説明

移動型成分採集分析装置

【課題】携帯および移動が可能であり、試料の大きさを問わずに適用可能であるうえ、試料の表面だけでなくビアホールの底面の成分を効果的に採取して分析することが可能な移動型成分採集分析装置を提供する。
【解決手段】本発明は、試料を環境から隔離し、気化した試料を採集する採集部と、傾きと回転を加えることができるように前記採集部に設置され、観察地点にレーザービームが照射されるようにする二色性対物レンズ部と、前記二色性対物レンズ部に連結され、試料の気化に必要なレーザービームを発生させるレーザー光源部と、前記二色性対物レンズ部に連結され、試料の観察地点に対する光学イメージを獲得するカメラ部と、前記採集部、レーザー光源部およびカメラ部の動作を制御して試料の観察とレーザービームの位置および角度の調整とレーザー照射とを行うように制御する制御部とを含んでなる、移動型成分採集分析装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動型成分採集分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、現代の異物成分分析設備、例えばFT−IR、ToF−SIMS、SEMなどは、分析可能な試料の大きさに制約がある。大部分、数十cm以上の製品に存在する異物を分析しなければならない場合、全体製品から分析しようとする製品部位のみを切り取り或いは分離した後、製品から異物のみを分離し或いは溶出させ或いは拭き取る。
【0003】
このような方法は、製品と試料を毀損、遺失または変性させるおそれがあり、相当なノウハウと高度に熟練した技術者を要求する。また、高真空を要求するToF−SIMSやSEMなどの分析法では(準)揮発性試料の分析が不可能である。
【0004】
かかる問題点を解決するために、レーザーで試料の特定部位を気化させる方法が採用されたりもする。レーザーによって気化した物質は、気体状態で質量分析器などの分析装置へ移送されて分析される。
【0005】
一般に、レーザー照射装置と試料は、外部から遮断された、固定された分析室(chamber)に共に位置する。よって、分析室の大きさより大きいプリント基板を分析するためには基板を分析室に入れる程度の大きさに切断しなければならないので、生産中か検査中の基板を損傷することなく分析することはできない。
これに対し、分析室の大きさがあまり大きくなると、分析室の内部で気化した気体の濃度が減少して分析感度が低くなる。
【0006】
また、数〜数百マイクロメートルサイズのビアホール内部の底面またはビアホール内部の側面を分析するためには、レーザーをマイクロビア内部の分析すべき地点に正確に照射しなければならず、入射角の調整も可能でなければならない。
【0007】
ところが、一般な気化装置の場合、試料の観察に使用される光学機器とレーザー照射装置の光軸(optical axis)と光経路が一致しないためレーザーの正確な照準が難しく、レーザーおよび観察光学機器の光軸の調整が難しくてビアホールの底面隅またはビアホールの壁面などの隠蔽構造に位置した成分を分析することが難しい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明は、かかる問題点を解決するためのもので、その目的は、携帯および移動が可能であり、試料の大きさを問わずに適用可能であるうえ、試料の表面だけでなくビアホールの底面の成分を効果的に採取して分析することが可能な移動型成分採集分析装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は、試料を環境から隔離し、気化した試料を採集する採集部と、傾きと回転を加えることができるように前記採集部に設置され、観察地点にレーザービームが照射されるようにする二色性対物レンズ部と、前記二色性対物レンズ部に連結され、試料の気化に必要なレーザービームを発生させるレーザー光源部と、前記二色性対物レンズ部に連結され、試料の観察地点に対する光学イメージを獲得するカメラ部と、前記採集部、前記レーザー光源部および前記カメラ部の動作を制御して試料の観察、レーザービームの位置および角度の調整、並びにレーザー照射を行うように制御する制御部とを含んでなる、移動型成分採集分析装置を提供する。
【0010】
また、本発明の前記採集部は、一面が開放された小型容器と、前記二色性対物レンズ部を回転させて光学観察およびレーザー照射の角度を変更させるジンバルと、前記二色性対物レンズ部をxyz座標上で直線運動させて光学観察およびレーザー照射の位置を変更させるxyz−線形移動器と、レーザービームにより気化した成分を近接して採集する気体採集管と、外部気体の前記小型容器への流入を防止し、気化した成分が気体採集管へ効果的に流入できるように不活性気体を放出するファージガスノズルと、前記小型容器の開口部に取り付けられ、試料と小型容器間の密閉性を高める密閉器と、ファージガスの一部を前記小型容器の外部へ放出させて過度な圧力増加を防止するファージガス排出口とを含むことを特徴とする。
また、本発明の前記小型容器は、強化ガラスまたはポリカーボネートを含む透明素材からなることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の前記ジンバルは、前記小型容器の上端部と前記二色性対物レンズ部との間に取り付けられ、前記小型容器の中心軸を基準として光学軸を調整することができることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の前記気体採集管は、前記小型容器の上端部を介して容器に連結され、管の内部がガラス、シリカ、石英およびテフロンの少なくとも一つでコートされてもよいを特徴とする。
また、本発明の前記気体採集管は、レーザービームの出入りを可能にする孔を含むことを特徴とする。
また、本発明の前記xyz−線形移動器は、前記小型容器の中央付近に取り付けられ、前記ジンバルと前記気体採集管を移動させることを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、前記ファージガスノズルに流入するファージガスの流入量を調節する第1流量調節器と、前記ファージガス排出口を介して排出されるファージガスの排出量を調節する第2流量調節器とをさらに含むことを特徴とする。
【0014】
また、本発明の前記二色性対物レンズ部は、レーザービームの集束と観察イメージの拡大のための対物レンズと、試料に入射されるレーザービーム、および試料から前記カメラに入力される試料のイメージが前記対物レンズ内の同一の光学経路を通過するようにする二色性ミラー(dichroic mirror)と、前記二色性対物レンズ部と前記レーザー光源部と前記カメラ部との間を連結する2つの光ファイバーがそれぞれ取り付けられる一対のカプラー(coupler)とを含むことを特徴とする。
【0015】
また、本発明の前記制御部は、前記採集部および前記二色性対物レンズ部を制御する駆動(motion)制御器と、前記レーザー光源部を制御するレーザー制御器と、前記カメラ部を制御し、獲得されたイメージを処理するカメラ制御器と、前記採集部の温度を制御する温度制御器と、イメージおよび分析データを表示するモニターと、前記駆動制御器、前記レーザー制御器、前記カメラ制御器および前記温度制御器を統制する中央制御器とを含むことを特徴とする。
また、本発明は、前記レーザー光源部と前記二色性対物レンズ部とを連結する光ファイバーをさらに含むことを特徴とする。
また、本発明は、前記カメラ部と前記二色性対物レンズ部とを連結する光ファイバーをさらに含むことを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、前記採集部に連結され、採集部で採集されて伝達された試料の成分を分析する分析部をさらに含み、前記制御部は前記分析部の動作とデータを処理する分析制御器を含むことを特徴とする。
また、本発明の前記採集部は、前記採集部と前記分析部とを連結し、採集された気体を前記分析部へ移動させる連結管を含むことを特徴とする。
また、本発明の前記連結管は、フレキシブルな管であり、管の内部がガラス、シリカ、石英およびテフロンの少なくとも一つでコートされたことを特徴とする。
【0017】
また、本発明は、前記採集部に連結され、採集部で採集されて伝達された試料の成分を吸着する吸着部をさらに含み、前記制御部は前記吸着部の動作を制御する吸着制御器を含むことを特徴とする。
【0018】
また、本発明の前記吸着部は、前記採集部で採集された試料成分を吸着させる吸着管と、前記吸着管の温度を冷却させる冷却器と、気体試料を移送させる真空ポンプとを含むことを特徴とする。
また、本発明の前記採集部は、前記採集部と前記吸着部とを連結し、採集された気体を吸着部へ移動させる連結管を含むことを特徴とする。
また、本発明の前記連結管は、フレキシブルな管であり、管の内部がガラス、シリカ、石英およびテフロンの少なくとも一つでコートされたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
上述した本発明によれば、試料の大きさを問わずに微小成分を気化させて採集することが可能な採集部と、微細隠蔽構造の内部に位置した成分の気化に適した二色性対物レンズ部とを備え、試料の表面とビアホールの内部に存在する微小微量成分を効果的に採集して分析することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1実施例に係る移動型成分採集分析装置の概念図である。
【図2】図1の試料採集管の詳細構成図である。
【図3】図1の制御部の詳細構成を含む移動型成分採集分析装置の概念図である。
【図4】本発明の第2実施例に係る移動型成分採集分析装置の全体構成図である。
【図5】本発明の第1および第2実施例における、分析地点がプリント基板のビアホールの内壁にある場合の動作を示す図である。
【図6】本発明の第1および第2実施例における、基板の試料表面に半導体パッケージなどの突出物があるときの動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の目的、特定の利点および新規の特徴は添付図面に連関する以下の詳細な説明と好適な実施例からさらに明白になるであろう。
【0022】
これに先立ち、本明細書および請求の範囲に使用された用語または単語は、通常的で辞典的な意味で解釈されてはならず、発明者が自分の発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義することができるという原則に基づき、本発明の技術的思想に符合する意味と概念で解釈されなければならない。
【0023】
本発明において、各図面の構成要素に参照番号を付加するにおいて、同一の構成要素については、他の図面上に表示されても、出来る限り同一の番号を付することに留意すべきであろう。なお、本発明を説明するにおいて、関連した公知の技術に対する具体的な説明が本発明の要旨を無駄に乱すおそれがあると判断される場合、その詳細な説明は省略する。
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施形態を詳細に説明する。
図1は本発明の第1実施例に係る移動型成分採集分析装置の概念図である。
【0024】
図1を参照すると、本発明の第1実施例に係る移動型成分採集分析装置は、採集部100、二色性対物レンズ部200、レーザー光源部300、カメラ部400、分析部500、および制御部600を備えている。
【0025】
ここで、採集部100は、試料10を環境から隔離し、気化した試料10を採集するための装置であって、下部が開放された小型容器110と、二色性対物レンズ部200を回転させて光学観察及びレーザー照射角度を変更させるシンバル(gimbal)120と、二色性対物レンズ部200をxyz座標上で直線運動させて光学観察およびレーザー照射の位置を変更させるxyz−線形移動器(linear translation system)130と、レーザービームにより気化した試料成分を近くから採集する気体採集管140と、不活性気体としてのファージガスを注入するためのファージガス注入口150と、外部気体の小型容器110内への流入を防止し、気化された成分が気体採集管140へ効果的に流入できるようにするファージガス注入口150から注入される不活性気体としてのファージガスを放出する複数のファージガスノズル160と、小型容器110の下端の開口部に取り付けられ、試料10と小型容器110間の密閉性を高める密閉器170と、ファージガスの一部を前記小型容器110の外部へ放出させて過度な圧力増加を防止するファージガス排出口180とを備えている。
ここで、小型容器(chamber)110は、下端に開口部がある直径20cm未満の円筒形を取ることが好ましいが、他の形状を取ってもよい。
【0026】
このような小型容器110は、一部或いは全体に強化ガラス、ポリカーボネートなどの透明素材を用いて内部が見えるようにする。また、小型容器110は、重さ中心を下方に置いて安定性を高めるために、下方に重い金属素材を使用することが好ましい。
【0027】
前記小型容器110の最上端に採集部100のジンバル120が設置される。このようなジンバル120を介して前記二色性対物レンズ部200を前記小型容器110に取り付けることにより、前記二色性対物レンズ部200と小型容器110の中心軸との角度を調整することができる。
このような角度調整のために、ジンバル120以外にもベローズ(bellows)などの他の機械装置が制限なく使用されることも可能である。
このようなジンバル120は、手動で動いてもよく、モーターなどの駆動装置によって動いてもよい。
【0028】
次に、採集部100のxyz−線形移動器130は、前記二色性対物レンズ部200をxyz座標上で直線運動させて光学観察およびレーザー照射の位置を変更させるためのもので、前記小型容器110の上端部と下端部との間に取り付けることにより、小型容器110の上端部に取り付けられた部分、例えば前記ジンバル120や二色性対物レンズ部200、気体採集管140などを所望の位置へ同時に移動させる。
【0029】
このようなxyz−線形移動器130は、手動で動いてもよく、モーターなどの駆動装置によって動いてもよく、分解能がマイクロメートル単位を有することが好ましい。
【0030】
採集部100の気体採集管140は、レーザー光源部300のレーザー光源310から発振されたレーザービームにより気化した試料10の成分を近くで採集するためのもので、好ましくは内径10mm以下のステンレス鋼などの金属管である。
このような気体採集管140は、前記小型容器110の上端部を介して容器に連結され、前記xyz−線形移動器130によって移動できる。
【0031】
また、このような気体採集管140は、気化した試料10が管の表面に吸着されることを防止するために、発熱装置との接触を介して、或いは採集管140自体に電流を流して摂氏100度以上に加熱し、管の内部をガラス、シリカ、石英、テフロンなどでコートすることが好ましい。
【0032】
また、このような気体採集管140は、必要な場合、端部を試料10の分析位置に非常に近く接近させるか或いは遠く後退させることができるように、長手方向に押し込んだり引き出したりすることを可能にすることが好ましい。
このために、このような気体採集管140を前記小型容器110にOリングなどを介して挿入するなどの方法が使用できる。
【0033】
採集効率および分析効率を増加させるために、このような気体採集管140を試料10に非常に近く接近させてもレーザー照射と光学的観察が気体採集管140によって妨げられないように、図2に示すように、気体採集管140の側面にレーザービームと光学観察の光が通過しうる孔140−2を作ることができる。
【0034】
このような気体採集管140には、採集された気体試料を分析部500へ伝達するための連結管140−1がさらに取り付けられてもよい。このような連結管140−1は、耐化学性および耐熱性に優れる内径5mm以下のフレキシブルな管であって、ステンレス鋼などの金属可撓管またはテフロンなどの耐熱性高分子材質の管が好ましい。気体の吸着および反応を防止するために、管の内部はガラス、石英、テフロンなどでコートすることができ、管の外部は熱線を巻いて加熱し、或いは金属管に直接電流を流して加熱することができる。
【0035】
一方、ファージガスノズル160は、外部気体の前記小型容器110への流入を防止し、気化した成分が前記気体採集管140へ効果的に流入できるように不活性気体としてのファージガスを放出するために、前記小型容器110の内壁下端部に対称的に配置する。
このようなファージガスノズル160は、下方に向かせてファージガスの流れが試料の表面を経て上部へ移動し得るようにする。
【0036】
ファージガスとしては、高純度の窒素やアルゴンなどの不活性気体が使用できる。このようなファージガスは、ファージガス注入口150に取り付けられたバルブまたは流量制御器を介して制御された流量だけ前記小型容器110内のファージガスノズル160から供給される。
【0037】
次に、前記採集部100の密閉器170は、小型容器110の下端の開口部に取り付けられ、試料10と小型容器110間の密閉性を高めるためのもので、合成ゴムなどの稠密な弾性体からなって試料容器110が試料10に定着されるようにし、外部からの空気流入と内部からの気化試料の流出を最小化する。
【0038】
前記採集部100のファージガス排出口180は、採集部100の上端に配置され、ファージガスと気化した試料のうち気体採集管140へ流入していない部分がこれを介して外部へ排出されるようにして、採集部100の内部圧力が一定に維持できるようにする。
このようなファージガス排出口180には、排出流量を調節することができるようにバルブまたは流量制御器をさらに取り付けてもよい。
【0039】
一方、前記二色性対物レンズ部200は、光学観察した特定の位置にレーザービームが正確に照射されるようにするための装置であって、レーザービームの集束と観察イメージの拡大のための対物レンズ210と、試料10に入射されるレーザービーム、および試料からカメラ部400に入力される試料10の光学イメージが前記対物レンズ210の同一経路を通過するようにする二色性ミラー(dichroic mirror)220と、このような二色性対物レンズ部200をレーザー光源部300およびカメラ部400に連結する2つの光ファイバー330、440がそれぞれ取り付けられるカプラー230と、光学観察に必要な照明を供給する照明器240とを備えている。
【0040】
このような二色性対物レンズ部200の対物レンズ210は、手動で操作できるうえ、モーターなどの駆動装置を含んでいるため、遠隔で焦点距離や倍率などの調節が可能である。
このような二色性対物レンズ部200の照明器240は、前記対物レンズ210にリング状に取り付けられるLED照明が好ましい。
【0041】
一方、レーザー光源部300は、試料10の気化に必要なレーザービームを発生させるもので、レーザー光源310とカプラー320を備え、柔軟性のある光ファイバー330をさらに備えることにより、発生したレーザービームを二色性対物レンズ部200へ提供する。
【0042】
カメラ部400は、試料の特定部位に対する光学イメージを得ることに使用されるもので、カメラ410、対眼レンズ420、カプラー430および光ファイバー440を含む。
分析部500は、採集部100で気化して伝達された試料の成分を分析する。
制御部600は、試料の観察、レーザービームの照射および成分分析過程などを所望の方式通り行うように、関連部分を制御する。
【0043】
このような制御部600は、図3を参照すると、レーザー制御器610、カメラ制御器620、駆動制御器630、温度制御器640、分析部制御器650、中央制御器660およびモニター670を備えている。図3には省略されているが、各制御器610〜660は当該電源装置を共に含む。
以下、このように構成される本発明の第1実施例に係る移動型試料採集分析装置の動作について考察する。
【0044】
まず、使用者は、温度制御器640を介して気体採集管140と連結管140−1の温度を調節する。一般に、約摂氏100度の温度が好ましく、熱電対などの多様な温度測定装置が温度の測定に制限なく使用できる。
【0045】
次いで、使用者は、分析を所望する地点に採集部100の小型容器110を移して位置させる。使用者は、ファージガス注入口150に取り付けられたバルブなどを調節して適正流量のファージガスをファージガスノズル160を介して流すことにより、小型容器110の内部がファージガスで充填され、十分に乾燥するようにする。
その後、使用者は、二色性対物レンズ部200の対物レンズ210と照明器240を制御しながらカメラ部400を用いて光学的観察を行う。
【0046】
使用者は、カメラ制御器620を介して拡大およびプロセスされたイメージを制御部600のモニター670を介して観察し、駆動制御器630を介してジンバル120とxyz−線形移動器130を動かして正確な観察および分析地点を決定する。必要な場合、駆動制御器630を介して対物レンズ210を制御して焦点距離と倍率を調節する。
【0047】
次いで、レーザー制御器610を介してパワー、パルス幅、パルス周期などを調節した後、レーザー光源310からレーザービームを発射する。一般に、UVレーザーまたはIRレーザーが用いられる。レーザービームは、二色性対物レンズ部200の対物レンズ210を通過して、光学的に観察された試料の位置を正確に打撃する。
【0048】
その後、レーザー照射により気化した成分は、ファージガスノズル160から噴出されるファージガス流れによって誘導されて気体採集管140の内部へ流入する。流入した気体は、連結管140−1を通過して分析部500へ移送される。気体採集管140と連結管140−1は、温度制御器640によって加熱されており、その内部表面はガラス、石英、テフロンなどでコートされている。よって、気化した成分が管の表面に容易に吸着されず分析部500へ直ちに移送できる。
【0049】
次に、分析部500は到達した気体の成分を分析する。分析部500としては、質量分析器や赤外線分光分析器など、気体状態の成分分析が可能な各種化学成分分析器が使用でき、分析制御器650を介して分析部500の作動が制御される。分析制御器650で処理されたデータはモニター670を介して表示される。
【0050】
前記動作過程は、分析者が前記各制御器を順次操作することにより行われ得るが、中央制御器660に制御パラメータを予め入力して各制御器を所定の方式で制御するようにすることにより自動的に行われてもよい。
図4は本発明の第2実施例に係る移動型成分採集分析装置の全体構成図である。
【0051】
図4を参照すると、本発明の第2実施例に係る移動型成分採集分析装置では、図1〜図3に示した本発明の第1実施例に係る構成において、分析部500と分析制御器650のみが排除され、それを吸着部500’と吸着制御器650’が代替する。
【0052】
このような吸着部500’は、前記連結管を介して移送されてきた試料成分を吸着させる吸着管510’、吸着管510’の温度を降温させて吸着効率を増加させる冷却器520’、および気体試料を移送させる真空ポンプ530’で構成される。
【0053】
このような吸着部500’の吸着管510’は、パイレックスガラスまたは石英管からなっており、内部にはガラス繊維や活性炭などの繊維または多孔性物質からなる吸着材510’−1で充填されていることが好ましい。
このような吸着部500’の冷却器520’は、ペルチエなどの熱電素子または冷媒循環器に連結された熱交換器である。
【0054】
このような吸着部500’の吸着制御器650’は、前記冷却器520’とポンプ530’を制御して冷却器520’の温度とポンプ530’のポンピング速度を制御する。
このように構成される本発明の第2実施例に係る移動型試料採集分析装置の動作は、分析部に関連した過程を除いては本発明の第1実施例の動作と同様である。
【0055】
本発明の第2実施例に係る移動型試料採集分析装置の動作では、連結管を通過した試料成分が、第1実施例の分析器に流入する代わりに、前記冷却器520’によって冷却されている吸着管510’に流入する。
次に、流入した試料成分は低温に維持されている前記吸着管510’を経て吸着材510’−1に吸着され、ファージガスは吸着材510’−1を通過する。
その後、吸着材510’−1による捕集が終わると、GC−MSなどの別途の分析装置に連結して試料の化学成分を分析することができる。
【0056】
図5および図6は、本発明の第1および第2実施例における、分析地点がプリント基板のビアホール20の内壁にあるとき、或いは基板の試料の表面に半導体パッケージなどの突出物30があるときの動作を詳細に示す図である。
【0057】
図5を参照すると、ビアホール20の側面または底面隅の成分を観察し気化させるためには、光学的観察軸とレーザービームとが重なり合った状態で同一の方向と大きさで傾けなければならない。
【0058】
また、図6を参照すると、基板の表面に半導体などの突出物30があって、採集部100全体が傾くしかない状況でビアホール20の底面の成分を観察し気化させるためには、採集部100が傾いても、光学的観察軸とレーザービームとは重なり合ったまま垂直を維持しなければならない。
【0059】
本発明では、前記ジンバル120を用いて前記二色性対物レンズ部200を傾けることにより、このような要求を満足させることができる。勿論、必要な場合、xyz−線形移動器130を用いて小型容器110の上端部の位置を微細調整し、気体採集管140を試料に対して接近または後退させる作業がさらに必要である。
【符号の説明】
【0060】
10 試料
20 ビアホール
30 突出物
100 採集部
110 小型容器
120 ジンバル
130 線形移動器
140 気体採集管
150 ファージガス注入口
160 ファージガスノズル
170 密閉器
180 ファージガス排出口
200 二色性対物レンズ部
210 対物レンズ
220 二色性ミラー
230 カプラー
240 照明器
300 レーザー光源部
310 レーザー光源
320 カプラー
330 光ファイバー
400 カメラ部
410 カメラ
420 対眼レンズ
430 カプラー
440 光ファイバー
500 分析部
500’ 吸着部
510 吸着管
510’−1 吸着材
520’ 冷却器
530’ ポンプ
600 制御部
610 レーザー制御器
620 カメラ制御器
630 駆動制御器
640 温度制御器
650 分析制御器
650’ 吸着制御器
660 中央制御器
670 モニター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料を環境から隔離し、気化した試料を採集する採集部と、
傾きと回転を加えることができるように前記採集部に設置され、観察地点にレーザービームが照射されるようにする二色性対物レンズ部と、
前記二色性対物レンズ部に連結され、試料の気化に必要なレーザービームを発生させるレーザー光源部と、
前記二色性対物レンズ部に連結され、試料の観察地点に対する光学イメージを獲得するカメラ部と、
前記採集部、前記レーザー光源部および前記カメラ部の動作を制御して試料の観察とレーザービームの位置および角度の調整とレーザーの照射とを行うように制御する制御部とを含んでなることを特徴とする、移動型成分採集分析装置。
【請求項2】
前記採集部は、
一面が開放された小型容器と、
前記二色性対物レンズ部を回転させて光学観察およびレーザー照射の角度を変更させるジンバルと、
前記二色性対物レンズ部をxyz座標上で直線運動させて光学観察およびレーザー照射の位置を変更させるxyz−線形移動器と、
レーザービームにより気化した成分を近接して採集する気体採集管と、
外部気体の前記小型容器への流入を防止し、気化した成分が気体採集管へ効果的に流入できるように不活性気体を放出するファージガスノズルと、
前記小型容器の開口部に取り付けられ、前記試料と前記小型容器間の密閉性を高める密閉器と、
ファージガスの一部を前記小型容器の外部へ放出させて過度な圧力増加を防止するファージガス排出口とを含んでなることを特徴とする、請求項1に記載の移動型成分採集分析装置。
【請求項3】
前記小型容器は、強化ガラスまたはポリカーボネートを含む透明素材からなることを特徴とする、請求項2に記載の移動型成分採集分析装置。
【請求項4】
前記ジンバルは、前記小型容器の上端部と前記二色性対物レンズとの間に取り付けられ、前記小型容器の中心軸を基準として光学軸を調整することができることを特徴とする、 請求項2に記載の移動型成分採集分析装置。
【請求項5】
前記気体採集管は、前記小型容器の上端部を介して容器に連結され、管の内部がガラス、シリカ、石英およびテフロンの少なくとも一つでコートされたことを特徴とする、請求項2に記載の移動型成分採集分析装置。
【請求項6】
前記気体採集管は、レーザービームの出入りを可能にする孔を含むことを特徴とする、請求項2に記載の移動型成分採集分析装置。
【請求項7】
前記xyz−線形移動器は、前記小型容器の中央付近に取り付けられ、前記ジンバルと前記気体採集管を移動させることを特徴とする、請求項2に記載の移動型成分採集分析装置。
【請求項8】
前記ファージガスノズルに流入するファージガスの流入量を調節する第1流量調節器と、
前記ファージガス排出口を介して排出されるファージガスの排出量を調節する第2流量調節器とをさらに含むことを特徴とする、請求項2に記載の移動型成分採集分析装置。
【請求項9】
前記二色性対物レンズ部は、
レーザービームの集束および観察イメージの拡大のための対物レンズと、
試料に入射されるレーザービーム、および試料から前記カメラに入力される試料のイメージが前記対物レンズ内の同一の光学経路を通過するようにする二色性ミラーと、
前記二色性対物レンズ部と前記レーザー光源部と前記カメラ部との間を連結する2つの光ファイバーがそれぞれ取り付けられる一対のカプラーとを含むことを特徴とする、 請求項1に記載の移動型成分採集分析装置。
【請求項10】
前記制御部は、
前記採集部と前記二色性対物レンズ部を制御する駆動制御器と、
前記レーザー光源部を制御するレーザー制御器と、
前記カメラ部を制御し、獲得されたイメージを処理するカメラ制御器と、
前記採集部の温度を制御する温度制御器と、
イメージおよび分析データを表示するモニターと、
前記駆動制御器、前記レーザー制御器、前記カメラ制御器および前記温度制御器を統制する中央制御器とを含んでなることを特徴とする、請求項1に記載の移動型成分採集分析装置。
【請求項11】
前記レーザー光源部と前記二色性対物レンズ部とを連結する光ファイバーをさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の移動型成分採集分析装置。
【請求項12】
前記カメラ部と前記二色性対物レンズ部とを連結する光ファイバーをさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の移動型成分採集分析装置。
【請求項13】
前記採集部に連結され、採集部で採集されて伝達された試料の成分を分析する分析部をさらに含み、
前記制御部は前記分析部の動作とデータを処理する分析制御器を含むことを特徴とする、請求項1に記載の移動型成分採集分析装置。
【請求項14】
前記採集部は、前記採集部と前記分析部とを連結し、採集された気体を分析部へ移動させる連結管を含むことを特徴とする、請求項13に記載の移動型成分採集分析装置。
【請求項15】
前記連結管は、フレキシブルな管であり、管の内部がガラス、シリカ、石英およびテフロンの少なくとも一つでコートされたことを特徴とする、請求項14に記載の移動型成分採集分析装置。
【請求項16】
前記採集部に連結され、採集部で採集されて伝達された試料の成分を吸着する吸着部をさらに含み、
前記制御部は前記吸着部の動作を制御する吸着制御器を含むことを特徴とする、請求項1に記載の移動型成分採集分析装置。
【請求項17】
前記吸着部は、
前記採集部で採集された試料成分を吸着させる吸着管と、
前記吸着管の温度を冷却させる冷却器と、
気体試料を移送させる真空ポンプとを含むことを特徴とする、請求項16に記載の移動型成分採集分析装置。
【請求項18】
前記採集部は、前記採集部と前記吸着部とを連結し、採集された気体を吸着部へ移動させる連結管を含むことを特徴とする、請求項16に記載の移動型成分採集分析装置。
【請求項19】
前記連結管は、フレキシブルな管であり、管の内部がガラス、シリカ、石英およびテフロンの少なくとも一つでコートされたことを特徴とする、請求項18に記載の移動型成分採集分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−132890(P2012−132890A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−31772(P2011−31772)
【出願日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
2.パイレックス
【出願人】(594023722)サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド. (1,585)
【Fターム(参考)】