説明

移動可能に配置された針部材を有する、飲料メーカーで使用されるディスポーザブルカートリッジ

【課題】飲料メーカーで使用されるディスポーザブルカートリッジは、少なくとも一つの飲料原料が入っている容器、及び、カートリッジと飲料メーカーとの間の接続を確立するためのコネクタを有する。
【解決手段】コネクタ20は、容器10の壁12の部分11を刺し通すためのとがっていない端23を持つ中空の針部材22を有し、針部材22は、容器壁12のドーム形状の部分13内に延びる。更に、コネクタ20は、容器10に対して移動可能に配置される。動作中、インパクト力が針部材22に与えられ、コネクタ20が容器10に関して容器10に向かう方向に動かされ、容器壁12の刺し通し可能な部分11が針部材22の端23によって刺し通される。その刺し通し処理が生じた後、容器10の内容物は、針部材22を通じて回収可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも一つの飲料原料が入っている容器を有する、飲料メーカーで使用されるディスポーザブル(使い捨て)カートリッジに関する。特に、本発明は、その内容物が回収され、且つ、飲料を作る過程で使用されるようその容器を開けるために、例えば、針等によってその容器壁の一部が刺し通されることを目的として作られているディスポーザブルカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
とりわけ、刺し通し可能な容器壁部分を持つカートリッジは、その内容物を取り出す必要が生じるまでその容器が完全に閉じられたままであってもよく、その結果として、そのカートリッジを取り扱う間、そのカートリッジから飲料原料が漏れる危険性がないという利点を有する。更に、外部の影響が極小化されるので、その容器における内容物の質の低下の進行が極力低い速度でのみ生じる。
【0003】
上記段落で言及されるようなディスポーザブルカートリッジは、実際には公知である。例えば、その容器壁の一部は、比較的薄いホイルで構成されていてもよい。最新技術によると、そのカートリッジを受け入れ且つ操作する飲料メーカーは、そのホイルを刺し通し、且つ、その容器から飲料原料を吸い上げるための中空の針部材を有する。良好な刺し通し作用を得るために、その針部材の端は、とがった形状を有する。更に、その針部材は、通常、ガラス入りのプラスチック又は金属でできている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
最新技術に関する問題は、その飲料メーカーの針部材がその飲料原料によって汚染されるという点にある。本発明の目的は、この問題を解決することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、少なくとも一つの飲料原料が入った容器と、その容器の壁の一部を刺し通すための針部材とを有し、その針部材とその容器壁の刺し通し可能な部分とが互いに移動可能に配置される飲料メーカーで使用されるディスポーザブルカートリッジによって実現される。
【0006】
本発明に従って、そのディスポーザブルカートリッジは、その飲料メーカーが針部材を有する必要性をなくすよう、針部材を有する。その結果として、その針部材の汚染は、その針部材が、使用後に捨てられるカートリッジの一部になるため、問題ではなくなる。
【0007】
原則として、そのディスポーザブルカートリッジのコストはできるだけ低くあるべきなので、その針部材をディスポーザブルカートリッジの一部とすることは好ましい選択肢ではない。安価なプラスチックによってとがった形状を持つ部品を得ることは容易ではないという事実のために、最新技術は、その飲料メーカーがその針部材を有するというただ一つの解決策を提供する。しかしながら、本発明の基礎を為す見識によると、言い換えれば、その刺し通し可能な容器壁部分の刺し通しがインパクト、すなわち、突然に発出される所定の力の影響下で行われる場合には、とがっていない端を持つ針部材を利用することが可能となる。
【0008】
インパクトによって刺し通しが行われる場合、その針部材の形状は、それほど重要ではなく、また、その刺し通し可能な容器壁部分を刺し通すように構成される針部材の端は、とがっている必要がない。更に、その刺し通し力は、その針部材の変形がほとんどないか全くないようにするために、従来の刺し通し処理を実行する目的のために必要とされる刺し通し力より小さいものであってもよい。その結果として、その針部材が、強化プラスチック又は金属のような従来の材料とは別の材料、例えば、ポリプロピレンを含むことが可能となる。これは、針部材がディスポーザブルカートリッジの一部である場合に極めて有利である。
【0009】
従来の方法、すなわち、針部材をその容器のホイルを通じて押し込む方法により、刺し通し処理が実行される場合、その刺し通し力及びその針部材のストロークは、そのホイルの厚み及び構造、並びに、その針部材の形状によって決定される。特にその飲料原料に長い保管期間が求められる場合、その容器の材料は、その内側に丈夫な層を有する複合材料で作られ、その層は、例えば、ポリエチレンを含み得る。そのような層を破ることは非常に困難であり、それ故に、従来の刺し通し方法においては、大きな刺し通し力、大きなストローク、及び、とがった針部材が必要とされる。本発明が利用される場合のようにインパクトによってその刺し通しが行われる場合には、これらの欠点が克服される。実現可能な可能性によると、インパクト力の影響下での刺し通しは、その針部材に対して特定の力を一挙に発出することを含む。そのように行うことで、その刺し通し力は、四倍も低いものとなり、そして、その針部材のストロークは、二倍又は三倍も小さいものとなることが実現される。更に、良好に定義された開口がその容器壁で得られ、その結果として、入口抵抗が良好に定義されたものとなり、また、刺し通し可能な容器壁部分を刺し通すためにとがっていない端を持つ針部材が使用され得る。とがっていない針部材を用いる利点の一つは、その容器における不十分(premature)な開口を回避する点にある。とがっていない針部材を用いる利点の別の一つは、その針部材がプラスチックで作られ得る点にある。このようにして、カートリッジ全体がプラスチックで作られ、それに基づく製造コストの低さの維持が実現される。
【0010】
本発明に従ったディスポーザブルカートリッジでは、その針部材は、必ずしも中空である必要はない。その針部材がその容器壁の一部を刺し通すためのみに用いられ、且つ、その容器の内容物がその針部材を通ること以外の更に別の方法で移送されることも可能である。しかしながら、少なくとも一つの飲料原料をその容器からそのカートリッジの出口に向かって移送するためのその針部材が用いられることは、その針部材に二つの重要な機能、すなわち、その容器を開けること、及び、その内容物を取り出して移送することの二つの重量な機能を実行させるという事実のため、好適な選択肢であり、そのディスポーザブルカートリッジのコンパクトなデザインに貢献する。
【0011】
実用的な可能性によると、その針部材は、そのディスポーザブルカートリッジにおけるコネクタの一部であり、そのコネクタは、そのカートリッジと飲料メーカーとの間の接続を確立するのに役立つ。本発明に従ったディスポーザブルカートリッジの好適な実施例では、その容器全体とそのコネクタ全体とが互いに対して移動可能に配置される。このようにして、単純で、信頼性があり、且つ、頑強なカートリッジ構造が得られることとなる。
【0012】
その容器とそのカートリッジのコネクタとの双方は、適切なタイプであればどのようなものであってもよく、適切な形状を有していればどのようなものであってもよい点に留意すべきである。例えば、そのコネクタは、動作中に流体ポンプとして機能し、その針部材を通してその容器の内容物を吸い上げる目的のために必要とされる吸引力を提供する役割を果たすダクトシステムを有していてもよい。更に、そのディスポーザブルカートリッジは、本発明との間に矛盾を生じさせたり本発明の機能を妨げたりする特徴でなければ、従来のカートリッジに適用可能な多くの特徴を有していてもよい。例えば、そのディスポーザブルカートリッジは、認証コードを備えていてもよく、それに基づいて、そのカートリッジを受け入れて動作させるのに使用される飲料メーカーの機能が決定されてもよい。
【0013】
インパクトによる刺し通し処理の間におけるエネルギー損失を防止するために、刺し通し可能な容器壁部分がしっかりと支持されていることが重要である。それ故に、本発明に従ったディスポーザブルカートリッジの好適な実施例では、その刺し通し可能な容器壁部分は、その容器の支持部分の上にある支持手段によって支持される。好適な実施例では、その容器壁は、ドーム形状を有していてもよく、その針部材は、このドーム形状の容器壁部分の内側に延び、また、その刺し通し可能な容器壁部分は、このドーム形状の容器壁部分の端に存在する。その場合、その刺し通し可能な容器壁部分の支持は、そのドーム形状の容器壁部分を、そのドーム形状の容器壁部分の端に配置された支持手段を通じてその容器の支持部分に載せることによって提供されてもよい。これらの支持手段は、例えば、その刺し通し可能な容器壁部分を囲む、間隔を空けて置かれるリブの配列を含んでいてもよい。その支持リブ間の空間は、その容器壁で開口が作られた場合に、その容器からその針部材への飲料原料の流れを許容する。
【0014】
本発明はまた、本発明に従ったディスポーザブルカートリッジの操作方法に関する。特に、この方法は、所定の力がその針部材に一挙に作用するようにすることによって、その針部材によるその刺し通し可能な容器壁部分へのインパクトを実現させることを含む。好適には、その針部材がそのディスポーザブルカートリッジにおけるコネクタの一部である場合に、そのコネクタ全体がそのインパクト力の影響下でその容器全体に対して動かされ、その針部材とその刺し通し可能な容器壁部分との間の良好に定義された相対移動が得られるようにする。
【0015】
本発明はまた、本発明に従ったディスポーザブルカートリッジを受け入れ且つ動作させるよう構成された飲料メーカーに関する。そのような飲料メーカーは、そのカートリッジの針部材にインパクト力を与えるための手段を含み、その手段は、例えば、発出可能(releaseably)に配置されるピストンを含んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に従ったディスポーザブルカートリッジを通る側面断面図であり、非動作状態、すなわち、そのカートリッジの容器が閉じられた状態にあるカートリッジを示す。
【図2】本発明に従ったディスポーザブルカートリッジを通る側面断面図であり、動作状態、すなわち、そのカートリッジの容器が開けられた状態にあるカートリッジを示す。
【図3】非動作状態におけるディスポーザブルカートリッジの容器壁のドーム形状部分の斜視図である。
【図4】動作状態におけるディスポーザブルカートリッジの容器壁のドーム形状部分の斜視図である。
【図5】非動作状態におけるディスポーザブルカートリッジの容器壁のドーム形状部分を通る縦断面の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、図を参照しながらより詳細に説明され、同一又は同等の部品は同じ参照符号によって示される。
【0018】
図1及び2において、本発明に従ったディスポーザブルカートリッジ1の断面図が示される。ディスポーザブルカートリッジ1は、飲料メーカー(図示せず。)に挿入されるのを目的として作られており、一以上の飲料原料を供給するのに役立つ。
【0019】
ディスポーザブルカートリッジ1は、互いに可動である二つの部品、すなわち、一以上の飲料原料で満たされた容器10と、そのカートリッジをその飲料メーカーに接続するのに役立つコネクタ20とを有する。以下において、説明の明確化のため、カートリッジ1は、図1及び2で示されるような配置、すなわち、コネクタ20がカートリッジ1の頂部に置かれる配置で使用されるものとされる。それは、本発明の範囲内において、カートリッジ1が他の適切な配置で使用されることも可能であるという事実を変更するものではない。更に、以下において、カートリッジ1の容器10にはミルクが入っているものとされる。それは、本発明の範囲内において、容器10が他の流体又は流体の混合物を含んでいてもよいという事実を変更するものではない。
【0020】
コネクタ20は、平坦な基部21とその平坦な基部21から下方に延在する中空の針部材22とを有し、針部材22の長軸は、基部21が延在する平面に対して実質的に直角をなす。針部材22の端23は、容器10における壁12の刺し通し可能な部分11を刺し通せるように構成され、また、針部材22は全体として容器10から基部21にあるダクトシステム30にミルクを移送するのに役立つ。好適には、ダクトシステム30は、負圧の影響下でそのミルクを汲み上げるのに適しているが、これは、必ずしも本発明の範囲内で必要なことではない。
【0021】
基部21及び針部材22に加えて、コネクタ20はまた、出口端25を持つ出口部材24を有する。動作中、容器10から針部材22を通じてコネクタ20の基部21におけるダクトシステム30へ流れるミルクは、ダクトシステム30によって出口部材24に移送され、そして、出口部材24の出口開口25を通してカートリッジ1を出る。
【0022】
容器壁12の刺し通し可能な部分11は、容器壁12のドーム形状の部分13の一部であり、単純化のため、以下ではドーム13として参照される。図示された実施例では、ドーム13は、円形断面を有し、容器10の頂部から容器10の底部の方向に徐々に細くなる。このことはまた、図3においても見られ、そこでは、ドーム13は、単独で示されている。容器10の頂部のところでドーム13は開かれ、そして、針部材22のかなりの部分がドーム13の内側に延びる。刺し通し可能な部分11は、容器10の底にある、ドーム13の閉端14のところに位置付けられる。ドーム13は、刺し通し可能な部分11を超えた位置に、すなわち、刺し通し可能な部分11のレベルより低いレベルにドーム13の局所的な延長として形成される、隙間が間に置かれた支持リブ16を通じて、容器10の底部材15の上に載っている。図示された実施例では、支持リブ16の数は、三つであるが、このことは、本発明に従ったカートリッジ1における不可欠な特徴ではない。更に、図示された実施例では、支持リブ16は、丸い外観を有する。
【0023】
以下において、本発明に従ったカートリッジ1の動作を説明する。
【0024】
最初の段階で、カートリッジ1は、カートリッジ1を受け入れ且つ収容するための空間を有する飲料メーカー(図示せず。)内に位置付けられる。カートリッジ1がその飲料メーカー内の適切な位置にある場合、カートリッジ1のその飲料メーカーへの接続がコネクタ20によって確立される。特に、コネクタ20のダクトシステム30は、例えば、そのミルクを加熱し且つ汲み上げるのを目的とした蒸気を供給するためのダクトである、その飲料メーカーのダクト(図示せず。)又はダクトシステム(図示せず。)に接続される。
【0025】
最初に、カートリッジ1は、図1で示されるような状態、すなわち、針部材22の全体が容器壁12の刺し通し可能な部分11の上にある状態である飲料メーカー内に位置付けられ、針部材22の端23は、刺し通し可能な部分11に最も近い。
【0026】
突然、コネクタ20は、コネクタ20が容器10の方向に移動させられるように、その飲料メーカーの手段(図示せず。)によってたたかれる。例えば、その飲料メーカーは、突然に発出されるピストン(図示せず。)であって、針部材22の位置でコネクタ20にインパクトを与えるように配置されるピストンを有していてもよい。図1において、このインパクトは、下方を向く矢印によって表される。
【0027】
そのインパクトの結果として、コネクタ20は、図1において双方向矢印によって示される距離d1に沿って動かされる。その過程において、針部材22の端23は、容器壁12の刺し通し可能な部分11を刺し通す。コネクタ20がそれに沿って動かされる距離d1はまた、針部材22のストロークと見なされてもよい。図2において、カートリッジ1は、容器壁12の刺し通し可能な部分11が針部材22によって刺し通され、針部材22の端部26が容器10の底部材15と刺し通し可能な部分11における破れていない部分と支持リブ16との間の空間17の中に延在している状態にあるものとして示される。そのミルクは、支持リブ16間にある空間18を通じてこの空間17に入ることができる。針部材22へのミルクの流れを許容する目的で、針部材22は、その端23が容器10の底部材15の上から僅かな距離のところにくるように位置付けられる。それにもかかわらず、本発明の範囲内において、針部材22の端23のデザインは、この端23が容器10の底部材15と接触する場合であっても針部材22内へのミルクの流れが生じてもよいようにされてもよい。例えば、針部材22のリング状端面は、必ずしも平面である必要はなく、リッジのある外観を有していてもよい。
【0028】
針部材22は、好適には、カートリッジ1の他の構成要素と同じ材料で作られており、その材料は、通常、カートリッジ1がディスポーザブルとして利用されるという事実を考慮して、多少安価なプラスチックであり、飲料を準備する過程で一度だけ、或いは、限られた回数だけ使用されるのに適したものである。更に、針部材22の端23は、とがっていない。とがった形状よりもとがっていない形状を製造することのほうが簡単だからであり、また、針部材22が容器壁12の刺し通し可能な部分11を刺し通すためのインパクト力にさらされるという事実によってとがった形状が必要とされないからである。刺し通し処理の結果は、図4で示され、そこでは、ドーム13の一部が示される。比較的大きな開口19が容器壁12の刺し通し可能な部分11のところで得られることを見ることができる。この開口19のサイズは、主に、針部材22の端部26のサイズ(直径)によって決定される。
【0029】
容器壁12の刺し通し可能な部分11に開口19を創出する過程で用いられたインパクト力は、とがった端を持つ針部材を駆動することによって容器壁12の刺し通し可能な部分11を通して開口を創出する従来の処理で必要とされる力よりも顕著に弱いものであってもよい。これは、本発明の重要な利点である。
【0030】
支持リブ16によって、ドーム13は、良好に支持される。このようにして、容器壁12の刺し通し可能な部分11における良好な刺し通しが保証され、ドーム13の変形及び/又は動きに起因するエネルギー損失が極小化される。刺し通し処理の成功はまた、容器壁12の刺し通し可能な部分11の厚みに依存する。容器10が熱成形として知られる処理によって製造された場合、容器壁12の刺し通し可能な部分11の厚みを極めて良好に制御すること、すなわち、支持リブ16の頂部と刺し通し可能な部分11との間の距離d2(単純化のため、以下では、ドーム13の深さd2として参照される。)を極めて良好に制御することが可能である。図5において、ドーム13のこの深さd2は、双方向矢印によって示され、一方で、容器12の刺し通し可能な部分11の厚みは、二つの対向する矢印の間の距離として表現される。概して、ドーム13の深さd2と容器壁12の刺し通し可能な部分11の厚みとの間の関係は、ドーム13の深さd2の増大が刺し通し可能な部分11の厚みの減少につながるというものである。この関係に基づいて、比較的低い高さを持つ容器10を製造する必要がある場合には、比較的薄い基礎ホイルを用いることが可能であり、また、ドーム13の深さd2の適切な値、すなわち、比較的小さな値を選択することによって容器壁12における危険なほどに薄い部分の発生を回避することが可能である。
【0031】
以下の表では、容器壁12の刺し通し可能な部分11を刺し通す二つの異なる処理、すなわち、とがっていない端23を持つ針部材が使用され、針部材22がインパクト力にさらされ、且つ、固定ストロークに沿って動かされるところの本発明に従った処理と、とがった端を持つ針部材が使用され、その針部材がその針部材の端を刺し通し可能な部分11に押し付けるための押し付け力にさらされる従来の処理との二つの異なる処理で得られる測定結果の要約が与えられる。それらの結果は、双方とも、680μmのポリスチレン(PS)、40μmのエチレンビニルアルコール(EVOH)、及び50μmのポリエチレン(PE)から成る0.8mm厚のホイルで作られた、容器壁12の刺し通し可能な部分11で約0.25mmの厚みが得られた、同一のドーム13を用いることによって取得された。
【0032】
【表1】

それら結果の比較から、本発明に従った刺し通し処理における針部材22のストローク及びそのストロークの間に及ぼされる力の双方が、従来の処理におけるものよりも顕著に小さいということとなった。更には、従来の刺し通し処理は、容器壁12の刺し通し可能な部分11における開口の創出ではなく、単に、この部分11の変形につながったが、本発明に従った刺し通し処理は、図4で示されるような開口19の創出をもたらした。
【0033】
本発明の範囲が前述の実施例に限定されることはなく、付属の請求項で規定されるような本発明の範囲から逸脱することなくそれらの複数の変更及び改良が可能であることは、当業者にとって明らかである。
【0034】
図示されたカートリッジ1は、ただ一つの容器10を有する。しかしながら、飲料を作る過程でそのカートリッジによって供給される流体の数に応じて、本発明に従ったカートリッジが二以上の容器10を有することもまた可能である。そのような場合、そのカートリッジが多くの針部材22を有し、針部材22のそれぞれが、別々の容器10に関連付けられていれば、好適である。
【0035】
図示されたカートリッジ1において、容器壁12の部分11は、刺し通し可能である。本発明の範囲内において、刺し通し可能なホイル等が容器壁12に挿入されることもまた可能である。しかしながら、容器壁12の刺し通し可能な部分11が単に容器壁12の比較的薄い部分11によって構成されれば好適であり、そのような場合には、別個の部材が容器壁12内に配置される必要がない。
【0036】
前述において、飲料メーカーで使用されるディスポーザブルカートリッジ1を説明した。実現可能な実施例において、カートリッジ1は、少なくとも一つの飲料原料を入れるための容器10と、カートリッジ1と飲料メーカーとの間の接続を確立するためのコネクタ20とを有する。コネクタ20は、容器10の壁12の部分11を刺し通すためのとがっていない端23を持つ中空の針部材22を有し、針部材22は、容器壁12のドーム形状の部分13内に延びる。更に、コネクタ20は、容器10に対して移動可能に配置される。動作中、インパクト力が針部材22に及ぼされ、その結果として、コネクタ20が容器10に対して容器10に向かう方向に動かされ、そして、容器壁12の刺し通し可能な部分11が針部材22の端23によって刺し通される。その刺し通し処理が生じた後、容器10の内容物は、針部材22を通して回収可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの飲料原料を入れるための容器と、該容器の壁の一部を刺し通すための針部材とを有し、前記針部材と前記容器の壁の刺し通し可能な部分とが互いに移動可能に配置される、飲料メーカー用ディスポーザブルカートリッジ。
【請求項2】
前記針部材と前記容器の壁の刺し通し可能な部分とのうちの少なくとも一つは、インパクト力の影響下で動かされるよう構成される、
請求項1に従ったディスポーザブルカートリッジ。
【請求項3】
前記針部材は、少なくとも一つの飲料原料を前記容器から前記カートリッジの出口に向けて移送するよう構成される、
請求項1又は2に従ったディスポーザブルカートリッジ。
【請求項4】
前記針部材は、中空である、
請求項3に従ったディスポーザブルカートリッジ。
【請求項5】
前記針部材の端は、前記容器の壁の刺し通し可能な部分を刺し通すよう構成され、とがっていない、
請求項1乃至4の何れかに従ったディスポーザブルカートリッジ。
【請求項6】
前記容器及び前記針部材の双方がプラスチックで作られている、
請求項1乃至5の何れかに従ったディスポーザブルカートリッジ。
【請求項7】
前記ディスポーザブルカートリッジと飲料メーカーとの間の接続を確立するためのコネクタを更に有し、前記針部材が前記コネクタの一部である、
請求項1乃至6の何れかに従ったディスポーザブルカートリッジ。
【請求項8】
前記容器の全体と前記コネクタの全体とが互いに移動可能に配置される、
請求項7に従ったディスポーザブルカートリッジ。
【請求項9】
前記容器の壁の刺し通し可能な部分は、前記容器の支持部分にある支持手段によって支持される、
請求項1乃至8の何れかに従ったディスポーザブルカートリッジ。
【請求項10】
前記針部材は、前記容器の壁のドーム形状部分の内側に延び、
前記容器の壁の刺し通し可能な部分は、前記容器の壁のドーム形状部分の端にあり、
前記ドーム形状部分は、前記容器の壁のドーム形状部分の端に配置される支持手段を介して、前記容器の支持部分に載っている、
請求項9に従ったディスポーザブルカートリッジ。
【請求項11】
前記支持手段は、前記容器の壁の刺し通し可能な部分を囲む、間隔を空けて置かれたリブの配列を含む、
請求項10に従ったディスポーザブルカートリッジ。
【請求項12】
前記容器の壁は、ドーム形状部分を有する、
請求項1乃至11の何れかに従ったディスポーザブルカートリッジの一部となるように作られた容器。
【請求項13】
前記コネクタは、前記カートリッジの別の構成要素における壁の刺し通し可能な部分を刺し通すように構成された端を持つ針部材を有する、
請求項1乃至11の何れかに従ったディスポーザブルカートリッジの一部となるように作られた容器。
【請求項14】
前記容器の壁の刺し通し可能な部分での前記針部材のインパクトは、前記針部材に所定の力を一挙に与えられるようにすることによって実現される、
請求項1乃至11の何れかに従ったディスポーザブルカートリッジの操作方法。
【請求項15】
前記針部材は、前記ディスポーザブルカートリッジと飲料メーカーとの間の接続を確立するためのコネクタの一部であり、
前記コネクタの全体は、前記インパクトの力の影響下で、前記容器の全体に対して移動させられる、
請求項14に従った方法。
【請求項16】
前記カートリッジの前記針部材にインパクト力を与えるための手段を有する、
請求項1乃至11の何れかに従ったディスポーザブルカートリッジを受け入れ且つ動作させるよう構成される飲料メーカー。
【請求項17】
前記カートリッジの前記針部材にインパクト力を与えるための手段は、発出可能に配置されるピストンを含む、
請求項16に従った飲料メーカー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−35609(P2013−35609A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−226659(P2012−226659)
【出願日】平成24年10月12日(2012.10.12)
【分割の表示】特願2009−510588(P2009−510588)の分割
【原出願日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】