説明

秘匿情報をフィルタリングする情報処理装置、方法およびプログラム

【課題】音声および画像に含まれた秘匿情報をフィルタリングすることができと共に、その秘匿情報の判定精度を向上させることができる情報処理装置、方法およびプログラムを提供すること。
【解決手段】本発明は、画像フレームから文字列を抽出し、音声データを文字列に変換し、これらの文字列に秘匿情報が含まれるか否か判定して、秘匿情報を含む画像フレームおよび/または音声データをマスクして視聴不能にする情報処理装置を提供する。また、本発明の情報処理装置は、秘匿情報を判別するための判別情報として、秘匿情報を共起する可能性のある文字列と、文字列の秘匿情報の共起率とが関連付けて登録されたデータベースをユーザの指示に基づいて更新する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、秘匿情報をフィルタリングする情報処理装置に関し、より詳細には、画像および音声に含まれる秘匿情報をフィルタリングする情報処理装置、方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、第3世代携帯電話やスマートフォン等の携帯型情報処理装置の利用者数は、増加の一途を辿っている。Apple社のiPhone(登録商標)やiPod(登録商標)、iPad(登録商標)等に代表される携帯型情報処理装置の多くは、動画再生が可能であり、その可搬性により様々なシーンで動画を閲覧することが可能になっている。
【0003】
このような多機能の携帯型情報処理装置の普及に伴い、昨今では、多くのユーザが電車や飲食店等の人混みで様々な動画を閲覧している。再生される動画の中には、映画やビデオクリップの他、ネットバンキングやネットショッピング等の電子商取引やWebCast、eミーティング等によって提供される守秘義務を伴う機密情報や個人情報等の秘匿情報を含むものもあり、このような動画を人混みで閲覧すると秘匿情報が漏洩してしまう虞があった。
【0004】
この点につき、特許文献1は、モニタの表示画像から不都合な表示情報を抽出し、当該表示情報に応じて表示画像に対する評価値を決定し、当該評価値に基づいて表示画像を制御して機密情報の漏洩を防止するセキュリティシステムを開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−299126号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に示すセキュリティシステムでは、表示画像に含まれる文字や画像のみを使用してフィルタリングすべき機密情報の有無を判断するため、例えば、再生すべき動画の音声に機密情報が含まれている場合、当該セキュリティシステムは、音声に含まれた機密情報の有無を判断することができず、機密情報の漏洩を防止することができない。
【0007】
また、特許文献1に示すセキュリティシステムでは、表示画像に対する機密情報の判断結果をフィードバックする構成を備えていないため、機密情報の判定が不適切であった場合でも、その判定結果をセキュリティシステムにフィードバックすることができず、機密情報の判定精度を向上させることができない。
【0008】
本発明は上記の課題を解決するものであり、画像および音声に含まれた秘匿情報をフィルタリングすることができると共に、その秘匿情報の判定精度を向上させることができる情報処理装置、方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち、本発明によれば、画像フレームから文字列を抽出し、音声データを文字列に変換し、これらの文字列に秘匿情報が含まれるか否か判定して、秘匿情報を含む画像フレームおよび/または音声データをマスクして視聴不能にする情報処理装置が提供される。これにより、本発明は、画像および音声に含まれた秘匿情報をフィルタリングすることができる。
【0010】
また、本発明の情報処理装置は、秘匿情報を判別するための判別情報として、秘匿情報を共起する可能性のある文字列と、文字列の秘匿情報の共起率とが関連付けて登録されたデータベースをユーザの指示に基づいて更新する。これにより、本発明は、秘匿情報の判定精度を向上させることができる。
【0011】
本発明によれば、画像および音声に含まれた秘匿情報をフィルタリングすることができると共に、その秘匿情報の判定精度を向上させることができる方法およびプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本実施形態の情報処理装置の機能構成を示す図。
【図2】本実施形態の情報処理装置が実行する処理を示すフローチャート。
【図3】本実施形態の情報処理装置が実行する秘匿情報判定処理を示すフローチャート。
【図4】本実施形態の情報処理装置が実行する秘匿判定情報更新処理の一実施形態を示すフローチャート。
【図5】本実施形態の情報処理装置が実行する秘匿判定情報更新処理の別の実施形態を示すフローチャート。
【図6】本実施形態の情報処理装置が実行する秘匿情報識別情報の修正処理を示すフローチャート。
【図7】本実施形態の情報処理装置が、動画データのストリーミング再生終了後に秘匿情報を更新する処理を示すフローチャート。
【図8】本実施形態の情報処理装置が、ストリーミング再生が終了後に実行する秘匿判定情報更新処理を示すフローチャート。
【図9】本実施形態の秘匿判定情報データベースに登録される秘匿判定情報データテーブルを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明について実施形態をもって説明するが、本発明は、後述する実施形態に限定されるものではない。
【0014】
図1は、本実施形態の情報処理装置110の機能構成100を示す図である。情報処理装置110は、動画の再生が可能な情報処理装置であり、動画提供サーバ(図示せず)がストリーミング配信やダウンロード等によって提供する動画データを再生することができる。本実施形態では、情報処理装置として、Apple社のiPhone(登録商標)やSumsung社のGALAXY S(商標)、シャープ社のIS03等のスマートフォンや、Apple社のiPod(登録商標)やiPad(登録商標)、シャープ社のGALAPAGOS(商標)等の携帯型情報処理装置を採用することができる。
【0015】
情報処理装置110は、Windows(登録商標)7、Windows Vista(登録商標)、Windows XP(登録商標)、Windows Mobile(登録商標)等のWindows(登録商標)シリーズ、Mac OS(登録商標)、iPhone(登録商標)やiPad(登録商標)用のiOSシリーズ、UNIX(登録商標)、LINUX(登録商標)、Google Chrome Os、Android(登録商標)、TRON(登録商標)、iTRONなどのOSの管理下で、アセンブラ、C、C++、Java(登録商標)、JavaScript(登録商標)、PERL、PHP、RUBY、PYTHONなどのプログラム言語で記述された本発明のプログラムを実行する。
【0016】
また、情報処理装置110は、本発明のプログラムを実行するための実行空間を提供するRAM、プログラムやデータなどを持続的に保持するためのハードディスク装置(HDD)などを含んでおり、本発明のプログラムを実行することにより、後述する本実施形態の各機能を情報処理装置110上に実現する。本実施形態の各機能部は、上述したプログラミング言語などで記述された装置実行可能なプログラムにより実現できる。本発明のプログラムは、HDD、CD−ROM、MO、フレキシブルディスク、EEPROM、EPROMなどの装置可読な記録媒体に格納して頒布することができ、また他の装置が可読な形式でネットワークを介して伝送することができる。
【0017】
図1に示す情報処理装置110は、通信部112と、制御部114と、バッファ処理部116と、フィルタリング処理部118と、再生部128と、更新部130と、表示部132と、バッファメモリ134と、秘匿判定情報データベース136とを含む。
【0018】
通信部112は、情報処理装置110と動画提供サーバとの間で通信するデータを処理する。通信部112は、動画提供サーバから動画データを受領すると、その旨を制御部114に通知する。
【0019】
制御部114は、情報処理装置110の全体制御を行う。制御部114は、バッファ処理部116、フィルタリング処理部118、再生部128、更新部130および表示部132を適宜呼び出して、これらの機能部が実行可能な種々の処理を実行させる。
【0020】
バッファ処理部116は、動画提供サーバが提供した動画データをバッファメモリ134に保存する。バッファ処理部116は、動画データを受信すると、画像フレームおよび音声データのメタデータとして、動画データを構成する画像フレームおよび音声データを固有に識別可能な情報(以下、「画像フレーム識別情報」および「音声データ識別情報」とする。)を画像フレームおよび音声データに付加してバッファメモリ134に保存する。
【0021】
本実施形態では、動画データを取得した日時を示すタイムスタンプと、画像フレームまたは音声データのファイル拡張子との結合を、画像フレーム識別情報または音声データ識別情報として使用することができる。バッファ処理部116は、情報処理装置110が有するハードウェアタイマまたはソフトウェアタイマ等のタイマが提供する時刻情報を使用して、画像フレーム識別情報または音声データ識別情報を生成することができる。
【0022】
また、本実施形態では、バッファメモリ134に保存される1の音声データの長さは、1の画像フレームの再生時間と同一であり、対になる画像フレームおよび音声データの識別情報には同一のタイムスタンプが含まれる。さらに、本実施形態で使用するタイムスタンプは、隣接する画像フレームを固有に識別可能な時刻情報、すなわち、例えば、2010年10月12日11時15分6.234秒等のようにミリ秒単位やマイクロ秒単位で時刻情報を表すことができる。
【0023】
フィルタリング処理部118は、バッファメモリ134にバッファリングされた画像フレームおよび音声データをフィルタリングし、個人情報や機密情報等の秘匿情報を有する画像フレームや音声データに対してマスク処理を施す。フィルタリング処理部118は、文字情報抽出部120と、音声データ変換部122と、秘匿情報判定部124と、マスク処理部126とを含んで構成される。
【0024】
文字情報抽出部120は、画像フレームから文字情報を抽出する。文字情報抽出部120は、バッファメモリ134にバッファリングされた画像フレームをFIFO形式で順次取得し、画像フレームに含まれる文字画像と、種々の文字が登録されたテンプレートとを照合して、テキストデータである文字情報を抽出する。本実施形態では、文字情報として、例えば、JISコードやシフトJISコード、UNICODE等の文字コードが使用される。
【0025】
本実施形態では、文字情報抽出部120は、抽出した文字情報を他の機能部が参照可能な情報処理装置110の記憶装置に保存する。他の機能部は、当該記憶装置から当該文字情報を取得することができる。
【0026】
音声データ変換部122は、音声データに含まれる音声言語を文字情報に変換する。音声データ変換部122は、バッファメモリ134にバッファリングされた音声データをFIFO形式で順次取得し、当該音声データに含まれる音声言語をテキストデータである文字情報に変換する。
【0027】
音声データ変換部122は、例えば、特開2010−072098号公報に開示する音声認識技術等を用いて、音声データを文字情報に変換することができる。すなわち、音声データ変換部122は、認識対象の文字列の周波数特性を示す音響特徴が規定された統計的モデルである音響モデルと、日本語の文章の制約を表す確率モデルである言語モデルまたは認識対象の単語が登録された辞書データとを使用して、音声データを構成する音声信号が示す単語またはフレーズを認識し、文字情報に変換することができる。
【0028】
本実施形態では、音声データ変換部122は、所定の長さの音声データを構成する音声信号から文字情報を抽出することが好適である。また、音声データ変換部122が1回の変換処理で扱う音声データの長さは、任意とすることができる。
【0029】
本実施形態では、音声データ変換部122は、生成した文字情報を他の機能部が参照可能な情報処理装置110の記憶装置に保存する。他の機能部は、当該記憶装置から当該文字情報を取得することができる。
【0030】
秘匿情報判定部124は、画像フレームおよび/または音声データに秘匿情報が含まれるか否か判断する。秘匿情報判定部124は、文字情報抽出部120および音声データ変換部122が生成した文字情報が構成する文字列に秘匿情報が共起するか否か判定することにより、画像フレームおよび/または音声データに秘匿情報が含まれるか否か判定する。
【0031】
より詳細には、秘匿情報判定部124は、秘匿判定情報データベース136を参照し、文字情報抽出部120および音声データ変換部122が生成した文字情報が構成する文字列と、秘匿判定情報データベース136に登録されている文字列(以下、「登録文字列」とする。)とが合致するか否か判定する。そして、文字情報抽出部120および音声データ変換部122が生成した文字情報が構成する文字列と登録文字列とが合致する場合、秘匿情報判定部124は、当該登録文字列に関連付けられた秘匿情報共起率を使用して、当該文字情報に秘匿情報が付随するか否か判定する。
【0032】
秘匿情報判定部124は、秘匿情報が付随すると判定した場合、秘匿情報が存在することを示す識別情報(以下、「秘匿情報識別情報」とする。)を、当該文字情報を含む画像フレームの画像フレーム識別情報または音声データの音声データ識別情報に付加する。
【0033】
本実施形態では、画像フレーム識別情報または音声データ識別情報に秘匿情報識別情報を付加することによって秘匿情報の有無を管理する。他の実施形態では、秘匿情報が現れた画像フレームの画像フレーム識別情報または音声データの音声データ識別情報に秘匿情報の出現を示す識別情報を付加すると共に、秘匿情報が存在しなくなった画像フレームの画像フレーム識別情報または音声データの音声データ識別情報に秘匿情報の消失を示す識別情報を付加することにより、秘匿情報の有無を管理してもよい。さらに他の実施形態では、画像フレーム識別情報または音声データ識別情報と、秘匿情報が存在することを示す識別情報または秘匿情報が存在しないことを示す識別情報とを関連付けてデータベースに登録することにより、秘匿情報の有無を管理してもよい。
【0034】
マスク処理部126は、秘匿情報を含む動画データに対してマスク処理を施して秘匿情報を視聴不能にする。マスク処理部126は、画像フレームに対するマスク処理として、秘匿情報を含む画像フレームにスクランブル処理を施し、秘匿情報を視聴不能にすることができる。また、マスク処理部126は、秘匿情報を含む画像フレームを他の画像フレーム(例えば、黒色や白色等で構成される画像フレームや秘匿情報が含まない所定の代替フレーム等)に置換することにより、秘匿情報を視認不能にしてもよい。
【0035】
マスク処理部126は、音声データに対するマスク処理として、秘匿情報を含む音声データを他の音声データ、例えば、無音の音声データや特定の周波数音で構成される音声データ等に変換し、秘匿情報を聴認不能にすることができる。
【0036】
再生部128は、動画データを再生する。再生部128は、再生すべき画像フレームおよび音声データが保存される情報処理装置110内の記憶装置のメモリ領域(以下、「再生データ保存領域」とする。)から画像フレームおよび音声データを順次取得して再生する。本実施形態では、再生部128は、秘匿情報を含まないためにマスク処理が施されなかった画像フレームおよび音声データ、マスク処理が施された画像フレームおよび音声データを再生する。他の実施形態では、音声データに秘匿情報が含まれる場合に、再生すべき音声データの再生音量を聴認不能な程度に低下させて再生してもよい。さらに他の実施形態では、再生部128は、ユーザ指示により、バッファメモリ134に格納された動画データをマスク処理が施されていない状態で再生することもできる。
【0037】
更新部130は、秘匿判定情報データベース136に登録された秘匿情報を判定するための情報(以下、「秘匿判定情報」とする。)を更新する。更新部130は、秘匿判定情報として秘匿判定情報データベース136に登録された秘匿情報を共起する可能性のある登録文字列と、これに関連付けて登録された秘匿情報共起率とを更新する。本実施形態では、更新部130は、ユーザが指定した登録文字列に関連付けられた秘匿情報共起率を所定値分増減させて更新することができる。なお、秘匿判定情報データベース136については、そのデータ内容とともに、図9を参照して詳細に説明する。
【0038】
表示部132は、情報処理装置110の表示装置に種々の画面を表示させる。表示部132は、秘匿判定情報データベース136を登録する画面、秘匿判定情報データベース136の更新や訂正を指示可能なボタン等を含む画面、秘匿判定情報データベース136を更新または訂正した旨を通知する画面等を表示することができる。本実施形態の表示画面を構成するデータは、本実施形態のプログラムの実行時に情報処理装置のRAMに展開され、表示部132は、当該構成データを使用して通知画面を表示させることができる。
【0039】
本実施形態では、情報処理装置110はタッチパネル式の表示装置を備えており、当該表示装置に対するユーザの接触や接触位置を検知して、秘匿判定情報データベースの登録指示や更新指示がされたことを判断することができる。他の実施形態では、情報処理装置110は、上記ボタンの機能を割り当てられたキーボート等の入力手段を備えており、当該入力手段が押下されたことを検知して、秘匿判定情報データベースの登録指示や更新指示がされたことを判断することができる。
【0040】
図2は、本実施形態の情報処理装置が実行する処理を示すフローチャートである。以下、図2を参照して、情報処理装置110が実行する処理について説明する。
【0041】
図2の処理は、ステップS200で動画提供サーバから動画データを受信したことにより開始する。ステップS201では、制御部114がバッファ処理部116を呼び出し、バッファ処理部116は、動画提供サーバから受信した動画データに識別情報を付加してバッファメモリ134にバッファリングする。本実施形態では、情報処理装置110は、動画データのバッファリングと、後述するステップS202〜S211の処理とを並行して実行することができる。
【0042】
ステップS201で動画データのバッファリングが開始すると、ステップ202で制御部114が文字情報抽出部120を呼び出し、文字情報抽出部120が、動画を構成する画像フレームから文字情報を抽出する。ステップS203では、制御部114は音声データ変換部122を呼び出し、音声データ変換部122が、動画を構成する音声データから文字情報を生成する。
【0043】
ステップS202およびステップS203の処理が終了すると、ステップS204では、制御部114が秘匿情報判定部124を呼び出し、秘匿情報判定部124は、動画データの秘匿情報の有無を判定する秘匿情報判定処理を実行する。なお、秘匿情報判定処理については、図3を参照して詳細に説明する。
【0044】
ステップS205では、制御部114は、ステップS204で実行した秘匿情報判定処理の結果から画像フレームおよび音声データに秘匿情報が存在するか否か判断する。秘匿情報が存在すると判断した場合には(yes)、処理をステップS206に分岐させる。ステップS206では、制御部114がマスク処理部126を呼び出し、秘匿情報を含む画像フレームおよび/または音声データにマスク処理を施させる。そして、制御部114は、マスクされた画像フレームおよび/または音声データを再生データ保存領域に保存する。一方、秘匿情報が存在しないと判断した場合には(no)、処理をステップS207に分岐させ、ステップS207では、制御部114は、マスク処理を実行させることなく、画像フレームおよび音声データを再生データ保存領域に保存する。
【0045】
ステップS208では、制御部114は再生部128を呼び出し、再生部128は、再生データ保存領域に保存されている画像フレームおよび音声データを再生する。ステップS209では、制御部114が秘匿判定情報の更新指示を受信したか否か判断する。
【0046】
本実施形態では、制御部114は、ユーザが秘匿判定情報の更新ボタンを押下したことによって発行された割り込み指示である秘匿判定情報の更新指示をRAM等の記憶装置に保存することができる。制御部114は、当該記憶装置を参照して秘匿判定情報の更新指示を受信したか否か判断することができる。
【0047】
ステップS209の判定で秘匿判定情報の更新指示を受信したと判断した場合には(yes)、処理をステップS210に分岐させる。ステップS210では、制御部114が更新部130を呼び出して、図4を参照して説明する秘匿判定情報更新処理を更新部130に実行させる。一方、秘匿判定情報の更新指示を受信していないと判断した場合には(no)、処理をステップS211に分岐させる。
【0048】
ステップS211では、制御部114は、バッファメモリ134を参照して、再生すべき動画データが存在するか否か判断する。再生すべき動画データが存在する場合には(yes)、処理をステップS202およびS203に戻し、上述した処理を反復させる。一方、再生すべき動画が存在しないと判断した場合には(no)、処理をステップS212に分岐させる。
【0049】
ステップS212では、制御部114は、ステップS210で秘匿判定情報更新処理が実行されたか否か判断する。本実施形態では、制御部114は、ステップS210で更新部130を呼び出した場合に、当該更新処理を実行したことを示すフラグ情報等を記憶装置に保持し、当該フラグ情報を使用して更新処理が実行されたか否か判断することができる。
【0050】
ステップS212の判定で、更新処理が実行されたと判断した場合には(yes)、処理をステップS213に分岐させる。ステップS213では、制御部114は、図6を参照して説明する秘匿情報識別情報の修正処理を実行し、ステップS214で処理が終了する。一方、ステップS212の判定で、更新処理が実行されていないと判断した場合には(no)、処理をステップS214に分岐させて終了させる。
【0051】
図3は、本実施形態の情報処理装置が実行する秘匿情報判定処理を示すフローチャートである。以下、図3を参照して秘匿情報判定処理について説明する。
【0052】
図3の処理は、図2に示すステップS204の処理で制御部114が秘匿情報判定部124を呼び出すことにより、ステップS300から開始する。ステップS301では、秘匿情報判定部124は、秘匿判定情報データベース136を参照し、図2に示すステップS202およびステップS203の処理で生成した文字情報によって構成される文字列と、秘匿判定情報データベース136の登録文字列とを照合する。
【0053】
ステップS302では、秘匿情報判定部124は、これらの文字列がマッチするか否か判断し、これらの文字列がマッチする場合には(yes)、処理をステップS303に分岐させる。一方、マッチしない場合には(no)、処理をステップS306に分岐させて終了させる。
【0054】
ステップS303では、秘匿情報判定部124は、秘匿判定情報データベース136を参照し、ステップS302でマッチすると判断した登録文字列に関連付けられた秘匿情報共起率を取得する。ステップS304では、秘匿情報判定部124は、ステップS303で取得した秘匿情報共起率が所定の閾値よりも大きいか否か判断し、秘匿情報共起率が所定の閾値以下であると判断した場合、すなわち、当該文字列に秘匿情報が付随する可能性が低いと判断した場合には(no)、処理をステップS306に分岐させて終了させる。
【0055】
一方、秘匿情報共起率が所定の閾値よりも大きいと判断した場合、すなわち、当該文字列に秘匿情報が付随すると判断した場合には(yes)、処理をステップS305に分岐させる。ステップS305では、秘匿情報判定部124は、バッファメモリ134にバッファリングされている当該文字列を構成する文字情報を含む画像フレームおよび/または音声データの識別情報に秘匿情報識別情報を付加し、ステップS306で処理が終了する。
【0056】
本実施形態では、秘匿情報判定部124は、画像フレーム識別情報および音声データ識別情報にそれぞれ秘匿情報識別情報を付加することができる。秘匿情報判定部124は、ステップS302で登録文字列とマッチすると判断した文字列を構成する文字情報が画像フレームから抽出されたことを示す情報および/または当該文字情報が音声データから生成されたことを示す情報を、情報処理装置110のRAMやHDD等の記憶装置に保持する。そして、秘匿情報判定部124は、当該情報を参照して、秘匿情報が画像フレーム、音声データ、並びに画像フレームおよび音声データ双方に含まれるか否か判断することができる。
【0057】
図4は、本実施形態の情報処理装置が実行する秘匿判定情報更新処理の一実施形態を示すフローチャートである。以下、図4を参照して秘匿判定情報更新処理の一実施形態について説明する。
【0058】
図4の処理は、図2に示すステップS210の処理で制御部114が更新部130を呼び出すことにより、ステップS400から開始する。ステップS401では、更新部130は、再生データ保存領域に格納されている再生された画像フレームまたは音声フレームにマスク処理が施されているか否か判断する。
【0059】
本実施形態では、マスク処理部126は、画像フレームおよび音声データのメタデータとして画像フレーム識別情報および音声データ識別情報に付加された秘匿情報識別情報を使用して、画像フレームまたは音声フレームにマスク処理が施されているか否か判断することができる。
【0060】
ステップS401の判定で画像フレームまたは音声フレームにマスク処理が施されていると判断した場合(yes)、処理をステップS402に分岐させる。一方、画像フレームまたは音声フレームにマスク処理が施されていないと判断した場合(no)、処理をステップS406に分岐させて終了させる。
【0061】
ステップS402では、更新部130は、再生データ保存領域に格納されているマスク処理が施された画像フレームおよび音声データに対応する、マスク処理が施されていない画像フレームおよび音声データをバッファメモリ134から取得し、再生データ保存領域に保存する。本実施形態では、更新部130は、画像フレーム識別情報および音声データ識別情報を使用して、マスク処理が施された画像フレームおよび音声データに対応する、マスク処理が施されていない画像フレームおよび音声データを識別することができる。
【0062】
ステップS403では、再生部128が、再生データ保存領域に保存されたマスク処理が施されていない画像フレームおよび音声データを再生する。ステップS404では、更新部130は、バッファメモリ134に保存されているステップS402で取得した画像フレームおよび/または音声データの画像フレーム識別情報および/または音声データ識別情報から秘匿情報識別情報を削除する。ステップS405では、更新部130は、秘匿判定情報データベース136を参照し、図3に示す秘匿情報の判断処理でマッチすると判断した文字列に関連付けて、所定の秘匿情報共起率を登録し、ステップS406で処理が終了する。本実施形態では、当該修正後の秘匿情報共起率は、マスク処理を実行しない値とする。
【0063】
図4に示す実施形態では、ストリーミング配信処理における動画データの再生中にマスク処理の不備、すなわち、画像フレームおよび音声データに対して誤ってマスク処理が施された場合に、ユーザの秘匿判定情報の更新指示をトリガとした秘匿判定情報更新処理によって動画データの再生が中断され、マスク処理が施されていない画像フレームおよび音声データが再生される。このため、本実施形態では、ユーザが、マスク処理が誤って施された画像フレームおよび音声データをリアルタイムで訂正し、視聴することができる。
【0064】
また、本実施形態では、秘匿判定情報更新処理によって秘匿情報共起率が適正値に修正される。このため、動画データの再生を再開した後、修正された秘匿情報共起率を使用して秘匿情報判定処理を実行することができ、再生すべき画像フレームや音声データに対するマスク処理の精度を向上させることができる。
【0065】
図5は、本実施形態の情報処理装置が実行する秘匿判定情報更新処理の別の実施形態を示すフローチャートである。以下、図5を参照して秘匿判定情報更新処理の別の実施形態について説明する。なお、図5に示すステップS500〜ステップS505の処理は、図4に示すステップS400〜ステップS405と同様であるため、以下、説明を省略する。
【0066】
ステップS501の判定で、再生すべき画像フレームまたは音声フレームにマスク処理が施されていないと判断した場合には(no)、処理をステップS506に分岐させる。ステップS506では、更新部130は表示部132を呼び出し、表示部132は、図2に示す処理で文字情報抽出部120および音声データ変換部122が抽出または生成した文字情報が構成する文字列を選択可能な画面を、情報処理装置110の表示装置に表示する。
【0067】
ステップS507では、表示部132は、表示装置に表示された文字列がユーザによって選択されたか否かを判断する。文字列が選択されていない場合には(no)、ステップS507の処理を反復させる。一方、文字列が選択されたと判断した場合には(yes)、処理をステップS508に分岐させる。ステップS508では、更新部130は、選択された文字列が、画像フレームにのみ含まれる文字列、音声データにのみ含まれる文字列、または画像フレームおよび音声データの双方に含まれる文字列であるか判断する。
【0068】
本実施形態では、表示部132が文字列を表示装置に表示するときに、当該文字列が画像フレームに含まれる文字列であることを示す識別情報および/または音声データに含まれる文字列であることを示す識別情報を記憶装置に保持しておく。表示部132は、記憶装置に保持された当該識別情報を使用して、ユーザが選択した文字列が画像フレームにのみ含まれる文字列であるか、音声データにのみ含まれる文字列であるか、または画像フレームおよび音声データの双方に含まれる文字列であるかを判断することができる。
【0069】
ステップS508の判定で、ユーザの選択した文字列が画像フレームにのみ含まれる文字列であると判断した場合、処理をステップS509に分岐させる。ステップS509では、更新部130は、当該文字列を含む画像フレームの画像フレーム識別情報に秘匿情報識別情報を付加する。
【0070】
ステップS508の判定で、ユーザの選択した文字列が音声データにのみ含まれる文字列であると判断した場合、処理をステップS510に分岐させる。ステップS510では、更新部130は、当該文字列を含む音声データの音声データ識別情報に秘匿情報識別情報を付加する。
【0071】
ステップS508の判定で、ユーザの選択した文字列が画像フレームおよび音声データの双方に含まれる文字列であると判断した場合、処理をステップS511に分岐させる。ステップS511では、更新部130は、当該文字列を含む画像フレームの画像フレーム識別情報および音声データの音声データ識別情報に秘匿情報識別情報を付加する。
【0072】
ステップS512では、更新部130は、秘匿判定情報データベース136を参照し、ユーザの選択した文字列が登録されているか否か判断する。当該文字列が登録されていると判断した場合には(yes)、処理をステップS513に分岐させる。ステップS513では、更新部130は、所定の秘匿情報共起率を当該文字列と関連付けて秘匿判定情報データベース136に登録し、ステップS515で処理が終了する。
【0073】
一方、当該文字列が秘匿判定情報データベース136に登録されていないと判断した場合には(no)、処理をステップS514に分岐させる。ステップS514では、更新部130は、所定の秘匿情報共起率と当該文字列とを関連付けて秘匿判定情報データベース136に登録し、ステップS515で処理が終了する。本実施形態では、所定の秘匿情報共起率は、画像フレームや音声データに対してマスク処理が実行される値とする。
【0074】
図5に示す実施形態では、ストリーミング配信処理における動画データの再生中にマスク処理の不備、すなわち、画像フレームおよび音声データに対して誤ってマスク処理が施された場合に、ユーザの秘匿判定情報の更新指示をトリガとした秘匿判定情報更新処理によって動画データの再生が中断され、マスク処理が施されていない画像フレームおよび音声データが再生される。このため、本実施形態では、ユーザが、マスク処理が誤って施された画像フレームおよび音声データをリアルタイムで訂正し、視聴することができる。
【0075】
また、本実施形態では、秘匿判定情報更新処理によって秘匿情報共起率が適正値に修正される。このため、動画データの再生を再開した後、修正された秘匿情報共起率を使用して秘匿情報判定処理を実行することができ、再生すべき画像フレームや音声データに対するマスク処理の精度を向上させることができる。
【0076】
さらに、本実施形態では、秘匿情報を含む画像フレームや音声データに対してマスク処理が施されていない場合に、ユーザによる秘匿判定情報の更新指示により、当該画像フレームや音声データに含まれる秘匿情報を選択可能な画面が表示され、ユーザがマスクすべき秘匿情報を選択することができる。このため、再生される後続の動画データに対する秘匿情報の判定精度を向上させることができ、秘匿情報に対するマスク処理の適正化を一層図ることができる。
【0077】
図6は、本実施形態の情報処理装置が実行する秘匿情報識別情報の修正処理を示すフローチャートである。以下、図6を参照して、動画データのストリーミングにおいて再生された画像フレームおよび音声データに対し、事後的に秘匿情報識別情報を修正する秘匿情報識別情報の修正処理について説明する。
【0078】
図6の処理は、図2に示すステップS213で呼び出されることによってステップS600から開始する。ステップS601では、制御部114が文字情報抽出部120を呼び出し、文字情報抽出部120は、バッファメモリ134から画像フレームをFIFO形式で取得して文字情報を抽出する。ステップS602では、制御部114が音声データ変換部122を呼び出し、音声データ変換部122は、バッファメモリ134から音声データをFIFO形式で取得して文字情報を生成する。ステップS603では、制御部114が秘匿情報判定部124を呼び出し、秘匿情報判定部124は、ステップS601およびS602で抽出または生成した文字情報が構成する文字列と、秘匿判定情報データベース136の登録文字列とを照合する。
【0079】
ステップS604では、秘匿情報判定部124は、当該文字列がマッチするか否か判断し、マッチしない場合には(no)、処理をステップS614に分岐させる。一方、これらの文字列がマッチする場合には(yes)、処理をステップS605に分岐させる。
【0080】
ステップS605では、秘匿情報判定部124は、秘匿判定情報データベース136を参照し、ステップS604でマッチすると判断した登録文字列に関連付けられた秘匿情報共起率を取得する。ステップS606では、秘匿情報判定部124は、ステップS605で取得した秘匿情報共起率が所定の閾値よりも大きいか否か判断する。秘匿情報共起率が所定の閾値以下であると判断した場合、すなわち、当該文字列に秘匿情報が付随する可能性が低いと判断した場合には(no)、処理をステップS607に分岐させる。
【0081】
ステップS607では、秘匿情報判定部124は、秘匿情報が付随する可能性が低いと判断した文字列が含まれる画像フレームの画像フレーム識別情報または音声データの音声データ識別情報の少なくとも一方に秘匿情報識別情報が付加されているか否か判断する。秘匿情報識別情報が付加されていない場合には(no)、処理をステップS614に分岐させる。一方、秘匿情報識別情報が付加されている場合には(yes)、処理をステップS608に分岐させる。ステップS608では、秘匿情報判定部124は、秘匿情報識別情報が付加された画像フレーム識別情報および/または音声データ識別情報から秘匿情報識別情報を削除する。
【0082】
一方、ステップS606の判定で秘匿情報共起率が所定の閾値よりも大きいと判断した場合、すなわち、当該文字列に秘匿情報が付随する可能性が高いと判断した場合には(yes)、処理をステップS609に分岐させる。ステップS609では、秘匿情報判定部124は、秘匿情報が付随する可能性が高いと判断した文字列を含む画像フレームの画像フレーム識別情報または音声データの音声データ識別情報の少なくとも一方に秘匿情報識別情報が付加されているか否か判断する。画像フレーム識別情報または音声データの音声データ識別情報の少なくとも一方に秘匿情報識別情報が付加されていると判断した場合には(yes)、処理をステップS614に分岐させる。一方、画像フレームの画像フレーム識別情報または音声データの音声データ識別情報のいずれにも秘匿情報識別情報が付加されていないと判断した場合には(no)、処理をステップS610に分岐させる。
【0083】
ステップS610では、秘匿情報判定部124は、ステップS604でマッチすると判断した文字列が、画像フレームまたは音声データのいずれに含まれるか否か判断する。本実施形態では、秘匿情報判定部124は、ステップS602でマッチすると判断した文字列が画像フレームに含まれる文字列または音声データに含まれる文字列であるかを識別する情報を情報処理装置110のRAMやHDD等の記憶装置に保持する。そして、秘匿情報判定部124は、当該識別情報を参照して、当該マッチすると判断した文字列が画像フレームに含まれる文字列または音声データに含まれる文字列であるか否か判断することができる。
【0084】
ステップS610の判定で、マッチすると判断した文字列が画像フレームにのみ含まれると判断した場合、処理をステップS611に分岐させる。ステップS611では、更新部130は、当該文字列を含む画像フレームの画像フレーム識別情報に秘匿情報識別情報を付加する。
【0085】
ステップS610の判定で、マッチすると判断した文字列が音声データのみに含まれると判断した場合、処理をステップS612に分岐させる。ステップS612では、更新部130は、当該文字列を含む音声データの音声データ識別情報に秘匿情報識別情報を付加する。
【0086】
ステップS610の判定で、マッチすると判断した文字列が画像フレームおよび音声データに含まれると判断した場合、処理をステップS613に分岐させる。ステップS613では、更新部130は、当該文字列を含む画像フレームの画像フレーム識別情報および音声データの音声データ識別情報に秘匿情報識別情報を付加する。
【0087】
ステップS614では、制御部114は、秘匿情報識別情報を修正すべき画像フレームおよび音声データがバッファメモリ134に存在するか否か判断する。
【0088】
本実施形態では、文字情報抽出部120および音声データ変換部122は、バッファメモリ134から画像フレームおよび音声データをFIFO形式で取得して、修正すべき画像フレームおよび音声データがバッファメモリ134に存在するか否か判断する。他の実施形態では、動画データを受信したときのタイムスタンプを含む画像フレームの識別情報または音声データの識別情報を使用して、最も古いタイムスタンプを含む画像フレームの識別情報および音声データの識別情報が示す画像フレームおよび音声データから順次取得し、修正すべき画像フレームおよび音声データがバッファメモリ134に存在するか否か判断してもよい。
【0089】
ステップS614の判定で、修正すべき画像フレームおよび音声データが存在すると判断した場合には(yes)、処理をステップS601およびステップS602に戻し、上述した各処理を反復させる。一方、修正すべき画像フレームおよび音声データが存在しないと判断した場合には(no)、処理をステップS615に分岐させて終了させる。
【0090】
図6に示す実施形態では、ストリーミング処理に付随してリアルタイムで秘匿判定情報更新処理を実行して秘匿判定情報データベース136に登録された秘匿情報を更新した場合、既に再生された画像フレームおよび音声データに対して、更新された秘匿情報を使用して事後的に秘匿情報識別情報を修正することができる。
【0091】
図7は、本実施形態の情報処理装置が、動画データのストリーミング再生終了後に秘匿情報を更新する処理を示すフローチャートである。以下、図7を参照して、ストリーミング再生が終了後に秘匿情報を更新する処理について説明する。
【0092】
図7の処理は、ステップS700で情報処理装置110の制御部114が、ユーザが発行する動画データの再生指示を受領することにより開始する。ステップS701では、制御部114が、図2の処理でバッファメモリ134に格納された画像フレームおよび音声データをFIFO形式で取得する。ステップS702では、制御部114が、当該画像フレームおよび音声データの画像フレーム識別情報および音声データ識別情報を使用して、当該画像フレームおよび音声データに秘匿情報が存在するか否か判断する。秘匿情報が存在しないと判断した場合には(no)、処理をステップS703に分岐させる。ステップS703では、制御部114は、画像フレームおよび音声データを再生データ保存領域に保存する。
【0093】
一方、ステップS702の判定で画像フレームおよび音声データに秘匿情報が存在すると判断した場合には(yes)、処理をステップS704に分岐させる。ステップS704では、制御部114がマスク処理部126を呼び出して秘匿情報を含む画像フレームおよび/または音声データにマスク処理を施させる。そして、制御部114は、マスクされた画像フレームおよび/または音声データを再生データ保存領域に保存する。
【0094】
ステップS705では、制御部114が再生部128を呼び出し、再生部128は、再生データ保存領域に保存されている画像フレームおよび音声データを再生する。ステップS706では、制御部114は、秘匿判定情報の更新指示を受信したか否か判断する。更新指示を受信していないと判断した場合には(no)、処理をステップS708に分岐させる。
【0095】
一方、更新指示を受信したと判断した場合には(yes)、処理をステップS707に分岐させる。ステップS707では、制御部114が更新部130を呼び出し、更新部130は、図8を参照して説明する秘匿判定情報更新処理を実行する。
【0096】
本実施形態では、図2を参照して説明した実施形態と同様に、制御部114は、ユーザが秘匿判定情報の更新ボタンを押下したことによって発行された割り込み指示である更新指示をRAM等の記憶装置に保存することができる。制御部114は、当該記憶装置を参照して秘匿判定情報の更新指示を受信したか否か判断することができる。
【0097】
ステップS708では、制御部114は、バッファメモリ134を参照して、再生すべき動画が存在するか否か判断する。
【0098】
本実施形態では、文字情報抽出部120および音声データ変換部122は、バッファメモリ134から画像フレームおよび音声データをFIFO形式で取得して、修正すべき画像フレームおよび音声データがバッファメモリ134に存在するか否か判断する。他の実施形態では、動画データを受信したときのタイムスタンプを含む画像フレームの識別情報または音声データの識別情報を使用して、最も古いタイムスタンプを含む画像フレームの識別情報および音声データの識別情報が示す画像フレームおよび音声データから順次取得し、修正すべき画像フレームおよび音声データがバッファメモリ134に存在するか否か判断してもよい。
【0099】
ステップS708の判定で、再生すべき動画が存在する場合には(yes)、処理をステップS701に戻し、上述した処理を反復させる。一方、再生すべき動画が存在しないと判断した場合には(no)、処理をステップS709に分岐させて終了させる。
【0100】
図7に示す実施形態では、図2に示すストリーミング処理において秘匿判定情報更新処理を実行しなかった場合でも、ユーザが事後的に秘匿判定情報の更新をすることができる。このため、次回以降のストリーミング処理において、より正確な秘匿情報を用いて画像フレームや音声データにマスク処理を施すことができ、マスク精度をより一層向上させることができる。
【0101】
図8は、本実施形態の情報処理装置が、ストリーミング再生が終了後に実行する秘匿判定情報更新処理を示すフローチャートである。以下、図8を参照して、ストリーミング再生終了後の秘匿判定情報更新処理の実施形態について説明する。
【0102】
図8の処理は、図7に示すステップS707の処理で制御部114が更新部130を呼び出すことにより、ステップS800から開始する。ステップS801では、制御部114が文字情報抽出部120を呼び出し、文字情報抽出部120は、図7のステップS706で秘匿判定情報の更新指示を受領した時に再生していた画像フレームから文字情報を抽出する。
【0103】
ステップS802では、制御部114は音声データ変換部122を呼び出し、音声データ変換部122は、図7のステップS706で秘匿判定情報の更新指示を受領した時に再生していた音声データから文字情報を生成する。本実施形態では、音声データ変換部122は、秘匿判定情報の更新指示を受領した時に再生していた音声データを含む前後数秒間分の音声データから文字情報を生成することが好適である。
【0104】
ステップS803では、制御部114が更新部128を呼び出し、更新部128は、ステップS705の処理で再生された画像フレームの画像フレーム識別情報または音声データの音声データ識別情報に秘匿情報識別情報が付加されているか否か、すなわち、画像フレームまたは音声データにマスク処理が施されているか否か判断する。
【0105】
ステップS803の判定で画像フレームまたは音声フレームに秘匿情報識別情報が付加されていると判断した場合(yes)、処理をステップS804に分岐させる。ステップS804では、更新部130は、画像フレーム識別情報および/または音声データ識別情報に付加された秘匿情報識別情報を削除する。ステップS805では、更新部130は、秘匿判定情報データベース136を参照して、ステップS801およびステップS802で抽出または生成した文字情報が構成する文字列と合致する文字列を特定する。ステップS806では、更新部130は、秘匿判定情報データベース136を参照し、当該合致する文字列に関連付けられた秘匿情報共起率を所定の秘匿情報共起率に変更し、ステップS816で処理が終了する。本実施形態では、当該変更後の秘匿情報共起率は、マスク処理が実行されない値とする。
【0106】
一方、ステップS803の判定で画像フレーム識別情報および音声データ識別情報に秘匿情報識別情報が付加されていない、すなわち、画像フレームおよび音声データにマスク処理が施されていないと判断した場合(no)、処理をステップS807に分岐させる。ステップS807では、制御部114が表示部132を呼び出し、表示部132は、ステップS801およびステップS802で抽出または生成した文字情報が構成する文字列を情報処理装置110の表示装置に表示する。ステップS808では、表示部132は、ユーザが表示装置に表示された文字列を選択したか否か判断し、文字列が選択されていない場合には(no)、ステップS808の処理を反復させる。一方、文字列が選択された場合には(yes)、処理をステップS809に分岐させる。
【0107】
ステップS809では、更新部130は、ステップS808で選択された文字列が、画像フレームにのみ含まれる文字列であるか、音声データにのみ含まれる文字列であるか、または画像フレームおよび音声データの双方に含まれる文字列であるかを判断する。
【0108】
本実施形態では、ユーザが文字列を選択したときに、文字列が選択されたことを示すイベントが表示部132に通知される。表示部132は、当該イベントを受領することにより、文字列が選択された否か判断することができる。また、表示部132は、画像フレームおよび音声データから抽出または生成した文字列を表示装置に表示する際に、当該文字列が画像フレームに含まれる文字列であるか、または音声データに含まれる文字列であるかを示す識別情報を記憶装置に保持しておく。表示部132は、当該識別情報を使用して、ユーザの選択した文字列が画像フレームにのみ含まれるか、音声データにのみ含まれるか、画像フレームおよび音声データの双方に含まれるか判断することができる。
【0109】
ステップS809の判定で、選択された文字列が画像フレームにのみ含まれる文字列であると判断した場合、処理をステップS810に分岐させる。ステップS810では、更新部130は、当該文字列を含む画像フレームの画像フレーム識別情報に秘匿情報識別情報を付加する。
【0110】
ステップS809の判定で、選択された文字列が音声データにのみ含まれる文字列であると判断した場合、処理をステップS811に分岐させる。ステップS811では、更新部130は、当該文字列を含む音声データの音声データ識別情報に秘匿情報識別情報を付加する。
【0111】
ステップS809の判定で、選択された文字列が画像フレームおよび音声データの双方に含まれる文字列であると判断した場合、処理をステップS812に分岐させる。ステップS812では、更新部130は、当該文字列を含む画像フレームの画像フレーム識別情報および音声データの音声データ識別情報に秘匿情報識別情報を付加する。
【0112】
ステップS813では、更新部130は、秘匿判定情報データベース136を参照し、ユーザが選択した文字列が秘匿判定情報データベース136に存在するか否か判断する。当該文字列が秘匿判定情報データベース136に存在すると判断した場合には(yes)、処理をステップS814に分岐させる。ステップS814では、更新部130は、所定の秘匿情報共起率を当該文字列と関連付けて秘匿判定情報データベース136に登録し、ステップS816で処理が終了する。
【0113】
一方、選択された文字列が秘匿判定情報データベース136に存在しないと判断した場合には(no)、処理をステップS815に分岐させる。ステップS815では、更新部130は、当該文字列と所定の秘匿情報共起率とを関連付けて、秘匿判定情報データベース136に登録し、ステップS816で処理が終了する。本実施形態では、当該変更後の秘匿情報共起率は、マスク処理が実行される値とする。
【0114】
図8に示す実施形態では、ストリーミング終了後にユーザが秘匿情報を更新することができる。すなわち、情報処理装置に対するユーザによる秘匿情報のフィードバックにより、新たな秘匿情報の登録や秘匿情報共起率の修正が可能となる。これにより、情報処理装置による秘匿情報の判定精度を持続的に向上させることができる。
【0115】
図9は、本実施形態の秘匿判定情報データベースに登録される秘匿判定情報データテーブルを示す図である。以下、図9を参照して秘匿判定情報データベース136に登録される秘匿判定情報データテーブル900について説明する。
【0116】
秘匿判定情報データテーブル900は、秘匿判定情報が登録されるデータテーブルであり、登録文字列910と秘匿情報共起率912とが関連付けて登録される。登録文字列910には、秘匿情報を共起する可能性のある文字列が登録される。図9に示す実施形態では、個人情報等と強い共起関係にある文字列として、金融機関とのネットバンキングで利用される会話やネットショッピングで利用される会話で使用される「お名前とご住所」や「お名前と電話番号」等の文字列が登録される。他の実施形態では、「ログイン」や「パスワード」、「ユーザID」等の個人情報と強い共起関係にある文字列を登録することもできる。
【0117】
秘匿情報共起率912には、登録文字列の秘匿情報共起率が登録される。本実施形態では、登録文字列の秘匿情報共起率は、ベイズの定理を使用して算出することができる。
【0118】
図9に示す実施形態では、例えば、登録文字列「お名前とご住所をお知らせします」に、秘匿情報の判定の際に使用される秘匿情報共起率の所定の閾値「0.5」よりも大きい秘匿情報共起率「0.9」が関連付けて登録されている。このため、秘匿情報判定部124は、登録文字列「お名前とご住所をお知らせします」が秘匿情報であると判断することができる。一方、登録文字列「お名前とご住所をお知らせください」に、所定の閾値「0.5」よりも小さい秘匿情報共起率「0.4」が関連付けて登録されている。このため、秘匿情報判定部124は、登録文字列「お名前とご住所をお知らせください」が秘匿情報でないと判断することができる。
【0119】
図9に示す秘匿判定情報データテーブル900には特定の文字列や秘匿情報共起率が示されているが、これは単なる例示であり、本実施形態に示される以外の任意の文字列や秘匿情報共起率を登録することができる。また、本実施形態では、所定の閾値として秘匿情報共起率「0.5」を採用しているが、他の実施形態では、その他の任意の値を閾値として使用してもよい。
【0120】
これまで本実施形態につき説明してきたが、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、特に、動画データとして配信される複数の連続した画像フレームに対して秘匿情報の判定を行う場合に限られず、静止画として提供される画像フレームに対して秘匿情報の判定を行う他の実施形態、追加、変更、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0121】
100…機能構成、110…情報処理装置、112…通信部、114…制御部、116…バッファ処理部、118…フィルタリング処理部、120…文字情報抽出部、122…音声データ変換部、124…秘匿情報判定部、126…マスク処理部、128…再生部、130…更新部、132…表示部、134…バッファメモリ、136…秘匿判定情報データベース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像および音声に含まれる秘匿情報をフィルタリングする情報処理装置であって、
画像フレームから文字列を抽出する抽出部と、
音声データを文字列に変換する変換部と、
秘匿情報を判別するための判別情報が登録されるデータベースと、
前記データベースを参照して、前記画像フレームから抽出された文字列および/または前記音声データを変換した文字列に秘匿情報が付随するか否か判定することにより、前記画像フレームおよび/または音声データに秘匿情報が含まれるか否か判定する判定部と、
秘匿情報を含む画像フレームおよび/または音声データをマスクして視聴不能にするマスク部と、
前記画像フレームおよび前記音声データを再生する再生部と
を含む、情報処理装置。
【請求項2】
前記データベースには、前記判別情報として、秘匿情報を共起する可能性のある文字列と、前記文字列の秘匿情報の共起率とが関連付けて登録されており、
判定部は、
前記画像フレームから抽出された文字列および/または前記音声データを変換した文字列と合致する文字列の秘匿情報の共起率が所定の閾値よりも大きいと判断した場合に、前記画像フレームから抽出された文字列および/または前記音声データを変換した文字列に秘匿情報が付随するか否か判定する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記情報処理装置は、
前記データベースに登録された判定情報を更新する更新部をさらに備えており、
前記更新部は、
前記秘匿情報が付随すると判定された文字列と関連付けて前記データベースに登録された秘匿情報の共起率を、秘匿情報でないことを示す秘匿情報の共起率に変更する、請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記更新部は、
ユーザが選択した文字列を、秘匿情報であることを示す秘匿情報の共起率と関連付けて前記データベースに登録する、請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記更新部は、
前記秘匿情報が付随しないと判定された文字列であってユーザが選択した文字列に関連付けて前記データベースに登録された秘匿情報の共起率を、秘匿情報であることを示す秘匿情報の共起率に変更する、請求項3または4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記情報処理装置は、
再生された前記画像フレームおよび前記音声データが保存された記憶部をさらに備えており、
前記更新部は、
前記再生部が前記記憶部に保存された前記画像フレームおよび前記音声データを再生する場合に、前記秘匿情報が付随すると判定された文字列と関連付けて前記データベースに登録された秘匿情報の共起率を、秘匿情報でないことを示す秘匿情報の共起率に変更する、請求項3〜5のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記更新部は、
前記再生部が前記記憶部に保存された前記画像フレームおよび前記音声データを再生する場合に、ユーザが選択した文字列を、秘匿情報であることを示す秘匿情報の共起率と関連付けて前記データベースに登録する、請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記更新部は、
前記再生部が前記記憶部に保存された前記画像フレームおよび前記音声データを再生する場合に、前記秘匿情報が付随しないと判定された文字列であってユーザが選択した文字列に関連付けて前記データベースに登録された秘匿情報の共起率を、秘匿情報であることを示す秘匿情報の共起率に変更する、請求項6または7に記載の情報処理装置。
【請求項9】
画像および音声に含まれる秘匿情報をフィルタリングする情報処理装置が実行する方法であって、前記方法は、前記情報処理装置が、
画像フレームから文字列を抽出するステップと、
音声データを文字列に変換するステップと、
秘匿情報を判別するための判別情報が登録されるデータベースを参照して、前記画像フレームから抽出された文字列および/または前記音声データを変換した文字列に秘匿情報が付随するか否か判定することにより、前記画像フレームおよび/または音声データに秘匿情報が含まれるか否か判定するステップと、
秘匿情報を含む画像フレームおよび/または音声データをマスクして視聴不能にするステップと、
前記画像フレームおよび前記音声データを再生するステップと
を含む、方法。
【請求項10】
前記データベースには、前記判別情報として、秘匿情報を共起する可能性のある文字列と、前記文字列の秘匿情報の共起率とが関連付けて登録されており、
判定するステップは、
前記画像フレームから抽出された文字列および/または前記音声データを変換した文字列と合致する文字列の秘匿情報の共起率が所定の閾値よりも大きいと判断した場合に、前記画像フレームから抽出された文字列および/または前記音声データを変換した文字列に秘匿情報が付随すると判定するステップを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記方法は、前記情報処理装置が、
前記データベースに登録された判定情報を更新するステップをさらに含み、
前記更新するステップは、
前記秘匿情報が付随すると判定された文字列と関連付けて前記データベースに登録された秘匿情報の共起率を、秘匿情報でないことを示す秘匿情報の共起率に変更するステップを含む、請求項9または10に記載の方法。
【請求項12】
前記更新するステップは、
ユーザが選択した文字列を、秘匿情報であることを示す秘匿情報の共起率と関連付けて前記データベースに登録するステップを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記更新するステップは、
前記秘匿情報が付随しないと判定された文字列であってユーザが選択した文字列に関連付けて前記データベースに登録された秘匿情報の共起率を、秘匿情報であることを示す秘匿情報の共起率に変更するステップを含む、請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
情報処理装置に対して、請求項9〜13のいずれか1項に記載のステップを実行させるための装置実行可能なプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−123163(P2012−123163A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−273385(P2010−273385)
【出願日】平成22年12月8日(2010.12.8)
【出願人】(390009531)インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション (4,084)
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MASCHINES CORPORATION
【復代理人】
【識別番号】100110607
【弁理士】
【氏名又は名称】間山 進也
【Fターム(参考)】