説明

移動体案内装置

【課題】カーナビゲーション装置などの移動体案内装置の位置検出誤差に起因した誤認識を補正できるようにして正確な経路案内を行なえるようにする。
【解決手段】車載端末装置により有料道路の出入口に設けられる自動料金収受用の通信装置と通信を行なうと、ナビゲーション装置において、車載端末装置により料金収受処理を行なった有料道路の出入口の情報を利用することができる。これにより、現在位置を特定する際にどちらの有料道路かといった判定や有料道路か一般道路かの判定が困難となる場合でも、料金収受の履歴情報に基づいて確実且つ正確に現在位置の特定をすることができるようになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定施設内を移動あるいは利用する場合の案内を行なえるようにした移動体案内装置に関する。
【背景技術】
【0002】
移動体の移動に関して案内を行なうものでは、例えばカーナビゲーション装置がある。ところが、カーナビゲーション装置では、目的とする場所や施設までは誘導することができるが、その場所あるいは施設の利用をするにあたって、内部でどのように移動すれば良いかという詳細な情報まではデータが準備されていない。
【0003】
このことは、例えば、次のような場合に利用者が不便を感ずることがある。例えばカーナビゲーション装置を利用する場合において、問題となることの一つとして、高速道路などの有料道路を走行しているにもかかわらず、高架の下に並行して存在する一般道路との区別があいまいになることに起因して、正確な経路案内ができなくなる場合があり、場合によっては、使用者が間違えて走行したりすることもある。
このため、従来では、ランプウェイなどの傾斜した道路を走行するとGセンサ(加速度センサあるいは傾斜センサ)などによりこれを検知して有料道路に進入したことを検知するようにしたものがある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記したような対応では、その検出精度は十分ではなく、誤検出がある場合には依然として上述の技術的課題が残ることになる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、カーナビゲーション装置などの移動体案内装置の位置検出誤差に起因した誤認識を補正できるようにして正確な経路案内を行なえるようにした移動体案内装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、上記構成手段を採用することにより、ナビゲーション装置を用いて経路案内を行なう場合において、例えば、高速道路同士あるいは高速道路と一般道路とが交差するような地点に差し掛かったときに、通常の位置検出データでは高低差まで精度良く検出できないことに起因していずれの道路に位置するかが判別できなくなる場合があるが、この発明の構成によれば、車載端末装置により有料道路の出入口に設けられる自動料金収受用の通信装置と通信を行なうと、ナビゲーション装置において、車載端末装置により料金収受処理を行なった有料道路の出入口の情報を利用することができるので、現在位置を特定する際にどちらの有料道路かといった判定や有料道路か一般道路かの判定が困難となる場合でも、料金収受の履歴情報に基づいて確実且つ正確に現在位置の特定をすることができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
(第1の実施形態)
以下、本発明をカーナビゲーション装置と自動料金収受システム用の車載器とを併せ持つ構成のシステムに適用した場合の第1の実施形態について図1ないし図11を参照しながら説明する。
図1は高速道路のインターチェンジに設けられる出口料金所における自動料金収受システムの概略的構成を示している。この図1において、誘導路1は、本線車道から導かれる2車線の道路で、特定施設としての料金所2に入る手前の部分で4車線分の道幅に広げられている。
【0007】
誘導路1の途中には、車線を跨ぐようにガントリ3が設けられ、固定局通信装置としての路側機の予告アンテナ4が上部に配設されている。予告アンテナ4は、図示のように誘導路1を通過する車両と通信するように2車線分をカバーする広い通信エリア4aが設定されており、後述するように、料金所2に向かう車両と通信を行なって料金所2の情報を伝達する機能を果たす。
【0008】
料金所2には、4車線5a〜5dを跨ぐようにガントリ6が設けられ、車線5a,5bには自動料金収受(ETC;Electronic Toll Collection)用の路側機の出口アンテナ7,8が設けられており、車線5c,5dにはマニュアル料金収受機(車両が停車して料金精算を行なうもので収受員が駐在するブースの場合もある)9,10が設けられている。出口アンテナ7,8の通信エリア7a,8aは、それぞれの車線5a,5bを通過する車両と通信できるように1車線分をカバーする狭い領域に設定されている。
【0009】
この出口料金所2の出口アンテナ7,8および予告アンテナ4は、路側機側主制御部11に接続され、この路側機側主制御部11は、ゲート情報記憶部12に接続されると共に、管理通信網13を介して管理センター制御部14に接続されている。ゲート情報記憶部12には、その料金所2の配置情報や移動指示情報、稼働状況や通信ログなどの各種情報が記憶されており、本発明でいうところの情報源としての機能を備えたものである。
【0010】
管理センター制御部14は、管理通信網13を通じて、他の料金所の路側機側主制御部11a,11bおよびゲート情報記憶部12a,12bなどと接続されており、高速道路全体の料金収受に関する情報を管理しているもので、例えば、車両との通信ログ、料金ゲートの稼働状況、各アンテナの制御および料金所案内情報などを統括して管理している。
なお、上述の構成において、予告アンテナ4,出口アンテナ7,8は、それぞれDSRC(Dedicated Short Range Communication ,狭域通信)方式として規定されたプロトコルにしたがって通信処理を行なうもので、以下に説明する車両側の構成においてもこの通信プロトコルにしたがって通信処理を行なうように構成されたものを採用する。
【0011】
次に、この自動案内システムを利用するに当たり、通行する車両側が備えるべき構成について代表的なものを図2ないし図4を参照して簡単に説明する。全体構成を示す図2において、移動体通信装置としての車載器15は、DSRC方式の通信プロトコルで通信を行なうもので、図示しない車載バッテリの正極端子+Bから給電され、車両のACCスイッチに接続されてそのオンオフのACC信号が入力されるようになっている。
カーナビゲーション装置16は、車載器15と連携して動作するように設けられたもので、本体部17は、車載器15から後述する各種の情報が与えられるように接続されると共に、地図データ入力器18、表示手段(情報出力手段)としての表示装置19および音声出力手段(情報出力手段)としてのスピーカ20に接続されている。
【0012】
図3は車載器15の内部の機能ブロック構成を示すもので、制御回路21は、後述する通信制御の全体を制御すると共に判断手段および誘導情報作成手段としての機能を兼ね備えたもので、マイクロコンピュータなどを主体として構成されている。DSRC無線通信回路22はアンテナ22aを介して前述の予告アンテナ4,出口アンテナ7,8などと通信を行なうもので、受信した信号を復調して制御回路21に与えると共に、制御回路21から与えられる送信信号を変調して無線電波として送信するようになっている。
【0013】
ICカードインターフェース23は、使用者が所持する料金収受用のICカード24を装着すると制御回路21との間でデータの授受を行なうように設けられたもので、実際には、セキュリティモジュール部25が介在される構成となっている。セキュリティモジュール部25は、ICカード24に記憶された種々のデータが直接読み取ることができないように暗号化処理を行なうものである。外部機器インターフェース26は、カーナビゲーション装置16とデータの授受を行なうためのもので、具体的には送信ラインTx、受信ラインRxおよびウェイクアップ信号WKを送信する起動信号ラインが接続されている。
【0014】
ヒューマンインターフェース27は、例えば簡易的な表示部28やブザー29などが設けられており、制御回路21からの表示信号あるいはブザー信号に応じて簡単な表示動作あるいはブザー動作を行なうようになっている。ACC信号監視インターフェース30は、前述したACCスイッチから受ける信号を制御回路21に出力するもので、車両の電源がオンされているか否かを判断するのに用いられる。また、電源回路31は、各部に所定電圧で給電するためのものであり、前述のように車載バッテリ(図示せず)の正極端子+Bから給電される。
【0015】
図4はカーナビゲーション装置16の内部の機能ブロック構成を示すもので、制御回路32は、マイクロコンピュータを主体として構成されるもので、CPU32a,RAM32b,ROM32cなどを含んだ構成とされており、経路案内に必要なプログラムがあらかじめ記憶されている。位置検出器33は、GPS受信回路や各種のセンサなどから構成されるもので、例えばGPSアンテナ33aから受信したGPS衛星の複数の測位信号に基づいて現在位置を示すデータを演算して制御回路32に出力する。
【0016】
外部機器インターフェース34は、車載器15との間のデータの授受を行なうためのものである。操作スイッチ群35は、表示装置19の前面部に配設され、制御回路32に各種のコマンド入力やデータ入力などの操作入力信号を入力するものである。外部メモリ36は、例えばEEPROMなどの不揮発性メモリなどを含む構成とされるもので、電源をオフした状態でも各種の必要な情報記憶内容が残るように設けられている。
【0017】
リモコンセンサ37は、リモコン38の操作信号を受け付けて制御回路32に入力するものである。なお、地図データ入力器18は、例えば、CD−ROMやDVD−ROMなどのデータ記録媒体39に記憶された地図データを取り込んで制御回路32に入力するようになっている。なお、このデータ記録媒体39は、後述するように、料金所のゲート配置情報なども併せて記憶したものとして製作されており、必要に応じて読出すことができるようになっていて、本発明でいうところの情報源としての機能を兼ね備えたものである。
【0018】
次に本実施形態の作用について図5ないし図11をも参照して説明する。まず、本実施形態における車載器15と路側機の予告アンテナ4、出口アンテナ7、8との通信を行なう場合のDSRC方式のプロトコルについて簡単に説明し、この後、料金所ゲートへの誘導に関する情報の表示および音声出力についての動作を説明する。
DSRC通信方式においては、5.8GHz帯を利用する、ポイントツーポイントの短時間内で双方向通信に適した同期式アダプティブ・スロッテッド・アロハ方式の通信制御手順を基本としている。アップリンク、ダウンリンクに異なる伝送チャンネル(周波数)を用いる全二重の通信方式であるが、半二重通信も可能な通信制御方式として規定されているものである。
【0019】
通信フレームのスロットは、スロット割り当てを行なうFCMS(Frame Control Message Slot)と、データ転送用のMDS(Message Data Slot )と、路側機4,7,8の通信リンクへのリンク接続用のACTS(ACTivation Slot )および車載器15からの無線呼出符号を送出するWCNS(Wireless Call Number Slot )からなる。
【0020】
図5および図6は路側機4,7,8と車載器15とが通信を行なう場合のやり取りを示すものである。図5において、例えば、車両が予告アンテナ4の通信エリア4aに進入すると、車載器15は、予告アンテナ4から送信されているフレームのFCM(Frame Control Message )信号を受信してACTC(ACTivation Channel)信号を返す。
【0021】
予告アンテナ4は、車載器15からACTC信号を受け取ると、その車載器15に対してMDSの割り当てを行ない、次のFCMSで割り当てたMDSを用いてBST(Beacon Service Table)の送信を行なうと共に、続くFCMSで割り当てたMDSを用いてVST(Vehicle Service Table )の受信を行なうことによりその車載器15との間のリンクの確立を行なう。
【0022】
予告アンテナ4は、リンクが確立した後は、フレーム毎にFCM信号でDMSを指定しその指定したDMSにて送信すべき情報である誘導情報を順次送信するようになる。このとき、誘導情報は、1回のDMS内では送信できないので、複数回のフレームに分割して送信するようになる。車載器15は、予告アンテナ4からの誘導情報を「誘導情報1」、「誘導情報2」、…として受信してゆき、受信した誘導情報毎にカーナビゲーション装置16側に転送する。最終的にすべての誘導情報を受け取ると、カーナビゲーション装置16側に誘導情報が取り込まれ、これを表示装置19に画像情報として表示させると共に、スピーカ20により音声情報として出力させるようになる。
【0023】
この場合、図5に示す場合の例では、誘導情報として表示装置19に表示する画像情報やスピーカ20にて出力すべき音声情報をすべて予告アンテナ4側から送信するようにしたシステムの場合で説明しているが、これに代えて、図6に示すように、予告アンテナ4側から誘導情報としてテキスト情報およびステータスコードの一方のみあるいは両方を混在した情報として送信することとし、これを車載器15を介して受け取るカーナビゲーション装置16側であらかじめ準備した画像情報と合成することにより同様の誘導情報を画像あるいは音声として出力することもできる。
【0024】
なお、ここでいうテキスト情報とは、あらかじめ準備している画像に付加して示す誘導情報であり、表示内容あるいは表示位置などの誘導情報が含まれるものである。また、ステータスコードとは、例えば、車載器15およびカーナビゲーション装置16側と予告アンテナ4側との双方において、あらかじめ定義付けられたコードを登録し、情報としてはそのコードのみを媒介として伝達することで受けた側でそのコードに対応する指示内容を解釈しこれを誘導情報とするようにしたものである。そして、テキスト情報およびステータスコードの両者を含める方式では、上述の両者を複合的に含めて柔軟な誘導情報を簡単に送信することができるものである。
【0025】
現実的には、後者(図6の場合)が採用されるシステムと予想されるが、いずれの場合にも対応可能となるように、両者を兼ね備えた構成のものを採用することもできる。すなわち、予告アンテナ4などの路側機側から移動指示情報としてテキスト情報あるいはステータスコードのみが送信される場合には、後者のようにして表示装置19やスピーカ20に出力し、画像情報も送信される場合には、そのままその情報を用いて出力するように構成する方法である。また、このことから、本発明でいうところの情報源は、予告アンテナ4である場合と、予告アンテナ4および地図データ入力器18の双方で形成される場合とが考えられる。
【0026】
さて、上述のようにして通信処理が行なわれる場合に、車載器15およびカーナビゲーション装置16の連携した制御動作について図7および図8ないし図11の表示画面の例を参照して説明する。車載器15の制御回路21は、前述のようにして予告アンテナ4の通信エリア4aに進入して予告アンテナ4とのリンクを確立すると、図7の通信処理のプログラムを開始し、まず初めに予告アンテナ4から送信される誘導情報を受信する(ステップS1)。
【0027】
このとき、車載器15は、カーナビゲーション装置16との連携動作を行なう必要上で、カーナビゲーション装置16の電源がオフになっている場合あるいはスリープ状態になっている場合には、表示情報を与えても表示動作を行なわせることができないので、例えば、制御回路21は、この時点でカーナビゲーション装置16に対してウェイクアップ信号WKを送信して起動させるようになっている。
【0028】
次に、制御回路21は、受信した誘導情報にゲート配置情報が含まれているか否かを判断し、含まれていない場合(前述の図6の場合)には、カーナビゲーション装置16に対して地図データ入力器18を介してデータ記録媒体39からゲート配置情報を読み出させ(ステップS3)、この後ステップS4に進む。一方、ゲート配置情報が含まれている場合(前述の図5の場合)には、そのままステップS4に進むようになる。なお、料金所2側からゲート配置情報が得られる場合には、ナビゲーション装置16側では知り得ないような工事情報や配置変更情報などの最新の情報を表示させることができるので、最適な表示動作を行なうことができる。また、利用する料金所2のインター名を料金所側から受信することができるので、複数の料金所が隣接するような場合に正確な位置を認識することができるようになる。
【0029】
続いて、制御回路21は、車載器15のICカードインターフェース23にICカード24が正常に装着されている状態であるか否かを判断し(ステップS4)、正常に装着されている場合には自動料金収受が可能な状態であるから、カーナビゲーション装置16に対して作成させる画像情報および音声情報をETCゲートへ誘導するように加工するように指示する(ステップS5)。この場合、ICカード24の装着状態は、電気的に情報が授受できる状態つまり使用可能な状態となっていることを確認することで判断することができるが、物理的に装着されているか否かを確認することによっても判断することができる。この後、生成された画像情報を表示装置19に表示させて案内表示すると共に、音声情報をスピーカ20に出力させて音声案内させるようになる(ステップS6)。
【0030】
このとき、予告アンテナ4側から誘導情報としてゲートの稼働状況を示すデータも送付されている場合には、車載器15は、その情報も加えて画像情報および音声情報を作成するように指示する。これにより、例えば、カーナビゲーション装置16の表示装置19には図8に示すような誘導情報が画像表示されるようになり、スピーカ20には「左側2レーンにお進みください」といったメッセージが音声信号によりアナウンスされるようになる。
【0031】
この場合、表示装置19に表示される画面Aでは、右上に「名古屋インター」などのインター名aを表示し、中央部にゲートの配置状態bを示すと共に、その左側の2車線分がETCゲートc1,c2であることを示し、さらに、ETCゲートに進むように示す誘導矢印d1,d2を示すと共に、稼働状況として閉鎖中の車線を進入禁止マークeで示し、さらに、下側に誘導のメッセージ文fを表示するようになっている。なお、ICカード24を装着していても、マニュアルゲートに進んで料金決済をすることは禁止されているわけではないので、マニュアルゲートへの進行を妨げるような進入禁止の表示は行なわない。
【0032】
ここで、「名古屋インター」の表示を行なうための情報は、予告アンテナ4側からテキストコードもしくはあらかじめインター毎に定義されたコードとして登録されているステータスコードを受信することで得る場合や、あるいはカーナビゲーション装置16により検出した現在位置情報から判断して得る場合などがある。
【0033】
これにより、使用者は表示装置19を見ることによりどの車線に進めば良いかということがすぐに認識でき、しかも、音声案内によりメッセージ文を読み上げるので、表示されているメッセージ文を自ら読むことなく確認的に少し見る程度で進むべき車線を確認することができるようになる。
【0034】
なお、上述の場合で、ETCゲートが故障やメンテナンスなどで稼働していない状況では、図9に示す画面Bのように、稼働中で収受員がつめているマニュアルゲートに進むように誘導表示gを行なうと共に、他のゲートへの進入禁止hの表示を行ない、「矢印のレーンに進み、一旦停止してください。ICカードを係員にお渡しください。」といったマニュアル料金決済をする旨のメッセージ文iの表示を行なう。また、このメッセージ文に対応する音声案内を同時に行なわせるようになっている。
【0035】
この後、車両が自動料金収受を行なう出口アンテナ7あるいは8側に進んだ場合で、出口アンテナ7,8と通信を行なうことで料金収受処理が終了すると(ステップS7)、その処理で行なった料金決済情報をヒューマンインターフェース27に出力すると共にカーナビゲーション装置16の表示装置19およびスピーカ20を通じて出力させるようになる(ステップS8)。
【0036】
料金決済情報の出力が終了すると、制御回路21は、予告アンテナ4あるいは出口アンテナ7,8のいずれかから受け取っている出口情報を出力させるようになる(ステップS9)。この出口情報は、例えば、図10に示すような画面Cとして示されるもので、料金所ゲートを出た後、どちらに進めば目的の経路に進むことができるかを案内するカーナビゲーション装置16の機能による画像表示jに加えて、示した経路のうちで渋滞などの発生が認識されている場合には「渋滞5km」などの現在の道路交通情報kを表示させる。また、このとき、画面Bの下側には料金の支払いが完了した旨のメッセージ文mの表示を行なうようになっている。
【0037】
さて、何らかの故障の発生あるいは不具合の発生で、ICカード24を装着しているにもかかわらず自動料金収受の決済が完了できなかった場合には、制御回路21は、このような場合に対応して出口アンテナ7,8から送信された誘導情報に基づいて、図11に示すような誘導の画面Dを表示装置19に表示させると共に音声によるメッセージ文の読み上げを行なわせる。
【0038】
この図11に示す画面Dでは、例えば、車両を進行させる事務所の受付nの位置とその駐車場への誘導情報pを示すと共に、「通行料金の支払いが正常にできませんでした。ICカードを持って、事務所までお越しください。」といったメッセージ文rを表示させる。これにより、運転者は自動料金決済ができなかったことに対して動転したりしてどう処置したら良いかわからなくなるなどの事態を回避して速やかに誘導させることができるようになる。
【0039】
一方、前述のステップS4において、ICカード24が装着されておらず、自動料金収受ができない状態である場合には、制御回路21はマニュアルゲートへ誘導する情報を作成するように指示し(ステップS10)、生成された画像情報を表示装置19に表示させると共に音声情報をスピーカ20から出力させるようになる。なお、この場合においては、上述した図9に示すような画面Bを表示させて、マニュアル料金決済を行なう旨の表示および音声案内を行なわせるようになる(ステップS11)。この後、ステップS9を経てリターンする。
【0040】
このような本実施形態によれば、出口料金所2で予告アンテナ4と通信を行なうことでETCゲートの稼働状況などを含めた誘導情報を得ることができるので、カーナビゲーション装置単独ではできなかった詳細な案内をタイムリーに行なうことができるようになり、使用者が迷うことなく安心してETCゲートに進んだりあるいはマニュアルゲートに進んで料金収受処理を行なうことができるようになる。
【0041】
なお、上記実施形態においては、出口アンテナを各ゲートに1箇所のみ設ける構成の料金所2の場合について説明したが、出口アンテナを2箇所以上設けて料金収受処理を複数回に分けて行なう構成のものにも適用することができる。
また、上記実施形態においては、通信方式をDSRC方式のプロトコルを採用したものとしたが、これに限らず、他の無線通信方式を採用することもできるし、あるいは光信号などを利用して通信する方式を採用することもできる。
【0042】
また、上記した誘導情報の他にも料金所2あるいはその近傍で発生する有用な情報をタイムリーに提供することが考えられ、これにより、カーナビゲーション装置のみによる機能ではカバーできなかった幅広い情報の提供を可能とすることができるようになる。
ヒューマンインターフェース27は、表示部28やブザー29の他に、LEDなどを設けて点灯表示させるようにしても良いし、操作キースイッチなどを設けて設定入力などの入力操作を行なえるようにしても良い。
さらに、カーナビゲーション装置16を用いる構成としているが、車載コンピュータなどで、スピードの制御やエアコンの制御あるいはオーディオ等の表示しゃ制御を行なうように設けられたもので表示や音声出力が可能なものを利用することもできる。
また、情報出力手段としては、オーディオ装置の表示部を用いたり、スピードメータの表示部を用いたりすることもできる。
【0043】
(第2の実施形態)
図12は、本発明の第2の実施形態を示すもので、第1の実施形態と異なるところは、カーナビゲーション装置16の表示装置19およびスピーカ20に対して、車載器15から直接画像信号あるいは音声信号を与えて案内動作を行なわせるように構成したところである。
【0044】
すなわち、表示装置19は直接車載バッテリから給電される構成とされ、表示装置19およびスピーカ20には車載器15から案内情報が与えられるように構成されている。これにより、例えば、カーナビゲーション装置16が電源オフとなっている場合でも、料金所2における誘導表示案内や音声案内については、表示装置19およびスピーカ20を介して直接行なうことができるようになり、経路案内とは独立して行なわせることができるようになる。
【0045】
上記実施形態においては、表示装置19およびスピーカ20を共に車載器15側から直接制御する構成としているが、スピーカ20のみあるいは表示装置19のみを直接制御する構成とすることもできる。
なお、本実施形態の目的からすると、料金所における詳細な誘導情報の表示や音声案内を行なうという点において、カーナビゲーション装置16を必須構成要件とするものではなく、車載器15と、これに専用の表示装置およびスピーカなどの情報出力手段を設ける構成としても良い。
【0046】
(第3の実施形態)
図13は、本発明の第3の実施形態を示すもので、第1の実施形態と異なるところは、車載器15の電源回路31への給電を外部機器としてのカーナビゲーション装置16の電源端子Voから行なうように構成しているところである。
【0047】
この構成においては、車載器15は、カーナビゲーション装置16と連動して動作するように設けられており、給電動作はカーナビゲーション装置16側から制御されるように構成される。すなわち、カーナビゲーション装置16が稼働されている状態で、例えば、位置検出動作によって料金所に近付くなどの状況が認識されると、これに応じて車載器15に給電することで車載器15を駆動制御する。
【0048】
これにより、車載器15を使う必要のないときには給電を停止して消費電力を極力低減した状態として、使用する必要が生じたことを検出すると確実に動作させることができるので、カーナビゲーション装置16との連動で、効率の良い運転を実施することができるようになる。また、車載バッテリに接続するための電源ラインを設ける必要がなくなるので、配設作業が簡単に行なえると共に、配設のための制約を少なくして取り付けやすいものとすることができる。
【0049】
上記実施形態において、車載器15に給電する外部機器は、カーナビゲーション装置16以外の車載機器としても良い。あるいは、車内で電源関係を統括している部分を設けてここから総合的に管理するようにしても良い。
【0050】
(第4の実施形態)
図14は、本発明の第4の実施形態を示すもので、第1の実施形態と異なるところは、電源回路31に代えて二次電池および充電回路を備えた電源回路40を設けると共に、電源として車載バッテリに代えて太陽電池41を用いた構成としているところである。日射があるときに太陽電池41により得られる電力を電源回路40の二次電池に充電しておく構成である。
【0051】
車載器15は、外部機器として接続されたカーナビゲーション装置16からウェイクアップ信号WKが与えられると、第3の実施形態と同様にして起動されるようになっている。これにより、電源を不要として省電力を図ることができ、しかも第3の実施形態と同様にして電力の消費を極力低減することができるようになる。また、電源ラインを不要とすることができることから、カーナビゲーション装置16との間を信号ラインのみの接続とすることができるようになる。
なお、上記構成において、車載バッテリの電源を併用する構成とすることもできる。
【0052】
(第5の実施形態)
図15および図16は、本発明の第5の実施形態を示すもので、第4の実施形態と異なるところは、車載器15に変わる車載器42を設けると共にカーナビゲーション装置16に変わるカーナビゲーション装置43を設ける構成としたところである。そして、具体的には、車載器42とカーナビゲーション43との間の情報の授受を車内無線LANにより行なうように構成したところが異なる。
【0053】
すなわち、車載器42は、図16に示すように、外部機器インターフェース26に車内無線LAN通信装置44が接続されており、アンテナ44aを介して車内に設けられる各種の機器と通信することができるようになっている。ここでは、主としてカーナビゲーション装置43と通信を行なうように設けられている。カーナビゲーション装置43側においては、図示はしないが同様の車内無線LAN通信装置が配設されアンテナ43aを介して通信を行なうように構成されている。
【0054】
この構成とすることにより、車載器42は全く配線を必要とせず、配設に要する作業が非常に簡単になり、しかも電源として太陽電池41からの電力を用いるので、省電力に構成することができるという利点がある。
【0055】
(第6の実施形態)
図17ないし図19は、本発明の第6の実施形態を示すもので、第1の実施形態と異なるところは、案内システムとしての構成において、例えば前述したような情報源としての予告アンテナ4から受ける特定施設の配置や稼働状況に関する情報が得られない構成の場合である。これは、例えば、図1に示した構成において、予告アンテナ4が設けられない構成あるいは、設けられていても第1の実施形態におけるような情報源としての機能を果たさない場合である。
【0056】
図17は、車載器15がカーナビゲーション装置16と連動して詳細な誘導情報を提供する場合の通信処理プログラムを示すものである。第1の実施形態と異なる部分は、ステップS1,S2に代えてステップS12を設けているところである。
【0057】
すなわち、車両が出口料金所2に接近したことをカーナビゲーション装置16が検知すると、車載器15の制御回路21は、プログラムを開始してその位置情報からインターチェンジの名称を検索して特定し(ステップS12)、そのインターチェンジに対応した料金所の配置情報を地図データ入力器18を介して情報源としてのデータ記録媒体39から読み出すように指示する(ステップS3)。この後、ICカード24の装着の有無に応じてETCゲートあるいはマニュアルゲートへの誘導情報を作成して表示装置19に表示させると共にスピーカ20により音声出力させて誘導案内を行なう(ステップS5,S6およびステップS10,S11)。
【0058】
この場合、料金所2の路側機側から誘導情報を得るわけではないので、ゲートの稼働状況などは得ることができない。したがって、誘導の画面表示は、あらかじめデータ記録媒体39に準備されている配置情報が基本となる。例えば、ETCゲートに進む場合には、図18に示すような画面Eとして表示させる。
ここでは、2つのETCゲートc1,c2への誘導表示d1,d2を行なうが、2つのマニュアルゲートs1,s2については稼働状況が不明であるから両方共に許容状態として表示される。また、ICカード24の装着がない場合には、図19に示す画面Fのように、ETCゲートc1,c2への進入禁止eを表示すると共に、マニュアルゲートs1,s2への進入を促すように誘導表示t1,t2を行なう。
【0059】
これにより、ICカード24の装着状態に応じてETCゲートあるいはマニュアルゲートのいずれかに、表示および音声によって自動的に誘導することができるので、運転者が迷うことなくゲートに進むことができるようになる。
【0060】
(第7の実施形態)
図20ないし図24は、本発明の第7の実施形態を示すもので、特定施設としての駐車場の配置を詳細に表示して誘導するようにしたものである。なお、車両側に設ける構成としては、第1の実施形態で説明した車載端末装置としての車載器15およびカーナビゲーション装置16などを備えた構成を採用することができるが、第2ないし第6の実施形態で用いた構成を採用することもできる。
【0061】
図20は、この案内システムの説明をするために全体配置を簡略的にして示した駐車場であり、例えば、建物の内部に立体駐車場として複数の階に渡って駐車スペースが設けられていて、ここは2階に位置する駐車エリア45である。各階にはスロープ46を上がった位置に支柱47が設けられ、その上部に固定局通信装置としての案内用アンテナ48が設けられている。図中黒い三角印で示す部分まで車両が進入すると、車載器15と通信するように通信エリア48aが設定されている。なお、このような案内用アンテナ48は、入口ゲートおよび出口ゲートにも同様に設けられている。
【0062】
駐車エリア45には、多数の駐車スペース49が区画されており、各駐車スペース49には図示しないセンサあるいはカメラが設けられていて、車両Vが駐車されているか空きスペースとなっているかが認識されるようになっている。駐車スペース49の使用状態は各駐車フロア45毎に一括して管理されており、どの駐車スペース49が空きスペースとなっているのかが認識されている。
【0063】
いま、図示の状態では、いくつかの駐車スペース49が既に車両Vが駐車されている。また、駐車スペース49a,49b,49cの3箇所が空きスペースとなっている。また、この駐車エリア45の左奥には出口に至る誘導路50aと3階に続く誘導路50bとが設定されている。
【0064】
図示はしないが、出口には料金収受用の出口アンテナが配設されており、入庫時に登録したデータに基づいて出庫時点までの駐車時間を計算して料金を算出し、前述したICカード24により自動料金収受を行うことができるようになっている。
【0065】
次に、本実施形態の作用について図21ないし図24も参照して説明する。なお、この実施形態においては、駐車料金の管理も含めた構成として説明する。まず、入口ゲートでは、図22に示すプログラムのフローチャートにしたがって入庫管理をしている。入口ゲートの通信装置は、進入する入庫車両が検知されると(ステップP1)、その入庫車両が通信可能な車載器15を備えているか否かを通信を行なうことで判断し(ステップP2)、通信可能な場合にはその車両に対して駐車フロア45の配置情報および空きスペース情報を送信する(ステップP3)。
【0066】
これに対して、車載器15においては、入口ゲートのアンテナから信号を受信すると、図24に示すプログラムを開始し送信されてくる情報を取り込むようになる(ステップR1)。取り込んだ情報が表示情報に関するものである場合には(ステップR2)、車載器15は、カーナビゲーション装置16に対して受信した表示情報を表示装置19に表示させるように指示する(ステップR3)。一方、表示情報ではない場合、つまり、後述するように駐車料金の精算に関する情報などの場合には(ステップR2)、料金精算処理などの他の処理を実行すると共に必要に応じてその処理結果の表示を行なう(ステップR4)。
【0067】
次に、入口ゲートは、進入してきた車両の車載器15と通信処理を実行して入庫情報を作成し(図22のステップP4)、入口ゲートを開けて車両の入庫を受け付けるようになる(ステップP5)。このとき、入庫情報としては、車両のナンバーや使用者のID情報および入庫時刻などの駐車料金の算出に必要な情報である。
【0068】
一方、前述のステップP2において、入庫してきた車両が通信可能な車載器を搭載していないなどで通信が不能である場合には、入庫時刻などを打刻した駐車券を発行して(ステップP6)使用者がこれを抜き取ったら入口ゲートを開けて(ステップP5)入庫を許可するようになる。
【0069】
さて、前述のステップP3において入口ゲートから配置情報や空きスペース情報が送信されると、車載器15は、表示処理を行なうことで(図24のステップR3)、図21に示すような駐車フロア45の配置情報および空きスペース情報をカーナビゲーション装置16の表示装置19に表示させるようになる。
【0070】
図21は駐車フロア45の平面図と空いている駐車スペースを表示した案内画面Gを示している。これにより、使用者は迷ったり空きスペースを探しながら運転するなどの煩わしさから開放されて確実且つ的確に駐車することができるようになる。なお、この駐車フロア45に空きスペースがない場合には、この場合には、入口ゲートから送信される表示情報に「3F」の駐車フロアに進むべき旨の情報が含まれているので、案内画面を見てすぐに「3F」に移動することができるようになる。
【0071】
次に、駐車場を出る場合には、出口ゲートにおいて出庫処理を行なって駐車料金の精算を行なう。出口ゲートでは、図23に示すプログラムのフローチャートにしたがって出庫処理を行なっている。出口ゲートでは、出庫車両を検知すると(ステップQ1)、車載器15を備えていて通信が可能な否かを判断し(ステップQ2)、通信可能な場合には車載器15に対して駐車料金精算の通信処理を行なう(ステップQ3)。
【0072】
車載器15がICカード24を装着しているなどで電子的に料金精算が終了すると(ステップQ4)、料金決済情報を車載器15側に送信し(ステップQ5)、出口ゲートを開ける(ステップQ6)。なお、出口ゲートでは、この後、駐車場を出た後の行き先別の方向案内を出口案内情報として車載器15に送信して終了する。
これにより、車両側では、車載器15により、ICカード24などによる駐車料金精算の通信処理を行なうと共に、受信した料金決済情報および出口案内情報をそれぞれ表示装置19にて表示させ、使用者に誘導情報として案内するようになるので、料金決済を自動的に済ませることができると共に、出口からの進行方向を間違えることなく退出することができるようになる。
【0073】
また、上述の場合で、ステップQ3において駐車料金精算の通信処理に支障が生じて精算がOKとならない場合には(ステップQ4)、出口ゲートは、車載器15に対してマニュアルゲートに進むべき旨の誘導情報を送信する(ステップQ8)。このとき、通信が正常に行なわれない場合も考慮して出口ゲート側にもその旨の表示を行なうようになっている。
この後、マニュアル料金精算が終了するのを待って(ステップQ9)、終了した場合には出口ゲートを開けて出庫を許可するようになる(ステップQ6)。また、ステップQ2において、車両側と通信ができない場合には、マニュアル料金精算を行なうべくその旨の表示を行ない、マニュアル精算が終了すると(ステップQ9)、出口ゲートを開けて出庫を許可するようになる(ステップQ6)。
【0074】
このような第7の実施形態によれば、駐車場に進入する車両に対して車載器15と通信可能な案内用アンテナ48を備え、駐車フロア45の配置情報や空きスペース情報などを送信して誘導案内することができるので、利用者は迷うことなく迅速且つ確実に空きスペースに駐車することができるようになる。
【0075】
また、同時に入口ゲートおよび出口ゲートにて駐車料金の精算を行なうので、出口ゲートで現金や駐車券などの授受のためにウインドウを開けてやりとりする必要がなくなり、利便性を向上させることができると共に、係員などの配置を不要としてコスト低減を図ることができるようになる。
【0076】
上記実施形態においては、料金精算を行なう場合を例にとって説明したが、大型店舗や郊外の駐車場などの駐車料金が不要な駐車場に適用することもできる。特に、駐車台数が多い大型駐車場などにおいては出入口での車両の停滞による渋滞現象を解消してスムーズな流れを作り出すことができ、安全性も高めることができるようになる。
【0077】
また、車載器側に送信する情報としては、配置情報のみを表示情報として送信するようにしても良い。
大駐車場などに設ける場合には、入口ゲートの案内用アンテナでは、駐車場内の概略的な配置情報を送信して、エリア別に誘導させるようにし、各エリアに接近するとさらにエリア内の詳細な表示情報を送信するようにして複数段階に分けて情報を送信するようにしても良い。
【0078】
(第8の実施形態)
図25ないし図29は、本発明の第8の実施形態を示すもので、特定施設としてのドライブスルー型の店舗について適用した場合の例である。なお、車両側に設ける構成としては、第1の実施形態で説明した車載端末装置としての車載器15およびカーナビゲーション装置16などを備えた構成を採用することができるが、第2ないし第6の実施形態で用いた構成を採用することもできる。
【0079】
図25は、この案内システムの説明をするために全体配置を簡略的にして示した例えばドライブスルー型のハンバーガーショップ(以下ショップと称する)51であり、このショップ51は、2方を公道(道路)に面した位置に設けられ、その公道から進入路52に進むと入口部分の上方に受付アンテナ53が配設されていて、車載器15と通信を行なうようになっている。進入路52を奥に進んでショップ51に沿って右に曲がると退出路54の出口部分に商品の受渡しをする窓口55が配設されると共にその上方に出口アンテナ56が設けられている。
【0080】
次に、本実施形態の作用について図26ないし図29を参照して説明する。なお、誘導情報の案内についてのプログラムは前述の第7の実施形態で述べた駐車場の場合と同様にして行なわれるので、ここでは具体的にカーナビゲーション装置16の表示装置19に表示される画像情報を中心として説明する。
【0081】
すなわち、車両が公道から進入路52に進入して受付アンテナ53の通信エリア53aに入ると、車載器15は受付アンテナ53と通信を開始して誘導情報を受信するようになる。このとき、表示装置19には、まず店舗に来たことを歓迎する「いらっしゃいませ」などの表示が行なわれ、この後、図26に示すような商品のメニュー画面Hを表示させる。なお、同時にスピーカ20により利用案内の音声出力として、「いらっしゃいませ。ご注文のボタンを押してください。」などのメッセージが発音されるようになっている。
【0082】
表示装置19には操作スイッチ群35(図4参照)として設けられた例えば7個の操作スイッチ35a〜35gなどが配設されているので、その操作スイッチ35a〜35gを利用してメニュー選択ができるようになっている。ここでは、例えば、ハンバーガーおよびドリンクの各商品が番号で設定されると共に、その番号と操作スイッチ35a〜35gが対応付けられた状態で表示されている。
【0083】
これにより、例えば、使用者が「2」番の「チキンバーガー」と「6」番の「コーヒー」を選択すべく操作スイッチ35bおよび35fを操作すると、メニュー画面Hの下部に配置されたスイッチ表示の「2」と「6」とが選択されたことを示すように色や模様が異なる状態となるように変化される。これにより、選択が確定すると、車載器15を通じて選択したメニューの情報を店舗側の受付アンテナ53を通じて送信する。
【0084】
これに対して、店舗側からは受付アンテナ53を通じて車載器15に商品渡し口に案内すべく誘導情報を送信する。これを受けて、表示装置19には、図27に示すような画面Jを表示させるようになる。これは、進入路52から商品渡し口である窓口55に至る経路sをショップ51の配置図と共に示すもので、商品渡し口を示す案内表示tおよび、「窓口までお進みください」というメッセージ文uを表示させる。同時に、このメッセージ文uと同じ言葉をスピーカ20を通じて使用者に案内するようになっている。
【0085】
この後、窓口55に進んで使用者が商品を受け取ると、商品の代金の支払い方法について、現金で行なう場合にはその場で支払い、また、ICカード24によるクレジット決済を行なう場合には、その旨を伝えると、出口アンテナ56により車載器15と通信処理を行なって自動的に決済処理が行なわれ、図28に示すような決済結果を示す情報が送信され、表示装置19には画面Kのような結果が表示されるようになる。ここでは、代金の明細情報vと決済終了のメッセージ文wとが表示される。
【0086】
この後、使用者がその確認を済ませると、出口アンテナ56から出口情報が送信される。これは、退出路54を出たときにどちらに進めば目的の方向に行けるかという誘導情報を示すもので、例えば、図29に示すような画面Lとして表示装置19に表示されるようになる。この画面Lでは、例えば国道の番号案内xと各方向の行き先表示yが示され、画面Lの下部にはショップ51のメッセージ分zが示される。
【0087】
このような第8の実施形態によれば、ドライブスルー型の店舗であるショップ51において、車両に搭載している車載器15の通信機能を利用して通信を行なうようにした受付アンテナ52および出口アンテナ56を設け、車両の表示装置19およびスピーカ20に誘導情報およびメニュー情報などを出力させるように構成したので、カーナビゲーション装置16だけでは成し得ないようなショップ51の詳細な誘導情報を得ながら利用することができるようになり、利便性が向上すると共に、不慣れな利用者にとっても利用しやすくなる。
【0088】
上記実施形態においては、ショップ51をドライブスルーとして利用する場合について説明しているが、ショップ51内に入って通常どおりに利用する場合にはその駐車場に案内する旨の誘導情報を車載器15側に送信するようにすることもできる。
また、上記各実施形態においては、特定施設として有料道路の料金収受システムやドライブスルー型の店舗あるいは駐車場などに適用した場合について説明したが、他にガソリンスタンドなどの給油機への誘導などに適用することもできるし、あるいはその他の車両を用いて施設内を移動するシステムに適用できる。
さらには、上記各実施形態においては、車両による移動を考えているが、これに限らず、人が携帯することでその移動時の誘導情報を得ることに適用することもできる。この場合には、たとえば、デパートの店舗案内をしたり、あるいは会社などの建物内部の案内をするシステムなど種々の案内システムに適用することもできる。
【0089】
(第9の実施形態)
図30ないし図32は本発明の第9の実施形態を示すもので、車両側に備える構成として図2ないし図4に示した車載器15およびカーナビゲーション装置16を基本的なものとしているもので、カーナビゲーション装置16の経路案内機能において精度の向上を行なえるようにしたものである。
【0090】
すなわち、この実施形態においては、第1の実施形態で述べたように、車載器15により、高速道路などの有料道路のインターチェンジに設けられる料金所に設けられる自動料金収受機能を利用することができるように構成されたものであり、このような構成を利用したときにその通信処理結果を用いて現在位置の検出精度の向上を図るようにしたものである。
【0091】
カーナビゲーション装置16は、一般的にはGPS衛星などの測位電波信号を受信して現在位置を算出するが、このとき、位置計算の精度には限界があり、例えば高低差については一般道路と高架を走る高速道路との区別が明確に付けられなくなる場合がある。すると、一般道路を走行しているにもかかわらず高速道路上を走行している場合の経路案内をしたり、逆に高速道路を走行しているにもかかわらず一般道路を走行している場合の経路案内をしてしまう事態が発生する。このような事態が発生しないように、少なくとも高速道路などの有料道路を走行している場合には、料金所通過のときに行なった料金収受の通信結果をカーナビゲーション側で受け取ることにより走行履歴から推定して高速道路上に位置しているか否かが判定できるようにしたものである。
【0092】
図30はそのようなケースが発生する場合の一例を示すもので、いま車両が一般道路Raを地点P1からP2を経て走行していて、「△△高速道路」と交差している地点P3に差し掛かったときに、インターAから高速道路に入った場合を想定する。車載器15はこのときインターAの入口ゲートで通信処理を行なうと共に、カーナビゲーション装置16に対して表示動作を行なわせる必要がある場合にはその表示指令信号などを与えるようになる。また、このときの通信処理の結果は必要に応じてカーナビゲーション装置16側に送信するように構成されている。
【0093】
そして、車両が高速道路上を地点P4〜P7へと移動し、この後、地点P8に差し掛かると、一般道路R2およびR3と交差するようになる。このとき、カーナビゲーション装置16においてはGPS衛星からの測位電波信号からだけでは正確な高低差を検出することができないため、図31および図32に示すプログラムのフローチャートにしたがって現在位置の判定を行なうようになる。
【0094】
まず、カーナビゲーション装置16は、車載器15が通信処理を行なう毎にその通信を行なった情報を受け取り、その情報の内容に応じて図32に示すフローチャートにしたがって履歴情報のチェックを行なう。車載器15が通信処理を開始すると(ステップW1)、カーナビゲーション装置16は、表示装置19に対する表示情報など必要な処理指令を受けて表示動作を行なわせるようになる。
このとき、車載器15から情報を受ける場合には(ステップW2)、カーナビゲーション装置16は、その情報が入口ゲートを通過した情報であるときに(ステップW3)、ETC入口情報有りとしてセット(記憶)し(ステップW4)、ETC情報表示処理を行なって(ステップW5)リターンする。
【0095】
また、車載器15から受ける情報が予告アンテナからの情報である場合には(ステップW6)、カーナビゲーション装置16は、ステップW5を経てリターンし、出口ゲートを通過した場合には(ステップW7)、ETC入口情報をクリアして(ステップW8)、ステップW5を経てリターンする。これにより、高速道路に入ってから出るまでの間は、カーナビゲーション装置16においては、ETC入口情報が「有り」の状態としてセットされ、それ以外の場合にはクリアされた状態として記憶されるようになる。
【0096】
さて、このように車載器15の通信処理の結果を受けて、カーナビゲーション装置16は、図31に示すプログラムのフローチャートにしたがって判定処理を行なう。まず、現在位置表示処理を開始すると(ステップT1)、GPS情報を取得して現在位置を算出し(ステップT2)、その計算結果が地図上の位置として当てはめたときに道路が重なったところに位置している場合には(ステップT3)、有料道路が含まれているか否かを判断する(ステップT4)。
【0097】
有料道路が含まれている場合には、その時点でETC入口情報が「有り」の状態となっているか否かを判断し(ステップT5)、「有り」の場合にはそのインター名を照合し(ステップT6)、有料道路を走行していることを判断し(ステップT7)、その判定結果を表示装置19により表示させる(ステップT8)。一方、ステップT5で、ETC入口情報が「有り」でない場合には、一般道路を走行していると判定し(ステップT9)、ステップT9を経てリターンする。
【0098】
なお、道路が重なっていない場合(ステップT3)や、有料道路ではなく一般道路同士の交差のような場合(ステップT4)には、そのままステップT8を経てリターンする。なお、この場合には、この後、走行を継続していくうちに、新たな位置情報を得るとそれに基づいて現在進行している経路を認識することができるようになる。
【0099】
このような第9の実施形態によれば、カーナビゲーション装置16単独では判定することが困難となるようなケースであっても、車載器15の通信履歴を利用することで、有料道路であるか否かの判定を正確に行なうことができるようになり、経路案内の精度向上を図ることができるようになる。
【0100】
なお、上記実施形態においては、有料道路と一般道路との交差の場合について説明したが、有料道路同士の場合においてもいずれの有料道路を走行しているかを判定することができるので、これを判定する履歴情報として採用することができる。
また、上記実施形態においては、有料道路の場合を例にとったが、これに限らず、前述の駐車場や店舗などにおける通信処理情報あるいは、有料施設、案内情報などを走行履歴情報として記憶することにより、より正確な経路案内を行なうことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】本発明の第1の実施形態を示す全体構成の概略図
【図2】車両側に搭載する電気的なブロック構成図
【図3】車載器のブロック構成図
【図4】カーナビゲーション装置のブロック構成図
【図5】通信の手続きの流れを示すタイムチャート(その1)
【図6】通信の手続きの流れを示すタイムチャート(その2)
【図7】車載器の通信処理内容を示すプログラムのフローチャート
【図8】誘導情報の表示画面を示す図(その1)
【図9】誘導情報の表示画面を示す図(その2)
【図10】誘導情報の表示画面を示す図(その3)
【図11】誘導情報の表示画面を示す図(その4)
【図12】本発明の第2の実施形態を示す図2相当図
【図13】本発明の第3の実施形態を示す図3相当図
【図14】本発明の第4の実施形態を示す図3相当図
【図15】本発明の第5の実施形態を示す図2相当図
【図16】図3相当図
【図17】本発明の第6の実施形態を示す図7相当図
【図18】誘導情報の表示画面を示す図(その1)
【図19】誘導情報の表示画面を示す図(その2)
【図20】本発明の第7の実施形態を示す駐車場の駐車フロア平面図
【図21】誘導情報の表示画面を示す図
【図22】入口アンテナの通信処理内容を示すプログラムのフローチャート
【図23】出口アンテナの通信処理内容を示すプログラムのフローチャート
【図24】車載器の通信処理内容を簡略的に示すプログラムのフローチャート
【図25】本発明の第8の実施形態を示す店舗の平面図
【図26】誘導情報の表示画面を示す図(その1)
【図27】誘導情報の表示画面を示す図(その2)
【図28】誘導情報の表示画面を示す図(その3)
【図29】誘導情報の表示画面を示す図(その4)
【図30】本発明の第9の実施形態を示す地図上での交差の場合を示す作用説明図
【図31】動作プログラムのフローチャート(その1)
【図32】動作プログラムのフローチャート(その2)
【符号の説明】
【0102】
1は誘導路、2は料金所(特定施設)、4は予告アンテナ(路側機、固定局通信装置)、7,8は出口アンテナ(路側機、固定局通信装置)、11は路側機側主制御部、12はゲート情報記憶部、13は管理通信網、14は管理センター制御部、15,42は車載器(車載端末装置、移動体通信装置)、16,43はカーナビゲーション装置(ナビゲーション装置)、18は地図データ入力器、19は表示装置(表示手段、情報出力手段)、20はスピーカ(音声出力手段、情報出力手段)、21は制御回路(判断手段、誘導情報作成手段)、22はDSRC無線通信回路、23はICカードインターフェース、24はICカード、25はセキュリティモジュール部、26は外部機器インターフェース、27はヒューマンインターフェース、28は表示部、29はブザー、30はACC信号インターフェース、31は電源回路、32は制御回路、33は位置検出器、34は外部機器インターフェース、35は操作スイッチ群、36は外部メモリ、39はデータ記録媒体(情報源)、40は電源回路、41は太陽電池、44は車内無線LAN通信装置、45は駐車フロア(特定施設)、48は案内用アンテナ、49は駐車スペース、51はハンバーガーショップ(ドライブスルー型店舗、特定施設)、52は進入路、53は受付アンテナ(固定局通信装置)、54は退出路、56は出口アンテナ(固定局通信装置)である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有料道路の出入口に設けられる自動料金収受用の通信装置と通信を行なって料金収受処理を行なう車載端末装置と、
車両の現在位置を検出して地図データに基づいて地図上の位置を特定すると共に目的地への経路案内を行なうナビゲーション装置とを備え、
前記ナビゲーション装置は、地図上の走行道路が高低差をもって交差する部分では、前記車載端末装置により前記料金収受処理を行なった前記有料道路の出入口の情報に基づいて、現在位置を特定するように構成されていることを特徴とする移動体案内装置。
【請求項2】
有料道路の出入口に設けられる自動料金収受用の通信装置と通信を行なって料金収受処理を行なう車載端末装置と、
車両の現在位置を検出して地図データに基づいて地図上の位置を特定すると共に目的地への経路案内を行なうナビゲーション装置とを備え、
前記ナビゲーション装置は、高速道路の高架の下に並行して一般道路が存在する部分では、前記車載端末装置により前記料金収受処理を行なった前記有料道路の出入口の情報に基づいて、現在位置を特定するように構成されていることを特徴とする移動体案内装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【公開番号】特開2006−98410(P2006−98410A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−324610(P2005−324610)
【出願日】平成17年11月9日(2005.11.9)
【分割の表示】特願平11−312733の分割
【原出願日】平成11年11月2日(1999.11.2)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】