説明

移動プラットフォームに双方向データサービスとテレビプログラムを提供する方法と装置

【課題】航空機または遊覧大型客船などの複数の移動プラットホームと、地上にある制御部との間でデータコンテンツを双方向で転送する。
【解決手段】地上制御部と、宇宙部と、各移動プラットホーム上に配置された移動システムとを備える。地上制御部は、データコンテンツを表わす符号化されたRF信号を宇宙部に送信するのに用いられるアンテナを持つ。宇宙部は複数の衛星中継器を含み、中継器のうち1つが地上制御部により指定されて、符号化されたRF信号を移動システムに中継する。移動システムは操縦受信アンテナおよび操縦送信アンテナを含む。受信アンテナは、衛星中継器から符号化されたRF信号を受信し、この後この信号は通信サブシステムにより復号、復調およびD/A変換されてサーバに送られる。サーバは、移動システムにいる搭乗者が誰も要求していないデータコンテンツをフィルタ処理で除去する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、衛星通信を用いて航空機などの移動プラットホームに生放送のテレビ番組および双方向データサービスを提供するための、全世界規模のシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
我々の社会および経済が依存度を増している広帯域のデータサービスおよび映像サービスは、今までのところ一般に、航空機、船舶、鉄道、自動車などの移動プラットホームに乗っているユーザに対しては容易に利用可能なものではなかった。このようなサービスをあらゆる形態の移動プラットホームに配信するための技術は存在するが、これまでの解決策は一般に極めて高価であり、データレートが低く、かつ/または政府/軍事関係のユーザのごく限られた市場や、或る高級顧客向けの海運市場(すなわち遊覧大型客船)に対してのみ開かれたものであった。
【0003】
現在のところ、人工衛星のリンクを介して地上のユーザに多種多様なテレビ(TV)放送サービスが利用可能である。このようなサービスには、民間の固定衛星サービス(FSS)または放送衛星サービス(BSS)の衛星を介した商用の直接放送衛星(DBS)サービス(たとえばDirecTV(R)およびEcho Star(R))、および再放送映像など特別仕様の映像が含まれる。衛星リンク経由で提供され得るデータサービスには、あらゆる従来のインターネットサービス(eメール、ウェブ閲覧、ネット会議等)ならびに企業関係および政府関係の顧客に対する仮想私設網(VPN)が含まれる。
【0004】
これまで、移動プラットホームに生放送TVおよびデータサービスを提供しようとして開発されたシステムでは、限られた成功しか達成されてこなかった。1つの大きな障害は、このような広帯域のデータサービスおよび映像サービスへのアクセスの価格が高いことであった。もう1つの問題はこれまでに開発されたシステムの容量が限られていることであり、異なった番組チャネルまたは異なったデータサービスを各々が同時に要求し得る何十人、あるいは何百人もの人を運ぶ移動プラットホームに対し、この容量では不十分であった。さらに既存のシステムは一般に、旅行中の人々の需要に応じるために拡張することが容易ではない。
【0005】
現在利用可能ないくつかのサービスは、上述のサービスのうち限られたごく一部を提供するにすぎない。このようなサービスの1つは、移動プラットホーム上のユーザに狭帯域幅のインターネット接続を提供している。他のサービスは、利用可能な直接放送信号からのTV放送サービス(すなわちEcho Star(R)およびDirecTV(R))を提供、または専用衛星リンク経由の特別仕様のTV放送信号(すなわちAirshow(R))を提供している。しかし現在のところ、移動プラットホームまたは遠隔プラットホーム上のユーザ群に対し高速(すなわち64Kbpsを上回る速度)のデータネットワークサービスを提供するためのシステムも方法も存在せず、まして、このような高速ネットワークサービスを映像サービスとともに提供するためのシステムも方法も存在していない。
【0006】
商用の航空路線および遊覧大型客船上で、限られたインターネットデータサービスを提供する事業システムがいくつかある。これらシステムはそのリンク能力において極めて限られたものであり(主に電話通信のために開発された通信リンクを使用)、またサービスは極めて高価(音声接続のためには1分当り約1.00ドルを上回る)である。これらの理由のため、またこのようなシステムに関係する容量上の制限から、このようなシステムの商業上の成功および人気は限定的なものにとどまっていた。
【0007】
一般に現在の事業システムは、移動プラットホームへの双方向接続を達成するためにインマルサット衛星通信リンクまたは地上無線通信リンク(すなわち米国航空機電話システム(National Air Telephone System:NATS))を用いている。これらの接続形態にはいくつかの不都合がある。
【0008】
1) 接続帯域幅が限られている(一般的に64Kbps未満)
2) 全体的なシステム容量が限られている(周波数スペクトルが限られているため)
3) 高価格
インマルサットはL帯の周波数スペクトルで動作するが、ここでは旅行中の人々に広帯域サービスを提供するのに利用可能な帯域幅および容量が極めて少ない。NATSベースの解決策(すなわちGTE Airfone(R)、AT&T Claircom)は、座席背面に取付けられた電話を使用する国内航空路線利用客にはなじみのものであるが、これが提供する容量もやはり、L帯での動作のため極めて限られたものにすぎない。これらのシステムにはさらに、陸の上方でしか接続が可能ではないという問題もある。
【0009】
現在の移動プラットホームの接続方法は本来的に狭帯域であるため、通常のネットワークの業務が不可能となる程度までデータの流れが制限されてしまう。一般的にこの接続は、ユーザのコンピュータと、空対地または船舶対沿岸の電話システムとの間で、標準的なコンピュータ電話モデムを使用することで達成される。このやり方では、各ユーザは自分のネットワークセッションの期間中、通信チャネル一杯を排外的に使用し、電話システムの中のこの部分を他の人々が用いることを事実上妨げる。
【0010】
いくらか注目を浴びてきたもう1つのサービスは、移動プラットホーム上のユーザに対し、予め記憶されたワールド・ワイド・ウェブのコンテンツを提供するサービスである。このサービスは、移動プラットホーム上に配置されるサーバであって、移動プラットホーム上のユーザに対し、単純なタッチスクリーンのインターフェイスを通じてその記憶したコンテンツを提供するためのものを組込むことを想定している。サーバ上に配置されるコンテンツは、航空機が空港ゲートで駐機されている、または船舶が港に着けられているなど、移動プラットホームが活動中でない間に、数週間に1回更新されることになる。移動プラットホーム上でのデータ更新は、CDROMのロードまたはサーバ上のハードドライブの取替えによって行なわれる。このサービスで移動プラットホーム上に記憶されるコンテンツは変更可能ではあるが、タイムリーなものとはなり得ない。
【0011】
以上により、1つ以上の衛星リンクを介し、移動プラットホームにいるユーザに対して生放送テレビ番組および双方向データ通信を提供するための、システムおよび方法を提供する必要が大いにある。より特定的には、1つ以上の移動プラットホームにいる複数のユーザに対して、インターネットデータ通信、BSS衛星経由の直接放送衛星サービス、およびKu帯またはKa帯の衛星経由の生放送テレビ番組の再放送映像を提供し、しかもこれを、各ユーザがインターネットまたはリアルタイムデータのその他の形態、および見たいと望む特定の生放送番組を、要求および受信できる態様で行なう必要がある。
【0012】
さらに、数百またはそれ以上の航空機などの移動プラットホームが、複数の独立した中継器を各々が含む複数の衛星と通信できることにより、各移動プラットホームが割当てられた中継器と通信でき、こうして各乗客が双方向でデータ通信を行なうこと、および選択された生放送TV番組を見ることが可能となる、システムおよび方法を提供する必要がある。
【発明の概要】
【0013】
この発明は、この発明の好ましい実施例に従い、移動プラットホームにテレビサービスおよびデータサービスを提供するための方法および装置に向けられる。好ましい一実施例で、この発明のシステムは地上部を利用し、これは、映像およびデータコンテンツを受信し、それに従って無線周波数信号を用いて、地上アンテナ経由で宇宙部へコンテンツを送信するためのものである。宇宙部は衛星を含み、これは少なくとも1つの中継器、より好ましくは複数の独立した中継器を組込み、この衛星は、地上部のアンテナから送信された無線周波数(RF)信号を受信し、衛星にある中継器を用いて少なくとも1つの移動システム、より一般的には極めて多数の移動システムへ、これらの信号を中継する。各移動システムは移動プラットホーム(たとえば航空機、船舶等)に配置され、衛星中継器の中の少なくとも1つからRF信号を受信し、中継された映像およびデータコンテンツを個々のユーザに対して、ユーザが行なった選択に従い配信する。このように各ユーザは、自分が特定的に選択または要求した映像番組および/またはデータコンテンツのみを受信する。
【0014】
任意に、しかし好ましくは、地上部はインターネットサービスプロバイダとの少なくとも1つの専用リンクを含む。さらに、1つ以上の専用リンクがさまざまな個人/企業イントラネットアカンウトに与えられ得る。さらに、生放送テレビ番組およびその他のデータの宇宙部への送信を制御するために、地上部にあるコンテンツ管理センターがそのネットワークオペレーションセンターと通信する。
【0015】
地上局から移動プラットホームへ送られる情報すべては、衛星中継器の受信可能領域全体にわたって放送される。各衛星は、静止軌道(GSO)または非静止軌道(NGSO)に配置される。各移動プラットホーム上にいる複数のユーザに対して多重同時アクセスを提供するために、パケットの多重化を用いることが好ましい。
【0016】
移動システムは、その割当てられた中継器と双方向の通信を達成するのに好適なアンテナシステムを組込む。好ましい一形態では、アンテナシステムは移動プラットホームによって運ばれる操縦アンテナを含み、これは受信可能領域内で衛星とRF信号を送受信するためのものである。アンテナシステムは受信機と結合され、これは受信したRF信号を復号および復調して、デジタル映像および音声信号、ならびにデータコンテンツ信号を生成する。好ましくは、これらの信号はパケットの形で与えられ、ルータへ送り込まれてここでフィルタ処理され、こうして移動プラットホーム上のユーザによって選択/要求されたコンテンツのみがユーザに配信される。この文脈でユーザは、乗客、機室乗務員、操縦室乗務員、整備乗務員、および人間でない存在、たとえば無人データサービスなどとして定義される。配信システムはデータコンテンツを、独立に各ユーザと関連付けられたアクセス局にいる正しいユーザへ、または移動プラットホーム全体にわたり配置される専用の構成要素(たとえば頭上のモニタ)へ、直接にルーティングする。こうして各ユーザまたは搭乗者は自分が要求した特定のデータコンテンツ(すなわちデータまたはTV番組)のみを受信するか、またはデータコンテンツは単に移動プラットホームにいる乗客すべてに提供され得る。
【0017】
このようにこの発明の方法および装置によって、複数の独立した移動プラットホーム間で双方向データ通信を行なうことができ、各移動プラットホームにいる各ユーザは、リアルタイムでインターネットデータまたはその他の形態のデータを独立に要求および入手することができる。さらにこの発明によって、ユーザは選択した生放送TV番組チャネルを、独立に要求して見ることができる。
【実施例】
【0018】
この発明のさまざまな利点は、前掲の特許請求の範囲および以下の詳細な説明を熟読し、添付の図面を参照することにより、当業者にとって明らかとなるであろう。
【0019】
図1を参照すると、この発明の好ましい実施例に従うシステム10が示され、これは、1つ以上の別個の受信可能領域14aおよび14bにある複数の移動プラットホーム12a〜12fとデータコンテンツをやり取りするためのものである。システム10は一般に、地上部16と、宇宙部17を形成する複数の衛星18a〜18fと、各移動プラットホーム12上に配置された移動システム20とを含む。移動プラットホームは航空機、遊覧大型客船、またはその他移動するどのような乗物も含むことができる。したがって、ここに移動プラットホーム18を図面で航空機として例示し、以下の説明全体にわたり移動プラットホームを航空機として参照していることは、システム10の適用可能性を航空機のみに限定するものと解釈されるべきではない。
【0020】
宇宙局17は、各受信可能領域14aおよび14bの各々において、各領域に受信可能性を提供するのに必要な任意の数の衛星18を含み得る。衛星18a,18b,18d,18eはKu帯またはKa帯の衛星であることが好ましい。衛星18cおよび18fは放送衛星サービス(BSS)衛星である。さらに、衛星18の各々は静止軌道(GSO)または非静止軌道(NGSO)に位置付けられる。この発明で用いられ得る可能なNGSO軌道の例には、周回低軌道(LEO)、周回中軌道(MEO)および楕円軌道(HEO)が含まれる。衛星18の各々は少なくとも1つの無線周波数(RF)中継器、より好ましくは複数のRF中継器を含む。たとえば衛星18aは、4つの中継器18a〜18aを有するものとして例示されている。ここに例示する他の衛星18の各々は、受信可能領域で作動すると予想される数の移動プラットホーム12に対処するのに必要なだけ、より多数または少数のRF中継器を含み得ることが理解されるであろう。中継器は、航空機12と地上部16との間の「ベントパイプ」通信を提供する。これら通信リンクに用いられる周波数帯域は、およそ10MHzから100GHzまでのあらゆる無線周波数帯域を含み得る。中継器は好ましくは、固定衛星サービスFSSまたはBSS衛星について連邦通信委員会(FCC)および国際電気通信連合(ITU)により指定された周波数帯域による、Ku帯の中継器を含む。さらに、異なった種類の中継器を採用することもでき(すなわち各衛星18は、同一種の複数の中継器を含む必要はなく)、各中継器は異なった周波数で作動することができる。中継器18a〜18aの各々はさらに、受信可能である広い地理的な領域、高い実効等方向放射電力(EIRP)、および高い利得/雑音温度(G/T)を含む。
【0021】
図1をさらに参照すると、地上部16は地上局22を含み、この地上局22はコンテンツセンター24およびネットワークオペレーションセンター(NOC)26と双方向で通信する。2つ以上の別個の受信可能領域がサービスのために必要である場合には、第2の受信可能領域14bに配置される第2の地上局22aを用いることもできる。この場合には、地上局22aもまた、NOC26との通信リンクを確立するための地上リンクまたはその他の任意の好適な手段によって、NOC26と双方向で通信することになる。地上局22aはコンテンツセンター24aとも双方向で通信する。ここでの議論のために、受信可能領域14aで行なわれる作動との関連でシステム10を説明する。しかしながら、衛星18d〜18fについて同一の作動が受信可能領域14bで行なわれることが理解されるであろう。さらにこの発明は、上述の態様で任意の数の受信可能領域14へ拡張可能であることが理解されるであろう。
【0022】
地上局22は、衛星18aおよび18bにデータコンテンツを送信するのに必要なアンテナおよび関連のアンテナ制御電子機器を含む。地上局22のアンテナはさらに、受信可能領域14a内の各航空機12の各移動システム20から発して中継器18a〜18aにより中継されたデータコンテンツを受信するのにも用いられ得る。地上局22は受信可能領域14a内であればどこに配置されてもよい。同様に、地上局22aが組込まれていれば、これも第2の受信可能領域14b内のどこに配置されてもよい。
【0023】
コンテンツセンター24は、さまざまな外部のデータコンテンツプロバイダと通信し、これが受信した映像およびデータ情報の地上局22への伝送を制御する。好ましくはコンテンツセンター24は、インターネットサービスプロバイダ(ISP)30、映像コンテンツ源32および公衆交換電話網(PSTN)34と交信する。任意には、コンテンツセンター24はさらに1つ以上の仮想施設網(VPN)36と通信する。ISP30は、インターネットへのアクセスを各航空機の各搭乗者に提供する。映像コンテンツ源32は、たとえばケーブルニュースネットワーク(R)(CNN)およびESPN(R)などの生放送テレビ番組を提供する。NOC24は、伝統的なネットワーク管理、ユーザ認証、課金、顧客サービス、および請求書作成発送を行なう。第2の受信可能領域14bにある地上局22aに関連のコンテンツセンター24aもまた、ISP38、映像コンテンツプロバイダ40、PSTN42、および任意にはVPN44と通信することが好ましい。衛星リターンリンクについての代替案として、航空機電話システム28を任意に含めることもできる。
【0024】
次に図2を参照して、各航空機18に配置された移動システム20を以下に詳細に説明する。各移動システム20は、ルータ/サーバ50(以下「サーバ」)の形のデータコンテンツ管理システムを含み、これは通信サブシステム52、制御ユニットおよび表示システム54、ならびにローカルエリアネットワーク(LAN)56の形の配信システムと通信する。任意には、サーバ50はさらに、米国航空機電話システム(NATS)58、乗務員情報サービスシステム60、および/または機内娯楽システム(IFE)62と接続して作動するように構成され得る。
【0025】
通信サブシステム52は、送信機サブシステム64および受信機サブシステム66を含む。送信機サブシステム64は、サーバ50から送信アンテナ74へ、データコンテンツ信号を符号化、変調、および周波数を高くして変換するための、符号器68、変調器70およびアップコンバータ72を含む。受信機サブシステム66は、受信アンテナ82で受信された信号を、ベースバンド映像信号および音声信号、ならびにデータ信号となるように復号、復調、および周波数を低くして変換するための、復号器、復調器、およびダウンコンバータ80を含む。ここではただ1つの受信機サブシステム66を示すが、一般的には、複数のRF中継器からのRF信号の同時受信を可能にするために、複数の受信機サブシステム66を含めることが好ましいと理解されるであろう。複数の受信機サブシステム66を示すとすれば、これに対応する複数の構成要素76〜80もまた必要となるだろう。
【0026】
受信機サブシステム66が受信した信号は次にサーバ50に入力される。移動システム20のサブシステムすべてを制御するために、システムコントローラ84が用いられる。具体的に、システムコントローラ84は信号をアンテナコントローラ86に供給し、これは受信アンテナ82を電子的に操縦するために用いられ、これにより受信アンテナを特定の一衛星18(以下「目標」衛星と呼ぶ)に向けて維持する。送信アンテナ74は受信アンテナ82のスレーブとなり、こうしてこれもまた目標衛星18を追跡する。移動アンテナの種類によっては、同じ開口から送信と受信とが可能であることが理解されるであろう。この場合には、送信アンテナ74および受信アンテナ82は組み合わされて単一のアンテナとなる。
【0027】
さらに図2を参照すると、ローカルエリアネットワーク(LAN)56は、サーバ50と、航空機12a上の各々の座席の場所と関連付けられた複数のアクセス局88とのインターフェイスを取るために用いられる。各アクセス局88は、サーバ50と、ユーザのラップトップコンピュータ、携帯情報端末(PDA)またはユーザのその他のパーソナルコンピュータ装置とを直接インターフェイスするのに用いられ得る。アクセス局88の各々はさらに、座席背面に取付けられたコンピュータ/ディスプレイも含むことができる。LAN56は、ユーザのコンピュータ装置とサーバ50との間の双方向データ通信を可能にし、こうして各ユーザは、航空機12にいる他のユーザとは独立に、所望のテレビ番組チャネルを要求、所望のウェブサイトにアクセス、自分のeメールにアクセス、またはその他の多種多様な作業を行なうことができる。
【0028】
受信アンテナ82および送信アンテナ74は、どのような形態の操縦アンテナをも含み得る。好ましい一形態でこれらアンテナは、電子的に走査されるフェーズドアレイアンテナを含む。フェーズドアレイアンテナは、空力抵抗が重要な問題である航空用途に対して特に適切である。この発明で用いるのに適切な電子走査フェーズドアレイアンテナの特定の一形態は、ザ・ボーイング・カンパニーに譲渡された米国特許第5,886,671号に開示されている。
【0029】
再び図1を参照し、システム10の作動について、データコンテンツは好ましくは、インターネットプロトコル(IP)パケットへフォーマットされてから、地上局22により、または各移動システム20の送信アンテナ74から送信される。ここでの議論のため、IPパケットの形のデータコンテンツを地上局22から送信することを「フォワードリンク」送信と呼ぶ。さらに、ユニキャスト、マルチキャストおよびブロードキャスト伝送を用いて、受信可能領域14a内で作動する航空機12の各々へデータコンテンツを同時に与えることができるように、IPパケットの多重化を採用することが好ましい。
【0030】
中継器18a〜18aの各々が受信したIPデータコンテンツパケットは次に、中継器によって、受信可能領域14a内で作動する各航空機12へ中継される。受信可能領域14aにわたって多数の衛星18を例示するが、米国の大陸部全体を覆う区域に対して、現在は単一の衛星で受信可能性を提供できることが理解されるであろう。したがって、受信可能領域の地理的な大きさと、領域内で予想される移動プラットホームの交通量とに依存して、全領域に受信可能性を提供するには単一の中継器を組込む単一の衛星だけでよいこともあり得る。米国の大陸部以外の別個の受信可能領域には、ヨーロッパ、南/中央アメリカ、東アジア、中東、北大西洋などが含まれる。米国大陸部よりも大きなサービス領域では、領域内の完全な受信可能性を提供するために、1つ以上の中継器を各々が組込む複数の衛星18が必要となることもあると予想される。
【0031】
受信アンテナ82および送信アンテナ74の各々は、その関連付けられた航空機18の胴体の上部に配置されることが好ましい。各航空機の受信アンテナ74は、符号化されたRF信号のRF伝送全体を受信し、これは中継器18a〜18aの中の少なくとも1つからのIPデータコンテンツパケットを表わす。受信アンテナ82は水平偏波(HP)信号および垂直偏波(VP)信号を受信し、これらは受信機66の中の少なくとも1つに入力される。2つ以上の受信機66が組込まれていれば、一受信機は、これが向けられている目標衛星18で運ばれる特定の中継器18a〜18aと共に用いられるように指定される。受信機66は符号化されたRF信号を復号し、復調し、周波数を低くして変換することにより、映像信号および音声信号、ならびにデータ信号を生成し、これらはサーバ50に入力される。サーバは、航空機18上のユーザに対して意図されていないあらゆるデータコンテンツをフィルタ処理して破棄し、残ったデータコンテンツをLAN56経由で適当なアクセス局88に送る。この態様で各ユーザは、番組またはその他の情報のうち、自分が要求していた部分のみを受信する。こうして各ユーザは、航空機12a上にいる他のユーザすべてから独立して、所望の番組チャネルを要求して受信、eメールにアクセス、インターネットにアクセス、およびその他のデータ転送作業を実行することが自由にできる。
【0032】
この発明の利点は、システム10が生放送テレビ番組(たとえばニュース、スポーツ、天気、娯楽など)のDBS伝送も受信できることである。DBSサービスプロバイダの例にはDirecTV(R)およびEcho Star(R)が含まれる。DBS伝送は放送衛星サービス(BSS)に指定された周波数帯域で行なわれ、北アメリカでは一般に円偏波である。したがって、北アメリカで放送衛星サービスを受信するために、受信アンテナ82に対して線形偏波変換器が任意に追加され得る。データサービスを搬送するFSS周波数帯域と、DBS伝送を搬送するBSS周波数帯域とは、Ku帯の中で互いに隣接する。システム10の任意の一実施例では、単一のKu帯の受信アンテナを用いて、DBS衛星18cおよび18fからBSS帯域でDBS伝送を受信、またはFSS衛星18aまたは18bのうち1つからFSS帯域でデータサービスを受信することができ、または同じ受信アンテナ82を用いて両方を同時に行なうこともある。多数の衛星18からの同時受信は、マルチビーム受信アンテナ82を用いるか、または同じ静止軌道スロットに位置付けられた衛星とともに単一のビーム受信アンテナ82を用いることによって達成される。
【0033】
再放送テレビまたはカスタマイズされた映像サービスもまた、移動システム20により同じ態様で受信および処理される。再放送またはカスタマイズされた映像コンテンツは、映像コンテンツ源32から入手されて地上局22経由でFSS衛星18aおよび18bに送信される。映像コンテンツは、コンテンツセンター24によって伝送のために適当に符号化されてから、地上局22により放送される。移動システム20のサーバ50(図2)で再放送コンテンツに対しいくらかのカスタマイズを行なうことで、特定の市場または航空機12上のユーザの関心に合わせて広告およびその他の情報コンテンツを調整することもある。
【0034】
各航空機12上のユーザに提供される大量のデータコンテンツは、民間のポータルデータコンテンツを用いて提供される。これは各移動システム20のサーバ50に保存された1組のHTMLページとして実現される。コンテンツは、更新された部分を、コンテンツセンター24に配置される地上サーバから定期的に伝送することで新しく保たれ、これは地上部16のNOC26で制御されるスケジューリング機能に従って行なわれる。サーバ50は、ユーザログオン情報を受付けてユーザの認証および許可をサポートするように、およびユーザおよびネットワーク課金情報を追跡して請求書作成発送システムをサポートするように容易に構成可能である。認証および課金システムは、地上部16と通信して、蓄積されたデータを都合のよい間隔でNOC26へ転送するように構成され得る。
【0035】
この発明のシステム10はさらに、たとえば航空機12にいるユーザが、サーバ50でキャッシュに保存されていないデータコンテンツを入手したいと望む場合、またはコンテンツ源が民間ポータルに新しいコンテンツを提供するための通路としてなど、さまざまな目的のために、衛星リンク経由の直接のインターネット接続を提供する。サーバは、最も頻繁に要求されるウェブページをキャッシュで保存するために用いられ、さらに最も頻繁にアクセスされるドメインのドメインネームシステム(DMS)ルックアップ表を受け入れるために用いられ得る。DMSルックアップ表は、コンテンツセンター24により維持され、移動システム20上で定期的に更新されることが好ましい。ポータルのキャッシュに保存されたコンテンツのリフレッシュは、飛行中定期的に「押される(pushed)」キャッシュリフレッシュによって、または空港ターミナルのゲートで、航空機18への任意の形態の有線接続または無線接続を用いて達成することができ、または、航空機12の乗務員がCDROMを機内に持込んでこれをキャッシュサーバに入れる、手動キャッシュリフレッシュによって達成されることもある。発明10は、衛星リンクによる、飛行中の定期的に押されるキャッシュリフレッシュ更新を実現している。好ましくは、キャッシュコンテンツのリフレッシュは衛星リンクへの需要が少ない期間に行なわれる。
【0036】
地上部16への見通し線のリンクが確立されて物理的なインフラストラクチャが与えられる場合には、システム10で航空機電話システム28を任意に採用することもできる。たとえば航空機電話システムを組込む任意の実現例を、低データレートのリターンリンク(2.4kbpsから9.6kbps)のために用いることができる。ヨーロッパおよびアジアなど他の地域には、地上のセルラー式通信リンクを用いて航空機と通信する類似の航空機電話システムがあることが理解されるであろう。航空機電話システム(たとえば北アメリカのNATS)は、電話トラフィックを搬送するように設計されたものであるが、単一のユーザのコールごとのポイント・ツー・ポイントアナログモデムデータを伝えるように適合されている。この発明では、移動システム20からのリターンリンクトラフィック全体は、サーバ/ルータ50、スイッチまたはPBX(図示せず)で組み合わされてから、アナログモデム経由で、または直接デジタルインターフェイス(たとえばCEPT−E1)経由で航空機電話リターンリンクと結合される。ルータ/スイッチから航空機電話システムへの多重同時接続を確立することで、拡張された容量を提供することができる。機上およびNOCルータ間でデータストリームの分割/合流を達成するために、マルチリンクのポイント・ツー・ポイント(PTP)データカプセル封じを用いることもある。航空機電話システム経由の多数接続によって、容量が拡張されるのに加え、単一の接続障害に対する許容度が増大する。移動プラットホームが多数の受信可能領域を通過する際、別個の航空機電話システムアンテナ塔間の引渡しは航空機電話システムによって管理され、それぞれの航空および地上ルータ間の接続は自動的に管理される。
【0037】
この発明で想定される重要な応用例は、地球上で衛星中継器による受信可能性が現在ほとんどない、または全くない海上または遠隔の地域(極地域を含む)の上を長時間飛行する航空機に関するものである。この発明は、全地球規模の受信可能性(極地域を含む)を提供するために、将来海上軌道に打ち上げられる予定のGSO衛星または新たな配列のNGSO衛星とともに作動することができる。
【0038】
さらに図1を参照して、航空機12aから地上局22へのデータコンテンツの送信を説明する。この送信を「リターンリンク」送信という用語で呼ぶ。アンテナコントローラ86は、送信アンテナ74がそのアンテナビームを目標衛星18aに向くように維持する。各移動システム20から地上局22へと戻る通信に用いられるチャネルは、地上部16のNOC26によって個々に割当てられ動的に管理されるポイント・ツー・ポイントリンクを表わす。システム10が数百またはそれ以上の航空機12に対処できるように、所与の衛星18によって運ばれる各中継器に対して多数の航空機を割当てる必要がある。リターンリンクで好ましい多重アクセス方法は、符号分割多重接続(CDMA)、周波数分割多重接続(FDMA)、時分割多重接続(TDMA)、またはこれらを組合せたものである。これにより、多数の移動システム20を単一の中継器18a〜18aに割当てることができる。移動システム20を組込む多数の航空機12が受信可能領域14a内で作動する場合には、必要な中継器の数もこれに従って増加する。
【0039】
受信アンテナ82は、アンテナビームを方向付け、かつ受信信号振幅に基づきアンテナの偏波を調節するための、閉ループ追跡システムを実現し得る。送信アンテナ74は、受信アンテナ82の方向付けおよび偏波に従属する。これに代わる実現例では開ループの追跡方法を用いることができ、方向付けおよび偏波は、機上の慣性座標単位(IRU)を用いた移動プラットホームの位置および姿勢についての知識と、衛星18の場所についての知識とによって決定される。
【0040】
符号化されたRF信号は、所与の航空機12の移動システム20の送信アンテナ74から、中継器18a〜18aのうち割当てられた一中継器に送信され、指定の中継器によって地上局22へ中継される。地上局22はコンテンツセンター24と通信し、ユーザが要求した適当なデータ(たとえばワールドワイドウェブからのコンテンツ、eメール、またはユーザのVPNからの情報)を決定および提供する。
【0041】
さらにシステム10について考慮すべき問題は、受信アンテナ82の開口サイズが小さいため、その結果として生じ得る干渉の可能性である。受信アンテナ82の開口サイズは一般的に、従来の「超小型地上局(VSAT)」アンテナよりも小さい。したがって受信アンテナ82からのビームは、静止軌道の円弧に沿って隣接する衛星を含めてしまうことがある。この結果、特定の移動システム20が受信している目標衛星以外の衛星からの干渉が生じるおそれがある。この潜在的な問題を克服するために、システム10は、隣接する衛星からの干渉を克服する通常未満のフォワードリンクデータレートを用いることが好ましい。たとえばシステム10は、典型的なFSSのKu帯中継器(たとえばTelstar−6)と、有効な開口が約17×24インチ(43.18×60.96cm)であるアンテナとを用い、中継器当り少なくとも約5Mbpsの好ましいフォワードリンクデータレートで作動する。これと比較すると、典型的なKu帯中継器は通常、従来のVSATアンテナを用いておよそ30Mbpsのデータレートで作動する。
【0042】
標準的なDVB(Digital Video Broadcast)波形を用いると、フォワードリンク信号は一般に、合計27MHzの中継器帯域幅のうち8MHz未満を占める。しかし、最大限未満の中継器帯域幅に中継器の電力を集中させると、規制上の問題が生じ得る。FCC規制は現在、間隔の狭い衛星間での干渉を防ぐために、中継器からの最大実効等方向放射電力(EIRP)スペクトル密度を規制している。したがって、この発明の好ましい一実施例では、変調器70でスペクトル拡散変調技術を採用し、周知の信号拡散技術を用いて中継器帯域幅にわたるフォワードリンク信号を「拡散」させる。これにより、中継された信号のスペクトル密度が減少し、こうして2つ以上の移動システム20間の干渉の可能性がなくなる。
【0043】
さらに、目標衛星18に隣接する衛星への干渉を防ぐ規制上の要件を、送信アンテナ74もまた満たすことが等しく重要である。ほとんどの移動用途で用いられる送信アンテナもまた、従来のVSATアンテナ(一般的に直径1メートルの反射アンテナ)よりも小さくなる傾向にある。航空用途に用いられる移動送信アンテナは、空気抵抗が低く、軽量で電力消費が少なく、さらに比較的小さなサイズである必要がある。これらすべての理由から、送信アンテナ74のアンテナ開口は従来のVSATアンテナよりも小さいことが好ましい。VSATアンテナのサイズは、静止軌道の円弧上にある単一のFSS衛星を照らすのに十分狭いアンテナビームをもたらすようにされる。これは重要なことであるが、それは、FSS衛星が静止軌道の円弧に沿って2Eの間隔で隔てられるからである。この発明で用いられる送信アンテナ74のアンテナ開口はこのように通常よりも小さいので、場合によっては静止軌道の円弧に沿って目標衛星に隣接する衛星を照射するために十分広いアンテナビームがもたらされ、干渉の問題を生じさせるおそれがある。この潜在的な問題は、リターンリンク伝送にもスペクトル拡散変調技術を用いることによってなくされる。送信アンテナ74から送信された信号を周波数において拡散させることによって、隣接する衛星において生じる干渉信号は、信号が干渉するであろうしきい値EIRPスペクトル密度を下回る。しかしながら、干渉が問題とならないような角度で所与の受信可能領域内の衛星が間隔付けられれば、スペクトル拡散変調技術は必要ではないことが理解されるであろう。
【0044】
この発明のシステム10は、多数の移動プラットホームにいる多数の独立のユーザに対して、双方向データコンテンツ転送を提供するための方法を提供することが理解されるであろう。さらにシステム10によって、再放送映像サービス、放送映像サービスおよびその他の形態のデータコンテンツなどのデータコンテンツは、地上のデータコンテンツ源にアクセスする、または生放送テレビ番組を見ることを望む人々を乗せた航空機、船舶、またはその他事実上あらゆる形の移動プラットホームなどの極めて多数の移動プラットホームに対して、リアルタイムで提供され得る。さらにこのシステムによって、所与の受信可能領域内にある多数の移動プラットホームは、この所与の受信可能領域内にある1つまたは複数の中継器と通信し、衛星を介して地上制御システムへとデータコンテンツを送り返すことができる。こうして、移動プラットホームにいる個々のユーザは、さまざまな形態のデータコンテンツおよび選択された生放送テレビ番組チャネルを、独立にアクセスおよび入手することができる。重要なことに、この発明のシステム10は、多数または少数の移動プラットホームに対処するように拡張可能であり、さらに、多くの衛星および多くの受信可能領域にわたって拡張可能である。
【0045】
当業者であれば、以上の説明より、この発明の広範な教示はさまざまな形態で実現され得ることが理解できるであろう。したがって、この発明はその特定の実施例との関連で記載されているが、この発明の真の範囲はそのように限定されるべきではなく、それは、図面、明細書および前掲の特許請求の範囲を検討することにより、当業者にはその他の変形が明らかとなるであろうからである。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】この発明のシステムの3つの主要な構成要素を例示する、簡略化されたブロック図である。
【図2】各移動プラットホームによって運ばれる移動システムを示すブロック図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの無線周波数(RF)中継器を有する少なくとも1つの衛星を通じて複数の移動プラットホームにデータコンテンツを提供し、前記RF中継器を通じて前記移動プラットホームからデータコンテンツを地上制御センターに送信するためのシステムであって、
各々の前記移動プラットホームと関連付けられ、各々の前記移動プラットホームによって運ばれる独立の移動システムと、
前記地上制御センターと関連付けられ、前記データコンテンツを表わす符号化されたRF信号を前記RF中継器経由で前記移動システムに送信するための地上アンテナシステムとを含み、
各々の前記移動システムは、
操縦送信アンテナと、操縦受信アンテナと、
通信サブシステムとを含み、前記通信サブシステムは、前記アンテナの各々に応答して、前記受信アンテナによって受信された前記符号化されたRF信号からベースバンド映像信号およびデータ信号を生成、および複数の搭乗者の各々が入力したデータ送信から、符号化されたRF信号を生成するためのものであり、各々の前記移動システムはさらに、
前記移動プラットホーム上の搭乗者に対して向けられていない前記データコンテンツの部分をフィルタ処理して除去するための、データコンテンツ管理システムと、
前記データコンテンツ管理システムから出力された前記ベースバンド映像信号および前記データ信号を前記搭乗者へ配信するためのネットワークとを含み、前記ネットワークは複数のアクセス局を含み、個々の搭乗者は、前記ベースバンド映像信号および前記データ信号のうち、前記搭乗者が以前に行なった情報選択に関する特定のサブ部分のみを受信し、
前記独立の移動システムはさらに、前記搭乗者の各々が入力した前記信号を、前記アクセス局の各々から前記RF中継器経由で前記地上アンテナへ送信するように作動する、システム。
【請求項2】
前記アクセス局は、前記搭乗者の各々により操作されるパーソナルコンピュータ装置と結合されるように適合される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記データコンテンツ管理システムはファイルサーバを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記衛星は複数のRF中継器を含み、前記地上制御センターは、前記中継器のうち1つを指定して、前記移動プラットホームのうち指定された1つと専用の態様で通信させる、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記ネットワークはローカルエリアネットワークを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
少なくとも1つの無線周波数(RF)中継器を有する衛星を通じてリアルタイムの映像信号を移動受信プラットホームに対して提供するためのシステムであって、前記システムは、
前記映像信号を表わすRF信号を前記衛星に送信するための地上システムと、
前記移動受信プラットホーム上に配置された移動受信システムとを含み、前記移動受信システムは、
前記RF中継器から前記RF信号を受信するためのアンテナと、
前記移動受信プラットホームの移動中に、前記アンテナを操縦して前記衛星を追跡するために用いられる、アンテナ制御システムと、
前記アンテナにより受信された信号に応答して、それに従いベースバンド映像信号を生成するための通信システムと、
データコンテンツ管理システムとを含み、前記データコンテンツ管理システムは、前記移動受信プラットホーム上にいる人が見るために、前記ベースバンド映像信号のうちどの部分を、前記移動受信プラットホーム上にある複数のアクセス局の各々に送信すべきかを決定するためのものであり、前記移動受信システムはさらに、
前記搭乗者の要求に応答して、前記ベースバンド映像信号の前記部分を、前記アクセス局のうち特定のアクセス局にルーティングするための、配信システムとを含み、こうして各々の前記搭乗者は、各々の前記搭乗者が行なった前記要求に従い、前記ベースバンド映像信号の或る部分のみを受信する、システム。
【請求項7】
前記通信システムは、受信されたRF信号を前記ベースバンド映像信号へ復号、復調およびデジタル・アナログ変換するための、複数の統合された受信機/復号器を含む、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記データコンテンツ管理システムはサーバを含む、請求項6に記載のシステム。
【請求項9】
前記ベースバンド映像信号は生放送テレビ信号を表わす、請求項6に記載のシステム。
【請求項10】
前記ベースバンド映像信号は直接放送テレビ信号を表わす、請求項6に記載のシステム。
【請求項11】
前記地上システムは、各々のユーザによるシステムへのアクセスと関連した課金および請求書作成発送処理を管理するための、ネットワークオペレーションセンターを含む、請求項6に記載のシステム。
【請求項12】
前記地上部は、符号化されたデータ信号を前記衛星の前記中継器へ送信するように作動し、
前記通信システムは、前記RF信号を復調およびD/A変換して前記ベースバンドデータ信号を生成するように作動する、請求項6に記載のシステム。
【請求項13】
各々に複数の搭乗者がいる複数の独立の移動受信プラットホームに対して複数のデータコンテンツチャネルを提供し、前記搭乗者により前記移動受信プラットホームから送信されたデータコンテンツを受信するためのシステムであって、前記システムは、
前記データコンテンツを表わす符号化された無線周波数(RF)信号を送信するための地上アンテナと、
前記移動プラットホームが移動する所望の地理的な受信可能領域にわたる軌道上にあり、前記符号化されたRF信号を中継するための複数のRF中継器を有する、少なくとも1つの衛星と、
各々の前記移動受信プラットホーム上に配置された移動受信システムとを含み、各々の前記移動システムは、
前記RF中継器のうち指定されたRF中継器から、前記符号化されたRF信号を受信するための受信アンテナを含むアンテナシステムと、
前記RF中継器のうち指定されたRF中継器に前記データコンテンツを送信するための送信アンテナと、
前記移動受信プラットホームの移動中に、前記送信アンテナおよび前記受信アンテナを操縦して前記衛星を追跡するためのアンテナ制御システムと、
前記受信アンテナにより受信された前記符号化されたRF信号に応答して、前記符号化されたRF信号を復調および復号してベースバンド映像信号およびデータ信号を生成するための通信システムとを含み、
前記通信システムは、前記搭乗者の各々からのデータコンテンツを、前記送信アンテナ経由で、前記中継器のうち前記指定された中継器に送信するためのシステムを含み、各々の前記移動システムはさらに
データコンテンツ管理システムを含み、前記データコンテンツ管理システムは、前記受信システムに応答して、前記移動受信プラットホームの前記搭乗者が使用するために、前記ベースバンド映像信号のうちどの部分、および前記データ信号のうちどの部分を、前記移動受信プラットホームにある複数のアクセス局のうち特定のアクセス局に送信すべきかを決定するためのものであり、各々の前記移動システムはさらに、
前記搭乗者による要求に応答して、前記ベースバンド映像信号および前記データ信号のうち前記部分を、前記アクセス局のうち特定のアクセス局にルーティングするためのネットワークシステムを含み、こうして各々の前記搭乗者は、前記ベースバンド映像信号のうち要求した部分、または前記データ信号のうち要求した部分のみを受信する、システム。
【請求項14】
前記通信システムは複数の一体化された受信機/復号器を含む、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記データコンテンツ管理システムはサーバを含む、請求項13に記載のシステム。
【請求項16】
乗務員情報サービスを前記データコンテンツ管理システムに提供するためのデータシステムをさらに含む、請求項13に記載のシステム。
【請求項17】
前記受信可能領域内にある少なくとも1つの地上音声電話受信局にデータサービスを送信するための、前記移動プラットホームにある航空機電話信号をさらに含む、請求項13に記載のシステム。
【請求項18】
移動プラットホームにいる個々の搭乗者が地上のデータ源とリアルタイムでデータコンテンツを送受信することを可能にするためのシステムであって、前記システムは、
データコンテンツ源から入手された前記データコンテンツを表わす無線周波数(RF)信号を送信するための地上システムと、
前記地上システムから受信されたRF信号を前記移動プラットホームへ中継し、前記移動プラットホームから受信されたRF信号を前記地上システムへ中継するための、少なくとも1つのRF中継器を有する衛星システムと、
前記移動プラットホーム上に配置された移動通信システムとを含み、前記移動通信システムは、
前記RF中継器からRF信号を受信するための受信アンテナと、
RF信号を前記RF中継器へ送信するための送信アンテナと、
前記受信アンテナおよび前記送信アンテナと通信して、前記受信されたRF信号をデータコンテンツに変換し、かつ、前記搭乗者により送信されたユーザデータを、前記RF中継器へ前記送信アンテナにより送信されるべきRF信号へ変換するための、通信サブシステムと、
前記通信サブシステムから前記データコンテンツを受信し、前記搭乗者のうち特定の搭乗者に対して前記データコンテンツのうちどのサブ部分を配信すべきかを決定するための、データコンテンツ管理システムと、
前記データコンテンツの前記サブ部分を前記搭乗者に配信するための配信システムとを含み、こうして各々の前記搭乗者は、各々の前記搭乗者が以前に行なった情報送信に従って、前記データコンテンツの前記サブ部分のうち特定のサブ部分のみを受信する、システム。
【請求項19】
前記配信システムはローカルエリアネットワーク(LAN)を含む、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記配信システムはさらに、前記移動プラットホームの搭乗者の電子機器とのインターフェイスになることができる、複数の独立したアクセス局を含む、請求項18に記載のシステム。
【請求項21】
複数の無線周波数(RF)中継器を有する衛星を通じて、地上制御センターと複数の移動プラットホームとの間でデータコンテンツを双方向で通信することを容易にするためのシステムであって、前記システムは、
前記地上制御センターからの、前記データコンテンツを表わす符号化されたRF信号を送信するための地上アンテナと、
各々の前記移動受信プラットホーム上に配置された移動受信システムとを含み、各々の前記移動受信システムは、
前記衛星の前記RF中継器のうち指定されたRF中継器から前記符号化されたRF信号を受信するための操縦受信アンテナと、
前記移動受信プラットホームの移動中に、前記受信アンテナおよび前記送信アンテナを操縦して前記衛星を追跡するためのアンテナ制御システムと、
前記受信アンテナにより受信された前記符号化されたRF信号に応答して、生放送テレビ番組およびインターネットデータを表わす出力信号を生成するための通信システムと、
前記通信システムに応答して、前記搭乗者のうちいずれも要求していないデータコンテンツを表わす、前記生放送テレビ番組の部分および前記インターネットデータの部分をフィルタ処理して除去し、前記航空機のどの搭乗者にも向けられていない前記データコンテンツの部分をフィルタ処理して除去するためのサーバと、
前記搭乗者の各々が前記アクセス局で行なった入力に従って、複数のアクセス局の中の特定のアクセス局へ、前記出力信号の前記部分および前記インターネットデータの前記部分をルーティングするためのネットワークシステムとを含む、システム。
【請求項22】
前記操縦受信アンテナは、電子的に操縦可能なフェーズドアレイアンテナを含む、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
移動受信プラットホームと地上制御部との間でデータコンテンツを伝送するための方法であって、
前記地上制御部に関連付けられた地上アンテナを用いて、前記データコンテンツに対応する符号化された無線周波数(RF)信号を送信するステップと、
複数の中継器を有する衛星を用いて、前記符号化されたRF信号を受信し、前記地上制御部により指定された前記中継器のうち1つを通じて、前記符号化されたRF信号を前記移動受信プラットホームに中継するステップと、
前記移動受信プラットホームにより運ばれる操縦アンテナを用いて、前記符号化されたRF信号を受信するステップと、
前記移動受信プラットホームの移動中、前記操縦アンテナに前記衛星を追跡させて、前記衛星と一定の無線周波数交信を維持するステップと、
前記符号化されたRF信号を復号および復調して、前記データコンテンツを表わす複数のデータ信号を生成するステップと、
前記移動プラットホームにいるどの搭乗者も要求していない前記データ信号をフィルタ処理して除去し、限られたデータコンテンツのサブセットを生成するステップと、
各々の前記搭乗者の要求に従って、前記搭乗者に関連付けられたアクセス局に対し、前記コンテンツの前記サブセットの中から選択された部分を配信するステップとを含み、こうして各々の前記搭乗者は、自分が以前に提出した要求に対応する、前記データコンテンツの前記サブセットの中から選択された部分のみを受信し、前記方法はさらに、
前記ユーザからの情報要求を表わす符号化されたRF信号を前記衛星に送信するステップを含む、方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−205659(P2011−205659A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−103494(P2011−103494)
【出願日】平成23年5月6日(2011.5.6)
【分割の表示】特願2002−520562(P2002−520562)の分割
【原出願日】平成13年7月13日(2001.7.13)
【出願人】(500520743)ザ・ボーイング・カンパニー (773)
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
【Fターム(参考)】