説明

移動式保冷コンテナ

【課題】 保冷コンテナを、蓄冷剤、走行用エンジンの動力を利用しないで、保管物を移動式で保冷する。
【解決手段】 移動式保冷コンテナ1は、後部に扉2を設けた箱体3と、箱体3の底板30の前部下面に形成される前脚4と、箱体3の底板30の後部下面に形成されるローラ付後脚5と、コンテナ脱着装置付車両100に搭載する場合に案内するため底板30の下面にガイド6と、箱体3をコンテナ脱着装置付車両100に固縛するために底板30の下面に設けた固縛装置7と、箱体3の前板31に固定される掛合部材8と、箱体3の内部に設けた発電機9と、発電機9から電気の供給を受ける箱体3内を保冷する保冷装置10と、を備え、車両100に搭載されるとき、車両100のフック101で掛合部材8を引っ掛けて車両100の前方に移動させ、車両100から降ろすとき、車両100のフック101で掛合部材8を引っ掛けて車両100の後方に移動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテナ脱着装置付車両を利用して移動可能な移動式保冷コンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の発明は、庫内の商品収納スペースを小さくすることなく、庫内の上部および下部も効率よく冷却することができるとともに、庫内に商品が収納された状態でも、庫内に寒剤を収納することができる保冷コンテナを得るにある。すなわち、開閉扉を備える保冷コンテナ本体と、この保冷コンテナ本体の庫内上部に設けた蓄冷剤、ドライアイス、氷等の寒剤を収納する上部冷却スペースと、前記保冷コンテナ本体の庫内底部に設けた蓄冷剤、ドライアイス、氷等の寒剤を収納する底部冷却スペースとで保冷コンテナを構成している。
【0003】
特許文献2に記載の発明は、冷蔵保管装置の製造原価低減を図りながら、複数の荷室内の温度(保管温度)を適切に制御する。すなわち、第1荷室A内の温度に基づいて第1、2送風機131、132を制御し、第2荷室B内の温度に基づいて第3送風機133を制御する。これにより、1つのクーラユニット100にて保管温度の異なる第1、2荷室A、Bを制御することができるので、冷蔵保管装置の構造を簡素化することができる。したがって、冷蔵保管装置の製造原価低減を図りながら、複数の荷室内の温度(保管温度)を適切に制御することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−71596号公報
【特許文献2】特開2002−62013号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の発明は、蓄冷剤を利用するため、大型容量のものでは、ドライアイスなどにより、酸欠になるなどの問題がある。
【0006】
また、一方、特許文献2の発明は、蒸気圧縮式冷凍サイクルRcが、動力を断続可能に伝達する電磁クラッチを介して走行用エンジンから動力を得て冷媒を吸入圧縮する圧縮機200であり、210は圧縮機200から吐出する冷媒中から冷凍機油(潤滑油)を分離抽出するオイルセパレータであり、このオイルセパレータ210にて分離された冷凍機油は、所定の圧力損失を有するキャピラリチューブ211を介して圧縮機200の吸入側に戻される。したがって、走行用エンジンの動力が小さいときには、適用が困難である。
【0007】
そこで、保冷コンテナを、蓄冷剤、あるいは、走行用エンジンの動力を利用しないで、保管物を移動式で保冷することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題に鑑み、請求項1の発明は、後部又は側部に扉を設けた箱体と、箱体の底板に形成される前脚と、箱体の底板に形成されるローラ付後脚と、コンテナ脱着装置付き車両に搭載する場合に案内するガイドと、前記箱体を前記コンテナ脱着装置付き車両に固縛する固縛装置と、前記箱体の前板に固定される掛合部材と、前記箱体の内部に設けた発電機と、該発電機から電気の供給を受ける前記箱体内を保冷する保冷装置と、を備え、コンテナ脱着装置付車両に搭載されるときには、前記コンテナ脱着装置付き車両のフックで前記掛合部材を引っ掛けて前記車両の前方に移動させ、コンテナ脱着装置付車両から降ろすときには、前記コンテナ脱着装置付き車両のフックで前記掛合部材を引っ掛けて前記車両の後方に移動させることを特徴とする移動式保冷コンテナである。
【発明の効果】
【0009】
本発明は以上説明したように構成されているので、保冷コンテナを、蓄冷剤、あるいは、走行用エンジンの動力を利用しないで、保管物を移動式で保冷することができる。車両へ搭載状態、あるいは、地面での設置状態のいずれでも保冷が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態の移動式保冷コンテナ1の正面図である。
【図2】移動式保冷コンテナ1の右側面図である。
【図3】移動式保冷コンテナ1の左側面図である。
【図4】移動式保冷コンテナ1の平面図である。
【図5】移動式保冷コンテナ1の底面図である。
【図6】コンテナ脱着装置付車両100に移動式保冷コンテナ1が脱着される様子を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の好適な一実施形態である移動式保冷コンテナ1について図面を参照して説明する。
【0012】
移動式保冷コンテナ1は、後部に扉2を設けた箱体3と、箱体3の底板30の前部下面に形成される前脚4と、箱体3の底板30の後部下面に形成されるローラ付後脚5と、コンテナ脱着装置付車両100に搭載する場合に案内するため底板30の下面にガイド6と、箱体3をコンテナ脱着装置付車両100に固縛するために底板30の下面に設けたピンを備えた固縛装置7と、箱体3の前板31に固定される掛合部材8と、箱体3の内部に設けた発電機9と、発電機9から電気の供給を受ける箱体3内を保冷する保冷装置10と、を備えている。そして、コンテナ脱着装置付車両100に搭載されるときには、コンテナ脱着装置付車両100のフック101で掛合部材8を引っ掛けてコンテナ脱着装置付車両100の前方に移動させ、コンテナ脱着装置付車両100から降ろすときには、前記コンテナ脱着装置付車両100のフック101で掛合部材8を引っ掛けて車両100の後方に移動させる。
【0013】
箱体3はアルミニウム等から構成される底板30、前板31、天板32、側板33,34を備えている。扉2は側板33,34に観音開き構造で連結している。それぞれの板は2枚構造パネルであり、その隙間にはスチレンフォーム等の断熱材が形成されている。
【0014】
掛合部材8の下部には支持構造体11を設けてある。支持構造体11の下部に前脚4が固定される。
【0015】
発電機9と保冷装置10は、機械室12に収容され、荷室13とは仕切り壁14で区画されている。発電機9と保冷装置10とは電線15で、モータ16を介在させて接続され、発電機9からモータ16に電気が供給されてモータ16が駆動され、モータ16により、保冷装置10が作動するようになっている。
【0016】
発電機9はあらかじめガソリンとオイルを供給しておくことで発電を行うエンジン内蔵型発電機である。オイル給油口にオイルを供給し、燃料給油キャップを外し、注入口のレベル(給油限界位置)までガソリンを供給し、燃料給油キャップつまみを開の位置に合わせ、エンジンスイッチを運転の位置に合わせ、始動グリップを引く等によってエンジンがかかるようになっている。三相交流電源を採用する。なお、単相交流電源を採用し、2つのインバーターを直列あるいは並列に切り換えてもよい。100Vの出力、200Vの出力など各種電圧にも対応する。発電機9からの排気ガスは箱体3に連通パイプを設けて外部に排気する。
【0017】
保冷装置10は、空気を冷却する蒸発器(冷却用熱交換器)を備え、この蒸発器は、冷媒と空気とを熱交換することにより冷媒を蒸発させて冷凍能力を得る蒸気圧縮式冷凍サイクルの低圧側熱交換器である。この保冷装置10は発電機9から電力供給で駆動する。また、発電機9からではなく、コンセントからの外部電力も利用できる。保冷装置10は、蒸発器を収納するとともに、空気の通路を構成するケーシングを備え、このケーシングには、荷室13内の空気を取り込む吸入口、及びケーシング内に吸入された空気を荷室13内に吹き出す吹出口が形成されている。
【0018】
また、ケーシング内のうち吸入口に対応する部位には、軸流式の送風機が収納されており、これら送風機は、吸入口に配設されて荷室13内の温度を検出する温度センサの検出温度に基づいて電子制御装置により制御される。
【0019】
保冷装置10は、発電機9からの電気により駆動するモータ16が動力源となって冷媒を吸入圧縮する圧縮機と、圧縮機から吐出した高温高圧冷媒と空気(荷室外空気)と熱交換して冷媒を凝縮させる凝縮器と、凝縮器から流出する冷媒を液相冷媒と気相冷媒とに分離して液相冷媒を流出させるとともに、サイクル中の余剰冷媒を蓄えるレシーバと、レシーバからの液相冷媒を減圧する膨張弁又はキャピラリーチューブと、液相を蒸発させる蒸発器と、蒸発器から流出する冷媒を液相冷媒と気相冷媒とに分離して気相冷媒を圧縮機の吸入側に流出させるアキュムレータと、を備えている。
【0020】
温度センサの検出温度が所定温度(本実施形態では、5℃)以上のときには、送風機を稼働させることにより、荷室13内から空気を吸入し、その吸入した空気を蒸発器に通過させて冷却した後、冷却した空気を荷室13内に吹き出すように荷室13と蒸発器との間で空気を循環させる。
【0021】
そして、温度センサの検出温度が所定温度(本実施形態では、5℃)を下回るときには、送風機を停止させて荷室13内の冷却を停止する。
【0022】
送風機が停止しているときには、モータ16を停止して冷凍サイクル(圧縮機)を停止させ、一方、送風機が稼働しているときには、モータ16を駆動して冷凍サイクル(圧縮機)を稼働させる。
【0023】
また、上述の実施形態では、軸流式ファン(プロペラファン)を有する送風機を送風手段として用いたが、本発明はこれに限定されるものではなく、遠心式ファンや横流ファンを用いた送風機を送風手段に用いてもよい。
【0024】
実施形態の動作、作用効果を説明する。コンテナ脱着装置付車両100に移動式保冷コンテナ1が積載されて移動するときには、図7に示す通り、掛合部8にフック101が掛けられて、アーム102によって、移動式保冷コンテナ1を長手方向に移動させて装着させる。装着作業は円滑に簡単に行うことができる。例えば、医療廃棄物等の回収には、廃棄物を積載した移動式保冷コンテナ1をコンテナ脱着装置付車両100に搭載し、発電機9を稼動させることで、保冷装置10を駆動させて荷室13内の保冷を行うことができ、温度調整も行うことができるので、感染性廃棄物等が含まれる医療廃棄物等の搬送に衛生面で好適である。
【0025】
一方、コンテナ脱着装置付車両100から降ろされて地面に設置されるときには、アーム102によって移動式保冷コンテナ1を長手方向に移動させてコンテナ脱着装置付車両100から離脱させる。離脱作業は円滑に簡単に行うことができる。例えば、医療廃棄物等の回収には、この移動式保冷コンテナ1をコンテナ脱着装置付車両100から積み下ろして地面において、発電機9を稼動させることで、保冷装置10を駆動させて荷室13内の保冷を行うことができ、温度調整も行うことができるので、感染性廃棄物等が含まれる医療廃棄物等の搬送に衛生面で好適である。発電機9からの電力供給にかえて、保冷装置10はコンセントから電源の供給を受けることも出来る。
【0026】
なお、本発明の実施の形態は、下記の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲において、当該技術的範囲に属する限り種々の改変等の形態を採り得る。必要に応じて電磁クラッチを設け、モータ16の動力を遮断、連結してもよい。
【符号の説明】
【0027】
1・・・移動式保冷コンテナ
2・・・扉
3・・・箱体
4・・・前脚
5・・・ローラ付後脚
6・・・ガイド
7・・・固縛装置
8・・・掛合部材
9・・・発電機
10・・・保冷装置
30・・・底板
31・・・前板
32・・・天板
33,34・・・側板
11・・・支持構造体
12・・・機械室
13・・・荷室
14・・・仕切り壁
15・・・電線
16・・・モータ
100・・・コンテナ脱着装置付車両
101・・・フック
102・・・アーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
後部又は側部に扉を設けた箱体と、
箱体の底板に形成される前脚と、
箱体の底板に形成されるローラ付後脚と、
コンテナ脱着装置付き車両に搭載する場合に案内するガイドと、前記箱体を前記コンテナ脱着装置付き車両に固縛する固縛装置と、
前記箱体の前板に固定される掛合部材と、
前記箱体の内部に設けた発電機と、
該発電機から電気の供給を受ける前記箱体内を保冷する保冷装置と、を備え、
コンテナ脱着装置付車両に搭載されるときには、前記コンテナ脱着装置付き車両のフックで前記掛合部材を引っ掛けて前記車両の前方に移動させ、
コンテナ脱着装置付車両から降ろすときには、前記コンテナ脱着装置付き車両のフックで前記掛合部材を引っ掛けて前記車両の後方に移動させることを特徴とする移動式保冷コンテナ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−56631(P2012−56631A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−274140(P2010−274140)
【出願日】平成22年12月8日(2010.12.8)
【基礎とした実用新案登録】実用新案登録第3164213号
【原出願日】平成22年9月7日(2010.9.7)
【出願人】(310007759)株式会社テクノミズホ (9)
【Fターム(参考)】