説明

移動体端末、GPS測位方法およびGPS測位システム

【課題】位置登録のたびに無線基地局から位置情報を取得しなくても、現在位置の測位の初期値として無線基地局の位置を使用することを可能にする技術を提供する。
【解決手段】本発明の移動体端末は、無線基地局から送信された信号が受信されていれば、該無線基地局に位置登録を行う位置登録手段と、過去に位置登録した無線基地局から取得された、該無線基地局の位置である基地局位置を該無線基地局に対応付けて、基地局位置リストとして蓄積する現在位置管理手段と、現在位置を算出するための初期値となる初期位置を管理しており、新たな無線基地局への位置登録が行われたとき該無線基地局の基地局位置が前記基地局位置リストに記録されていれば、前記初期位置を該基地局位置に更新する初期位置管理手段と、前記初期位置を初期値に用いて、GPS衛星からの受信電波を利用して現在位置を算出するための演算を行う現在位置算出手段を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体端末、GPS測位方法およびGPS測位システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、人工衛星を利用して自分の位置を測定するGPS(Global Positioning System)が、携帯電話などの移動体端末に利用され、位置情報を利用したさまざまなサービスが提供されるようになっている。
【0003】
GPSでは、GPS受信機が複数のGPS衛星からの電波を受信し、それぞれのGPS衛星との距離を割り出す。GPS受信機は、それぞれのGPS衛星との距離にもとづいた連立方程式を、逐次計算法(ニュートン法)等を用いて解くことにより、現在位置を求める。この逐次計算法を用いる際にGPS受信機の現在位置の初期値(以降、初期位置と称す)が必要であり、この初期位置が実際の現在位置から大きく離れていると、現在位置が求まるまでにかかる時間が長くなる。
【0004】
また、GPS受信機は、初期位置にもとづいて電波を受信することができるGPS衛星を推定する。初期位置が実際の位置と大きく異なると、推定したGPS衛星の探索に失敗してから、あらためて現在位置が不明であるとしてGPS衛星を探索しなおすため、電波を受信するGPS衛星の探索に時間がかかるおそれもある。
【0005】
そこで、GPS受信機の初期位置をできるだけ正確に推定するために、さまざまな技術が提案されている。例えば、特許文献1では、GPS受信機である移動体端末が最も近い無線基地局の位置情報を初期位置として採用する方法が提案されている。特許文献1では、移動体端末が最も近い無線基地局の位置情報を取得し、取得した無線基地局の位置情報によって示される位置を自身の初期位置として採用する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−133535号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した特許文献1では、移動体端末が最も近い無線基地局から、位置情報を取得するまで、無線基地局の位置情報を初期位置として使用できないし、接続する無線基地局を変更するたびに無線基地局から位置情報を取得する必要がある。
【0008】
本発明の目的は、位置登録のたびに無線基地局から位置情報を取得しなくても、現在位置の測位の初期値として無線基地局の位置を使用することを可能にする技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の移動体端末は、無線基地局から送信された信号が受信されていれば、該無線基地局に位置登録を行う位置登録手段と、過去に位置登録した無線基地局から取得された、該無線基地局の位置である基地局位置を該無線基地局に対応付けて、基地局位置リストとして蓄積する現在位置管理手段と、現在位置を算出するための初期値となる初期位置を管理しており、新たな無線基地局への位置登録が行われたとき該無線基地局の基地局位置が前記基地局位置リストに記録されていれば、前記初期位置を該基地局位置に更新する初期位置管理手段と、前記初期位置を初期値に用いて、GPS衛星からの受信電波を利用して現在位置を算出するための演算を行う現在位置算出手段を有する。
【0010】
また、上記目的を達成するために、本発明のGPS測位方法は、過去に位置登録した無線基地局から取得した、該無線基地局の位置である基地局位置を該無線基地局に対応付けて、基地局位置リストとして蓄積しておき、新たな無線基地局へ位置登録を行ったとき該無線基地局の基地局位置が前記基地局位置リストに記録されていれば、前記初期位置を該基地局位置に更新するようにして、現在位置を算出するための初期値となる初期位置を管理し、前記初期位置を初期値に用いて、GPS衛星からの受信電波を利用して現在位置を算出するための演算を行う。
【0011】
また、上記目的を達成するために、本発明のGPS測位システムは、信号が受信される無線基地局に位置登録を行い、過去に位置登録した無線基地局から取得した、該無線基地局の位置である基地局位置を該無線基地局に対応付けて、基地局位置リストとして蓄積しておき、新たな無線基地局への位置登録を行ったとき該無線基地局の基地局位置が前記基地局位置リストに記録されていれば、前記初期位置を該基地局位置に更新するようにして、現在位置を算出するための初期値となる初期位置を管理し、該初期位置を初期値に用いて、GPS衛星からの受信電波を利用して現在位置を算出するための演算を行う、移動体端末と、前記移動体端末から要求されると前記基地局位置を提供する無線基地局を有する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、移動体端末は、位置登録のたびに無線基地局から位置情報を取得しなくても、現在位置の測位の初期値として無線基地局の位置を使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第1の実施の形態のGPS測位システムの構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示した移動体端末1が無線基地局2に位置登録するときの移動体端末1と無線基地局2のシーケンスを示す図である。
【図3】図1に示した移動体端末1が無線基地局2にアシストデータを要求するときの移動体端末1と無線基地局2のシーケンスを示す図である。
【図4】第1の実施の形態の移動体端末の構成を示すブロック図である。
【図5】図4に示した移動体端末1が無線基地局2に位置登録するときの処理を示すフローチャートである。
【図6】移動体端末と基地局の構成を示すシステム図である。
【図7】移動体端末と基地局の構成を示すシステム図である。
【図8】図4に示した移動体端末1が現在位置を測位するときの処理を示すフローチャートである。
【図9】測位履歴の例を示す図である。
【図10】図4に示した移動体端末1が利用者に現在位置を表示するときの処理を示すフローチャートである。
【図11】海外サービス情報が設定されるテーブルを示す図である。
【図12】第3の実施の形態の移動体端末の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に本発明について図面を参照して詳細に説明する。
【0015】
(第1の実施の形態)
図1は第1の実施の形態のGPS測位システムの構成を示すブロック図である。
【0016】
図1に示すように、第1の実施の形態のGPS測位システムは、移動体端末1、無線基地局2、アシストサーバ3およびGPS衛星4を有する。
【0017】
移動体端末1は、携帯電話やPHS(Personal Handyphone System)などのような通信端末である。さらに、移動体端末1は、GPS受信機の機能を有し、その機能を使って現在位置を測位する。
【0018】
移動体端末1は、複数のGPS衛星が発信する、時刻を含むデータを電波で受信し、受信したデータからそれぞれのGPS衛星との距離を割り出す。移動体端末1は、複数のGPS衛星との距離にもとづいた連立方程式を、逐次計算法(ニュートン法)等を用いて解くことにより、現在位置を求める。この逐次計算法を用いるときに移動体端末1の初期位置が必要となる。また、現在位置を測位する演算でその初期位置が使用可能か否かを判別するため、その初期位置の精度を距離で示す初期位置誤差を使用する。
【0019】
移動体端末1は、現在位置を測位する演算のための初期位置として、接続している無線基地局2の基地局位置を用いる。また、移動体端末1は、現在位置を測位する演算でその初期位置が使用可能か否かを判別するための初期位置誤差として、接続している無線基地局2の送信信号が到達する距離である基地局通信距離を用いる。
【0020】
移動体端末1がある無線基地局2に位置登録していることから、その移動体端末1がその無線基地局2の通信エリア内のどこかにいることが想定される。そこで、本実施形態では、その無線基地局2の位置を移動端末1の位置を測定するときの初期値として用いている。
【0021】
また、基地局通信距離は無線基地局2の通信エリアの半径に相当する。移動体端末1が無線基地局2の通信エリア内のどこかにいるので、無線基地局2の位置と移動体端末1の位置のずれは最大でも基地局通信距離である。そこで、本実施形態では、この基地局通信距離を初期位置誤差として用いている。
【0022】
移動体通信では、移動体端末を呼び出すときに無線基地局が呼び出し信号を送出する。無線基地局が呼び出し信号を送出できるように、移動体端末は、自端末がどの無線基地局の配下にあるかをネットワーク側に登録する必要がある。なお、移動体端末がどの無線基地局の配下にあるかをネットワーク側に登録することを位置登録という。移動体端末が接続したい無線基地局に位置登録できるように、無線基地局は、常時、パイロット信号と、報知信号を送信している。報知信号には、その無線基地局の基地局コード、国コードおよび事業者コードが含まれている。利用者が移動体端末を持って接続中の無線基地局と別の無線基地局の配下に移動したとき、あるいは、利用者が移動体端末の電源を起動したとき、移動体端末は、最も高い受信レベルでパイロット信号が受信されている無線基地局に位置登録する。これにより、移動体端末は、良好な通信が可能となるような無線基地局に位置登録することができる。
【0023】
移動体端末1は、無線基地局2が常時配信している報知信号を受信する。
【0024】
移動体端末1は、接続中の無線基地局とは別の無線基地局の配下に移動したとき、あるいは、電源が起動されたとき、無線基地局2に移動体端末固有の端末コードを含む位置登録要求を送信し、位置登録する。
【0025】
なお、接続中の無線基地局2について取得した情報は、基地局情報として移動体端末1内のデータベースの所定の領域(以降、基地局情報格納エリアと称する)に記録される。基地局情報には、基地局コード情報および基地局位置情報が含まれる。基地局コード情報には、移動体端末が接続している無線基地局の国コード、事業者コード、基地局コードが含まれる。基地局位置情報には、移動体端末が接続している無線基地局の基地局位置および基地局通信距離が含まれる。
【0026】
また、移動体端末1は、位置登録した無線基地局の基地局位置および基地局通信距離を移動体端末1内のデータベースの所定の領域(以降、測位履歴格納エリアと称する)に記録されている測位履歴から検索する。
【0027】
測位履歴の例を図9に示す。図9に示すように、測位履歴には、測位によって得られた端末情報、測位に用いられた測位方式および測位時に接続していた無線基地局の基地局情報が含まれる。移動体端末1が現在位置を測位するごとに、端末情報、測位方式および基地局情報が、測位履歴として測位履歴格納エリア内で追加書き込みされる。端末情報は、移動体端末1が現在位置を測位したタイミングで、移動体端末1内のデータベースの所定の領域(以降、端末情報格納エリアと称する)に記録される。端末情報には、測位によって得られた移動体端末1の位置である端末位置、およびその端末位置の精度を距離で示す端末位置精度が含まれる。測位方式には、単独測位方式やサーバー・アシスト方式などがある。
【0028】
移動体端末1は、位置登録した無線基地局の基地局位置情報が測位履歴に存在する場合、その基地局位置情報と、基地局コード情報とをあわせて基地局情報として基地局情報格納エリアに記録する。
【0029】
なお、移動体端末1は、初期位置、初期位置誤差、およびその基地局位置が初期位置として選択されている無線基地局の基地局コードである選択基地局コードをあわせた初期位置情報を管理する。初期位置情報は、移動体端末1内のデータベースの所定の領域(以降、初期位置情報格納エリアと称する)に記録される。
【0030】
移動体端末1は、位置登録した無線基地局の基地局位置情報が測位履歴に存在する場合、その基地局位置情報に含まれる基地局位置および基地局通信距離ならびに基地局コード情報に含まれる基地局コードを、初期位置情報の初期位置、初期位置誤差および選択基地局コードとして、初期位置情報格納エリアに記録する。なお、移動体端末1は、記録された初期位置を、現在位置を測位する演算で使用する。
【0031】
一方、移動体端末1は、位置登録した無線基地局の基地局位置情報が測位履歴に存在しない場合、基地局位置情報を未設定とした基地局情報を基地局情報格納エリアに記録する。なお、このとき書き込む基地局情報の基地局コード情報は、無線基地局から受信した基地局コード情報とする。
【0032】
また、このとき、移動体端末1は、初期位置情報格納エリアの初期位置情報が既に記録されているか否かを判別する。移動体端末1は、初期位置情報が既に記録されている場合、初期位置情報として既に記録されている初期位置を更新しない。これにより、移動体端末1では、既に初期位置情報として記録されている初期位置が現在位置を測位する演算で継続して使用される。なお、この場合、利用者が移動体端末1を持って接続中の無線基地局とは別の無線基地局の配下に移動したと考えられる。そのため、移動体端末1は、その基地局位置が初期位置として選択されている無線基地局の基地局通信距離の範囲外に移動した可能性が高く、既に初期位置情報として記録されている初期位置はその精度が悪くなっていると考えられる。そこで、移動体端末1は、移動した先の無線基地局の基地局通信距離を用いて、初期位置情報として記録されている初期位置誤差を補正する。
【0033】
また、移動体端末1は、まだ、初期位置情報が記録されていない場合、初期位置および初期位置誤差を記録しないままとする。なお、この場合、移動体端末1は、現在位置を測位する演算で初期位置を用いずに現在位置を求める。
【0034】
移動体端末1は、初期位置情報が記録されていて、かつ、その初期位置誤差があらかじめ設定された所定の閾値以下である場合、現在位置を測位する演算で初期位置を使用可能と判断し、その初期位置を用いて現在位置を測位する。
【0035】
一方、移動体端末1は、初期位置情報が記録されていない場合、あるいは初期位置情報の初期位置誤差があらかじめ設定された所定の閾値以下でない場合、現在接続している無線基地局から基地局位置および基地局通信距離を取得する。
【0036】
移動体端末1は、現在接続している無線基地局から基地局位置および基地局通信距離を取得するために、その無線基地局にGPSによる測位で広く使用されているパラメータの集合であるアシストデータを要求する。なお、アシストデータには、無線基地局の基地局位置および基地局通信距離が含まれる。移動体端末1は、無線基地局2にアシストデータを要求するために、アシストデータを要求する旨を示すアシストデータ要求を送信する。
【0037】
移動体端末1は、アシストデータ要求を送信した無線基地局2からアシストデータ要求の応答としてアシストデータを受信すると、受信したアシストデータから基地局位置および基地局通信距離を抽出する。
【0038】
移動体端末1は、抽出した基地局位置および基地局通信距離を、それぞれ基地局情報の基地局位置情報の基地局位置および基地局通信距離として基地局情報格納エリアに記録する。また、移動体端末1は、抽出した基地局位置および基地局通信距離、ならびにアシストデータを受信した無線基地局の基地局コードを、それぞれ初期位置情報の初期位置、初期位置誤差および選択基地局コードとして初期位置情報格納エリアに記録する。
【0039】
移動体端末1は、初期位置情報格納エリアに初期位置情報として記録された初期位置を用いて現在位置を測位する。
【0040】
一方、移動体端末1は、所定の時間を経過してもアシストデータ要求を送信した無線基地局からアシストデータを受信しなかったなどの理由により、接続している無線基地局の基地局位置が得られなかった場合、初期位置を用いず現在位置を測位する。
【0041】
移動体端末1は、現在位置の測位が完了すると、測位によって得られた端末位置および端末位置精度を、それぞれ端末情報として端末情報格納エリアに記録する。
【0042】
さらに、移動体端末1は、測位履歴として、端末情報、測位した方式および基地局情報を測位履歴格納エリアに追加書き込みする。
【0043】
また、移動体端末1は、利用者から現在位置の表示を要求されると、端末情報格納エリアに端末情報が記録されているか否かを判別する。移動体端末1は、端末情報格納エリアに端末情報が記録されている場合、端末情報の端末位置および誤差精度を現在位置およびその精度として表示する。
【0044】
一方、移動体端末1は、端末情報格納エリアに端末情報が記録されていない場合、初期位置情報格納エリアから初期位置情報を読み出す。移動体端末1は、読み出した初期位置情報の初期位置および初期位置誤差を現在位置およびその精度として表示する。
【0045】
無線基地局2は、移動体端末1と直接通信する基地局である。
【0046】
無線基地局2は、移動体端末1が接続したい無線基地局に位置登録できるように、常時、パイロット信号と、報知信号を送信している。
【0047】
無線基地局2は、移動体端末1から位置登録要求を受信すると、受信した位置登録要求から移動体端末固有の端末コードを抽出し、その端末コードを図示しない通信事業者の位置登録データベースに登録する。
【0048】
また、無線基地局2は、アシストサーバ3がアシストデータを配信すると、そのアシストデータを受信する。無線基地局2は、移動体端末1からアシストデータ要求を受信すると、アシストデータ要求に対する応答として、アシストサーバ3から受信していたアシストデータを移動体端末1に送信する。
【0049】
アシストサーバ3は、配下の無線基地局の基地局位置および基地局通信距離を含むアシストデータを生成するサーバである。アシストサーバ3は、アシストデータを生成すると、生成したアシストデータを無線基地局2に配信する。
【0050】
GPS衛星4は、GPSで用いられる衛星である。GPS衛星4は、GPS受信機が現在位置を測位するために用いる電波を発信する。
【0051】
次に図1に示した移動体端末1が無線基地局2に位置登録するときの移動体端末1と無線基地局2のシーケンスについて説明する。
【0052】
図2は図1に示した移動体端末1が無線基地局2に位置登録するときの移動体端末1と無線基地局2のシーケンスを示す図である。
【0053】
無線基地局2は、常時、パイロット信号と、報知信号を送信している(ステップS1)。
【0054】
移動体端末1は、無線基地局2が配信する報知信号を受信する。移動体端末1は、接続中の無線基地局と別の無線基地局の配下に移動したとき、あるいは、電源が起動されたとき(ステップS2)、最も高い受信レベルでパイロット信号が受信されている無線基地局2に移動体端末固有の端末コードを含む位置登録要求を送信する(ステップS3)。
【0055】
無線基地局2は、移動体端末1から位置登録要求を受信すると、受信した位置登録要求から移動体端末固有の端末コードを抽出し、その端末コードを図示しない通信事業者の位置登録データベースに登録する(ステップS4)。
【0056】
これにより、外部の端末から移動体端末1に接続要求があると、無線基地局2は、移動体端末1を呼び出せるようになる。
【0057】
次に図1に示した移動体端末1が無線基地局2にアシストデータを要求するときの移動体端末1と無線基地局2のシーケンスについて説明する。
【0058】
図3は図1に示した移動体端末1が無線基地局2にアシストデータを要求するときの移動体端末1と無線基地局2のシーケンスを示す図である。
【0059】
移動体端末1は、現在位置を測位するとき、まず、現在位置を測位する演算で使用可能な基地局位置情報が測位履歴格納エリアの測位履歴に存在するか否かを判別する(ステップS11)。
【0060】
現在位置を測位する演算で使用可能な基地局位置情報が測位履歴に存在する場合、移動体端末1は、その基地局位置情報の基地局位置および基地局通信距離を、それぞれ初期位置および初期位置誤差として用いて現在位置を測位する。
【0061】
一方、現在位置を測位する演算で使用可能な基地局位置情報が測位履歴に存在しない場合、移動体端末1は、現在接続している無線基地局2から基地局位置および基地局通信距離を取得するために、無線基地局2にアシストデータ要求を送信する(ステップS12)。
【0062】
無線基地局2は、移動体端末1からアシストデータ要求を受信すると、アシストデータ要求に対する応答として、あらかじめアシストサーバ3から受信していたアシストデータを移動体端末1に送信する(ステップS13)。
【0063】
移動体端末1は、無線基地局2からアシストデータ要求の応答としてアシストデータを受信すると、受信したアシストデータから基地局位置および基地局通信距離を抽出する。移動体端末1は、抽出した基地局位置および基地局通信距離を、それぞれ初期位置および初期位置誤差として用いて現在位置を測位する(ステップS14)。
【0064】
図4は第1の実施の形態の移動体端末の構成を示すブロック図である。
【0065】
図4に示すように、第1の実施の形態の移動体端末は、現在位置算出部11、無線部12、位置登録部13、初期位置管理部14、現在位置管理部15、現在位置表示部16およびデータベース17を有する。
【0066】
無線部12は、外部の無線基地局と無線データを送受信する無線部である。
【0067】
無線部12は、無線基地局2が常時送信しているパイロット信号および報知信号を受信し、パイロット信号の受信レベルならびに受信した報知信号に含まれるその無線基地局の基地局コード、国コードおよび事業者コードを位置登録部13に送信する。また、無線部12は、位置登録部13から位置登録要求を受信すると、受信した位置登録要求を無線基地局2に送信する。
【0068】
また、無線部12は、初期位置管理部14からアシストデータ要求を受信すると、受信したアシストデータ要求を無線基地局2に送信する。また、無線部12は、無線基地局2からアシストデータ要求の応答としてアシストデータを受信すると、受信したアシストデータを初期位置管理部14に送信する。
【0069】
位置登録部13は、無線基地局との接続やハンドオーバーなど、移動体端末の無線通信を制御する。
【0070】
位置登録部13は、無線部12から無線基地局2のパイロット信号の受信レベルならびに基地局コード、国コードおよび事業者コードを受信する。
【0071】
位置登録部13は、移動体端末1が、接続中の無線基地局とは別の無線基地局の配下に移動したとき、あるいは、移動体端末1の電源が起動されたとき、無線部12を介して、最も高い受信レベルでパイロット信号が受信されている無線基地局へ位置登録要求を送信し、その無線基地局へ位置登録する。
【0072】
位置登録部13は、無線基地局2へ位置登録すると、位置登録した無線基地局2から受信していた国コード、事業者コードおよび基地局コードを、基地局コード情報として初期位置管理部14に送信する。なお、基地局コード情報には、移動体端末が接続している無線基地局の基地局コード、国コードおよび事業者コードが含まれる。
【0073】
初期位置管理部14は、位置登録部13から基地局コード情報を受信すると、現在位置管理部15に基地局位置情報を要求する旨を示す基地局位置情報要求を送信する。なお、基地局位置情報要求には、現在移動体端末1が接続している無線基地局の基地局コード情報が含まれる。
【0074】
初期位置管理部14は、現在位置管理部15から基地局位置情報要求の応答として基地局位置情報を受信すると、受信した基地局位置情報から基地局位置および基地局通信距離を抽出する。初期位置管理部14は、抽出した基地局位置および基地局通信距離ならびに位置登録部13から受信した基地局コード情報の基地局コードを、初期位置情報の初期位置、初期位置誤差および選択基地局コードとして、データベース17の初期位置情報格納エリアに記録する。なお、記録された初期位置は、現在位置算出部11によって、移動体端末1の現在位置を測位する演算に用いられる。
【0075】
一方、初期位置管理部14は、現在位置管理部15から基地局位置情報要求の応答としてその無線基地局の基地局位置情報が存在しない旨を受信すると、初期位置情報格納エリアに初期位置情報が既に記録されているか否かを判別する。初期位置管理部14は、初期位置情報が既に記録されている場合、初期位置情報として既に記録されている初期位置を更新しない。これにより、現在位置管理部15では、既に初期位置情報として記録されている初期位置が現在位置を測位する演算で継続して使用される。
【0076】
なお、この場合、利用者が移動体端末1を持って接続中の無線基地局と別の無線基地局の配下に移動したと考えられる。そのため、移動体端末1は、その基地局位置が初期位置として選択されている無線基地局の基地局通信距離の範囲外に移動した可能性が高く、既に初期位置情報として設定されている初期位置はその精度が悪くなっていると考えられる。そこで、初期位置管理部14は、移動した先の無線基地局の基地局通信距離を用いて、初期位置情報として記録されている初期位置誤差を補正する。
【0077】
また、初期位置管理部14は、まだ初期位置情報が記録されていない場合、初期位置および初期位置誤差を記録しないままとする。なお、この場合、現在位置算出部11では、現在位置を測位する演算で初期位置を用いずに現在位置を求める。
【0078】
初期位置管理部14は、現在位置算出部11から初期位置情報を要求されると、初期位置情報格納エリアに初期位置情報が記録されているか否かを判別する。初期位置管理部14は、初期位置情報格納エリアに初期位置情報が記録されていて、かつ、その初期位置誤差があらかじめ設定された所定の閾値以下である場合、現在位置を測位する演算で初期位置を使用可能と判断し、その初期位置情報を現在位置算出部11に送信する。
【0079】
一方、初期位置管理部14は、初期位置情報格納エリアに初期位置情報が記録されていない場合、あるいは初期位置情報の初期位置誤差があらかじめ設定された所定の閾値以下でない場合、現在接続している無線基地局から基地局位置および基地局通信距離を取得する。
【0080】
初期位置管理部14は、現在接続している無線基地局から基地局位置および基地局通信距離を取得するために、その無線基地局にアシストデータを要求する。初期位置管理部14は、位置登録部13から受信していた基地局コード情報から基地局コードを読み出し、無線部12を介して、その基地局コードの無線基地局にアシストデータ要求を送信する。
【0081】
初期位置管理部14は、無線部12を介して、アシストデータ要求を送信した無線基地局からアシストデータを受信すると、受信したアシストデータから基地局位置および基地局通信距離を抽出する。
【0082】
初期位置管理部14は、抽出した基地局位置および基地局通信距離からなる基地局位置情報と、位置登録部13から受信していた基地局コード情報とをあわせた基地局情報を、現在位置管理部15に送信する。
【0083】
さらに、初期位置管理部14は、初期位置情報格納エリアに格納されている初期位置情報の初期位置、初期位置誤差および選択基地局コードを抽出した基地局位置および基地局通信距離ならびに現在接続している無線基地局の基地局コードに更新する。
【0084】
また、初期位置管理部14は、更新した初期位置情報の初期位置を現在位置算出部11に送信する。
【0085】
一方、初期位置管理部14は、所定の時間を経過しても、無線基地局からアシストデータを受信しなかったなどの理由により、接続している無線基地局の基地局位置が得られなかった場合、現在位置算出部11に初期位置情報が存在しない旨を通知する。
【0086】
また、初期位置管理部14は、現在位置表示部16から初期位置情報を要求されると、初期位置情報格納エリアから初期位置情報を読み出す。初期位置管理部14は、現在位置表示部16に初期位置情報を送信する。
【0087】
現在位置管理部15は、初期位置管理部14から基地局位置情報要求を受信すると、受信した基地局位置情報要求から基地局コード情報を抽出する。現在位置管理部15は、抽出した基地局コード情報の無線基地局の基地局位置情報をデータベース17の測位履歴格納エリアに記録されている測位履歴から検索する。
【0088】
なお、測位履歴には、端末情報、測位方式および基地局情報が含まれる。現在位置を測位するごとに、端末情報、測位方式および基地局情報が、測位履歴として測位履歴格納エリア内で追加書き込みされる。また、基地局情報は、データベース17の基地局情報格納エリアに記録される。基地局情報には、基地局コード情報および基地局位置情報が含まれる。基地局位置情報には、移動体端末が接続している無線基地局の基地局位置および基地局通信距離が含まれる。また、端末情報は、データベース17の端末情報格納エリアに記録される。端末情報には、測位によって得られた移動体端末1の位置である端末位置、およびその端末位置の精度を距離で示す端末位置精度が含まれる。
【0089】
現在位置管理部15は、抽出した基地局コードの無線基地局の基地局位置情報が測位履歴に存在する場合、その基地局位置情報を基地局位置情報要求の応答として、初期位置管理部14に送信する。また、現在位置管理部15は、初期位置管理部14に送信した基地局位置情報と、初期位置管理部14から受信した基地局位置情報要求に含まれる基地局コード情報とをあわせて基地局情報として基地局情報格納エリアに記録する。
【0090】
一方、現在位置管理部15は、抽出した基地局コードの無線基地局の基地局位置情報が測位履歴に存在しない場合、その無線基地局の基地局位置情報が存在しない旨を基地局位置情報要求の応答として、初期位置管理部14に送信する。このとき、現在位置管理部15は、基地局位置情報を未設定とした基地局情報を基地局情報格納エリアに記録する。なお、このとき記録する基地局情報の基地局コード情報は、初期位置管理部14から受信した基地局位置情報要求に含まれる基地局コード情報とする。
【0091】
また、現在位置管理部15は、初期位置管理部14から基地局情報を受信すると、受信した基地局情報を基地局情報格納エリアに記録する。
【0092】
また、現在位置管理部15は、現在位置を測位した現在位置算出部11から端末情報を受信すると、受信した端末情報を端末情報格納エリアに記録する。
【0093】
さらに、現在位置管理部15は、測位履歴として、端末情報、測位方式および基地局情報をあわせて測位履歴格納エリアに追加書き込みする。
【0094】
また、現在位置管理部15は、現在位置表示部16から端末情報を要求されると、端末情報格納エリアから端末情報を読み出す。現在位置管理部15は、端末情報格納エリアに端末情報が記録されている場合、現在位置表示部16に端末情報を送信する。
【0095】
一方、現在位置管理部15は、端末情報格納エリアに端末情報が記録されていない場合、現在位置表示部16に端末情報が存在しない旨を送信する。
【0096】
現在位置算出部11は、複数のGPS衛星が発信する、時刻を含むデータを電波で受信し、受信したデータからそれぞれのGPS衛星との距離を割り出す。現在位置算出部11は、複数のGPS衛星との距離にもとづいた連立方程式を、逐次計算法(ニュートン法)等を用いて解くことにより、現在位置を求める。この逐次計算法を用いる際に移動体端末1の初期位置が必要となる。また、現在位置を測位する演算でその初期位置が使用可能か否かを判別するため、その初期位置の精度を距離で示す初期位置誤差を使用する。
【0097】
現在位置算出部11は、現在位置を求めるとき、初期位置管理部14に初期位置情報を要求する。
【0098】
現在位置算出部11は、初期位置管理部14から初期位置情報を取得すると、取得した初期位置情報を用いて現在位置を測位する。
【0099】
一方、現在位置算出部11は、初期位置管理部14から初期位置が存在しない旨を通知されると、初期位置情報を用いず現在位置を測位する。
【0100】
現在位置算出部11は、現在位置の測位が完了すると、測位によって得られた端末位置および端末位置精度を端末情報として、現在位置管理部15に通知する。
【0101】
現在位置表示部16は、利用者から現在位置の表示を要求されると、現在位置管理部15に端末情報を要求する。
【0102】
現在位置表示部16は、現在位置管理部15から端末情報を受信すると、受信した端末情報から端末位置および誤差精度を抽出する。現在位置表示部16は、抽出した端末位置および誤差精度を現在位置およびその精度として表示する。
【0103】
一方、現在位置表示部16は、現在位置管理部15から端末情報が存在しない旨を受信すると、初期位置管理部14に初期位置情報を要求する。
【0104】
現在位置表示部16は、初期位置管理部14から初期位置情報を受信すると、受信した初期位置情報から初期位置および初期位置誤差を抽出する。現在位置表示部16は、抽出した初期位置および初期位置誤差を現在位置およびその精度として表示する。
【0105】
データベース17は、基地局情報、端末情報、初期位置情報および測位履歴を格納するデータベースである。
【0106】
次に図4に示した移動体端末1が無線基地局2に位置登録するときの処理について説明する。
【0107】
図5は図4に示した移動体端末1が無線基地局2に位置登録するときの処理を示すフローチャートである。
【0108】
位置登録部13は、無線部12を介して無線基地局2のパイロット信号の受信レベルならびに基地局コード、国コードおよび事業者コードを受信する。
【0109】
位置登録部13は、移動体端末1が、接続中の無線基地局と別の無線基地局の配下に移動したとき、あるいは、移動体端末1の電源が起動されたとき、無線部12を介して、最も高い受信レベルでパイロット信号が受信されている無線基地局へ位置登録要求を送信し、その無線基地局へ位置登録する(ステップS21)。
【0110】
位置登録部13は、無線基地局2へ位置登録すると、位置登録部13は、無線基地局2へ位置登録すると、位置登録した無線基地局2から受信していた国コード、事業者コードおよび基地局コードを、基地局コード情報として初期位置管理部14に送信する。
【0111】
初期位置管理部14は、位置登録部13から基地局コード情報を受信すると、現在位置管理部15に基地局位置情報を要求する旨を示す基地局位置情報要求を送信する(ステップS22)。
【0112】
現在位置管理部15は、初期位置管理部14から基地局位置情報要求を受信すると、受信した基地局位置情報要求から基地局コード情報を抽出する。現在位置管理部15は、抽出した基地局コード情報の無線基地局の基地局位置情報を測位履歴格納エリアに記録されている測位履歴から検索する。
【0113】
現在位置管理部15は、まず、受信した基地局位置情報要求から抽出した基地局コード情報を測位履歴から検索する。測位履歴内に一致する基地局コード情報があれば、現在位置管理部15は、その基地局コード情報に対応して基地局位置情報が記録されているか否かを判別する。
【0114】
現在位置管理部15は、対象となる基地局位置情報が測位履歴に存在する場合、その基地局位置情報を基地局位置情報要求の応答として、初期位置管理部14に送信する(ステップS23)。また、現在位置管理部15は、その基地局位置情報と、初期位置管理部14から受信した基地局位置情報要求に含まれる基地局コード情報とをあわせた基地局情報を、基地局情報格納エリアに記録する。
【0115】
一方、現在位置管理部15は、対象となる基地局位置情報が測位履歴に存在しない場合、基地局位置情報が存在しない旨を基地局位置情報要求の応答として、初期位置管理部14に送信する。このとき、現在位置管理部15は、基地局位置情報を未設定とした基地局情報を基地局情報格納エリアに記録する。なお、このとき記録する基地局情報の基地局コード情報は、初期位置管理部14から受信した基地局位置情報要求に含まれる基地局コード情報とする。
【0116】
初期位置管理部14は、現在位置管理部15から基地局位置情報要求の応答を受信すると、基地局位置情報が取得できたか否かを判別する(ステップS24)。
【0117】
初期位置管理部14は、現在位置管理部15から基地局位置情報要求の応答として基地局位置情報を受信すると、受信した基地局位置情報から基地局位置および基地局通信距離を抽出する。初期位置管理部14は、抽出した基地局位置および基地局通信距離ならびに位置登録部13から受信していた基地局コード情報の基地局コードを、初期位置情報の初期位置、初期位置誤差および選択基地局コードとして、初期位置情報格納エリアに記録する(ステップS25)。なお、記録された初期位置は、現在位置算出部11によって、移動体端末の現在位置を測位する演算に用いられる。
【0118】
一方、初期位置管理部14は、現在位置管理部15から基地局位置情報要求の応答として基地局位置情報が存在しない旨を受信すると、初期位置情報格納エリアに初期位置情報が既に記録されているか否かを判別する(ステップS26)。
【0119】
初期位置管理部14は、まだ初期位置情報が記録されていない場合、初期位置および初期位置誤差を記録しないままとし、処理を終了する。なお、この場合、現在位置算出部11では、現在位置を測位する演算で初期位置を用いずに現在位置を求める。
【0120】
一方、初期位置管理部14は、初期位置情報が既に記録されている場合、初期位置情報として既に記録されている初期位置を更新しない。これにより、現在位置管理部15では、既に初期位置情報として記録されている初期位置が現在位置を測位する演算で継続して使用される。
【0121】
なお、この場合、利用者が移動体端末1を持って接続中の無線基地局と別の無線基地局の配下に移動したと考えられる。そのため、移動体端末1は、その基地局位置が初期位置として選択されている無線基地局の基地局通信距離の範囲外に移動した可能性が高く、既に初期位置情報として設定されている初期位置はその精度が悪くなっていると考えられる。そこで、初期位置管理部14は、移動した先の無線基地局の基地局通信距離を用いて、初期位置情報として記録されている初期位置誤差を補正する(ステップS27)。
【0122】
例えば、図6に示すように、移動体端末が基地局Aの配下から、基地局Bの配下に移動したとき、その移動体端末は、基地局Bの配下にいる限り、基地局Aから、基地局Aの基地局通信距離に基地局Bの基地局通信距離の2倍の距離を加算した距離内にいると推定される。そこで、初期位置情報として設定されている初期位置誤差に移動した先の無線基地局の基地局通信距離の2倍の距離を加算した値を新しい初期位置誤差として更新する。図6の例では、移動前の初期位置誤差である基地局Aの基地局通信距離akmに基地局Bの基地局通信距離の2倍の距離である、2bkmを加算した(a+2b)kmが更新された初期位置誤差になる。
【0123】
なお、基地局通信距離は、無線通信方式および無線周波数帯域に応じて異なる。あらかじめ無線通信方式および無線周波数帯域ごとの基地局通信距離を設定しておくことにより、初期位置管理部14は、移動体端末が移動した先の無線基地局の基地局通信距離を取得できる。移動した先の無線基地局の基地局通信距離が不明である場合、基地局ごとの通信距離はほぼ同等であると想定して、初期位置として基地局位置が設定されている無線基地局の基地局通信距離の2倍の距離を現在の初期位置誤差に加算した値を新しい初期位置誤差として更新してもよい。
【0124】
また、移動した先の無線基地局の基地局位置および基地局通信距離を取得する前に、さらに移動体端末が移動し、位置登録する無線基地局を変更した場合、初期位置管理部14は、さらに初期位置誤差を更新する。このとき、初期位置管理部14は、移動前の初期位置誤差に、さらに、移動先の無線基地局の基地局通信距離の2倍の距離を加算した値を新しい初期位置誤差として初期位置情報を更新する。位置登録する無線基地局を変更するごとに、初期位置誤差に移動先の基地局の通信可能距離の2倍の距離を加算することで、初期位置の誤差を更新していく。
【0125】
次に図4に示した移動体端末1が現在位置を測位するときの処理について説明する。
【0126】
図8は図4に示した移動体端末1が現在位置を測位するときの処理を示すフローチャートである。
【0127】
現在位置算出部11は、複数のGPS衛星が発信する、時刻を含むデータを電波で受信し、受信したデータからそれぞれのGPS衛星との距離を割り出す。現在位置算出部11は、複数のGPS衛星との距離にもとづいた連立方程式を、逐次計算法(ニュートン法)等を用いて解くことにより、現在位置を求める。この逐次計算法を用いる際に移動体端末1の初期位置が必要となる。また、現在位置を測位する演算でその初期位置が使用可能か否かを判別するため、その初期位置の精度を距離で示す初期位置誤差を使用する。
【0128】
現在位置算出部11は、現在位置を求めるとき、まず、初期位置管理部14に初期位置情報を要求する(ステップS31)。
【0129】
初期位置管理部14は、現在位置算出部から初期位置情報を要求されると、初期位置情報格納エリアに初期位置情報が記録されているか否かを判別する(ステップS32)。
【0130】
初期位置管理部14は、初期位置情報格納エリアに初期位置情報が記録されている場合、その初期位置情報の初期位置誤差があらかじめ設定された所定の閾値以下であるか否かを判別する(ステップS33)。初期位置管理部14は、初期位置誤差があらかじめ設定された所定の閾値以下である場合、現在位置を測位する演算で初期位置を使用可能と判断し、その初期位置情報を現在位置算出部11に送信する(ステップS37)。
【0131】
現在位置算出部11は、初期位置管理部14から初期位置を取得すると、取得した初期位置を用いて現在位置を測位する(ステップS38)。
【0132】
一方、初期位置管理部14は、初期位置情報格納エリアに初期位置情報が記録されていない場合、あるいは初期位置情報の初期位置誤差があらかじめ設定された所定の閾値以下でない場合、現在接続している無線基地局から基地局位置および基地局通信距離を取得する(ステップS34)。
【0133】
初期位置管理部14は、現在接続している無線基地局から基地局位置および基地局通信距離を取得するために、その無線基地局にアシストデータを要求する。初期位置管理部14は、位置登録部13から受信していた基地局コード情報から基地局コードを読み出し、無線部12を介して、その基地局コードの無線基地局にアシストデータ要求を送信する。
【0134】
初期位置管理部14は、アシストデータ要求を送信すると、アシストデータ要求を送信した無線基地局からアシストデータ要求の応答としてアシストデータを受信したか否かを判別する(ステップS35)。
【0135】
初期位置管理部14は、無線部12を介して、アシストデータ要求を送信した無線基地局からアシストデータを受信すると、受信したアシストデータから基地局位置および基地局通信距離を抽出する。
【0136】
初期位置管理部14は、抽出した基地局位置および基地局通信距離からなる基地局位置情報と、位置登録部13から受信していた基地局コード情報とをあわせた基地局情報を、現在位置管理部15に送信する(ステップS36)。
【0137】
現在位置管理部15は、初期位置管理部14から基地局情報を受信すると、受信した基地局情報を基地局情報格納エリアに記録する。
【0138】
さらに、初期位置管理部14は、初期位置情報格納エリアに格納されている初期位置情報の初期位置、初期位置誤差および選択基地局コードを、抽出した基地局位置および基地局通信距離ならびに現在接続している無線基地局の基地局コードに更新する。
【0139】
また、初期位置管理部14は、更新した初期位置情報を現在位置算出部11に送信する(ステップS37)。
【0140】
現在位置算出部11は、初期位置管理部14から初期位置を取得すると、取得した初期位置を用いて現在位置を測位する(ステップS38)。
【0141】
一方、初期位置管理部14は、所定の時間を経過しても、無線基地局からアシストデータを受信しなかったなどの理由により、接続している無線基地局の基地局位置が得られなかった場合、現在位置算出部11に初期位置が存在しない旨を通知する(ステップS39)。
【0142】
現在位置算出部11は、初期位置管理部14から初期位置が存在しない旨を通知された場合、初期位置を用いず現在位置を測位する(ステップS40)。
【0143】
現在位置算出部11は、現在位置の測位が完了すると、測位によって得られた端末位置および端末位置精度を端末情報として、現在位置管理部15に通知する(ステップS41)。
【0144】
現在位置管理部15は、現在位置算出部11から端末情報を受信すると、受信した端末情報を端末情報格納エリアに記録する。
【0145】
さらに、現在位置管理部15は、測位履歴として、端末情報、測位方式および基地局情報をあわせて測位履歴格納エリアに追加書き込みする(ステップS42)。
【0146】
次に図4に示した利用者端末1が利用者に現在位置を表示するときの処理について説明する。
【0147】
図10は図4に示した利用者端末1が利用者に現在位置を表示するときの処理を示すフローチャートである。
【0148】
現在位置表示部16は、利用者から現在位置の表示を要求されると、現在位置管理部15に端末情報を要求する(ステップS51)。
【0149】
現在位置管理部15は、現在位置表示部16から端末情報を要求されると、端末情報格納エリアに端末情報が記録されているか否かを判別する。現在位置管理部15は、端末情報格納エリアに端末情報が記録されている場合、現在位置表示部16に端末情報を送信する(ステップS52)。一方、現在位置管理部15は、端末情報格納エリアに端末情報が記録されていない場合、現在位置表示部16に端末情報が記録されていない旨を送信する。
【0150】
現在位置表示部16は、現在位置管理部15から端末情報を受信できたか否かを判別する(ステップS53)。
【0151】
現在位置表示部16は、現在位置管理部15から端末情報を受信すると、受信した端末情報から端末位置および誤差精度を抽出する。現在位置表示部16は、抽出した端末位置および誤差精度を現在位置およびその精度として表示する(ステップS54)。
【0152】
一方、端末情報格納エリアに端末情報が記録されていない場合、利用者端末1は、まだ現在位置を測位していないと考えられる。このため、現在位置表示部16は、基地局情報の初期位置および初期位置誤差を現在位置の代替として表示する。
【0153】
現在位置表示部16は、現在位置管理部15から端末情報が記録されていない旨を受信すると、初期位置管理部14に初期位置情報を要求する(ステップS55)。
【0154】
初期位置管理部14は、現在位置表示部16から初期位置情報を要求されると、初期位置情報格納エリアから初期位置情報を読み出す。初期位置管理部14は、現在位置表示部16に初期位置情報を送信する(ステップS56)。
【0155】
現在位置表示部16は、初期位置管理部14から初期位置情報を受信すると、受信した初期位置情報から初期位置および初期位置誤差を抽出する。現在位置表示部16は、抽出した初期位置および初期位置誤差を現在位置およびその精度として表示する(ステップS57)。
【0156】
第1の実施の形態では、初期位置管理部14は、現在位置算出部11から現在位置を求めるために初期位置情報を要求されたタイミングで、記録している初期位置情報が有効なものでなければ無線基地局からアシストデータを取得し初期位置情報を更新した。初期位置情報を更新するタイミングは、位置登録部13が位置登録した直後であってもよい。
【0157】
また、第1の実施の形態では、初期位置管理部14は、測位履歴格納エリアに記録された測位履歴から基地局情報の基地局位置情報を取得する。基地局位置情報は、基地局位置情報および基地局コード情報を、無線基地局ごとに示す基地局位置リストにより管理してもよい。
【0158】
基地局位置リストは、現在位置管理部15により、データベース17の所定のエリア(以降、基地局位置リスト格納エリアと称する)に作成される。現在位置管理部15は、初期位置管理部14がステップS36で送信した基地局位置情報により基地局位置リスト格納エリアの基地局位置リストを更新する。また、現在位置管理部15は、初期位置管理部14がステップS22で送信した基地局位置情報要求を受信すると、基地局位置情報を要求された無線基地局の基地局位置情報を基地局位置リスト格納エリアに記録されている基地局位置リストから検索する。
【0159】
無線基地局2から受信するアシストデータには、無線基地局2に隣接する無線基地局の基地局位置および基地局通信距離が含まれる場合がある。この場合、初期位置管理部14は、ステップS36で、隣接する無線基地局の基地局情報も含めて、現在位置管理部15に基地局情報を送信する。現在位置管理部15は、受信した、隣接する無線基地局の基地局情報も含めた基地局情報により基地局位置リスト格納エリアの基地局位置リストを更新する。
【0160】
これにより、利用者端末1が位置登録する無線基地局を変更したときに、利用者端末1が移動した先の無線基地局の基地局位置情報を初期位置管理部14が取得できる可能性が向上する。
【0161】
図7に、移動体端末が、基地局Aの配下から、基地局Bの配下に移動した後、さらに基地局Cの配下に移動した場合の例を示す。このとき、基地局Bの配下にいた間にアシストデータを受信していないと、初期位置は基地局Aの基地局位置のままであり、初期位置誤差が(a+2b+2c)kmとなる。
【0162】
一方、現在位置管理部15が、基地局Aのアシストデータを受信したときに、隣接する基地局Cの基地局位置情報を基地局位置リスト格納エリアの基地局位置リストに格納していれば、初期位置を基地局Cの基地局位置とし、初期位置誤差をckmとすることができる。
【0163】
以上説明したように、本実施形態によれば、移動体端末が位置登録している無線基地局の位置が過去に記録されていれば、その位置が初期位置となるので、移動体端末は位置登録のたびに無線基地局から位置情報を取得しなくても、現在位置の測位の初期値として無線基地局の位置を使用することができる。
【0164】
また、移動体端末は、初期位置誤差によって初期位置が現在位置の測位で使用できるか否かを判別するので、実際の現在位置から大きく離れていない初期位置のみを現在位置の測位の初期値として使用することができる。
【0165】
また、移動体端末は、新たな無線基地局に位置登録するとき、初期位置誤差を無線基地局の基地局通信距離を用いて補正するので、初期位置が現在位置の測位で使用できるか否かを、精度よく判別できる。
【0166】
また、移動体端末は、現在位置を測位するまで、初期位置を現在位置として表示するので、現在位置を測位できていない状態であっても、おおまかな現在位置を利用者に表示できる。
【0167】
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態は、第1の実施の形態の移動体端末を国際ローミングによって海外で使用する例である。
【0168】
本実施形態の移動体端末1の基本的な構成は、第1の実施の形態の移動体端末1と同じである。本実施形態の移動体端末1は、第1の実施形態の移動体端末1が備えている機能を備えており、契約している通信事業者の無線基地局に接続する場合には、第1の実施形態のものと同じ動作をする。そして、本実施形態の移動体端末1は、それに加えて以下の構成および機能を備えている。以下の構成および機能は、国際ローミングによって海外の無線基地局に接続しているときに用いられる。
【0169】
本実施形態の移動体端末1のデータベース17の所定の領域には、第1の実施形態において格納されていた情報に加え、図11に示す海外サービス情報があらかじめ設定される。図11に示すように、海外サービス情報には、国際ローミングのサービスを提供するサービス事業者ごとに、国識別コード、事業者コード、サービス初期位置およびサービス範囲があらかじめ設定される。
【0170】
本実施形態では、移動体端末1は、国際ローミングによって他国の無線基地局に接続したら、その無線基地局の位置ではなく、その国においてあらかじめ定められた地点(以下「サービス初期位置」という)を初期位置とする。また、移動体端末1は、サービス初期位置を設定するとき、そのサービス初期位置に対する初期位置誤差を設定する。例えば、接続した無線基地局の通信事業者が通信サービスを提供しているエリア(以下「サービス範囲」という)の中で、初期位置から最も遠い位置までの距離を初期位置誤差として設定することにしてもよい。
【0171】
契約している通信事業者の無線基地局に位置登録するとき、位置管理部13は、第1の実施形態のものと同じ動作をする。
【0172】
位置登録部13は、国際ローミングによって海外の無線基地局へ位置登録すると、位置登録した無線基地局から受信していた報知信号から国コード、事業者コードを抽出する。位置登録部13は、抽出した国コード、事業者コードを、基地局コード情報として初期位置管理部14に送信する。
【0173】
初期位置管理部14は、位置登録部13から基地局コード情報を受信すると、受信した報知信号から国コードおよび事業者コードを抽出する。初期位置管理部14は、抽出した国コードおよび事業者コードに対応するサービス初期位置およびサービス範囲を、データベース17の所定の領域に記録された海外サービス情報から取得する。
【0174】
初期位置管理部14は、取得したサービス初期位置を初期位置情報の初期位置として、サービス範囲を初期位置情報の初期位置誤差として初期位置情報格納エリアに記録する。
【0175】
また、現在位置を求めるとき、現在位置算出部11は、まず、初期位置管理部14に初期位置情報を要求する。
【0176】
現在位置算出部11から初期位置情報を要求されると、初期位置管理部14は、初期位置情報の初期位置誤差があらかじめ設定された所定の閾値以下であるか否かを判別する。
【0177】
初期位置誤差があらかじめ設定された所定の閾値以下である場合、現在位置を測位する演算で初期位置を使用可能と判断し、その初期位置を現在位置算出部11に送信する。
【0178】
現在位置算出部11は、初期位置管理部14から初期位置を取得すると、取得した初期位置を用いて現在位置を測位する。
【0179】
一方、初期位置管理部14は、初期位置誤差があらかじめ設定された所定の閾値以下である場合、現在位置算出部11に初期位置が存在しない旨を通知する。
【0180】
現在位置算出部11は、初期位置管理部14から初期位置が存在しない旨を通知された場合、初期位置を用いず現在位置を測位する。
【0181】
現在位置算出部11は、現在位置の測位が完了すると、測位によって得られた端末位置および端末位置精度を端末情報として、現在位置管理部15に通知する。
【0182】
現在位置管理部15は、現在位置算出部11から端末情報を受信すると、受信した端末情報を端末情報格納エリアに記録する。
【0183】
さらに、現在位置管理部15は、測位履歴として、端末情報、測位方式をあわせて測位履歴格納エリアに追加書き込みする。
【0184】
また、利用者から現在位置の表示を要求されると、現在位置表示部16、現在位置管理部15および初期位置管理部15は、第1の実施形態のものと同じ動作をする。
【0185】
これにより、移動体端末1は、接続した無線基地局の通信事業者が通信サービスを提供しているエリアがあらかじめ設定された所定の閾値以下である場合に限り、その国においてあらかじめ定められた地点を現在位置の測位の初期値として使用できる。さらに、移動体端末1は、接続した無線基地局の通信事業者が通信サービスを提供しているエリアの広さに関わらず、現在位置を測位するまで、その国においてあらかじめ定められた地点を現在位置として表示できる。
【0186】
以上説明したように、本実施形態によれば、国際ローミングによって所定国の無線基地局に位置登録したとき、あらかじめ定められた所定国内の特定位置を現在位置の測位の初期値として使用できる。
【0187】
(第3の実施の形態)
第1の実施の形態および第2の実施の形態の現在位置算出部11、位置登録部13、初期位置管理部14、現在位置管理部15および現在位置表示部16の処理はプログラムによって実現されても良い。
【0188】
図12は第3の実施の形態の移動体端末の構成を示すブロック図である。
【0189】
図12に示すように、第3の実施の形態の移動体端末1は、CPU20と、主記憶装置21と、補助記憶装置22と、記録媒体インタフェース装置23と、記録媒体24と、無線部12と、データベース17とを備え、それらが内部バス30を介して接続される。
【0190】
記録媒体24には、第1の実施の形態および第2の実施の形態の現在位置算出部11、位置登録部13、初期位置管理部14、現在位置管理部15および現在位置表示部16の機能を実現するためのプログラムが記録される。記録媒体24に記録されたプログラムはCPU20によって記憶媒体インタフェース装置23を介して主記憶装置21に読み込まれる。CPU20は主記憶装置21に読み込んだプログラムにしたがって処理を実行する。なお、記録媒体24は、磁気ディスク、半導体メモリ、光ディスクあるいはその他の記録媒体であってもよい。
【符号の説明】
【0191】
1 移動体端末
2 無線基地局
3 アシストサーバ
4 GPS衛星
11 現在位置算出部
12 無線部
13 位置登録部
14 初期位置管理部
15 現在位置管理部
16 現在位置表示部
17 データベース
20 CPU
21 主記憶装置
22 補助記憶装置
23 記録媒体インタフェース装置
24 記録媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線基地局から送信された信号が受信されていれば、該無線基地局に位置登録を行う位置登録手段と、
過去に位置登録した無線基地局から取得された、該無線基地局の位置である基地局位置を該無線基地局に対応付けて、基地局位置リストとして蓄積する現在位置管理手段と、
現在位置を算出するための初期値となる初期位置を管理しており、新たな無線基地局への位置登録が行われたとき該無線基地局の基地局位置が前記基地局位置リストに記録されていれば、前記初期位置を該基地局位置に更新する初期位置管理手段と、
前記初期位置を初期値に用いて、GPS衛星からの受信電波を利用して現在位置を算出するための演算を行う現在位置算出手段と、
を有する移動体端末。
【請求項2】
前記初期位置管理手段は、
更に、前記初期位置の誤差である初期位置誤差を管理しており、該初期位置誤差が所定の閾値以上となったら、現在位置登録している無線基地局から基地局位置を取得し、前記初期位置を該基地局位置に更新するとともに、前記初期位置誤差を、無線基地局の送信信号が到達する距離に更新する、請求項1に記載の移動体端末。
【請求項3】
前記初期位置管理手段は、
新たな無線基地局への位置登録が行われたとき、該無線基地局の基地局位置が前記基地局位置リストに記録されていなければ、前記初期位置をそのままにして前記初期位置誤差を更新する、請求項2に記載の移動体端末。
【請求項4】
前記初期位置管理手段は、
前記初期位置をそのままにして前記初期位置誤差を更新するとき、前記初期位置として基地局位置を設定している無線基地局の信号が到達する距離の2倍の距離を該初期位置誤差に加算する、請求項3に記載の移動体端末。
【請求項5】
前記初期位置管理手段は、
前記初期位置をそのままにして前記初期位置誤差を更新するとき、新たに位置登録する無線基地局の信号が到達する距離の2倍の距離を該初期位置誤差に加算する、請求項3に記載の移動体端末。
【請求項6】
前記現在位置算出手段が現在位置を算出したとき、該現在位置と、該現在位置を算出するときに位置登録を行っていた無線基地局と、該無線基地局の無線基地局位置とを対応付けて記録する履歴を、前記基地局位置リストとして用いる、請求項1から5のいずれか1項に記載の移動体端末。
【請求項7】
前記初期位置管理手段は、
前記位置登録手段が国際ローミングによって所定国の無線基地局に位置登録したとき、前記初期位置を予め定められた該所定国内の特定位置に更新する、請求項1から6のいずれか1項に記載の移動体端末。
【請求項8】
前記移動体端末の現在位置を表示する現在位置表示手段を更に有し、
該現在位置表示手段は、前記現在位置算出手段が前記現在位置を算出するまで、前記初期位置管理手段が管理している前記初期位置を現在位置として表示する、請求項1から7のいずれか1項に記載の移動体端末。
【請求項9】
過去に位置登録した無線基地局から取得した、該無線基地局の位置である基地局位置を該無線基地局に対応付けて、基地局位置リストとして蓄積しておき、
新たな無線基地局へ位置登録を行ったとき該無線基地局の基地局位置が前記基地局位置リストに記録されていれば、前記初期位置を該基地局位置に更新するようにして、現在位置を算出するための初期値となる初期位置を管理し、
前記初期位置を初期値に用いて、GPS衛星からの受信電波を利用して現在位置を算出するための演算を行う、GPS測位方法。
【請求項10】
更に、前記初期位置の誤差である初期位置誤差を管理し、
前記初期位置誤差が所定の閾値以上となったら、現在位置登録している無線基地局から基地局位置を取得し、前記初期位置を該基地局位置に更新するとともに、前記初期位置誤差を、無線基地局の送信信号が到達する距離に更新する、請求項9に記載のGPS測位方法。
【請求項11】
新たな無線基地局への位置登録を行うとき、該無線基地局の基地局位置が前記基地局位置リストに記録されていなければ、前記初期位置をそのままにして前記初期位置誤差を更新する、請求項10に記載のGPS測位方法。
【請求項12】
前記初期位置をそのままにして前記初期位置誤差を更新するとき、前記初期位置として基地局位置を設定している無線基地局の信号が到達する距離の2倍の距離を該初期位置誤差に加算する、請求項11に記載のGPS測位方法。
【請求項13】
前記初期位置をそのままにして前記初期位置誤差を更新するとき、新たに位置登録する無線基地局の信号が到達する距離の2倍の距離を該初期位置誤差に加算する、請求項11に記載のGPS測位方法。
【請求項14】
現在位置を算出したとき、該現在位置と、該現在位置を算出するときに位置登録を行っていた無線基地局と、該無線基地局の無線基地局位置とを対応付けて記録する履歴を、前記基地局位置リストとして用いる、請求項9から13のいずれか1項に記載のGPS測位方法。
【請求項15】
信号が受信される無線基地局に位置登録を行い、過去に位置登録した無線基地局から取得した、該無線基地局の位置である基地局位置を該無線基地局に対応付けて、基地局位置リストとして蓄積しておき、新たな無線基地局への位置登録を行ったとき該無線基地局の基地局位置が前記基地局位置リストに記録されていれば、前記初期位置を該基地局位置に更新するようにして、現在位置を算出するための初期値となる初期位置を管理し、該初期位置を初期値に用いて、GPS衛星からの受信電波を利用して現在位置を算出するための演算を行う、移動体端末と、
前記移動体端末から要求されると前記基地局位置を提供する無線基地局と、
を有するGPS測位システム。
【請求項16】
前記移動体端末は、
更に、前記初期位置の誤差である初期位置誤差を管理し、該初期位置誤差が所定の閾値以上となったら、現在位置登録している無線基地局から基地局位置を取得し、前記初期位置を該基地局位置に更新するとともに、前記初期位置誤差を、無線基地局の送信信号が到達する距離に更新する、請求項15に記載のGPS測位システム。
【請求項17】
前記移動体端末は、
新たな無線基地局への位置登録を行うとき、該無線基地局の基地局位置が前記基地局位置リストに記録されていなければ、前記初期位置をそのままにして前記初期位置誤差を更新する、請求項16に記載のGPS測位システム。
【請求項18】
前記移動体端末は、
前記初期位置をそのままにして前記初期位置誤差を更新するとき、前記初期位置として基地局位置を設定している無線基地局の信号が到達する距離の2倍の距離を該初期位置誤差に加算する、請求項17に記載のGPS測位システム。
【請求項19】
前記移動体端末は、
前記初期位置をそのままにして前記初期位置誤差を更新するとき、新たに位置登録する無線基地局の信号が到達する距離の2倍の距離を該初期位置誤差に加算する、請求項17に記載のGPS測位システム。
【請求項20】
前記移動体端末は、
現在位置を算出したとき、該現在位置と、該現在位置を算出するときに位置登録を行っていた無線基地局と、該無線基地局の無線基地局位置とを対応付けて記録する履歴を、前記基地局位置リストとして用いる、請求項15から19のいずれか1項に記載のGPS測位システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−185830(P2010−185830A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−31319(P2009−31319)
【出願日】平成21年2月13日(2009.2.13)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】