説明

福祉支援システム

【課題】援護を必要とする者に適切な援護者の福祉サービスを迅速に提供できるような福祉支援システムを提供する。
【解決手段】福祉支援システム(100)は、被援護者の位置情報と、援護者の位置情報とを含む所定地域の地図情報を格納する記憶手段(140)と、被援護者および援護者の位置情報に基づき、所定地域の地図情報に含まれる援護者のうち、被援護者を援護すべき援護者を選択する選択手段(112)と、選択された援護者に、被援護者を援護するように要求する援護要求メッセージを送信する援護要求送信手段(124)とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、福祉支援システムに関し、特に、援護を必要とする者に適切な援護者の福祉サービスを迅速に提供する福祉活動を支援する福祉支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、日本では急速に高齢化が進み、援護や介護を必要とする者が多数存在する社会となってきている。また、従来から援護や介護を必要とする障害を持つ者も多数存在している。このような援護や介護などの福祉活動は、自治体が中心となり、民生委員、福祉協力員、地域のブランティア団体などを組織して被援護者に福祉サービスを提供している。しかしながら、このような福祉サービスでは、自治体の係員、民生委員、福祉協力員などが、多数の要援護者/要介護者への対応に忙殺され、適時に適切な援護者を手配することが困難になってきている。
【0003】
一方、介護保険制度が始まり、介護保険の補助を受けることによって、要介護の認定を受けた者は民間介護サービスを低額で受けられるようになった。しかしながら、資力に乏しい者にとっては、このような低額の費用も負担となり、必要な援護や介護を受けなかったり、その回数を減らしたりする者も存在する。したがって、自治体や地域のボランティア団体による福祉活動の必要性は依然として高い。例えば、介護保険のメニューにあるデイサービスや入浴サービスを受けるためには、介護施設に介護を受ける者を送迎する必要がある。これらの日常の業務を効率的に運用することは喫緊の課題である。
【0004】
このような従来の福祉サービス業務は、紙ベースの文書を使用して遂行されており、このため管理に人手を要するものであり、また、人手による業務であるため、リアルタイム性もなかった。このような時代の要請を受けて、福祉サービスを効率化するシステムが幾つか提案されている(特許文献1を参照されたい)。
【特許文献1】特開2000-035996号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この提案システムは、 サービス提供者の情報が容易に把握できて、サービス提供者を有効に活用したスケジュールの作成を容易にするものである。しかしながら、この提案システムでは、援護者(サービス提供者)の時間管理およびスケジュールの効率化に主眼が置かれており、被援護者(サービスを受ける者)に適時に適切な援護者を派遣することはできない。例えば、大規模な災害が発生したときには、このような要援護者/要介護者へ適切な対応を取らなければ、重大な事態を招く恐れがある。即ち、従来システムでは、災害が発生したり、急を要する福祉サービスを迅速に提供することは困難であった。さらに、従来システムは、被援護者の属性に応じて、緊急性を要する福祉サービスを提供することも困難であった。
【0006】
そこで、本発明の目的は、援護を必要とする者に適切な援護者の福祉サービスを迅速に提供できるように福祉活動を支援する福祉支援システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した諸課題を解決すべく、第1の発明による福祉支援システム(装置)は、
被援護者の位置情報と、援護者の位置情報とを含む所定地域の地図情報を格納する記憶手段と、
前記被援護者および援護者の位置情報に基づき、前記所定地域の地図情報に含まれる援護者のうち、被援護者を援護すべき援護者を選択する選択手段と、
前記援護者選択手段で選択された援護者に、前記被援護者を援護するように要求する援護要求メッセージを送信する援護要求送信手段と、
を有することを特徴とする。
【0008】
また、第2の発明による福祉支援システムは、
前記援護要求メッセージを受信した援護者から送信される対応可否情報を受信する対応可否情報受信手段をさらに有し、
前記選択手段が、前記援護者から送信される対応可否情報が対応不可であることを示す場合、前記被援護者を援護すべき新たな援護者を再選択し、
援護要求送信手段が、前記再選択された新たな援護者に、前記被援護者を援護するように要求する援護要求メッセージを送信する、
ことを特徴とする。
【0009】
また、第3の発明による福祉支援システムは、
前記援護要求メッセージを受信した援護者から送信される対応可否情報を受信する対応可否情報受信手段と、
前記援護者から送信される対応可否情報が対応可能であることを示す場合、前記被援護者および援護者の位置情報に基づき、前記援護者の到着予定時刻を(演算手段を用いて)計算し、該計算した到着予定時刻を示す情報を、前記被援護者に送信する時刻情報送信手段と、
をさらに有することを特徴とする。
【0010】
また、第4の発明による福祉支援システムは、
前記記憶手段が、援護活動に対応できるか否かを示す対応可否情報を援護者毎にさらに格納し、
前記選択手段が、
前記位置情報、および、前記対応可否情報に基づき、前記地図情報に含まれる援護者のうち、被援護者を援護すべき援護者を選択する、
ことを特徴とする。
前記対応可否情報には、前記対応可否情報受信手段で受信した情報を使用することが好適である。
【0011】
また、第5発明による福祉支援システムは、
前記援護者および/または被援護者の現在の位置情報を受信する位置情報受信手段をさらに有し、
前記記憶手段が、前記受信した援護者および/または被援護者の現在の位置情報を用いて、前記地図情報を更新する、
ことを特徴とする。
位置情報は、援護者や被援護者が携行する端末(携帯電話端末など)に搭載されるGPS機能、或いは、携帯電話の基地局情報やセル情報で求めることが好適である。
【0012】
また、第6の発明による福祉支援システムは、
前記記憶手段に格納されている地図情報から、被援護者の位置と、援護者の位置とを表示した地図データを出力する地図出力手段、
をさらに有することを特徴とする。
【0013】
また、第7の発明による福祉支援システムは、
前記地図情報が、避難場所情報、医療施設情報、介護施設情報、および、危険地域情報(洪水、火災、地震などで被害を受け易い地域や想定される被害の程度などの情報)のうちの少なくとも1つからなる地図関連情報を含み、
前記地図出力手段が、
前記記憶手段に格納されている、地図情報および地図関連情報から、被援護者の位置と、援護者の位置と、地図関連情報に含まれる情報の少なくとも1つと、を表示した地図データを出力する、
ことを特徴とする。
【0014】
また、第8の発明による福祉支援システムは、
災害情報を取得する災害情報取得手段をさらに有し、
前記記憶手段が、被援護者毎の属性情報(高齢者、寝たきり、車椅子や杖の使用の有無、障害の程度など)をさらに格納し、
前記選択手段が、
前記災害情報取得手段で取得された災害情報、前記被援護者毎の属性情報、および前記被援護者の位置情報に基づき、援護されるべき被援護者を選択し、当該被援護者の位置情報および援護者の位置情報に基づき、当該援護者を援護すべき援護者を選択する、
ことを特徴とする。
【0015】
また、第9の発明による福祉支援システムは、
災害情報を取得する災害情報取得手段(受信手段など)をさらに有し、
前記地図情報が、避難場所情報、医療施設情報、介護施設情報、および、危険地域情報からなる地図関連情報を含み、
前記選択手段が、
前記取得された災害情報、前記地図関連情報、および前記被援護者の位置情報に基づき、援護されるべき被援護者を選択し、当該被援護者の位置情報および援護者の位置情報に基づき、当該援護者を援護すべき援護者を選択する、
ことを特徴とする。
【0016】
また、第10の発明による福祉支援システムは、
援護者の存在および行動を検知する、前記被援護者の居住する場所に設けられている、少なくとも1つの人感センサ(超音波や赤外線で人体の接近/存在/行動を検知するセンサ)と、
前記人感センサと有線または無線で接続され、前記人感センサで検知された被援護者の存在および行動を前記福祉支援システムに送信する機能を持つ、前記被援護者の居住する場所に設けられている、送信機(携帯電話端末など)と、
前記送信機から送信された被援護者の存在および行動を受信する受信手段と、
前記受信した被援護者の存在および行動に基づき、被援護者に異常が発生していることを検知する異常検知手段と、をさらに有し、
前記異常検知手段で異常が発生していると判定された被援護者を、援護されるべき被援護者として選択し、当該被援護者の位置情報および援護者の位置情報に基づき、当該援護者を援護すべき援護者を選択する、
ことを特徴とする。
【0017】
上述したように本発明の解決手段をシステム(装置)として説明してきたが、本発明はこれらに実質的に相当する方法、プログラム、プログラムを記録した記憶媒体としても実現し得るものであり、本発明の範囲にはこれらも包含されるものと理解されたい。なお、システム、方法、プログラムでは、データの処理においては必要に応じて、CPU、DSPなどの演算処理装置を使用するものであり、入力したデータや加工・生成したデータなどを磁気テープ、HDD、メモリなどの記憶手段(装置)に格納するものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、援護を必要とする者に適切な援護者の福祉サービスを迅速に提供できるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以降、諸図面を参照しながら、本発明の実施態様を詳細に説明する。
【0020】
図1は、本発明の一実施態様による福祉支援システムの基本的な構成を示すブロック図である。図に示すように、福祉支援システム100は、制御手段110、通信手段120、出力手段130、記憶手段140、および入力手段150を有する。制御手段は、選択手段112および異常検知手段114を具える。通信手段120は、受信部122および送信部124を具える。出力手段130は、表示部DISおよび音声出力部SPを具える。記憶手段140は、地図情報MPおよび属性情報ATTを格納している。地図情報MPは、被援護者の位置情報MP1と援護者の位置情報MP2を有する。地図情報MPは、さらに、地図関連情報を有する。
【0021】
福祉支援システム100は、インターネット、携帯電話網、有線回線網などのネットワーク200を介して被援護者USR1が携帯する携帯電話機などの端末TM、援護者グループGRのメンバーである援護者USR3〜5が携帯する携帯電話機などの端末TM3〜5、災害情報システム(サーバ)250と接続されている。
【0022】
被援護者が位置する家屋には、人感センサS1〜4が設置されており、人体の存在、行動などを検出し、人感センサS1〜4はその検出結果を端末TMに送信している。検出結果を受信した端末TMは、定期的に検出結果を福祉支援システム100に送信する。福祉支援システム100は、通信手段120の受信部122にてそれを受信し、異常検知手段114がその検出結果が異常であるか否かを判定する。異常である場合は、異常検知手段114が異常である旨を選択手段112に通知する。通知を受けた選択手段112は、通知の内容に記載された被援護者の位置を位置情報MP1から割り出し、これに最も近くに位置し、対応可能である者を登録されている援護者グループから、候補の援護者を選択する。
【0023】
福祉支援システム100は、地震、火災、洪水などの災害や警報、予報などの災害情報を配信している災害情報システム250から、常時、或いは定期的に災害情報を受信部122で受信している。福祉支援システム100が管轄する所定の地域が、災害情報で被災を受ける恐れがあるか否かを、受信した災害情報と、地図関連情報MP3に含まれる災害ハザードマップ(洪水、地震、火災などの危険性が高い地域、区域などの位置情報が記載された地図)とに基づき、選択手段112が判定する。
【0024】
管轄する所定の地域が被災する恐れがある場合は、選択手段112は、位置情報MP1から被災が想定される地域に位置する被援護者を割り出し、さらにこの中から、属性情報ATTに含まれる個別の属性(寝たきり、1人暮らし、高齢者、車椅子使用者、障害の重度、介護の程度など)に応じて、援護されるべき被援護者を選択する。そして、選択手段112は、当該被援護者を援護するべき援護者を、位置情報MP1、MP2から選択する。送信部124は、選択手段112で選択された援護者に、前記被援護者を援護するように要求する援護要求メッセージを送信する。このように本実施態様によれば、災害が想定される地域の中で、属性情報を使用することによって最も援護する必要性の高い者から、自動的かつ優先的に援護者を割り当てることが可能となる。なお、本システムは、図示しないCPU、DSPなどの演算処理装置をさらに有するものであり、選択手段112が、演算処理装置を用いて、双方の位置情報から被援護者と各援護者との間の距離を計算し、最も近い者を割り出すものである。
【0025】
<実施態様1>
図2は、本発明の実施態様1による福祉支援システムで行われる処理を示すフローチャートである。図に示すように、ステップS11にて、被援護者の位置情報と、援護者の位置情報とを含む所定地域の地図情報を記憶手段に格納する。ステップS12にて、被援護者或いは第三者(親族など)から援護依頼を受信したか否かをを判定する。援護依頼を受信を受信していないと判定された場合は、ステップS12に戻る。即ち、援護依頼を受信するまで待ち続ける。ステップS12の条件を満たす場合は、ステップS13にて、被援護者を援護すべき「援護者」を、被援護者と援護者候補の双方の位置に基づき選択する。次にステップS14にて、選択した援護者に援護要求メッセージを送信する。次にステップS15にて、図6、7のような地図を表示部に出力して処理を終える。この地図は、援護者に援護要求メッセージと共に送信してもよい。なお、メッセージ送信は、携帯電話網の電子メールやショートメッセージサービスを使用することが好適である。
【0026】
<実施態様2>
図3は、本発明の実施態様2による福祉支援システムで行われる処理を示すフローチャートである。この実施態様は、被援護者宅に設置された人感センサS1〜S4(図1)で取得されたセンサ情報(被援護者の存在の有無および行動)を端末TMから受信し、記憶手段140に格納することを前提とする。また、実施態様2は、ステップS16以外のステップは実施態様1のそれらと同様のものであり、これら同様のステップの説明は省略する。本実施態様では、ステップS12の条件を満たさない場合に、ステップS16にて、このセンサ情報、即ち被援護者の存在および行動に基づき、被援護者に異常が発生しているか否かを判定する。異常がない場合は、ステップS12に戻る。異常であると判定した場合は、異常検知手段で異常が発生していると判定された被援護者を、援護されるべき被援護者として選択する。そして、実施態様1と同様に、ステップS13以降の処理を行う。本実施態様によれば、システム側で被援護者への援護や介護などのサービスを提供することが可能となり、弱者へのセーフティネットとしてシステムを機能させることができるようになる。
【0027】
<実施態様3>
図4は、本発明の実施態様3による福祉支援システムで行われる処理を示すフローチャートである。この実施態様は、災害情報システムから取得・受信した災害情報を記憶手段140に格納することを前提とする。また、実施態様3は、ステップS17、S18以外のステップは実施態様2のそれらと同様のものであり、これら同様のステップの説明は省略する。本実施態様では、ステップS16の条件を満たさない場合に、ステップS17にて、災害情報を取得したか否かを判定する。災害情報を取得していない場合はステップS12に戻る。ステップS17において災害情報を取得した場合は、ステップS18にて、災害情報に含まれる対象地域が当該福祉支援システムの管轄する所定の地域である否かを判定し、さらに、当該所定の地域で災害発生が想定されるか否かを判定し、属性情報(後述する)を参照して、この地域において、援護されるべき被援護者を選択する。被援護者を選択した後は、実施態様1,2と同様に、ステップS13以降の処理を行う。
【0028】
【表1】

【0029】
上の表は、属性情報テーブルの一例である。本システム100の選択手段112は、このような属性情報を考慮に入れて、援護されるべき者(被援護者)を選択することができる。また、選択手段112は、属性情報に応じて、1人の被援護者に、2人の援護者を選択して、援護(派遣)要求メッセージを出すこともできる。例えば、ユーザC0003のように体重90kgの被援護者を避難場所まで搬送する必要がある場合には、2人の援護者を割り当てたほうが搬送がスムーズに遂行可能である。このように、本システムは、被援護者に最適な援護者を選択することができ、さらには、最適な数の援護者を各被援護者に配置することが可能となる。また、このような人員配置をシステム側で一元管理でき、地図に出力することも可能である。
【0030】
要援護者の属性情報には、さらに、年齢、連絡先(電話番号、電子メールアドレス)、医療介護保険種類、障害手帳の有無、障害内容、介護手帳の有無、介護内容、緊急時の連絡先、治療中疾患、既往症、使用薬・用量、注意事項などを含ませることができる。
【0031】
【表2】

【0032】
本システム100は、援護者に事故・ヒヤリ・ハット報告書を送信するように要求し、これを受信し、記憶手段140に格納する。出力手段130は、この事故・ヒヤリ・ハット報告書を援護者別、被援護者別に表示部DISに出力することができる。
【0033】
【表3】

【0034】
本システム100は、援護者から取得したに事故・ヒヤリ・ハット報告書を集計・編集して、この危険源マスターとして記憶手段に格納しておくことができる。出力手段130は、危険源マスターを表示部DISに出力することができる。
【0035】
【表4】

【0036】
本システム100は、援護者に要求した作業およびその結果を記憶手段140に格納する。作業結果は、援護者に作業終了時に端末を用いて送信させた情報から得られたものである。出力手段130は、この被援護者別支援記録(表3)を表示部DISに出力することができる。本システムは、この被援護者別支援記録を援護履歴情報として使用して、選択手段112が、所定期間以上、訪問していない被援護者を抽出して、この抽出した被援護者に援護者を割り当て、割り当てた援護者に援護要求メッセージを送信させる構成を取ることも可能である。これによって、平等な福祉サービスを全ての人に提供することが可能となる。従って、効率良く全ての者に巡回サービスを提供すること可能である。また、所定期間以上訪問していない被援護者から、さらに属性情報を使用して、被援護者の数を限定してもよい。
【0037】
図5は、地図情報と地図関連情報の更新処理を示すフローチャートである。図に示すように、ステップS31では、ユーザ(被援護者、援護者など)の位置情報を受信する。位置情報は、ユーザが持つ端末に搭載されたGPS機能や携帯電話の基地局のセル情報などを用いる。具体的には「緯度、経度、標高」、或いは、「住所」などの情報である。ステップS32にて、この位置情報に基づき、地図情報を更新する。次にステップS33にて、地図関連情報(避難場所情報、医療施設情報、介護施設情報、および、危険地域情報など)を受信し、ステップS34では、受信した情報に基づき地図関連情報を更新して、処理を終える。このような情報の更新処理を定期的に行うことによって、最新の各ユーザの位置、および、最新の地図関連情報を反映して、迅速かつ適切に援護者や被援護者を選択し、質の高い援護サービスを円滑に提供することが可能となる。
【0038】
図6は、福祉支援システムで出力した地図の一例を示す図である。図に示すように、地図300は、所定の地域の市街地地図と、援護サービスに重要な施設、援護者、被援護者の位置表示を含むものである。この例では、大雨洪水警報を受けたシステムが、河川のそばの洪水想定地域FLに位置する者を被援護者C1として選択している。そして、援護者G1〜G3が当該地域に位置している。本システムは、被援護者C1を介護すべき者として、被援護者C1の所在位置に最も近くに位置している援護者G1を選択し、援護要求メッセージを援護者G1に送信して、援護を要請する。また、地図300には、援護者G1の所在位置から被援護者C1の所在位置までの経路を示す矢印AR3も表示してある。さらに、災害時の安全地帯である避難場所SZ、病院Hへの経路を示す矢印AR1、AR2もそれぞれ表示してある。この地図は、援護者G1(および被援護者C1)に送信して、援護者G1にこの地図を参照しながら、被援護者C1へ訪問するための地図として使用してもらうこともできる。さらに、地図300には、介護施設CHも表示してある。
【0039】
図7は、福祉支援システムで出力した地図の一例を示す図である。図に示すように、地図310は、所定の地域の市街地地図である。この中には、古い木造家屋が密集した火災延焼危険地域FZがある。この例では、火災延焼危険地域FZに火災が発生したことを災害情報システムから受信した、福祉支援システムが、火災延焼危険地域FZに位置する被援護者C2〜C7のうち、属性情報などを参照して、C2〜C5を援護されるべき被援護者であると判定・選択し、援護者G2〜G7のうちそれらに近い援護者G2〜G5を選択して、援護要求した様子を示してある。また、援護要求を手配中であることを明確に示すために、被援護者と援護を要求された援護者を線分で接続して表示してある。
【0040】
本発明を諸図面や実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形や修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形や修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各部、各手段、各ステップなどに含まれる機能などは論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の手段やステップなどを1つに組み合わせたり、或いは1つの手段やステップを分割したりすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の一実施態様による福祉支援システムの基本的な構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施態様1による福祉支援システムで行われる処理を示すフローチャートである。
【図3】本発明の実施態様2による福祉支援システムで行われる処理を示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施態様3による福祉支援システムで行われる処理を示すフローチャートである。
【図5】地図情報と地図関連情報の更新処理を示すフローチャートである。
【図6】福祉支援システムで出力した地図の一例を示す図である。
【図7】福祉支援システムで出力した地図の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0042】
100 福祉支援システム
110 制御手段
112 選択手段
114 異常検知手段
120 通信手段
122 受信部
124 送信部
130 出力手段
SP 音声出力部
DIS 表示部
140 記憶手段
MP 地図情報
MP1 位置情報
MP2 位置情報
MP3 地図関連情報
ATT 属性情報
150 入力手段
200 ネットワーク
250 災害情報システム
TM 端末
TM,TM3-5 端末
USR1,USR3-5 援護者
S1-4 人感センサ
300,310 地図
AR1−3 矢印
C1-C7 被援護者
CH 介護施設
FL 洪水想定地域
FZ 火災延焼危険地域
G1-G7 援護者
GR 援護者グループ
H 病院
SZ 避難場所

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被援護者の位置情報と、援護者の位置情報とを含む所定地域の地図情報を格納する記憶手段と、
前記被援護者および援護者の位置情報に基づき、前記所定地域の地図情報に含まれる援護者のうち、被援護者を援護すべき援護者を選択する選択手段と、
前記選択手段で選択された援護者に、前記被援護者を援護するように要求する援護要求メッセージを送信する援護要求送信手段と、
を有することを特徴とする福祉支援システム。
【請求項2】
請求項1に記載の福祉支援システムにおいて、
前記援護要求メッセージを受信した援護者から送信される対応可否情報を受信する対応可否情報受信手段をさらに有し、
前記選択手段が、前記援護者から送信される対応可否情報が対応不可であることを示す場合、前記被援護者を援護すべき新たな援護者を再選択し、
援護要求送信手段が、前記再選択された新たな援護者に、前記被援護者を援護するように要求する援護要求メッセージを送信する、
ことを特徴とする福祉支援システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の福祉支援システムにおいて、
前記援護要求メッセージを受信した援護者から送信される対応可否情報を受信する対応可否情報受信手段と、
前記援護者から送信される対応可否情報が対応可能であることを示す場合、前記被援護者および援護者の位置情報に基づき、前記援護者の到着予定時刻を計算し、該計算した到着予定時刻を示す情報を、前記被援護者に送信する時刻情報送信手段と、
をさらに有することを特徴とする福祉支援システム。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の福祉支援システムにおいて、
前記記憶手段が、援護活動に対応できるか否かの状況を示す対応可否情報を援護者毎にさらに格納し、
前記選択手段が、
前記位置情報、および、前記対応可否情報に基づき、前記地図情報に含まれる援護者のうち、被援護者を援護すべき援護者を選択する、
ことを特徴とする福祉支援システム。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の福祉支援システムにおいて、
前記援護者および/または被援護者の現在の位置情報を受信する位置情報受信手段をさらに有し、
前記記憶手段が、前記受信した援護者および/または被援護者の現在の位置情報を用いて、前記地図情報を更新する、
ことを特徴とする福祉支援システム。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の福祉支援システムにおいて、
前記記憶手段に格納されている地図情報から、被援護者の位置と、援護者の位置とを表示した地図データを出力する地図出力手段、
をさらに有することを特徴とする福祉支援システム。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の福祉支援システムにおいて、
前記地図情報が、避難場所情報、医療施設情報、介護施設情報、および、危険地域情報のうちの少なくとも1つからなる地図関連情報を含み、
前記地図出力手段が、
前記記憶手段に格納されている、地図情報および地図関連情報から、被援護者の位置と、援護者の位置と、地図関連情報に含まれる情報の少なくとも1つと、を表示した地図データを出力する、
ことを特徴とする福祉支援システム。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の福祉支援システムにおいて、
災害情報を取得する災害情報取得手段をさらに有し、
前記記憶手段が、被援護者毎の属性情報をさらに格納し、
前記選択手段が、
前記災害情報取得手段で取得された災害情報、前記被援護者毎の属性情報、および前記被援護者の位置情報に基づき、援護されるべき被援護者を選択し、当該被援護者の位置情報および援護者の位置情報に基づき、当該援護者を援護すべき援護者を選択する、
ことを特徴とする福祉支援システム。
【請求項9】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の福祉支援システムにおいて、
災害情報を取得する災害情報取得手段をさらに有し、
前記地図情報が、避難場所情報、医療施設情報、介護施設情報、および、危険地域情報からなる地図関連情報を含み、
前記選択手段が、
前記取得された災害情報、前記地図関連情報、および前記被援護者の位置情報に基づき、援護されるべき被援護者を選択し、当該被援護者の位置情報および援護者の位置情報に基づき、当該援護者を援護すべき援護者を選択する、
ことを特徴とする福祉支援システム。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の福祉支援システムにおいて、
援護者の存在および行動を検知する、前記被援護者の居住する場所に設けられている、少なくとも1つの人感センサと、
前記人感センサと有線または無線で接続され、前記人感センサで検知された被援護者の存在および行動を前記福祉支援システムに送信する機能を持つ、前記被援護者の居住する場所に設けられている、送信機と、
前記送信機から送信された被援護者の存在および行動を受信する受信手段と、
前記受信した被援護者の存在および行動に基づき、被援護者に異常が発生していることを検知する異常検知手段と、をさらに有し、
前記異常検知手段で異常が発生していると判定された被援護者を、援護されるべき被援護者として選択し、当該被援護者の位置情報および援護者の位置情報に基づき、当該援護者を援護すべき援護者を選択する、
ことを特徴とする福祉支援システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−140252(P2009−140252A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−316197(P2007−316197)
【出願日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【出願人】(501263809)株式会社コンピュータシステム研究所 (26)