神経系を標的する薬理学的物質の性質を改善することに関連する方法および組成物

【課題】神経系を標的する生物活性化合物の薬理学的性質を改善することに関連する組成物および方法の提供。
【解決手段】Sar−Trp−Thr−Leu−Asn−Ser−Ala−Gly−Tyr−Leu−Leu−Gly−Pro−Lys−Lys−(Lys−palm)−Lys−NH2の配列を有するポリペプチド及び少なくとも約90%同一のアミノ酸配列、あるいは1以上の保存的アミノ酸置換を有する前記アミノ酸配列を含む単離ポリペプチド。さらに、血液脳関門の高い透過性を有する組成物が開示され、これは、変化していない形態のペプチドと比較したとき高い親油特性と高い塩基度を有するペプチドを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、2006年1月5日に出願された米国仮特許出願第60/757,047および2006年9月11日に出願された米国仮特許出願第60/844,024の利益を主張する。2006年1月5日に出願された米国仮特許出願第60/757,047および2006年9月11日に出願された米国仮特許出願第60/844,024は、本明細書中で参考として援用される。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
血液脳関門(BBB)は、哺乳動物の脳を全身循環から切り離し、中枢神経系(CNS)のホメオスタシスにおいて極めて重要な役割を果たす。血液脳関門を通してのペプチドの輸送の理解は継続的に進展しているにもかかわらず、CNSへのそれらの直接の効率的な送達は、現在も神経ペプチドを潜在的治療薬として開発する上での主要な課題となっている。
【0003】
てんかんは、例えば、複雑な神経障害である。難治性てんかんは患者集団の30%を侵すと推定される。様々な抗てんかん薬(AED)が使用可能であるにもかかわらず、ある種の発作およびてんかん症候群はごくわずかなAEDに対してしか応答せず、その成功は限られている。それ故、改善された効果と安全性プロフィールを備えた新しい抗痙攣治療薬を発見し、開発することが継続的に求められている。さらに、てんかん発作に先立って起こる神経生物学的変化についての最近の発見は、新しい抗てんかん原性化合物の発見の可能性を開くものであり、そのような抗てんかん原性剤は神経ペプチドとニューロトロフィンを含み得る。
【0004】
てんかん発作の機構に関係付けられてきたニューロペプチドおよびそれらの受容体は、ガラニン、ニューロペプチドY、ソマトスタチンおよびオピオイドペプチドを含む。これらのニューロペプチドの一部は、中枢神経系(CNS)に直接送達されたとき、抗痙攣作用を有するが、それらの低いバイオアベイラビリティーと不十分な代謝安定性はニューロペプチドに基づく抗てんかん薬の開発を妨げている。他方で、先進ペプチド工学は、改善された安定性またはバイオアベイラビリティーを有するペプチド類似体の多くの成功例を生み出した。しかし、使用可能なペプチド工学手法のいずれもが、抗痙攣作用を有するニューロペプチドには適用されていなかった。当技術分野において求められているのは、血液脳関門の透過性を改善するための方法と組成物である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
(I.発明の要旨)
本明細書で具体化され、広く説明される、本発明の目的に従って、本発明は、1つの態様では、配列番号3、配列番号3のアミノ酸配列と少なくとも約90%同一のアミノ酸配列、あるいは1以上の保存的アミノ酸置換を有する配列番号3のアミノ酸配列を含む単離ポリペプチドに関する。
【0006】
また、配列番号2、4−29、37−39、50、64、65、66、67、80、82および89から成る群より選択されるアミノ酸配列、配列番号2、4−29、37−39、50、64、65、66、67、80、82および89から成る群より選択されるアミノ酸配列と少なくとも約90%同一のアミノ酸配列、あるいは1以上の保存的アミノ酸置換を有する配列番号2、4−29、37−39、50、64、65、66、67、80、82および89から成る群より選択されるアミノ酸配列を含む単離ポリペプチドが開示される。
【0007】
また、配列番号31−36から成る群より選択されるアミノ酸セグメント、配列番号31−36から成る群より選択されるアミノ酸配列と少なくとも約90%同一のアミノ酸配列、あるいは1以上の保存的アミノ酸置換を有する配列番号31−36から成る群より選択されるアミノ酸配列を含む単離ポリペプチドが開示される。
【0008】
また、配列番号40、配列番号40のアミノ酸配列と少なくとも約90%同一のアミノ酸配列、あるいは1以上の保存的アミノ酸置換を有する配列番号40のアミノ酸配列を含む単離ポリペプチドが開示される。
【0009】
また、配列番号105、106、107、108、109−112および113−118から成る群より選択されるアミノ酸配列、配列番号105、106、107、108、109−112および113−118から成る群より選択されるアミノ酸配列と少なくとも約90%同一のアミノ酸配列、あるいは1以上の保存的アミノ酸置換を有する配列番号105、106、107、108、109−112および113−118から成る群より選択されるアミノ酸配列を含む単離ポリペプチドが開示される。
【0010】
また、配列番号58および135−141から成る群より選択されるアミノ酸配列、配列番号58および135−141から成る群より選択されるアミノ酸配列と少なくとも約90%同一のアミノ酸配列、あるいは1以上の保存的アミノ酸置換を有する配列番号58および135−141から成る群より選択されるアミノ酸配列を含む単離ポリペプチドが開示される。
【0011】
さらに、血液脳関門の高い透過性を有する組成物であって、変化していない形態のペプチドと比較したとき高い親油特性と高い塩基度を有するペプチドを含む組成物が開示される。
【0012】
変化していない形態のペプチドと比較してペプチドの親油特性を上昇させることおよび塩基度を増大させることを含む、ペプチドについての血液脳関門の透過性を上昇させる方法が開示される。
【0013】
また、本明細書で開示するポリペプチドの有効量をその必要のある対象に投与することを含む、てんかんを治療する方法が開示される。さらに、本明細書で開示する組成物の有効量をその必要のある対象に投与することを含む、てんかんを治療する方法が開示される。
【0014】
本明細書で開示するポリペプチドの有効量をその必要のある対象に投与することを含む、疼痛または他の神経障害を治療、予防または改善する方法が開示される。
【0015】
また、対象の治療において使用する組成物を同定すること;組成物の親油性と塩基度を増大させることによって組成物を修飾すること;および修飾した組成物をその必要のある対象に投与することを含む、血液脳関門を通過する組成物を必要とする対象を治療する方法が開示される。
【0016】
さらに、対象の治療において使用する組成物を同定すること;組成物の親油性、グリコシル化および塩基度を増大させることによって組成物を修飾すること;および修飾した組成物をその必要のある対象に投与することを含む、血液脳関門を通過する組成物を必要とする対象を治療する方法が開示される。
【0017】
また、対象の治療において使用する組成物を同定すること;組成物の親油性、グリコシル化および塩基度を増大させることによって組成物を修飾すること;修飾した組成物をベクターに挿入すること;およびその必要のある対象にベクターを投与することを含む、血液脳関門を通過する組成物を必要とする対象を治療する方法が開示される。
【0018】
さらに、対象の治療において使用する組成物を同定すること;組成物の親油性と塩基度を増大させることによって組成物を修飾すること;修飾した組成物をベクターに挿入すること;およびその必要のある対象にベクターを投与することを含む、血液脳関門を通過する組成物を必要とする対象を治療する方法が開示される。
例えば、本願発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
配列番号3、配列番号3のアミノ酸配列と少なくとも約90%同一のアミノ酸配列、あるいは1以上の保存的アミノ酸置換を有する配列番号3のアミノ酸配列を含む単離ポリペプチド。
(項目2)
配列番号2、4−29、37−39、50、64、65、66、67、80、82および89から成る群より選択されるアミノ酸配列、配列番号2、4−29、37−39、50、64、65、66、67、80、82および89から成る群より選択されるアミノ酸配列と少なくとも約90%同一のアミノ酸配列、あるいは1以上の保存的アミノ酸置換を有する配列番号2、4−29、37−39、50、64、65、66、67、80、82および89から成る群より選択されるアミノ酸配列を含む単離ポリペプチド。
(項目3)
配列番号31−36から成る群より選択されるアミノ酸セグメント、配列番号31−36から成る群より選択されるアミノ酸配列と少なくとも約90%同一のアミノ酸配列、あるいは1以上の保存的アミノ酸置換を有する配列番号31−36から成る群より選択されるアミノ酸配列を含む単離ポリペプチド。
(項目4)
配列番号40、配列番号40のアミノ酸配列と少なくとも約90%同一のアミノ酸配列、あるいは1以上の保存的アミノ酸置換を有する配列番号40のアミノ酸配列を含む単離ポリペプチド。
(項目5)
配列番号105、106、107、108、109−112および113−118から成る群より選択されるアミノ酸配列、配列番号105、106、107、108、109−112および113−118から成る群より選択されるアミノ酸配列と少なくとも約90%同一のアミノ酸配列、あるいは1以上の保存的アミノ酸置換を有する配列番号105、106、107、108、109−112および113−118から成る群より選択されるアミノ酸配列を含む単離ポリペプチド。
(項目6)
配列番号58および135−141から成る群より選択されるアミノ酸配列、配列番号58および135−141から成る群より選択されるアミノ酸配列と少なくとも約90%同一のアミノ酸配列、あるいは1以上の保存的アミノ酸置換を有する配列番号58および135−141から成る群より選択されるアミノ酸配列を含む単離ポリペプチド。
(項目7)
前記ポリペプチドが、ガラニンと比較したとき高い安定性を有する、項目1または2に記載のポリペプチド。
(項目8)
前記ポリペプチドが、ソマトスタチンと比較したとき高い安定性を有する、項目3に記載のポリペプチド。
(項目9)
前記ポリペプチドが、デルタ睡眠誘発ペプチド(DSIP)と比較したとき高い安定性を有する、項目6に記載のポリペプチド。
(項目10)
血液脳関門の高い透過性を有する組成物であって、変化していない形態のペプチドと比較したとき高い親油特性と高い塩基度を有する該ペプチドを含む組成物。
(項目11)
1以上のさらなる組成物と組み合わせて使用される、項目10に記載の組成物。
(項目12)
前記さらなる組成物が、神経ペプチドY、ジノルフィン、オピオイドおよびオピオイドペプチド、モルヒネ、ヒドロキシモルヒネ、フェンタニル、オキシコドン、コデイン;カプサイシン;ならびにカルバマゼピン、プリミドン、ガバペンチン、プレガバリン、ジアゼパム、フェルバメート、フルオロフェルバメート、ラモトリギン、ラコサミド、レベチラセタム、フェノバルビタール、フェニトイン、フォスフェニトイン、トピラメート、バルプロエート、ビガバトリン、ゾニサミド、オキシカルバゼピン、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)、局所麻酔薬(リドカインなど)、グルタミン酸受容体アンタゴニスト、NMDAアンタゴニスト、αアドレナリン作用性受容体アゴニストおよびアンタゴニスト、アデノシン、カンナビノイド、NK−1アンタゴニスト(CI−1021)、抗うつ薬(例えばアミトリプチリン、デシプラミン、イミプラミン)、ガラニン、ソマトスタチン、デルタ睡眠誘発ペプチド、エンケファリン、オキシトシン、コレシストキニン、カルシトニン、コルチスタチン、ノシセプチンおよび他の神経ペプチドに基づく治療薬の類似体および誘導体、プルロニックP85ブロックコポリマーを含むが、これらに限定されない、クラスとしての抗てんかん薬、Flurizanなどのアミロイド低下剤;ガランタミン(Razadyne);リバスチグミン(Exelon);ドネペジル(Aricept);タクリン(Cognex);メマンチン(Namenda);およびアルツハイマー病のためのワクチンから成る群より選択される、項目10に記載の方法。
(項目13)
前記親油特性が、前記ペプチドを疎水性部分に結合体化することによって高められる、項目10−12のいずれか1項に記載の組成物。
(項目14)
前記疎水性部分がポリ脂肪族鎖である、項目10に記載の組成物。
(項目15)
前記親油特性が、芳香族残基のハロゲン化を増大させることによって高められる、項目10−14のいずれか1項に記載の組成物。
(項目16)
前記塩基度が、リシン、アルギニン、ホモリシン、ホモアルギニン、LまたはD異性体立体配置のオルニチン;2,3−ジアミノプロピオン酸;2,4−ジアミノ酪酸を含むが、これらに限定されない、正に荷電したアミノ酸残基のホモおよびヘテロオリゴマーを導入することによって高められる、項目10−15のいずれか1項に記載の組成物。
(項目17)
前記塩基度が、スペルミン、スペルミジン、ポリアミドアミンデンドリマーまたはポリアミン毒素およびそれらの誘導体などの、ポリアミンベースの部分への結合体化によって高められる、項目10−15のいずれか1項に記載の組成物。
(項目18)
前記ペプチドが、変化していない該ペプチドと比較して1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%または100%より効率的に血液脳関門を通過することができる、項目10−17のいずれか1項に記載の組成物。
(項目19)
前記ペプチドがまた、変化していない形態の該ペプチドと比較したとき高いグリコシル化を有する、項目10−18のいずれか1項に記載の組成物。
(項目20)
項目10−18のいずれか1項に記載の組成物を含むベクター。
(項目21)
ペプチドについての血液脳関門の透過性を上昇させる方法であって、変化していない形態の該ペプチドと比較して該ペプチドの親油特性を上昇させることおよび塩基度を増大させることを含む、方法。
(項目22)
前記親油特性が、前記ペプチドを疎水性部分に結合体化することによって高められる、項目21に記載の方法。
(項目23)
前記疎水性部分がポリ脂肪族鎖である、項目22に記載の方法。
(項目24)
前記親油特性が、芳香族残基のハロゲン化を増大させることによって高められる、項目21に記載の方法。
(項目25)
前記塩基度が、リシン、アルギニン、ホモリシン、ホモアルギニン、LまたはD異性体立体配置のオルニチン;2,3−ジアミノプロピオン酸;2,4−ジアミノ酪酸を含むが、これらに限定されない、正に荷電したアミノ酸残基のホモおよびヘテロオリゴマーを導入することによって高められる、項目21に記載の方法。
(項目26)
前記塩基度が、スペルミン、スペルミジン、ポリアミドアミンデンドリマーまたはポリアミン毒素およびそれらの誘導体などの、ポリアミンベースの部分への結合体化によって高められる、項目21に記載の方法。
(項目27)
前記ペプチドが、変化していない該ペプチドと比較して1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%または100%より効率的に血液脳関門を通過することができる、項目21に記載の方法。
(項目28)
変化していない形態の前記ペプチドと比較して該ペプチドのグリコシル化を増大させることをさらに含む、項目21に記載の方法。
(項目29)
項目1に記載のポリペプチドの有効量をその必要のある対象に投与することを含む、てんかんを治療する方法。
(項目30)
項目10−19のいずれか1項に記載の組成物の有効量をその必要のある対象に投与することを含む、てんかんを治療する方法。
(項目31)
前記てんかんが、全身、部分または難治性てんかんである、項目30に記載の方法。
(項目32)
項目1に記載のポリペプチドの有効量をその必要のある対象に投与することを含む、疼痛または他の神経障害を治療、予防または改善する方法。
(項目33)
項目32に記載の方法であって、前記疼痛が以下の1つ以上によって引き起こされる、または前記神経障害が以下の1つ以上から選択される:慢性背痛、癌、線維筋痛、ヘルペス後神経痛、多発性硬化症、糖尿病性ニューロパシー、末梢神経損傷、外傷性モノニューロパシー、複合性局所疼痛症候群および脊髄損傷。
(項目34)
項目10−12のいずれか1項に記載のポリペプチドを対象に投与することを含む、対象において脊髄損傷を治療する方法。
(項目35)
項目10−12のいずれか1項に記載のポリペプチドを対象に投与することを含む、対象において多発性硬化症を治療する方法。
(項目36)
項目2に記載のポリペプチドの有効量をその必要のある対象に投与することを含む、神経障害を治療、予防または改善する方法。
(項目37)
項目3に記載のポリペプチドの有効量をその必要のある対象に投与することを含む、神経障害を治療、予防または改善する方法。
(項目38)
前記神経障害がてんかんである、項目32または36−37のいずれか1項に記載の方法。
(項目39)
前記神経障害がうつ病である、項目32または36−37のいずれか1項に記載の方法。
(項目40)
前記神経障害が疼痛である、項目32または36−37のいずれか1項に記載の方法。
(項目41)
前記神経障害がアルツハイマー病である、項目32または36−37のいずれか1項に記載の方法。
(項目42)
前記対象がまた、1以上の付加的な組成物でも治療される、項目32または36−37のいずれかに記載の方法。
(項目43)
血液脳関門を通過する組成物を必要とする対象を治療する方法であって、
i.該対象の治療において使用する該組成物を同定すること;
ii.該組成物の親油性と塩基度を増大させることによって該組成物を修飾すること;
iii.該修飾した組成物をその必要のある該対象に投与すること;
を含む、方法。
(項目44)
血液脳関門を通過する組成物を必要とする対象を治療する方法であって、
i.該対象の治療において使用する該組成物を同定すること;
ii.該組成物の親油性、グリコシル化および塩基度を増大させることによって該組成物を修飾すること;
iii.該修飾した組成物をその必要のある該対象に投与すること;
を含む、方法。
(項目45)
血液脳関門を通過する組成物を必要とする対象を治療する方法であって、
i.該対象の治療において使用する該組成物を同定すること;
ii.該組成物の親油性、グリコシル化および塩基度を増大させることによって該組成物を修飾すること;
iii.該修飾した組成物をベクターに挿入すること;
iv.その必要のある該対象に該ベクターを投与すること
を含む、方法。
(項目46)
血液脳関門を通過する組成物を必要とする対象を治療する方法であって、
i.該対象の治療において使用する該組成物を同定すること;
ii.該組成物の親油性と塩基度を増大させることによって該組成物を修飾すること;
iii.該修飾した組成物をベクターに挿入すること;
iv.その必要のある該対象に該ベクターを投与すること
を含む、方法。
(項目47)
血液脳関門の高い透過性を有する組成物を作製する方法であって、血液脳関門の高い透過性を有する組成物を作製することを含み、該組成物が、変化していない形態のペプチドと比較したとき高い親油特性と高い塩基度を有する該ペプチドを含有する、方法。
(項目48)
前記親油特性が、前記ペプチドを疎水性部分に結合体化することによって高められる、項目47に記載の方法。
(項目49)
前記疎水性部分がポリ脂肪族鎖である、項目47に記載の方法。
(項目50)
前記親油特性が、芳香族残基のハロゲン化を増大させることによって高められる、項目47に記載の方法。
(項目51)
前記塩基度が、リシン、アルギニン、ホモリシン、ホモアルギニン、LまたはD異性体立体配置のオルニチン;2,3−ジアミノプロピオン酸;2,4−ジアミノ酪酸を含むが、これらに限定されない、正に荷電したアミノ酸残基のホモおよびヘテロオリゴマーを導入することによって高められる、項目47に記載の方法。
(項目52)
前記塩基度が、スペルミン、スペルミジン、ポリアミドアミンデンドリマーまたはポリアミン毒素およびそれらの誘導体などの、ポリアミンベースの部分への結合体化によって高められる、項目47に記載の方法。
(項目53)
前記ペプチドが、変化していない該ペプチドと比較して1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%または100%より効率的に血液脳関門を通過することができる、項目47に記載の方法。
(項目54)
前記ペプチドがまた、変化していない形態の該ペプチドと比較したとき高いグリコシル化を有する、項目47に記載の方法。
(項目55)
前記ペプチドがスペーサーを含む、項目47に記載の方法。
(項目56)
前記スペーサーが、Gly、Ahx、Gly−AhxまたはPEG−O2Ocから成る群より選択される、項目55に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、SSSE海馬神経回路内のGABAおよびGLUを介した神経伝達における神経ペプチドの役割を示す。略語:CA、錐体ニューロン;DYN、ジノルフィン;GABA、γ−アミノ酪酸;GAL、ガラニン;GLU、グルタミン酸塩;NE、ノルエピネフリン;NPY、神経ペプチドY;SOM、ソマトスタチン;SubsP、サブスタンスP(Wasterlainら、2002)。
【図2】図2は、刺激前または刺激後に門に注入したガラニンがラットにおいて発作の持続時間を短縮したことを示す。上図。ガラニン(50および500ピコモル)を貫通枝刺激(PPS)の30分前に注射した。下図。PPSの30分後に注射したとき、500ピコモルのガラニンの注射だけが発作の持続時間を低減する上で有効であった(Mazaratiら、1998)。
【図3】図3は、非ペプチド性ガラニン受容体アゴニストとガラニンの両方が、マウスにおいてPTZ誘導性発作に関する潜伏期間を上昇させ、発作スコアを低下させたことを示す。挿入図は最大発作スコアを要約する(黒色、対照;白色、ガルノン;灰色、ガラニン)(Saarら、2002)。
【図4】図4は、ラットでの自立(self−sustaining)てんかん重積持続状態モデルにおける海馬内注射後のソマトスタチンの抗痙攣活性を示す(MazaratiとWasterlain,2002)。
【図5】図5は、ラットでの自立てんかん重積持続状態モデルにおける海馬内注射後のジノルフィンおよび神経ペプチドYの抗痙攣活性を示す。対照の実験については図4を参照のこと。(MazartiとWasterlain,2002)。
【図6】図6は、血液脳関門を通るペプチドの透過性に影響を及ぼす鍵となる因子を示す。塩基度と親油性は、拡散による受動輸送および吸収媒介性エンドサイトーシスを改善し得るが、グリコシル化またはベクターも、血液脳関門を通る能動輸送に寄与し得る。
【図7】図7は、抗痙攣活性を有する神経ペプチド類似体の開発のための一般的戦略を示す。2つのモデル神経ペプチドは、血液脳関門を通るそれらの透過性を改善するための技術を評価するために選択した。
【図8】図8は、理想的神経ペプチド薬の原型の構造的構成を示す。星印は、薬理作用団の残基を表わす。灰色の箱は、ペプチド部分の代謝安定性、塩基度および親油性を上昇させる骨格および側鎖修飾を表わす。BBB/PK−修飾因子は、親油性および陽イオン性モジュールおよび内因性栄養素ミメティックを含む、かさの高いポリマーベースの構造である。陽イオン性モジュールは、膜との静電的相互作用を通して吸収媒介性エンドサイトーシスを上昇させる。親油性モジュールは、血液脳関門を透過する受動輸送を高める。能動輸送ミメティック構造(例えばヘキソースまたはフェニルアラニン)は、血液脳関門内に位置する内向き栄養素輸送体との相互作用のための基質として働く。
【図9】図9は、BBBを透過するペプチド類似体を設計するために使用される戦略を示す。BBBを通る類似体の透過性を改善する2以上の異なる化学修飾の組合せが示されている。
【図10】図10は、血液脳関門を通る透過性を改善する神経ペプチドを工作することへの体系的アプローチを示す。キーワード:DAB、ジアミノ酪酸;DAP、ジアミノプロピオン酸;PEG,ポリエチレングリコール;Mmt、4−メチルトリチル。
【図11】図11は、ソマトスタチン類似体におけるN末端伸長のモジュール構造を示す。モジュールは固相ペプチド合成の間に結合される。モジュールの数および順序は任意であり、BBB/PK修飾因子の構造組成物は最適化することができる。
【図12】図12は、Gal BBB−2がフリングスマウスにおける聴原性発作に対して時間(差し込み図)および用量依存的保護を示すことを明らかにする。経過中、マウスを4mg/kg、i.p.のGal BBB−2で処置し、投与後様々な時点で試験した。フリングスマウスの用量応答試験群については、マウスを漸増用量のGal BBB−2で処置し、i.p.投与の1時間後に試験した。
【図13】図13は、GAL−BBB2を最適化する一般的実験戦略を示す。最初の3つの箱は、実施例1で定義する活性を要約する。約40の類似体を合成し、競合結合アッセイにおいてスクリーニングする。最も強力なガラニンリガンドだけを、より詳細な薬理学的特性決定の前に、それらの強力で持続的な抗痙攣活性に関してさらにスクリーニングする。
【図14】図14は、GAL−BBB2の構造的構成、および提案されるSAR試験を示す。黒い箱は、鍵となる薬理作用団残基を示す。
【図15】図15は、「骨格プロテーゼ(backbone prosthesis)」−非ペプチドスペーサー(5−アミノ吉草酸)による非薬理作用団残基(R2およびR3)の置換を示す。他の骨格スペーサーは、アミノヘキサン酸またはアミノ−3,6−ジオキサオクタン酸(PEG−スペーサー)を含む。
【図16】図16は、GAL−BBB2(図ではNAX−5055と称している)(0.52−5mg/kg)が、初期急性期ならびに長期的炎症期の両方において足を嘗めることによる用量依存的減少を生じさせたことを示す。これに対し、非修飾天然フラグメントGal 1−16は、試験したGAL−BBB2の最高用量(すなわち20mg/kg)より4倍高い用量のi.p.投与後、不活性であることが認められた。
【図17】図17は、5mg/kgのGAL−BBB2がガバペンチンの10mg/kg用量に等しいことが認められたことを示す。
【図18】図18は、GAL−BBB2(図ではNAX−5055と称している)が、慢性疼痛の坐骨神経結紮モデルにおける機械的異痛についての閾値の時間依存的な引き上げを示したことを明らかにする。さらに、GAL−BBB2はモルヒネと等しい効力を有し、ガバペンチンより数倍強力であった。
【図19】図19は、NAX−5055とも称される、GAL−BBB2の構造を示す。
【図20】図20は、NAX5055(GAL−BBB2)はフリングスマウスにおいて活性であるが、天然ペプチドフラグメントは活性でないことを示す。抗痙攣効果を、用量応答試験におけるピーク効果(すなわち1時間目)の時点で定量した。この試験の結果は、GAL−BBB2が音誘発性発作に対して用量依存的作用を示すことを明らかにした。用量応答データのプロビット分析から得た算定中央有効量(すなわちED50)および95%信頼区間は、3.2(2.3−6.1)mg/kgであった。天然ペプチドフラグメントGAL(1−16)は20mg/kg、i.p.の用量(GAL−BBB2についてのED50の6倍)で不活性であった。
【図21】図21は、オクトレオシド(octreocide)を工作するための化学構造および概略図を示す。
【図22】図22は、NAX5055(GAL−BBB2)が、6Hz(32mA)試験において天然ペプチドよりも強力で、より有効であることを示す。
【図23】図23は、NAX5055(GAL−BBB2)(4mg/kg、i.p.)がフリングスマウスにおいて時間依存的抗痙攣活性を示すことを明らかにする。
【図24】図24は、NAX5055(GAL−BBB2)がフリングスマウスにおいて聴原性発作に対する用量依存的保護を示すことを明らかにする。
【図25】図25は、NAX5055(GAL−BBB2)(4mg/kg)が薬物抵抗性発作モデルにおいて活性であることを示す。
【図26】図26は、NAX5055(GAL−BBB2)が6Hz発作試験においてi.p.およびs.c.投与後に卓越したバイオアベイラビリティーを示すことを明らかにする。NAX5055を、雄性CF−1マウスの群(n=6−8)に腹腔内または皮下注射した。60分後、各々の群の個別マウスを角膜電極によって刺激した(32mA、6Hz、3秒間)。辺縁系発作を示さないマウスを保護されたとみなした。結果は、NAX5055の抗痙攣活性が皮下投与後も保持されることを明らかにする。これらの所見は、NAX5055および/または他の神経活性ペプチドの皮下送達に適したデポー製剤が使用できることを示す。
【図27】図27は、NAX5055(GAL−BBB2)が6Hz(44mA)試験においてCMPD Xの効果と効力を上昇させることを示す。単独で投与したとき、CMPD A(レベチラセタム)は6Hz辺縁系発作に対して非常に高い用量でごくわずかしか有効でない(すなわち1000mg/kgで最大50%の保護)。これに対し、最小限の有効用量のNAX5055(1.5mg/kg)が、CMPD A(レベチラセタム)と組み合わせて投与したとき、効果と効力が著明に上昇する。これらの結果は、NAX5055によるガラニン受容体の調節がレベチラセタムの抗痙攣効果の相乗作用的増強を導くことを示す。合わせて考慮すると、これらの所見は、レベチラセタムとNAX5055を組み合わせた配合生成物が、非常に高用量のレベチラセタム単独に比べて治療上の利益を提供し得ることを示す。
【図28】図28は、NAX5055(GAL−BBB2)が海馬キンドリングラットにおいて控えめな保護を示すことを明らかにする。部分てんかんの海馬キンドリングラットモデルにおいて、NAX5055は発作スコアを5から3に低下させる。これらの結果は、NAX5055によるガラニン受容体の調節が二次性全般化部分てんかん発作を予防する上で有効であり、ガラニンをキンドリングラットの脳に直接注入したこれまでの脳室内試験と一致することを示す。腹腔内投与したNAX5055が活性であるという所見は、NAX5055が全身投与後に脳へのアクセスを獲得しているという結論を裏付ける。
【図29】図29は、ホルマリン誘発性痛覚過敏へのNAX5055(GAL−BBB2)の作用を示す。ホルマリンの足底注射の60分前にNAX5055を投与した。時間は抗痙攣ピーク効果時間に基づいた。
【図30】図30は、ソマトスタチンおよびデルタ睡眠誘発ペプチド(DSIP)がどちらも22mA 6Hz発作試験において抗痙攣性であることを示す。この図に示す結果は、CF−1マウスの脳室腔に直接注入したとき、ソマトスタチンおよびデルタ睡眠誘発ペプチド(DSIP)が6Hz(22mA)辺縁系発作に対して有効であることを明らかにする。これらの結果は、脳内のソマトスタチンおよびDSIP結合部位の調節が実行可能なアプローチであるという「概念実証」を提供する。それらはさらに、我々の専有テクノロジーを使用した、血液脳関門を通過する全身的に活性なソマトスタチンおよびDSIP神経活性ペプチドの開発を支持する。
【図31】図31は、GAL(1−16)類似体の構造を示す。高いBBB透過性を有する類似体を設計するために使用した鍵となる情報断片に印を付けている。
【図32】図32は、マウス角膜キンドリングの獲得へのNAX−5055(4mg/kg、i.p.)の1日2回の注射の作用を示す。CF#1マウスを、ビヒクル(0.9%食塩水)またはNAX5055のいずれかを摂取するように無作為に割り付けた。NAX−5055群のマウスは、最初のキンドリング刺激の12時間前と1時間前の2回、NAX−5055の投与を受けた。その後の各刺激の1時間前に、NAX−5055処置群のマウスはさらにもう1回NAX−5055(4mg/kg、i.p.)の投与を受けた。マウスを1日2回16日間刺激した。結果は、刺激当たりの平均発作スコアで表わしている。上記のように、NAX−5055処置マウスについての結果は、2つの集団、すなわち感受性(緑色の線)と非感受性(青色の線)に分けられた。食塩水対NAX−5055感受性は、p<0.0002で有意に異なる;NAX−5055感受性対NAX−5055非感受性は、p<0.0001で有意に異なる。この試験について得られた結果は、NAX−5055などのガラニンに基づくペプチドがキンドリングの獲得を予防する能力を有しており、てんかんおよび他の神経障害の発症の危険度が高い患者において疾患修飾性であり得るという主張を裏付ける。
【図33】図33は、角膜キンドリングの割合へのNAX−5055(mg/kg、i.p.)による1日2回の処置の作用を示す。NAX−5055で処置したマウスは(実験の詳細については図Xの脚注参照)、2つの処置群、すなわちNAX−5055感受性とNAX−5055非感受性に分けられた。結果は、特定発作スコア±S.E.M.、すなわち1−5に達するために必要な刺激の回数として表わしている。NAX−5055感受性群のマウスは、第1段階発作に達するために2倍以上の刺激を必要とし、第2段階および第3段階発作に達するためにそれぞれ35−40%多い刺激を必要とした。さらに、NAX−5055感受性群のマウスはいずれも第5段階発作に至らなかった。一方向ANOVA、p<0.0209;ポストホック分析:食塩水対NAX−5055非感受性、p>0.05;NAX−5055感受性対NAX−5055非感受性、p<0.05。これらの結果は、修飾されたガラニンベースの神経ペプチドがキンドリング獲得の発現を修飾する能力を有すること、およびそれらが、てんかんおよび他の神経障害を発症しやすい患者集団においてネットワーク過剰興奮性の予防のために有用であるという結論を支持する。
【図34】図34は、エンケファリン類似体に導入されたグリコシル基の構造を示す(Elmagbari,Egletonら、2004)。
【図35】図35は、2つの異なる化学修飾の組合せが個々の修飾を上回ることを示す。カチオン化または脂質付加(lipidization)単独では、両者の組合せとしての5055類似体の透過を改善しなかった。
【図36】図36は、血液脳関門を通るペプチドの透過性を改善するために使用したリポアミノ酸の例を示す。そのようなリポアミノ酸は、標的ペプチドの塩基度を高める化学修飾と組み合わせることができる。
【図37】図37は、化学修飾が神経ペプチド類似体の代謝安定性を改善することを示す。類似体5055(配列番号3)または1205−2(配列番号50)または非修飾類似体Gal(1−16)を希釈ラット血清中37℃でインキュベートした。ペプチドの残存量をHPLCによって測定した。
【図38】図38は、様々な種類の神経因性疼痛が、BBBを横切る神経ペプチド類似体によって治療、予防または逆転され得ることを示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本明細書に組み込まれ、その一部を構成する付属の図面は、本発明のいくつかの実施形態を例示し、説明と共に本発明の原理を説明する役割を果たす。
【0021】
(III.詳細な説明)
本発明は、以下の本発明の好ましい実施形態の詳細な説明およびその中に含まれる実施例、ならびに図面とそれらの上記および下記の説明を参照することによってより容易に理解され得る。
【0022】
本発明の化合物、組成物、製品、装置および/または方法を開示し、説明する前に、本発明は、異なる記載がない限り、特定合成方法、特定組換えバイオテクノロジー法に限定されず、あるいは異なる記載がない限り特定試薬に限定されず、それ自体、言うまでもなく、変化し得ることが了解されるべきである。また、本明細書で使用する用語は特定実施形態を説明することだけを目的とし、限定を意図しないことが了解されるべきである。
【0023】
A.定義
本明細書および付属の特許請求の範囲において使用されるとき、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈が明らかに異なる指示を与えない限り、複数の指示対象を包含する。それ故、例えば「医薬担体」への言及は、2以上のそのような担体の混合物を含む、等である。
【0024】
範囲は、本明細書では「およその(約)」ある特定値から、および/または「およその(約)」もう1つの特定値までとして表わされ得る。そのような範囲が表わされるとき、もう1つの実施形態は、そのある特定値からおよび/またはその他の特定値までを含む。同様に、数値が、「約」という先行詞の使用によって近似値として表わされるとき、その特定値はもう1つの実施形態を形成することが了解される。さらに、範囲の各々の終点は、他方の終点に対しておよび他方の終点とは独立して、の両方において有効であることが了解される。また、本明細書で開示される多くの値が存在すること、および各々の値はまた、その値自体に加えて「およその(約)」その特定値として本明細書で開示されることが了解される。例えば数値「10」が本明細書で開示される場合、「約10」も同時に開示される。また、当業者には適切に理解されるように、ある数値が開示されるとき、その数値「以下」、「その数値以上」および数値間の可能な範囲の数値も同時に開示される。例えば数値「10」が本明細書で開示される場合、「10以下」ならびに「10以上」も同時に開示される。
【0025】
本明細書および以下の特許請求の範囲において、多くの用語への言及が為され、それらは以下の意味を有すると定義される:
「任意の(optional)」または「場合により(optionally)」は、その後に述べられる事象または状況が起こってもよくまたは起こらなくてもよいこと、およびその記述が、前記事象または状況が起こる場合と起こらない場合を包含することを意味する。
【0026】
B.組成物および方法
1.血液脳関門
血液脳関門(BBB)は、適切な機能のために必要な栄養素を脳に供給しながら、血流中の有害物質から脳を保護する毛細血管内皮細胞の特殊なシステムである。細胞を横切る/細胞間の物質の比較的自由な交換を許容する末梢毛細血管と異なり、BBBは、物理的(密着結合)および代謝(酵素)関門の両方を通して脳内への輸送を厳密に制限する。それ故BBBは、しばしば、治療薬の脳内への透過を決定する上での速度制限因子である。
【0027】
多くの障害が、現在、中枢神経系(CNS)治療薬として使用するための多くの化合物の使用を制限している。第一に、脳は関門系を備える。脳関門系は2つの主要成分:脈絡叢と血液脳関門(BBB)を有する。脈絡叢は、血液から脳脊髄液(CSF)を分離し、BBBは血液から脳ISFを分離する。
【0028】
また、BBBは脈絡叢より約1000倍大きい表面積を有しており、CNSへの治療化合物の送達にとっての主要な障害である。BBBは選択的隔壁として働き、CNSと末梢循環の間での、ペプチドを含む物質の交換を調節する。BBBの一次構造は脳の毛細血管内皮細胞壁である。脳毛細血管内皮細胞の密着結合は、循環化合物が傍細胞経路によって脳ISFに達するのを妨げる。さらに、最近の研究は、密着結合によって与えられる関門に加えて、基底板のレベルでの生理的関門の存在を示唆する(Krollら、Neurosurgery,Vol.42,No.5,p.1083(May 1998))。BBBの他の独自の特徴は、細胞内穿孔および飲小胞の欠如および内皮の管腔表面の実効負電荷を含む。
【0029】
物質がBBBを通過し得る機構は、一般に能動輸送と受動輸送機構に分けられ得る。親油性分子は、内皮細胞膜を通しての受動輸送または拡散によって容易にBBBを通過する。ペプチドなどの親水性分子は、典型的にはそれらがBBBを通過することができるようにする能動輸送系を必要とする。インスリンなどのある種のより大きなペプチドは、能動トランスサイトーシス系として働く脳毛細血管の管腔表面に受容体を有する。
【0030】
血液脳関門を越えてペプチドを輸送するための2つの主要な機構:(1)主として分子の大きさと親油性によって決定される、膜を通しての単純拡散、および(2)血液脳関門内の内皮細胞の表面に位置する特異的受容体および担体によって、または非特異的な吸収トランスサイトーシスによって媒介される、能動的流入(TamaiとTsuji、2000;PanとKastin、2004a;Smithら、2004)が存在する。
【0031】
2.透過性の改善
血液脳関門を通るペプチドおよびタンパク質の透過性を改善するために多くの戦略が試験されてきた。これらはいくつかのカテゴリーに分けることができる:(1)CNSへのペプチドの取り込みを増強するベクターまたは栄養素能動輸送体への結合体化;(2)単純拡散を増強する高い親油性を生じさせる脂質付加/ハロゲン化;(3)吸収トランスサイトーシスを通しての輸送を増強するカチオン化(塩基度上昇);および(4)能動/受動輸送およびペプチドの薬物動態プロフィールを改善するグリコシル化またはプロドラッグ((Wittら、2001)および(PanとKastin,2004a))。そのような試験の例および主要所見を表1に示す。各々の参考文献は、血液脳関門の透過に関するその教示に関してその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0032】
表1.血液脳関門を通るペプチドの透過性を改善する例
【0033】
【表1】

最初の項目である結合体化に関して、結合体化したペプチドの分子サイズの増大は透過性を妨げないと思われる。オピオイドペプチド、ダラルギン(分子量=726)へのペプチドベースのベクターSynB1(分子量=2,099)の付加は、ほぼ4倍のサイズ増大を生じさせたが、同時に脳取込みの18倍上昇をもたらした(Rousselleら、2003)。同様に、エンケファリン類似体への二糖部分の付加は、静脈内投与後、それらの抗侵害受容活性を21倍まで上昇させた(Elmagbariら、2004)。
【0034】
2つの重要な因子、すなわち親油性と塩基度は、特異的輸送体または担体を必要とせずに血液脳関門を通るペプチドの透過性上昇に寄与する。ペプチドの親油特性は、疎水性部分(例えばポリ脂肪族鎖)への結合体化、または芳香族残基のハロゲン化(例えばPheと比較したときのクロロ−Phe)によって変化され得る。ポリアミン修飾タンパク質およびペプチドは、非修飾形態と比較して、より効率的に血液脳関門を通過することが示された(PodusloとCurran、1996a;b;Podusloら、1999)。また、低分子ペプチドの高い塩基度は、吸収媒介性エンドサイトーシス(AME)による血液脳関門を通しての輸送の重要な決定因子であることが示された(Tamaiら、1997)。
【0035】
ペプチドの直接修飾に加えて、CNSへの薬剤の改善された取込みに関するいくつかの他の薬剤送達戦略がある。これらは、血液脳関門を通してのペプチドのリポソーム、ミセルまたはナノ粒子媒介性送達を含む(Kreuterら、2003;PanとKastin、2004b)。これらの新規薬剤送達技術は、本明細書で開示され、当技術分野で公知の神経ペプチドに基づく組成物にも適用できる。
【0036】
血液脳関門を通る神経ペプチドの透過性を改善するためのいくつかのペプチド工作戦略が存在する。これらを図6に要約する。しかし、上述した試験のいずれもが、血液脳関門を通るペプチドの透過性をさらに促進するためにこれらの戦略を組み合わせるという体系的アプローチは示さなかった。本明細書で開示するのは、ソマトスタチンまたはガラニンなどの公知の抗痙攣性神経ペプチドと組み合わせたこれらのペプチド工作戦略の適用であり、それによって静脈内(i.v.)または皮下(s.c.)投与経路を通してこれらのペプチドを抗痙攣性にすることである。
【0037】
血液脳関門の透過性を上昇させるための方法および組成物を本明細書で開示する。「上昇させる」とは、野生型、非変化形態または天然ペプチド、あるいは対照組成物と比較して、より高いパーセンテージの組成物が血液脳関門を透過できることを意味する。例えば上昇の割合は、対照、天然または野生型ペプチドまたは組成物と比較したとき、
【0038】
【数1】

パーセントであり得る。
【0039】
特に、組成物が、変化していない形態のペプチドと比較したとき高い親油特性と高い塩基度を有するペプチドを含む、血液脳関門の高い透過性を備えた組成物を本明細書で開示する(図7)。また、組成物が、変化していない形態のペプチドと比較したとき高い親油特性、高い塩基度および高いグリコシル化を有するペプチドを含む、血液脳関門の高い透過性を備えた組成物を開示する。
【0040】
また、変化していない形態のペプチドと比較してペプチドの親油特性を上昇させ、および塩基度を増大させることを含む、ペプチドに関する血液脳関門の透過性を上昇させる方法を本明細書で開示する。ペプチドに関する血液脳関門の透過性を上昇させるもう1つの方法は、変化していない形態のペプチドと比較してペプチドの親油特性を上昇させること、塩基度を増大させること、およびグリコシル化を増大させることを含む。
【0041】
a)親油特性
組成物の親油特性は、例えばペプチドを疎水性部分に結合体化することによって上昇させ得る。疎水性部分の例は、ポリ脂肪族鎖または芳香族残基を含むが、これらに限定されない。親油特性はまた、ペルフルオロヘキサン酸などの、芳香族残基またはポリ脂肪族試薬のハロゲン化を増大させることによって高めることができる。
【0042】
b)塩基度
組成物の塩基度は、リシン、アルギニン、ホモリシン、ホモアルギニン、LまたはD異性体立体配置のオルニチン;2,3−ジアミノプロピオン酸;2,4−ジアミノ酪酸を含むが、これらに限定されない、正に荷電したアミノ酸残基のホモおよびヘテロオリゴマーを導入することによって上昇させ得る。
【0043】
塩基度はまた、スペルミン、スペルミジン、ポリアミドアミンデンドリマーまたはポリアミン毒素およびそれらの誘導体などの、ポリアミンベースの部分への結合体化によっても上昇させ得る。
【0044】
c)グリコシル化
グリコシル化は、キシロース、グルコース、ガラクトース、マルトース、マルトトリオース、マンノース、ラクトース、メリビオースまたは同様の糖への結合体化によって導入することができる。
【0045】
d)ベクター
また、本明細書で開示される組成物を含むベクターを開示する。BBBを通過することができるベクターの一例は、Toyobukuら(J Pharmacol Exp Ther.2003 Apr;305(1):40−7.)に見出される。
【0046】
C.治療方法
中枢神経系に関わる特定疾患および障害を治療する方法、または血液脳関門を通過する化合物を必要とする適用を本明細書で開示する。様々な疾患および障害が本明細書で開示する方法および組成物によって治療でき、発作および関連虚血疾患、慢性背痛、脊髄損傷、末梢神経損傷、外傷性脳損傷、網膜変性、神経変性疾患、白内障、抗生物質誘導性中毒性難聴、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症(ALS、ルー・ゲーリグ病)、てんかん(全身、部分または難治性てんかんなど)、ハンチントン病、パーキンソン病、多発性硬化症、慢性背痛、線維筋痛、ヘルペス後神経痛、糖尿病性ニューロパシー、外傷性モノニューロパシー、複合性局所疼痛症候群、アジュバント鎮痛(adjuvant analgesic)、神経根切断/神経切除、切断前痛覚脱失/切断、てんかん原性/外傷、化学物質曝露、てんかん重積持続状態、化学療法誘発性ニューロパシー、癌、オピオイド離脱症状、および慢性神経因性疼痛が含まれる。投与の方法と経路、用量、および医薬組成物を以下でより詳細に論じる。
【0047】
脊髄損傷および多発性硬化症を治療するための本明細書で開示する組成物の使用に関して、以下の参考文献は、これらの疾患の治療に関する教示に関してそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれる:Hawes JJ,Narasimhaiah R,Picciotto MR,Galanin and galanin−like peptide modulate neurite outgrowth via protein kinase C−mediated activation of extracellular signal−related kinase.Eur J Neurosci.2006 Jun;23(11):2937−46.Suarez Vら、The axotomy−induced neuropeptides galanin and pituitary adenylate cyclase−activating peptide promote axonal sprouting of
primary afferent and cranial motor neurons Eur J Neurosci.2006 Sep;24(6):1555−64。
【0048】
本明細書で開示する組成物および方法はまた、例えば、無酸素性障害の予防、ヒトにおける成長ホルモン分泌の上昇、下垂体腺腫からのプロラクチン放出の制御、モルヒネ無痛の延長における抗うつ薬として、および摂食障害において有用であり得る。
【0049】
また、本明細書で開示されるポリペプチドの有効量をその必要のある対象に投与することを含む、疼痛および他の神経障害を治療する方法を開示する。
【0050】
本明細書で開示する方法および組成物はまた、上記で開示され、当業者に公知であるもののような、神経障害の予防、改善または治療において使用できる。
【0051】
本明細書で開示する方法および組成物は、他の組成物または治療方法と共に使用できる。例えば以下の薬剤および薬剤のクラスは、疼痛、てんかん、神経保護、およびうつ病、双極性障害、他の精神障害のため、ならびに本明細書で開示する組成物によって治療可能な他の何らかの疾患または障害のために、本明細書で開示する組成物と組み合わせて使用することができる:オピオイドおよびオピオイドペプチド、モルヒネ、ヒドロキシモルヒネ、フェンタニル、オキシコドン、コデイン;カプサイシン;ならびにカルバマゼピン、プリミドン、ガバペンチン、プレガバリン、ジアゼパム、フェルバメート、フルオロフェルバメート、ラモトリギン、ラコサミド、レベチラセタム、フェノバルビタール、フェニトイン、フォスフェニトイン、トピラメート、バルプロエート、ビガバトリン、ゾニサミド、オキシカルバゼピン、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)、局所麻酔薬(リドカインなど)、グルタミン酸受容体アンタゴニスト、NMDAアンタゴニスト、αアドレナリン作用性受容体アゴニストおよびアンタゴニスト、アデノシン、カンナビノイド、NK−1アンタゴニスト(CI−1021)、抗うつ薬(例えばアミトリプチリン、デシプラミン、イミプラミン)、ガラニン、ソマトスタチン、デルタ睡眠誘発ペプチド、エンケファリン、オキシトシン、コレシストキニン、カルシトニン、コルチスタチン、ノシセプチンおよび他の神経ペプチドに基づく治療薬の類似体および誘導体、およびプルロニックP85ブロックコポリマーを含むが、これらに限定されない、クラスとしての抗てんかん薬。
【0052】
以下の薬剤および薬剤のクラスは、アルツハイマー病のために本明細書で開示する組成物と組み合わせて使用することができる:Flurizanなどのアミロイド低下剤;ガランタミン(Razadyne);リバスチグミン(Exelon);ドネペジル(Aricept);タクリン(Cognex);メマンチン(Namenda);およびアルツハイマー病のためのワクチン。また、対象の治療において使用する組成物を同定すること;組成物の親油性と塩基度を増大させることによって組成物を修飾すること;および修飾した組成物をその必要のある対象に投与することを含む、血液脳関門を通過する組成物を必要とする対象を治療する方法を開示する。
【0053】
「併用(組合せ)」とは、本明細書で開示する組成物に加えて、1以上の付加的な組成物を対象に投与できることを意味する。これらの組成物は
また、対象の治療において使用する組成物を同定すること;組成物の親油性、グリコシル化および塩基度を増大させることによって組成物を修飾すること;および修飾した組成物をその必要のある対象に投与することを含む、血液脳関門を通過する組成物を必要とする対象を治療する方法を開示する。
【0054】
また、対象の治療において使用する組成物を同定すること;組成物の親油性、グリコシル化および塩基度を増大させることによって組成物を修飾すること;修飾した組成物をベクターに挿入すること;およびその必要のある対象にベクターを投与することを含む、血液脳関門を通過する組成物を必要とする対象を治療する方法を開示する。
【0055】
また、対象の治療において使用する組成物を同定すること;組成物の親油性と塩基度を増大させることによって組成物を修飾すること;修飾した組成物をベクターに挿入すること;およびその必要のある対象にベクターを投与することを含む、血液脳関門を通過する組成物を必要とする対象を治療する方法を開示する。
【0056】
1.組成物を研究ツールとして使用する方法
開示される組成物は、研究ツールとして様々な方法で使用することができる。例えば配列番号1−55のような開示組成物は、例えばてんかんを検討するための試薬として使用できる。
【0057】
組成物は、例えばガラニンアゴニストまたはアンタゴニストまたは部分アゴニストのような、所望機能特性を有する分子を単離するためにコンビナトリアル化学プロトコルまたは他のスクリーニングプロトコルにおける標的として使用できる。
【0058】
組成物は、神経系における種々の神経ペプチド、他の神経伝達物質、受容体およびイオンチャネルの間での個別およびネットワーク相互作用を発見するために使用できる。例えば開示組成物は、ガラニン受容体アンタゴニストと、同じニューロン上で発現される分子標的に作用する薬剤との間の相乗的相互作用を発見するために使用できる。そのような正の薬剤−薬剤相互作用は、2つの薬剤を組み合わせて適用したとき治療の効果および/または安全性を改善し得るので、有益である。
【0059】
開示組成物は、マイクロアレイにおける試薬としてまたは既存のマイクロアレイをプローブするまたは分析するための試薬として本明細書で論じるように使用することができる。開示組成物は、一塩基多型を単離するまたは同定するために任意の公知の方法において使用できる。組成物はまた、チップ/マイクロアレイに関連する、スクリーニングアッセイの任意の公知の方法においても使用できる。組成物はまた、例えば関連性を検討するためまたは開示組成物に関連する分子モデリング解析を実施するために、開示組成物のコンピュータ読み取り可能な実施形態を使用する任意の公知の方法で使用することができる。
【0060】
2.遺伝子修飾および遺伝子破壊の方法
開示される組成物および方法は、標的遺伝子破壊および修飾のために、これらの事象を受けることができる任意の動物において使用できる。例えばガラニンを生産する遺伝子を、血液脳関門の高い透過性を有するガラニン類似体を発現するように変化させることができる。遺伝子修飾および遺伝子破壊は、哺乳動物などの動物における、修飾が哺乳動物の生殖細胞系を通して伝播する方法での、遺伝子または一続きの染色体の選択的除去または変化を取り巻く方法、手法および組成物を指す。一般に、細胞は、例えば本明細書で述べるような、その細胞内に含まれる特定染色体の領域と相同的に組み変わるように設計されたベクターで形質転換される。この相同的組換え事象は、周囲のDNAと共に、例えばインフレームで導入された外来性DNAを有する染色体を生産することができる。この種のプロトコルは、点突然変異などの非常に特異的な突然変異が、細胞内に含まれるゲノムに導入されることを可能にする。この種の相同的組換えを実施するための方法は本明細書で開示される。
【0061】
哺乳動物細胞において相同的組換えを実施することの好ましい特徴の1つは、所望の組換え事象が低い頻度で起こるので、細胞が培養され得るはずであることである。
【0062】
ひとたび本明細書で述べる方法を通して細胞が生産されれば、幹細胞技術またはクローニング技術のいずれかを通してこの細胞から動物を生産することができる。例えば核酸がその中にトランスフェクトされた細胞が生物についての幹細胞である場合、この細胞は、トランスフェクションと培養後に、生殖系細胞内に遺伝子修飾または破壊を含む生物を生産するために使用でき、その生物は次に、その細胞全部に遺伝子修飾または破壊を有するもう1つ別の動物を生産するために使用できる。その細胞全部に遺伝子修飾または破壊を含む動物の生産のための他の方法では、クローニング技術が使用できる。これらの技術は一般に、トランスフェクトした細胞の核を取り、融合または置換のいずれかを通して、トランスフェクトした核を、その後動物を生産するように操作することができる卵母細胞と融合する。ESテクノロジーの代わりにクローニングを使用する手順の利点は、ES細胞以外の細胞をトランスフェクトできることである。例えば、培養が非常に容易である線維芽細胞を、トランスフェクトして、遺伝子修飾または破壊事象を生じさせる細胞として使用することができ、その後この細胞由来の細胞を、動物全体をクローニングするために使用できる。
【0063】
D.組成物
開示化合物を調製するために使用される成分ならびに組成物自体および本明細書で開示する方法において使用される成分を開示する。これらや他の材料が本明細書で開示されるが、これらの材料の組合せ、サブセット、相互作用、群等が開示されるとき、これらの化合物のありとあらゆる個別および集合的組合せ、ならびに順列への具体的な言及は明白に開示されないことがあり得るが、各々は本明細書で明確に考慮され、記述されることが了解される。例えば特定ガラニン類似体が開示され、論じられ、変異体を含む多くの分子に対して行い得る多くの修飾が論じられる場合、明確に異なる指示がない限り、ガラニン類似体のありとあらゆる組合せと順列および可能な修飾が明確に考慮される。それ故、分子A、BおよびCのクラスならびに分子D、EおよびFのクラスおよび組合せ分子の一例であるA−Dが開示される場合、各々が個別に列挙されていない場合でも、各々が個別に及び集合的に考慮され、意図される組合せ、A−E、A−F、B−D、B−E、B−F、C−D、C−EおよびC−Fが開示されるとみなされる。同様に、これらの任意のサブセットまたは組合せも開示される。それ故、例えばA−E、B−FおよびC−Eのサブグループが開示されるとみなされる。この概念は、開示組成物を作製し、使用する方法における工程を含むが、これらに限定されない、本出願の全ての態様に適用される。それ故、実施できる様々な付加的工程が存在する場合、これらの付加的工程の各々が、開示される方法の任意の特定実施形態または実施形態の組合せと共に実施され得ることが了解される。
【0064】
1.血液脳関門の透過性に関連する組成物
自発てんかん発作は、主として海馬に位置する過剰興奮性ニューロンの過剰発射から生じる。脳は、γ−アミノ酪酸(GABA)を用いる抑制機構とグルタミン酸によって媒介される興奮機構のバランスをとることによって発作を制御する(Wasterlainら、2002)。神経伝達は、神経ペプチドY、ガラニン、ノシセプチン/オルファニンFQおよびエンドモルフィン−1を含む、多くの内因性神経ペプチドによって調節される。図1は、自立てんかん重積持続状態の海馬の神経回路におけるグルタミン酸、GABAおよび神経ペプチドの間の考えられる関係を示す。
【0065】
これらの神経ペプチドの役割は、薬理的および遺伝的(ノックアウトまたは過剰発現)アプローチの両方を用いて解明された。例えばObertoと共同研究者たち(Obertoら、2001)は、扁桃におけるGABA作動系、神経ペプチドYおよび神経ペプチドY(1)受容体の間の相互作用を特性決定するためにトランスジェニックマウスを使用した(Evaら、2004)においても総説されている)。同様に、Lerescheと共同研究者たち(Lerescheら、2000)は、ソマトスタチンがシナプス前機構によってGABA媒介性神経伝達を阻害することを示した。海馬におけるガラニンによるグルタミン酸放出の調節は、2つのトランスジェニックマウスモデル:ガラニンのノックアウト(GalKO)および過剰発現(GalOE)マウスで検討された(Mazaratiら、2000)。GalKOおよびGalOEマウスにおいて、脱分極誘導性グルタミン酸放出は、中枢投与されたガラニンによってそれぞれ上昇および低下し、グルタミン酸作動系を通した抗痙攣薬としての海馬ガラニンの役割を指示した(Mazarati,2004)。
【0066】
少なくとも3つの神経ペプチド:ガラニン、ソマトスタチンおよび神経ペプチドY、およびそれらの受容体が、てんかん誘発において役割を果たすことが示された。海馬におけるガラニンの免疫反応性は、辺縁系てんかん重積状態後に低下する。海馬歯状回門へのガラニンの注入は、辺縁系てんかん重積状態の発症を予防し、てんかん重積持続状態を停止させた。それ故、ガラニンはてんかん重積持続状態を抑制する内因性抗痙攣薬として働くと思われる(Mazaratiら、1998)。このことの証拠は、ガラニンの過剰発現を有するトランスジェニックマウスの表現型を分析することによって示された(Kokaiaら、2001)。この試験において、ガラニンはキンドリングてんかん誘発を抑制した。
【0067】
神経伝達物質放出および発作抑制を調節する上での神経ペプチドの役割は、新しい治療処置のための可能性として認識されてきた。以下で述べるように、公表された多くの試験が動物モデルにおいて神経ペプチドの強力な抗痙攣活性を示した。
【0068】
a)神経ペプチドYおよびジノルフィン
神経ペプチドYはインビトロでラット海馬切片におけるてんかん様活性を抑制した(KlapsteinとColmers,1997)。別の試験では(Barabanら、1997)、神経ペプチドYを欠くマウスは、カイニン酸に応答して制御不能の発作を生じた。さらに、ノックアウトマウスの93%が死亡へと進行したのに対し、野生型動物では死亡はまれであった。脳室内神経ペプチドYは、カイニン酸投与によって誘導された死亡を予防した。最後に、神経ペプチドYの抗痙攣作用はY5受容体を通して媒介されることが明らかにされた(SperkとHerzog、1997)。
【0069】
ジノルフィンを含む海馬オピオイドペプチドは、てんかん原性およびてんかん発作に関係づけられてきた((Hong,1992)および(SolbrigとKoob,2004)によって総説されている)。電気痙攣ショックまたは扁桃キンドリングによって誘発された発作は、エンケファリンとジノルフィンの両方の初期放出を生じさせたが、同時にジノルフィンの長期的な減少を引き起こした(Gall,1988)。ジノルフィンの抗痙攣活性は、図5に例示するように、自立てんかん重積持続状態のラットモデルにおいて示された(MazaratiとWasterlain、2002)。
【0070】
ジノルフィンと同様に、神経ペプチドYの海馬内注入も、自立てんかん重積持続状態モデルにおいて発作の分布を低減した(MazaratiとWasterlain、2002)。側脳室に投与したNPYは、カイニン酸誘発性発作の強力な阻害剤であると思われた(Woldbyeら、1997)。抗てんかん作用は神経ペプチドY5受容体によって媒介されると示唆されており、これは、Y5R欠損マウスに関する試験において確認された所見である(Marshら、1999)。
【0071】
b)ガラニンとその類似体
ガラニンは、Mazaratiと共同研究者たちの研究(Mazaratiら、1992)以来、潜在的抗痙攣薬として認識されてきた。側脳室または海馬に直接注入したとき、ガラニンはラットにおいてピクロトキシン誘発性キンドリング痙攣の重症度を低下させた。てんかん重積持続状態の動物モデルにおいて、貫通枝刺激(PPS)前または刺激後のガラニンの門周囲注入は発作の期間を短縮した(Mazaratiら、1998)。これらの作用はガラニンアンタゴニストの同時適用によって逆転された。図2に例示するように、50−500ピコモルという低い用量が、確立されたてんかん重積持続状態(SSSE)を停止させるのに有効であった。
【0072】
てんかんを治療するための1つの戦略は、神経ペプチドに基づく治療薬を使用することである。概念実証として、2つの非ペプチド性ガラニン受容体アゴニスト、ガルノン(galnon)とガルミック(galmic)は、抗痙攣および抗てんかん活性を有することが最近示された(それぞれ(Saarら、2002)および(Bartfaiら、2004))。両方の化合物が、GalR1またはGalR2受容体に対して中等度のマイクロモル親和性を有すると思われ、全身投与したとき、てんかんの動物モデルにおいて抗痙攣活性を示した。図3に示すように、ガルノン(2mg/kg、i.p.)またはガラニン(0.5nmol、i.c.v.)は、マウスでのペンチレンテトラゾール(PTZ)誘発試験において潜伏期間および発作スコアの両方に同等の作用を及ぼした(Saarら、2002;Ceideら、2004)。
【0073】
以下は、ガラニン受容体に対するNAX−5055(GAL−BBB2)の親和性を示す表である:
【0074】
【表2】

i.p.注入したとき、ガラニンは、マウスにおいてペンチレンテトラゾール誘発性発作についての重症度を低減し、潜伏期間を上昇させることが認められた。ガラニンの海馬内注入はまた、自立てんかん重積持続状態の期間を短縮することが明らかにされた。同様に、ガルミックは、i.h.またはi.p.注入したときてんかん重積持続状態をブロックした。それ故、これら2つのガラニンアゴニストは有用な抗痙攣薬であり、ガラニン受容体をてんかんのための治療標的として確認する。
【0075】
ガラニンは30アミノ酸の神経ペプチドであるが、SAR試験は、N末端部分が全長ペプチドと比較してまだ極めて強力なアゴニストであると同定した(LangelとBartfai、1998)。以下に示すように、Gly残基がN−メチル−Gly(サルコシン、SAR)によって置換されている、ガラニン(1−16)類似体は、本明細書で開示する方法と共に使用することができる:
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
Sar Trp Thr Leu Asn Ser Ala Gly Tyr Leu
11 12 13 14 15 16
Leu Gly Pro His Ala Val
GlyのN−メチル化は、ペプチドをN末端からの急速なタンパク質分解から保護したが、ガラニン受容体に対するその親和性を有意に変化させなかった(Rivera Baezaら、1994)。SAR試験は、以下の残基を生物活性のために重要であると同定した:Gly、Trp、Asn、TyrおよびGly12(Landら、1991)。同じ試験は、N末端伸長が生物活性の喪失を引き起こすことを同定した。他方で、ガラニン(1−16)のC末端部分は、より大きな構造に連結されているとき非常に堅固であると思われる(Poogaら、1998)。それ故、[Sar]ガラニン類似体の設計のための戦略は、アミノ酸置換に関してのみソマトスタチンで使用される戦略と同様であるが、N末端ではなくC末端に伸長を導入することにおいて異なる。
【0076】
ガラニン類似体、GAL−BBB2(配列番号3)は、i.p.投与したとき強力な抗痙攣活性(ED50 〜3mg/kg)を示した(実施例2)。最も強力で持続的な抗痙攣活性を有する最小ガラニン類似体は、GAL−BBB2から得ることができる。これらの配列の例は、配列番号4−29に見出すことができる(実施例2で詳細に述べる)。これらのペプチドは、例えばガラニンと比較したとき、高い安定性を有し得る。また、ガラニン類似体GAL−BBB3、GAL−BBB4、GAL−BBB5、GAL−BBB6、GAL−BBB7およびGAL−BBB8(配列番号49−54)も開示する。これらの各々も抗痙攣活性を有し得る。
【0077】
全身投与したとき抗痙攣活性を維持するGAL−BBB2類似体の最小フラグメントを同定するために限定構造−機能関係試験を実施する。C末端および中心トランケーションのいずれかを含むガラニン類似体を合成し、試験する。加えて、血液脳関門を通る類似体の透過性を最適化するためにC末端モチーフの限定構造−機能関係試験を実施する。図14は、構造−機能試験に関連してGAL−BBB2の構造を例示する。
【0078】
様々なガラニン類似体およびそれらの設計と合成のための方法を以下で論じる(実施例1および2参照)。
【0079】
c)ソマトスタチン
脳ソマトスタチンが発作およびてんかん原性の阻害剤として重要な役割を果たすことを示す多くの証拠がある(VezzaniとHoyer、1999)。ソマトスタチンは、海馬のGABA作動性介在ニューロンにおいて発現される主要神経ペプチドである。さらに、ラット海馬ニューロンからのソマトスタチン放出はグルタミン酸によって刺激された(Fontanaら、1996)。ソマトスタチンおよびその受容体の発現はてんかん発作後有意に変化し、この神経ペプチドはまた、てんかん誘発の間の神経興奮性を制御すると主張されてきた((Schwarzerら、1996)および(VezzaniとHoyer、1999)において総説されている)。受容体サブタイプノックアウトおよび薬理学的試験は、少なくとも4つのサブタイプのソマトスタチン受容体(sst1、sst2、sst3およびsst4)の、海馬におけるグルタミン酸媒介性神経伝達への関与を示唆した(Pikwoら、1996)。Csabaと共同研究者たちの最近の試験は(Csabaら、2004)、ソマトスタチンsst2A受容体がてんかん原性および抗痙攣活性において鍵となる役割を果たし得ることのさらなる証拠を提供した。
【0080】
ソマトスタチンの抗痙攣活性の最も直接的な証拠は、動物てんかんモデルにおいて発作およびてんかん原性へのその薬理的作用を検討することから生じる(Vezzaniら、1991;Perezら、1995;MazaratiとWasterlain、2002)(MazaratiとWasterlain、2002)。ソマトスタチンまたはそのサブタイプ選択的類似体の注入は、発作の回数の減少を生じさせ、カイニン酸またはキノロン酸によって誘発される発作までの潜伏期間を延長させた(Vezzaniら、1991)。同様に、ソマトスタチンsst2選択的アゴニストであるRC−160の注入は、ペンチレンテトラゾール誘発性強直−間代発作を有する動物の数を減少させた(Perezら、1995)。図4に例示するように、ソマトスタチンの海馬内注入(i.h.)は、自立てんかん重積持続状態のラットモデルにおいて発作の分布を劇的に低下させた(MazaratiとWasterlain、2002)。
【0081】
ソマトスタチンは、1973年に最初に発見された(Brazeauら、1973)、1個のジスルフィド架橋を有する14アミノ酸の視床下部ペプチドである。ソマトスタチンの配列を以下に示す:
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
Ala Gly Cys Lys Asn Phe Phe Trp Lys Thr
11 12 13 14
Phe Thr Ser Cys
広汎なSAR試験は、5個の鍵となる残基:Phe、Phe、Trp、LysおよびPhe11を同定したが、Gly、Lys、Asn、Thr10、Thr12またはSer13のアラニン置換は生物活性に有意の影響を及ぼさなかった(Valeら、1975)。加えて、D−Trp含有類似体は、タンパク質分解に対するより大きな抵抗性および/または活性立体配座のより良好な安定化の故に、より強力であることが示された。
【0082】
[D−Trp]または[L−Trp]ソマトスタチンは、代謝的に安定な類似体として本明細書で開示する方法と共に使用できる。塩基度を増大させるために、Thr、SerまたはAsn残基を、等電子配置的に類似するが、正に荷電したDAB(ジアミノ酪酸)またはDAP(ジアミノプロピオン酸)残基で体系的に置換することができる。親油性を上昇させるために、Lys−パルミトイル部分をLysまたはAsnの代わりに導入することができ、および/またはPhe残基をハロゲン化均等物、クロロ−Phe残基で置換することができる。表5に要約するように、9個の類似体を合成し、ソマトスタチン受容体へのそれらの親和性に関して検定する。高親和性結合に負の影響を及ぼさない修飾を組み合わせる。これらの第2世代類似体は2−4の組合せ修飾を含む。これらの配列は、配列番号31−36に示されている。
【0083】
次に、[D−Trp]または[L−Trp]ソマトスタチンにN末端伸長を導入する。これらの伸長(図8に示すような、BBB/PK調節剤)は、2つの目的に役立つ:(1)受動および能動機構の両方によって血液脳関門を通る透過性を改善すること、および(2)クリアランスを低減し、タンパク質分解に対する抵抗性を改善する、かさの高い部分を付加することによって神経ペプチド薬の薬物動態特性を改善すること。そのような「BBB/PK調節剤」は新しい概念であるので、伸長を構成する少数の構造モジュールのいくつかの組合せを使用する。表6は、提案されるモジュールの構造と機能についての情報を提供する。
【0084】
また、本明細書で開示する組成物および方法と共に使用するためのオクトレオチドを開示する。例えば配列番号40はオクトレオチド分子を開示する。図21は、オクトレオシドを工作するための化学構造と概要図を示す。オクトレオチドは、sst2サブタイプのソマトスタチン受容体に対してより選択的なソマトスタチン類似体である(5個の公知のサブタイプがある)。ソマトスタチンはてんかんおよびてんかん原性に関与することが示された。以下の参考文献は、オクトレオチド、ソマトスタチンおよびてんかんについての教示に関してその全体が参照により本明細書に組み込まれる:Vezzani AとHoyer D,Eur J Neurosci,1999,vol 11,pp3767−3776。同様に、侵害受容におけるソマトスタチンの役割は、ソマトスタチン、オクトレオチドおよび侵害受容についての教示に関してその全体が参照により本明細書に組み込まれる、Chapman VとDicjkenson AH,Neuropeptides 1992,vol 23,147−152において示された。アルツハイマー病の発症におけるソマトスタチンの役割が最近記述された(オクトレオチド、ソマトスタチンおよびアルツハイマー病についての教示に関してその全体が参照により本明細書に組み込まれる、Saito Tら、Nature Medicine,2005,vol 11,p.434−439)。ソマトスタチン類似体を設計し、合成するための方法を以下で論じる(実施例1参照)。
【0085】
d)デルタ睡眠誘発ペプチド
デルタ睡眠誘発ペプチド(DSIP)は抗痙攣性神経ペプチドである(Schoenenberger 1984;KovalzonとStrekalova 2006)。DSIPは、μオピオイドアゴニスト、デルモルフィンとある程度の構造類似性を共有する。DSIPは、メタフィット(metaphit)誘発性てんかんモデルにおいて発作を抑制する上で有効であった。さらに、DSIPは同じてんかんモデルでバルプロ酸塩の抗痙攣活性を増強することが示された(Hrncic,Stanojlovicら、2006)。加えて、このペプチドは、オピオイド受容体とエンケファリンの間の相互作用を調節し、DSIPの鎮痛作用を生じさせることが示された(Nakamura,Nakashimaら、1986)。DSIPの神経保護作用は毒性脳水腫のモデルにおいて示された。DSIPおよびいくつかの類似体は、BBBを透過することが報告された(Kastin,Nissenら、1981;Kastin,Banksら、1982)。
【0086】
2.血液脳関門の高い透過性を有する組成物
本明細書で開示する組成物は血液脳関門の高い透過性を示した。本明細書で述べるように、それぞれの受容体に高親和性で結合する能力を試験するために設計し、合成する神経ペプチド類似体のセットを開示する。このセットは、神経ペプチドごとに、約10個の類似体を含む。高親和性類似体は、血液脳関門を透過するそれらの能力に関してさらに試験する。第1世代類似体からの結果をうけて、第2世代、その後第3世代類似体の合成と評価を行う。最も有望な類似体を、機能アッセイにおいてそれらのアゴニスト活性を確認するために選択する(血液脳関門の高い透過性を有する高親和性リガンド)。これらの類似体のサブセット(血液脳関門の高い透過性を有する強力なアゴニスト)を、次に、インビボで薬理学的に試験する。
【0087】
薬剤となるためには、神経ペプチド類似体は、(1)高い効力と選択性、(2)代謝安定性、(3)比較的長い半減期と全身循環からの低いクリアランス、および(4)血液脳関門の高い透過性を含む、いくつかの重要な特徴を有するべきである。大部分の神経ペプチドは高い効力と選択性を示す。代謝安定性は、しばしば、ペプチド骨格の修飾および/またはタンパク質分解酵素によって認識されない残基による感受性残基の置換によって導入される。半減期の上昇と排泄速度の低下は、ポリマーベースの部分をペプチドに結合体化すること(例えばPEG化)によって効率的に達成され得る。血液脳関門のより大きな透過性は、親油性またはカチオン化の上昇によって、ならびにプロドラッグ、栄養素輸送体ミメティックまたはグリコシル化を付加することによって導入され得る。理想的な薬剤神経ペプチドの構造を図8に図式的に示す。
【0088】
図8に例示するように、神経ペプチド工作における新しい概念は「BBB/PK調節剤」である。BBB/PK調節剤は、親油性、カチオン性および輸送体ミメティックモジュールを備えたポリマーベースのかさの高い部分を含む;この調節剤は、血液脳関門の透過性の上昇および薬物動態特性の改善という2つの目的に役立つ。カチオン性および親油性モジュールは、それぞれ、負に荷電した膜表面との相互作用を促進し、膜を通しての拡散を改善する。能動輸送体ミメティック構造の機能は、脳内皮細胞の表面に位置する特異的栄養素輸送体との相互作用を増強することによって脳への神経ペプチド取込みの特異性を高めることである。これらのモジュール全てを含む構造フレームワークはまた、ペプチドの薬物動態特性を改善することができ、一般的に使用されるPEG部分の役割を模倣/置換する。これらのかさの高い部分をモデル神経ペプチドのNまたはC末端伸長として試験し、神経ペプチド構造内のより多用途の結合位置も本明細書で開示する。
【0089】
高い血液脳関門透過性を有する神経ペプチド類似体を設計するために以下の戦略を使用した:使用可能な場合は、代謝的に安定な類似体から出発する。側鎖置換に適する類似体内の付加的なアミノ酸位置を特定する。かさの高い部分の導入に適するNおよびC末端の位置を特定する。側鎖置換によって類似体の親油性と塩基度を増大させる。薬物動態特性を改善しつつ(BBB/PK調節剤)、その親油性と塩基度をさらに上昇させる伸長をペプチド類似体に導入する。血液脳関門透過の特異性を改善するために伸長部分に栄養素ミメティック構造を含める。側鎖修飾を有する類似体を伸長部分(BBB/PK調節剤)と組み合わせる。
【0090】
そのような類似体を成功裏に設計するための鍵は、上記修飾の正しい組合せである。この目標を達成するために、修飾の個々のセットとそれらの最適の組合せを設計し、評価する体系的なアプローチを取ることができる。一般的な戦略を図10に図式的に示す。本明細書で開示するアミノ酸の修飾は、自動ペプチドシンセサイザーを使用した固相ペプチド合成の間に導入できる。全ての非天然アミノ酸または複合構造は、市販のFmoc保護された誘導体である。
【0091】
変異体に言及するとき、変異体は、表わされる特定置換に依存して特定の性質を表わすが、特定して表わされる位置以外の位置での他の置換、欠失および/または挿入、例えば保存的置換、挿入および/または欠失も、その変異体が開示される活性を保持することを条件として、考慮されることが了解される。
【0092】
血液脳関門の高い透過性などの、望ましい性質を有するガラニンの類似体を開示する。また、血液脳関門の高い透過性を有するソマトスタチンの類似体を開示する。上記で定義されるように、「上昇させる」または「高い」とは、野生型、非変化形態または天然ペプチドと比較して、あるいは対照組成物と比較して、より高いパーセンテージの組成物が血液脳関門を通過できることを意味する。例えば上昇の割合は、対照、天然または野生型ペプチドまたは組成物と比較したとき、
【0093】
【数2】

パーセントであり得る。
【0094】
実施例において表の中で取り上げる各々個々の類似体はまた、開示される組成物の活性から測定できる塩基透過性を有することも了解される。高い活性のこれらのパーセンテージは、異なる指示がない限り、アッセイの分析範囲内のデータを提供するいずれかの時点で得られた野生型、天然または対照ペプチドの塩基透過性から算定できることが了解される。
【0095】
実施例1および2で開示するように、公知のまたは野生型のペプチドに対する置換、欠失、修飾、付加および伸長を開示する。例えば表7では、ソマトスタチンについてのN末端伸長を開示する。本明細書で開示する伸長は、天然、野生型または公知のペプチドに関して使用できるか、または公知のペプチドの類似体と組み合わせて使用できる。例えば公知のペプチドに側鎖修飾を実施し、その後本明細書で開示する伸長と組み合わせることができる。
【0096】
また、置換または付加が非天然に生じる物質である、アミノ酸置換および付加を開示する。例は、サルコシン、ジアミノ酪酸(DAB)、ジアミノプロピオン酸(DAP)、Lys−パルミトイル、クロロ−Phe、アミノヘキサン酸(AHX)、ペルフルオロヘキサン酸(PerFHX)、8−アミノ−3,6−ジオキサオクタン酸、およびオリゴ−Lys、tert−ロイシンを含むが、これらに限定されない。
【0097】
さらに、非ペプチドスペーサーなどの、「骨格プロテーゼ」によるアミノ酸残基の置換を開示する。例は、アミノ吉草酸またはアミノヘキサン酸を含むが、これらに限定されない。これは、鍵となる残基の間のスペーシングに有意の変化を及ぼさずに分子全体のサイズの最小化を生じさせることができる。スペーサーは、例えば
【0098】
【数3】

または50残基を置換し得る。
【0099】
また、立体配座が変化したアミノ酸の変異型を本明細書で開示する。例えばD−Lys、D−TrpおよびL−Trpを本明細書で開示する。
【0100】
親配列(ガラニンまたはソマトスタチンなど)に少なくとも40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%または95%の同一性(例えば)を有する、ガラニンおよびソマトスタチンなどの公知の化合物の類似体を開示し、前記類似体は、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5または少なくとも6の、本明細書で開示する置換、欠失、付加または伸長のいずれかを含む。
【0101】
3.配列類似性
本明細書で論じるように、相同性および同一性という用語の使用は類似性と同じものを意味することが了解される。それ故、例えば相同性という語の使用が2つの非天然配列の間で用いられる場合、これは必ずしもこれら2つの配列の間の進化的関係を指示するのではなく、むしろそれらの核酸配列の間の類似性または関連性を考察していることが了解される。2つの進化的に関連する分子の間の相同性を決定するための方法の多くは、それらが進化的に関連するかどうかに関わりなく、配列類似性を測定するために何らかの2以上の核酸またはタンパク質に常套的に適用される。
【0102】
一般に、本明細書で開示される遺伝子およびタンパク質の、何らかの公知の変異体および誘導体または生じ得る変異体および誘導体を定義するための1つの方法は、特定の公知配列に対する相同性の観点から変異体および誘導体を定義することを通して行われることが了解される。本明細書で開示する特定配列のこの同一性はまた、本文中の別の箇所でも論じられる。一般に、本明細書で開示する遺伝子およびタンパク質の変異体は、典型的には、提示される配列または天然配列に対して少なくとも約
【0103】
【数4】

または99パーセントの相同性を有する。当業者は、いかにして2つのタンパク質または遺伝子などの核酸の相同性を決定するかを容易に理解する。例えば、相同性は、2つの配列を相同性がその最高レベルであるように整列した後に算定できる。
【0104】
相同性を算定するもう1つの方法は、公開されているアルゴリズムによって実施できる。比較のための配列の最適アラインメントは、SmithとWaterman Adv.Appl.Math.2:482(1981)のローカルホモロジーアルゴリズムによって、NeedlemanとWunsch,J.MoL Biol.48:443(1970)のホモロジーアラインメントアルゴリズムによって、PearsonとLipman,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.85:2444(1988)の類似性検索法によって、これらのアルゴリズムのコンピュータによる実行(Wisconsin Genetics Software Package,Genetics Computer Group,575 Science Dr.,Madison,WIにおけるGAP、BESTFIT、FASTAおよびTFASTA)によって、または検査によって実施され得る。
【0105】
同じ種類の相同性を、例えば、少なくとも核酸アラインメントに関連する資料について参照により本明細書に組み込まれる、Zuker,M.Science 244:48−52,1989,Jaegerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:7706−7710,1989,Jaegerら、Methods Enzymol.183:281−306,1989に開示されているアルゴリズムによって、核酸に関して得ることができる。いずれの方法も典型的に使用でき、ある種の場合、これらの様々な方法の結果が異なり得ることは了解されるが、当業者は、これらの方法の少なくとも1つで同一性が認められれば、配列は提示された同一性を有すると称され、本明細書で開示されることを理解する。
【0106】
例えば、本明細書で使用するとき、もう1つの配列に特定パーセントの同一性を有すると記述される配列は、上述した算定方法の1以上によって算定したとき、記述される相同性を有する配列を指す。例えば、第一配列がZuker算定法を用いて第二配列に80%の相同性を有すると算定される場合、その他の算定法のいずれかによって算定したとき第一配列が第二配列に80%の相同性を有さない場合でも、第一配列は、本明細書で定義されるように、第二配列に80%の相同性を有する。もう1つの例として、第一配列がZuker算定法およびPearsonとLipmanの算定法の両方を用いて第二配列に80%の相同性を有すると算定される場合、SmithとWatermanの算定法、NeedlemanとWunschの測定法、Jaeger算定法、またはその他の算定法のいずれかによって算定したとき、第一配列が第二配列に80%の相同性を有さない場合でも、第一配列は、本明細書で定義されるように、第二配列に80%の相同性を有する。さらにもう1つの例として、第一配列が、算定法の各々を用いて第二配列に80%の相同性を有すると算定される場合(但し、実際には、異なる算定方法はしばしば異なる算定相同性パーセンテージを生じる)、第一配列は、本明細書で定義されるように、第二配列に80%の相同性を有する。
【0107】
4.核酸
様々なガラニンおよびソマトスタチン類似体などの、本明細書で開示する様々なペプチド分子が存在する。これらのペプチドベースの分子は、例えば配列番号1−55をコードする核酸を含む、多くの核酸によってコードされ得、例えばベクターが細胞において発現されるとき、発現されるmRNAは、典型的にはA、C、GおよびUで構成されることが了解される。
【0108】
a)配列
例えばwww.pubmed.gov.でアクセスできるGenbankデータベースにおいて見出される、例えばガラニンに関連する様々な配列が存在する。これらの配列および他の配列は、それらの全体ならびにその中に含まれる個々のサブ配列に関して、参照により本明細書に組み込まれる。
【0109】
配列番号3に示す1つの特定配列は、一例として、開示される組成物および方法を例示するために本明細書で使用される。この配列に関連する記述は、特に異なる指示がない限り、ガラニン類似体に関連するいかなる配列にも適用されることが了解される。当業者は、配列の不一致および相違をいかにして決定し、特定配列に関する組成物および方法を他の関連配列(すなわちガラニン類似体の配列)に合わせて調整するかを理解する。プライマーおよび/またはプローブは、任意のガラニン関連核酸配列のために、例えば本明細書で開示され、当技術分野で公知の情報を考慮して設計され得る。
【0110】
5.細胞への組成物の送達(ベクター)
インビトロまたはインビボで、核酸またはペプチドを細胞に送達するために使用できる多くの組成物および方法がある。本明細書で開示するベクターは多様な方法で使用できる。一例では、本明細書で開示するベクターは、本明細書で開示するペプチドをコードする核酸を細胞および対象に送達するために使用できる。ベクターはまた、上記で論じたように、血液脳関門の通過を促進するためにペプチドと共に使用することができる。
【0111】
ベクターに関する方法および組成物は、主として2つのクラス:ウイルスベースの送達システムと非ウイルスベースの送達システムに分類できる。例えば核酸およびペプチドは、電気穿孔、リポフェクション、リン酸カルシウム沈殿法、プラスミド、ウイルスベクター、ウイルス核酸、ファージ核酸、ファージ、コスミドなどの多くの直接送達システムを通して、あるいは細胞またはカチオンリポソームなどの担体中の遺伝物質の導入によって送達され得る。ウイルスベクター、化学的トランスフェクタント、または電気穿孔およびDNAの直接拡散などの物理的機械的方法を含む、トランスフェクションのための適切な手段は、例えばWolff,J.A.ら、Science,247,1465−1468(1990);およびWolff,J.A.Nature,352,815−818(1991)によって述べられている。そのような方法は当技術分野において周知であり、本明細書で述べる組成物および方法の使用のために容易に適合させ得る。特定の場合には、それらの方法は、大型DNA分子に関して特異的に機能するように修正される。さらに、これらの方法は、担体のターゲティング特性を使用することによって特定疾患および細胞集団を標的するために使用できる。血液脳関門を越えて組成物を送達することのさらなる改善のために、TATタンパク質形質導入ドメインが使用できる(Dietz GPとBahr M,Mol Cell Neurosci,2004,vol 27,p.85−131)。
【0112】
本明細書で使用するとき、プラスミドまたはウイルスベクターは、ガラニンおよびソマトスタチン類似体に関連するものなどの、開示される核酸またはペプチドを、分解することなく細胞に輸送する物質である。一部の実施形態では、送達システムはウイルスまたはレトロウイルスのいずれかに由来する。ウイルスベクターは、例えばアデノウイルス、アデノ関連ウイルス、ヘルペスウイルス、ワクシニアウイルス、ポリオウイルス、AIDSウイルス、神経向性ウイルス、シンドビスおよび他のRNAウイルスであり、HIV骨格を有するこれらのウイルスを包含する。また、これらのウイルスをベクターとしての使用に適したものにするこれらのウイルスの性質を共有するウイルスファミリーも好ましい。レトロウイルスは、マウスマロネイ白血病ウイルス、MMLV、およびベクターとしてのMMLVの望ましい性質を発現するレトロウイルスを含む。レトロウイルスベクターは、他のウイルスベクターよりも大きな遺伝的積載物、すなわちトランス遺伝子またはマーカー遺伝子を担持することができ、この理由から一般的に使用されるベクターである。しかし、それらは非増殖細胞においては有用でない。アデノウイルスベクターは比較的安定であり、取り扱いやすく、高い力価を有しており、エーロゾル製剤中で送達でき、非分裂細胞をトランスフェクトすることができる。ポックスウイルスベクターは大型で、遺伝子を挿入するためのいくつかの部位を有しており、熱安定であって、室温で保存することができる。好ましい実施形態は、ウイルス抗原によって惹起される宿主生物の免疫応答を抑制するように設計されたウイルスベクターである。このタイプの好ましいベクターは、インターロイキン8または10についてのコード領域を担持する。
【0113】
ウイルスベクターは、遺伝子を細胞に導入するための化学的または物理的方法よりも高い取扱い(transaction)能力を有し得る。典型的には、ウイルスベクターは、非構造初期遺伝子、構造後期遺伝子、RNAポリメラーゼIII転写産物、複製とキャプシド形成のために必要な逆方向末端反復配列、およびウイルスゲノムの転写と複製を制御するためのプロモーターを含む。ベクターとして工作されたとき、ウイルスは、典型的には初期遺伝子の1以上が除去され、除去されたウイルスDNAの代わりに遺伝子または遺伝子/プロモーターカセットが挿入される。このタイプの構築物は、約8kbまでの外来性遺伝物質を担持し得る。除去された初期遺伝子の必要な機能は、典型的には初期遺伝子の遺伝子産物をトランスで発現するように設計された細胞系によって供給される。
【0114】
(1)レトロウイルスベクター
レトロウイルスは、いかなる型、サブファミリー、属または親和性も含む、レトロウイルス科(Retroviridae)のウイルスファミリーに属する動物ウイルスである。レトロウイルスベクターは、一般に、参照により本明細書に組み込まれる、Verma,I.M.,Retroviral vectors for gene transfer.In Microbiology−1985,American Society
for Microbiology,pp.229−232,Washington(1985)によって記述されている。遺伝子治療のためにレトロウイルスベクターを使用するための方法の例は、その教示が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第4,868,116号および同第4,980,286号;国際公開公報第WO90/02806号および同第WO89/07136号;およびMulligan(Science 260:926−932(1993))に述べられている。
【0115】
レトロウイルスは基本的に、核酸という積荷をその中に詰め込んだパッケージである。核酸積荷は、複製された娘分子がパッケージ外被内に効率よくパッケージされることを確実にする、パッケージングシグナルを担持する。パッケージングシグナルに加えて、複製および複製されたウイルスのパッケージングのためにシスで必要とされる多くの分子がある。典型的には、ウイルスゲノムは、タンパク質外被の作製に関与するgag、polおよびenv遺伝子を含む。標的細胞に導入されるべきであるのは、外来性DNAによって典型的に置換されるgag、polおよびenv遺伝子である。レトロウイルスベクターは、典型的にはパッケージ外被への組込みのためのパッケージングシグナル、gag転写単位の開始点を伝達する配列、逆転写のtRNAプライマーに結合するプライマー結合部位を含む、逆転写のために必要なエレメント、DNA合成の間にRNA鎖のスイッチを誘導する末端反復配列、DNA合成の2番目の鎖の合成のためのプライミング部位として機能する、プリンリッチ配列5’−3’LTR、および宿主ゲノムに挿入するためにDNA状態のレトロウイルスの挿入を可能にするLTRの末端近くの特異的配列を含む。gag、polおよびenv遺伝子の除去は、約8kbの外来性配列がウイルスゲノムに挿入され、逆転写されて、複製後に新しいレトロウイルス粒子にパッケージングされることを可能にする。この核酸の量は、各々の転写産物の大きさに依存して1個から多くの遺伝子までの送達のために十分である。挿入物中に他の遺伝子と共に陽性または陰性選択マーカーを含むことが好ましい。
【0116】
大部分のレトロウイルスベクターでは複製機構およびパッケージングタンパク質が除去されているので(gag、polおよびenv)、ベクターは、典型的にはそれらをパッケージング細胞系に入れることによって作製される。パッケージング細胞系は、複製およびパッケージング機構を含むレトロウイルスでトランスフェクトまたは形質転換されているが、パッケージングシグナルを欠く細胞系である。選択DNAを担持するベクターをこれらの細胞系にトランスフェクトしたとき、ヘルパー細胞によってシスで提供される機構により、対象遺伝子を含むベクターは複製され、新しいレトロウイルス粒子にパッケージングされる。機構についてのゲノムは、必要なシグナルを持たないためパッケージングされない。
【0117】
(2)アデノウイルスベクター
複製欠損アデノウイルスの構築が記述されている(Berknerら、J.Virology 61:1213−1220(1987);Massieら、Mol.Cell.Biol.6:2872−2883(1986);Haj−Ahmadら、J.Virology 57:267−274(1986);Davidsonら、J.Virology 61:1226−1239(1987);Zhang”Generation and identification of recombinant adenovirus by liposome−mediated transfection and PCR analysis”BioTechniques 15:868−872(1993))。これらのウイルスをベクターとして使用することの利益は、それらが初期感染細胞内では複製できるが、新しい感染性ウイルス粒子を形成することができないので、他の細胞型に拡大し得る程度が限られていることである。組換えアデノウイルスは、気道上皮、肝細胞、血管内皮、CNS実質および多くの他の組織部位への直接インビボ送達後、高い効率で遺伝子導入を達成することが示された(Morsy,J.Clin.Invest.92:1580−1586(1993);Kirshenbaum,J.Clin.Invest.92:381−387(1993);Roessler,J.Clin.Invest.92:1085−1092(1993);Moullier,Nature Genetics 4:154−159(1993);La Salle,Science 259:988−990(1993);Gomez−Foix,J.Biol.Chem.267:25129−25134(1992);Rich,Human
Gene Therapy 4:461−476(1993);Zabner,Nature Genetics 6:75−83(1994);Guzman,Circulation Research 73:1201−1207(1993);Bout,Human Gene Therapy 5:3−10(1994);Zabner,Cell 75:207−216(1993);Caillaud,Eur.J.Neuroscience 5:1287−1291(1993);およびRagot,J.Gen.Virology 74:501−507(1993))。組換えアデノウイルスは、特定細胞表面受容体に結合することによって遺伝子導入を達成し、その後ウイルスは、野生型または複製欠損アデノウイルスと同じようにして、受容体媒介性エンドサイトーシスによってインターナリゼーションされる(ChardonnetとDales,Virology 40:462−477(1970);BrownとBurlingham,J.Virology 12:386−396(1973);SvenssonとPersson,J.Virology 55:442−449(1985);Sethら、J.Virol.51:650−655(1984);Sethら、Mol.Cell.Biol.4:1528−1533(1984);Vargaら、J.Virology 65:6061−6070(1991);Wickhamら、Cell 73:309−319(1993))。
【0118】
ウイルスベクターは、E1遺伝子が除去されたアデノウイルスに基づくものであり得、これらのバイロンは、ヒト293細胞系などの細胞系統において作製される。もう1つの好ましい実施形態では、E1およびE3遺伝子の両方がアデノウイルスゲノムから除去される。
【0119】
(3)アデノ関連ウイルスベクター
もう1つのタイプのウイルスベクターは、アデノ関連ウイルス(AAV)に基づく。この欠損パルボウイルスは、多くの細胞型に感染することができ、ヒトに対して非病原性であるため、好ましいベクターである。AAV型ベクターは約4−5kbを輸送することができ、野生型AAVは第19染色体に安定に挿入されることが公知である。この部位特異的組込み特性を含むベクターは好ましい。このタイプのベクターの特に好ましい実施形態は、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ遺伝子、HSV−tk、および/またはグリーン蛍光タンパク質、GFPなどのマーカー遺伝子を含むことができる、Avigen,San Francisco,CAによって生産されるP4.1Cベクターである。
【0120】
もう1つのタイプのAAVウイルスでは、AAVは、異種遺伝子に作動可能に連結された、細胞特異的発現を指令するプロモーターを含む少なくとも1つのカセットに隣接する一対の逆方向反復配列(ITR)を含む。これに関して異種とは、AAVまたはB19パルボウイルスにとって天然ではない任意のヌクレオチド配列または遺伝子を指す。
【0121】
典型的には、AAVおよびB19コード領域が欠失されて、安全な非細胞傷害性ベクターを生じる。AAV ITRまたはその修飾形態は感染性と部位特異的組込みを付与するが、細胞毒性を与えず、プロモーターは細胞特異的発現を指令する。米国特許第6,261,834号は、AAVベクターに関する資料について参照により本明細書に組み込まれる。
【0122】
本発明のベクターは、それ故、実質的な毒性を伴わずに哺乳動物染色体に組み込むことができるDNA分子を提供する。
【0123】
ウイルスおよびレトロウイルスにおける挿入遺伝子は通常、所望遺伝子産物の発現を制御するのを助けるプロモーターおよび/またはエンハンサーを含む。プロモーターは、一般に転写開始部位に対して比較的固定された位置にあるとき機能するDNAの配列である。プロモーターは、RNAポリメラーゼと転写因子の基本的相互作用のために必要なコアエレメントを含み、上流エレメントおよび応答エレメントを含み得る。
【0124】
(4)大型積載ウイルスベクター
大型ヒトヘルペスウイルスの分子遺伝学的実験は、大きな異種DNAフラグメントをクローニングし、増殖させて、ヘルペスウイルスによる感染を許容する細胞において樹立できる手段を提供した(Sunら、Nature genetics 8:33−41,1994;Cotter and Robertson,.Curr Opin Mol Ther 5:633−644,1999)。これらの大型DNAウイルス(単純ヘルペスウイルス(HSV)およびエプスタイン‐バーウイルス(EBV))は、>150kbのヒト異種DNAの断片を特定細胞に送達する潜在的可能性を有する。EBV組換え体は、DNAの大きな断片をエピソームDNAとして感染B細胞内に維持することができる。330kbまでのヒトゲノム挿入物を担持する個々のクローンは遺伝的に安定であると思われた。これらのエピソームの維持は、EBVによる感染の間構成的に発現される特異的EBV核タンパク質、EBNA1を必要とする。加えて、これらのベクターはトランスフェクションのために使用でき、大量のタンパク質をインビトロで一過性に作製することができる。ヘルペスウイルスアンプリコンシステムも、>220kbのDNA断片をパッケージングし、DNAをエピソームとして安定に維持できる細胞に感染させるために使用される。
【0125】
他の有用なシステムは、例えば複製型および宿主限定非複製型ワクシニアウイルスベクターを含む。
【0126】
b)非核酸ベースのシステム
ガラニン類似体をコードする核酸などの開示される組成物は、様々な方法で標的細胞に送達することができる。例えば組成物は、電気穿孔を通して、またはリポフェクションを通して、またはリン酸カルシウム沈殿法を通して送達され得る。選択される送達機構は、一部には、標的される細胞の型および送達が、例えばインビボまたはインビトロのいずれで起こるかに依存する。
【0127】
それ故、組成物は、例えば開示される変異体またはベクターに加えて、陽イオン性リポソーム(例えばDOTMA、DOPE、DC−コレステロール)または陰イオン性リポソームなどのリポソームのような脂質を含み得る。リポソームは、所望する場合、特定細胞を標的することを促進するためのタンパク質をさらに含み得る。化合物および陽イオン性リポソームを含む組成物の投与は、標的器官への求心性血液に投与され得るか、または気道の標的細胞に向けて気道内に吸入され得る。リポソームに関しては、例えばBrighamら、Am.J.Resp.Cell.Mol.Biol.1:95−100(1989);Felgnerら、Proc.Natl.Acad.Sci USA 84:7413−7417(1987);米国特許第4,897,355号参照。さらに、化合物は、マクロファージなどの特定細胞型に標的され得る、またはマイクロカプセルからの化合物の拡散または化合物の送達が特定速度または用量に合わせて設計される、マイクロカプセルの成分として投与され得る。
【0128】
対象の細胞への外因性DNAの投与および取込みを含む上述した方法(すなわち遺伝子導入またはトランスフェクション)では、細胞への組成物の送達は様々な機構によって為され得る。一例として、送達は、LIPOFECTIN、LIPOFECTAMINE(GIBCO−BRL,Inc.,Gaithersburg,MD)、SUPERFECT(Qiagen,Inc.Hilden,Germany)およびTRANSFECTAM(Promega Biotec,Inc.,Madison,WI)などの市販のリポソーム製剤、ならびに当技術分野における標準的手順に従って開発された他のリポソームを使用して、リポソームによって行われ得る。加えて、本発明の核酸またはベクターは、Genetronics,Inc.(San Diego, CA)から入手可能な技術である電気穿孔法によって、ならびにSONOPORATION機器(ImaRx Pharmaceutical Corp.,Tucson,AZ)によって、インビトロで送達され得る。
【0129】
物質は、溶液、懸濁液中であり得る(例えばミクロ粒子、リポソームまたは細胞に組み込まれて)。これらは、抗体、受容体または受容体リガンドによって特定細胞型に標的され得る。以下の参考文献は、特定タンパク質を腫瘍組織に標的するためのこの技術の使用の例である(Senterら、Bioconjugate Chem.,2:447−451,(1991);Bagshawe,K.D.,Br.J.Cancer,60:275‐281,(1989);Bagshaweら、Br.J.Cancer,58:700‐703,(1988);Senterら,Bioconjugate Chem.,4:3−9,(1993);Battelliら、Cancer Immunol. Immunother.,35:421−425(1992);PieterszとMcKenzie、Immunolog.Reviews,129:57−80(1992);およびRofflerら、Biochem.Pharmacol,42:2062−2065(1991))。これらの手法は様々な他の特定細胞型に関して使用できる。「ステルス」および他の抗体複合型リポソームなどのビヒクル(結腸癌への脂質媒介性薬剤ターゲティングを含む)、細胞特異的リガンドを通してのDNAの受容体媒介性ターゲティング、リンパ球指定腫瘍ターゲティング、およびインビボでのマウスグリオーマ細胞の高度特異的な治療的レトロウイルスターゲティング。以下の参考文献は、特定タンパク質を腫瘍組織に標的するためのこの技術の使用の例である(Hughesら、Cancer Research,49:6214−6220(1989);およびLitzingerとHuang、Biochimica et Biophysica Acta,1104:179−187(1992))。一般に、受容体は、構成的にまたはリガンド誘導的に、エンドサイトーシスの経路に関与する。これらの受容体はクラスリン被覆小孔に集積し、クラスリン被覆小胞によって細胞に入り、受容体が選別される酸性エンドソームを通過して、その後細胞表面へと再循環されるか、細胞内に貯蔵されるか、またはリソソームにおいて分解される。インターナリゼーション経路は、栄養素の取込み、活性化タンパク質の除去、巨大分子の清掃、ウイルスおよび毒素の日和見侵入、リガンドの解離と分解、および受容体レベルの調節などの様々な機能を果たす。多くの受容体は、細胞型、受容体濃度、リガンドのタイプ、リガンドの原子価およびリガンドの濃度に依存して、1以上の細胞内経路をたどる。受容体媒介性エンドサイトーシスの分子および細胞機構が総説されている(BrownとGreene,DNA and Cell Biology 10:6,399−409(1991))。
【0130】
宿主細胞ゲノムに組み込まれることになる細胞に送達される核酸は、典型的には組込み配列を含む。これらの配列は、特にウイルスベースのシステムを使用するとき、しばしばウイルス関連配列である。これらのウイルス組込みシステムはまた、送達システムに含まれる核酸が宿主ゲノムに組み込まれ得るように、リポソームなどの非核酸ベースの送達システムを使用して送達される核酸に組み込むこともできる。
【0131】
宿主ゲノムへの組込みのための他の一般的手法は、例えば宿主ゲノムとの相同的組換えを促進するように設計されたシステムを含む。これらのシステムは、典型的には、宿主細胞ゲノム内の標的配列と、ベクター核酸と標的核酸の間で組換えが起こるのに十分な相同性を有しており、送達された核酸の宿主ゲノム内への組込みを生じさせる、発現される核酸に隣接する配列に基づく。これらのシステムおよび相同的組換えを促進するために必要な方法は当業者に公知である。
【0132】
c)インビボ/エクスビボ
上述したように、組成物は医薬的に許容される担体中で投与され得、当技術分野で周知の様々な機構(例えば裸のDNAの取込み、リポソーム融合、遺伝子銃によるDNAの筋肉内注入、エンドサイトーシス等)によってインビボおよび/またはエクスビボで対象の細胞に送達され得る。
【0133】
エクスビボ法を用いる場合は、細胞または組織を取り出し、当技術分野で周知の標準プロトコルに従って体外で維持することができる。組成物は、例えばリン酸カルシウムを介した遺伝子送達、電気穿孔、微量注入またはプロテオリポソームなどの遺伝子導入機構によって細胞に導入され得る。導入された細胞は、その後、細胞または組織型について標準的な方法によって対象に持続注入され得るか(例えば医薬的に許容される担体中で)または同位置にもどし移植され得る。対象への様々な細胞の移植または持続注入のための標準的な方法は公知である。
【0134】
6.発現系
細胞に送達される核酸は、典型的には発現制御システムを含む。例えばウイルスおよびレトロウイルス内の挿入遺伝子は、所望遺伝子産物の発現を制御するのを助けるプロモーターおよび/またはエンハンサーを含む。プロモーターは、一般に転写開始部位に対して比較的固定された位置にあるとき機能するDNAの配列である。プロモーターは、RNAポリメラーゼと転写因子の基本的相互作用のために必要なコアエレメントを含み、上流エレメントおよび応答エレメントを含み得る。
【0135】
a)ウイルスプロモーターおよびエンハンサー
哺乳動物宿主細胞においてベクターからの転写を制御する好ましいプロモーターは、様々なソースから、例えばポリオーマ、シミアンウイルス40(SV40)、アデノウイルス、レトロウイルス、B型肝炎ウイルスおよび最も好ましくはサイトメガロウイルスなどのウイルスのゲノムから、または異種哺乳動物プロモーター、例えばβアクチンプロモーターから入手され得る。SV40ウイルスの初期および後期プロモーターは、SV40ウイルス複製起点を同時に含むSV40制限フラグメントとして好都合に得られる(Fiersら、Nature,273:113(1978))。ヒトサイトメガロウイルスの最初期プロモーターは、HindIII E制限フラグメントとして好都合に得られる(Greenway,P.J.ら、Gene 18:355−360(1982))。言うまでもなく、宿主細胞または関連種からのプロモーターも本明細書で有用である。
【0136】
エンハンサーは、一般に転写開始部位から固定されない距離で機能し、転写単位に対して5’側(Laimins,L.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.78:993(1981))または3’側(Lusky,M.L.ら、Mol.Cell Bio.3:1108(1983))であり得るDNAの配列を指す。さらに、エンハンサーは、イントロン内(Banerji,J.L.ら、Cell 33:729(1983))ならびにコード配列自体の中に存在し得る(Osborne,T.F.ら、Mol.Cell Bio.4:1293(1984))。それらは通常10−300bp長であり、シスで機能する。エンハンサーは、近接するプロモーターからの転写を上昇させるように機能する。エンハンサーはまた、転写の調節を媒介する応答エレメントをしばしば含む。プロモーターも、転写の調節を媒介する応答エレメントを含み得る。エンハンサーはしばしば遺伝子の発現の調節を決定する。多くのエンハンサー配列が哺乳動物遺伝子から現在公知であるが(グロビン、エラスターゼ、アルブミン、−フェトプロテインおよびインスリン)、典型的には、一般的発現のためには真核細胞ウイルスからのエンハンサーを使用する。好ましい例は、複製起点の後期側のSVエンハンサー(bp100−270)、サイトメガロウイルス初期プロモーターエンハンサー、複製起点の後期側のポリオーマエンハンサー、およびアデノウイルスエンハンサーである。
【0137】
プロモーターおよび/またはエンハンサーは、それらの機能を誘発する光または特定化学事象によって特異的に活性化され得る。システムは、テトラサイクリン及びデキサメタゾンなどの試薬によって調節され得る。また、γ線照射などの放射線への曝露、またはアルキル化化学療法剤によってウイルスベクター遺伝子の発現を増強する方法もある。
【0138】
ある実施形態では、プロモーターおよび/またはエンハンサー領域は、転写されるべき転写単位の領域の発現を最大化するための構成的プロモーターおよび/またはエンハンサーとして働き得る。ある構築物では、プロモーターおよび/またはエンハンサー領域は、それが特定時点で特定細胞型においてのみ発現される場合でも、全ての真核細胞型において活性であり得る。この種の好ましいプロモーターは、CMVプロモーター(650塩基)である。他の好ましいプロモーターは、SV40プロモーター、サイトメガロウイルス(完全長プロモーター)、およびレトロウイルスベクターLTFである。
【0139】
全ての特異的調節エレメントがクローニングでき、黒色腫細胞などの特定細胞型において選択的に発現される発現ベクターを構築するために使用できることが示された。グリア線維酸性タンパク質(GFAP)プロモーターが、グリア起源の細胞において遺伝子を選択的に発現するために使用された。
【0140】
真核宿主細胞(酵母、真菌、昆虫、植物、動物、ヒトまたは有核細胞)において使用される発現ベクターはまた、mRNA発現に影響を及ぼし得る転写の終結のために必要な配列を含み得る。これらの領域は、組織因子タンパク質をコードするmRNAの非翻訳部分内のポリアデニル化セグメントとして転写される。3’非翻訳領域はまた、転写終結部位を含む。転写単位はポリアデニル化領域を同時に含むことが好ましい。この領域の1つの利点は、転写された単位がmRNAのようにプロセシングされ、輸送される可能性を高めることである。発現構築物におけるポリアデニル化シグナルの同定と使用は広く確立されている。相同なポリアデニル化シグナルが導入遺伝子構築物において使用されることが好ましい。ある転写単位では、ポリアデニル化領域はSV40初期ポリアデニル化シグナルに由来し、約400塩基から成る。また、転写された単位は、他の標準配列を単独でまたは構築物からの発現または構築物の安定性を改善する上記配列と組み合わせて含むことが好ましい。
【0141】
b)マーカー
ウイルスベクターは、マーカー産物をコードする核酸配列を含み得る。このマーカー産物は、遺伝子が細胞に送達されたかどうか、およびひとたび送達されれば発現されているかどうかを判定するために使用される。好ましいマーカー遺伝子は、β−ガラクトシダーゼをコードする大腸菌lacZ遺伝子、およびグリーン蛍光タンパク質である。
【0142】
一部の実施形態では、マーカーは選択マーカーであり得る。哺乳動物細胞のための適切な選択マーカーの例は、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)、チミジンキナーゼ、ネオマイシン、ネオマイシン類似体G418、ハイドロマイシンおよびピューロマイシンである。そのような選択マーカーが哺乳動物宿主細胞に成功裏に導入されたとき、形質転換された哺乳動物宿主細胞は、選択圧下に置かれた場合生存することができる。2つの広く使用される異なるカテゴリーの選択レジメンがある。最初のカテゴリーは、細胞の代謝および補足培地と無関係に増殖する能力を欠く突然変異型細胞系の使用に基づく。2つの例は、CHO DHFR細胞とマウスLTK細胞である。これらの細胞は、チミジンまたはヒポキサンチンのような栄養素の添加なしでは増殖する能力を持たない。これらの細胞は完全なヌクレオチド合成経路のために必要な特定の遺伝子を欠くので、かけているヌクレオチドが補足培地中で提供されない限り生存することができない。培地を補足することの代替策は、無傷DHFRまたはTK遺伝子を、それぞれの遺伝子を欠く細胞に導入し、それによって増殖必要条件を変化させることである。DHFRまたはTK遺伝子で形質転換されなかった個々の細胞は、非補足培地では生存することができない。
【0143】
2番目のカテゴリーは、任意の細胞型で使用される選択スキームを指し、突然変異型細胞系の使用を必要としない優性選択である。これらのスキームは、典型的には宿主細胞の増殖を停止させる薬剤を使用する。新規遺伝子を有するそれらの細胞は、薬剤耐性を運搬するタンパク質を発現し、選択を生き延びる。そのような優性選択の例は、薬剤ネオマイシン(Southern P.とBerg,P.,J.Molec.Appl.Genet.1:327(1982))、ミコフェノール酸(Mulligan,R.C.とBerg,P.Science 209:1422(1980))またはハイグロマイシン(Sugden, B.ら、Mol.Cell.Biol.5:410−413(1985))を使用する。3つの例は、それぞれ適切な薬剤G418またはネオマイシン(ゲネチシン)、xgpt(ミコフェノール酸)またはハイグロマイシンに対する耐性を運搬するために真核生物制御下で細菌遺伝子を用いる。その他には、ネオマイシン類似体G418およびピューロマイシンを含む。
【0144】
7.ペプチド
a)タンパク質変異体
本明細書で論じるように、公知であり、本明細書で考慮されるペプチドの数多くの変異体が存在する。本明細書で開示される位置に関する開示機能性変異体および類似体に加えて、同じく所望されるように機能する、本明細書で開示するもの以外の位置の公知の天然に生じる機能性変異体がある。タンパク質変異体および誘導体は当業者に十分に理解されており、アミノ酸配列修飾または機能性フラグメントを含み得る。例えばアミノ酸配列修飾は、典型的には3つのクラス:置換変異体、挿入変異体または欠失変異体の1以上に属する。挿入は、アミノおよび/またはカルボキシル末端融合ならびに1個または複数のアミノ酸残基の配列内挿入を含む。挿入は通常、アミノまたはカルボキシル末端融合よりも小さな挿入であり、例えば約1−4残基である。実施例で述べるような免疫原性融合タンパク質誘導体は、インビトロでの架橋によってまたは融合物をコードするDNAで形質転換された組換え細胞培養によって、免疫原性を与えるのに十分な大きさのポリペプチドを標的配列に融合することによって作製される。欠失は、タンパク質配列からの1以上のアミノ酸残基の除去によって特徴づけられる。典型的には、約2−6残基以下がタンパク質分子内のいずれか1つの部位で欠失される。これらの変異体は通常、タンパク質をコードするDNA内のヌクレオチドの部位特異的突然変異誘発によって作製され、それにより変異体をコードするDNAを生産し、その後組換え細胞培養物において前記DNAを発現させる。公知の配列を有するDNA内のあらかじめ定められた部位で置換突然変異を生じさせるための手法は周知であり、例えばM13プライマー突然変異誘発およびPCR突然変異誘発がある。アミノ酸置換は、典型的には1個の残基であるが、多数の異なる位置で同時に起こり得る;挿入は通常約1−10アミノ酸残基である;および欠失は約1−30残基の範囲である。欠失または挿入は、好ましくは隣接対で行われ、すなわち2個の残基の欠失または2個の残基の挿入である。置換、欠失、挿入またはそれらの任意の組合せは、最終構築物に到達するように組み合わされ得る。突然変異は、配列を読み枠の外に置いてはならず、好ましくは二次mRNA構造を生じさせ得る相補的領域を創造しない。置換変異体は、少なくとも1個の残基が除去され、異なる残基がその位置に挿入されたものである。そのような置換は、一般に以下の表3および4に従って行われ、保存的置換と称される。
【0145】
【表3】

【0146】
【表4】

表3におけるものより保存的でない置換を選択すること、すなわち(a)置換の領域内のポリペプチド骨格の構造、例えばシートまたはらせん状コンホメーション、(b)標的部位における分子の電荷または疎水性、あるいは(c)側鎖のバルクを維持することへの作用においてより有意に異なる残基を選択することによって、機能または免疫学的同一性に実質的な変化を生じさせる。一般にタンパク質の性質に最も大きな変化を生じさせると予想される置換は、(a)親水性残基、例えばセリルまたはトレオニル残基を疎水性残基、例えばロイシル、イソロイシル、フェニルアラニル、バリルまたはアラニル残基に(または、によって)置換する;(b)システインまたはプロリンを任意の他の残基に(または、によって)置換する;(c)正電荷の側鎖を有する残基、例えばリシル、アルギニルまたはヒスチジル残基を、負電荷残基、例えばグルタミルまたはアスパルチル残基に(または、によって)置換する;または(d)かさの高い側鎖を有する残基、例えばフェニルアラニンを、側鎖を有さない残基、例えばこの場合はグリシンに(または、によって)置換する;(e)硫酸化および/またはグリコシル化のための部位の数を増やすことによる、置換である。
【0147】
例えば1個のアミノ酸残基の、生物学的および/または化学的に類似するもう1つ別の残基による置換は、保存的置換として当業者に公知である。例えば保存的置換は、1個の疎水性残基を別の疎水性残基に、または1個の極性残基を別の極性残基に置き換えることである。置換は、例えばGly、Ala;Val、Ile、Leu;Asp、Glu;Asn、Gln;Ser、Thr;Lys、Arg;およびPhe、Tyrなどの組合せを含む。各々明白に開示される配列のそのような保存的に置換された変異型は、本明細書で提供されるモザイクポリペプチドに包含される。
【0148】
置換または欠失突然変異誘発は、N−グリコシル化((Asn−X−Thr/Ser)またはO−グリコシル化(SerまたはThr)のための部位を挿入するまたは無効にするために用いることができる。システインまたはメチオニン(例えば好中球による酸化剤の生成に起因する「好中球抵抗性」タンパク質において)あるいは他の不安定残基の欠失または置換も望ましいと考えられる。潜在的タンパク質分解部位、例えばArgの欠失または置換は、例えば塩基性残基の1個を欠失させるあるいは1個をグルタミニルまたはヒスチジル残基で置換することによって達成され得る。
【0149】
ある種の翻訳後誘導体化は、発現されたポリペプチドに対する組換え宿主細胞の作用の結果である。グルタミニルおよびアスパラギニル残基は、頻繁に、対応するグルタミルおよびアスパリル残基へと翻訳後脱アミド化される。あるいは、これらの残基は弱酸性条件下で脱アミド化される。他の翻訳後修飾は、プロリンおよびリシンのヒドロキシル化、セリルまたはトレオニル残基のヒドロキシル基のリン酸化、リシン、アルギニンおよびヒスチジン側鎖のε−アミノ基におけるアミンのメチル化(T.E.Creighton,Proteins:Structure and Molecular Properties,W.H.Freeman & Co.,San Francisco pp79−86[1983])、N末端アミンのアセチル化、および一部の場合、C末端カルボキシルのアミド化を含む。
【0150】
ジスルフィド結合は、2個のシステイン分子のチオール基の間の共有結合相互作用である。酸化反応を通して、水素原子がチオール基から除去され、ジスルフィド架橋の形成を可能にする;生じた結合システインはシスチンと称される。ジスルフィド結合は、クラスIとクラスIIのカテゴリーに分類される。鎖内のシステインを連結することによってタンパク質の三次元構造を安定化する働きをするのは、クラスII結合である。クラスIジスルフィド結合は、これらの相互作用が別の鎖の間で起こるときに生じる。クラスIジスルフィド結合の形成は、受容体が適切な受容体−リガンド相互作用を提供するためにしばしば必要である重要な特徴、二量体タンパク質の形成を助けることができる。アミノ酸置換は、システイン残基が生じる部位で行われ得る;典型的には、保存的置換は、ジスルフィド結合に関与するシステイン残基を変化させない。そのような置換は、置換される残基がジスルフィド結合に関与する場合、タンパク質の折りたたみを変化させるまたは多量体相互作用を変化させる作用を及ぼし得る。いずれのシステインがジスルフィド結合に関与するかを決定することができる。
【0151】
保存的突然変異および相同性の説明は、変異体が保存的突然変異である特定配列に少なくとも70%の相同性を有する実施形態のような、いかなる組合せでも共に組み合わせ得ることが了解される。
【0152】
本明細書は様々なタンパク質およびタンパク質配列を論じるので、それらのタンパク質配列をコードすることができる核酸も同時に開示されることが了解される。これは、特定タンパク質配列に関連する全ての縮重配列、すなわちある特定タンパク質配列をコードする配列を有する全ての核酸、ならびに前記タンパク質配列の開示される変異体および誘導体をコードする、縮重核酸を含む全ての核酸を包含する。それ故、各々の特定核酸配列は本明細書で書き出されないことがあり得るが、ありとあらゆる配列が開示されるタンパク質配列を通して事実上本明細書で開示され、記述されることが了解される。また、アミノ酸配列はいずれの特定DNA配列が生物内でそのタンパク質をコードするかを指示しないが、開示されるタンパク質の特定変異体が本明細書で開示される場合、タンパク質が由来する特定生物においてそのタンパク質をコードする公知の核酸配列も公知であり、本明細書で開示され、記述されることが了解される。
【0153】
また、開示されるタンパク質および変異体のフラグメントも開示される。典型的には、これらのフラグメントは、血液脳関門の高い透過性などの、本明細書で述べる機能の少なくとも1つを保持する。しかし、例えばこの活性を保持しないフラグメントは、例えば抗体を作製するために、まだ使用することができる。また、例えばガラニンによって保持される様々な異なる機能的活性が存在することが了解される。これらの活性は関連し得るが、必ずしも必要ではない。当業者は、例えば特定機能に寄与する領域を変化させることにより、いかにして開示される類似体の機能的ドメインを操作するかを理解する。特定機能部位が除去されたまたは変化した類似体を実施例1および2に開示する。
【0154】
8.抗体
本明細書で開示される抗体は、所望機能を有する類似体を同定する上で有用であり得る。本明細書で使用するとき、「抗体」という用語は、任意のクラスの全長免疫グロブリン(すなわち無傷抗体)を含むが、これらに限定されない。天然抗体は通常、2本の同一の軽(L)鎖と2本の同一の重(H)鎖から成るヘテロ四量体糖タンパク質である。典型的には、各々の軽鎖は1つの共有ジスルフィド結合によって重鎖に連結され、ジスルフィド結合の数は種々の免疫グロブリンアイソタイプの重鎖の間で異なる。各々の重鎖と軽鎖はまた、規則正しい間隔の鎖間ジスルフィド架橋を有する。各々の重鎖は、一方の末端に可変ドメイン(V(H))を有し、多数の定常ドメインがそれに続く。各々の軽鎖は、一方の末端に可変ドメイン(V(L))を有し、他方の末端に定常ドメインを有する;軽鎖の定常ドメインは重鎖の第一定常ドメインと整列され、軽鎖可変ドメインは重鎖の可変ドメインと整列される。特定アミノ酸残基が軽鎖と重鎖の可変ドメインの間の界面を形成すると考えられる。任意の脊椎動物種からの抗体の軽鎖は、それらの定常ドメインのアミノ酸配列に基づき、κ(k)およびλ(l)と呼ばれる2つの明らかに異なるタイプの1つに割り当てられる。それらの重鎖の定常ドメインのアミノ酸配列に依存して、免疫グロブリンは種々のクラスに割り当てることができる。ヒト免疫グロブリンには5つの主要なクラス:IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgMがあり、これらのいくつかは、さらにサブクラス(アイソタイプ)、例えばIgG−1、IgG−2、IgG−3およびIgG−4;IgA−1およびIgA−2に分類され得る。当業者は、マウスについての匹敵するクラスを認識する。免疫グロブリンの異なるクラスに対応する重鎖定常ドメインは、それぞれα、δ、ε、γおよびμと呼ばれる。
【0155】
「可変」という用語は、本明細書では抗体間で配列が異なる可変ドメインの一定の部分を表わすために使用され、各々の特定抗体の、その特定抗原に対する結合および特異性に関して使用される。しかし、可変性は通常、抗体の可変ドメイン全体に均一に分布するわけではない。典型的には、軽鎖および重鎖可変ドメインの両方において相補性決定領域(CDR)または超可変領域と呼ばれる3つのセグメントに集中する。可変ドメインのより高度に保存された部分は、フレームワーク(FR)と呼ばれる。天然重鎖および軽鎖の可変ドメインは各々4つのFR領域を含み、それらは主としてβシート構造をとり、それはループ接続を形成し、一部の場合にはβシート構造の部分を構成するを形成する、3つのCDRによって結合される。各々の鎖内のCDRはFR領域によって極めて近接して保持され、他方の鎖からのCDRと共に、抗体の抗原結合部位の形成に寄与する(Kabat
E.A.ら、“Sequences of Proteins of Immunological Interest,”National Institutes of Health,Bethesda,Md.(1987)参照)。定常ドメインは、抗原への抗体の結合に直接関与しないが、抗体依存性細胞毒性への抗体の関与のような、様々なエフェクター機能を示す。
【0156】
本明細書で使用するとき、「抗体またはそのフラグメント」という用語は、二重または多重抗原またはエピトープ特異性を備える、キメラ抗体およびハイブリッド抗体、およびハイブリッドフラグメントを含む、F(ab’)2、Fab’、Fab等のようなフラグメントを包含する。それ故、それらの特異性抗原に結合する能力を保持する抗体のフラグメントが提供される。例えば高い透過性を維持する抗体のフラグメントは、「抗体またはそのフラグメント」という用語の意味に含まれる。そのような抗体およびフラグメントは、当技術分野で公知の手法によって作製でき、抗体を作製し、特異性および活性に関して抗体をスクリーニングするための一般的方法において示される方法に従って、特異性および活性に関してスクリーニングすることができる(HarlowとLane、Antibodies,A Laboratory Manual.Cold Spring Harbor Publications,New York(1988)参照)。
【0157】
また、例えば、その内容が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第4,704,692号に述べられている抗体フラグメントと抗原結合タンパク質(一本鎖抗体)の複合体も、「抗体またはそのフラグメント」の意味に含まれる。
【0158】
9.医薬担体/医薬品の送達
上述したように、ガラニン類似体などの組成物はまた、医薬的に許容される担体中でインビボ投与することができる。「医薬的に許容される」とは、生物学的にまたはそれ以外で有害ではない物質を意味し、すなわちその物質が、核酸またはベクターと共に、有害な生物学的作用を引き起こさずにまたはそれが含まれる医薬組成物のその他の成分のいずれかと有害な方法で相互作用せずに、対象に投与し得ることを意味する。当業者に周知のように、担体は、当然ながら、有効成分の分解を最小限に抑えるようにおよび対象における有害な副作用を最小限に抑えるように選択される。
【0159】
組成物は、経口的に、非経口的(例えば静脈内)に、筋肉内注射によって、腹腔内注射によって、経皮的に、体外的に、局所的に、等によって投与され得、局所鼻内投与または吸入剤による投与も使用できる。必要とされる組成物の正確な量は、対象の種、年齢、体重および一般的状態、使用される特定核酸またはベクター、その投与様式等に依存して、対象ごとに異なる。それ故、あらゆる組成物について正確な量を規定することは不可能である。しかし、適切な量は、本明細書での教示を考慮して常套的な実験だけを用いて当業者によって決定され得る。
【0160】
組成物の非経口投与は、使用する場合、一般に注射によって特徴づけられる。注射剤は、液体溶液または懸濁液として、注射の前に液体中に溶解または懸濁するのに適した固体形態、または乳剤として、従来の形態で製造され得る。非経口投与のための最近修正されたアプローチは、一定の用量が維持される徐放性または持続放出性システムの使用を含む。例えば、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第3,610,795号参照。
【0161】
物質は溶液中、懸濁液中(例えばミクロ粒子、リポソームまたは細胞に組み込まれて)であり得る。これらは、抗体、受容体または受容体リガンドによって特定細胞型に標的され得る。以下の参考文献は、特定タンパク質を腫瘍組織に標的するためのこの技術の使用の例である(Senterら、Bioconjugate Chem.,2:447−451(1991);Bagshawe,K.D.,Br.J.Cancer,60:275−281(1989);Bagshaweら、Br.J.Cancer,58:700−703(1988);Senterら、Bioconjugate Chem.,4:3−9(1993);Battelliら、Cancer Immunol.Immunother.,35:421−425(1992);PieterszとMcKenzie、Immunolog. Reviews,129:57−80(1992);およびRofflerら、Biochem.Pharmacol,42:2062−2065(1991))。「ステルス」および他の抗体複合型リポソームなどのビヒクル(結腸癌への脂質媒介性薬剤ターゲティングを含む)、細胞特異的リガンドを通してのDNAの受容体媒介性ターゲティング、リンパ球指定腫瘍ターゲティング、およびインビボでのマウスグリオーマ細胞の高度特異的な治療的レトロウイルスターゲティング。以下の参考文献は、特定タンパク質を腫瘍組織に標的するためのこの技術の使用の例である(Hughesら、Cancer Research,49:6214−6220(1989);およびLitzingerとHuang、Biochimica et Biophysica
Acta,1104:179−187(1992))。一般に、受容体は、構成的にまたはリガンド誘導的に、エンドサイトーシスの経路に関与する。これらの受容体はクラスリン被覆小孔に集積し、クラスリン被覆小胞によって細胞に入り、受容体が選別される酸性エンドソームを通過して、その後細胞表面へと再循環されるか、細胞内に貯蔵されるか、またはリソソームにおいて分解される。インターナリゼーション経路は、栄養素の取込み、活性化タンパク質の除去、巨大分子の清掃、ウイルスおよび毒素の日和見侵入、リガンドの解離と分解、および受容体レベルの調節などの様々な機能を果たす。多くの受容体は、細胞型、受容体濃度、リガンドのタイプ、リガンドの原子価およびリガンドの濃度に依存して、1以上の細胞内経路をたどる。受容体媒介性エンドサイトーシスの分子および細胞機構が総説されている(BrownとGreene,DNA and Cell Biology 10:6,399−409(1991))。
【0162】
a)医薬的に許容される担体
ガラニン類似体を含む組成物は、医薬的に許容される担体と組み合わせて治療的に使用することができる。
【0163】
医薬担体は当業者に公知である。これらは、最も典型的には、無菌水、食塩水および生理的pHの緩衝液などの溶液を含む、ヒトへの薬剤の投与のための標準担体である。組成物は筋肉内経路でまたは皮下的に投与され得る。他の化合物は、当業者によって使用される標準手順に従って投与される。
【0164】
医薬組成物は、選択分子に加えて、担体、増粘剤、希釈剤、緩衝剤、防腐剤、界面活性剤等を含み得る。医薬組成物はまた、抗菌薬、抗炎症薬、麻酔薬等のような1以上の有効成分を含み得る。
【0165】
医薬組成物は、局所的または全身的治療のいずれを所望するかおよび治療する面積に依存して、多くの方法で投与され得る。投与は、局所的(眼経路、膣経路、直腸経路、鼻内経路を含む)、経口的、吸入によって、または非経口的、例えば静脈内滴注、皮下、腹腔内または筋肉内注射によってであり得る。ガラニン類似体などの開示される組成物は、静脈内、腹腔内、筋肉内、皮下的、腔内または経皮的に投与され得る。
【0166】
非経口投与のための製剤は、滅菌水性または非水性溶液、懸濁液および乳剤を含む。非水性溶媒の例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブ油などの植物油、およびオレイン酸エチルなどの注射用有機エステルである。水性担体は、水、食塩水および緩衝媒質を含む、アルコール/水溶液、乳剤または懸濁液を含む。非経口ビヒクルは、塩化ナトリウム溶液、リンゲルデキストロース、デキストロースと塩化ナトリウム乳酸化リンゲル液または固定油を含む。静脈内ビヒクルは、液体及び栄養素補液、電解質補液(例えばリンゲルデキストロースをベースとするものなど)等を含む。防腐剤および他の添加物、例えば抗菌剤、抗酸化剤、キレート化剤および不活性ガス等も存在し得る。
【0167】
局所投与のための製剤は、軟膏、ローション、クリーム、ゲル、点滴剤、坐薬、スプレー、液体および粉末を含み得る。従来の医薬担体、水性、粉末または油性基剤、増粘剤等は、必要であるかまたは望ましいと考えられる。
【0168】
経口投与のための組成物は、粉末または顆粒、水または非水性媒質中の懸濁液または溶液、カプセル、サシェットまたは錠剤を含む。増粘剤、香味料、希釈剤、乳化剤、分散助剤または結合剤は望ましいと考えられる。
【0169】
組成物の一部は、塩酸、臭化水素酸、過塩素酸、硝酸、チオシアン酸、硫酸およびリン酸などの無機酸、およびギ酸、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、乳酸、ピルビン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸およびフマル酸などの有機酸との反応によって、あるいは水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カリウムなどの無機塩基、およびモノ−、ジ−、トリアルキルおよびアリールアミンおよび置換エタノールアミンなどの有機塩基との反応によって形成される、医薬的に許容される酸または塩基付加塩として潜在的に投与され得る。
【0170】
b)治療での使用
組成物の投与のための用量範囲は、障害の症状が影響を受ける所望作用を生じさせるのに十分な用量範囲である。用量は、望ましくない交差反応、アナフィラキシー反応等のような有害な副作用を引き起こすほど高い用量であってはならない。一般に、用量は患者の年齢、状態、性別および疾患の程度によって異なり、当業者によって決定され得る。用量は、何らかの禁忌の場合には個々の医師によって調節され得る。用量は、変更され得、1日または数日間、1日1回またはそれ以上の投与で与えられ得る。
【0171】
10.チップおよびマイクロアレイ
少なくとも1つのアドレスが、本明細書で開示される核酸配列のいずれかで示される配列または配列の部分であるチップを開示する。また、少なくとも1つのアドレスが、本明細書で開示されるペプチド配列のいずれかで示される配列または配列の部分であるチップを開示する。
【0172】
また、少なくとも1つのアドレスが、本明細書で開示される核酸配列のいずれかで示される配列または配列の部分の変異体であるチップを開示する。また、少なくとも1つのアドレスが、本明細書で開示されるペプチド配列のいずれかで示される配列または配列の部分の変異体であるチップを開示する。
【0173】
また、少なくとも1つのアドレスが、本明細書で開示される核酸配列のいずれかで示される配列または配列の部分であり、前記配列が、本明細書で開示される変異体配列の少なくとも1つを含む、チップを開示する。また、少なくとも1つのアドレスが、本明細書で開示されるペプチド配列のいずれかで示される配列または配列の部分であり、前記ペプチド配列が、本明細書で開示されるガラニン類似体の少なくとも1つを含む、チップを開示する。
【0174】
また、少なくとも1つのアドレスが、本明細書で開示される核酸配列のいずれかで示される配列または配列の部分であり、前記配列が、本明細書で定義される領域内の変異体配列の少なくとも1つを含む、チップを開示する。また、少なくとも1つのアドレスが、本明細書で開示されるペプチド配列のいずれかで示される配列または配列の部分であり、前記ペプチド配列が、本明細書で開示される置換、付加、突然変異または欠失の少なくとも1つを含む、チップを開示する。
【0175】
11.コンピュータ読取り可能媒体
開示される核酸およびタンパク質は、アミノ酸のヌクレオチドから成る配列として表示され得ることが了解される。これらの配列を示すための様々な方法があり、例えばヌクレオチドグアノシンはGまたはgによって表示され得る。同様にアミノ酸バリンはValまたはVによって表わされ得る。当業者は、その各々が本明細書で開示されるとみなされる、存在する様々な方法のいずれかで任意の核酸またはタンパク質配列をいかにして提示し、表現するかを理解する。特に本明細書で考慮されるのは、市販のフロッピー(登録商標)ディスク、テープ、チップ、ハードドライブ、コンパクトディスクおよびビデオディスク、または他のコンピュータ読取り可能媒体などの、コンピュータ読取り可能媒体上でのこれらの配列の表示である。また、開示される配列の2進コード表示も開示する。当業者は、コンピュータ読取り可能媒体がどのようなものであるかを理解する。それ故、核酸またはタンパク質配列が記録され、保存されるまたは残されるコンピュータ読取り可能媒体が開示される。
【0176】
配列および本明細書で示す配列に関する情報を含むコンピュータ読取り可能媒体を開示する。
【0177】
12.キット
本明細書で開示される方法を実施するときに使用できる試薬を集めたキットを開示する。キットは、本明細書で論じられるまたは開示される方法の実施において必要とされるまたは有益であると理解されるあらゆる試薬または試薬の組合せを含み得る。例えばキットは、本発明のある実施形態の中で述べた置換を実施するためのアミノ酸、ならびに使用説明書を含み得る。
【0178】
13.類似機能を有する組成物
本明細書で開示される組成物は、血液脳関門の高い透過性などの一定の機能を有することが了解される。開示される機能を実施するために一定の構造必要条件が本明細書で開示され、開示される構造に関連する同じ機能を実施できる様々な構造が存在すること、およびこれらの構造が最終的に同じ結果を達成することが了解される。
【0179】
E.組成物を作製する方法
本明細書で開示される組成物および開示される方法を実施するために必要な組成物は、特に異なる記載がない限り、その特定試薬または化合物に関する当業者に公知の任意の方法を使用して作製できる。Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2nd Edition(Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.,1989)に開示されているような一般的分子生物学手法が、特に異なる記載がない限り、開示される分子を作製し、開示される方法を実施するために使用可能であることが了解される。
【0180】
組成物が、変化していない形態のペプチドと比較したとき高い親油特性と高い塩基度を有するペプチドを含有する、血液脳関門の高い透過性を有する組成物を作製することを含む、血液脳関門の高い透過性を有する組成物を作製する方法を本明細書で開示する。一例では、親油特性は、ペプチドをポリ脂肪族鎖などの疎水性部分に結合体化することによって上昇させ得る。親油特性はまた、芳香族残基のハロゲン化を高めることによって上昇させ得る。塩基度は、リシン、アルギニン、ホモリシン、ホモアルギニン、LまたはD異性体立体配置のオルニチン;2,3−ジアミノプロピオン酸;2,4−ジアミノ酪酸を含むが、これらに限定されない、正に荷電したアミノ酸残基のホモおよびヘテロオリゴマーを導入することによって上昇させ得る。もう1つの例では、塩基度は、スペルミン、スペルミジン、ポリアミドアミンデンドリマーまたはポリアミン毒素およびそれらの誘導体などの、ポリアミンベースの部分への結合体化によって上昇させ得る。ペプチドは、変化していないペプチドと比較して1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%または100%より効率的に血液脳関門を通過することができる。ペプチドはまた、変化していない形態のペプチドと比較したとき高いグリコシル化を有し得る。ペプチドはスペーサーを含み得る。スペーサーは、Gly、Ahx、Gly−AhxまたはPEG−O2Ocから成る群より選択され得る。
【0181】
1.核酸合成
例えばプライマーとして使用されるオリゴヌクレオチドなどの核酸は、標準化学合成法を用いて作製できるか、あるいは酵素的方法または他の任意の公知の方法を用いて生産できる。そのような方法は、標準酵素消化とそれに続くヌクレオチドフラグメントの単離(例えばSambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2nd Edition(Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.,1989)Chapters 5,6参照)から、純粋に合成による方法、例えばMilligenまたはBeckman System 1Plus DNAシンセサイザー(例えばMilligen−Biosearch,Burlington,MAのModel 8700自動シンセサイザーまたはABI Model 380B)を使用するシアノエチルホスホロアミダイト法までおよぶことができる。オリゴヌクレオチドを作製するために有用な合成方法はまた、Ikutaら、Ann.Rev.Biochem.53:323−356(1984)(ホスホトリエステルおよびホスファイトトリエステル法)、およびNarangら、Methods Enzymol.,65:610−620(1980)(ホスホトリエステル法)によって述べられている。(ペプチド核酸分子)は、Nielsenら、Bioconjug.Chem.5:3−7(1994)によって述べられているような公知の方法を用いて作製できる。
【0182】
2.ペプチド合成
開示されるタンパク質を生産する1つの方法は、タンパク質化学手法によって2以上のペプチドまたはポリペプチドを連結することである。例えばペプチドまたはポリペプチドは、Fmoc(9−フルオレニルメチルオキシカルボニル)またはBoc(tert−ブチルオキシカルボニル)化学のいずれかを使用し、現在使用可能な実験装置を用いて化学合成することができる。(Biosystems,Inc.,Foster City,CAを適用)。当業者は、開示されるタンパク質に対応するペプチドまたはポリペプチドが、例えば標準化学反応によって合成できることを容易に認識する。例えばペプチドまたはポリペプチドを合成し、その合成樹脂から切断せず、一方ペプチドまたはタンパク質のその他のフラグメントは、合成してその後樹脂から切断することができ、それによってその他のフラグメント上の機能的にブロックされている末端基を露出させる。ペプチド縮合反応により、これら2つのフラグメントを、タンパク質またはそのフラグメントを形成するために、それぞれそれらのカルボキシルおよびアミノ末端でペプチド結合によって共有結合連結することができる(Grant GA(1992)Synthetic Peptides:A User Guide.W.H.Freeman and Co.,N.Y.(1992);Bodansky MとTrost B.,Ed.(1993)Principles of Peptide Synthesis.Springer−Verlag Inc.,NY)(少なくともペプチド合成に関する資料について、参照により本明細書に組み込まれる)。あるいは、ペプチドまたはポリペプチドは、本明細書で述べるようにインビボで独立して合成される。ひとたび単離されれば、これらの独立ペプチドまたはポリペプチドは、同様のペプチド縮合反応によってペプチドまたはそのフラグメントを形成するために連結され得る。
【0183】
例えばクローニングされたまたは合成ペプチドセグメントの酵素的連結は、比較的短いペプチドフラグメントを、より大きなペプチドフラグメント、ポリペプチドまたは全長タンパク質ドメインを作製するために結合することを可能にする(Abrahmsen Lら、Biochemistry,30:4151(1991))。あるいは、合成ペプチドの天然化学的連結が、短いペプチドフラグメントから大きなペプチドまたはポリペプチドを合成によって構築するために利用できる。この方法は2段階の化学反応から成る(Dawsonら、Synthesis of Proteins by Native Chemical Ligation.Science,266:776−779(1994))。最初の工程は、保護されていない合成ペプチド−チオエステルと、アミノ末端Cys残基を含むもう1つの保護されていないペプチドセグメントの化学選択的反応であり、初期共有結合生成物としてチオエステル結合中間体を生じる。反応条件を変えずに、この中間体は自発的で迅速な分子内反応を受けて、連結部位で天然ペプチド結合を形成する(Baggiolini Mら、(1992)FEBS Lett.307:97−101;Clark−Lewis Iら、J.Biol.Chem.,269:16075(1994);Clark−Lewis Iら、Biochemistry,30:3128(1991);Rajarathnam Kら、Biochemistry 33:6623−30(1994))。
【0184】
あるいは、化学的連結の結果としてペプチドセグメントの間で形成される結合が非天然(非ペプチド)結合である場合は、保護されていないペプチドセグメントを化学的に連結する(Schnolzer, Mら、Science,256:221(1992))。この手法は、タンパク質ドメインの類似体を合成するためならびに完全な生物活性を有する比較的純粋なタンパク質を大量に合成するために使用されてきた(deLisle Milton RCら、Techniques in Protein Chemistry IV.Academic Press,New York,pp.257−267(1992))。
【0185】
3.組成物を作製するための工程
組成物を作製する工程ならびに組成物を導く中間体を作製するための工程を開示する。例えば配列番号1−55のタンパク質を開示する。合成化学的方法および標準分子生物学的方法のような、これらの組成物を作製するために使用できる様々な方法がある。これらやその他の開示組成物を作製する方法は詳細に開示されることが了解される。
【0186】
配列番号3に示す配列および核酸の発現を制御する配列を含有し、ガラニン類似体をコードする核酸を作動的に連結することを含む工程によって生産されるタンパク質を開示する。
【0187】
また、配列番号3に示す配列に80%の同一性を有し、配列および核酸の発現を制御する配列を含有する、ガラニン類似体をコードする核酸分子を作動的に連結することを含む工程によって生産されるタンパク質を開示する。
【0188】
開示される核酸のいずれかで細胞を形質転換する工程によって生産される細胞を開示する。非天然に生じる開示核酸のいずれかで細胞を形質転換する工程によって生産される細胞を開示する。
【0189】
開示される核酸のいずれかを発現する工程によって生産される開示ペプチドのいずれかを開示する。開示される核酸のいずれかを発現する工程によって生産される、非天然に生じる開示ペプチドのいずれかを開示する。非天然の開示核酸のいずれかを発現する工程によって生産される開示ペプチドのいずれかを開示する。
【0190】
動物内の細胞を、本明細書で開示される核酸分子のいずれかでトランスフェクトする工程によって生産される動物を開示する。動物が哺乳動物である、動物内の細胞を、本明細書で開示される核酸分子のいずれかでトランスフェクトする工程によって生産される動物を開示する。また、哺乳動物がマウス、ラット、ウサギ、ウシ、ヒツジ、ブタまたは霊長動物である、動物内の細胞を、本明細書で開示される核酸分子のいずれかでトランスフェクトする工程によって生産される動物を開示する。
【0191】
また、本明細書で開示される細胞のいずれかを動物に付加する工程によって生産される動物を開示する。
【0192】
タンパク質を生産するもう1つの方法は、Bioprotein Technologiesによって生産されるタイプの系のような、ウサギ発現系を使用することであることが了解される。開示される分子は、これらのタイプのベクターおよび生産系を使用して生産され得る。例えばこれらのタイプの系は、欧州特許出願第92 401 635.5号、米国特許第5,965,788号および遺伝子インシュレーター(欧州特許出願第00
403 658.8号)に開示されており、情報は、www.bioprotein.comに見出される。
【0193】
本出願全体を通して、様々な公表文献が参照される。これらの公表文献の開示全体が、本発明が関係する最新技術をより詳細に説明するために参照により本出願に組み込まれる。開示される参考文献はまた、その参考文献を根拠とする文において論じられる、それらに含まれる資料に関して個別におよび明確に、参照により本明細書に組み込まれる。
【0194】
本発明の範囲または精神から逸脱することなく本発明において様々な修正および変更を行い得ることは当業者に明白である。本発明の他の実施形態は、本明細書で開示される本発明の詳細な説明および実施を考慮することにより当業者に明白である。説明および実施例は例示としてのみ考慮され、本発明の実際の範囲および精神は以下の特許請求の範囲によって指示されることが意図されている。
【実施例】
【0195】
F.実施例
以下の実施例は、本明細書で特許請求される化合物、組成物、製品、装置および/または方法をいかにして作製し、評価するかの完全な開示および説明を当業者に提供するために提示されるものであり、本発明の純粋な例示であることが意図され、発明人が自らの発明とみなすものの範囲を限定することは意図されていない。数(例えば量、温度等)に関しては正確さを保証するように努力を払ったが、ある程度の誤差および偏差が含まれるはずである。異なる指示がない限り、割合は重量比であり、温度は℃または環境温度であり、圧は大気圧またはほぼ大気圧である。
【0196】
実施例1
全身的に活性な抗痙攣性ガラニン類似体
血液脳関門の透過性を高めるための抗痙攣性神経ペプチドが工作できることの概念実証を得るため、2つのモデル神経ペプチド:ソマトスタチンとガラニンを選択した。先に述べたように、これらの神経ペプチドのいずれもが抗痙攣活性を有する。
【0197】
一般的な実験戦略を図7に示す。一セットの神経ペプチド類似体(第1世代)を、それぞれの受容体に高親和性で結合するそれらの能力を調べるために設計し、合成する。このセットは、神経ペプチドにつき約10個の類似体を含む。高親和性類似体を、血液脳関門を透過するそれらの能力に関してさらに試験する。第1世代類似体からの結果に続いて、第2世代、その後第3世代類似体の合成と評価を行う。機能アッセイにおいてアゴニスト活性を確認するため、最も有望な類似体を選択する(血液脳関門の高い透過性を有する高親和性リガンド)。これらの類似体のサブセット(血液脳関門の高い透過性を有する強力なアゴニスト)を、次に、インビボで薬理学的に試験する。
【0198】
薬剤になるためには、神経ペプチド類似体は、(1)高い効力と選択性、(2)代謝安定性、(3)比較的長い半減期と全身循環からの低いクリアランス、および(4)血液脳関門の高い透過性を含む、いくつかの重要な特徴を有するべきである。大部分の神経ペプチドは高い効力と選択性を示す。代謝安定性は、しばしば、ペプチド骨格の修飾および/またはタンパク質分解酵素によって認識されない残基による感受性残基の置換によって導入される。半減期の上昇と排泄速度の低下は、ポリマーベースの部分をペプチドに結合体化すること(例えばPEG化)によって効率的に達成され得る。血液脳関門のより大きな透過性は、親油性またはカチオン化の上昇によって、ならびにプロドラッグ、栄養素輸送体ミメティックまたはグリコシル化を付加することによって導入され得る。理想的な薬剤神経ペプチドの構造を図8に図式的に示す。
【0199】
図8に例示するように、神経ペプチド工作における新しい概念:「BBB/PK調節剤」が導入される。BBB/PK調節剤は、親油性、カチオン性および輸送体ミメティックモジュールを備えたポリマーベースのかさの高い部分を含む;この調節剤は、血液脳関門の透過性の上昇および薬物動態特性の改善という2つの目的に役立つ。カチオン性および親油性モジュールは、それぞれ、負に荷電した膜表面との相互作用を促進し、膜を通しての拡散を改善する。能動輸送体ミメティック構造の機能は、脳内皮細胞の表面に位置する特異的栄養素輸送体との相互作用を増強することによって脳への神経ペプチド取込みの特異性を高めることである。これらのモジュール全てを含む構造フレームワークはまた、ペプチドの薬物動態特性を改善することができ、一般的に使用されるPEG部分の役割を模倣/置換する。これらのかさの高い部分をモデル神経ペプチドのNまたはC末端伸長として試験し、神経ペプチド構造内のより多用途の結合位置も本明細書で開示する。
【0200】
高い血液脳関門透過性を有する神経ペプチド類似体を設計するために以下の戦略を使用した:使用可能な場合は、代謝的に安定な類似体から出発する。側鎖置換に適する類似体内の付加的なアミノ酸位置を特定する。かさの高い部分の導入に適するNおよびC末端の位置を特定する。側鎖置換によって類似体の親油性と塩基度を増大させる。薬物動態特性を改善しつつ(BBB/PK調節剤)、その親油性と塩基度をさらに上昇させる伸長をペプチド類似体に導入する。血液脳関門透過の特異性を改善するために伸長部分に栄養素ミメティック構造を含める。側鎖修飾を有する類似体を伸長部分(BBB/PK調節剤)と組み合わせる。
【0201】
そのような類似体を成功裏に設計するための鍵は、上記修飾の正しい組合せである。この目標を達成するために、修飾の個々のセットとそれらの最適の組合せを設計し、評価する体系的なアプローチを取ることができる。一般的な戦略を図10に図式的に示す。本明細書で開示するアミノ酸の修飾は、自動ペプチドシンセサイザーを使用した固相ペプチド合成の間に導入できる。全ての非天然アミノ酸または複合構造は、市販のFmoc保護された誘導体である。
【0202】
ソマトスタチンは、1973年に最初に発見された(Brazeauら、1973)、1個のジスルフィド架橋を有する14アミノ酸の視床下部ペプチドである。ソマトスタチンの配列を以下に示す:
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
Ala Gly Cys Lys Asn Phe Phe Trp Lys Thr
11 12 13 14
Phe Thr Ser Cys
広汎なSAR試験は、5個の鍵となる残基:Phe、Phe、Trp、LysおよびPhe11を同定したが、Gly、Lys、Asn、Thr10、Thr12またはSer13のアラニン置換は生物活性に有意の影響を及ぼさなかった(Valeら、1975)。加えて、D−Trp含有類似体は、タンパク質分解に対するより大きな抵抗性および/または活性立体配座のより良好な安定化の故に、より強力であることが示された。
【0203】
[D−Trp]ソマトスタチンは、代謝的に安定な類似体として本明細書で開示する方法と共に使用できる。塩基度を増大させるために、Thr、SerまたはAsn残基を、等電子配置的に類似するが、正に荷電したDAB(ジアミノ酪酸)またはDAP(ジアミノプロピオン酸)残基で体系的に置換することができる。親油性を上昇させるために、Lys−パルミトイル部分をLysまたはAsnの代わりに導入することができ、および/またはPhe残基をハロゲン化均等物、クロロ−Phe残基で置換することができる。表5に要約するように、9個の類似体を合成し、ソマトスタチン受容体へのそれらの親和性に関して検定する。高親和性結合に負の影響を及ぼさない修飾を組み合わせる。これらの第2世代類似体は2−4の組合せ修飾を含む。
【0204】
次に、[D−Trp]ソマトスタチンにN末端伸長を導入する。これらの伸長(図8に示すような、BBB/PK調節剤)は、2つの目的に役立つ:(1)受動および能動機構の両方によって血液脳関門を通る透過性を改善すること、および(2)クリアランスを低減し、タンパク質分解に対する抵抗性を改善する、かさの高い部分を付加することによって神経ペプチド薬の薬物動態特性を改善すること。そのような「BBB/PK調節剤」は新しい概念であるので、伸長を構成する少数の構造モジュールのいくつかの組合せを使用する。表6は、提案されるモジュールの構造と機能についての情報を提供する。
【0205】
【表5】

DAB、ジアミノ酪酸;DAP、ジアミノプロピオン酸;Lys−palm、Lys−パルミトイル;Cl−Phe、クロロ−Phe。
【0206】
【表6】

モジュールは、[D−Trp]ソマトスタチンのAla残基への伸長として固相合成の間に導入することができる。表7および図11は伸長を要約する。
【0207】
【表7】

最初に、10個の類似体を合成し、ソマトスタチン受容体へのそれらの結合特性に関して評価する。高親和性類似体を、モデル血液脳関門透過性アッセイを通してそれらの透過特性に関してさらに評価する。
【0208】
ひとたび最適伸長が選択されれば、それらを、最適化された側鎖置換を既に含むソマトスタチン類似体に結合することができる(表5参照)。「側鎖置換類似体」と「伸長類似体」の最良の組合せを予測することは困難であるので、各々の選択された類似体を各々の選択された伸長と共に合成する、マトリックスアプローチを利用する。9−12個の類似体がこの手順で達成され得る。そのような第3世代類似体を3つのインビトロアッセイ全てにおいて試験することができる:(1)ソマトスタチン受容体への結合、(2)アゴニスト活性、および(3)モデル血液脳関門の透過性。限られた数の最も有望な類似体を、インビボでのマウスてんかんモデルにおける薬理学的試験のために選択できる。
【0209】
【表8】

表8。N末端BBB/PK調節剤が連結されたソマトスタチン類似体を設計するときのマトリックスアプローチ。本明細書では、3つの選択された伸長構造を3つの選択された「側鎖置換」類似体と組み合わせる。
【0210】
ソマトスタチンについて上述したのと同様のアプローチがガラニンおよびその類似体に関して実施できる。ガラニンは30アミノ酸の神経ペプチドであるが、SAR試験は、N末端部分が全長ペプチドと比較してまだ極めて強力なアゴニストであると同定した(LangelとBartfai、1998)。以下に示すように、Gly残基がN−メチル−Gly(サルコシン、SAR)によって置換されている、ガラニン(1−16)類似体は、本明細書で開示する方法と共に使用することができる:
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
Sar Trp Thr Leu Asn Ser Ala Gly Tyr Leu
11 12 13 14 15 16
Leu Gly Pro His Ala Val
GlyのN−メチル化は、ペプチドをN末端からの急速なタンパク質分解から保護したが、ガラニン受容体に対するその親和性を有意に変化させなかった(Rivera Baezaら、1994)。SAR試験は、以下の残基を生物活性のために決定的に重要であると同定した:Gly、Trp、Asn、TyrおよびGly12(Landら、1991)。同じ試験は、N末端伸長が生物活性の喪失を引き起こすことを同定した。他方で、ガラニン(1−16)のC末端部分は、より大きな構造に連結されているとき非常に堅固であると思われる(Poogaら、1998)。それ故、[Sar]ガラニン類似体の設計のための戦略は、アミノ酸置換に関してのみソマトスタチンで使用される戦略と同様であるが、N末端ではなくC末端に伸長を導入することにおいて異なる。表9は、アミノ酸置換を有するガラニン類似体を要約する。
【0211】
表9。[Sar]ガラニン(1−16)における個々の残基の置換。
【0212】
アミノ酸の符号化については、表5参照。
【0213】
【表9】

C末端伸長は、表7に示すものと同じであり得るが、His14位置に導入され得る。次に、Lys14(Mmt)残基(4−メトキシトリチル基で保護された側鎖)を有する(Sar)ガラニンを合成する。サルコシンをカップリングした後、ペプチド樹脂をジクロロメタン中の1%TFAで30分間処理し得る。Lys14残基の側鎖アミノ基を脱保護し、次いで伸長モジュールをカップリングし得る。側鎖置換とC末端伸長の組合せを有する第3世代類似体の設計は、ソマトスタチン類似体について述べたのと同じである。
【0214】
神経ペプチドの化学合成。Fmocベースの固相ペプチド合成プロトコルおよび自動ペプチドシンセサイザーを使用してペプチドを合成する。カップリング方法および固体支持体からのペプチドの除去は、ChanとWhite(ChanとWhite、2000)によって述べられているように実施される。ペプチドは、試薬Kでの処理によって固体支持体から除去できる。洗浄と沈殿後、分取逆相HPLC分離を用いて類似体を精製する。ソマトスタチン類似体におけるジスルフィド架橋は、記述されているように(Chenら、2000)、精製ペプチドを水中2%DMSO、30%酢酸、pH7.0と共にインキュベートすることによって形成され得る。各々のペプチド類似体の少なくとも数ミリグラムがこの方法によって生産できる。
【0215】
血液脳関門を通る神経ペプチド類似体の透過性を評価するために、pION社のPAMPA法が使用できる。この方法では、固定化人工膜を備えたフィルターを2つの区画:供与体と受容体の間に置く。類似体は供与体区画に置くことができる。適切な時間間隔後、供与体と受容体区画を、紫外分光法を用いて定量する。
【0216】
ソマトスタチンおよびガラニン結合アッセイ(非選択的)は、Novascreen Biosciences Corporationによって実施される。ラット前脳膜および放射性標識親神経ペプチドをこれらのアッセイにおいて使用する。高親和性と低親和性の類似体を区別するために類似体を単一(1μM)濃度で試験する。選択されたソマトスタチンおよびガラニン類似体のアゴニスト活性を、MDS−Pharma Servicesによって提供される機能アッセイを使用してさらに試験することができる。類似体は単一濃度(1μM)で試験できる。
【0217】
抗痙攣性試験。抗痙攣活性は、反射性てんかんのFrings AGS感受性マウスモデルにおいて確立され得る。AGS感受性マウスは、非区別的であり、多種多様なCNS活性化合物を有効に検出するので、初期概念実証のための理想的な急性発作モデルである(Whiteら、1992)。Fringsマウスにおいて活性であると認められたペプチドは、最大電気ショック(MES)および皮下(s.c.)投与したペンチレンテトラゾール(PTZ)によって誘発される発作をブロックするそれらの能力に関して評価することができる。これら2つのセットは、それぞれ、発作の拡大を防ぎ、発作閾値を引き上げる、試験下の抗てんかん化合物の能力を測定する(Whiteら、2002)。ひとたび修飾ペプチドがこれら3つの発作試験の1以上において活性であることが明らかにされれば、あらかじめ決定されたi.v.投与後のピーク効果時に完全な用量反応試験を実施する。これらの概念実証試験からの結果を、次に、脳室内(i.c.v.)投与後に実施した効果試験と比較する。血液脳関門のより大きな透過が達成されるときには、i.p.用量反応曲線の左側へのシフトが認められる。集合的に、これら3つの発作試験から得られる結果は、全身投与後に低分子ペプチドを脳に対してよりアクセス可能にするためのアプローチを支持する実質的なデータを提供する。各々個々の発作試験の詳細を以下に概説する。
【0218】
神経ペプチド類似体の投与。修飾神経活性ペプチドの各々を、10μlハミルトン注射器により人工脳脊髄液5μl中で脳室内(i.c.v.)に、または0.01ml/g体重の容量にて0.5%メチルセルロース中で静脈内(i.v.)に投与する。
【0219】
聴原性発作。個々の修飾ペプチドが、AGS感受性Fringsマウスモデルにおいて音によって誘発される発作を予防する能力をピーク効果時に評価することができる(Whiteら、1992)。この試験のために、個々のマウスを、オーディオ変換器(Model AS−ZC;FET Research and Development,Salt Lake City,UT)を取り付けたプレキシガラスシリンダー(直径15cm、高さ18cm)に入れ、20秒間送達される110デシベル(11KHz)の音刺激に曝露する。音誘発発作は、ワイルドランニングとそれに続く前肢および後肢の強直性伸展を伴う立直り反射の喪失によって特徴づけられる。後肢の強直性伸展を示さないマウスを保護されたとみなす。
【0220】
MES試験。MES試験のために、角膜電極を設置する前に麻酔薬/電解質溶液(0.9%食塩水中の0.5%塩酸テトラカイン)1滴を各動物の眼に適用することができる。マウスMES試験における電気刺激は、WoodburyとDavenport(WoodburyとDavenport、1952)によって最初に記述されたのと同様の装置によって0.2秒間送達される50mAである。発作の後肢強直性伸展けいれん成分の排除をエンドポイントとして使用する。
【0221】
最小毒性試験。最小毒性は、回転棒法(rotarod procedure)(DunhamとMiya、1957)によりマウスにおいて同定し得る。マウスを、6r.p.m.の速度で回転する1インチの刻みのついた棒上に置いたとき、動物は長期間その平衡を維持することができる。動物が1分間に3回この回転棒から落下した場合、毒性であるとみなし得る。
【0222】
中央有効用量(ED50)または毒性用量(TD50)の決定。全ての定量的インビボ抗痙攣/毒性試験は、あらかじめ定められたTPEで実施する。少なくとも8匹のマウスの群を、100%保護または最小毒性と0%保護または最小毒性の限界の間で少なくとも2つの点が確立されるまで、様々なペプチドの用量で試験する。次に、各々の試験で動物の50%において所望エンドポイントを生じるために必要な薬剤の用量(ED50またはTD50)、95%信頼区間、回帰直線の勾配、および勾配のS.E.M.を、Finney(Finney,1971)によって述べられた方法に基づくコンピュータプログラムによって算定する。
【0223】
ソマトスタチンの類似体が表10に示されている(全ての類似体が2個のシステイン残基の間で形成されるジスルフィド架橋を有する):
【0224】
【表10】

上記表において、(AHX)はアミノヘキサン酸であり、(Dab)はジアミノ酪酸であり、(Dap)はジアミノプロピオン酸であり、(Tle)はtert−ロイシンであり、(Cl−Phe)は4−クロロフェニルアラニンであり、(NN3APG)はN,N−ビス(3−アミノプロピル)グリシンであり、(AHX)はアミノヘキサン酸であり、(Lys−P)はLys−パルミトイルであり、Thr(ol)はトレオニノールであり、K、F、WはD−異性体を表わし、PFHAは2H,2H,3H,3H−ペルフルオロへプタン酸であり、ACPAは8−アミノカプリル酸である。
【0225】
また、ガラニンおよびソマトスタチン以外に使用できる類似体の他の例が存在する。例えばデルタ睡眠誘発ペプチド(DSIP)の類似体は以下の通りである:
DSIP−BBB8:(AHX)GGWAGGDASGE(配列番号55)。さらなるDSIPペプチドは表31に示されている。
【0226】
実施例2
抗痙攣性ガラニン類似体
ガラニンは、N末端部分が全長ペプチドと比較して極めて強力なアゴニストである、30アミノ酸の神経ペプチドである(LangelとBartfai、1998)。血液脳関門の透過性を高める修飾を導入するためにトランケート型ガラニン(1−16)類似体(下記)を使用した。
【0227】
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
Gly Trp Thr Leu Asn Ser Ala Gly Tyr Leu
11 12 13 14 15 16
Leu Gly Pro His Ala Val
生物活性のために決定的に重要な以下の残基が同定された:Gly、Trp、Asn、TyrおよびGly12(Landら、1991)。N末端伸長または切断は生物活性の喪失を引き起こした。他方で、ガラニン(1−16)のC末端部分は、切断されたときまたはより大きな構造に連結されているとき非常に堅固である(Poogaら、1998)。
【0228】
使用可能な構造−活性関係データに基づき、2個のペプチドベースのガラニン類似体を設計し、化学合成して、試験した。両方の類似体(GAL−BBB1およびGAL−BBB2)の構造を以下に示す:
GAL−BBB1:Sar−Trp−Thr−Leu−Asn−Ser−Ala−Gly−Tyr−Leu−Leu−Gly−Pro−His−(Lys−palm)−Tle−NH
GAL−BBB2:Sar−Trp−Thr−Leu−Asn−Ser−Ala−Gly−Tyr−Leu−Leu−Gly−Pro−Lys−Lys−(Lys−palm)−Lys−NH
式中、Sarはサルコシンであり、Tleはtert−ロイシンであり、Lys−palmは、εアミノ基によってパルミトイル部分と共役したリシン残基であり、および−NHはC末端のアミド化を表わす。ペプチドは、標準Fmoc化学を使用して固体支持体上で合成し、HPLCによって精製した。精製した類似体を、次に、てんかんのFrings聴原性発作感受性マウスモデルにおいて試験した。この試験からの結果を天然ガラニンペプチドフラグメント(1−16)と比較した。
【0229】
他の類似体は以下を含む:
【0230】
【化1】

式中、Sarはサルコシンであり、およびXはLys−パルミトイル残基である。
【0231】
2個の修飾ガラニン類似体(GAL−BBB1およびGAL−BBB2)を、4mg/kgの用量でFrings聴原性発作感受性マウスの群にi.p.投与した。投与後様々な時点で(すなわち15、30、60、120および240分目)、各々のマウスを、オーディオ変換器を取り付けた円筒状試験チェンバーに入れ、強力な音刺激(110dB、11KHz、20秒間)で攻撃誘発した。強直性後肢伸展を示さない動物を保護されたとみなした。図12に要約するように、この試験から得られた結果は、GAL−BBB2が、開始が迅速で(30分以内)、期間は中等度(2−4時間の間)の時間依存的抗痙攣作用を示すことを明らかにした。これに対し、他方の修飾ガラニン類似体GAL−BBB1は、12mg/kgのより高い用量でも、試験したいかなる時点でも活性ではなかった。その後の試験では、用量反応試験においてピーク効果時(すなわち1時間目)に抗痙攣効果を定量した。この試験の結果は、GAL−BBB2が音誘発性発作に対して用量依存的作用を示すことを明らかにした。用量反応データのProbit分析から得た算定中央有効用量(すなわちED50)および95%信頼区間は、3.2(2.3−6.1)mg/kgであった。天然ペプチドフラグメントGAL(1−16)は、20mg/kg、i.p.(GAL−BBB2についてのED50の6倍)の用量で不活性であった(図20)。
【0232】
ガラニン類似体GAL−BBB2は、i.p.投与したとき強力な抗痙攣活性(ED50〜3mg/kg)を示した。この概念実証類似体は、より「薬剤様」の類似体を設計する原型である。それ故、最も強力で持続的な抗痙攣活性を有する最小ガラニン類似体を得ることができる。これは2段階のアプローチを必要とする:(1)抗痙攣活性を維持するGAL−BBB2類似体の最小フラグメントを定義する:これは末端および中心トランケーションを含む、(2)類似体のBBB透過性をさらに改善するC末端構造モチーフを最適化する。合成した類似体を、最初にガラニン競合結合アッセイにおいてスクリーニングする。1μMまたはそれ以下の濃度でガラニンに置き換わる類似体を、てんかんの聴原性発作マウスモデルを用いて抗痙攣活性に関してさらにスクリーニングする。単一用量(すなわちi.p.投与したとき、2mg/kg)で長期間持続性の抗痙攣活性を示す類似体をより多くの薬理学的アッセイにおいてさらに評価する。一般的な実験戦略を図13に要約する。図23および24は、それぞれ、GAL−BBB2を投与したときのFringsマウスにおける時間依存的抗痙攣活性およびFringsマウスにおける聴原性発作に対する用量依存的保護を示す。
【0233】
全身的に投与したとき抗痙攣活性を維持するGAL−BBB2類似体の最小フラグメントを同定するため、限定構造−機能関係試験を実施する。C末端および中心トランケーションを含むガラニン類似体を合成し、試験する。加えて、血液脳関門を通る類似体の透過性を最適化するため、C末端モチーフの限定構造−機能関係試験を実施する。図14は、構造−機能試験に関連したGAL−BBB2の構造を示す。
【0234】
GAL−BBB2のトランケート型類似体を作製するため、Pro13からLeu10残基までの4個の連続的欠失を生じさせる(表11に要約する)。Tyr9はガラニン活性にとって重要であるので、さらなるC末端切断は生物活性の完全な喪失をもたらし得る(Landら、Int J Pept Prot 1991参照)。各々のトランケート型類似体において、BBBの改善された透過性のためにC末端の「−Lys−Lys−LysP−Lys」は保持する。
【0235】
【表11】

GAL−BBB2類似体を最小化するため、鍵となる残基の間に中心トランケーションを導入する。これは、所与のペプチド長さを損なわずに単純化された構造を有する活性ペプチド類似体を設計するための選択的戦略である。骨格置換(すなわち「骨格プロテーゼ」)は、2以上の連続的な「鍵ではない」残基を非ペプチドスペーサー、例えばアミノ吉草酸またはアミノヘキサン酸(「骨格スペーサー」)で置換することによって達成され得る。この概念は図15により明瞭に示されている。
【0236】
GAL−BBB2類似体の場合は、ペプチドの3つの部分を骨格スペーサーによる残基の体系的に置換によってプローブする(表11):Trp2とAsn5の間、Asn5とTyr9の間、およびTyr9とC末端モチーフの間。約14個のそのような類似体を合成し、ガラニン受容体への結合に関して試験する。一部の類似体が抗痙攣活性を維持する場合、異なる位置に2以上のスペーサーを導入することができる(表12の例参照)。
【0237】
表12。GAL−BBB2類似体における「骨格プロテーゼ歩行」。アミノ吉草酸またはアミノヘキサン酸などの非ペプチド骨格スペーサーによる2個の残基の同時置換は、鍵となる薬理作用団残基の間のスペーシングの有意の変化を伴わずに全体的分子サイズの最小化を生じさせる。
【0238】
【表12】

次に、BBB透過性を改善するためにC末端構造モチーフ、「−Lys−Lys−LysP−Lys−NH」を最適化し得る。初期化合物GAL−BBB2を、表13に要約する、以下のような構造変化の導入によって最適化することができる。ホモ−Lys、D−Lysまたはジアミノ酪酸によるLys残基の置換は、側鎖の様々な親油性を備える正に荷電した残基のBBB透過性の効率をプローブする。16位のLys−パルミトイル部分の2−アミノ−テトラデカン酸または3,3−ジフェニルアラニンによる置換は、この位置が、BBB透過性を上昇させ得る他の疎水性残基に対してどの程度順応性であるかを測定する。
【0239】
表13 BBBを通るガラニン類似体の透過性を上昇させるC末端モチーフの修飾
【0240】
【表13−1】

TDAは2−アミノ−テトラデカン酸であり、DABはジアミノ酪酸であり、D−LysはLysのD−異性体であり、h−Lysはホモ−Lysであり、DPAは3,3−ジフェニルアラニンである。
【0241】
【表13−2】

類似体の上記リストに加えて、以下に示すような、C末端に親油性の非ペプチド性伸長を有する2つの類似体を作製することができる:
Xは、12−アミノ−ドデカン酸または2−アミノ−テトラデカン酸である。
【0242】
図13に示すように、合成し、精製した各々の類似体を、ガラニン受容体へのその結合特性に関して試験する。1μM以下の濃度で完全長ガラニンに置き換わる類似体だけをさらに試験する。ガラニン結合アッセイは、例えばNovascreen Biosciences Corporationによって実施され得る。ラット前脳膜および放射性標識親神経ペプチドがこれらのアッセイにおいて使用できる。高親和性と低親和性の類似体を区別するために類似体を単一(1μM)濃度で試験することができる。選択されたガラニン類似体のアゴニスト活性を、MDS−Pharma Servicesによって提供される機能アッセイを使用してさらに試験し得る。例えば類似体は単一濃度(1μM)で試験することができる。
【0243】
以下の表は、様々なSAR類似体、および4mg/kg、i.p.の用量により1、2および4時間目に与えられる保護のパーセンテージを要約する。
【0244】
【表14−1】

【0245】
【表14−2】

抗痙攣活性は、最初に反射性てんかんのFrings AGS感受性マウスモデルにおいて確立することができる。AGS感受性マウスは、非区別的であり、多種多様なCNS活性化合物を有効に検出するので、理想的な急性発作モデルである(Whiteら、1992)。Fringsマウスにおいて活性であると認められたペプチドは、最大電気ショック(MES)および皮下(s.c.)投与したペンチレンテトラゾール(PTZ)によって誘発される発作をブロックするそれらの能力に関して評価することができる。これら2つのセットは、それぞれ、発作の拡大を防ぎ、発作閾値を引き上げる、試験下の抗てんかん化合物の能力を測定する(Whiteら、2002)。ひとたび修飾ペプチドがこれら3つの発作試験の1以上において活性であることが明らかにされれば、あらかじめ決定されたi.p.投与後のピーク効果時に完全な用量反応試験を実施する。これらの概念実証試験からの結果を、次に、脳室内(i.c.v.)投与後に実施した効果試験と比較する。血液脳関門のより大きな透過が達成されるときには、i.p.用量反応曲線の左側へのシフトが認められる。集合的に、これら3つの発作試験から得られる結果は、全身投与後に低分子ペプチドを脳に対してよりアクセス可能にするためのアプローチを支持する実質的なデータを提供する。各々個々の発作試験の詳細を以下に概説する。
【0246】
神経ペプチド類似体の投与。修飾ガラニン類似体の各々を、10μlハミルトン注射器により人工脳脊髄液5μl中で脳室内(i.c.v.)に、または0.01ml/g体重の容量にて0.5%メチルセルロース中で腹腔内(i.p.)に投与する。
【0247】
聴原性発作。個々の修飾類似体が、AGS感受性Fringsマウスモデルにおいて音によって誘発される発作を予防する能力をピーク効果時に評価することができる(Whiteら、1992)。この試験のために、個々のマウスを、オーディオ変換器(Model AS−ZC;FET Research and Development,Salt Lake City,UT)を取り付けたプレキシガラスシリンダー(直径15cm、高さ18cm)に入れ、20秒間送達される110デシベル(11KHz)の音刺激に曝露する。音誘発発作は、ワイルドランニングとそれに続く前肢および後肢の強直性伸展を伴う立直り反射の喪失によって特徴づけられる。後肢の強直性伸展を示さないマウスを保護されたとみなす。
【0248】
MES試験。MES試験のために、角膜電極を設置する前に麻酔薬/電解質溶液(0.9%食塩水中の0.5%塩酸テトラカイン)1滴を各動物の眼に適用する。マウスMES試験における電気刺激は、WoodburyとDavenport(WoodburyとDavenport、1952)によって最初に記述されたのと同様の装置によって0.2秒間送達される50mAである。発作の後肢強直性伸展けいれん成分の排除をエンドポイントとして使用する。
【0249】
s.c.PTZ試験。s.c.PTZ試験のために、85mg/kgPTZの用量を各マウスの背の皮膚の弛みひだにs.c.投与する。マウスを個別のプレキシガラス観察箱に入れ、最小間代発作の存在に関して30分間観察する。間代発作活動を示さないマウスを保護されたとみなす。
【0250】
最小毒性試験。最小毒性は、回転棒法(DunhamとMiya、1957)によりマウスにおいて同定される。マウスを、6r.p.m.の速度で回転する1インチの刻み付き棒上に置いたとき、動物は長期間その平衡を維持することができる。動物が1分間に3回この回転棒から落下した場合、毒性であるとみなす。
【0251】
中央有効用量(ED50)または毒性用量(TD50)の決定。全ての定量的インビボ抗痙攣/毒性試験は、あらかじめ定められたTPEで実施する。少なくとも8匹のマウスの群を、100%保護または最小毒性と0%保護または最小毒性の限界の間で少なくとも2つの点が確立されるまで、様々な用量のペプチドで試験する。各々の試験で動物の50%において所望エンドポイントを生じるために必要な薬剤の用量(ED50またはTD50)、95%信頼区間、回帰直線の勾配、および勾配のS.E.M.を、Finney(Finney,1971)によって述べられた方法に基づくコンピュータプログラムによって算定する。
【0252】
実施例3
GAL−BBB2は強力な疼痛緩和を有する
a)ホルマリン試験
0.5%ホルマリンの注射をマウス右後足の足底領域に実施する。これは、処置された足を嘗める(リッキング)マウスによって特徴づけられるはっきりと異なる二相性行動プロフィールを惹起する。注射直後に、マウスは約10分間足を嘗める。これが第1相(急性期)であり、その後ほとんど行動活動がない短い潜伏期がある。第2相(炎症期)を構成する、約20−30分間の足嘗めのより長い期間が続く。
【0253】
活性ペプチド、薬剤またはビヒクルの投与の前に、各々のマウスは、鏡の前に置いた、いくつかの高さ6インチのプレキシガラス観察チューブ(直径4インチ)の1つにおいて15分間の順化期間を経験する。順化期間後、マウスをGAL−BBB2、不活性天然フラグメントGal 1−16、またはガバペンチンのいずれかでi.p.処置し、その後そのホームチューブにもどす。処置の1時間後、ホルマリンを右後足の足底表面に皮下注射した(20μl;27ゲージ針)。針のベベルを皮膚表面に向かって表面を下にして置く。ホルマリンの注射後、各動物を、合計45分間にわたる各々5分の期間の最初の2分間観察する。各々2分の期間の足嘗めの累積長を測定した。必要容量のビヒクルを摂取した動物は、GAL−BBB2、Gal 1−16またはガバペンチンを与えられた各々のマウスと順に交代させた。実験の終了後動物を安楽死させた。
【0254】
さらなる実験では(以下の表)、ユニークな構造モチーフを有する2個の付加的なガラニン類似体(すなわちNAX306−3および306−4)が、炎症性疼痛のマウスホルマリンアッセイにおいて、NAX5055と同様に強力であることが認められた。これらの所見は、活性薬理作用団が構造修飾を受け入れやすいことを示す。
【0255】
【表15】

曲線下面積(AUC)の測定を、GraphPad Prism Version 3.03を用いて実施した。総AUCを急性期と炎症期の両方について試験群と対照群に関して算定する。各々の期に関して個々の動物のAUCも算定し、対照の総AUCのパーセンテージに変換する。薬剤処置群と対照群の両方について平均パーセンテージとSEMを算定し、有意差について検定した。
【0256】
b)坐骨神経の結紮
手術の直前に、長時間作用性アヘン製剤、ブプレノルフィン0.1−0.5mg/kgでラットを皮下的に処置する。次にラットをペントバルビタールで麻酔し、麻酔深度をテイルピンチに対する応答および呼吸深度の観察によって観測する。手術全体を通じて無菌操作を使用した。
【0257】
各々のラットの上大腿の毛をそり、エタノールとベタインでふき取った。坐骨神経が露出されるまで、皮膚およびその下にある上大腿の筋肉を通して小さく切開した。次に神経を周囲の結合組織から分離し、一対の微細な屈曲鉗子によってわずかに持ち上げた。次に、針とナイロン縫合糸(7.0)を神経に通すことによって神経の約1/3から1/2を結紮した。その後筋肉と皮膚の切開を5.0縫合糸で別々に縫合して閉じ、動物が麻酔から回復するまで、温度調節された電気毛布上に置いて動物を保温した。この手順を右側(同側)で実施し、左後脚(反対側)で擬似手術を行った。後者は、この側の坐骨神経を露出しただけで結紮しなかったことを除き、同様の手順を含む。手術後12時間目に、手術手技からの不快を最小限に抑えるため、ブプレノルフィンの2回目の用量を投与した。ラットを感染または手術の有害作用の発現に関して毎日綿密に観測した。
【0258】
回復のための適切な期間(例えば7−14日間)後、動物を機械的異痛(非侵害刺激に対する疼痛応答)の発現に関して試験した。この試験のために、動物を、金網(1/4インチ)台上に置いた底のないプレキシガラス箱に入れた。30−60分間の順化期間後、基線機械刺激感受性を測定した。この手順は、一連の口径計測したフォン・フレイ(Von Frey)繊維を各々の後足の足底表面に垂直に適用し、繊維をわずかに屈曲させるのに十分な力をかけて約6秒間そこに保持することによって実施した。正の応答(足の引っ込め)が認められた後、より小さな直径の繊維を適用した。引っ込めについての50%閾値が決定できるまでこの手順を反復した。
【0259】
GAL−BBB2 2mg/kgのi.p.注射後(n=薬剤当たり8匹のラット)、試験化合物の作用期間を測定するため、注射の30分後およびその後様々な時点で(例えば1、2、4および6時間目)機械的閾値を評価した。GAL−BBB2に関して得られた結果をモルヒネ2mg/kgおよびガバペンチン40mg/kgで得られた結果と比較した。
【0260】
c)結果
多くの抗痙攣薬が疼痛の治療における効果を明らかにしている。それ故、GAL−BBB2を、鎮痛特性を有するかどうかを評価するためにマウスホルマリンモデルにおいて検査した。この試験において、GAL−BBB2は、動物が同側足を嘗めることに費やす時間の数量化によって評価したとき、s.c.足底ホルマリンに関連する疼痛を有意に低減することが認められた。図16に示すように、GAL−BBB2(0.52−5mg/kg)は、初期急性期ならびに持続的な炎症期の両方において足嘗めの用量依存的低減を生じさせた。これに対し、非修飾天然フラグメントGal 1−16は、試験したGAL−BBB2の最高用量より4倍高い用量(すなわち20mg/kg)のi.p.投与後、不活性であることが認められた。加えて、GAL−BBB2 5mg/kg(図16)は、ガバペンチンの10mg/kg用量に等しいことが認められた(図17)。
【0261】
図18に示すように、GAL−BBB2は、慢性疼痛の坐骨神経結紮モデルにおいて機械的異痛についての閾値の時間依存的な引き上げを示した。さらに、GAL−BBB2はこの試験においてモルヒネと等しい効力であり、ガバペンチンより数倍強力であった(図18の挿入図)。
【0262】
集合的に、これら2つの確立された疼痛モデルで得られた結果は、GAL−BBB2が慢性疼痛のげっ歯動物モデルにおいて強力な疼痛緩和を有することを示す。
【0263】
実施例4
血液脳関門を透過するガラニン類似体
表16は、本明細書で開示する組成物および方法に関して使用できるガラニン類似体を示す:
【0264】
【表16−1】

【0265】
【表16−2】

親油性および塩基度は、特定の輸送体または担体を必要とせずにBBBを通るペプチドの透過性上昇に寄与する。ペプチドの親油性(logP値によって測定される)は、疎水性部分(例えばリポアミノ酸)の結合体化、または芳香族残基のハロゲン化によって変化させ得る。塩基度に関して、Podusloのグループは、ポリアミン修飾タンパク質およびペプチドがBBBをより効率的に通過することを示した(PodusloとCurran 1996;PodusloとCurran 1996;Poduslo,Curranら、1998;Poduslo,Curranら、1999)。Tamaiと共同研究者たち(Tamai,Saiら、1997)は、低分子ペプチドの高い塩基度が吸着媒介性エンドサイトーシス(AME)によるBBB通過輸送の重要な決定因子であることの証拠を提供した。
【0266】
グリコシル化は、全身的に活性なオピオイドペプチドを生産するための非常に効率的なアプローチであると思われた(Elmagbari,Egletonら、2004;Polt,Dhanasekaranら、2005)。SAR試験は、糖の構造が活性の重要な決定因子であることを示したが、単糖は一般に二糖よりも有効でなかった。β−メリビオースまたはβ−ラクトースによるO−グリコシル化セリンは、強力な鎮痛化合物を生成する最も有効な修飾の1つであった。
【0267】
てんかんおよびてんかん原性におけるガラニンおよびその受容体の役割。神経ペプチドは古典的神経伝達物質および神経興奮性の強力な調節剤である(Hokfelt,Brobergerら、2000)。選択神経集団における古典的神経伝達物質と神経ペプチドの共存は、神経興奮性がペプチド作動性伝達の改変を通して調節され得ることを示唆する(BarabanとTallent 2004)。周囲条件下で、ペプチドは「サイレント」であり、通常の神経伝達にほとんど作用を及ぼさない。これに対し、過度に高い神経発火(発作焦点において起こるような)の条件下では、神経ペプチドが放出され、神経伝達への調節作用を及ぼす。
【0268】
ガラニンは脳において多数の作用を生じさせる(Hokfelt,Xuら、1998;Lundstrom,Elmquistら、2005)。現在までに同定された3つのガラニン受容体サブタイプはGタンパク質共役受容体(GPCR)のスーパーファミリーに属する(Branchek,Smithら、2000;Lundstrom,Elmquistら、2005)。ガラニン1型受容体(GalR1)は多くの脳領域に存在するが、海馬において最も高い発現を示す(Burgevin,Loquetら、1995)。ガラニン2型受容体(GalR2)はGalR1と同程度に広く分布する。脳では、視床下部、海馬(歯状回>CA3>CA1)、扁桃、梨状皮質、前脳基底部(内側中隔/対角帯)、小脳、および脳幹において発現される。ガラニン3型受容体(GalR3)は、脳では非常に限られた発現を示す。海馬、内側網様体および対角帯において最も豊富であり、海馬には存在しない。
【0269】
Mazaratiと共同研究者たち(Mazarati,Halasziら、1992)の先駆的研究以来、ガラニンが強力な抗痙攣性ペプチドであることの証拠は増え続けてきた。ガラニン受容体アゴニストの急性投与または海馬におけるガラニンのウイルス媒介性過剰発現は、ラットおよびマウスにおける辺縁系てんかん重積持続状態、ペンチレンテトラゾールおよびピクロトキシン発作を抑制することが認められた(Mazarati,Halasziら、1992;Mazarati,Liuら、1998;Saar,Mazaratiら、2002;Haberman,Samulskiら、2003;Lin,Richichiら、2003;Bartfai,Luら、2004)。さらに、ガラニンを過剰発現するトランスジェニック動物の発作閾値がてんかん重積状態およびキンドリングモデルにおいて上昇する(Mazarati,Hohmannら、2000;Kokaia,Holmbergら、2001;Schlifke,Kuteevaら、2006)。
【0270】
インビトロで、ガラニンは海馬からのグルタミン酸放出を阻害する(Zini,Roisinら、1993;Mazarati,Hohmannら、2000)。GalR2ペプチド核酸アンチセンスで処置したGalR1ノックアウトマウスおよびラットに関する試験から得られた結果は、ガラニンがGalR1とGalR2の両方における作用を通してその抗痙攣作用を及ぼすことを示唆する(Mazarati,Luら、2004;Mazarati,Luら、2004)。さらに、GalR2は、海馬ニューロンにおけるガラニンの神経保護作用において重要な役割を果たすと思われる(Habermanら、2003;Mazaratiら、2004a;Pirondiら、2005;Elliot−Huntら、2004;Leeら、2005;Hwangら、2004)。
【0271】
ガラニンが、急性発作の発現を予防するおよび様々な発作後のてんかんの発症を変化させる上で有効であることが強調されるべきである。例えばいくつかの報告は、ガラニンが辺縁系発作に関連する損傷を改変し得る、あるいはてんかんの発症を遅延または予防し得る(すなわち抗てんかん原性)ことを示した。Kokaiaら(Kokaia,Holmbergら、2001)は、ガラニンペプチド過剰発現マウスにおけるキンドリング遅延を報告した。急速キンドリングのモデルにおける最近の試験からの結果は、Gi/oタンパク質に共役した海馬GalR2はGIRKとは無関係に抗てんかん原性作用を及ぼし、一方GalR1はGIRK活性化によってキンドリングの獲得を遅延させることを示している(Mazarati,Lundstromら、2006)。
【0272】
ガラニンおよびガラニン受容体リガンドにおける構造−活性関係(SAR)。ガラニンは1983年に最初に発見された(Tatemoto,Rokaeusら、1983)。以下の配列を有する29−30アミノ酸長のペプチドである:
【0273】
【化2】

最初のN末端の14残基(陰を付けている)は、種々の動物種からのガラニンの間で高度に保存されている(LangelとBartfai 1998)。ガラニンの構造−活性関係は広汎に検討されているので、我々は本特許申請出願に関連するSAR結果だけを総説する。最初の15残基(類似体GAL(1−15))または16残基(類似体GAL(1−16))から成る、GALのN末端フラグメントは、ガラニン受容体に対して高い親和性を維持することが示された(Fisone,Bertholdら、1989;Land,Langelら、1991)。以下の表に示すように、GAL(1−16)の体系的切断は、その受容体に対する親和性の漸減を生じさせる(Land,Langelら、1991)。
【0274】
表17 ガラニン受容体に対するその親和性へのGAL(1−16)フラグメントの切断の作用
【0275】
【表17】

同じ試験において、著者達は、Gly1、Trp2、Asn5、Tyr9およびGly12残基がガラニン受容体へのGAL(1−16)類似体の高親和性結合にとって重要であることを明らかにした。GAL(1−16)のアラニン歩行類似体(alanine−walk analogs)は、これらの残基の置換がGalR1ではなくGalR2に対するそれらの親和性に影響を及ぼすことを指示した(Carpenter,Schmidtら、1999)。アラニンシェービング(alanine−shaving)アプローチは、Tyr9からHis14にわたる配列がガラニン受容体の認識のために決定的に重要であることを明らかにした(Jureus,Langelら、1997)。
【0276】
GAL(1−16)類似体の非常に広汎なSAR試験が(Pooga,Jureusら、1998)によって記述された。Gly1またはTrp2の修飾は、ガラニン受容体に対する親和性の有意の喪失を生じさせた。大きさが異なる種々の基に共役したLys14ε−NH基を有するGAL(1−13)の類似体は全て、高い親和性を保持した。これらの結果に基づき、GAL(1−13)のC末端部分は、結合特性を損なわずに比較的かさの高い基を収容することができる。要するに、ガラニンおよびそのトランケート型類似体のSARは、Trp2、Asn5およびTyr9がガラニンとGalR1およびGarR2受容体の間の相互作用を保護するための鍵となる残基であることを指示する。突然変異誘発およびモデリング試験は、Trp2がhGalR1のPhe282と相互作用し、一方Tyr9はHis264と相互作用することを示す(Kaskら、1996;Bertholdら、1997;Churchら、2002)。
【0277】
広汎な構造−活性関係試験の結果として、アゴニストおよびアンタゴニストの両方の、多くのペプチドベースのガラニン類似体が合成され、機能的に特性決定された。選択したガラニン受容体リガンドの結合特性を表18に示す。
【0278】
表18 選択したガラニン受容体リガンドおよび種々のガラニン受容体サブタイプへのそれらの結合特性。
【0279】
【表18】

値は、(Branchek,Smithら、2000;Lundstrom,Elmquistら、2005;Lundstrom,Sollenbergら、2005;Sollenberg,Lundstromら、2006)から収集した。ガルノンおよびガルミックは、CNSにおけるガラニン受容体の作用を検討するための非常に有用な薬理学的ツールとなってきた2個の非ペプチドガラニン受容体アゴニストである(Saar,Mazaratiら、2002;Bartfai,Luら、2004;Badie−Mahdavi,Behrensら、2005;Lu,Barrら、2005;Schlifke,Kuteevaら、2006)。しかし、最近以下のように述べられた:「ガルノンおよびガルミックの欠点は、それらが低親和性(マイクロモルの親和性)であり、受容体サブタイプ非選択的であり、他の薬理学的に重要な標的と相互作用することである...」(Lu,Lundstromら、2005)。
【0280】
BBBを透過するガラニン類似体、NAX5055の合理的設計と化学合成。本明細書で開示するように、ガラニンは30アミノ酸の神経ペプチドであり、N末端フラグメントGAL(1−16)が、海馬ガラニン受容体においてまだ極めて強力なアゴニストであることが明らかにされた(Fisone,Bertholdら、1989)。現在までに得られた結果は、代謝安定性を高め、BBBの透過性を改善するように修飾されたトランケート型GAL(1−16)類似体(図31)に関するものであった。
【0281】
使用可能な構造−活性関係データに基づき、その代謝安定性およびBBBの透過性を改善するために以下の修飾をGAL(1−16)類似体に導入した:(1)Gly1残基をサルコシンによって置換した。Gly1のN−メチル化はガラニン受容体の親和性に影響を及ぼさない(Rivera Baeza,Kaskら、1994)。さらに、アミノペプチダーゼNは神経ペプチドを分解することが公知であり、それ故N末端アミノ基のキャッピングは、サルコシン含有類次体の代謝分解の速度を低下させる可能性が高い;(2)His14およびAla15をLys残基によって置換した。アミド化Lys残基をC末端に付加した。これらの付加的な正電荷は、吸着媒介性エンドサイトーシスを介したBBB透過性を上昇させる(Tamai, Saiら 1997);(3)Val16をリシン−パルミトイル(Lys−palm)残基によって置換した。この長い疎水性は、受動拡散を上昇させ、代謝分解に対する付加的な抵抗性を与えることができる(Yuan,Wangら、2005)。NAX 5055は、標準Fmocプロトコルと自動ペプチドシンセサイザーを使用して固体支持体上で化学合成した。
【0282】
NAX 5055の薬理学的性質。現在までに、NAX 5055は放射性リガンド結合アッセイおよび一連のインビボ急性発作試験において評価されている。これらの試験から得られた結果は、本明細書で開示するアプローチが、BBBを透過する強力な高親和性ガラニン受容体調節剤を生じ得ることを示す。
【0283】
NAX 5055はGalR1およびGalR2に対する高親和性を保持する。ヒトhGalR1およびhGalR2に対するNAX 5055の親和性は、MDS−PS契約スクリーニング会社によって実施された予備的放射性リガンド結合試験によって確認された(報告書番号1077561、参照:MDSPS 231510および231600)。この試験では、hGalR1はHEK−293細胞において発現され、一方hGalR2はCHO−K1細胞で発現され、ヒト[125I]ガラニンが放射性リガンドとして使用された。NAX 5055は両方のサブタイプに対して高い親和性を保持し、hGalR1についての推定Kiは9nM、hGalR2については6nMであった。
【0284】
NAX 5055は全身投与後に強力な抗痙攣活性を示す。NAX 5055を最初に、4mg/kgのi.p.投与後に反射性てんかんのFrings聴原性発作(AGS)感受性マウスモデルにおいて試験した。投与後様々な時点で(すなわち15、30、60、120および240分目)、各々のマウスを、オーディオ変換器を取り付けた円筒状試験チェンバーに入れ、強力な音刺激(110dB、11KHz、20秒間)で攻撃誘発した。
【0285】
強直性後肢伸展を示さない動物を保護されたとみなした。図24に示すように、この実験から得られた結果は、NAX 5055が、開始が迅速で(30分以内)、期間は中程度(2−4時間の間)の時間依存的抗痙攣作用を示すことを明らかにする。その後の用量反応試験では、ピーク効果時(すなわち1時間目)に抗痙攣効果を定量した。用量反応データのProbit分析から得た算定中央有効用量(すなわちED50)および95%信頼区間は、3.2(2.3−6.1)mg/kgであった。i.p.投与の1時間後に試験したとき、NAX 5055(4mg/kg)はFringsマウスにおいて音誘発性発作をブロックする上で有効であったが、天然GAL(1−16)フラグメント(20mg/kg)は有効でなかった。
【0286】
NAX 5055を2つの広く確立された発作モデルでも試験した:すなわち最大電気ショック発作(全身性強直・間代てんかんのモデル)およびs.c.メトラゾール発作試験(全身性ミオクローヌスてんかんのモデル)。この試験のために、NAX 5055 4mg/kgをi.p.投与し、1時間後にマウスを強直性伸展(最大電気ショック)および間代(s.c.メトラゾール)発作に対する保護に関して試験した。NAX 5055は、s.c.メトラゾール発作試験において最小限に活性であり(25%保護)、最大電気ショック発作試験では完全に不活性であった(結果は示していない)。これらの結果は臨床効果の見地からは陰性と解釈され得るが、これまでに記述されているNAX 5055のプロフィールは、ヒト部分発作の治療のために2000年に導入された新規抗てんかん薬、レベルチラセタムのものと実質的に同じである。
【0287】
そこで、NAX 5055の抗痙攣プロフィールを拡大する試みとして、我々はNAX
5055をもう1つのレベチラセタム感受性急性発作モデル、すなわち6Hz精神運動試験においても評価した。6Hz発作試験は、難治性部分てんかんの治療のために有用であり得る潜在的抗痙攣性化合物を識別するためのユニークなモデルとして発達しつつある(Barton,Kleinら、2001;White 2003)。NAX 5055は、i.p.投与後、薬物抵抗性てんかんのこのモデルにおいて非常に強力である(表19)。レベチラセタム、さらにはバルプロ酸と異なり、NAX 5055の効力は、刺激強度を22mAから44mAに上昇させたときも保持される。それ故NAX 5055は、評価した3つの電流強度全てにおいて非常に強力なままであるという点で、6Hz試験で試験した抗痙攣薬の中で比較的ユニークである。これに対し、その他の薬剤の効力は、刺激強度を22mAから44mAに上昇させたとき低下する。NAX 5055を、その後、皮下(s.c.)投与後にマウス6Hz辺縁系発作モデルで試験した。興味深いことに、活性はs.c.投与後も保存される(図26)。s.c.投与後にNAXのED50のごくわずかな右側へのシフトが生じたという所見は、NAX 5055が良好なバイオアベイラビリティーを有することを示す。
【0288】
天然ペプチドフラグメントが、脳にアクセスできるとき活性であることを確認するために、NAX 5055とGAL(1−16)の両方を脳室腔に直接投与するその後の試験を実施した。この脳室内(i.c.v.)試験から得られた結果を図22に要約する。図22に示すように、両方の類似体がi.c.v.投与後非常に強力であった(すなわちNAX 5055およびGAL(1−16)について、それぞれED50:0.07および1.7nmol)。NAX 5055が、実際上天然ペプチドフラグメントGAL(1−16)よりも強力および有効であり得ることは興味深い。
【0289】
【表19】

NAX 5055類似体の構造−活性関係。全身投与後のその活性の構造的決定因子をよりよく理解するためにSAR試験を実施した。最初に、C末端における個々の化学修飾が両方の修飾の組合せと比較して匹敵する作用を生じさせ得るかどうかを試験した。以下に示すように、個々の修飾のいずれもが、NAX 5055と比較したとき、長時間持続性の強力な抗痙攣活性を有していなかった。類似体1105−2は、より低い効力(5055についての0.8mg/kgと比較して、ED50=3.8mg/kg)、より短い作用期間、および5055では認められない毒性(運動障害)を示した。Lys−palm残基の存在は、観察可能な抗痙攣活性を生じさせるには不十分であった。これらの結果は、両方の修飾の組合せが5055類似体の薬理学的性質のために非常に重要であることを強く示唆した。
【0290】
【表20】

注:NAX 5055を含む全ての類似体はC末端でアミド化されている。
【0291】
第2に、C末端のLys残基の役割を、LysをLysまたはArgで置換することによって、またはLys残基の数を変えることによって検討した。ArgでLysを置換することは、類似体の活性をわずかだけ変化させた。Lysをその異性体Lysで置換すると、匹敵する効力(ED50=1.2mg/kg)を有するより長時間持続性の類似体(1205−2)をもたらした。2個の付加的なLys残基によるGly12−Pro13の置換は、抗痙攣活性を維持したが、同時に毒性も生じさせた。これらの実験からの結果を以下の表21に要約する:
【0292】
【表21】

次に、NAX 5055の中心トランケーションの機能的影響を測定した。表22に示すように、「G12、P13」または「L10、L11、G12、P13」のトランケーションは、ガラニン受容体に対する親和性を少なくとも2桁分低下させた。5055類似体(類似体1205−5および306−3)の体系的中心トランケーションは、6Hzモデルにおいてごくわずかに低い効力(5055類似体の0.8mg/kgと比較して、両方の類似体についてED50=2.7mg/kg)およびより短い作用時間を生じさせた。
【0293】
【表22】

6−アミノヘキサン酸などの骨格スペーサーの導入も、ガラニンフラグメントの間で検討し、KKKpKモチーフは類似体の抗痙攣活性に影響を及ぼすと考えられた。類似体306−2および306−4はその抗痙攣活性を維持した(306−4に関してED50=2.95mg/kg)。興味深いことに、306−4類似体は、2.95mg/kg用量(6HzモデルでのED50)で、マウスにおける炎症疼痛アッセイの第二応答期に非常に活性であると思われ、その抗痙攣および抗侵害受容活性の効力は直接相関しないと考えられることを示唆した。
【0294】
【表23】

最後に、N末端サルコシン残基を欠失している5055類似体の活性を検討した(類似体1205−1:WTLNSAGYLLGPKK(Lys−P)K)。この類似体は、AR−M1896としても知られる、ガラニンアゴニスト類似体Gal(2−11)に基づいて設計した:最初の残基の除去はGalR1サブタイプに対する類似体の親和性を低下させるという仮説であったが、GalR2に対する高親和性を維持した(表21のGal(2−11)類似体についての結合データ参照)。1205−1類似体は、6Hz辺縁系発作モデルにおいて低い効力を有していた(ED50=5.7mg/kg)。
【0295】
要約すると、SARの結果は、カチオン化と脂質付加の組合せが個々の化学修飾を上回ることを示す。
【0296】
a)BBBを透過するガラニン類似体の設計と化学合成
現在のSAR結果に基づき、化学修飾の組合せを含む類似体の合成と特性決定を実施する。カチオン化のための新しい戦略を用いる:スペルミンなどのポリアミンベースの化合物、またはリポポリアミン複合体を使用する。ペプチドのグリコシル化はBBB透過を改善するための広く確立された戦略であるので、グリコシル化ガラニン類似体を使用する。
【0297】
カチオン化。正に荷電したLys残基およびLys−palmとのそれらの組合せは、CNSへの類似体の送達を改善することができる。これらの比較的保存的な類似体の例を表24に示す。
【0298】
表24 KKKpKモチーフの修飾を有する類似体。全ての類似体はC末端でアミド化されている。
【0299】
【表24】

カチオン化はBBBを通るガラニン類似体の透過のために重要であるので、ポリアミンを含むガラニン類似体を検討する。スペルミンを含む類似体を検討することの理論的根拠は、いくつかのLys残基(NAX 5055中に存在する)を、いくつかのアミン基を担持するが、ペプチド結合を欠く1個の分子(タンパク質分解に対する低い感受性および水素結合供与体/受容体の欠如)で置換することである。スペルミンが骨格の一部であるかまたは側鎖であるいくつかのガラニン類似体を合成する。表25は、ガラニン−スペルミン類似体についての構造と理論的根拠を要約する。
【0300】
表25 スペルミンを骨格スペーサーとしてまたは側鎖として含むNAX 5055類似体。スペルミンSは、1,5,10,14−テトラ−アザクアトロデカン−N4−スクシンアミド酸である。全ての類似体はC末端でアミド化されている。
【0301】
【表25】

脂質付加。次のセットの類似体(表26)では、類似体のBBB透過への16位における脂質付加の影響を検討する。
【0302】
表26。16位において修飾を有する類似体。全ての類似体はC末端でアミド化されている。
【0303】
【表26】

グリコシル化。16位にα−マンノシルまたはβ−メリビオースセリン残基を含む2個のグリコシル化ガラニン類似体を最初に合成する。そこで、これらの類似体において、Lys−palm残基を糖部分で置換する。
【0304】
表27 グリコシル化ガラニン類似体。全ての類似体はC末端でアミド化されている。
【0305】
【表27】

骨格スペーサー。NAX 5055に基づく類似体の抗痙攣活性への骨格スペーサーの影響を検討する。ペプチド骨格の部分を非ペプチドベースのスペーサーで置換することの主な利点は以下の通りである:(1)BBB透過性を改善するはずである分子サイズの低減、(2)タンパク質分解の感受性の低減、および(3)水素結合供与体/受容体の欠如。これらの類似体の例を表28に示す。
【0306】
表28 伸長グリシン骨格スペーサーを含むNAX 5055類似体。全ての類似体はC末端でアミド化されている。
【0307】
【表28】

類似体の化学合成。全ての類似体は、Fmocベースの固相ペプチド合成(SPPS)プロトコルおよび自動ペプチドシンセサイザーを使用して合成する。Fmoc保護された骨格スペーサー、グリコアミノ酸、スペルミン、スペルミン−スクシンアミド酸またはスペルミン−パルミトイルを含む、SPPSのための全ての構築ブロックが市販されている(Sussex Research Laboratories,Iris Biotech,NeoMPS,Chem−Impex)。カップリング方法は、先に述べられているように(FieldsとNoble 1990;Albericio 2000)実施する。スペルミンまたはその誘導体が16位で結合されている類似体については、類似体は、γ−2−フェニルイソプロピルエステル(0−2−PhiPr)で保護されたグルタミン酸が組み込まれている。側鎖カルボキシルを、ジクロロメタン中1%TFAを用いて樹脂上で脱保護する。スペルミンまたはそのパルミトイル誘導体(他のアミノ基条でFmoc/Boc保護されている)のカップリングは、1,3−ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)を使用して実施する。ペプチドを固体支持体から取り出し、洗浄して、MTBEで沈殿させる。ジフェニル分取逆相HPLCを用いて類似体を精製する。90%アセトニトリル/10%水/0.1%TFAの、20%から90%までのアセトニトリル(0.1%TFA中)による15分間の直線勾配を溶出のために使用する。280nmでモル吸収係数7,000(1 Tpr 5,600および1 Tyr 1,400)を使用して類似体を定量する。これらの手順は、NAX 5055および同様の類似体を調製するために有効であり、個々のバッチは10−50mgの範囲であった。
【0308】
b)BBBを通過するガラニン類似体のインビトロでの特性決定
合成ガラニン類似体の生物活性を特性決定するため、GalR1およびGalR2受容体の結合定数を測定する。3つの主要な目的は以下の通りであった:(1)GAL(1−16)に導入された化学修飾がガラニン受容体に対する親和性をどのように変化させるかを評価すること、(2)ガラニン類似体についての選択性プロフィールを測定すること、および(3)BBBを透過する高親和性ガラニン類似体の信頼し得るスクリーニングアッセイを開発すること。NAX 5055はGalR1およびGalR2の両方に対して低いナノモル親和性を保持することが示された。
【0309】
ユーロピウム標識ガラニンによる蛍光ベースの結合アッセイ(Perkin ElmerからのDelfiaアッセイ)が使用できる。(Valenzano,Millerら、2000)によって以前に記述されたこのアッセイは、有効性確認されており、これまでに合成された全ての類似体の結合特性を決定するために使用される。より伝統的に使用される放射性リガンド結合アッセイと比べて蛍光ベースの結合アッセイの主たる利点は、放射能の難点(健康面、廃棄処理、短い保存期間、獲得シグナルの長い持続期間)を回避し、そのようなアッセイを中および高スループットスクリーニングのためにより使いやすいものにすることである。ランタニドで受容体リガンドを標識することは、それらの長い蛍光寿命の故に高い感受性という利点を提供する。遅延時間400マイクロ秒で時間分解蛍光検出を使用して、単一ウエルにおいて1フェムトモル未満のユーロピウムが検出できる。
【0310】
2つのガラニン受容体を膜製剤の形態でPerkin ElmerまたはMultispan,Inc.から入手する。ユーロピウム標識ガラニン(Eu−ガラニン)をPerkin Elmerから購入する。結合緩衝液(低張緩衝液中のEDTA、BSA、PEG)60μl容量中の膜タンパク質10μg(濃度)に関して結合反応を実施する。0.01−10nMのリガンド濃度の一連のEu−ガラニンに関して飽和結合曲線を作成する。結合定数を決定するため、0.2nM Eu−ガラニンを膜と共に2時間インキュベートする。真空箱を用いてAcroWellフィルタープレートで迅速にろ過して反応を終了させ、低張緩衝液300mLで3回洗浄する。増強試薬を各々のウエルに添加し、TFRと共にVictor3分光蛍光計でTRFシグナルを記録する。
【0311】
c)BBBを通過するガラニン類似体のインビボでの特性決定
てんかんの薬物抵抗性モデルにおけるガラニンベースの神経ペプチドの抗痙攣活性およびそれらの抗てんかん原性特性。
【0312】
薬物抵抗性部分てんかんの6Hz辺縁系発作モデルにおいて選択類似体を特性決定する。薬物抵抗性てんかんのこのモデルにおける類似体の効力を、i.p.投与後に用量反応曲線を作成することによって判定する。全ての化合物を、i.p.または0.9%NaCl中0.01ml/g体重の容量で投与する。6Hz発作試験における急性効果試験に加えて、部分てんかんのマウス角膜キンドリングモデルにおいてキンドリング獲得を予防するNAX 5055および他のガラニン類似体の能力を分析する(MatagneとKlitgaard 1998)。
【0313】
抗痙攣性試験。6Hz角膜刺激(3秒間)によって誘発される発作を予防する各類似体の能力を3つの異なる刺激強度(すなわち22、32および44mA)で評価する。6Hz発作は、ごくわずかなクローヌス期とそれに続く、最初は部分発作を有するヒト患者の前兆に類似すると述べられた定型化した自動性行動によって特徴づけられる(Toman,Everettら、1952;Barton,Kleinら、2001)。この行動を示さない動物を保護されたとみなす。上述したように、6Hz発作は、電流が22mAから44mAに増大すると共に抗てんかん薬によるブロックに対してより抵抗性となる。6Hz発作試験における各々の類似体の活性を、(Barton,Kleinら、2001)によって述べられた方法に従ってi.p.投与後のピーク効果時に定量する。この試験のために、角膜電極を設置する前に麻酔薬/電解質溶液(0.9%食塩水中の0.5%塩酸テトラカイン)1滴を各動物の眼に適用する。ピーク効果時間試験のために、合計20匹のCF−1マウスを用いる。4匹のマウスの群を様々な時点で(すなわち0.25、0.5、1、2および4時間目)試験する。用量反応試験のために、少なくとも8匹のマウスの群を、100%効果と0%効果の限界の間で少なくとも2つの点が確立されるまで、様々な用量の候補ペプチドで試験する。曝露された動物の50%において中央有効用量を生じさせるために必要な薬剤の用量(すなわちED50)、95%信頼区間、回帰直線の勾配、および勾配のS.E.M.を、Finney(Finney,1971;Finney,1971)によって述べられた方法に基づくコンピュータプログラムによって算定する。
【0314】
角膜キンドリングの獲得。NAX 5055および選択数の他のガラニン類似体を、(MatagneとKlitgaard 1998)によって述べられたマウス角膜キンドリングモデルにおいてキンドリングの獲得を予防するそれらの能力に関して評価する。角膜を通しての毎日の電気刺激は15−20日以内に安定なキンドリング状態を生じさせる。これは、必要とされるペプチドの量がラットキンドリング試験のために必要な量よりもはるかに低いので、キンドリング獲得を予防する選択ガラニン類似体の能力を最初に評価するための理想的モデルである。キンドリングの獲得を予防する上で有効と認められた化合物を、その後、より伝統的なラットキンドリングモデル;すなわち扁桃キンドリングラットにおいて評価する。提案する試験のために、2つの群のマウス(各群当たりn=8匹のマウス)を、各キンドリング刺激の前にビヒクルまたはペプチドのいずれかを摂取するように無作為に割り当てる。各々のペプチドを、6Hz(44mA)発作の予防のためにED50に近い用量でi.p.投与する。ピーク効果時に(6Hz試験から得られる)、痙攣を誘発しない電流(50Hz、3mA、3.0秒間)で角膜電極を通して動物を刺激し、発作活動の存在または不在に関して観察する。発作活動を、Racineら(1972)によって確立された判定基準に従って評点づける。動物は、最初の段階5の行動発作を示すまでは1日2回の刺激、およびその後は安定な二次性全般発作(5回の連続する段階4−5の発作)を示すまで1日1回の刺激を受ける。対照マウスが完全にキンドリング状態になる時点まで実験群におけるペプチド処置を継続する。この時点で、両方の群のマウスに1週間の無刺激および無処置の期間を与える。8日目に、両群のマウスをペプチドまたはビヒクルなしで刺激し、それらの発作スコアを記録する。
【0315】
ビヒクル処置群のマウスは、丸2週間の刺激の終了時までに完全なキンドリング状態に達し得る(図32および33)。さらに、i.c.v.ガラニンがキンドリングの発現を予防することがこれまでに認められていること(Mazarati,Lundstromら、2006)を考慮すると、実験群のマウスはキンドリングを形成しないかまたはビヒクル処置マウスよりも遅い速度でキンドリングを形成する。それ故、能動的キンドリング試験の最終日の発作スコアは1以下であり得、ウォッシュアウト期間後も発作スコアは低いままである;例えば処置群(抗てんかん原性)。実験群のウォッシュアウト期間の発作スコアはビヒクル処置群と有意に異ならない場合は、能動的処置期間中のペプチドの作用はその抗痙攣効果によるものであると結論できる;例えば処置群(抗痙攣性)。抗てんかん原性作用が認められるときは、ビヒクルおよび処置群の両方の全てのマウスを、これまでに処置されたマウスがペプチドの不在下でキンドリング形成するかどうかを調べるために、薬剤の不在下でキンドリング形成させる。
【0316】
実施例5
類似体の設計と化学合成
a)BBBを透過する神経ペプチド類似体
表29は、いくつかの神経ペプチド類似体の構造を要約する。類似体の各々について、固相ペプチド合成の間に「KKKK」モチーフをNまたはC末端に結合する。以下に、各々の神経ペプチドの類似体を設計するための簡単な理論的根拠を示す。
【0317】
表29 選択された神経ペプチドの構造
【0318】
【表29】

ソマトスタチンおよびそのサブタイプ選択的類似体、オクトレオチドは、それらの生物活性を損なわずにN末端伸長を「収容する(accommodate)」ことができる(DasguptaとMukherjee 2000;Dasgupta,Singhら、2002;Na,Murtyら、2003)。RC−160類似体のN末端アセチル化は、このソマトスタチン類似体のCNS濃度の上昇を生じさせた(Banks,Schallyら、1990)。オクトレオチドは、付加的な修飾なしでもある程度までBBBを透過することができる(Fricker,Nobmannら、2002)。
【0319】
DSIP。N末端伸長はDSIPの抗てんかん活性に影響を及ぼさないことが示されたが、C末端伸長は不活性な類似体を生じた。それ故DSIP類似体は、N末端にベクターを付加して作製することができる。
【0320】
KKKKモチーフを、SOM、オクトレオチドまたはDSIPのN末端に導入する。3つの異なるスペーサー(Gly、6−アミノヘキサン酸(Ahx)、Ahx−Gly)を使用して「KKKK」モチーフを結合することは、かさの高いLys−palm残基が標的受容体との相互作用に影響を及ぼし得る可能性を最小限に抑える。以下の類似体を合成する:
KK(K)K−(神経ペプチド)(配列番号105)
KK(K)KG−(神経ペプチド)(配列番号106)
KK(K)K(Ahx)−(神経ペプチド)(配列番号107)
KK(K)K(Ahx)G−(神経ペプチド)(配列番号108)
ジノルフィンA(1−16)を、オピオイド受容体に対する親和性の有意の低下を伴わずに、C末端で切断または修飾することができる(Lapalu,Moisandら、1997;Naqvi,Haqら、1998;Schlechtingen,DeHavenら 2003)。そこで、BBBを透過するガラニン類似体と同様に、最後のいくつかの残基が「KKKpK」モチーフによって置換されたジノルフィンA(1−16)類似体を合成する。以下の類似体を示す:
Tyr−Gly−Gly−Phe−Leu−Arg−Arg−Ile−Arg−Pro−Lys−Leu−Lys−Lys−(Lys−palm)−Lys−NH(配列番号109)
Tyr−Gly−Gly−Phe−Leu−Arg−Arg−Ile−Arg−Pro−Lys−Leu−Lys− Lys−Lys−(Lys−palm)−Lys−NH(配列番号110)
Tyr−Gly−Gly−Phe−Leu−Arg−Arg−Ile−Arg−Pro−Lys−Lys−Lys−(Lys−palm)−Lys−NH(配列番号111)
Tyr−Gly−Gly−Phe−Leu−Arg−Arg−Ile−Arg−Pro−Lys−Leu−Lys−(Ahx)−Lys−Lys−(Lys−palm)−Lys−NH(配列番号112)
神経ペプチドY類似体を、Prof.Annette G.Beck−Sickingerの研究所で実施された数多くのSAR試験からのデータに基づいて設計する(包括的総説(Beck−SickingerとJung 1995;CabreleとBeck−Sickinger 2000))。特に、設計は、腫瘍造影剤として合成され、試験された99mTc標識NPY類似体に基づく(Langer,La Bellaら、2001)。キレート化99mTcを有するかさの高い2−ピコリルアミン−N,N−二酢酸を含む、トランケート型NPY類似体(Ac−[Ahx5−24,K4(99mTc(CO)3−PADA),A26]−NPYは、Y2受容体サブタイプに対して非常に強力であった(IC50=1nM)。そこで、2−ピコリルアミン−N,N−二酢酸をLys−パルミトイル残基で置換することができる。以下の2個のNPY類似体を示す:
【0321】
【化3】

N末端伸長を有するNPY(13−36)の4個の類似体も作製する:
【0322】
【化4】

全ての類似体は、標準的なFmocベースの固相ペプチド合成(SPPS)プロトコルおよび自動ペプチドシンセサイザーを使用して合成する。Fmoc保護されたアミノヘキサン酸、Lys−パルミトイルおよびグリコアミノ酸を含む、SPPSのための全ての構築ブロックは市販されている(Sussex Research Laboratories,Iris Biotech,NeoMPS,Chem−Impex)。カップリング方法は、先に述べられているように(FieldsとNoble 1990;Albericio 2000)実施する。ペプチドを試薬Kで固体支持体から取り出し、洗浄して、MTBEで沈殿させる。ジフェニル分取逆相HPLCを用いて類似体を精製する。直線勾配を溶出のために使用する。90%アセトニトリル/10%水/0.1%TFAの初期および最終濃度を、分析HPLC法からの保持時間に基づいて各々の類似体について測定する。類似体を、280nmで各類似体に関して算定したモル吸収係数(Tpr ε=5,600およびTyr ε=1,400)を使用して定量する。これらの手順は、10−50mgの範囲の量でガラニン類似体を調製するために有効であった。ソマトスタチンまたはオクトレオチド類似体内のジスルフィド架橋の酸化のために、Clear−Ox樹脂を使用する(Darlak,Wiegandt Longら、2004;GreenとBulaj 2006)。本明細書で述べるオクトレオチド類似体は、95%を超える収率で酸化された。最終酸化産物を分取HPLCによって精製する。
【0323】
神経ペプチド類似体の抗痙攣活性。薬物抵抗性部分てんかんの6Hz辺縁系発作モデルにおいて類似体を特性決定する。i.c.v.およびi.p.投与後に類似体の活性を測定することができる。戦略は、最初にi.c.v.(2nmol)で類似体を試験し、活性な類似体をi.p.ボーラス注射(4mg/kg)を用いてさらにさらに試験することである。ジノルフィンA(1−16)、NPYおよびNPY(13−36)の抗痙攣活性も、i.c.v.投与後に2nmolで試験する。これらの結果は、それらの修飾類似体をスクリーニングするための参考として役立つ。
【0324】
抗痙攣性試験。6Hz角膜刺激(3秒間)によって誘発される発作を予防する各類似体の能力を32mAで評価する。6Hz発作は、ごくわずかなクローヌス期とそれに続く、最初は部分発作を有するヒト患者の前兆に類似すると述べられた定型化した自動性行動によって特徴づけられる(Toman,Everettら、1952;Barton,Kleinら、2001)。この行動を示さない動物を保護されたとみなす。6Hz発作試験における各々の類似体の活性を(Barton,Kleinら、2001)によって述べられた方法に従ってi.c.v.またはi.p.投与後のピーク効果時に定量する。この試験のために、角膜電極を設置する前に麻酔薬/電解質溶液(0.9%食塩水中の0.5%塩酸テトラカイン)1滴を各動物の眼に適用する。ピーク効果時間試験のために、合計20匹のCF−1マウスを用いる。4匹のマウスの群を様々な時点で(すなわち0.25、0.5、1、2および4時間目)試験する。全ての化合物は、0.9%NaCl中0.01ml/g体重の容量で投与する。
【0325】
グリコシル化神経ペプチド類似体の設計と化学合成。グリコシル化は、BBBを通るオピオイドペプチドの透過を改善する上で非常に有効であると思われた(Elmagbari,Egletonら、2004;Polt,Dhanasekaranら、2005)。図34は、エンケファリン類似体のために使用した糖残基の構造を示す。ペプチドへのβ−メリビオースの導入は、i.v.投与後に最良の鎮痛効力を有する類似体を生成した。
【0326】
β−メリビオース−Ser残基は、完全長「KKKpK」モチーフまたはLys−パルミトイル残基(上述したような)のいずれかの代わりに選択神経ペプチド類似体に導入することができる。グリコシル化類似体の化学合成のためにSussex Researchより入手可能なFmoc保護されたペルアセチル−β−メリビオース−Ser誘導体を使用する。標準固相合成プロトコルを適用する。メリビオース残基の脱アセチル化は、メタノール中10mMナトリウムメトキシドにおける類似体の4−5時間のpH制御された(pH10)インキュベーションによって達成される。類似体を分取HPLCによって精製し、speedvacで乾燥した後、抗痙攣活性を試験する。
【0327】
実施例6
マウス角膜キンドリング獲得へのNAX 5055の作用
血液脳関門透過性のガラニンベースの神経ペプチドNAX 5055の、角膜キンドリングの発現を予防する能力をCF No.1マウスにおいて試験した。マウス角膜キンドリングモデルは部分てんかんの非侵害性動物モデルであり、マウスは最初に、1日2回数日間にわたって、角膜電極により3秒間、痙攣を誘発しない電流(3mA)を受ける。ビヒクル処置マウスは、通常、安定な段階5発作、すなわち二次性全般化焦点発作に達するまでに12−16日間を要する。本試験では、16匹のマウスを2つの実験群:食塩水またはNAX 5055の1つに無作為に割り当てた。NAX 5055群のマウスは、最初の角膜刺激の12時間前と1時間前およびその後の各刺激の1時間前に、NAX 5055(4mg/kg、n=8)の腹腔内(i.p.)注射を受けた。これに対し、ビヒクル群のマウスは、各角膜刺激の1時間前までに0.9%NaCl(n=8)を摂取した。各刺激の前に、0.9%食塩水中0.5%テトラカイン1滴を角膜に適用した。刺激発作後、Racine(1972)によって確立されたように0−5のスケールで活性を評点づけた。対照動物が一貫して段階5発作を示すまで処置を継続した。
【0328】
図32および33に示すように、NAX 5055群のマウスを2つの別々の集団、すなわちNAX 5055処置に感受性であるもの(n=3)と非感受性であるもの(n=5)に分離した。感受性は、刺激期間中に段階5の発作を示すことができなかったマウスと定義した。NAX 5055感受性動物は、対照およびNAX 5055非感受性動物と比較して段階1、2および3に達するまでに有意に多い数の刺激を必要とした。さらに、1週間の無刺激および無ペプチド期間後の再攻撃誘発時に、NAX 5055感受性動物は、対照およびNAX 5055非感受性動物と比較して段階4/5に達するまでに有意により多くの刺激を必要とした。これらの結果は、NAX 5055がキンドリング獲得を遅延させることができ、それ故所与の脳傷害後にてんかんの発症の危険度が高い患者の初期治療のために有用であり得ることを示す(Racine RJ.Modification of seizure activity by electrical stimulation.II.Motor seizure.Electroencephalogr Clin Neurophysiol.1972 Mar;32(3):281−94.)。
【0329】
表30は、全身送達後のオクトレオチドまたはDSIP類似体の抗痙攣活性を示す。
【0330】
【表30】

表31は、付加的なデルタ睡眠誘発ペプチドを示す。
【0331】
【表31】

G.配列
配列番号1(野生型ガラニン)
Gly Trp Thr Leu Asn Ser Ala Gly Tyr Leu Leu Gly Pro His Ala Val

配列番号2(GAL−BBB1)
Sar−Trp−Thr−Leu−Asn−Ser−Ala−Gly−Tyr−Leu−Leu−Gly−Pro−His−(Lys−palm)−Tle−NH2
(式中、Sarはサルコシンであり、Tleはtert−ロイシンであり、およびLys−palmは、εアミノ基によってパルミトイル部分と共役したリシン残基であり、および−NH2はC末端のアミド化を表わす)

配列番号3(GAL−BBB2)
Sar−Trp−Thr−Leu−Asn−Ser−Ala−Gly−Tyr−Leu−Leu−Gly−Pro−Lys−Lys−(Lys−palm)−Lys−NH2
(式中、Sarはサルコシンであり、Tleはtert−ロイシンであり、およびLys−palmは、εアミノ基によってパルミトイル部分と共役したリシン残基であり、および−NH2はC末端のアミド化を表わす)

配列番号4(表11から)
Sar Trp Thr Leu Asn Ser Ala Gly Tyr Leu Leu Gly Pro Lys Lys Lys−P Lys

配列番号5(表11から)
Sar Trp Thr Leu Asn Ser Ala Gly Tyr Leu Leu Gly Lys Lys Lys−P Lys

配列番号6(表11から)
Sar Trp Thr Leu Asn Ser Ala Gly Tyr Leu Leu Lys Lys Lys−P Lys

配列番号7(表11から)
Sar Trp Thr Leu Asn Ser Ala Gly Tyr Leu Lys Lys Lys−P Lys

配列番号8(表11から)
Sar Trp Thr Leu Asn Ser Ala Gly Tyr Lys Lys Lys−P Lys

配列番号9(表12から)
Sar Trp Thr Leu Asn Ser Ala Gly Tyr Leu Leu Gly Pro Lys Lys Lys−P Lys

配列番号10(表12から)
Sar Trp Xaa Xaa Asn Ser Ala Gly Tyr Leu Leu Gly Pro Lys Lys Lys−P Lys

配列番号11(表12から)
Sar Trp Thr Leu Asn Xaa Xaa Gly Tyr Leu Leu Gly Pro Lys Lys Lys−P Lys


配列番号12(表12から)
Sar Trp Thr Leu Asn Ser Xaa Xaa Tyr Leu Leu Gly Pro Lys Lys Lys−P Lys

配列番号13(表12から)
Sar Trp Thr Leu Asn Ser Ala Gly Tyr Xaa Xaa Gly Pro Lys Lys Lys−P Lys

配列番号14(表12から)
Sar Trp Thr Leu Asn Ser Ala Gly Tyr Leu Xaa Xaa Pro Lys Lys Lys−P Lys

配列番号15(表12から)
Sar Trp Thr Leu Asn Ser Ala Gly Tyr Leu Leu Xaa Xaa Lys Lys Lys−P Lys

配列番号16(表12から)
Sar Trp Thr Leu Asn Xaa Xaa Xaa Tyr Leu Leu Gly Pro Lys Lys Lys−P Lys

配列番号17(表12から)
Sar Trp Xaa Xaa Asn Xaa Xaa Xaa Tyr Leu Leu Gly Pro Lys Lys Lys−P Lys

(表12からの配列(配列番号9−17)において「Xaa」はスペーサーを表わし、いかなる長さでもよい)。
【0332】

配列番号18(表13から)
Sar Trp Thr Leu Asn Ser Ala Gly Tyr Leu Leu Gly Pro Lys Lys Lys−P Lys

配列番号19(表13から)
Sar Trp Thr Leu Asn Ser Ala Gly Tyr Leu Leu Gly Lys Lys Lys Lys−P Lys

配列番号20(表13から)
Sar Trp Thr Leu Asn Ser Ala Gly Tyr Leu Leu Lys Lys Lys Lys Lys−P Lys

配列番号21(表13から)
Sar Trp Thr Leu Asn Ser Ala Gly Tyr Leu Leu Gly Pro Lys Lys Lys Lys

配列番号22(表13から)
Sar Trp Thr Leu Asn Ser Ala Gly Tyr Leu Leu Gly Pro Lys Lys−P Lys Lys

配列番号23(表13から)
Sar Trp Thr Leu Asn Ser Ala Gly Tyr Leu Leu Gly Pro Lys−P Lys Lys Lys

配列番号24(表13から)
Sar Trp Thr Leu Asn Ser Ala Gly Tyr Leu Leu Gly Pro D−Lys D−Lys Lys−P D−Lys

配列番号25(表13から)
Sar Trp Thr Leu Asn Ser Ala Gly Tyr Leu Leu Gly Pro h−Lys h−Lys Lys−P h−Lys

配列番号26(表13から)
Sar Trp Thr Leu Asn Ser Ala Gly Tyr Leu Leu Gly Pro DAB DAB Lys−P DAB

配列番号27(表13から)
Sar Trp Thr Leu Asn Ser Ala Gly Tyr Leu Leu Gly Pro Lys Lys TDA Lys

配列番号28(表13から)
Sar Trp Thr Leu Asn Ser Ala Gly Tyr Leu Leu Gly Pro Lys Lys DPA Lys
表3からの上記配列(配列番号18−28)において、TDAは2−アミノ−テトラデカン酸であり、DABはジアミノ酪酸であり、D−LysはLysのD−異性体であり、h−Lysはホモ−Lysであり、DPAは3,3−ジフェニルアラニンである。
【0333】
配列番号29(表13から)
Sar Trp Thr Leu Asn Ser Ala Gly Tyr Leu Leu Gly Pro Lys Lys Lys−P Lys X
式中、Xは、12−アミノ−ドデカン酸または2−アミノ−テトラデカン酸を表わす。
【0334】

配列番号30(ソマトスタチン野生型)
Ala Gly Cys Lys Asn Phe Phe Trp Lys Thr Phe Thr Ser Cys

配列番号31(表5から)
Ala Ala Cys Lys DAB Phe Phe D−Trp Lys DAP Phe DAP DAP Cys

配列番号32(表5から)
Ala Gly Cys Lys−P Lys−P Phe Phe D−Trp Lys Thr Phe Thr Ser Cys


配列番号33(表5から)
Ala Gly Cys Lys Asn Cl−Phe Cl−Phe D−Trp Lys Thr Cl−Phe Thr Ser Cys

配列番号34(表5から)
Ala Ala Cys Lys DAB Phe Phe L−Trp Lys DAP Phe DAP DAP Cys

配列番号35(表5から)
Ala Gly Cys Lys−P Lys−P Phe Phe L−Trp Lys Thr Phe Thr Ser Cys


配列番号36(表5から)
Ala Gly Cys Lys Asn Cl−Phe Cl−Phe L−Trp Lys Thr Cl−Phe Thr Ser Cys

表5からの上記配列において、DABはジアミノ酪酸であり、DAPはジアミノプロピオン酸であり、Lys−palmはLys−パルミトイルであり、およびCl−Pheはクロロ−Pheである。
【0335】

配列番号37(表9から)
Sar Trp Thr Leu Asn Ser Ala Gly Tyr Leu Leu Gly Lys−p Lys−p Lys−p Val

配列番号38(表9から)
Sar Trp DAP Leu Asn DAP DAP Gly Tyr Leu Leu Gly DAB His DAP DAB

配列番号39(表9から)
Sar Trp Thr Leu Asn Ser Ala Gly Cl−Tyr Leu Leu Gly Pro His Ala Val

配列番号40(修飾を有するオクトレオチド)
D−Phe Cys Phe D−Trp Lys Thr Cys Thr(ol)

配列番号41(SOM−BBB1)
(NN3APG)(AHX)AGCKNFFWKTFTSC

配列番号42(SOM−BBB2)
(NN3APG)(AHX)AGCKNFF(DW)KT(Cl−Phe)T(Dap)C

配列番号43(SOM−BBB3)
W(AHX)KKCKNFF(DW)KT(Cl−Phe)(Dab)(Dab)C

配列番号44(SOM−BBB21)
KK(Lys−P)K(AHX)(DF)CF(DW)KTC−Thr(ol)

配列番号45(SOM−BBB22)
KKK(Lys−P)K(AHX)(AHX)(DF)CF(DW)KTC−Thr(ol)

配列番号46(SOM−BBB23)
(Lys−P)KK(Lys−P)K(AHX)(DF)CF(DW)KTC−Thr(ol)

配列番号47(SOM−BBB24)
KK(Lys−P)K(AHX)KK(Lys−P)K(AHX)(DF)CF(DW)KTC−Thr(ol)

配列番号48(SOM−BBB25)
(PFHA)K(DK)K(ACPA)KK(Lys−P)K(AHX)(DF)CF(DW)KTC−Thr(ol)

配列番号41−48に関して、(AHX)はアミノヘキサン酸である;(Dab)=ジアミノ酪酸;(Dap)=ジアミノプロピオン酸;(Tle)=tert−ロイシン; (Cl−Phe)=4−クロロフェニルアラニン;
(NN3APG)=N,N−ビス(3−アミノプロピル)グリシン;(AHX)=アミノヘキサン酸;(Lys−P)=Lys−パルミトイル;Thr(ol)=トレオニノール;DK、DF、DWはD−異性体を表わす;PFHAは2H,2H,3H,3H−ペルフルオロへプタン酸である;およびACPAは8−アミノカプリル酸である。
【0336】

配列番号49 GAL−BBB3
WTLNSAGYLLGPKKXK−NH2

配列番号50 GAL−BBB4
Sar−WTLNSAGYLLGP(D−Lys)(D−Lys)X(D−Lys)−NH

配列番号51 GAL−BBB5
Sar−WTLNSAGYLLGPRRXR−NH2

配列番号52 GAL−BBB6
Sar−WTLNSAGYLLGPHHXH−NH2

配列番号53 GAL−BBB7
Sar−WTLNSAGYLLKKKKXK−NH2

配列番号54 GAL−BBB8
Sar−WTLNSAGYLLKKXK−NH2

配列番号49−54において、Sarはサルコシンであり、およびXはLys−パルミトイル残基である。
【0337】

配列番号55 DSIP−BBB8
(AHX)GGWAGGDASGE

配列番号56
(Sar)WTLNSAGYLLGPKK(Lys−P)K

配列番号57
WTLNSAGYLLGPKK(Lys−P)K

配列番号58
(DK)(DK)(DK)(Kp)GGWAGGDASGE

配列番号59
(Sar)WTLNSAGYLLGPRR(Lys−P)R

配列番号60
(Sar)WTLNSAGYLLKKKK(Lys−P)K

配列番号61
(Sar)WTLNSAGYLLGPKKKK

配列番号62
(Sar)WTLNSAGYLLKK(Lys−P)K

配列番号63
(Sar)WTLNSAGYKK(Lys−P)K

配列番号64
(Sar)WTLNSAGYLLGP(Ahx)KK(Lys−P)K

配列番号65
(Sar)WTLNSAGY(Ahx)KK(Lys−P)K

配列番号66
(Sar)WTLNSAGYKK(Lys−P)K

配列番号67
(Sar)WTLNSAGY(Ahx)KK(Lys−P)K

配列番号68
(Sar)WTLNSAGYLLGPHA(Lys−P)

配列番号69
(Sar)WTLNSAGYLLGPK(Lys−P)

配列番号70
(Sar)WTLNSAGYLLGPRR(Lys−P)R

配列番号71
(Sar)WTLNSAGYLLKKKK(Lys−P)K

配列番号72
(Sar)WTLNSAGYLLKK(Lys−P)K

配列番号73
(Sar)WTLNSAGYLLGP(Orn)(Orn)(Lys−P)(Orn)

配列番号74
(Sar)WTLNSAGYLLGP(Dab)(Dab)(Lys−P)(Dab)

配列番号75
(Sar)WTLNSAGYLLGPbKbK(Lys−P)bK

配列番号76
(Sar)WTLNSAGYLLGPHH(Lys−P)H

配列番号77
(Sar)WTLNSAGYLLGP(Lys−P)KKK

配列番号78
(Sar)WTLNSAGYLLGPK(Lys−P)KK

配列番号79
(Sar)WTLNSAGYLLGPKKK(Lys−P)

配列番号80
(Sar)WTLNSAGY(スペルミンS)(Lys−P)

配列番号81
(Sar)WTLNSAGYLLGPKK(Lys−P)−(スペルミンS)

配列番号82
(Sar)WTLNSAGYLLGPKK(Glu−スペルミン)K

配列番号83
(Sar)WTLNSAGYLLGPKK(Lys−スペルミン−パルミトイル)K

配列番号84
(Sar)WTLNSAGYLLGPKK(TDA)K

配列番号85
(Sar)WTLNSAGYLLGPKK(NorL)K

配列番号86
(Sar)WTLNSAGYLLGPKK(Man)K

配列番号87
(Sar)WTLNSAGYLLGPKK(Mel)K

配列番号88
(Sar)WTLNSAGYLL(1PEG)KK(Lys−P)K

配列番号89
(Sar)WTLNSAGYLL(5AVA)KK(Lys−P)K

配列番号90
(Sar)WTLNSAGYL(2PEG)KK(Lys−P)K


配列番号91
(Sar)WTLNSAGYL(8AOA)KK(Lys−P)K

配列番号92
(Sar)WTLNSAGY(1PEG)(5AVA)KK(Lys−P)K

配列番号93
【0338】
【化5】


配列番号94
【0339】
【化6】


配列番号95
【0340】
【化7】


配列番号96
GWTLNSAGYLLGPHAI

配列番号97
GWTLNSAGYLLGPH

配列番号98
GWTLNSAGYLLG

配列番号99
GWTLNSAGYL

配列番号100
GWTLNSAGY

上記配列において:
Ahx=アミノヘキサン酸
K=リシンのD−異性体
orn=オルニチン
Dab=2,4−ジアミノ酪酸
K=β−ホモ−リシン
スペルミンS=スペルミン−Nコハク酸
TDA=テトラデカン酸
NorL=ノルロイシン
man=L−Ser−β−メリビオース
1−PEG=5−アミノ−3−オキサペンタン酸5AVA=5−アミノ吉草酸
2−PEG=8−アミノ−3,6−ジオキサオクタン酸
8AOA=8−アミノオクタン酸
配列番号101
Phe−Cys−Phe−Trp−Lys−Thr−Cys−Thr−NH

配列番号102
Trp−Ala−Gly−Gly−Asp−Phe−Ser−Gly−Glu

配列番号103
Tyr−Gly−Gly−Phe−Leu−Arg−Arg−Ile−Arg−Pro−Lys−Leu−Lys−Trp−Asp−Asn−Gln

配列番号104
PAEDLARYYSALRAYINLITRQRY−NH
配列番号: 105
KK(Kp)KX (式中、Xはいかなる長さまたはいかなるアミノ酸でもよい)

配列番号106
KK(Kp)KGX(式中、Xはいかなる長さまたはいかなるアミノ酸でもよい)

配列番号107
KK(Kp)K(Ahx)−(神経ペプチド)(式中、Xはいかなる長さまたはいかなるアミノ酸でもよい)

配列番号108
KK(Kp)K(Ahx)G−(神経ペプチド)(式中、Xはいかなる長さまたはいかなるアミノ酸でもよい)

配列番号109
Tyr−Gly−Gly−Phe−Leu−Arg−Arg−Ile−Arg−Pro−Lys−Leu−Lys−Lys−(Lys−palm)−Lys−NH

配列番号110
Tyr−Gly−Gly−Phe−Leu−Arg−Arg−Ile−Arg−Pro−Lys−Leu−Lys− Lys−Lys−(Lys−palm)−Lys−NH

配列番号111
Tyr−Gly−Gly−Phe−Leu−Arg−Arg−Ile−Arg−Pro−Lys−Lys−Lys−(Lys−palm)−Lys−NH

配列番号112
Tyr−Gly−Gly−Phe−Leu−Arg−Arg−Ile−Arg−Pro−Lys−Leu−Lys−(Ahx)−Lys−Lys−(Lys−palm)−Lys− NH

配列番号113
KKK(Kp)(Ahx)RAYINLITRQRY−NH

配列番号114
KK(Kp)K(Ahx)RAYINLITRQRY−NH

配列番号115
KK(Kp)K−[X(13−36)](式中、X(13−36)は神経ペプチドY類似体を表わす)

配列番号116
KK(Kp)KG−[X(13−36)](式中、X(13−36)は神経ペプチドY類似体を表わす)

配列番号117
KK(Kp)K(Ahx)−[X(13−36)](式中、X(13−36)は神経ペプチドY類似体を表わす)

配列番号118
KK(Kp)K(Ahx)G−[X(13−36)](式中、X(13−36)は神経ペプチドY類似体を表わす)

配列番号119
(Sar)WTLNSAGY(D−Lys)(D−Lys)(Lys−P)(D−Lys)

配列番号120
(Sar)WTLNSAGY(Ahx)(D−Lys)(D−Lys)(Lys−P)(D−Lys)

配列番号121
(Sar)WTLNSAGY(7−Ahp)(D−Lys)(D−Lys)(Lys−P)(D−Lys)

配列番号122
(Sar)WTLNSAGY(3,5−ジブロモ−Tyr)LLGPKK(Lys−P)K

配列番号123
(Sar)WTLNSAGYLLGPHH(Lys−P)K

配列番号124
(Sar)WTLNSAGYLLGPKK(Cys−Mmt)K

配列番号125
(Sar)WTLNSAGYLLGPKK(Lys−ビオチン−アミノカプロイル)K

配列番号126
(Sar)WTLNSAGYLLGPKK(Lys−ステロール)K

配列番号127
(Sar)WTLNSAGYLLGPKK(Lys−デカノイル)K

配列番号128
(Sar)WTLNSAGYLLGPKK(Lys−オクタノイル)K

配列番号129
(Sar)WTLNSAGYLLGPKK(Lys−リノイル)K

配列番号130
(Sar)WTLNSAGYLLGPKK(Ser−メリビオース)K

配列番号131
(Sar)WTLNSAGYLLGPKK(Lys−アダマントイル)K

配列番号132
(Sar)WTLNSAGYLLGPKK(Glu(β−Lac−PEG3−アミン))K

配列番号133
(Sar)WTLTSAGYLLGPKK(Lys−パルミトイル)K

配列番号134
(Sar)WTLLSAGYLLGPKK(Lys−パルミトイル)K

配列番号135
(Sar)WTLDSAGYLLGPKK(Lys−パルミトイル)K

配列番号136
(Ahx)GGWAGGDASGE

配列番号137
(Palm)GGWAGGDASGE

配列番号138
(Kp)GGWAGGDASGE

配列番号139
KKK(Kp)GGWAGGDASGE

配列番号140
KK(Kp)KGGWAGGDASGE

配列番号141
KKKGGWAGGDASGE

配列番号58および135−141に関して、(K)はD−Lysであり、(K)はLys−パルミトイルであり、Axhはアミノヘキサン酸であり、Palmはパルミチン酸である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本願明細書に記載された発明。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【公開番号】特開2012−229241(P2012−229241A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−152861(P2012−152861)
【出願日】平成24年7月6日(2012.7.6)
【分割の表示】特願2008−549570(P2008−549570)の分割
【原出願日】平成19年1月5日(2007.1.5)
【出願人】(506051429)ユニバーシティ オブ ユタ リサーチ ファウンデーション (25)
【Fターム(参考)】