説明

移動体通信装置及び交通優良度判定方法

【課題】次の信号表示までの残時間に基づいて交通優良度を判定して所定の態様で報知を行う移動体通信装置を提供すること。
【解決手段】移動体に備えられ、信号機情報を受信する通信部と、前記移動体が信号機の停止信号表示又は進行不可信号表示を無視したか否かを判定し、進行不可信号表示を無視した回数と停止信号表示を無視した時点における次の信号表示までの残時間に対応付けられた停止信号表示無視回数とに基づいて交通優良度を判定する制御部と、前記制御部に制御されて、交通優良度を所定の態様で報知する報知部と、を備えることとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体通信装置及び交通優良度判定方法に関するものであり、次の信号表示までの残時間(信号機の現在の信号表示が次の信号表示に変更されるまでの時間)に基づいて交通優良度を判定して所定の態様で報知を行う移動体通信装置及び交通優良度判定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報通信技術を用いて人と道路と車両とを情報でネットワークすることにより、交通事故や渋滞などといった道路交通問題の解決を目的とした高度道路通信システム(Intelligent Transport Systems、以下「ITS」という。)が研究、開発されている。ITSの中でも特に安全運転支援システムを扱う分野における自動車向け無線通信の形態は路車間通信と車車間通信とに大別できる。路車間通信は路側機と車両が情報を通信するのに対し、車車間通信は車両同士が直接情報の通信を行う。
【0003】
路車間通信により路側機から車両に発信される情報には交差点情報や信号機情報が含まれる。交差点情報としては交差点を識別するための識別情報、信号機情報としては信号機を識別するための識別情報、信号機の現在の信号表示情報(信号機の表示色を示す情報)、次の信号表示情報及び該信号表示に変更されるまでの時間等の情報が含まれる。
【0004】
そこで、このような交差点情報や信号機情報を活用して、交通優良度を判定してユーザ(運転者など)に確認させ、ユーザに対して安全運転への動機付けを行うことが考えられる。交通優良度を判定するための基準は種々考えられるが、交通違反の中で信号無視は重大な交通事故を引き起こす原因の一つであり、信号無視の回数や信号無視の割合はユーザの交通優良度を判定するための基準として重要な役割を果たすものである。
【0005】
特許文献1に開示されている運転技量診断装置及び運転支援装置は、車両などの交通機関の運転情報に基づいて、運転者の運転技量レベルを判定する運転技量レベル判定手段を備える運転技量診断装置及び診断結果を利用して運転者の運転の支援を行うための運転支援装置である。そして、運転技量レベル判定手段が運転者の運転技量レベルを診断(判定)するための基準の一つとして信号無視違反の頻度を利用することが開示されている。これにより、信号無視違反の頻度に基づいて運転者の運転危険度(運転技量レベル)を判定することができ、これを運転者に提示することによって、運転が危険であることを運転者自身に気づかせることができることとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−081040号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記先行技術文献に開示されている運転技量診断装置及び運転支援装置は、信号機の設置場所に関する情報、信号機の灯火色に関する情報及び車両の停止に関する情報に基づいて信号無視違反を行ったか否かを判定している。すなわち、車両が信号機の設置場所(交差点)に到達したときの信号機の灯火色が赤色であり、且つ、車両が停止していない(交差点を通過した)ときには画一的に信号無視違反回数として1回を加算するものである。
【0008】
しかしながらこのように信号機の灯火色に基づいて画一的に判断することは以下の理由から望ましくない。例えば、灯火色が黄色の場合にはできる限り停止することが望ましいが、車両は急に停止することはできず、また急停車や交差点内での停車は危険であることから、交差点に到着する直前に信号機の灯火色が青色から黄色に変わった場合には停止せずにそのまま通過することが推奨されている。よって、灯火色が黄色であるときに、画一的に赤色と同様に扱う(或いは青色と同様に扱う)こととすると現実の交通の困難性、危険性を反映した運転の技量を診断することができない。
【0009】
本発明は、上述した問題点に鑑み、次の信号表示までの残時間に基づいて交通優良度を判定して所定の態様で報知を行う移動体通信装置及び交通優良度判定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために本発明の移動体通信装置は、移動体に備えられ、信号機情報を受信する通信部と、前記移動体が信号機の停止信号表示又は進行不可信号表示を無視したか否かを判定し、進行不可信号表示を無視した回数と停止信号表示を無視した時点における次の信号表示までの残時間に対応付けられた停止信号表示無視回数とに基づいて交通優良度を判定する制御部と、前記制御部に制御されて、交通優良度を所定の態様で報知する報知部と、を備えることを特徴としている。
【0011】
また、上記目的を達成するために本発明の移動体通信装置は、移動体に備えられ、信号機情報を受信する通信部と、前記移動体が信号機の停止信号表示又は進行不可信号表示を無視したか否かを判定し、進行不可信号表示を無視した時点における次の信号表示までの残時間に対応付けられた進行不可信号表示無視回数と停止信号表示を無視した時点における次の信号表示までの残時間に対応付けられた停止信号表示無視回数とに基づいて交通優良度を判定する制御部と、前記制御部に制御されて、交通優良度を所定の態様で報知する報知部と、を備えることを特徴としている。
【0012】
また上記構成の移動体通信装置において、前記信号機情報は、少なくとも信号機の現在の信号表示情報、次の信号表示までの残時間を示す情報を含むことが望ましい。
【0013】
また上記構成の移動体通信装置において、前記無視した時点における次の信号表示までの残時間は、前記制御部が無視したと判定した時点において、最新の信号機情報に含まれる情報が示す次の信号表示までの残時間、又は、前記制御部が無視したと判定した時点において、最新の信号機情報に含まれる情報が示す次の信号表示までの残時間から前記最新の信号機情報を取得したときから前記制御部が無視したと判定するまでの時間を減算した時間に基づく時間であることが望ましい。
【0014】
また上記構成の移動体通信装置において、前記制御部は、前記移動体の交通を規制する信号機の信号表示が停止信号表示であって、且つ、前記移動体が通過判定基準点を通過したときに前記移動体が停止信号表示を無視したと判定し、前記移動体の交通を規制する信号機の信号表示が進行不可信号表示であって、且つ、前記移動体が通過判定基準点を通過したときに進行不可信号表示を無視したと判定することが望ましい。
【0015】
また上記構成の移動体通信装置において、前記移動体通信装置は前記移動体の現在位置を検出する現在位置検出部を備え、前記制御部は前記通過判定基準点の位置を示す情報と前記移動体の現在位置を示す情報とを取得し、前記移動体の現在位置が前記通過判定基準点を跨いだときに前記移動体が通過判定基準点を通過したと判定することが望ましい。
【0016】
また上記構成の移動体通信装置において、前記通過判定基準点の位置を示す情報とは前記移動体の交通を規制する停止線の位置座標を示す情報又は交差点のノードの位置座標を示す情報であることが望ましい。
【0017】
また上記構成の移動体通信装置において、前記制御部は、前記移動体が前記通過判定基準点を所定の速度以下で通過したときは前記移動体が停止信号表示又は進行不可信号表示を無視したと判定しないことが望ましい。
【0018】
また上記構成の移動体通信装置において、前記制御部は、前記移動体が通過した交差点の数にも基づいて交通優良度を判定することが望ましい。
【0019】
また上記構成の移動体通信装置において、前記制御部は、判定交差点数にも基づいて交通優良度を判定するものであって、前記判定交差点数とは、前記制御部により、前記移動体が通過判定基準点を通過するときに前記信号機の信号表示が停止信号表示又は進行不可信号表示であると事前に判定され、且つ、該通過判定基準点を前記移動体が通過したと判定された数であることが望ましい。
【0020】
また、上記目的を達成するために、移動体に備えられた移動体通信装置の交通優良度判定方法であって、信号機情報を受信するステップと、前記移動体が信号機の停止信号表示又は進行不可信号表示を無視したか否かを判定するステップと、進行不可信号表示を無視した回数と停止信号表示を無視した時点における次の信号表示までの残時間に対応付けられた停止信号表示無視回数とに基づいて交通優良度を判定するステップと、を含むことを特徴としている。
【0021】
また、上記目的を達成するために、移動体に備えられた移動体通信装置の交通優良度判定方法であって、信号機情報を受信するステップと、前記移動体が信号機の停止信号表示又は進行不可信号表示を無視したか否かを判定するステップと、進行不可信号表示を無視した時点における次の信号表示までの残時間に対応付けられた進行不可信号表示無視回数と停止信号表示を無視した時点における次の信号表示までの残時間に対応付けられた停止信号表示無視回数とに基づいて交通優良度を判定するステップと、を含むことを特徴としている。
【発明の効果】
【0022】
本発明によると、次の信号表示までの残時間に基づきの交通優良度を判定するので同一の信号表示であっても次の信号表示までの残時間に応じて係数が定められていることにより、現実の交通の困難性、危険性を考慮に入れた交通優良度を判定することができる。また、その判定結果を運転者等に報知することによって該運転者等に安全運転を促すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】は、本発明のナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図2】は、本発明のナビゲーション装置の制御部が実行する処理の流れを示す第1のフローチャートである。
【図3】は、本発明のナビゲーション装置の制御部が実行する処理の流れを示す第2のフローチャートである。
【図4】は、本発明のナビゲーション装置の制御部が実行する処理の流れを示す第3のフローチャートである。
【図5】は、本発明のナビゲーション装置の制御部が実行する処理の流れを示す第4のフローチャートである。
【図6】は、本発明のナビゲーション装置の制御部に記憶される信号表示無視回数情報の一例を示す図である。
【図7】は、本発明のナビゲーション装置の制御部に記憶される係数テーブルの一例を示す図である。
【図8】は、本発明のナビゲーション装置の制御部に記憶される評価テンプレートの一例を示す図である。
【図9】は、本発明のナビゲーション装置の制御部に記憶される係数テーブルの別の例を示す図である。
【図10】は、本発明のナビゲーション装置の制御部に記憶される評価テンプレートの別の例を示す図である。
【図11】は、本発明のナビゲーション装置の表示部を介して交通優良度を報知する態様を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に本発明の実施形態について図面を参照して説明する。但し、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するために本発明の移動体通信装置の一例であるナビゲーション装置を示すものであって、本発明をこのナビゲーション装置に特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態の移動体通信装置にも等しく適応し得るものである。例えば、ナビゲーション機能を有しない装置や携帯電話等の移動通信端末であってもよい。なお、以下の説明では、ナビゲーション装置が自動車に取付けられた場合を例示するが、歩行者やバイク等がナビゲーション装置を備えて(保持して)いてもよい。図1は本発明のナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。ナビゲーション装置20は制御部1と、表示部2と、操作部3と、現在位置検出部4と、速度検出部5と、地図情報記憶部6と、バッテリ7と、通信部8と、報知部9とを備えている。
【0025】
制御部1はナビゲーション装置20全体を総括的に制御する制御手段である。制御部1はCPUとROMとRAM(いずれも不図示)とを含んでいる。ROMには制御部1が実行するプログラム、プログラムの実行に必要なパラメータやデータが記憶されている。CPUはROMに記憶されている各種プログラムを実行する。RAMは各種処理の過程で得られるデータや各種処理の結果得られるデータを一時的に格納する。これらCPU、RAM、ROM等は、バスを介して接続されている。なお、CPU、ROM及びRAMはこれらの一部または全部を1チップに集積化しても構わない。制御部1のRAMには後述する交通優良度を判定するのに必要な各種情報(信号表示無視回数、次の信号表示までの残時間、係数テーブル、評価テンプレート、通過交差点数、判定交差点数を示す情報等)が保存されるが、別途ナビゲーション装置20が交通優良度を判定するのに必要な各種情報を格納する記憶部を備えることとしてもよい。
【0026】
表示部2は地図画面(目的地への経路、自車(ナビゲーション装置20が搭載された車両)の現在位置を示すマークなどを含む地図画像を表示する画面)やメニュー画面を表示するための表示手段である。
【0027】
操作部3はユーザが目的地を入力したり、メニューを操作したりするための入力操作手段である。なお、操作部3としては、ナビゲーション装置20本体に各種のキーやボタンを設けてもよいし、表示部2にタッチパネル機能を付加してもよい。また、操作部3としてナビゲーション装置20本体を遠隔操作するためのリモートコントローラを操作部3として用いても構わない。
【0028】
現在位置検出部4はナビゲーション装置20が搭載された自車の現在位置を検出するものであり、GPS受信機、自立航法手段、位置計算用CPU等を含んで構成される。自立航法手段は操角センサ、加速度センサ、距離センサや方位センサなどからなり、自車の走行距離と進行方向とをそれぞれ検出し、これらの値に基づいて現在位置を求める。また、GPS受信機は複数のGPS衛星から送られてくる電波をGPSアンテナで受信して3次元測位処理又は2次元測位処理を行って自車の絶対位置及び進行方向を計算する。ここで進行方向は現時点の自車位置と直前の自車位置とに基づいて計算される。なお、進行方向の検出方法は特に限定されず、例えばタイヤの回転方向から検出することとしてもよいし、方位センサを用いて検出してもよい。また、現在位置検出部4とは別に進行方向検出部を設けて自車の進行方向を検出するものとしてもよい。
【0029】
速度検出部5はナビゲーション装置20が搭載された自車の移動速度を検出する。移動速度は車速センサや加速度センサの出力から算出してもよいし、GPS履歴間の走行距離とGPS受信時刻の差から算出してもよい。なお、ナビゲーション装置20が搭載された自車の移動速度は現在位置検出部4が検出することとしてもよい。現在位置検出部4が自車の現在位置に加えて移動速度を検出することができる場合には速度検出部5を別途設けない構成とすることができる。その場合、現在位置検出部4に速度検出部5が含まれる構成となる。
【0030】
地図情報記憶部6は目的地への経路探索や誘導を行う際に参照される地図情報や、当該地図情報上の特定の地点がユーザの自宅の位置や会社の位置等であることなどが記憶されている。地図情報には、ネットワークデータ(ノードデータ、リンクデータ)が含まれる。地図情報記憶部6としてはNANDフラッシュやSDメモリカードなどを好適に用いることができる。地図情報記憶部6はナビゲーション装置20に内蔵しても構わないし、ナビゲーション装置20に着脱可能な構成としても構わない。なお、地図情報には、地図画像が含まれていてもよいし、地図情報に含まれるネットワークデータ(ノードデータ、リンクデータ)に基づき地図画像を表示部2に描画してもよい。また、地図情報は予め地図情報記憶部6に記憶される以外にも、後述する通信部8が路側機などから地図情報を受信し、受信された地図情報が地図情報記憶部6に記憶されてもよい。
【0031】
ここで、地図情報はネットワークデータを含み、ネットワークデータは、道路をその屈曲点、分岐点等の結節点をノードとするノードデータと、それぞれのノード間を結ぶ経路をリンクとしたリンクデータから構成される。ノードデータは、ノード番号、ノードの位置座標(緯度・経度)、道路種別、交差点情報や交差点名称などを示す情報等のノード属性、さらに接続リンク本数、接続リンク番号のデータを含んで構成される。
【0032】
また、リンクデータは、リンクの始点及び終点となるノード番号、道路種別(一般道路、高速道路)、距離及び/又は所要時間等を含むリンクコスト、国道○号線のような道路名称、進行方向のデータを含んで構成される。リンクデータは上記に加えて、リンク属性として橋、トンネル、踏切、料金所等のデータが付与される。
【0033】
本発明においては、ネットワークデータに、道路のノードデータ・リンクデータが含まれる。自車が現在走行している道路を特定する際には、制御部1が現在位置検出部4によって検出される自車の現在位置(進行方向や移動速度も加えてもよい)と地図情報とに基づき、マップマッチング処理を行うことで特定することができる。
【0034】
なお、マップマッチング処理については、制御部1が行なってもよいが、現在位置検出部4が行なってもよい。すなわち、GPS受信機及び/又は自律航法手段を用いて検出した現在位置と地図情報とに基づき、マップマッチング処理を行い、マップマッチング処理を行なった現在位置を現在位置として制御部1へ出力してもよい。或いは、制御部1のマップマッチング処理までを含めて現在位置検出部4としてもよい。
【0035】
バッテリ7はナビゲーション装置20の携帯使用時における電源供給手段であり、リチウムイオン電池やニッケル水素電池などの二次電池を好適に用いることが可能である。もちろん、バッテリ7として、アルカリマンガン乾電池やマンガン乾電池などの一次電池を用いても構わないし、燃料電池を用いても構わない。
【0036】
通信部8はナビゲーション装置20と通信可能な他の通信装置(以下、「他の通信装置」という。)に情報を送信する送信部(図示せず)と他の通信装置から送信される情報を受信する受信部(図示せず)とを有する。通信方法は無線通信や赤外線通信などの非接触通信とすることが好ましい。他の通信装置としては他の車両(他の移動体)に搭載されたナビゲーション装置等の車載装置、路側機、歩行者が所持する携帯電話等の移動通信端末などを挙げることができる。
【0037】
通信部8が路側機から受信する情報には交差点情報、信号機情報が含まれる。なお、通信部8は、路側機以外にも他の車両(移動体)に搭載されたナビゲーション装置等の車載装置や、携帯電話等の移動通信端末などから交差点情報や信号機情報を受信してもよい。また、通信部8は、単一の交差点情報や信号機情報を受信するのではなく、複数の交差点毎の交差点情報及び信号機情報を受信してもよい。この場合、複数の交差点毎の交差点情報及び信号機情報は、1つの路側機から送信されてもよい。
【0038】
ここで、通信部8が受信する交差点情報及び信号機情報について説明を行なう。なお、以下の説明では、信号機が設置された交差点毎に路側機が設置され、路側機から、当該路側機が設置された交差点の情報(交差点情報)及び当該路側機が設置された交差点に設置されている信号機の情報(信号機情報)を含む情報が送信されるものとする。
【0039】
交差点情報には、例えば、交差点の中心位置座標(緯度・経度)、交差点への進入方向に対応付けられた信号機の識別番号(信号機番号)、路側機(交差点)を識別する情報や停止線の位置座標(交差点への進入方向に対応付けられた停止線の位置(緯度・経度))、交差点の始点や終点となるべき地点(交差点のノード)のノードデータなどが含まれる。後述する通り、交差点情報に基づいて、自車の交通を規制する信号機の信号機情報を判別する。
【0040】
信号機情報には、信号機を識別するための識別情報(信号機番号)、信号機の現在の信号表示情報(信号機の表示色を示す情報)、次の信号表示情報及び該信号表示に変更されるまでの時間等の情報が含まれ、これらの情報は夫々対応付けられている。そのため、自車の現在位置・進行方向及び交差点情報に基づいて、自車の交通を規制する信号機の信号機番号を特定し、特定した信号機番号に対応付けられた現在の信号表示情報を参照することで、自車の交通を規制する信号機の現在の信号表示がわかる。ここで、信号機情報には、信号機毎に信号機の現在の信号表示情報などの情報が含まれる。すなわち、信号機情報は、路側機が設置された交差点に設置されている信号機の情報であるから、路側機が設置された交差点が四叉路であれば、4つの信号機が設置されている。そのため、信号機情報には、4つの信号機毎に、信号機を識別するための識別情報(信号機番号)、信号機の現在の信号表示情報(信号機の表示色を示す情報)、次の信号表示情報及び該信号表示に変更されるまでの時間等の情報が含まれている。なお、信号機情報には、信号表示のサイクルの情報が含まれていても良い。信号表示のサイクルの情報とは、例えば、進行許可信号表示(青色)が○○秒、停止信号表示(黄色)が○○秒、進行不可信号表示(赤色)が○○秒という信号表示のサイクル、或いは、○時○分から○時△分まで進行許可信号表示(青色)、○時△分から○時□分まで停止信号表示(黄色)、○時□分から○時不可まで進行不可信号表示(赤色)のような信号表示のサイクルである。
【0041】
報知部9は各種情報を報知する。報知方法は内容を理解することができる方法であれば特に制限されないが、例えばスピーカ(不図示)を介して所定の音声を出力することにより行われる。また、表示部2に所定の文字や画像等を表示することによって行ってもよく、或いは音声と表示を同時に行うこととしてもよい。説明の簡略化のために報知部9と表示部2を別の構成として設けているが、報知方法が表示部2への所定の文字や画像等の表示を含む場合には報知部9が表示部2を含む構成として設けてもよい。
[第1実施形態]
本発明のナビゲーション装置20の第1実施形態について図2を用いて説明する。図2は本発明のナビゲーション装置20の制御部1が実行する処理の流れを示す第1のフローチャートである。
【0042】
ステップS01において制御部1は通信部8を介して交差点情報及び信号機情報を取得する。次にステップS02において制御部1は現在位置検出部4によって検出される自車の現在位置と、現在位置検出部4(ナビゲーション装置20が進行方向検出部を備えるときは進行方向検出部でもよい)により検出される自車の進行方向とを取得する。
【0043】
なお、本実施形態において制御部1は、ステップS01において交差点情報及び信号機情報を取得し、ステップS02において自車の現在位置と進行方向を取得しているが、制御部1がこれらの情報を取得する順番はフローチャートに示した順序でなくてもよく、例えば同時に取得するものであってもよいし、先に自車の現在位置と進行方向を取得するものであってもよい。
また、制御部1が自車の現在位置と進行方向、及び、交差点情報と信号機情報を取得するタイミングは当該タイミングとは限られない。定期的或いは不定期(例えば、他の通信装置の送信タイミングに基づいて)に取得されてもよく、定期的或いは不定期に複数回情報を取得する場合には、取得された情報のうち最も新しい情報を使用することとしてもよい。
【0044】
ステップS03において制御部1は自車が通過判定基準点を通過した否かを判定する。自車が通過判定基準点を通過したと判定した場合には(ステップS03のY)ステップS04に進み、自車が通過判定基準点を通過していないと判定した場合には(ステップS03のN)ステップS01に戻る。
【0045】
通過判定基準点とは、通過することによって交差点内(複数本の道路が交差する交差点において二本以上の道路が重複する領域)に進入することとなる地点や、通過することによって交差点内に侵入したとみなされる(みなすべき)地点であり、通過判定基準点として具体的には交差点のノードや自車の交通を規制する停止線が挙げられる。
【0046】
自車が通過判定基準点を通過したか否かの判定は、通過判定基準点を自車が跨いだか否かによって判定されることが好ましい。
【0047】
例えば、ステップS02にて取得した自車の現在位置座標が通過判定基準点の位置座標とほぼ同一である場合や、直前の自車の現在位置座標では、自車の進行方向前方であった通過判定基準点が、最新の(ステップS02にて取得した)自車の現在位置座標では、自車の進行方向後方となった場合などに、自車が通過判定基準点を跨いだと判定する(通過判定基準点を通過したと判定する)。
【0048】
まず、自車の現在位置と進行方向と交差点のノードとに基づいて通過判定基準点を通過した否かを判定する場合について説明する。交差点のノードの位置座標を示す情報は地図情報及び/又は交差点情報に含まれており、交差点の始点や終点となるべき地点が交差点のノードとして記憶されている。道路(国道○号線など)に複数の車線(追越車線、右折車線、対向車線など)が存在しているときに車線ごとに交差点のノードが割り当てられており、且つ、自車がどの車線に走行しているかが判断できる場合には、走行している車線において直前の自車の現在位置座標では、自車の進行方向前方であった交差点のノードが、最新の自車の現在位置座標では、自車の進行方向後方であるか否か(自車の現在位置座標が交差点の始点ノードの位置座標よりも自車の進行方向前方であるか否か)に基づいて自車が通過判定基準点(交差点のノード)を通過したか否かを判定することができる。
【0049】
一方、車線ごとに交差点のノードが割り当てられていない場合或いは自車がどの車線を走行しているか判断できない場合には、道路に割り当てられた交差点の始点/終点ノード(いずれが始点となりいずれが終点となるか不明であることから「交差点の始点/終点ノード」という)に基づいて判定する。その際、自車が交差点の始点/終点ノードを跨いだか否か(自車の現在位置座標が始点/終点ノードの位置座標よりも自車の進行方向前方であるか否か)に基づいて判定すると一度の信号表示無視で二度(交差点に進入するときと、交差点から出て行くとき)信号表示無視を行ったと判断される可能性がある。
【0050】
そこで、交差点の始点/終点ノードに基づいて通過判定基準点を通過したか否かを判定する場合には、同一交差点に存在する交差点の始点/終点ノードについて連続して信号表示無視を行ったか否かを判定しないこと(交差点に進入する際に通過した交差点の始点/終点ノードについてのみ信号表示無視を行ったか否かを判定すること)が望ましい。例えば、交差点の始点/終点ノードに含まれる交差点名称が同一である交差点の始点/終点ノードを連続して(所定時間以内に)跨いだ場合は、後に跨いだ交差点の始点/終点ノードについては、信号表示無視を行ったか否かを判定しない(すなわち、後に跨いだ通過判定基準点(交差点の始点/終点ノード)を跨いでいない、通過判定基準点を通過していない(ステップS03のN)として判定する)。
【0051】
次に、自車の現在位置と進行方向と停止線の位置とに基づいて通過判定基準点を通過した否かを判定する場合について説明する。停止線の位置座標を示す情報は地図情報又は/及び交差点情報に含まれている。そして、停止線は、少なくとも進行方向(或いは道路(リンクデータ・ノードデータ))に対応付けられているため、自車の現在位置(自車が走行している道路)と進行方向(交差点への進入方向)に基づいて自車の現在位置から進行方向に対して最も近い停止線が、自車の交通を規制する停止線として特定される。そして、直前の自車の現在位置座標では、自車の進行方向前方であった停止線が、最新の自車の現在位置座標では、自車の進行方向後方であるか否か(自車の現在位置座標が特定された停止線の位置座標よりも自車の進行方向前方であるか否か)に基づいて自車が通過判定基準点(停止線)を通過したか否かを判定することができる。
【0052】
ステップS04において制御部1は、通過判定基準点を通過した時点(上記ステップS03において通過判定基準点を通過したと判定した時点)において当該通過判定基準点に対応した交差点に設置されている信号機の中で自車の交通を規制する信号機の信号表示が停止信号表示(黄信号)又は進行不可信号表示(赤信号)であるか否かを判定する。
【0053】
なお、自車の交通を規制する信号機とは、自車の進行方向前方の信号機であり、自車の現在位置、進行方向、交差点情報及び信号機情報に基づいて特定することができる。具体的には、交差点の中心位置座標が、自車の現在位置(座標)から進行方向に対して最も近い交差点に設定された信号機の中で、自車の進行方向に対応付けられた信号機が自車の交通を規制する信号機として特定される。すなわち、ステップS03にて通過判定基準点を通過しているため、該通過判定基準点(停止線)のある交差点の中心位置座標は、他の交差点の中心位置座標よりも自車に近いと考えられる。そのため、自車の現在位置(座標)に最も近い交差点の中心位置座標を含む交差点情報及び交差点への進入方向(自車の進行方向)に基づいて、交差点への進入方向(自車の進行方向)に対応した信号機番号を特定する。この信号機番号により示される信号機が自車の交通を規制する信号機として特定される。
【0054】
または、ステップS03にて通過した通過判定基準点の位置情報を通信部8を介して受信していた場合であれば、該通過判定基準点の位置情報を含む交差点情報及び交差点への進入方向(自車の進行方向)に基づいて、交差点への進入方向(自車の進行方向)に対応した信号機(自車の交通を規制する信号機)番号を特定してもよい。
【0055】
また、ステップS04にて判定する信号表示は、通過判定基準点を通過した時点の信号表示であるが、これは、最新の(最後に受信した)信号機情報に含まれる現在の信号表示情報に基づいて判定してもよいが、これに限ることはなく、例えば、最新の信号機情報を取得したときからタイマー(図示せず)による時間計測を行い、最新の信号機情報を取得したときから通過判定基準点を通過した時点までの時間を算出する。そして、該算出した時間、信号機情報に含まれる現在の信号表示情報、次の信号表示情報及び該信号表示に変更されるまでの時間に基づいて、通過判定基準点を通過した時点の信号表示を判定してもよい。
【0056】
例えば、最新の信号機情報を取得したときから通過判定基準点を通過した時点までの時間が2秒であり、該最新の信号機情報に含まれる次の信号表示に変更されるまでの時間が1秒であれば、該最新の信号機情報に含まれる現在の信号表示ではなく、該最新の信号機情報に含まれる次の信号表示情報に基づく信号表示が停止信号表示(黄信号)又は進行不可信号表示(赤信号)であるか否かを判定することが好ましい。
【0057】
信号表示が停止信号表示又は進行不可信号表示であれば(ステップS04のY)ステップS05に進み、信号表示が停止信号表示又は進行不可信号表示でなければ(ステップS04のN)ステップS01に戻る。なお、信号表示が停止信号表示(黄色)であれば、停止信号表示(黄色)無視であり、信号表示が進行不可信号表示(赤信号)であれば、進行不可信号表示(赤信号)無視である。
【0058】
ステップS05において制御部1は通過判定基準点を通過した時点(上記ステップS03において通過判定基準点を通過したと判定された時点)における次の信号表示までの残時間を取得する。すなわち、通過判定基準点を通過した時点における信号表示が停止信号表示(黄信号)である場合には、進行不可信号表示(赤信号)に変更するまでの時間を取得し、通過判定基準点を通過した時点における信号表示が進行不可信号表示(赤信号)である場合には、進行許可信号表示(青信号)に変更するまでの時間を取得する。
【0059】
なお、ステップS03の通過判定基準点通過判定とステップS04の信号表示判定はほぼ同時に行われており、ステップ05において制御部1は信号表示が停止信号表示又は進行不可信号表示であると判定した時点における次の信号表示までの残時間を取得することとしてもよい。
【0060】
なお、ステップS05では、次の信号表示までの残時間を取得すると表現するが、この次の信号表示までの残時間は、信号機情報に含まれる次の信号表示に変更されるまでの時間、或いは、信号表示のサイクルの情報(例えば、現在時刻と信号表示サイクル情報の比較)に基づくものである。そのため、ステップS01と同様に、取得するタイミングは当該タイミングとは限られず、定期的或いは不定期(例えば、他の通信装置の送信タイミングに基づいて)に取得されてもよく、定期的或いは不定期に複数回情報を取得する場合には、取得された情報のうち最も新しい情報を使用することとしてもよい。
【0061】
なお、この次の信号表示までの残時間も、信号機情報に含まれる情報が示す次の信号表示に変更されるまでの時間などをそのまま用いるだけでなく、最新の信号機情報を取得(受信)したときからステップS05の処理に至るまでの時間を計測し、計測した時間と、該最新の信号機情報に含まれる次の信号表示に変更されるまでの時間などに基づき算出してもよい。例えば、最新の信号機情報を取得したときからステップS05の処理に至るまでの時間が2秒であり、該最新の信号機情報に含まれる次の信号表示に変更されるまでの時間が7秒であれば、次の信号表示までの残時間は5秒と算出する。
【0062】
ステップS06において制御部1は例えば図6に示すように、信号無視回数と、現在の信号表示と次の信号表示までの残時間とを対応付けて加算して記憶する。例えば、現在の信号表示が進行不可信号表示である場合に、次の信号表示までの残時間が2秒であれば、2≧t(残時間)>1.5に該当するため、No11の信号表示無視回数に1を加算して記憶する。このように信号無視回数と、現在の信号表示と次の信号表示までの残時間とを対応付けて記憶することにより、例えば、No2であれば、次の信号表示までの残時間が2.5〜3秒のときに停止信号表示を3回無視していることが分かる。
【0063】
なお、本実施形態においては信号機の現在の信号表示が進行不可信号表示である場合であっても、図6において示すように次の信号表示(信号許可信号)に変わるまでの残時間に対応付けて信号表示無視回数を記憶しているが、これには限定されず、信号機の現在の信号表示が進行不可信号表示である場合には進行許可信号までの残時間に対応付けることなく自動的に1を加算し、信号表示無視回数を加算するものであってもよい。すなわち、図6のように、進行許可信号までの残時間に対応付けるのではなく、進行不可信号表示を無視した回数として5回が記憶される(図6における進行不可信号表示を無視した回数の合計)。この場合、後述する図7の係数K(進行不可信号表示の場合の残時間は不要)を用いて合計値Aを算出すると、合計値Aは8.5(3×0.1+5×0.4+2×0.6+5×1)となる。
【0064】
ステップS07において制御部1は、交通優良度を判定する。本実施形態において交通優良度は、信号表示無視回数に、次の信号表示までの残時間に応じて定められている係数Kを乗じた各値の合計値Aを算出し、当該合計値Aについて評価テンプレートを参照して交通優良度を判定する。
【0065】
例えば本実施形態において係数Kが図7に示すように定められているとき、図6に示す場合における合計値Aは8.5(3×0.1+5×0.4+2×0.6+5×1)であり、当該合計値A(8.5)について図8に示すような評価テンプレートを参照して交通優良度を判定する。つまり、本実施形態において交通優良度は★(星)四つとなる。
【0066】
上記図7は信号機の現在の信号表示が進行不可信号表示である場合には常に進行が禁止されるものであることから次の信号表示までの残時間に関わらず係数Kを1とし、一方、信号機の現在の信号表示が停止信号表示である場合には次の信号表示までの残時間が減るに従い進行不可信号表示と同様に扱うようにしている(係数Kを1に近づけている)。
【0067】
これに対し係数Kを例えば図9のように定めてもよい。図9においては、信号機の現在の信号表示が進行不可信号表示であるときに次の信号表示までの残時間が減るに従って係数Kが小さくなっている。これは信号表示が進行許可信号表示(青信号)に変更される前に車両を発進させる場合を考慮したものである。すなわち交差点において自車が走行している車道と交差している別の車道の信号表示が進行不可信号表示(赤信号)となることによって、自車の運転者は自車の交通を規制する信号機の信号表示が間もなく進行許可信号表示になることが予測できる。このような予測に基づき信号表示が進行不可信号表示であるにも関わらず発進することは望ましいことではないが、危険度がやや低いことから図9のように定めることとしてもよい。なお、本実施形態において係数Kは0≦K≦1として説明しているが、係数Kの範囲は当該範囲に限られるものではなく任意に定めることができる。
【0068】
ステップS08において制御部1は、報知部9を制御して交通優良度に基づいて所定の態様で報知を行う。報知の態様は特に制限されないが図11に示すような表示部2への表示や音声案内が例示される。図11においては表示部2に交通優良度を示す★(星)マークと共にメッセージ(「そのまま安全運転を維持して下さい。」)が表示されているが、交通優良度を示す情報は★(星)マークに限られず、またメッセージの内容を変え、或いはメッセージを表示しないこととしてもよい。なお、交通優良度を報知するタイミングは特に限定されず、エンジンを始動するごと、一定の期間ごと(例えば1ヶ月ごと)、後述する通過交差点数が所定数(例えば100の倍数)に達するごとなど所望のタイミングを設定することができる。
【0069】
本実施形態によれば、次の信号表示までの残時間に基づきの交通優良度を判定するので同一の信号表示であっても次の信号表示までの残時間に応じて係数が定められていることにより、現実の交通の困難性、危険性を考慮に入れた交通優良度を判定することができる。また、その判定結果を運転者等に報知することによって該運転者等に安全運転を促すことができる。
[第2実施形態]
本発明のナビゲーション装置20の第2実施形態について図3を用いて説明する。図3は本発明のナビゲーション装置20の制御部1が実行する処理の流れを示す第2のフローチャートである。なお、本実施形態のステップS11〜ステップS14は、第1実施形態のステップS01〜ステップS04と、また、本実施形態のステップS16〜ステップS19は、第1実施形態のステップS05〜ステップS08と同一であるため説明を省略する。
【0070】
ステップS15において制御部1は、自車の移動速度が所定速度以下か否かを判定する。自車の移動速度が所定速度以下でなければ(ステップS15のN)ステップS16に進み、自車の移動速度が所定速度以下であれば(ステップS15のY)ステップS11に戻る。
【0071】
なお、本実施形態において自車の移動速度が所定速度以下のときにステップS16に進まない理由は、その後自車が停止するものと考えられるからである。例えば、交差点の手前で信号表示が進行許可信号表示(青信号)から停止信号表示(黄信号)に変わったとき、運転者は停止線前で停止できると判断しブレーキを踏んだものの、停止線前で停止することができず、停止線をオーバーして停止することがある。そのような場合には停止線をオーバーしているものの信号表示無視であると判断すべきではないため、ステップS16に進まない。
【0072】
なお、本実施形態によれば所定速度以下の移動速度で交差点を走行し続けた場合に信号表示無視であると判定されないことになってしまうため、信号表示が停止信号表示又は進行不可信号表示である交差点において所定速度以下の移動速度による走行が所定時間継続している場合、或いは、交差点において所定速度以下の移動速度による走行の累計時間が所定時間を越えている場合に信号表示無視であると判定することとしてもよい。
【0073】
本実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を奏する。加えて、自車の移動速度が、所定の速度以下であれば通過判定基準点を通過しても信号表示無視とは判定されない。これにより、自車が停止しようとしていると考えられる状況において信号表示無視であると判定されることがなくなる。
[第3実施形態]
本発明のナビゲーション装置20の第3実施形態について図4を用いて説明する。図4は本発明のナビゲーション装置20の制御部1が実行する処理の流れを示す第3のフローチャートである。なお、本実施形態のステップS21〜ステップS23は、第1実施形態のステップS01〜ステップS03と、また、本実施形態のステップS25〜ステップS27は、第1実施形態のステップS04〜ステップS06と同一であるため説明を省略する。
【0074】
ステップS24において制御部1は通過交差点数を加算して記憶する。通過交差点数とは自車が通過した交差点の数であるが、本実施形態においては、当該交差点に設けられた(対応付けられた)通過判定基準点を通過する度(ステップS23のYとなる度)に当該交差点を通過したものとして通過交差点数が加算される。
【0075】
ステップS28において制御部1は交通優良度を判定する。本実施形態において交通優良度は、合計値A(第1実施形態のステップS07参照)と通過交差点数から算出される割合Bに基づいて判定される。すなわち、合計値A/通過交差点数×100で求められる割合Bについて図10に示すような評価テンプレートを参照して交通優良度を判定する。
【0076】
本実施形態においても図6及び図7を参照して合計値Aを算出すると第1実施形態と同様に合計値Aは8.5となる。このときに制御部1に記憶されている通過交差点数が100であるとすると、割合Bは8.5%(8.5/100×100)となり、交通優良度は★(星)二つとなる。
【0077】
ステップS29において制御部1は、報知部9を制御して交通優良度に基づいて所定の態様で報知を行う。本実施形態では交通優良度が★(星)二つであるため、★(星)二つを表示すると共に例えば「安全運転を心がけましょう」などのメッセージを表示することとしてもよい。なお、報知の態様と交通優良度を報知するタイミングは第1実施形態と同様に特に限定されない。
【0078】
本実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を奏する。加えて、割合に基づいて交通優良度を判定するので、交通経験(運転者であればドライバー歴)の多寡を反映した交通優良度を判定することができる。
[第4実施形態]
本発明のナビゲーション装置20の第4実施形態について図5を用いて説明する。図5は本発明のナビゲーション装置20の制御部1が実行する処理の流れを示す第4のフローチャートである。なお、本実施形態のステップS31〜ステップS32は、第3実施形態のステップS21〜ステップS22と、また、本実施形態のステップS37〜ステップS38は、第3実施形態のステップS26〜ステップS27と同一であるため説明を省略する。
【0079】
ステップS33において制御部1は自車が通過判定基準点(停止線)を通過するときに、該停止線を通過する際に自車の交通を規制する信号機の信号表示が停止信号表示又は進行不可信号表示であるか否かを事前に(停止線に到着する前に)判定する。通過時点における信号機の信号表示(灯火色)は、例えば自車の現在位置(停止線に至っていない現在位置)から停止線までの距離と、自車の移動速度とから、自車が停止線を通過するまでの時間を算出し、信号機情報に含まれる信号機の信号表示のサイクルを参照して停止線を通過する時点における信号機の信号表示を特定することができる(例えば特開2008−230434号公報を参照)。
【0080】
通過判定基準点(停止線)通過時の信号表示が停止信号表示又は進行不可信号表示である場合には(ステップS33のY)ステップS34に進み、交差点通過時の信号表示が停止信号表示又は進行不可信号表示でない場合には(ステップS33のN)ステップS31に戻る。
【0081】
ステップS34において制御部1は自車が通過判定基準点(停止線)を通過した否かを判定する。本ステップにおける通過したか否かを判定する停止線とは、ステップS33において停止線通過時の信号表示が停止信号表示又は進行不可信号表示であると判定された停止線である。自車が停止線を通過したと判定した場合には(ステップS34のY)ステップS35に進み、自車が停止線を通過していないと判定した場合には(ステップS34のN)ステップS31に戻る。
【0082】
ステップS35において制御部1は判定交差点数を加算して記憶する。判定交差点数とは自車が通過した判定交差点(ステップS33において停止線通過時の信号表示が停止信号表示又は進行不可信号表示であると判定された交差点)の数であるが、本実施形態においては、当該判定交差点に設けられた(対応付けられた)停止線(ステップS33において停止線通過時の信号表示が停止信号表示又は進行不可信号表示であると判定された停止線)を通過する度に当該判定交差点を通過したものとして判定交差点数が加算される。
【0083】
ステップS36において制御部1は実際に自車が停止線を通過したときに、自車の交通を規制する信号機の信号表示が停止信号表示又は進行不可信号表示であったか否かを判定する。すなわち、例えばステップS33で停止線通過時における信号表示が進行不可信号表示であると事前に判定されていた場合であっても、進行不可信号表示を無視することなく停止し、信号表示が進行許可信号表示に変わってから当該停止線を通過したときには判定交差点数が加算されるのみであり、ステップS37に進まない。
【0084】
ステップS39において制御部1は交通優良度を判定する。本実施形態において交通優良度は、合計値A(第1実施形態のステップS07参照)と判定交差点数から算出される割合Bに基づいて判定される。すなわち、第3実施形態の割合Bの算出方法において通過交差点数を判定交差点数とすること(合計値A/判定交差点数×100)によって割合Bを算出する。
【0085】
ステップS40において制御部1は、報知部9を制御して交通優良度に基づいて所定の態様で報知を行う。報知の態様と交通優良度を報知するタイミングは第1実施形態と同様に特に限定されない。
【0086】
本実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を奏する。加えて、判定交差点数によって割合を算出するので、通過判定基準点を通過した時に進行許可信号であり、且つ当該通過判定基準点を通過した場合は割合Bを算出するにあたって反映されない(交差点通過時に進行許可信号表示であれば停止する必要がない)。これにより、停止すべき信号表示で停止したか否かという条件に基づいてのみ交通優良度を判定することができる。
<変形例>
次の信号表示までの残時間に応じて定められた係数Kは、各実施形態において例示したが、さらに状況(走行中の道路の種別や制限速度など)に応じて複数の係数テーブルを定めることとしてもよい。例えば国道は県道に比べて制限速度が高く(速く)設定されていることから、国道を走行中の車両は県道を走行中の車両に比べて車両を停止させるために長い時間が必要となる。そこで、県道用の係数テーブルと、国道用の係数テーブルを設定し、交通優良度を判定することとしてもよい。いずれの係数テーブルを参照するかは自車の現在位置をマップマッチングすることにより特定することができる。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明は次の信号表示までの残時間に基づいて交通優良度を判定して所定の態様で報知を行う移動体通信装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0088】
1・・・制御部、2・・・表示部、3・・・操作部、4・・・現在位置検出部、5・・・速度検出部、6・・・地図情報記憶部、7・・・バッテリ、8・・・通信部、9・・・報知部、20・・・ナビゲーション装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体に備えられ、
信号機情報を受信する通信部と、
前記移動体が信号機の停止信号表示又は進行不可信号表示を無視したか否かを判定し、進行不可信号表示を無視した回数と停止信号表示を無視した時点における次の信号表示までの残時間に対応付けられた停止信号表示無視回数とに基づいて交通優良度を判定する制御部と、
前記制御部に制御されて、交通優良度を所定の態様で報知する報知部と、
を備える移動体通信装置。
【請求項2】
移動体に備えられ、
信号機情報を受信する通信部と、
前記移動体が信号機の停止信号表示又は進行不可信号表示を無視したか否かを判定し、進行不可信号表示を無視した時点における次の信号表示までの残時間に対応付けられた進行不可信号表示無視回数と停止信号表示を無視した時点における次の信号表示までの残時間に対応付けられた停止信号表示無視回数とに基づいて交通優良度を判定する制御部と、
前記制御部に制御されて、交通優良度を所定の態様で報知する報知部と、
を備える移動体通信装置。
【請求項3】
前記信号機情報は、少なくとも信号機の現在の信号表示情報、次の信号表示までの残時間を示す情報を含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の移動体通信装置。
【請求項4】
前記無視した時点における次の信号表示までの残時間は、前記制御部が無視したと判定した時点において、最新の信号機情報に含まれる情報が示す次の信号表示までの残時間、又は、前記制御部が無視したと判定した時点において、最新の信号機情報に含まれる情報が示す次の信号表示までの残時間から前記最新の信号機情報を取得したときから前記制御部が無視したと判定するまでの時間を減算した時間に基づく時間であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の移動体通信装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記移動体の交通を規制する信号機の信号表示が停止信号表示であって、且つ、前記移動体が通過判定基準点を通過したときに前記移動体が停止信号表示を無視したと判定し、前記移動体の交通を規制する信号機の信号表示が進行不可信号表示であって、且つ、前記移動体が通過判定基準点を通過したときに進行不可信号表示を無視したと判定することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の移動体通信装置。
【請求項6】
前記移動体通信装置は前記移動体の現在位置を検出する現在位置検出部を備え、
前記制御部は前記通過判定基準点の位置を示す情報と前記移動体の現在位置を示す情報とを取得し、前記移動体の現在位置が前記通過判定基準点を跨いだときに前記移動体が通過判定基準点を通過したと判定することを特徴とする請求項5に記載の移動体通信装置。
【請求項7】
前記通過判定基準点の位置を示す情報とは前記移動体の交通を規制する停止線の位置座標を示す情報又は交差点のノードの位置座標を示す情報であることを特徴とする請求項6に記載の移動体通信装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記移動体が前記通過判定基準点を所定の速度以下で通過したときは前記移動体が停止信号表示又は進行不可信号表示を無視したと判定しないことを特徴とする請求項5〜請求項7のいずれか1項に記載の移動体通信装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記移動体が通過した交差点の数にも基づいて交通優良度を判定することを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の移動体通信装置。
【請求項10】
前記制御部は、さらに、判定交差点数にも基づいて交通優良度を判定するものであって、
前記判定交差点数とは、前記制御部により、前記移動体が通過判定基準点を通過するときに前記信号機の信号表示が停止信号表示又は進行不可信号表示であると事前に判定され、且つ、該通過判定基準点を前記移動体が通過したと判定された数であることを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の移動体通信装置。
【請求項11】
移動体に備えられた移動体通信装置の交通優良度判定方法であって、
信号機情報を受信するステップと、
前記移動体が信号機の停止信号表示又は進行不可信号表示を無視したか否かを判定するステップと、
進行不可信号表示を無視した回数と停止信号表示を無視した時点における次の信号表示までの残時間に対応付けられた停止信号表示無視回数とに基づいて交通優良度を判定するステップと、
を含むことを特徴とする交通優良度判定方法。
【請求項12】
移動体に備えられた移動体通信装置の交通優良度判定方法であって、
信号機情報を受信するステップと、
前記移動体が信号機の停止信号表示又は進行不可信号表示を無視したか否かを判定するステップと、
進行不可信号表示を無視した時点における次の信号表示までの残時間に対応付けられた進行不可信号表示無視回数と停止信号表示を無視した時点における次の信号表示までの残時間に対応付けられた停止信号表示無視回数とに基づいて交通優良度を判定するステップと、
を含むことを特徴とする交通優良度判定方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2012−150600(P2012−150600A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−7930(P2011−7930)
【出願日】平成23年1月18日(2011.1.18)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】