説明

移動体通信装置を携帯したユーザの移動手段を推定する装置及び方法

【課題】移動体通信装置の位置情報に基づいて、その移動体通信装置を携帯した人が利用した移動手段を推定する。
【解決手段】移動体通信装置から各時刻における位置データを継続的に収集した、時系列の位置データを記憶する位置データ記憶部21と、位置データ記憶部21から時系列の位置データを読み出して、読み出した時系列の位置データに基づいて、移動体通信装置を携帯したユーザの移動手段を特定できる特定要件を満たす特定地点を抽出する判定地点抽出部15と、特定地点より先の、移動体通信装置を携帯したユーザの移動手段を特定要件に係る移動手段と推定する切替地点抽出部17とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体通信装置を携帯したユーザの移動手段を推定する技術に関し、特に移動体通信装置の時系列の位置データに基づいて移動手段を推定する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
時々刻々と移動する移動体からの位置情報を受信して時系列に蓄積し、これに基づいて移動体のポリゴン内の移動及び他のポリゴンとの間の移動を統計処理するシステムが、例えば特許文献1に記載されている。この特許文献1のシステムは、移動体から取得した位置情報に基づいて、移動体の動きを解析する。
【特許文献1】特開2000−46856号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、近年、携帯電話が広く普及している。これに伴い、多くの人が携帯電話機に代表される移動体通信装置を携帯して日常生活を送っている。このため、人が携帯している移動体通信装置から位置情報を継続的に収集することで、その人の移動軌跡を容易に求めることができる。
【0004】
また、移動体通信装置を携帯した人は、様々な移動手段、例えば自動車、電車あるいは徒歩などで移動する。このため、人の移動軌跡だけでなく、移動に用いた移動手段も把握したいというニーズがある。
【0005】
そこで、本発明の目的は、移動体通信装置の位置情報に基づいて、その移動体通信装置を携帯した人が利用した移動手段を推定することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施態様に従う移動体通信装置を携帯したユーザの移動手段を推定する装置は、前記移動体通信装置の時系列の位置データを記憶する記憶手段と、前記記憶手段から前記移動体通信装置の時系列の位置データを読み出して、当該読み出した時系列の位置データに基づいて、前記移動体通信装置を携帯したユーザの移動手段を特定できる特定要件を満たす特定地点を抽出する抽出手段と、前記特定地点より先の、前記移動体通信装置を携帯したユーザの移動手段を当該特定要件に係る移動手段と推定する推定手段とを備える。
【0007】
好適な実施形態では、前記抽出手段は、前記読み出した時系列の位置データに基づいて、前記移動体通信装置を携帯したユーザの移動手段が、一以上の候補となる移動手段を特定できる候補要件を満たす候補地点をさらに抽出し、前記推定手段は、さらに、前記候補地点より先の、前記移動体通信装置を携帯したユーザの移動手段を、当該候補地点の先の直近の特定地点の特定要件に係る移動手段と推定するようにしてもよい。
【0008】
好適な実施形態では、前記抽出手段は、さらに、前記読み出した時系列の位置データに基づいて、前記ユーザが所定時間以上停止している停止地点を抽出し、前記推定手段は、前記停止地点の先の直近の特定地点または候補地点の推定された移動手段が、前記停止地点の直前の移動手段と同一であるときは、前記停止地点から前記直近の特定地点または候補地点までの移動手段も同一の移動手段と推定するようにしてもよい。
【0009】
好適な実施形態では、前記抽出手段は、前記読み出した時系列の位置データに基づいて前記移動体通信装置を携帯したユーザの移動速度を算出し、少なくとも、前記移動速度を用いて各地点の抽出を行うようにしてもよい。
【0010】
好適な実施形態では、前記記憶手段に記憶されている時系列の位置データに、前記推定手段により推定された移動手段を示す情報を付加した移動手段付きの移動データを生成する手段をさらに備えてもよい。
【0011】
好適な実施形態では、前記移動体通信装置から、各時刻における当該移動体通信装置の位置データを収集して、前記記憶手段に格納する手段をさらに備えていてもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態に係る移動体通信装置を携帯したユーザの移動手段を推定するシステムについて、図面を参照して説明する。
【0013】
図1は、本システムの全体構成を示す。
【0014】
本システムは、同図に示すように、情報センタ1と、複数のユーザ7が携帯している複数台の移動体通信装置3とを備える。
【0015】
情報センタ1は、各移動体通信装置3から、それぞれの現在位置を示す位置データを所定の時間間隔で、継続的に収集する。これにより、情報センタ1には、各移動体通信装置3のそれぞれの時刻における位置データが蓄積される。この位置データを各移動体通信装置3について時系列に捉えると、それらの移動体通信装置3の移動軌跡を示す。
【0016】
移動体通信装置3は、典型的には、GPS(Global Positioning System)機能により自己の現在位置を特定できる携帯電話機である。しかしながら、移動体通信装置3は、ユーザが携帯可能であって、かつ、自己の現在位置を特定し、それを送信できる装置であればよく、必ずしも携帯電話機に限らない。なお、移動体通信装置3、ないしはそれを携帯したユーザの現在位置は、例えば、緯度及び経度で特定される。
【0017】
図2は、情報センタ1の機能構成図を示す。
【0018】
情報センタ1は、例えば汎用的なコンピュータシステムにより構成され、以下に説明する情報センタ1内の個々の構成要素または機能は、例えば、コンピュータプログラムを実行することにより実現される。
【0019】
情報センタ1は、移動体通信装置3から送られてくる位置データを収集する位置データ収集部11と、位置データ収集部11が収集した位置データを記憶する位置データ記憶部21と、道路地図に関するデータを記憶した地図データ記憶部23と、位置データ記憶部21に記憶されている位置データを、道路地図上の位置とマッチングさせる地図マッチング処理部13と、移動手段に関する判定要件に合致する判定地点を抽出する判定地点抽出部15と、抽出された判定地点データを記憶する判定地点データ記憶部25と、判定地点データに基づいて移動手段の切替地点を抽出する切替地点抽出部17と、抽出された基地替え地点の情報を記憶する切替地点テーブル27と、移動手段付き位置データを生成するデータ生成部19と、移動手段付き位置データ記憶部29とを備える。
【0020】
位置データ収集部11は、移動体通信装置3から送られてくる位置データを継続的に収集する。位置データ収集部11は、移動体通信装置3から無線によって送られてくる位置データを直接受信してもよいし、図示しない無線通信装置が移動体通信装置3から送られてくる位置データを受信して、この無線通信装置から有線を介して位置データを取得するようにしてもよい。
【0021】
また、移動体通信装置3が携帯電話機の場合、位置データ収集部11は、各移動体通信装置3(携帯電話機)からそれぞれの位置を直接取得せずに、携帯電話の通常の通話機能及びデータ通信機能などの制御及び管理を行う携帯電話会社のシステムから、各移動体通信装置3(携帯電話機)の位置データを収集するようにしてもよい。これは、携帯電話会社のシステムは、基地局が各移動体通信装置3(携帯電話機)と通信を行うことによって、それぞれの位置を把握しているので、それを利用する。
【0022】
位置データ記憶部21は、位置データ収集部11が収集した位置データを蓄積する。
【0023】
図3は、位置データ記憶部21のデータ構造の一例を示す。位置データ記憶部21は、同図に示すように、移動体通信装置3の識別情報である移動体ID211と、タイムスタンプ212と、移動体通信装置3の緯度213及び経度214とを含む。
【0024】
地図データ記憶部23は、道路地図に関する地図データが記憶されている。
【0025】
地図マッチング処理部13は、位置データ記憶部21と地図データ記憶部23とを参照して、各移動体通信装置3のそれぞれの時刻における地図上の位置を特定する、地図マッチング処理を行う。
【0026】
例えば、地図マッチング処理部13は、位置データ記憶部21から、移動体ID211ごとに位置データを読み出す。データ量が多いときは、地図マッチング処理部13は、複数回に分けて位置データ記憶部21から読み出してもよい。そして、地図マッチング処理部13は、位置データ記憶部21から読み出した位置データの緯度213及び経度214に基づいて、各タイムスタンプ212における移動体通信装置3の地図上の位置を特定する。例えば、地図マッチング処理部13は、緯度213及び経度214で特定される移動体通信装置3の位置が「道路上」、「線路上」、あるいは道路及び線路以外の場所である「その他」のいずれであるかを判定する。
【0027】
地図マッチング処理部13は、位置データ記憶部21から読み出した位置データ及び地図マッチング処理の結果を、判定地点抽出部15へ通知する。
【0028】
判定地点抽出部15は、地図マッチング処理部13から通知を受けた位置データ及び地図マッチング処理の結果を用いて、ユーザが用いた移動手段を判定するための判定地点を抽出する。
【0029】
例えば、本実施形態に係るシステムは、ユーザが移動手段として徒歩、車両及び電車のいずれかを用いた場合に、それらのうちのいずれの移動手段を用いたかを判定する。そのために、本実施形態では、徒歩、車両及び電車のいずれかと特定できる特定要件と、徒歩、車両及び電車のいずれかを候補として特定できる候補要件とが予め定められている。そして、ある地点である移動手段(例えば徒歩)の特定要件に合致したときは、その地点から先の移動手段がその移動手段(徒歩)と特定される。また、ある地点である移動手段(例えば車両または電車)の候補要件に合致したときは、その地点から先の移動手段がそれら候補の移動手段(車両または電車)のいずれかと特定される。
【0030】
判定地点抽出部15は、移動体通信装置3の位置データ及び地図マッチング処理の結果に基づいて、上記のいずれかの特定要件または候補要件に合致する地点を、判定地点として抽出する。
【0031】
各移動手段の特定要件及び候補要件の例を、それぞれ図4A及びBに示す。
【0032】
例えば、同図Aに示す特定要件の例では、徒歩の特定要件は「停止せずに低速度(時速3km〜7km)で連続して15秒移動」、電車の特定要件は「線路上で移動速度が時速30km超」である。また、車両の特定要件は「(1)道路上で移動速度が時速30km超」または「(2)バイパス、有料道路といった歩行者が入れないエリア」のいずれか一方が満たされた場合でよい。
【0033】
また、同図Bに示す候補要件の例では、徒歩の候補要件としては「道路交通規制を無視した動作を検知」及び「地図上の位置が道路上、線路上のいずれでもない」がある。車両または電車の候補要件は「移動速度が時速20km超」である。
【0034】
なお、本実施形態では、特定要件及び候補要件以外に、移動体の種類を類推可能な類推要件を定めてもよい。この類推要件は、上述した特定要件とともにまたは特定要件に代えて適用するようにしてもよい。類推要件の一例としては、例えば、「中速度で移動中に断続的(1〜5秒ごと)に停止する場合、車両の可能性が高い」がある。
【0035】
つぎに、判定地点抽出部15の処理の一例について説明する。
【0036】
まず判定地点抽出部15は、対象となる移動体通信装置3の位置データに基づいて、その移動体通信装置3の移動速度を算出する。そして、判定地点抽出部15は、移動体通信装置3の移動速度と、地図マッチング処理部13のマッチング処理結果とに基づいて、いずれかの特定要件または候補要件に合致する地点を抽出する。抽出された特定要件または候補要件に合致する地点の位置情報などは、判定地点データ記憶部25に登録される。
【0037】
さらに、判定地点抽出部15は、移動体通信装置3の移動速度に基づいて、ユーザが停止した地点を抽出する。例えば、判定地点抽出部15は、移動速度が実質的に3秒以上ゼロであるときは、その地点で停止したと判断する。抽出された停止地点に関する情報もまた、判定地点データ記憶部25に登録される。
【0038】
判定地点データ記憶部25は、判定地点抽出部15で抽出された判定地点、つまり特定要件に合致する特定地点、候補要件に合致する候補地点及び停止地点に関する情報を記憶する。
【0039】
例えば、判定地点データ記憶部25は、図5に示すように、移動体通信装置3の移動体ID251と、判定地点抽出部15で抽出された判定地点252(緯度及び経度)と、特定要件または候補要件に係る移動手段254と、その判定地点は、特定要件、候補要件または停止要件のいずれで抽出されたのかを示す抽出区分255とを含む。なお、停止地点の移動手段254はブランクである。
【0040】
切替地点抽出部17は、判定地点データ記憶部25を参照して、各ユーザが移動手段を切り替えたと推定される地点を抽出する。例えば、切替地点抽出部17は、判定地点データ記憶部25に登録された判定地点データに基づいて、移動体通信装置3ごとに、移動手段を切り替えたと推定される切替地点を抽出する。例えば、切替地点抽出部17は、対象となる移動体通信装置3の判定地点データを判定地点データ記憶部25から読み出して、以下のような第1及び第2のルールで切替地点を抽出する。
【0041】
第1のルールによれば、切替地点抽出部17は、抽出区分255が「特定」であれば、移動手段254に設定された移動手段が、その地点より先の移動手段と推定する。
【0042】
また、第2のルールによれば、切替地点抽出部17は、抽出区分255が「候補」であれば、移動手段254に設定された移動手段が、その地点より先の移動手段の候補とする。このとき、この「候補」の地点の先の直近の判定地点の抽出区分255が「特定」であり、かつ、候補となっている移動手段のいずれかが移動手段254に設定されていれば、この「候補」の地点から「特定」の地点までの間の移動手段は、その移動手段254に設定されている移動手段と推定する。
【0043】
例えば、図6に示すように、抽出区分255が「候補」、移動手段254が「車両」であるA地点と、その進行方向前方に抽出区分255が「特定」、移動手段254が「車両」であるB地点がある場合について考える。この場合、第1のルールによってB地点以降の移動手段が「車両」と推定されるとともに、第2のルールによってA地点からB地点の間も、B地点以降と同じ移動手段(車両)と推定される。
【0044】
つぎに、抽出区分255が「停止」のときは、切替地点抽出部17は以下に示す第3のルールに従って判断する。
【0045】
第3のルールによれば、抽出区分255が「停止」である停止地点の先の移動手段を、上述した第1及び第2のルールに従って推定したときに、この停止地点の直前の移動手段と同一となれば、切替地点抽出部17は、この停止を一時的な停止とみなして、移動手段をそのまま維持する。一方、第1及び第2のルールに従うと、停止地点の直前の移動手段と同一とならないときは、この停止地点の先の移動手段は、いずれとも推定できない「不明」となる。これは、例えば、停止地点の後にさらに連続して停止地点が出現するようなときにも適用される。
【0046】
例えば、図7A及びBに示すように、地点Cがより先の移動手段が「車両」と推定されていて、地点Cよりも進行方向前方に、停止地点Dがある場合について考える。このとき、同図A、Bいずれの場合も、既に述べた第1及び第2のルールに従うと、地点Dの前方にある地点E及び地点Fから先の移動手段は、いずれも「車両」と推定される。従って、この場合、切替地点抽出部17は、DE間及びDF間の移動手段も「車両」と推定する。
【0047】
一方、例えば、図8のように、停止地点が連続するようなときには、地点HI間の移動手段は「不明」となる。
【0048】
切替地点抽出部17は、この結果に基づいて図9に示すような切替地点テーブル27を生成する。すなわち、この切替地点テーブル27は、切替地点抽出部17が推定した移動手段が切り替わる切替地点ごとに、それぞれ、移動手段の切替内容が記憶される。
【0049】
例えば、切替地点テーブル27は、移動体ID271と、切替地点272と、切替内容273とをデータ項目として有する。切替地点272には、切替地点の緯度及び経度が記憶される。
【0050】
データ生成部19は、切替地点テーブル27を参照して、各移動体通信装置3の位置データに推定された移動手段を付加した、移動手段付き移動データを生成する。
【0051】
データ生成部19は、例えば、移動体通信装置3ごとに、図10に示すフローチャートに従って処理を行う。同図に従って、データ生成部19の処理手順の一例を説明する。
【0052】
まず、データ生成部19が、対象となる移動体IDの位置データを位置データ記憶部21から読み出す(S11)。
【0053】
そして、データ生成部19は、その移動体通信装置3を携帯したユーザの移動手段の初期値として「不明」と設定する(S12)。
【0054】
データ生成部19は、その移動体通信装置3を携帯したユーザが移動を開始した始点から終点までの移動経路の順に、切替地点テーブル27から切替地点を抽出する(S13)。そして、切替地点が抽出されると(S13:Yes)、データ生成部19は、切替地点テーブル27の切替内容273に従って、移動手段を切り替える(S14)。
【0055】
切替地点が抽出されないとき(S13:No)、及びステップS14での移動手段を切り替えた後、データ生成部19は、対象となっている地点の位置データに現在の移動手段を付与する(S15)。
【0056】
処理対象地点が終点に至るまでの間、ステップS13以降の処理を繰り返す(S16)。そして、処理対象地点を進めながら、ステップS13以降の処理を終点までし終えると、データ生成部19は、これらの処理により生成した移動手段付きの位置データを、移動手段付き位置データ記憶部29に格納する(S17)。
【0057】
これにより、移動体通信装置3の時系列の位置データ、つまり移動軌跡を示す移動データに、移動手段が付加された移動データを生成することができる。
【0058】
次に、図11の例について説明する。
【0059】
同図Aは、移動体通信装置3を携帯したユーザの実際の移動経路及び移動手段を模式的に示している。そして、同図に示す各区間の移動手段は、具体的には以下の通りである。
始点S〜地点c:徒歩
地点c〜地点i:車両(タクシー)
地点i〜地点j:徒歩
地点j〜終点D:電車
さらに、同図Aは、既に判定地点の抽出まで行われた状態を、併せて示している。判定地点データ記憶部25に記憶されている判定地点データは、具体的には以下の通りである。
地点a:候補地点(徒歩)
地点b:決定地点(徒歩)
地点c:停止地点
地点d:候補地点(車両or電車)
地点e:決定地点(車両)
地点f:停止地点
地点g:決定地点(車両)
地点h:停止地点
地点i:停止地点
地点j:停止地点
地点k:決定地点(電車)
切替地点抽出部17は、図11Aに従って上述した処理を実行すると、図11Bに示すように、切替地点を抽出して、各区間の移動手段を推定する。すなわち、切替地点抽出部17は、地点a→b→c間の移動手段を「徒歩」と推定する。なお、始点S→a間は、いずれとも推定できず「不明」である。また、切替地点抽出部17は、地点d→e→f→g→h間の移動手段を「車両」と推定する。なお、地点d→e間と、地点b→c間とは異なる移動手段であるから、地点c→d間は「不明」となる。切替地点抽出部17は、地点k→終点d間の移動手段を「電車」と推定する。このとき、地点h→i→j→k間の移動手段は、いずれとも推定できず「不明」となる。
【0060】
このように、移動手段を推定できない一部の区間が残るものの、本実施形態によれば、移動体通信装置3の時系列の位置データに基づいて、移動体通信装置3を携帯したユーザが利用した移動手段を推定することができる。
【0061】
上述した本発明の実施形態は、本発明の説明のための例示であり、本発明の範囲をそれらの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。当業者は、本発明の要旨を逸脱することなしに、他の様々な態様で本発明を実施することができる。
【0062】
例えば、上述した実施形態では、移動手段として徒歩、車両及び電車を利用する場合について説明したが、移動手段はこれに限定されない。例えば、これらの移動手段に加え、あるいはこれらの移動手段に代えて、自転車及びバイクなどの他の移動手段を対象とすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の一実施形態に係る移動体通信装置を携帯したユーザの移動手段を推定するシステムの全体構成図である。
【図2】情報センタ1の機能構成図である。
【図3】位置データ記憶部21のデータ構造の一例を示す。
【図4】各移動手段の特定要件及び候補要件の例を示す。
【図5】判定地点データ記憶部25のデータ構造の一例を示す。
【図6】切替地点抽出処理の説明図である。
【図7】切替地点抽出処理の説明図である。
【図8】切替地点抽出処理の説明図である。
【図9】切替地点テーブル27のデータ構造の一例を示す。
【図10】データ生成部19の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図11】本システムを具体例に適用したときの模式図である。
【符号の説明】
【0064】
1 情報センタ
3 移動体通信装置
11 位置データ収集部
13 地図マッチング処理部
15 判定地点抽出部
17 切替地点抽出部
19 データ生成部
21 位置データ記憶部
23 地図データ記憶部
25 判定地点データ記憶部
27 切替地点テーブル
29 移動手段付き位置データ記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体通信装置を携帯したユーザの移動手段を推定する装置であって、
前記移動体通信装置の時系列の位置データを記憶する記憶手段と、
前記記憶手段から前記移動体通信装置の時系列の位置データを読み出して、当該読み出した時系列の位置データに基づいて、前記移動体通信装置を携帯したユーザの移動手段を特定できる特定要件を満たす特定地点を抽出する抽出手段と、
前記特定地点より先の、前記移動体通信装置を携帯したユーザの移動手段を当該特定要件に係る移動手段と推定する推定手段とを備える推定装置。
【請求項2】
前記抽出手段は、前記読み出した時系列の位置データに基づいて、前記移動体通信装置を携帯したユーザの移動手段が、一以上の候補となる移動手段を特定できる候補要件を満たす候補地点をさらに抽出し、
前記推定手段は、さらに、前記候補地点より先の、前記移動体通信装置を携帯したユーザの移動手段を、当該候補地点の先の直近の特定地点の特定要件に係る移動手段と推定することを特徴とする請求項1記載の推定装置。
【請求項3】
前記抽出手段は、さらに、前記読み出した時系列の位置データに基づいて、前記ユーザが所定時間以上停止している停止地点を抽出し、
前記推定手段は、前記停止地点の先の直近の特定地点または候補地点の推定された移動手段が、前記停止地点の直前の移動手段と同一であるときは、前記停止地点から前記直近の特定地点または候補地点までの移動手段も同一の移動手段と推定する請求項1または2記載の推定装置。
【請求項4】
前記抽出手段は、前記読み出した時系列の位置データに基づいて前記移動体通信装置を携帯したユーザの移動速度を算出し、少なくとも、前記移動速度を用いて各地点の抽出を行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の推定装置。
【請求項5】
前記記憶手段に記憶されている時系列の位置データに、前記推定手段により推定された移動手段を示す情報を付加した移動手段付きの移動データを生成する手段をさらに備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の推定装置。
【請求項6】
前記移動体通信装置から、各時刻における当該移動体通信装置の位置データを収集して、前記記憶手段に格納する手段をさらに備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の推定装置。
【請求項7】
移動体通信装置を携帯したユーザの移動手段を推定する方法であって、
前記移動体通信装置から各時刻における位置データを継続的に収集した、時系列の位置データを記憶手段に記憶するステップと、
前記記憶手段から前記移動体通信装置の時系列の位置データを読み出して、当該読み出した時系列の位置データに基づいて、前記移動体通信装置を携帯したユーザの移動手段を特定できる特定要件を満たす特定地点を抽出するステップと、
前記特定地点より先の、前記移動体通信装置を携帯したユーザの移動手段を当該特定要件に係る移動手段と推定するステップとを有する方法。
【請求項8】
移動体通信装置を携帯したユーザの移動手段を推定するためのコンピュータプログラムであって、
前記移動体通信装置から各時刻における位置データを継続的に収集した、時系列の位置データを記憶手段に記憶するステップと、
前記記憶手段から前記移動体通信装置の時系列の位置データを読み出して、当該読み出した時系列の位置データに基づいて、前記移動体通信装置を携帯したユーザの移動手段を特定できる特定要件を満たす特定地点を抽出するステップと、
前記特定地点より先の、前記移動体通信装置を携帯したユーザの移動手段を当該特定要件に係る移動手段と推定するステップと、をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−283256(P2008−283256A)
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−123300(P2007−123300)
【出願日】平成19年5月8日(2007.5.8)
【出願人】(000155469)株式会社野村総合研究所 (1,067)
【Fターム(参考)】