説明

移動体通信システム

【課題】ユーザ操作によらずに通話が切断される場合に、ユーザに何らの不安感を与えることなく、円滑な通話の再開を支援できる移動体通信システムを提供する。
【解決手段】基地局と、基地局の通信を制御する通信制御局とを有し、基地局を介して移動通信端末が相手通信端末と通信する移動体通信システムであって、移動通信端末は電界強度情報を含む端末状態情報を基地局へ定期的に送信し、基地局は受信した端末状態情報を記憶して、通信が切断された際に、記憶されている端末状態情報に基づいて通信切断理由を判定して通信制御局へ送信し、通信制御局は基地局からの通信切断理由判定結果に基づいて、通信切断原因元および通信切断理由を含む通信切断原因を決定し、かつ該決定された通信切断原因に基づいて通信再開方法を決定して、それらの決定情報に基づく通知情報を基地局へ送信し、基地局は受信した通知情報を対応する移動通信端末へ送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体通信システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、移動体通信システムでは、携帯電話等の普及に伴って、益々のサービスの品質向上が求められている。その要望に応えるように、移動通信端末や通信方式に関する技術は、年々進歩している。それでも、移動通信端末が移動することに伴う電界強度の悪化や移動通信端末のバッテリ残量切れ等の原因で、ユーザ操作によらずに通話が突然切断される場合がある。特に最近では、ビルなどの障害物や反射物による通信経路の遮断や、フェムトセルやピコセル等の導入による干渉波の影響等で知られるフェージング現象等によって、通話が突然切断されるケースも増えている。
【0003】
このようにユーザの意図しない理由で通話が突然切断された場合、通常は、発信者から再度通話依頼が発信される。しかし、通話の切断原因によっては、例えば、相手方の電界強度悪化や携帯電話端末のバッテリ残量切れ等の場合は、直ちに通話を再開できるとは限らない。そのため、発信者および受信者の双方とも、どのようにして通話を再開したらよいのか不安を感じるケースが多い。
【0004】
このような不安感の解消を図ったものとして、突然の通信切断が発生した場合に、ユーザに通信切断理由を通知する移動体通信システムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この移動体通信システムでは、移動通信端末同士が基地局を介して通信中に、それぞれの移動通信端末から基地局に電界強度の測定結果を通知する。そして、基地局は、通信中に突然の通信切断が発生したのを検知すると、それまでの電界強度情報に基づいて電界強度の悪化が原因で通信が切断されたか否かを判定して、その判定結果を接続中の移動通信端末に送信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−118200号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示の移動体通信システムにあっては、電界強度の悪化が原因で基地局との通信が切断された場合、その原因が発生した移動通信端末には、通信切断理由が通知されない。そのため、例えば、山間部等で通信を行っている場合は、ユーザが移動通信端末に表示されている受信電界強度から通信切断理由を推測できることもあるが、都市部等で通信を行っている場合で、フェージングが原因で通信切断が生じた場合等には、ユーザは通信切断理由を把握することが困難な場合が多々ある。また、基地局による強制的な切断の場合も、ユーザは切断理由を把握することは困難である。その結果、切断理由の原因元のユーザに対して、なぜ通信が突然切断されたのか不信感を与えることが懸念される。
【0007】
また、前述したように、受信者側の電界強度悪化や移動通信端末のバッテリ残量不足などによる通話切断理由の場合は、慣例的に、発信者側から再度通話依頼を発信しても、すぐに通話を再開できるとは限らない。そのため、両者に対する不安感は依然として解消できないことになる。また、逆に、発信者側の電界強度の悪化等のために再度発信できないような場合、受信者は、慣例的に通話の呼び出しをひたすら待つことになる。そのため、この場合も両者に不安感を与えることが懸念される。
【0008】
さらに、特許文献1に開示の移動体通信システムは、突然の通信切断理由を接続中のユーザ自身が知ることはできても、ユーザはどのように通信を再開すればよいか知らないため、ユーザに不安感を与えることが懸念される。
【0009】
したがって、かかる事情に鑑みてなされた本発明の目的は、ユーザ操作によらずに通話が切断される場合に、ユーザに何らの不安感を与えることなく、円滑な通話の再開を支援できる移動体通信システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成する第1の観点に係る発明は、通信ネットワークに接続された基地局と、該基地局の通信を制御する通信制御局とを有し、前記基地局を介して移動通信端末が相手通信端末と通信する移動体通信システムであって、
前記移動通信端末は、電界強度取得部を有し、
前記基地局は、端末状態情報記憶部と通信切断理由判定部とを有し、
前記通信制御局は、通信切断原因決定部と通信再開方法決定部とを有し、
前記移動通信端末は、前記相手通信端末との通信中に、少なくとも前記電界強度取得部で取得される電界強度情報を端末状態情報として前記基地局へ定期的に送信し、
前記基地局は、前記移動通信端末からの前記端末状態情報を前記端末状態情報記憶部に記憶し、前記移動通信端末との通信が切断された際に、前記端末状態情報記憶部に記憶されている当該移動通信端末の前記端末状態情報に基づいて前記通信切断理由判定部により通信切断理由を判定して、その通信切断理由判定結果を前記通信制御局へ送信し、
前記通信制御局は、前記基地局からの通信切断理由判定結果に基づいて、前記通信切断原因決定部により通信切断原因元および通信切断理由を含む通信切断原因を決定するとともに、該決定された通信切断原因に基づいて前記通信再開方法決定部により通信再開方法を決定して、前記決定された通信切断原因および通信再開方法に基づく通知情報を前記基地局へ送信し、
前記基地局は、前記通信制御局からの前記通知情報を対応する前記移動通信端末へ送信する、
ことを特徴とするものである。
【0011】
第2の観点に係る発明は、第1の観点に係る移動体通信システムにおいて、
前記移動通信端末は、さらに、前記相手通信端末との通信中に、バッテリ残量を監視して、該バッテリ残量が所定の閾値以下となった際にバッテリアラーム情報を出力するバッテリ残量監視部を有し、
前記移動通信端末は、前記バッテリ残量監視部からバッテリアラーム情報が出力されると、該バッテリアラーム情報を前記端末状態情報として前記基地局へ送信する、
ことを特徴とするものである。
【0012】
第3の観点に係る発明は、第1または2の観点に係る移動体通信システムにおいて、
前記通信制御局は、さらに、通信切断原因と通信再開方法とを対応させた通信再開方法指定リストを記憶する記憶部を有し、
前記通信再開方法決定部は、前記通信切断原因決定部により決定された通信切断原因に基づいて、前記記憶部に記憶されている前記通信再開方法指定リストから対応する通信再開方法を決定する、
ことを特徴とするものである。
【0013】
第4の観点に係る発明は、第3の観点に係る移動体通信システムにおいて、
前記通信再開方法指定リストは、前記移動通信端末の通信目的を含む通信条件に対応し、
前記通信再開方法決定部は、前記通信切断原因決定部により決定された通信切断原因に基づいて、前記記憶部に記憶されている前記通信再開方法指定リストから対応する通信条件の通信再開方法を決定する、
ことを特徴とするものである。
【0014】
第5の観点に係る発明は、第3または4の観点に係る移動体通信システムにおいて、
前記通信制御局は、前記通知情報の送信後、当該通知情報に基づく通信再開の結果を監視し、その監視結果に基づいて前記通信再開方法指定リストを更新する、
ことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によると、ユーザ操作によらずに通話が切断されると、移動通信端末に通信切断原因元および通信切断理由を含む通信切断原因、並びに通信再開方法に基づく通知情報が通知される。これにより、ユーザに対して、何らの不安感を与えることなく、円滑な通話の再開を支援することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1実施の形態に係る移動体通信システムのネットワーク構成を示す図である。
【図2】図1の移動体通信システムを構成する移動通信端末、基地局および保守制御局の要部の構成を示す機能ブロック図である。
【図3】図2の保守制御局の記憶部に記憶する通信再開方法指定リストの一例を示す図である。
【図4】図1の移動通信端末による基地局の受信電界強度と移動通信端末の動作状態とを示す図である。
【図5】図1の移動体通信システムの動作を説明するシーケンス図である。
【図6】発信者側の移動通信端末への通信切断原因および通信再開方法のメッセージ表示例を示す図である。
【図7】受信者側の移動通信端末への通信切断原因および通信再開方法のメッセージ表示例を示す図である。
【図8】本発明の第2実施の形態に係る移動体通信システムを説明する通信再開方法指定リストを示す図である。
【図9】本発明の第3実施の形態に係る移動体通信システムにおける保守制御局の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、図を参照して説明する。
【0018】
(第1実施の形態)
図1は、本発明の第1実施の形態に係る移動体通信システムのネットワーク構成を示す図である。図1に示す移動体通信システムは、ATM(Asynchronous Transfer Mode)網やインターネット網等の通信ネットワーク1に接続された複数の基地局を備える。図1には、図面を簡略化するため2つの基地局2,3が図示してある。基地局2,3を含む複数の基地局は、通信制御局である保守制御局4に有線または無線を介して接続されている。
【0019】
移動通信端末5,6は、同一または異なる基地局と無線接続される。これにより、移動通信端末5,6間で通話(通信)が可能となる。図1は、移動通信端末5が基地局2と無線接続され、移動通信端末6が基地局3と接続されて、通信ネットワーク1を介して通話を行う場合を示している。
【0020】
図2は、図1の移動体通信システムを構成する移動通信端末、基地局および保守制御局の要部の構成を示す機能ブロック図である。移動通信端末5,6は、同様の構成を有しており、基地局2,3も、同様の構成を有している。
【0021】
移動通信端末5(6)は、送受信部11、電界強度取得部12、画面表示部13、バッテリ残量監視部14および全体を制御する制御部15を備える。送受信部11は、基地局2(3)と無線通信を行う。電界強度取得部12は、送受信部11が受信した基地局2(3)からの受信信号に基づいて受信電波の電界強度情報を取得する。画面表示部13は、アプリケーションに応じた情報や、送受信部11が基地局2(3)から受信した後述の通知情報(メッセージ)を表示する。バッテリ残量監視部14は、移動通信端末5(6)の図示しないバッテリの残量を監視し、バッテリ残量が、電源がオフとなる直前の所定の閾値以下となった際に、バッテリアラーム情報を出力する。
【0022】
基地局2(3)は、端末送受信部21、端末状態情報記憶部22、通信切断理由判定部23、保守制御局送受信部24および全体を制御する制御部25を有する。端末送受信部21は、移動通信端末と無線通信を行う。端末状態情報記憶部22は、端末送受信部21が受信した移動通信端末からの端末状態情報を記憶する。通信切断理由判定部23は、移動通信端末との通信が切断された際に、端末状態情報記憶部22に記憶されている当該移動通信端末の端末状態情報に基づいて通信切断理由を判定する。保守制御局送受信部24は、保守制御局4と通信を行う。
【0023】
保守制御局4は、送受信部31、通信切断原因決定部32、記憶部33、通信再開方法決定部34および全体を制御する制御部35を有する。送受信部31は、基地局と通信を行う。通信切断原因決定部32は、送受信部31が受信した基地局からの通信切断理由判定結果に基づいて、通信切断原因元および通信切断理由を含む通信切断原因を決定する。記憶部33は、例えば、図3に示すような、通信切断原因である通信切断原因元および通信切断理由と通信再開方法とを対応させた通信再開方法指定リストを記憶する。通信再開方法決定部34は、通信切断原因決定部32により決定された通信切断原因に基づいて、記憶部33に記憶されている通信再開方法指定リストから対応する通信再開方法を決定する。
【0024】
図4は、移動通信端末による基地局の受信電界強度と移動通信端末の動作状態とを示す図である。図4に示すように、移動通信端末による受信電界強度は、基地局から離れるに従って減衰する。移動通信端末は、図2に示した電界強度取得部12で取得される基地局からの電波の電界強度Eが第1閾値E1以上の場合、当該基地局との間で、通話チャネル(トラフィックチャネル)および制御チャネル(シグナルチャネル)による通信が可能である。つまり、E≧E1の場合、移動通信端末は、当該基地局に対して通話可能/通信可能領域に位置し、基地局との間で通話チャンネルおよび制御チャンネルの双方の無線接続が維持される。
【0025】
また、移動通信端末は、電界強度取得部12で取得される電界強度Eが、第1閾値E1よりも低い第2閾値E2以上で、第1閾値E1未満の場合、当該基地局との間で制御チャネルによる通信は可能であるが、通話チャネルによる通信は不可能となる。つまり、E2≦E<E1の場合、移動通信端末は、当該基地局に対して通話不可/通信可能領域に位置し、基地局との間で通話チャンネルの無線接続が切断され、制御チャンネルの無線接続が維持される。
【0026】
また、移動通信端末は、電界強度取得部12で取得される基地局からの電波の電界強度が第2閾値E2未満の場合、当該基地局との間で制御チャネルによる通信および通話チャネルによる通信の双方の通信が不可能となる。つまり、E<E2の場合、移動通信端末は、当該基地局に対して通話不可/通信不可領域に位置し、基地局との間で通話チャンネルおよび制御チャンネルの双方の無線接続が切断される。
【0027】
本実施の形態に係る移動体通信システムでは、例えば、移動通信端末が、通話可能/通信可能領域で通話中に、通話不可/通信可能領域に移動して通話が切断された場合、その時点では、制御チャネルの無線接続が継続して通信が可能であるのを利用して、当該移動通信端末に対して通話の切断理由とともに、通話の再開方法を通知する。
【0028】
以下、図1に示した本実施の形態に係る移動体通信システムの動作について、図5に示すシーケンス図を参照して説明する。
【0029】
図5において、移動通信端末5および6は、図1において説明したように、移動通信端末5が基地局2と無線接続され、移動通信端末6が基地局3と接続されて、通信ネットワーク1を介して通話中であるものとする。
【0030】
移動通信端末5は、通話中、当該制御部15による制御のもとに、送受信部11の受信信号に基づいて、電界強度取得部12により接続先の基地局2の受信電波の電界強度情報を定期的に取得する。そして、取得した電界強度情報を端末状態情報として、送受信部11から制御チャネルを介して接続先の基地局2へ無線送信する。同様に、移動通信端末6においても、通話中、当該制御部15による制御のもとに、電界強度取得部12により接続先の基地局3の受信電波の電界強度情報を定期的に取得して、取得した電界強度情報を端末状態情報として、送受信部11から制御チャネルを介して接続先の基地局3へ無線送信する。
【0031】
また、移動通信端末5は、通話中、当該バッテリ残量監視部14により、バッテリの残量を監視する。そして、バッテリ残量が、電源がオフとなる直前の所定の閾値以下となったのを検知すると、制御部15へバッテリアラーム情報を出力する。制御部15は、バッテリ残量監視部14からバッテリアラーム情報を受けると、当該バッテリアラーム情報を端末状態情報として、送受信部11から制御チャネルを介して接続先の基地局2へ無線送信する。同様に、移動通信端末6においても、通話中、当該バッテリ残量監視部14によりバッテリの残量を監視し、バッテリ残量が所定の閾値以下になったのを検知すると、制御チャネルを介して接続先の基地局3へ、バッテリアラーム情報を端末状態情報として無線送信する。
【0032】
基地局2は、当該端末送受信部21により、無線接続中の移動通信端末5から電界強度情報やバッテリアラーム情報の端末状態情報を受信すると、その受信した端末状態情報を端末状態情報記憶部22に記憶する。同様に、基地局3は、当該端末送受信部21により、無線接続中の移動通信端末6から電界強度情報やバッテリアラーム情報の端末状態情報を受信すると、その端末状態情報を端末状態情報記憶部22に記憶する。
【0033】
以上の通信状態から、移動通信端末6と基地局3との間の通話チャネルが、ユーザ操作による正規の通話終了動作によらないで開放されて、通信(通話)が切断されたとする。この場合、基地局3は、移動通信端末6との通信(通話)の切断を検知すると、当該端末状態情報記憶部22に記憶されている移動通信端末6の端末状態情報に基づいて、通信切断理由判定部23により通信切断理由を判定する。例えば、端末状態情報記憶部22に記憶されている最新の端末状態情報として、図4に示した通話不可/通信可能領域の電界強度情報が記憶されている場合、基地局3は、通信切断理由を電界強度減衰と判定する。そして、その結果を、制御部25を介して保守制御局送受信部24から保守制御局4へ送信する。
【0034】
また、基地局2においては、移動通信端末5の通信(通話)の切断を検知すると、当該端末状態情報記憶部22に記憶されている移動通信端末5の最新の端末状態情報に基づいて、通信切断理由判定部23により通信切断理由を判定する。ここでは、端末状態情報記憶部22に、最新の端末状態情報として、図4に示した通話可能/通信可能領域の電界強度情報が記憶されているものとする。したがって、この場合、基地局2は、移動通信端末5に通信切断理由が無いと判定する。この判定結果は、制御部25を介して保守制御局送受信部24から保守制御局4へ送信される。
【0035】
保守制御局4は、送受信部31により基地局3および基地局2からの通信切断理由の判定結果を受信すると、それらの判定結果に基づいて通信切断原因決定部32により、通信切断原因元および通信切断理由を含む通信切断原因を決定する。さらに、通信再開方法決定部34は、通信切断原因決定部32により決定された通信切断原因に基づいて、記憶部33に記憶されている図3に示したような通信再開方法指定リストから、対応する通信再開方法を決定する。
【0036】
この例では、通信切断原因決定部32は、基地局3から移動通信端末6が電界強度減衰により通信(通話)が切断された旨の通信切断原因の判定結果を受け、基地局2から移動通信端末5に通信切断理由が無い旨の通信切断原因の判定結果を受けている。したがって、この場合、通信切断原因決定部32は、通信切断原因として、通信切断原因元が移動通信端末6側で、通信切断理由が電界強度減衰であると決定する。また、通信再開方法決定部34は、通信切断原因に応じて、通信切断原因元の移動通信端末6が、発信者側である場合は発信者側から、受信者側である場合は受信者側から発呼して通信(通話)を再開させるように通信再開方法を決定する。
【0037】
保守制御局4は、上述のように通信切断原因および通信再開方法を決定すると、その決定した通信切断原因および通信再開方法に基づいて、移動通信端末6および5に対する通知情報を生成する。そして、保守制御局4は、移動通信端末6に対応する通知情報を、例えばショートメッセージサービス等の機能を使用して基地局3から制御チャネルを介して移動通信端末6へ送信する。同様に、保守制御局4は、移動通信端末5に対応する通知情報を、例えばショートメッセージサービス等の機能を使用して基地局2から制御チャネルを介して移動通信端末5へ送信する。
【0038】
これにより、移動通信端末6は、通知情報を受けて、例えば図6に示すように、画面表示部13に通信切断原因および通信再開方法のメッセージを表示する。同様に、移動通信端末5は、通知情報を受けて、例えば図7に示すように、画面表示部13に通信切断原因および通信再開方法のメッセージを表示する。なお、図6および図7は、通信(通話)切断が生じた移動通信端末6が発信者側で、再度通話を再開する場合のメッセージの表示例を示している。
【0039】
なお、基地局2,3は、輻輳により通信(通話)を切断した場合は、その旨を通信切断理由として保守制御局4へ送信する。また、電界強度が通話可能/通信可能領域にあって通信(通話)が切断された場合、基地局2,3は、異常検出である旨を通信切断理由として保守制御局4へ送信する。
【0040】
このように、本実施の形態に係る移動体通信システムは、基地局と通信する移動通信端末が、ユーザ操作によらないで通話が切断された場合、移動通信端末に対して通信切断原因と通信再開方法とを示すメッセージを表示させる。これにより、ユーザは、通信切断原因元、通信切断理由および通信再開方法を知ることができるので、ユーザに何らの不安感を与えることなく、円滑な通話の再開を支援することが可能となる。しかも、通信切断原因元および通信切断理由に応じて、通信再開方法指定リストから対応する通信再開方法を決定するので、適切な通信再開方法を支援することが可能となる。
【0041】
(第2実施の形態)
ところで、通話は、大事な顧客との折衝や、急を要しない世間話など様々な理由で使われるのが一般的である。本発明の第2実施の形態に係る移動体通信システムは、通話切断理由のみならず、移動通信端末の通信目的や通話時間を含む通信条件、つまり通話の状態を条件として、さらなる効率的な通信再開を目指すものである。
【0042】
そのため、本実施の形態に係る移動体通信システムでは、第1実施の形態に係る移動体通信システムの構成において、図2に示した保守制御局4の記憶部33に、図8に示すような通信再開方法指定リストを記憶する。この通信再開方法指定リストは、図3に示した通信再開方法指定リストに、通話中の移動通信端末がプライベート用のものか、ビジネス用のものかを示す通信目的と、通話開始から切断までの通話時間との通信条件を追加して、該通信条件と、通信切断原因元、通信切断理由および通信再開方法とを対応させたものである。なお、移動通信端末の通信目的種別は、当該端末の登録時に設定されて、当該移動通信端末の端末識別情報に対応付けされている。
【0043】
基地局2,3は、通信(通話)の切断理由を判定すると、その通信切断理由の判定結果とともに、対応する移動通信端末のそれまでの通話時間を保守制御局4へ送信する。そして、保守制御局4は、基地局2,3からの通信切断理由の判定結果および通話時間を受信すると、先ず、通信切断原因決定部32により、受信情報に基づいて通信切断原因元および通信切断理由を含む通信切断原因と通話時間とを決定する。その後、通信再開方法決定部34により、通信切断原因決定部32で決定された通信切断原因および通話時間、並びに、通信切断原因元の移動通信端末の通信目的に基づいて、記憶部33に記憶されている図8に示したような通信再開方法指定リストから、対応する通信再開方法を決定する。その他の構成および動作は、第1実施の形態の場合と同様である。
【0044】
このように、通信再開方法を決定する際に、通信切断原因元の移動通信端末がプライベート用のものか、ビジネス用のものかの通信目的および通話時間を加味することにより、さらに効率的な通信再開方法を提案することが可能となる。例えば、通話の一方の通信目的がビジネス用で、他方の通信目的がプライベート用の場合は、プライベート用の移動通信端末が発信元であっても、ビジネス用の移動通信端末側から通信を再開するような通知情報を双方の移動通信端末に送信する。また、通話時間が長く、切断原因によってすぐに通信再開ができない場合などは、特に緊急な用事ではないと判断して、切断原因通知のみで通信再開方法を指定しないなどの設定も可能である。
【0045】
(第3実施の形態)
本発明の第3実施の形態に係る移動体通信システムは、上述した第1実施の形態または第2実施の形態に係る移動体通信システムの構成において、保守制御局4からの通知情報による通信再開の結果に基づいて、保守制御局4の記憶部33に記憶されている通信再開方法指定リストを更新する。
【0046】
図9は、この場合の保守制御局4の動作を示すフローチャートである。通信制御局4は、基地局2,3への通知情報の送信後、制御部35において通信再開の結果を監視する(S901)。その結果、成功の場合は、内蔵の成功数用カウンタをインクリメントして(S902)、通信再開方法指定リストを更新することなく、処理を終了する。なお、成功数用カウンタの計数値は、クリアすることなく保持しておく。
【0047】
これに対し、通信再開が失敗の場合は、内蔵の失敗数用カウンタをインクリメントして(S903)、成功数用カウンタの計数値と失敗数用カウンタの計数値との大小を比較する(S904)。その結果、成功数が多い場合は、通信再開方法指定リストを更新することなく処理を終了し、失敗数が多い場合は、通信再開方法指定リストを更新する(S905)。ここで、通信再開方法指定リストの更新処理は、例えば通信再開時の発呼者を当初の発信者から受信者に変更する。なお、通信再開方法指定リストを更新した際は、成功数用カウンタおよび失敗数用カウンタの計数値をクリアする。
【0048】
このように、通知情報による通信再開の結果に基づいて、通信再開方法指定リストを更新することにより、より効率的な通信再開方法を指定することが可能となる。
【0049】
なお、本発明は、上記実施の形態にのみ限定されるものではなく、幾多の変形または変更が可能である。例えば、上記実施の形態では、移動通信端末同士の通話について説明したが、一方が固定端末の場合にも、本発明を有効に適用することができる。この場合は、移動通信端末に対してのみ、上述した処理を実行すればよい。また、保守制御局4からの通信再開方法を含む通知情報は、移動通信端末に画面表示する場合に限らず、音声メッセージとして出力したり、画面表示と音声メッセージとの双方で出力したり、振動等で通知したりすることも可能である。
【符号の説明】
【0050】
1 通信ネットワーク
2,3 基地局
4 保守制御局
5,6 移動通信端末
11 送受信部
12 電界強度取得部
14 バッテリ残量監視部
21 端末送受信部
22 端末状態情報記憶部
23 通信切断理由判定部
24 保守制御局送受信部
31 送受信部
32 通信切断原因決定部
33 記憶部
34 通信再開方法決定部



【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信ネットワークに接続された基地局と、該基地局の通信を制御する通信制御局とを有し、前記基地局を介して移動通信端末が相手通信端末と通信する移動体通信システムであって、
前記移動通信端末は、電界強度取得部を有し、
前記基地局は、端末状態情報記憶部と通信切断理由判定部とを有し、
前記通信制御局は、通信切断原因決定部と通信再開方法決定部とを有し、
前記移動通信端末は、前記相手通信端末との通信中に、少なくとも前記電界強度取得部で取得される電界強度情報を端末状態情報として前記基地局へ定期的に送信し、
前記基地局は、前記移動通信端末からの前記端末状態情報を前記端末状態情報記憶部に記憶し、前記移動通信端末との通信が切断された際に、前記端末状態情報記憶部に記憶されている当該移動通信端末の前記端末状態情報に基づいて前記通信切断理由判定部により通信切断理由を判定して、その通信切断理由判定結果を前記通信制御局へ送信し、
前記通信制御局は、前記基地局からの通信切断理由判定結果に基づいて、前記通信切断原因決定部により通信切断原因元および通信切断理由を含む通信切断原因を決定するとともに、該決定された通信切断原因に基づいて前記通信再開方法決定部により通信再開方法を決定して、前記決定された通信切断原因および通信再開方法に基づく通知情報を前記基地局へ送信し、
前記基地局は、前記通信制御局からの前記通知情報を対応する前記移動通信端末へ送信する、
ことを特徴とする移動体通信システム。
【請求項2】
前記移動通信端末は、さらに、前記相手通信端末との通信中に、バッテリ残量を監視して、該バッテリ残量が所定の閾値以下となった際にバッテリアラーム情報を出力するバッテリ残量監視部を有し、
前記移動通信端末は、前記バッテリ残量監視部からバッテリアラーム情報が出力されると、該バッテリアラーム情報を前記端末状態情報として前記基地局へ送信する、
ことを特徴とする請求項1に記載の移動体通信システム。
【請求項3】
前記通信制御局は、さらに、通信切断原因と通信再開方法とを対応させた通信再開方法指定リストを記憶する記憶部を有し、
前記通信再開方法決定部は、前記通信切断原因決定部により決定された通信切断原因に基づいて、前記記憶部に記憶されている前記通信再開方法指定リストから対応する通信再開方法を決定する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の移動体通信システム。
【請求項4】
前記通信再開方法指定リストは、前記移動通信端末の通信目的を含む通信条件に対応し、
前記通信再開方法決定部は、前記通信切断原因決定部により決定された通信切断原因に基づいて、前記記憶部に記憶されている前記通信再開方法指定リストから対応する通信条件の通信再開方法を決定する、
ことを特徴とする請求項3に記載の移動体通信システム。
【請求項5】
前記通信制御局は、前記通知情報の送信後、当該通知情報に基づく通信再開の結果を監視し、その監視結果に基づいて前記通信再開方法指定リストを更新する、
ことを特徴とする請求項3または4に記載の移動体通信システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−74769(P2012−74769A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−215924(P2010−215924)
【出願日】平成22年9月27日(2010.9.27)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】