説明

神経線維腫症の処置のためのピリミジルアミノベンズアミド誘導体

【課題】非癌性、良性脳腫瘍の処置用薬剤の製造のためのピリミジルアミノベンズアミド誘導体、および非癌性、良性脳腫瘍の処置法に関する。
【解決手段】非癌性、良性脳腫瘍の処置用、とりわけNFの治癒的および/または予防的処置用薬剤の製造のためのピリミジルアミノベンズアミド誘導体、および非癌性、良性脳腫瘍の処置方法、とりわけNFの治癒的および/または予防的処置の方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の概要
本発明は、非癌性、良性脳腫瘍の処置、とりわけ髄膜腫、シュワン腫、頭蓋咽頭腫、類皮、類表皮、血管芽腫、脈絡叢乳頭腫および松果体領域腫瘍;とりわけ神経線維腫症1型および2型と関連する腫瘍、および頭蓋底に沿って起こる腫瘍の治癒的および/または予防的処置のための、および処置用薬剤の製造のためのピリミジルアミノベンズアミド誘導体に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
神経線維腫症(NF)は、骨、軟組織、皮膚および神経系に影響する遺伝的障害である。それは神経線維腫症1型(NF1)および神経線維腫症2型(NF2)に分類され、各々新生児の約1/3,000および1/50,000に起こる。本障害は、染色体17に位置する遺伝子の変異に由来するNF1のおよび染色体22上のNF2の遺伝定期欠損の結果として起こる。
【0003】
フォンレックリングハウゼン病としても知られるNF1は、米国の生存新生児の約1/4,000に見られる遺伝的疾患である。NF1は、カフェオレ斑(皮膚脱色)、皮膚神経線維腫および虹彩小結節(Lisch nodule)の3つにより特徴付けられる。本障害の他の特性は、骨格異形成、血管異形成、学習障害、発作および神経堤起源の他の腫瘍、例えば褐色細胞腫を含み得る。加えて、NF1患者の約10−15%が低グレード星状細胞腫を、およびそれより一般的ではないが、上衣腫(ependymoas)または髄膜腫を有する。
【0004】
NF2は、両側性前庭シュワン腫と関連する耳鳴り、難聴および平衡感覚異常の症状により特徴付けられる。他の発見は、他の頭蓋および末梢神経のシュワン腫、髄膜腫および若年性後嚢下白内障(contaract)を含む。
【0005】
NFの両方の型は、神経線維腫と呼ばれる良性腫瘍の増殖により特徴付けられる。これらの腫瘍は神経細胞がある体内の全ての場所で増殖できる。これは、皮膚表面直下の神経、ならびに体内の深いところ、脊髄および/または脳の神経を含む。神経線維腫は通常末梢神経線維に起因する。
【0006】
NF1おいて、神経線維腫は上で皮膚または眼への神経上で最も一般的に増殖する。眼への神経上で増殖する腫瘍は視神経膠腫と呼ばれ、それが大きく増殖したならば失明を含む視野の問題を引き起こし得る。
【0007】
処置しないならば、神経損傷は、長骨の奇形、脊柱の湾曲、低身長および成長ホルモン不全のような、その神経により刺激される領域の機能の喪失に至る重篤な神経障害をもたらし得る。視神経上の腫瘍は失明を、胃腸管の腫瘍は出血または閉塞を、脳の腫瘍は学習困難(言語問題)、行動問題(学習障害または精神遅延)、難聴、増加した癲癇のリスクの原因となり得る。
【0008】
現在NFのために利用可能な唯一の処置は手術である。
NF1遺伝子は、Ras GTPase活性化タンパク質の一部としての機能が仮説立てられている腫瘍サプレッサーであるニューロフィブロミンをコードする。RasはPDGFRおよびKit受容体シグナル伝達の下流要素であり、それはNF1陽性細胞で上方制御されていることが判明している。
【0009】
PDGFRおよびKit受容体シグナル伝達両方の阻害剤として、AMN107はNFの処置に有益である可能性を有する。
【発明の概要】
【0010】
発明の概要
本発明は、式(I):
【化1】

〔式中、
は、水素、低級アルキル、低級アルコキシ−低級アルキル、アシルオキシ−低級アルキル、カルボキシ−低級アルキル、低級アルコキシカルボニル−低級アルキルまたはフェニル−低級アルキルであり;
は、水素、低級アルキル(所望により1個以上の同一または異なるRで置換されていてよい)、シクロアルキル、ベンズシクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール基、または0個、1個、2個もしくは3個の環窒素原子および0個もしくは1個の酸素原子および0個もしくは1個の硫黄原子を含む単または二環式ヘテロアリール基(これらの基はいずれの場合も非置換であるか一もしくは多置換されている)であり;そして
は、ヒドロキシ、低級アルコキシ、アシルオキシ、カルボキシ、低級アルコキシカルボニル、カルバモイル、N−モノ−またはN,N−ジ−置換カルバモイル、アミノ、モノ−またはジ−置換アミノ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール基、または0個、1個、2個もしくは3個の環窒素原子および0個もしくは1個の酸素原子および0個もしくは1個の硫黄原子を含む単または二環式ヘテロアリール基(これらの基はいずれの場合も非置換であるか一もしくは多置換されている)であるか、または
およびRは、一緒になって4個、5個または6個の炭素原子のアルキレン(所望により低級アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、フェニル、ヒドロキシ、低級アルコキシ、アミノ、モノ−またはジ−置換アミノ、オキソ、ピリジル、ピラジニルまたはピリミジニルで一または二置換されている);4個または5個の炭素原子のベンズアルキレン;1個の酸素および3個または4個の炭素原子のオキサアルキレン;または1個の窒素および3個または4個の炭素原子のアザアルキレン(ここで、窒素は非置換であるか、または低級アルキル、フェニル−低級アルキル、低級アルコキシカルボニル−低級アルキル、カルボキシ−低級アルキル、カルバモイル−低級アルキル、N−モノ−またはN,N−ジ−置換カルバモイル−低級アルキル、シクロアルキル、低級アルコキシカルボニル、カルボキシ、フェニル、置換フェニル、ピリジニル、ピリミジニルまたはピラジニルにより置換されている)であり;
は、水素、低級アルキルまたはハロゲンである。〕
のピリミジルアミノベンズアミド化合物(以後:“ピリミジルアミノベンズアミド誘導体”);およびそのような化合物のN−オキシドまたは薬学的に許容される塩の、FIP1L1−PDGFRαまたはTEL−PDGFRβ誘発骨髄増殖性疾患の処置のための、とりわけイマチニブに耐性の骨髄単球性白血病、好酸球増加症候群、慢性好酸球性白血病および好酸球増加症候群またはイマチニブに耐性の骨髄単球性白血病の治癒的および/または予防的処置のための医薬組成物の製造における使用に関する。
【0011】
本発明は、さらに、FIP1L1−PDGFRαまたはTEL−PDGFRβにより誘発される骨髄増殖性疾患の予防または処置、とりわけイマチニブに耐性の骨髄単球性白血病、慢性好酸球性白血病、好酸球増加症候群および好酸球増加症候群の治癒的および/または予防的処置のための、式(I)の化合物の使用に関する。
【0012】
前記および後記で使用する一般的用語は、特記しない限り、好ましくは本明細書の文脈内で以下の意味を有する:
接頭語“低級”は、最大7個までの(7個を含む)炭素原子、とりわけ最大4個までの(4個を含む)炭素原子を有するラジカルを意味し、当該ラジカルは直鎖でも、一箇所または複数箇所分枝で分枝していてもよい。
【0013】
化合物、塩などについて複数形を使用するとき、これはまた単独の化合物、塩なども意味するととるべきである。
全ての不斉炭素原子は(R)−、(S)−または(R,S)−配置、好ましくは(R)−または(S)−配置で存在できる。故に、本化合物は異性体混合物として、または純粋な異性体として、好ましくはエナンチオマー純粋なジアステレオマーとして存在できる。
本発明はまた式(I)の化合物の可能性のある互変異性体にも関する。
【0014】
低級アルキルは、好ましくは1個から(1個を含む)から7個(7個を含む)、好ましくは1個から(1個を含む)から4個(4個を含む)のアルキルであり、直鎖または分枝鎖である;好ましくは、低級アルキルはブチル、例えばn−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、プロピル、例えばn−プロピルまたはイソプロピル、エチルまたはメチルである。好ましくは低級アルキルはメチル、プロピルまたはtert−ブチルである。
低級アシルは好ましくはホルミルまたは低級アルキルカルボニル、特に、アセチルである。
【0015】
アリール基は、芳香族性ラジカルであり、それは本分子に該ラジカルの芳香環炭素原子に位置する結合を介して結合している。好ましい態様において、アリールは、6−14個の炭素原子を有する芳香族性ラジカル、とりわけフェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、フルオレニルまたはフェナントレニルであり、非置換であるか、または、とりわけアミノ、モノ−またはジ−置換アミノ、ハロゲン、低級アルキル、置換低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、フェニル、ヒドロキシ、エーテル化またはエステル化ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、カルボキシ、エステル化カルボキシ、アルカノイル、ベンゾイル、カルバモイル、N−モノ−またはN,N−ジ−置換カルバモイル、アミジノ、グアニジノ、ウレイド、メルカプト、スルホ、低級アルキルチオ、フェニルチオ、フェニル−低級アルキルチオ、低級アルキルフェニルチオ、低級アルキルスルフィニル、フェニルスルフィニル、フェニル−低級アルキルスルフィニル、低級アルキルフェニルスルフィニル、低級アルキルスルホニル、フェニルスルホニル、フェニル−低級アルキルスルホニル、低級アルキルフェニルスルホニル、ハロゲン−低級アルキルメルカプト、ハロゲン−低級アルキルスルホニル、例えばとりわけトリフルオロメタンスルホニル、ジヒドロキシボラ(−B(OH))、ヘテロシクリル、単または二環式ヘテロアリール基および、該環の隣接するC原子に結合している低級アルキレンジオキシ、例えばメチレンジオキシから成る群から選択される1個以上、好ましくは3個まで、とりわけ1個または2個の置換基で置換されている。アリールは、より好ましくはフェニル、ナフチルまたはテトラヒドロナフチルであり、これらはいずれも非置換であるか、ハロゲン、とりわけフッ素、塩素または臭素;ヒドロキシ;低級アルキル、例えば、メチル、ハロゲン−低級アルキル、例えば、トリフルオロメチル、またはフェニルでエーテル化されたヒドロキシ;2個の隣接するC原子に結合している低級アルキレンジオキシ、例えば、メチレンジオキシ、低級アルキル、例えば、メチルまたはプロピル;ハロゲン−低級アルキル、例えば、トリフルオロメチル;ヒドロキシ−低級アルキル、例えば、ヒドロキシメチルまたは2−ヒドロキシ−2−プロピル;低級アルコキシ−低級アルキル;例えば、メトキシメチルまたは2−メトキシエチル;低級アルコキシカルボニル−低級アルキル、例えば、メトキシカルボニルメチル;低級アルキニル、例えば1−プロピニル;エステル化カルボキシ、とりわけ低級アルコキシカルボニル、例えば、メトキシカルボニル、n−プロポキシカルボニルまたはイソプロポキシカルボニル;N−モノ−置換カルバモイル、特に、低級アルキル、例えば、メチル、n−プロピルまたはイソプロピルで一置換されているカルバモイル;アミノ;低級アルキルアミノ、例えば、メチルアミノ;ジ−低級アルキルアミノ、例えば、ジメチルアミノまたはジエチルアミノ;低級アルキレン−アミノ、例えば、ピロリジノまたはピペリジノ;低級オキサアルキレン−アミノ、例えば、モルホリノ、低級アザアルキレン−アミノ、例えば、ピペラジノ、アシルアミノ、例えば、アセチルアミノまたはベンゾイルアミノ;低級アルキルスルホニル、例えば、メチルスルホニル;スルファモイル;またはフェニルスルホニルを含む群から選択される1個から2個の置換基で独立して置換される。
【0016】
シクロアルキル基は、好ましくはシクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルまたはシクロヘプチルであり、および非置換であるか、またはアリールについて上記の群から選択される1個以上、とくに1個または2個の置換基、最も好ましくは低級アルキル、例えばメチル、低級アルコキシ、例えばメトキシまたはエトキシ、またはヒドロキシで、およびさらにオキソで置換されていてよく、またはベンズシクロペンチルまたはベンズシクロヘキシルにおけるようにベンゾ環に縮合していてよい。
【0017】
置換アルキルは、上で定義のアルキル、とりわけ低級アルキル、好ましくはメチルであり;ここで、主としてハロゲン、とりわけフッ素、アミノ、N−低級アルキルアミノ、N,N−ジ−低級アルキルアミノ、N−低級アルカノイルアミノ、ヒドロキシ、シアノ、カルボキシ、低級アルコキシカルボニル、およびフェニル−低級アルコキシカルボニルから成る群から選択される1個以上、とりわけ3個までの置換基が存在してよい。トリフルオロメチルがとりわけ好ましい。
【0018】
モノ−またはジ−置換アミノは、とりわけ低級アルキル、例えばメチル;ヒドロキシ−低級アルキル、例えば2−ヒドロキシエチル;低級アルコキシ低級アルキル、例えばメトキシエチル;フェニル−低級アルキル、例えばベンジルまたは2−フェニルエチル;低級アルカノイル、例えばアセチル;ベンゾイル;置換ベンゾイル(ここで、フェニルラジカルは、とりわけニトロ、アミノ、ハロゲン、N−低級アルキルアミノ、N,N−ジ−低級アルキルアミノ、ヒドロキシ、シアノ、カルボキシ、低級アルコキシカルボニル、低級アルカノイルおよびカルバモイルから選択される1個以上、好ましくは1個または2個の置換基で置換されている);およびフェニル−低級アルコキシカルボニル(ここで、フェニルラジカルは非置換であるか、またはとりわけニトロ、アミノ、ハロゲン、N−低級アルキルアミノ、N,N−ジ−低級アルキルアミノ、ヒドロキシ、シアノ、カルボキシ、低級アルコキシカルボニル、低級アルカノイル、およびカルバモイルから選択される1個以上、好ましくは1個または2個の置換基で置換されている)から互いに独立して選択される1個または2個のラジカルで置換されているアミノであり;そして好ましくはN−低級アルキルアミノ、例えばN−メチルアミノ、ヒドロキシ−低級アルキルアミノ、例えば2−ヒドロキシエチルアミノまたは2−ヒドロキシプロピル、低級アルコキシ低級アルキル、例えばメトキシエチル、フェニル−低級アルキルアミノ、例えばベンジルアミノ、N,N−ジ−低級アルキルアミノ、N−フェニル−低級アルキル−N−低級アルキルアミノ、N,N−ジ−低級アルキルフェニルアミノ、低級アルカノイルアミノ、例えばアセチルアミノ、またはベンゾイルアミノおよびフェニル−低級アルコキシカルボニルアミノ(いずれの場合もフェニルラジカルは非置換であるか、またはとりわけニトロまたはアミノ、またはハロゲン、アミノ、N−低級アルキルアミノ、N,N−ジ−低級アルキルアミノ、ヒドロキシ、シアノ、カルボキシ、低級アルコキシカルボニル、低級アルカノイル、カルバモイルまたはアミノカルボニルアミノで置換されている)から選択される置換基である。ジ−置換アミノはまた低級アルキレン−アミノ、例えば、ピロリジノ、2−オキソピロリジノまたはピペリジノ;低級オキサアルキレン−アミノ、例えば、モルホリノ、または低級アザアルキレン−アミノ、例えば、ピペラジノまたはN−置換ピペラジノ、例えばN−メチルピペラジノまたはN−メトキシカルボニルピペラジノでもある。
【0019】
ハロゲンは、とりわけフッ素、塩素、臭素、またはヨウ素、とりわけフッ素、塩素または臭素である。
【0020】
エーテル化ヒドロキシは、とりわけC−C20アルキルオキシ、例えばn−デシルオキシ、低級アルコキシ(好ましい)、例えばメトキシ、エトキシ、イソプロピルオキシ、またはtert−ブチルオキシ、フェニル−低級アルコキシ、例えばベンジルオキシ、フェニルオキシ、ハロゲン−低級アルコキシ、例えばトリフルオロメトキシ、2,2,2−トリフルオロエトキシまたは1,1,2,2−テトラフルオロエトキシであるか、または1個または2個の窒素原子を含む単または二環式ヘテロアリールで置換されている低級アルコキシ、好ましくはイミダゾリル、例えば1H−イミダゾール−1−イル、ピロリル、ベンゾイミダゾリル、例えば1−ベンゾイミダゾリル、ピリジル、とりわけ2−、3−または4−ピリジル、ピリミジニル、とりわけ2−ピリミジニル、ピラジニル、イソキノリニル、とりわけ3−イソキノリニル、キノリニル、インドリルまたはチアゾリルで置換されている低級アルコキシである。
【0021】
エステル化ヒドロキシは、とりわけ低級アルカノイルオキシ;ベンゾイルオキシ;低級アルコキシカルボニルオキシ、例えばtert−ブトキシカルボニルオキシ;またはフェニル−低級アルコキシカルボニルオキシ、例えばベンジルオキシカルボニルオキシである。
【0022】
エステル化カルボキシは、とりわけ低級アルコキシカルボニル、例えばtert−ブトキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、メトキシカルボニルまたはエトキシカルボニル、フェニル−低級アルコキシカルボニルまたはフェニルオキシカルボニルである。
アルカノイルは、主にアルキルカルボニル、とりわけ低級アルカノイル、例えば、アセチルである。
【0023】
N−モノ−またはN,N−ジ−置換カルバモイルは、とりわけ低級アルキル、フェニル−低級アルキルおよびヒドロキシ−低級アルキル、または低級アルキレン、オキサ−低級アルキレンまたはアザ−低級アルキレン(所望により末端窒素原子を置換されている)から独立して選択される1個または2個の置換基で置換されている。
【0024】
0個、1個、2個もしくは3個の環窒素原子および0個もしくは1個の酸素原子および0個もしくは1個の硫黄原子を含む単または二環式ヘテロアリール基(これらの基はいずれの場合も非置換であるか一もしくは多置換されている)は、該ヘテロアリールラジカルを式(I)の分子の残りに結合する環が不飽和であるヘテロ環式部分を意味し、そして、好ましくは、結合している環だけでなく、所望により任意の縮合している環において、少なくとも1個の炭素原子が窒素、酸素および硫黄から成る群から選択されるヘテロ原子で置換されている環であり;ここで、結合している環は、好ましくは5から12環原子、より好ましくは5または6環原子を有し;そして非置換であるか、または上記でアリールについて定義の群から選択される1個以上、とりわけ1個または2個の置換基で、最も好ましくは低級アルキル、例えばメチル、低級アルコキシ、例えばメトキシまたはエトキシ、またはヒドロキシで置換されている。好ましくは、本単または二環式ヘテロアリール基は、2H−ピロリル、ピロリル、イミダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ピラゾリル、インダゾリル、プリニル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、4H−キノリジニル、イソキノリル、キノリル、フタラジニル、ナフチリジニル、キノキサリル、キナゾリニル、キノリニル、プテリジニル、インドリジニル、3H−インドリル、インドリル、イソインドリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、フラザニル、ベンゾ[d]ピラゾリル、チエニルおよびフラニルから選択される。より好ましくは、本単または二環式ヘテロアリール基は、ピロリル;イミダゾリル、例えば1H−イミダゾール−1−イル;ベンゾイミダゾリル、例えば1−ベンゾイミダゾリル;インダゾリル、とりわけ5−インダゾリル;ピリジル、とりわけ2−、3−または4−ピリジル;ピリミジニル、とりわけ2−ピリミジニル;ピラジニル;イソキノリニル、とりわけ3−イソキノリニル;キノリニル、とりわけ4−または8−キノリニル;インドリル、とりわけ3−インドリル;チアゾリル;ベンゾ[d]ピラゾリル;チエニル;およびフラニルから成る群から選択される。本発明の一つの好ましい態様において、本ピリジルラジカルは、窒素原子に対してオルト位でヒドロキシにより置換されており、故に、ピリジン−(1H)2−オンである対応する互変異性体の形で少なくとも一部存在する。他の好ましい態様において、ピリミジニルラジカルは、2位および4位の両方をヒドロキシで置換されており、数個の互変異性体形で、例えば、ピリミジン−(1H,3H)2,4−ジオンとして存在する。
【0025】
ヘテロシクリルは、とりわけ窒素、酸素および硫黄から成る群から選択される1個または2個のヘテロ原子を有する5、6または7員ヘテロ環系であり、それは不飽和であるかまたは完全にもしくは一部飽和であってよく、非置換であるか、またはとりわけ低級アルキル、例えばメチル;フェニル−低級アルキル、例えばベンジル、オキソまたはヘテロアリール、例えば2−ピペラジニルで置換されている;ヘテロシクリルは、とりわけ2−または3−ピロリジニル、2−オキソ−5−ピロリジニル、ピペリジニル、N−ベンジル−4−ピペリジニル、N−低級アルキル−4−ピペリジニル、N−低級アルキル−ピペラジニル、モルホリニル、例えば、2−または3−モルホリニル、2−オキソ−1H−アゼピン−3−イル、2−テトラヒドロフラニルまたは2−メチル−1,3−ジオキソラン−2−イルである。
【0026】
塩は、とりわけ式(I)の化合物の薬学的に許容される塩である。
このような塩は、例えば、塩基性窒素原子を有する式(I)の化合物から、好ましくは有機または無機酸と酸付加塩として形成され、とりわけ薬学的に許容される塩である。適当な無機酸は、例えば、ハロゲン酸、例えば塩酸、硫酸またはリン酸である。適当な有機酸は、例えば、カルボン酸、ホスホン酸、スルホン酸またはスルファミン酸、例えば、酢酸、プロピオン酸、オクタン酸、デカン酸、ドデカン酸、グリコール酸、乳酸、フマル酸、コハク酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アミノ酸、例えばグルタミン酸またはアスパラギン酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、メチルマレイン酸、シクロヘキサンカルボン酸、アダマンタンカルボン酸、安息香酸、サリチル酸、4−アミノサリチル酸、フタル酸、フェニル酢酸、マンデル酸、ケイ皮酸、メタン−またはエタン−スルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、エタン−1,2−ジスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、1,5−ナフタレン−ジスルホン酸、2−、3−または4−メチルベンゼンスルホン酸、メチル硫酸、エチル硫酸、ドデシル硫酸、N−シクロヘキシルスルファミン酸、N−メチル−、N−エチル−またはN−プロピル−スルファミン酸;または他の有機プロトン酸、例えばアスコルビン酸である。
【0027】
負に荷電したラジカル、例えばカルボキシまたはスルホの存在下で、塩はまた塩基、例えば、金属またはアンモニウム塩、例えばアルカリ金属またはアルカリ土類金属塩、例えば、ナトリウム、カリウム、マグネシウムまたはカルシウム塩;またはアンモニアまたは適当な有機アミン、例えば3級モノアミン、例えば、トリエチルアミンまたはトリ(2−ヒドロキシエチル)アミン;またはヘテロ環式塩基、例えば、N−エチル−ピペリジンまたはN,N'−ジメチルピペラジンとのアンモニウム塩として形成できる。
塩基性基および酸基が同じ分子に存在するとき、式(I)の化合物はまた分子内塩を形成できる。
【0028】
単離および精製目的で、薬学的に許容されない塩、例えば、ピクリン酸塩または過塩素酸塩を使用することも可能である。治療的使用のために薬学的に許容される塩または遊離化合物のみを用い(適用可能であるならば医薬製剤の形で)、故に、それらが好ましい。
【0029】
遊離形の新規化合物と、中間体として、例えば新規化合物の精製または同定に使用できる塩を含む塩の形の新規化合物の間の密接な関係の観点から、前記および後記で遊離化合物に関する全ての現熏は、適当であり好都合である限り、対応する塩もまた言及すると理解すべきである。
【0030】
式(I)の範囲内の化合物およびそれらの製造方法は、2004年1月15日に公開のWO04/005281に開示されており、これは引用により本明細書に包含させる。好ましい化合物は、式(II):
【化2】

の4−メチル−3−[[4−(3−ピリジニル)−2−ピリミジニル]アミノ]−N−[5−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)−3−(トリフルオロメチル)フェニル]ベンズアミドおよびそれらのN−オキシドおよび薬理学的に許容される塩である。
【0031】
特にピリミジルアミノベンズアミド誘導体化合物について特許出願または科学文献が引用されている各々の場合、最終生成物、医薬製剤および特許請求の範囲の対象をここにこれらの刊行物を引用することにより本明細書に引用する。
【0032】
コード番号、一般名または商品名により同定している活性剤の構造は、標準概論“The Merck Index”の現行版から、データベース、例えば、Patents International、例えば、IMS World Publicationsから取り得る。それらの対応する内容は引用により本明細書に包含させる。
【0033】
ピリミジルアミノベンズアミド誘導体が治療的特性を有し、それによりそれが特に非癌性、良性脳腫瘍、とりわけ神経線維腫症の処置剤として有用となることを、本発明により驚くべきことに発見した。
【0034】
故に、本発明は、非癌性、良性脳腫瘍、とりわけ神経線維腫症処置用薬剤の製造のためのピリミジルアミノベンズアミド誘導体の使用に関する。
本発明は、より特に非癌性、良性脳腫瘍、とりわけ神経線維腫症の処置用薬剤の製造のためのピリミジルアミノベンズアミド誘導体の使用に関する。
【0035】
他の態様において、本発明は非癌性、良性脳腫瘍、とりわけNFの処置方法であって、そのような処置を必要とする哺乳動物に治療的有効量のピリミジルアミノベンズアミド誘導体、またはそれらの薬学的に許容される塩またはプロドラッグを投与することを含む、方法を提供する。
【0036】
好ましくは本発明は、非癌性、良性脳腫瘍、とりわけNFを有する哺乳動物、とりわけヒトの処置方法であって、そのような処置を必要とする哺乳動物に、阻止量の4−メチル−3−[[4−(3−ピリジニル)−2−ピリミジニル]アミノ]−N−[5−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)−3−(トリフルオロメチル)フェニル]ベンズアミド(化合物(II))またはそれらの薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法を提供する。
好ましくは、本方法を、NF1またはNF2の処置に使用する。
【0037】
他の態様において、本発明は、非癌性、良性脳腫瘍、とりわけNFの処置に使用するための医薬組成物の製造のための、ピリミジルアミノベンズアミド誘導体の使用に関する。
【0038】
本明細書中、用語“処置”は、該疾患を発症する危険があるまたは該疾患を発症していることが疑われる、または病気の患者の処置を含む、予防的もしくは防止的処置、ならびに治癒的もしくは疾患抑制的処置の両方を含む。本用語は、該疾患の進行遅延のための処置を含む。
【0039】
ここで使用する用語“治癒的”は、非癌性、良性脳腫瘍、とりわけNFに関与する発症中の事象の処置における効果を意味する。
用語“予防的”は、非癌性、良性脳腫瘍、とりわけNFに関与する疾患の発症または再発の予防を意味する。
【0040】
ここで使用する用語“進行遅延”は、処置すべき疾患の前段階または初期にある患者への活性化合物の投与を意味し、ここで、該患者は、例えば、対応する疾患の前形態であることが診断されているか、または、該患者は、例えば医学的処置または事故に起因する状態にあって対応する疾患を発症しそうな状態にある。
【0041】
この予測的内範囲の特性は、ピリミジルアミノベンズアミド誘導体の使用が、非癌性、良性脳腫瘍、とりわけNFの処置用薬剤の製造において特に興味深いことを意味する。
【0042】
ピリミジルアミノベンズアミド誘導体が非癌性、良性脳腫瘍、とりわけNFの処置に良好な治療域および他の利点を有して特に適当であることを証明するために、臨床試験を当業者に既知の方法で実施できる。
【0043】
非癌性、良性脳腫瘍、とりわけNFの阻止のために用いるべきピリミジルアミノベンズアミド誘導体の厳密な用量は、宿主、処置すべき状態の性質および重症度、投与方式を含む数個の因子に依存する。式(I)の化合物は、経口、非経腸、例えば、腹腔内、静脈内、筋肉内、皮下、腫瘍内、または直腸、または経腸を含む任意の経路で投与できる。好ましくは、式(I)の化合物を経口で、好ましくは1−300mg/kg体重の1日量で、または、ほとんどの大型哺乳動物について、50−5000mg、好ましくは500−3000mgの1日量で投与する。好ましい経口1日量は1−75mg/kg体重であるか、または、ほとんどの大型哺乳類について10−2000mgの1日量であり、1回投与でまたは1日2回投与のような複数回投与に分けて投与する。
【0044】
通常、最初に少量を投与し、用量を処置下の宿主について最適用量が決定されるまで徐々に増加させる。投与量の上限は、副作用により課せられ、処置している宿主について試験により決定できる。
【0045】
式(I)の化合物を1個以上の薬学的に許容される担体と、および、所望により、1個以上の他の慣用のアジュバントと組み合わせてよく、経腸的に、例えば、経口で、錠剤、カプセル剤、カプレットなどの形で、などまたは非経腸的に、例えば、腹腔内または静脈内に、滅菌注射可能溶液または懸濁液の形で投与する。経腸および非経腸組成物は慣用の手段で製造できる。
【0046】
ピリミジルアミノベンズアミド誘導体は、単独で、またはこれらの病因に使用するための少なくとも1種の薬学的活性化合物と組み合わせて使用できる。これらの活性化合物は、同じ医薬製剤内に組み合わせてよく、または、組合せパートナーを独立して投与でき、または異なった量の組合せパートナーと異なって固定された組合せの使用により、すなわち、同時にまたは異なる時点で投与できる点で、組合せ製剤“複数パーツのキット”の形である。次いで、本複数パーツのキットのパーツを、例えば、同時にまたは時間的にずらして、すなわち、異なる時点で、そして複数パーツのキットの任意のパーツと等しいまたは異なる間隔で投与できる。ピリミジルアミノベンズアミド誘導体との組合せ使用できる、記載すべき化合物の非限定的例は、例えばシトシンアラビノシド、ダウノルビシン、ドキソルビシン、シクロホスファミド、VP−16またはイマチニブなどである。さらに、ピリミジルアミノベンズアミド誘導体は、他のシグナル伝達阻害剤または他の癌遺伝子標的剤と、顕著な相乗性がもたらされることを期待して組み合わせられる。
【0047】
本発明は、さらに、前記の疾患および状態の処置のための、前記のピリミジルアミノベンズアミド誘導体とイマチニブの組合せに関する。このような組合せの投与は同時に、すなわち、固定された組合せ医薬組成物または製剤の形で、または連続的にもしくは時間的にずれて行ってよい。前記の投与形のピリミジルアミノベンズアミド誘導体および米国でGLEEVEC(登録商標)/欧州でGLIVEC(登録商標)であるその市販された形のイマチニブのこれらの投与形態で認識される用量での投与が、現在好ましい。
【0048】
上記の組合せでの非癌性、良性脳腫瘍、とりわけNFの処置は、疾患の重症度または段階、ならびに患者の全体的状態などに依存して、いわゆる第一選択処置、すなわち、以前に化学療法を受けていない新たに診断された疾患処置であってよく、または、いわゆる第二選択処置、すなわち、イマチニブまたはピリミジルアミノベンズアミド誘導体で先に処置された後の処置であってよい。
【実施例】
【0049】
実施例1
c−KitおよびPDGF−Rチロシンキナーゼ活性の阻害剤としての式(I)の化合物の効果を以下の通り証明できる:
BaF3−Tel−PDGFRbetaおよびBaF3−KitD816Vは、各々Tel融合活性化PDGFβ−R野生型(Golub T.R. et al., Cell 77(2):307−316, 1994)またはD816V変異活性化c−kitで安定にトランスダクションすることによりIL−3非依存性を付与されたBaF3マウスproB細胞リンパ腫細胞誘導体である[BaF3細胞株はGerman Collection of Microorganisms and Cell Cultures (DSMZ), Braunschweig, Germanyから入手可能である]。細胞を、2%L−グルタミン(Animed # 5−10K50−H)および10%ウシ胎児血清(FCS, Animed # 2−01F16−I)を補ったRPMI−1640(Animed # 1−14F01−I)で培養する。野生型のトランスフェクトしていないBaF3細胞を、上記培地+10U/ml IL−3(マウスインターロイキン−3、Roche # 1380745)に維持する。
【0050】
細胞を、3×10細胞/mlの最終密度まで新鮮培地で希釈し、50μlアリコートを96ウェルプレートに播種する(1.5×10細胞/ウェル)。50μl 2×化合物溶液を添加する。内部対照として、キナーゼ阻害剤PKC412を慣習的に使用する。DMSO(0.1%最終濃度)で処置した対照細胞を増殖対照として使用する(100%増殖と設定)。加えて、プレートブランク値を、100μlの培地のみを含み、細胞を含まないウェルにおいて慣習的に決定する。IC50決定を、10μMで開始する試験化合物の8個の3倍連続希釈を基に指定行う。細胞を48時間、37℃および5%COでインキュベーション後、阻害剤の細胞生存能に対する効果を、レサズリンナトリウム塩色素還元アッセイ(AlamarBlueアッセイとして商業的に既知)により、基本的に先に記載の通り(O'Brien J. et al., Eur. J. Biochem. 267:5421−5426, 2000)アッセイする。10μl/ウェルのAlamarBlueを添加し、プレートを6時間、37℃および5%COでインキュベートする。その後、蛍光を、以下の設定のGemini 96ウェルプレートリーダー(Molecular Devices)を使用して測定する:励起544nmおよび放出590nm。
獲得した生データをエクセルファイル形式にエクスポートする。データ分析のために、プレートブランク値を全データ点から引く。次いで、AlamarBlue読み出しによる化合物の抗増殖性効果を、100%と設定した対照細胞の値のパーセンテージとして計算した。IC50値を、XLfitソフトウェアプログラムを使用して決定する。式Iの化合物は、c−KitおよびPDGFβ−Rについて0.0003から20μM、とりわけ0.001から0.1μMの範囲のIC50を示す。
【0051】
実施例2
aa 544−976をコードするヒトKIT遺伝子を、バキュロウウイルスドナーベクターpFB−GST−01にクローン化した。このコード配列を、制限エンドヌクレアーゼBam H1およびEcoR1を使用して切断し、Bac−to−BacドナーベクターpFB−GEX−P1に適合性の末端でライゲートした。その後、所望の変異をKIT遺伝子にもたらした(Dr. M Heinrichによる)。変異コード配列を産生するために使用した元のプラスミド内のフレームシフトのために、変異プラスミドを、各変異体について制限酵素BamH1−EcoR1を使用して切断し、Bac−to−BacドナーベクターpFB−GST−01に挿入した。自動化配列決定は、各変異プラスミドについて存在すべき正しい配列を確認した。
【0052】
バクミドDNAを、材料および方法において記載したpFB−G01−KIT変異プラスミドクローンで変異させたDH10Bac細胞の各々の10コロニーから産生し、Sf9細胞にこれらをトランスフェクトした。トランスフェクトした細胞をペレット化し、上清培地に存在する、得られた組み換えバキュロウイルスを増幅した。ウェスタンブロット法を融解した細胞ペレットに適用し、抗KITおよび抗GST抗体を使用した免疫検出(immonudetection)のために、ウイルスクローンによるGST−c−KIT融合タンパク質の発現を確認した。
【表1】

【0053】
ウイルス含有培地をトランスフェクトした細胞培養から回収し、その力価を増加させるための感染に使用した。2ラウンドの感染後に得たウイルス含有培地を、大規模タンパク質発現のために使用した。大規模タンパク質発現のために、100cm円型組織プレートに、5×10細胞/プレートで播種し、1mLのウイルス含有培地(約5MOI)で感染させた。3日後、細胞をプレートから剥がし、500rpmで5分遠心分離した。10−20個の100cmプレートから得た細胞ペレットを50mLの氷冷溶解緩衝液(25mM Tris−HCl、pH7.5、2mM EDTA、1%NP−40、1mM DTT、1mM PMSF)に再懸濁した。細胞を氷上で15分撹拌し、次いで5000rpmで20分遠心分離した。
【0054】
遠心した細胞融解物を2mL グルタチオン−セファロースカラム(Pharmacia)に載せ、3回、10mLの25mM Tris−HCl、pH7.5、2mM EDTA、1mM DTT、200mM NaClで洗浄した。次いで、GST標識タンパク質を、25mM Tris−HCl、pH7.5、10mM 還元−グルタチオン、100mM NaCl、1mM DTT、10%グリセロールの10適用(各1mL)により溶出し、−70℃で貯蔵した。
【0055】
種々のKit変異体200−500ngのタンパク質キナーゼ活性を、阻害剤の存在下または非存在下、20mM Tris−HCl、pH7.6、3mM MnCl、3mM MgCl、1mM DTT、10μM NaVO、3μg/mL ポリ(Glu,Tyr) 4:1、1%DMSO、1.5μM ATP(γ−[33P]−ATP 0.1μCi)中でアッセイした。アッセイ(30μL)を、96ウェルプレートで、環境温度で30分行い、反応を20μLの125mM EDTAの添加により停止させた。その後、30μの反応培地を、予め5分メタノールで浸したImmobilon−PVDF膜(Millipore, Bedford, MA, USA)に移し、水で濯ぎ、次いで5分、0.5%HPOで浸し、真空源と接続していない真空装置にマウントした。全サンプルをスポットした後、真空を接続し、各ウェルを200μL 0.5%HPOで濯いだ。膜を除き、1.0%HPOで4回シェカー上で、1回エタノールで洗浄した。膜を、室温で乾燥し、Packard TopCount 96ウェルフレームにマウントし、そして10μL/ウェルのMicroscint(Packard)を添加後に計測した。IC50値を、4濃度(通常0.01、0.1、1および10μM)でのデュプリケートの阻害パーセンテージの直線回帰分析により計算した。1単位のタンパク質キナーゼ活性は、[γ33P]ATPから、RTで、基質タンパク質/分/mgのタンパク質に移される1nmoleの33Pと定義した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非癌性、良性脳腫瘍の処置または予防のための、式(II):
【化1】

の4−メチル−3−[[4−(3−ピリジニル)−2−ピリミジニル]アミノ]−N−[5−(4−メチル−1H−イミダゾル−1−イル)−3−(トリフルオロメチル)フェニル]ベンズアミドまたはそのN−オキシドまたは薬学的に許容される塩。
【請求項2】
非癌性、良性脳腫瘍が神経線維腫症1型または2型から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
式(II):
【化2】

の化合物;または
そのN−オキシドまたは薬学的に許容される塩の、非癌性、良性脳腫瘍処置用医薬組成物の製造における使用。
【請求項4】
式(II):
【化3】

の化合物;またはそのN−オキシドまたは薬学的に許容される塩を含む、非癌性、良性脳腫瘍処置用医薬製剤。

【公開番号】特開2013−107893(P2013−107893A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−19700(P2013−19700)
【出願日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【分割の表示】特願2008−543819(P2008−543819)の分割
【原出願日】平成18年12月5日(2006.12.5)
【出願人】(504389991)ノバルティス アーゲー (806)
【Fターム(参考)】