説明

移動局測位システム

【課題】基地局の時計に時間ずれやクロック速度の差が存在し、機器に固有の送信遅延時間および受信遅延時間が存在する場合においても、移動局の位置の算出を精度よく実行できる移動局測位システムを提供する。
【解決手段】各普通基地局12と基準基地局11とのクロック速度比と、各普通基地局12の時計と基準基地局11の時計との時計ずれと、基準基地局11における送信遅延時間および受信遅延時間とに基づいて測位信号の受信時刻を基準基地局11の有する時計に基づいた時刻に補正する受信時刻補正部(66、68、70)と、補正された受信時刻と、基準基地局11における測位信号の受信時刻と、普通基地局12および基準基地局11の位置情報とに基づいて移動局の位置を算出する測位部72とを含み、移動局10および基準基地局11は、移動局10による測位信号の送信と基準基地局による時計合わせ信号の送信との一方に応答して他方を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動局が発信する電波を複数の基地局が受信し、その受信結果である基地局のそれぞれにおける受信時刻の時間差に基づいて移動局の位置の推定を行なう移動局測位システムに関するものであり、特に、移動局および基地局において電波の送信や受信の際に生ずる送信遅延時間や受信遅延時間を考慮し、前記複数の基地局間のクロック速度比等に基づいて受信時刻を補正することにより、精度のよい移動局の測位を行なうことのできる技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
移動局が発信する電波を複数の基地局で受信し、これらの複数の基地局のそれぞれにおける電波の受信時刻の時間差に基づいて、移動局の位置の検出を行なう測位システムおよび測位方法が提案されている。
【0003】
かかる測位システムあるいは測位方法においては、複数の基地局間の電波の受信時間差を算出する必要があることから、前記複数の基地局のそれぞれが有する時計を共通した時刻に時刻合わせをしておく必要がある。
【0004】
一方、前記複数の基地局のそれぞれが有する時計を時刻合わせすることに代えて、予め前記複数の基地局のそれぞれが有する時計の傾向、すなわち、時計のクロック速度比や、時刻のずれなどを検出あるいは算出するなどにより把握しておき、それぞれの基地局の時計により検出された移動局からの電波の受信時刻を、前記時計の傾向に基づいて補正する技術が提案されている。例えば特許文献1に記載の技術がそれである。
【0005】
【特許文献1】特許第3801123号公報
【0006】
前記特許文献1の記載によれば、1の基地局から複数回にわたって発信される信号の受信時間を複数ある他の基地局が各々のクロックにより測定し、それらの受信時間などに基づいて各基地局のクロック速度の比(クロック速度比)を推定し、推定されたクロック速度比に基づいて移動局からの電波の各基地局における受信時間を補正して移動局の位置の検出を行なう技術が開示されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、実際のハードウェアにおいては、無線による信号の発信間隔の制御や受信間隔の検出は、その精度に限界がある。このような、発信間隔の制御や受信間隔の検出の精度に限界がある状況のもとでクロック速度比検出の精度を向上させる場合、発信間隔の制御および受信間隔の測定の精度がクロック速度比に及ぼす影響をいかに低減するかが問題となる。
【0008】
また、実際のハードウェアにおいては、機器に固有の時間遅れ(遅延時間)が存在するため、例えば電波の送信時において、マイコンなどから電波の送信指令がなされた場合に、送信回路などに固有の時間遅れ分の時間が経過した後に電波が送信される。同様に電波の受信時においては、実際に電波を受信してから、受信回路などに固有の時間遅れ分の時間が経過した後に受信時刻が検出される。移動局から送信される電波の受信時刻に基づいて移動局の位置を算出する場合や、前記クロック速度の算出を正確に行なうためには、これらの時間遅れを考慮する必要がある。
【0009】
本発明は以上の事情を背景としてなされたものであり、その目的とするところは、前記基地局のそれぞれの有する時計に時間ずれやクロック速度の差が存在し、また、機器に固有の送信遅延時間および受信遅延時間が存在する場合においても、前記時間ずれやクロック速度比を考慮することにより移動局の位置の算出を精度よく実行することのできる移動局測位システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
かかる課題を解決するための請求項1にかかる発明の要旨とするところは、(a)移動局から発信された測位信号を複数の基地局が受信し、該測位信号を前記複数の基地局がそれぞれ受信した受信時刻の時間差と該複数の基地局の位置とに基づいて該移動局の位置を推定する移動局測位システムであって、(b)前記複数の基地局は、時計合わせ信号として所定の拡散符号を複数回送信する基準基地局と、該基準基地局から送信される前記時計合わせ信号を受信する普通基地局とから構成され、(c)前記普通基地局における前記時計合わせ信号の受信結果、および前記基準基地局における前記時計合わせ信号の送信結果に基づいて、前記普通基地局ごとに算出される前記普通基地局のクロック速度と前記基準基地局のクロック速度とのクロック速度比と、前記普通基地局ごとに算出される前記普通基地局の時計の時刻と前記基準基地局の時計の時刻との時計ずれと、前記基準基地局における送信遅延時間および受信遅延時間とに基づいて、前記普通基地局が該普通基地局の有する時計に基づいて算出した前記測位信号の受信時刻を、前記基準基地局の有する時計に基づいた時刻に補正する受信時刻補正部と、(d)該受信時刻補正部により補正された前記普通基地局における前記測位信号の受信時刻と、前記基準基地局における前記測位信号の受信時刻と、前記普通基地局および基準基地局の位置情報とに基づいて前記移動局の位置を算出する測位部と、を含み、(e)前記移動局および前記基準基地局は、該移動局による前記測位信号の送信と該基準基地局による前記時計合わせ信号の送信との一方に応答して他方を実行することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
このようにすれば、前記複数の基地局は、時計合わせ信号として所定の拡散符号を複数回送信する基準基地局と、該基準基地局から送信される前記時計合わせ信号を受信する普通基地局とから構成され、前記受信時刻補正部により、前記普通基地局における前記時計合わせ信号の受信結果、および前記基準基地局における前記時計合わせ信号の送信結果に基づいて、前記普通基地局ごとに算出される前記普通基地局のクロック速度と前記基準基地局のクロック速度とのクロック速度比と、前記普通基地局ごとに算出される前記普通基地局の時計の時刻と前記基準基地局の時計の時刻との時計ずれと、前記普通基地局における受信遅延時間、および前記基準基地局における送信遅延時間および受信遅延時間に基づいて、前記普通基地局が該普通基地局の有する時計に基づいて算出した前記測位信号の受信時刻が前記基準基地局の有する時計に基づいた時刻に補正され、前記測位部により、前記受信時刻補正部により補正された前記普通基地局における前記測位信号の受信時刻と、前記基準基地局における前記測位信号の受信時刻と、前記普通基地局および基準基地局の位置情報とに基づいて前記移動局の位置が算出される移動局測位システムにおいて、前記移動局または前記基準基地局は、該移動局による前記測位信号の送信と該基準基地局による前記時計合わせ信号の送信との一方に応答して他方を実行するので、前記時計ずれ算出部による前記時計ずれの算出および前記クロック速度比算出部による前記クロック速度比の算出と移動局の位置の算出とが一対の工程として行なわれ、算出される前記クロック速度比および前記時計ずれに対応した移動局の位置の算出を行なうことができる。
【0012】
好適には、前記移動局による前記測位信号の送信と前記基準基地局により送信される前記時計合わせ信号の前記普通基地局における受信とが予め定められた所定時間内に実行されることを特徴とする。このようにすれば、前記送信遅延時間あるいは受信遅延時間の大きさが変動する場合において、最もその変動が著しい場合においても移動局測位システムによる測位が要求される測位精度の範囲において行なわれるように前記所定時間を予め設定することにより、前記クロック速度比および前記時計ずれなどに基づいて、前記普通基地局が該普通基地局の有する時計に基づいて算出した前記測位信号の受信時刻を前記基準基地局の有する時計に基づいた時刻に補正することができる。
【0013】
また好適には、前記移動局による前記測位信号の送信と前記基準基地局により送信される前記時計合わせ信号の前記普通基地局における受信とが、予め定められた所定時間内に実行されたか否かを判断する判断部を有することを特徴とする。このようにすれば、前記送信遅延時間あるいは受信遅延時間の大きさが変動する場合において、前記移動局による前記測位信号の送信と前記基準基地局による前記時計合わせ信号の送信とが、前記最もその変動が著しい場合においても移動局測位システムによる測位が要求される測位精度の範囲において行なわれるように予め設定される前記所定時間内に実行されたか否かを判断することにより、前記普通基地局がその普通基地局の有する時計に基づいて算出した前記測位信号の受信時刻を前記基準基地局の有する時計に基づいた時刻に補正した場合に、要求される測位精度の範囲内で移動局の測位を行なうことができるか否かを判断することができる。
【0014】
また好適には、前記測位部における移動局の位置の算出に要求される測位精度に基づいて前記所定時間を決定する送信時間設定部を有することを特徴とする。このようにすれば、前記送信遅延時間あるいは受信遅延時間の大きさが変動する場合においても、前記測位部における移動局の位置の算出に要求される測位精度を満たすことのできるように前記所定時間を予め設定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の一実施例について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【実施例】
【0016】
図1は、本発明の移動局測位システム8の構成の概要を説明する図である。図1に示すように、測位システム8は、予め設定される領域5内を移動可能な移動局10、既知の位置に固定され、前記移動局10と無線による通信を行なう機能を有する基準基地局11、第1普通基地局12A乃至第3普通基地局12Cの4つの基地局12(以下、第1普通基地局12A、乃至第3普通基地局12Cを区別しない場合、普通基地局12という。また、基準基地局11、第1普通基地局12A、乃至第3普通基地局12Cを区別しない場合、基地局11、12という。)、および例えばCPU、RAM、ROM、入出力インターフェース等を備えた所謂コンピュータを含んで構成されるサーバ14を含んで構成される。なお、移動局10の数は1個以上であればとくに限定されない。また、基地局11、12とサーバ14はLANにより通信可能とされている。このときLANが有線であれば通信ケーブル18によって基地局11、12はサーバ14と接続される。
【0017】
図2は、移動局10の有する機能の要部を説明するための機能ブロック図である。移動局10は、アンテナ20、無線部22、制御部24などを有して構成される。また、この移動局10は例えばCPU、RAM、ROM、入出力インターフェース等を備えた所謂マイクロコンピュータを含んで構成されており、CPUはRAMの一時記憶機能を利用しつつ予めROMに記憶されたプログラムに従って信号処理を行うことにより、前記無線部22などにおける処理を実行するようになっている。
【0018】
無線部22は、いわゆる無線通信機能を実現するものであって、アンテナ20を用いて電波の送受信を行なう。例えば無線部22は、前記基地局11、12に対し相関値を算出するための拡散符号を含む電波を送信する。また、基地局11、12より送信される、移動局10の作動に関する指令を含む電波を受信する。無線部22は、所定の周波数の搬送波を発生する発振器、電波により送信する信号に基づいて前記搬送波を変調し、またデジタル変調などを行なう変調器、前記変調された搬送波を所定の出力に増幅する送信アンプなどを有する。さらに、無線部22は、アンテナ20によって受信された受信波を増幅する受信アンプ、受信波から所定の周波数成分のみを取り出すフィルタ、デジタル復調や検波器などによる復調を行なう復調器などによって実現される受信機能を含む。このとき、無線部22が行なう無線通信は例えばいわゆるデジタル通信が好適に用いられるので、無線部22はそのデジタル通信に必要となる変調あるいは復調のための機構を含む。
【0019】
また、アンテナ20は、前述の無線部22が電波を送受信する際に用いられるものであって、送受信する電波の周波数に適したものが用いられる。また、移動局10からの距離が同じ場合にアンテナ20からの距離が同じ基地局11、12において移動局10からの方向に関わらず同じ強さで電波を受信できるように、アンテナ20は少なくとも電波の伝搬方向に関して無指向性であるアンテナが好適に用いられる。
【0020】
制御部24は、無線部22の制御を行う。制御部24は無線部22に対して送信または受信の切り替え、搬送波周波数の設定、送信アンプの設定を行う。これらの制御における設定値の決定は基地局11、12との通信の結果により決定される。また制御部24は、無線部22において受信され、復号された基地局11、12からの電波の内容を解析し、移動局10の制御作動に関する指令を取り出す。また制御部24は、移動局10が電波によって送信する拡散符号を生成する。
【0021】
制御部24はまた、測位信号送信制御部26を機能的に有する。この測位信号送信制御部26は、前記基地局11、12からの指令に応じて測位のための拡散符号を含んだ信号である測位信号を無線部22により送信させる。この測位信号に含まれる拡散符号は、例えばいわゆるPN(pseudo noise)符号が用いられ、予め移動局10の制御部24と後述する基準基地局11の制御部34、あるいは普通基地局12の制御部54とで共通して記憶された種類の符号が用いられる。具体的には例えば、移動局10と基地局11、12とでそれぞれ共通する複数種類の符号を予め記憶しておき、その移動局10と基地局11、12との間でいずれの符号を送信するかについての情報を交換した後に、決定された符号を測位信号送信制御部26が送信する。
【0022】
図3は、普通基地局12の有する機能の要部を説明するための機能ブロック図である。普通基地局12は、アンテナ50、無線部52、受信時刻検出部56、時計58、通信インタフェース60、制御部54などを含んで構成される。また、この基地局12は、例えばCPU、RAM、ROM、入出力インターフェース等を備えた所謂マイクロコンピュータを含んで構成されており、CPUはRAMの一時記憶機能を利用しつつ予めROMに記憶されたプログラムに従って信号処理を行うことにより、前記受信時刻検出部56、無線部52などにおける処理を実行するようになっている。
【0023】
無線部52は、いわゆる無線通信機能を実現するものであって、アンテナ50を用いて電波の送受信を行なう。無線部52は、移動局10の作動を制御する指令を含む電波を送信する。また、無線部52は、移動局10によって送信される電波を受信し、その内容を必要に応じて受信時刻検出部56などに渡し処理を実行させる。すなわち、無線部52は、所定の周波数の搬送波を発生する発振器、電波により送信する信号に基づいて前記搬送波を変調し、またデジタル変調などを行なう変調器、前記変調された搬送波を所定の出力に増幅する送信アンプなどを有し、また、アンテナ50によって受信された受信波を増幅する受信アンプ、受信波から所定の周波数成分のみを取り出すフィルタ、デジタル復調や検波器などによる復調を行なう復調器などによって実現される。このとき、無線部52が行なう無線通信は例えばいわゆるデジタル通信が好適に用いられるので、無線部52はそのデジタル通信に必要となる変調あるいは復調のための機構を含む。
【0024】
また、アンテナ50は、前述の無線部52が電波を送受信する際に用いられるものであって、送受信する電波の周波数に適したものが用いられる。また、移動局10の位置、すなわち基地局12から見た移動局10の方向に関わらず基地局12からの距離が同じ位置に移動局10が存在する場合には同じ強さで電波を受信できるように、アンテナ50は少なくとも電波の伝搬方向に関して無指向性であるアンテナが好適に用いられる。
【0025】
制御部54は、無線部52および受信時刻検出部56の制御を行う。制御部54は無線部52に対して送信または受信の切り替え、搬送波周波数の設定、送信アンプの設定などを行う。これらの制御における設定値の決定は後述の測位サーバ14および移動局10との通信の結果により決定される。また制御部54は受信時刻検出部56に対しては、受信時刻検出実行の制御および受信時刻検出結果出力の要求および取得を制御する。また制御部54は、無線部52において受信され、復号された移動局10からの電波の内容を解析する。同様に制御部54は、後述する通信インタフェース60により受信された測位サーバ14からの送信内容を解析し、基地局12の制御作動に関する指令を取り出す。そのほか、制御部54は移動局10に対してその作動に関する制御指令を生成する。
【0026】
受信時刻検出部56は、移動局10から送信される電波に含まれる拡散符号と、その拡散符号と同一の符号であるレプリカ符号との相関値を算出する。具体的には、前述のように移動局10と基地局11、12とで共通する符号を有しておき、予め移動局10が送信する拡散符号と同一のレプリカ符号と、受信された移動局10からの電波から取り出された拡散符号(受信符号)とをマッチドフィルタに入力することにより、両者の相関値を得ることができる。このようにして得られる相関値のピークを示す時刻が電波の受信時刻となる。したがって受信時刻検出部56において相関値のピークが検出された時刻を後述する時計58を参照することにより得ることで、前記拡散符号の受信時刻が検出される。
【0027】
図6は前記受信時刻検出部56に含まれるマッチドフィルタの構成の例を示した図である。マッチドフィルタは、無線部52によって受信された拡散符号(受信信号)bとレプリカ符号aのビットごとの排他的論理和の値を算出し、それらの排他的論理和の値を加算器Σにより合計し、更に相関演算器において
【数1】

のようにレプリカ符号aと拡散符号bとの相関値Rab(ι)を算出する。なお、aiおよびbi(i=1,…,N)は、それぞれレプリカ符号aおよび拡散符号bのi番目のビットの内容である。また、図6に示すように受信信号bは1ビット遅延素子により相関値Rabを算出する毎に1ビットずつシフトされるようにされており、前記(1)式におけるιはこのシフト量の総和を示している。このようにすれば、相関値Rab(ι)のピークが生じた際のιの値と受信速度などに基づいて、相関値Rab(ι)のピークが生じた際の時刻を算出することができる。このように算出される相関値のピークの時刻が受信時刻とされる。
【0028】
図3に戻って、時計58は、時刻を計測するものであって、例えば受信時刻検出部56が受信時刻を検出する際などに参照される。
【0029】
通信インタフェース60は、基地局11、12と測位サーバ14との情報通信を行なう。本実施例においては、基地局11、12と測位サーバ14とがケーブル18により接続され通信可能とされているが、有線通信に限られず、いわゆる無線LANなどによる無線通信を行なってもよい。具体的には、基地局12の受信時刻検出部56によって検出される電波の受信時刻や、移動局10から送信される電波に含まれる情報が基地局12からサーバ14に送信されるほか、サーバ14からは、基地局12は移動局10の作動に関する指令などが送信される。
【0030】
図4は、基準基地局11の有する機能の要部を説明する機能ブロック図である。基準基地局11は図3に示した普通基地局12と略同様の機能構成を有しており、基準基地局11のアンテナ30、無線部32、制御部34、受信時刻検出部38、時計40、通信インタフェース42は、それぞれ図3に示した普通基地局のアンテナ50、無線部52、制御部54、受信時刻検出部56、時計58、通信インタフェース60と同様の機能を有する。
【0031】
一方、基準基地局11の制御部34は時計合わせ信号送信制御部36を機能的に有する点において普通基地局12と異なる。この時計合わせ信号送信制御部36は、基準基地局11の時計40と普通基地局12の時計58とのクロック速度比および時刻ずれを算出するために基準基地局11から普通基地局12に向けて送信される信号である時計合わせ信号を無線部32により送信させる。時計合わせ信号送信制御部36は、予め定められた手順および時間間隔に従って、すなわち、前記移動局10による測位信号の送信と基準基地局11による前記時計合わせ信号の送信との一方に応答して他方を実行するように前記時計合わせ信号を送信する。具体的には例えば、前記時計合わせ信号の送信は、基準基地局11における移動局10からの測位信号の受信から第1の所定時間(第1所定時間)の経過後に行なわれるものであって、所定の第1時計合わせ符号の送信を行なった後、第2の所定間隔(第2所定間隔)だけ待機した後、さらに所定の第2時計合わせ符号を送信するものである。
【0032】
図5は、本実施例の移動局測位システム8を構成する測位サーバ14の有する機能の要部を説明する機能ブロック図である。測位サーバ14は、例えばCPU、RAM、ROM、入出力インターフェース等を備えた所謂コンピュータを含んで構成されており、CPUはRAMの一時記憶機能を利用しつつ予めROMに記憶されたプログラムに従って信号処理を行うことにより、後述する通信インタフェース64、クロック速度比算出部66、時計ずれ算出部68、受信時刻換算部70、測位部72などにおける処理を実行するようになっている。
【0033】
測位サーバ14は、ケーブル18を介して各基地局11、12と接続されており、通信インタフェース64、クロック速度比算出部66、時計ずれ算出部68、受信時刻換算部70、測位部72などを有する。このうち、通信インタフェース64は、ケーブル18を介して接続された前記基地局11、12の通信インタフェース42、60との間で必要な通信、例えば測定データの送受信や、基地局11、12や移動局10の作動を制御する指令の送信などを行なう。
【0034】
クロック速度比算出部66は、前記各普通基地局12の受信時刻検出部56によって検出される前記時計合わせ信号に含まれる2つの拡散符号の受信間隔と、前記基準基地局11の時計合わせ信号送信制御部36において生成され、無線部32などにより送信される前記時計合わせ信号に含まれる2つの拡散符号の受信間隔とに基づいて、前記普通基地局12のそれぞれが有する時計58と、前記基準基地局11の有する時計40とのクロック速度の比であるクロック速度比rera_sbnbiを算出する。
【0035】
具体的には、このクロック速度比rera_sbnbiは、基準基地局11が普通基地局12へ送信する前記時計合わせ信号に含まれる2つの拡散符号である第1時計合わせ符号および第2時計合わせ符号のそれぞれについての、基準基地局11における送信時刻であるtim_sb_trfend_sb、tim_sb_trlend_sb、普通基地局12における受信時刻であるtim_nbi_rvfend_sbnbi、tim_nbi_rvlend_sbnbiに基づいて、次式(2)のように算出する。
【数2】

なお、式(2)において、iは複数の普通基地局12を識別するための番号であり、本実施例においては3つの普通基地局12A乃至12Cがあるのでi=1〜3である。
【0036】
時計ずれ算出部68は、基準基地局11の時計40の時刻に対する普通基地局12のそれぞれの時計58の時刻のずれである時計ずれを算出する。この時計ずれは、基準基地局11の時計40の時刻に対する時刻の進みあるいは遅れであり、例えば基準基地局11から発信される電波の発信時刻と、その電波を受信した普通基地局12におけるその電波の受信時刻と、さらに基準基地局11と普通基地局12との既知の距離から算出される前記電波の伝搬時間とに基づいて算出される。この時計ずれ算出部が時計ずれ算出手段に対応する。
【0037】
具体的には例えば、この時計ずれte_aq_sbnbiは、基準基地局11の無線部32が普通基地局12へ送信する拡散符号の送信完了を基準基地局11の時計40で測定した送信完了時刻である時刻tim_sb_trlend_sbと、前記拡散符号の普通基地局12における受信時刻を受信時刻検出部56により普通基地局12の時計58を用いて測定した受信完了時刻tim_nbi_rvlend_sbnbiと、予めシステム8により既知である基準基地局11と普通基地局12との距離(例えば30m)に電波の速度c(=2.997×10(m/s))を除することにより算出される伝搬時間tau_s_iを用いた以下の式(3)により得られる。
【数3】

例えば本実施例においては、前記拡散符号として前記第1時計合わせ符号や第2時計合わせ符号が用いられる。基準基地局11における発信完了時刻と普通基地局12における受信完了時刻とから算出される見かけの電波の伝搬時間と、実際の基準基地局11と普通基地局12との距離に基づいて算出される真の電波の伝搬時間とを比較し、これらの値に差があれば、それが基準基地局11の時計40と普通基地局12の時計58との時刻ずれである。
【0038】
受信時刻換算部70は、移動局10から発信された電波が各普通基地局12において受信された際に各普通基地局12における受信時刻検出部56によって各普通基地局12の時計58に基づいて検出された受信時刻を、前記クロック速度比算出部66において算出された前記基準基地局11の時計40と前記各普通基地局12の時計58とのクロック速度比、および前記時計ずれ算出部68において算出された前記基準基地局11の時計40と前記各普通基地局12の時計58との時刻ずれに基づいて、前記基準基地局11の時計40での時刻に補正する。
【0039】
具体的には例えば、受信時刻換算部70は次の手順により受信時刻の補正を行う。まず、移動局10から発信された電波が基準基地局11および普通基地局12において受信された際の、それぞれのオンライン受信時刻検出部78によりそれぞれの時計44に基づいて検出された受信時刻が、基準基地局11においては、tim_sb_rvend_m1sbであり、各普通基地局12i(i=1,2,…)においてはtim_nb1_rvend_m1nb1であったとする。このとき、普通基地局12iの受信時刻検出部56によりそれぞれの時計58に基づいて検出された受信時刻であるtim_nb1_rvend_m1nb1を基準基地局11の時計58に基づいた時刻に換算すると、換算後の前記普通基地局12の受信時刻TOA_m1nbiは、次式(4)で表される。
【数4】

【0040】
また、基準基地局11の受信時刻検出部38により基準基地局11の時計40に基づいて検出された受信時刻であるTOA_M1sbは、次式(5)で表される。
【数5】

ここで、Δtrsは、基準基地局11における受信遅延時間、Δttsは基準基地局11における送信遅延時間である。送信遅延時間とは、基準基地局11の無線部32が信号の送信を開始してから実際に信号が電波として空間に放射されるまでの時間である。より詳細には基準基地局11の制御部34からの指令を受けてからアンテナ30から放射するまでの時間である。制御部34とアンテナ30の間にある無線部32の処理時間ともいえる。また、受信遅延時間とは,基準基地局11において空間の電波を入射してから無線部32が信号の受信を検知するまでの時間である。より詳細には基準基地局11のアンテナ30から受信信号を入射してからマイコン、すなわち制御部34あるいは受信時刻検出部38が受信信号を検知するまでの時間であり、アンテナ30と制御部34あるいは受信時刻検出部38の間にある無線部32の処理時間ともいえる。なお、普通基地局12iにおける受信遅延時間Δtri、移動局10における送信遅延時間Δttmも同様にして定義される。
【0041】
受信時刻換算部70は、このようにして移動局10から送信される測位信号を受信した普通基地局12のそれぞれについて、前記測位信号の普通基地局12における受信時刻を基準基地局11の時計40に基づいた時刻に補正する。なお、クロック速度比算出部66、時計ずれ算出部68、受信時刻換算部70が受信時刻補正部に対応する。
【0042】
測位部72は、前記受信時刻換算部70によって換算された測位信号の普通基地局12における受信時刻を基準基地局11の時計40に基づいた時刻、測位信号の基準局11における受信時刻、予め既知とされた基地局11、12の位置についての情報などに基づいて、移動局10の位置を算出する。
【0043】
図8は、測位部72による移動局10の位置の算出の原理を説明する図である。移動局10の位置を表わす座標を(x,y)とし、基準基地局11の位置を表す座標が(x,y)、第1普通基地局12Aの位置を表わす座標が(x,y)、第2普通基地局12Bの位置を表わす座標が(x,y)、第3普通基地局12Cの位置を表わす座標が(x,y)であるとすると、これらの関係は次式(6)により得られる。なお、図8における基地局12の配置は説明のため図1のものと異なっている。
【数6】

ここで、Trs、Tr1、Tr2およびTr3(sec)はそれぞれ、基準基地局11、第1普通基地局12A、第2普通基地局12B、および第3普通基地局12Cの受信時刻検出部38もしくは56において検出される測位信号の受信時刻であり、Tsは移動局10の無線部22における測位信号の送信時刻である。すなわち、前記(6)式の右辺は、基準基地局11、第1普通基地局12A、第2普通基地局12B、および第3普通基地局12Cのそれぞれと、移動局10との間の電波の伝搬時間に電波の速度cを乗ずることによって得られる電波の伝搬距離の二乗を表わしている。前記(6)式はx、y、Tsを未知数とした連立方程式である。(6)式よりTsを消去すると以下の式(7)となる。
【数7】

更に(7)式の第2式と第1式の差分および第3式と第1式の差分をとると次式(8)が得られる。
【数8】

【0044】
ところで、前述のように前記(4)式で表わされる受信時刻換算部70によって換算された測位信号の普通基地局12における受信時刻を基準基地局11の時計40に基づいた時刻TOA_m1nbiには、基準基地局11における受信遅延時間Δtrsおよび基準基地局11における送信遅延時間Δttsを含む。
【0045】
図7は、基準基地局11の立ち上がりからの経過時間に対する受信遅延時間Δtrsの変化の様子を示したものであり、本願の発明者によって実験的に得られたものである。図7に示すように、基準基地局11の立ち上がりから約10時間経過すると、受信遅延時間Δtrsの値は約11nsecだけ変化している。移動局10と基地局11、12との距離を電波の伝搬時間に基づいて算出しようとする場合、伝搬時間の誤差が距離の誤差となって現れるが、伝搬時間11nsecの誤差は、電波の速度を約0.3m/nsecとすると距離3.3mの誤差に相当する。従って、移動局10から送信され基地局11、12によって受信される測位信号の伝搬時間の検出においては、前記受信遅延時間を考慮することにより、より精度を高めることが考えられる。また、送信遅延時間についても同様である。
【0046】
移動局10から送信された測位信号の基準基地局11と普通基地局12のそれぞれとにおける受信時刻の到来時間差(TDOA;time difference of arrival)TDOA_m1_sbnbiは、次式(9)により定義される。
【数9】

【0047】
前述の式(6)には、基準基地局11における受信遅延時間Δtrsおよび送信遅延時間Δttsが含まれているが、これらの値は実際には検出することができない。そこで、移動局10から送信された測位信号の基準基地局11と第1普通基地局12Aのそれぞれとにおける受信時刻の到来時間差TDOA_m1_sbnb1と、基準基地局11と第2普通基地局12Bとにおける受信時刻の到来時間差TDOA_m1_sbnb2との差TDOA_m1_nb1nb2を求めると、次式(10)が得られる。
【数10】

ただし、
【数11】

である。このことは、基準基地局11における受信遅延時間Δtrsおよび送信遅延時間Δttsの和Δtrs+Δttsは、到来時間差などの時間に比べて非常に短いため、各普通基地局12iと基準基地局11とのクロック速度比rera_sbnbiの影響が微小であること示している。
【0048】
ここで、前記式(10)のTOA_m1nb2−TOA_m1nb1は、移動局10から送信される測位信号の第2普通基地局12Bにおける受信時刻と第1普通基地局12Aにおける受信時刻との差であるので、前記(8)式の第1式の右辺の(Tr2−Tr1)に対応し、基準基地局11の時計40の時刻により表現された値である。また、受信遅延時間Δtrsおよび送信遅延時間Δttsを考慮した値となっている。同様にして算出されるTOA_m1nb3−TOA_m1nb1は前記(8)式の第2式の右辺の(Tr3−Tr1)に対応する。
【0049】
そこで、測位部72は前記(8)式および前記(10)式に基づいて、x、yを解くことにより移動局10の位置を算出する。
【0050】
図5に戻って判断部74は、移動局10による測位信号の送信と、基準基地局11により送信される前記時計合わせ信号の普通基地局12における受信とが、予め定められた所定時間内に実行されたか否かを判断する。具体的には、判断部74は、前記移動局10の測位信号送信制御部26における測位信号の送信時刻と、基準基地局11の時計合わせ信号送信制御部36より送信される時計合わせ信号のうち第2時計合わせ符号の普通基地局12の受信時刻検出部56により検出される受信時刻との時間が予め定められた所定時間内であるか否かを判断する。この所定時間は、後述する送信時間設定部76によって設定されるもので、移動局測位システム8が実現する測位精度に対応する値である。そして、少なくともいずれか1つの普通基地局12について、前記測位信号の送信時刻と、前記第2時計合わせ符号の普通基地局12における受信時刻との時間が予め定められた所定時間内でない場合には判断部74による判断が否定される。これは、移動局測位システム8による測位結果が、要求される測位精度を満たすものではないことに対応する。
【0051】
送信時間設定部76は、例えば予め移動局測位システム8に設定されたり、操作者によって設定される移動局測位システム8に要求される移動局の測位精度に基づいて、前記所定時間の値を変更する。この変更は、例えば図7において基準基地局11の受信遅延時間の時間変化を算出したように基地局11、12の受信遅延時間および送信遅延時間の時間変化が算出する場合に、その時間変化が最も急激に発生しうる場合においても移動局測位システム8に要求される移動局の測位精度を満たす、前記所定時間の最大値となるように設定される。この前記所定時間の最大値は、基地局11、12の使用として得られる前記受信遅延時間および送信遅延時間が最も急に変化する場合について、前記移動局測位システム8が達成しうる移動局の測位精度と、前記所定時間の最大値との関係を予め実験あるいはシミュレーションにより数式やマップなどの関係により算出しておき、この関係と移動局測位システム8に設定される移動局測位精度とに基づいて、この精度を満たす前記所定時間の値を算出し、その値を所定時間として設定することによって行なわれる。
【0052】
なお、前記第2所定時間の値は、基準基地局11における第1時計合わせ符号と第2時計合わせ符号との送信間隔であるので、その値は、クロック速度比算出部66において基準基地局11の時計40と普通基地局12の時計58とのクロック速度比を算出する際に用いられる。そのため、このクロック速度比の精度を維持するために必要となる最小値を下回ることがないように設定され、好適には固定値とされる。そのため、前記送信時間設定部76により前記所定時間の変更は、前記基準基地局11が測位信号を受信してから第1時計合わせ信号を送信するまでの時間である前記第1所定時間の長さを変更することによって行なわれる。
【0053】
図9は、移動局10、基準基地局11、普通基地局12のそれぞれが有する時計を基準とした時刻の関係を説明するタイムライン図である。図9においては、例として2つの普通基地局である第1普通基地局12Aおよび第2普通基地局12Bについて例示されている。
【0054】
図9の横軸は絶対的な時刻、縦軸は時間ずれを表わしている。軸tMS1、tSBS、tNBS1、tNBS2はそれぞれ移動局10、基準基地局11、第1普通基地局12A、第2普通基地局12Bのそれぞれの時計に基づく時刻を表わしており、それら軸の横軸に対する傾きが急であるほど絶対的な時刻に対するクロック速度比が大きいことを示している。破線で囲まれた変数は測定することが可能な変数を表わしており、実線で囲まれた変数は測位システム8において予め設定される数を表わしている。さらに、黒く塗りつぶされた三角形を両端とする矢印記号は、その矢印で表わされた時間において電波の送信を行なっていることを示しており、白抜きの三角形を両端とする矢印記号はその矢印で表わされた時間において電波の受信を行なっていることを示している。さらに、山形かっこ記号を両端とする矢印記号は受信遅延時間あるいは送信遅延時間を表わしている。また、図9における各変数の定義を、表1に示す。なお表1においてiは普通基地局を区別するための記号であり、本実施例においては普通基地局は第1普通基地局12A乃至第3普通基地局12Cの3つであるので、i=1,2,3である。
【表1】

【0055】
図10は、本実施例の移動局測位システム8における制御作動の概要の一例を説明するタイムチャートであり、測位サーバ14、基準基地局11、第1普通基地局12A乃至第3普通基地局12C、および移動局10のそれぞれの作動を説明している。図10において、左右方向の矢印は、矢印の向きに対応して情報の送受信、あるいは電波の送受信が行なわれることを示している。
【0056】
まず、SA1乃至SA11においては測位サーバ14、基準基地局11、第1普通基地局12A乃至第3普通基地局12C、および移動局10の間で測位信号および時計合わせ信号の送受信のための設定が行なわれる。このうち、測位サーバ14の測位部72などに対応するSA1においては、測位サーバ14から基準基地局11に対し、基準基地局11、第1普通基地局12A乃至第3普通基地局12C、および移動局10の間の無線情報通信を行なうための周波数(チャンネル;CH)を確保すべく、通信が行なわれていない空きデータチャンネルを検索するための空きデータチャンネル要求が行なわれる。そして、基準基地局11の制御部34、無線部32などに対応するSA2においては、SA1の要求を受けた基準基地局11により、公知の空きデータチャンネルの探索の手法、例えばRTS(request to send)信号の送信などにより空きチャンネルが探索される。そして、基準基地局11から測位サーバ14に対し、空きチャンネルが見つかった旨の空きデータチャンネル応答がなされる。本実施例においては、測位サーバ14と基準基地局11とは通信ケーブル18により接続されているので、このケーブル18を介した通信により前記測位サーバ14と基準基地局11との通信が行なわれればよい。
【0057】
測位サーバ14の測位部72などに対応するSA3においては、測位サーバ14から基準基地局11、および第1普通基地局12A乃至第3普通基地局12Cに対し、データ通信を行なうためのデータチャンネルとしてSA1で探索された空きデータチャンネルを指定するためのデータチャンネル指定要求が行なわれる。また、基準基地局11の制御部34、無線部32、普通基地局12の制御部54、無線部52などに対応するSA4においては、基準基地局11、および第1普通基地局12A乃至第3普通基地局12Cのそれぞれにおいて、データ通信を行なうためのデータチャンネルとしてSA1で探索された空きデータチャンネルが指定されるとともに、基準基地局11、および第1普通基地局12A乃至第3普通基地局12Cのそれぞれから測位サーバ14に対し指定がなされた旨のデータチャンネル指定応答がなされる。本実施例においては、測位サーバ14と基地局11、12とは通信ケーブル18により接続されているので、このケーブル18を介した通信により前記測位サーバ14と基地局11、12との通信が行なわれればよい。
【0058】
測位サーバ14の測位部72などに対応するSA5においては、測位サーバ14から基準基地局11に対し測位信号および時計合わせ信号の送受信を行なわせるためのPN符号送信要求がなされる。基準基地局11の制御部34、無線部32などに対応するSA6においては、この要求を受けた基準基地局11から移動局10に対し、移動局10から送信される測位信号の周波数(データチャンネル)を指定するためのデータチャンネル指定要求が行なわれる。このデータチャンネルは、例えば前記SA3において基準基地局11、および第1普通基地局12A乃至第3普通基地局12Cのそれぞれがデータ通信を行なうために指定されたチャンネルが用いられる。移動局10の無線部22、制御部24などに対応するSA7においては、移動局10において測位信号を送信するためのデータチャンネルとしてSA5で探索されたチャンネルが指定されるとともに、移動局10から基準基地局11に対しチャンネルの指定がなされた旨のデータチャンネル指定応答がなされる。さらに、基準基地局11の制御部34、無線部32などに対応するSA8においては、基準基地局11から測位サーバ14に対し、移動局10により送信される測位信号のチャンネルの指定が完了した旨のPN符号送信応答が行なわれる。
【0059】
基準基地局11の制御部34、無線部32などに対応するSA9においては、基準基地局11から移動局10に対し、測位信号としてのPN符号を指定するPN符号指定要求が行なわれる。この指定要求は、例えば基地局11、12の受信時刻検出部38、56と移動局10の測位信号送信制御部26とで共通する複数のPN符号を有している場合に、いずれの符号を測位信号として送信するかを指定するものである。
【0060】
移動局10の無線部22、制御部24などに対応するSA10においては、移動局10において測位信号として送信されるPN符号がSA9において要求されたものに指定されるとともに、移動局10から基準基地局11に対しチャンネルの指定がなされた旨のPN符号指定応答がなされる。さらに、SA11においては、SA10において行なわれたPN符号指定応答が再度繰り返されるようにされている。これは、移動局10においては前記PN符号指定応答の送信に続いて後述する測位信号の送信(SA12)が行なわれるようにされているため、基地局11、12が確実に前記PN符号指定応答を受信できるように繰り返し送信されるものであって、必須の要件ではない。
【0061】
移動局10の測位信号送信制御部26などに対応するSA12においては、移動局12から測位信号の送信が行なわれる。送信される測位信号は、SA9で要求が行なわれたPN符号である。また、SA6において要求が行なわれたチャンネルで送信される。また、基地局11、12においては、送信された測位信号を受信し、それらの受信時刻検出部38、56により受信時刻の検出が行なわれる。
【0062】
基準基地局11の時計合わせ信号送信制御部36などに対応するSA13は、SA12の測位信号を基準基地局11が受信してから、例えば0.1(sec)のように予め設計された第1所定時間の経過後に実行される。このSA13においては、前記SA3で要求が行なわれたチャンネルにより、時計合わせ信号のうち第1時計合わせ符号の送信が行なわれる。そして、普通基地局12のそれぞれにおいては、受信時刻検出部56により第1時計合わせ符号の受信時刻が検出される。
【0063】
基準基地局11の時計合わせ信号送信制御部36などに対応するSA14は、SA13における第1時計合わせ符号の送信が行なわれてから、例えば0.2(sec)のように予め設計された第2所定時間の経過後に実行される。このSA14においては、前記SA3で要求が行なわれたチャンネルにより、時計合わせ信号のうち第2時計合わせ符号の送信が行なわれる。そして、普通基地局12のそれぞれにおいては、受信時刻検出部56により第2時計合わせ符号の受信時刻が検出される。第1時計合わせ符号および第2時計合わせ符号としては、例えば予め基準基地局11と普通基地局12とで共通して記憶された拡散符号が用いられる。
【0064】
測位サーバ14の測位部72などに対応するSA15においては、測位サーバ14から基地局11、12のそれぞれに対し、移動局の測位に必要な情報を測位サーバ14に送信するための同期情報要求が行なわれる。また、基準基地局11の制御部34、普通基地局12の制御部54などに対応するSA16においては、基準基地局11、および普通基地局12のそれぞれから測位サーバ14に対し要求された情報を送信する同期情報応答が行なわれる。具体的には、基準基地局11からは、SA12で受信された測位信号の受信時刻、SA13およびSA14で送信された時計合わせ信号である第1時計合わせ符号および第2時計合わせ符号のそれぞれの送信時刻が測位サーバ14に送信される。また、普通基地局12からは、SA12で受信された測位信号の受信時刻、SA13およびSA14で受信された時計合わせ信号である第1時計合わせ符号および第2時計合わせ符号のそれぞれの受信時刻が測位サーバ14に送信される。
【0065】
図11は、基準基地局11における移動局10により送信される測位信号の受信および時計合わせ信号の送信に関する作動について説明するフローチャートであり、図10のタイムチャートにおける破線で囲んだ部分をさらに説明するものである。
【0066】
まず、基準基地局11の受信時刻検出部38などに対応するステップSB1においては、移動局10から送信される測位信号としてのPN符号が受信され、その受信時刻が検出される。
【0067】
基準基地局11の制御部34などに対応するSB2においては、SB1で測位符号を受信してから予め定められた第1所定時間が経過したか否かが判断される。そして、SB1で測位符号を受信してから予め定められた第1所定時間が経過した場合には、本ステップの判断が肯定され、SB3が実行される。また、SB1で測位符号を受信してから予め定められた第1所定時間が経過していない場合には、本ステップの判断は否定され、前記第1所定時間が経過するまでSB2が繰り返し実行される。
【0068】
基準基地局11の時計合わせ信号送信制御部36などに対応し、SB2の判断が肯定される場合に実行されるSB3においては、時計合わせ信号の第1時計合わせ符号としてのPN符号が基準基地局11から各普通基地局12に対して送信される。
【0069】
基準基地局11の制御部34などに対応するSB4においては、SB3で第1時計合わせ符号を送信してから予め定められた第2所定時間が経過したか否かが判断される。そして、SB3で第1時計合わせ符号を送信してから予め定められた第2所定時間が経過した場合には、本ステップの判断が肯定され、SB5が実行される。また、SB3で第1時計合わせ符号を送信してから予め定められた第2所定時間が経過していない場合には、本ステップの判断は否定され、前記第2所定時間が経過するまでSB4が繰り返し実行される。
【0070】
基準基地局11の時計合わせ信号送信制御部36などに対応し、SB4の判断が肯定される場合に実行されるSB5においては、時計合わせ信号の第2時計合わせ符号としてのPN符号が基準基地局11から各普通基地局12に対して送信される。
【0071】
図10に戻って、測位サーバ14の判断部74に対応するSA17においては、SA12における測位信号の送信と、SA14における時計合わせ信号の普通基地局12における受信とが、予め定められた所定時間内に実行されたか否かが判断される。そして、SA12における測位信号の送信と、SA14における時計合わせ信号の普通基地局12における受信とが、予め定められた所定時間内に実行されなかった普通基地局12が1つでも存在する場合には、本ステップの判断は否定され、移動局測位システム8に要求される測位精度を満たす測位を実行することができないとして測位を取り止める。一方、全ての基地局について、SA12における測位信号の送信と、SA14における時計合わせ信号の普通基地局12における受信とが、予め定められた所定時間内に実行された場合には、本ステップの判断が肯定され、SA18が実行される。
【0072】
測位サーバ14のクロック速度比算出部66、時計ずれ算出部68、受信時刻換算部70、および測位部72などに対応するSA18においては、移動局10の測位のための演算が行なわれる。すなわち、SA16において基地局11、12から測位サーバ14に送信される情報である、基地局11、12におけるSA12で受信された測位信号の受信時刻、SA13およびSA14で送信された時計合わせ信号である第1時計合わせ符号および第2時計合わせ符号のそれぞれの基準基地局11における送信時刻、SA13およびSA14で受信された時計合わせ信号である第1時計合わせ符号および第2時計合わせ符号のそれぞれの普通基地局12における受信時刻などに基づいて、前記(2)式に基づいて各普通基地局12の時計58と基準基地局11の時計40とのクロック速度比を算出し、前記(3)式に基づいて各普通基地局12の時計58と基準基地局11の時計40との時計ずれを算出する。そして、前記(4)式に基づいて普通基地局12における測位信号の受信時刻を、基準基地局11の受信遅延時間および送信遅延時間を考慮するとともに基準基地局11の有する時計58の時刻に換算する。そして、換算された測位信号の普通基地局12における受信時刻、基準基地局11における測位信号の受信時刻、基地局11、12の位置に関する情報などから導かれる前記(8)式および(10)式を解くことにより、基地局11、12における測位信号の到達時間差(TDOA)に基づいて移動局10の測位演算を行なう。
【0073】
測位サーバ14の送信時間設定部76に対応するSA19においては、前記所定時間の値を変更するための所定時間変更ルーチンが実行される。図12はこの所定時間変更ルーチンを説明するフローチャートである。
【0074】
まず、SC1においては、移動局測位システム8に要求される移動局10の測位精度の設定値が取得される。SC2においては、SC1で取得された測位精度の設定値が、従前、例えば直前の測位の実行時のものと変化しているか否かが判断される。取得された測位精度の設定値が従前のものと変化している場合には本ステップの判断が肯定され、SC3が実行される。これは例えば、操作者によって新たな要求値の入力を受け付けた場合などに対応する。一方、取得された測位精度の設定値が従前のものと変化していない場合には本ステップの判断が否定され、SC3が実行されることなく本ルーチンは終了させられる。
【0075】
SC3においては、SC2において変更された新たな測位精度の設定値に対応する前記所定時間の値が決定される。前述のようにこの所定時間の値は、基地局11、12の使用として得られる前記受信遅延時間および送信遅延時間が最も急に変化する場合について予め算出算出される、前記移動局測位システム8が達成しうる移動局の測位精度と前記所定時間の最大値との関係とSC1で取得された移動局測位精度とから算出される値とされる。
【0076】
前述の実施例によれば、移動局測位システム8において複数の基地局11、12は、時計合わせ信号として所定の拡散符号を複数回送信する基準基地局11と、該基準基地局11から送信される前記時計合わせ信号を受信する普通基地局12とから構成され、クロック速度比算出部66、時計ずれ算出部68、受信時刻換算部70により、前記普通基地局12における前記時計合わせ信号の受信結果、および前記基準基地局11における前記時計合わせ信号の送信結果に基づいて、前記普通基地局12ごとに算出される前記普通基地局12i(i=1,2,…)のクロック速度と前記基準基地局のクロック速度とのクロック速度比rera_sbnbiと、前記普通基地局12ごとに算出される前記普通基地局12iの時計58の時刻と前記基準基地局11の時計40の時刻との時計ずれte_aq_sbnbiと、前記基準基地局11における送信遅延時間Δttsおよび受信遅延時間Δtrsに基づいて、前記普通基地局12が該普通基地局12の有する時計58に基づいて算出した前記測位信号の受信時刻が前記基準基地局11の有する時計40に基づいた時刻に補正され、前記測位部72により、該受信時刻換算部70により補正された前記普通基地局12における前記測位信号の受信時刻と、前記基準基地局11における前記測位信号の受信時刻と、前記普通基地局12および基準基地局11の位置情報とに基づいて前記移動局10の位置が算出される移動局測位システム8において、前記移動局10または前記基準基地局12は、該移動局10による前記測位信号の送信と該基準基地局11による前記時計合わせ信号の送信との一方に応答して他方を実行するので、前記時計ずれ算出部68による前記時計ずれの算出および前記クロック速度比算出部66による前記クロック速度比の算出と移動局10の位置の算出とが一対の工程として行なわれ、算出される前記クロック速度比および前記時計ずれに対応した移動局10の位置の算出を行なうことができる。
【0077】
また、本実施例の移動局測位システム8によれば、移動局10による前記測位信号の送信と前記基準基地局11により送信される前記時計合わせ信号の前記普通基地局12における受信とが予め定められた所定時間内に実行されるので、基地局11、12の送信遅延時間あるいは受信遅延時間の大きさが変動する場合において、最もその変動が著しい場合においても移動局測位システム8による測位が要求される測位精度の範囲において行なわれるように前記所定時間を予め設定することにより、前記クロック速度比および前記時計ずれなどに基づいて、前記普通基地局12が普通基地局12の有する時計に基づいて算出した前記測位信号の受信時刻を前記基準基地局11の有する時計に基づいた時刻に補正することができる。
【0078】
また本実施例の移動局測位システム8によれば、前記移動局10による前記測位信号の送信と前記基準基地局11により送信される前記時計合わせ信号の前記普通基地局12における受信とが、予め定められた所定時間内に実行されたか否かを判断する判断部74を有するので、前記送信遅延時間あるいは受信遅延時間の大きさが変動する場合において、前記移動局10による前記測位信号の送信と前記基準基地局11による前記時計合わせ信号の送信とが、前記最もその変動が著しい場合においても移動局測位システム8による測位が要求される測位精度の範囲において行なわれるように予め設定される前記所定時間内に実行されたか否かを判断することにより、前記普通基地局12が該普通基地局12の有する時計58に基づいて算出した前記測位信号の受信時刻を前記基準基地局11の有する時計40に基づいた時刻に補正した場合に、要求される測位精度の範囲内で移動局の測位を行なうことができるか否かを判断することができる。
【0079】
また本実施例の移動局測位システム8によれば、前記測位部72における移動局10の位置の算出に要求される測位精度に基づいて前記所定時間を決定する送信時間設定部76を有するので、前記送信遅延時間あるいは受信遅延時間の大きさが変動する場合においても、前記測位部72における移動局10の位置の算出に要求される測位精度を満たすことのできるように前記所定時間を予め設定することができる。
【0080】
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
【0081】
例えば、前述の実施例において受信時刻の検出のために用いられた相関値は、前記(1)式の定義によるものに限定されず、他の定義によってもよい。レプリカと受信信号との同期をピークにより検出することができるものであればよい。
【0082】
また、前述の実施例においては、普通基地局12と基準基地局11とはそれぞれ図3および図4に示すものであり、時計合わせ信号送信制御部36を有する点において異なるとされた。しかしながら、基準基地局11は普通基地局12として振る舞うように構成してもよい。
【0083】
また、前述の実施例においては、移動局10から測位信号が送信され、基地局11、12のそれぞれにおいて受信されるものとされたが、このような態様に限られない。すなわち、基地局11、12のそれぞれから順次移動局10へ測位信号が送信されるようにしてもよい。
【0084】
また、前述の実施例においては、図10のタイムチャートに示したように、移動局10による測位信号の送信が行なわれた後に基準基地局11から時計合わせ信号の送信が行なわれたが、このような態様に限られない。すなわち、基準基地局11から時計合わせ信号の送信が行なわれた後に、例えば基準基地局11から移動局10に送信要求が行なわれることなどにより、移動局10から測位信号の送信が行なわれるようにしてもよい。
【0085】
また、前述の実施例においては、測位サーバ14からの指令の受信やその指令に対する応答を基準基地局11が行なうようにされたが、これに限られず、他の普通基地局12が行なうようにしてもよい。
【0086】
また、前述の実施例においては、基地局11、12と測位サーバ14とは通信ケーブル18により接続され情報通信が行なわれたが、これに限られない。例えば無線LANのような無線通信機能であってもよい。その場合、通信インタフェース60、42、64がその通信の種類に応じた通信機能を有すればよい。
【0087】
また、前述の実施例においては、図10のSA2において基準基地局11は空きチャンネルの探索RTS信号を用いたが、これに限られず、他の公知の方法によって空きチャンネルの探索を行なうことができる。
【0088】
また、前述の実施例においては、測位信号として送信されるPN符号は予め基地局11、12と移動局10とで共通して記憶される複数種類の符号から選択されるようにしたが、これに限られず、予め定められた1種類の符号が常に用いられてもよい。また、時計合わせ信号の第1時計合わせ符号および第2時計合わせ符号として送信されるPN符号については、基地局11、12において予め定められた符号が用いられるものとされたが、共通して記憶される複数種類の符号から選択される1つの符号としてもよい。
【0089】
また、前述の実施例においては、基準基地局11から送信される時計合わせ信号は第1時計合わせ符号と、第2時計合わせ符号とからなるものとされたが、これに限られず、3以上の符号の組み合わせからなるものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本発明の1実施例である移動局測位システムの構成の概要を説明する図である。
【図2】図1の移動局測位システムを構成する移動局の有する機能の要部を説明する機能ブロック図である。
【図3】図1の移動局測位システムを構成する普通基地局の有する機能の要部を説明する機能ブロック図である。
【図4】図1の移動局測位システムを構成する基準基地局の有する機能の要部を説明する機能ブロック図である。
【図5】図1の移動局測位システムを構成する測位サーバの有する機能の要部を説明する機能ブロック図である。
【図6】基準基地局および普通基地局の受信時刻検出部の有するマッチドフィルタの構成の一例を説明する図である。
【図7】基地局における立ち上がりからの経過時間と受信遅延時間の関係を表わした図である。
【図8】測位サーバの測位部における測位の原理を説明する図である。
【図9】測位の過程における各変数の関係を表わすタイムライン図である。
【図10】図1の移動局測位システムにおける制御作動の概要を説明するフローチャートである。
【図11】図10における制御作動のうち基準基地局における電波の送受信に関する制御作動の概要を説明するフローチャートである。
【図12】図10の所定時間変更ルーチンを説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0091】
10:移動局
11、12:基地局
8:移動局測位システム
11:基準基地局
12:普通基地局
66:クロック速度比算出部(受信時刻補正部)
68:時計ずれ算出部(受信時刻補正部)
70:受信時刻換算部(受信時刻補正部)
72:測位部
74:判断部
76:送信時間設定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動局から発信された測位信号を複数の基地局が受信し、該測位信号を前記複数の基地局がそれぞれ受信した受信時刻の時間差と該複数の基地局の位置とに基づいて該移動局の位置を推定する移動局測位システムであって、
前記複数の基地局は、時計合わせ信号として所定の拡散符号を複数回送信する基準基地局と、該基準基地局から送信される前記時計合わせ信号を受信する普通基地局とから構成され、
前記普通基地局における前記時計合わせ信号の受信結果、および前記基準基地局における前記時計合わせ信号の送信結果に基づいて、前記普通基地局ごとに算出される前記普通基地局のクロック速度と前記基準基地局のクロック速度とのクロック速度比と、前記普通基地局ごとに算出される前記普通基地局の時計の時刻と前記基準基地局の時計の時刻との時計ずれと、前記基準基地局における送信遅延時間および受信遅延時間とに基づいて、前記普通基地局が該普通基地局の有する時計に基づいて算出した前記測位信号の受信時刻を、前記基準基地局の有する時計に基づいた時刻に補正する受信時刻補正部と、
該受信時刻補正部により補正された前記普通基地局における前記測位信号の受信時刻と、前記基準基地局における前記測位信号の受信時刻と、前記普通基地局および基準基地局の位置情報とに基づいて前記移動局の位置を算出する測位部と、を含み、
前記移動局および前記基準基地局は、該移動局による前記測位信号の送信と該基準基地局による前記時計合わせ信号の送信との一方に応答して他方を実行すること
を特徴とする移動局測位システム。
【請求項2】
前記移動局による前記測位信号の送信と前記基準基地局により送信される前記時計合わせ信号の前記普通基地局における受信とが予め定められた所定時間内に実行されること
を特徴とする請求項1に記載の移動局測位システム。
【請求項3】
前記移動局による前記測位信号の送信と前記基準基地局により送信される前記時計合わせ信号の前記普通基地局における受信とが、予め定められた所定時間内に実行されたか否かを判断する判断部を有すること
を特徴とする請求項1または2に記載の移動局測位システム。
【請求項4】
前記測位部における移動局の位置の算出に要求される測位精度に基づいて前記所定時間を決定する送信時間設定部を有すること
を特徴とする請求項2または3に記載の移動局測位システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−78526(P2010−78526A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−249228(P2008−249228)
【出願日】平成20年9月26日(2008.9.26)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】