説明

移動体通信端末試験システム、基地局模擬装置、及び遅延時間測定方法

【課題】基地局模擬装置の遅延時間を一意的に特定できる構成とすることで、移動体通信端末の遅延時間を精度よく算出可能とする。
【解決手段】記憶部と、デジタル信号を所定の変換方式に基づき符号化してデジタルデータを生成し、デジタルデータを第1の単位ごとに記憶部に遂次書き込む符号化処理部と、デジタルデータを、記憶された順に第2の単位ごとに記憶部から読み出し、読み出されたデジタルデータを指定された通信方式に基づき処理してフレームデータを生成するフレーム生成部と、符号化処理部が、記憶部への一連のデジタルデータの書き込みを開始するタイミングと、フレーム生成部が、記憶部から一連のデジタルデータの読み出しを開始するタイミングとを同期させるタイミング制御部と、を備え、フレームデータをアナログのベースバンド信号に変換し、通信方式に従い周波数変換して被試験端末に出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体通信端末と基地局との間の遅延時間を測定するための技術に関し、特に移動体通信端末内で生じる遅延の時間を測定するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
基地局と移動体通信端末との間で通信を行う場合、一方の機器に入力された信号(例えば、音声信号)が他方の機器から出力されるまでの間には遅延が生じる。これは、各機器を構成する機能ブロック(部品)での信号及びデータの処理に時間を要するためである。移動体通信端末のメーカーは、製造された移動体通信端末で生じる遅延時間を電気通信事業者に通知する必要があり、この遅延時間の測定を行っている。
【0003】
従来は、移動体通信端末を構成する機能ブロックごとの遅延時間を測定して、これらの測定値を基に移動体通信端末の遅延時間を理論的に算出することが可能であった。
【0004】
一方、近年で、機能ブロックを組み合わせてモジュール化された部品を組み合わせることで各移動体通信端末が製造されるようになってきている。これらのモジュール化された部品はブラックボックス化されており、メーカー側で移動体通信端末の遅延時間の理論値を算出することが困難になってきている。
【0005】
そこで、製造された移動体通信端末自体の遅延時間を測定する方法が用いられるようになってきている。このような場合には、移動体通信端末を基地局模擬装置に接続することで移動体通信端末試験システムを構成して、このシステムの遅延時間を測定する。具体的には、基地局模擬装置から試験信号を移動体通信端末に送信し、この試験信号と移動体通信端末で受信された信号との間の遅延時間を測定する。測定された遅延時間には、基地局模擬装置内での遅延時間が含まれるため、これを減算することで移動体通信端末の遅延時間を算出することが可能である。
【0006】
一方で、このような基地局模擬装置は、通信方式の異なる複数の移動体通信端末を試験できるように構成されることが望まれる。ところで、通信方式が異なると、その通信方式に応じてデータの処理単位(例えば、フレーム長やスロット長)が異なる。そのため、基地局模擬装置は、入力信号のデータを選択された通信方式の処理単位ごとのデータに変換する。具体的には、基地局模擬装置は、まず入力信号のデータをメモリ等の記憶部に一時的に記憶させる。基地局模擬装置は、記憶部に記憶されたデータを、通信方式に対応した処理単位ごとに、記憶された順に読み出す(即ち、FIFO:First In First Out)。これにより、データの処理単位が、入力信号に応じた処理単位から、通信方式に応じた処理単位に変換される。これは、逆の場合、即ち、移動体通信端末から通信方式に応じたデータを受けて、基地局模擬装置から信号を出力する場合も同様である。この場合、記憶部を介して、通信方式に応じた処理単位から基地局模擬装置から出力する信号に応じた処理単位に変換する点も同様である。
【0007】
しかしながら、従来の基地局模擬装置では、このデータの処理単位の変換に掛かる処理時間が一意に定まらなかった。これは、記憶部へのデータの書込みの開始と、記憶部に記憶されたデータの読出しの開始が非同期で動作しており、データが入力されてから出力されるまでの期間にバラつきが生じるためである。そのため、従来の基地局模擬装置では、遅延時間を一意的に特定することが困難であり、移動体通信端末試験システムの遅延時間を基に、移動体通信端末の遅延時間を精度よく算出することが困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平10−42343号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
この発明は、基地局模擬装置の遅延時間を一意的に特定できる構成とすることで、移動体通信端末の遅延時間を精度よく算出可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、アナログの第1の試験信号を生成する試験信号生成部(1)と、前記第1の試験信号を指定された通信方式の無線信号に変換し、被試験端末に出力する基地局模擬装置(2)と、前記無線信号を受けて前記被試験端末から出力されたアナログの第2の試験信号と、前記第1の試験信号とを受けて、前記第1の試験信号と前記第2の試験信号との間の時間差を測定する測定部(4)と、を備え、通信方式の異なる複数種類の前記被試験端末を試験する移動体通信端末試験システムであって、前記基地局模擬装置は、前記第1の試験信号をA/D変換してデジタル信号として出力するA/D変換部(211)と、記憶部(213)と、前記デジタル信号を所定の変換方式に基づき符号化して一連のデジタルデータを生成し、前記デジタルデータを第1の単位ごとに前記記憶部に遂次書き込む符号化処理部(212)と、前記デジタルデータを、記憶された順に第2の単位ごとに前記記憶部から読み出し、読み出された前記デジタルデータを前記指定された通信方式に基づき処理してフレームデータを生成するフレーム生成部(214)と、前記フレームデータをアナログのベースバンド信号に変換するD/A変換部(215)と、前記ベースバンド信号を前記指定された通信方式に従い周波数変換して試験対象である移動体通信端末に出力する周波数変換部(216)と、前記符号化処理部が、前記記憶部への前記一連のデジタルデータの書き込みを開始するタイミングと、前記フレーム生成部が、前記記憶部から前記一連のデジタルデータの読み出しを開始するタイミングとを同期させるタイミング制御部(217)と、を備え、前記基地局模擬装置が、前記第1の試験信号を受けて前記無線信号を出力するまでの遅延時間を各通信方式において一定に保つことを特徴とする移動体通信端末試験システムである。
また、請求項2に記載の発明は、アナログの第3の試験信号を生成する試験信号生成部(1)と、前記第3の試験信号を受けた被試験端末から出力された無線信号を受けて、指定された通信方式に基づきアナログの第4の試験信号に変換して出力する基地局模擬装置(2)と、前記第3の試験信号と前記第4の試験信号とを受けて、前記第3の試験信号と前記第4の試験信号との間の時間差を測定する測定部(4)と、を備え、通信方式の異なる複数種類の前記被試験端末を試験する移動体通信端末試験システムであって、前記基地局模擬装置は、前記無線信号を受けて、前記指定された通信方式に基づき周波数変換してベースバンド信号として出力する周波数変換部(226)と、前記ベースバンド信号をA/D変換してフレームデータとして出力するD/A変換部(225)と、記憶部(223)と、前記フレームデータを前記指定された通信方式に基づき処理して一連のデジタルデータを取出し、前記デジタルデータを第3の単位ごとに前記記憶部に遂次書き込むフレーム解析部(224)と、前記デジタルデータを、記憶された順に第4の単位ごとに前記記憶部から読み出し、所定の変換方式に基づき復号し、デジタル信号として出力する復号処理部(222)と、前記デジタル信号を前記第4の試験信号に変換するD/A変換部(221)と、前記フレーム解析部が、前記記憶部への前記一連のデジタルデータの書き込みを開始するタイミングと、前記復号処理部が、前記記憶部から前記一連のデジタルデータの読み出しを開始するタイミングとを同期させるタイミング制御部(227)と、を備え、前記基地局模擬装置が、前記無線信号を受けて前記第4の試験信号を出力するまでの遅延時間を各通信方式において一定に保つことを特徴とする移動体通信端末試験システムである。
また、請求項3に記載の発明は、アナログの試験信号を受けて、前記試験信号をA/D変換してデジタル信号として出力するA/D変換部(211)と、記憶部(213)と、前記デジタル信号を所定の変換方式に基づき符号化してデジタルデータを生成し、前記デジタルデータを第1の単位ごとに前記記憶部に遂次書き込む符号化処理部(212)と、前記デジタルデータを、記憶された順に第2の単位ごとに前記記憶部から読み出し、読み出された前記デジタルデータを指定された通信方式に基づき処理してフレームデータを生成するフレーム生成部(214)と、前記フレームデータをアナログのベースバンド信号に変換するD/A変換部(215)と、前記ベースバンド信号を前記指定された通信方式に従い周波数変換して試験対象である移動体通信端末に出力する周波数変換部(216)と、前記符号化処理部が、前記記憶部への前記一連のデジタルデータの書き込みを開始するタイミングと、前記フレーム生成部が、前記記憶部から前記一連のデジタルデータの読み出しを開始するタイミングとを同期させるタイミング制御部(217)と、を備えた基地局模擬装置である。
また、請求項4に記載の発明は、試験対象である移動体通信端末からアナログの無線信号を受けて、指定された通信方式に基づき周波数変換してベースバンド信号として出力する周波数変換部(226)と、前記ベースバンド信号をA/D変換してフレームデータとして出力するD/A変換部(225)と、記憶部(223)と、前記フレームデータから前記指定された通信方式に基づき処理してデジタルデータを取出し、前記デジタルデータを第3の単位ごとに前記記憶部に遂次書き込むフレーム解析部(224)と、前記デジタルデータを、記憶された順に第4の単位ごとに前記記憶部から読み出し、所定の変換方式に基づき復号し、デジタル信号として出力する復号処理部(222)と、前記デジタル信号をアナログの試験信号に変換するD/A変換部(221)と、前記フレーム解析部が、前記記憶部への前記一連のデジタルデータの書き込みを開始するタイミングと、前記復号処理部が、前記記憶部から前記一連のデジタルデータの読み出しを開始するタイミングとを同期させるタイミング制御部(227)と、を備えた基地局模擬装置である。
また、請求項5に記載の発明は、アナログの第1の試験信号を生成する試験信号生成ステップと、前記第1の試験信号をA/D変換してデジタル信号として出力するA/D変換ステップと、前記デジタル信号を所定の変換方式に基づき符号化してデジタルデータを生成する、符号化処理ステップと、前記デジタルデータを第1の単位ごとに記憶部に遂次書き込む書き込みステップと、前記書き込みステップに同期して、前記デジタルデータを、記憶された順に第2の単位ごとに前記記憶部から読み出す読み出しステップと、読み出された前記デジタルデータを指定された通信方式に基づき処理してフレームデータを生成するフレーム生成ステップと、前記フレームデータをアナログのベースバンド信号に変換するD/A変換ステップと、前記ベースバンド信号を前記指定された通信方式に従い周波数変換して無線信号を生成し、前記無線信号を試験対象である移動体通信端末に出力する周波数変換ステップと、前記無線信号を受けて前記被試験端末から出力されたアナログの第2の試験信号と、前記第1の試験信号とを受けて、前記第1の試験信号と前記第2の試験信号との間の時間差を測定する測定ステップと、を備えたことを特徴とする遅延時間測定方法である。
また、請求項6に記載の発明は、アナログの第3の試験信号を生成する試験信号生成ステップと、前記第3の試験信号を受けた被試験端末から出力された無線信号を受けて、指定された通信方式に基づき周波数変換してベースバンド信号として出力する周波数変換ステップと、前記ベースバンド信号をA/D変換してフレームデータとして出力するD/A変換ステップと、前記フレームデータを前記指定された通信方式に基づき処理してデジタルデータを取出すフレーム解析ステップと、前記デジタルデータを第3の単位ごとに記憶部に遂次書き込む書き込みステップと、前記書き込みステップに同期して前記デジタルデータを、記憶された順に第4の単位ごとに前記記憶部から読み出す読み出しステップと、読み出された前記デジタルデータを、所定の変換方式に基づき復号し、デジタル信号として出力する復号処理ステップと、前記デジタル信号を前記第4の試験信号に変換するD/A変換ステップと、前記第3の試験信号と前記第4の試験信号とを受けて、前記第3の試験信号と前記第4の試験信号との間の時間差を測定する測定ステップと、を備えたことを特徴とする遅延時間測定方法である。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る技術は、例えば送信時に着目した場合、記憶部へのデジタルデータの書き込みが開始されるタイミングに同期して、記憶部からのデジタルデータの読み出しを開始し、各通信方式に沿ったフレームデータを生成する構成とした。これにより、基地局模擬装置が、第1の試験信号を受けて無線信号を出力するまでの遅延時間が少なくとも通信方式ごとに一定に保たれる。これは、受信時においても同様であり、無線信号を受けて第4の試験信号を出力するまでの遅延時間が一定に保たれる。そのため、移動体通信端末試験システムの遅延時間を測定することで、このシステムの遅延時間と基地局模擬装置の遅延時間とに基づき、移動体通信端末の遅延時間を精度よく算出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1の実施形態に係る移動体通信端末試験システムのブロック図である。
【図2】基地局模擬装置の送信部のブロック図である。
【図3】第1の実施形態に係る移動体通信端末試験システムの一連の処理を示したフローチャートである。
【図4】第2の実施形態に係る移動体通信端末試験システムのブロック図である。
【図5】基地局模擬装置の受信部のブロック図である。
【図6】第2の実施形態に係る移動体通信端末試験システムの一連の処理を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
移動体通信端末の遅延時間の測定には、「受信時の測定」と「送信時の測定」とが含まれる。「受信時の測定」では、移動体通信端末が基地局からの信号を受信する場合における遅延時間を測定する。また、「送信時の測定」では、移動体通信端末が基地局に信号を送信する場合の遅延時間を測定する。本発明に係る移動体通信端末試験装置は、通信方式の異なる複数の移動体通信端末を試験できるように構成されている。この通信方式には、W−CDMA(Wideband−Code Division Multiple Access)、GSM、TD−SCDMA(Time Division Synchronous Code Division Multiple Access)等が含まれる。以降では、本発明に係る移動体通信端末試験システムについて、基地局と移動体通信端末との間で音声信号を送受信する場合を例に説明する。まず、「受信時の測定」に係る移動体通信端末試験システムの構成及び動作について、第1の実施形態として説明する。なお、「送信時の測定」に係る移動体通信端末試験システムの構成及び動作については、第2の実施形態として後述する。
【0014】
(第1の実施形態)
第1の実施形態に係る移動体通信端末試験システムの構成について、図1を参照しながら説明する。図1に示すように、本実施形態に係る移動体通信端末試験システムは、試験信号生成部1と、基地局模擬装置2と、測定部4とを含んで構成され、被試験端末3を試験するようになっている。基地局模擬装置2は、送信部21と、受信部22とを含んで構成されており、本実施形態(即ち、「受信時の測定」)においては送信部21が使用される。なお、受信部22は、第2の実施形態(即ち、「送信時の測定」)において使用される。
【0015】
試験信号生成部1は、試験用のアナログの音声信号AF1を生成する。試験信号生成部1は、生成された音声信号AF1を送信部21及び測定部4に出力する。送信部21及び測定部4については後述する。なお、音声信号AF1が「第1の試験信号」に相当する。
【0016】
送信部21は、試験信号生成部1から音声信号AF1を受ける。送信部21は、音声信号AF1をデジタルデータに変換し、測定の条件として指定された所定の通信方式に基づき符号化及び変調を施してアナログの搬送波RFに変換する。この送信部21の動作の詳細について、図2を参照しながら説明する。図2は、送信部21のブロック図である。
【0017】
図2に示すように、送信部21は、A/D変換部211と、符号化処理部212と、記憶部213と、フレーム生成部214と、D/A変換部215と、周波数変換部216と、タイミング制御部217とを含んで構成される。
【0018】
試験信号生成部1から出力された音声信号AF1は、A/D変換部211に入力される。A/D変換部211は、音声信号AF1をA/D変換し、デジタル信号Dxとして符号化処理部212に出力する。
【0019】
符号化処理部212は、A/D変換部211からデジタル信号Dxを受ける。符号化処理部212は、所定の単位U1分のデータを1ブロックとして、デジタル信号Dxをブロックごとに、所定のコーデック(即ち、変換方式:ここでは音声データ圧縮処理)に基づきデジタルデータDyに変換する。このコーデックは、例えばGSM−AMR音声コーデックである。ここで所定の単位U1は、コーデックのフレーム長(20ms分)を示している。
【0020】
符号化処理部212は、タイミング制御部217からの指示を受けて、記憶部213へのデジタルデータDyの書き込みを開始する。このとき、符号化処理部212は、デジタルデータDyを、ブロックごとに記憶部213に書き込む。タイミング制御部217については後述する。なお、単位U1が「第1の単位」に相当する。
【0021】
記憶部213は、デジタルデータDyを一時的に記憶する(即ち、バッファである)。記憶部213は、FIFOとして構成されている。記憶部213に記憶されたデジタルデータDyは、書き込まれた順にフレーム生成部214により読み出される。
【0022】
フレーム生成部214は、タイミング制御部217からの指示を受けて、記憶部213に記憶されたデジタルデータDyの読み出しを開始する。このとき、フレーム生成部214は、記憶部213に記憶された順に、所定の単位U2のデータを1ブロックとして、ブロックごとにデジタルデータDyを読み出す。なお、1ブロック分のデータ量(即ち、単位U2)は、あらかじめ指定された通信方式(以降は、「所定の通信方式」と呼ぶ)のフレーム長に基づきあらかじめ設定されている。例えば、通信方式としてW−CDMAが指定された場合、フレーム生成部214は、フレーム長(10ms)に基づき、2フレーム分(20ms)のデータを1ブロックとして処理する。また、通信方式としてGSMが指定された場合には、フレーム生成部214は、フレーム長(4.62ms)に基づき、4フレーム分(18.48ms)のデータを1ブロックとして処理する。なお、単位U2が「第2の単位」に相当する。
【0023】
なお、通信方式に応じた1ブロック分のデータ量(単位U2)の違いにより、通信方式間でブロックごとのデータの先頭が処理されるタイミングにずれが生じる場合がある。その場合には、フレーム生成部214は、通信方式に応じて所定のタイミングで空のデータを挿入することで、あらかじめ決められたタイミング(例えば、60msごと)に所定のブロックの先頭のデータを同期させる。例えば、フレーム生成部214は、GSMが指定された場合には、3ブロック分のデータを処理するごとに1フレーム分の空のデータを挿入する。こうすることで、3ブロック分のデータの処理タイミングが、60msごとの処理タイミングに同期される。なお、W−CDMAの場合には、1ブロックが20ms分のデータに相当するため、3ブロック分のデータの処理が、60msごとの処理タイミングに同期される。そのため、W−CDMAの場合には、フレーム生成部214は、空のデータの挿入を行わない。
【0024】
フレーム生成部214は、ブロックごとに読み出されたデジタルデータDyを、所定の通信方式に応じた変調方式(例えば、直交変調)に基づき変調して、当該通信方式に応じたフレーム構造を有するフレームデータDzを生成する。フレーム生成部214は、フレームデータDzをD/A変換部215に出力する。このフレームデータDzは、デジタルのベースバンド信号である。
【0025】
タイミング制御部217は、符号化処理部212が記憶部213へのデジタルデータDyの書き込みを開始するタイミングと、フレーム生成部214が記憶部213からのデジタルデータDyの読み出しを開始するタイミングとを制御する。このとき、タイミング制御部217は、記憶部213への書き込みが開始されるタイミングと、記憶部213からの読み出しが開始されるタイミングとを同期させる。なお、記憶部213からの読み出しが開始されるタイミングは、記憶部213への書き込みが開始されるタイミングと同時か、またはそれより遅いタイミングであればよい。また、タイミング制御部217を、符号化処理部212及びフレーム生成部214のいずれかの構成に含め、当該構成の指示に基づき他方の構成が処理を開始するタイミングを制御するように動作させてもよい。
【0026】
D/A変換部215は、フレーム生成部214からフレームデータDzを受けると、受けたフレームデータDzをアナログ信号AxにD/A変換する。D/A変換部215は、アナログ信号Axを周波数変換部216に出力する。このアナログ信号Axは、アナログのベースバンド信号である。
【0027】
周波数変換部216は、D/A変換部215からアナログ信号Axを受けると、受けたアナログ信号Axを所定の通信方式に基づいて周波数変換する。周波数変換部216は、周波数変換されたアナログ信号Ax、即ち搬送波RFを被試験端末3に送信する。なお、基地局模擬装置2と被試験端末3とは、無線または有線(試験用に同軸ケーブルで搬送波RFを伝搬する)で接続されている。被試験端末3は、この搬送波RFを前述した所定の通信方式に基づき復号して、スピーカ等の出力部を介して音声信号AF2として出力する。なお、音声信号AF2が「第2の試験信号」に相当する。
【0028】
ここで図1を参照する。測定部4は、試験信号生成部1から音声信号AF1を受ける。また、測定部4は、被試験端末3の出力部から出力された音声信号AF2を、マイク等の入力部を介して受ける。測定部4は、音声信号AF1の波形と音声信号AF2の波形とを比較し、この2つの波形の間の遅延時間を測定する。測定部4としては、一般的には、オシロスコープ等の複数のアナログ波形を比較可能な機器が用いられる。あるいは、2つの波形の相関処理を行って遅延時間を求めるものでもよい。
【0029】
次に、本実施形態に係る移動体通信端末試験システムの一連の動作について図3を参照しながら説明する。図3は、移動体通信端末試験システムの一連の処理の流れを示したフローチャートである。
【0030】
(ステップS11)
試験信号生成部1は、試験用のアナログの音声信号AF1を生成する。試験信号生成部1は、生成された音声信号AF1を送信部21及び測定部4に出力する。
【0031】
(ステップS12)
試験信号生成部1から出力された音声信号AF1は、A/D変換部211に入力される。A/D変換部211は、音声信号AF1をA/D変換し、デジタル信号Dxとして符号化処理部212に出力する。
【0032】
符号化処理部212は、A/D変換部211からデジタル信号Dxを受ける。符号化処理部212は、所定の単位U1分のデータを1ブロックとして、デジタル信号Dxをブロックごとに、所定のコーデック(即ち、変換方式:ここでは音声データ圧縮処理)に基づきデジタルデータDyに変換する。
【0033】
(ステップS13)
符号化処理部212は、タイミング制御部217からの指示を受けて、記憶部213へのデジタルデータDyの書き込みを開始する。このとき、符号化処理部212は、デジタルデータDyを、ブロックごとに記憶部213に書き込む。
【0034】
(ステップS14)
フレーム生成部214は、タイミング制御部217からの指示を受けて、記憶部213に記憶されたデジタルデータDyの読み出しを開始する。このとき、フレーム生成部214は、記憶部213に記憶された順に、所定の単位U2のデータを1ブロックとして、ブロックごとにデジタルデータDyを読み出す。このとき、タイミング制御部217は、符号化処理部212が記憶部213へのデジタルデータDyの書き込みを開始するタイミングと、フレーム生成部214が記憶部213からのデジタルデータDyの読み出しを開始するタイミングとを同期させる。
【0035】
(ステップS15)
フレーム生成部214は、ブロックごとに読み出されたデジタルデータDyを、所定の通信方式に応じた変調方式(例えば、直交変調)に基づき変調して、当該通信方式に応じたフレーム構造を有するフレームデータDzを生成する。フレーム生成部214は、フレームデータDzをD/A変換部215に出力する。
【0036】
D/A変換部215は、フレーム生成部214からフレームデータDzを受けると、受けたフレームデータDzをアナログ信号AxにD/A変換する。D/A変換部215は、アナログ信号Axを周波数変換部216に出力する。
【0037】
周波数変換部216は、D/A変換部215からアナログ信号Axを受けると、受けたアナログ信号Axを所定の通信方式に基づいて周波数変換する。周波数変換部216は、周波数変換されたアナログ信号Ax、即ち搬送波RFを被試験端末3に送信する。
【0038】
(ステップS16)
被試験端末3は、周波数変換部216から受信した搬送波RFを前述した所定の通信方式に基づき復号して、スピーカ等の出力部を介して音声信号AF2として出力する。測定部4は、被試験端末3の出力部から出力された音声信号AF2を、マイク等の入力部を介して受ける。
【0039】
(ステップS17)
また、測定部4は、試験信号生成部1から音声信号AF1を受ける。測定部4は、音声信号AF1の波形と音声信号AF2の波形とを比較し、この2つの波形の間の遅延時間を測定する。
【0040】
以上、本実施形態に係る基地局模擬装置2に依れば、タイミング制御部217の制御により、記憶部213にデジタルデータDyが書き込まれるタイミングと、記憶部213からデジタルデータDyが読み出されるタイミングとが同期する。これにより、基地局模擬装置2が、音声信号AF1を受けて搬送波RFを出力するまでの遅延時間が少なくとも通信方式ごとに一定に保たれる。そのため、基地局模擬装置2の遅延時間を事前に測定することが可能となる。これにより、測定部4で音声信号AF1と音声信号AF2との間の遅延時間を算出し、算出された遅延時間から事前に測定された基地局模擬装置2の遅延時間を減算することで、被試験端末3の遅延時間を精度よく算出することが可能となる。
【0041】
(第2の実施形態)
第2の実施形態に係る移動体通信端末試験システムの構成について、図4を参照しながら説明する。図4に示すように、本実施形態に係る移動体通信端末試験システムは、試験信号生成部1と、基地局模擬装置2と、測定部4とを含んで構成され、被試験端末3を試験するようになっている。基地局模擬装置2は、送信部21と、受信部22とを含んで構成されており、本実施形態(即ち、「送信時の測定」)においては受信部22が使用される。
【0042】
試験信号生成部1は、試験用のアナログの音声信号AF3を生成する。試験信号生成部1は、生成された音声信号AF3を被試験端末3及び測定部4に出力する。測定部4については後述する。被試験端末3は、マイク等の入力部を介して音声信号AF3を受ける。被試験端末3は、受けた音声信号AF3をあらかじめ決められた通信方式に基づき符号化することで搬送波RFに変換し、搬送波RFを受信部22に送信する。なお、音声信号AF3が「第3の試験信号」に相当する。
【0043】
受信部22は、被試験端末3から搬送波RFを受ける。受信部22は、搬送波RFを測定の条件として指定された所定の通信方式に基づき復号したうえで音声信号AF4に変換する。この受信部22の動作の詳細について、図5を参照しながら説明する。図5は、受信部22のブロック図である。なお、音声信号AF4が「第4の試験信号」に相当する。
【0044】
図5に示すように、受信部22は、D/A変換部221と、復号処理部222と、記憶部223と、フレーム解析部224と、A/D変換部225と、周波数変換部226と、タイミング制御部227とを含んで構成される。
【0045】
被試験端末3から送信された搬送波RFは、周波数変換部226に入力される。周波数変換部226は、所定の通信方式に基づいて搬送波RFを周波数変換する。周波数変換部226は、周波数変換された搬送波RF、即ちアナログ信号AxをA/D変換部225に出力する。
【0046】
A/D変換部225は、周波数変換部226からアナログ信号Axを受けると、受けたアナログ信号Axをデジタルの信号にA/D変換する。このデジタル信号は、所定の通信方式に基づいたフレーム構造を有するフレームデータDzに相当する。A/D変換部225は、フレームデータDzをフレーム解析部224に出力する。
【0047】
フレーム解析部224は、A/D変換部225からフレームデータDzを受けると、受けたフレームデータDzを所定の通信方式に応じた変調方式に基づき復調して、デジタルデータDyを取り出す。
【0048】
フレーム解析部224は、タイミング制御部227からの指示を受けて、記憶部223へのデジタルデータDyの書き込みを開始する。このとき、フレーム解析部224は、取り出されたデジタルデータDyを、所定の単位U2のデータを1ブロックとして、ブロックごとに記憶部223に書き込む。なお、この単位U2は、第1の実施形態における単位U2と同様であり、「第3の単位」に相当する。
【0049】
記憶部223は、デジタルデータDyを一時的に記憶する(即ち、バッファである)。記憶部223は、FIFOとして構成されている。記憶部223に記憶されたデジタルデータDyは、書き込まれた順に復号処理部222により読み出される。
【0050】
復号処理部222は、タイミング制御部227からの指示を受けて、記憶部223に記憶されたデジタルデータDyの読み出しを開始する。このとき、復号処理部222は、記憶部223に記憶された順に、所定の単位U1のデータを1ブロックとして、ブロックごとにデジタルデータDyを読み出す。なお、この単位U1は、第1の実施形態における単位U1と同様であり、「第4の単位」に相当する。
【0051】
復号処理部222は、読み出されたデジタルデータDyを、所定のコーデック(即ち、変換方式:ここでは音声圧縮データの伸長処理)に基づきデジタル信号Dxに復号する。このコーデックは、例えばGSM−AMR音声コーデックである。復号処理部222は、復号されたデジタル信号DxをD/A変換部221に出力する。
【0052】
タイミング制御部227は、フレーム解析部224が記憶部223へのデジタルデータDyの書き込みを開始するタイミングと、復号処理部222が記憶部223からのデジタルデータDyの読み出しを開始するタイミングとを制御する。このとき、タイミング制御部227は、記憶部223への書き込みが開始されるタイミングと、記憶部223からの読み出しが開始されるタイミングとを同期させる。なお、記憶部223からの読み出しが開始されるタイミングは、記憶部223への書き込みが開始されるタイミングと同時か、またはそれより遅いタイミングであればよい。また、タイミング制御部227を、フレーム解析部224及び復号処理部222のいずれかの構成に含め、当該構成の指示に基づき他方の構成が処理を開始するタイミングを制御するように動作させてもよい。
【0053】
D/A変換部221は、復号処理部222からデジタル信号Dxを受けると、受けたデジタル信号Dxをアナログの音声信号AF4にD/A変換する。D/A変換部221は、音声信号AF4を測定部4に出力する。
【0054】
ここで図4を参照する。測定部4は、試験信号生成部1から音声信号AF3を受ける。また、測定部4は、受信部22のD/A変換部221から出力された音声信号AF4を受ける。測定部4は、音声信号AF3の波形と音声信号AF4の波形とを比較し、この2つの波形の間の遅延時間を測定する。
【0055】
次に、本実施形態に係る移動体通信端末試験システムの一連の動作について図6を参照しながら説明する。図6は、移動体通信端末試験システムの一連の処理の流れを示したフローチャートである。
【0056】
(ステップS21)
試験信号生成部1は、試験用のアナログの音声信号AF3を生成する。試験信号生成部1は、生成された音声信号AF3を被試験端末3及び測定部4に出力する。被試験端末3は、マイク等の入力部を介して音声信号AF3を受ける。
【0057】
(ステップS22)
被試験端末3は、受けた音声信号AF3をあらかじめ決められた通信方式に基づき符号化することで搬送波RFに変換し、搬送波RFを受信部22に送信する。被試験端末3から送信された搬送波RFは、周波数変換部226に入力される。
【0058】
(ステップS23)
周波数変換部226は、所定の通信方式に基づいて搬送波RFを周波数変換する。周波数変換部226は、周波数変換された搬送波RF、即ちアナログ信号AxをA/D変換部225に出力する。
【0059】
A/D変換部225は、周波数変換部226からアナログ信号Axを受けると、受けたアナログ信号Axをデジタルの信号にA/D変換する。A/D変換部225は、フレームデータDzをフレーム解析部224に出力する。
【0060】
フレーム解析部224は、A/D変換部225からフレームデータDzを受けると、受けたフレームデータDzを所定の通信方式に応じた変調方式に基づき復調して、デジタルデータDyを取り出す。
【0061】
(ステップS24)
フレーム解析部224は、タイミング制御部227からの指示を受けて、記憶部223へのデジタルデータDyの書き込みを開始する。このとき、フレーム解析部224は、取り出されたデジタルデータDyを、所定の単位U2のデータを1ブロックとして、ブロックごとに記憶部223に書き込む。
【0062】
(ステップS25)
復号処理部222は、タイミング制御部227からの指示を受けて、記憶部223に記憶されたデジタルデータDyの読み出しを開始する。このとき、復号処理部222は、記憶部223に記憶された順に、所定の単位U1のデータを1ブロックとして、ブロックごとにデジタルデータDyを読み出す。このとき、タイミング制御部227は、フレーム解析部224が記憶部223へのデジタルデータDyの書き込みを開始するタイミングと、復号処理部222が記憶部223からのデジタルデータDyの読み出しを開始するタイミングとを同期させる。
【0063】
(ステップS26)
復号処理部222は、読み出されたデジタルデータDyを、所定のコーデック(即ち、変換方式:ここでは音声圧縮データの伸長処理)に基づきデジタル信号Dxに復号する。復号処理部222は、復号されたデジタル信号DxをD/A変換部221に出力する。
【0064】
D/A変換部221は、復号処理部222からデジタル信号Dxを受けると、受けたデジタル信号Dxをアナログの音声信号AF4にD/A変換する。D/A変換部221は、音声信号AF4を測定部4に出力する。
【0065】
(ステップS27)
測定部4は、試験信号生成部1から音声信号AF3を受ける。また、測定部4は、受信部22のD/A変換部221から出力された音声信号AF4を受ける。測定部4は、音声信号AF3の波形と音声信号AF4の波形とを比較し、この2つの波形の間の遅延時間を測定する。
【0066】
以上、本実施形態に係る基地局模擬装置2に依れば、タイミング制御部227の制御により、記憶部223にデジタルデータDyが書き込まれるタイミングと、記憶部223からデジタルデータDyが読み出されるタイミングとが同期する。これにより、基地局模擬装置2が、搬送波RFを受けて音声信号AF4を出力するまでの遅延時間が少なくとも通信方式ごとに一定に保たれる。そのため、測定部4で音声信号AF3と音声信号AF4との間の遅延時間を算出することで、算出された遅延時間から被試験端末3の遅延時間を精度よく算出することが可能となる。
【符号の説明】
【0067】
1 試験信号生成部
2 基地局模擬装置
21 送信部
211 A/D変換部
212 符号化処理部
213 記憶部
214 フレーム生成部
215 D/A変換部
216 周波数変換部
217 タイミング制御部
22 受信部
221 D/A変換部
222 復号処理部
223 記憶部
224 フレーム解析部
225 A/D変換部
226 周波数変換部
227 タイミング制御部
3 被試験端末
4 測定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アナログの第1の試験信号を生成する試験信号生成部(1)と、
前記第1の試験信号を指定された通信方式の無線信号に変換し、被試験端末に出力する基地局模擬装置(2)と、
前記無線信号を受けて前記被試験端末から出力されたアナログの第2の試験信号と、前記第1の試験信号とを受けて、前記第1の試験信号と前記第2の試験信号との間の時間差を測定する測定部(4)と、
を備え、通信方式の異なる複数種類の前記被試験端末を試験する移動体通信端末試験システムであって、
前記基地局模擬装置は、
前記第1の試験信号をA/D変換してデジタル信号として出力するA/D変換部(211)と、
記憶部(213)と、
前記デジタル信号を所定の変換方式に基づき符号化して一連のデジタルデータを生成し、前記デジタルデータを第1の単位ごとに前記記憶部に遂次書き込む符号化処理部(212)と、
前記デジタルデータを、記憶された順に第2の単位ごとに前記記憶部から読み出し、読み出された前記デジタルデータを前記指定された通信方式に基づき処理してフレームデータを生成するフレーム生成部(214)と、
前記フレームデータをアナログのベースバンド信号に変換するD/A変換部(215)と、
前記ベースバンド信号を前記指定された通信方式に従い周波数変換して試験対象である移動体通信端末に出力する周波数変換部(216)と、
前記符号化処理部が、前記記憶部への前記一連のデジタルデータの書き込みを開始するタイミングと、前記フレーム生成部が、前記記憶部から前記一連のデジタルデータの読み出しを開始するタイミングとを同期させるタイミング制御部(217)と、
を備え、
前記基地局模擬装置が、前記第1の試験信号を受けて前記無線信号を出力するまでの遅延時間を各通信方式において一定に保つことを特徴とする移動体通信端末試験システム。
【請求項2】
アナログの第3の試験信号を生成する試験信号生成部(1)と、
前記第3の試験信号を受けた被試験端末から出力された無線信号を受けて、指定された通信方式に基づきアナログの第4の試験信号に変換して出力する基地局模擬装置(2)と、
前記第3の試験信号と前記第4の試験信号とを受けて、前記第3の試験信号と前記第4の試験信号との間の時間差を測定する測定部(4)と、
を備え、通信方式の異なる複数種類の前記被試験端末を試験する移動体通信端末試験システムであって、
前記基地局模擬装置は、
前記無線信号を受けて、前記指定された通信方式に基づき周波数変換してベースバンド信号として出力する周波数変換部(226)と、
前記ベースバンド信号をA/D変換してフレームデータとして出力するD/A変換部(225)と、
記憶部(223)と、
前記フレームデータを前記指定された通信方式に基づき処理して一連のデジタルデータを取出し、前記デジタルデータを第3の単位ごとに前記記憶部に遂次書き込むフレーム解析部(224)と、
前記デジタルデータを、記憶された順に第4の単位ごとに前記記憶部から読み出し、所定の変換方式に基づき復号し、デジタル信号として出力する復号処理部(222)と、
前記デジタル信号を前記第4の試験信号に変換するD/A変換部(221)と、
前記フレーム解析部が、前記記憶部への前記一連のデジタルデータの書き込みを開始するタイミングと、前記復号処理部が、前記記憶部から前記一連のデジタルデータの読み出しを開始するタイミングとを同期させるタイミング制御部(227)と、
を備え、
前記基地局模擬装置が、前記無線信号を受けて前記第4の試験信号を出力するまでの遅延時間を各通信方式において一定に保つことを特徴とする移動体通信端末試験システム。
【請求項3】
アナログの試験信号を受けて、前記試験信号をA/D変換してデジタル信号として出力するA/D変換部(211)と、
記憶部(213)と、
前記デジタル信号を所定の変換方式に基づき符号化してデジタルデータを生成し、前記デジタルデータを第1の単位ごとに前記記憶部に遂次書き込む符号化処理部(212)と、
前記デジタルデータを、記憶された順に第2の単位ごとに前記記憶部から読み出し、読み出された前記デジタルデータを指定された通信方式に基づき処理してフレームデータを生成するフレーム生成部(214)と、
前記フレームデータをアナログのベースバンド信号に変換するD/A変換部(215)と、
前記ベースバンド信号を前記指定された通信方式に従い周波数変換して試験対象である移動体通信端末に出力する周波数変換部(216)と、
前記符号化処理部が、前記記憶部への前記一連のデジタルデータの書き込みを開始するタイミングと、前記フレーム生成部が、前記記憶部から前記一連のデジタルデータの読み出しを開始するタイミングとを同期させるタイミング制御部(217)と、
を備えた基地局模擬装置。
【請求項4】
試験対象である移動体通信端末からアナログの無線信号を受けて、指定された通信方式に基づき周波数変換してベースバンド信号として出力する周波数変換部(226)と、
前記ベースバンド信号をA/D変換してフレームデータとして出力するD/A変換部(225)と、
記憶部(223)と、
前記フレームデータから前記指定された通信方式に基づき処理してデジタルデータを取出し、前記デジタルデータを第3の単位ごとに前記記憶部に遂次書き込むフレーム解析部(224)と、
前記デジタルデータを、記憶された順に第4の単位ごとに前記記憶部から読み出し、所定の変換方式に基づき復号し、デジタル信号として出力する復号処理部(222)と、
前記デジタル信号をアナログの試験信号に変換するD/A変換部(221)と、
前記フレーム解析部が、前記記憶部への前記一連のデジタルデータの書き込みを開始するタイミングと、前記復号処理部が、前記記憶部から前記一連のデジタルデータの読み出しを開始するタイミングとを同期させるタイミング制御部(227)と、
を備えた基地局模擬装置。
【請求項5】
アナログの第1の試験信号を生成する試験信号生成ステップと、
前記第1の試験信号をA/D変換してデジタル信号として出力するA/D変換ステップと、
前記デジタル信号を所定の変換方式に基づき符号化してデジタルデータを生成する、符号化処理ステップと、
前記デジタルデータを第1の単位ごとに記憶部に遂次書き込む書き込みステップと、
前記書き込みステップに同期して、前記デジタルデータを、記憶された順に第2の単位ごとに前記記憶部から読み出す読み出しステップと、
読み出された前記デジタルデータを指定された通信方式に基づき処理してフレームデータを生成するフレーム生成ステップと、
前記フレームデータをアナログのベースバンド信号に変換するD/A変換ステップと、
前記ベースバンド信号を前記指定された通信方式に従い周波数変換して無線信号を生成し、前記無線信号を試験対象である移動体通信端末に出力する周波数変換ステップと、
前記無線信号を受けて前記被試験端末から出力されたアナログの第2の試験信号と、前記第1の試験信号とを受けて、前記第1の試験信号と前記第2の試験信号との間の時間差を測定する測定ステップと、
を備えたことを特徴とする遅延時間測定方法。
【請求項6】
アナログの第3の試験信号を生成する試験信号生成ステップと、
前記第3の試験信号を受けた被試験端末から出力された無線信号を受けて、指定された通信方式に基づき周波数変換してベースバンド信号として出力する周波数変換ステップと、
前記ベースバンド信号をA/D変換してフレームデータとして出力するD/A変換ステップと、
前記フレームデータを前記指定された通信方式に基づき処理してデジタルデータを取出すフレーム解析ステップと、
前記デジタルデータを第3の単位ごとに記憶部に遂次書き込む書き込みステップと、
前記書き込みステップに同期して前記デジタルデータを、記憶された順に第4の単位ごとに前記記憶部から読み出す読み出しステップと、
読み出された前記デジタルデータを、所定の変換方式に基づき復号し、デジタル信号として出力する復号処理ステップと、
前記デジタル信号を前記第4の試験信号に変換するD/A変換ステップと、
前記第3の試験信号と前記第4の試験信号とを受けて、前記第3の試験信号と前記第4の試験信号との間の時間差を測定する測定ステップと、
を備えたことを特徴とする遅延時間測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−209780(P2012−209780A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−74128(P2011−74128)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
【出願人】(000000572)アンリツ株式会社 (838)
【Fターム(参考)】