説明

移動しているファブリック又はウェブから液体を除去するための装置

移動しているファブリック又はウェブ(3)から液体物質、埃物質又は固体物質を除去するための装置。この装置は少なくとも、移動しているファブリック又はウェブ(3)を横断する方向に配置されると共に回転軸線(X)回りを回転するよう構成され、かつ外側マントル(2a)を具備したロール(2)であって、該外側マントル(2a)を介して液体又は空気の流れがロール(2)の内部に入ることができるロール(2)と、内部に前記回転するロール(2)が配置されると共に、前記回転軸線(X)の方向に延びる開口部(1b)を具備したチャンバ(1)であって、チャンバ(1)に接しつつ移動しているファブリック又はウェブ(3)が外側マントル(2a)でもって支持されうるように、該開口部(1b)が外側マントル(2a)の少なくとも一部を露出させるよう構成されるチャンバ(1)と、前記回転するロール(2)の内側に該ロールの外側マントル(2a)から離間しつつ配置されると共に、前記回転軸線(X)回りを回転するようにかつ該ロール(2)内に入った液体又は空気を前記回転軸線(X)の方向に移動させるように構成された少なくとも1つの螺旋、スクリュ又はネジ構造(8)と、を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動しているファブリック又はウェブから液体物質、埃状物質、固体物質を除去するための装置であって、請求項1の前段に記載の装置に関する。
【背景技術】
【0002】
抄紙機のウェットエンドの従来の機能は、例えばいわゆるフォードリニア原理に基づいており、この原理により、無限回転ワイヤは、製紙に必要な液体及び繊維からなりかつ本明細書ではウェブとも称されるパルプで覆われる。水は、ワイヤの下方に配置された装置であって例えばフォイル及びさまざまな吸引箱ないしサクションボックスを含む装置により、いくつかの異なるステップにおいてウェブから除去される。
【0003】
フォイルは、ワイヤの下方に配置されて吸引効果を有する、静止したブレードである。この吸引効果によってワイヤはフォイルに押し付けられる。このとき摩擦があるので、ワイヤの速度を制限し又はフォイルの吸引効果を低下しなければならない。その結果、十分な脱水能力を備えるために、いくつかのフォイルをワイヤの下方に配置する必要があり、摩擦によってワイヤが摩耗する。脱水能力を増大させるために、減圧した箱内にいくつかのフォイルを配置することができ、この場合ウェブの脱水がフォイル同士間でも起こる。吸引効果が大きくなると摩擦及びフォイルの摩耗も大きくなることは明らかである。液体は、吸引力がより強くかつ平坦な上面に円形の孔又は開口部が設けられた吸引箱によっても、ウェブから除去される。最後に、液体及び水分が、孔又は開口部を有しかつ内側に吸引装置を有する回転マントルを備えたクーチロールによって、ウェブから除去される。ワイヤ及びウェブの脱水は、一部は圧縮に基づいて行われ、一部はワイヤ及びウェブを通過して吸引される空気の効果に基づいて行われる。クーチロールは、当該クーチロールが液体を下流にまき散らして害をもたらすことがないように配置しなければならない。その結果、脱水のために、いくつかの異なる技術が並行して使用される。その例は国際出願公開第81/02753号公報に記載されている。
【0004】
ワイヤの速度が大きくなると、ウェブの脱水が生ずる抄紙機の部分の長さが長くなる。一方、脱水能力を大きくするために吸引効果を大きくすると、摩擦とワイヤとの摩耗が大きくなる。フォイル又は吸引箱の数を増やすと、この場合には、機械の長さが大きくなると共に、発生する摩擦が大きくなる。脱水に使用される装置の選択は、例えば振動によりパルプに悪影響が及ぼされないようにすべきである。というのは、それが紙ウェブの最終品質に影響を及ぼすからである。
【0005】
吸引箱は欧州特許出願公開第0639667A1号公報に開示されている。この吸引箱は、ワイヤと共に回転するロールと、マントル例えばメッシュ状のマントルとを具備する。ロールは負圧下の箱内に配置される。空気は、ワイヤと、ロールのマントルとを通って流れる。吸引箱内に吸引力を発生させるための装置は国際出願公開第99/64667A1号公報に開示されている。
【0006】
吸引力を発生させるには、別個の装置をどこかに配置して維持する必要がある。それにはコストがかかる。
【0007】
国際出願公開第95/07387A1号公報には、フェルト及びその上に支持されているウェブを制御し、回転ロールであってその孔付きマントルが空気を透過可能な回転ロールを使用するのに用いられる装置が開示されている。空気流を発生させて制御するために、ブレードがロールの内面に固定されている。この装置の機能は、吸引力を発生させてフェルトがマントルに付着した状態を維持すると共に、フェルトが収縮するのを阻止することにある。この公報のいくつかの実施例によると、吸引力をブレードによって発生させることはできず、ロールの機能を単により効果的にするためではなく実際に吸引力を発生させるための別個の装置を本装置に接続しなければならないということがわかる。また、本装置を製造するのは非常に難しく高価でもあり、清掃するのも難しい。なぜなら、ブレードをマントルの内面に固定しなければならないからである。孔付きマントルが設けられると共に別個の装置によって吸引力が備えられる他のロールも公知である。米国特許第5,347,728号明細書には、ブレードがマントルの内面にも配置され又はロールの中心シャフトに固定された装置が開示されている。これらブレードの機能は、吸引力に影響を与える、乱れた又は回転する空気流を阻止することにある。
【発明の開示】
【0008】
本発明の目的は、ロールを備えた公知の吸引箱及びこれら吸引箱に接続された吸引装置に関係する問題をなくすことにある。最初に、本発明の装置により、液体が、吸引箱として使用されるチャンバの内部から効果的に除去される。当該装置は十分な吸引効果を発生させるのにも使用されるので、別個の吸引装置を使用する必要がないようにウェブを効果的に脱水することができる。利用可能であれば、本発明の装置を別個の吸引装置に接続することによって、吸引効果を強力にすることができる。
【0009】
本発明の装置は、請求項1に提示された内容を特徴とする。抄紙機内を移動しているワイヤ及び該ワイヤ上に配置されたウェブから液体を除去する本発明の方法は、請求項14に提示された内容を特徴とする。移動しているワイヤ、フェルト又は他のファブリックを洗浄するための装置の使用は、請求項15に提示された内容を特徴とする。
【0010】
本発明の装置を、例えばフォイルと比べて摩擦を低減するように、移動しているワイヤを支持するのに使用することができる。本装置によって十分な吸引効果が発生するときには、別個の吸引装置を使用する必要はない。さらに、本装置によって大きな脱水能力が達成され、したがって本装置を高速のワイヤにも適用でき、この場合、抄紙機の脱水部分の長さの増加を制限することができる。特に、本装置を、さまざまなタイプのワイヤが使用される抄紙機の当該部分において脱水を行うために使用される従来の吸引箱の代わりに、使用することができる。
【0011】
本発明の装置は、ワイヤ、フェルト又は例えば抄紙機で使用される他のさまざまなファブリックから、液体及び埃のような固体を除去するのに適している。本装置は、例えばさまざまなファブリックなどを製造している間に発生する埃を除去し、又はこれらファブリックを洗浄している間に蓄積する液体、埃及び固体を除去することにも適用できる。その結果、本装置を、いわゆる洗浄装置又は脱水装置として使用して、移動しているパルプ、ウェブ又はファブリックであって挙げるべき例にワイヤ及びフェルトを含むものから、液体物質又は固体物質を除去することができる。ファブリック、ワイヤ、フェルトなどは、空気又は液体を十分に透過させることができなければならない。
【0012】
本装置の一実施例では、ワイヤ及びウェブを介して作用する吸引力と、フォイルの機能に対応する、本装置の開口部の縁部に生じる吸引効果との両方を利用したいろいろな性質が組み合わされる。前記開口部内に回転ロールが配置され、開口部の後縁部に、チャンバと回転ロールとの間の空間を封止すると共にウェブ及びワイヤから水を除去するフォイルが設けられている。
【0013】
本装置の一実施例では、増強された脱水能力及び吸引効果の一方又は両方が、回転ロールの内部にある構造によって発生される。本発明の特別な一実施例において回転ロールは、例えばブレードから形成された螺旋、ネジ又はスクリュ状構造である。この構造は、ロールの外側マントルの内側にある別個の内側マントルの外面に接続され、又は内側マントルの外面上に形成される。この構造は製造が極めて容易である。さらに、螺旋が外側マントルの内面に接続されないので、ロールの外側マントルを構成することの可能性がより多くある。したがって、さまざまなファブリックも、外側マントルとして使用することができる。
【0014】
以下に、本発明を添付図面を参照してさらに詳しく説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1に示されるように、装置は、ボウルとして使用される箱状の密封されたチャンバないし室を具備し、このチャンバ内に回転ロール2が配置されている。この箱の上面1aの上方にかつ上面1aに接してファブリック3が配置され、この上面1aは実質的に平坦であり、典型的に水平である。チャンバ1は、細長く、好ましくはファブリック3の下方をその全長が実質的に横切って延びる。チャンバ1の上面1aにある開口部1bと同様に、チャンバ1は、ファブリック3が延びる方向を横断する方向、主として垂直方向に配置されている。図1の実施例ではこの開口部1bは、一様かつ連続的であり、ファブリック3の幅全体を横断して延びている。ロール2は、チャンバ1内に配置され、ファブリック3と共に回転できるようになっている。チャンバ1に接しつつ移動しているファブリック3又はウェブがロール2の外側マントルないし覆い2aによって支持されうるように、開口部1bは外側マントル2aの少なくとも一部を露出させている。好ましくは、ロール2は、上面1aよりもわずかに上方に突出し、ワイヤが外側マントル2a上に配置され又は吸引されたときにファブリック3になだらかに傾斜した隆起部を形成する。外側マントル2aのこの部分は、開口部1bの前縁部及び後縁部にあるシール4,5により限定された扇形状部分をカバーしている。露出された扇形状部分は、図1に示される外側マントル2aのほぼ1/4以下を囲っている。本実施例では、シール4,5は、上面1aを同時に構成すると共に、外側マントル2aと上面1aとの間に残された間隙をカバーしている。シール5は、同時に、ワイヤ3をロール2から隔離している。シール4,5は、チャンバ1の上部又はチャンバ1の上方にある支持構造に接続される。
【0016】
図4に示される本発明の一実施例では、開口部1bの少なくとも後縁部にフォイル16が取り付けられており、このフォイル16は、シールとしても用いられると同時に、ファブリック3がフォイル16上を移動するときにファブリック3の下方において公知のように吸引力を発生させる。ファブリック3は、チャンバ1の上面1aでもあるフォイル16の平坦な上面1aに沿って移動し、ファブリック3の表面に作用する吸引力によりファブリック3から例えば液体が吸引されてフォイル16と外側マントル2aとの間の間隙内に入り、さらにチャンバ1内に入る。
【0017】
ロール2は、回転軸線X回りを回転するように構成されている。この回転軸線はロール2の長手軸線と平行であり、開口部2aとも平行である。開口部2aの幅は、ロール2及び開口部2aの長さに対してわずかである。長手軸線はチャンバ1と平行であり、ファブリック3の移動方向を横断する。移動するファブリック3は外側マントル2a上に作用する摩擦によってロール2を回転させ、それによりロール2はファブリック3の速度と一致した速度で回転する傾向にある。
【0018】
ロール2は、シャフト6からなる構造、例えば各端部においてベアリングにより適切な方法で搭載された中実シャフトを具備する。本実施例では、シャフト6の端部6aはチャンバ1の両端部1bから突出している。この場合、ベアリングをチャンバ1の外側に容易に配置することができる。チャンバ1の端部1bとシャフト6との間の間隙は適切なシール7によって封止され、それにより、この間隙から液体が漏れないようにし、又は特に、チャンバ1において作用する吸引力がこの間隙を通じて吸引力を作用させないようにされる。チャンバ1の他の構造も同じ理由で封止しなければならない。
【0019】
望むのであれば、シャフト6の少なくとも一端6aを別個の回転装置15、典型的には電動モータに接続してロール2をシャフト6により回転させることができる。回転装置15によってロール2をファブリック3の速度まで加速し、次いでファブリック3と外側マントル2aとの間の摩擦によってロール2を回転させるようにすることができる。回転装置15を連続的に運転してロール2がファブリック3と同じ速度で回転するのを確保するようにすることもできる。この場合、回転装置は、適切な速度制御装置と、ファブリック3の速度を監視するためのセンサシステムとを具備する。本実施例では、回転装置15はチャンバ1の外部に設置されており、回転装置15に接続されたシャフトの端部6aは、図5に示されるように封止されつつチャンバ1の端部1bの先まで延びている。
【0020】
図2に示されるように、ロール2は外側マントル2aを具備し、その断面はその回転軸線Xと垂直な平面内で円形である。外側マントル2aは、例えば液体及び空気が通過可能なワイヤ布として製造されうる。公知のように、外側マントル2aに孔を穿ち又は穴もしくは開口を設け、移動するファブリック3に対しこれら穴を介して吸引力が作用するようにしてもよい。液体又は空気は、外側マントル2aを通ってロール2の内側に入ることができる。吸引により生じてファブリック及びウェブ3を通過する空気流は、ファブリック3及び外側マントル2aを貫通可能な液体、埃、及び場合によっては他の固体を運ぶ。
【0021】
本実施例では、ロール2の外側マントル2aの内面に、吸引効果又はロール2内でファブリック3から除去された液体の運動に影響を与えるブレード又は羽根が設けられていない。ロール2の外側マントル2aの内側には、回転軸線Xを中心としてかつ外側マントル2aから離間して、別個の内側マントル2bが配置されている。内側マントル2bの断面は、ロール2の回転軸線Xに垂直な平面内で円形である。
【0022】
内側マントル2bは、例えばシャフト6の構造の周りに適切な方法で固定されるか又はシャフトの互いに離間した2つの端部6aの間に固定されるベントシート材料で製造される。シャフト6の構造、外側マントル2a、及び内側マントル2bを構成するための種々の変更例が存在している。外側マントル2a及び内側マントル2bは、例えば互いに嵌め込まれかつ互いに首部で固定される2つの同心チューブによって形成することができる。図示される実施例では、外側マントル2aは内側マントル2bによってシャフト6に接続され、シャフト6は回転できるようにシャフトの端部6aによりベアリングに取り付けられている。ロール2を構成するために、公知のロールを利用すると共に、これらロールに外側マントル2aと、螺旋、スクリュ又はネジ構造8とを設けることもできる。内側マントル2bはシャフト6の外面であってもよく、螺旋、スクリュ又はネジ構造8をシャフト6に直接固定してもよい。
【0023】
ロール2の一実施例では、シャフト6及び外側マントル2aは独立に移動可能になっている。この場合、外側マントル2aは、シャフト6例えばシャフトの端部6a、又は別の支持構造例えばチャンバ1の端部1b、にベアリングで取り付けられ、シャフト6とは無関係に回転可能になっている。
シャフト6及びこのシャフトに接続された構造は、外側マントル2aとは独立に回転するか静止している。外側マントル2a及びシャフト6が独立に移動可能な上述の実施例により、この装置をさまざまな用途に用いることが可能になる。別個の回転装置15がシャフト6のために使用され、例えばチャンバ1の一端に配置される。必要な場合には、さらに別個の回転装置が外側マントル2aのために使用され、チャンバ1の他端に配置される。
【0024】
上述の実施例では、外側マントル2aはシャフト6なしで回転でき、それによりその重量がより軽くなり、加速及び減速がより容易になる。吸引効果がチャンバ1に接続された別個の吸引装置14によってのみ生じる場合には、シャフト6を回転させる必要がない。また、特別な螺旋、スクリュ又はネジ構造8による脱水効果及び吸引効果の一方又は両方を増強する必要がない場合にも、回転は必要ない。シャフト6は回転装置15に接続されており、これにより、外側マントル2aの速度が比較的低くて螺旋、スクリュ又はネジ構造8の望ましい速度よりも小さい場合にも、螺旋、スクリュ又はネジ構造8のポンプ効果及び吸引効果の一方又は両方を開始させ又は維持することができる。このようにして、外側マントル2aが移動していないときでさえ、ポンプ効果及び吸引効果の一方又は両方を維持することができる。
【0025】
螺旋、スクリュ又はネジ構造8は、回転軸線X回りを回転するように、かつ、ロール2及びチャンバ1内に移動された液体又は空気を回転軸線Xの方向に移動させるよう構成されている。その目的は、チャンバ1から例えば液体を除去するのを強化することにある。一変更例では、螺旋、スクリュ又はネジ構造8は、回転中にロール2の内側とチャンバ1の外側空間との間に圧力差をも発生させるよう構成されている。この圧力差により、外側マントル2aを通り、同時にファブリック3又はウェブを通ってチャンバ1内に到る液体又は空気の流れが形成される。ロール2は例えば図3の実施例によるブレード8aを備えており、これらブレードは内側マントル2bを取り囲む螺旋、スクリュ又はネジ構造8を形成している。螺旋、スクリュ又はネジ構造8は、回転運動によってブレード8aが液体及び空気の一方又は両方の流れをチャンバ1の一端1b又は両端へと案内するよう配置されている。したがって、螺旋、スクリュ又はネジ構造8は一方向性又は二方向性であり、螺旋、スクリュ又はネジ構造8の回転方向は内側マントル2bの中間位置で反転する。螺旋、スクリュ又はネジ構造8は、内側マントル2bの中心から端部1bの方を見たときに反時計回りに内側マントル2bを取り囲む。螺旋、スクリュ又はネジ構造8は、1つのブレード8a、又は互いに接近したいくつかの別個のブレード8a及び互いに一定距離だけ離間しつつ交互に配置されたいくつかの別個のブレード8aの一方もしくは両方から構成することができる。螺旋、スクリュ又はネジ構造8は外側マントル2aの内面から一定距離のところまで延びており、それらの間にリング状通路2cが形成されている。
【0026】
螺旋、スクリュ又はネジ構造8は、対応するネジが切られた溝、螺旋状の溝、ネジが切られた溝が、例えば1つ以上の別個の溝によって内側マントル2bの表面上に形成されるよう構成することもできる。一変更例では、十分に幅広で適度な深さの溝により、ブレード8aに対応する首部が溝同士の間に形成される。
【0027】
螺旋、スクリュ又はネジ構造8のピッチは、内側マントル2bの全長にわたって一定であり、又は例えば端部1bに向かうにつれて大きくなるよう変化する。螺旋、スクリュ又はネジ構造8は、ブレード8aの位置を調節できるよう、調節可能に構成することもできる。言い換えれば、ブレード8aの角度を変化させてより鈍角に又はより鋭角にすることができる。この場合、螺旋、スクリュ又はネジ構造8のピッチが変更される。図示した実施例では、ピッチは一定であり、螺旋、スクリュ又はネジ構造8は一方向性であり、ブレード8aの位置は固定されている。
【0028】
チャンバ1の少なくとも下部は実質的に円形であり、少なくとも1つのダクト9がチャンバ1の一端1b又は両端に接続されており、必要であれば、中間部分も別個の吸引システム14に接続する。別個の吸引システム14に接続するために、少なくとも1つのダクト9がチャンバ1の一端1b又は両端に、必要であれば中間部分にも、連結される。必要であれば、チャンバ1が別個の吸引システム14に接続され、空気をファブリック3を通ってロール2の内側に吸引するための吸引効果が増大される。吸引力は、チャンバ1とロール2との間で作用し、さらにファブリック3上のロール2を通じても作用する。
【0029】
図4の実施例では、流れが回転ロール2の接線方向にチャンバ1から流出するように、ダクト9がチャンバ1の底部に配置されている。この実施例では、回転軸線Xの方向に延びて吸引システム14に接続される回収管13も使用される。チャンバ1の内壁から液体を除去するのに使用されるチャンバ1内のダクト11も、回収管13に接続されている。これらダクト11は、チャンバ1内に蓄積した流体の、ロール2に対するレベルを制御するのに用いられる。螺旋、スクリュ又はネジ構造8は、少なくとも一部が流体レベルよりも下方になるように配置される。本実施例では、ダクト11は、回転軸線Xよりもわずかに高く、ロール2の半径の約1/3の位置にある。例えば、遮断弁をダクト9,11及び回収管13に接続してもよい。
【0030】
図5は、ロール2及びチャンバ1の端部をより詳細に示している。部分的にファブリック3の下方に配置されたチャンバ1の端部には、その上面1a上において、傾斜した封止面10が設けられる。封止面10はロール2上に配置され、同時に開口部1bを覆っている。封止面10は、チャンバ1の上部、チャンバ1上方の支持構造、又はシール4,5に固定されている。封止面の下側の形状は、開口部1bにおけるロール2の形状に従っている。一実施例では、封止面10は、回転軸線Xの方向に配置することができる。別の変更例では、傾斜した封止面10は、チャンバ1の上方に配置された傾けられたプレートによって実現され、このプレートの下縁部はロール2に接して配置される。この下縁部は、ロール2の形状に一致する凹形状をなしている。
【0031】
また、1つ以上の噴霧ジェット12が封止面10とファブリック3との境界に配置され、封止面10及びファブリック3が互いに接触する位置に液体が噴霧される。噴霧された液体により、ファブリック3は封止面10に沿ってより容易に移動し、その同じ液体は前記位置を封止して空気流がこの位置を通過するのを阻止する。
【0032】
本発明は、本発明のより詳細な実施例として用いられた前記の各実施例に限定されることはなく、本発明は添付の特許請求の範囲内で変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】装置全体の原理と、ウェブ及びワイヤによって装置の配置とを示す図である。
【図2】図1の装置に適用されるロールの部分断面図である。
【図3】図2のロールに適用される螺旋、スクリュ又はネジ構造の部分図である。
【図4】端部から見た図1の装置の部分断面図である。
【図5】側方から見た図1の装置の部分断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動しているファブリック又はウェブ(3)から液体物質、埃物質又は固体物質を除去するための装置であって、該装置が少なくとも、
移動しているファブリック又はウェブ(3)を横断する方向に配置されると共に回転軸線(X)回りを回転するよう構成され、かつ外側マントル(2a)を具備したロール(2)であって、該外側マントル(2a)を介して液体又は空気の流れがロール(2)の内部に入ることができるロール(2)と、
内部に前記回転するロール(2)が配置されると共に、前記回転軸線(X)の方向に延びる開口部(1b)を具備したチャンバ(1)であって、チャンバ(1)に接しつつ移動しているファブリック又はウェブ(3)が外側マントル(2a)でもって支持されうるように、該開口部(1b)が外側マントル(2a)の少なくとも一部を露出させるよう構成されるチャンバ(1)と、
を具備した装置において、該装置がさらに、
前記回転するロール(2)の内側に該ロールの外側マントル(2a)から離間しつつ配置されると共に、前記回転軸線(X)回りを回転するようにかつ該ロール(2)内に入った液体又は空気を前記回転軸線(X)の方向に移動させるように構成された少なくとも1つの螺旋、スクリュ又はネジ構造(8)
を具備したことを特徴とする装置。
【請求項2】
前記螺旋、スクリュ又はネジ構造(8)が、回転しているときに、前記ロール(2)の内側と前記チャンバ(1)の外側空間との間に圧力差を発生させるよう構成され、該圧力差によって同時に、液体又は空気の流れが前記外側マントル(2a)と同時に前記ファブリック又はウェブ(3)とを通過することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記螺旋、スクリュ又はネジ構造(8)が、前記回転軸線(X)周りに配置された内側マントル(2b)上に配置されると共に、該内側マントル(2b)から前記外側マントル(2a)に向かって延びることを特徴とする請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記螺旋、スクリュ又はネジ構造(8)の回旋が一定のピッチ又は変化するピッチを有することを特徴とする請求項1から3までのいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記螺旋、スクリュ又はネジ構造(8)が、1つのブレード(8a)、又は平行にもしくは交互に配置された複数のブレード(8a)を具備したことを特徴とする請求項1から4までのいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記開口部(1b)の少なくとも1つの縁部にフォイル(16)が設けられ、前記移動しているファブリック又はウェブ(3)を該フォイル(16)上に支持することができ、該フォイル(16)が、前記ファブリック又はウェブ(3)から液体を除去して該液体を前記ロール(2)と該フォイル(16)との間の間隙を介し前記チャンバ(1)内に案内するよう構成されていることを特徴とする請求項1から5までのいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記チャンバ(1)が上面(1a)を具備し、該上面(1a)に前記開口部(1b)が配置され、該上面(1a)は、実質的に平坦であるように、かつほぼまっすぐに移動する前記ファブリック又はウェブ(3)を支持するように構成されていることを特徴とする請求項1から6までのいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記螺旋、スクリュ又はネジ構造(8)及び前記外側マントル(2a)が互いに独立に前記回転軸線(X)回りに回転可能であり、少なくとも螺旋、スクリュ又はネジ構造(8)のための回転装置(15)が設けられていることを特徴とする請求項1から7までのいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
前記螺旋、スクリュ又はネジ構造(8)及び前記外側マントル(2a)が前記ロール(2)に接続されてこれらが常に一体となって回転するようにされ、ロール(2)のための回転装置(15)が設けられていることを特徴とする請求項1から7までのいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
前記ロール(2)が前記回転軸線(X)上に配置されたシャフト(6)を具備し、該シャフト(6)周りに前記螺旋、スクリュ又はネジ構造(8)及び前記外側マントル(2a)が配置され、該シャフト(6)は2つのシャフト端部(6a)を具備し、これら端部の少なくとも一方が封止状態で前記チャンバ(1)の端部(1b)を通って延び、該シャフトの端部(6a)に回転のためのベアリングが取り付けられることを特徴とする請求項1から9までのいずれか1項に記載の装置。
【請求項11】
前記チャンバ(1)が1つ以上のダクト(9)を具備し、該ダクト(9)を通じ液体又は空気の流れをそのチャンバ(1)から除去することができ、前記外側マントル(2a)と同時に前記ファブリック又はウェブ(3)とを通過する空気の流れを増強することを目的として、該ダクト(9)に別個の吸引装置(14)を接続することができることを特徴とする請求項1から10までのいずれか1項に記載の装置。
【請求項12】
前記チャンバ(1)が1つ以上のダクト(11)を具備し、該ダクト(11)を通じ液体を該チャンバ(1)から除去してチャンバ(1)内の流体レベルを所望のレベルに維持できることを特徴とする請求項1から11までのいずれか1項に記載の装置。
【請求項13】
前記装置が抄紙機の一部内に配置されており、前記ファブリック(3)が移動しているワイヤであり、該装置が該ワイヤ上に配置されたウェブから液体を除去するよう構成されていることを特徴とする請求項1から12までのいずれか1項に記載の装置。
【請求項14】
抄紙機内を移動しているワイヤから及び該ワイヤ上に配置されたウェブから液体を除去する方法において、該液体が請求項1から13までのいずれか1項に記載の装置によって除去されることを特徴とする方法。
【請求項15】
移動しているワイヤ、フェルト又は他のファブリック(3)を洗浄するための装置の使用において、請求項1から13までのいずれか1項に記載の装置を使用して洗浄することを特徴とする使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2008−531861(P2008−531861A)
【公表日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−556626(P2007−556626)
【出願日】平成18年2月21日(2006.2.21)
【国際出願番号】PCT/FI2006/050074
【国際公開番号】WO2006/090012
【国際公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【出願人】(507284019)
【Fターム(参考)】