説明

移動体用情報処理装置

【課題】送信する情報は従来と同じく簡単な情報であるが、相手先の移動体通信ナビゲーションシステム内のアプリケーションソフトウェアを起動し無線通信されてきた情報を加工修正して、相手先及び自己に有効な情報へと作り替えて利用する。
【解決手段】移動体の位置を入力する位置入力手段と、他の装置との情報の無線通信を行う無線通信手段と、移動体通信ナビゲーションシステムで使用する情報を演算制御する演算制御手段と、演算処理の結果及び操作者の意志を伝達するマンインタフェース手段と、CPU(中央演算処理装置)とメモリ(記憶手段)を利用するアプリケーションソフトウェアとを有する移動体ナビゲーションシステムにおいて、無線通信手段を通して得た情報により、上記ソフトウェアを起動し、位置入力手段から得た位置データを元に演算処理を行った結果の情報を記憶手段によって記憶する事を特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、移動体間もしくは移動体と固定局との間の通信を行う移動体通信システム等に用いられる移動体用情報処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図9は従来の移動体通信ナビゲーションシステムを用いたテレターミナルシステムを示す構成図である。401は車両等の移動体であり、402は固定局である本部を示す。移動体401には、上空のGPS衛星400a〜400dからの電波を受信してGPS測位による位置座標を算出するGPS受信機、GPS用のアンテナ及び自立航法用のセンサー部からなる位置入力手段404と、信号・電波変換部及び電波送受信部からなる無線通信手段405と、これらの位置・通信情報を集約・制御する制御手段403とからなる移動体ナビゲーションシステム412が搭載されている。
【0003】
また、本部402には、制御手段408、スイッチ入力部及び表示部からなるマンマシンインタフェース手段410と、電波・信号変換部及び電波送受信部からなる無線通信手段409とにより構成される情報端末装置413が設けられている。また、移動体401には無線通信用のアンテナ407が設けられ、本部402にも無線通信用のアンテナ411が設けられている。
【0004】
次に動作について説明する。移動体401において、GPS衛星400a〜400dの電波をGPS用のアンテナで受信し、GPS受信機にて測位位置を算出する。このとき、自律走行用のセンサー部からは走行距離・走行方位情報を得る。これらの情報をもとに制御手段403で移動体の位置を算出し、この制御手段403からの出力信号を、無線通信手段405において、信号・電波変換部により電波に変換し、電波送受信部によりアンテナ407を介して電波を送信する。
【0005】
一方、本部402では、無線通信手段409の電波送受信部がアンテナ411を介して移動体401からの電波を受信し、電波・信号変換部において電波から変換された信号を移動体の現在位置・速度・方位等の情報(信号)に変換し、制御手段408はこれらの情報を表示用の情報として処理し、マンマシンインタフェース手段410のスイッチ入力部で選択することにより、表示部に選択された表示用の情報を表示する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以上のような従来の移動体通信ナビゲーションシステムにおいては、無線通信により送受信する情報は、データのみであってこのデータの処理についての情報は含まれていなかったので、データの処理については受信側のみで判断もしくは決定しなければならないという問題点があった。
【0007】
特に移動体側のナビゲーションシステムにおいては、データの処理をどのように行うかを判断するために、操作者が煩雑な操作を繰り返して必要なアプリケーションソフトウェアを起動する必要があり、運転中にこのような操作を行うことにより危険が生じていた。
【0008】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、送受信される情報に対して、適切な処理を行うことができると共に、移動体の安全性を高めることができる移動体用情報処理装置及び移動体通信システムを得ることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明に係る移動体用情報処理装置は、移動体の現在位置を地図画面上に表示する現在位置表示処理を含む複数の処理を行う情報処理手段と、他の通信装置から送信され複数の処理の内の受信側で起動すべき一の処理を指定する処理指定データ及びこの一の処理に用いられる位置情報または時刻情報を含む情報データを受信する受信手段とを設け、処理指定データにより指定された一の処理に基づいて情報データを処理するものである。
【0010】
また、他の通信装置に送信する送信手段を設け、処理指定データにより指定された一の処理に基づいて情報データを処理すると共に、一の処理による処理結果を送信手段により他の通信装置に送信するものである。
【0011】
また、処理指定データ及び情報データを受信手段が受信してから処理結果を送信手段により他の通信装置に送信するまでの間は、受信手段及び送信手段は通信しないものである。
【0012】
また、複数の処理は、自動経路探索機能もしくはスケジュール機能を含むものである。
【発明の効果】
【0013】
この発明に係る移動体用情報処理装置は、移動体の現在位置を地図画面上に表示する現在位置表示処理を含む複数の処理を行う情報処理手段と、他の通信装置から送信され複数の処理の内の受信側で起動すべき一の処理を指定する処理指定データ及びこの一の処理に用いられる位置情報または時刻情報を含む情報データを受信する受信手段とを設け、処理指定データにより指定された一の処理に基づいて情報データを処理するものであるので、たとえ移動体が移動中であっても、自動的に且つ適切な処理を行うことができ、移動体内での煩雑な操作を行うことがなくなるものである。
【0014】
また、他の通信装置に送信する送信手段を設け、処理指定データにより指定された一の処理に基づいて情報データを処理すると共に、一の処理による処理結果を送信手段により他の通信装置に送信するものであるので、自動的に且つ適切な処理を行い、処理結果を送信するすることができるものである。
【0015】
また、処理指定データ及び情報データを受信手段が受信してから処理結果を送信手段により他の通信装置に送信するまでの間は、受信手段及び送信手段は通信しないものであるので、不必要な通信を行うことがなく、受信及び送信手段の有効利用が図れるものである。
【0016】
また、複数の処理は、自動経路探索機能もしくはスケジュール機能を含むものであるので、複雑な操作が要求される自動経路探索機能及びスケジュール機能を自動的に行うことができるものである。
【0017】
以上のように、この発明によれば、たとえ移動体が移動中であっても、自動的に且つ適切な処理を行うことができ、移動体内での煩雑な操作を行うことがなくなり、移動体の安全性を高めることができる効果がある。
【0018】
この発明によれば、他の通信装置に送信する情報データを有効利用させることができる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
実施の形態1.
図1はこの発明の一実施形態の移動体用情報処理装置もしくは移動体通信システムとしての移動体通信ナビゲーションシステムのナビゲーション装置を示す構成図である。図2はこの図1に示される移動体通信ナビゲーション装置が設けられた二つの移動体で構成される移動体通信ナビゲーションシステムを示す構成図である。
【0020】
これらの図において、10はGPS受信機であり、このGPS受信機10は、複数のGPS衛星の信号を受信するGPSアンテナ11、このGPSアンテナ11から得た信号を元信号に戻すためのGPS復調部12、GPS衛星のスペクトラム拡散信号を復号化する拡散復調部13、この拡散復調部13にて拡散復調された信号から実際に必要なデータの形に複合化し復調するデータ復調部14から構成されている。
【0021】
1は位置入力手段であり、走行距離を測定する測距部15と、走行方位を測定する方位センサ部16と、GPS受信機10と、各データを演算制御手段3に伝送するためのインタフェース部17とから構成されている。この位置入力手段1は移動体の現在位置を測定、算出するものである。
【0022】
2は無線通信手段であり、この無線通信手段2は、複数の移動体通信ナビゲーションシステムと無線通信を行うための通信用アンテナ20と、通信用アンテナ20により受信した信号を元信号に戻すためのラジオ復調を行うラジオ(radio)復調部21、元信号から実際に必要なデータの形に復号化するデータ復調部22、復号化されたデータを演算制御手段3に送出し、または、演算制御手段3の結果のデータを送入するためのインタフェース部25、インタフェース部25から送出されたデータを符号化し変調するデータ変調部24、データ変調された信号のラジオ変調を行うラジオ変調部23から構成されている。
ここでは、通信手段として無線通信手段2を示したが、車載用携帯電話及びモデム等を用いて電話回線を利用してもよい。
【0023】
3は演算制御手段であり、位置入力手段1、無線通信手段2、マンマシンインタフェース手段4とのデータの伝送を行うインタフェース部32、地図情報が記憶されている地図データ部33、現在の時刻を刻むリアルタイムクロック34、演算処理を行うCPU30、このCPU30の動作状態並びに情報の記憶を行うメモリ31から構成されている。また、移動体通信ナビゲーションシステム等の機能をCPU30を用いて実現するための複数のアプリケーションソフトウェア35から構成されている。
【0024】
4はマンマシンインタフェース手段であり、演算制御手段3とデータの伝送を行うインタフェース部44、映像の表示もしくは映像の入出力を行う映像部41、音の入出力を行う音響部42、操作者の意志を伝達する操作部43から構成されている。
【0025】
以上のように、この移動体通信ナビゲーション装置は、移動体の現在位置を検出して出力する位置入力手段1と、他の移動体通信ナビゲーション装置もしくは固定局と無線により通信するための無線通信手段2と、様々な演算処理及び処理結果の記憶を行う演算制御部3と、使用者に情報の提示を行うと共に、使用者が様々な命令及び情報を入力することができるマンマシンインタフェース手段4とにより構成されている。
【0026】
図3は演算制御手段3が有する機能群を示す説明図である。この図を用いて演算制御手段3の機能について説明する。
まず、ナビゲーション機能5とは、地図データによる地図上で現在位置を示して使用者に現在位置情報及び地図情報を提示する機能である。このナビゲーション機能5としては、位置入力手段1から入手した位置データ(緯度経度、進行方位、距離)を基に地図データ部33の道路データ(リンク方位、リンク距離)との照合を行い移動体の位置推測を行うマップマッチング機能50や、経路機能6を用いて記憶している経路データと、マップマッチング機能50による推測の位置とで経路の誘導を行う経路誘導機能51がある。
【0027】
一方、このナビゲーション機能5に付加されるアプリケーションソフトウェア6として、経路機能60、スケージュール機能63、文書作成機能69が設けられている。
【0028】
経路機能60は二点間の最適経路を探索したり、記憶する機能である。この経路機能60としては、マンマシンインタフェース手段4を使用者が操作することによって、地図データ部33を検索し、目的地、出発地の位置(緯度経度)を入手し、地図データ部33の道路ネットワークデータを利用して出発地から目的地にいたる経路を求める自動経路探索機能61や、自動経路探索機能61の結果の経路データ(ノード位置、ノード間方位、ノード間距離)や、目的地、出発地等の地点を記憶し、登録する経路登録機能62がある。
【0029】
スケジュール機能63は移動体の運行予定もしくは使用者の行動予定を記録、管理する機能である。このスケジュール機能63としては、マンマシンインタフェース手段4を使用者が操作することによって、地図データ部33を検索し、所望の地点を選びその地点に対する到着希望時間や出発希望時間などのスケジュールデータを作成するスケジュール作成機能67と、作成したスケジュールデータを記憶登録するスケージュール登録機能68と、記憶登録したスケージュールデータに対して、ナビゲーション機能5で算出される推定移動体位置及びリアルタイムクロック34もしくはGPS受信機10から現在の時刻を入手してスケジュールの監視を行うスケジュール管理機能64とがある。
【0030】
さらにスケジュール機能63としては、スケジュール登録機能68において記憶したスケジュールデータと異なる状態になったことをスケジュール管理機能64が検出した場合に、記憶しているスケージュールデータ内での調整を行うスケジュール調整機能65と、記憶しているスケジュールデータの範囲内では調整が出来ない場合にスケジュールデータの修正を行うスケジュール修正機能66とがある。
【0031】
また、文書作成機能69は、文書をマンマシンインタフェース手段4からの入力により作成することができるものである。ここで、作成された文書は表示したり、送信したりすることができる。
以上のように、演算制御手段3ではナビゲーション機能5、経路機能60、スケジュール機能63、文書作成機能69等の様々な処理を行うものである。
【0032】
図4は送信する側の移動体通信ナビゲーションにおける送信するまでの手順を示したフローチャートである。
この図において、図中のスタートの時点において、目的地やスケジュール等のデータはマンマシンインタフェース手段4にてメモリ31に記憶登録されていて、ナビゲーション機能5で現在の移動体の位置を推定しているものとする。
【0033】
まず、スタート後に位置入力手段1からのインタフェース部17、32を介して位置データを取得し(STEP1)、取得した位置データの付近の道路ネットワークデータを含む地図データを地図データ部33から取得し(STEP2)、取得した位置データの緯度経度、進行方位、進行距離と地図データの道路ネットワークデータの緯度経度、リンク方位、リンク距離とを比較照合し、位置推定を行う(STEP3)。この位置推定までをマップマッチング処理(Sub1)という。
【0034】
既にメモリ31に記憶登録している経路データの内、STEP3で推定した位置推定データ付近の経路データを取得し(STEP4)、位置推定データの緯度経度、進行方向と経路データの緯度経度、誘導リンク方位とを比較し(STEP5)、経路から外れているかの判断をし(STEP6)、経路から外れていない場合(no)は、状態データとしてStus(r)=0とする(STEP7a)。経路から外れている場合(yes)は、Stus(r)=1とする(STEP7b)。この経路データ比較までを経路誘導処理(Sub2)という。
【0035】
時刻データをリアルタイムクロック34もしくはGPS受信機10から取得し(STEP8)、既にメモリ31に記憶登録しているスケジュールデータの内、STEP3で推定した位置推定データ付近のスケジュールデータを取得し(STEP9)、スケジュールデータの緯度経度、到着予定時間と、位置推定データの緯度経度、時刻データを比較し(STEP10)、スケージュール通りかどうかの判断をし(STEP11)、スケジュール通りの場合(yes)は、状態データとしてStus(s)=0とする(STEP12a)。スケジュールデータ通りでない場合(no)は、Stus(s)=1とする(STEP12b)。このスケジュールデータ比較までをスケジュール管理処理(Sub3)という。
【0036】
状態データのStus(r)、Stus(s)の値を判断し(STEP13)、両方とも0の場合は(no)、STEP1に戻る。そして、どちらか一方でも1の場合は(yes)、STEP14に進む。
【0037】
次に、STEP11で使用したスケジュールデータから、送信先のデータを取得し(STEP14)、相手先で起動すべきアプリケーションソフトウェアのコード、必要なパラメータ、送信先のコードを無線通信手段2にインタフェース部32、25を通して伝送する。無線通信手段2に送信指示を行い、無線通信手段2は送信を行い(STEP16)、送信完了を待つ(STEP17)、送信が正常に完了すれば(yes)、STEP1に戻る。送信が正常に完了しない場合は(no)、STEP16に戻る。STEP14から17までを送信処理(Sub4)という。
【0038】
以上のように、移動体通信ナビゲーションシステムのナビゲーション装置は、現在位置を検出し、この現在位置を記憶されている経路データとを比較し、また、現在位置及び時刻データをスケジュールデータと比較して、送信の必要性及び必要であれば送信先を決定し、この決定された送信先に送信することを自動的に行うものである。
【0039】
次に、図4を用いて説明した自動的に送信を行う処理の代わりに、使用者がマンマシンインタフェース手段4を用いることによって、入力して送信する処理を行うことについて説明する。
図5はマンマシンインタフェース手段4で目的地、スケジュール等のデータを入力し、無線通信手段2にて、受信側でアプリケーションソフトウェアを起動させる場合の送信側の移動体通信ナビゲーションシステムの送信側の処理を示すフローチャートである。
【0040】
この図において、マンマシンインタフェース手段4の操作部43のキーデータが監視されていて(STEP101)、キーデータが発生すれば送信メニューを開き(STEP102)、操作部43からキー操作によって、相手先で起動すべきアプリケーションソフトウェアのコード、目的地、スケジュール、送信先のコードなどを入力し(STEP103)、入力された各データ、相手先で起動すべきアプリケーションソフトウェアのコード、目的地、スケジュール、送信先のコードを無線通信手段2にインタフェース部32、25を通して伝送する(STEP104)。無線通信手段2は送信を行い(STEP105)、送信完了を待つ(STEP106)、送信が正常に完了すれば(yes)、処理は終了する。送信が正常に完了しない場合は(no)、STEP105に戻る。STEP102から106までを送信メニュー処理(Sub100)という。
【0041】
図6は図5に示した移動体通信ナビゲーションシステムの送信側の処理の他の一例を示すフローチャートである。
この図において、STEP101からSTEP106までは図5に示すものと同様であるので説明を省略する。
ここで、STEP106で送信が正常に完了すれば(yes)、送信を完了し、通信状態を終了させる(STEP107)。このとき、通信状態を終了させることで、電力の消費を抑えることができる。
【0042】
そして、相手先から通信が再開されるかどうかを受信データが来るかどうかで監視し(STEP108)、受信データが来れば(yes)、受信データをメモリ31に記憶し(STEP109)、処理を終了する。以上を送信メニュー処理(sub100B)とする。
これは、特に、送信後にこの送信した内容について返信がある際に、電力や通信網の利用の無駄がなく、通信を有効に行わせることができるものである。
【0043】
以上のように図4、図5または図6に示した送信時の処理によって送信されると、次に、送信先コードにより指定された受信側の移動体通信ナビゲーション装置が受信処理を行う。そして、指定された移動体通信ナビゲーション装置は、送信先コードを確認し、次に、アプリケーションソフトウェアコードを確認して、指定のアプリケーションソフトウェアの処理へと移行する。
【0044】
図7は移動体通信ナビゲーションシステムの受信側での経路機能を用いた処理を示すフローチャートである。この図において、スタートでは、既に、目的地やスケジュール等のデータがマンマシンインタフェース手段4等によりメモリ31に記憶登録されている。
【0045】
無線通信手段2からの受信データを監視し(STEP201)、受信データがあれば(yes)、受信データ内のアプリケーションソフトウェアコードが自動経路探索であることを確認する(STEP202)。アプリケーションソフトウェアコードが自動経路探索でない場合は(no)、STEP201に戻る。一方アプリケーションソフトウェアコードが自動経路探索の場合は(yes)、経路機能60を起動し(STEP203)、ナビゲーション機能5のマップマッチング機能50での位置推定データ(修正後の現在位置データ)を取得する(STEP204)。
【0046】
次に、位置推定データを起点とし、受信した受信データ内の目的地を終点とする領域の道路ネットワークデータのある地図データを地図データ部33から取得し(STEP205)、起点終点の2点間の道路ネットワークデータを地図データにより演算処理を行い(STEP206)、経路結果をメモリ31に記憶登録し(STEP207)、送信されてきた相手先に経路結果を送信する(STEP208)。STEP203からSTEP208までを経路機能(Sub200)という。
【0047】
以上のように、アプリケーションソフトウェアコードが自動経路探索処理を示している際には、受信側の移動体通信ナビゲーション装置は経路探索処理を自動的に行い、その経路結果を送信するものである。また、この経路結果をその他の通信装置に送信してもよい。例えば、経路結果を必ず送信する所定の通信装置を予め本部等に設置しておけばよい。
【0048】
図8は移動体通信ナビゲーションシステムの受信側でのスケジュール機能を用いた処理を示すフローチャートである。この図において、スタートでは既に目的地、スケジュール等のデータをマンマシンインタフェース手段4にてメモリに記憶登録されている。
ここで、スケジュールデータとは行く先の場所名及び位置、到着予定時刻等のデータである。
【0049】
まず、無線通信手段2からの受信データを待つ(STEP301)、受信データがあれば(yes)、受信データ内のアプリケーションソフトウェアコードがスケジュールであることを確認する(STEP302)。アプリケーションソフトウェアコードがスケジュールでない場合は(no)、STEP301に戻る。一方、アプリケーションソフトウェアコードがスケジュールの場合は(yes)、スケジュール機能63を起動し(STEP304)、メモリ31内の経路データを取得し(STEP305)、経路データに相対するメモリ31内のスケジュールデータを取得する(STEP306)。
【0050】
次に、複数の既存のスケジュールデータの一つづつと通信によって得られた受信データ内のスケジュールデータとを比較し(STEP307)、既存のスケジュールデータと通信によって得られた受信データ内のスケジュールデータとで到着予定時刻及び地点のデータに違いがあるかを判断する。既存のスケジュールデータと通信によって得られた受信データ内のスケジュールデータとに違いが無い場合は(no)、スケジュール処理を終了する。これは、全く同じであれば、スケジュールデータの書き換えを行う必要がないからである。
【0051】
既存のスケジュールデータと通信によって得られた受信データ内のスケジュールデータとに違いがある場合は(yes)、既存のスケジュールデータと通信によって得られた受信データ内のスケジュールデータを併せて到着予定時刻の早い順番に並べ替える(STEP309)。並べ替えが終わり1つとなったスケジュールデータに同一到着予定時刻で2つ以上の地点があるかを判断する(STEP310)。並べ替えが終わり1つとなったスケジュールデータに同一到着予定時刻で2つ以上の地点がある場合は(yes)、STEP313に進む。一方、並べ替えが終わり1つとなったスケジュールデータに同一到着予定時刻で2つ以上の地点が無い場合は(no)、並べ替えが終わり1つとなったスケジュールデータに近接した時刻に2つ以上の地点があるかを判断する(STEP311)。
【0052】
並べ替えが終わり1つとなったスケジュールデータに近接した時刻に2つ以上の地点が無い場合は(no)、STEP317に進む。一方、並べ替えが終わり1つとなったスケジュールデータに近接した時刻に2つ以上の地点がある場合は(yes)、その地点間の到着予定時刻の差が無理の無い時間であるかを、その地点間の距離(もしくは距離に交通状況を示すパラメータを加味したデータ)によって判断する(STEP312)。地点間の距離が無理のない(到達可能な)距離である場合は(no)、STEP317に進む。地点間の距離が無理のある(到達不可能な)距離の場合は(yes)、STEP313に進む。このとき、道路状況等を用いることにより、より正確に到達可能かどうかを判断することができる。
【0053】
STEP313では、スケジュールデータ内の到着予定時刻、相手先の重要性などのパラメータにより、スケジュールデータの組み替えを行い希望スケジュールデータを演算する。この結果を、組み替えによって変更になった地点の相手先に対して、無線通信手段2を用いて連絡を行う(STEP314)、無線通信手段2により、送信したすべての相手先より了解が得られたかを待つ(STEP315)、了解が得られない場合は(no)、了解の得られなかった地点の相手先の重要性を変更し、再度STEP313に戻る。一方了解が得られた場合は(yes)、希望スケジュールデータをスケジュールデータとし(STEP316)、STEP317に進む。STEP317では、新たなスケジュールデータをメモリ31に記憶登録する。このとき、新たなスケジュールデータが記録登録された際には、音声によりスケジュールデータが変更されたことを使用者に伝達してもよい。
また、このときに変更されたスケジュールデータの内容を音声もしくは表示によって使用者に伝達してもよい。
【0054】
以上のように、予め記憶していたスケジュールデータに受信したスケジュールデータを組み込み、また、組み込む際に重複もしくは時間的、距離的に不可能なスケジュールが存在した場合には他の通信装置と連絡することによりその調整を行うものである。
また、調整が時間内に行うことができない場合や不可能な場合には、その旨を使用者に知らせるたり、他の通信装置に知らせることとしてもよい。
【0055】
以上のように、図7、図8においてはそれぞれ経路機能とスケジュール機能について説明したが、その他の機能(例えば、文書作成機能)についても同様に行うことができるものである。
また、実施の形態1においては移動体における送受信について説明したが、どちらか一方もしくは両方が固定局であってもよい。また、三つ以上の局間での送受信であってもよい。例えば、複数の固定局を経由地とする経路およびスケジュールデータが記憶されている際に、もう一つの固定局を経由するべく、固定局の情報と経路機能及びスケジュール機能を指示する情報とを受信した場合には、スケジュールデータの調節を行うと共に、経路探索を行うこととなる。
【0056】
また、この発明の特徴として、移動体通信ナビゲーションシステムにおいて、移動体の位置データを出力する位置出力手段と、無線通信を行う無線通信手段と、演算処理及び装置の制御を行う演算制御手段と、操作者が操作して入力する操作手段と、演算制御手段において利用されるアプリケーションソフトウェアとを有した受信側及び送信側の通信装置を設けるものであって、送信側の通信装置は、アプリケーションソフトウェアが位置出力手段もしくは操作手段の出力に基づいて受信側の通信装置で起動すべきアプリケーションソフトウェアを決定し、この決定されたアプリケーションソフトウェアを起動させるデータとこの決定されたアプリケーションソフトウェアに必要なデータとを無線通信手段を通して送信すると共に、受信側の通信装置は、無線通信手段を通して得たデータにより、アプリケーションソフトウェアを起動し、位置入力手段から得た位置データを元に演算処理を行った結果の情報を記憶手段によって記憶することがあり、このことにより、無線通信による他の装置からの情報によって、その情報が適したアプリケーションソフトウェアを起動し、情報を加工修正する事ができ、その結果の情報を記憶することができるものである。
【0057】
また、この発明の特徴として、移動体の位置を入力する位置入力手段と、他の装置との情報の無線通信を行う無線通信手段と、移動体通信ナビゲーションシステムで使用する情報を演算制御する演算制御手段と、演算制御手段において、CPUとメモリを利用するアプリケーションソフトウェアとを有する移動体ナビゲーションシステムにおいて、送信側でアプリケーションソフトウェアが移動体の位置のデータ及び操作者の意志に基づいて、相手先の起動すべきアプリケーションソフトウェアを想定し、そのアプリケーションソフトウェアが使用するパラメータ(データ)とともに、無線通信手段を通して送信し、一方、受信側では、無線通信手段を通して得た情報(起動すべきアプリケーションソフトウェアとパラメータ)により、アプリケーションソフトウェアを起動し、位置入力手段から得た位置データを元に演算処理を行った結果の情報を無線通信手段によって通信することあり、このことにより、無線通信による他の装置からの情報によって、その情報が適したアプリケーションソフトウェアを起動し、情報を加工修正することができ、その結果の情報を通信することができるものである。
【0058】
また、この発明の特徴として、他の装置から無線通信手段を通して情報を得たときに、一旦、無線通信を遮断し、演算処理の完了を待って情報の結果を無線通信手段によって、再び通信することがあり、このことにより、無線通信の通信線を張るのは、要求及び結果の通信時のみとすることにより、無線における通信チャンネルの有効な活用ができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の一実施形態のナビゲーション装置を示す構成図である。
【図2】本発明のナビゲーション装置が設けられた二つの移動体を示す構成図である。
【図3】本発明の演算制御手段が有する機能群を示す説明図である。
【図4】本発明のナビゲーション装置における送信手順を示したフローチャートである。
【図5】本発明のナビゲーション装置における送信手順を示したフローチャートである。
【図6】本発明のナビゲーション装置における送信手順を示したフローチャートである。
【図7】本発明のナビゲーション装置における受信時の経路機能による処理を示したフローチャートである。
【図8】本発明のナビゲーション装置における受信時のスケジュール機能による処理を示したフローチャートである。
【図9】従来の移動体通信ナビゲーションシステムを用いたテレターミナルシステムを示す構成図である。
【符号の説明】
【0060】
1 位置入力手段、2 無線通信手段、3 演算制御手段、4 マンマシンインタフェース手段、35 アプリケーションソフトウェア、60 経路機能、63 スケジュール機能。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体の現在位置を地図画面上に表示する現在位置表示処理を含む複数の処理を行う情報処理手段と、他の通信装置から送信され上記複数の処理の内の受信側で起動すべき一の処理を指定する処理指定データ及びこの一の処理に用いられる位置情報または時間情報を含む情報データを受信する受信手段とを備え、上記処理指定データにより指定された上記一の処理に基づいて上記情報データを処理することを特徴とする移動体用情報処理装置。
【請求項2】
他の通信装置に送信する送信手段を備え、処理指定データにより指定された一の処理に基づいて情報データを処理すると共に、上記一の処理による処理結果を上記送信手段により上記他の通信装置に送信することを特徴とする請求項1記載の移動体用情報処理装置。
【請求項3】
処理指定データ及び情報データを受信手段が受信してから処理結果を送信手段により他の通信装置に送信するまでの間は、上記受信手段及び送信手段は通信しないことを特徴とする請求項2記載の移動体用情報処理装置。
【請求項4】
複数の処理は、自動経路探索機能もしくはスケジュール機能を含むことを特徴とする請求項1記載の移動体用情報処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−78698(P2007−78698A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−292762(P2006−292762)
【出願日】平成18年10月27日(2006.10.27)
【分割の表示】特願2003−104281(P2003−104281)の分割
【原出願日】平成7年4月20日(1995.4.20)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】