説明

移動体ユーザ装置の存在の予測

【課題】移動体ユーザ装置の存在を予測する方法、システムを提供。
【解決手段】ユーザ装置およびコンピュータプログラムにおいて、互いに関連付けられた多数の移動体ユーザ装置141、142、143の時間分布の位置セットを決定し、位置セットの位置分布の関数として集約位置171を計算し、移動体ユーザ装置141、142、143の各々について、該移動体ユーザ装置が未来時間に集約位置171に存在する確率を予測し、多数の移動体ユーザ装置の何れかの移動体ユーザ装置141に対して、多数の移動体ユーザ装置141、142、143の他の移動体ユーザ装置142、143が特定の未来時間に集約位置171に存在すると予測されることを示すメッセージの送信を開始することを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体ユーザ装置の存在(presence)を予測するための方法、基地局、ユーザ装置およびコンピュータプログラムに関するものであり、存在を予測するとき他の移動体ユーザ装置との関連を考慮に入れるものである。
【背景技術】
【0002】
今日、セルラー電話、PDA(個人携帯情報機器)、無線ブロードバンド接続されたコンピュータのようなユーザ装置(UE)のユーザおよび無線移動通信が可能な他の電子装置のユーザは、彼らの友人の実際の移動および位置のパターンに基づいて、現在あるいは未来における位置での友人との対面を効率的に予測する可能性が制限されている。
【0003】
既存のシステムを用いて、UEのユーザは存在(物理的位置)情報および、カレンダー・イベントまたはユーザからの直接的マニュアル入力に基づいた未来の存在に関するある程度の情報を共有できる。しかしながら、既存のシステムは、実際の存在および時空間での動きの共用記録に基づいた、ユーザの現在または未来の位置における友人の近未来の存在可能性の自動化推定の実行には最適化されていない。
【0004】
移動ノードの未来の位置の予測に関する周知の技術の例が特許文献1に記載されている。当該文献において、コンピュータに実装される方法は、第1の移動ノードの現在位置を決定するステップと、ソーシャル・ネットワークを介して第1の移動ノードに関連付けられた少なくとも1個の第2の移動ノードの位置を決定するステップと、第1のノードの位置と第2のノードの位置とに少なくとも部分的に従って決定される少なくとも1個の候補目的地を含むリストを生成するステップとを含む。リスト上の各候補目的地に対して、第1の移動ノードが候補目的位置までのルートに存在する確率を算出できる。第1の移動ノードの予測された未来位置であるリストからの確率に従って候補目的地が選択され得る。第1の移動ノードの予測された未来位置は出力され得る。
【0005】
上述した周知の方法により移動ノードの未来位置を予測し得るが、未来位置を予測する場合、個々の移動ノードの動きの使用に限定され、それぞれの移動体ユーザ装置を使用している多数の友人とのフェイスツーフェイスでの遭遇を予測する場合には制限となる。
【0006】
そして、本願出願人は、移動体ユーザ装置の存在の予測に改善の必要性があると認識した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許出願公開第2009/054043(A1)号明細書
【発明の概要】
【0008】
前述の視点から、上述の技術および従来技術に対する改善を提供することが本発明の目的である。より詳しくは、多数(2以上)のユーザ装置の位置のより正確な予測の方法を提供すると共に、予測場所に効率的にナビゲートするのに有用なナビゲーション情報をユーザに提供することが目的である。
【0009】
それゆえ、移動体ユーザ装置の存在を予測する方法が提供される。当該方法は、コンピュータシステム上で実行され、互いに関連付けられた多数の移動体ユーザ装置の時間分布の位置セットを決定するステップと、前記位置セットの位置分布の関数として関心位置を計算するステップと、移動体ユーザ装置の各々について、該移動体ユーザ装置が未来時間に前記関心位置に存在する確率を予測するステップと、前記多数の移動体ユーザ装置の何れかの移動体ユーザ装置に対して、前記多数の移動体ユーザ装置の他の移動体ユーザ装置が特定の未来時間に前記関心位置に存在すると予測されることを示すメッセージの送信を開始するステップと、を含む。本明細書では前記関心位置を”集約位置(aggregated location)”と称する。
【0010】
本発明は、それぞれのユーザ装置を使用している友人その他の予測された存在に関する情報に基づいて、ユーザ装置のユーザは、特定の場所を訪問するあるいは留まるべきか否かについての条件付き決定が可能になるという点で有利である。当該方法はユーザの識別を要求しないため(例えば、ユーザ装置が匿名の識別パラメータに関連付けられる場合)、他の有利な点はプライバシーにある。さらに、特定時刻に特定タイプ(例えば嗜好趣味に従った)の人に会うリスクを低減することが望ましい場合、本発明の方法はこの種の努力をサポートすることができる。
【0011】
コンピュータシステムは、少なくとも1つの処理ユニットを含む1以上のコンピュータを指す。また、時間分布の位置(time-distributed location)は、特定のそれぞれの時刻における多数の物理的(地理的)位置を示すデータのセットを指す。すなわち、時間分布の位置は、位置−時間の多数のペアを含む。
【0012】
関心位置(すなわち集約位置)は、人々が出会うことができる任意の物理的位置であり、概して、さまざまな理由の人々が日、週、月または年の特定の時刻に存在する場所である。関心位置の例は、人々が出会いたいまたは出会うことを合意した場所である、バー、ナイトクラブ、記念碑、特定の浜辺または他の任意の屋外または屋内の場所でもあり得る。加えて、関心位置は、また、例えばストックホルム・マラソン、デンマークのロスキレ・フェスティバルなど一定の間隔で行われるイベントであってもよい。関心位置は、ユーザ装置の時間分布の位置のいくつかの位置の組合せであり、したがって、関心位置は多数のユーザ装置の時間分布の位置に基づいて(すなわち関数として)決定されることを意味する。ユーザ装置間の関係は、以下で説明されるように、ソーシャル・ネットワークサービスを介した接続に基づいてもよい。”時間分布の”位置は、位置が時間の値との組み合わせとして与えられることを意味し、当該時間の値は、ユーザ装置の位置がいつ有効かを示している。例えば、時間分布の場所は、地理座標(例えば、度:分:秒の形式)および時間(例えば、年:月:日:時:分の形式)の形であってもよい。位置および時間を示す他のデータ形式を使うことができる。対応して、関心位置も時間分布である。
【0013】
移動体ユーザ装置の予測された存在を示すメッセージは、ユーザ装置の推定された位置についての情報を含む任意のデータ送信を示す。この文脈において、移動体ユーザ装置の存在が通常、当該ユーザ装置を保持しているユーザの存在(場所)をしばしば表すと理解されるべきである。
【0014】
本発明の範囲内にある互いに関連付けられた多数の移動体ユーザ装置の時間分布の位置セットを”決定する”は、当該ユーザ装置から時間分布の位置セットを”受信する”と解釈され得る点に留意する必要がある。すなわち、データの受信は、時間分布の場所を決定するのに充分である。さらに、”多数の(a number of)”ユーザ装置は、ここでは”2以上の(more than one)”ユーザ装置を意味し、典型的には”11以上の(more than ten)”ユーザ装置を意味する。
【0015】
互いに関連付けられた多数の移動体ユーザ装置は、移動体ユーザ装置の機能的または社会的な接続を示しており、すなわち、複数のユーザ装置には何らかの関連がある。例えば、複数の移動体ユーザ装置は、ソーシャル・ネットワークシステムを介して互いに関連付けられ得る。ソーシャル・ネットワークシステムは、基本的に、相互依存の1以上の特定タイプ(例えば、値、他の物理的近接、金銭的交換、友好関係、親類関係、関心、社会的接点の頻度、お互いの近接時間など)によって結合される(概して個人を代表する)複数のノードから構成されるソーシャル・ネットワークに関する情報を格納するコンピュータ・サーバである。ソーシャル・ネットワークは、人々の間のつながりの集合およびそのつながりの強さの双方を表し得る。したがって、この文脈において、ユーザ装置は、関係がノード間のつながりとして実現されていると共にソーシャル・ネットワーク内のそれぞれのノードとして実現され得る。
【0016】
また、ネットワークシステムは、さまざまなメトリック演算を実行することでネットワークを分析するための、および、便利なようにノードおよびノード間のつながりを定義するためのソフトウェアモジュールおよび機能を含み得る。ネットワーク上のさまざまな動作の例は、例えば、”iPoint”、”NetMiner”、”InFlow”またはオープンソースのパッケージ”Social Networks Visualiser”のような利用可能なソーシャル・ネットワーク解析ソフトウェアにより見出される。
【0017】
方法は、特定のユーザ装置に対する時間分布の位置を所定の時間間隔で受信するステップを含み得、時間分布の位置が報告される通信チャネルに対するストレスが減少するように、時間分布の位置の報告を計画する可能性を提供する。所定の時間間隔は静的であっても動的であってもよく、例えば1以上のユーザ装置に対して一定であり1日の時間に依存してもよい。より詳しくは、所定の時間間隔は特定のユーザ装置の移動速度の関数として決定され、それは通信チャネルの負荷を減らす最良の方法の1つであると判明している。移動速度の関数として時間間隔を決定の一例は、移動速度が遅い場合に時間間隔を長くし、移動速度が相対的に速い場合に相対的に短い時間間隔に設定することを含む。
【0018】
時間分布の位置の受信は、当該時間分布の位置を送信する特定のユーザ装置で設定された送信時刻の値を受信するステップを含み得る。この種の送信時刻の値は、時間分布の位置がユーザ装置から送信された時刻を表す。これは、送信時刻の値が当該送信のローカル時刻(ユーザ装置時刻)を示すユーザ装置の時間インジケータによって典型的に与えられることを意味する。
【0019】
送信時刻の値によって、受信される時間分布の位置の有効性を評価するために、当該送信時刻の値は受信時刻の値と比較され得る。受信時刻の値は、コンピュータシステムの時間インジケータによって、または当該コンピュータシステムに時刻の値を提供する他のいかなる時間インジケータにもよって与えられ得る。有効性の評価は概して送信時刻の値を受信時刻の値と比較する比較するステップを含み、その比較から生じる任意の相違は、当該相違に従って関連する時刻の値を変更することによって時間分布の位置を修正するために用いてもよい。これは、例えば、他のユーザ装置に相関する実際の時刻でのユーザ装置の実際の位置を保証するために実行され、いくつかのユーザ装置が異なるローカル時刻の値(ローカルクロックの異なるまたは間違った設定)を有する場合に非常に役立つ。
【0020】
方法は、関心位置での未来における存在のマニュアル確認をユーザ装置から受信するステップを含み得、ユーザはマニュアルで関心位置を定義することが可能になる。関心位置の物理的位置を定義するだけでなく、関心位置がいつ本当に”関心”となるのかを示すために時刻の値が同様に定義され得る。
【0021】
方法は、特定の移動体ユーザ装置の予測された存在を示す任意のメッセージの送信を開始するステップの前に、特定の移動体ユーザ装置により受信された許容設定を検査するステップを含み得る。許容値設定は、例えば、存在を示しているメッセージを他の特定のユーザ装置に送信するのを妨げる規則(ユーザ装置を使用している人による設定)であってもよい。許容値設定は、存在を共有したくない人のユーザ装置からコンピュータシステムにアップロードされ得、特定の時間間隔で存在が示されるかまたは隠されるように時間依存し得る。また、関心位置の位置に依存して存在が示されるかまたは隠されるように許容値設定を位置と組み合わせ、および/または許容値設定を人と組み合わせることができる。もちろん、許容値設定の検査は、肯定的結果(存在を示す)または否定的結果(存在を示さない)を付与することができる。
【0022】
許容設定が特定の条件を満たす場合、特定の移動体ユーザ装置の予測された存在を示す任意のメッセージの送信を開始するステップを省略するステップを含み得る。この種の特定の状態の例は、”14:00から16:30の間に場所Xで私が存在する場合、人Aには私の予測された存在を示さない”である。”送信を開始するステップを省略するステップ”は、メッセージが許容条件を満たしているユーザ装置には送信されないことを意味する。もちろん、特定のユーザ装置によるメッセージの受信を防止する条件を満たすことが問題であるため、許容設定は”拒否設定”と見ることもできる。
【0023】
方法は、移動体ユーザ装置から関心位置を受信するステップを含み得、ユーザまたはユーザグループが彼ら自身で関心位置を作成できる。一旦受信されると、コンピュータシステムは関心位置を算出することを必要とせず、時間分布の位置の収集後ただちに未来の時間に関心位置に移動体ユーザ装置が存在するという確率予測を決定することができる。また、コンピュータシステムは、ユーザ装置からマニュアルの(未来)時刻および位置データ(関心位置)を受信することも可能であり、ユーザは未来の存在をマニュアルで示すことができる。この場合、コンピュータシステムは、移動体ユーザ装置が未来時間に関心位置に存在する予測の非常に高い確率値を使用できる。厳密な意味で、関心位置を移動体ユーザ装置から受信するステップによって、ユーザが単独で関心位置を作成し得、ある実施形態においては関心位置の算出は(少なくとも受信された関心位置について)余分なり得る。
【0024】
関心位置は地理座標を含み得る。住所と同様に関心位置を象徴する任意の名前を使用することができる。関心位置は、該関心位置の領域を定義する距離値を含み得、いくつかの関心位置が近接する場合に位置干渉のリスクを低減する可能性を提供する。関心位置の領域を定義する距離値は、多数の移動体ユーザ装置に対する時間分布の位置セットの関数であってもよい。
【0025】
方法は、移動体ユーザ装置が特定の集約位置に存在する確率の関数として該特定の集約位置を選択するステップと、移動体ユーザ装置に対して、特定の集約位置に関連付けられた情報の送信を開始するステップと、を含み得る。
【0026】
方法は、関心位置を格納するステップを含み得る。換言すれば、方法は、他の状況で使用可能な関心位置の形式の結果をもたらすことができ、例えば、その方法によって多数の関心位置はさまざまなナビゲーション・アプリケーションのような他のアプリケーションにエクスポートされ得る。関心位置は、概してコンピュータ可読のメモリに格納され得る。
【0027】
関心位置を計算するステップは、位置セットの平均値を決定するステップを含み得る。換言すれば、関心位置は位置セットの平均値であり得る。この文脈において、平均値は位置セットの組合せから提供される結果であり得、概して位置セットの各々の位置の何らかの属性を反映する。位置セットの平均値として関心位置を決定するステップには多数の方法があり、例えば算術、幾何学的、調和、一般化、加重算術または切捨平均、あるいは位置セットを反映する他の任意の値を計算する方法がある。位置セットの組合せ(すなわち関心位置)は概して、位置セットを入力とした数値演算の結果であり得、”位置セットの平均値を決定するステップ”は位置セットを集約した位置を決定するための位置セットを入力とした任意の数値演算も含み得る。
【0028】
本発明の別の態様では、移動体ユーザ装置の存在を予測するための通信ネットワーク内のコンピュータシステムが提供される。当該コンピュータシステムは、互いに関連付けられた多数の移動体ユーザ装置の時間分布の位置セットを決定する手段と、位置セットの位置分布の関数として関心位置を計算する手段と、移動体ユーザ装置の各々について、該移動体ユーザ装置が未来時間に関心位置に存在する確率を予測するよう構成された手段と、多数の移動体ユーザ装置の何れかの移動体ユーザ装置に対して、多数の移動体ユーザ装置の他の移動体ユーザ装置が特定の未来時間に関心位置に存在すると予測されることを示すメッセージの送信を開始する手段と、を含む。前述のように、コンピュータシステムは、1以上のコンピュータおよび/またはコンピュータ・サーバを含み得る。
【0029】
コンピュータシステムにおいて、移動体ユーザ装置は、ソーシャル・ネットワークシステムを介して互いに関連付けられ得る。コンピュータシステムは、また、特定のユーザ装置に対する時間分布の位置を所定の時間間隔で受信する手段を含み得る。これらの受信手段は、時間分布の位置を送信する特定のユーザ装置で設定された送信時刻の値を受信するよう構成され得る。受信する手段は、また、関心位置での未来における存在のマニュアル確認をユーザ装置から受信するよう構成され得、関心位置がいつ本当に”関心”となるのかを示すために時刻の値を受信するよう構成され得る。
【0030】
コンピュータシステムは、送信時刻の値を受信時刻の値と比較する手段を含み得る。
【0031】
コンピュータシステムは、特定の移動体ユーザ装置の予測された存在を示す任意のメッセージの送信を開始する前に、特定の移動体ユーザ装置により受信された許容設定を検査する手段を含み得る。また、コンピュータシステムは、許容設定が特定の条件を満たす場合、特定の移動体ユーザ装置の予測された存在を示す任意のメッセージの送信の開始を省略する手段を含み得る。
【0032】
上述の受信する手段は、移動体ユーザ装置から関心位置を受信し得る。また、コンピュータシステムは、ユーザ装置からマニュアルの(未来)時刻および位置データを受信することも可能である。
【0033】
コンピュータシステムは、移動体ユーザ装置が特定の関心位置に存在する確率の関数として該特定の関心位置を選択する手段と、移動体ユーザ装置に対して、特定の関心位置に関連付けられた情報の送信を開始する手段と、を含み得る。
【0034】
本発明のさらに別の態様では、対応する多数の関連付けられた移動体ユーザ装置との間で予測された存在を交換するよう構成された移動体ユーザ装置が提供される。当該移動体ユーザ装置は、決定されることになる移動体ユーザ装置の時間分布の位置セットを許可する無線送信手段と、関連付けられた移動体ユーザ装置の何れかの移動体ユーザ装置が特定の未来時間に関心位置に存在すると予測されることを示すメッセージを受信する受信手段であって、該関心位置は位置セットと多数の関連付けられた移動体ユーザ装置の対応する時間分布の位置セットとの位置分布の関数として計算される、受信手段と、を含む。
【0035】
無線送信手段は、例えば三角測量によるユーザ装置の位置の決定を提供し、また、位置データおよび該位置での時刻の値を決定し送信するためのGPS受信機のような測位手段を含み得る。
【0036】
本発明の更に別の態様によれば、移動体ユーザ装置の存在を予測するためのコンピュータプログラムが提供される。当該コンピュータプログラムは、コンピュータシステム上で実行されたとき、該コンピュータシステムに、互いに関連付けられた多数の移動体ユーザ装置の時間分布の位置セットを決定させ、位置セットの位置分布の関数として関心位置を計算させ、移動体ユーザ装置の各々について、該移動体ユーザ装置が未来時間に関心位置に存在する確率を予測させ、多数の移動体ユーザ装置の何れかの移動体ユーザ装置に対して、多数の移動体ユーザ装置の他の移動体ユーザ装置が特定の未来時間に関心位置に存在すると予測されることを示すメッセージの送信を開始させる、コード手段を含む。
【0037】
本発明の更に別の態様によれば、コンピュータプログラム製品が提供され、コンピュータ可読の手段と、当該コンピュータ可読の手段に格納された上述のコンピュータプログラムと、を含む。
【0038】
本発明のコンピュータシステム、ユーザ装置およびコンピュータプログラムは、コンピュータシステムの方法の発明に関連して上述した任意の特徴を実現するよう構成され/手段を含み、対応する有利点を共有する。
【0039】
本発明の実施形態は、例としての添付の図面を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】一実施形態に従って本発明を実装している通信システムを示す図である。
【図2】図1の通信システムにおいて使用されるユーザ装置を示す図である。
【図3】図1の通信システムにおいて使用されるるコンピュータシステムを示す図である。
【図4】図1のシステムで実行される発明の方法の実施形態のフローチャートである。
【図5a】関心位置を決定する方法によって使用されおよび/または提供されるデータ点を示す図である。
【図5b】関心位置を決定する方法によって使用されおよび/または提供されるデータ点を示す図である。
【図5c】関心位置を決定する方法によって使用されおよび/または提供されるデータ点を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
一般に、未来の存在が予測されることになるユーザ装置(UE)は、日付及び時刻に関する情報と共に当該ユーザ装置(UE)の位置についてのデータを自動的かつ連続的に収集するため、現在の存在ソリューション(例えば、Open Mobile Alliance Presence and Group Management)を拡張するために周知の測位技術を使用する。このように、時間分布の位置は収集される。測位およびデータ収集システムは無線通信のUE上で動作し、収集された時間分布の位置はコンピュータシステムの共通データベースに送信され格納される。
【0042】
コンピュータシステムは、ユーザの規則的な地理的場所、通常その場所に存在する場合の通常の時間、通常どの位の期間滞在するか、どのようなシーケンスで場所に多く訪問されるか、通常どのようなルートで複数の場所間を移動するかを解釈して定義するために、収集した時間分布の位置を使用する。UEがデータシステムと通信するネットワークのオーバーロードを回避するために、ユーザによりまたはUEの移動速度に依存して構成されるため、移動パターンはUEに記録され得、毎日または毎週、コンピュータシステムにアップロードされ得る。
【0043】
しばらくして、コンピュータシステムが定期的な訪問場所での現在の存在を識別するのに十分なデータ(時間分布の位置)を収集すると、システムが、関心位置の境界に対する場所命名、分類、タグ付け、定義のようなマニュアルのユーザ入力を促すことによりコンピュータシステムの精度は更に改善され調整され得る。カレンダー・イベントの情報にアクセスすることによって向上した精度が取得され得る。これは、情報を渡すために明示的なグループ構造およびアクティブな同意を必要とする。命名されたグループに対して、ユーザは友人に会うためにどこに行けばよいかについて予測することができる。
【0044】
システムが収集したデータから移動パターンを識別することが可能な場合、ユーザの未来の存在を予測するために後述するk平均クラスタリング法のような方法が識別された場所、ルートおよびスケジュールに適用され、いわゆる関心位置が作成される。当然、コンピュータシステムがより長くデータを集めるほど存在予測はより正確になる。
【0045】
各ユーザはUEを介して他ユーザのUEを介して他ユーザに接続することができ、予測された存在に対する相互のアクセス許可を有する他ユーザのパーソナル・グループをつくることができ、すなわち、小さいソーシャル・ネットワークを作成する。グループ内の各ユーザは、彼らの現在位置において他のグループメンバの予測された近未来の存在を検索することができる。識別発見のレベルは各ユーザにより設定され得、システムは異なる侵入の程度で使用可能でありえる。ユーザはまた、人気のある訪問場所を見つけるためにより一般的なグループに加わることができ、ユーザは質問(例えば”バレーボールをしているストックホルム大学の学生は?”)を入力できる。その答えは、この種の人々に会う可能性が高い関心位置(また、集約位置とも称する)を示す出力であり得る。これによって、コーヒーショップ、レストランおよびバーのようなビジネスがこの種の関心位置に提供し得る。前述のような質問または提供の作成がユーザに許可されているかを確認するために、ユーザ識別の確認を含み、無線標準団体である第3世代パートナーシップ・プロジェクト(3GPP)に従ったインターネット・プロトコル(IP)マルチメディアサービスを提供する設計フレームワークであるIPマルチメディア・サブシステム(IMS)を使用することができる。
【0046】
コンピュータシステムに対する質問の他の例は、”私のグループの何れかのユーザが1時間以内に場所Yにいる可能性はどれくらいか?”である。その答えはユーザの現在位置に関連し得、相対的な値、テキストまたはグラフィックとして表現され得る。また、その答えは、特定の場所で友人と遭遇する確率が特に高い他の特定の時間を示すことも出来る。これは、また、友人に遭遇する可能性を増やすためにどの関心位置に訪問すべきかをユーザに勧めるために用い得る。
【0047】
プレゼンス・プロファイル(プレゼンティティ)への追加において、ユーザは、所与の期間の間に存在することを示す所与の関心位置に対する存在の報告を選択できる。類似した方法で、他のメンバが関心位置に接近する場合、この種の関心位置でのユーザの存在を隠しおよび/またはユーザに警告するためにシステムを用いることができる。この種の警告メッセージは、現在の場所において、例えば”10分以内にユーザAに遭遇する可能性は85%である”と述べることができる。その情報を他の目的(例えば広告)のために利用することも可能である。また、ユーザによる関心位置の作成を許可することにより、人気の場所は通信システムの全体に伝播され、サービスプロバイダおよび/またはオペレータは、良好でより関連したサービス提供に役立つ知識を得ることが可能になる。しかしながら、主たる特徴は、特定の人々に出会う可能性が比較的高い物理的位置にナビゲート可能な情報をユーザに提供することに関連する。
【0048】
図1を参照すると、移動体UEの存在を予測するためのコンピュータシステム130を有する通信システム100が示される。コンピュータシステム130(以下で詳述する)は、通信システム100のサービスを提供しているオペレータの建物において(ハードウェアおよび通信機器に関して)従来のオペレータ・サーバを実装し得る。データベース139は、コンピュータシステム130に接続され、多数の関心位置171−173および受信された時間分布の位置に関する情報を格納する。データベース139は、ROM、RAMまたはフラッシュメモリ、または、例えば従来のハードディスクのような他のいかなる適切なメモリまたはデータ記憶媒体であってもよい。
【0049】
コンピュータシステム130は、例えばWAN(ワイド・エリア・ネットワーク)、LAN(ローカル・エリア・ネットワーク)、公衆交換電話網、インターネットおよび1以上のイントラネットとして実装されるかまたは含むネットワーク110に接続している。通信ネットワーク110は、また、ブルートゥースまたはIEEE802無線通信プロトコルの1つ、Wi−Fiプロテクテッド・アクセスを使用して構築されたローカル・ワイヤレス・ネットワークのような無線の短距離・長距離ネットワーク、または、移動体、セルラーまたは衛星ベースの無線ネットワークのような長距離ワイヤレス・ネットワーク、を含み、音声、映像、テキストおよび/またはそれらの任意の組合せをサポートする(例えば、GSM(移動通信のグローバルシステム)、TDMA(時間分割多元接続)、CDMA(符号分割多元接続)、W−CDMA(広帯域符号分割多元接続)および/または第3世代パートナーシップ・プロジェクト(3GPP)リリース8により指定されるLTE(ロングターム・エボリューション)ネットワークのようなネットワーク)。
【0050】
多数のUE141、142、143との無線通信をサポートするために、多数の移動体無線基地局121、122、123が通信システム100に含まれる。基地局121、122、123は、公知の技術の範囲内の方法で、UE141、142、143、ネットワーク110およびコンピュータシステム130との通信を確立することができる。
【0051】
短距離または長距離であるにせよ、基地局121、122、123は上述の通信プロトコルの1以上をサポートするように構成される。例えば、基地局は、802.xxタイプのアクセスポイントとして、または移動体またはセルラーのアクセスポイント(例えば従来の3G基地局またはLTEネットワークのeNodeB)として実装されうる。また、パーソナルコンピュータ151のようないろいろな情報処理システムが含まれ、通信ネットワーク100に通信可能に(固定または無線で)接続している。UE141−143または情報処理システム151に関連付けられたユーザ191−194が対応する装置の近くに示されている。装置141−143、151の各々は、ユーザにリンクするためのそれぞれの識別データに関連付けられている。UE141−143の各々は、基地局121−123の1つと無線通信リンクを確立可能な任意の携帯通信装置であり得る。
【0052】
UE141−143は、また、それぞれのUEの時間依存位置を決定可能なようにGPS(全地球測位システム)衛星161からデータを受信できる。しかしながら、基地局121−123によって衛星および三角測量を利用する他の測位システムのような、UEの位置を決定する他の従来の技術が同様に用いられ得る。
【0053】
図2を参照すると、図1のUE141のようなUEがより詳細に示され、複合無線送信手段と接続され制御可能な中央処理装置145と、基地局のような121と無線通信するための受信手段144を含む。記憶装置146は演算処理装置145に接続しており、1以上のソフトウェアアプリケーションのソフトウェア命令147は記憶装置146に格納される。ここで、ソフトウェアアプリケーションの1つは、存在の予測を容易にするための機能性を実装しており、実行されるときに中央処理装置145に存在するアプリケーションである。また、UE141の位置の決定を可能にするGPS受信機148のような測位モジュールもUE141に含まれる。しかしながら、前述したように他の測位技術が同様に用いられ、特定のGPSレシーバ148はオプションである。演算処理装置145は、また、例えば測位モジュール148によって収集されるデータを用いて、公知の方法でUE141の移動速度を決定でき、外挿によりUE141の速度ベクトル/運動方向を決定できる。
【0054】
GPS受信機の使用のオプションとして、セルID(UEが通信する基地局に関連付けられた位置)に関する情報を使用し得る。現在のセルIDおよびアクセス・セルIDの情報(位置)を読み出すために、例えばJP−7以降のソニーエリクソン(R)のJava(登録商標)MEアプリケーションまたはノキア(R)S60プラットフォームおよびUIQが使用され得る。時間分布の位置を読み出すために用いられることが可能な他の解決法は、前述したように、例えばエリクソンMPS(移動測位システム)製品を使用することにより達成される三角測量を含む。
【0055】
時間分布の位置を決定する技術に依存して、UE141は、装置141を担持するユーザ191の移動トレースの収集を可能にする基地局のようなもの141に信号を収集するかまたは出力するように構成される。トレースは位置とタイムスタンプのペアを含み、前述したように、ユーザによって使用されるデバイスに依存して異なる方法で記録される。トレースは、また、時間分布の位置を収集するのに使用した方法または技術(GPS、三角測量その他)に関する情報を含み得る。これは、多くの位置決定システムが異なる精度を有するため、関連する時間分布の位置の精度を推定する可能性を提供し得る。
【0056】
時間分布の位置のような収集データは、更なる処理のためにコンピュータシステム130に送信される。時間分布の位置がUE141で測定される場合、ネットワークトラフィックおよび消費電力の双方に関してオーバーヘッドを低減するため、データはコンピュータシステム130への送信の前に特定の時間の間に収集される。UEの移動速度が例えば50km/h超である場合、時間分布の位置を取集するための時間間隔の実施例は”3秒毎に”であり得、またはUEが移動していない限り、無限であってもよい。
【0057】
多くの異なるプロトコルおよび/またはフレームワークが、時間分布の位置のグループ化に用いることができ、コンピュータシステム130(例えばそのOMA(Open Mobile Alliance)プレゼンスSIMPLE(Session initiation protocol for Instant Messaging and Presence Leveraging Extensions)フレームワークまたはREST(Representational State Transfer)ライクのウェブ・サービス)にデータを送信し得る。しかしながら、エリクソンMPSのような、位置トラッキングに三角測量のような解決法が選択される場合、全ての時間/位置情報が基地局121−123によって、コンピュータ・サーバ130によって収集され得るため転送は必要でない。
【0058】
後述するように、時間分布の位置が、他のUEから時間分布の位置と共に処理され、関心位置が一般に時間従属するため、時間同期が使われる。このために、各UEはタイムスタンプまたは送信時刻(時間分布の位置を送信する時のUEクロック時刻)を送信する、そうすると、コンピュータシステム130はそれを受信時刻と比較する。受信時刻は、概して、時間分布の位置を受信した時のコンピュータシステム130におけるクロック時刻である。これは、コンピュータシステムがクロックを含むか、または連続的に他のシステム(不図示)から時間データを受信することを意味する。受信時刻は、また、推定された送信時刻のために調整され得る。不完全なタイムスタンプを有する時間分布の位置が発見されておそらく無視されるため、送信時刻と受信時刻との比較は、入来する時間分布の位置の確認と見ることもできる。
【0059】
図3を参照すると、図1のコンピュータシステム130のようなコンピュータシステムが更に詳細に示され、インタフェースに接続した中央処理装置136と、ネットワーク100上の通信のための通信モジュール137とを含む。コンピュータシステム130は、関心位置を計算するための手段131(すなわち関心位置計算モジュール131)を含み、移動体ユーザ装置141、142、143の何れかが未来の時間に関心位置171に存在するという確率を予測するように構成される手段133(すなわち存在予測モジュール133)を含む。また、コンピュータシステム130は、メッセージ(特定の時間のUEの予測された存在に関するメッセージなど)の送信を開始する手段132と称し得るメッセージング・モジュール132を含む。
【0060】
また、UE位置モジュール134およびソーシャル・ネットワーク・モジュール135もコンピュータシステム130に含まれる。UE位置モジュール134は、1以上のUEの時間分布の位置セットを決定するための手段134と称され得、三角測量を用いておよび/またはUEの時間分布の位置についてのデータのUEからの受信によって、UEの位置を導出するための機能性を含み得る。
【0061】
ソーシャル・ネットワーク・モジュール135は、ノード(ユーザ装置)および結びつき(関連付け)を識別し、表し、分析し、シミュレーションするための一般的機能性を実装する。この種の機能性は現在のソーシャル・ネットワーク解析ソフトウェアが利用可能であり、例えば、iPoint、NetMiner、InFlowまたはオープンソースパッケージのSocial Networks VisualiserおよびSocNetVがある。ソーシャル・ネットワーク・モジュール135は、前述のソーシャル・ネットワークシステムと見ることができる。
【0062】
モジュール131−135の各々は、コンピュータプログラム製品1310に格納されるコンピュータプログラムとして実装され、コンピュータプログラム製品1310は、少なくとも1つのメモリ(コンピュータ可読の手段)1311と、コンピュータシステム130内で実行されるコンピュータプログラム(コード手段)1312とを含む。メモリ1311は、ROM、RAMまたはフラッシュメモリまたは他のいかなる適切なメモリまたはデータ記憶媒体(例えば従来のハードディスク、CD−ROMまたはDVD−ROM)であり得る。モジュール131−135がコンピュータ内に位置するよう示されているが、モジュール131−135の1以上(例えばソーシャル・ネットワーク・モジュール132)は別体の(分散した)情報処理システム(例えば、より一般のネットワーク・パースペクティブ内の、単一の統一ノードとして機能するように構成されるシステムであるサーバ・ファーム内)に配置され得る。
【0063】
メッセージング・モジュール132は、コンピュータシステム130の他のモジュールの1以上から受信される指示に応答し、インタフェースおよび通信モジュール137と協同し、通信ネットワーク110を介して送信されるメッセージを生成し得る。例えば、電子メール・メッセージ、インスタントメッセージング・メッセージまたはテキスト・メッセージが生成され送信され得、電話発信が配置され得、その他が配置され得る。
【0064】
ソーシャル・ネットワーク・モジュール135は、1以上のユーザまたはUE121−123に関するソーシャル・ネットワーク情報を通信システム100に格納する。ソーシャル・ネットワーク情報は、ユーザの関連を特定し、2以上のユーザ191−193の関係を特定する場合、2つのユーザ191、192の間の任意の関連が更にユーザの移動体ノード141、142の間の関連を確立するように、各ユーザに属する(関連付けられた)移動体ノードのリストが特定されると認められる。ソーシャル・ネットワークは従来の方法で特定され、例えば、所与のユーザと関連する1以上のユーザのリストまたは各々のユーザがノードとして描かれ、関係がノードを接続する結びつきとして描かれるグラフとして特定される。ソーシャル・ネットワーク情報は、ソーシャル・ネットワーク・モジュール135内に格納される。現在のネットワーク・システムからネットワーク・データをインポートおよびUE141−142のユーザが自分自身のデータを入力の双方により、新規のソーシャル・ネットワークを生成し得る。
【0065】
UE位置モジュール134は、UE141−143の時間分布の位置をデータベース139内に格納する。コンピュータシステム130が時間分布の位置を決定するように構成される場合、UE位置モジュール134は、上述のように例えば基地局三角測量によってこれらの場所も決定する。UE位置モジュール134が、GPS受信機を使用するUEから位置情報を受信する場合、UE位置モジュール134は、送信時刻を受信時刻と比較することにより前述のタイムスタンプ同期を実行する。
【0066】
必要に応じて、UE位置モジュール134は時間分布の位置を適切なフォーマットに変換する。例えば、セルIDは、座標及び不確定半径に変換されることを必要とする。これは、異なるセルIDの物理的位置を格納するデータベースであるセルIDデータベースを使用して行われ得る。この種のデータベースの例として、OpenCellID.orgまたはソニー・エリクソン社のSercPosがある。(受信または決定された)最終結果は、以下の表1にて示すようにSQLライクのデータベースに格納され得る。
【0067】
【表1】

【0068】
表1は、3つの時間分布の位置を示しており、idは時間分布の位置の識別子であり、緯度および経度は位置座標であり、精度は不確定半径であり、タイムスタンプはユーザが当該位置にいた時刻であり、user_idは時間分布の位置が帰属するUEの識別子である。より詳しくは、精度は、使用するUE測位方法に特有のものであり、位置座標の点を中心とした半径を示す値である。UEは当該範囲内のどこかに位置し、理解されるように、その半径は、真の位置座標を決定する観点で異なる測位技術はそのしばしば異なる精度を有するため、その半径は変化できる。user_idは、例えばUEのIMEI(国際移動装置識別子)、UE内のSIMカードのIMSI(国際移動加入者識別子)、URI(統一リソース識別子)またはUEに関連付けられたIPアドレスの1つであり得る。
【0069】
関心位置計算モジュール131は、例えばk平均クラスタリングのようなデータのクラスタリングアルゴリズムを用いて関心位置を計算するために、時間分布の位置を使用する。クラスタリングは、少なくとも4つの次元(緯度、経度、時間およびユーザ)において実行される、
クラスタリングアルゴリズムの結果は、多数の共通位置および強度(いくつのユーザが関連するか、地理的領域がいつまたはどの程度の期間関心位置であるかなど)を示すメトリックである。各々の関心位置に対して結果として生じる情報は、未来におけるアクセスにおける利便性のために個別にデータベース139に格納される。個人の関心位置を見つけるため、各々のユーザからのデータに対して類似したクラスタ分析がなされる。これは、各々のユーザがより長い期間滞在する傾向がある位置(例えば会社または自宅)をシステムが発見するのを助ける。これらの個人の関心位置は、当該ユーザ挙動を予測可能なユーザのいくつものルートを見つけるために用いられ、未来の何れかの時間におけるUEの位置を予測可能な存在予測モジュール133によって実行される。
【0070】
より詳しくは、存在予測モジュール133は、未来の方向(オブジェクトが移動する方向および/または速度)およびUE141のようなUEの位置を決定するように構成される。方向および位置は、位置およびタイムスタンプを特定するUEの位置情報(例えば各位置における日付および/または時間)である上述の表1のようなヒストグラムに基づいて、例えば決定されることができる。それから、存在予測モジュール133は、UEが、特定の関心位置の候補点へのルート上にいる(または訪問する)確率を算出できる。この種の確率は、種々の要因のいずれかに従って決定されることができ、当業者の技術の範囲内で知られている統計および/またはデータ・マイニング技術、演繹法、GSP(Generalized Sequential Pattern)またはSPADE(Sequential PAttern Discovery using Equivalent Class)のようなアルゴリズム、またはFreeSpan(frequent pattern-projected sequential pattern mining)またはPrefixSpan(mining sequential patterns by prefix-projected growth)を用いて、好ましくは実行される。
【0071】
図4を参照すると、UEの存在を予測する方法を示すフローチャートが示される。この方法は、図1に関して記載される通信システム100により実行され得る。このように、1以上のステップがフローチャートに示されるものとは異なった順番においても実行され得、1以上のステップがオプションで実行、省略、結合および/またはいくつかのステップに分割され得る。
【0072】
最初のステップ202において、互いに関連付けられたUEの時間分布の位置の形式でデータ250がソーシャル・ネットワーク・データ252を介して収集される。この種の収集は、この種のデータの受信およびデータの能動的算出の双方を含み得、時間分布の位置が、UE141−142またはコンピュータ・サーバ130またはそれらの組合せの何れかによって”決定”され得ることを意味する。
【0073】
いずれにせよ、次の204で、時間分布の位置は、以下で詳述する206で関心位置を計算する関心位置計算モジュール131に報告される。新規の関心位置が定期的に算出され、未来の用途のために格納され、関心位置を記載するデータ254はユーザによりマニュアルで挿入され得る。もちろん、必要条件(例えば人の訪問が十分)を満たさない以前の関心位置は、除去される関心位置として分類される。関心位置の格納に関して、方法の次のステップ207は、関心位置をデータベース139に格納し得る。
【0074】
208で、各々のUEに対して、周知の統計的方法(例えばGSP法)を用いて、UEが関心位置のいずれかに存在する確率が予測される。この予測208は、各々の関心位置に対して予測が終了すると210で完了する。
【0075】
コンピュータシステム130は、212で、特定のUEが特定の未来の時間に関心位置に存在することが予測されたことを示すメッセージを開始する(すなわち、特定のUEの未来の存在の形式で出力データが256で生成される)。メッセージおよび任意の質問を生成するために、OMAプレゼンスSIMPLEフレームワーク、SOAP(Simple Object Access Protocol)プロトコルおよび/またはREST(Representational State Transfer)原理のような周知の仕様および標準を使用し得る。
【0076】
より詳細に関心位置計算モジュール131を説明するために、時間分布の位置に基づいて関心位置を決定するためにk平均クラスタリングアルゴリズムがどのように使用され得るかの説明を補助する図5a−5cを参照する。もちろん、このアルゴリズムは非常に多量のデータセットに用いられるが、原理は少ないデータ量の場合と同じである。全ユーザまたは1ユーザのみからの位置データのみを使用することにより、個人およびグローバルな関心位置を見つけるために、同じアルゴリズムが適用され得る。実際の使用事例においては、経度および緯度より多くの次元が使用され得、何百万ものデータ・ポイントが同様に使用され得る。
【0077】
説明のために、ユーザ(またはいくつかのユーザ)に対する多数のトレース(または位置L1−L7)が仮定され、表2に示される。
【0078】
【表2】

【0079】
データがより単純であるという点で表2は表1と異なるが、同じ原理が適用される。表2の各行は、特定のユーザに対する位置を表す。t列はその列のインデックス番号を含み、疑似経度および疑似緯度は位置を表す。この例は2次元(経度および緯度)のアルゴリズムを示すが、同じアプローチはn次元の場合にも適用される。任意の新規の次元は表の他の列を生成し、典型的な更なる次元は、例えば時間である。
【0080】
表2の値をプロットすると図5aのようになる。
【0081】
全ての緯度経度のペアを含むデータセットは、以下のように表現される。
【0082】
【数1】

【0083】
動的なクラスタ量が必要な場合(計算が始まる前に必要なクラスタの正確な数は未知である)、計算においてリーダー・クラスタ法を使用することが可能である。説明を簡単にするために、この例は、固定のクラスタ数(k=2)を使用する。クラスタのセット(m)は、従って、2つのクラスタmおよびmから構成される。これは例として見られなければならない一方、クラスタを見つけるために組合せの使用が望ましく、クラスタが関心位置か否かの決定を調べることが可能となる。例えば、十分に密度が高い、以前既知であるなどである。
【0084】
実際の計算が始まる前に、クラスタはスタート値を必要とする。これらは、多くの異なる方法で割り当てられ得る。1つの単純な方法は、クラスタの位置に対するスタート値をランダムに割り当てることである。k平均クラスタリングアルゴリズムの最終結果はクラスタのスタート値に依存するため、計算は、何回も実行されるか、または、異なるスタート値を有する特定の時間期間において実行され、そして結果が比較される。これに加えて、データが位置データであるので、スタート位置は関心位置が見つかる関心領域の周辺で選択され得る。計算を実行する適切な回数または期間は、コンピュータシステムの処理許容量に依存するため、計算のリーズナブルな精度を得るためにコンピュータシステムの処理許容量を考慮に入れ経験的に選択され得る。
【0085】
ランダムに、クラスタのスタート値が、m=(0、9)およびm=(10、6)と仮定すると、スタート状態は、図5bのようになり、mは参照番号P1により示され、mは参照番号P2により示される。
【0086】
次のステップのk平均アルゴリズムでは、X内の緯度−経度ペアに対して、どのクラスタ点(m)が最も近いかを計算する。この場合、2次元が使用され、以下の数式が使用される。
【0087】
【数2】

【0088】
これは、どのクラスタ点(m)が緯度−経度の各ペアに現在最も近いかの計算を表現し、より多くの列を追加することによって表3のように視覚化され得る。
【0089】
【表3】

【0090】
一旦表3が生成されると、m内のクラスタ位置の再計算が実行される。これは、以下の数式を用いてなされる。
【0091】
【数3】

【0092】
現在の例において、m(0、9)に対する結果は以下のようになる。
【0093】
【数4】

【0094】
【数5】

これは、新規のm(1,5、1,75)に結果としてなる。
【0095】
(10、6)におけるmの場合は、以下のようになる。
【0096】
【数6】

【0097】
【数7】

結果として、新規のm(9,33;9)となる。
【0098】
新規のクラスタがグラフにプロットされる場合、プロット図は図5cのようになり、新規のmは参照番号P1’により示され、新規のmは参照番号P2’により示される。図1の関心位置171−173は、機能的にmおよびmの新規の値に類似した値に対応し得る。このように、mおよびmの新規の値は、2つの関心位置(すなわち2の集約位置)がどのように決定され得るかを示す例を表す。新規のmおよびmの決定は、いくつかの位置(すなわち、位置セット)に基づいている(すなわち、決定される)ため、関心位置は集約位置と称し得る。そして、後続の例では、位置セットは図5a−5cのその位置L1−L7で示される。
【0099】
この単純な例において、クラスタは非常に急速に収束する。しかしながら、実際は、大量のデータが使用される場合、新規のクラスタ位置を推定する手順を収束する前に数回実行しなければならない。
【0100】
前述したように、スタート点は、関心位置周辺で選択され得、時間のような更なる次元が利用可能な場合、評価の制約として使用することができる。また、関心位置の計算はときに計算的に重い演算が実行されるため、領域を制限することも可能である。
【0101】
もちろん、本願明細書に記載される通信システム、基地局およびUEは、無線通信の分野で周知の標準およびプロトコルに従って追加で実施し得る。実際、関連付けられた多数のUEの位置が識別可能でありコンピュータに報告可能である限り、本発明は現在のハードウェア装置で実施することができる。そして、上述の方法をコンピュータ内でいつ実行するかはソフトウェア命令の実装の問題のみである。
【0102】
ソフトウェア命令(すなわち、前述したシステムにおいて実行される実現方法のためのコンピュータプログラム・コード)は、Java(登録商標)、Cおよび/またはC++のような高級プログラミング言語だけでなく、これに限定されないがインタプリタ言語のような他のプログラミング言語によっても記述され得る。いくつかのモジュールまたはルーチンは、パフォーマンスおよび/またはメモリ使用状況を強化するために、アセンブリ言語またはマイクロコードにさえ記述され得る。当該方法の機能的なステップの何れかまたは全ての機能性は、また、個別のハードウェア・コンポーネント、1以上の特定用途向け集積回路、またはプログラムされたデジタル信号プロセッサまたはマイクロコントローラを使用して実施し得ると更に認められる。
【0103】
本発明の様々な実施形態が記載され説明されているが、本発明はこれらに限定されることなく以下の請求項で定義される対象の範囲内の他の方法で実施され得る。特に、本発明は、移動体UEが未来時間に特定の場所に存在する確率を予測する他の技術を用いて実施することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータシステム(130)上で実行される、移動体ユーザ装置(141)の存在を予測する方法であって、
互いに関連付けられた多数の移動体ユーザ装置(141、142、143)の時間分布の位置セット(171−173)を決定するステップ(202)と、
前記位置セット(171−173)の位置分布の関数として集約位置(171)を計算するステップ(206)と、
移動体ユーザ装置(141、142、143)の各々について、該移動体ユーザ装置(141、142、143)が未来時間に前記集約位置(171)に存在する確率を予測するステップ(208)と、
前記多数の移動体ユーザ装置の何れかの移動体ユーザ装置(141)に対して、前記多数の移動体ユーザ装置(141、142、143)の他の移動体ユーザ装置(142、143)が特定の未来時間に前記集約位置(171)に存在すると予測されることを示すメッセージの送信を開始するステップ(212)と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
移動体ユーザ装置(141)から前記集約位置を受信するステップを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記集約位置(171)は、地理座標を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記集約位置(171)は、該集約位置の領域を定義する距離値を含むことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記距離値は、前記多数の移動体ユーザ装置(141、142、143)に対する時間分布の前記位置セットの関数であることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
移動体ユーザ装置(142、143)が特定の集約位置に存在する確率の関数として該特定の集約位置を選択するステップと、
移動体ユーザ装置(141)に対して、前記特定の集約位置に関連付けられた情報の送信を開始するステップと、
を含むことを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記集約位置(171)を格納するステップ(207)を含むことを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記集約位置(171)を計算する前記ステップは、前記位置セットの平均値を決定するステップを含むことを特徴とする請求項1乃至7の何れか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記集約位置(171)は、前記位置セットの平均値であることを特徴とする請求項1乃至8の何れか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記移動体ユーザ装置(141、142、143)は、ソーシャル・ネットワークシステムを介して互いに関連付けられていることを特徴とする請求項1乃至9の何れか一項に記載の方法。
【請求項11】
特定のユーザ装置(141)に対する時間分布の位置を所定の時間間隔で受信するステップを含むことを特徴とする請求項1乃至10の何れか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記所定の時間間隔は、前記特定のユーザ装置(141)の移動速度の関数として決定されることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
時間分布の位置を受信する前記ステップは、前記時間分布の位置を送信している前記特定のユーザ装置(141)で設定された送信時刻の値を受信するステップを含むことを特徴とする請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
前記送信時刻の値と共に受信した前記時間分布の位置の有効性を評価するために、前記送信時刻の値を受信した時刻の値と比較するステップを含むことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記集約位置(171)での未来における存在のマニュアル確認をユーザ装置(141)から受信するステップを含むことを特徴とする請求項1乃至14の何れか一項に記載の方法。
【請求項16】
特定の移動体ユーザ装置(141)の予測された存在を示す任意のメッセージの送信を開始する前記ステップの前に、前記特定の移動体ユーザ装置(141)により受信された許容設定を検査するステップを含むことを特徴とする請求項1乃至15の何れか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記許容設定が特定の条件を満たす場合、前記特定の移動体ユーザ装置(141)の予測された存在を示す任意のメッセージの送信を開始する前記ステップ(212)を省略するステップを含むことを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
移動体ユーザ装置(141)の存在を予測するための、通信ネットワーク内のコンピュータシステムであって、
互いに関連付けられた多数の移動体ユーザ装置(141、142、143)の時間分布の位置セットを決定する手段(134)と、
前記位置セットの位置分布の関数として集約位置(171)を計算する手段(131)と、
移動体ユーザ装置(141、142、143)の各々について、該移動体ユーザ装置(141、142、143)が未来時間に前記集約位置(171)に存在する確率を予測するよう構成された手段(133)と、
前記多数の移動体ユーザ装置の何れかの移動体ユーザ装置(141)に対して、前記多数の移動体ユーザ装置(141、142、143)の他の移動体ユーザ装置(142、143)が特定の未来時間に前記集約位置(171)に存在すると予測されることを示すメッセージの送信を開始する手段と、
を含むことを特徴とするコンピュータシステム。
【請求項19】
対応する多数の関連付けられた移動体ユーザ装置(142、143)との間で予測された存在を交換するよう構成された移動体ユーザ装置であって、
決定されることになる移動体ユーザ装置の時間分布の位置セットを許可する無線送信手段(144)と、
前記関連付けられた移動体ユーザ装置(142、143)の何れかの移動体ユーザ装置が特定の未来時間に集約位置(171)に存在すると予測されることを示すメッセージを受信する受信手段(144)であって、該集約位置(171)は、前記位置セットと多数の前記関連付けられた移動体ユーザ装置(142、143)の対応する時間分布の位置セットとの位置分布の関数として計算される、受信手段(144)と、
を含むことを特徴とする移動体ユーザ装置。
【請求項20】
移動体ユーザ装置(141)の存在を予測するためのコンピュータプログラムであって、
コンピュータシステム(130)上で実行されたとき、該コンピュータシステム(130)に、
互いに関連付けられた多数の移動体ユーザ装置(141、142、143)の時間分布の位置セットを決定(202)させ、
前記位置セットの位置分布の関数として集約位置を計算(206)させ、
移動体ユーザ装置(141、142、143)の各々について、該移動体ユーザ装置が未来時間に前記集約位置に存在する確率を予測(208)させ、
前記多数の移動体ユーザ装置の何れかの移動体ユーザ装置(141)に対して、前記多数の移動体ユーザ装置(141、142、143)の他の移動体ユーザ装置(142、143)が特定の未来時間に前記集約位置に存在すると予測されることを示すメッセージの送信を開始(212)させる、
コード手段(1312)を含むことを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項21】
請求項20に記載のコンピュータプログラムを格納したコンピュータ可読記録媒体(1311)。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5a】
image rotate

【図5b】
image rotate

【図5c】
image rotate


【公開番号】特開2010−263621(P2010−263621A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−102626(P2010−102626)
【出願日】平成22年4月27日(2010.4.27)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
【出願人】(598036300)テレフオンアクチーボラゲット エル エム エリクソン(パブル) (2,266)
【Fターム(参考)】