説明

移動体通信システム、移動局、交換局および移動局の位置登録方法

【課題】回線交換ネットワーク側の位置登録装置の選択変更、設置数の増減等に起因する、ネットワークの負荷を軽減する。
【解決手段】移動体通信システムは、回線交換ネットワーク側で移動局の位置管理を行う複数の位置登録装置と、移動局から位置登録要求を受けた際に、所定の規則に従って、前記複数の位置登録装置の中から、一の位置登録装置を選択して、位置登録を要求する第1のパケット交換局と、前記第1のパケット交換局の配下から移動した際に、前記第1のパケット交換局が選択した位置登録装置を特定するための情報を含む位置登録要求を送信する移動局と、前記移動局から受信した位置登録要求に含まれる情報に基づいて、前記第1のパケット交換局が前記移動局のために位置登録を行った位置登録装置に対して位置登録を要求する第2のパケット交換局と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体通信システム、移動局、交換局および移動局の位置登録方法に関し、特に、回線交換ネットワーク側で移動局の位置管理を行う位置登録装置が複数配置されている移動体通信システム、移動局、交換局および移動局の位置登録方法に関する。
【背景技術】
【0002】
非特許文献1に、LTE(Long Term Evolution)と3G回線交換サービスの連携を実現するCS(Circuit Switched) fallbackという機能の仕様が開示されている。また、同文献の11頁「4.3.2 MME」の項には、複数のMSC/VLR(Mobile Switching Centre/Visited Location Register)が同一のLocation Area IdentityでサービスするMSC/VLRプールが構成されている場合、MME(Mobility Management Entity)が非特許文献2のIMSI Hash方式という方式で、MSC/VLRを選択すべきことが記載されている。なお、IMSI Hash方式とは、ネットワーク内で加入者を一意に特定する識別子であるIMSI(International Mobile−Statioin Subscription Identifier)と、ネットワーク内のMSC/VLR数の2つをキーに、モジュロ演算によりハッシュを求める方式である。
【0003】
また、特許文献1には、SGSN(Serving GPRS Support Node)などによって構成されているプールに、UE(User Equipment)が、最初にアクセスするときに、e−NodeBなどのRANノードが、NNSF(Non Access Stratum Node Selection Function)および負荷分割原則に従ってUEのために適正なCN(Core Network)ノードを選択することが記載されている。さらに、特許文献1には、UEから受信した初期直接転送メッセージに含まれるTMSI(Temporary Mobile Station Identifier)内のNRI(Network Resource Identifier)を用いて、RANノードは、UEが元来登録されているCN(Core Network)ノードを探し出し、選択することが記載されている。即ち、特許文献1のUEがプール内を移動する限りにおいては、CNノードが変わることは無い。
【0004】
また、特許文献2には、UEからのトラッキングエリア更新要求(TAU要求)を、ロケーションエリア更新要求(LAU要求)に変換するMMEにおいて、MSCからNRIを含むロケーションエリア更新応答(LAU応答)を受信し、UEに対し、トラッキングエリア更新応答(TAU応答)に変換するMMEが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2010−537523号公報
【特許文献2】特表2011−508496号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】3GPP TS 23.272 ver.10.4.0 “Circuit Switched (CS) fallback in Evolved Packet System (EPS);Stage 2 (Release 10)”、[平成23年6月20日検索]、インターネット< http://www.3gpp.org/ftp/Specs/html-info/23272.htm>
【非特許文献2】3GPP TS 23.236 ver.10.2.1 “Intra-domain connection of Radio Access Network (RAN) nodes to multiple Core Network (CN) nodes (Release 10)”、[平成23年6月20日検索]、インターネット< http://www.3gpp.org/ftp/Specs/html-info/23236.htm>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
以下の分析は、本発明によって与えられたものである。非特許文献2記載のIMSI Hash方式は、UEが移動前のパケット交換局(以下、「旧パケット交換局」と記す。)から、別のパケット交換局(以下、「新パケット交換局」と記す。)へUEが移動した時に、新パケット交換局が、位置登録を実施する位置登録装置(MSC/VLR)を選択する場合にも用いられる。
【0008】
このとき、UEの移動先の位置登録エリア(Location Area)が同一の位置登録装置プール(MSC/VLRプール)の範囲内であれば、IMSI Hashを用いたとしても、新パケット交換局は、旧パケット交換局が選択した位置登録済み位置登録装置(MSC/VLR)と同じ位置登録装置(MSC/VLR)を選択することができる。このように、位置登録装置(MSC/VLR)の移動を伴わずに位置登録を実施することで、ネットワークの負荷軽減を行うことができる。
【0009】
特に、SMS(Short Message Service)の配信を目的にパケット交換局が位置登録装置(MSC/VLR)と連携する場合は、位置登録装置(MSC/VLR)が比較的大きな位置登録装置プール(MSC/VLRプール)を構成するため、上記のネットワークの負荷軽減は更に大きな効果を奏する。
【0010】
しかしながら、選択すべき位置登録装置(MSC/VLR)と旧パケット交換局間の経路に障害が生じている場合、旧パケット交換局は、図12に示すように、別の位置登録装置(MSC/VLR)を選択することがある(図12のS902〜S904参照)。その後、UEが新パケット交換局へ移動して位置登録要求を行うと、新パケット交換局は、IMSI Hash方式を用いて位置登録装置(MSC/VLR)を選択する(図12のS911〜S912参照)。このとき、IMSI Hash方式は、上述のとおりIMSIとMSC/VLR数の2つをキーに、モジュロ演算によりハッシュを求めるものであるため、新パケット交換局は、図12のS902と同じ位置登録装置(MSC/VLR)を選択してしまう(図12のS911〜S912参照)。この結果、位置登録済みではない位置登録装置(MSC/VLR)が選択されるため、不要な信号メッセージがネットワーク内で送受信されることになる。
【0011】
更に、図13に示すように、位置登録装置プール(MSC/VLRプール)に属するMSC/VLRの数が増減した際には、IMSI Hashにより選択される位置登録装置(MSC/VLR)が変わってしまうため、すでに位置登録済みのほとんどのUEで、位置登録装置(MSC/VLR)の再選択が実施されることになり、ネットワーク全体の輻輳につながってしまう。
【0012】
なお、特許文献1、2には、上記のように位置登録装置プールを構成する位置登録装置の選択はもちろんとして、移動局が移動した後において、位置登録済みの位置登録装置を選択させる構成は開示されていない。
【0013】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、上記位置登録装置(MSC/VLR)のような回線交換ネットワーク側の位置登録装置の選択変更、設置数の増減等に起因する、不要な信号メッセージの授受やネットワークの輻輳を抑制できるようにした移動体通信システム、移動局、交換局および移動局の位置登録方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の第1の視点によれば、回線交換ネットワーク側で移動局の位置管理を行う複数の位置登録装置と、移動局から位置登録要求を受けた際に、所定の規則に従って、前記複数の位置登録装置の中から、一の位置登録装置を選択して、位置登録を要求する第1のパケット交換局と、前記第1のパケット交換局の配下から移動した際に、前記第1のパケット交換局が選択した位置登録装置を特定するための情報を含む位置登録要求を送信する移動局と、前記移動局から受信した位置登録要求に含まれる情報に基づいて、前記第1のパケット交換局が前記移動局のために位置登録を行った位置登録装置に対して位置登録を要求する第2のパケット交換局と、を含む移動体通信システムが提供される。
【0015】
本発明の第2の視点によれば、所定の規則に従って、複数の位置登録装置の中から、一の位置登録装置を選択して、移動局のための位置登録を行う第1のパケット交換局の配下から移動した際に、前記第1のパケット交換局が選択した位置登録装置を特定するための情報を含む位置登録要求を送信する移動局が提供される。
【0016】
本発明の第3の視点によれば、移動局から受信した位置登録要求に含まれる位置登録装置を特定するための情報に基づいて、前記移動局が接続していたパケット交換局が前記移動局のために位置登録を行った位置登録装置に対して位置登録を要求するパケット交換局が提供される。
【0017】
本発明の第4の視点によれば、第1のパケット交換局が、移動局から位置登録要求を受けた際に、所定の規則に従って、前記複数の位置登録装置の中から、一の位置登録装置を選択して、位置登録を要求するステップと、前記移動局が、前記第1のパケット交換局の配下から移動した際に、前記第1のパケット交換局が選択した位置登録装置を特定するための情報を含む位置登録要求を送信するステップと、第2のパケット交換局が、前記移動局から受信した位置登録要求に含まれる情報に基づいて、前記第1のパケット交換局が前記移動局のために位置登録を行った位置登録装置に対して位置登録を要求するステップと、を含む移動局の位置登録方法が提供される。本方法は、上述した位置登録装置、第1、第2のパケット交換局および移動局という、特定の機械に結びつけられている。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、回線交換ネットワーク側の位置登録装置の選択変更、設置数の増減等に起因する、不要な信号メッセージの授受やネットワークの輻輳を抑制することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態の構成を説明するための図である。
【図2】図1の続図である。
【図3】本発明の第1の実施形態の構成を説明するための図である。
【図4】本発明の第1の実施形態の動作を説明するためのシーケンス図である。
【図5】本発明の第2の実施形態の構成を説明するための図である。
【図6】本発明の第2の実施形態の動作を説明するためのシーケンス図である。
【図7】本発明の第3の実施形態の構成を説明するための図である。
【図8】本発明の第3の実施形態の動作を説明するためのシーケンス図である。
【図9】本発明の第4の実施形態の構成を説明するための図である。
【図10】本発明の第4の実施形態の動作を説明するためのシーケンス図である。
【図11】本発明の第5の実施形態の動作を説明するためのシーケンス図である。
【図12】非特許文献1、2の方式による位置登録処理の流れを説明するための図である。
【図13】非特許文献1、2の方式による位置登録処理の別の流れを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
はじめに本発明の一実施形態の概要について図面を参照して説明する。なお、この概要に付記した図面参照符号は、理解を助けるための一例として各要素に便宜上付記したものであり、本発明を図示の態様に限定することを意図するものではない。
【0021】
本発明は、図1に示すように、回線交換ネットワーク側で移動局の位置管理を行う複数の位置登録装置31〜3nと、UE(移動局)10から位置登録要求を受けた際に、所定の規則に従って、前記複数の位置登録装置31〜3nの中から、一の位置登録装置を選択して、位置登録を要求する第1交換局(第1のパケット交換局)21と、UE(移動局)10と、前記移動局の移動先に位置する第2交換局(第2のパケット交換局)22と、を含む構成にて実現できる。
【0022】
具体的には、前記UE(移動局)10は、第1交換局(第1のパケット交換局)21から、前記第1交換局(第1のパケット交換局)21が選択した位置登録装置を特定するための情報S1を含んだ位置登録応答を受信する。そして図2に示すように、第1交換局(第1のパケット交換局)21のサービスエリアから第2交換局(第2のパケット交換局)22のサービスエリアへ移動した際に、前記UE(移動局)10は、第2交換局(第2のパケット交換局)22に対して、前記第1交換局(第1のパケット交換局)21が選択した位置登録装置を特定するための情報S2を含む位置登録要求を送信する。前記第2交換局(第2のパケット交換局)22は、前記位置登録要求に含まれる情報S1に基づいて、前記第1のパケット交換局が前記移動局のために位置登録を行った位置登録装置31に対して位置登録を要求する。
【0023】
以上のように、本発明によれば、第2交換局(第2のパケット交換局)22においても、第1交換局(第1のパケット交換局)21が実際に位置登録を行った位置登録装置の選択が行われる。従って、移動局の回線交換ネットワーク側の位置登録装置の選択変更、設置数の増減等に起因する、不要な信号メッセージの授受やネットワークの輻輳を抑制することが可能になる。なお、前記位置登録要求に含まれる情報S2が、UE(移動局)10が位置登録装置31〜3nとは別の位置登録装置(当該プールに属さない位置登録装置)に登録していたことを示す場合には、第2交換局(第2のパケット交換局)22は、第1交換局(第1のパケット交換局)21と同様に、所定の規則に従って、前記複数の位置登録装置31〜3nの中から、一の位置登録装置を選択して、位置登録を要求することになる。
【0024】
[第1の実施形態]
続いて、位置登録装置を特定するための情報として、NRI(Network Resouce Indicator;ネットワークリソース識別子)を用いる本発明の第1〜第4の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。図3は、本発明の第1の実施形態の構成を模式的に表した図である。
【0025】
図3を参照すると、回線交換ネットワーク側でUE(移動局)10の位置管理を行うためのMSC/VLRプールを構成する複数のMSC/VLR301〜30nと、回線交換ネットワーク側に配置されUE10の移動管理や認証処理等を行うSGSN201、202と、を含むネットワーク構成が示されている。なお、図3の例では、特許文献1に記載されているような各種のRANノードや、各種のゲートウェイ等は省略されている。なお、MSC/VLRプールとは、複数のMSC/VLRが同一の位置登録エリア(Location Area;LA)に対して、サービスを提供するよう構成されたものをいう。
【0026】
SGSN201(202)は、UE10から位置登録要求を受けると、非特許文献2のIMSI Hash方式等の所定の規則に従って、MSC/VLR301〜30nから、UE10のために位置登録を行うMSC/VLRを選択し、位置登録を要求する。前記選択したMSC/VLRは、UE10に対し、SGSN201(202)を介して、TMSI(Temporary Mobile Station Identifier)を含んだ位置登録応答を送信する。
【0027】
ここで、前記TMSIには、MSC/VLRプール内で、MSC/VLRを一意に特定できる情報要素であるNRIが含まれている。
【0028】
UE10は、位置登録要求時に、このNRIを、新SGSN202(201)へ提供することによって、SGSN202(201)に、位置登録済みのMSC/VLRを選択させる。このとき、前記NRIによって示されるMSC/VLRが、同一のMSC/VLRプール内のMSC/VLRである場合、SGSN202(201)は、移動前にUE10が位置登録していたMSC/VLRに対し位置登録を要求することになる。
【0029】
続いて、本実施形態の動作について図面を参照して詳細に説明する。図4は、本発明の第1の実施形態の動作を説明するためのシーケンス図である。なお、以下の説明では、SGSN201を「旧SGSN」と呼び、SGSN202を「新SGSN」と呼ぶ。
【0030】
図4を参照すると、まず、UE10は、旧SGSNに対し、位置登録要求(Attach Request、Routing Area Update Request等)を送信する(図4のS001)。前記位置登録要求を受けた旧SGSNは、非特許文献2のIMSI Hash方式等を用いてMSC/VLRを選択し、位置登録要求(Location Request)を送信する(図4のS002)。
【0031】
前記位置登録要求(Location Request)を受けたMSC/VLRは、UE10の位置登録を実行し、さらに、自装置に対応するNRIを含むTMSIを割り当てる(図4のS003)。さらに、MSC/VLRは、旧SGSNに対して、位置登録応答(Location Response)を送信する(図4のS004)。
【0032】
旧SGSNは、位置登録応答(Location Response)に含まれている前記TMSIまたはVLR NameまたはVLR Numberを保持する(図4のS004−1)。その後、旧SGSNは、UE10に対し、前記TMSIを含んだ位置登録応答(Attach Accept、Routing Area Update Accept等)を送信する(図4のS005)。
【0033】
その後、UE10が、新SGSN配下に移動した場合、UE10は新SGSNに対しTMSIを含めた位置登録要求(Attach Request、Routing Area Update Request等)を送信する(図4のS011)。
【0034】
前記位置登録要求を受けた新SGSNは、前記位置登録要求に含まれるTMSIからNRIを抜き出す。新SGSNは、さらに、NRIに対応するMSC/VLRに対し、位置登録要求を送信(Location Request)する(図4のS012)。
【0035】
前記位置登録要求を受けたMSC/VLRは、UE10を位置登録済みのため、位置登録エリアの更新だけを行い、位置登録応答(Location Response)を返信する(図4のS015)。
【0036】
新SGSNは、位置登録応答(Location Response)に含まれている前記TMSIまたはVLR NameまたはVLR Numberを保持する(図4のS015−1)。新SGSNは、前記MSC/VLRから受け取った位置登録応答(Location Response)に基づいて、UE10に対し、位置登録応答(Attach Accept、Routing Area Update Accept等)を返信する(図4のS016)。
【0037】
以上のように、本実施形態によれば、旧SGSN201が実際に位置登録を行った位置登録装置の選択が行われる。このため、例えば、旧SGSN201と、旧SGSN201が最初に選択したMSC/VLRとの間の経路に障害が生じたり、MSC/VLRの数に変動が生じたとしても影響を受けることなく、同一のMSC/VLRにUE10の位置登録を行うことが可能となる。この結果、不要なメッセージがネットワークを流れることがなくなり、ネットワークの負荷軽減が実現される。
【0038】
[第2の実施形態]
続いて、上記した第1の実施形態の新SGSN(SGSN202)をMMEに置き換えた本発明の第2の実施形態について説明する。図5は、本発明の第2の実施形態の構成を模式的に表した図である。図3に示した第1の実施形態との相違点は、SGSN202がMME212に置き換わっている点である。
【0039】
MME212は、パケット交換ネットワーク側に配置された交換局であり、上記したSGSNと同様にUE10の移動管理や認証処理等を行う。
【0040】
続いて、本実施形態の動作について図面を参照して詳細に説明する。図6は、本発明の第2の実施形態の動作を説明するためのシーケンス図である。なお、以下の説明では、SGSN201を「旧SGSN」と呼び、MME212を「新MME」と呼ぶ。
【0041】
本実施形態の動作は、第1の実施形態の新SGSNが新MMEに置き換わったのみの相違であり、具体的には、図6のS011Aにおいて、UE10が新MMEに対し位置登録要求(Attach Request、Tracking Area Update Request等)を送信し、図6のS016Aにおいて、新MMEがUE10に対し、位置登録応答(Attach Accept、Tracking Area Update Accept等)を送信する点である。その他基本的な動作は第1の実施形態と同様であるので説明は省略する。
【0042】
以上のように、本発明はUE10が旧SGSNの配下からMMEの配下に移動した場合にも適用することが可能であり、新MMEに、旧SGSNが実際に位置登録を行った位置登録装置への位置登録要求を行わせることが可能である。
【0043】
[第3の実施形態]
続いて、上記した第1の実施形態の旧SGSN(SGSN201)をMMEに置き換えた本発明の第3の実施形態について説明する。図7は、本発明の第3の実施形態の構成を模式的に表した図である。図3に示した第1の実施形態との相違点は、SGSN201がMME211に置き換わっている点である。
【0044】
MME211は、パケット交換ネットワーク側に配置された交換局であり、上記したSGSNと同様にUE10の移動管理や認証処理等を行う。
【0045】
続いて、本実施形態の動作について図面を参照して詳細に説明する。図8は、本発明の第3の実施形態の動作を説明するためのシーケンス図である。なお、以下の説明では、MME211を「旧MME」と呼び、SGSN202を「新SGSN」と呼ぶ。
【0046】
本実施形態の動作は、第1の実施形態の旧SGSNが旧MMEに置き換わったのみの相違であり、具体的には、図8のS001Aにおいて、UE10が旧MMEに対し位置登録要求(Attach Request、Tracking Area Update Request等)を送信し、図8のS005Aにおいて、旧MMEがUE10に対し、位置登録応答(Attach Accept、Tracking Area Update Accept等)を送信する点である。その他基本的な動作は第1の実施形態と同様であるので説明は省略する。
【0047】
以上のように、本発明はUE10が旧MMEの配下にある状態からSGSNの配下に移動した場合にも適用することが可能であり、新SGSNに、旧MMEが実際に位置登録を行った位置登録装置への位置登録要求を行わせることが可能である。
【0048】
[第4の実施形態]
続いて、上記した第1の実施形態の旧SGSN(SGSN201)および新SGSN(SGSN202)をMMEに置き換えた本発明の第4の実施形態について説明する。図9は、本発明の第4の実施形態の構成を模式的に表した図である。図3に示した第1の実施形態との相違点は、SGSN201、202がそれぞれMME211、212に置き換わっている点である。
【0049】
MME211、212は、パケット交換ネットワーク側に配置された交換局であり、上記したSGSNと同様にUE10の移動管理や認証処理等を行う。
【0050】
続いて、本実施形態の動作について図面を参照して詳細に説明する。図10は、本発明の第4の実施形態の動作を説明するためのシーケンス図である。なお、以下の説明では、MME211を「旧MME」と呼び、MME212を「新MME」と呼ぶ。
【0051】
本実施形態の動作は、第1の実施形態の旧SGSNおよび新SGSNがそれぞれ旧MMEおよび新MMEに置き換わったのみの相違であり、具体的には、図10のS001A、S011Aにおいて、UE10が新旧のMMEに対し位置登録要求(Attach Request、Tracking Area Update Request等)を送信し、図10のS005A、S016Aにおいて、新旧のMMEがUE10に対し、位置登録応答(Attach Accept、Tracking Area Update Accept等)を送信する点である。その他基本的な動作は第1の実施形態と同様であるので説明は省略する。
【0052】
以上のように、本発明はUE10が旧MMEの配下にある状態からMMEの配下に移動した場合にも適用することが可能であり、新MMEに、旧MMEが実際に位置登録を行った位置登録装置への位置登録要求を行わせることが可能である。
【0053】
[第5の実施形態]
上記した第1〜第4の実施形態では、UE10経由で、新交換局に位置登録済みMSC/VLRを特定する情報が伝達されるものとしたが、旧交換局が、新交換局に直接位置登録済みMSC/VLRを特定する情報を伝達する構成も採用可能である。
【0054】
以下、UE10からのNRIを用いずに、当該UE10について位置登録済みのMSC/VLRを選択できるようにした本発明の第5の実施形態について説明する。本発明は、上記した第1〜第4の実施形態と同様の構成にて実現できるので、以下の説明では、その動作上の相違点を中心に説明する。また、以下の説明では、図9に示した旧MMEと新MMEとを有する構成であるものとして説明する。
【0055】
図11は、本発明の第5の実施形態の動作を説明するためのシーケンス図である。なお、以下の説明では、MME211を「旧MME」と呼び、MME212を「新MME」と呼ぶ。
【0056】
図11を参照すると、まず、UE10は、旧MMEに対し、位置登録要求(Attach Request、Tracking Area Update Request等)を送信する(図11のS201)。前記位置登録要求を受けた旧MMEは、非特許文献2のIMSI Hash方式等を用いてMSC/VLRを選択し、位置登録要求(Location Request)を送信する(図11のS202)。
【0057】
前記位置登録要求(Location Request)を受けたMSC/VLRは、UE10の位置登録を実行し、位置登録応答(Location Response)を送信する(図11のS204)。旧MMEは、UE10に対し、位置登録応答(Attach Accept、Tracking Area Update Accept等)を送信する(図11のS205)。なお、ここでの位置登録応答には、NRIが含まれていなくともよい。また、旧MMEは、位置登録応答の送信元のVLR NameまたはVLR Numberを保持する(図11のS204−1)。
【0058】
その後、UE10が、新MMEの配下に移動した場合、UE10は新MMEに対し位置登録要求(Attach Request、Tracking Area Update Request等)を送信する(図11のS211)。
【0059】
前記位置登録要求を受けた新MMEは、旧MMEに対し、UE10のContextの転送を要求(Identification Request、Context Request)する(図11のS212)。本実施形態の場合、図11のS211で送信される位置登録要求にTMSIは含まれないが、UE10を特定する情報が含まれている。新MMEは、UE10を特定する情報を、位置登録済みMSC/VLRを特定する情報として用いることになる。
【0060】
前記Contextの転送要求を受けた旧MMEは、保持しているTMSI、VLR NameまたはVLR Numberを含んだContextの転送応答(Context Response)を送信する(図11のS213)。
【0061】
前記Contextの転送応答(Context Response)を受信した新MMEは、前記Contextの転送応答(Context Response)に含まれるTMSI、VLR NameまたはVLR Numberによって特定されるMSC/VLRに対し、位置登録要求を送信(Location Request)する(図11のS214)。
【0062】
MSC/VLRは、UE10を位置登録済みのため、位置登録エリアの更新だけを行い、位置登録応答(Location Response)を返信する(図11のS215)。
【0063】
また、新MMEは、前記MSC/VLRから受け取った位置登録応答(Location Response)の送信元のVLR NameまたはVLR Numberを保持する(図11のS215−1)。さらに、新MMEは、前記MSC/VLRから受け取った位置登録応答(Location Response)に基づいて、UE10に対し、位置登録応答(Attach Accept、Tracking Area Update Accept等)を返信する(図11のS216)。
【0064】
以上のように、本実施形態によれば、UE10を介さずに、旧MME211が実際に位置登録を行った位置登録装置への位置登録が行われる。本実施形態においても、例えば、旧MME211と、旧MME211が最初に選択したMSC/VLRとの間の経路に障害が生じたり、MSC/VLRの数に変動が生じたとしても影響を受けることなく、同一のMSC/VLRにUE10の位置登録を行うことが可能となる。
【0065】
以上、本発明の各実施形態を説明したが、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の基本的技術的思想を逸脱しない範囲で、更なる変形・置換・調整を加えることができる。例えば、上記した第1から第4の実施形態では、位置登録済みMSC/VLRを特定する情報として、NRIを用いるものとして説明したが、上記第5の実施形態で説明したVLR NameまたはVLR Number等を用いることもできる。
【0066】
同様に、上記した第5の実施形態において、位置登録済みMSC/VLRを特定する情報として、NRIを用いることもできる。
【0067】
また、上記の特許文献、非特許文献の各開示を、本書に引用をもって繰り込むものとする。本発明の全開示(請求の範囲を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施形態の変更・調整が可能である。また、本発明の請求の範囲の枠内において種々の開示要素の多様な組み合わせないし選択が可能である。すなわち、本発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。
【符号の説明】
【0068】
10 UE(移動局)
21 第1交換局
22 第2交換局
31〜3n 位置登録装置
201、202 SGSN
211、212 MME
301〜30n MSC/VLR

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回線交換ネットワーク側で移動局の位置管理を行う複数の位置登録装置と、
移動局から位置登録要求を受けた際に、所定の規則に従って、前記複数の位置登録装置の中から、一の位置登録装置を選択して、位置登録を要求する第1のパケット交換局と、
前記第1のパケット交換局の配下から移動した際に、前記第1のパケット交換局が選択した位置登録装置を特定するための情報を含む位置登録要求を送信する移動局と、
前記移動局から受信した位置登録要求に含まれる情報に基づいて、前記第1のパケット交換局が前記移動局のために位置登録を行った位置登録装置に対して位置登録を要求する第2のパケット交換局と、
を含む移動体通信システム。
【請求項2】
前記第1のパケット交換局は、前記移動局に対し、位置登録を行った位置登録装置のネットワークリソース識別子を通知し、
前記移動局は、前記第2のパケット交換局に対し、前記ネットワークリソース識別子を含んだ位置登録要求を送信する請求項1の移動体通信システム。
【請求項3】
前記第1のパケット交換局が、位置登録を行った位置登録装置のネットワークリソース識別子を記憶する請求項1の移動体通信システム。
【請求項4】
前記第1のパケット交換局が選択した位置登録装置を特定するための情報は、
前記移動局を識別するための情報であり、
前記第2のパケット交換局は、前記第1のパケット交換局に対して、位置登録要求を受けた移動局のために位置登録を行った位置登録装置を照会し、前記前記第1のパケット交換局から回答された位置登録装置に対し位置登録を実行する請求項1の移動体通信システム。
【請求項5】
前記第1のパケット交換局が、前記位置登録要求を受けた移動局のために位置登録を行った位置登録装置を管理するために、TMSI、VLR NameまたはVLR Numberのいずれかを用いる請求項4の移動体通信システム。
【請求項6】
前記複数の位置登録装置が、Mobile Switching Centre/Visited Location Registarプールを構成する請求項1から5いずれか一の移動体通信システム。
【請求項7】
第1、第2のパケット交換局は、Serving GPRS Support NodeまたはMobility Management Entityのいずれかである請求項1から6いずれか一の移動体通信システム。
【請求項8】
所定の規則に従って、複数の位置登録装置の中から、一の位置登録装置を選択して、移動局のための位置登録を行う第1のパケット交換局の配下から移動した際に、前記第1のパケット交換局が選択した位置登録装置を特定するための情報を含む位置登録要求を送信する移動局。
【請求項9】
移動局から受信した位置登録要求に含まれる位置登録装置を特定するための情報に基づいて、前記移動局が接続していたパケット交換局が前記移動局のために位置登録を行った位置登録装置に対して位置登録を要求するパケット交換局。
【請求項10】
第1のパケット交換局が、移動局から位置登録要求を受けた際に、所定の規則に従って、前記複数の位置登録装置の中から、一の位置登録装置を選択して、位置登録を要求するステップと、
前記移動局が、前記第1のパケット交換局の配下から移動した際に、前記第1のパケット交換局が選択した位置登録装置を特定するための情報を含む位置登録要求を送信するステップと、
第2のパケット交換局が、前記移動局から受信した位置登録要求に含まれる情報に基づいて、前記第1のパケット交換局が前記移動局のために位置登録を行った位置登録装置に対して位置登録を要求するステップと、
を含む移動局の位置登録方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−110774(P2013−110774A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−52506(P2013−52506)
【出願日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【分割の表示】特願2011−176557(P2011−176557)の分割
【原出願日】平成23年8月12日(2011.8.12)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】