説明

神経障害の治療のためのメリダマイシン類似体

本明細書は、以下の構造の化合物を記載する。本発明は、本発明の化合物を調製する方法を提供する。また本発明は、本発明の化合物を含有する組成物を提供する。本発明はさらに、薬物を調製するための、本発明の化合物の使用を提供する。本発明はさらに、哺乳動物の被検体に本発明の化合物を投与するステップを含む、神経障害を治療する方法を提供する。本明細書はまた、神経変性疾患の治療に有用な医薬品を調製するための本化合物およびその使用を記載する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メリダマイシン化合物、その調製方法、およびその使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
メリダマイシンは、FK506またはラパマイシンなどのマクロフィリン結合免疫抑制剤の過剰投与の解毒剤、ステロイド増強剤、および/またはMIP(マクロファージ感染増強剤)もしくはMip様因子を生成する生物によって引き起こされる感染または感染症に対する抗感染症薬剤などへの使用に特定されてきた。特許文献1を参照されたい。加えて、メリダマイシンは、炎症性/過剰増殖性の皮膚疾患の治療に有用であり得る。
【0003】
メリダマイシンは、Salituroらの非特許文献1に記載されているように、ストレプトミセスハイドロスコピクス(Streptomyces hydroscopicus)の系統から単離された。
【0004】
メリダマイシンおよびその誘導体は、特許文献2(2005年12月8日、米国特許出願第11/143,980号)および特許文献3に記載されているように調製されてきた。メリダマイシン由来の化合物(特許文献4に記載)が、神経保護効果を実証することが示されている(特許文献5および特許文献6も参照されたい)。
【特許文献1】国際公開第WO94/18207号パンフレット
【特許文献2】米国特許出願公開第2005/0272133A1号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2005−0197379−A1号明細書
【特許文献4】国際公開第WO2005/084673号パンフレット
【特許文献5】国際公開第WO2005/085257号パンフレット
【特許文献6】米国特許出願公開第2005−0197379 A1明細書
【非特許文献1】Tet. Lett、36巻(7号):997〜1000頁(1995年)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
当技術分野で必要とされるのは、代わりとなるメリダマイシン誘導体である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様において本発明は、以下の構造の化合物を提供する。
【0007】
【化17】

別の態様において、本発明は、本発明の化合物を調製する方法を提供する。
【0008】
また別の態様において、本発明は、本発明の化合物を含有する組成物を提供する。
【0009】
さらなる態様において、本発明は、薬物を調製するための、本発明の化合物の使用を提供する。
【0010】
さらなる態様において、本発明は、哺乳動物の被検体に本発明の化合物を投与するステップを含む、神経障害を治療する方法を提供する。
【0011】
本発明の他の態様および利点は、本発明の以下の詳細な説明から容易に明らかとなるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本明細書中に記載する通り、本発明は以下の構造の化合物、または医薬的に許容可能なその塩を提供する
【0013】
【化18】

[式中、
およびRは、OH、オキソ、O(C〜Cアルキル)、O(置換C〜Cアルキル)、O(アシル)、O(アリール)、O(置換アリール)、またはO(ヘテロシクリル)、O(置換ヘテロシクリル)からなる群から独立して選択され、
、R、R、およびRは、OH、オキソ、O(C〜Cアルキル)、O(置換C〜Cアルキル)、O(アシル)、O(アリール)、O(置換アリール)、O(ヘテロシクリル)、およびO(置換ヘテロシクリル)からなる群から独立して選択されるか、または、
およびRならびに/もしくはRおよびR、またはRおよびRは結合する(一緒になる)ことによって、以下の構造を形成し
【0014】
【化19】

(式中、XおよびYは、H、C〜Cアルキル、置換C〜Cアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロシクリル、および置換ヘテロシクリルからなる群から独立して選択される)、
は、CH、CHOH、またはC=Oであり、
nは、1または2である]。
【0015】
一実施形態において、RおよびRは、オキソ、OHまたはO(アシル)から独立して選択される。1つの適切なO(アシル)は、OC(O)CHである。他の適切なO(アシル)が選択可能である。
【0016】
別の実施形態において、RおよびRまたはRおよびRは、結合しており、この中で、XおよびYは、CHである。
【0017】
さらに別の実施形態において、Rは、C(O)である。
【0018】
さらに別の実施形態において、RおよびRは、OHであり、RおよびRは、結合しており、RおよびRは、結合しており、Rは、C(O)であり、nは、2である。
【0019】
さらに別の実施形態において、R、R、R、R、R、およびRは、OC(O)CHであり、Rは、C(O)であり、nは、2である。
【0020】
別の実施形態において、R、R、R、およびRは、OC(O)CHであり、RおよびRは、OHであり、Rは、C(O)であり、nは、2である。
【0021】
さらに別の実施形態において、R、R、R、およびRはOHであり、RおよびRは、結合しており、Rは、C(O)であり、nは、2である。
【0022】
さらなる実施形態において、R、R、R、R、およびRは、OC(O)CHであり、Rは、OHであり、Rは、C(O)であり、nは、2である。
【0023】
別の実施形態において、RおよびRは、オキソであり、R、R、R、およびRは、結合しており、Rは、C(O)であり、nは、2である。
【0024】
さらに別の実施形態において、RおよびRは、オキソであり、R、R、R、およびRは、OHであり、Rは、C(O)であり、nは、2である。
【0025】
さらなる実施形態において、RおよびRは、一緒になって以下の構造の環を形成する。
【0026】
【化20】

本発明の適切な化合物の例として、以下が挙げられる。
【0027】
【化21】

【0028】
【化22】

「アルキル」という用語は、本明細書で使用する場合、1〜10個の炭素原子、望ましくは1〜8個の炭素原子、最も望ましくは、1〜6個の炭素原子を有する、直鎖および分鎖の両方の、飽和した脂肪炭化水素基を指す。「アルケニル」は、少なくとも1個の炭素−炭素二重結合および2〜8個の炭素原子、望ましくは2〜6個の炭素原子を有する、直鎖および分鎖の両方の、アルキル基を含むことを意図する。「アルキニル」基は、少なくとも1個の炭素−炭素三重結合および2〜8個の炭素原子、望ましくは2〜6個の炭素原子を有する、直鎖および分鎖の両方の、アルキル基を網羅することを意図する。アルキルの例は、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、およびn−ブチルを含む。アルケニルの例は、エテニル、プロプ−1−イル、およびプロプ−2−イルを含む。アルキニルの例は、エチニルを含む。
【0029】
「置換アルキル」、「置換アルケニル」、および「置換アルキニル」という用語は、ハロゲン、CN、OH、NO、アミノ、アリール、ヘテロシクリル、置換アリール、置換ヘテロシクリル、アルコキシ、置換アルコキシ、アリールオキシ、置換アリールオキシ、アルキルカルボニル、アルキルカルボキシ、アルキルアミノ、およびアリールチオから選択される1〜3個の置換基を有する、上で定義したアルキル、アルケニル、およびアルキニル基を指す。2個以上の置換基がある場合には、それらは、同じでも異なっていてもよい。このような置換基は、アルキル基、アルケニル基、またはアルキニル基の任意の炭素に結合してもよいが、但しこの場合そのような結合は、安定した化学的部分を構成するものとする。
【0030】
「アリール」という用語は、本明細書で使用する場合、炭素環芳香族系を指すが、これは、単一の環、または複数の芳香環が共に溶融または結合することによって、その溶融または結合した環の少なくとも1つの部分が共役芳香族系を形成してもよい。アリール基は、フェニル、ナフチル、ビフェニル、アントリル、テトラヒドロナフチル、フェナントリル、およびインダンを含むが、これに限らない。アリールは、6〜13炭素のアリールまたは6〜10炭素のアリールが適切である。
【0031】
「置換アリール」という用語は、ハロゲン、CN、OH、NO、アミノ、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アリールオキシ、置換アルキルオキシ、アルキルカルボニル、アルキルカルボキシ、アルキルアミノ、およびアリールチオから選択される1〜4個の置換基を有する、上に定義したアリールを指す。2個以上の置換基がある場合には、それらは同じでも異なっていてもよい。
【0032】
「ヘテロシクリル」という用語は、本明細書で使用する場合、飽和、部分的に不飽和、または不飽和であり、炭素原子ならびにN、O、およびS原子を含む群から選択される1〜4個のヘテロ原子を含む、4〜7員の単環式または安定した多環式のヘテロシクリル環を記述するものである。N原子およびS原子は酸化していてもよい。ヘテロシクリル環は、上に定義したヘテロシクリル環のいずれかがアリール環と溶融している、任意の多環式の環も含む。そのようなヘテロシクリル環は、任意のヘテロ原子または炭素原子と結合してもよいが、但しこの場合、生成した構造は化学的に安定しているものとする。そのようなヘテロシクリル基は、例えば、テトラヒドロフラン、ピペリジニル、ピペラジンイル、2−オキソピペリジニル、アゼピニル、ピロリジンイル、イミダゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、モルホリニル、インドリル、キノリニル、チエニル、フリル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、チアモルホリニル、チアモルホリニルスルホキシド、イソキノリニル、およびテトラヒドロチオピランを含む。
【0033】
「置換ヘテロシクリル」という用語は、本明細書中で使用する場合、ハロゲン、CN、OH、NO、アミノ、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アリールオキシ、置換アリールオキシ、アルキルオキシ、置換アルキルオキシ、アルキルカルボニル、置換アルキルカルボニル、アルキルカルボキシ、置換アルキルカルボキシ、アルキルアミノ、置換アルキルアミノ、アリールチオ、および置換アリールチオから選択される1〜4個の置換基を有する、上に定義したヘテロシクリルを記述するものである。2個以上の置換基がある場合には、それらは同じでも異なっていてもよい。
【0034】
「アルコキシ」という用語は、本明細書中で使用する場合、OR基を指し、Rは上に定義した通りアルキルまたは置換アルキルであり、結合点は、酸素原子上である。
【0035】
「アリールオキシ」という用語は、本明細書中で使用する場合、OR基を指し、Rは上に定義した通りアリールまたは置換アリールであり、結合点は酸素原子上である。
【0036】
「アリールチオ」という用語は、本明細書中で使用する場合、SR基を指し、Rは上に定義した通りアリールまたは置換アリールであり、結合点は硫黄原子上である。
【0037】
「アルキルカルボニル」または「アシル」という用語は、本明細書中で使用する場合、RCO基を指し、Rは上に定義した通りアルキルまたは置換アルキルであり、結合点は炭素原子上である。
【0038】
「アルキルカルボキシ」という用語は、本明細書中で使用する場合、COOR基を指し、Rは、上に定義した通りアルキルまたは置換アルキルであり、結合点は炭素原子上である。
【0039】
「アミノアルキル」という用語は、第二級アミンおよび第三級アミンの両方を指し、アルキルまたは置換アルキル基は、上に定義した通り、例えば1〜8個の炭素原子を含有し、同じまたは異なっていてもよく、結合点は窒素原子上である。
【0040】
「ハロゲン」という用語は、Cl、Br、F、またはIを指す。
【0041】
本発明の化合物は、医薬的または生理的に許容可能な酸または塩基に由来する塩の形態で使用することができる。このような塩は、有機および無機の、例えば酢酸、乳酸、クエン酸、酒石酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、マロン酸、マンデル酸、リンゴ酸、塩酸、臭水素酸、リン酸、硝酸、硫酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、および同様に知られている許容可能な酸、およびその混合物などの酸を有する塩を含むが、これに限らない。
【0042】
このような塩、さらに本発明の他の化合物は、エステル、カルバミン酸塩、および従来の他の「プロドラッグ」の形態であってよく、このような形態で投与する場合、これらはインビボで活性部分へと変換される。一実施形態において、プロドラッグは、エステルである。例えば、B. Testa and J. Caldwell、「Prodrugs revisited:The 『Ad Hoc』 Approach as a Complement to Ligand Design」、Medicinal Research Reviews、16巻(3号):233〜241頁、編集、John Wiley & Sons(1996年)を参照されたい。
【0043】
本発明の化合物は、以下のスキームにおいて全般的に記載した通りに調製することができる。このような方法またはその変法は、有機合成の当業者であれば、容易に理解されるであろう。本発明の化合物は、以下に記載の方法を、有機合成の分野で知られている合成方法または当業者によるこのような方法の変法と一緒に用いて調製することができる。[一般的に、Comprehensive Organic Synthesis、「Selectivity, Strategy & Efficiency in Modern Organic Chemistry」、編集、I. Fleming、Pergamon Press、New York(1991年)、Comprehensive Organic Chemistry、「The Synthesis and Reactions of Organic Compounds」、編集、J.F. Stoddard、Pergamon Press、New York(1979年)を参照されたい]。適切な方法は、以下に概要を述べるものを含むが、それに限らない。
【0044】
【化23】

一態様において本発明は、構造Iを有する化合物または医薬的に許容可能なその塩を調製する方法を提供する[式中、
、R、R、R、R、およびRは、独立して、O(C〜Cアルキル)またはO(置換C〜Cアルキル)であり、
は、CH、CHOH、またはC=Oであり、
nは、1または2である]。
この方法は、メリダマイシンをアルキル化剤またはアルキル無水物と反応させることを含む。
【0045】
メリダマイシンおよびその誘導体は、参照により本明細書に組み込まれている米国公開特許出願第2005−0272133 A1号および米国特許出願公開第2005−0197379−A1号に記載の通り調製されてきた。しかし、本発明では、メリダマイシン源は限定しない。
【0046】
【化24】

適切なアルキル化剤は、アルキルハロゲン化物、アルキルトリフレート、またはアルキルメシレートから容易に選択し得る。しかし、他の適切な試薬は置換されていてもよい。本発明の化合物に対して、RおよびRがOアルキル基以外の場合、通常酸ハロゲン化物またはアリール無水物を利用することによって、本発明の化合物を得る。通常、アルキル化剤が無水物である場合、弱塩基(例えばピリジン)を利用する。あるいは、適切な無水物(例えば、無水酢酸)を利用して、反応を実行してもよい。
【0047】
【化25】

別の実施形態において、本発明は、式Iの化合物または医薬的に許容可能なその塩を調製する方法を提供する(式中、RおよびRは、OHであり、RおよびR、RおよびR、RおよびR、またはその組合せは、結合しており、Yは、H、C〜Cのアルキル、置換C〜Cアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロシクリル、および置換ヘテロシクリルからなる群から独立して選択され、Rは、CH、CHOH、またはC=Oであり、nは、1または2である)。この方法は、酸触媒、例えば、TsOH、パラトルエンスルホン酸、または別の弱酸の存在下で、メリダマイシンをジアルコキシアルカンと反応させることを含む。一実施形態においてジアルコキシアルカンは、2,2−ジメトキシプロパンである。
【0048】
【化26】

さらなる実施形態において、本発明は、構造Iの化合物または医薬的に許容可能なその塩を調製する方法を提供する(式中、RおよびRは、オキソであり、RおよびR、RおよびR、RおよびR、またはその組合せは、結合しており、XおよびYは、H、C〜Cアルキル、置換C〜Cアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロシクリル、および置換ヘテロシクリルからなる群から独立して選択され、Rは、CH、CHOH、またはC=Oであり、nは、1または2である)。本方法は、構造Iの化合物または医薬的に許容可能なその塩を[式中、RおよびRはOHであり、RおよびR、RおよびR、RおよびR、またはその組合せは、結合して以下の構造を形成し
【0049】
【化27】

(XおよびYは、H、C〜Cアルキル、置換C〜Cアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロシクリル、および置換ヘテロシクリルからなる群から独立して選択される)、
は、CH、CHOH、またはC=Oであり、
nは、1または2である]、
Dess−Martinペルヨージナン試薬と反応させることを含む。あるいは化合物は、ルテニウム酸テトラプロピルアンモニウムおよびN−モルホリンオキシドと反応させる。
【0050】
さらに別の態様において、本発明は、構造Iの化合物または医薬的に許容可能なその塩を調製する方法を提供する(式中、Rは、オキソであり、RはOHであり、R、R、R、およびRは、OHであり、Rは、CH、CHOH、またはC=Oであり、nは、1または2である)。本方法は、Dess−Martinペルヨージナン試薬(またはルテニウム酸テトラプロピルアンモニウムおよびN−モルホリンオキシド)との反応の生成物を、弱酸、例えばパラトルエンスルホン酸と反応させることを含む。
【0051】
【化28−1】

【0052】
【化28−2】

一態様において、本発明は、本明細書に記載した経路で生成したメリダマイシン化合物の使用ならびに様々な神経障害のための、医薬組成物中の本発明の化合物および方法を提供する。
【0053】
「神経変性を阻止する」という用語は、神経変性疾患を含むがそれに限らない病理的状態、虚血、トラウマ、およびグルタミン酸などの興奮性アミノ酸の過剰によって生じる任意の病状によって引き起こされるアポトーシス、オートファジー、または他の任意の機序によるニューロン細胞死を阻止することを指す。
【0054】
「神経再生を促進する」という用語は、神経突起の伸長または長期の増強を含むが、それに限らないニューロン細胞の事象を誘発することを指す。神経保護薬は、例えばアルツハイマー病およびパーキンソン病などの神経変性疾患、虚血またはトラウマの後に起こるニューロンの損傷、およびニューロン損傷が関与する他の任意の病理的状態の治療に有用である。
【0055】
治療用途に限定することを意図するわけではないが、本明細書に記載のメリダマイシン化合物は、中枢神経系の病状、神経障害、および末梢神経系障害の治療に使用するのが望ましい。中枢神経系に影響を及ぼす病状は、てんかん、卒中、脳虚血、脳性麻痺、多発性硬化症、アルパーズ病、パーキンソン病、アルツハイマー病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、レビー小体型認知症、レット症候群、神経因性疼痛、脊髄外傷、または外傷性脳損傷を含むが、それに限らない。
【0056】
本発明に従い、神経障害は、三叉神経痛、舌咽神経痛、ベル麻痺、重症筋無力症、筋ジストロフィー、筋萎縮性側索硬化症、進行性筋萎縮、進行性延髄性遺伝性筋萎縮症、椎間板ヘルニア症候群(herniated, ruptured or prolapsed vertebral disk syndromes)、頸椎症、神経叢障害、胸郭出口破壊症候群、鉛、アクリルアミド、γ−ジケトン(接着剤を嗅いだことによる神経障害)、2硫化炭素、ダプソン、マダニなどで引き起こされる末梢性神経障害、ポルフィリン症、ギランバレー症候群、認知症、アルツハイマー病、パーキンソン病、およびハンチントン舞踏病を含むがそれに限らない神経変性に関連した様々な末梢性の神経疾患および神経障害を含むが、それに限らない。
【0057】
神経栄養性治療が認められたことが示された特異的なケースは、中枢神経系障害、アルツハイマー病、高齢化、パーキンソン病、ハンチントン病、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、外傷性脳損傷、脊椎損傷、てんかん、炎症性障害、関節リウマチ、自己免疫疾患、呼吸困難、気腫、乾癬、成人呼吸促拍症候群、中枢神経系トラウマ、および卒中を含むが、それに限らない。
【0058】
本発明のメリダマイシン化合物は、老年認知症、レビー小体型認知症、軽度の認知障害、アルツハイマー病、認知の低下に伴う神経変性疾患を阻止、治療、または阻害し、さらに神経保護または認知亢進を得るのにも有用である。
【0059】
「被検体」または「患者」という用語は、本明細書で使用する場合、哺乳動物を指し、ヒトでも非ヒトの動物でもよい。
【0060】
「投与する」、「投与している」または「投与」という用語は、本明細書で使用する場合、患者に直接化合物または組成物を投与するか、または化合物のプロドラッグ誘導体または類似体を患者に投与するかのいずれかを指し、この投与によって、患者の身体内に等しい量の活性化合物または物質が形成されることになる。
【0061】
「有効量」および「治療有効量」という用語は、本明細書で使用する場合、患者に投与すると、患者が患っていると疑われる病状を少なくとも部分的に回復するのに有効である化合物の量を指す。
【0062】
ある特定の疾患の状態または障害の治療または抑制のために投与する場合、有効投与量は、利用する特定の化合物、投与の形態、病状およびその重症度、治療されるべき状態、さらには治療する個々の被検体に関連する様々な物理的要素によって変更してもよいことが理解されている。本発明のメリダマイシン化合物の有効な投与は、毎月、毎週、もしくは毎日、または他の適切な間隔で与えてもよい。例えば、非経口の投与量を、週単位で、1週間につき約10mg〜約1000mg、約50mg〜約500mg、または約100mg〜約250mgの投与量で与えてもよい。適切な経口の投与量は、約0.1mg/日を超えてもよい。投与は、好ましくは約10mg/日を超え、具体的には単一用量、または2回以上に分割した投与量で、約50mg/日を超えることになる。経口での投与量は、一般的に約1,000mg/日を超えず、より具体的には、約600mg/日を超えない。1日の計画投与量は、投与経路で変わることが予想される。
【0063】
そのような投与量は、本明細書の活性化合物をレシピエントの血流に導くのに有用な任意の方法で投与してもよく、そのような方法には、経口的、インプラントを介して、非経口的(静脈内、腹腔内および皮下投与を含む)、直腸から、鼻腔内から、膣から、および経皮的な投与が含まれる。
【0064】
本発明の活性化合物を含有する経口用の配合物は、従来法で使用した任意の経口形態を含んでもよく、錠剤、カプセル剤、口腔剤の形態、トローチ、ロゼンジ、および経口用の液体、懸濁液、または溶液を含む。カプセル剤は、活性化合物(複数可)と、医薬的に許容可能なデンプン(例えば、トウモロコシ、ジャガイモ、またはタピオカのデンプン)、糖、人工甘味剤、結晶性および微結晶性セルロースなどの粉末セルロース、小麦粉、ゼラチン、ガム、などの不活性な賦形剤および/または希釈剤との混合物を含有してもよい。有用な錠剤の配合物は、従来の加圧式、湿式造粒方式、または乾式造粒方式により作製してもよく、医薬的に許容可能な希釈剤、結合剤、潤滑剤、崩壊剤、表面改質剤(界面活性剤を含む)、懸濁剤、または安定化剤を利用してもよく、これらは、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、タルク、ラウリル硫酸ナトリウム、微結晶性セルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、アルギン酸、アカシアガム、ザンサンガム、クエン酸ナトリウム、シリカ錯体、炭酸カルシウム、グリシン、デキストリン、ショ糖、ソルビトール、第二リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、ラクトース、カオリン、マンニトール、塩化ナトリウム、乾燥デンプン、および粉末状の糖を含むが、それに限らない。好ましい表面改質剤は、非イオンおよびアニオンの表面改質剤を含む。表面改質剤の代表的例は、ポロキサマー118、塩化ベンザルコニウム、ステアリン酸カルシウム、セトステアリルアルコール、セトマクロゴール乳化ワックス、ソルビタンエステル、コロイド状二酸化ケイ素、リン酸、ドデシル硫酸ナトリウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、およびトリエタノールアミンを含むが、それに限らない。本明細書の経口の配合物は、標準的な遅延性または持効性の配合物を利用することによって、活性化合物の吸収を変質し得る。経口の配合物は、必要に応じて、適切な可溶化剤または乳化剤を含有する水または果実ジュース中の活性成分を投与することからもなり得る。
【0065】
エアロゾルという形態で化合物を直接気道に投与することが望ましいこともある。
【0066】
メリダマイシン化合物は、非経口的にまたは腹腔内に投与することもできる。遊離塩基または薬理学的に許容可能な塩としてのこのような活性化合物の溶液または懸濁液は、ヒドロキシ−プロピルセルロースなどの界面活性剤と適切に混ざり合った水の中で調整することができる。分散液を、オイル中のグリセロール、液体ポリエチレングリコール、およびその混合物中で調製することもできる。普通の保存および使用の状態では、このような調製物は、微生物の増殖を防ぐため、保存剤を含有している。
【0067】
注射剤への使用に適する医薬的な形態は、無菌水溶液または分散液および無菌の注射用溶液または分散液の即時調合のための無菌パウダーを含む。全ての場合において形態は、無菌でなければならず、注射が容易な程度まで流動性を有していなければならない。製造および保存の条件下で安定しているべきで、微生物、例えば、細菌および真菌の夾雑作用に対して保存性がなければならない。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコール)、その適切な混合物、および植物油を含有する溶媒または分散媒体であってよい。
【0068】
本開示の目的で、経皮投与は、上皮および粘膜組織を含めた身体表面および身体の通路の内層を通過するすべての投与を含むということが理解されている。そのような投与は、本発明の化合物、または医薬的に許容可能なその塩を用いて、ローション、クリーム、泡、パッチ、懸濁液、溶液、および坐薬(直腸および膣)の形で実行し得る。
【0069】
経皮投与は、活性化合物と、活性化合物に対して不活性であり、皮膚に対して毒性がなく、全身での吸収のために、皮膚を介して血流に薬剤を送達することができる担体とを含有する経皮パッチの使用を介して達成し得る。担体は、クリームおよび軟膏、ペースト、ゲル、ならびに閉塞デバイスなど任意の数の形態を取ることができる。クリームおよび軟膏は、粘稠性の液体またはその水中油型もしくは油中水型のいずれかの半流動性の乳濁液であってよい。活性成分を含有する鉱油または親水性の鉱油の中に分散した吸収性粉末から構成されるペーストも適切である。担体有りまたは無しで、活性成分を含有する容器を包む半浸透性の膜、または活性成分を含有するマトリックスなど、様々な閉塞デバイスを使用して、活性成分を血流に放出し得る。他の閉塞デバイスは、文献で知られている。
【0070】
坐剤用配合物は、坐剤融点を変えるためのワックスを添加した、または添加していない、ココアバターを含めた従来の物質およびグリセリンから作製してもよい。様々な分子量のポリエチレングリコールなどの水可溶性の坐剤用塩基を使用してもよい。
【0071】
本発明は、送達用に配合した化合物を含有する、パッケージングを含めた製品をさらに提供する。別の態様において、本発明は、本発明の化合物を送達するための、例えば、ニードル、シリンジ、および他のパッケージングを含めたキットを提供する。任意選択で、そのようなキットは、本発明の化合物の固体形態を混合するための薬物、希釈剤、および/または担体の投与に対する指示を含んでもよい。
【0072】
本発明の化合物の調製に使用した試薬は、商業的に入手可能であるか、または文献に記載された標準的手順で調製することができるかのいずれかである。
【0073】
以下の例は、例示のみであり、本発明を限定することを意図するものではない。
【実施例】
【0074】
(実施例1)
【0075】
【化29】

メリダマイシン(0.069g、0.084mmol)を、5mLジメチルホルムアミド(DMF)中に溶解した。過剰の2,2−ジメトキシプロパン(0.5mL、4mmol)および触媒量のパラトルエンスルホン酸をこのDMF溶液に加えた。反応混合物を25℃で20時間、磁気撹拌で撹拌した。クロロホルム(5mL)をこの混合物に加え、生成した溶液を塩基性アルミナの小型カラムで濾過した。次いで生成物を、逆相HPLCを介したクロマトグラフィーにかけ(カラム:250x20mm YMC ODS−A 50x20ガード、移動相:50から80%アセトニトリル:水へ30分以内、次いで90%アセトニトリルへ15分以内、90%でさらに15分間保つ)、生成物を得た(0.028g、37%収率、t=10.6分、分析用HPLC条件:カラム=YMC ODS−A S−3 120Å、移動相/勾配:95%水(+0.025%ギ酸)/アセトニトリル(+0.025%ギ酸)から5%水へ6分以内、5%で9分間保つ)。
理論的中性質量:901.59153
理論的元素:C5183NO12
【0076】
正確な高分解能質量の結果
【0077】
【表1】

(実施例2)
【0078】
【化30】

メリダマイシン(0.05g、0.06mmol)をピリジン(1.0mL)中に溶解し、この溶液に無水酢酸(1.0mL)を加え、反応物を3時間撹拌した。溶媒を真空中で取り除き、次いで生成物を、逆相HPLCを介したクロマトグラフィーにかけ(カラム:250x10mm YMC ODS−A、移動相:50から95%アセトニトリル:水へ20分以内、95%でさらに30分間保つ)、画分を得、さらにこれを、逆相HPLCを介したクロマトグラフィーにかけ(カラム:250x10mm YMC ODS−A、移動相:80%アセトニトリル:水へ30分以内、次いで90%アセトニトリルへ5分以内、95%でさらに10分間保つ)、生成物を得た(0.006g、9%収率、t=8.07分、分析用HPLCの条件:カラム=YMC ODS−A S−3 120Å、移動相/勾配:95%水(+0.025%ギ酸)/アセトニトリル(+0.025%ギ酸)から5%水へ6分以内、5%で9分間保つ)。
理論的中性質量:1073.59231
理論的元素:C5787NO18
【0079】
正確な高分解能質量の結果
【0080】
【表2】

(実施例3)
【0081】
【化31】

メリダマイシン(0.05g、0.06mmol)をピリジン(1.0mL)中に溶解し、無水酢酸(1.0mL)をこのピリジン溶液に加え、その反応物を3時間撹拌した。溶媒を真空中で取り除き、次いでその生成物を、逆相のHPLCを介したクロマトグラフィーにかけ(カラム:250x10mm YMC ODS−A、移動相:50から95%アセトニトリル:水へ20分以内、95%でさらに30分間保つ)、生成物を得た(0.008g、14%収率、t=7.40分、分析用HPLCの条件:カラム=YMC ODS−A S−3 120Å、移動相/勾配:95%水(+0.025%ギ酸)/アセトニトリル(+0.025%ギ酸)から5%水へ6分以内、5%で9分間保つ)。
理論的中性質量:989.57119
理論的元素:C5383NO16
【0082】
正確な高分解能質量の結果
【0083】
【表3】

(実施例4)
【0084】
【化32】

メリダマイシン(0.1g、0.12mmol)を2,2−ジメトキシプロパン(1.50mL)に溶解し、触媒量のパラトルエンスルホン酸を加えた。反応混合物を25℃で16時間、磁気撹拌で撹拌した。クロロホルム(5mL)をその溶液に加え、生成した溶液を炭酸水素ナトリウムの小型カラムで濾過した。次いで生成物を、逆相HPLCを介したクロマトグラフィーにかけ(カラム:250x20mm YMC ODS−A 50x20ガード、移動相:50から80%アセトニトリル:水へ30分以内、次いで90%アセトニトリルへ15分以内、90%でさらに15分間保つ)、生成物を得た(0.008g、8%収率、t=10.0分、分析用HPLCの条件:カラム=YMC ODS−A S−3 120Å、移動相/勾配:95%水(+0.025%ギ酸)/アセトニトリル(+0.025%ギ酸)から5%水へ6分以内、5%で9分間保つ)。
理論的中性質量:861.56023
理論的元素:C4879NO12
正確な高分解能質量の結果
【0085】
【表4】

(実施例5)
【0086】
【化33】

メリダマイシン(0.05g、0.06mmol)をピリジン(1.0mL)中に溶解し、無水酢酸(1.0mL)をこのピリジン溶液に加え、その反応物を3時間撹拌した。溶媒を真空中で取り除き、次いでその生成物を、逆相HPLCを介したクロマトグラフィーにかけ(カラム:250x10mm YMC ODS−A、移動相:50から95%アセトニトリル:水へ20分以内、95%でさらに30分間保つ)、画分を得、さらにそれを、逆相HPLCを介したクロマトグラフィーにかけ(カラム:250x10mm YMC ODS−A、移動相:80%アセトニトリル:水へ30分以内、次いで90%アセトニトリルへ5分以内、95%でさらに10分間保つ)、生成物を得た(0.003g、5%収率、t=7.72分、分析用HPLCの条件:カラム=YMC ODS−A S−3 120Å、移動相/勾配:95%水(+0.025%ギ酸)/アセトニトリル(+0.025%ギ酸)から5%水へ6分以内、5%で9分間保つ)。
理論的中性質量:1031.58175
理論的元素:C5585NO17
【0087】
正確な高分解能質量の結果
【0088】
【表5】

(実施例6)
【0089】
【化34】

無水ジクロロメタン(1.0mL)を、ジクロロメタン(50μL)中の0.3MのDess−Martinペルヨージナン溶液の中の実施例1の化合物(0.011g、0.012mmol)の溶液に加えた。反応物をアルゴン下で4時間撹拌し、ジクロロメタン(DCM、10mL)を加え、有機層を飽和した炭酸ナトリウムで洗浄した。有機層を乾燥し、真空中で還元し、逆相HPLCを介したクロマトグラフィーにかけ(カラム:250x10mm YMC ODS−A、移動相:50%から95%アセトニトリル:水へ20分以内、95%でさらに30分間保つ)生成物を得た(0.008g、74%収率、t=10.13分、分析用HPLCの条件:カラム=YMC ODS−A S−3 120Å、移動相/勾配:95%水(+0.025%ギ酸)/アセトニトリル(+0.025%ギ酸)から5%水へ6分以内、5%で9分間保つ)。
理論的中性質量:897.56023
理論的元素:C5179NO12
【0090】
正確な高分解能質量の結果
【0091】
【表6】

(実施例7)
【0092】
【化35】

触媒量のパラトルエンスルホン酸を、2:1メタノール:水(3mL)中の実施例6の生成物(0.005g、0.006mmol)の溶液に加えた。反応物を24時間撹拌し、溶媒を真空中で取り除き、その生成物を、逆相HPLCを介したクロマトグラフィーにかけ(カラム:250x10mm YMC ODS−A、移動相:50%から80%アセトニトリル:水へ10分以内、80%でさらに20分間保つ)、生成物を得た(0.002g、41%収率、t=6.21分、分析用HPLCの条件:カラム=YMC ODS−A S−3 120Å、移動相/勾配:95%水(+0.025%ギ酸)/アセトニトリル(+0.025%ギ酸)から5%水へ6分以内、5%で9分間保つ)。
理論的中性質量:817.49763
理論的元素:C4571NO12
【0093】
正確な高分解能質量の結果
【0094】
【表7】

(実施例8)
【0095】
【化36】

メリダマイシン(0.05g、0.061mmol)をDMF(2mL)中に溶解した。過剰のp−ブロモベンズアルデヒドジメチルアセタール(0.022mL、0.128mmol、2.1当量)および触媒量のパラトルエンスルホン酸をこのDMF溶液に加えた。反応混合物を25℃で16時間磁気撹拌で撹拌した。クロロホルム(5mL)を、この溶液に加え、生成した溶液を炭酸水素ナトリウムの小型カラムで濾過した。次いで生成物を、逆相HPLCを介したクロマトグラフィーにかけ(カラム:250x10mm YMC ODS−A、移動相:50%から80%アセトニトリル:水へ15分以内、次いで95%で35分間保つ)、生成物を得た(0.008g、13%収率、t=7.33分、分析用HPLCの条件:カラム=YMC ODS−A S−3 120Å、移動相/勾配:95%水(+0.025%ギ酸)/アセトニトリル(+0.025%ギ酸)から5%水へ6分以内、5%で9分間保つ)。
理論的中性質量:987.47074
理論的元素:C5278BrNO12
【0096】
正確な高分解能質量の結果
【0097】
【表8】

(実施例9)
【0098】
【化37】

メリダマイシン(0.05g、0.061mmol)をDMF(2mL)中に溶解した。過剰のp−ブロモベンズアルデヒドジメチルアセタール(0.022mL、0.128mmol、2.1当量)および触媒量のパラトルエンスルホン酸をこのDMF溶液に加えた。反応混合物を25℃で16時間、磁気撹拌で撹拌した。クロロホルム(5mL)を溶液に加え、生成した溶液を炭酸水素ナトリウムの小型カラムで濾過した。次いで生成物を、逆相HPLCを介してクロマトグラフィーにかけ(カラム:250x10mm YMC ODS−A、移動相:50%から80%アセトニトリル:水へ15分以内、次いで95%へ35分以内)、生成物を得た(0.002g、3%収率、t=6.94分、分析用HPLCの条件:カラム=YMC ODS−A S−3 120Å、移動相/勾配:95%水(+0.025%ギ酸)/アセトニトリル(+0.025%ギ酸)から5%水へ6分以内、5%で9分間保つ)。
理論的中性質量:987.47074
理論的元素:C5278BrNO12
【0099】
正確な高分解能質量の結果
【0100】
【表9】

(実施例10)
解離した皮層のニューロン培養物を以前に述べたように調製した(Pongら、2001)。まもなく、胎芽日15のラットの胎仔を収集し、氷冷したPBS中で解剖した。解剖した皮質を一緒に集めて、パパインを含有する酵素解離の媒体へ移送した。30分後、先端熱加工したガラス製パスツールピペットでその組織を力学的に粉砕した。完全培地の中の単一細胞の懸濁液を、ポリ−L−オルニチンおよびラミニンでコーティングした96穴プレートに播種した。24時間後、培養物を様々な濃度の化合物で72時間処置した。次いで培養物を固定し、抗チューブリン一次抗体(TUJ−1)および蛍光タグをつけた二次抗体で染色した。神経突起伸長をCellomics ArrayScanによる亢進した神経突起伸長(ENO)アルゴリズムを用いて求め、神経突起の長さの平均または一細胞ごとの全神経突起の長さとして表わした。
【0101】
実施例1〜6の化合物は、1μM未満のEC50による皮層のニューロンアッセイにてすべて活性があった。
【0102】
本明細書に引用したすべての出版物は、本明細書に参照により組み込まれている。本発明は、特定の実施形態を参照しながら説明してきたが、本発明の趣旨から逸脱することなしに、修正が可能なことを認識されたい。そのような修正は、添付の特許請求の範囲内であることを意図する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の構造の化合物、または医薬的に許容可能なその塩
【化1】

[式中、
およびRは、OH、オキソ、O(C〜Cアルキル)、O(置換C〜Cアルキル)、O(アシル)、O(アリール)、O(置換アリール)、またはO(ヘテロシクリル)、O(置換ヘテロシクリル)からなる群から独立して選択され、
、R、R、およびRは、OH、オキソ、O(C〜Cアルキル)、O(置換C〜Cアルキル)、O(アシル)、O(アリール)、O(置換アリール)、O(ヘテロシクリル)、およびO(置換ヘテロシクリル)からなる群から独立して選択されるか、または、
およびRならびに/またはRおよびRは、一緒に結合して、以下の構造を形成し、
【化2】

またはRおよびRは、結合して、以下の構造を形成し
【化3】

(式中、XおよびYは、H、C〜Cアルキル、置換C〜Cアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロシクリル、および置換ヘテロシクリルからなる群から独立して選択される)、
は、CH、CHOH、またはC=Oであり、
nは、1または2である]。
【請求項2】
およびRが、独立して、オキソ、OH、またはO(アシル)である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
前記O(アシル)がOC(O)CHである、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
およびRまたはRおよびRが結合しており、XおよびYがCHである、請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
がC(O)である、請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
以下からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【化4】

【化5】

【請求項7】
およびRがOHであり、RおよびRが結合しており、RおよびRが結合しており、RがC(O)であり、nが2である、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
、R、R、R、R、およびRがOC(O)CHであり、RがC(O)であり、nが2である、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
、R、R、およびRがOC(O)CHであり、RおよびRがOHであり、RがC(O)であり、nが2である、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
、R、R、およびRがOHであり、RおよびRが結合しており、RがC(O)であり、nが2である、請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
、R、R、R、およびRがOC(O)CHであり、RがOHであり、RがC(O)であり、nが2である、請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
およびRがオキソであり、RおよびRならびにRおよびRが結合しており、RがC(O)であり、nが2である、請求項1に記載の化合物。
【請求項13】
およびRがオキソであり、R、R、R、およびRがOHであり、RがC(O)であり、nが2である、請求項1に記載の化合物。
【請求項14】
、R、R、およびRがOHであり、RがC(O)であり、nが2であり、RおよびRが一緒になって以下の構造の環を形成する、請求項1に記載の化合物。
【化6】

【請求項15】
、R、RおよびRがOHであり、RがC(O)であり、nが2であり、RおよびRが一緒になって以下の構造の環を形成する、請求項1に記載の化合物。
【化7】

【請求項16】
およびRが、独立して、OH、オキソ、またはO(アシル)であり、
、R、R、およびRが、OHおよびO(アシル)からなる群から独立して選択されるか、または
およびR、RおよびR、RおよびR、またはその組合せが、結合して以下の構造を形成し
【化8】

(式中、XおよびYは、HおよびC〜Cアルキルからなる群から独立して選択される)、
がC=Oであり、
nが2である、請求項1に記載の化合物または医薬的に許容可能なその塩。
【請求項17】
哺乳動物の神経障害を治療するための薬物の調製における、請求項1から16のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項18】
前記神経障害が、てんかん、卒中、脳虚血、脳性麻痺、アルパーズ病、パーキンソン病、アルツハイマー病、多発性硬化症、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症、レビー小体型認知症、レット症候群、神経因性疼痛、脊髄外傷、外傷性脳損傷、老年認知症、軽度の認知障害、または認知の低下からなる群から選択される、請求項17に記載の使用。
【請求項19】
以下の構造の化合物または医薬的に許容可能なその塩を調製する方法であって
【化9】

[式中、
、R、R、R、R、およびRは、独立して、O(C〜Cアルキル)またはO(置換C〜Cアルキル)であり、
は、CH、CHOH、またはC=Oであり、
nは、1または2である]、
メリダマイシンをアルキル化剤またはアルキル無水物と反応させるステップを含む方法。
【請求項20】
前記アルキル化剤がアルキルハロゲン化物、アルキルトリフレート、またはアルキルメシレートである、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記アルキル無水物が無水酢酸である、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
以下の構造の化合物または医薬的に許容可能なその塩を調製する方法であって
【化10】

[式中、
およびRは、OHであり、
およびRならびに/もしくはRおよびR、またはRおよびRは、結合して、以下の構造を形成し
【化11】

(XおよびYは、H、C〜Cアルキル、置換C〜Cアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロシクリル、および置換ヘテロシクリルからなる群から独立して選択される)、
は、CH、CHOH、またはC=Oであり、
nは1または2である]、
酸触媒の存在下でメリダマイシンを、ジアルコキシアルカンと反応させるステップを含む方法。
【請求項23】
前記ジアルコキシアルカンが2,2−ジメトキシプロパンである、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記酸触媒がパラトルエンスルホン酸である、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
以下の構造の化合物または医薬的に許容可能なその塩を調製する方法であって
【化12】

[式中、
およびRは、オキソであり、
およびRならびに/もしくはRおよびR、またはRおよびRは、結合して、以下の構造を形成し
【化13】

(式中、XおよびYは、H、C〜Cアルキル、置換C〜Cアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロシクリル、および置換ヘテロシクリルからなる群から独立して選択される)、
は、CH、CHOH、またはC=Oであり、
nは、1または2である]、
請求項22に記載の化合物を、Dess−Martinペルヨージナン試薬と反応させるステップを含む方法。
【請求項26】
以下の構造の化合物または医薬的に許容可能なその塩を調製する方法であって
【化14】

[式中、
は、オキソであり、
は、OHであり、
およびRならびに/もしくはRおよびR、またはRおよびRは、結合して、以下の構造を形成し
【化15】

(XおよびYは、H、C〜Cアルキル、置換C〜Cアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロシクリル、および置換ヘテロシクリルからなる群から独立して選択される)、
は、CH、CHOH、またはC=Oであり、
nは、1または2である]、
請求項22に記載の化合物を、ルテニウム酸テトラプロピルアンモニウムおよびN−モルホリンオキシドで処理するステップを含む方法。
【請求項27】
以下の構造の化合物または医薬的に許容可能なその塩を調製する方法であって
【化16】

(式中、
は、オキソであり、
は、OHであり、
、R、R、およびRは、OHであり、
は、CH、CHOH、またはC=Oであり、
nは、1または2である)、
請求項26に記載の生成物を弱酸と反応させるステップを含む方法。
【請求項28】
前記弱酸がパラトルエンスルホン酸である、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
請求項1から16のいずれか一項に記載の化合物を、哺乳動物に投与するステップを含む、哺乳動物を治療する方法。
【請求項30】
請求項1から16のいずれか一項に記載の化合物を、哺乳動物に投与するステップを含む、神経障害を治療する方法。
【請求項31】
前記化合物が、1種または複数の医薬的に許容可能な担体、賦形剤、または希釈剤と組み合わせられる、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記神経障害が、てんかん、卒中、脳虚血、脳性麻痺、アルパーズ病、パーキンソン病、アルツハイマー病、多発性硬化症、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症、レビー小体型認知症、レット症候群、神経因性疼痛、脊髄外傷、外傷性脳損傷、老年認知症、軽度の認知障害、または認知の低下である、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。

【公表番号】特表2009−529049(P2009−529049A)
【公表日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−558346(P2008−558346)
【出願日】平成19年3月5日(2007.3.5)
【国際出願番号】PCT/US2007/005645
【国際公開番号】WO2007/103347
【国際公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【出願人】(591011502)ワイス (573)
【氏名又は名称原語表記】Wyeth
【Fターム(参考)】