移動体表示方法及び移動体管理装置
【課題】各移動体に他の移動体の位置をリアルタイムで表示させる。
【解決手段】移動体管理装置1では、定期位置情報収集手段12が、移動体A(2a)を含むすべての移動体から定期で位置情報を収集し、位置情報記憶手段11に格納している。移動体表示制御手段14は、所定の条件が成立すると、位置情報記憶手段11の位置情報に基づき、所定の地点から一定範囲内の移動体を特定して対象移動体とし、定周期より短い配信周期を設定する。配信周期ごとに、配信周期位置情報収集手段15が対象移動体の位置情報を収集し、表示情報配信手段16が収集された位置情報を各対象移動体に配信する。移動体A(2a)では、地図表示手段22が、配信された表示情報に基づいて、地図上に自身の位置とともに、対象移動体の位置を表示する。
【解決手段】移動体管理装置1では、定期位置情報収集手段12が、移動体A(2a)を含むすべての移動体から定期で位置情報を収集し、位置情報記憶手段11に格納している。移動体表示制御手段14は、所定の条件が成立すると、位置情報記憶手段11の位置情報に基づき、所定の地点から一定範囲内の移動体を特定して対象移動体とし、定周期より短い配信周期を設定する。配信周期ごとに、配信周期位置情報収集手段15が対象移動体の位置情報を収集し、表示情報配信手段16が収集された位置情報を各対象移動体に配信する。移動体A(2a)では、地図表示手段22が、配信された表示情報に基づいて、地図上に自身の位置とともに、対象移動体の位置を表示する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は移動体表示方法及び移動体管理装置に関し、特に位置検出手段を搭載する移動体から位置情報を取得し、取得した位置情報に基づいて移動体の位置を表示する移動体表示方法及び移動体管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両などの任意の地点を移動する移動体の位置管理を行う移動体管理システムでは、位置検出手段を搭載する移動体と管理センタとが無線ネットワークで接続され、相互にデータ交換を行っている。管理センタでは、定期的に移動体の位置情報を収集し、収集された位置情報に基づいて各移動体の位置を地図上に表示する。一方、各移動体は、位置検出手段とともに地図表示手段を具備しており、位置検出手段により検出された自身の位置をディスプレイ上の地図に表示する。管理センタでは、地図上に表示された各移動体の位置を確認し、各種指示を行う。ところが、管理センタが保有する移動体の位置情報は、各移動体に配信されないため、各移動体では他の移動体の位置を確認することはできなかった。
【0003】
しかし、たとえば緊急対応時など、各移動体では、自身の位置ばかりでなく、他の移動体の位置を確認しながら行動したい場合がある。このため、管理センタが収集した移動体の位置情報を各移動体へ配信し、各移動体が自身の位置とともに他の移動体の位置を表示できるようにすることが要望されている。
【0004】
そこで、緊急時などに、仲間の車両(移動体)の位置情報を取得し、自車両の位置とともに他の車両の位置を地図上に表示させる車両情報伝送システムが提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−258932号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、単に管理センタが収集したすべての移動体の位置情報を各移動体に配信し、それぞれの移動体に他の移動体の位置を表示させようとしても、その位置をリアルタイムに表示させることが難しいという問題点がある。
【0006】
管理センタでは、通常時には移動体の位置をリアルタイムで把握する必要はないため、管理に必要十分な一定周期で移動体の位置情報を収集している。したがって、この位置情報を配信し、配信された位置情報で位置表示を行っても、対象の移動体は既に表示地点から移動してしまっている可能性が高い。たとえば、5分ごとに位置情報を収集している場合、最大で5分前の位置情報が配信されるため、他の移動体の位置表示に利用しようとすると、かえって混乱する場合もある。
【0007】
このような表示と実際の位置とのタイムラグを解消するためには、管理センタの位置情報収集及び各移動体への位置情報配信をリアルタイムで行う必要がある。しかしながら、位置情報の収集と配信をリアルタイム処理しようとすると、各移動体との間の通信量が増大し、管理センタに過度の負荷がかかり、管理センタの処理が遅延する恐れも生じる。さらに、管理対象の移動体の数が多くなれば、通信量も飛躍的に増大し、リアルタイム処理が困難になる。また、通信量の増大に伴って、通信コストも増大するという問題点もある。
【0008】
一方、移動体側も、管理センタからリアルタイムで配信される全移動体の位置情報を受信して処理しなければならないため、相当の負荷がかかる。また、たとえば、所定の移動体を追跡する場合などに、全移動体の位置が画面に表示されるとすると、目標の移動体を確認することが難しくなるという問題点もある。
【0009】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、必要なときに、他の移動体の位置をリアルタイムに地図上に表示させることができる移動体表示方法及び移動体管理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明では上記課題を解決するために、図1に示すような移動体表示方法が提供される。本発明に係る移動体表示方法は、移動体管理装置1と管理対象の複数の移動体(図では、移動体A(2a)、移動体B(2b)、・・・)とを有する移動体管理システムに適用される。
【0011】
移動体A(2a)は、位置検出手段21によって、自身の位置を検出している。また、他の移動体B(2b)、・・・も同様の処理を行っている。移動体管理装置1は、定期位置情報収集手段12が、予め設定された定期収集周期ごとに移動体A(2a)、移動体B(2b)、・・・から位置情報を取得し、収集した位置情報を位置情報記憶手段11に格納するステップを実行する。移動体表示制御手段14は、所定の条件が成立する場合に、位置情報記憶手段11に格納される位置情報に基づいて、所定の地点から一定の範囲内に位置する移動体を特定し、特定された移動体を表示の対象移動体に設定するとともに、対象移動体に表示させる表示情報を配信する配信周期を設定するステップを実行する。次に、配信周期位置情報収集手段15が、移動体表示制御手段14によって設定された配信周期ごとに対象移動体から位置情報を収集し、収集した位置情報を位置情報記憶手段11に格納するステップを実行する。次に、表示情報配信手段16が、配信周期位置情報収集手段15によって対象移動体から収集された位置情報に基づく表示情報を設定し、対象移動体に配信するステップを実行する。そして、移動体A(2a)、移動体B(2b)、・・・は、地図表示手段22が、表示情報配信手段16が配信した表示情報を取得すると、この表示情報に基づき、対象移動体の位置を地図上に表示するステップを実行する。
【0012】
このような移動体表示方法によれば、移動体A(2a)、移動体B(2b)、・・・は、位置検出手段21によって自身の位置を特定し、位置情報として保持している。移動体管理装置1では、定期位置情報収集手段12が、定期収集周期ごとに、この位置情報を収集し、位置情報記憶手段11に格納している。したがって、位置情報記憶手段11には、移動体A(2a)、移動体B(2b)、・・・の位置情報が定期収集周期ごとに更新されて格納される。移動体に他の移動体の位置表示を行わせるために予め設定された所定の条件が成立すると、移動体表示制御手段14は、位置情報記憶手段11の位置情報から、所定の地点から一定範囲内に位置する移動体を特定し、これを表示の対象移動体に設定するとともに、配信周期を設定する。配信周期になると、配信周期位置情報収集手段15によって対象移動体の位置情報が収集されて位置情報記憶手段11に格納される。そして、表示情報配信手段16によって、収集された位置情報に基づき、対象移動体の表示情報が対象移動体に配信される。このように、全移動体のうち、所定の地点から一定範囲内に位置する移動体が対象移動体として抽出され、これら対象移動体に対してのみ、配信周期での位置情報収集と、表示情報配信が行われるようになる。移動体では、地図表示手段22が、配信された表示情報に基づいて、自身の位置とともに、対象移動体の位置を地図上に表示する。これにより、各移動体には、自身の位置とともに所定の範囲内に存在する他の移動体の位置が地図上に表示される。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、移動体にて他の移動体の位置表示を行う所定の条件が成立すると、所定の地点からの距離に応じて、位置表示を行う対象の移動体を選択する。そして、選択された対象移動体に対してのみ、配信周期での位置情報収集と、表示情報の配信が行われ、対象移動体において自身及び他の対象移動体の位置が表示される。このように、対象移動体を限定することにより、全移動体の位置情報を送信する場合に比較して通信量を大幅に削減することができ、同時に移動体管理装置の負荷の増大を抑えることができる。この結果、移動体において、自身の位置とともに他の移動体の位置を必要十分な精度で表示することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。まず、実施の形態に適用される発明の概念について説明し、その後、実施の形態の具体的な内容を説明する。
図1は、実施の形態に適用される発明の概念図である。
【0015】
本発明に係る移動体管理システムは、任意の地点を移動する移動体A(2a)、移動体B(2b)、・・・と、移動体の管理を行う管理センタに配置され、管理対象の移動体の位置情報を収集してその位置表示を行う移動体管理装置1とが、無線ネットワークを介して接続する。なお、以下の説明では、特に移動体を限定する必要がない場合には、番号を付さない。
【0016】
移動体管理装置1は、管理対象のすべての移動体の位置情報を記憶する位置情報記憶手段11、位置情報を定期収集周期で収集する定期位置情報収集手段12、管理センタの表示装置に移動体の位置を表示させる地図表示手段13、所定の条件成立時、移動体に他の移動体の位置を表示させる移動体表示制御手段14、位置表示対象となった移動体の位置情報を配信周期で収集する配信周期位置情報収集手段15、及び移動体に他の移動体の位置を表示させるための表示情報を配信する表示情報配信手段16を具備する。
【0017】
位置情報記憶手段11は、定期収集周期ごと、または、移動体で他の移動体の位置表示を行う所定の条件が成立した場合に設定される配信周期ごとに収集される移動体の位置情報が、移動体に関連付けて格納される記憶手段である。位置情報記憶手段11には、位置情報とともに、位置表示に必要な他の情報も格納される。
【0018】
定期位置情報収集手段12は、通常時、定期収集周期で管理対象のすべての移動体から、その位置情報を収集し、収集した位置情報を位置情報記憶手段11に格納する。なお、通常時とは、所定の条件が成立していない間をいう。
【0019】
地図表示手段13は、地図データと、位置情報記憶手段11に格納されたすべての移動体の位置情報とに基づき、全移動体の位置を地図上に配置し、図示しない表示装置に表示する。
【0020】
移動体表示制御手段14は、各移動体に他の移動体の位置表示を行う所定の条件が成立するかどうかを確認し、成立する場合に、位置情報記憶手段11に格納される全移動体の位置情報に基づき、所定の地点から一定の範囲内に位置する移動体を特定し、表示の対象移動体に設定する。所定の条件は、他の移動体の位置表示が各移動体で必要になる状況となる条件で、たとえば、任意の移動体の追跡を一斉に開始するという指示が発令された場合などである。所定の地点は、たとえば、所定の条件成立の要因となる緊急事態などが発生した地点や、それぞれの移動体が追跡しなければならない対象の存在する地点など、移動体の移動目標となる地点を指す。したがって、経過時間とともに変化する場合もある。また、一定の範囲を決める所定の地点からの距離は、目標(所定の地点)の移動速度や、移動体の移動速度に応じて決まる。また、その範囲は、所定の地点から距離X内の1次範囲に加え、所定の地点からXからさらに距離Y外側の2次範囲というように、複数の範囲が設定されてもよい。また、対象移動体の特定は、位置情報記憶手段11に格納される位置情報に基づいて1次判定を行った後、選択された対象移動体の位置情報を収集し、再新位置情報に基づいて再度対象移動体を設定するとしてもよい。さらに、移動体表示制御手段14は、この対象移動体に表示情報を配信する配信周期を設定する。配信周期は、少なくとも、定期位置情報収集手段12が収集を実行する定期収集周期より短い周期であり、移動体による他の移動体の位置表示が必要十分な精度を保持できる時間が設定される。また、1次範囲、2次範囲など、複数の範囲が設定される場合は、範囲に応じて、配信周期の設定を変えてもよい。1次範囲にある移動体への配信周期を1次配信周期とし、2次範囲にある移動体への配信周期を2次配信周期とする。周期は、1次配信周期<2次配信周期<定期収集周期となるように設定される。また、所定の条件が成立しなくなった場合には、対象移動体及び配信周期の設定を解除し、配信周期位置情報収集手段15及び表示情報配信手段16による処理を停止させる。
【0021】
配信周期位置情報収集手段15は、移動体表示制御手段14が設定した配信周期ごとに、対象の移動体からその位置情報を収集し、収集した位置情報を位置情報記憶手段11へ格納する。
【0022】
表示情報配信手段16は、移動体表示制御手段14が設定した配信周期ごとに、配信周期位置情報収集手段15が収集した位置情報に基づき、対象移動体の位置表示に利用する表示情報を対象移動体に配信する。表示情報には、対象移動体の位置情報の他、任意の対象移動体の表示色などの表示指示、表示させたいメッセージを記述したメッセージ情報などが設定される。また、移動体表示制御手段14によって、処理が停止される場合は、対象移動体に表示情報に基づく表示処理の停止を通知した後、処理を停止させる。
【0023】
移動体A(2a)は、自身の位置を検出する位置検出手段21、地図データに基づき、自身の位置を表示するとともに、表示情報に基づく表示も行う地図表示手段22、位置情報を移動体管理装置1へ送信する位置情報送信手段23、移動体管理装置1から、自身を除く他の移動体の位置表示用の表示情報を受信する表示情報受信手段24を具備する。なお、移動体B(2b)を含むすべての移動体は同様の構成である。
【0024】
位置検出手段21は、移動体A(2a)の位置を検出する検出手段で、たとえば、GPS(Global Positioning Systems)である。検出された緯度、経度などから位置情報を生成する。
【0025】
地図表示手段22は、表示情報が移動体管理装置1から配信されない通常時には、地図データと、位置検出手段21が生成した位置情報とに基づき、地図上にこの移動体A(2a)の位置を表示する。また、表示情報受信手段24によって、移動体管理装置1から表示情報を取得した場合には、取得した表示情報に基づき、他の移動体の位置や、メッセージなどを地図上に表示する。
【0026】
位置情報送信手段23は、移動体管理装置1からの要求に応じて、位置検出手段21が生成した位置情報を送信する。
表示情報受信手段24は、移動体管理装置1から他の移動体の表示情報を受信すると、受信した表示情報を地図表示手段22へ送る。
【0027】
このような構成の移動体管理システムにおいて実行される移動体表示方法を、移動体A(2a)が対象となる場合で説明する。
通常時、すなわち、所定の条件が成立していない間、移動体A(2a)は、位置検出手段21により自身の位置を検出し、位置情報を生成する。また、地図表示手段22は、生成された位置情報と地図データとに基づき、地図上に自身の位置を表示させる。
【0028】
一方、移動体管理装置1は、定期位置情報収集手段12が、定期収集周期ごとに移動体A(2a)に対して位置情報を要求する。そして、要求に応じて移動体A(2a)の位置情報送信手段23より送信された位置情報を位置情報記憶手段11に格納する。同様の処理を移動体A(2a)以外の移動体にも実行し、管理対象の移動体の位置情報をすべて収集する。地図表示手段13は、位置情報記憶手段11に格納される各移動体の位置情報と地図データとに基づき、図示しない表示装置に、地図と、その地図上に各移動体の位置とを表示する。
【0029】
このように、通常時には、移動体管理装置1によって管理センタの表示装置には、地図上に管理対象の各移動体の位置が表示される。また、その位置表示は、定期収集周期ごとに更新される。一方、移動体A(2a)の表示装置には、地図上に自身の位置のみが表示される。移動体A(2a)以外の移動体も同様である。
【0030】
そして、緊急時対応などの所定の条件が成立すると、移動体表示制御手段14は、位置情報記憶手段11に格納される各移動体の位置情報に基づき、所定の地点から一定範囲内に存在する移動体を抽出し、表示情報を配信する対象移動体に設定する。また、対象移動体からの位置情報収集と、対象移動体への表示情報配信を行う配信周期も設定する。配信周期は、表示精度を保持する値(リアルタイム)に設定される。なお、その外側に2次範囲が設定される場合には、2次範囲に位置する対象移動体と、2次配信周期も設定される。移動体表示制御手段14によって、対象移動体と配信周期が設定されると、配信周期位置情報収集手段15は、配信周期ごとに対象移動体の位置情報を収集し、位置情報記憶手段11に格納する。1次配信周期と2次配信周期がある場合には、それぞれの周期で該当する移動体について処理を行う。なお、地図表示手段13は、更新された位置情報に合わせて表示を更新する。また、表示情報配信手段16は、配信周期ごとに、位置情報記憶手段11に格納される位置情報に基づいて対象移動体の表示情報を生成し、対象移動体に配信する。
【0031】
移動体A(2a)も対象移動体であり、表示情報受信手段24を介して受信された表示情報は、地図表示手段22に送られる。地図表示手段22は、表示情報に基づいて、地図上に移動体A(2a)を含む対象移動体の位置を表示し、移動体A(2a)の搭乗者に自身の位置と、所定の範囲内の対象移動体に設定された他の移動体の位置を知らせる。
【0032】
これにより、緊急時対応など、所定の条件が成立している間、所定の範囲内に位置する移動体A(2a)の搭乗者は、地図上の所定の範囲内にある他の移動体の位置をリアルタイムで確認することが可能となる。このとき、所定の範囲内にある他の移動体にも同様の地図表示がされる。この結果、表示に基づき、範囲内にある移動体間で迅速かつ的確に連携することが可能となる。
【0033】
そして、所定の条件が成立しなくなった場合は、移動体表示制御手段14がこれを検知し、対象移動体及び配信周期の設定を解除し、配信周期位置情報収集手段15及び表示情報配信手段16による処理を停止させる。このとき、表示情報配信手段16は、対象移動体に表示情報に基づく表示処理の停止を通知した後、処理を停止させてもよいし、移動体A(2a)側で一定時間表示情報を受信しない場合は、自動的に自身の位置表示のみを行う表示に戻してもよい。こうして、所定の条件成立前の通常時の状態に戻る。
【0034】
以下、実施の形態を、警察車両(移動体)の位置管理システムに適用した場合を例に図面を参照して詳細に説明する。
警察車両(以下、単に車両とする)の位置管理システムは、各車両に搭載される車両搭載端末と、各車両の車両搭載端末から位置情報を収集・管理する車両管理装置とが、無線ネットワークを介して接続されている。車両管理装置は、車両を集中管理する管理センタに配備され、移動中の車両から収集した位置情報に基づく車両位置を地図上に表示し、管理者による車両の位置確認を支援している。以下、この状態を通常モードとする。
【0035】
警察業務では、通常モード時の車両管理に加え、緊急配備対応の車両管理が要求される。以下、緊急事態対応処理を実行している状態を緊急対応モードとする。なお、緊急配備とは、重要な刑法犯罪などの発生に際し、被疑者の早期確保(犯人の早期検挙)のため、多数の警察官を集中的に動員・配備し、検問・聞き込みなどを行う初動捜査活動の一形態を指す。したがって、緊急配備が指令されると、移動する目標(被疑者)を複数の車両が連携して追跡を行うよう各車両に指示が出される。このとき、目標を追跡する各車両が互いの位置をリアルタイムに確認しながら活動することができれば、適切かつ円滑な捜査活動が可能となる。そこで、本実施の形態では、緊急配備が発令されている間、各車両が搭載する車両搭載端末に、目標を追跡する他の車両の位置情報をリアルタイムで表示させる。
【0036】
図2は、本実施の形態の車両管理システムの機能の概略を示す図である。
図は、管理センタの表示装置に表示される車両を示した図の一例であり、管理対象の地図全領域50に、任意の位置を移動する車両A(51)、車両B(52)、車両C(53)、車両D(54)、及び車両F(55)の位置が表示されている。
【0037】
ここで、緊急事態が発生したことが通報されると、車両管理装置は、緊急対応モードとなり、通報に基づいて緊急事態が発生した緊急発生時点から所定の範囲内の車両を選定する。所定の範囲内は、たとえば、追跡目標(被疑者)がいることが想定される範囲などで、緊急発生時からの経過時間や、追跡目標の移動速度などに応じて算出される。この所定の範囲をリアルタイム通信範囲56とし、この範囲内に位置する車両を緊急対応車両とし、位置情報の取得間隔をリアルタイム周期にするとともに、取得した位置情報を全緊急対応車両に配信する。図の例では、車両A(51)、車両B(52)、及び車両C(53)が緊急対応車両に選定され、各車両の位置情報がリアルタイムで収集・配信される。これにより、リアルタイム通信範囲56に位置する車両A(51)、車両B(52)、及び車両C(53)は、互いの位置を自車両の車両搭載端末で確認することができる。
【0038】
そして、いずれかの車両が目標を確認して通報を行うと、通報を受信した車両管理装置は、通報を行った車両を緊急リーダとし、他の車両がそれを確認できるように表示を強調表示にする。図の例で、車両B(52)が緊急リーダとなった場合、「車両B」表示を「追跡車両Z」とし、さらにこれを各車両に通知する。また、リアルタイム通信範囲56の中心を緊急リーダである追跡車両Z(52)とする。これにより、車両A(51)、車両B(52)、及び車両C(53)は、追跡目標となる追跡車両Z(52)を容易に確認することができる。なお、緊急リーダは、車両管理装置が選定してもよい。
【0039】
さらに、本実施の形態では、リアルタイム通信範囲56の外側に短定期通信範囲57を設け、そこに位置する車両を検出する。図の例では、車両D(54)が検出される。短定期通信範囲57に位置する車両は、リアルタイム通信範囲56に進入する可能性が高いので、この範囲の車両を緊急対応候補車両とする。また、緊急対応候補車両に対しては、通常時の定期収集周期よりは短く、かつリアルタイム周期よりは長い短定期周期を設定し、短定期で緊急対応候補車両の位置情報を取得し、管理センタの表示装置に表示し、位置の確認精度を上げる。一方、緊急対応候補車両に対しては、追跡目標となる追跡車両Z(52)の位置情報を配信する。これにより、車両D(54)は、追跡目標となる追跡車両Z(52)の位置を通常より高い精度で確認することができる。
【0040】
以下、このような車両管理システムを実現するハードウェア構成及びソフトウェア構成並びに車両表示方法について説明する。
まず、本実施の形態の車両管理システムのハードウェア構成について説明する。図3は、本実施の形態の車両管理システムの構成図である。
【0041】
本実施の形態の車両管理システムは、管理センタにある車両管理装置100と、各車両に搭載される車両搭載端末200とが、ネットワーク300を介して接続される構成をとる。ネットワーク300は、警察無線やDoPa(登録商標)などの無線通信ネットワークである。
【0042】
車両管理装置100は、CPU(Central Processing Unit)101によって装置全体が制御されている。CPU101には、バス107を介して通信処理部102、RAM(Random Access Memory)103、表示処理部104、入力処理部105、及びハードディスクドライブ(HDD:Hard Disk Drive)106が接続されている。
【0043】
通信処理部102は、ネットワーク300に接続されており、ネットワーク300を介して車両搭載端末200との間でデータの送受信を行う。RAM103には、CPU101に実行させるOS(Operating System)のプログラムやアプリケーションプログラムの少なくとも一部が一時的に格納される。また、RAM103には、CPU101による処理に必要な各種データが格納される。表示処理部104には、図示しない表示装置が接続されており、CPU101からの命令に従って画像を表示装置の画面に表示させる。入力処理部105には、図示しないキーボードやマウスなどの指示入力装置が接続されており、指示入力装置から送られてくる信号を、バス107を介してCPU101に送信する。HDD106には、車両管理に用いる各種データベース(以下、DBとする)の他、OSやアプリケーションプログラムが格納される。具体的には、地図データDB106a、車両位置情報DB106b、捜査範囲DB106c、車両IPアドレスDB106d、緊急配備DB106e、及びリアルタイムDB106fが格納され、バス107を介してCPU101がこれらのDBに格納されるデータを読み書きする。各DBの詳細は後述する。なお、必要に応じて、DBのデータの一部は、RAM103に一時的に格納される。
【0044】
車両搭載端末200は、車両管理装置100と同様に、CPU201によって装置全体が制御されている。CPU201には、バス209を介して通信処理部202、RAM203、表示処理部204、入力処理部205、GPS206、ジャイロ207、及びHDD208が接続されている。通信処理部202は、ネットワーク300を介して車両管理装置100との間でデータ交換を行う。RAM203には、各種データが一時的に格納される。表示処理部204には、図示しない表示装置が接続され、所定の表示画面を表示させる。入力処理部205には、図示しない指示入力装置が接続され、入力指示をCPU201へ伝える。GPS206及びジャイロ207は、車両搭載端末200の位置情報を生成する。HDD208には、OSやアプリケーションプログラムとともに、車両管理に用いる各種DBが格納される。具体的には、地図データDB208aと受信データDB208bが格納される。各DBの詳細は後述する。
【0045】
このようなハードウェア構成によって、本実施の形態の処理機能を実現することができる。
次に、車両管理装置100の機能を実現するソフトウェア構成について説明する。図4は、本実施の形態の車両管理装置の機能構成を示すブロック図である。図3と同じものには同じ番号を付し、説明は省略する。
【0046】
本実施の形態の車両管理装置100において車両管理処理を行う管理処理部110は、定期位置管理部111、通信タイミング設定部112、リアルタイム情報配信部113、短定期情報配信部114、及び定期情報配信部115を有する。定期位置管理部111は、通常モード時、通信タイミング設定部112、リアルタイム情報配信部113、短定期情報配信部114、及び定期情報配信部115は、緊急対応モード時に処理を行う。
【0047】
定期位置管理部111は、通常モード時、予め設定された通常時の定期収集周期ごとに、各車両から位置情報を収集し、収集した位置情報を、車両位置情報DB106bに格納する。また、車両位置情報DB106bと、地図データDB106aに格納されるデータに基づいて、各車両の位置を地図上に表示させる。さらに、緊急配備指令の発令をチェックし、発令された場合は、管理処理部110を緊急対応モードへ遷移させる。
【0048】
通信タイミング設定部112は、緊急対応モード時、車両位置情報DB106bに格納される最新の車両位置情報から得られる追跡車両の位置、または、緊急発生時点を特定し、リアルタイム通信範囲56と、短定期通信範囲57を決定する。また、それぞれの通信範囲の配信周期を設定する。ここでは、リアルタイム通信範囲56は、リアルタイム周期、短定期通信範囲57は、短定期周期に設定されるとする。
【0049】
リアルタイム情報配信部113は、車両位置情報DB106bを参照し、緊急対応車両に選定された車両を抽出し、リアルタイム周期ごとに、緊急対応車両から位置情報を収集し、車両位置情報DB106bを更新する。続いて、更新された位置情報に基づいて管理センタ側の表示も更新するとともに、収集した位置情報を緊急対応車両に配信し、緊急対応車両の表示も更新させる。
【0050】
短定期情報配信部114は、車両位置情報DB106bを参照し、短定期周期に設定された車両を抽出する。そして、短定期周期ごとに、該当する車両から位置情報を収集し、車両位置情報DB106bを更新する。続いて、更新された位置情報に基づいて管理センタ側の表示も更新するとともに、短定期周期が設定される各車両に追跡車両の位置情報を配信し、表示を更新させる。なお、各車両に表示させる追跡車両は、たとえば、色を変えることによって、リアルタイム通信範囲56内に位置する場合と区別する。
【0051】
定期情報配信部115は、通常時の定周期と同じ周期で起動し、リアルタイム通信範囲56及び短定期通信範囲57から外れた車両に対し、範囲を外れた旨の通知を行う。
次に、各DBの構成について説明する。
【0052】
地図データDB106aには、表示装置に地図を表示させるための地図データが格納される。
車両位置情報DB106bには、管理対象の車両から収集した位置情報と、現在の車両状態に関する情報が格納される。
【0053】
図5は、本実施の形態の車両位置情報(通常時)の構成例を示した図である。
車両位置情報DB106bに格納される車両位置情報(通常時)410aには、各車両を識別する車両名411に関連付けて、車両状況412、緊急配備の指揮・指令413、被疑者(被疑車両)追跡通知414、追跡車両フラグ415、車両位置情報[座標]416、通信タイミング417、リアルタイムフラグ418、及び短定期フラグ419が設定される。
【0054】
車両状況412は、対応する車両の状態、たとえば、車両が「警邏中」であるか「帰署中」であるかを示す。緊急配備の指揮・指令413は、緊急配備が指揮されたかどうかを示す。緊急配備発令でセットされ、緊急配備解除でリセットされる。被疑者(被疑車両)追跡通知414は、緊急配備時の被疑者(被疑車両)の追跡を開始した通報を受けて設定される。各車両は、追跡目標の被疑者(被疑車両)を探しており、見つけた場合には、車両管理装置100に通報する。車両管理装置100では、通報を検知し、該当する車両の欄に通知があったことを設定する。追跡車両フラグ415には、追跡車両を識別する識別情報が設定される。たとえば、表示の際に追跡車両を「Z」で示す場合、追跡車両に選択された車両に対応する欄に「Z」が設定される。車両位置情報416には、車両の位置座標が設定される。図の例では、2次元座標の位置を(x,y)座標で示している。通信タイミング417には、車両ごとに決められる通信タイミング(通常時の「定期」/リアルタイム通信範囲内の「リアルタイム」/短定期通信範囲内の「短定期」)が設定される。それぞれの車両に設定される通信タイミングは、通信タイミング設定部112による車両が位置する範囲の判定結果に応じて決まる。リアルタイムフラグ418は、対応する車両についてリアルタイム周期で収集・配信処理が行われた場合にセットされる。短定期フラグ419は、対応する車両について短定期周期で収集・配信が行われた場合にセットされる。
【0055】
通常モード時には、すべての車両について、緊急配備の指揮・指令413、被疑者(被疑車両)追跡通知414、及び追跡車両フラグ415に設定無が登録されている。また、通信タイミング417は、すべて「定期」が設定され、リアルタイムフラグ418と短定期フラグ419もオフが設定される。
【0056】
次に、緊急対応モード時の車両位置情報の状態を説明する。図6は、本実施の形態の車両位置情報(緊急配備時)の構成例を示した図である。図5と同じものには同じ番号を付す。
【0057】
車両位置情報(緊急配備時)410bは、図5に示した車両位置情報(通常時)410aの状態から、緊急配備が指令された後の状態を示している。緊急配備の発令により、すべての車両状況412に「緊急配備中」が設定される。また、被疑者の追跡を開始した車両から通報を受けた場合、通報のあった車両の被疑者(被疑車両)追跡通知414と、追跡車両フラグ415を設定する。追跡車両は、車両管理装置100、または、管理者が、たとえば、緊急事態発生地点に最も近い車両を選択するなどして設定してもよい。図は、車両Bから通報があった場合の例であり、車両Bに対応する被疑者(被疑車両)追跡通知414に「追跡開始」が設定され、追跡車両フラグ415に追跡車両Zが設定される。
【0058】
また、追跡車両Zを中心として設定されるリアルタイム通信範囲56に位置する車両には、対応する通信タイミング417に「リアルタイム」が設定される。図の例では、車両A、車両B、車両Dに設定されている。同様に、短定期通信範囲57に位置する車両には、対応する通信タイミング417に「短定期」が設定される。リアルタイムフラグ418及び短定期フラグ419は、リアルタイム情報配信部113、短定期情報配信部114、及び定期情報配信部115の実行状況を表す。各処理において、配信処理が終了したときにON/OFFされる。
【0059】
以下、特に限定する必要がない場合は、車両位置情報410と表記する。
捜査範囲DB106cには、リアルタイム通信範囲56及び短定期通信範囲57を算出するパラメータが格納される。
【0060】
図7は、本実施の形態の捜査範囲情報の構成例を示した図である。
捜査範囲DB106cに格納される捜査範囲情報420には、追跡目標(被疑者)の逃走方法421に関連付けて、X(リアルタイム通信範囲)422、及びY(短定期通信範囲)423が格納される。
【0061】
X(リアルタイム通信範囲)422には、リアルタイム通信範囲を規定するXの算出式が格納される。また、Y(短定期通信範囲)423には、短定期通信範囲を規定するYの算出式が格納される。図の例では、逃走方法421が、「徒歩」であれば、X(リアルタイム通信範囲)422は、2+(経過時間×0.16)kmで算出される。同様に、「自転車」であれば、3+(経過時間×0.4)、「車両」であれば、5+経過時間によって算出される。なお、経過時間とは、通報時に通報者などから聴取した緊急事態発生時刻からの経過時間を指す。通信タイミング設定部112は、Xを算出し、緊急発生地点、または、追跡車両を中心とし、Xkmの範囲をリアルタイム通信範囲とする。また、Yを算出し、リアルタイム通信範囲と共通の中心点から(X+Y)kmの範囲であって、リアルタイム通信範囲を除く部分を短定期通信範囲とする。
【0062】
車両IPアドレスDB106dには、管理対象の車両のIPアドレスが格納される。
図8は、本実施の形態の車両IPアドレス情報の構成例を示した図である。
車両IPアドレスDBに格納される車両IPアドレス情報430には、車両名431に関連付けて、その車両のIPアドレス432が設定される。管理処理部110では、このIPアドレスを参照して各車両との間の通信処理を行う。
【0063】
緊急配備DB106eには、発令中の緊急配備の内容が格納される。
図9は、本実施の形態の緊急配備情報の構成を示した図である。
緊急配備DB106eに格納される緊急配備情報(通常時)440aは、緊急配備が発令されていない状態におけるデータ設定を示している。また、緊急配備情報(緊急配備時)440bは、緊急配備が発令されている状態におけるデータ設定を示している。
【0064】
事案識別子441は、緊急配備指令を識別するための識別情報であり、識別子から緊急配備の詳細内容に関する登録情報などを検索することができる。緊急配備情報440a、440bは、事案識別子441に関連付けて、発令された緊急配備指令の現在の状態を示す緊急配備発令442、緊急配備指令が解除されたときに設定される緊急配備解除443、追跡車両に設定された緊急リーダを特定する追跡車両444、追跡対象の逃走方法を示す逃走方法445、及び緊急事態の発生日時446が設定される。
【0065】
緊急配備が発令されていない状態の緊急配備情報(通常時)440aには、情報は設定されていない。一方、図の例では、緊急配備が発令された後の緊急配備情報(緊急配備時)440bには、事案識別子441に関連付けて、緊急配備発令442に「発令中」、追跡車両444に「車両B」、逃走方法445に「車両」、そして発生日時446に「3/31AM10:00」が設定されている。
【0066】
以下、特に限定する必要がない場合は、緊急配備情報440と表記する。
リアルタイムDB106fには、リアルタイム通信範囲56で検出され、緊急対応車両に選定された車両情報が格納される。
【0067】
図10は、本実施の形態のリアルタイム情報の構成を示した図である。
リアルタイムDB106fに格納されるリアルタイム情報450には、リアルタイム通信の対象となる緊急対応車両が、車両名451に関連付けられたIPアドレス452とともに設定される。図の例では、車両A、車両B、及び車両Dが設定されている。
【0068】
ここで、車両搭載端末200のHDD208に格納されるDBについて説明する。図3に示したように、車両搭載端末200は、地図データDB208aと、受信データDB208bを有する。
【0069】
地図データDB208aには、車両管理装置100と同様に、表示画面に表示するための地図データが格納される。
受信データDB208bには、車両管理装置100が緊急対応モード時に車両搭載端末200に送信したデータが格納される。
【0070】
図11は、本実施の形態の受信データ情報の構成を示した図である。
受信データDB208bに格納される受信データ情報(追跡車両)460aは、緊急リーダに指定された追跡車両に格納されるデータの例であり、受信データ情報460bは、その他の緊急対応車両に格納されるデータの例である。
【0071】
受信データ情報460a、460bは、表示画面に表示するメッセージ461、リアルタイム通信範囲に位置する他の車両に関する他車両(情報)462、及び他車両462の車両が追跡車両であるかどうかを示す追跡車両フラグ463を有する。
【0072】
図の例では、受信データ情報(追跡車両)460aには、メッセージ461に「緊配発令中」が格納され、他車両462に、リアルタイム通信範囲にいる「車両A」及び「車両D」と、その車両座標が格納される。車両搭載端末200は、これらの情報に基づき、「緊配発令中」とともに、他車両を地図上に表示する。
【0073】
また、リアルタイム通信範囲内に位置し、追跡車両ではない緊急対応車両の受信データ情報460bの他車両462には、リアルタイム通信範囲にいる「車両B」及び「車両D」と、その車両座標が格納される。また、追跡車両フラグ463には、「車両B」が追跡車両であり、車両名を青色で強調表示することが設定されている。
【0074】
なお、図示していないが、車両が短定期通信範囲に位置する緊急対応候補車両である場合には、他車両462には、追跡車両の情報のみが設定される。また、追跡車両フラグ463には、他の色(青色以外)で車両名を強調表示する指示が設定される。
【0075】
また、車両が短定期通信範囲よりも外側に位置する場合は、メッセージ461のみ設定される。
次に、このような車両管理システムの動作及び車両表示方法について、管理センタ及び車両の表示画面を用いて順次説明する。また、図6から図11に示したデータ例を用いて処理を行うとする。
【0076】
図12は、本実施の形態の車両管理システムにおける通常モード時の表示画面の例を示した図である。図のA、B、Dは、それぞれ車両A、車両B、車両Dを表している。
通常モード時には、定期位置管理部111は、定期収集周期ごとに全車両の位置情報を収集し、位置情報に基づいて、各車両の位置を管理センタの表示装置に表示させる。管理センタ表示画面501には、車両A、車両B、車両Dが、収集された位置情報に基づいて特定される位置を示す地図上に表示されている。
【0077】
一方、通常モード時、定期位置管理部111は、各車両に対して位置情報を配信しないので、各車両の車両搭載端末200の表示画面には、自装置の位置検出手段が検出した位置情報に基づく自車両の位置が表示される。図の例では、車両Bの車両B表示画面511には、車両Bの位置表示がされる。同様に、車両A表示画面521には車両A、車両D表示画面531には車両Dの位置表示がされる。
【0078】
ここで、警察に、「3/31 AM10:00」に緊急事態が発生し、被疑者は「車両」で逃走したという通報があり、緊急配備が発令されたとする。通報により、緊急配備情報440が設定され、車両位置情報410の緊急事案対応車両に対応する車両状況412に「緊急配備中」、緊急配備の指揮・指令413に「有」が設定される。
【0079】
緊急配備が発令されると、定期位置管理部111は、動作モードを通常モードから緊急対応モードに遷移させ、通信タイミング設定部112、リアルタイム情報配信部113、短定期情報配信部114、及び定期情報配信部115による緊急配備対応処理を開始させる。
【0080】
図13は、本実施の形態の車両システムにおける緊急対応モード開始時の表示画面の例を示した図である。
管理処理部110では、通常モードから緊急対応モードに遷移する際に、各車両に対し、メッセージ「緊配発令」を表示するように、メッセージ情報を配信する。メッセージは、緊急対応事案に応じて決まる緊急対応車両に対し、一斉に配信される。これにより、車両B表示画面512、車両A表示画面522及び車両D表示画面532のすべてに、「緊配発令」512a、522a、532aのメッセージが表示される。
【0081】
次に、緊急配備情報440及び捜査範囲情報420の情報に基づき、X、Yが算出され、通報に基づく緊急発生地点を中心としてリアルタイム通信範囲541と、短定期通信範囲542が決まり、リアルタイム通信範囲541内の緊急対応車両と、短定期通信範囲542内の緊急対応候補車両が選択される。逃走方法は「車両」であるので、捜査範囲情報420に基づき、リアルタイム通信範囲を決めるXは、5+経過時間、短定期通信範囲を決めるYは0.5+経過時間/10から算出される。こうして算出されたXに基づき、車両Bを中心として半径Xの円の内側の範囲をリアルタイム通信範囲541とする。また、車両Bを中心として半径(X+Y)の円の内側であって、リアルタイム通信範囲541の外側の範囲を短定期通信範囲542とする。なお、経過時間は、「3/31 AM10:00」からの経過時間になる。図の例では、車両Aと車両Bが緊急対応車両として選択される。
【0082】
その後、「車両B」が追跡を開始したという通報があったとする。車両位置情報410には、たとえば、車両位置情報(緊急配備時)410bに示したように、「車両B」に対応する被疑者(被疑車両)追跡通知414に「追跡開始」が設定される。
【0083】
管理処理部110では、追跡が開始されたことにより、車両Bを緊急リーダ車両とし、追跡車両フラグ415に追跡車両を表す「Z」を設定する。続いて、追跡車両の位置を中心とし、リアルタイム通信範囲及び短定期通信範囲を算出する。この場合、車両Bを中心として、リアルタイム通信範囲541と、短定期通信範囲542が算出される。以降、緊急リーダが交代するまで、車両Bがリアルタイム通信範囲541及び短定期通信範囲542の中心となる。
【0084】
こうして、緊急リーダ(追跡車両Z)を中心とするリアルタイム通信範囲541と、短定期通信範囲542とが算出され、通信タイミング設定部112は、リアルタイム通信範囲541に位置する緊急対応車両と、短定期通信範囲542に位置する緊急対応候補車両とを検出する。図の例では、緊急対応車両に車両Aと車両B(緊急リーダ)を検出し、緊急対応候補車両は検出されない。そこで、リアルタイム通信範囲541内の車両Aと車両Bに対応する車両位置情報410の通信タイミング417を「リアルタイム」に設定し、短定期通信範囲542よりも外側の車両Dの通信タイミング417には「定期」を設定する。この通信タイミング設定部112による車両の位置確認は、少なくともリアルタイム周期よりも短い周期で行われる。なお、リアルタイム通信範囲541及び短定期通信範囲542にいると判定された車両から位置情報を収集し、収集した最新の位置情報に基づき、再度判定を行うようにすれば、古い位置情報で誤って判定されることを防止し、精度の高い判定が可能となる。
【0085】
リアルタイム情報配信部113は、リアルタイム周期ごとに車両位置情報DB106b内の車両位置情報410確認し、通信タイミング417に「リアルタイム」が設定された車両Aと車両Bを抽出し、リアルタイム情報450に登録する。そして、リアルタイム情報450のIPアドレス452に設定される車両Aと車両BのIPアドレスを送信先として、位置情報を要求し、車両位置情報410を更新する。そして、リアルタイム通信範囲541内の他の車両の更新された最新の位置情報と、追跡車両の指示とを含む表示情報を、車両Aと車両Bに送信する。また、収集した位置情報に基づき、管理センタの表示装置も更新する。
【0086】
車両Bは、この情報に基づき、車両B表示画面512に示したように、自車両の位置を追跡車両Zと表示し、位置情報が送信された車両Aの位置も表示する。車両Aは、車両A表示画面522に示したように、自車両の位置とともに車両Bの位置を追跡車両Z(522b)として表示する。なお、追跡車両Zは、表示色を変える(たとえば、青)などし、強調表示する。以降、追跡車両Z(車両B)及び車両Aの位置表示は、リアルタイムで更新される。
【0087】
これにより、管理センタでも、たとえば、定期収集周期を1分とし、リアルタイム周期を1秒とすると、これまで1分おきにしか確認できなかった車両の位置が、1秒ごとに確認できるようになる。さらに、車両は、互いの位置を把握することが可能となり、車両Aの乗員は、リアルタイムで表示される追跡車両Zの位置を確認しながら、追跡を行うことができる。また、追跡車両Z(車両B)の乗員は、自車両以外で追跡可能な車両Aの位置リアルタイムで確認することが可能となり、協力して追跡を行うことができる。
【0088】
短定期情報配信部114は、該当する車両がいないため、配信処理を行わない。定期情報配信部115では、短定期通信範囲542外の車両Dからその位置情報を収集し、管理センタの表示装置の表示を更新させる。しかしながら、車両Dに対し、他の車両の位置情報は送信しない。したがって、車両Dの車両D表示画面532には、「緊配発令」532aのみが表示される。
【0089】
次に、図13の状態から短定期通信範囲542の外にいた車両Dが短定期通信範囲542内に進入した場合について説明する。
図14は、本実施の形態の車両システムにおける緊急対応モード時に短定期通信範囲に車両が進入した場合の表示画面の例を示した図である。
【0090】
管理センタ表示画面503に示したように、車両Dが短定期通信範囲542の外側から短定期通信範囲542内に進入してきたとする。
通信タイミング設定部112が、車両位置情報410に基づいて各車両の位置とリアルタイム通信範囲541及び短定期通信範囲542とを比較し、車両Dが短定期通信範囲542に進入したことを検知する。そこで、車両位置情報410の車両Dに対応する通信タイミング417を「短定期」に設定する。
【0091】
リアルタイム情報配信部113は、リアルタイム周期でリアルタイム通信範囲541内の車両Aと車両Bの位置情報の収集と配信を行う。したがって、車両B表示画面513及び車両A表示画面523には、車両Aと追跡車両Z(車両B)の位置がリアルタイムで更新されて表示される。リアルタイム通信範囲541より外側に位置する車両の表示は行わないので、車両Dが短定期通信範囲542内に進入したことは表示されない。
【0092】
短定期情報配信部114は、車両位置情報410に基づいて車両Dが短定期通信範囲542内に進入したことを検出すると、短定期周期ごとに、車両Dの位置情報を収集して車両位置情報410を更新するとともに、追跡車両情報と、追跡車両Zの位置情報と、表示メッセージを含む表示情報を車両Dに配信する。表示メッセージは、たとえば、「リアルタイム通信範囲に近付きました」とする。位置情報は、追跡車両Zのもののみとする。車両Dでは、受信した表示情報に基づき、自車両の位置とともに、追跡車両Z(533a)と、メッセージ533bとを表示する。このとき、追跡対象がすぐわかるように、追跡車両Z(533a)を強調表示させる。また、緊急対応車両である車両Aの追跡車両Z(522b)とは異なる表示色(たとえば、赤)を設定し、これらを区別させる。
【0093】
短定期周期は、リアルタイム周期を1秒とした場合、それより長い値、たとえば10秒を設定する。したがって、管理センタの表示装置には、短定期通信範囲542の車両Dの位置表示が緊急対応車両よりは低い精度であるが、各任意は十分な精度で表示される。また、車両Dの乗員は、追跡目標の車両が近づいてきたこと、及び追跡車両Zの位置を認識し、追跡準備を行うことができるようになる。
【0094】
なお、緊急対応モードへ遷移してから一定時間経過した場合、定期情報配信部115は、「緊配発令」のメッセージ表示を、「緊配発令中」に更新するように指示を各車両に配信する。これにより、車両B表示画面513、車両A表示画面523、及び車両D表示画面533ともに、メッセージ表示が「緊配発令」から「緊配発令中」に変わる。
【0095】
次に、図14の状態から、車両Dがリアルタイム通信範囲541内に進入した場合について説明する。
図15は、本実施の形態の車両システムにおける緊急対応モード時にリアルタイム通信範囲に車両が進入した場合の表示画面の例を示した図である。
【0096】
管理センタ表示画面504に示したように、車両Dが短定期通信範囲542からリアルタイム通信範囲541内に進入してきたとする。
通信タイミング設定部112が、車両位置情報410に基づいて各車両の位置を調べ、車両Dがリアルタイム通信範囲541内に進入したことを検知する。そこで、車両位置情報410の車両Dに対応する通信タイミング417を「リアルタイム」に設定する。車両Bと車両Aについては、「リアルタイム」のままである。
【0097】
リアルタイム情報配信部113では、リアルタイム周期ごとに車両位置情報410を確認し、車両A、車両B、及び車両Dをリアルタイム情報450に登録する。そして、リアルタイム情報450のIPアドレス452に設定される車両A、車両B及び車両DのIPアドレスを送信先として、位置情報を要求し、車両位置情報410を更新する。そして、更新した位置情報に基づき、リアルタイム通信範囲541内の他の車両の位置情報と、追跡車両情報とを車両A、車両B、及び車両Dに送信する。
【0098】
車両Bでは、新たに配信された車両Dの位置情報を取得し、車両B表示画面514に車両D(514a)を表示する。同様に、車両Aでも車両A表示画面524に車両D(524a)を表示する。車両Dでは、リアルタイム通信範囲541内に進入したことにより、新たに配信されるようになった車両Aの位置情報に基づき、車両D表示画面534に車両A(534a)を表示する。
【0099】
次に、図15の状態から、車両Aがリアルタイム通信範囲541から離れた場合について説明する。
図16は、本実施の形態の車両システムにおける緊急対応モード時にリアルタイム通信範囲から車両が離れた場合の表示画面の例を示した図である。
【0100】
管理センタ表示画面505に示したように、リアルタイム通信範囲541内にいた車両Aが、リアルタイム通信範囲541の外側に進んだとする。
通信タイミング設定部112は、車両位置情報410に基づいて各車両の位置を調べ、車両Aがリアルタイム通信範囲541の外に進んだことを検知する。そこで、車両位置情報410の車両Aに対応する通信タイミング417を「短定期」に設定する。車両Bと車両Dについては、「リアルタイム」のままである。
【0101】
リアルタイム情報配信部113では、リアルタイム周期ごとに車両位置情報410を確認し、車両B及び車両Dをリアルタイム情報450に登録する。そして、車両B及び車両Dから位置情報を収集し、車両位置情報410を更新する。そして、更新した位置情報に基づき、リアルタイム通信範囲541内の他の車両の位置情報と、追跡車両情報とを車両B及び車両Dに送信する。
【0102】
短定期情報配信部114では、短定期周期ごとに通信タイミングが「短定期」に設定された車両Aから位置情報を収集し、管理センタ表示画面505に反映させる。また、車両Aに対し、追跡車両Zに相当する車両Bの位置情報と、追跡車両Z=車両Bの追跡車両情報を配信する。さらに、メッセージ「リアルタイム通信範囲から離れました」を送信する。
【0103】
車両Aでは、送信された位置情報、追跡車両情報、及びメッセージ情報に基づき、車両A表示画面525に、自車両(車両A)と、追跡車両Z(525a)、及びメッセージ525bを表示する。なお、追跡車両Z(525a)の表示は、自車両がリアルタイム通信範囲541内にいた際の表示と異なる表示にする。
【0104】
車両Bでは、配信された車両Dの位置情報に基づき、車両B表示画面515に車両D(514a)を表示する。リアルタイム通信範囲541から外れた車両Aの表示は消える。同様に、車両Dでも車両D表示画面535に追跡車両Zのみが表示される。
次に、図16の状態から、車両Aが、さらにリアルタイム通信範囲541から遠ざかり、短定期通信範囲542からも離れた場合について説明する。
【0105】
図17は、本実施の形態の車両システムにおける緊急対応モード時に短定期通信範囲から車両が離れた場合の表示画面の例を示した図である。
管理センタ表示画面506に示したように、短定期通信範囲542内にいた車両Aが、その外側に進んだとする。
【0106】
通信タイミング設定部112は、車両位置情報410に基づいて各車両の位置を調べ、車両Aが短定期通信範囲542の外に進んだことを検知する。そこで、車両位置情報410の車両Aに対応する通信タイミング417を「定期」に設定する。車両Bと車両Dについては、「リアルタイム」のままである。
【0107】
リアルタイム情報配信部113では、リアルタイム周期(1秒)ごとに車両位置情報410を確認し、車両B及び車両Dをリアルタイム情報450に登録する。そして、車両B及び車両Dから位置情報を収集し、車両位置情報410を更新する。そして、更新した位置情報に基づき、リアルタイム通信範囲541内の他の車両の位置情報と、追跡車両情報とを車両B及び車両Dに送信する。
【0108】
定期情報配信部115では、短定期通信範囲542外の車両Aからその位置情報を収集し、管理センタのディスプレイの表示を更新させる。一方、車両Aに対しては、他の車両の位置情報は送信せず、メッセージ「リアルタイム通信範囲から外れました」のみを送信する。したがって、車両Aの車両A表示画面526には、自車両(車両A)の位置と、メッセージ526aのみが表示される。
【0109】
次に、緊急配備が解除された場合について説明する。
図18は、本実施の形態の車両システムにおける緊急配備が解除された場合の表示画面の例を示した図である。
【0110】
緊急配備が解除されると、車両管理装置100は、緊急事案対応の各車両に対し、メッセージ「緊配解除」を配信し、表示画面に表示させる。また、車両位置情報410に設定される通信タイミング、リアルタイムフラグ、短定期フラグなどの情報をすべて削除し、車両位置情報410を、車両位置情報(通常時)410aの状態に戻す。そして、緊急対応モードから通常モードへ遷移する。通常モードでは、各車両の位置情報は定期に収集されるが、他の車両の位置情報は配信されない。したがって、管理センタ表示画面507には、定期に収集される位置情報に基づき、全車両の位置が表示される。
【0111】
車両Bでは、位置情報を受信しないので、車両B表示画面517には、自車両(車両B)の位置を表示し、他車両の位置表示は削除する。また、配信されたメッセージ「緊配解除」も表示する。車両Aも同様に、車両A表示画面527に、自車両(車両A)の位置とメッセージのみが表示される。車両D表示画面537にも、自車両(車両D)の位置とメッセージのみが表示される。
【0112】
以上のように、本実施の形態では、車両管理装置100は、追跡車両Zを特定し、追跡車両Zを中心として、所定のリアルタイム通信範囲内に位置する車両との間でのみ、リアルタイムで位置情報の収集と配信を行う。このように、通信対象を追跡車両Zに最も近い範囲の車両に限定しているため、車両管理装置100側及び車両搭載端末200側双方の負荷を増大させることなく、リアルタイム通信を行うことができる。
【0113】
また、リアルタイム通信範囲の外側に短定期通信範囲を設け、短定期通信範囲の車両からは、リアルタイム周期よりは長く、定期よりは短い周期で位置情報を収集し、管理センタの表示装置に表示している。
【0114】
このように、追跡の主力であり、最も位置を確認したいリアルタイム通信範囲内の緊急対応車両について、管理センタの表示装置でもリアルタイムで位置確認が可能となる。また、リアルタイム通信範囲に進入する可能性の高い緊急対応候補車両の位置が比較的高い精度で表示画面に表示される。したがって、本部(管理者)では、精度の高い位置情報に基づき的確な指示を行うことが可能となり、適切かつ円滑な捜査活動を支援することができる。
【0115】
さらに、各車両でも、追跡を行っている他の車両の位置がリアルタイムで表示画面に表示されるようになるので、他車両の位置を確認しながら追跡を行うことが可能となる。すなわち、本部からの指示ばかりでなく、現場にいる車両の搭乗者自身が、表示を参照して、迅速かつ的確な判断を行うことが可能となる。
【0116】
なお、上記の説明では、通信タイミング設定部112によって、緊急対応車両及び緊急対応候補車両を選択するとしたが、リアルタイム情報配信部113、短定期情報配信部114において、配信処理の際に選択を行うとしてもよい。
【0117】
以上のように、本実施の形態の車両表示方法及び車両位置管理システムにより、被疑車両などの捜索・追跡に係る活動効率を高め、被疑車両を早期に発見/確保する確率を向上させることができる。さらに、通信量が限定されており、通信コストも低く抑えることができる。
【0118】
次に、本発明の実施の形態の車両(移動体)表示方法の処理手順を説明する。
図19は、本実施の形態の車両表示方法の処理手順を示したフローチャートである。
まず、通常モードで動作し、緊急配備発令で緊急対応モードへ遷移する。
【0119】
[ステップS01] 予め設定された通常モード時の位置情報収集処理を行う。
[ステップS02] 緊急配備の指揮または指令が発令されたかどうかを判定する。発令された場合は、処理をステップS04へ進める。
【0120】
[ステップS03] 緊急配備が発令されていない場合は、各車両にメッセージ表示を終了させる指示を配信し、各車両に「緊配発令中」の表示を削除させる。なお、メッセージ表示終了の指示の配信は、緊急対応モードから通常モードへの復帰時など、必要なときに実行されればよい。その後、ステップS01に戻り、通常モード時の処理を継続する。
【0121】
[ステップS04] 緊急配備の指揮または指令が発令された場合、緊急事案に対応する車両に対し、「緊配発令」メッセージの表示指示を配信する。配信する車両は、緊急配備情報440を参照し、緊急配備された事案の内容に応じて選択する。そして、車両位置情報410の選択された車両に対応する車両状況欄に「緊急配備中」を設定し、緊急配備の指揮・指令を「有」にする。また、動作モードを通常モードから緊急対応モードへ遷移させ、緊急配備が解除されるまで、以下の手順を繰り返す。
【0122】
[ステップS05] 車両位置情報106b、緊急配備106e、捜査範囲106cのデータを参照し、各車両の通信タイミングを設定する。処理の詳細は、図21を用いて説明する。
【0123】
[ステップS06] リアルタイム通信のタイミングであるかどうかを判定する。リアルタイム通信のタイミングでなければ処理をステップS08へ進める。
[ステップS07] 通信タイミングに「リアルタイム」が設定された車両に対し、リアルタイム配信処理を行う。処理の詳細は、図22を用いて説明する。
【0124】
[ステップS08] 短定期通信のタイミングであるかどうかを判定する。短定期通信のタイミングでなければ処理をステップS10へ進める。
[ステップS09] 通信タイミングに「短定期」が設定された車両に対し、短定期配信処理を行う。処理の詳細は、図23を用いて説明する。
【0125】
[ステップS10] 定期通信のタイミングであるかどうかを判定する。定期通信のタイミングでなければ処理をステップS12へ進める。
[ステップS11] 通信タイミングに「定期」が設定された車両に対し、定期配信処理を行う。処理の詳細は、図24を用いて説明する。
【0126】
[ステップS12] 緊急配備が解除されたかどうかを判定する。解除された場合は、処理をステップS16へ進める。
[ステップS13] 緊急配備が解除されていない場合は、車両位置情報410の追跡通知を確認し、追跡車両に変更がないかどうかを判定する。同じであれば処理をステップS15へ進める。
【0127】
[ステップS14] 追跡車両が異なっていれば、車両位置情報410の追跡車両フラグのZ設定を、新たに追跡車両となった車両に移す。
[ステップS15] メッセージ「緊配発令中」の表示指示を緊急事案に対応する車両に配信し、各車両に「緊配発令中」を表示させる。その後、処理をステップS05へ進め、緊急対応処理を継続する。
【0128】
[ステップS16] 緊急配備が解除された場合、メッセージ「緊配解除」の表示指示を緊急事案に対応する車両に配信し、各車両に「緊配解除」を表示させる。
[ステップS17] 車両位置情報410の緊配事案に対応する車両のデータを通常モード時の値に更新する。すなわち、通信タイミングを「定期」、リアルタイムフラグを解除、及び短定期フラグを解除する。また、追跡車両フラグの設定をリセットする。これにより、車両位置情報(通常時)410aの状態に戻る。
【0129】
[ステップS18] システム終了の指示があるかどうかを判定する。システム終了指示がない場合は、ステップS01に戻って、通常モードでの処理を開始する。システム終了指示がある場合は、処理を終了する。
【0130】
このような処理手順が実行されることにより、通常モード時には、通常時位置情報収集(ステップS01)が実行され、管理センタのディスプレイのみに各車両の位置が表示される。そして、緊急配備が指令されると、通信タイミング設定(ステップS05)、リアルタイム配信処理(ステップS07)、短定期配信処理(ステップS09)、及び定期配信処理(ステップS11)が実行され、リアルタイム通信範囲の車両の位置情報はリアルタイム、短定期通信範囲の車両の位置情報は短定期で収集され、管理センタのディスプレイに反映される。また、リアルタイム通信範囲の各車両にはリアルタイム通信範囲の車両の位置情報、短定期通信範囲の車両には追跡車両の位置情報が配信され、各車両で他車両の位置を確認することができるようになる。
【0131】
以下、通常モード時の位置情報収集処理(S01)と、緊急対応モード時の通信タイミング設定処理(S05)、リアルタイム配信処理(S07)、短定期配信処理(S09)、及び定期配信処理(S11)の詳細処理について説明する。
【0132】
まず、通常モード時の処理について説明する。
図20は、本実施の形態の通常モード時の位置情報収集処理手順を示したフローチャートである。
【0133】
[ステップS101] 通常モード時に位置情報の収集を行う定期受信タイミングかどうかをチェックする。定期受信タイミングでなければ、処理を終了する。
[ステップS102] 定期受信タイミングであれば、管理対象の各車両の位置情報を取得する。車両IPアドレス情報430に設定される各車両のIPアドレスに対し、順に位置情報要求を送信し、応答として位置情報を受信する。
【0134】
[ステップS103] 受信した位置情報に基づき、車両位置情報410の車両位置情報416を更新する。
[ステップS104] 更新された車両位置情報410のデータに基づき、管理センタの表示を更新し、地図上に各車両の最新の位置を表示する。
【0135】
以上の処理手順が実行されることにより、通常モード時に、管理センタの地図表示に各車両の位置が表示される。また、各車両の位置は、通常モード時の定期タイミングで更新される。一方、各車両には、位置情報は配信しない。
【0136】
次に、緊急対応モード時の処理について説明する。
図21は、本実施の形態の緊急対応モード時の通信タイミング設定処理手順を示したフローチャートである。
【0137】
緊急配備が指令され、処理が開始される。これまでの処理で、車両位置情報(緊急配備時)410bに示したように、緊急対応車両には、緊急配備の指揮・指令に「有」が設定されている。また、被疑者(被疑車両)を発見し、追跡を開始したことが通知されていれば、通知を行った車両に対応する被疑者(被疑車両)追跡通知に「追跡開始」が設定され、追跡車両フラグが設定されている。追跡車両は、管理センタが設定するようにしてもよい。
【0138】
[ステップS501] 車両位置情報410の追跡車両フラグを検索し、追跡車両Zを検出する。そして、追跡車両Zに対応する車両に対し、位置情報を要求し、最新の位置情報を得る。取得した位置情報は、車両位置情報410に格納する。
【0139】
[ステップS502] 緊急配備情報440に格納される被疑者の逃走方法に基づき、捜査範囲情報420から、X(リアルタイム通信範囲)の算出方法を選択し、Xを算出する。
【0140】
[ステップS503] ステップS502と同様に、緊急配備情報440に格納される被疑者の逃走方法に基づき、捜査範囲情報420から、Y(短定期通信範囲)の算出方法を選択し、Yを算出する。
【0141】
[ステップS504] 緊急対応車両の位置情報を車両位置情報410から読み出し、以下の各車両がリアルタイム通信範囲に位置しているかどうかの判定手順を開始する。
[ステップS505] 判定対象の対象車両αを車両位置情報410の先頭レコードの車両に設定する。
【0142】
[ステップS506] 対象車両αの位置情報に基づき、対象車両αが追跡車両Zを中心とした半径Xkm位内に位置するかどうかを判定する。X以内にない場合は、処理をステップS510へ進める。
【0143】
[ステップS507] 対象車両αが、追跡車両Zから半径Xkm(リアルタイム通信範囲)内に位置する場合は、対象車両αから位置情報を取得し、その最新位置情報を車両位置情報410に格納する。
【0144】
[ステップS508] 対象車両αの最新位置情報に基づき、対象車両αが追跡車両Zから半径Xkm(リアルタイム通信範囲)内に位置するかどうかを確認する。ステップS506で使用した位置情報は最新ではないので、現在の位置を確認し、再度判定を行う。X以内にない場合は、処理をステップS510へ進める。
【0145】
[ステップS509] 対象車両αが、追跡車両Zから半径Xkm(リアルタイム通信範囲)内に位置することが確認された場合、車両位置情報410の対象車両αに対応する通信タイミング欄に「リアルタイム」を設定し、処理をステップS512へ進める。
【0146】
[ステップS510] 対象車両αが追跡車両Zから半径Xkm(リアルタイム通信範囲)内に位置しない場合、車両位置情報410の対象車両αに対応する通信タイミング欄が「リアルタイム」になっているかどうかを確認する。なっていない場合は、処理をステップS512へ進める。
【0147】
[ステップS511] 対象車両αが、リアルタイム通信範囲になく、対応する通信タイミング欄に「リアルタイム」が設定されている場合は、通信タイミング欄を「定期」に更新する。
【0148】
[ステップS512] αが最終レコードであるかどうかを確認する。最終レコードである場合は、処理を終了する。
[ステップS513] αが最終レコードでない場合は、αを次のレコードへ進め、次の対象車両に対し、ステップS506からの処理を行う。
【0149】
以上の処理手順が実行されることにより、緊急事案対応の各車両がリアルタイム通信範囲に位置するかどうかが判定され、リアルタイム通信範囲に位置する場合は、通信タイミングに「リアルタイム」、位置しない場合で前回「リアルタイム」が設定されていた場合は、「定期」が設定される。
【0150】
図22は、本実施の形態の緊急対応モード時のリアルタイム配信処理手順を示したフローチャートである。
図21の通信タイミング設定(ステップS05)の後、リアルタイム周期で起動される。通信タイミング設定によって、リアルタイム通信範囲の車両は、車両位置情報410の通信タイミング欄が「リアルタイム」に設定されている。
【0151】
[ステップS701] 車両位置情報410の通信タイミング欄を検索し、通信タイミング欄が「リアルタイム」になっている車両を抽出し、車両IPアドレス情報430を参照して、リアルタイム情報450を設定する。
【0152】
[ステップS702] リアルタイム配信を行う対象となる対象車両αをリアルタイム情報450の先頭レコードに設定する。
[ステップS703] 管理センタのディスプレイの表示を更新する。なお、対象車両αを含むリアルタイム通信範囲の車両の最新位置情報は、通信タイミング設定(ステップS05)において取得しているので、ここでは、再度位置情報を収集することはしない。管理センタのディスプレイのリアルタイム通信範囲の車両の位置表示は、通信タイミング設定(ステップS05)において取得した位置情報に基づいて更新される。
【0153】
[ステップS704] リアルタイム情報450を参照し、リアルタイム情報450に設定される他の車両の位置情報を車両位置情報410から抽出する。
[ステップS705] 車両位置情報410を検索し、追跡車両フラグが設定されている車両を検出する。検出されない場合は、処理をステップS707へ進める。
【0154】
[ステップS706] 追跡車両フラグが設定されている車両を強調表示させるための、表示変更指示を設定する。たとえば、追跡車両名を変更したり、表示色を他の車両とは異なる色で表示を行ったりするように指示を行う。なお、車両管理装置側では、追跡車両の指定だけを行い、車両名や表示色の変更は、車両搭載端末側で行うようにしてもよい。
【0155】
[ステップS707] ステップS704で抽出された他の車両の位置情報と、ステップS706で追跡車両の表示指示が設定された場合は表示指示とを、対象車両αに配信する。
【0156】
[ステップS708] 車両位置情報410の内容を更新する。対象車両αのリアルタイムフラグをONにし、短定期フラグをOFFにする。
[ステップS709] αが最終レコードであるかどうかを確認する。最終レコードである場合は、処理を終了する。
【0157】
[ステップS710] αが最終レコードでない場合は、αを次のレコードへ進め、次の対象車両に対し、ステップS704からの処理を行う。
以上の処理手順が実行されることにより、リアルタイム通信範囲の車両には、リアルタイムで収集された位置情報に基づき、リアルタイム通信範囲の他の車両の位置情報が配信される。これにより、各車両では、リアルタイム通信範囲の他の車両を自車両のディスプレイにリアルタイムで表示することができる。このとき、追跡目標となる追跡車両の位置把握が容易になるように、追跡車両は強調表示される。また、管理センタ側のディスプレイも、リアルタイム通信範囲の車両については、リアルタイムで位置表示が更新される。
【0158】
図23は、本実施の形態の緊急対応モード時の短定期配信処理手順を示したフローチャートである。
図21の通信タイミング設定(ステップS05)の後、短定期周期で起動される。通信タイミング設定によって、リアルタイム通信範囲の車両は、車両位置情報410の通信タイミング欄が「リアルタイム」に設定されている。
【0159】
[ステップS901] 短定期配信を行う対象となる対象車両αを車両位置情報410の先頭レコードに設定する。
[ステップS902] レコードから、対象車両αの通信タイミングを読み出し、通信タイミングが「リアルタイム」に設定されているかどうかを確認する。リアルタイムであれば、処理をステップS913へ進め、以降の短定期配信処理を行わない。
【0160】
[ステップS903] 対象車両αの通信タイミングに「リアルタイム」が設定されていない場合、対象車両αの位置情報を読み出し、通信タイミング設定(ステップS05)で算出されたX(リアルタイム通信範囲)とY(短定期通信範囲)とを用いて、対象車両αが追跡車両Zを中心とする半径(X+Y)km以内に存在するかどうかを判定する。(X+Y)範囲内でなければ、処理をステップS907へ進める。
【0161】
[ステップS904] 対象車両αが、追跡車両Zを中心とする半径(X+Y)範囲内であれば、対象車両αは短定期通信範囲にあると判定する。(リアルタイム通信範囲の車両は、ステップS902によって除外されている。)そして、対象車両αから位置情報を取得し、その最新位置情報を車両位置情報410に格納する。
【0162】
[ステップS905] 対象車両αの最新位置情報に基づき、対象車両αが追跡車両Zから半径(X+Y)km(短定期通信範囲)内に位置するかどうかを確認する。ステップS903で使用した位置情報は最新ではないので、現在の位置を確認し、再度判定を行う。(X+Y)以内にない場合は、処理をステップS907へ進める。
【0163】
[ステップS906] 対象車両αが、追跡車両Zから半径(X+Y)km(短定期通信範囲)内に位置することが確認された場合、車両位置情報410の対象車両αに対応する通信タイミング欄に「短定期」を設定し、処理をステップS908へ進める。
【0164】
[ステップS907] 対象車両αが追跡車両Zから半径(X+Y)km(短定期通信範囲)内に位置しない場合、車両位置情報410の対象車両αに対応する通信タイミングに「定期」を設定する。そして、処理をステップS913へ進め、以降の短定期配信処理を行わない。
【0165】
[ステップS908] 対象車両αについて、前回処理時に、リアルタイム通信範囲を含む短定期通信範囲内であったかどうかを判定する。具体的には、車両位置情報410を検索し、対象車両αのリアルタイムフラグまたは短定期フラグがONになっているかどうかを判定する。短定期通信範囲内でなければ、処理をステップS910へ進める。
【0166】
[ステップS909] 対象車両αが、前回処理時においても短定期通信範囲内に位置していた場合には、メッセージ「リアルタイム通信範囲から離れました」を対象車両αに送信し、送信メッセージを表示させる。続いて、車両位置情報410の対象車両αのリアルタイムフラグをOFFし、短定期フラグをONした後、処理をステップS911へ進める。
【0167】
[ステップS910] 対象車両αが、前回処理時において短定期通信範囲内に位置していなかった場合、すなわち、短定期範囲内に対象車両αが入ってきた場合はメッセージ「リアルタイム通信範囲に近付きました」を対象車両αに送信し、送信メッセージを表示させる。
【0168】
[ステップS911] 管理センタのディスプレイの表示を更新する。これにより、ステップS904で取得した位置情報に基づいて、管理センタのディスプレイには対象車両αの最新の位置が表示される。
【0169】
[ステップS912] 対象車両αに対し、追跡車両Zの位置情報を配信する。このとき、追跡車両フラグが設定されている車両を強調表示させるため、表示色を通常の状態とは異なる色とするように指示も行う。
【0170】
[ステップS913] αが最終レコードであるかどうかを確認する。最終レコードである場合は、処理を終了する。
[ステップS914] αが最終レコードでない場合は、αを次のレコードへ進め、次の対象車両に対し、ステップS902からの処理を行う。
【0171】
以上の処理手順が実行されることにより、短定期通信範囲の車両には、追跡車両の位置情報が配信される。これにより、各車両では、追跡車両を自車両のディスプレイにリアルタイムで表示することができる。同時に、リアルタイム通信範囲に近いことがメッセージによって通知される。また、追跡目標となる追跡車両の位置把握が容易になるように、追跡車両は強調表示される。さらに、管理センタ側のディスプレイも、短定期通信範囲の車両については、短定期で位置表示が更新される。
【0172】
図24は、本実施の形態の緊急対応モード時の定期配信処理手順を示したフローチャートである。
図21の通信タイミング設定(ステップS05)の後、定期周期で起動される。これまでの処理によって、対象の車両の車両位置情報410の通信タイミング欄には、「定期」が設定されている。
【0173】
[ステップS1101] 定期配信を行う対象となる対象車両αを車両位置情報410の先頭レコードに設定する。
[ステップS1102] レコードから、対象車両αの通信タイミングを読み出し、通信タイミングに「定期」が設定されているかどうかを確認する。「定期」でなければ、処理をステップS1108へ進め、以降の定期配信処理を行わない。
【0174】
[ステップS1103] 対象車両αの通信タイミングに「定期」が設定されていた場合、車両位置情報410の対象車両αのリアルタイムフラグと短定期フラグを読み出す。まず、リアルタイムフラグがONであるかどうかを確認する。ONでなければ、処理をステップS1105へ進める。
【0175】
[ステップS1104] 対象車両αのリアルタイムフラグがONであった場合には、対象車両αは、前回処理ではリアルタイム通信範囲内に位置していたので、メッセージ「リアルタイム通信範囲から外れました」を対象車両αに送信し、送信メッセージを表示させる。続いて、車両位置情報410の対象車両αのリアルタイムフラグをOFFした後、処理をステップS1108へ進める。
【0176】
[ステップS1105] 対象車両αのリアルタイムフラグがOFFであった場合、ステップS1102で読み出した対象車両αの短定期フラグがONであるかどうかを確認する。ONでない場合は、処理をステップS1107へ進める。
【0177】
[ステップS1106] 対象車両αの短定期フラグがONであった場合、対象車両αは、前回処理では短定期通信範囲内に位置していたので、メッセージ「リアルタイム通信範囲から外れました」を対象車両αに送信し、送信メッセージを表示させる。続いて、車両位置情報410の対象車両αの短定期フラグをOFFした後、処理をステップS1108へ進める。
【0178】
[ステップS1107] 対象車両の短定期フラグがOFFであった場合、対象車両αは、前回処理でも通信タイミングが「定期」であったので、対象車両αから位置情報を取得し、その最新位置情報を車両位置情報410に格納する。
【0179】
[ステップS1108] 管理センタのディスプレイの表示を更新する。これにより、ステップS1107で取得した位置情報に基づいて、管理センタのディスプレイには対象車両αの最新の位置が表示される。
【0180】
[ステップS1109] 対象車両αの情報が車両位置情報の最終レコードであるかどうかを判定する。最終レコードであれば処理を終了する。最終レコードでなければ、次ステップへ処理を進める。
【0181】
[ステップS1110] 対象車両を指示するαを車両位置情報の次レコードの車両を指示するように変更する。そして、ステップS1102に戻って、次の対象車両の処理を行う。
【0182】
以上の処理手順が実行されることにより、リアルタイム通信範囲を含む短定期通信範囲外の車両から、位置情報の収集が行われ、管理センタ側のディスプレイが更新される。車両のディスプレイには、自車両のみが表示される。また、車両が前回処理で短定期通信範囲内にいた場合には、この車両のディスプレイにリアルタイム通信範囲から外れたことがメッセージによって通知される。
【0183】
次に、車両搭載端末200における処理手順について説明する。ここでは、受信データ及び位置情報に基づき、表示装置に地図表示を行う処理手順について説明する。なお、通信処理では、車両管理装置100から収集要求に応じて位置情報を送信し、表示用のデータを受信した場合には、データを受信バッファに保存しておく。
【0184】
図25は、本実施の形態の車両搭載端末における処理手順を示したフローチャートである。
[ステップS21] 自車両のGPS206によって、位置情報が更新されたかどうかを判断する。この車両搭載端末200では、自車両の位置情報を更新するタイミングで、表示を更新するとする。位置情報が更新されていない場合は、処理をステップS24へ進める。
【0185】
[ステップS22] 自車両の位置情報が更新されていれば、受信データが受信バッファに保存されているかどうかを判定する。保存されていなければ、処理をステップS24へ進める。
【0186】
[ステップS23] 受信バッファに保存されている受信データに基づいて、受信データ情報(460a、460b)を更新する。
[ステップS24] 自車両の位置情報に基づいて、地図上に自車両の位置を表示する。また、受信データ情報(460a、460b)に格納されるメッセージと、他車両(情報)とに基づき、他車両の位置を地図上に表示するとともに、メッセージを表示する。通常モード時には、受信データ情報(460a、460b)には、何も設定されていないので、地図上に自車両の位置のみが表示される。また、緊急対応モード時には、自車両がリアルタイム通信範囲または短定期通信範囲に入っていれば、受信データ情報(460a、460b)に格納する情報データが送られてくるので、この情報に基づく表示を合わせて行う。
【0187】
[ステップS25] 緊急配備の解除通知を受信したかどうかを判定する。受信していない場合は、処理をステップS28へ進める。
[ステップS26] 緊急配備の解除通知を受信した場合、表示画面に「緊配解除」のメッセージを表示する。
【0188】
[ステップS27] 緊急対応モードは終了するので、受信データ情報(460a、460b)のデータを削除する。
[ステップS28] 車両搭載端末のシステムを終了させるかどうかを判断する。終了させない場合は、ステップS21に戻って、処理を繰り返す。終了させる場合は、処理を終了させる。
【0189】
以上の処理手順が行われることにより、車両搭載端末200では、自車両のGPS206が検出した位置情報に基づき、自車両の位置を地図上に表示する際に、車両管理装置100から表示用のメッセージと他車両の位置情報とを受信していれば、自車両の位置表示に重ねて他の車両の位置とメッセージとを表示する。このように、車両搭載端末200では、複雑な処理を実行することなく、他車両の位置を表示することができる。
【0190】
なお、上記の処理機能は、コンピュータによって実現することができる。その場合、移動体管理装置及び移動体端末装置が有すべき機能の処理内容を記述したプログラムが提供される。そのプログラムをコンピュータで実行することにより、上記処理機能がコンピュータ上で実現される。処理内容を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録しておくことができる。コンピュータで読み取り可能な記録媒体としては、磁気記録装置、光ディスク、光磁気記録媒体、半導体メモリなどがある。磁気記録装置には、ハードディスク装置(HDD)、フレキシブルディスク(FD)、磁気テープなどがある。光ディスクには、DVD(Digital Versatile Disc)、DVD−RAM(Random Access Memory)、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)、CD−R(Recordable)/RW(ReWritable)などがある。光磁気記録媒体には、MO(Magneto-Optical disk)などがある。
【0191】
プログラムを流通させる場合には、たとえば、そのプログラムが記録されたDVD、CD−ROMなどの可搬型記録媒体が販売される。また、プログラムをサーバコンピュータの記憶装置に格納しておき、ネットワークを介して、サーバコンピュータから他のコンピュータにそのプログラムを転送することもできる。
【0192】
プログラムを実行するコンピュータは、たとえば、可搬型記録媒体に記録されたプログラムもしくはサーバコンピュータから転送されたプログラムを、自己の記憶装置に格納する。そして、コンピュータは、自己の記憶装置からプログラムを読み取り、プログラムに従った処理を実行する。なお、コンピュータは、可搬型記録媒体から直接プログラムを読み取り、そのプログラムに従った処理を実行することもできる。また、コンピュータは、サーバコンピュータからプログラムが転送されるごとに、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行することもできる。
【0193】
(付記1) 位置検出手段を搭載する移動体から位置情報を取得し、前記位置情報に基づいて前記移動体の位置を表示する移動体表示方法において、
移動体管理装置の定期位置情報収集手段が、予め設定された定期収集周期ごとに前記移動体から前記位置情報を収集し、収集した前記位置情報を位置情報記憶手段に格納するステップと、
前記移動体管理装置の移動体表示制御手段が、所定の条件が成立する場合に、前記位置情報記憶手段に格納される前記位置情報に基づいて、所定の地点から一定の範囲内に位置する移動体を特定し、前記特定された移動体を表示の対象移動体に設定するとともに、前記対象移動体に表示させる表示情報を配信する配信周期を設定するステップと、
前記移動体管理装置の配信周期位置情報収集手段が、前記移動体表示制御手段によって設定された前記配信周期ごとに前記対象移動体から前記位置情報を収集し、収集した前記位置情報を前記位置情報記憶手段に格納するステップと、
前記移動体管理装置の表示情報配信手段が、前記配信周期位置情報収集手段によって前記対象移動体から前記位置情報が収集されると、収集された前記位置情報に基づいて前記表示情報を設定し、前記対象移動体に配信するステップと、
前記移動体の地図表示手段が、前記表示情報配信手段が配信した前記表示情報を取得すると、前記表示情報に基づき、前記対象移動体の位置を地図上に表示するステップと、
を有することを特徴とする移動体表示方法。
【0194】
(付記2) 前記移動体表示制御手段による配信周期を設定するステップは、
前記配信周期を、前記定期位置情報収集手段が前記位置情報を収集する前記定期収集周期よりも短く設定する、
ことを特徴とする付記1記載の移動体表示方法。
【0195】
(付記3) 前記表示情報配信手段が、前記表示情報を前記対象移動体に配信するステップは、さらに、前記所定の条件が成立していることを伝えるメッセージを含む表示メッセージを前記表示情報に設定してすべての前記移動体に対して配信し、
前記移動体の前記地図表示手段が前記対象移動体の位置を地図上に表示するステップは、前記表示情報に含まれる前記表示メッセージに基づくメッセージを前記地図上に表示する、
ことを特徴とする付記1記載の移動体表示方法。
【0196】
(付記4) 前記移動体表示制御手段が、所定の地点から一定の範囲内に位置する移動体を特定するステップは、
前記特定された移動体のうち、前記特定された移動体が追跡する追跡目標の移動体を検出したことを通報してきた前記移動体を特定してリーダ移動体とし、前記移動体の前記地図表示手段による表示において、前記リーダ移動体を強調表示させ、他の前記移動体と識別可能に表示させる強調表示指示を前記表示情報に付加する、
ことを特徴とする付記1記載の移動体表示方法。
【0197】
(付記5) 前記移動体表示制御手段が、所定の地点から一定の範囲内に位置する移動体を特定するステップは、さらに、
前記特定された移動体から任意の前記移動体を前記リーダ移動体に設定し、前記リーダ移動体に設定された前記移動体に対し、前記リーダ移動体として選択されたことを通知する、
ことを特徴とする付記4記載の移動体表示方法。
【0198】
(付記6) 前記移動体表示制御手段が、所定の地点から一定の範囲内に位置する移動体を特定するステップは、
前記リーダ移動体以外の前記移動体から前記追跡目標の移動体検出の通報を新たに取得した場合は、前記リーダ移動体を、新たに通報を行った前記移動体に変更する、
ことを特徴とする付記4記載の移動体表示方法。
【0199】
(付記7) 前記移動体表示制御手段が、所定の地点から一定の範囲内に位置する移動体を特定するステップは、
緊急対応が必要な緊急対応事案が発生し、前記緊急対応事案に関する被疑者の追跡が開始されたことを所定の条件とし、前記所定の条件が成立した場合は、前記緊急対応事案が発生した地点と、前記緊急対応事案が発生してからの経過時間とから、前記一定の範囲の大きさを決める距離を算出する、
ことを特徴とする付記1記載の移動体表示方法。
【0200】
(付記8) 前記移動体表示制御手段が、所定の地点から一定の範囲内に位置する移動体を特定するステップは、
前記緊急対応事案が発生した地点を中心とし、前記距離を半径として設定される範囲を前記一定の範囲とする、
ことを特徴とする付記7記載の移動体表示方法。
【0201】
(付記9) 前記移動体表示制御手段が、所定の地点から一定の範囲内に位置する移動体を特定するステップは、
前記特定された移動体のうち、前記特定された移動体が追跡する追跡目標の移動体を検出したことを通報してきた前記移動体を特定してリーダ移動体とし、前記リーダ移動体の位置を中心とし、前記距離を半径として設定される範囲を前記一定の範囲とする、
ことを特徴とする付記7記載の移動体表示方法。
【0202】
(付記10) 前記移動体表示制御手段が、所定の地点から一定の範囲内に位置する移動体を特定するステップは、前記一定の範囲を1次範囲とし、前記1次範囲の外側の所定の範囲を2次範囲とするとともに、前記1次範囲に位置することが特定された移動体を1次範囲移動体、及び前記2次範囲に位置することが特定された移動体を2次範囲移動体とし、前記1次範囲移動体のうち、追跡目標の移動体を検出したことを通報してきた前記移動体を特定してリーダ移動体とし、
前記表示情報配信手段が、前記表示情報を配信するステップは、前記2次範囲移動体に対し、前記1次範囲移動体のうち、前記リーダ移動体のみの位置情報を設定した前記表示情報を配信する、
ことを特徴とする付記1記載の移動体表示方法。
【0203】
(付記11) 前記移動体表示制御手段が、所定の地点から一定の範囲内に位置する表示対象の移動体を特定するステップは、
前記2次範囲移動体の前記位置情報を収集する2次配信周期を、前記定期収集周期よりは短く、かつ前記1次範囲移動体の前記位置情報を収集する1次配信周期よりは長い値に設定する、
ことを特徴とする付記10記載の移動体表示方法。
【0204】
(付記12) 前記表示情報配信手段は、前記移動体が、前記2次範囲の外側から前記2次範囲に進入してきた場合は、前記移動体に対して前記2次範囲に進入したことを示す表示メッセージの表示指示を前記表示情報に設定し、配信する、
ことを特徴とする付記10記載の移動体表示方法。
【0205】
(付記13) 前記表示情報配信手段は、前記移動体が、前記2次範囲から前記1次範囲に進入してきた場合は、前記移動体に対して前記1次範囲に進入したことを示す表示メッセージの表示指示を前記表示情報に設定し、配信する、
ことを特徴とする付記10記載の移動体表示方法。
【0206】
(付記14) 前記表示情報配信手段は、前記移動体が前記1次範囲から前記2次範囲に外れた場合は、前記移動体に対して前記1次範囲から外れたことを示す表示メッセージの表示指示を前記表示情報に設定して配信する、
ことを特徴とする付記10記載の移動体表示方法。
【0207】
(付記15) 無線通信を介して管理対象の移動体に搭載された移動体端末装置から前記移動体の位置情報を収集し、収集した前記位置情報に基づいて前記移動体の位置表示を行う移動体管理装置において、
収集された前記位置情報を前記移動体に関連付けて記憶する位置情報記憶手段と、
予め設定された定期収集周期ごとに前記移動体から前記位置情報を収集し、収集した前記位置情報を前記位置情報記憶手段に格納する定期位置情報収集手段と、
所定の条件が成立する場合に、前記位置情報記憶手段に格納される前記位置情報に基づいて、所定の地点から一定の範囲内に位置する移動体を特定し、前記特定された移動体を表示の対象移動体に設定するとともに、前記対象移動体に表示させる表示情報を配信する配信周期を設定する移動体表示制御手段と、
前記移動体表示制御手段によって設定された前記配信周期ごとに前記対象移動体から前記位置情報を収集し、収集した前記位置情報を前記位置情報記憶手段に格納する配信周期位置情報収集手段と、
前記配信周期位置情報収集手段によって前記対象移動体から前記位置情報が収集されると、収集された前記位置情報に基づいて前記表示情報を設定し、前記対象移動体に配信して、前記対象移動体に前記表示情報に基づいて前記対象移動体の位置を地図上に表示させる表示情報配信手段と、
を具備することを特徴とする移動体管理装置。
【図面の簡単な説明】
【0208】
【図1】実施の形態に適用される発明の概念図である。
【図2】本実施の形態の車両管理システムの機能の概略を示す図である。
【図3】本実施の形態の車両管理システムの構成図である。
【図4】本実施の形態の車両管理装置の機能構成を示すブロック図である。
【図5】本実施の形態の車両位置情報(通常時)の構成例を示した図である。
【図6】本実施の形態の車両位置情報(緊急配備時)の構成例を示した図である。
【図7】本実施の形態の捜査範囲情報の構成例を示した図である。
【図8】本実施の形態の車両IPアドレス情報の構成例を示した図である。
【図9】本実施の形態の緊急配備情報の構成を示した図である。
【図10】本実施の形態のリアルタイム情報の構成を示した図である。
【図11】本実施の形態の受信データ情報の構成を示した図である。
【図12】本実施の形態の車両管理システムにおける通常モード時の表示画面の例を示した図である。
【図13】本実施の形態の車両システムにおける緊急対応モード開始時の表示画面の例を示した図である。
【図14】本実施の形態の車両システムにおける緊急対応モード時に短定期通信範囲に車両が進入した場合の表示画面の例を示した図である。
【図15】本実施の形態の車両システムにおける緊急対応モード時にリアルタイム通信範囲に車両が進入した場合の表示画面の例を示した図である。
【図16】本実施の形態の車両システムにおける緊急対応モード時にリアルタイム通信範囲から車両が離れた場合の表示画面の例を示した図である。
【図17】本実施の形態の車両システムにおける緊急対応モード時に短定期通信範囲から車両が離れた場合の表示画面の例を示した図である。
【図18】本実施の形態の車両システムにおける緊急配備が解除された場合の表示画面の例を示した図である。
【図19】本実施の形態の車両表示方法の処理手順を示したフローチャートである。
【図20】本実施の形態の通常モード時の位置情報収集処理手順を示したフローチャートである。
【図21】本実施の形態の緊急対応モード時の通信タイミング設定処理手順を示したフローチャートである。
【図22】本実施の形態の緊急対応モード時のリアルタイム配信処理手順を示したフローチャートである。
【図23】本実施の形態の緊急対応モード時の短定期配信処理手順を示したフローチャートである。
【図24】本実施の形態の緊急対応モード時の定期配信処理手順を示したフローチャートである。
【図25】本実施の形態の車両搭載端末における処理手順を示したフローチャートである。
【符号の説明】
【0209】
1 移動体管理装置
2a 移動体A
2b 移動体B
11 位置情報記憶手段
12 定期位置情報収集手段
13 地図表示手段
14 移動体表示制御手段
15 配信周期位置情報収集手段
16 表示情報配信手段
21 位置検出手段
22 地図表示手段
23 位置情報送信手段
24 表示情報受信手段
【技術分野】
【0001】
本発明は移動体表示方法及び移動体管理装置に関し、特に位置検出手段を搭載する移動体から位置情報を取得し、取得した位置情報に基づいて移動体の位置を表示する移動体表示方法及び移動体管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両などの任意の地点を移動する移動体の位置管理を行う移動体管理システムでは、位置検出手段を搭載する移動体と管理センタとが無線ネットワークで接続され、相互にデータ交換を行っている。管理センタでは、定期的に移動体の位置情報を収集し、収集された位置情報に基づいて各移動体の位置を地図上に表示する。一方、各移動体は、位置検出手段とともに地図表示手段を具備しており、位置検出手段により検出された自身の位置をディスプレイ上の地図に表示する。管理センタでは、地図上に表示された各移動体の位置を確認し、各種指示を行う。ところが、管理センタが保有する移動体の位置情報は、各移動体に配信されないため、各移動体では他の移動体の位置を確認することはできなかった。
【0003】
しかし、たとえば緊急対応時など、各移動体では、自身の位置ばかりでなく、他の移動体の位置を確認しながら行動したい場合がある。このため、管理センタが収集した移動体の位置情報を各移動体へ配信し、各移動体が自身の位置とともに他の移動体の位置を表示できるようにすることが要望されている。
【0004】
そこで、緊急時などに、仲間の車両(移動体)の位置情報を取得し、自車両の位置とともに他の車両の位置を地図上に表示させる車両情報伝送システムが提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−258932号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、単に管理センタが収集したすべての移動体の位置情報を各移動体に配信し、それぞれの移動体に他の移動体の位置を表示させようとしても、その位置をリアルタイムに表示させることが難しいという問題点がある。
【0006】
管理センタでは、通常時には移動体の位置をリアルタイムで把握する必要はないため、管理に必要十分な一定周期で移動体の位置情報を収集している。したがって、この位置情報を配信し、配信された位置情報で位置表示を行っても、対象の移動体は既に表示地点から移動してしまっている可能性が高い。たとえば、5分ごとに位置情報を収集している場合、最大で5分前の位置情報が配信されるため、他の移動体の位置表示に利用しようとすると、かえって混乱する場合もある。
【0007】
このような表示と実際の位置とのタイムラグを解消するためには、管理センタの位置情報収集及び各移動体への位置情報配信をリアルタイムで行う必要がある。しかしながら、位置情報の収集と配信をリアルタイム処理しようとすると、各移動体との間の通信量が増大し、管理センタに過度の負荷がかかり、管理センタの処理が遅延する恐れも生じる。さらに、管理対象の移動体の数が多くなれば、通信量も飛躍的に増大し、リアルタイム処理が困難になる。また、通信量の増大に伴って、通信コストも増大するという問題点もある。
【0008】
一方、移動体側も、管理センタからリアルタイムで配信される全移動体の位置情報を受信して処理しなければならないため、相当の負荷がかかる。また、たとえば、所定の移動体を追跡する場合などに、全移動体の位置が画面に表示されるとすると、目標の移動体を確認することが難しくなるという問題点もある。
【0009】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、必要なときに、他の移動体の位置をリアルタイムに地図上に表示させることができる移動体表示方法及び移動体管理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明では上記課題を解決するために、図1に示すような移動体表示方法が提供される。本発明に係る移動体表示方法は、移動体管理装置1と管理対象の複数の移動体(図では、移動体A(2a)、移動体B(2b)、・・・)とを有する移動体管理システムに適用される。
【0011】
移動体A(2a)は、位置検出手段21によって、自身の位置を検出している。また、他の移動体B(2b)、・・・も同様の処理を行っている。移動体管理装置1は、定期位置情報収集手段12が、予め設定された定期収集周期ごとに移動体A(2a)、移動体B(2b)、・・・から位置情報を取得し、収集した位置情報を位置情報記憶手段11に格納するステップを実行する。移動体表示制御手段14は、所定の条件が成立する場合に、位置情報記憶手段11に格納される位置情報に基づいて、所定の地点から一定の範囲内に位置する移動体を特定し、特定された移動体を表示の対象移動体に設定するとともに、対象移動体に表示させる表示情報を配信する配信周期を設定するステップを実行する。次に、配信周期位置情報収集手段15が、移動体表示制御手段14によって設定された配信周期ごとに対象移動体から位置情報を収集し、収集した位置情報を位置情報記憶手段11に格納するステップを実行する。次に、表示情報配信手段16が、配信周期位置情報収集手段15によって対象移動体から収集された位置情報に基づく表示情報を設定し、対象移動体に配信するステップを実行する。そして、移動体A(2a)、移動体B(2b)、・・・は、地図表示手段22が、表示情報配信手段16が配信した表示情報を取得すると、この表示情報に基づき、対象移動体の位置を地図上に表示するステップを実行する。
【0012】
このような移動体表示方法によれば、移動体A(2a)、移動体B(2b)、・・・は、位置検出手段21によって自身の位置を特定し、位置情報として保持している。移動体管理装置1では、定期位置情報収集手段12が、定期収集周期ごとに、この位置情報を収集し、位置情報記憶手段11に格納している。したがって、位置情報記憶手段11には、移動体A(2a)、移動体B(2b)、・・・の位置情報が定期収集周期ごとに更新されて格納される。移動体に他の移動体の位置表示を行わせるために予め設定された所定の条件が成立すると、移動体表示制御手段14は、位置情報記憶手段11の位置情報から、所定の地点から一定範囲内に位置する移動体を特定し、これを表示の対象移動体に設定するとともに、配信周期を設定する。配信周期になると、配信周期位置情報収集手段15によって対象移動体の位置情報が収集されて位置情報記憶手段11に格納される。そして、表示情報配信手段16によって、収集された位置情報に基づき、対象移動体の表示情報が対象移動体に配信される。このように、全移動体のうち、所定の地点から一定範囲内に位置する移動体が対象移動体として抽出され、これら対象移動体に対してのみ、配信周期での位置情報収集と、表示情報配信が行われるようになる。移動体では、地図表示手段22が、配信された表示情報に基づいて、自身の位置とともに、対象移動体の位置を地図上に表示する。これにより、各移動体には、自身の位置とともに所定の範囲内に存在する他の移動体の位置が地図上に表示される。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、移動体にて他の移動体の位置表示を行う所定の条件が成立すると、所定の地点からの距離に応じて、位置表示を行う対象の移動体を選択する。そして、選択された対象移動体に対してのみ、配信周期での位置情報収集と、表示情報の配信が行われ、対象移動体において自身及び他の対象移動体の位置が表示される。このように、対象移動体を限定することにより、全移動体の位置情報を送信する場合に比較して通信量を大幅に削減することができ、同時に移動体管理装置の負荷の増大を抑えることができる。この結果、移動体において、自身の位置とともに他の移動体の位置を必要十分な精度で表示することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。まず、実施の形態に適用される発明の概念について説明し、その後、実施の形態の具体的な内容を説明する。
図1は、実施の形態に適用される発明の概念図である。
【0015】
本発明に係る移動体管理システムは、任意の地点を移動する移動体A(2a)、移動体B(2b)、・・・と、移動体の管理を行う管理センタに配置され、管理対象の移動体の位置情報を収集してその位置表示を行う移動体管理装置1とが、無線ネットワークを介して接続する。なお、以下の説明では、特に移動体を限定する必要がない場合には、番号を付さない。
【0016】
移動体管理装置1は、管理対象のすべての移動体の位置情報を記憶する位置情報記憶手段11、位置情報を定期収集周期で収集する定期位置情報収集手段12、管理センタの表示装置に移動体の位置を表示させる地図表示手段13、所定の条件成立時、移動体に他の移動体の位置を表示させる移動体表示制御手段14、位置表示対象となった移動体の位置情報を配信周期で収集する配信周期位置情報収集手段15、及び移動体に他の移動体の位置を表示させるための表示情報を配信する表示情報配信手段16を具備する。
【0017】
位置情報記憶手段11は、定期収集周期ごと、または、移動体で他の移動体の位置表示を行う所定の条件が成立した場合に設定される配信周期ごとに収集される移動体の位置情報が、移動体に関連付けて格納される記憶手段である。位置情報記憶手段11には、位置情報とともに、位置表示に必要な他の情報も格納される。
【0018】
定期位置情報収集手段12は、通常時、定期収集周期で管理対象のすべての移動体から、その位置情報を収集し、収集した位置情報を位置情報記憶手段11に格納する。なお、通常時とは、所定の条件が成立していない間をいう。
【0019】
地図表示手段13は、地図データと、位置情報記憶手段11に格納されたすべての移動体の位置情報とに基づき、全移動体の位置を地図上に配置し、図示しない表示装置に表示する。
【0020】
移動体表示制御手段14は、各移動体に他の移動体の位置表示を行う所定の条件が成立するかどうかを確認し、成立する場合に、位置情報記憶手段11に格納される全移動体の位置情報に基づき、所定の地点から一定の範囲内に位置する移動体を特定し、表示の対象移動体に設定する。所定の条件は、他の移動体の位置表示が各移動体で必要になる状況となる条件で、たとえば、任意の移動体の追跡を一斉に開始するという指示が発令された場合などである。所定の地点は、たとえば、所定の条件成立の要因となる緊急事態などが発生した地点や、それぞれの移動体が追跡しなければならない対象の存在する地点など、移動体の移動目標となる地点を指す。したがって、経過時間とともに変化する場合もある。また、一定の範囲を決める所定の地点からの距離は、目標(所定の地点)の移動速度や、移動体の移動速度に応じて決まる。また、その範囲は、所定の地点から距離X内の1次範囲に加え、所定の地点からXからさらに距離Y外側の2次範囲というように、複数の範囲が設定されてもよい。また、対象移動体の特定は、位置情報記憶手段11に格納される位置情報に基づいて1次判定を行った後、選択された対象移動体の位置情報を収集し、再新位置情報に基づいて再度対象移動体を設定するとしてもよい。さらに、移動体表示制御手段14は、この対象移動体に表示情報を配信する配信周期を設定する。配信周期は、少なくとも、定期位置情報収集手段12が収集を実行する定期収集周期より短い周期であり、移動体による他の移動体の位置表示が必要十分な精度を保持できる時間が設定される。また、1次範囲、2次範囲など、複数の範囲が設定される場合は、範囲に応じて、配信周期の設定を変えてもよい。1次範囲にある移動体への配信周期を1次配信周期とし、2次範囲にある移動体への配信周期を2次配信周期とする。周期は、1次配信周期<2次配信周期<定期収集周期となるように設定される。また、所定の条件が成立しなくなった場合には、対象移動体及び配信周期の設定を解除し、配信周期位置情報収集手段15及び表示情報配信手段16による処理を停止させる。
【0021】
配信周期位置情報収集手段15は、移動体表示制御手段14が設定した配信周期ごとに、対象の移動体からその位置情報を収集し、収集した位置情報を位置情報記憶手段11へ格納する。
【0022】
表示情報配信手段16は、移動体表示制御手段14が設定した配信周期ごとに、配信周期位置情報収集手段15が収集した位置情報に基づき、対象移動体の位置表示に利用する表示情報を対象移動体に配信する。表示情報には、対象移動体の位置情報の他、任意の対象移動体の表示色などの表示指示、表示させたいメッセージを記述したメッセージ情報などが設定される。また、移動体表示制御手段14によって、処理が停止される場合は、対象移動体に表示情報に基づく表示処理の停止を通知した後、処理を停止させる。
【0023】
移動体A(2a)は、自身の位置を検出する位置検出手段21、地図データに基づき、自身の位置を表示するとともに、表示情報に基づく表示も行う地図表示手段22、位置情報を移動体管理装置1へ送信する位置情報送信手段23、移動体管理装置1から、自身を除く他の移動体の位置表示用の表示情報を受信する表示情報受信手段24を具備する。なお、移動体B(2b)を含むすべての移動体は同様の構成である。
【0024】
位置検出手段21は、移動体A(2a)の位置を検出する検出手段で、たとえば、GPS(Global Positioning Systems)である。検出された緯度、経度などから位置情報を生成する。
【0025】
地図表示手段22は、表示情報が移動体管理装置1から配信されない通常時には、地図データと、位置検出手段21が生成した位置情報とに基づき、地図上にこの移動体A(2a)の位置を表示する。また、表示情報受信手段24によって、移動体管理装置1から表示情報を取得した場合には、取得した表示情報に基づき、他の移動体の位置や、メッセージなどを地図上に表示する。
【0026】
位置情報送信手段23は、移動体管理装置1からの要求に応じて、位置検出手段21が生成した位置情報を送信する。
表示情報受信手段24は、移動体管理装置1から他の移動体の表示情報を受信すると、受信した表示情報を地図表示手段22へ送る。
【0027】
このような構成の移動体管理システムにおいて実行される移動体表示方法を、移動体A(2a)が対象となる場合で説明する。
通常時、すなわち、所定の条件が成立していない間、移動体A(2a)は、位置検出手段21により自身の位置を検出し、位置情報を生成する。また、地図表示手段22は、生成された位置情報と地図データとに基づき、地図上に自身の位置を表示させる。
【0028】
一方、移動体管理装置1は、定期位置情報収集手段12が、定期収集周期ごとに移動体A(2a)に対して位置情報を要求する。そして、要求に応じて移動体A(2a)の位置情報送信手段23より送信された位置情報を位置情報記憶手段11に格納する。同様の処理を移動体A(2a)以外の移動体にも実行し、管理対象の移動体の位置情報をすべて収集する。地図表示手段13は、位置情報記憶手段11に格納される各移動体の位置情報と地図データとに基づき、図示しない表示装置に、地図と、その地図上に各移動体の位置とを表示する。
【0029】
このように、通常時には、移動体管理装置1によって管理センタの表示装置には、地図上に管理対象の各移動体の位置が表示される。また、その位置表示は、定期収集周期ごとに更新される。一方、移動体A(2a)の表示装置には、地図上に自身の位置のみが表示される。移動体A(2a)以外の移動体も同様である。
【0030】
そして、緊急時対応などの所定の条件が成立すると、移動体表示制御手段14は、位置情報記憶手段11に格納される各移動体の位置情報に基づき、所定の地点から一定範囲内に存在する移動体を抽出し、表示情報を配信する対象移動体に設定する。また、対象移動体からの位置情報収集と、対象移動体への表示情報配信を行う配信周期も設定する。配信周期は、表示精度を保持する値(リアルタイム)に設定される。なお、その外側に2次範囲が設定される場合には、2次範囲に位置する対象移動体と、2次配信周期も設定される。移動体表示制御手段14によって、対象移動体と配信周期が設定されると、配信周期位置情報収集手段15は、配信周期ごとに対象移動体の位置情報を収集し、位置情報記憶手段11に格納する。1次配信周期と2次配信周期がある場合には、それぞれの周期で該当する移動体について処理を行う。なお、地図表示手段13は、更新された位置情報に合わせて表示を更新する。また、表示情報配信手段16は、配信周期ごとに、位置情報記憶手段11に格納される位置情報に基づいて対象移動体の表示情報を生成し、対象移動体に配信する。
【0031】
移動体A(2a)も対象移動体であり、表示情報受信手段24を介して受信された表示情報は、地図表示手段22に送られる。地図表示手段22は、表示情報に基づいて、地図上に移動体A(2a)を含む対象移動体の位置を表示し、移動体A(2a)の搭乗者に自身の位置と、所定の範囲内の対象移動体に設定された他の移動体の位置を知らせる。
【0032】
これにより、緊急時対応など、所定の条件が成立している間、所定の範囲内に位置する移動体A(2a)の搭乗者は、地図上の所定の範囲内にある他の移動体の位置をリアルタイムで確認することが可能となる。このとき、所定の範囲内にある他の移動体にも同様の地図表示がされる。この結果、表示に基づき、範囲内にある移動体間で迅速かつ的確に連携することが可能となる。
【0033】
そして、所定の条件が成立しなくなった場合は、移動体表示制御手段14がこれを検知し、対象移動体及び配信周期の設定を解除し、配信周期位置情報収集手段15及び表示情報配信手段16による処理を停止させる。このとき、表示情報配信手段16は、対象移動体に表示情報に基づく表示処理の停止を通知した後、処理を停止させてもよいし、移動体A(2a)側で一定時間表示情報を受信しない場合は、自動的に自身の位置表示のみを行う表示に戻してもよい。こうして、所定の条件成立前の通常時の状態に戻る。
【0034】
以下、実施の形態を、警察車両(移動体)の位置管理システムに適用した場合を例に図面を参照して詳細に説明する。
警察車両(以下、単に車両とする)の位置管理システムは、各車両に搭載される車両搭載端末と、各車両の車両搭載端末から位置情報を収集・管理する車両管理装置とが、無線ネットワークを介して接続されている。車両管理装置は、車両を集中管理する管理センタに配備され、移動中の車両から収集した位置情報に基づく車両位置を地図上に表示し、管理者による車両の位置確認を支援している。以下、この状態を通常モードとする。
【0035】
警察業務では、通常モード時の車両管理に加え、緊急配備対応の車両管理が要求される。以下、緊急事態対応処理を実行している状態を緊急対応モードとする。なお、緊急配備とは、重要な刑法犯罪などの発生に際し、被疑者の早期確保(犯人の早期検挙)のため、多数の警察官を集中的に動員・配備し、検問・聞き込みなどを行う初動捜査活動の一形態を指す。したがって、緊急配備が指令されると、移動する目標(被疑者)を複数の車両が連携して追跡を行うよう各車両に指示が出される。このとき、目標を追跡する各車両が互いの位置をリアルタイムに確認しながら活動することができれば、適切かつ円滑な捜査活動が可能となる。そこで、本実施の形態では、緊急配備が発令されている間、各車両が搭載する車両搭載端末に、目標を追跡する他の車両の位置情報をリアルタイムで表示させる。
【0036】
図2は、本実施の形態の車両管理システムの機能の概略を示す図である。
図は、管理センタの表示装置に表示される車両を示した図の一例であり、管理対象の地図全領域50に、任意の位置を移動する車両A(51)、車両B(52)、車両C(53)、車両D(54)、及び車両F(55)の位置が表示されている。
【0037】
ここで、緊急事態が発生したことが通報されると、車両管理装置は、緊急対応モードとなり、通報に基づいて緊急事態が発生した緊急発生時点から所定の範囲内の車両を選定する。所定の範囲内は、たとえば、追跡目標(被疑者)がいることが想定される範囲などで、緊急発生時からの経過時間や、追跡目標の移動速度などに応じて算出される。この所定の範囲をリアルタイム通信範囲56とし、この範囲内に位置する車両を緊急対応車両とし、位置情報の取得間隔をリアルタイム周期にするとともに、取得した位置情報を全緊急対応車両に配信する。図の例では、車両A(51)、車両B(52)、及び車両C(53)が緊急対応車両に選定され、各車両の位置情報がリアルタイムで収集・配信される。これにより、リアルタイム通信範囲56に位置する車両A(51)、車両B(52)、及び車両C(53)は、互いの位置を自車両の車両搭載端末で確認することができる。
【0038】
そして、いずれかの車両が目標を確認して通報を行うと、通報を受信した車両管理装置は、通報を行った車両を緊急リーダとし、他の車両がそれを確認できるように表示を強調表示にする。図の例で、車両B(52)が緊急リーダとなった場合、「車両B」表示を「追跡車両Z」とし、さらにこれを各車両に通知する。また、リアルタイム通信範囲56の中心を緊急リーダである追跡車両Z(52)とする。これにより、車両A(51)、車両B(52)、及び車両C(53)は、追跡目標となる追跡車両Z(52)を容易に確認することができる。なお、緊急リーダは、車両管理装置が選定してもよい。
【0039】
さらに、本実施の形態では、リアルタイム通信範囲56の外側に短定期通信範囲57を設け、そこに位置する車両を検出する。図の例では、車両D(54)が検出される。短定期通信範囲57に位置する車両は、リアルタイム通信範囲56に進入する可能性が高いので、この範囲の車両を緊急対応候補車両とする。また、緊急対応候補車両に対しては、通常時の定期収集周期よりは短く、かつリアルタイム周期よりは長い短定期周期を設定し、短定期で緊急対応候補車両の位置情報を取得し、管理センタの表示装置に表示し、位置の確認精度を上げる。一方、緊急対応候補車両に対しては、追跡目標となる追跡車両Z(52)の位置情報を配信する。これにより、車両D(54)は、追跡目標となる追跡車両Z(52)の位置を通常より高い精度で確認することができる。
【0040】
以下、このような車両管理システムを実現するハードウェア構成及びソフトウェア構成並びに車両表示方法について説明する。
まず、本実施の形態の車両管理システムのハードウェア構成について説明する。図3は、本実施の形態の車両管理システムの構成図である。
【0041】
本実施の形態の車両管理システムは、管理センタにある車両管理装置100と、各車両に搭載される車両搭載端末200とが、ネットワーク300を介して接続される構成をとる。ネットワーク300は、警察無線やDoPa(登録商標)などの無線通信ネットワークである。
【0042】
車両管理装置100は、CPU(Central Processing Unit)101によって装置全体が制御されている。CPU101には、バス107を介して通信処理部102、RAM(Random Access Memory)103、表示処理部104、入力処理部105、及びハードディスクドライブ(HDD:Hard Disk Drive)106が接続されている。
【0043】
通信処理部102は、ネットワーク300に接続されており、ネットワーク300を介して車両搭載端末200との間でデータの送受信を行う。RAM103には、CPU101に実行させるOS(Operating System)のプログラムやアプリケーションプログラムの少なくとも一部が一時的に格納される。また、RAM103には、CPU101による処理に必要な各種データが格納される。表示処理部104には、図示しない表示装置が接続されており、CPU101からの命令に従って画像を表示装置の画面に表示させる。入力処理部105には、図示しないキーボードやマウスなどの指示入力装置が接続されており、指示入力装置から送られてくる信号を、バス107を介してCPU101に送信する。HDD106には、車両管理に用いる各種データベース(以下、DBとする)の他、OSやアプリケーションプログラムが格納される。具体的には、地図データDB106a、車両位置情報DB106b、捜査範囲DB106c、車両IPアドレスDB106d、緊急配備DB106e、及びリアルタイムDB106fが格納され、バス107を介してCPU101がこれらのDBに格納されるデータを読み書きする。各DBの詳細は後述する。なお、必要に応じて、DBのデータの一部は、RAM103に一時的に格納される。
【0044】
車両搭載端末200は、車両管理装置100と同様に、CPU201によって装置全体が制御されている。CPU201には、バス209を介して通信処理部202、RAM203、表示処理部204、入力処理部205、GPS206、ジャイロ207、及びHDD208が接続されている。通信処理部202は、ネットワーク300を介して車両管理装置100との間でデータ交換を行う。RAM203には、各種データが一時的に格納される。表示処理部204には、図示しない表示装置が接続され、所定の表示画面を表示させる。入力処理部205には、図示しない指示入力装置が接続され、入力指示をCPU201へ伝える。GPS206及びジャイロ207は、車両搭載端末200の位置情報を生成する。HDD208には、OSやアプリケーションプログラムとともに、車両管理に用いる各種DBが格納される。具体的には、地図データDB208aと受信データDB208bが格納される。各DBの詳細は後述する。
【0045】
このようなハードウェア構成によって、本実施の形態の処理機能を実現することができる。
次に、車両管理装置100の機能を実現するソフトウェア構成について説明する。図4は、本実施の形態の車両管理装置の機能構成を示すブロック図である。図3と同じものには同じ番号を付し、説明は省略する。
【0046】
本実施の形態の車両管理装置100において車両管理処理を行う管理処理部110は、定期位置管理部111、通信タイミング設定部112、リアルタイム情報配信部113、短定期情報配信部114、及び定期情報配信部115を有する。定期位置管理部111は、通常モード時、通信タイミング設定部112、リアルタイム情報配信部113、短定期情報配信部114、及び定期情報配信部115は、緊急対応モード時に処理を行う。
【0047】
定期位置管理部111は、通常モード時、予め設定された通常時の定期収集周期ごとに、各車両から位置情報を収集し、収集した位置情報を、車両位置情報DB106bに格納する。また、車両位置情報DB106bと、地図データDB106aに格納されるデータに基づいて、各車両の位置を地図上に表示させる。さらに、緊急配備指令の発令をチェックし、発令された場合は、管理処理部110を緊急対応モードへ遷移させる。
【0048】
通信タイミング設定部112は、緊急対応モード時、車両位置情報DB106bに格納される最新の車両位置情報から得られる追跡車両の位置、または、緊急発生時点を特定し、リアルタイム通信範囲56と、短定期通信範囲57を決定する。また、それぞれの通信範囲の配信周期を設定する。ここでは、リアルタイム通信範囲56は、リアルタイム周期、短定期通信範囲57は、短定期周期に設定されるとする。
【0049】
リアルタイム情報配信部113は、車両位置情報DB106bを参照し、緊急対応車両に選定された車両を抽出し、リアルタイム周期ごとに、緊急対応車両から位置情報を収集し、車両位置情報DB106bを更新する。続いて、更新された位置情報に基づいて管理センタ側の表示も更新するとともに、収集した位置情報を緊急対応車両に配信し、緊急対応車両の表示も更新させる。
【0050】
短定期情報配信部114は、車両位置情報DB106bを参照し、短定期周期に設定された車両を抽出する。そして、短定期周期ごとに、該当する車両から位置情報を収集し、車両位置情報DB106bを更新する。続いて、更新された位置情報に基づいて管理センタ側の表示も更新するとともに、短定期周期が設定される各車両に追跡車両の位置情報を配信し、表示を更新させる。なお、各車両に表示させる追跡車両は、たとえば、色を変えることによって、リアルタイム通信範囲56内に位置する場合と区別する。
【0051】
定期情報配信部115は、通常時の定周期と同じ周期で起動し、リアルタイム通信範囲56及び短定期通信範囲57から外れた車両に対し、範囲を外れた旨の通知を行う。
次に、各DBの構成について説明する。
【0052】
地図データDB106aには、表示装置に地図を表示させるための地図データが格納される。
車両位置情報DB106bには、管理対象の車両から収集した位置情報と、現在の車両状態に関する情報が格納される。
【0053】
図5は、本実施の形態の車両位置情報(通常時)の構成例を示した図である。
車両位置情報DB106bに格納される車両位置情報(通常時)410aには、各車両を識別する車両名411に関連付けて、車両状況412、緊急配備の指揮・指令413、被疑者(被疑車両)追跡通知414、追跡車両フラグ415、車両位置情報[座標]416、通信タイミング417、リアルタイムフラグ418、及び短定期フラグ419が設定される。
【0054】
車両状況412は、対応する車両の状態、たとえば、車両が「警邏中」であるか「帰署中」であるかを示す。緊急配備の指揮・指令413は、緊急配備が指揮されたかどうかを示す。緊急配備発令でセットされ、緊急配備解除でリセットされる。被疑者(被疑車両)追跡通知414は、緊急配備時の被疑者(被疑車両)の追跡を開始した通報を受けて設定される。各車両は、追跡目標の被疑者(被疑車両)を探しており、見つけた場合には、車両管理装置100に通報する。車両管理装置100では、通報を検知し、該当する車両の欄に通知があったことを設定する。追跡車両フラグ415には、追跡車両を識別する識別情報が設定される。たとえば、表示の際に追跡車両を「Z」で示す場合、追跡車両に選択された車両に対応する欄に「Z」が設定される。車両位置情報416には、車両の位置座標が設定される。図の例では、2次元座標の位置を(x,y)座標で示している。通信タイミング417には、車両ごとに決められる通信タイミング(通常時の「定期」/リアルタイム通信範囲内の「リアルタイム」/短定期通信範囲内の「短定期」)が設定される。それぞれの車両に設定される通信タイミングは、通信タイミング設定部112による車両が位置する範囲の判定結果に応じて決まる。リアルタイムフラグ418は、対応する車両についてリアルタイム周期で収集・配信処理が行われた場合にセットされる。短定期フラグ419は、対応する車両について短定期周期で収集・配信が行われた場合にセットされる。
【0055】
通常モード時には、すべての車両について、緊急配備の指揮・指令413、被疑者(被疑車両)追跡通知414、及び追跡車両フラグ415に設定無が登録されている。また、通信タイミング417は、すべて「定期」が設定され、リアルタイムフラグ418と短定期フラグ419もオフが設定される。
【0056】
次に、緊急対応モード時の車両位置情報の状態を説明する。図6は、本実施の形態の車両位置情報(緊急配備時)の構成例を示した図である。図5と同じものには同じ番号を付す。
【0057】
車両位置情報(緊急配備時)410bは、図5に示した車両位置情報(通常時)410aの状態から、緊急配備が指令された後の状態を示している。緊急配備の発令により、すべての車両状況412に「緊急配備中」が設定される。また、被疑者の追跡を開始した車両から通報を受けた場合、通報のあった車両の被疑者(被疑車両)追跡通知414と、追跡車両フラグ415を設定する。追跡車両は、車両管理装置100、または、管理者が、たとえば、緊急事態発生地点に最も近い車両を選択するなどして設定してもよい。図は、車両Bから通報があった場合の例であり、車両Bに対応する被疑者(被疑車両)追跡通知414に「追跡開始」が設定され、追跡車両フラグ415に追跡車両Zが設定される。
【0058】
また、追跡車両Zを中心として設定されるリアルタイム通信範囲56に位置する車両には、対応する通信タイミング417に「リアルタイム」が設定される。図の例では、車両A、車両B、車両Dに設定されている。同様に、短定期通信範囲57に位置する車両には、対応する通信タイミング417に「短定期」が設定される。リアルタイムフラグ418及び短定期フラグ419は、リアルタイム情報配信部113、短定期情報配信部114、及び定期情報配信部115の実行状況を表す。各処理において、配信処理が終了したときにON/OFFされる。
【0059】
以下、特に限定する必要がない場合は、車両位置情報410と表記する。
捜査範囲DB106cには、リアルタイム通信範囲56及び短定期通信範囲57を算出するパラメータが格納される。
【0060】
図7は、本実施の形態の捜査範囲情報の構成例を示した図である。
捜査範囲DB106cに格納される捜査範囲情報420には、追跡目標(被疑者)の逃走方法421に関連付けて、X(リアルタイム通信範囲)422、及びY(短定期通信範囲)423が格納される。
【0061】
X(リアルタイム通信範囲)422には、リアルタイム通信範囲を規定するXの算出式が格納される。また、Y(短定期通信範囲)423には、短定期通信範囲を規定するYの算出式が格納される。図の例では、逃走方法421が、「徒歩」であれば、X(リアルタイム通信範囲)422は、2+(経過時間×0.16)kmで算出される。同様に、「自転車」であれば、3+(経過時間×0.4)、「車両」であれば、5+経過時間によって算出される。なお、経過時間とは、通報時に通報者などから聴取した緊急事態発生時刻からの経過時間を指す。通信タイミング設定部112は、Xを算出し、緊急発生地点、または、追跡車両を中心とし、Xkmの範囲をリアルタイム通信範囲とする。また、Yを算出し、リアルタイム通信範囲と共通の中心点から(X+Y)kmの範囲であって、リアルタイム通信範囲を除く部分を短定期通信範囲とする。
【0062】
車両IPアドレスDB106dには、管理対象の車両のIPアドレスが格納される。
図8は、本実施の形態の車両IPアドレス情報の構成例を示した図である。
車両IPアドレスDBに格納される車両IPアドレス情報430には、車両名431に関連付けて、その車両のIPアドレス432が設定される。管理処理部110では、このIPアドレスを参照して各車両との間の通信処理を行う。
【0063】
緊急配備DB106eには、発令中の緊急配備の内容が格納される。
図9は、本実施の形態の緊急配備情報の構成を示した図である。
緊急配備DB106eに格納される緊急配備情報(通常時)440aは、緊急配備が発令されていない状態におけるデータ設定を示している。また、緊急配備情報(緊急配備時)440bは、緊急配備が発令されている状態におけるデータ設定を示している。
【0064】
事案識別子441は、緊急配備指令を識別するための識別情報であり、識別子から緊急配備の詳細内容に関する登録情報などを検索することができる。緊急配備情報440a、440bは、事案識別子441に関連付けて、発令された緊急配備指令の現在の状態を示す緊急配備発令442、緊急配備指令が解除されたときに設定される緊急配備解除443、追跡車両に設定された緊急リーダを特定する追跡車両444、追跡対象の逃走方法を示す逃走方法445、及び緊急事態の発生日時446が設定される。
【0065】
緊急配備が発令されていない状態の緊急配備情報(通常時)440aには、情報は設定されていない。一方、図の例では、緊急配備が発令された後の緊急配備情報(緊急配備時)440bには、事案識別子441に関連付けて、緊急配備発令442に「発令中」、追跡車両444に「車両B」、逃走方法445に「車両」、そして発生日時446に「3/31AM10:00」が設定されている。
【0066】
以下、特に限定する必要がない場合は、緊急配備情報440と表記する。
リアルタイムDB106fには、リアルタイム通信範囲56で検出され、緊急対応車両に選定された車両情報が格納される。
【0067】
図10は、本実施の形態のリアルタイム情報の構成を示した図である。
リアルタイムDB106fに格納されるリアルタイム情報450には、リアルタイム通信の対象となる緊急対応車両が、車両名451に関連付けられたIPアドレス452とともに設定される。図の例では、車両A、車両B、及び車両Dが設定されている。
【0068】
ここで、車両搭載端末200のHDD208に格納されるDBについて説明する。図3に示したように、車両搭載端末200は、地図データDB208aと、受信データDB208bを有する。
【0069】
地図データDB208aには、車両管理装置100と同様に、表示画面に表示するための地図データが格納される。
受信データDB208bには、車両管理装置100が緊急対応モード時に車両搭載端末200に送信したデータが格納される。
【0070】
図11は、本実施の形態の受信データ情報の構成を示した図である。
受信データDB208bに格納される受信データ情報(追跡車両)460aは、緊急リーダに指定された追跡車両に格納されるデータの例であり、受信データ情報460bは、その他の緊急対応車両に格納されるデータの例である。
【0071】
受信データ情報460a、460bは、表示画面に表示するメッセージ461、リアルタイム通信範囲に位置する他の車両に関する他車両(情報)462、及び他車両462の車両が追跡車両であるかどうかを示す追跡車両フラグ463を有する。
【0072】
図の例では、受信データ情報(追跡車両)460aには、メッセージ461に「緊配発令中」が格納され、他車両462に、リアルタイム通信範囲にいる「車両A」及び「車両D」と、その車両座標が格納される。車両搭載端末200は、これらの情報に基づき、「緊配発令中」とともに、他車両を地図上に表示する。
【0073】
また、リアルタイム通信範囲内に位置し、追跡車両ではない緊急対応車両の受信データ情報460bの他車両462には、リアルタイム通信範囲にいる「車両B」及び「車両D」と、その車両座標が格納される。また、追跡車両フラグ463には、「車両B」が追跡車両であり、車両名を青色で強調表示することが設定されている。
【0074】
なお、図示していないが、車両が短定期通信範囲に位置する緊急対応候補車両である場合には、他車両462には、追跡車両の情報のみが設定される。また、追跡車両フラグ463には、他の色(青色以外)で車両名を強調表示する指示が設定される。
【0075】
また、車両が短定期通信範囲よりも外側に位置する場合は、メッセージ461のみ設定される。
次に、このような車両管理システムの動作及び車両表示方法について、管理センタ及び車両の表示画面を用いて順次説明する。また、図6から図11に示したデータ例を用いて処理を行うとする。
【0076】
図12は、本実施の形態の車両管理システムにおける通常モード時の表示画面の例を示した図である。図のA、B、Dは、それぞれ車両A、車両B、車両Dを表している。
通常モード時には、定期位置管理部111は、定期収集周期ごとに全車両の位置情報を収集し、位置情報に基づいて、各車両の位置を管理センタの表示装置に表示させる。管理センタ表示画面501には、車両A、車両B、車両Dが、収集された位置情報に基づいて特定される位置を示す地図上に表示されている。
【0077】
一方、通常モード時、定期位置管理部111は、各車両に対して位置情報を配信しないので、各車両の車両搭載端末200の表示画面には、自装置の位置検出手段が検出した位置情報に基づく自車両の位置が表示される。図の例では、車両Bの車両B表示画面511には、車両Bの位置表示がされる。同様に、車両A表示画面521には車両A、車両D表示画面531には車両Dの位置表示がされる。
【0078】
ここで、警察に、「3/31 AM10:00」に緊急事態が発生し、被疑者は「車両」で逃走したという通報があり、緊急配備が発令されたとする。通報により、緊急配備情報440が設定され、車両位置情報410の緊急事案対応車両に対応する車両状況412に「緊急配備中」、緊急配備の指揮・指令413に「有」が設定される。
【0079】
緊急配備が発令されると、定期位置管理部111は、動作モードを通常モードから緊急対応モードに遷移させ、通信タイミング設定部112、リアルタイム情報配信部113、短定期情報配信部114、及び定期情報配信部115による緊急配備対応処理を開始させる。
【0080】
図13は、本実施の形態の車両システムにおける緊急対応モード開始時の表示画面の例を示した図である。
管理処理部110では、通常モードから緊急対応モードに遷移する際に、各車両に対し、メッセージ「緊配発令」を表示するように、メッセージ情報を配信する。メッセージは、緊急対応事案に応じて決まる緊急対応車両に対し、一斉に配信される。これにより、車両B表示画面512、車両A表示画面522及び車両D表示画面532のすべてに、「緊配発令」512a、522a、532aのメッセージが表示される。
【0081】
次に、緊急配備情報440及び捜査範囲情報420の情報に基づき、X、Yが算出され、通報に基づく緊急発生地点を中心としてリアルタイム通信範囲541と、短定期通信範囲542が決まり、リアルタイム通信範囲541内の緊急対応車両と、短定期通信範囲542内の緊急対応候補車両が選択される。逃走方法は「車両」であるので、捜査範囲情報420に基づき、リアルタイム通信範囲を決めるXは、5+経過時間、短定期通信範囲を決めるYは0.5+経過時間/10から算出される。こうして算出されたXに基づき、車両Bを中心として半径Xの円の内側の範囲をリアルタイム通信範囲541とする。また、車両Bを中心として半径(X+Y)の円の内側であって、リアルタイム通信範囲541の外側の範囲を短定期通信範囲542とする。なお、経過時間は、「3/31 AM10:00」からの経過時間になる。図の例では、車両Aと車両Bが緊急対応車両として選択される。
【0082】
その後、「車両B」が追跡を開始したという通報があったとする。車両位置情報410には、たとえば、車両位置情報(緊急配備時)410bに示したように、「車両B」に対応する被疑者(被疑車両)追跡通知414に「追跡開始」が設定される。
【0083】
管理処理部110では、追跡が開始されたことにより、車両Bを緊急リーダ車両とし、追跡車両フラグ415に追跡車両を表す「Z」を設定する。続いて、追跡車両の位置を中心とし、リアルタイム通信範囲及び短定期通信範囲を算出する。この場合、車両Bを中心として、リアルタイム通信範囲541と、短定期通信範囲542が算出される。以降、緊急リーダが交代するまで、車両Bがリアルタイム通信範囲541及び短定期通信範囲542の中心となる。
【0084】
こうして、緊急リーダ(追跡車両Z)を中心とするリアルタイム通信範囲541と、短定期通信範囲542とが算出され、通信タイミング設定部112は、リアルタイム通信範囲541に位置する緊急対応車両と、短定期通信範囲542に位置する緊急対応候補車両とを検出する。図の例では、緊急対応車両に車両Aと車両B(緊急リーダ)を検出し、緊急対応候補車両は検出されない。そこで、リアルタイム通信範囲541内の車両Aと車両Bに対応する車両位置情報410の通信タイミング417を「リアルタイム」に設定し、短定期通信範囲542よりも外側の車両Dの通信タイミング417には「定期」を設定する。この通信タイミング設定部112による車両の位置確認は、少なくともリアルタイム周期よりも短い周期で行われる。なお、リアルタイム通信範囲541及び短定期通信範囲542にいると判定された車両から位置情報を収集し、収集した最新の位置情報に基づき、再度判定を行うようにすれば、古い位置情報で誤って判定されることを防止し、精度の高い判定が可能となる。
【0085】
リアルタイム情報配信部113は、リアルタイム周期ごとに車両位置情報DB106b内の車両位置情報410確認し、通信タイミング417に「リアルタイム」が設定された車両Aと車両Bを抽出し、リアルタイム情報450に登録する。そして、リアルタイム情報450のIPアドレス452に設定される車両Aと車両BのIPアドレスを送信先として、位置情報を要求し、車両位置情報410を更新する。そして、リアルタイム通信範囲541内の他の車両の更新された最新の位置情報と、追跡車両の指示とを含む表示情報を、車両Aと車両Bに送信する。また、収集した位置情報に基づき、管理センタの表示装置も更新する。
【0086】
車両Bは、この情報に基づき、車両B表示画面512に示したように、自車両の位置を追跡車両Zと表示し、位置情報が送信された車両Aの位置も表示する。車両Aは、車両A表示画面522に示したように、自車両の位置とともに車両Bの位置を追跡車両Z(522b)として表示する。なお、追跡車両Zは、表示色を変える(たとえば、青)などし、強調表示する。以降、追跡車両Z(車両B)及び車両Aの位置表示は、リアルタイムで更新される。
【0087】
これにより、管理センタでも、たとえば、定期収集周期を1分とし、リアルタイム周期を1秒とすると、これまで1分おきにしか確認できなかった車両の位置が、1秒ごとに確認できるようになる。さらに、車両は、互いの位置を把握することが可能となり、車両Aの乗員は、リアルタイムで表示される追跡車両Zの位置を確認しながら、追跡を行うことができる。また、追跡車両Z(車両B)の乗員は、自車両以外で追跡可能な車両Aの位置リアルタイムで確認することが可能となり、協力して追跡を行うことができる。
【0088】
短定期情報配信部114は、該当する車両がいないため、配信処理を行わない。定期情報配信部115では、短定期通信範囲542外の車両Dからその位置情報を収集し、管理センタの表示装置の表示を更新させる。しかしながら、車両Dに対し、他の車両の位置情報は送信しない。したがって、車両Dの車両D表示画面532には、「緊配発令」532aのみが表示される。
【0089】
次に、図13の状態から短定期通信範囲542の外にいた車両Dが短定期通信範囲542内に進入した場合について説明する。
図14は、本実施の形態の車両システムにおける緊急対応モード時に短定期通信範囲に車両が進入した場合の表示画面の例を示した図である。
【0090】
管理センタ表示画面503に示したように、車両Dが短定期通信範囲542の外側から短定期通信範囲542内に進入してきたとする。
通信タイミング設定部112が、車両位置情報410に基づいて各車両の位置とリアルタイム通信範囲541及び短定期通信範囲542とを比較し、車両Dが短定期通信範囲542に進入したことを検知する。そこで、車両位置情報410の車両Dに対応する通信タイミング417を「短定期」に設定する。
【0091】
リアルタイム情報配信部113は、リアルタイム周期でリアルタイム通信範囲541内の車両Aと車両Bの位置情報の収集と配信を行う。したがって、車両B表示画面513及び車両A表示画面523には、車両Aと追跡車両Z(車両B)の位置がリアルタイムで更新されて表示される。リアルタイム通信範囲541より外側に位置する車両の表示は行わないので、車両Dが短定期通信範囲542内に進入したことは表示されない。
【0092】
短定期情報配信部114は、車両位置情報410に基づいて車両Dが短定期通信範囲542内に進入したことを検出すると、短定期周期ごとに、車両Dの位置情報を収集して車両位置情報410を更新するとともに、追跡車両情報と、追跡車両Zの位置情報と、表示メッセージを含む表示情報を車両Dに配信する。表示メッセージは、たとえば、「リアルタイム通信範囲に近付きました」とする。位置情報は、追跡車両Zのもののみとする。車両Dでは、受信した表示情報に基づき、自車両の位置とともに、追跡車両Z(533a)と、メッセージ533bとを表示する。このとき、追跡対象がすぐわかるように、追跡車両Z(533a)を強調表示させる。また、緊急対応車両である車両Aの追跡車両Z(522b)とは異なる表示色(たとえば、赤)を設定し、これらを区別させる。
【0093】
短定期周期は、リアルタイム周期を1秒とした場合、それより長い値、たとえば10秒を設定する。したがって、管理センタの表示装置には、短定期通信範囲542の車両Dの位置表示が緊急対応車両よりは低い精度であるが、各任意は十分な精度で表示される。また、車両Dの乗員は、追跡目標の車両が近づいてきたこと、及び追跡車両Zの位置を認識し、追跡準備を行うことができるようになる。
【0094】
なお、緊急対応モードへ遷移してから一定時間経過した場合、定期情報配信部115は、「緊配発令」のメッセージ表示を、「緊配発令中」に更新するように指示を各車両に配信する。これにより、車両B表示画面513、車両A表示画面523、及び車両D表示画面533ともに、メッセージ表示が「緊配発令」から「緊配発令中」に変わる。
【0095】
次に、図14の状態から、車両Dがリアルタイム通信範囲541内に進入した場合について説明する。
図15は、本実施の形態の車両システムにおける緊急対応モード時にリアルタイム通信範囲に車両が進入した場合の表示画面の例を示した図である。
【0096】
管理センタ表示画面504に示したように、車両Dが短定期通信範囲542からリアルタイム通信範囲541内に進入してきたとする。
通信タイミング設定部112が、車両位置情報410に基づいて各車両の位置を調べ、車両Dがリアルタイム通信範囲541内に進入したことを検知する。そこで、車両位置情報410の車両Dに対応する通信タイミング417を「リアルタイム」に設定する。車両Bと車両Aについては、「リアルタイム」のままである。
【0097】
リアルタイム情報配信部113では、リアルタイム周期ごとに車両位置情報410を確認し、車両A、車両B、及び車両Dをリアルタイム情報450に登録する。そして、リアルタイム情報450のIPアドレス452に設定される車両A、車両B及び車両DのIPアドレスを送信先として、位置情報を要求し、車両位置情報410を更新する。そして、更新した位置情報に基づき、リアルタイム通信範囲541内の他の車両の位置情報と、追跡車両情報とを車両A、車両B、及び車両Dに送信する。
【0098】
車両Bでは、新たに配信された車両Dの位置情報を取得し、車両B表示画面514に車両D(514a)を表示する。同様に、車両Aでも車両A表示画面524に車両D(524a)を表示する。車両Dでは、リアルタイム通信範囲541内に進入したことにより、新たに配信されるようになった車両Aの位置情報に基づき、車両D表示画面534に車両A(534a)を表示する。
【0099】
次に、図15の状態から、車両Aがリアルタイム通信範囲541から離れた場合について説明する。
図16は、本実施の形態の車両システムにおける緊急対応モード時にリアルタイム通信範囲から車両が離れた場合の表示画面の例を示した図である。
【0100】
管理センタ表示画面505に示したように、リアルタイム通信範囲541内にいた車両Aが、リアルタイム通信範囲541の外側に進んだとする。
通信タイミング設定部112は、車両位置情報410に基づいて各車両の位置を調べ、車両Aがリアルタイム通信範囲541の外に進んだことを検知する。そこで、車両位置情報410の車両Aに対応する通信タイミング417を「短定期」に設定する。車両Bと車両Dについては、「リアルタイム」のままである。
【0101】
リアルタイム情報配信部113では、リアルタイム周期ごとに車両位置情報410を確認し、車両B及び車両Dをリアルタイム情報450に登録する。そして、車両B及び車両Dから位置情報を収集し、車両位置情報410を更新する。そして、更新した位置情報に基づき、リアルタイム通信範囲541内の他の車両の位置情報と、追跡車両情報とを車両B及び車両Dに送信する。
【0102】
短定期情報配信部114では、短定期周期ごとに通信タイミングが「短定期」に設定された車両Aから位置情報を収集し、管理センタ表示画面505に反映させる。また、車両Aに対し、追跡車両Zに相当する車両Bの位置情報と、追跡車両Z=車両Bの追跡車両情報を配信する。さらに、メッセージ「リアルタイム通信範囲から離れました」を送信する。
【0103】
車両Aでは、送信された位置情報、追跡車両情報、及びメッセージ情報に基づき、車両A表示画面525に、自車両(車両A)と、追跡車両Z(525a)、及びメッセージ525bを表示する。なお、追跡車両Z(525a)の表示は、自車両がリアルタイム通信範囲541内にいた際の表示と異なる表示にする。
【0104】
車両Bでは、配信された車両Dの位置情報に基づき、車両B表示画面515に車両D(514a)を表示する。リアルタイム通信範囲541から外れた車両Aの表示は消える。同様に、車両Dでも車両D表示画面535に追跡車両Zのみが表示される。
次に、図16の状態から、車両Aが、さらにリアルタイム通信範囲541から遠ざかり、短定期通信範囲542からも離れた場合について説明する。
【0105】
図17は、本実施の形態の車両システムにおける緊急対応モード時に短定期通信範囲から車両が離れた場合の表示画面の例を示した図である。
管理センタ表示画面506に示したように、短定期通信範囲542内にいた車両Aが、その外側に進んだとする。
【0106】
通信タイミング設定部112は、車両位置情報410に基づいて各車両の位置を調べ、車両Aが短定期通信範囲542の外に進んだことを検知する。そこで、車両位置情報410の車両Aに対応する通信タイミング417を「定期」に設定する。車両Bと車両Dについては、「リアルタイム」のままである。
【0107】
リアルタイム情報配信部113では、リアルタイム周期(1秒)ごとに車両位置情報410を確認し、車両B及び車両Dをリアルタイム情報450に登録する。そして、車両B及び車両Dから位置情報を収集し、車両位置情報410を更新する。そして、更新した位置情報に基づき、リアルタイム通信範囲541内の他の車両の位置情報と、追跡車両情報とを車両B及び車両Dに送信する。
【0108】
定期情報配信部115では、短定期通信範囲542外の車両Aからその位置情報を収集し、管理センタのディスプレイの表示を更新させる。一方、車両Aに対しては、他の車両の位置情報は送信せず、メッセージ「リアルタイム通信範囲から外れました」のみを送信する。したがって、車両Aの車両A表示画面526には、自車両(車両A)の位置と、メッセージ526aのみが表示される。
【0109】
次に、緊急配備が解除された場合について説明する。
図18は、本実施の形態の車両システムにおける緊急配備が解除された場合の表示画面の例を示した図である。
【0110】
緊急配備が解除されると、車両管理装置100は、緊急事案対応の各車両に対し、メッセージ「緊配解除」を配信し、表示画面に表示させる。また、車両位置情報410に設定される通信タイミング、リアルタイムフラグ、短定期フラグなどの情報をすべて削除し、車両位置情報410を、車両位置情報(通常時)410aの状態に戻す。そして、緊急対応モードから通常モードへ遷移する。通常モードでは、各車両の位置情報は定期に収集されるが、他の車両の位置情報は配信されない。したがって、管理センタ表示画面507には、定期に収集される位置情報に基づき、全車両の位置が表示される。
【0111】
車両Bでは、位置情報を受信しないので、車両B表示画面517には、自車両(車両B)の位置を表示し、他車両の位置表示は削除する。また、配信されたメッセージ「緊配解除」も表示する。車両Aも同様に、車両A表示画面527に、自車両(車両A)の位置とメッセージのみが表示される。車両D表示画面537にも、自車両(車両D)の位置とメッセージのみが表示される。
【0112】
以上のように、本実施の形態では、車両管理装置100は、追跡車両Zを特定し、追跡車両Zを中心として、所定のリアルタイム通信範囲内に位置する車両との間でのみ、リアルタイムで位置情報の収集と配信を行う。このように、通信対象を追跡車両Zに最も近い範囲の車両に限定しているため、車両管理装置100側及び車両搭載端末200側双方の負荷を増大させることなく、リアルタイム通信を行うことができる。
【0113】
また、リアルタイム通信範囲の外側に短定期通信範囲を設け、短定期通信範囲の車両からは、リアルタイム周期よりは長く、定期よりは短い周期で位置情報を収集し、管理センタの表示装置に表示している。
【0114】
このように、追跡の主力であり、最も位置を確認したいリアルタイム通信範囲内の緊急対応車両について、管理センタの表示装置でもリアルタイムで位置確認が可能となる。また、リアルタイム通信範囲に進入する可能性の高い緊急対応候補車両の位置が比較的高い精度で表示画面に表示される。したがって、本部(管理者)では、精度の高い位置情報に基づき的確な指示を行うことが可能となり、適切かつ円滑な捜査活動を支援することができる。
【0115】
さらに、各車両でも、追跡を行っている他の車両の位置がリアルタイムで表示画面に表示されるようになるので、他車両の位置を確認しながら追跡を行うことが可能となる。すなわち、本部からの指示ばかりでなく、現場にいる車両の搭乗者自身が、表示を参照して、迅速かつ的確な判断を行うことが可能となる。
【0116】
なお、上記の説明では、通信タイミング設定部112によって、緊急対応車両及び緊急対応候補車両を選択するとしたが、リアルタイム情報配信部113、短定期情報配信部114において、配信処理の際に選択を行うとしてもよい。
【0117】
以上のように、本実施の形態の車両表示方法及び車両位置管理システムにより、被疑車両などの捜索・追跡に係る活動効率を高め、被疑車両を早期に発見/確保する確率を向上させることができる。さらに、通信量が限定されており、通信コストも低く抑えることができる。
【0118】
次に、本発明の実施の形態の車両(移動体)表示方法の処理手順を説明する。
図19は、本実施の形態の車両表示方法の処理手順を示したフローチャートである。
まず、通常モードで動作し、緊急配備発令で緊急対応モードへ遷移する。
【0119】
[ステップS01] 予め設定された通常モード時の位置情報収集処理を行う。
[ステップS02] 緊急配備の指揮または指令が発令されたかどうかを判定する。発令された場合は、処理をステップS04へ進める。
【0120】
[ステップS03] 緊急配備が発令されていない場合は、各車両にメッセージ表示を終了させる指示を配信し、各車両に「緊配発令中」の表示を削除させる。なお、メッセージ表示終了の指示の配信は、緊急対応モードから通常モードへの復帰時など、必要なときに実行されればよい。その後、ステップS01に戻り、通常モード時の処理を継続する。
【0121】
[ステップS04] 緊急配備の指揮または指令が発令された場合、緊急事案に対応する車両に対し、「緊配発令」メッセージの表示指示を配信する。配信する車両は、緊急配備情報440を参照し、緊急配備された事案の内容に応じて選択する。そして、車両位置情報410の選択された車両に対応する車両状況欄に「緊急配備中」を設定し、緊急配備の指揮・指令を「有」にする。また、動作モードを通常モードから緊急対応モードへ遷移させ、緊急配備が解除されるまで、以下の手順を繰り返す。
【0122】
[ステップS05] 車両位置情報106b、緊急配備106e、捜査範囲106cのデータを参照し、各車両の通信タイミングを設定する。処理の詳細は、図21を用いて説明する。
【0123】
[ステップS06] リアルタイム通信のタイミングであるかどうかを判定する。リアルタイム通信のタイミングでなければ処理をステップS08へ進める。
[ステップS07] 通信タイミングに「リアルタイム」が設定された車両に対し、リアルタイム配信処理を行う。処理の詳細は、図22を用いて説明する。
【0124】
[ステップS08] 短定期通信のタイミングであるかどうかを判定する。短定期通信のタイミングでなければ処理をステップS10へ進める。
[ステップS09] 通信タイミングに「短定期」が設定された車両に対し、短定期配信処理を行う。処理の詳細は、図23を用いて説明する。
【0125】
[ステップS10] 定期通信のタイミングであるかどうかを判定する。定期通信のタイミングでなければ処理をステップS12へ進める。
[ステップS11] 通信タイミングに「定期」が設定された車両に対し、定期配信処理を行う。処理の詳細は、図24を用いて説明する。
【0126】
[ステップS12] 緊急配備が解除されたかどうかを判定する。解除された場合は、処理をステップS16へ進める。
[ステップS13] 緊急配備が解除されていない場合は、車両位置情報410の追跡通知を確認し、追跡車両に変更がないかどうかを判定する。同じであれば処理をステップS15へ進める。
【0127】
[ステップS14] 追跡車両が異なっていれば、車両位置情報410の追跡車両フラグのZ設定を、新たに追跡車両となった車両に移す。
[ステップS15] メッセージ「緊配発令中」の表示指示を緊急事案に対応する車両に配信し、各車両に「緊配発令中」を表示させる。その後、処理をステップS05へ進め、緊急対応処理を継続する。
【0128】
[ステップS16] 緊急配備が解除された場合、メッセージ「緊配解除」の表示指示を緊急事案に対応する車両に配信し、各車両に「緊配解除」を表示させる。
[ステップS17] 車両位置情報410の緊配事案に対応する車両のデータを通常モード時の値に更新する。すなわち、通信タイミングを「定期」、リアルタイムフラグを解除、及び短定期フラグを解除する。また、追跡車両フラグの設定をリセットする。これにより、車両位置情報(通常時)410aの状態に戻る。
【0129】
[ステップS18] システム終了の指示があるかどうかを判定する。システム終了指示がない場合は、ステップS01に戻って、通常モードでの処理を開始する。システム終了指示がある場合は、処理を終了する。
【0130】
このような処理手順が実行されることにより、通常モード時には、通常時位置情報収集(ステップS01)が実行され、管理センタのディスプレイのみに各車両の位置が表示される。そして、緊急配備が指令されると、通信タイミング設定(ステップS05)、リアルタイム配信処理(ステップS07)、短定期配信処理(ステップS09)、及び定期配信処理(ステップS11)が実行され、リアルタイム通信範囲の車両の位置情報はリアルタイム、短定期通信範囲の車両の位置情報は短定期で収集され、管理センタのディスプレイに反映される。また、リアルタイム通信範囲の各車両にはリアルタイム通信範囲の車両の位置情報、短定期通信範囲の車両には追跡車両の位置情報が配信され、各車両で他車両の位置を確認することができるようになる。
【0131】
以下、通常モード時の位置情報収集処理(S01)と、緊急対応モード時の通信タイミング設定処理(S05)、リアルタイム配信処理(S07)、短定期配信処理(S09)、及び定期配信処理(S11)の詳細処理について説明する。
【0132】
まず、通常モード時の処理について説明する。
図20は、本実施の形態の通常モード時の位置情報収集処理手順を示したフローチャートである。
【0133】
[ステップS101] 通常モード時に位置情報の収集を行う定期受信タイミングかどうかをチェックする。定期受信タイミングでなければ、処理を終了する。
[ステップS102] 定期受信タイミングであれば、管理対象の各車両の位置情報を取得する。車両IPアドレス情報430に設定される各車両のIPアドレスに対し、順に位置情報要求を送信し、応答として位置情報を受信する。
【0134】
[ステップS103] 受信した位置情報に基づき、車両位置情報410の車両位置情報416を更新する。
[ステップS104] 更新された車両位置情報410のデータに基づき、管理センタの表示を更新し、地図上に各車両の最新の位置を表示する。
【0135】
以上の処理手順が実行されることにより、通常モード時に、管理センタの地図表示に各車両の位置が表示される。また、各車両の位置は、通常モード時の定期タイミングで更新される。一方、各車両には、位置情報は配信しない。
【0136】
次に、緊急対応モード時の処理について説明する。
図21は、本実施の形態の緊急対応モード時の通信タイミング設定処理手順を示したフローチャートである。
【0137】
緊急配備が指令され、処理が開始される。これまでの処理で、車両位置情報(緊急配備時)410bに示したように、緊急対応車両には、緊急配備の指揮・指令に「有」が設定されている。また、被疑者(被疑車両)を発見し、追跡を開始したことが通知されていれば、通知を行った車両に対応する被疑者(被疑車両)追跡通知に「追跡開始」が設定され、追跡車両フラグが設定されている。追跡車両は、管理センタが設定するようにしてもよい。
【0138】
[ステップS501] 車両位置情報410の追跡車両フラグを検索し、追跡車両Zを検出する。そして、追跡車両Zに対応する車両に対し、位置情報を要求し、最新の位置情報を得る。取得した位置情報は、車両位置情報410に格納する。
【0139】
[ステップS502] 緊急配備情報440に格納される被疑者の逃走方法に基づき、捜査範囲情報420から、X(リアルタイム通信範囲)の算出方法を選択し、Xを算出する。
【0140】
[ステップS503] ステップS502と同様に、緊急配備情報440に格納される被疑者の逃走方法に基づき、捜査範囲情報420から、Y(短定期通信範囲)の算出方法を選択し、Yを算出する。
【0141】
[ステップS504] 緊急対応車両の位置情報を車両位置情報410から読み出し、以下の各車両がリアルタイム通信範囲に位置しているかどうかの判定手順を開始する。
[ステップS505] 判定対象の対象車両αを車両位置情報410の先頭レコードの車両に設定する。
【0142】
[ステップS506] 対象車両αの位置情報に基づき、対象車両αが追跡車両Zを中心とした半径Xkm位内に位置するかどうかを判定する。X以内にない場合は、処理をステップS510へ進める。
【0143】
[ステップS507] 対象車両αが、追跡車両Zから半径Xkm(リアルタイム通信範囲)内に位置する場合は、対象車両αから位置情報を取得し、その最新位置情報を車両位置情報410に格納する。
【0144】
[ステップS508] 対象車両αの最新位置情報に基づき、対象車両αが追跡車両Zから半径Xkm(リアルタイム通信範囲)内に位置するかどうかを確認する。ステップS506で使用した位置情報は最新ではないので、現在の位置を確認し、再度判定を行う。X以内にない場合は、処理をステップS510へ進める。
【0145】
[ステップS509] 対象車両αが、追跡車両Zから半径Xkm(リアルタイム通信範囲)内に位置することが確認された場合、車両位置情報410の対象車両αに対応する通信タイミング欄に「リアルタイム」を設定し、処理をステップS512へ進める。
【0146】
[ステップS510] 対象車両αが追跡車両Zから半径Xkm(リアルタイム通信範囲)内に位置しない場合、車両位置情報410の対象車両αに対応する通信タイミング欄が「リアルタイム」になっているかどうかを確認する。なっていない場合は、処理をステップS512へ進める。
【0147】
[ステップS511] 対象車両αが、リアルタイム通信範囲になく、対応する通信タイミング欄に「リアルタイム」が設定されている場合は、通信タイミング欄を「定期」に更新する。
【0148】
[ステップS512] αが最終レコードであるかどうかを確認する。最終レコードである場合は、処理を終了する。
[ステップS513] αが最終レコードでない場合は、αを次のレコードへ進め、次の対象車両に対し、ステップS506からの処理を行う。
【0149】
以上の処理手順が実行されることにより、緊急事案対応の各車両がリアルタイム通信範囲に位置するかどうかが判定され、リアルタイム通信範囲に位置する場合は、通信タイミングに「リアルタイム」、位置しない場合で前回「リアルタイム」が設定されていた場合は、「定期」が設定される。
【0150】
図22は、本実施の形態の緊急対応モード時のリアルタイム配信処理手順を示したフローチャートである。
図21の通信タイミング設定(ステップS05)の後、リアルタイム周期で起動される。通信タイミング設定によって、リアルタイム通信範囲の車両は、車両位置情報410の通信タイミング欄が「リアルタイム」に設定されている。
【0151】
[ステップS701] 車両位置情報410の通信タイミング欄を検索し、通信タイミング欄が「リアルタイム」になっている車両を抽出し、車両IPアドレス情報430を参照して、リアルタイム情報450を設定する。
【0152】
[ステップS702] リアルタイム配信を行う対象となる対象車両αをリアルタイム情報450の先頭レコードに設定する。
[ステップS703] 管理センタのディスプレイの表示を更新する。なお、対象車両αを含むリアルタイム通信範囲の車両の最新位置情報は、通信タイミング設定(ステップS05)において取得しているので、ここでは、再度位置情報を収集することはしない。管理センタのディスプレイのリアルタイム通信範囲の車両の位置表示は、通信タイミング設定(ステップS05)において取得した位置情報に基づいて更新される。
【0153】
[ステップS704] リアルタイム情報450を参照し、リアルタイム情報450に設定される他の車両の位置情報を車両位置情報410から抽出する。
[ステップS705] 車両位置情報410を検索し、追跡車両フラグが設定されている車両を検出する。検出されない場合は、処理をステップS707へ進める。
【0154】
[ステップS706] 追跡車両フラグが設定されている車両を強調表示させるための、表示変更指示を設定する。たとえば、追跡車両名を変更したり、表示色を他の車両とは異なる色で表示を行ったりするように指示を行う。なお、車両管理装置側では、追跡車両の指定だけを行い、車両名や表示色の変更は、車両搭載端末側で行うようにしてもよい。
【0155】
[ステップS707] ステップS704で抽出された他の車両の位置情報と、ステップS706で追跡車両の表示指示が設定された場合は表示指示とを、対象車両αに配信する。
【0156】
[ステップS708] 車両位置情報410の内容を更新する。対象車両αのリアルタイムフラグをONにし、短定期フラグをOFFにする。
[ステップS709] αが最終レコードであるかどうかを確認する。最終レコードである場合は、処理を終了する。
【0157】
[ステップS710] αが最終レコードでない場合は、αを次のレコードへ進め、次の対象車両に対し、ステップS704からの処理を行う。
以上の処理手順が実行されることにより、リアルタイム通信範囲の車両には、リアルタイムで収集された位置情報に基づき、リアルタイム通信範囲の他の車両の位置情報が配信される。これにより、各車両では、リアルタイム通信範囲の他の車両を自車両のディスプレイにリアルタイムで表示することができる。このとき、追跡目標となる追跡車両の位置把握が容易になるように、追跡車両は強調表示される。また、管理センタ側のディスプレイも、リアルタイム通信範囲の車両については、リアルタイムで位置表示が更新される。
【0158】
図23は、本実施の形態の緊急対応モード時の短定期配信処理手順を示したフローチャートである。
図21の通信タイミング設定(ステップS05)の後、短定期周期で起動される。通信タイミング設定によって、リアルタイム通信範囲の車両は、車両位置情報410の通信タイミング欄が「リアルタイム」に設定されている。
【0159】
[ステップS901] 短定期配信を行う対象となる対象車両αを車両位置情報410の先頭レコードに設定する。
[ステップS902] レコードから、対象車両αの通信タイミングを読み出し、通信タイミングが「リアルタイム」に設定されているかどうかを確認する。リアルタイムであれば、処理をステップS913へ進め、以降の短定期配信処理を行わない。
【0160】
[ステップS903] 対象車両αの通信タイミングに「リアルタイム」が設定されていない場合、対象車両αの位置情報を読み出し、通信タイミング設定(ステップS05)で算出されたX(リアルタイム通信範囲)とY(短定期通信範囲)とを用いて、対象車両αが追跡車両Zを中心とする半径(X+Y)km以内に存在するかどうかを判定する。(X+Y)範囲内でなければ、処理をステップS907へ進める。
【0161】
[ステップS904] 対象車両αが、追跡車両Zを中心とする半径(X+Y)範囲内であれば、対象車両αは短定期通信範囲にあると判定する。(リアルタイム通信範囲の車両は、ステップS902によって除外されている。)そして、対象車両αから位置情報を取得し、その最新位置情報を車両位置情報410に格納する。
【0162】
[ステップS905] 対象車両αの最新位置情報に基づき、対象車両αが追跡車両Zから半径(X+Y)km(短定期通信範囲)内に位置するかどうかを確認する。ステップS903で使用した位置情報は最新ではないので、現在の位置を確認し、再度判定を行う。(X+Y)以内にない場合は、処理をステップS907へ進める。
【0163】
[ステップS906] 対象車両αが、追跡車両Zから半径(X+Y)km(短定期通信範囲)内に位置することが確認された場合、車両位置情報410の対象車両αに対応する通信タイミング欄に「短定期」を設定し、処理をステップS908へ進める。
【0164】
[ステップS907] 対象車両αが追跡車両Zから半径(X+Y)km(短定期通信範囲)内に位置しない場合、車両位置情報410の対象車両αに対応する通信タイミングに「定期」を設定する。そして、処理をステップS913へ進め、以降の短定期配信処理を行わない。
【0165】
[ステップS908] 対象車両αについて、前回処理時に、リアルタイム通信範囲を含む短定期通信範囲内であったかどうかを判定する。具体的には、車両位置情報410を検索し、対象車両αのリアルタイムフラグまたは短定期フラグがONになっているかどうかを判定する。短定期通信範囲内でなければ、処理をステップS910へ進める。
【0166】
[ステップS909] 対象車両αが、前回処理時においても短定期通信範囲内に位置していた場合には、メッセージ「リアルタイム通信範囲から離れました」を対象車両αに送信し、送信メッセージを表示させる。続いて、車両位置情報410の対象車両αのリアルタイムフラグをOFFし、短定期フラグをONした後、処理をステップS911へ進める。
【0167】
[ステップS910] 対象車両αが、前回処理時において短定期通信範囲内に位置していなかった場合、すなわち、短定期範囲内に対象車両αが入ってきた場合はメッセージ「リアルタイム通信範囲に近付きました」を対象車両αに送信し、送信メッセージを表示させる。
【0168】
[ステップS911] 管理センタのディスプレイの表示を更新する。これにより、ステップS904で取得した位置情報に基づいて、管理センタのディスプレイには対象車両αの最新の位置が表示される。
【0169】
[ステップS912] 対象車両αに対し、追跡車両Zの位置情報を配信する。このとき、追跡車両フラグが設定されている車両を強調表示させるため、表示色を通常の状態とは異なる色とするように指示も行う。
【0170】
[ステップS913] αが最終レコードであるかどうかを確認する。最終レコードである場合は、処理を終了する。
[ステップS914] αが最終レコードでない場合は、αを次のレコードへ進め、次の対象車両に対し、ステップS902からの処理を行う。
【0171】
以上の処理手順が実行されることにより、短定期通信範囲の車両には、追跡車両の位置情報が配信される。これにより、各車両では、追跡車両を自車両のディスプレイにリアルタイムで表示することができる。同時に、リアルタイム通信範囲に近いことがメッセージによって通知される。また、追跡目標となる追跡車両の位置把握が容易になるように、追跡車両は強調表示される。さらに、管理センタ側のディスプレイも、短定期通信範囲の車両については、短定期で位置表示が更新される。
【0172】
図24は、本実施の形態の緊急対応モード時の定期配信処理手順を示したフローチャートである。
図21の通信タイミング設定(ステップS05)の後、定期周期で起動される。これまでの処理によって、対象の車両の車両位置情報410の通信タイミング欄には、「定期」が設定されている。
【0173】
[ステップS1101] 定期配信を行う対象となる対象車両αを車両位置情報410の先頭レコードに設定する。
[ステップS1102] レコードから、対象車両αの通信タイミングを読み出し、通信タイミングに「定期」が設定されているかどうかを確認する。「定期」でなければ、処理をステップS1108へ進め、以降の定期配信処理を行わない。
【0174】
[ステップS1103] 対象車両αの通信タイミングに「定期」が設定されていた場合、車両位置情報410の対象車両αのリアルタイムフラグと短定期フラグを読み出す。まず、リアルタイムフラグがONであるかどうかを確認する。ONでなければ、処理をステップS1105へ進める。
【0175】
[ステップS1104] 対象車両αのリアルタイムフラグがONであった場合には、対象車両αは、前回処理ではリアルタイム通信範囲内に位置していたので、メッセージ「リアルタイム通信範囲から外れました」を対象車両αに送信し、送信メッセージを表示させる。続いて、車両位置情報410の対象車両αのリアルタイムフラグをOFFした後、処理をステップS1108へ進める。
【0176】
[ステップS1105] 対象車両αのリアルタイムフラグがOFFであった場合、ステップS1102で読み出した対象車両αの短定期フラグがONであるかどうかを確認する。ONでない場合は、処理をステップS1107へ進める。
【0177】
[ステップS1106] 対象車両αの短定期フラグがONであった場合、対象車両αは、前回処理では短定期通信範囲内に位置していたので、メッセージ「リアルタイム通信範囲から外れました」を対象車両αに送信し、送信メッセージを表示させる。続いて、車両位置情報410の対象車両αの短定期フラグをOFFした後、処理をステップS1108へ進める。
【0178】
[ステップS1107] 対象車両の短定期フラグがOFFであった場合、対象車両αは、前回処理でも通信タイミングが「定期」であったので、対象車両αから位置情報を取得し、その最新位置情報を車両位置情報410に格納する。
【0179】
[ステップS1108] 管理センタのディスプレイの表示を更新する。これにより、ステップS1107で取得した位置情報に基づいて、管理センタのディスプレイには対象車両αの最新の位置が表示される。
【0180】
[ステップS1109] 対象車両αの情報が車両位置情報の最終レコードであるかどうかを判定する。最終レコードであれば処理を終了する。最終レコードでなければ、次ステップへ処理を進める。
【0181】
[ステップS1110] 対象車両を指示するαを車両位置情報の次レコードの車両を指示するように変更する。そして、ステップS1102に戻って、次の対象車両の処理を行う。
【0182】
以上の処理手順が実行されることにより、リアルタイム通信範囲を含む短定期通信範囲外の車両から、位置情報の収集が行われ、管理センタ側のディスプレイが更新される。車両のディスプレイには、自車両のみが表示される。また、車両が前回処理で短定期通信範囲内にいた場合には、この車両のディスプレイにリアルタイム通信範囲から外れたことがメッセージによって通知される。
【0183】
次に、車両搭載端末200における処理手順について説明する。ここでは、受信データ及び位置情報に基づき、表示装置に地図表示を行う処理手順について説明する。なお、通信処理では、車両管理装置100から収集要求に応じて位置情報を送信し、表示用のデータを受信した場合には、データを受信バッファに保存しておく。
【0184】
図25は、本実施の形態の車両搭載端末における処理手順を示したフローチャートである。
[ステップS21] 自車両のGPS206によって、位置情報が更新されたかどうかを判断する。この車両搭載端末200では、自車両の位置情報を更新するタイミングで、表示を更新するとする。位置情報が更新されていない場合は、処理をステップS24へ進める。
【0185】
[ステップS22] 自車両の位置情報が更新されていれば、受信データが受信バッファに保存されているかどうかを判定する。保存されていなければ、処理をステップS24へ進める。
【0186】
[ステップS23] 受信バッファに保存されている受信データに基づいて、受信データ情報(460a、460b)を更新する。
[ステップS24] 自車両の位置情報に基づいて、地図上に自車両の位置を表示する。また、受信データ情報(460a、460b)に格納されるメッセージと、他車両(情報)とに基づき、他車両の位置を地図上に表示するとともに、メッセージを表示する。通常モード時には、受信データ情報(460a、460b)には、何も設定されていないので、地図上に自車両の位置のみが表示される。また、緊急対応モード時には、自車両がリアルタイム通信範囲または短定期通信範囲に入っていれば、受信データ情報(460a、460b)に格納する情報データが送られてくるので、この情報に基づく表示を合わせて行う。
【0187】
[ステップS25] 緊急配備の解除通知を受信したかどうかを判定する。受信していない場合は、処理をステップS28へ進める。
[ステップS26] 緊急配備の解除通知を受信した場合、表示画面に「緊配解除」のメッセージを表示する。
【0188】
[ステップS27] 緊急対応モードは終了するので、受信データ情報(460a、460b)のデータを削除する。
[ステップS28] 車両搭載端末のシステムを終了させるかどうかを判断する。終了させない場合は、ステップS21に戻って、処理を繰り返す。終了させる場合は、処理を終了させる。
【0189】
以上の処理手順が行われることにより、車両搭載端末200では、自車両のGPS206が検出した位置情報に基づき、自車両の位置を地図上に表示する際に、車両管理装置100から表示用のメッセージと他車両の位置情報とを受信していれば、自車両の位置表示に重ねて他の車両の位置とメッセージとを表示する。このように、車両搭載端末200では、複雑な処理を実行することなく、他車両の位置を表示することができる。
【0190】
なお、上記の処理機能は、コンピュータによって実現することができる。その場合、移動体管理装置及び移動体端末装置が有すべき機能の処理内容を記述したプログラムが提供される。そのプログラムをコンピュータで実行することにより、上記処理機能がコンピュータ上で実現される。処理内容を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録しておくことができる。コンピュータで読み取り可能な記録媒体としては、磁気記録装置、光ディスク、光磁気記録媒体、半導体メモリなどがある。磁気記録装置には、ハードディスク装置(HDD)、フレキシブルディスク(FD)、磁気テープなどがある。光ディスクには、DVD(Digital Versatile Disc)、DVD−RAM(Random Access Memory)、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)、CD−R(Recordable)/RW(ReWritable)などがある。光磁気記録媒体には、MO(Magneto-Optical disk)などがある。
【0191】
プログラムを流通させる場合には、たとえば、そのプログラムが記録されたDVD、CD−ROMなどの可搬型記録媒体が販売される。また、プログラムをサーバコンピュータの記憶装置に格納しておき、ネットワークを介して、サーバコンピュータから他のコンピュータにそのプログラムを転送することもできる。
【0192】
プログラムを実行するコンピュータは、たとえば、可搬型記録媒体に記録されたプログラムもしくはサーバコンピュータから転送されたプログラムを、自己の記憶装置に格納する。そして、コンピュータは、自己の記憶装置からプログラムを読み取り、プログラムに従った処理を実行する。なお、コンピュータは、可搬型記録媒体から直接プログラムを読み取り、そのプログラムに従った処理を実行することもできる。また、コンピュータは、サーバコンピュータからプログラムが転送されるごとに、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行することもできる。
【0193】
(付記1) 位置検出手段を搭載する移動体から位置情報を取得し、前記位置情報に基づいて前記移動体の位置を表示する移動体表示方法において、
移動体管理装置の定期位置情報収集手段が、予め設定された定期収集周期ごとに前記移動体から前記位置情報を収集し、収集した前記位置情報を位置情報記憶手段に格納するステップと、
前記移動体管理装置の移動体表示制御手段が、所定の条件が成立する場合に、前記位置情報記憶手段に格納される前記位置情報に基づいて、所定の地点から一定の範囲内に位置する移動体を特定し、前記特定された移動体を表示の対象移動体に設定するとともに、前記対象移動体に表示させる表示情報を配信する配信周期を設定するステップと、
前記移動体管理装置の配信周期位置情報収集手段が、前記移動体表示制御手段によって設定された前記配信周期ごとに前記対象移動体から前記位置情報を収集し、収集した前記位置情報を前記位置情報記憶手段に格納するステップと、
前記移動体管理装置の表示情報配信手段が、前記配信周期位置情報収集手段によって前記対象移動体から前記位置情報が収集されると、収集された前記位置情報に基づいて前記表示情報を設定し、前記対象移動体に配信するステップと、
前記移動体の地図表示手段が、前記表示情報配信手段が配信した前記表示情報を取得すると、前記表示情報に基づき、前記対象移動体の位置を地図上に表示するステップと、
を有することを特徴とする移動体表示方法。
【0194】
(付記2) 前記移動体表示制御手段による配信周期を設定するステップは、
前記配信周期を、前記定期位置情報収集手段が前記位置情報を収集する前記定期収集周期よりも短く設定する、
ことを特徴とする付記1記載の移動体表示方法。
【0195】
(付記3) 前記表示情報配信手段が、前記表示情報を前記対象移動体に配信するステップは、さらに、前記所定の条件が成立していることを伝えるメッセージを含む表示メッセージを前記表示情報に設定してすべての前記移動体に対して配信し、
前記移動体の前記地図表示手段が前記対象移動体の位置を地図上に表示するステップは、前記表示情報に含まれる前記表示メッセージに基づくメッセージを前記地図上に表示する、
ことを特徴とする付記1記載の移動体表示方法。
【0196】
(付記4) 前記移動体表示制御手段が、所定の地点から一定の範囲内に位置する移動体を特定するステップは、
前記特定された移動体のうち、前記特定された移動体が追跡する追跡目標の移動体を検出したことを通報してきた前記移動体を特定してリーダ移動体とし、前記移動体の前記地図表示手段による表示において、前記リーダ移動体を強調表示させ、他の前記移動体と識別可能に表示させる強調表示指示を前記表示情報に付加する、
ことを特徴とする付記1記載の移動体表示方法。
【0197】
(付記5) 前記移動体表示制御手段が、所定の地点から一定の範囲内に位置する移動体を特定するステップは、さらに、
前記特定された移動体から任意の前記移動体を前記リーダ移動体に設定し、前記リーダ移動体に設定された前記移動体に対し、前記リーダ移動体として選択されたことを通知する、
ことを特徴とする付記4記載の移動体表示方法。
【0198】
(付記6) 前記移動体表示制御手段が、所定の地点から一定の範囲内に位置する移動体を特定するステップは、
前記リーダ移動体以外の前記移動体から前記追跡目標の移動体検出の通報を新たに取得した場合は、前記リーダ移動体を、新たに通報を行った前記移動体に変更する、
ことを特徴とする付記4記載の移動体表示方法。
【0199】
(付記7) 前記移動体表示制御手段が、所定の地点から一定の範囲内に位置する移動体を特定するステップは、
緊急対応が必要な緊急対応事案が発生し、前記緊急対応事案に関する被疑者の追跡が開始されたことを所定の条件とし、前記所定の条件が成立した場合は、前記緊急対応事案が発生した地点と、前記緊急対応事案が発生してからの経過時間とから、前記一定の範囲の大きさを決める距離を算出する、
ことを特徴とする付記1記載の移動体表示方法。
【0200】
(付記8) 前記移動体表示制御手段が、所定の地点から一定の範囲内に位置する移動体を特定するステップは、
前記緊急対応事案が発生した地点を中心とし、前記距離を半径として設定される範囲を前記一定の範囲とする、
ことを特徴とする付記7記載の移動体表示方法。
【0201】
(付記9) 前記移動体表示制御手段が、所定の地点から一定の範囲内に位置する移動体を特定するステップは、
前記特定された移動体のうち、前記特定された移動体が追跡する追跡目標の移動体を検出したことを通報してきた前記移動体を特定してリーダ移動体とし、前記リーダ移動体の位置を中心とし、前記距離を半径として設定される範囲を前記一定の範囲とする、
ことを特徴とする付記7記載の移動体表示方法。
【0202】
(付記10) 前記移動体表示制御手段が、所定の地点から一定の範囲内に位置する移動体を特定するステップは、前記一定の範囲を1次範囲とし、前記1次範囲の外側の所定の範囲を2次範囲とするとともに、前記1次範囲に位置することが特定された移動体を1次範囲移動体、及び前記2次範囲に位置することが特定された移動体を2次範囲移動体とし、前記1次範囲移動体のうち、追跡目標の移動体を検出したことを通報してきた前記移動体を特定してリーダ移動体とし、
前記表示情報配信手段が、前記表示情報を配信するステップは、前記2次範囲移動体に対し、前記1次範囲移動体のうち、前記リーダ移動体のみの位置情報を設定した前記表示情報を配信する、
ことを特徴とする付記1記載の移動体表示方法。
【0203】
(付記11) 前記移動体表示制御手段が、所定の地点から一定の範囲内に位置する表示対象の移動体を特定するステップは、
前記2次範囲移動体の前記位置情報を収集する2次配信周期を、前記定期収集周期よりは短く、かつ前記1次範囲移動体の前記位置情報を収集する1次配信周期よりは長い値に設定する、
ことを特徴とする付記10記載の移動体表示方法。
【0204】
(付記12) 前記表示情報配信手段は、前記移動体が、前記2次範囲の外側から前記2次範囲に進入してきた場合は、前記移動体に対して前記2次範囲に進入したことを示す表示メッセージの表示指示を前記表示情報に設定し、配信する、
ことを特徴とする付記10記載の移動体表示方法。
【0205】
(付記13) 前記表示情報配信手段は、前記移動体が、前記2次範囲から前記1次範囲に進入してきた場合は、前記移動体に対して前記1次範囲に進入したことを示す表示メッセージの表示指示を前記表示情報に設定し、配信する、
ことを特徴とする付記10記載の移動体表示方法。
【0206】
(付記14) 前記表示情報配信手段は、前記移動体が前記1次範囲から前記2次範囲に外れた場合は、前記移動体に対して前記1次範囲から外れたことを示す表示メッセージの表示指示を前記表示情報に設定して配信する、
ことを特徴とする付記10記載の移動体表示方法。
【0207】
(付記15) 無線通信を介して管理対象の移動体に搭載された移動体端末装置から前記移動体の位置情報を収集し、収集した前記位置情報に基づいて前記移動体の位置表示を行う移動体管理装置において、
収集された前記位置情報を前記移動体に関連付けて記憶する位置情報記憶手段と、
予め設定された定期収集周期ごとに前記移動体から前記位置情報を収集し、収集した前記位置情報を前記位置情報記憶手段に格納する定期位置情報収集手段と、
所定の条件が成立する場合に、前記位置情報記憶手段に格納される前記位置情報に基づいて、所定の地点から一定の範囲内に位置する移動体を特定し、前記特定された移動体を表示の対象移動体に設定するとともに、前記対象移動体に表示させる表示情報を配信する配信周期を設定する移動体表示制御手段と、
前記移動体表示制御手段によって設定された前記配信周期ごとに前記対象移動体から前記位置情報を収集し、収集した前記位置情報を前記位置情報記憶手段に格納する配信周期位置情報収集手段と、
前記配信周期位置情報収集手段によって前記対象移動体から前記位置情報が収集されると、収集された前記位置情報に基づいて前記表示情報を設定し、前記対象移動体に配信して、前記対象移動体に前記表示情報に基づいて前記対象移動体の位置を地図上に表示させる表示情報配信手段と、
を具備することを特徴とする移動体管理装置。
【図面の簡単な説明】
【0208】
【図1】実施の形態に適用される発明の概念図である。
【図2】本実施の形態の車両管理システムの機能の概略を示す図である。
【図3】本実施の形態の車両管理システムの構成図である。
【図4】本実施の形態の車両管理装置の機能構成を示すブロック図である。
【図5】本実施の形態の車両位置情報(通常時)の構成例を示した図である。
【図6】本実施の形態の車両位置情報(緊急配備時)の構成例を示した図である。
【図7】本実施の形態の捜査範囲情報の構成例を示した図である。
【図8】本実施の形態の車両IPアドレス情報の構成例を示した図である。
【図9】本実施の形態の緊急配備情報の構成を示した図である。
【図10】本実施の形態のリアルタイム情報の構成を示した図である。
【図11】本実施の形態の受信データ情報の構成を示した図である。
【図12】本実施の形態の車両管理システムにおける通常モード時の表示画面の例を示した図である。
【図13】本実施の形態の車両システムにおける緊急対応モード開始時の表示画面の例を示した図である。
【図14】本実施の形態の車両システムにおける緊急対応モード時に短定期通信範囲に車両が進入した場合の表示画面の例を示した図である。
【図15】本実施の形態の車両システムにおける緊急対応モード時にリアルタイム通信範囲に車両が進入した場合の表示画面の例を示した図である。
【図16】本実施の形態の車両システムにおける緊急対応モード時にリアルタイム通信範囲から車両が離れた場合の表示画面の例を示した図である。
【図17】本実施の形態の車両システムにおける緊急対応モード時に短定期通信範囲から車両が離れた場合の表示画面の例を示した図である。
【図18】本実施の形態の車両システムにおける緊急配備が解除された場合の表示画面の例を示した図である。
【図19】本実施の形態の車両表示方法の処理手順を示したフローチャートである。
【図20】本実施の形態の通常モード時の位置情報収集処理手順を示したフローチャートである。
【図21】本実施の形態の緊急対応モード時の通信タイミング設定処理手順を示したフローチャートである。
【図22】本実施の形態の緊急対応モード時のリアルタイム配信処理手順を示したフローチャートである。
【図23】本実施の形態の緊急対応モード時の短定期配信処理手順を示したフローチャートである。
【図24】本実施の形態の緊急対応モード時の定期配信処理手順を示したフローチャートである。
【図25】本実施の形態の車両搭載端末における処理手順を示したフローチャートである。
【符号の説明】
【0209】
1 移動体管理装置
2a 移動体A
2b 移動体B
11 位置情報記憶手段
12 定期位置情報収集手段
13 地図表示手段
14 移動体表示制御手段
15 配信周期位置情報収集手段
16 表示情報配信手段
21 位置検出手段
22 地図表示手段
23 位置情報送信手段
24 表示情報受信手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置検出手段を搭載する移動体から位置情報を取得し、前記位置情報に基づいて前記移動体の位置を表示する移動体表示方法において、
移動体管理装置の定期位置情報収集手段が、予め設定された定期収集周期ごとに前記移動体から前記位置情報を収集し、収集した前記位置情報を位置情報記憶手段に格納するステップと、
前記移動体管理装置の移動体表示制御手段が、所定の条件が成立する場合に、前記位置情報記憶手段に格納される前記位置情報に基づいて、所定の地点から一定の範囲内に位置する移動体を特定し、前記特定された移動体を表示の対象移動体に設定するとともに、前記対象移動体に表示させる表示情報を配信する配信周期を設定するステップと、
前記移動体管理装置の配信周期位置情報収集手段が、前記移動体表示制御手段によって設定された前記配信周期ごとに前記対象移動体から前記位置情報を収集し、収集した前記位置情報を前記位置情報記憶手段に格納するステップと、
前記移動体管理装置の表示情報配信手段が、前記配信周期位置情報収集手段によって前記対象移動体から前記位置情報が収集されると、収集された前記位置情報に基づいて前記表示情報を設定し、前記対象移動体に配信するステップと、
前記移動体の地図表示手段が、前記表示情報配信手段が配信した前記表示情報を取得すると、前記表示情報に基づき、前記対象移動体の位置を地図上に表示するステップと、
を有することを特徴とする移動体表示方法。
【請求項2】
前記移動体表示制御手段による配信周期を設定するステップは、
前記配信周期を、前記定期位置情報収集手段が前記位置情報を収集する前記定期収集周期よりも短く設定する、
ことを特徴とする請求項1記載の移動体表示方法。
【請求項3】
前記移動体表示制御手段が、所定の地点から一定の範囲内に位置する移動体を特定するステップは、
前記特定された移動体のうち、前記特定された移動体が追跡する追跡目標の移動体を検出したことを通報してきた前記移動体を特定してリーダ移動体とし、前記移動体の前記地図表示手段による表示において、前記リーダ移動体を強調表示させ、他の前記移動体と識別可能に表示させる強調表示指示を前記表示情報に付加する、
ことを特徴とする請求項1記載の移動体表示方法。
【請求項4】
前記移動体表示制御手段が、所定の地点から一定の範囲内に位置する移動体を特定するステップは、前記一定の範囲を1次範囲とし、前記1次範囲の外側の所定の範囲を2次範囲とするとともに、前記1次範囲に位置することが特定された移動体を1次範囲移動体、及び前記2次範囲に位置することが特定された移動体を2次範囲移動体とし、前記1次範囲移動体のうち、追跡目標の移動体を検出したことを通報してきた前記移動体を特定してリーダ移動体とし、
前記表示情報配信手段が、前記表示情報を配信するステップは、前記2次範囲移動体に対し、前記1次範囲移動体のうち、前記リーダ移動体のみの位置情報を設定した前記表示情報を配信する、
ことを特徴とする請求項1記載の移動体表示方法。
【請求項5】
無線通信を介して管理対象の移動体に搭載された移動体端末装置から前記移動体の位置情報を収集し、収集した前記位置情報に基づいて前記移動体の位置表示を行う移動体管理装置において、
収集された前記位置情報を前記移動体に関連付けて記憶する位置情報記憶手段と、
予め設定された定期収集周期ごとに前記移動体から前記位置情報を収集し、収集した前記位置情報を前記位置情報記憶手段に格納する定期位置情報収集手段と、
所定の条件が成立する場合に、前記位置情報記憶手段に格納される前記位置情報に基づいて、所定の地点から一定の範囲内に位置する移動体を特定し、前記特定された移動体を表示の対象移動体に設定するとともに、前記対象移動体に表示させる表示情報を配信する配信周期を設定する移動体表示制御手段と、
前記移動体表示制御手段によって設定された前記配信周期ごとに前記対象移動体から前記位置情報を収集し、収集した前記位置情報を前記位置情報記憶手段に格納する配信周期位置情報収集手段と、
前記配信周期位置情報収集手段によって前記対象移動体から前記位置情報が収集されると、収集された前記位置情報に基づいて前記表示情報を設定し、前記対象移動体に配信して、前記対象移動体に前記表示情報に基づいて前記対象移動体の位置を地図上に表示させる表示情報配信手段と、
を具備することを特徴とする移動体管理装置。
【請求項1】
位置検出手段を搭載する移動体から位置情報を取得し、前記位置情報に基づいて前記移動体の位置を表示する移動体表示方法において、
移動体管理装置の定期位置情報収集手段が、予め設定された定期収集周期ごとに前記移動体から前記位置情報を収集し、収集した前記位置情報を位置情報記憶手段に格納するステップと、
前記移動体管理装置の移動体表示制御手段が、所定の条件が成立する場合に、前記位置情報記憶手段に格納される前記位置情報に基づいて、所定の地点から一定の範囲内に位置する移動体を特定し、前記特定された移動体を表示の対象移動体に設定するとともに、前記対象移動体に表示させる表示情報を配信する配信周期を設定するステップと、
前記移動体管理装置の配信周期位置情報収集手段が、前記移動体表示制御手段によって設定された前記配信周期ごとに前記対象移動体から前記位置情報を収集し、収集した前記位置情報を前記位置情報記憶手段に格納するステップと、
前記移動体管理装置の表示情報配信手段が、前記配信周期位置情報収集手段によって前記対象移動体から前記位置情報が収集されると、収集された前記位置情報に基づいて前記表示情報を設定し、前記対象移動体に配信するステップと、
前記移動体の地図表示手段が、前記表示情報配信手段が配信した前記表示情報を取得すると、前記表示情報に基づき、前記対象移動体の位置を地図上に表示するステップと、
を有することを特徴とする移動体表示方法。
【請求項2】
前記移動体表示制御手段による配信周期を設定するステップは、
前記配信周期を、前記定期位置情報収集手段が前記位置情報を収集する前記定期収集周期よりも短く設定する、
ことを特徴とする請求項1記載の移動体表示方法。
【請求項3】
前記移動体表示制御手段が、所定の地点から一定の範囲内に位置する移動体を特定するステップは、
前記特定された移動体のうち、前記特定された移動体が追跡する追跡目標の移動体を検出したことを通報してきた前記移動体を特定してリーダ移動体とし、前記移動体の前記地図表示手段による表示において、前記リーダ移動体を強調表示させ、他の前記移動体と識別可能に表示させる強調表示指示を前記表示情報に付加する、
ことを特徴とする請求項1記載の移動体表示方法。
【請求項4】
前記移動体表示制御手段が、所定の地点から一定の範囲内に位置する移動体を特定するステップは、前記一定の範囲を1次範囲とし、前記1次範囲の外側の所定の範囲を2次範囲とするとともに、前記1次範囲に位置することが特定された移動体を1次範囲移動体、及び前記2次範囲に位置することが特定された移動体を2次範囲移動体とし、前記1次範囲移動体のうち、追跡目標の移動体を検出したことを通報してきた前記移動体を特定してリーダ移動体とし、
前記表示情報配信手段が、前記表示情報を配信するステップは、前記2次範囲移動体に対し、前記1次範囲移動体のうち、前記リーダ移動体のみの位置情報を設定した前記表示情報を配信する、
ことを特徴とする請求項1記載の移動体表示方法。
【請求項5】
無線通信を介して管理対象の移動体に搭載された移動体端末装置から前記移動体の位置情報を収集し、収集した前記位置情報に基づいて前記移動体の位置表示を行う移動体管理装置において、
収集された前記位置情報を前記移動体に関連付けて記憶する位置情報記憶手段と、
予め設定された定期収集周期ごとに前記移動体から前記位置情報を収集し、収集した前記位置情報を前記位置情報記憶手段に格納する定期位置情報収集手段と、
所定の条件が成立する場合に、前記位置情報記憶手段に格納される前記位置情報に基づいて、所定の地点から一定の範囲内に位置する移動体を特定し、前記特定された移動体を表示の対象移動体に設定するとともに、前記対象移動体に表示させる表示情報を配信する配信周期を設定する移動体表示制御手段と、
前記移動体表示制御手段によって設定された前記配信周期ごとに前記対象移動体から前記位置情報を収集し、収集した前記位置情報を前記位置情報記憶手段に格納する配信周期位置情報収集手段と、
前記配信周期位置情報収集手段によって前記対象移動体から前記位置情報が収集されると、収集された前記位置情報に基づいて前記表示情報を設定し、前記対象移動体に配信して、前記対象移動体に前記表示情報に基づいて前記対象移動体の位置を地図上に表示させる表示情報配信手段と、
を具備することを特徴とする移動体管理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【公開番号】特開2008−286713(P2008−286713A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−133492(P2007−133492)
【出願日】平成19年5月18日(2007.5.18)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年5月18日(2007.5.18)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
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