【0047】
装置
一局面において、本発明は、神経根障害を伴う、または伴わない軸性疼痛を診断する装置を含む。図1に示された一実施態様において、本装置は、疼痛マーカーまたは変性マーカーの量を測定するための検出器5を含む。検出器5は、処理装置10に操作可能に連結されている。処理装置10は、検出器5からの情報を受け取り、この情報を解析し、それをディスプレイ15に送り、任意にアラーム20に送ることもある。
【0048】
本発明の一実施態様において、検出器5は針状の形態であり、一実施態様においてこれは、18Gまたはそれ未満の直径を有する。検出器5は、少なくとも部分的に、椎間板領域に経皮挿入が可能である。必要に応じて、検出器5は、望ましい位置に埋め込んでもよく、例えば椎間板領域に埋め込んでもよい。検出器5をその標的部位に固定することも有利な場合がある。従って、一実施態様において、検出器5は、固定装置(anchor)25をさらに含む。ここで示された本発明の実施態様において、2個の固定装置25が示されている。しかしながら、当業界において通常の技術を有するものであればわかると思われるが、固定装置の数は、程度の差はあるが2個前後である。このようなあらゆる改変は、本発明の範囲に明確に含まれる。一実施態様において、検出器5は、カテーテル、または、その他の挿入装置によって、標的部位に送達することができる。カテーテルまたは挿入装置のための好ましい材料としては、ステンレス鋼、およびその他の硬質の組成物が挙げられる。いくつかの実施態様において、挿入装置は、治療対象の皮膚を容易に貫通できるように、先端が尖っているか、および/または、鋭利である。
【0049】
検出器5は、感知領域30をさらに含む。感知領域30は、検出器5の一部であり、これは、椎間板領域中に設置される必要がある。感知領域30は、疼痛マーカーまたは変性マーカーと接触した状態になる。疼痛マーカーまたは変性マーカーの選択に応じて、疼痛マーカーまたは変性マーカーの量を感知する様々なメカニズムが生じる可能性がある。これらのメカニズムを、疼痛マーカーまたは変性マーカーの考察と共に、以下で考察する。
【0050】
処理装置10は、検出器5からシグナルを受け取り、これらのシグナルを処理し、処理した情報をディスプレイ15に送る。選択の実施態様に応じて、処理装置10も、検出器5と共に治療対象に経皮挿入してもよいし、または、埋め込んでもよい。その他の実施態様において、処理装置は、治療対象の体の外側に配置してもよい。例えば、処理装置10は、共通のハウジング35内に、任意にアラーム20と共に、ディスプレイ15と共に配置してもよく、これらは、例えば治療対象の手首または腰に装着させてもよい。
【0051】
ディスプレイ15は、疼痛マーカーの絶対量または相対量を示す文字数字表示のディスプレイであってもよい。その他の実施態様において、ディスプレイ15は、疼痛マーカーまたは変性マーカーの量が、予め定められた範囲(例えば、疼痛のない被検体から採取した相当する部位における疼痛マーカーまたは変性マーカーの量または範囲)から外れた際に、色を変化させるカラーディスプレイであってもよい。
【0052】
任意に、本発明の装置は、治療対象の疼痛マーカーまたは変性マーカーの量が、疼痛のない被検体から採取した相当する部位における疼痛マーカーまたは変性マーカーの量または範囲を外れたら、治療対象に警告するためのアラーム20を含んでもよい。アラーム20は、様々な刺激またはそれらの組み合わせによって治療対象に警告するものであってもよい。例えば、アラーム20は、閃光を発したり、または、色が変化するライトであり得る。あるいは、アラーム20は、音声信号を発するものでもよい。その他の実施態様において、アラーム20は、例えば振動のような触覚的なシグナルを発するものでもよい。その他の実施態様において、アラーム20は、弱電気のショックを発するものでもよい。さらにその他の実施態様において、アラーム20は、治療対象に熱のシグナルを送る加熱または冷却パッドを含んでいてもよい。
【0053】
通常の熟達した技術を有する者は、被検体の体の外側で疼痛マーカーまたは変性マーカーの量を定量することが可能であることを了解するであろう。従って、この実施態様において、検出器5の感知領域30は、椎間板領域からサンプルを回収するために用いることができ、この装置に処理装置10およびディスプレイ15は含まれていない。あるいは、感知領域30は、例えば基質酵素反応、抗原−抗体結合、または、その他の結合分析のような疼痛マーカーまたは変性マーカーとの最初の反応のために用いてもよいし、それに続く結合または酵素活性の定量化は、体外で行ってもよい。疼痛マーカーまたは変性マーカーの定量化は、視覚的に行ってもよいし、または、プローブを、溶液、光源、X線源、ガスまたは検出を可能にするその他の試薬に曝露ことによって行ってもよい。
【0054】
その他の実施態様において、処理装置10は、検出されたマーカーのレベルを直接的または間接的に変更するための治療や、または、別の方法で疼痛を軽減するための治療を提供するポンプのような装置に情報を送ってもよい。
【0055】
マーカー
本発明の開示において、疼痛、および、椎間板の変性の徴候を診断するための様々なマーカー、および、これらのマーカーの検出方法を説明する。当業界における通常の熟達した技術を有する者であればわかると思われるが、疼痛は、選択された化学的または生物学的な化合物、選択された物理活性、または、選択された物理的な刺激、および、それらのあらゆる組み合わせを定量化することによって診断することができる。物理活性または刺激の適切な例は、圧力、熱変化、pH、電気的活動、含水量、組織密度、電磁放射線の吸収、および、それらのあらゆる組み合わせであるが、これらに限定されない。
【0056】
本発明では、ニューロン、免疫、血管またはマトリックスの構成要素のマーカー、ならびにそれらのあらゆる組み合わせからなる群より選択される疼痛マーカーまたは変性マーカーを説明する。
【0057】
ニューロンの構成要素のマーカーの適切な例としては、神経毒、例えば色素、ニューロン成長因子、例えば神経成長因子、脳由来の増殖因子、グリア細胞由来増殖因子、ニューロトロフィン−3、ニューロトロフィン−4、インスリン増殖因子、線維芽細胞増殖因子、および、白血病抑制因子、ニューロンの細胞外マトリックスの成分、例えばコンドロイチン硫酸プロテオグリカン、ネトリン、セマフォリン、および、ミエリン/希突起膠細胞の成長抑制剤、例えばノゴ(Nogo)、MAG、および、Omgp、ニューロンの接着分子、例えばNCAM、N−カドヘリン、および、インテグリン、細胞骨格の成長円錐の構成要素、および、ニューロフィラメント、ニューロンの構成要素と相互作用することができる物質、例えばショウノウ、メントール、ピペリン、カラシ油、クルクミン、および、オイゲノール、および、バニロイド受容体アゴニスト、および、アンタゴニスト、例えば8−メチル−N−バニリル−トランス−6−ノネンアミド(カプサイシン);Z−カプサイシン;ジンゲロール;ジンゲロン;8−メチル−N−バニリルノナンアミド(ジヒドロカプサイシン);6,7−デエポキシ−6,7−ジデヒドロ−5−デオキシ−21−デフェニル−21−(フェニルメチル)−ダフネトキシン、20−(4−ヒドロキシ−5−ヨード−3−メトキシベンゼンアセタート)(5’−ヨードレシニフェラトキシン);(+)−イソベレラル;N−バニリルオレオイルアミド(オルバニル);ホルボール12,13−ジノナノアート20−ホモバニラート;レシニフェラトキシン;N−(3−メトキシフェニル)−4−クロロシンナミド(SB−366791);2,3,4−トリヒドロキシ−6−メチル−5−[(2E,6E)−3,7,11−トリメチル−2,6,10−ドデカトリエニル]ベンズアルデヒド(スクチゲラル);6,7−デエポキシ−6,7−ジデヒドロ−5−デオキシ−21−デフェニル−21−(フェニルメチル)−20−(4−ヒドロキシベンゼンアセタート)ダフネトキシン(チニアトキシン);合成カプサイシン;および、カプサイシン誘導体、ならびに、バニロイド受容体アンタゴニスト、例えばN−[2−(4−クロロフェニル)エチル]−1,3,4,5−テトラヒドロ−7,8−ジヒドロキシ−2H−2−ベンズアゼピン−2−カルボチオアミド(カプサゼピン);[N−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)メチル]−5Z,8Z,11Z,14Z−エイコサテトラエナミド](アルバニル(Arvanil));N−(3−メトキシフェニル)−4−クロロシンナミド(SB−366791)、および、5’−ヨードレシニフェラトキシン、ニューロンのリガンドと相互作用することができる物質、および、ニューロンのリガンドおよびニューロン受容体のトラフィッキング、分解および再利用に関与する関連受容体および分子、例えば侵害受容器、アドレナリン作動性物質、コリン作動性物質、グルタマート、GABA、セロトニン、ソマトスタチン、オピオイド、ATP、Na、K、Ca2+、カンナビノイド、サブスタンスP、および、神経ペプチド受容体、例えばサブスタンスP、および、神経ペプチド、アセチルコリン、グルタマート、GABA、セロトニン、ソマトスタチン、アドレナリン、エピネフリン、ボツリヌス毒素、抗痙攣薬、麻酔薬、鎮痛薬、オピオイド、および、カンナビノイド、ニューロンの支持細胞またはグリア細胞を検出することができる物質、例えば星状細胞、希突起膠細胞、小グリア細胞、および、シュワン細胞のマーカー、例えばグリア細胞繊維性酸性タンパク質、S−10G、CR3受容体、および、グリア細胞毒、例えばフルオロシトラート、および、それらのあらゆる組み合わせが挙げられる。
【0058】
免疫の構成要素(単数もしくは複数)のマーカーの適切な例としては、炎症関連サイトカイン、ケモカイン、カリウムイオン、乳酸、神経ペプチド、および、数種のポリペプチドアミン、ブラジキニン、ヒスタミン、プロスタグランジンリガンド、ならびに、リガンドおよび受容体のトラフィッキング、分解および再利用に関与する関連受容体および分子、例えば、これらに限定されないが、IL−1、IL−6、IL−8、TNF−アルファ、INF、および、TFN調節因子3、Toll様受容体、および、アダプター分子、および、免疫の構成要素と相互作用することができる物質、例えばステロイド、非ステロイド性の抗炎症薬、COX阻害剤、NFkB調節因子、一酸化窒素合成酵素、および、それらのあらゆる組み合わせが挙げられる。
【0059】
血管の構成要素のマーカーの適切な例としては、血管新生および抗血管新生性のリガンド、ならびに、リガンドおよび受容体のトラフィッキング、分解および再利用に関与する関連受容体および分子、例えば抗血管新生性のステロイド、または、血管新生抑制性のステロイド、例えば酢酸アネコルタブ、または、トリアムシノロンアセトニド、増殖因子、または、サイトカイン、例えば血管新生因子、線維芽細胞増殖因子、アンジオポエチン、色素上皮由来因子、または、α−IFN、血管の細胞外マトリックスの成分、例えばマトリックスメタロプロテイナーゼ、および、調節因子、例えばマリマスタット、血管の細胞接着分子、例えばカドヘリン、または、インテグリン、血管の構成要素のマーカー、例えばフォン−ウィルブランド因子、および、それらのあらゆる組み合わせが挙げられる。
【0060】
マトリックスの構成要素のマーカーの適切な例としては、椎間板または椎間板に隣接する構成要素の組織密度、例えば通常ゲル状の髄核の組織密度、細胞外マトリックスの成分のレベルおよびタイプ、例えばプロテオグリカン、メタロプロテイナーゼ、および、タンパク質分解酵素のレベルおよびタイプ、ケラチン硫酸塩、コラーゲン、酸化窒素、フリーラジカル、フィブロネクチンのフラグメント、および、それらのあらゆる組み合わせが挙げられる。
【0061】
放射線撮影、MRI、PETまたはSPECT、CT、発光などのイメージング技術と併用ができるように改変されているニューロン、免疫、血管またはマトリックスの構成要素のマーカーの適切な例としては、例えば18F、H、124I、125I、131I、35S、14C、11Cなどの放射線同位体、または、蛍光もしくは発光分子に結合させたニューロン、免疫、血管またはマトリックスの構成要素のマーカーが挙げられる。放射標識したマーカーの適切な例としては、オピオイド受容体と結合できるように改変されたマーカー、例えば18F1−(3−フルオロプロピル)−4−(4−シアノフェノキシメチル)ピペリジン、または、[(18)F]FPS、または、18F−FPS、Hおよび11Cカーフェンタニル、Hペンタゾシン、H−1,3−ジ−オルト−トリルグアニジン、(+)−p−11Cメチルベサミコール、11CSA4503、11CSA5845、N−[18F]4’−フルオロベンジルピペリジン−4−イル−(2−フルオロフェニル)アセトアミド([18F]FBFPA)、3−(4−クロロベンジル)−8−[11C]メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロクロメノ[3,4−c]ピリジン−5−オン、11Cネモナプリド、放射標識したペンタゾシン、プロゲステロン、SKF10,047、DuP734、BD1008、SM−21ハロペリドール、DTG、プロゲステロン、グルタミン酸受容体HMK801に結合することができるように改変されたマーカー、1−アミノ−3−[18F]フルオロメチル−5−メチル−アダマンタン、11C−ABP688、コリン作動性受容体および輸送体を検出できるように改変されたマーカー、例えば[18F]フルオロエトキシ−ベンゾベサミコール、2−[18F]F−A−85380、[11C]−メカミラミン、5−(3’−フルオロプロピル)−3−(2−(S)−ピロリジニルメトキシ)ピリジン(ニフロリジン(nifrolidine))、5−(2−(4−ピリジニル)ビニル)−6−クロロ−3−(1−メチル−2−(S)−ピロリジニルメトキシ)ピリジン、[N−11C−メチル]−ベンズトロピン、および、末梢のベンゾジアゼピン受容体に結合することができるニューロンのグリア細胞マーカー、例えば11C−R−PK11195、放射標識抗体、例えばマトリックスの構成要素のマーカーと結合することができる放射標識抗体、ケラチン硫酸塩が挙げられる。
【0062】
さらにその他の実施態様において、疼痛マーカーまたは変性マーカーは、活性化因子、例えばニューロン、血管、免疫またはマトリックスの構成要素のマーカーの検出を可能にする誘発性または反応性物質を含む。活性化因子は、疼痛マーカーまたは変性マーカーの投与と別々に、その前に、それと同時に、または、その後に投与してもよい。
【0063】
活性化因子の適切な例としては、ニューロン受容体を活性化することができる物質、例えば侵害受容器、バニロイド、ブラジキニン、アドレナリン作動性物質、コリン作動性物質、グルタマート、GABA、セロトニン、ソマトスタチン、オピオイド、ATP、Na、K、Ca2+、カンナビノイド、サブスタンスP、および、神経ペプチド受容体が挙げられる。典型的な活性化因子としては、サブスタンスP、および、神経ペプチド、ブラジキニン、アセチルコリン、グルタマート、アドレナリン、エピネフリン、オピオイドおよび誘導体、カプサイシンおよび誘導体、ショウノウ、メントール、パイプライン、カラシ油、クルクミン、オイゲノール、神経毒、血流の活性化因子、および、炎症促進性の分子、例えばヒスタミン、および、炎症促進性サイトカインが挙げられるが、これらに限定されない。
【0064】
本発明のその他の実施態様において、疼痛マーカーまたは変性マーカーは、例えば圧力、電気的活動、熱およびpH変化のような物理的な性質の活性化因子、および、それらのあらゆる組み合わせを含んでもよい。
【0065】
さらにその他の実施態様において、このような活性化因子は、椎間板に配置される、または、その近傍に配置されるカテーテルを介して局所投与してもよい。この実施態様において、カテーテルは、近位端および遠位端を有し、さらに近位端は、誘発性または反応性物質をその場に送達するための開口部を有し、遠位端は、可動的に薬物の吐出ポンプに連結されている。本発明の一実施態様において、吐出ポンプは、貯蔵容器に操作可能に連結されており、このような貯蔵容器は、任意に本発明の装置に含まれていてもよい。カテーテルは、最小限の侵襲的な手法を介して配置されていてもよく、例えば、病的症状のある部位に隣接する血管、または、病的症状のある部位に血液を供給する血管に進入させることによって配置されていてもよい。
【0066】
圧力
本発明の疼痛マーカーまたは変性マーカーの1つは、圧力である。検出器5の感知領域30が、椎間板の内部に設置されている場合、疼痛マーカーとしての圧力の使用は、特に有利である。圧力の量に関する情報を測定し、それを検出器5から処理装置10に転送する方法がいくつかある。一実施態様において、検出器は、センサー部材、すなわちトランスデューサーで誘発された張力を検出することによって圧力の量を測定することができる。センサーは、張力を電気信号に変換するが、これは、上記部材の抵抗を測定することによって(例えば、ピエゾ抵抗に基づくセンサーで行われる)、または、上記部材の振動周波数の変化を測定することによって(例えば、共鳴に基づくセンサーで行われる)行われる。感圧性の膜、および、それに連結される回路構成要素は、米国特許第7,007,551号、および、6,959,608号で詳細に説明されており、その全体の内容は、参照により本発明の開示に包含される。
【0067】
温度
疼痛を引き起こす炎症は、局所的な温度上昇を伴うことが多い。従って、椎間板の領域内で上昇した温度の検出は、免疫の構成要素のマーカーとして用いてもよいし、または、神経根障害を伴う、または伴わない軸性疼痛に関連する疼痛発生体、および、椎間板の変性を診断およびモニターすることための活性化因子として用いてもよい。従って、一実施態様において、感知領域30は、温度プローブを含む。
【0068】
温度プローブ、それに連結させる処理回路の設計、ならびにそれらの作製方法および使用方法は、複数の特許および特許以外の出版物(例えば米国特許第6,175,752号)等で詳細に説明されており、これらは、参照によりその全体を本発明に包含させる。簡単に説明すると、2個のプローブを、温度依存性の特徴を有する材料または組成物で作製された温度依存性の部材で互いに連結させる。このようなプローブは、典型的には、金属、合金、半金属、例えばグラファイト、縮退半導体または高度にドープされた半導体、または、スモールバンドギャップ半導体を用いて形成される。適切な材料の例としては、金、銀、酸化ルテニウム、窒化チタン、二酸化チタン、インジウムでドープされた酸化スズ、スズでドープされた酸化インジウム、または、グラファイトが挙げられる。温度依存性の部材は、典型的には、電圧源が2個のプローブのリードに結合していると温度依存性のシグナルを提供する抵抗のような温度依存性の特徴を有する、プローブのリードと同じ導電材料、または、その他の材料(例えばカーボンインク、炭素繊維または白金)からなる細い連動桿を用いて作製される。温度依存性の部材の温度依存性の特徴は、温度に応じて上昇すること、または、温度に応じて低下することのいずれかであり得る。温度依存性の部材の特徴である温度依存性は、生理的温度の予想範囲を超える温度でもほぼ直線状であることが好ましい。
【0069】
このような特定の温度プローブを形成する典型的な方法の1つは、2つの空間的に離れたチャンネルを形成し、続いてそれらを金属の、または、合金化した導電材料で充填することを含む。次に、交差したチャンネルを形成し、続いて望ましい材料で充填する。交差したチャンネル中の材料が、2つの空間的に離れたチャンネルそれぞれの内部で導電材料とオーバーラップし、電気的な連結部が形成される。
【0070】
タンパク質様の疼痛マーカー
本発明の一局面において利用される疼痛マーカーまたは変性マーカーのその他の群は、ニューロン、血管、免疫およびマトリックスの構成要素に対して向けられた抗体を用いたものであり、例えば、炎症関連サイトカイン、神経伝達物質、神経ペプチド、増殖因子、ケモカイン、酸化窒素、一酸化窒素合成酵素、アセチルコリン、アセチルコリンエステラーゼ、ブラジキニン、ヒスタミン、プロスタグランジンおよび受容体、細胞接着分子、細胞骨格の構成要素、細胞外マトリックスの成分、および、それらのあらゆる組み合わせに対する抗体である。適切な抗体ベースの化学物質の検出方法は、例えば米国特許第7,003,184号で説明されており、これは、参照によりその全体を本発明に包含させる。この実施態様において、検出器5の感知領域30は、光ファイバー、少なくとも1つの光学反応を示す検出器、例えばFBGセンサー、および、該ファイバーに隣接して配置されたコーティングを含む。本発明の一実施態様において、コーティングは、光ファイバーの末端に配置される。上記で参照した特許公報で説明されているように、コーティングは、疼痛マーカーまたは変性マーカーの存在または量に応答してその体積を変化させることができる材料で作製される。コーティングの体積が変化すると、光ファイバーの少なくとも1つの光学特性が変更される。適切なコーティング材料は、ヒドロゲルである。様々なタイプのヒドロゲルが本発明と共に使用可能である。例えば、ポリマーゲルネットワークの膨潤の挙動は、ポリマー鎖の溶媒に対する親和性だけでなく、架橋密度によっても調節される(例えば、M.ShibayamaおよびT.Tanaka,“Volume phase transitions and related phenomena of polymer gels,”in Advances in Polymer Science,vol.109,Springer Verlag,1993を参照)。架橋密度は、弾性復元力を制御する。弾性復元力が影響を受けると、それに続いてゲルネットワークの平衡膨潤体積が影響を受ける。
【0071】
また、特定の生物化学物質に応答するポリマーゲルネットワークは、刺激に対して感受性を有する複合体を、ゲルネットワーク中の架橋の拠点に形成することによって製造することもでき、例えば抗原−抗体結合を架橋の拠点に形成することによって製造することができる。
【0072】
このような材料を合成する方法の1つは、周知のポリアクリルアミドゲル系(PAAm)を使用することであり、例えば、架橋−共重合反応で官能化した認識分子を用いることである。この例は、T Miyata等の“A reversibly antigen−responsive hydrogel,”Nature,vol.399,766〜769頁,1999で説明されており、彼等は、抗原に応答するゲルを製造するために、ポリアクリルアミドゲル系を使用して、IgG抗体を結合させている。遊離の抗原(分析物)が競合結合すると、抗原−抗体(受容体)の架橋が壊れ、それによって架橋密度が減少し、ゲル体積の変化を引き起こす。
【0073】
さらに、センサー領域は、検出器のハウジングを含んでもよく、このハウジングは、多孔質材料の領域を含む。このような設計は、コーティングおよび光ファイバーを保護し、同時に、疼痛マーカーまたは変性マーカーのコーティングへの侵入経路を提供すると予想される。
【0074】
疼痛マーカー、変性マーカーまたはそれらのフラグメントに対する抗体は、当業者周知の方法によって生産することができる。例えば、疼痛マーカーに対するモノクローナル抗体は、既知の方法に従ってハイブリドーマを生成することによって生産することができる。続いて、このようにして形成されたハイブリドーマを、ELISAのような標準的な方法を用いてスクリーニングして、ニューロン、血管、免疫またはマトリックスの構成要素またはそれらの部分に特異的に結合する抗体を生産する1種またはそれ以上のハイブリドーマを同定する。
【0075】
モノクローナル抗体を分泌するハイブリドーマを製造する代わりの方法として、組換えコンビナトリアル免疫グロブリンライブラリー(例えば、抗体ファージディスプレイライブラリー)をスクリーニングして、免疫グロブリンライブラリー中の疼痛マーカーまたはそれらのフラグメントに結合するものを単離することによって、疼痛マーカー、変性マーカーまたはそれらのフラグメントに対するモノクローナル抗体を同定し、単離してもよい。ファージディスプレイライブラリーを生成しスクリーニングするためのキットは、例えば、ダイアックス社(Dyax Corp.,ケンブリッジ,マサチューセッツ州)、および、マキシム・バイオテク(Maxim Biotech,サウスサンフランシスコ,カリフォルニア州)から市販されている。加えて、特に抗体ディスプレイライブラリーの生成およびスクリーニングに容易に使用できる方法および試薬の例は、文献に見出すことができる。
【0076】
ポリクローナル血清および抗体は、適切な被検体(例えばウサギ)を疼痛マーカー、変性マーカーまたはそれらのフラグメント(好ましくは哺乳動物;より好ましくはヒトの)で免疫化することによって生産してもよい。免疫化された被検体における抗体力価は、例えば固定されたマーカータンパク質を用いたELISAのような標準的な技術によって、長期にわたりモニターすることができる。必要に応じて、疼痛マーカーまたはそれらのフラグメントに対して向けられた抗体分子は、被検体または培養培地から単離し、さらに、IgG分画を得るためのプロテインAクロマトグラフィーのような周知の技術によって精製してもよいし、または、アフィニティークロマトグラフィーによって精製してもよい。
【0077】
疼痛マーカー、変性マーカーまたはそれらのフラグメントに対する抗体フラグメントは、当業界公知の方法に従って抗体を切断することによって生産してもよい。例えば、免疫学的に活性なF(ab’)、および、F(ab’)フラグメントは、ペプシンのような酵素で抗体を処理することによって生成してもよい。加えて、疼痛マーカー、変性マーカーまたは少なくともそれらの部分に対する、ヒトおよび非ヒト部分の両方を含むキメラ、ヒト化および単鎖抗体も、標準的な組換えDNA技術を用いて生産することができる。また、ニューロン、血管、免疫またはマトリックスのマーカーまたはそれらのフラグメントに対するヒト化抗体も、内因性免疫グロブリンの重鎖および軽鎖遺伝子を発現することはできないが、ヒト重鎖および軽鎖遺伝子を発現することができるトランスジェニックマウスを用いて生産することができる。
【0078】
アセチルコリン
電気化学法は、脳の微小透析液およびその他のインビボのサンプル中の低い内因性の神経伝達物質濃度を決定するのに用いることができるために、カテコールアミン(例えば、ドーパミン、および、エピネフリン)、および、セロトニンのような神経伝達物質を検出する適切な方法の1つである。アセチルコリンおよびコリンは電気的に活性な部分(electrophore)がないため、一実施態様において、酵素反応の生成物に基づく間接的な方法が用いられる。
【0079】
アセチルコリン測定の適切な非限定的な方法が、バイオアナリティカル・システムズ(Bioanalytical Systems,ウェストラファイエット,インディアナ州)によって提供されている。この方法において、アセチルコリンは、まずアセチルコリンエステラーゼによってコリンに変換され、コリンは、コリンオキシダーゼと反応して、電気化学的に活性な過酸化水素を形成する。従って、一実施態様において、感知領域30は、ペルオキシダーゼ酵素の作用電極を含み、この電極は、アセチルコリンエステラーゼおよびコリンオキシダーゼの源を含む。電線で装備された電極は、バックグラウンドが最小の電位での測定を可能にし、それによって検出限界が低くなるため、過酸化水素を検出するためのペルオキシダーゼ酵素の作用電極を用いて、基準のアセチルコリン(阻害剤の非存在下)を観察することができる。
【0080】
その他の実施態様において、アセチルコリンの検出は、タンパク質様の疼痛マーカーを検出するためのメカニズムに類似したメカニズムによって行ってもよい。アセチルコリンを認識する抗体に加えて、または、その代わりに、コーティングに、アセチルコリンエステラーゼ、および、コリンオキシダーゼが含まれていてもよい。この実施態様において、過酸化水素は、コーティング中で電気的な変化および/またはpHの変化を引き起こすと予想される。従って、この本発明の実施態様におけるコーティングに適切な材料としては、pHまたは電気的活動の変化に応答する(例えば、膨潤する)材料が挙げられる。
【0081】
画像診断
その他の実施態様において、疼痛マーカーまたは変性マーカーは、ニューロン、免疫、血管またはマトリックスの構成要素のマーカーを標識でラベルすることによって直接可視化してもよい。標識は、放射線撮影、MRI、PET、SPECT、CT、または、蛍光透視法などのイメージング技術によって可視化することができる放射性同位体、または、蛍光色素であり得る。例えば放射線同位体としては、18F、H、124I、125I、131I、35S、14C、11Cが挙げられる。ニューロンのオピオイド受容体の放射標識したマーカーの適切な例は、18F1−(3−フルオロプロピル)−4−(4−シアノフェノキシメチル)ピペリジン、または、[(18)F]FPS、または、18F−FPS、Hおよび11Cカーフェンタニル、Hペンタゾシン、H−1,3−ジ−オルト−トリルグアニジン、(+)−p−11Cメチルベサミコール、11CSA4503、11CSA5845、N−[18F]4’−フルオロベンジルピペリジン−4−イル−(2−フルオロフェニル)アセトアミド([18F]FBFPA)、3−(4−クロロベンジル)−8−[11C]メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロクロメノ[3,4−c]ピリジン−5−オン、11Cネモナプリド、放射標識したペンタゾシン、プロゲステロン、SKF10,047、DuP734、BD1008、SM−21ハロペリドール、DTG、プロゲステロン、グルタミン酸受容体HMK801に結合することができるように改変されたマーカー、1−アミノ−3−[18F]フルオロメチル−5−メチル−アダマンタン、11C−ABP688、ニューロンのコリン作動性受容体および輸送体の放射標識したマーカー、例えば[18F]フルオロエトキシ−ベンゾベサミコール、2−[18F]F−A−85380、[11C]−メカミラミン、5−(3’−フルオロプロピル)−3−(2−(S)−ピロリジニルメトキシ)ピリジン(ニフロリジン(nifrolidine))、5−(2−(4−ピリジニル)ビニル)−6−クロロ−3−(1−メチル−2−(S)−ピロリジニルメトキシ)ピリジン、[N−11C−メチル]−ベンズトロピン、および、ニューロンのグリア細胞の構成要素の放射標識したマーカー、例えば末梢のベンゾジアゼピン受容体、例えば11C−R−PK11195、放射標識抗体、例えばマトリックスの構成要素のマーカーと結合することができる放射標識抗体、ケラチン硫酸塩を用いることである。
【0082】
標識は、放射線同位体であってもよく、例えば18F、H、124I、125I、131I、35S、および、14Cである。これらの標識は、EDTAまたはDTPAのようなキレート剤を用いることによって抗体のようなマーカーに結合させて、ガンマカウンター、シンチレーションカウンター、PETスキャン、または、オートラジオグラフィーによって検出してもよい。マーカーをラベルするその他の方法は、例えば、米国特許出願番号2005/0118165、ならびに、Hunter等,Nature 194:495(1962);G.S.David等,Biochemistry 13:1014〜1021(1974);D.Pain等,J Immunol Meth 40:219〜230(1981);および、H.Nygren,J.Histochem Cytochem.30:407(1982)で説明されており、これらはいずれも参照により本発明に包含させる。
【0083】
その他の実施態様において、標識は、蛍光標識である。一般的な蛍光標識としては、フルオレセイン、ダンシル、フィコエリトリン、フィコシアニン、アロフィコシアニン、o−フタルデヒド、および、フルオレサミンが挙げられる。さらにその他の実施態様において、標識は、例えば152Euまたはその他のランタノイドのような蛍光を放出する金属を含んでもよい。蛍光を放出する金属は、例えば抗体のようなマーカーに、EDTAまたはDTPAのような金属−キレート化基を用いることによって結合させることができる。
【0084】
その他の実施態様において、放射性同位体は、限られた半減期を有する場合があるため、疼痛マーカーまたは変性マーカーの標識付けは、投与の前の数時間以内に行ってもよい。
【0085】
当業界における通常の技術を有するものであればわかると思われるが、マーカー、活性化因子および治療剤は、複数の方法によって被検体に投与することができる。これらの方法のなかでも特に、静脈内投与、筋肉内投与、髄腔内投与、皮下投与、硬膜外投与、椎間板内投与、非経口投与、経口投与、病的症状のある部位またはその隣接部位への直接的な適用、および、それらのあらゆる組み合わせが挙げられる。当業界における通常の技術を有するものであればわかると思われるが、疼痛マーカーまたは変性マーカーの性質に基づいて適切な方法を選択できる。
【0086】
さらにその他の実施態様において、マーカー、活性化因子および治療化合物は、椎間板に配置された、または、椎間板に隣接して配置したカテーテルによって局所投与してもよい。この実施態様において、カテーテルは、近位端および遠位端を有し、さらに近位端は、マーカーをその場にを送達するための開口部を有し、遠位端は、可動的に薬物の吐出ポンプに連結されている。本発明の一実施態様において、吐出ポンプは、貯蔵容器に操作可能に連結されており、このような貯蔵容器は、任意に本発明の装置に含まれていてもよい。カテーテルは、最小限の侵襲的な手法を介して配置されていてもよく、例えば、病的症状のある部位に隣接する血管、または、病的症状のある部位に血液を供給する血管に進入させることによって配置されていてもよい。
【0087】
その他の実施態様において、活性化因子は、マーカーと組み合わせて投与してもよいし、または、疼痛マーカーまたは変性マーカーの投与と別々に、その前に、それと同時に、または、その後に投与してもよい。
【0088】
その他の実施態様において、治療剤は、マーカーと組み合わせて投与してもよいし、または、疼痛マーカーまたは変性マーカーの投与と別々に、その前に、それと同時に、または、その後に投与してもよい。
【0089】
さらにその他の実施態様において、標識されたマーカーは、被検体に、例えばポンプまたはデポー剤形態で埋め込んでもよい。デポー剤のインプラントの適切な非限定的な設計は、2006年4月13日付けで出願されたDrug Depot Implant Designs And Methods Of Implantationという表題の同時係属中の米国特許出願第11/403,733号で詳細に考察されている。例えば、治療した椎間板または椎間板に隣接する構成要素の改善をモニターするために、または、神経根障害を伴う、または伴わない軸性疼痛に関連する潜在的疼痛発生体をモニターするために、ポンプまたはデポー剤を埋め込んでもよい。
【0090】
その他の局面において、本発明は、神経根障害を伴う、または伴わない軸性疼痛の診断方法を提供する。一実施態様において、本方法は、椎間板領域内の疼痛マーカーまたは変性マーカーの量を決定することを含む。疼痛マーカーまたは変性マーカーの量は、上述したあらゆる方法で測定することができる。例えば活性化因子が用いられる、および/または、マーカーまたは標識されたマーカーが用いられるようないくつかの実施態様において、本方法は、活性化因子、および/または、マーカーまたは標識されたマーカーそれぞれを投与する工程をさらに含んでいてもよく、疼痛マーカーまたは変性マーカーの量(すなわち、試験量)が間接的に測定される。続いてこの試験量が、正常な量または範囲と比較される。正常な量または範囲から外れている試験量(例えば、試験量が有意に異なる(すなわちp<0.05))は、神経根障害を伴う、または伴わない軸性疼痛に関連する現存疼痛発生体または潜在的将来疼痛発生体として用いられる。
【0091】
疼痛マーカーの正常な範囲
これまでに、少なくともいくつかの疼痛マーカーまたは変性マーカーの正常な範囲が開示されている。例えば、健康なヒトの椎間板は、免疫組織化学によって測定したところ、検出可能なレベルのTGF−β1、IL−6またはIL6−Rを発現しないことが示されている。Specchia等,Eur.Spine J.11:145〜151(2002)。従って、検出器5でこれらのマーカーが検出される場合は、疼痛または椎間板の変性を起こす可能性を示すと予想される。その他の例は、マトリックスの構成要素であるケラチン硫酸塩であり、これは変性中には存在しないが、椎間板の変性のラットモデルの健康な椎間板にも存在しない。Kairemo KJA等,J Nucl Med(2001)。その他の疼痛マーカーおよび変性マーカーのレベルは、例えば、新しい死体(数日以内に死亡した被検体)、または、健康な志願者のような源から得ることもできる。このような被検体がヒトではない場合、疼痛マーカーおよび変性マーカーの正常な値に関するデータは、被検体と同種の実験動物から得てもよい。
【0092】
さらにその他の局面において、本発明は、神経根障害を伴う、または伴わない軸性疼痛、または、将来的にそれらを発症させる見込みを減少させる治療化合物を投与することを含む治療の能力を試験する方法を含み、本方法は、第一時点に、椎間板領域内の疼痛マーカーまたは変性マーカーの量を決定すること(ここで前記第一時点は、治療化合物の第一の投与の前である);その後の第二時点に、椎間板領域内の疼痛マーカーまたは変性マーカーの量を決定することを含み;その際に、|M−N|>|M−N|であれば、神経根障害を伴う、または伴わない軸性疼痛または将来的にそれらを発症させる見込みを低くすることにおいて上記治療が効率的であることを示しており、ここで上記式中、Mは、第一時点に測定された疼痛マーカーまたは変性マーカーの量に等しく;Mは、第二時点に測定された疼痛マーカーまたは変性マーカーの量に等しく;および、Nは、疼痛マーカーまたは変性マーカーの正常な範囲または量(すなわち、神経根障害を伴う、または伴わない軸性疼痛に罹っていないことがわかっている個体から得られた量または範囲)に等しい。
【0093】
当業界における通常の熟達した技術を有する者は、疼痛に対する閾は、治療対象によってそれぞれ異なっているということを認識するであろう。従って、軸性疼痛の診断、軸性疼痛を軽減する見込みのある候補の試験、および/または、軸性疼痛モニターの結果は、当業界既知の疼痛の評価技術による疼痛の測定と相関を示す可能性がある。このような相関によって、専門家は、よりよく治療対象の要求に適合した治療方針を選択することができる。疼痛の評価技術としては、これらに限定されないが、VAS、オズウェストリ(Oswestri)、および、SF−36アンケートが挙げられる。あるいは、疼痛は、椎間板の高さ、椎間板の水和レベル、II型コラーゲンのレベル、プロテオグリカンのレベル、および、上記で開示された技術のあらゆる組み合わせに基づいて評価してもよい。
【0094】
例えば、活性化因子が用いられる、および/または、マーカーまたは標識されたマーカーが用いられるようないくつかの実施態様において、本方法は、活性化因子、および/または、マーカーまたは標識されたマーカーそれぞれを投与する工程をさらに含んでいてもよく、疼痛マーカーまたは変性マーカーの量(すなわち、試験量)が間接的に測定される。
【0095】
発明のその他の局面は、複数のキットを提供する。一実施態様において、本発明は、関連する腕または脚の神経根痛を伴う、または伴わない軸性疼痛症状を現存疼痛発生体、または、潜在的疼痛発生体を診断するための、少なくとも1つのイメージング技術によって検出することができる疼痛マーカーまたは変性マーカーを含む組成物、ならびに、効率的で安全なキットの使用のための一連の説明書を含むキットを提供する。その他の実施態様において、本キットは、マーカーをイメージング目的にあわせてどのように改変するかに関する説明書をさらに含む。その他の実施態様において、本キットは、椎間板領域または椎間板に隣接する領域から抽出されたサンプルからの疼痛マーカーまたは変性マーカーの量または活性を、上述のあらゆる方法で評価するのに必要な材料を含む。好ましくは、本方法は、ELISA、酵素反応、抗体−抗原分析、および、シグナルが比色、蛍光、発光または放射分析の様式で検出されるその他の結合分析からなる群より選択される。さらにその他の実施態様において、本キットは、活性化因子を提供するものでもよい。当業者であれば当然わかると思われるが、一連の説明書は、どのような媒体に記載されたものでもよく、このような媒体としては、これらに限定されないが、印刷された、音声の、および、ビデオ録画された、および、電子媒体が挙げられる。
【0096】
当業界における通常の熟達した技術を有する者は、「治療」は、神経根障害を伴う、または伴わない軸性疼痛の緩和に関する全てのパラメーターを含むことを疑いなく了解するであろう。このようなパラメーターとしては、これらに限定されないが、疼痛を緩和するのに用いられる、もしくは変性の徴候を低減させる治療化合物または治療化合物の組み合わせの確認、治療化合物もしくは治療化合物の組み合わせの用量、治療化合物または治療化合物の組み合わせの投与頻度、治療化合物または治療化合物の組み合わせの配合、ならびに、治療化合物または治療化合物の組み合わせの投与方法が挙げられる。
【0097】
神経根障害を伴う、または伴わない軸性疼痛を治療するのに最適な組成物と、このような治療化合物の投与様式を確認するために試験が可能な治療化合物は、なかでも特に、椎間板におけるニューロンおよび/または血管の伸長の増加は、神経根障害を伴う、または伴わない軸性疼痛を引き起こす可能性が高いため、このようなニューロンおよび/または血管の伸長の成長を遅らせたり、または、それらの伸長を抑制したりすることによって、それらの形成を予防するか、または、椎間板中にすでに形成されたニューロンおよび血管の伸長を破壊することができる治療化合物である。
【0098】
このような治療化合物の適切な非限定的な例としては、これらに限定されないが、天然の神経毒;アンモニアまたはシアニドを含む神経毒;ビスベンズイミド;トリパンブルー;ブリリアントブルー;メチレンブルー;インドシアニングリーン;ルテニウムレッド;キノリンイエロー;サポリン;Rhoキナーゼの活性化因子;ショウノウ;メントール;ピペリン;カラシ油;オイゲノール;クルクミン;8−メチル−N−バニリル−トランス−6−ノネンアミド(カプサイシン);Z−カプサイシン;ジンゲロール;ジンゲロン;8−メチル−N−バニリルノナンアミド(ジヒドロカプサイシン);6,7−デエポキシ−6,7−ジデヒドロ−5−デオキシ−21−デフェニル−21−(フェニルメチル)−ダフネトキシン、20−(4−ヒドロキシ−5−ヨード−3−メトキシベンゼンアセタート)(5’−ヨードレシニフェラトキシン);(+)−イソベレラル;N−バニリルオレオイルアミド(オルバニル);ホルボール12,13−ジノナノアート20−ホモバニラート;レシニフェラトキシン;N−(3−メトキシフェニル)−4−クロロシンナミド(SB−366791);2,3,4−トリヒドロキシ−6−メチル−5−[(2E,6E)−3,7,11−トリメチル−2,6,10−ドデカトリエニル]ベンズアルデヒド(スクチゲラル);6,7−デエポキシ−6,7−ジデヒドロ−5−デオキシ−21−デフェニル−21−(フェニルメチル)−20−(4−ヒドロキシベンゼンアセタート)ダフネトキシン(チニアトキシン);合成カプサイシン;カプサイシン誘導体;ボツリヌス毒素;抗痙攣薬;麻酔薬;鎮痛薬;オピオイド;カンナビノイド;N−[2−(4−クロロフェニル)エチル]−1,3,4,5−テトラヒドロ−7,8−ジヒドロキシ−2H−2−ベンズアゼピン−2−カルボチオアミド(カプサゼピン);[N−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)メチル]−5Z,8Z,11Z,14Z−エイコサテトラエナミド](アルバニル(Arvanil));N−(3−メトキシフェニル)−4−クロロシンナミド(SB−366791);5’−ヨードレシニフェラトキシン;ステロイド;非ステロイド性の抗炎症性化合物;COX阻害剤;TNF−アルファもしくはIL−1サイトカインまたは受容体の調節因子;NFkB調節因子;ミノサイクリン、フルオロシトラート、抗酸化剤、フリーラジカルのキレート化剤、および、それらのあらゆる組み合わせが挙げられる。椎間板性疼痛を治療するのに有用なこれらの治療化合物、調合物および方法は、2006年4月28日付けで出願されたBiological Removal Of Vascular And/Or Neuronal Extensions From A Degenerating Discという表題の同時係属中の米国特許出願第11/414,689号で詳細に説明されており、これは、参照によりその全体を本発明の開示に包含される。
【0099】
この開示で引用された全ての特許および特許以外の出版物は、特許および特許以外の出版物それぞれを、参照によりその全体を本発明に包含させたのと同じ程度に本明細書に包含する。さらに、本発明が、本明細書において具体的な実施例および実施態様を参照しながら説明されていたとしても、当然のことながら、これらの実施例および実施態様は、単に本発明の原理および適用を説明したに過ぎない。従って、当然のことながら、以下に記載の請求項で定義された本発明の本質および範囲から逸脱しないのであれば、説明された実施態様に多数の改変を施してもよいし、その他のアレンジも工夫され得る。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】本発明の装置の一実施態様を説明する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イメージング技術によって検出することができる疼痛マーカーまたは変性マーカーを含む、神経根障害を伴う、または伴わない軸性疼痛症状の、疼痛発生体、または、潜在的疼痛発生体を診断するための組成物。
【請求項2】
前記イメージング技術が、放射線撮影、蛍光透視法、発光、PET、SPECT、CT、および、MRIからなる群より選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記疼痛マーカーまたは変性マーカーが、ニューロン、免疫、血管およびマトリックスの構成要素のマーカー、ならびにそれらのいずれかの組み合わせからなる群より選択されるマーカーである、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記マーカーが、ニューロン、血管、免疫またはマトリックスの構成要素に結合する、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記疼痛マーカーまたは変性マーカーが、ニューロンの構成要素のマーカーからなる群より選択される、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記疼痛マーカーまたは変性マーカーが、ニューロンの構成要素によって放出された分子を示すことができる、請求項4に記載の組成物。
【請求項7】
前記疼痛マーカーまたは変性マーカーが、ニューロンの構成要素の受容体を示すことができる、請求項4に記載の組成物。
【請求項8】
前記受容体が、グルタミン酸受容体である、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記受容体が、サブスタンスP受容体である、請求項7に記載の組成物。
【請求項10】
前記受容体が、ベンゾジアゼピン受容体である、請求項7に記載の組成物。
【請求項11】
前記受容体が、オピオイド受容体である、請求項7に記載の組成物。
【請求項12】
前記受容体が、シグマオピオイド受容体である、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
前記ニューロンの構成要素のマーカーが、ペンタゾシン、プロゲステロン、SKF10,047、DuP734、BD1008、SM−21ハロペリドール、DTG、プロゲステロン、1−(3−フルオロプロピル)−4−(4−シアノフェノキシメチル)ピペリジンである、請求項4に記載の組成物。
【請求項14】
前記疼痛マーカーまたは変性マーカーが、血管の構成要素のマーカーからなる群より選択される、請求項4に記載の組成物。
【請求項15】
前記疼痛マーカーまたは変性マーカーが、血管形成剤を検出することができる、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
前記疼痛マーカーまたは変性マーカーが、VEGF受容体を検出することができる、請求項14に記載の組成物。
【請求項17】
前記疼痛マーカーまたは変性マーカーが、免疫の構成要素のマーカーからなる群より選択される、請求項4に記載の組成物。
【請求項18】
前記疼痛マーカーまたは変性マーカーが、炎症促進性の物質を検出することができる、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
前記疼痛マーカーまたは変性マーカーが、サイトカイン、または、サイトカイン受容体である、請求項17に記載の組成物。
【請求項20】
前記疼痛マーカーまたは変性マーカーが、マトリックスの構成要素のマーカーからなる群より選択される、請求項4に記載の組成物。
【請求項21】
前記疼痛マーカーまたは変性マーカーが、細胞外の成分を検出することができる、請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
活性化因子をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項23】
前記疼痛マーカーまたは変性マーカーが、放射線同位体、または、蛍光色素で標識されている、請求項1に記載の組成物。
【請求項24】
前記放射線同位体が、18F、H、124I、125I、131I、35S、14C、11C、および、それらのいずれかの組み合わせからなる群より選択される、請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
前記蛍光色素が、フルオレセイン、ダンシル、フィコエリトリン、フィコシアニン、アロフィコシアニン、o−フタルデヒド、フルオレサミン、152Eu、および、それらのいずれかの組み合わせからなる群より選択される、請求項23に記載の組成物。

【図1】
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【公表番号】特表2009−539864(P2009−539864A)
【公表日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−514473(P2009−514473)
【出願日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際出願番号】PCT/US2007/070019
【国際公開番号】WO2007/146595
【国際公開日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【出願人】(506298792)ウォーソー・オーソペディック・インコーポレーテッド (366)
【Fターム(参考)】