説明

移動体案内装置、ナビゲーション装置、移動体案内方法

【課題】駐車場などの施設検索のためのスイッチを常時表示することなく、容易な操作により施設を検索することができる移動体案内装置、ナビゲーション装置及び移動体案内方法を提供すること。
【解決手段】目的地周辺の道路地図を表示部20に表示する移動体案内装置100において、交通情報を受信する受信手段29と、交通情報に基づき駐車場毎に入庫待ち情報を作成する入庫待ち情報作成手段26と、入庫待ち情報に基づき車両が入庫待ち状態であることを検出する入庫待ち判定手段22と、車両の入庫待ち状態が検出された場合、施設検索要求の入力を可能にする施設検索アイコン13を表示部20に表示する出力制御手段21と、施設検索要求の入力を検出する入力制御手段22と、施設検索要求が入力された場合、目的地周辺の施設を検索する施設検索手段23と、を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、目的地まで移動体を案内する移動体案内装置等に関し、特に、目的地周辺で施設の検索手段を提供する移動体案内装置、ナビゲーション装置及び移動体案内方法に関する。
【背景技術】
【0002】
目的地付近の駐車場まで誘導する場合や駐車場を目的とした場合、駐車場で入庫待ちが発生している場合があるが、駐車場によっては入庫待ちする車両の道路区間が定められていることがある。このため、車両を入庫待ちのある駐車場に誘導する場合、定められた道路区間から進入しないと待機駐車列の末尾に加わることが困難となる。この点について、駐車場から提供される情報に基づき入庫待ちの車両が待機する道路区間を経由して駐車場へ至る経路を検索し、駐車場への入路を地図画面上に表示させて入路案内を行ったり、待機駐車列の末尾位置情報及び入庫待ち時間を表示する入場情報利用端末が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
このような入庫待ちに適切な情報が得られれば、車両の乗員は入庫待ち時間に応じて入庫待ちのない別の駐車場を検索したり、待機駐車列の末尾に加わったりする判断ができるようになる。しかしながら、情報が得られない場合、気づかないうちに待機駐車列に並んでしまうことがある。乗員は入庫待ちのない周囲の駐車場を検索することができるが、新たな目的地の検索には検索条件の入力など操作が面倒な場合が多い。
【0004】
この点について、施設をいくつかのグループに分けておき、ディスプレイ上のスイッチを操作することで、車両の周辺にある選択されたグループの施設を検索する目的地案内装置が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。駐車場のグループを選択して検索すれば、車両の周囲の駐車場を検索することができる。
【特許文献1】特開2005−339094号公報
【特許文献2】特開平7−55483号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献2記載の目的地案内装置では、常にディスプレイ上にスイッチを形成するためスイッチを操作する状況以外ではそのための画面スペースが無駄となってしまうという問題がある。また、特許文献2には、「規定場所の近傍に到着したら自動的に起動させ」駐車場を検索するとの記載もあるが、これでは乗員が望んでいないのに目的地の近傍に到着すると周囲の駐車場が検索されてしまうという問題がある、
本発明は、上記課題に応じて、駐車場などの施設検索のためのスイッチを常時表示することなく、容易な操作により施設を検索することができる移動体案内装置、ナビゲーション装置及び移動体案内方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題に鑑み、本発明は、目的地周辺の道路地図を表示部に表示する移動体案内装置において、交通情報を受信する受信手段と、交通情報に基づき駐車場毎に入庫待ち情報を作成する入庫待ち情報作成手段と、入庫待ち情報に基づき車両が入庫待ち状態であることを検出する入庫待ち判定手段と、車両の入庫待ち状態が検出された場合、施設検索要求の入力を可能にする施設検索アイコンを表示部に表示する出力制御手段と、を有することを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、入庫待ちが検出された場合にのみ施設検索アイコンが表示されるので、入庫待ちに加わるまでは画面スペースを有効に活用できる。
【0008】
また、本発明の一形態において、目的地が設定されている場合、入庫待ち判定手段は、車速が所定以下であって、かつ、目的地までの距離が入庫待ち情報が含む待機駐車列の長さよりも短い場合、車両が入庫待ち状態であることを検出する、ことを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、目的地が設定されている場合、目的地までの距離と待機駐車列の長さから入庫待ち状態であることを検出できる。
【0010】
また、本発明の一形態において、目的地が設定されていない場合、入庫待ち判定手段は、車速が所定以下であって、入庫待ち情報が含む待機駐車列の長さ以内で、かつ、入庫待ち情報が含む待機駐車列の道路識別情報に一致する道路に車両が存在する場合、入庫待ち状態であることを検出する、ことを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、待機駐車列の長さ及び道路識別情報から、目的地が設定されていなくても入庫待ち状態であることを検出できる。
【発明の効果】
【0012】
駐車場などの施設検索のためのスイッチを常時表示することなく、容易な操作により施設を検索することができる移動体案内装置、ナビゲーション装置及び移動体案内方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態の経路案内装置100が表示部20に表示する道路地図の一例を示す。車両11が、駐車場12に駐車するため待機駐車列の末尾に加わると、経路案内装置100は入庫待ちの渋滞が発生したことを検出する。そして、表示部20に駐車場検索ボタン13を表示する。駐車場検索ボタン13は、車両11が入庫待ち隊列に加わった場合のみ表示されるので、走行時等には表示されず画面スペースを有効に活用できる。また、駐車場検索ボタン13は、周囲の駐車場を検索するためのボタンであるので、新たに目的地の検索条件を入力しなくても車両11の周囲の駐車場が表示されるので操作性が向上する。
【0014】
なお、本実施例では施設として駐車場を検索する例を説明するが、駐車場でなく又は駐車場と共に他の施設の検索ボタンを表示してもよい。他の施設は、例えば、娯楽施設、店舗等、好ましくは駐車場を備えた施設であって、どのような施設の検索ボタンを表示するかは乗員が予め設定しておくことができる。
【0015】
図2は、経路案内装置100の機能ブロック図を示す。経路案内装置100はCPU、ROM、RAM、不揮発メモリ、車内LAN通信部及び入出力インターフェイス等を有するコンピュータにより制御され、CPUがプログラムを実行したり、センサーやASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のハードウェアにより実現される、各機能を実現する。
【0016】
サーバ200は通信網103を介して交通情報を車両11に配信する。サーバ200は随時更新される、例えばプローブ交通情報やVICS(Vehicle Information and Communication System)交通情報を記憶している。車両11はサーバ200にアクセスすることで、道路の混雑状況、渋滞区間、リンク旅行時間等の交通情報を受信することができる。
【0017】
通信部29は、携帯電話の基地局102や無線LAN等のアクセスポイントに接続してサーバ200と通信し、種々の情報を送受信する。例えば、通信部29から車速情報及び位置情報等(以下、プローブ情報という)をサーバ200に送信し、サーバ200から交通情報を受信する。なお、通信部29が通信する通信先は、サーバ200でなくてもよく、例えば駐車場12に設けられた路側装置と通信して(路車間通信)、交通情報を受信してもよい。また、待機駐車列の車両と例えばリレー通信して(車車間通信)、先頭車両の位置情報(先頭車両が駐車場12の入庫待ちをしていること及び先頭車両までの距離が検出可能となる)等を受信してもよい。
【0018】
通信制御部28は通信部29の通信を制御し、例えば、所定時間毎又は不定期に車両11の車速情報及び位置情報を収集して通信部29からプローブ情報をサーバ200に送信したり、サーバ200から受信した交通情報を入庫待ち情報作成部26に送出する。
【0019】
自車位置検出部25は、GPS受信機や車速、及び、ジャイロセンサが検出する信号に基づき車両11の位置(緯度・経度・標高)を決定する。GPS受信機は、地球の周りを周回する好ましくは4つ以上のGPS衛星を捕捉して、各GPS衛星からの電波の到達時間に基づき位置を検出する。さらに、位置の知られた地上の基準局からFM放送の電波を受信して高精度に位置を決定してもよい。自車位置検出部25は、GPS受信機が検出した位置を基準に、車速情報により検出される走行距離を、ジャイロセンサが検出する走行方向に累積して、車両11の位置を高精度に推定する。地図データ記憶部27に記憶された道路地図に車両11の位置をマッピングしてさらに車両11の位置を補正してもよい。なお、GPS受信機があれば位置情報を検出可能であるので、車速情報又は走行方向を用いずに位置情報を検出してもよい。
【0020】
地図データ記憶部27は、実際の道路網に対応したノード(例えば交差点、道路を所定間隔で区切った点)情報と、リンク(ノードとノードを接続する道路)情報とを対応づけたテーブル状の道路地図情報を記憶したデータベースである。したがって、ノードとリンクを辿ることで道路網を形成できる。なお、地図データ記憶部27は、駐車場12やその周辺の駐車場の駐車場情報、その他、ガソリンスタンドや公共施設などのポイント情報が記憶されている。地図データ記憶部27に記憶される道路地図情報は、経路案内装置100の出荷時に記憶された状態であってもよいし、経路案内装置100が車両11に搭載された後に、その一部又は全部を所定のサーバからダウンロードして記憶してもよい。
【0021】
入庫待ち情報作成部26は、次の入庫待ち情報を作成する。
A)駐車場毎に待機駐車列の平均距離(駐車場12から待機駐車列の末尾までの平均距離)
B)駐車場毎に待機駐車列の道路識別情報
待機駐車列の末尾の車両(プローブカー)の位置は時間と共に変動し、また、プローブ情報を送信するタイミングの時に待機駐車列の末尾を走行しているとは限らないので、サーバ200が待機駐車列の末尾の位置を固定的に検出することは困難である。入庫待ち情報作成部26は、サーバ200から受信した交通情報のうち、例えば渋滞の末尾の位置情報をいくつか平均して待機駐車列の平均距離を算出し、また、例えば平均車速が所定未満に落ち込む道路(リンク)を待機駐車列の末尾とし駐車場12からこの道路までの距離を待機駐車列の平均距離とする。
【0022】
また、入庫待ち情報作成部26は「A)待機駐車列の平均距離」内にある道路の道路識別情報(リンク番号又はVICSリンク番号等)を交通情報から抽出する。交通情報が含む道路の道路識別情報に基づき、地図データ記憶部27に記憶された道路地図情報から道路識別情報を抽出してもよい。
【0023】
入庫待ち判定部22は、自車位置検出部25が検出した位置情報と、入庫待ち情報作成部26が作成した入庫待ち情報から、車両11が待機駐車列に加わったか否かを判定する。具体的には、「A)待機駐車列の平均距離」内で「B)待機駐車列の道路識別情報」が示す道路を走行している場合に、入庫待ち判定部22は車両11が待機駐車列に加わったと判定する。入庫待ちの判定について詳しくは後述する。
【0024】
施設検索部23は入出力制御部21から図1の駐車場検索ボタン13が操作された場合に、車両11の周辺の駐車場を検索する。周辺とは、車両11の例えば半径500m内であるが、半径500m内に存在しない場合はさらに検索範囲を広げて駐車場を検索する。
【0025】
そして、入出力制御部21が、検索した駐車場までの経路を検索する乗員の操作を検出した場合、経路検索部24は車両11の現在の位置から乗員が選択した駐車場までの経路を検索する。
【0026】
表示部20は、液晶ディスプレイやヘッドアップディスプレイ等であり、図1に示した道路地図、操作メニュー、メッセージ及びテレビ等の映像を表示するために用いられる。なお、経路案内装置100は、注意喚起のための音声メッセージや例えば交差点の手前で表示部20に表示される経路と同期して右左折等を指示する音声メッセージを出力するスピーカを有する。
【0027】
入出力制御部21は、表示部20に対し種々の表示情報の出力を要求し、また、表示部20に形成されたタッチパネルの操作位置に基づき、乗員から入力された操作情報を検出する。なお、入出力制御部21は表示部20のタッチパネルだけでなく、押しボタン式のキーボードや乗員の発した音声を入力する音声認識装置から入力された操作情報を検出する。
【0028】
本実施形態の入出力制御部21は駐車場検索ボタン13を表示部20に表示する。例えば、駐車場検索ボタン13が形成された表示レイヤーを表示部20に新たに重畳して表示する。駐車場検索ボタン13はアイコンの一態様であって、図1に示したように「駐車場検索」という文字を含んでいてもよいし、例えば駐車場を表す「P」等のマークであってもよい。乗員の注意を喚起すべく点滅させて表示させてもよい。また、駐車場検索ボタン13の表示と共に「駐車場を再検索できます」等の音声メッセージをスピーカから出力してもよく、ブザー音を出力してもよい。
【0029】
表示部20はタッチパネルを備えるので、乗員が駐車場検索ボタン13に触れると入出力制御部21はそれを検出する。表示部20に直接触れるのでなく、カーソルやポインティングデバイスで駐車場検索ボタン13を選択して操作してもよいし、「駐車場検索」という乗員の発声を検出して音声入力により駐車場検索ボタン13を操作してもよい。
【0030】
〔入庫待ち状態の判定方法〕
入庫待ち状態の判定方法について詳細に説明する。入庫待ち状態の判定方法は、経路案内装置100に目的地が設定されている場合と、目的地が設定されていない場合とで異なるので、それぞれを説明する。
【0031】
<目的地が設定されている場合>
図3(a)は経路案内装置100に目的地が設定されている場合に入庫待ち状態か否かを判定する手順を示すフローチャート図である。図3(a)の手順は、駐車場検索ボタン13が表示部20に表示されていない場合に所定のサイクル時間毎に繰り返し実行される。
【0032】
入庫待ち判定部22は、車速が所定以下の状態が所定距離以上継続しているか否かを判定する(S110)。車速が所定以下とは、入庫待ちにより生じる低速走行時の車速であり、例えば5〔Km/h〕以下である。また、所定距離以上とは、信号待ちや右折待ちでなく、入庫待ちしていると判定してよい距離であり例えば300〔m〕である。車速が所定以下の状態が所定距離以上継続するまでは(S110のNo)、図3(a)の手順がサイクル時間毎に繰り返し実行される。
【0033】
車速が所定以下の状態が所定距離以上継続している場合(S110のYes)、入庫待ち判定部22は、駐車場12までの残距離がX〔m〕以内であるか否かを判定する(S120)。このX〔m〕は「A)待機駐車列の平均距離」である。したがって、入庫待ち判定部22は、自車位置検出部25が検出した位置情報に基づき、設定されている目的地(駐車場12)までの道なりの距離を算出し、この距離がX〔m〕以内か否かを判定する。車両11がX〔m〕以内に存在する場合、駐車場12の待機駐車列に加わっていると判定してよい。
【0034】
駐車場12までの残距離がX〔m〕以内でない場合(S120のNo)、入庫待ち判定部22はまだ待機駐車列に到達していない(例えば、別の渋滞に巻き込まれた)と判定し、図3(a)の手順をサイクル時間毎に繰り返し実行する。
【0035】
駐車場12までの残距離がX〔m〕以内である場合(S120のYes)、入庫待ち判定部22は入庫待ち状態であると判定し、入出力制御部21は表示部20に駐車場検索ボタン13を表示する(S130)。これにより、図1に示したようにそれまで表示していた道路地図に駐車場検索ボタン13が形成される。駐車場検索ボタン13の位置は入出力制御部21にとって既知なので、乗員が表示部20に触れるとその位置から駐車場検索ボタン13の操作を検出する。
【0036】
<目的地が設定されていない場合>
図3(b)は経路案内装置100に目的地が設定されていない場合に入庫待ち状態か否かを判定する手順を示すフローチャート図である。図3(b)の手順は、駐車場検索ボタン13が表示部20に表示されていない場合に所定のサイクル時間毎に繰り返し実行される。なお、図3(b)のステップS110、S130の処理は図3(a)と同じ内容であるため同じ符号を付した。
【0037】
入庫待ち判定部22は、車速が所定以下の状態が所定距離以上継続しているか否かを判定する(S110)。車速が所定以下とは、入庫待ちより生じる低速走行時の車速であり、例えば5〔Km/h〕以下である。また、所定距離以上とは、信号待ちや右折待ちでなく、入庫待ちしていると判定してよい距離であり例えば300〔m〕である。車速が所定以下の状態が所定距離以上継続するまでは(S110のNo)、図3(a)の手順がサイクル時間毎に繰り返し実行される。
【0038】
車速が所定以下の状態が所定距離以上継続している場合(S110のYes)、入庫待ち判定部22は、現在位置から道なりに距離Y〔m〕内に入庫待ちのある駐車場12が存在するか否かを判定する(S210)。入庫待ち判定部22は、駐車場毎に「A)待機駐車列の平均距離」を作成しているので、距離Y〔m〕の待機駐車列を有する駐車場12が現在位置からY〔m〕以内にあるか否かを判定する。したがって、距離Y〔m〕は駐車場毎に異なる。
【0039】
駐車場12までの距離がY〔m〕以内でない場合(S210のNo)、入庫待ち判定部22はまだ待機駐車列に到達していない(例えば、別の渋滞に巻き込まれた)と判定し、図3(b)の手順をサイクル時間毎に繰り返し実行する。
【0040】
駐車場12までの距離がY〔m〕以内である場合(S210のYes)、入庫待ち判定部22は、現在の位置が「B)待機駐車列の道路識別情報」に一致するか否かを判定する(S220)。ステップS220は、駐車場12までの距離がY〔m〕以内であっても、待機駐車列の方向が定まっている場合に、待機駐車列に加わったか否かを検出するための判定である。
【0041】
図4は、現在走行している道路が「B)待機駐車列の道路識別情報」に一致するか否かの判定例を示す図である。車両11Aと11Bはいずれも駐車場12から道なりに距離Y〔m〕以内を走行しているが、駐車場12の入庫待ちをする車両は、図示する方向(車両11Aが走行している道路)に待機するよう定められている。このため、車両11Bが駐車場12から距離Y〔m〕以内を走行していても、車両11Bの経路案内装置100は入庫待ち状態であると判定すべきでない。
【0042】
「B)待機駐車列の道路識別情報」は図4の車両11Aが走行する道路を示すので、ステップS220の判定により、車両11Aは入庫待ち状態であると判定でき、車両11Bは入庫待ち状態でないと判定でき、それぞれ正確に入庫待ち状態か否かを判定することができる。
【0043】
現在の位置が「B)待機駐車列の道路識別情報」に一致する場合(S220のYes)、入出力制御部21は表示部20に駐車場検索ボタン13を表示する(S130)。これにより、図1に示したようにそれまで表示していた道路地図に駐車場検索ボタン13が形成される。駐車場検索ボタン13の位置は入出力制御部21にとって既知なので、乗員が表示部20に触れるその位置から駐車場検索ボタン13の操作情報を取得できる。
【0044】
したがって、経路案内装置100に目的地が設定されていなくても駐車場12の入庫待ち状態であることを精度よく検出し、駐車場検索ボタン13を表示することができる。
【0045】
<入庫待ち状態の判定の変形例(目的地が設定されている場合)>
図3(a)では、入庫待ち状態であると判定された場合に駐車場検索ボタン13を表示したが、目的地が設定されている場合、入庫待ち状態になる前に入庫待ち状態になることを予想して、駐車場検索ボタン13を表示することができる。これにより、入庫待ち状態になる前に駐車場検索ボタン13を表示し、目的地を変更することができる。
【0046】
図5は、経路案内装置に目的地が設定されている場合に入庫待ち状態か否かを判定する手順を示すフローチャート図の一例である。図5の手順は、駐車場検索ボタン13が表示部20に表示されていない場合に所定のサイクル時間毎に繰り返し実行される。
【0047】
入庫待ち判定部22は、車両11が目的地から所定距離内まで到達したか否かを判定する(S310)。所定距離内は、駐車場12に入庫待ちが発生してれば到着までに解消されない程度の距離(例えば5〔Km〕)である。この判定により、駐車場12にある程度近づいた場合にのみ駐車場検索ボタン13を表示できるようになる。
【0048】
目的地から所定距離内まで到達した場合(S310のYes)、入庫待ち判定部22は目的地の駐車場12に入庫待ちが発生しているか否かを判定する(S320)。入庫待ち判定部22は、例えば、入庫待ち情報作成部26が作成した「B)待機駐車列の道路識別情報」が、目的地に設定した駐車場12に接続した道路と一致するか否かにより、目的地の駐車場12に入庫待ちが発生しているか否かを判定する。この判定により、駐車場12の周囲で単に発生している渋滞と区別することができる。
【0049】
目的地の駐車場12に入庫待ちが発生している場合(S320のYes)、入出力制御部21は表示部20に駐車場検索ボタン13を表示する(S130)。これにより、図1に示したようにそれまで表示していた道路地図に駐車場検索ボタン13が形成される。
【0050】
以上のように、図5の変形例によれば、入庫待ち状態になる前に入庫待ち状態になることを予想して、駐車場検索ボタン13を表示することができる。
【0051】
〔目的地の再設定・経路検索〕
駐車場検索ボタン13を表示した後の経路案内装置100の動作手順について簡単に説明する。図6は表示部20に表示される道路地図の一例を、図7は経路を検索する手順を示すフローチャート図をそれぞれ示す。図7の手順は、例えば所定のサイクル時間毎に繰り返し実行される。
【0052】
図6(a)に示すように、目的地の駐車場12にて車両11が入庫待ち状態となった場合、入出力制御部21は表示部20に駐車場検索ボタン13を表示する。入出力制御部21は、駐車場検索ボタン13が操作されたか否かを判定する(S410)。所定時間経過しても駐車場検索ボタン13が操作されない場合(S410のNo)、乗員に代替の駐車場を検索する意志はないとして、入出力制御部21は駐車場検索ボタン13を消去する。
【0053】
駐車場検索ボタン13が操作された場合(S410のYes)、施設検索部23は車両11の周囲の駐車場を地図データ記憶部27から検索する(S420)。これにより、図6(b)に示すように、周囲の駐車場14A、14Bが検出される。なお、駐車場14A、14Bに入庫待ちが発生している場合、駐車場12と同様に入庫待ち状態となってしまうので、施設検索部23は、例えば「A)待機駐車列の平均距離」が所定以内の駐車場14A、14Bのみを検索することが好適である。
【0054】
ついで、入出力制御部21は経路検索ボタン15を表示部20に表示する(S430)。経路検索ボタン15の表示態様は駐車場検索ボタン13と同様である。そして、入出力制御部21は、経路検索ボタン15が操作されたか否かを判定する(S440)。所定時間経過しても経路検索ボタン15が操作されない場合(S440のNo)、乗員に代替の駐車場14A又は14Bまでの経路を検索する意志はないとして、入出力制御部21は経路検索ボタン15を消去する。
【0055】
経路検索ボタン15が操作された場合(S440のYes)、経路検索部24は駐車場14A及び14Bまでの経路を検索する(S450)。経路を検索する前に、乗員が駐車場14A又は14Bに触れるなどしていずれかを選択する場合があるが、この場合は選択された駐車場14A又は14Bまでの経路を検索すればよい。乗員が代替の駐車場14A又は14Bを選択しない場合、駐車場14A又は14Bまでのリンク長や右左折等コストに置き換え、これらのコストの積算値が最も小さくなる経路を検索する。
【0056】
ついで、入出力制御部21は検索された経路を表示部20に表示する(S460)。例えば、駐車場14Aが検索された場合(又は選択された場合)、図6(c)に示すように駐車場14Aまでの新たな経路が設定される。なお、図7では乗員の操作を待って駐車場14Aまでの経路を検索したが、駐車場検索ボタン13が操作されたら、直接、最寄りの駐車場14Aまでの経路を検索してもよい。
【0057】
以上のように、本実施形態の経路案内装置100は、入庫待ち状態になった場合にのみディスプレイ上に駐車場検索ボタン13を表示するので画面スペースを有効に活用することができる。また、駐車場検索ボタン13を操作すれば、周辺の駐車場14A、14Bが検索されるので、新たに検索条件を入力する必要がなく操作性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】経路案内装置が表示する道路地図の一例を示す図である。
【図2】経路案内装置の機能ブロック図の一例である。
【図3】経路案内装置に目的地が設定されている場合又は設定されていない場合に、入庫待ち状態か否かを判定する手順を示すフローチャート図の一例である。
【図4】現在走行している道路が待機駐車列の道路識別情報に一致するか否かの判定例を示す図である。
【図5】経路案内装置に目的地が設定されている場合に入庫待ち状態か否かを判定する手順を示すフローチャート図の一例である。
【図6】駐車場を検索する際に表示部に表示される道路地図の一例である。
【図7】経路を検索する手順を示すフローチャート図の一例である。
【符号の説明】
【0059】
11、11A、11B 車両
12、14A、14B 駐車場
13 駐車場検索ボタン
20 表示部
22 入庫待ち判定部
26 入庫待ち情報作成部
100 経路案内装置
200 サーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
目的地周辺の道路地図を表示部に表示する移動体案内装置において、
交通情報を受信する受信手段と、
前記交通情報に基づき駐車場毎に入庫待ち情報を作成する入庫待ち情報作成手段と、
前記入庫待ち情報に基づき車両が入庫待ち状態であることを検出する入庫待ち判定手段と、
車両の入庫待ち状態が検出された場合、施設検索要求の入力を可能にする施設検索アイコンを前記表示部に表示する出力制御手段と、
を有することを特徴とする移動体案内装置。
【請求項2】
目的地が設定されている場合、前記入庫待ち判定手段は、
車速が所定以下であって、かつ、前記目的地までの距離が前記入庫待ち情報が含む待機駐車列の長さよりも短い場合、車両が入庫待ち状態であることを検出する、
ことを特徴とする請求項1記載の移動体案内装置。
【請求項3】
目的地が設定されていない場合、前記入庫待ち判定手段は、
車速が所定以下であって、前記入庫待ち情報が含む待機駐車列の長さ以内で、かつ、前記入庫待ち情報が含む前記待機駐車列の道路識別情報に一致する道路に車両が存在する場合、入庫待ち状態であることを検出する、
ことを特徴とする請求項1記載の移動体案内装置。
【請求項4】
目的地が設定されている場合、前記入庫待ち判定手段は、
目的地の位置情報と、前記入庫待ち情報が含む前記待機駐車列の道路識別情報から、目的地に入庫待ちが発生していることを予想し、
入庫待ちが予想された場合、前記出力制御手段は、施設検索要求の入力を可能にする施設検索アイコンを前記表示部に表示する、
ことを特徴とする請求項1記載の移動体案内装置。
【請求項5】
前記施設検索要求の入力を検出する入力制御手段と、
前記施設検索要求が入力された場合、前記目的地周辺の施設を検索する施設検索手段と、
を有することを特徴とする請求項1記載の移動体案内装置。
【請求項6】
前記施設は駐車場又は駐車場を備えた施設である、ことを特徴とする請求項1〜5いずれか1項記載の移動体案内装置。
【請求項7】
請求項1〜6いずれか1項記載の移動体案内装置と、
前記目的地又は前記施設までの経路を検索する経路検索手段と、
を有することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項8】
目的地周辺の道路地図を表示部に表示して移動体を案内する移動体案内方法において、
交通情報を受信するステップと、
入庫待ち情報作成手段が、前記交通情報に基づき駐車場毎に入庫待ち情報を作成するステップと、
入庫待ち判定手段が、前記入庫待ち情報に基づき車両が入庫待ち状態であることを検出するステップと、
車両の入庫待ち状態が検出された場合、出力制御手段が、施設検索要求の入力を可能にする施設検索アイコンを前記表示部に表示するステップと、
を有することを特徴とする移動体案内方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−198287(P2009−198287A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−39703(P2008−39703)
【出願日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】