説明

移動体用測位システム

【課題】基準局側で導出される速度補正データを用いて精度良く移動体の位置等を測位することができる移動体用測位システムの提供。
【解決手段】本発明による移動体用測位システムは、基準局20に設けられ、該基準局で観測して得られる衛星電波のドップラレンジに基づいて該基準局の速度を測位し、該測位結果に基づいて速度補正データを生成する補正データ生成手段50,52と、前記基準局に設けられ、該基準局で観測して得られる衛星電波の観測データと、前記速度補正データとを移動体に送信するデータ送信手段54と、前記移動体30に設けられ、前記基準局から送信される前記観測及び速度補正データを受信するデータ受信手段40と、前記移動体に設けられ、該移動体で観測して得られる衛星電波の観測データと、前記データ受信手段で受信した前記観測及び速度補正データとに基づいて、該移動体の位置を測位する測位手段42,44,46,48とを備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基準局側の観測データを用いて移動体の位置等を測位する移動体用測位システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、近接車両でのGPS電波伝搬時間のデータと自車でのGPS電波伝搬時間のデータとの差分を求めると共に、これにより求められた3個以上のGPS電波伝搬時間差分値と未知数となる相対位置との関係式を連立させて解くことによって自車を基準とした近接車両の相対位置を求める、GPS電波伝搬時間差分による相対位置算出手段と、を備えたことを特徴とする車車間通信による相対位置算出装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、DGPS(Differential Global. Positioning System)は一般的に知られており(例えば、特許文献2参照)、DGPSでは、基地局側から供給される補正データは、擬似距離に関する補正データであり、移動局側で観測される擬似距離を補正する際に利用されている。
【特許文献1】特開平10−148665号公報
【特許文献2】特開2005−308462号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の特許文献1に記載の技術では、測位にGPS電波伝搬時間の差分と、自車と衛星とを結んだ線分の相対座標系の各軸とのなす角度の方向余弦とを用いて表現する幾何的な関係式を設定し、当該関係式を連立させることで相対位置を求めている。しかしながら、かかる構成では、誤差の大きいGPS電波伝搬時間のみを観測データとして利用する点や、自車と衛星とを結んだ線分の相対座標系の各軸とのなす角度の方向余弦を正確に求めることができない点等に起因して、測位精度の観点で問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、基準局側で導出される速度補正データを用いて精度良く移動体の位置等を測位することができる移動体用測位システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、第1の発明に係る移動体用測位システムは、固定位置に配置される基準局に設けられ、該基準局で観測して得られる衛星電波のドップラレンジに基づいて該基準局の速度を測位し、該測位結果に基づいて速度補正データを生成する補正データ生成手段と、
前記基準局に設けられ、該基準局で観測して得られる衛星電波の観測データと、前記速度補正データとを移動体に送信するデータ送信手段と、
前記移動体に設けられ、前記基準局から送信される前記観測データと前記速度補正データを受信するデータ受信手段と、
前記移動体に設けられ、該移動体で観測して得られる衛星電波の観測データと、前記データ受信手段で受信した前記観測データと、前記データ受信手段で受信した前記速度補正データとに基づいて、該移動体の位置を測位する測位手段とを備えることを特徴とする。
【0007】
第2の発明は、第1の発明に係る移動体用測位システムにおいて、
前記速度補正データ生成手段は、前記基準局の速度の測位結果を所定時間積算し、該積算した値に基づいて、前記速度補正データを生成することを特徴とする。
【0008】
第3の発明は、第1の発明に係る移動体用測位システムにおいて、
前記速度補正データ生成手段は、前記基準局の速度の測位結果を所定時間積算し、該積算した値に基づいて、前記基準局の速度の測位結果のドリフト率を算出し、該算出したドリフト率に基づいて前記速度補正データを生成することを特徴とする。
【0009】
第4の発明は、第1の発明に係る移動体用測位システムにおいて、
前記衛星電波の観測データは、衛星からの電波の搬送波の位相の積算値(以下、「搬送波位相積算値」という)を含み、
前記測位手段は、前記基準局側で取得された衛星電波の観測データと、前記移動体側で取得された衛星電波の観測データの一重位相差若しくは二重位相差を観測量とし、前記移動体の位置、及び、前記搬送波位相積算値に含まれる整数値バイアスの一重位相差若しくは二重位相差を状態変数とした関係式を用いて、干渉測位により前記移動体の位置を測位し、該測位過程で前記速度補正データを用いることを特徴とする。
【0010】
第5の発明は、第4の発明に係る移動体用測位システムにおいて、
前記測位手段は、前記関係式に対する拘束条件であって、2時点における前記移動体の位置の各測位結果間の関係に対する拘束条件として、前記速度補正データを用いることを特徴とする。
【0011】
第6の発明は、第4の発明に係る移動体用測位システムにおいて、
前記測位手段は、前記関係式に加えて、
前記移動体で観測して得られるドップラレンジを観測量とし、前記移動体の位置及び速度を状態量とする関係式であって、前記速度補正データを反映する補正項が導入された関係式を用いて、前記移動体の位置を測位することを特徴とする。
【0012】
第7の発明は、第4の発明に係る移動体用測位システムにおいて、
前記測位手段は、前記衛星電波の観測データをエポック毎に独立して用いる瞬時測位法により前記干渉測位を行うことを特徴とする。
【0013】
第8の発明に係る移動体用測位システムは、固定位置に配置される基準局に設けられ、該基準局で観測して得られる衛星電波のドップラレンジに基づいて該基準局の速度を測位し、該測位結果に基づいて速度補正データを生成する補正データ生成手段と、
前記基準局に設けられ、前記速度補正データを移動体に送信する速度補正データ送信手段と、
前記移動体に設けられ、前記基準局から送信される前記速度補正データを受信する速度補正データ受信手段と、
前記移動体に設けられ、該移動体で観測して得られる衛星電波のドップラレンジと、前記速度補正データ受信手段で受信した前記速度補正データとに基づいて、前記速度補正データで補正された該移動体の速度を算出する移動体速度算出手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、基準局側で導出される速度補正データを用いて精度良く移動体の位置等を測位することができる移動体用測位システムが得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態の説明を行う。
【0016】
図1は、本発明に係る移動体用測位システムが適用されるGPS(Global Positioning System)の全体的な構成を示すシステム構成図である。図1に示すように、GPSは、地球周りを周回するGPS衛星10を備える。
【0017】
GPS衛星10は、航法メッセージを地球に向けて常時放送する。航法メッセージには、対応するGPS衛星10に関する軌道情報、時計の補正値、電離層の補正係数が含まれている。航法メッセージは、C/Aコードにより拡散されL1搬送波(周波数:1575.42MHz)に乗せられて、地球に向けて常時放送されている。
【0018】
尚、現在、24個のGPS衛星10が高度約20,000kmの上空で地球を一周しており、各4個のGPS衛星10が55度ずつ傾いた6つの地球周回軌道面に均等に配置されている。従って、天空が開けている場所であれば、地球上のどの場所にいても、常時、少なくとも5個以上のGPS衛星10が観測可能である。
【0019】
基準局20は、地球上の所定位置(既知点)に設置される。基準局20の位置は、高精度に測量されたものが使用されてもよい。
【0020】
車両30は、地球上に位置し、地球上を移動しうる。車両30は、基準局20に対する相対位置が測位される対象の車両である。尚、車両30は、あくまで移動体の一例であり、その他の移動体としては、自動二輪車、鉄道、船舶、航空機、ホークリフト、ロボットや、人の移動に伴い移動する携帯電話等の情報端末等がありうる。
【0021】
図2は、基準局20と車両30の主要構成を示す図である。基準局20には、GPS受信機22及び通信機24が設けられる。また、車両30には、GPS受信機32及び通信機34が設けられる。
【0022】
GPS受信機22、32内には、その周波数がGPS衛星10の搬送周波数と一致する発振器(図示せず)が内蔵されている。GPS受信機22、32は、GPSアンテナ22a、32aを介してGPS衛星10から受信した電波(衛星信号)を中間周波数に変換後、GPS受信機22、32内で発生させたC/Aコードを用いてC/Aコード同期を行い、航法メッセージを取り出す。
【0023】
GPS受信機22は、GPS衛星10iからの搬送波に基づいて、次式に示すように、時刻tにおける搬送波位相の積算値Φik(t)を計測する。位相積算値Φikは、L1波及びL2波(周波数:1227.6MHz)の双方に対してそれぞれ計測されてもよい。
Φik(t)=Θik(t)−Θik(t−τk)+Nik+εik(t) 式(1)
尚、位相積算値Φikについて、添え字i(=1,2,・・・)は、GPS衛星10iに割り当てられた番号を示し、添え字kは基準局側での積算値であることを示す。Nikは、整数値バイアスを示し、εikは、ノイズ(誤差)を表わす。
【0024】
また、GPS受信機22は、GPS衛星10iからの各搬送波に乗せられるC/Aコードに基づいて、擬似距離ρikを計測する。
ρik(t)=c・τk+bk 式(2)
ここで、cは光速であり、bkは、クロックバイアスとも称され、GPS受信機22内の時計誤差による距離誤差に対応する。
【0025】
また、GPS受信機22は、GPS衛星10iからの各搬送波のドップラ周波数に基づいて、次式に示すように、時刻tにおけるドップラレンジdρ(t)を計測する。
dρ(t)=L・Δf(t) 式(2−1)
ここで、Lは搬送波の波長である。また、Δf(t)は、GPS衛星10に関するドップラ周波数であり、例えば内部で再生するレプリカキャリアの周波数frと既知の搬送波周波数fL1(1575.42MHz)に基づいて、Δf=fr−fL1により、測定される。
【0026】
また、GPS受信機22は、計測したドップラレンジdρ(t)に基づいて、基準局20の速度を測位し、測位結果に基づいて速度補正データを生成する。この処理については後述する。
【0027】
通信機24は、GPS受信機22で計測した位相積算値Φik及び擬似距離ρikのデータ並びに後述の速度補正データ等を車両30の通信機34に送信する。以下では、GPS受信機22で計測した位相積算値Φik及び擬似距離ρikのデータを総称して「観測データ」ともいい、位相積算値Φikのデータを、L1波及びL2波のそれぞれに対応して、それぞれ「L1データ」及び「L2データ」ともいい、擬似距離ρikのデータを「C/Aデータ」ともいう。
【0028】
GPS受信機32は、同様に、GPS衛星10iからの搬送波に基づいて、搬送波位相の位相積算値Φiuを計測する。位相積算値Φiuは、L1波及びL2波の双方に対してそれぞれ計測されてもよい。尚、位相積算値Φiuについて、添え字i(=1,2,・・・)は、GPS衛星10iに割り当てられた番号を示し、添え字uは車両30側での積算値であることを示す。位相積算値Φiuは、同様に、次式に示すように、搬送波受信時刻tでの発振器の位相Θiu(t)と、GPS衛星10iでの衛星信号発生時の搬送波位相Θiu(t−τ)との差として得られる。
Φiu(t)=Θiu(t)−Θiu(t−τu)+Niu+εiu(t) 式(3)
ここで、τuは、GPS衛星10からGPS受信機32までのトラベル時間を示し、εiuは、ノイズ(誤差)を表わす。尚、位相差の観測開始時点では、GPS受信機32は、搬送波位相の1波長以内の位相を正確に測定できるが、それが何波長目に相当するかを確定できない。このため、位相積算値Φiu(t)には、上式に示すように、不確定な要素として整数値バイアスNiuが導入される。
【0029】
また、GPS受信機32は、GPS衛星10iからの各搬送波に乗せられるC/Aコードに基づいて、擬似距離ρiuを計測する。ここで計測される擬似距離ρiuは、以下のように距離誤差等の誤差を含んでいる。
ρiu(t)=c・τu+bu 式(4)
ここで、buは、クロックバイアスとも称され、GPS受信機32内の時計誤差による距離誤差に対応する。
【0030】
また、GPS受信機32は、GPS受信機22と同様、ドップラレンジdρ(t)を計測する。また、GPS受信機32は、上述の計測を行う他、図3を参照して後述する各種処理を行う。
【0031】
図3は、本実施例の基準局20及び車両30においてそれぞれ実行される主要処理を示すブロック図である。尚、また、基準局20側の構成において、速度演算部50及び積算&ドリフト率算出部52は、GPS受信機22により実現されるが、GPS受信機22に接続される他のマイクロコンピューター等により実現されてもよい。また、基準局20側の構成において、送信部54は通信機24により実現される。車両30側の構成において、受信部40は、通信機34により実現され、拘束条件設定部42、実数解算出部44、整数解算出部46及びFIX判定部48は、GPS受信機32により実現されるが、GPS受信機32に接続される他のマイクロコンピューター等により実現されてもよい。
【0032】
図3に示すように、基準局20においては、速度演算部50において、基準局20で計測されたドップラレンジdρ(t)に基づいて、基準局20の速度v(t)が測位演算される。基準局20の速度v(t)は、の測位方法は、例えば以下の通りであってよい。先ず、前提として、ドップラレンジdρと、衛星移動速度ベクトルVと、基準局20の速度ベクトルv=(v,v,v)との間には、以下の関係式が成り立つ。尚、文字の上についた記号黒丸は、ドット(時間微分)を表し、例えばドップラレンジdρは、ρドット(時間微分)である。
【0033】
【数1】

ここで、Iドット及びTドットは、電離層誤差の変動量及び対流圏誤差の変動量を表すが、非常に小さいので、ここでは、白色ノイズεとして扱う。また、bドットは、時計誤差の微分値である。数1の式は、4つのGPS衛星10、10、10、10からのデータを用いる場合、以下のように変形できる。
【0034】
【数2】

数2の式において、左辺を、観測量zとする。GPS衛星10に関する観測量zの「dρ」は、上述の如くドップラ周波数Δf(t)に基づいて、搬送波の波長L(既知)を用いてdρ=L・Δf(t)により算出される。また、GPS衛星10に関する観測量zの「l・V」は、時刻(t)における視線ベクトルの単位ベクトルl(t)と衛星移動速度ベクトルV(t)との内積であり、衛星移動速度ベクトルV(t)は、航法メッセージの衛星軌道情報に基づいて算出されるGPS衛星10の衛星位置の今回値と前回値の差分を、演算周期の時間幅で除算することにより演算されてよい。単位ベクトルl(t)は、基準局20の既知の測量座標(X,Y,Z)を用いて、以下のように、算出されてよい。
【0035】
【数3】

そして、観測行列Gを以下のように設定する。
【0036】
【数4】

状態量ηは、基準局20の速度ベクトルv=(v,v,v)とbドットからなり、η=(v,bドット)とおくと、状態量ηは、最小二乗法により次の通り求まる。
【0037】
【数5】

尚、ここでは、説明の便宜上、基準局20の速度ベクトルv=(v,v,v)は、地球重心を原点にして北極方向をz軸、グリニッジ子午線面をx軸に、右手直交座標系を成すようy軸を定めた地球固定座標系で表されているが、他の座標系(例えば基準局20の位置を原点として東、北、上方向を各軸とする局地水平面座標系)でも同様である(各座標系間の変換式は広く知られている)。このようにして速度演算部50にて演算される基準局20の速度v(t)は、演算周期毎に、積算&ドリフト率算出部52に入力される。
【0038】
積算&ドリフト率算出部52においては、速度演算部50にて演算される基準局20の速度v(t)が所定時間積算(積分)され、その積算値に基づいて、ドリフト率(α,β,γ)が算出される。
【0039】
ここで、基準局20の速度v(t)は、基準局20が移動しない固定の設備であることから、本来ゼロであるべきである。しかしながら、実際には衛星数や衛星配置等に依存して、演算される基準局20の速度vには微小なオフセットが存在し、基準局20の速度vの積算値(積算位置)はドリフトしていく。このときのドリフト率は、基準局30から近い位置に存在する車両30でも略同一であると考えることができる。
【0040】
具体的には、積算&ドリフト率算出部52では、先ず、速度演算部50にて演算される基準局20の速度ベクトルvの各方向の成分(v,v,v)が、初期値ゼロとして積算される。この積算時間は、ドリフト率が算出できるような適切な時間であるが、例えば1分程度であってよい。この結果、例えば図4(A)、図4(B)及び図4(C)にそれぞれ示すように、x方向の積算位置、y方向の積算位置及びz方向の積算位置が算出される。次いで、積算&ドリフト率算出部52では、x方向の積算位置、y方向の積算位置及びz方向の積算位置のそれぞれのドリフト率(傾き角度α,β,γ)を算出する。例えば、x方向の積算位置、y方向の積算位置及びz方向の積算位置のそれぞれを積算時間で除算することでドリフト率(α,β,γ)を算出する。尚、同様の観点から、所定時間(=積算時間)に亘って速度演算部50にて演算される基準局20の各速度ベクトルvの各方向の成分をそれぞれ平均することで、ドリフト率(α,β,γ)を算出してもよい。また、ドリフト率は、各方向で算出される以外にも、2次元の方向で導出されてもよい。例えば、図5に示すように、例えば基準局20の速度ベクトルが局地水平面座標系で算出される場合など、東西方向成分の積算位置と南北方向成分の積算位置との関係を表すドリフト率ζが算出されてもよい。即ち、図5に示す例では、ドリフト率ζは、南北方向成分の積算位置を東西方向成分の積算位置で除算することで算出される。
【0041】
送信部54には、所定の周期毎に、上述の如く観測されたL1データ、L2データ及びC/Aデータからなる観測データが供給されると共に、上述の如く積算&ドリフト率算出部52により演算されたドリフト率のデータ(以下、「速度補正データ」という)が供給される。そして、送信部54において、観測データ及び速度補正データが送信データとして車両30に送信される。尚、送信データには、他の情報(例えば測量により既知の基準局20の位置情報や、ドリフト率の演算に用いた衛星番号)が含められてよい。また、速度補正データは、必ずしも観測データの送信周期(観測周期)毎に送信データに常に含められる必要はなく、観測データの送信周期よりも長い周期毎に定期的に含められる態様であってもよい。
【0042】
車両30においては、所定の周期毎に、基準局側からの送信データが受信される。また、GPS受信機32において、車両30側の位相積算値Φiu(L1データ、L2データ)及び擬似距離ρiu(C/Aデータ)が取得される。これらの基準局側の観測データと車両30側の観測データは、各データはGPS時刻やPSS信号等を利用して同期が取られてよい。基準局側の観測データと車両30側の観測データは、実数解算出部44に供給される。また、基準局側から受信した速度補正データは、拘束条件設定部42に供給される。
【0043】
拘束条件設定部42においては、後述の車両30の位置の測位演算時に用いる拘束条件が、速度補正データに基づいて設定される。即ち、車両30の速度に対する条件が、速度補正データに基づいて設定され、当該車両30の速度に対する条件が、後述の車両30の位置の測位演算時に拘束条件として用いられる。車両30の速度に対する条件は、ドリフト率(α,β,γ)を用いて、例えば次の通りであってよい。
【0044】
【数6】

数6において、(ΔXu,ΔYu,ΔZu)は、時間ΔT間での車両30の移動量を表し、(vux,vuy,vuz)は、車両30の速度vuを表す。尚、車両30の移動量及び速度の各成分は、地球固定座標系で表されているが、他の座標系(例えば局地水平面座標系)でも考え方は同様である。但し、局地水平面座標系を用いる場合は基準局20側と車両30側とで用いるそれぞれの局地水平面座標系の原点を一致させる必要があり、例えば基準局20の位置に原点を一致させる。また、数6において、kはエポック(即ち観測周期番号)を表し、従って、ΔTは、1エポックの周期であり、(ΔXu,ΔYu,ΔZu)は、k−1エポックからkエポックまでの1エポック間での移動量を表す。
【0045】
上記の数6で用いる車両30の速度(vux,vuy,vuz)は、車両30で観測されるドップラレンジdρを用いて、上述の数1〜数5で示した基準局30の速度と同様の方法で測位されてもよい。この場合、単位ベクトルl(t)は、単独測位により導出された車両30の位置(Xu(t),Yu(t),Zu(t))を用いて算出されてもよい。
【0046】
ここで、上記の数6において、右辺の第2項は、ドリフト率(α,β,γ)で表現される、車両30の移動量に対する補正項である。これは、上述の如く基準局30側のドリフト率は、基準局30から近い位置に存在する車両30でも略同一であることに基づく。
【0047】
実数解算出部44においては、観測データの二重位相差を観測量とし車両30の位置と整数値バイアスの2重位相差とを状態変数として、最小二乗法により、車両30の位置(典型的には、基準局20に対する相対位置)が測位される。このとき、上述の拘束条件設定部42で設定された拘束条件が利用される。
【0048】
ここでは、先ず、車両30の位置の測位方法の一例について説明し、続いて、拘束条件の利用態様について説明する。以下では、説明の簡略化のため、位相積算値について、L1波のみを用いる場合を説明するが、L2波の位相積算値も用いる場合、L2波の位相積算値を、L1波の位相積算値と同様の態様で、追加すればよい。
【0049】
先ず、ペアリングされた2つのGPS衛星10j、10h(i=j、h、但し、j≠h)に関する位相積算値の2重位相差は、次式となる。
Φjhku=(Φjk(t)−Φju(t))−(Φhk(t)−Φhu(t)) 式(5)
一方、位相積算値の2重位相差Φjhkuは、(GPS衛星10iとGPS受信機22若しくは32との距離)=(搬送波の波長L)×(位相積算値)という物理的な意味合いから、次のようになる。
【0050】
【数7】

ここで、式(6)における[Xk(t)、Yk(t)、Zk(t)]は、時刻tにおける基準局20の地球固定座標系における座標値であり、[Xu(t)、Yu(t)、Zu(t)]は、時刻tにおける車両30の座標値(未知)であり、[Xj(t)、Yj(t)、Zj(t)]及び[Xh(t)、Yh(t)、Zh(t)]は、時刻tにおける各GPS衛星10j、10hの座標値である。Njhkuは、整数値バイアスの2重位相差である(即ち、Njhku=(Njk−Nju)−(Nhk−Nhu))。尚、時刻tは、例えばGPS時刻で同期が取られているものとする。
【0051】
また、時刻tにおける2つのGPS衛星10j、10h(i=j、h、但し、j≠h)に関する擬似距離の2重位相差は、次式となる。
ρjhku=(ρjk(t)−ρju(t))−(ρhk(t)−ρhu(t)) 式(7)
擬似距離の2重位相差ρjhkuは、次のように表せる。
【0052】
【数8】

ここで、式(8)における[Xk(t)、Yk(t)、Zk(t)]、[Xu(t)、Yu(t)、Zu(t)]、[Xj(t)、Yj(t)、Zj(t)]及び[Xh(t)、Yh(t)、Zh(t)]は、上記式(6)と同様である。また、時刻tは、例えばGPS時刻で同期が取られているものとする。
【0053】
観測量Zと状態変数ηの関係は、次の線形モデルで表現される。
Z=H・η+V 式(9)
ここで、Vは観測雑音を示す。ηは、状態変数を表わし、車両30の座標値(未知)及び整数値バイアスの2重位相差である。例えばペアリングされたGPS衛星10のペア(j、h)が(1,2)、(1,3)、(1,4)及び(1,5)の4組である場合、η=[Xu、Yu、Zu、N12ku、N13ku、N14ku、N15kuである(は転置を表す)。式(9)の観測量Zは、位相積算値の2重位相差Φjhku(上記式(5)参照)及び擬似距離の2重位相差ρjhku(上記式(7)参照)である。例えば、ペアリングされたGPS衛星10のペア(j、h)が(1,2)、(1,3)、(1,4)及び(1,5)の4組である場合、Z=[Φ12ku、Φ13ku、Φ14ku、Φ15ku、ρ12ku、ρ13ku、ρ14ku、ρ15kuである。上記式(9)の観測方程式は線形であるが、式(6)及び式(8)では、観測量Zは、状態変数Xu、Yu及びZuに関して非線形であるため、式(6)及び式(8)の各項が状態変数Xu、Yu及びZuのそれぞれで偏微分され、上記式(9)の観測行列Hが求められる。例えば、ペアリングされたGPS衛星10のペア(j、h)が(1,2)、(1,3)、(1,4)及び(1,5)の4組である場合、以下のように、観測行列Hは、以下の通りである。
【0054】
【数9】

ここで、数8のHは、観測量Z=[Φ12ku、Φ13ku、Φ14ku、Φ15kuとした場合の観測行列であり、数8のHは、観測量Z=[ρ12ku、ρ13ku、ρ14ku、ρ15kuとした場合の観測行列であり、観測行列Hは、2つの観測行列H、Hが組み込まれた形となる。
【0055】
本実施例では、上記式(9)の関係式は、kエポックの観測データと、k−1エポックの観測データを用いて、エポック毎に2通り用意される。そして、kエポックとk−1エポックのそれぞれの車両30の位置(未知数)に対して、数6で示した拘束条件が適用される。即ち、kエポックとk−1エポックの上記式(9)の関係式と、数6で示した拘束条件の式とを全て連立させて最小二乗法で解くと、ηの実数解(フロート解)が得られる。
【0056】
尚、kエポックとk−1エポックの観測データを用いるのに代えて、kエポックとk−pエポックの観測データを用いて連立させてもよい。この場合、数6で示した拘束条件において、Σのtの初期値はk−pとなる。
【0057】
整数解算出部46においては、実数解算出部44で算出された整数値バイアスの実数解(フロート解)に基づいて、整数値バイアスの整数解が算出される。例えば、実数解算出部44で算出された実数解に対して最も誤差の小さい整数解(即ち、波数)を第1候補として求め、次に誤差の小さい整数解を第2候補として求める。この手法としては、整数値バイアスの無相関化をはかり、整数解の探索空間を狭めて解を特定するLAMBDA法が使用されてよい。或いは、LAMBDA法に代えて、他の整数最小二乗法や簡易の四捨五入により整数解を導出してもよい。
【0058】
FIX判定部48においては、整数解算出部46で導出された整数解をFIX解とするか否かが判定される。即ち、整数解算出部46で導出された整数解の信頼性を判断し、信頼性が高い整数解が得られた場合には、当該整数解をFIXして、以後、当該整数解を用いたRTK測位により測位結果を出力していく。整数解の信頼性の判定方法は、多種多様であり、任意の適切な方法が使用されてもよい。例えば、レシオテストを適用して、整数解の信頼性が判定されてもよい。例えば、レシオテストの一例として、ペアリングされたGPS衛星10のペア(j、h)が(1,2)、(1,3)、(1,4)及び(1,5)の4組であり、それぞれ4つの整数値バイアスの実数解(n12、n13、n14、n15)、整数値バイアスの整数解の第1候補(N121、N131、N141、N151)及び第2候補(N122、N132、N142、N152)が算出される場合を想定する。このとき、レシオRは、以下に示すように、整数値バイアスの実数解と整数値バイアスの整数解の第1候補との間の距離(ノルム)と、整数値バイアスの実数解と整数値バイアスの整数解の第2候補との間の距離との間の比である。
R={(n12−N122+(n13−N132+(n14−N142+(n15−N152}/{(n12−N121+(n13−N131+(n14−N141+(n15−N151} 式(11)
レシオRは、一般的に、高い値であるほど整数値バイアスの整数解の第1候補の信頼度が高いことを表す。従って、適切な所定の閾値αを設定して、レシオRが所定の閾値αよりも大きい場合に、整数解の信頼性が高いと判定して、整数値バイアスの整数解の第1候補を採用することとしてよい。
【0059】
以上説明した本実施例の移動体用測位システムによれば、とりわけ、以下のような優れた効果が奏される。
【0060】
上述の如く、基準局20側で観測したドップラレンジから速度補正データ(ドリフト率)を生成し、当該速度補正データを、車両30の位置の測位に用いることで、干渉測位演算で得られる整数解がFIXしやすくなり、高精度の測位解を得ることができる。また、エポック毎にドップラレンジのデータを基準局20側から車両30に送信する必要が無く、データ量の少ない速度補正データを基準局20側から車両30に送信するだけでよいので、通信負荷を低減することができる。
【0061】
尚、上述の実施例では、数6の式を用いて速度補正データを車両30の位置の測位に反映させているが、その他の多種多様な方法が考えられる。例えば、車両30の速度と車両30の位置を未知数とした以下の数10の式と、1エポック分の観測データによる上記式(9)の関係式と連立させて最小二乗法で測位解を導出してもよい。この場合も、速度補正データにより補正された車両30の速度を用いて精度良く測位解を導出することができる。
【0062】
【数10】

数10の式は、上記の数1の式と関連しており、車両30の速度vu=(v,v,v)を、速度補正データ(α,β,γ)を用いて補正した速度(v−α,v−β,v−γ)に置き換えたものである。数10の式は、観測可能なGPS衛星10(又はそのうちの干渉測位に用いるGPS衛星10)のそれぞれに対して立てられてよい。
【0063】
尚、数10の式は、車両30の速度を未知数としているが、車両30の位置だけを未知数として用いることもできる。例えば、車両30の速度を、単独測位により導出された車両30の位置(Xu(t),Yu(t),Zu(t))を用いて、上述の数1〜数5で示した基準局30の速度と同様の方法で測位し、次いで、当該測位により得られた車両30の速度を、数10の式に代入して、車両30の位置だけが未知数の関係式を作成し、当該作成した関係式と、1エポック分の観測データによる上記式(9)の関係式と連立させて最小二乗法で測位解を導出してもよい。
【0064】
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0065】
例えば、上述した実施例では、速度補正データが干渉測位に利用されるものであったが、例えば図6に示すように、速度補正データが車両30の速度の単独測位結果の補正に利用されてもよい。この場合、基準局20から車両30には、速度補正データのみが送信されてもよい(即ち、L1データ等の観測データの送信は不要となる)。また、車両30側の速度測位部49では、単独測位により導出された車両30の位置(Xu(t),Yu(t),Zu(t))を用いて、上述の数1〜数5で示した基準局30の速度と同様の方法で、ドップラレンジから車両30の速度(v,v,v)を測位し、その測位結果を、速度補正データ(α,β,γ)により、(v−α,v−β,v−γ)として補正すればよい。
【0066】
また、上述した実施例では、好ましい実施例として、瞬時測位法により整数値バイアスの実数解を求めているが、整数値バイアスの実数解の算出方法は、多種多様であり、上述の方法以外の他の方法が採用されてもよい。例えば、擬似距離の2重位相差ρjhkuを用いずに、位相積算値の2重位相差Φjhkuだけを用いる方法も可能である。また、GPS受信機22、32が、GPS衛星10から発射されるL1波及びL2波(周波数:1227.6MHz)の双方を受信可能な2周波受信機である場合には、L2波に対する位相積算値の2重位相差Φjhkuが追加的若しくは代替的に観測量Zとして用いられてよい。また、他の帯域の搬送波(例えば、今後追加が予定されているL5帯の電波)に対する位相積算値の2重位相差Φjhkuが追加的若しくは代替的に観測量Zとして用いられてよい。同様に、擬似距離の2重位相差ρjhkuについても、C/Aコード以外の同様のPRNコード(擬似雑音符号)(例えば、Pコード等)に基づく擬似距離の1重又は2重位相差ρjhkuが、追加的若しくは代替的に観測量Zとして用いられてよい。上述した整数値バイアスの実数解の算出方法では、上述の如く2重位相差を取ることでGPS受信機22,32内での発振器の初期位相、及び、時計誤差等の影響を消去しているが、一重位相差を取る構成であってもよい。また、上述の方法では、電離層屈折効果、対流圏屈折効果及びマルチパスの影響を無視しているが、これらを考慮するものであってもよい。また、その他の例として、最小二乗法に代えて、カルマンフィルタを用いてもよい。この場合、前回エポックでの推定(測位)結果が今回エポックの推定結果に影響を及ぼさないように、状態変数や誤差共分散行列の初期化をエポック毎に行う瞬時測位を実現してもよいし、状態変数や誤差共分散行列の初期化を行うことなく、通常的なカルマンフィルタの適用によりエポック毎に状態変数や誤差共分散行列を更新(引継ぎ)することとしてもよい。また、車両30の移動に起因した車両特有の動的状態量を考慮するため、速度補正データで補正された車両の速度の動的状態量を既知入力として、カルマンフィルタに導入してもよい(例えば特開2005−147952号航法参照)。また、車両30の移動履歴から該車両30の現時刻の状態を予測する移動体モデルをカルマンフィルタに導入してもよい。この場合、移動体モデルは、速度補正データにより補正された速度や加速度のような車両30の移動状態を表すことができる任意のパラメータを用いて構成されてよい。例えば、速度補正データにより補正された車両30の速度vuを一次のマルコフ過程と仮定して移動体モデルを構成して、カルマンフィルタに導入してもよい。
【0067】
また、上述の実施例では、GPSに本発明が適用された例を示したが、本発明は、GPS以外の衛星システム、例えばガリレオ等の他のGNSS (Global Navigation Satellite System)にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明に係る移動体用測位システムが適用されるGPSの全体的な構成を示すシステム構成図である。
【図2】基準局20と車両30の主要構成を示す図である。
【図3】本実施例の基準局20及び車両30においてそれぞれ実行される主要処理を示すブロック図である。
【図4】基準局20の速度ベクトルvの各成分の積算値とドリフト率の関係を示す図である。
【図5】ドリフト率の他の算出態様を示す図である。
【図6】速度補正データが車両30の速度の単独測位結果の補正に利用される構成を示す図である。
【符号の説明】
【0069】
10 GPS衛星
20 基準局
22 基準局側GPS受信機
24 基準局側通信機
30 車両
32 車両側GPS受信機
34 車両側通信機
40 受信部
42 拘束条件設定部
44 実数解算出部
46 整数解算出部
48 FIX判定部
50 速度演算部
52 積算&ドリフト率算出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定位置に配置される基準局に設けられ、該基準局で観測して得られる衛星電波のドップラレンジに基づいて該基準局の速度を測位し、該測位結果に基づいて速度補正データを生成する補正データ生成手段と、
前記基準局に設けられ、該基準局で観測して得られる衛星電波の観測データと、前記速度補正データとを移動体に送信するデータ送信手段と、
前記移動体に設けられ、前記基準局から送信される前記観測データと前記速度補正データを受信するデータ受信手段と、
前記移動体に設けられ、該移動体で観測して得られる衛星電波の観測データと、前記データ受信手段で受信した前記観測データと、前記データ受信手段で受信した前記速度補正データとに基づいて、該移動体の位置を測位する測位手段とを備えることを特徴とする、移動体用測位システム。
【請求項2】
前記速度補正データ生成手段は、前記基準局の速度の測位結果を所定時間積算し、該積算した値に基づいて、前記速度補正データを生成する、請求項1に記載の移動体用測位システム。
【請求項3】
前記速度補正データ生成手段は、前記基準局の速度の測位結果を所定時間積算し、該積算した値に基づいて、前記基準局の速度の測位結果のドリフト率を算出し、該算出したドリフト率に基づいて前記速度補正データを生成する、請求項1に記載の移動体用測位システム。
【請求項4】
前記衛星電波の観測データは、衛星からの電波の搬送波の位相の積算値(以下、「搬送波位相積算値」という)を含み、
前記測位手段は、前記基準局側で取得された衛星電波の観測データと、前記移動体側で取得された衛星電波の観測データの一重位相差若しくは二重位相差を観測量とし、前記移動体の位置、及び、前記搬送波位相積算値に含まれる整数値バイアスの一重位相差若しくは二重位相差を状態変数とした関係式を用いて、干渉測位により前記移動体の位置を測位し、該測位過程で前記速度補正データを用いる、請求項1に記載の移動体用測位システム。
【請求項5】
前記測位手段は、前記関係式に対する拘束条件であって、2時点における前記移動体の位置の各測位結果間の関係に対する拘束条件として、前記速度補正データを用いる、請求項4に記載の移動体用測位システム。
【請求項6】
前記測位手段は、前記関係式に加えて、
前記移動体で観測して得られるドップラレンジを観測量とし、前記移動体の位置及び速度を状態量とする関係式であって、前記速度補正データを反映する補正項が導入された関係式を用いて、前記移動体の位置を測位する、請求項4に記載の移動体用測位システム。
【請求項7】
前記測位手段は、前記衛星電波の観測データをエポック毎に独立して用いる瞬時測位法により前記干渉測位を行う、請求項4に記載の移動体用測位システム。
【請求項8】
固定位置に配置される基準局に設けられ、該基準局で観測して得られる衛星電波のドップラレンジに基づいて該基準局の速度を測位し、該測位結果に基づいて速度補正データを生成する補正データ生成手段と、
前記基準局に設けられ、前記速度補正データを移動体に送信する速度補正データ送信手段と、
前記移動体に設けられ、前記基準局から送信される前記速度補正データを受信する速度補正データ受信手段と、
前記移動体に設けられ、該移動体で観測して得られる衛星電波のドップラレンジと、前記速度補正データ受信手段で受信した前記速度補正データとに基づいて、前記速度補正データで補正された該移動体の速度を算出する移動体速度算出手段とを備えることを特徴とする、移動体用測位システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−270928(P2009−270928A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−121479(P2008−121479)
【出願日】平成20年5月7日(2008.5.7)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】