説明

移動体周辺監視システム

【課題】複数の距離測定センサを備えた移動体周辺監視システムにおいて、各距離測定セ
ンサにより高精度に障害物までの距離を測定し、しかも、製造コストを低減する。
【解決手段】移動体周辺監視システムにおいて、センサ制御装置は、各距離測定センサに
よる距離測定範囲に対応した周波数掃引幅の掃引パターンを記憶している。センサ制御装
置は、各距離測定センサに、その取付位置に応じて距離測定範囲を設定し、その距離測定
範囲に対応する周波数掃引幅の掃引パターンP1、P2、P3に従ってセンサ内の信号源
の発振周波数を掃引させる。これにより、各距離測定センサの取付位置に応じた夫々の距
離測定範囲で各距離測定センサにより高精度に距離を測定することができる。しかも、上
記掃引パターンはセンサ制御装置が記憶しているので、各距離測定センサはその構成を共
通化することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両等の移動体周辺に存在する障害物の存在を距離測定センサにより検知す
る移動体周辺監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、この種の移動体周辺監視システム(以下、監視システムという)の距離測定
センサに適用される技術として、レーダ波又は超音波を利用した障害物検知技術が知られ
ている。この障害物検知技術には定在波方式とFM−CW方式とが含まれており、これら
の方式のいずれかを採用した距離測定センサが知られている。
【0003】
いずれの方式の距離測定センサにおいても、信号源の発振周波数が掃引され、その掃引
された発振周波数と同じ周波数の送信波が障害物に放射され、送信波と、その送信波が障
害物で反射して生じた反射波との合成波が検出される。そして、その検出信号が増幅され
、サンプリングされ、周波数分析され、その分析結果に基づいて障害物の存在が検知され
、さらにその障害物までの距離が算出される。
【0004】
上記2方式における相違点は、送信波の周波数(以下、送信周波数という)の掃引の仕
方である。従って、上記2方式においては、送信波と反射波との合成波形が異なり、合成
波の検出部分、及び、検出信号に対する分析内容等も相違する。
【0005】
以下、上記2方式の距離測定技法について詳述する。図7は、従来及び本発明の定在波
方式による距離測定原理を示す。図7における上側の図において、第1象限の横軸は時間
tを示し、縦軸は送信周波数fを示し、第2象限の横軸は任意の検出地点において検出さ
れる定在波のパワーpを表す。上記検出地点は、送信波の放射地点と障害物とを通る直線
上の任意の地点である。
【0006】
この方式においては、送信周波数fの一定期間の保持と一定幅の上昇とが繰り返される
ように送信周波数fが掃引される。この掃引により、送信周波数fが階段状に変調される
(上記第1象限参照)。各周波数fにおける一定の保持期間は、レーダ波又は超音波が障
害物までの間を伝搬して往復するのに必要な時間よりも長く設定されており、その保持期
間毎に、送信波と、上記往復により位相が遅延した反射波とが干渉し、合成波として定在
波が生成される。
【0007】
上記検出地点における定在波パワーpは、送信周波数の掃引に応じて周期的に増減する
(上記第2象限参照)。この原理について図8を参照して説明する。ここでは、送信周波
数が上昇するとする。この上昇により、検出地点D1と障害物Bとの間の送信波W及び
反射波Wの波数は増え、そのため、定在波Wの波数が増加し、検出地点D1における
定在波Wの位相が変位する。これにより、検出地点D1における定在波Wの振幅がA
1からA2に変わり、振幅に比例する定在波パワーpが変化する。従って、送信周波数の
掃引により、検出地点D1における定在波Wの位相が2π以上掃引されると、定在波パ
ワーpは周期性を持つようになる。
【0008】
ここに、送信周波数の掃引による定在波パワーpの変動周期と、障害物Bまでの距離と
、光速とを、それぞれ、Δf、d、cとすると、下記の式(1)の関係式が成立する。
【0009】
【数1】

【0010】
従って、変動周期Δfを求めることにより、距離dを算出することができる。ところで
、定在波パワーpを、任意の期間、検出すると、定在波パワーpの時系列信号(以下、定
在波パワー信号という)が得られ、定在波パワーpを時間関数として表すことができる。
しかしながら、上記式(1)は時間を変数に含まないので、定在波パワー信号と、式(1
)とだけから、距離dを算出することはできない。
【0011】
そこで、上記式(1)を時間領域の数式に変換することが考えられる。ここに、変動周
期Δfに対応する期間と、送信周波数の掃引幅と、掃引期間とを、それぞれ、T、ΔF
、τとすると、下記式(2)が求まる(上記図7参照)。
【0012】
【数2】

【0013】
上記式(2)に上記式(1)を代入し、また、定在波パワー信号の周波数をf(=1
/T)とすると、周波数fについての下記式(3)が導き出される。
【0014】
【数3】

【0015】
従って、定在波パワー信号の周波数fを計測することにより、障害物の存在を検知す
ることができ、また、その計測値と、予め設定された掃引幅ΔF及び掃引期間τと、光速
cとを、上記式(3)に代入することにより、距離dを求めることができる。
【0016】
次に、図9を参照して、従来及び本発明のFM−CW方式による距離測定原理を説明す
る。この方式における送信波Wは、その周波数を掃引期間τに周波数掃引幅ΔFだけ連
続掃引することにより、鋸波状にFM変調された連続波(CW波)である。反射波W
、送信波Wに対して時間的に遅れるが、その遅延時間Δtは、レーダ波又は超音波が障
害物までの距離dの空間を往復するのに必要な時間である。この遅延により送信波W
反射波Wとの周波数には差が生じる。ここに、この周波数差、すなわち、ビート周波数
をfとすると、下記式(4)の関係式が成り立つ。
【0017】
【数4】

【0018】
遅延時間Δtは、Δt=2d/c(c:光速)と表され、この式を上記式(4)に代入
すると、ビート周波数fと距離dとの関係を示す下記式(5)が求められる。
【0019】
【数5】

【0020】
従って、ビート周波数fを測定し、上記式(5)に代入することにより、距離dを割
り出すことができる。ビート周波数fは、送信波Wと反射波Wとの合成波から計測
することができる。
【0021】
図10は、上記合成波Wの波形を示す。送信周波数が掃引されると、合成波Wには
うなりが生じ、合成波Wの振幅は、ビート周波数fでもって増大、減少を繰り返す。
そのため、合成波Wを例えば包絡線検波することにより、合成波Wから上記うなりの
信号、すなわち、ビート信号を抽出して、その周波数を計測することにより、ビート周波
数fを得て障害物の存在を検知することができ、また、上記式(5)を基に障害物まで
の距離dを算出することができる。
【0022】
上述のように、定在波方式/FM−CW方式において、距離dを算出するには、上記の
周波数f/ビート周波数fの計測が必要であり、その計測は各種の周波数成分分析回
路(以下、分析回路という)により可能であるが、周波数f/ビート周波数fは、分
析回路に固有の周波数分解能で計測される。上記の周波数分解能は、所定の周波数範囲内
であれば、通常、周波数の高さに係わらず同じである。従って、周波数f/ビート周波
数fに対応する距離dは、近距離、中距離、遠距離のいずれであるかに係わらず、同じ
精度で測定される。そのため、上記の各距離に特化して、各距離を高精度に測定すること
は難しい。
【0023】
そこで、近距離/遠距離の測定精度を向上するため、送信周波数の掃引幅を広く/狭く
する距離測定方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。この距離測定方法を適用
し、上記分析回路において計測可能な周波数範囲(以下、計測周波数範囲という)と周波
数分解能とを一定として、送信周波数の掃引幅を広くすれば、近距離で、かつ狭い距離範
囲が上記計測周波数範囲に対応付けられ、測定可能な最小距離単位が小さくなる。一方、
上記掃引幅を狭くすれば、遠距離で、かつ広い距離範囲が上記計測周波数範囲に対応付け
られ、測定可能な最小距離単位が大きくなる。従って、距離範囲は狭くても構わないが、
高い測定精度で距離を測定したいときには、上記掃引幅を広くすればよい。他方、測定精
度は低くても構わないが、広い距離範囲で距離を測定したいときには、上記掃引幅を狭く
すればよい。
【0024】
ところで、上記監視システムにおいて、移動体の各部に距離測定センサを取り付け、各
距離測定センサの距離測定範囲を、その距離測定センサの取付位置に応じて個別に設定し
、各距離測定範囲毎に高精度に障害物を検知し、高精度に障害物までの距離を測定したい
という要望がある。
【0025】
そこで、各距離測定センサに、その距離測定センサの距離測定範囲に対応する周波数掃
引幅を予め記憶させ、その予め記憶させた周波数掃引幅だけ送信周波数を掃引させること
が考えられる。
【0026】
しかしながら、各距離測定センサに自センサの周波数掃引幅を記憶させる場合には、各
距離測定センサを別々の構成にする必要があるので、各距離測定センサの生産コストが増
加し、従って、監視システムの製造コストが上昇してしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0027】
【特許文献1】特表2003−505699号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0028】
本発明は、上記の従来の問題を解決するためになされたものであり、複数の距離測定セ
ンサを備えた移動体周辺監視システムにおいて、各距離測定センサにそのセンサの移動体
への取付位置に応じて設定された夫々の距離測定範囲で、各距離測定センサにより高精度
に障害物までの距離を測定することができ、しかも、製造コストの低減を図ることができ
る移動体周辺監視システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0029】
上記目的を達成するために本発明は、信号源の発振周波数を掃引する周波数掃引部と、
前記周波数掃引部により掃引された発振周波数に対応した周波数の送信波を放射する送信
部と、前記送信波が移動体周辺に在る障害物により反射されて生じた反射波を受信する受
信部と、前記送信波と前記反射波との合成波のパワー又は振幅を検出する検出部と、前記
検出部による検出信号をサンプリングして、その周波数成分を分析する周波数成分分析部
と、前記周波数成分分析部による分析結果に基づいて、前記障害物の有無を検知し、該障
害物までの距離を算出する距離算出部と、を有し、移動体に取り付けられる複数の距離測
定センサと、前記複数の距離測定センサを制御するセンサ制御部と、を備えた移動体周辺
監視システムにおいて、前記センサ制御部は、前記距離測定センサの各々による距離測定
範囲に対応した前記発振周波数の掃引幅を有する掃引パターンを予め記憶しており、前記
距離測定センサの各々に、移動体への該距離測定センサの取付位置に応じて、該距離測定
センサによる距離測定範囲を設定し、該距離測定センサ毎に、その距離測定センサに設定
した距離測定範囲に対応する前記掃引幅の掃引パターンを割り当て、前記距離測定センサ
の各々の周波数掃引部は、前記センサ制御部により該距離測定センサに割り当てられた掃
引パターンに従って前記発振周波数を掃引することを特徴とする。
【0030】
上記移動体周辺監視システムにおいて、前記センサ制御部は、前記距離測定センサに割
り当てられた掃引パターンの掃引幅が広い順に、該距離測定センサの周波数掃引部に前記
発振周波数を掃引させることが好ましい。
【0031】
また、上記移動体周辺監視システムにおいて、前記周波数掃引部は、前記発振周波数を
階段状に変調し、前記検出部は、前記合成波である定在波のパワーを検出し、前記周波数
成分分析部は、前記検出部による検出信号の前記発振周波数に対する変動周波数を計測し
、前記距離算出部は、前記周波数成分分析部により計測された変動周波数に基づいて、障
害物の有無を検知し、該障害物までの距離を算出し、定在波方式により距離測定を行うこ
とが好ましい。
【0032】
また、上記移動体周辺監視システムにおいて、前記周波数掃引部は、前記発振周波数を
連続して掃引することにより、該発振周波数を鋸波又は三角波状に変調し、前記検出部は
、前記合成波の振幅変化を検出することにより、該合成波に含まれるビート信号を合成波
から抽出し、前記周波数成分分析部は、前記検出部により抽出されたビート信号のビート
周波数を計測し、前記距離算出部は、前記周波数成分分析部により計測されたビート周波
数に基づいて、障害物の有無を検知し、該障害物までの距離を算出し、FM−CW方式に
より距離測定を行うことが好ましい。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、各距離測定センサに、その取付位置に応じて距離測定範囲が設定され
、各距離測定センサは、その距離測定範囲に対応する周波数掃引幅の掃引パターンに従っ
て信号源の発振周波数を掃引する。これにより、各距離測定センサにより、各距離測定セ
ンサの取付位置に応じた夫々の距離測定範囲で、高精度に障害物までの距離を測定するこ
とができる。しかも、上記掃引パターンはセンサ制御部が記憶しているので、各距離測定
センサはその構成を共通化することができ、各距離測定センサの生産コストを抑えること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る移動体周辺監視システムの構成図。
【図2】上記システムの電気的ブロック図。
【図3】上記システムの各距離測定センサに割り当てられる掃引パターンを示す図。
【図4】(a)(b)は従来の距離測定センサにおいて障害物がセンサに近過ぎるときとセンサから遠過ぎるときの定在波パワー信号波形を示す図。
【図5】上記定在波パワー信号の周波数と障害物までの距離との関係を示す図。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る移動体周辺監視システムの電気的ブロック図。
【図7】従来及び本発明の定在波方式による距離測定原理を説明するための図。
【図8】上記方式において送信波の周波数が上昇したときの任意の地点の定在波パワー変動を示す図。
【図9】従来及び本発明のFM−CW方式による距離測定原理を説明するための図。
【図10】上記方式における送信波と反射波との合成波形図。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明の第1の実施形態に係る移動体周辺監視システム(以下、監視システムという)
について図面を参照して説明する。図1は、本実施形態に係る監視システムの構成を示す
。この監視システム1は、車両C(移動体)周辺に在る障害物を検知する8個の距離測定
センサ2と、各距離測定センサ2を制御するセンサ制御装置4(センサ制御部)と、各距
離測定センサ2による検知結果を表示又は音声により報知する報知装置5とを備え、車両
Cに搭載されている。距離測定センサ2の個数は上記に限定されない。
【0036】
各距離測定センサ2は、上記の定在波方式により、周波数掃引した送信波を放射し、そ
の送信波が障害物で反射した反射波を受信し、送信波と反射波とを基に、障害物の存在を
検知し、さらに、距離測定センサ2から障害物までの距離を測定する。
【0037】
距離測定センサ2は、車両Cの前端右角部から前端左角部に掛けて略等間隔に4個、取
り付けられ、また、車両Cの後端右角部から後端左角部に掛けて略等間隔に4個、取り付
けられている。車両Cにおける距離測定センサ2の取付位置、すなわち、物理的な位置は
、上記のように予め取り決められているが、、これに限定されない。以下、各距離測定セ
ンサ2を、上記の取付位置順に、距離測定センサ2A、2B、2C、2D、2E、2F、
2G、2Hという。
【0038】
センサ制御装置4は、各距離測定センサ2に、その距離測定センサ2の取付位置に応じ
て、その距離測定センサ2による距離測定範囲を設定する。この設定処理においては、例
えば、車両Cの前後の各コーナにそれぞれ配置された距離測定センサ2A、2D、2E、
2Hに、センサに一番近くて狭い距離測定範囲A1が設定される。そして、車両Cの前端
中央付近に配置された距離測定センサ2B、2Cには、距離測定範囲A1よりもセンサか
ら遠くて広い距離測定範囲A2が設定される。また、車両Cの後端中央付近に配置された
距離測定センサ2F、2Gには、距離測定範囲A2よりもセンサから遠くて広い距離測定
範囲A3が設定される。距離測定範囲A1、A2、A3において、距離測定センサ2から
最も離れた位置までの距離(以下、最大測定距離という)は、それぞれ、例えば、略0.
5、1.0、1.5[m]であるが、これらに限定されない。
【0039】
センサ制御装置4は、各距離測定センサ2の距離測定範囲に対応した周波数掃引幅の掃
引パターンを、その距離測定センサ2に割り当て、その割り当てられた掃引パターンに従
って送信周波数を掃引させる。
【0040】
センサ制御装置4は、距離測定センサ2に給電する給電系統と、距離測定センサ2と通
信するため通信系統とを、それぞれ、2系統有する。給電系統と通信系統とは1系統ずつ
組み合わされて1組の給電通信系統を構成する。距離測定センサ2A、2B、2C、2D
は、一方の給電通信系統に、センサ制御装置4の側から、この順で挿入配置されている。
距離測定センサ2E、2F、2G、2Hは、他方の給電通信系統に、センサ制御装置4の
側から、この順で挿入配置されている。距離測定センサ2の電気的な配置構成は上記のよ
うに予め取り決められているが、これに限定されない。センサ制御装置4及び報知装置5
は、それぞれ、車両CのECU(Engine Control Unit)及びメータパネルと兼用される
ものであってもよい。
【0041】
次に、距離測定センサ2、センサ制御装置4、及び報知装置5の構成について、上記図
1に加えて、図2を参照して説明する。図2は、監視システム1の電気的構成を示す。
【0042】
各距離測定センサ2は、信号源20と、周波数制御回路21と、送受信回路22と、通
信回路23とを備える。周波数制御回路21は、信号源20の発振周波数を掃引する。送
受信回路22は、上記発振周波数に対応した周波数、具体的には、発振周波数と同じ周波
数を有するレーダ波又は超音波である送信波Wを放射する。また、送受信回路22は、
送信波Wが障害物Bにより反射されて生じた反射波Wを受信する。通信回路23は、
センサ制御装置4及び他の距離測定センサ2と通信可能な構成を有する。通信回路23は
、センサ制御装置4から送信される掃引パターン情報を周波数制御回路21に転送する。
【0043】
また、各距離測定センサ2は、パワー検出回路24と、時間軸変換回路25と、増幅回
路26と、周波数成分分析回路(以下、分析回路という)27と、距離算出回路28と、
給電制御回路29とをさらに備える。パワー検出回路24は、送信波Wと反射波W
の合成波である定在波のパワーを検出する。時間軸変換回路25は、パワー検出回路24
による検出信号の時間軸を圧縮又は伸長する。増幅回路26は、時間軸変換回路25によ
り時間的に圧縮又は伸長された検出信号を増幅し、分析回路27は、増幅回路26により
増幅された検出信号の周波数成分を分析する。距離算出回路28は、分析回路27による
分析結果から障害物Bの存在を検知し、かつ、障害物Bまでの距離dを算出する。給電制
御回路29は、センサ制御装置4から各回路への給電と、他の距離測定センサ2への給電
とを制御する。
【0044】
信号源20は、例えば電圧制御発振回路等により構成され、周波数制御回路21から信
号源20に入力される電圧に対応した周波数で発振し、その発振周波数を有した信号を送
受信回路22に出力する。
【0045】
周波数制御回路21(周波数掃引部)は、センサ制御装置4から送信される掃引パター
ン情報に従って上記発振周波数を掃引する。周波数制御回路21は、信号源20への入力
電圧を掃引することにより、上記発振周波数を掃引する。この発振周波数の掃引により、
送信波Wの周波数(以下、送信周波数という)が掃引される。上記掃引パターン情報は
、センサ制御装置4から距離測定センサ2に割り当てられた掃引パターンを示す。この掃
引パターンには、発振周波数の掃引幅(以下、周波数掃引幅という)、掃引期間、及び、
掃引方向が設定されている。掃引方向は、周波数を上昇させる上昇方向であっても、又は
周波数を下降させる下降方向であってもよい。
【0046】
周波数制御回路21は、上記掃引パターン情報の受信をトリガとして周波数掃引を開始
する。周波数制御回路21は、上記掃引期間の間に、周波数掃引における発振周波数の下
限値から、その下限値に上記周波数掃引幅を加えた上限値までの範囲で、発振周波数を一
定の周波数間隔で上昇/下降掃引する。上記の下限値は予め設定されている。また、周波
数制御回路21は、各周波数毎に、その周波数期間を一定期間だけ保持する(以下、この
期間を保持期間という)。このようにして、周波数制御回路21は、上記発振周波数を階
段状に変調する。上記保持期間は、送受信回路22と障害物Bとの間のレーダ波又は超音
波による往復時間よりも長く設定されており、その保持期間毎に、周波数の異なる定在波
が発生する。
【0047】
送受信回路22(送信部、受信部)は、パッチアンテナ等により構成される。送受信回
路22は、周波数制御回路21により周波数掃引された発振周波数と同じ周波数の送信波
を放射する。また、送受信回路22は、送信波Wが障害物Bにより反射されて生じ
た反射波Wを受信する。信号源20と送受信回路22とは、送信波W及び反射波W
を伝搬するマクロストリップ線路等の信号伝送線路30により電気的に結ばれている。な
お、反射波Wは微弱であるので、反射波Wが信号源20の信号発振に与える影響等は
無視するものとする。
【0048】
通信回路23は、自センサの識別情報を格納するためのメモリを有する。通信回路23
は、センサ制御装置4からの掃引パターン情報に付加された距離測定センサ2の識別情報
と、上記メモリに格納される識別情報とを比較し、それらが一致しているとき、上記の掃
引パターン情報は自センサに割り当てられたと判断し、その掃引パターン情報を周波数制
御回路21に転送する。また、通信回路23は、距離算出回路28により検知された障害
物Bの存在、及び障害物Bまでの距離dに関する情報(以下、検知情報という)をセンサ
制御装置4に送出する。
【0049】
パワー検出回路24(検出部)は、信号伝送線路30中の特定地点における定在波のパ
ワーを検出するダイオード等により構成される。パワー検出回路24による検出信号は、
上記定在波パワー信号に相当し、送信周波数が掃引されると、検出値が周期的に変動する

【0050】
ところで、周波数掃引幅が同じであっても、掃引期間が変われば、すなわち、掃引速度
が異なれば、定在波パワー信号の周波数が変わる(上記図7参照)。従って、掃引期間を
考慮した補正を行うことなく、定在波パワー信号の周波数から単純に距離dを算出すると
、距離dは不正確な値になる。そのため、定在波パワー信号の時間軸を、掃引期間に応じ
た圧縮/伸長率で圧縮又は伸長し、掃引期間が基準掃引期間であるときの時間軸に変換す
る補正が必要になる。
【0051】
そこで、時間軸変換回路25は、周波数制御回路21から、掃引パターンの掃引期間の
情報を取得し、その掃引期間に応じた圧縮/伸長率で、上記検出信号を時間軸方向に圧縮
/伸長し、これにより、上記補正を行う。この補正においては、基準掃引期間に対する上
記掃引期間の比を求め、その比の逆数を上記圧縮/伸長率とする。
【0052】
増幅回路26は、時間軸変換回路25により時間軸変換された検出信号の波高値が分析
回路27による分解能に応じた値になるように当該検出信号を増幅する。
【0053】
分析回路27(周波数成分分析部)は、増幅回路26により増幅された検出信号をサン
プリングし、符号化し、高速フーリエ変換(FFT)することにより、検出信号の周波数
スペクトルを計測する(検出信号の上記発振周波数に対する変動周波数を計測する)。
【0054】
距離算出回路28(距離算出部)は、分析回路27により計測された周波数スペクトル
においてピーク周波数の有無を検知し、ピーク周波数が無ければ、障害物Bは車両周辺に
無いと判定する。距離算出回路28は、ピーク周波数が在れば、障害物Bが車両周辺に在
ると判定し、上記ピーク周波数を基に、距離測定センサ2から障害物Bまでの距離dを算
出する。この算出処理においては、上記式(3)のf、ΔF、τに、それぞれ、上記ピ
ーク周波数、上記掃引パターンの周波数掃引幅、上記基準掃引期間が代入され、距離dが
算出される。なお、上記周波数掃引幅の情報は周波数制御回路21から得られる。
【0055】
センサ制御装置4は、掃引パターン記憶回路41と、制御回路42と、制御回路42と
各距離測定センサ2及び報知装置5との間の通信を行う通信回路43と、距離測定センサ
2に給電する給電回路44とを有する。掃引パターン記憶回路41は、各距離測定センサ
2による距離測定範囲に対応した掃引パターンを予め記憶している。これらの掃引パター
ンは、上記距離測定範囲に対応した周波数掃引幅を有する。
【0056】
ところで、車両Cにおける距離測定センサ2の物理的な位置と電気的な配置構成とは上
記図1に示すように予め取り決められている。従って、各距離測定センサ2について、そ
の距離測定センサ2が接続されている給電通信系統と、その給電通信系統におけるセンサ
制御装置4側からの順番とが特定できれば、各距離測定センサ2の取付位置を把握するこ
とができる。
【0057】
後述するが、制御回路42は、初期設定において、各距離測定センサ2に上記の給電通
信系統と順番とに応じた識別情報をそれぞれ付与するので、識別情報の特定により距離測
定センサ2の取付位置を特定する。
【0058】
制御回路42は、各距離測定センサ2に、その距離測定センサ2の車両Cへの取付位置
に応じた距離測定範囲を設定する。そして、制御回路42は、各距離測定センサ2に、そ
の距離測定センサ2に設定した距離測定範囲に対応する掃引幅の掃引パターンの情報を送
信し、割り当てる。送信先の設定は、各掃引パターン情報に、その掃引パターンを送りた
い距離測定センサ2の識別情報を付加することにより行われる。
【0059】
制御回路42は、距離測定センサ2に割り当てられた掃引パターンの掃引幅が広い順に
、その距離測定センサ2の周波数制御回路21に上記発振周波数を掃引させる。この掃引
処理は、掃引パターンの掃引幅が広い順に、掃引パターン情報を距離測定センサ2に配信
することにより、実施される。また、制御回路42は、各距離測定センサ2の初期設定、
距離測定センサ2から出力される検知情報の報知装置5への転送、及び給電回路44の給
電制御を行う。
【0060】
報知装置5は、液晶ディスプレイ等の表示器51と、その表示器を駆動する表示駆動回
路52と、スピーカ53と、スピーカ駆動回路54と、表示駆動回路52及びスピーカ駆
動回路54を制御する制御回路55と、通信回路56とを有する。制御回路55は、各距
離測定センサ2により検知された障害物Bの存在及び/又は障害物Bまでの距離dを、表
示駆動回路52を用いて表示器51に表示させ、スピーカ駆動回路54を用いてスピーカ
53から音声で報知する。通信回路56は、制御回路55とセンサ制御装置4との間の通
信を行う。
【0061】
次に、監視システム1における各距離測定センサ2の初期設定について説明する。各距
離測定センサ2は各給電通信系統に沿って1個ずつ初期設定されるので、代表して、距離
測定センサ2Aが接続された給電通信系統に沿った初期設定について述べる。
【0062】
センサ制御装置4の給電回路44は距離測定センサ2Aの給電制御回路29への給電を
開始し、この給電開始後に、センサ制御装置4の制御回路42は距離測定センサ2Aに識
別情報を送信する。この識別情報は、距離測定センサ2Aが属する給電通信系統と、その
給電通信系統における距離測定センサ2Aのセンサ制御装置4側からの順番とに応じて制
御回路42により設定されている。
【0063】
上記の識別情報を受信した、距離測定センサ2Aの通信回路23は、通信回路23のメ
モリに識別情報が既に格納済みかどうかを判断する。この場合、初期設定のため上記メモ
リには識別情報が格納されておらず、従って、通信回路23は、上記の受信した識別情報
をメモリに格納し、識別情報の設定完了を制御回路42に通知する。距離測定センサ2A
の給電制御回路29は、上記通知時に、給電通信系統において後段である距離測定センサ
2Bへの給電を開始する。
【0064】
制御回路42は、通信回路23から上記の通知を受けた後、距離測定センサ2Bの識別
情報を送信する。この識別情報を受信した、距離測定センサ2Bの通信回路23は、距離
測定センサ2Aの通信回路23の上記処理と同等の処理を実行し、上記識別信号を自セン
サの識別情報として設定する。距離測定センサ2Aの通信回路23は、距離測定センサ2
Bの識別情報を受信したとき、自センサの通信回路23のメモリに識別情報が既に格納済
みかどうかを判断するが、既にメモリに識別情報が格納されているので、距離測定センサ
2Bの識別情報を破棄する。上記のような識別情報の設定処理が繰り返され、距離測定セ
ンサ2C、2Dにも個別の識別情報が設定される。
【0065】
次に、センサ制御装置4が記憶している3種類の掃引パターンについて上記図1に加え
て、新たに図3を参照して説明する。図3は、上記3種類の掃引パターンを示す。3種類
の掃引パターンP1、P2、P3は、それぞれ、距離測定範囲A1、A2、A3(上記図
1参照)に対応した周波数掃引幅ΔF、ΔF、ΔFを有する。
【0066】
距離測定範囲A1、A2、A3は、この順に、距離測定センサ2に近くて狭い(A1<
A2<A3)が、周波数掃引幅ΔF、ΔF、ΔFは、この順に広い(ΔF>ΔF
>ΔF)。周波数掃引幅ΔF、ΔF、ΔFの互いの比率は、例えば、距離測定
範囲A1、A2、A3の互いの比率の逆数とする。従って、例えば、距離測定範囲A1、
A2、A3の最大測定距離が、それぞれ、0.5、1.0、1.5[m]であれば、周波
数掃引幅ΔF、ΔFは、周波数掃引幅ΔFを基準として表すと、それぞれ、ΔF
/2、ΔF/3になる。
【0067】
各掃引パターンP1、P2、P3の掃引期間は、それぞれ、一定の掃引期間τであり、
互いに等しい。従って、各掃引パターンP1、P2、P3は、この順で、掃引の速さ(絶
対値)が速い。
【0068】
本実施形態の監視システム1においては、各距離測定センサ2に、その取付位置に応じ
て距離測定範囲が設定され、各距離測定センサ2は、その距離測定範囲に対応する周波数
掃引幅の掃引パターンに従って信号源20の発振周波数を掃引する。これにより、各距離
測定センサ2により、各距離測定センサ2の取付位置に応じた夫々の距離測定範囲で、高
精度に障害物Bまでの距離dを測定することができる。しかも、上記掃引パターンはセン
サ制御装置4が記憶しているので、各距離測定センサ2はその構成を共通化することがで
き、各距離測定センサ2の生産コストを抑えることができる。従って、監視システム1の
製造コストを低減することができる。
【0069】
また、各距離測定センサ2の周波数制御回路21は、割り当てられた掃引パターンの掃
引幅が広い順に、上記発振周波数を掃引するので、近い距離測定範囲が設定された距離測
定センサ2から優先的に距離測定を開始することができる。従って、車両Cの近距離の障
害物Bの存在を素早く検知して、報知装置4から報知することができる。そのため、ユー
ザが近距離の障害物Bを認知するまでの期間を短くすることができ、車両Cと障害物Bと
の衝突の可能性を低くすることができる。
【0070】
ところで、従来においては、障害物が距離測定センサの直近に在るときに、図4(a)
に示されるように、定在波のパワー信号(本実施形態においては、パワー検出回路24に
よる検出信号に相当)の周波数fが低くなり過ぎて、分析回路によるサンプリング処理
期間に、定在波パワー信号を1波長以上、サンプリングすることができないことがあった
。そのため、周波数fを正確に求められないことがあった。
【0071】
他方、障害物が距離測定センサの遠方に在るときに、図4(b)に示されるように、周
波数fが高くなり過ぎて、分析回路によるサンプリング周波数の1/2以上になること
があった。そのため、ナイキストのサンプリング定理が満たされず、エイリアシングが発
生し、周波数fの高精度な算出が困難なことがあった。
【0072】
すなわち、図5に示されるように、障害物までの距離が、上記分析回路等により分析可
能な周波数範囲に対応した距離範囲よりも長く/短くなると、上記の距離に応じた周波数
の定在波パワー信号が得られたとしても、その定在波パワー信号の周波数を検出すること
ができず、従って、距離測定が困難であった。
【0073】
そこで、上記要望に応えるため、上記分析回路において、上記サンプリング処理期間を
長くし、かつ、上記サンプリング周波数を高くすることが考えられるが、サンプリング処
理期間が長くなると、測定に要する期間が長くなってしまう。また、サンプリング周波数
が高周波になると、計算量が膨大になって計算時間が長くなり、測定期間が長くなるので
、それを防ぐには、高速度の演算が可能な高性能な分析回路が必要になり、製造コストが
上がってしまう。
【0074】
しかしながら、本実施形態においては、いずれの距離測定センサ2が、その距離測定セ
ンサ2に設定された距離測定範囲内で障害物Bを検知したとしても、距離dに比例する、
パワー検出回路24による検出信号の周波数を、分析回路27による分析が可能な周波数
範囲内に収めることができる。従って、距離測定センサ2に設定可能な測定距離範囲を近
距離側にも遠距離側にも拡げることができる。しかも、近距離側の測定範囲を拡げるため
に低周波の上記検出信号に対応して分析回路27の処理期間を延ばさなくて済むので、測
定期間の延長を防ぐことができる。また、遠距離側の測定範囲を拡げるために高周波の上
記検出信号に対応して分析回路27を高速度の演算が可能な高性能なものにしなくて済み
、また、増幅回路26は高周波対応のものにしなくて済むので、製造コストを抑えること
ができる。
【0075】
次に、本発明の第2の実施形態に係る監視システムについて図面を参照して説明する。
本実施形態の監視システムは、上記第1の実施形態と同様に、車両に適用可能である。
【0076】
図6は、第2の実施形態に係る監視システムの電気的構成を示す。同図において、上記
第1の実施形態と同等の電気的ブロック構成には同一の符号を付す。本実施形態の監視シ
ステム1は、センサ制御装置4と、報知装置5と、上記第1の実施形態の距離測定センサ
2に対応する距離測定センサ6(距離測定センサ6A、6B等の総称)とを備える。距離
測定センサ6は、車両周辺の障害物Bの有無と、距離測定センサ6から障害物Bまでの距
離dとをFM−CW方式により検知する。
【0077】
距離測定センサ6は、信号源60と、周波数制御回路61と、送受信回路62と、通信
回路63と、ビート信号成分検出回路(以下、ビート検出回路という)64と、増幅回路
65と、周波数成分分析回路(以下、分析回路という)66と、距離算出回路67と、給
電制御回路68と、信号伝送線路69とを備える。
【0078】
信号源60、送受信回路62(送信部、受信部)、通信回路63、給電制御回路68、
及び信号伝送線路69は、それぞれ、上記第1の実施形態の信号源20、送受信回路22
、通信回路23、給電制御回路29、及び信号伝送線路30と同等の構成である。
【0079】
周波数制御回路61(周波数掃引部)は、センサ制御装置4から送信される掃引パター
ン情報に従って、信号源60の発振周波数を掃引する。この掃引パターンには、発振周波
数の掃引幅(以下、周波数掃引幅という)、掃引期間、及び、掃引方向が設定されている
。周波数制御回路61は、上記掃引期間の間に、予め設定された下限値から、その下限値
に上記周波数掃引幅を加えた上限値までの範囲で、発振周波数を連続して上昇/下降掃引
する。この掃引処理により、送信周波数は、鋸波状に変調される。この変調により、送信
波Wと反射波Wとの合成波形は上記図10に示す波形となり、合成波はビート信号を
含む。
【0080】
ビート検出回路64(検出部)は、信号伝送線路69中の特定地点における上記合成波
の振幅変化を検出し(すなわち、合成波を包絡線検波し)、その合成波からビート信号を
抽出する包絡線検波回路等により構成される。
【0081】
増幅回路65と分析回路66(周波数成分分析部)とは、それぞれ、上記第1の実施形
態の増幅回路26と分析回路27とによる定在波パワー検出信号への処理を上記ビート信
号に施す。
【0082】
距離算出回路67(距離算出部)は、分析回路66により計測された周波数スペクトル
においてピーク周波数(ビート周波数)の有無を検知し、ピーク周波数が無ければ、障害
物Bは車両周辺に無いと判定する。距離算出回路67は、ピーク周波数が在れば、障害物
Bが車両周辺に在ると判定し、上記ピーク周波数を基に、距離測定センサ6から障害物B
までの距離dを算出する。この算出処理においては、上記式(5)のf、ΔF、τに、
それぞれ、上記ピーク周波数、上記掃引パターンの周波数掃引幅、掃引期間が代入され、
距離dが算出される。なお、上記周波数掃引幅及び掃引期間の情報は周波数制御回路61
から得られる。
【0083】
本実施形態の距離測定センサ6においても、上記第1の実施形態と同等の各種効果を奏
することができる。
【0084】
なお、本発明は、上記の第1及び第2の実施形態の構成に限定されるものでなく、使用
目的に応じ、様々な変形が可能である。例えば、周波数制御回路21又は周波数制御回路
61による発振周波数の掃引処理において、任意の発振周波数を周波数掃引幅の中心又は
上限とし、この中心又は上限の発振周波数を基準に発振周波数を掃引してもよい。また、
送受信回路22はホーンアンテナにより構成され、信号伝送線路30の代わりとして導波
管が用いられ、パワー検出回路24が方向性結合器により構成されていても構わない。ま
た、各距離測定センサ2、6の距離算出回路28、67は、一元化されてセンサ制御装置
4に設けられていてもよい。また、上記第2の実施形態において、信号源60の発振周波
数を上昇掃引し、さらに下降掃引することにより、三角波状に変調してもよい。
【符号の説明】
【0085】
1 移動体周辺監視システム
2、6 距離測定センサ
20、60 信号源
21、61 周波数制御回路(周波数掃引部)
22、62 送受信回路(送信部、受信部)
24 パワー検出回路(検出部)
27、66 周波数成分分析回路(周波数成分分析部)
28、67 距離算出回路(距離算出部)
64 ビート成分検出回路(検出部)
4 センサ制御装置(センサ制御部)
P1、P2、P3 掃引パターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
信号源の発振周波数を掃引する周波数掃引部と、前記周波数掃引部により掃引された発
振周波数に対応した周波数の送信波を放射する送信部と、前記送信波が移動体周辺に在る
障害物により反射されて生じた反射波を受信する受信部と、前記送信波と前記反射波との
合成波のパワー又は振幅を検出する検出部と、前記検出部による検出信号をサンプリング
して、その周波数成分を分析する周波数成分分析部と、前記周波数成分分析部による分析
結果に基づいて、前記障害物の有無を検知し、該障害物までの距離を算出する距離算出部
と、を有し、移動体に取り付けられる複数の距離測定センサと、
前記複数の距離測定センサを制御するセンサ制御部と、を備えた移動体周辺監視システ
ムにおいて、
前記センサ制御部は、前記距離測定センサの各々による距離測定範囲に対応した前記発
振周波数の掃引幅を有する掃引パターンを予め記憶しており、前記距離測定センサの各々
に、移動体への該距離測定センサの取付位置に応じて、該距離測定センサによる距離測定
範囲を設定し、該距離測定センサ毎に、その距離測定センサに設定した距離測定範囲に対
応する前記掃引幅の掃引パターンを割り当て、
前記距離測定センサの各々の周波数掃引部は、前記センサ制御部により該距離測定セン
サに割り当てられた掃引パターンに従って前記発振周波数を掃引することを特徴とする移
動体周辺監視システム。
【請求項2】
前記センサ制御部は、前記距離測定センサに割り当てられた掃引パターンの掃引幅が広
い順に、該距離測定センサの周波数掃引部に前記発振周波数を掃引させることを特徴とす
る請求項1に記載の移動体周辺監視システム。
【請求項3】
前記周波数掃引部は、前記発振周波数を階段状に変調し、
前記検出部は、前記合成波である定在波のパワーを検出し、
前記周波数成分分析部は、前記検出部による検出信号の前記発振周波数に対する変動周
波数を計測し、
前記距離算出部は、前記周波数成分分析部により計測された変動周波数に基づいて、障
害物の有無を検知し、該障害物までの距離を算出し、
定在波方式により距離測定を行うことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の移動
体周辺監視システム。
【請求項4】
前記周波数掃引部は、前記発振周波数を連続して掃引することにより、該発振周波数を
鋸波又は三角波状に変調し、
前記検出部は、前記合成波の振幅変化を検出することにより、該合成波に含まれるビー
ト信号を合成波から抽出し、
前記周波数成分分析部は、前記検出部により抽出されたビート信号のビート周波数を計
測し、
前記距離算出部は、前記周波数成分分析部により計測されたビート周波数に基づいて、
障害物の有無を検知し、該障害物までの距離を算出し、
FM−CW方式により距離測定を行うことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の
移動体周辺監視システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−232045(P2011−232045A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−99947(P2010−99947)
【出願日】平成22年4月23日(2010.4.23)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】