説明

移動式計量車

【課題】 混合装置の上流に配置されて混合装置に供給する前の2種類の被混合物を同じ重量比率で混合装置に供給することのできる移動式計量車を得る。
【解決手段】 走行可能な車両シャシ上に、第1搬送物を下流側の第1搬出口まで搬送する第1搬送路と、第1搬送路の途中に配され通過する第1搬送物の単位時間当たりの重量を計量する第1計量手段と、第1搬送路の搬送速度を計測する第1搬送速度計測手段と、第2搬送物を下流側の第2搬出口まで搬送する第2搬送路と、第2搬送路の途中に配されて通過する第2搬送物の単位時間当たりの重量を計量する第2計量手段と、第2搬送路の搬送速度を計測する第2搬送速度計測手段と、第1搬送路の搬送速度と第2搬送路の搬送速度との相対速度を制御する搬送路制御手段とを備え、予め定められた重量比となるように第1搬送路の搬送速度と第2搬送路の搬送速度との相対速度を制御するもの。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、混合装置の上流に配置されて、混合装置に供給する前の被混合物を計量する移動式計量車に関し、特に2つの被混合物を同じ重量比率で混合装置に供給することのできる移動式計量車に関するものである。
【背景技術】
【0002】
走行可能な車両シャシ上に篩別等の装置を搭載させたものとしては、既に、被篩別物をその集積地等において篩別することができ、現地における被篩別物の集積位置と篩別済み品の排出位置との関係に柔軟に対応できる移動型篩別装置(特許文献1参照)や、被破砕物をその集積地等において破砕することができ、現地における被破砕物の集積位置と破砕済み品の排出位置との関係に柔軟に対応できる多品種向けの多目的移動型破砕作業車(特許文献2参照)や、スラグなどの産業廃棄物を産業原料として利用可能にするため篩別する移動式グリズリーフィーダー車(特許文献3参照)等が既に提案されている。
【0003】
例えば、製鉄プラントでは、原料としてのコークスや鉱石類などを篩別し、大きな原料は破砕機で破砕して、更に篩別して、原料を高炉へ供給する。一方、高炉からは銑鉄が得られ、その他に鉄鉱石中のケイ素、アルミニウム、カルシウム等の酸化物が高炉スラグとして排出される。また、銑鉄を精錬して鋼を得るために転炉に装入する前に溶銑の脱硫処理、脱珪処理、脱燐処理の溶銑予備処理を行う際に、各々脱硫スラグ、脱珪スラグ、脱燐スラグが排出される。
【0004】
埋立に使用される埋立材は、例えば25mm以下のように、現在では径が決められていて、一昔までの建築廃材や、産業廃棄物を自由に埋め立てることはできなくなった。
【0005】
また、現在、製鉄プラントなどの大プラントでは、自然環境保護のため、産業廃棄物を廃棄するのではなく、従来は廃棄していた廃棄物を資源の一つとして見直す動きが既に始まっている。従って、前述の高炉スラグ、脱燐スラグ、脱珪スラグ、脱硫スラグについても、資源として、高度利用を図ることが求められている。
【0006】
プラントの原料はプラントに搬送される前に既にある程度の大きさに篩別されており、備蓄されているプラント内の集積場へ前述の移動型篩別装置や多目的移動型破砕作業車を乗りつけ、所望の大きさに篩い分け、一部のものを破砕することは可能である。しかしながら、従来廃棄されていた廃棄物はその排出される工程等により様々である。
【0007】
例えば、前述の高炉スラグは、主に鉄鉱石に由来する珪酸が高炉内で一旦溶融して急激に冷やされたものであるため、ガラス状の砂様の物質である。また、脱珪スラグは溶銑中にミルスケール、焼結鉱などの酸化鉄を投入してCaO−FeO−SiO 系のスラグとなったものである。また、脱燐スラグは、石灰、酸化鉄、螢石などを混合した脱燐剤をガスとともに溶銑中に吹き込み、溶銑中の燐をスラグ相に移行させたのち、排出されたものである。また、脱硫スラグは、溶銑中にCaO、NaCO、CaC 、Mgなどの脱硫剤を吹き込んで浮かび上がったスラグである。
【0008】
溶銑上を浮かび上がる各スラグは、スラグ掻き出しによって溶銑から分離され、水等で冷却される。掻き出しではスラグだけでなく、質のよい鋼を生産するため、溶銑の表面も一緒に掻き出す。このため、スラグには未だ充分な鉄分が含まれており、これを分別する必要もあった。
【0009】
以上のように、細かいガラス状の砂様の物質の高炉スラグ以外の脱燐スラグ、脱珪スラグ、脱硫スラグについては、スラグの掻き出しの具合により、50cmを超える大きさのものから砂状のものまで大きさはまちまちである。また、同じスラグであっても、鉄を多く含んでいる部分は破砕し難く、鉄を余り含んでいない部分は容易に破砕する。
【0010】
このような大きさがまちまちのスラグや、破砕のしやすさもまちまちのスラグは、篩い分け等で同じような大きさや種類のものに篩別されるだけでなく、篩別された幾種類かのスラグを、今度はある決まった比率で均一に混合することにより、土木用・道路用・建築用・地盤改良用・肥料用等の所望の用途に限定された商品を得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平3−65278号公報
【特許文献2】特開平6−55095号公報
【特許文献3】登録実用新案第3116122号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
均一に混合するための混合装置は、従来よりバッチ式の混合装置や連続的に被混合物を受け入れて排出する混合装置等がある。しかしながら、連続的に被混合物を受け入れて排出する混合装置に、2種類以上の被混合物を同じ比率で連続的に供給する供給装置は、未だ満足するものは得られていない。
【0013】
本発明は、混合装置の上流に配置されて、混合装置に供給する前の2種類の被混合物を同じ重量比率で混合装置に供給することのできる移動式計量車を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
請求項1に記載された発明に係る移動式計量車は、走行可能な車両シャシ上に、2つの搬送路と、これら2つの搬送路上の搬送物の各々の重量を計量する2つの計量手段とを備えた移動式計量車であって、
上流に配された第1搬入口から搬入された第1搬送物を下流側の第1搬出口まで搬送する第1搬送路と、
第1搬送路の途中に配され、通過する第1搬送物の単位時間当たりの重量を計量する第1計量手段と、
第1搬送路の搬送速度を計測する第1搬送速度計測手段と、
上流に配された第2搬入口から搬入された第2搬送物を下流側の第2搬出口まで搬送する第2搬送路と、
第2搬送路の途中に配され、通過する第2搬送物の単位時間当たりの重量を計量する第2計量手段と、
第2搬送路の搬送速度を計測する第2搬送速度計測手段と、
第1搬送路の搬送速度と第2搬送路の搬送速度との相対速度を制御する搬送路制御手段とを備え、
前記搬送路制御手段が、第1搬送速度計測手段によって計測された搬送速度と第1計量手段で計量された第1搬送物の単位時間当たりの重量とから得られる第1搬送路の搬出口から搬出される第1搬送物の単位時間当たりの重量に対して、第2搬送速度計測手段によって計測された搬送速度と第2計量手段で計量された第2搬送物の重量とから得られる第2搬送路の搬出口から搬出される第2搬送物の単位時間当たりの重量が、予め定められた重量比となるように第1搬送路の搬送速度と第2搬送路の搬送速度との相対速度を制御することを特徴とするものである。
【0015】
請求項2に記載された発明に係る移動式計量車は、請求項1に記載の搬送路制御手段が、一定の速度で搬送される第1搬送路の搬出口から搬出される第1搬送物の単位時間当たりの重量に対して、第2搬送路の搬送速度を変化させることを特徴とするものである。
【0016】
請求項3に記載された発明に係る移動式計量車は、請求項1又は2に記載の搬送路制御手段には、第1搬送路の搬出口から搬出される第1搬送物の単位時間当たりの重量に対する第2搬送路の搬出口から搬出される第2搬送物の単位時間当たりの重量比が予め定められた閾値を超えた場合に第1搬送路及び第2搬送路の駆動を停止する停止手段を更に備えたことを特徴とするものである。
【0017】
請求項4に記載された発明に係る移動式計量車は、請求項1〜3の何れか1項に記載の第1搬送路の搬出口から搬出された第1搬送物の単位時間毎の重量データと、これに応じた第2搬送路の搬出口から搬出された第2搬送物の単位時間毎の重量データとを記録保存する記録保存手段を更に備えたことを特徴とするものである。
【0018】
請求項5に記載された発明に係る移動式計量車は、請求項1〜4の何れか1項に記載の車両シャシには車両シャシの水平度を保つための油圧ジャッキを更に備えたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、混合装置の上流に配置されて、混合装置に供給する前の2種類の被混合物を同じ重量比率で混合装置に供給することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の移動式計量車の一実施例の構成を示す平面図である。
【図2】図1の正面図である。
【図3】図1の側面図である。
【図4】図4は搬送路制御手段の概要を示す説明図である。
【図5】混合装置をシャシ上に搭載した混合装置車の平面図である。
【図6】図5の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明においては、走行可能な車両シャシ上に、2つの搬送路と、これら2つの搬送路上の搬送物の各々の重量を計量する2つの計量手段とを備えた移動式計量車であって、
上流に配された第1搬入口から搬入された第1搬送物を下流側の第1搬出口まで搬送する第1搬送路と、
第1搬送路の途中に配され、通過する第1搬送物の単位時間当たりの重量を計量する第1計量手段と、
第1搬送路の搬送速度を計測する第1搬送速度計測手段と、
上流に配された第2搬入口から搬入された第2搬送物を下流側の第2搬出口まで搬送する第2搬送路と、
第2搬送路の途中に配され、通過する第2搬送物の単位時間当たりの重量を計量する第2計量手段と、
第2搬送路の搬送速度を計測する第2搬送速度計測手段と、
第1搬送路の搬送速度と第2搬送路の搬送速度との相対速度を制御する搬送路制御手段とを備え、
前記搬送路制御手段が、第1搬送速度計測手段によって計測された搬送速度と第1計量手段で計量された第1搬送物の単位時間当たりの重量とから得られる第1搬送路の搬出口から搬出される第1搬送物の単位時間当たりの重量に対して、第2搬送速度計測手段によって計測された搬送速度と第2計量手段で計量された第2搬送物の重量とから得られる第2搬送路の搬出口から搬出される第2搬送物の単位時間当たりの重量が、予め定められた重量比となるように第1搬送路の搬送速度と第2搬送路の搬送速度との相対速度を制御するため、例えば、混合装置の上流に配置されて、混合装置に供給する前の2種類の搬送物を同じ重量比率で混合装置に供給することができる。
【0022】
本発明では、走行可能な車両シャシ上に、第1搬送路と第2搬送路との2つの搬送路と、これら2つの搬送路上の搬送物の単位時間当たりの重量を各々計量する2つの計量手段とを備える。即ち、第1搬送物と第2搬送物との2種類の搬送物を各々の搬送路の搬出口から搬出する。その際に計量された2種類の搬送物を同じ重量比率で排出し、例えば2種類の搬送物を一つの混合装置に供給する。
【0023】
本発明の移動式計量車は、好ましくは、公道を通常の車両と同様に走行するには、種々の規制を遵守する。例えば、車両の高さや車幅等には制限があり、例えば車高は3800cm以内でなければならない。この高さ以上の車両では、一般公道に架かる橋梁やトンネル等に対する高さ制限を越えるため、当然高さ制限のある公道は走行不能となり、機動性を阻害されることとなる。このような高さ制限の他にも公道走行車両のための法規上の規制・制限は、トレーラ長,トレーラ重量,車両幅,走行上の積荷のバランス等種々のものがある。本発明における移動式計量車は、好ましくは、公道の走行時には全ての要素が公道走行可能な車両シャシに搭載し、計量場所に移動した後に組み立てられても良い。このため、一つの製鉄所やプラントだけでなく、種々の場所に出向く利点を奏することができる。
【0024】
しかしながら、公道走行を可能とする大きさとすると、移動式計量車自体が相対的に小さなものとならざるを得なくなる。例えば、同時に混合装置等に供給する2種類の搬送物が存在する製鉄所構内やプラント構内を移動するだけでよい場合には、公道走行を可能とする規制よりも緩やかな製鉄所構内やプラント構内走行の規定に準じた大きさとすることにより、より大型の移動式計量車を製造することが可能となり、作業性が大きく向上する。
【0025】
本発明の走行可能な車両シャシ上に配備される搬送路としては、搬送路上の搬送物を計量手段によって計量することが可能であれば、如何なる搬送路であっても良い。例えば、小さなバケットが無限軌道状に配されたバケットコンベア等でも良いが、大量に搬送可能なベルトコンベアがより好ましい。本発明の計量手段としては搬送されるバケットコンベアの一つやベルトコンベアの一領域の荷重を計測する計量手段を搬送路の途中に備えることにより、単位時間当たりの重量を計量すればよい。
【0026】
第1搬送路と第2搬送路との2つの搬送路で搬送される2種類の搬送物を同じ重量比率で搬出口から搬出するためには、第1搬入口から第1搬出口まで連続して搬送される第1搬送物の単位時間当たりの重量と、第1搬送路の搬送速度と、第2搬入口から第2搬出口まで連続して搬送される第2搬送物の単位時間当たりの重量と、第2搬送路の搬送速度とが必要となる。
【0027】
加えて、第1搬出口から搬出される第1搬送物の単位時間当たりの重量と、第2搬出口から搬出される第2搬送物の単位時間当たりの重量との比が一定となるように、搬送路制御手段によって第1搬送路の搬送速度と第2搬送路の搬送速度との相対速度を制御する。
【0028】
具体的には、第1搬送路をある速度で第1搬入口から第1搬出口まで搬送する場合には、途中の第1計量手段で第1搬送路上の単位時間当たりの重量が暫時判明し、その重量の第1搬送物が第1搬出口まで到達する時間が第1搬送路の速度から判明する。一方、第2搬送路をある速度で第2搬入口から第2搬出口まで搬送する場合も同様に、途中の第2計量手段で第2搬送路上の単位時間当たりの重量が暫時判明し、その重量の第2搬送物が第2搬出口まで到達する時間が第2搬送路の速度から判明する。
【0029】
従って、計量された重さの第1搬送物が第1搬出口から搬出される際に、排出される第1搬送物の重量に応じた重量の第2搬送物が第2搬出口から搬出されるように、第1搬送物及び第2搬送物の相対速度を制御すればよい。尚、第1搬送物と第2搬送物との相対速度を制御する場合には、一方の速度を一定として、他方の速度を変化させる方が制御が容易となる。このため、好ましくは、搬送路制御手段が、一定の速度で搬送される第1搬送路の搬出口から搬出される第1搬送物の単位時間当たりの重量に対して、第2搬送路の搬送速度を変化させる。これにより、2種類の搬送物を同じ重量比率で混合装置等に供給することができる。
【0030】
本発明の搬送路制御手段には、混合装置等に供給される2種類の搬送物の重量比の厳密性を高めるために、好ましくは、第1搬送路の搬出口から搬出される第1搬送物の単位時間当たりの重量に対する第2搬送路の搬出口から搬出される第2搬送物の単位時間当たりの重量比が予め定められた閾値を超えた場合に第1搬送路及び第2搬送路の駆動を停止する停止手段を更に備える。即ち、第1搬出口から搬出される第1搬送物に対して、同時刻に第2搬出口から搬出される第2搬送物が、極端に少ないか又は多いかする場合に、停止手段によって第1搬送路と第2搬送路との駆動を停止する。
【0031】
尚、閾値は好ましくは搬送される第1搬送物及び第2搬送物に応じて定める。例えば、予め定められた重量比に対して、一定の重量%を閾値として定めればよい。一例としては予め定められた重量比の重量を100%として、±12%を越えた場合に停止手段によって第1搬送路と第2搬送路との駆動を停止する。
【0032】
本発明の搬送路制御手段における第1搬送路の搬出口から搬出された第1搬送物の単位時間毎の重量データと、これに応じた第2搬送路の搬出口から搬出された第2搬送物の単位時間毎の重量データとは、好ましくは記録保存しておく。2つの搬出口から搬出された2種類の搬送物は同じ重量比率の状態で混合されるため、同じ重量比率で搬出された証拠が残らないためである。よって、好ましくは、第1搬送路の搬出口から搬出された第1搬送物の単位時間毎の重量データと、これに応じた第2搬送路の搬出口から搬出された第2搬送物の単位時間毎の重量データとを記録保存する記録保存手段を更に備える。
【0033】
本発明の記録保存手段としては、時間に応じた重量データであれば良く、デジタルデータであってもアナログデータであっても良い。デジタルデータで保存されていれば、必要な際にグラフ化して確認することができる。また、アナログデータとしては例えば所定の範囲で左右に振れるペンとペンの振れ方向に対して垂直方向に一定の速度で排出される記録紙とを備えるペンレコーダを用いることもできる。搬送物の重量データと共に現場で用いたスラグ等の搬送物の性質を記載できるデジタルデータが好ましい。
【0034】
本発明では、好ましい態様としては、車両シャシには車両シャシの水平度を保つための油圧ジャッキを更に備える。第1計量手段及び第2計量手段での計量において精密な計量を行うためには、水平度を保つ必要があるためだからである。
【実施例】
【0035】
図1は本発明の移動式計量車の一実施例の構成を示す平面図である。図2は図1の正面図である。図3は図1の側面図である。図4は搬送路制御手段の概要を示す説明図である。図5は図1の移動式計量車の2つの搬出口から搬出される搬送物を均一に混合する混合装置をシャシ上に搭載した混合装置車の平面図である。図6は図5の正面図である。
【0036】
図1〜図3に示す通り、本実施例の移動式計量車10は、トレーラ車(図示せず)に牽引されて複数の後輪タイヤ12で走行可能な車両シャシ11上に、平行に設置された2つの搬送路としてのベルトコンベア20、30と、これら2つのベルトコンベア20、30の各々に設置され、その設置場所上を通過する各々の搬送物の単位時間当たりの重量を計量する2つの計量手段25、35とを備える。
【0037】
具体的には、上流側に配された第1搬入口としての第1ホッパー21から搬入された第1搬送物を下流端の第1搬出口22まで搬送する第1ベルトコンベア20と、上流側に配された第2搬入口としての第2ホッパー31から搬入された第2搬送物を下流端の第2搬出口32まで搬送する第2ベルトコンベア30とが、シャシ11の長手方向に沿って平行に配されている。
【0038】
第1ベルトコンベア20及び第2ベルトコンベア30の搬送路は共にカバー23、33で覆われている。また、第1ベルトコンベア20及び第2ベルトコンベア30の途中には、上部を通り過ぎるコンベア上の搬送物の単位時間当たりの重量を計量する計量手段25、35が各々設置されている。
【0039】
第1ベルトコンベア20及び第2ベルトコンベア30の駆動は各々の搬出口側端部に配されたモータ26、36で行われるが、第2ベルトコンベア30の第2モータ36にはインバータ制御装置が搭載されている。第1モータ26及び第2モータ36には第1ベルトコンベア20及び第2ベルトコンベア30の各速度を計測する搬送速度計測手段を備えている。
【0040】
車両シャシ11には、第1ベルトコンベア20及び第2ベルトコンベア30の計量手段25、35の上方に制御室13がある。この制御室13の内部の搬送路制御手段14が第1ベルトコンベア20及び第2ベルトコンベア30の搬送速度を制御する。また、車両シャシ11の前方及び後方には幅方向の対向位置に各々一組の油圧ジャッキ15が配されており、これら油圧ジャッキ15を個々に調整することにより、車両シャシ11を水平に保持することができる。これにより、計量手段による誤差を少なくすることができる。
【0041】
本実施例の移動式計量車では、例えば混合装置の上流に配置されて、混合装置に供給する前の第1搬送物と第2搬送物とを定められた重量比率で混合装置に供給するものであるため、第1ベルトコンベア20の第1搬送物の第1搬出口からの搬出量に応じて、第2搬送物の第2搬出口からの搬出量を調整する。尚、第1ベルトコンベア20や第2ベルトコンベア30のベルト上に常に同一の量が搬送されるものではなく、計量手段で計量される搬送物の重量は一定ではない。
【0042】
図4に示す通り、搬送路制御手段14へは、第1ベルトコンベア20のモータ26の搬送速度計測手段27によって計測された第1ベルトコンベアの搬送速度と、第1計量手段25で計量された第1搬送物の単位時間当たりの重量とが入力される。また、第2ベルトコンベア30のモータ36の搬送速度計測手段37によって計測された第2ベルトコンベアの搬送速度と、第2計量手段35で計量された第2搬送物の単位時間当たりの重量とが入力される。
【0043】
第1計量手段25と第1搬出口22との距離が予め定められており、第1ベルトコンベア20は定速で第1搬送物を搬送するため、第1計量手段25による計量を経た後、決まった時間後に第1搬出口22から計量された単位時間当たりの重量の第1搬送物が搬出される。
【0044】
一方、第2ベルトコンベア30の第2モータ36にはインバータ制御装置が搭載されている。搬送路制御手段14によって計測された搬送速度と第2計量手段で計量された第2搬送物の重量とから得られる第2搬送路の搬出口から搬出される第2搬送物の単位時間当たりの重量が、予め定められた重量比となるように第1搬送路の搬送速度と第2搬送路の搬送速度との相対速度を制御することにより、搬送速度を種々変化させることにより、第2搬出口32から搬出される第2搬送物の単位時間当たりの重量が変化する。
【0045】
例えば、第2搬送物を搬送する速度を2倍にすると、第2搬出口32から搬出される第2搬送物の単位時間当たりの重量は2倍となる。逆に、第2搬送物を搬送する速度を1/2倍にすると、第2搬出口32から搬出される第2搬送物の単位時間当たりの重量は1/2倍となる。
【0046】
従って、第1搬出口22で搬送される第1搬送物の単位時間当たりの重量に対して、所定の重量比の第2搬出物を第2搬出口32から搬出するように第2ベルトコンベア30の第2モータ36の速度を変化させることにより、混合装置に供給する前の2種類の搬送物を同じ重量比率で供給することができる。
【0047】
また、搬送路制御手段14には記録保持手段としてペンレコーダ式記録装置40が接続されており、第1計量手段25で計量された第1搬送物の単位時間当たりの重量データと、これに応じた第2計量手段35で計量された第2搬送物の単位時間当たりの重量データとを記録保存する。
【0048】
また、搬送路制御手段14には、第1搬送路の搬出口から搬出される第1搬送物の単位時間当たりの重量に対する第2搬送路の搬出口から搬出される第2搬送物の単位時間当たりの重量比を演算する演算手段41を備え、この演算手段41で求められた重量比が予め定められた閾値を超えた場合に第1ベルトコンベア20の第1モータ26及び第2ベルトコンベア30の第2モータ36の駆動を停止する停止手段42を備える。これにより、2種類の搬送物の重量比の厳密性を高めることができる。尚、閾値は、例えば、予め定められた重量比の重量を100%として、±12%を上回る又は下回った場合に停止手段42によって第1モータ26及び第2モータ36との駆動を停止するようにしている。
【0049】
第1搬出口22及び第2搬出口32から搬出される第1搬送物及び第2搬送物は後続の混合装置で均質になるように混合される。混合装置としては、第1搬送物及び第2搬送物を均質に混合するものであればよい。具体的には、図5及び図6は、第1搬送口22及び第2搬送口32の下流に配される混合装置車50が移動式計量車10に追随して移動することができる。
【0050】
混合装置車50は具体的には、トレーラ車(図示せず)に牽引されて複数の後輪タイヤで走行可能な車両シャシ51上に、混合装置52を搭載したものである。混合装置52は、内側に多数の撹拌羽根(図示せず)が立設された筒本体53を、回転可能に傾斜して車両シャシ51上に配設し、同じくシャシ51上に配された回動モータ54によって筒本体53を回転することにより、上方の一端部から投入された被混合物が混合されながら下方の他端部に至り排出される。
【0051】
尚、この混合装置車50と、移動式計量車10とは、図2に示すようなベルトコンベア60等によって行えばよい。
【0052】
また、好ましくは、車両シャシ11上の第1及び第2ベルトンベア20,30、第1及び第2ホッパ21,31、制御室13等の構成物を含めて、シャシ11の側面に配設された階段等の構成部材を含めて車幅を2.5m以内、車高を3.8m以内、長さを12m以内等の制限以内に構成すれば一般公道を走行可能となる。また、構成物の一部を取り外した状態で前記制限以内であっても良い。しかしながら、高い処理能力を得るために前記一般走行上の制限を超えても製鉄所構内やプラント構内を走行可能な大きさ等とすることにより、必要とされる製鉄所構内やプラント構内での種々の場所に出向くことが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明によれば、例えば幾種類かのスラグ等の少なくとも2種類の被混合物を、搬入口から搬出口に搬送する間に決まった比率で均一に混合装置に搬送することができ、幾種類かのスラグ等を土木用・道路用・建築用・地盤改良用・肥料用等の所望の用途に限定された商品にすることができる。
【符号の説明】
【0054】
10…移動式計量車、
11…車両シャシ、
12…後輪タイヤ、
13…制御室、
14…搬送路制御手段、
15…油圧ジャッキ、
20…第1ベルトコンベア(第1搬送路)、
21…第1ホッパー(第1搬入口)、
22…第1搬出口、
23…カバー、
25…第1計量手段、
26…第1モータ、
30…第2ベルトコンベア(第2搬送路)、
31…第2ホッパー(第2搬入口)、
32…第2搬出口、
33…カバー、
35…第2計量手段、
36…第2モータ、
40…記録装置、
41…演算手段、
42…停止手段、
50…混合装置車、
51…車両シャシ、
52…混合装置、
53…筒本体、
54…回動モータ、
60…ベルトコンベア、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行可能な車両シャシ上に、2つの搬送路と、これら2つの搬送路上の搬送物の各々の重量を計量する2つの計量手段とを備えた移動式計量車であって、
上流に配された第1搬入口から搬入された第1搬送物を下流側の第1搬出口まで搬送する第1搬送路と、
第1搬送路の途中に配され、通過する第1搬送物の単位時間当たりの重量を計量する第1計量手段と、
第1搬送路の搬送速度を計測する第1搬送速度計測手段と、
上流に配された第2搬入口から搬入された第2搬送物を下流側の第2搬出口まで搬送する第2搬送路と、
第2搬送路の途中に配され、通過するの第2搬送物の単位時間当たりの重量を計量する第2計量手段と、
第2搬送路の搬送速度を計測する第2搬送速度計測手段と、
第1搬送路の搬送速度と第2搬送路の搬送速度との相対速度を制御する搬送路制御手段とを備え、
前記搬送路制御手段が、
第1搬送速度計測手段によって計測された搬送速度と第1計量手段で計量された第1搬送物の単位時間当たりの重量とから得られる第1搬送路の搬出口から搬出される第1搬送物の単位時間当たりの重量に対して、第2搬送速度計測手段によって計測された搬送速度と第2計量手段で計量された第2搬送物の重量とから得られる第2搬送路の搬出口から搬出される第2搬送物の単位時間当たりの重量が、予め定められた重量比となるように第1搬送路の搬送速度と第2搬送路の搬送速度との相対速度を制御することを特徴とする移動式計量車。
【請求項2】
前記搬送路制御手段が、
一定の速度で搬送される第1搬送路の搬出口から搬出される第1搬送物の単位時間当たりの重量に対して、第2搬送路の搬送速度を変化させることを特徴とする請求項1に記載の移動式計量車。
【請求項3】
前記搬送路制御手段には、第1搬送路の搬出口から搬出される第1搬送物の単位時間当たりの重量に対する第2搬送路の搬出口から搬出される第2搬送物の単位時間当たりの重量比が予め定められた閾値を超えた場合に第1搬送路及び第2搬送路の駆動を停止する停止手段を更に備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の移動式計量車。
【請求項4】
前記第1搬送路の搬出口から搬出された第1搬送物の単位時間毎の重量データと、これに応じた第2搬送路の搬出口から搬出された第2搬送物の単位時間毎の重量データとを記録保存する記録保存手段を更に備えたことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の移動式計量車。
【請求項5】
前記車両シャシには車両シャシの水平度を保つための油圧ジャッキを更に備えたことを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の移動式計量車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−96849(P2013−96849A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−240128(P2011−240128)
【出願日】平成23年11月1日(2011.11.1)
【出願人】(511266139)株式会社住野事務所 (1)
【Fターム(参考)】