説明

移動体端末装置及びその制御方法、並びに移動体端末装置を制御するためのコンピュータプログラム及びコンピュータプログラムを記録した記録媒体

【課題】移動体端末装置の現在位置の測位に関し、対象となる施設の領域内外で測位周期を異なるよう制御する装置及びその方法を提供する。
【解決手段】移動体端末の現在位置を測位する測位ステップと、該測位ステップが該現在位置を測位する周期を制御する測位周期制御ステップと、該測位周期の制御対象となる施設の領域を特定する施設領域特定ステップと、該測位ステップ及び該施設領域特定ステップを参照して、該現在位置が該施設領域内に存在するか否かを判定する第1の判定ステップと、を備え、該測位周期制御ステップは、該第1の判定結果に基づき、該現在位置が該施設領域内に存在すると判定されるとき、予め定められた基準周期と異なる第1の周期で該現在位置を測位するよう該測位ステップを制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体端末装置の現在位置の測位に関し、対象となる施設の領域内外で測位周期を異なるよう制御する装置及びその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、移動体通信システムの普及は目覚しく、これに伴ってスマートフォン等の移動体端末装置において広範な場面での利用が活発化してきている。一方、移動体端末装置には、移動時の携帯性を考慮し、当該装置自体の小型化に加え、用いられる電池の小型化が望まれている。
このように、移動体端末装置の利用場面が増加する一方、電池の小型化に伴う電池容量には制限があることから、利用場面における電池容量を確保することが必要である。そこで、移動体端末装置の消費電力を低減する技術が種々提案されている。
【0003】
このような技術として特許文献1では、自己位置と目的地との距離や自己の移動速度等に応じて、測位手段による自己位置の計測間隔を制御する測位装置が開示されている。
一方、テーマパーク等の施設において、上記移動体端末装置を利用した施設案内アプリケーションのサービスも多く用いられるようになってきている。
本件発明に関連する従来技術を開示する特許文献2〜4も参照されたい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−249565号公報
【特許文献2】特開2005−337855号公報
【特許文献3】特開2006−242578号公報
【特許文献4】国際公開第2008/099736号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記施設案内のアプリケーションを利用等する場合、ユーザの現在位置を詳細に特定することが好ましい。
しかしながら、上記施設案内アプリケーションのサービスの利用には電池の消耗が伴うため、ユーザは、施設に到着するまでの電池の消耗を極力控え、施設内でのアプリケーション等の利用による電池の消耗に備えたい。このような課題を解決すべく本発明者らは鋭意検討を重ねてきた。その結果、現在位置と対象となる施設の領域との関係に着目し、現在位置が当該施設領域内に存在するか否かを判定し、その判定結果を用いて現在位置の測位周期を制御することに想到した。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明はかかる目的を達成すべくなされたものであり、その第1の局面は次のように規定される。即ち、
移動体端末の現在位置を測位する測位部と、
前記測位部が前記現在位置を測位する周期を制御する測位周期制御部と、
前記測位周期の制御対象となる施設の領域を特定する施設領域特定部と、
前記現在位置が前記施設領域内に存在するか否かを判定する第1の判定部と、を備え、
前記測位周期制御部は、前記第1の判定結果に基づき、前記現在位置が前記施設領域内に存在すると判定されるとき、予め定められた基準周期と異なる第1の周期で前記現在位置を測位するよう前記測位部を制御する、
移動体端末装置。
【0007】
このように規定される第1の局面の移動体端末装置によれば、移動体端末装置の現在位置を測位し、当該現在位置が施設の領域内に存在するか否かを判定し、当該現在位置が施設領域内に存在すると判定されたとき、予め定められた基準周期と異なる第1の周期で現在位置の測位を行うよう測位部を制御する。このように現在位置の測位に代表される、とりわけ消費電力の大きい機能の動作頻度、動作時間を制御することによって、移動体端末装置の消費電力の低減を図ることが可能となる。
【0008】
ここで、移動体端末装置は、GPS(Global Positioning System)の受信機として機能し、測位処理に用いられる各GPS衛星を利用して移動体端末装置の位置を算出することができる。
また、当該施設としては、例えば、テーマパーク等の遊戯施設や観光地、ショッピングモール等の複合商業施設、水族館や博物館等の公共施設等が挙げられる。
【0009】
施設領域とは、上記施設に関連付けられた領域であれば特に限定されないが、例えば、当該施設の敷地面積や、当該施設の高さを考慮した空間領域等を挙げることとできる。
測位周期とは、測位部が移動体端末装置の現在位置を測位する間隔や周期をいう。
基準周期とは、予め設定されている測位周期であり、一定の時間間隔(例えば10分間隔等)であっても良いし、不定の時間間隔であっても良い。
【0010】
第1の周期は、基準周期と異なるよう制御されれば良く、特には基準周期よりも短く制御することとできる(第3の局面)。例えば、第1の周期が基準周期に比べ短い時間間隔で制御される場合、対象となる施設内においてより精度良く現在位置を特定できるため、施設敷地内での現在位置をより詳細に表示可能となる。他にも、精度良く特定された現在位置に対応して、施設に関連付けられた施設案内アプリケーションを提供することが可能となる。
一方、上記施設領域特定部で特定された施設領域の面積が狭い場合等において、第1の周期を基準周期より長い時間間隔(例えば30分間隔等)で制御することとできる。施設領域の面積が比較的狭い場合には、現在位置の経時的な変化が小さいことから、測位頻度を下げて消費電力を抑えることが好ましいからである。
【0011】
この発明の第2の局面は次のように規定される。即ち、
第1の局面に規定の移動体端末装置において、指定された条件に基づいて、前記施設領域外の領域である前記施設の周辺の領域を特定する周辺領域特定部と、
前記現在位置が前記周辺領域内に存在するか否かを判定する第2の判定部と、を備え、
前記測位周期制御部は、前記第2の判定結果に基づき、前記現在位置が前記周辺領域内に存在すると判定されるとき、前記基準周期と異なる第2の周期で前記現在位置を測位するよう前記測位部を制御する。
【0012】
このように規定される第2の局面の移動体端末装置によれば、上記施設領域に加え、当該施設の周辺領域を特定し、移動体端末装置の現在位置が周辺領域内に存在するか否かを判定し、当該現在位置が周辺領域内に存在すると判定されたとき、上記基準周期と異なる第2の周期で現在位置の測位を行うよう測位部を制御する。このように施設の周辺領域についても測位周期を制御することによって、例えば、施設周辺における駐車場や入場ゲート等の位置案内を行うことが可能となる。
【0013】
ここで、周辺領域とは、指定された条件に基づき特定される、施設の周辺に位置する領域をいう。当該指定された条件としては、特に限定されないが、対象となる施設領域の境界から所定距離内(例えば2km内)とすることとできる(第5の局面)。
また、第2の周期は、第1の周期と同様、基準周期と異なるよう制御されれば良く、特には基準周期よりも短く制御することとできる(第3の局面)。また、第1の周期を第2の周期と同等か、或いは短く制御することとできる(第4の局面)。第1の周期と第2の周期とが同等である場合には、施設領域と同様に、その周辺領域についても、精度良く特定された現在位置に基づく、より詳細な案内を行うことが可能となる。第1の周期が第2の周期より短い場合には、施設領域内での消費電力の確保と、周辺領域での詳細な案内とのバランスを考慮した制御が可能となる。
【0014】
この発明の第6の局面は次のように規定される。即ち、
第1〜第5のいずれかの局面に規定の移動体端末装置において、前記第1の判定部及び/又は前記第2の判定部の判定結果に基づいて、前記施設に関連付けられたアプリケーションを起動及び/又は終了させる起動制御部、を備える。
【0015】
このように規定される第6の局面の移動体端末装置によれば、現在位置が施設領域及び/又は周辺領域に存在するとき、当該施設に関連付けられたアプリケーションを起動させ、及び又は、当該現在位置が施設領域及び/又は周辺領域に存在しないと判定されたとき、当該アプリケーションを終了させる。このようにアプリケーションの起動タイミングを制御することにより、当該施設を利用するユーザが必要とするタイミングでのアプリケーションの提供が可能となるため、ユーザの利便性の向上を図ることが可能となる。
【0016】
また、この発明の第7の局面は次のように規定される。即ち、
移動体端末の現在位置を測位する測位ステップと、
前記測位ステップが前記現在位置を測位する周期を制御する測位周期制御ステップと、
前記測位周期の制御対象となる施設の領域を特定する施設領域特定ステップと、
前記測位ステップ及び前記施設領域特定ステップを参照して、前記現在位置が前記施設領域内に存在するか否かを判定する第1の判定ステップと、を備え、
前記測位周期制御ステップは、前記第1の判定結果に基づき、前記現在位置が前記施設領域内に存在すると判定されるとき、予め定められた基準周期と異なる第1の周期で前記現在位置を測位するよう前記測位ステップを制御する、
移動体端末装置の制御方法。
このように規定される第7の局面の発明によれば、第1の局面と同等の効果を奏する。
【0017】
この発明の第8の局面は次のように規定される。即ち、
第7の局面に規定の制御方法において、指定された条件に基づいて、前記施設領域外の領域である前記施設の周辺の領域を特定する周辺領域特定ステップと、
前記現在位置が前記周辺領域内に存在するか否かを判定する第2の判定ステップと、を備え、
前記測位周期制御ステップは、前記第2の判定結果に基づき、前記現在位置が前記周辺領域内に存在すると判定されるとき、前記基準周期と異なる第2の周期で前記現在位置を測位するよう前記測位ステップを制御する。
このように規定される第8の局面の発明によれば、第2の局面と同等の効果を奏する。
【0018】
この発明の第9の局面は次のように規定される。即ち、
第7又は第8の局面に規定の制御方法において、前記測位周期制御ステップは、前記第1の周期及び/又は前記第2の周期を前記基準周期よりも短く制御する。
このように規定される第9の局面の発明によれば、第3の局面と同等の効果を奏する。
【0019】
この発明の第10の局面は次のように規定される。即ち、
第7〜第9のいずれかの局面に規定の制御方法において、前記測位周期制御ステップは、前記第1の周期を前記第2の周期と同等か、或いは短く制御する。
このように規定される第10の局面の発明によれば、第4の局面と同等の効果を奏する。
【0020】
この発明の第11の局面は次のように規定される。即ち、
第7〜第10のいずれかの局面に規定の制御方法において、前記指定された条件は、前記施設領域の境界から所定距離内である。
このように規定される第11の局面の発明によれば、第5の局面と同等の効果を奏する。
【0021】
この発明の第12の局面は次のように規定される。即ち、
第7〜第11のいずれかの局面に規定の制御方法において、前記第1の判定ステップ及び/又は前記第2の判定ステップの判定結果に基づいて、前記施設に関連付けられたアプリケーションを起動及び/又は終了させる起動制御ステップ、を備える。
このように規定される第12の局面の発明によれば、第6の局面と同等の効果を奏する。
【0022】
更に、この発明の第13の局面は次のように規定される。即ち、
移動体端末装置の制御を行うためのコンピュータプログラムであって、コンピュータを、
移動体端末の現在位置を測位する測位手段と、
前記測位手段が前記現在位置を測位する周期を制御する測位周期制御手段と、
前記測位周期の制御対象となる施設の領域を特定する施設領域特定手段と、
前記測位手段及び前記施設領域特定手段を参照して、前記現在位置が前記施設領域内に存在するか否かを判定する第1の判定手段、として機能させ、
前記測位周期制御手段は、前記第1の判定結果に基づき、前記現在位置が前記施設領域内に存在すると判定されるとき、予め定められた基準周期と異なる第1の周期で前記現在位置を測位するよう前記測位手段を制御する、
コンピュータプログラム。
このように規定される第13の局面の発明によれば、第1の局面と同等の効果を奏する。
【0023】
この発明の第14の局面は次のように規定される。即ち、
第13の局面に規定のコンピュータプログラムにおいて、前記コンピュータを、更に、
指定された条件に基づいて、前記施設領域外の領域である前記施設の周辺の領域を特定する周辺領域特定手段と、
前記現在位置が前記周辺領域内に存在するか否かを判定する第2の判定手段、として機能させ、
前記測位周期制御手段は、前記第2の判定結果に基づき、前記現在位置が前記周辺領域内に存在すると判定されるとき、前記基準周期と異なる第2の周期で前記現在位置を測位するよう前記測位手段を制御する。
このように規定される第14の局面の発明によれば、第2の局面と同等の効果を奏する。
【0024】
この発明の第15の局面は次のように規定される。即ち、
第13又は第14の局面に規定のコンピュータプログラムにおいて、前記測位周期制御手段は、前記第1の周期及び/又は前記第2の周期を前記基準周期よりも短く制御する。
このように規定される第15の局面の発明によれば、第3の局面と同等の効果を奏する。
【0025】
この発明の第16の局面は次のように規定される。即ち、
第13〜第15のいずれかの局面に規定のコンピュータプログラムにおいて、前記測位周期制御手段は、前記第1の周期を前記第2の周期と同等か、或いは短く制御する。
このように規定される第16の局面の発明によれば、第4の局面と同等の効果を奏する。
【0026】
この発明の第17の局面は次のように規定される。即ち、
第13〜第16のいずれかの局面に規定のコンピュータプログラムにおいて、前記指定された条件は、前記施設領域の境界から所定距離内である。
このように規定される第17の局面の発明によれば、第5の局面と同等の効果を奏する。
【0027】
この発明の第18の局面は次のように規定される。即ち、
第13〜第17のいずれかの局面に規定のコンピュータプログラムにおいて、前記コンピュータを、更に、
前記第1の判定手段及び/又は前記第2の判定手段の判定結果に基づいて、前記施設に関連付けられたアプリケーションを起動及び/又は終了させる起動制御手段、として機能させる。
このように規定される第18の局面の発明によれば、第6の局面と同等の効果を奏する。
【0028】
第13〜第18のいずれかの局面に規定されるコンピュータプログラムを記録する記録媒体が第19の局面として規定される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施の形態の移動体端末装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態の移動体端末装置の動作を示すフローチャートである。
【図3】本発明の他の実施の形態の移動体端末装置の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施例の移動体端末装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
この発明の実施の形態の移動体端末装置を説明する。
図1に、移動体端末装置1の概略構成を示す。
図1に示すように、この移動体端末装置1は、地図データ保存部3、測位部4、施設領域特定部5、第1保存部6、第1の判定部7及び測位周期制御部8を備えている。
【0031】
地図データ保存部3には、地図情報が保存される。地図情報には、地図上に存在する施設及びその位置等を表す複数の施設情報等が含まれ、これらの施設に関する領域をポリゴンデータとして保存していても良い。地図情報として、他にも、リンクやノードなど地図情報を規定するための道路要素に関する情報と地図に描画される情報等を含むこととできる。
測位部4は、移動体端末装置1の現在位置を測位する。当該測位部4は、例えば、GPSを利用して測位処理を行い、当該移動体端末装置1の現在位置を示す測位情報を予め定められた基準周期で測位する。
【0032】
施設領域特定部5は、地図データ保存部3を参照して、後述する測位周期の制御対象となる施設の領域を特定する。当該特定の方法は特に限定されないが、後述する入力部によって予め入力された施設に基づき、地図データから当該施設に関連付けられた施設領域を特定する。特定された当該施設領域は、第1保存部6に保存される。
第1の判定部7は、測位部4及び第1保存部6を参照して、測位部4で測位された現在位置が上記施設領域内に存在するか否かを判定する。当該判定は、当該現在位置の座標と上記施設領域に関するポリゴンデータとを比較して行うこととできる。
【0033】
測位周期制御部8は、第1の判定部7の判定結果に基づいて、測位部4が現在位置を測位する周期を制御する。すなわち、測位周期制御部8は、上記第1の判定結果に基づき、現在位置が上記施設領域内に存在すると判定されるとき、上記基準周期と異なる第1の周期で当該現在位置を測位するよう測位部4を制御する。ここで、第1の周期は上記基準周期と異なるよう制御されれば特に限定されない。例えば、第1の周期を基準周期より短い時間間隔(例えば10秒間隔等)で制御すれば、施設領域内での現在位置をほぼリアルタイムに近い状態で測位することが可能となり、施設案内アプリケーションによるより詳細な案内が可能となる。
【0034】
図2を用いて、図1に示す移動体端末装置1の動作を説明する。
まず、ステップ1では、移動体端末装置1の現在位置の測位周期の制御対象となる施設を入力し、保存する。
ステップ3では、施設領域特定部5は、地図データ保存部3を参照し、ステップ1で入力された施設の施設領域を特定し、保存する。
ステップ5では、測位部4は、移動体端末装置1の現在位置を測位する。
【0035】
ステップ7では、第1の判定部7は、ステップ3で特定された施設領域とステップ5で測位された現在位置とを比較する。当該比較の結果、現在位置が施設領域内に存在すると判定されるとき(ステップ9:Yes)、ステップ11へ進み、測位周期制御部8は、第1の周期で測位するよう測位部4を制御する。
一方、ステップ9においてNoのとき、測位周期制御部8は、基準周期での測位を維持する。
ステップ11で制御される第1の周期、あるいは、ステップ13で維持される基準周期で、ステップ5〜ステップ9を繰り返す。
【0036】
図3に、他の実施の形態の移動体端末装置21を示す。図3において、図1と同一の要素には同一の符号を付して、その説明を部分的に省略する。
図3に示すのは、施設領域に加えて、当該施設の周辺領域においても測位周期の制御が可能な移動体端末装置21である。すなわち、当該移動体端末装置21は、図1に示す移動体端末装置1において、周辺領域特定部23、第2保存部24及び第2の判定部25を更に備えている。
【0037】
周辺領域特定部23は、地図データ保存部3及び第1保存部6を参照して、予め指定された条件に基づいて、施設領域特定部5で特定された施設の周辺領域を特定する。指定された条件は、特に限定されないが、当該施設領域の境界から所定距離(例えば2km)以内の領域であることを条件として周辺領域を特定することとできる。また、当該周辺領域は、当該施設領域の境界からの距離に応じて段階的に特定されていても良い。この場合、後述する測位周期制御部8においても段階的に測位周期を制御することとできる。特定された当該周辺領域は、第2保存部24に保存される。
第2の判定部25は、測位部4及び第2保存部24を参照して、測位部4で測位された現在位置が上記周辺領域内に存在するか否かを判定する。当該判定は、当該現在位置の座標と上記周辺領域の座標とを比較して行うこととできる。
【0038】
この移動体端末装置21において、測位周期制御部8は、第1の判定部7及び第2の判定部25の夫々の判定結果に基づいて、測位部4が現在位置を測位する周期を制御する。すなわち、測位周期制御部8は、第1及び第2の判定結果に基づき、現在位置が上記施設領域内に存在すると判定されるときは上記第1の周期で現在位置を測位するよう測位部4を制御し、また、現在位置が上記周辺領域内に存在すると判定されるときは、上記基準周期と異なる第2の周期で当該現在位置を測位するよう測位部4を制御する。ここで、第2の周期は上記基準周期と異なるよう制御されれば特に限定されず、例えば、第2の周期を基準周期より短い時間間隔で制御することとできる。また、第1の周期は、第2の周期と同等の時間間隔であっても良いし、第2の周期より短い時間間隔であっても良い。
【0039】
図4に、この発明の実施例の移動体端末装置31を示す。図4において、図1及び図3と同一の要素には同一の符号を付して、その説明を部分的に省略する。
図4に示すのは、測位周期の制御に加えて、施設に関連付けられたアプリケーションの起動を制御可能な移動体端末装置31である。すなわち、当該移動体端末装置31は、制御部410、メモリ部411、入力部412、出力部413、インターフェース部414、地図データ保存部3、施設領域特定部5、第1保存部6、測位部4及び第1の判定部7を備えている。
【0040】
制御部410はCPU、バッファメモリその他の装置を備えたコンピュータ装置であり、移動体端末装置31を構成する他の要素を制御する。この制御部410は、測位周期制御部8及び起動制御部33を備えている。
起動制御部33は、第1の判定部7の判定結果に基づいて、施設に関連付けられたアプリケーションの起動制御を行う。すなわち、起動制御部33は、上記第1の判定結果に基づき、現在位置が上記施設領域内に存在すると判定されるとき、上記アプリケーションが起動するよう移動体端末装置31を制御する。一方、現在位置が上記施設領域内に存在しないと判定されるとき、上記アプリケーションが終了するよう移動体端末装置31を制御する。上記施設に関連付けられたアプリケーションとしては、例えば、当該施設の地図案内、イベント案内、駐車場案内等の情報を含むアプリケーションが挙げられる。
【0041】
メモリ部411にはコンピュータプログラムが保存され、このコンピュータプログラムはコンピュータ装置である制御部410に読み込まれて、これを機能させる。このコンピュータプログラムは、移動体端末装置の記憶装置としての内蔵ハードディスク又は内蔵メモリ、移動体端末装置に差し替え可能な記憶媒体としてのSD(登録商標)メモリカード、メモリスティック、スマートメディア、コンパクトフラッシュ(登録商標)等の汎用的な媒体へ保存できる。
入力部412は、測位周期の制御あるいはアプリケーションの起動制御の対象となる施設の入力等に用いられる。入力部412として、ライトペン又はディスプレイの表示内容と協働するタッチパネル等のポインティングデバイス又はマイクロホン等の音声入力装置を用いることができる。
【0042】
出力部413はディスプレイを含み、入力画面や、測位部4で測位される現在位置、測位周期制御部8で制御される測位周期に関する情報等の情報を表示する。その他にも、ナビゲーションに必要な地図情報、施設に関連付けられたアプリケーションに関する内容等を表示する。この出力部413は音声発信部を含むこともできる。
インターフェース部414は移動体端末装置31を無線ネットワーク等へ連結させる。
【0043】
また、本発明を用いて、移動体端末装置の測位周期の制御のほか、例えば、施設に関連付けられた「施設内のイベント開始時間のお知らせ」等の各種情報の案内動作、画面表示や通信に関する動作等の制御を行うことも可能である。
【0044】
本発明の移動体端末装置の制御方法を、移動速度を判定する方法や電池残量を判定する方法、端末操作頻度を判定する方法と組合わせて用いることも可能である。例えば、移動速度が速いと判定された場合には、測位周期を短い時間間隔に設定することが好ましく、また、電池残量が少ないと判定された場合には、測位周期を長い時間間隔に設定することが好ましい。したがって、これらの判定結果と組合わせて移動体端末装置の測位周期を制御すれば、電力消耗、電池容量を考慮した、よりユーザの利便性に優れた移動体端末装置を提供することが可能となる。
【0045】
以上、本発明の実施の形態及び実施例について説明してきたが、これらのうち、2つ以上の実施の形態(実施例)を組み合わせて実施しても構わない。あるいは、これらのうち、1つの実施の形態(実施例)を部分的に実施しても構わない。さらには、これらのうち、2つ以上の実施の形態(実施例)を部分的に組み合わせて実施しても構わない。
【0046】
以下、次の事項を開示する。
この発明の第20の局面は次のように規定される。即ち、
移動体端末の現在位置を測位する測位部と、
前記現在位置に基づいて、施設に関連付けられたアプリケーションの起動を制御する起動制御部と、
前記アプリケーションの起動の制御対象となる前記施設の領域を特定する施設領域特定部と、
前記測位部及び前記施設領域特定部を参照して、前記現在位置が前記施設領域内に存在するか否かを判定する第1の判定部と、を備え、
前記起動制御部は、前記第1の判定結果に基づき、前記現在位置が前記施設領域内に存在すると判定されるとき、前記アプリケーションが起動するよう前記移動体端末を制御する、
移動体端末装置。
【0047】
このように規定される第20の局面の発明によれば、現在位置が施設の領域内に存在するか否かの判定結果に基づいて、当該現在位置が施設領域内に存在すると判定されたとき、当該施設に関連付けられたアプリケーションを起動する。このようにアプリケーションの起動タイミングを制御することにより、当該施設を利用するユーザが必要とするタイミングでのアプリケーションの提供が可能となるため、ユーザの利便性の向上を図ることが可能となる。
【0048】
この発明の第21の局面は次のように規定される。即ち、
第20の局面に規定の移動体端末装置において、指定された条件に基づいて、前記施設領域外の領域である前記施設の周辺の領域を特定する周辺領域特定部と、
前記現在位置が前記周辺領域内に存在するか否かを判定する第2の判定部と、を備え、
前記起動制御部は、前記第2の判定結果に基づき、前記現在位置が前記周辺領域内に存在すると判定されるとき、前記アプリケーションが起動するよう前記移動体端末装置を制御する。
【0049】
このように規定される第21の局面の発明によれば、上記施設領域に加え、当該施設の周辺領域を特定し、移動体端末装置の現在位置が周辺領域内に存在するか否かを判定し、当該現在位置が周辺領域内に存在すると判定されたとき、当該施設に関連付けられたアプリケーションを起動する。このように施設の周辺領域に存在する場合にも、当該施設に関連付けられたアプリケーションが起動するよう制御することにより、例えば、施設周辺における駐車場や入場ゲート等の位置案内を行うことが可能となる。
【0050】
また、この発明の第22の局面は次のように規定される。即ち、
移動体端末の現在位置を測位する測位ステップと、
前記現在位置に基づいて、施設に関連付けられたアプリケーションの起動を制御する起動制御ステップと、
前記アプリケーションの起動の制御対象となる前記施設の領域を特定する施設領域特定ステップと、
前記測位ステップ及び前記施設領域特定ステップを参照して、前記現在位置が前記施設領域内に存在するか否かを判定する第1の判定ステップと、を備え、
前記起動制御ステップは、前記第1の判定結果に基づき、前記現在位置が前記施設領域内に存在すると判定されるとき、前記アプリケーションが起動するよう前記移動体端末を制御する、
移動体端末装置の制御方法。
このように規定される第22の局面の発明によれば、第20の局面と同等の効果を奏する。
【0051】
この発明の第23の局面は次のように規定される。即ち、
第22の局面に規定の移動体端末装置の制御方法において、指定された条件に基づいて、前記施設領域外の領域である前記施設の周辺の領域を特定する周辺領域特定ステップと、
前記現在位置が前記周辺領域内に存在するか否かを判定する第2の判定ステップと、を備え、
前記起動制御ステップは、前記第2の判定結果に基づき、前記現在位置が前記周辺領域内に存在すると判定されるとき、前記アプリケーションが起動するよう前記移動体端末装置を制御する。
このように規定される第23の局面の発明によれば、第21の局面と同等の効果を奏する。
【0052】
更に、この発明の第24の局面は次のように規定される。即ち、
移動体端末装置を制御するためのコンピュータプログラムであって、コンピュータを、
移動体端末の現在位置を測位する測位手段と、
前記現在位置に基づいて、施設に関連付けられたアプリケーションの起動を制御する起動制御手段と、
前記アプリケーションの起動の制御対象となる前記施設の領域を特定する施設領域特定手段と、
前記測位手段及び前記施設領域特定手段を参照して、前記現在位置が前記施設領域内に存在するか否かを判定する第1の判定手段、として機能させ、
前記起動制御手段は、前記第1の判定結果に基づき、前記現在位置が前記施設領域内に存在すると判定されるとき、前記アプリケーションが起動するよう前記移動体端末を制御する。
このように規定される第24の局面の発明によれば、第20の局面と同等の効果を奏する。
【0053】
この発明の第25の局面は次のように規定される。即ち、
第24の局面に規定のコンピュータプログラムにおいて、前記コンピュータを、更に、
指定された条件に基づいて、前記施設領域外の領域である前記施設の周辺の領域を特定する周辺領域特定手段と、
前記現在位置が前記周辺領域内に存在するか否かを判定する第2の判定手段、として機能させ、
前記起動制御手段は、前記第2の判定結果に基づき、前記現在位置が前記周辺領域内に存在すると判定されるとき、前記アプリケーションが起動するよう前記移動体端末装置を制御する。
このように規定される第25の局面の発明によれば、第21の局面と同等の効果を奏する。
【0054】
第24又は第25の局面に規定されるコンピュータプログラムを記録する記録媒体が第26の局面として規定される。
【0055】
この発明は、上記発明の実施の形態及び実施例の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。
【符号の説明】
【0056】
1 21 31 移動体端末装置
3 地図データ保存部
4 測位部
5 施設領域特定部
7 25 判定部
8 測位周期制御部
23 周辺領域特定部
33 起動制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体端末の現在位置を測位する測位部と、
前記測位部が前記現在位置を測位する周期を制御する測位周期制御部と、
前記測位周期の制御対象となる施設の領域を特定する施設領域特定部と、
前記測位部及び前記施設領域特定部を参照して、前記現在位置が前記施設領域内に存在するか否かを判定する第1の判定部と、を備え、
前記測位周期制御部は、前記第1の判定結果に基づき、前記現在位置が前記施設領域内に存在すると判定されるとき、予め定められた基準周期と異なる第1の周期で前記現在位置を測位するよう前記測位部を制御する、
移動体端末装置。
【請求項2】
指定された条件に基づいて、前記施設領域外の領域である前記施設の周辺の領域を特定する周辺領域特定部と、
前記現在位置が前記周辺領域内に存在するか否かを判定する第2の判定部と、を備え、
前記測位周期制御部は、前記第2の判定結果に基づき、前記現在位置が前記周辺領域内に存在すると判定されるとき、前記基準周期と異なる第2の周期で前記現在位置を測位するよう前記測位部を制御する、
請求項1に記載の移動体端末装置。
【請求項3】
前記測位周期制御部は、前記第1の周期及び/又は前記第2の周期を前記基準周期よりも短く制御する、請求項1又は2に記載の移動体端末装置。
【請求項4】
前記測位周期制御部は、前記第1の周期を前記第2の周期と同等か、或いは短く制御する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の移動体端末装置。
【請求項5】
前記指定された条件は、前記施設領域の境界から所定距離内である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の移動体端末装置。
【請求項6】
前記第1の判定部及び/又は前記第2の判定部の判定結果に基づいて、前記施設に関連付けられたアプリケーションを起動及び/又は終了させる起動制御部、を備える、請求項1〜5のいずれか一項に記載の移動体端末装置。
【請求項7】
移動体端末の現在位置を測位する測位ステップと、
前記測位ステップが前記現在位置を測位する周期を制御する測位周期制御ステップと、
前記測位周期の制御対象となる施設の領域を特定する施設領域特定ステップと、
前記測位ステップ及び前記施設領域特定ステップを参照して、前記現在位置が前記施設領域内に存在するか否かを判定する第1の判定ステップと、を備え、
前記測位周期制御ステップは、前記第1の判定結果に基づき、前記現在位置が前記施設領域内に存在すると判定されるとき、予め定められた基準周期と異なる第1の周期で前記現在位置を測位するよう前記測位ステップを制御する、
移動体端末装置の制御方法。
【請求項8】
指定された条件に基づいて、前記施設領域外の領域である前記施設の周辺の領域を特定する周辺領域特定ステップと、
前記現在位置が前記周辺領域内に存在するか否かを判定する第2の判定ステップと、を備え、
前記測位周期制御ステップは、前記第2の判定結果に基づき、前記現在位置が前記周辺領域内に存在すると判定されるとき、前記基準周期と異なる第2の周期で前記現在位置を測位するよう前記測位ステップを制御する、
請求項7に記載の制御方法。
【請求項9】
前記測位周期制御ステップは、前記第1の周期及び/又は前記第2の周期を前記基準周期よりも短く制御する、請求項7又は8に記載の制御方法。
【請求項10】
前記測位周期制御ステップは、前記第1の周期を前記第2の周期と同等か、或いは短く制御する、請求項7〜9のいずれか1項に記載の制御方法。
【請求項11】
前記指定された条件は、前記施設領域の境界から所定距離内である、請求項7〜10のいずれか1項に記載の制御方法。
【請求項12】
前記第1の判定ステップ及び/又は前記第2の判定ステップの判定結果に基づいて、前記施設に関連付けられたアプリケーションを起動及び/又は終了させる起動制御ステップ、を備える、請求項7〜11のいずれか一項に記載の制御方法。
【請求項13】
移動体端末装置の制御を行うためのコンピュータプログラムであって、コンピュータを、
移動体端末の現在位置を測位する測位手段と、
前記測位手段が前記現在位置を測位する周期を制御する測位周期制御手段と、
前記測位周期の制御対象となる施設の領域を特定する施設領域特定手段と、
前記測位手段及び前記施設領域特定手段を参照して、前記現在位置が前記施設領域内に存在するか否かを判定する第1の判定手段、として機能させ、
前記測位周期制御手段は、前記第1の判定結果に基づき、前記現在位置が前記施設領域内に存在すると判定されるとき、予め定められた基準周期と異なる第1の周期で前記現在位置を測位するよう前記測位手段を制御する、
コンピュータプログラム。
【請求項14】
前記コンピュータを、更に、
指定された条件に基づいて、前記施設領域外の領域である前記施設の周辺の領域を特定する周辺領域特定手段と、
前記現在位置が前記周辺領域内に存在するか否かを判定する第2の判定手段、として機能させ、
前記測位周期制御手段は、前記第2の判定結果に基づき、前記現在位置が前記周辺領域内に存在すると判定されるとき、前記基準周期と異なる第2の周期で前記現在位置を測位するよう前記測位手段を制御する、
請求項13に記載のコンピュータプログラム。
【請求項15】
前記測位周期制御手段は、前記第1の周期及び/又は前記第2の周期を前記基準周期よりも短く制御する、請求項13又は14に記載のコンピュータプログラム。
【請求項16】
前記測位周期制御手段は、前記第1の周期を前記第2の周期と同等か、或いは短く制御する、請求項13〜15のいずれか1項に記載のコンピュータプログラム。
【請求項17】
前記指定された条件は、前記施設領域の境界から所定距離内である、請求項13〜16のいずれか1項に記載のコンピュータプログラム。
【請求項18】
前記コンピュータを、更に、
前記第1の判定手段及び/又は前記第2の判定手段の判定結果に基づいて、前記施設に関連付けられたアプリケーションを起動及び/又は終了させる起動制御手段、として機能させる、請求項13〜17のいずれか一項に記載のコンピュータプログラム。
【請求項19】
請求項13〜18のいずれかに記載のコンピュータプログラムを記録する記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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