説明

移動式送風機

【課題】運動場、又は圃場等の土壌地帯にて、砂塵の発生を回避し、または温湿度の偏差を解消し、運動環境や、作物の生育環境の向上に寄与できる移動式送風機を提供する。
【解決手段】環体枠200の前面に間隔を設け配備した微細粒子を噴霧する多数の噴出口200aを設けた送風機2と、該送風機2を載置するベース板と、該ベース板に載置した該送風機2の起伏を行う主軸4と、該主軸4の一方端に回転自在に設けた回転軸と、回転軸に付設した支持杆6とからなり、該支持杆6は、移動を行う車輪7と、該支持杆6の揺動・妄動を抑止するアウトリガー8と、該アウトリガー8の収納を行う該支持杆6に付設した収納杆60で構成する移動式送風機1とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、芝生植栽・人工芝等のグラウンド・テニスコート・サッカー場・競技場等の運動場(グラウンドとする)、又は圃場等の土壌地帯にて、砂塵の発生を回避し、または温湿度の偏差を解消し、運動環境や、作物の生育環境の向上に寄与できる移動式送風機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のグラウンドにおいて、気温が高くなる。例えば、春夏秋等においては、熱風が発生し易く、グラウンド内の温度上昇がある。この温度上昇は、体力の消耗と、疾病の要因となり、由々しきことである。また、記録の低下もあり得ることから、競技への集中力の欠乏と、希望を喪失すること、等の改良点も考えられる。
【0003】
尚、前記グラウンドの中で、例えば、土壌グラウンド(土壌でなるグラウンド)では、直射日光により、土壌中の水分の蒸発が進んで、乾燥し易く、土壌粒子が、大気中に舞い上がり、砂埃・粉塵等(砂塵)が発生し易い。この砂塵が、前述と同様に、競技者等に悪影響を与えるので、その改良が望まれる。
【0004】
更に、前述の悪影響は、グラウンドの関係者、観客、通行人等に対しても、同様に考えられる。
【0005】
そして、この土壌グラウンドでは、砂塵の発生防止(抑制)として、例えば、散水車・散水装置、散水ホース等の散水手段を使用しているが、散水を行うこと改良される。しかし、その効果も一時的なものであるため、頻繁に散水を行う必要性が生じた問題であること、又は土壌の硬質化を招来し、散水前と散水後では、土壌グラウンドの性質が大きく変化をもたらすこと、等の新たな改良点が挙げられる。更に、従来の散水手段を使用する際は、競技中の実施はできないため、競技を中止するか、又は競技を行っていない時間に実施する等の時間的な問題も発生している。また、散水は、非常に大量の水と人手による労力の如く、物的資源と人的資源を要すること等の問題も発生している。
【0006】
また、一方では、ハウス・露地栽培における圃場等においても、その作物の種類により、温度と湿度の偏差が生じ、作物の結露、着霜、葉核病、疫病等が発生し、収穫量の減少、品質の低下を招来すること、又は害虫が発生すること、或いはハウス栽培の効率化が図れないこと等の問題点があった。
【0007】
そこで、このような土壌グラウンドで発生する問題を解決するための手段として、細霧及び/又は散霧を噴霧する装置、又は方法が開示されていたので、本願発明に係る先行文献調査に基づく公報を、下記に例示する。
【0008】
まず、第一に挙げられる先行文献としては(文献1とする)、特公平7−86207号の「土系グラウンドの防塵方法」がある。この概要は、ゴム系多孔質フレキシブルパイプをグラウンドに埋設して、このパイプに水供給源を供給し、水圧を加えることにより、このパイプから滲み出した水を土壌の毛管作用によって、地表面に上昇拡散する構成であり、砂埃の発生を防止させることを意図する。
【0009】
次に、第二に挙げられる先行文献としては(文献2とする)、特開2007−105650号の「スプリンクラー」がある。この概要は、分岐管の先端部に、ボールバルブ、電磁弁、ベース体を介し、このベース体の下方に配置された基礎円筒及び基礎まで被覆するように、ベース用カバーを設置し、前記ボールバルブと電磁弁をベース用カバー内に収納する構成であり、学校の運動場、競技場、公園、庭園等に設置し、地面や樹木への水撒きを意図する。
【0010】
【特許文献1】特公平7−86207号
【特許文献2】特開2007−105650号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
文献(1)は、多数の孔を有する多孔管をグラウンドの土中に埋設する構造であることから、その初期段階に、土中を堀削する作業が発生し、手間と時間がかかること、又、このゴム系多孔質フレキシブルパイプを使用することにより、土中の成分を変化させる虞も生じ、環境悪化を招来する危険性も発生することが考えられる。さらに、故障時の対応も、前記フレキシブルパイプの交換に手間取ること等から、土中に埋設することによる弊害が発生すると考えられ、運動場全体に効率よく、水を噴霧及び/又は噴出することができず、細霧、噴霧に寄与できないことが挙げられる。
【0012】
次に、文献(2)は、このスプリンクラーは、分岐管の先端部に、ボールバルブと、電磁弁と、ベース体により、水をベースカバー外へと飛散、噴霧する構造であるが、このスプリンクラーは、その設置場所を限定してしまうこと、また、使用しない場合にも、その場所に設置することから、運動場等で運動を行う時の邪魔になること、また、このことから、多数台の設置が必要となり、メンテナンスの煩雑化、管理に手間がかかること、稼動コストの上昇等の問題も発生すると考えられる。
【0013】
そこで、本発明は、前記の問題点を解決するために、下記の効果を奏する。
【0014】
(イ)グラウンド、又は圃場等の土壌グラウンドにおいて、土壌面に効率よく細霧・噴霧を行うことができ、砂塵の飛散を防止でき、有益な運動・競技・栽培・生活環境の保持に貢献することを意図する。
【0015】
(ロ)また、土壌グラウンドに、移動式送風機を、設置する場合に、支持杆にアウトリガーを設けることで、アウトリガーのアームの伸張を介して、移動式送風機の転倒防止及び/又は安定した設置(安定設置)が図れることで、例えば、風、雨等の外部からの要因で、移動式送風機がガタツキ防止と、ズレ防止等に有効である。また、この安定設置が図れることで、運動場・圃場等の地面を始めとして、例えば、水平な地面であれば、その設置場所を限定されず有効である。
【0016】
(ハ)移動式送風機の使用時・移動式送風機の未使用時において、軸の回転を介し、移動式送風機を立設(使用)すること、又は収納(非使用)すること、等が可能なり、有益であること、又は軸の回転で、立設と収納ができるので、力の弱い操作・作業者でも、簡易に使用すること、移動が安心できること、安定性があること、等の特徴を意図する。
【0017】
(ヘ)また、俯角調整機構を備えた送風機であり、移動式送風機から細霧・噴霧する微細粒子の飛散距離(送風距離)及び/又は角度等を調整することができことから、例えば、敷地面積が広い運動場においても、その細霧・噴霧が効率よく行えること、また、設置台数の軽減、ランニングコストの低廉化と、電力・水等を必要最低限に抑えることができ、省エネに寄与すること、等の実益を意図する。さらに環境維持に貢献することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
請求項1・2の発明は、上記の(イ)〜(ヘ)の目的を達成することを意図する。
【0019】
請求項1は、支持杆と、この支持杆に設けたベース板と、このベース板に立設したフレームと、このフレームに支持した軸と、この軸に軸支、又は、起伏自在に軸支した主軸と、この主軸に俯角調整機構を介して設けた送風機とでなる移動式送風機であって、
この送風機は、筒状のケーシングの噴射側に設けた微細粒子を噴霧する多数の噴出口を備えた環体枠と、この環体枠に繋がるホース及びポンプとで構成し、
また、前記支持杆には、車輪と、前記移動式送風機の設置及び/又は設置の安定を図るアウトリガーと、このアウトリガーが収納されるこの支持杆に付設した収納杆とで構成する移動式送風機である。
【0020】
請求項2は、支持杆と、この支持杆に設けたベース板と、このベース板に立設したフレームと、このフレームに支持した軸と、この軸に軸支、又は、起伏自在に軸支した主軸と、この主軸に俯角調整機構を介して設けた送風機とでなる移動式送風機であって、
この送風機は、筒状のケーシング内部に、第1のモータと、この第1のモータの回転軸に設けた回転羽根と、この第1のモータに隣設して設けた第2のモータと、この第2のモータに設け、かつ前記ケーシングに間隔を於いて設けた椀形のガードと、このガードに内装した前記第2のモータの回転軸に設けた回転板と、この回転板に水を供給するホース及びポンプと、前記椀形のガードの底部に設けた水回収用の孔とで構成し、
また、前記支持杆には、車輪と、前記移動式送風機の設置及び/又は設置の安定を図るアウトリガーと、このアウトリガーが収納されるこの支持杆に付設した収納杆とで構成する移動式送風機である。
【0021】
請求項3の発明は、請求項1、又は請求項2の目的を達成すること、この目的を達成するのに最適な移動式送風機の傾斜角度を提供することを意図する。
【0022】
請求項3は、請求項1、又は請求項2に記載の移動式送風機であって、
前記送風機は、略90度の範囲で起伏し、この送風機を倒して、この送風機を、前記支持杆内に収納し、かつ第4の支持杆に近接可能に収納する構成とした移動式送風機である。
【0023】
請求項4の発明は、請求項1、又は請求項2の目的を達成すること、この目的を達成するのに最適な回転軸の回転部材を提供することを意図する。
【0024】
請求項4は、請求項1、又は請求項2に記載の移動式送風機であって、
前記送風機の立設又は収納を、主軸の起伏で行う構成であり、この起伏を第2の支持杆と、主軸との間に設けたシリンダーで行う構成とした移動式送風機である。
【0025】
請求項5の発明は、請求項1、又は請求項2の目的を達成すること、この目的を達成するのに最適な移動式送風機を提供することを意図する。
【0026】
請求項5は、請求項1、又は請求項2に記載の移動式送風機であって、
前記移動式送風機は、ケーシング内部に、送風手段用の回転羽根と、この回転羽根を軸支する回転軸と、この回転軸を回転するモータと、噴射口を備えた環体枠、又はホースとで構成した移動式送風機である。
【発明の効果】
【0027】
請求項1の発明は、支持杆と、支持杆に設けたベース板と、ベース板に立設したフレームと、フレームに支持した軸と、軸に軸支、又は、起伏自在に軸支した主軸と、主軸に俯角調整機構を介して設けた送風機とでなる移動式送風機であって、
送風機は、筒状のケーシングの噴射側に設けた微細粒子を噴霧する多数の噴出口を備えた環体枠と、環体枠に繋がるホース及びポンプとで構成し、
また、支持杆には、車輪と、移動式送風機の設置及び/又は設置の安定を図るアウトリガーと、アウトリガーが収納されるこの支持杆に付設した収納杆とで構成する移動式送風機である。
【0028】
請求項2の発明は、支持杆と、支持杆に設けたベース板と、ベース板に立設したフレームと、フレームに支持した軸と、軸に軸支、又は、起伏自在に軸支した主軸と、主軸に俯角調整機構を介して設けた送風機とでなる移動式送風機であって、
送風機は、筒状のケーシング内部に、第1のモータと、第1のモータの回転軸に設けた回転羽根と、第1のモータに隣設して設けた第2のモータと、第2のモータに設け、かつケーシングに間隔を於いて設けた椀形のガードと、ガードに内設した第2のモータの回転軸に設けた回転板と、回転板に水を供給するホース及びポンプと、椀形のガードの底部に設けた水回収用の孔とで構成し、
また、支持杆には、車輪と、移動式送風機の設置及び/又は設置の安定を図るアウトリガーと、アウトリガーが収納される支持杆に付設した収納杆とで構成する移動式送風機である。
【0029】
従って、請求項1、又は請求項2は、
(イ)グラウンド、又は圃場等の土壌グラウンドにおいて、土壌面に効率よく細霧・噴霧を行うことができ、砂塵の飛散を防止でき、有益な運動・競技・栽培・生活環境の保持に貢献できる。
【0030】
(ロ)また、土壌グラウンドに、移動式送風機を、設置する場合に、支持杆にアウトリガーを設けることで、アウトリガーのアームの伸張を介して、移動式送風機の転倒防止及び/又は安定した設置(安定設置)が図れることで、例えば、風、雨等の外部からの要因で、移動式送風機がガタツキ防止と、ズレ防止等ができる。また、この安定設置が図れることで、運動場・圃場等の地面を始めとして、例えば、水平な地面であれば、その設置場所を限定されず有効である。
【0031】
(ハ)移動式送風機の使用時・移動式送風機の未使用時において、軸の回転を介し、移動式送風機を立設(使用)できること、又は収納(非使用)できること、等が可能なり、有益であること、又は軸の回転で、立設と収納ができるので、力の弱い操作・作業者でも、簡易に使用できること、移動が安心できること、安定性があること、等の特徴がある。
【0032】
(ヘ)また、俯角調整機構を備えた送風機であり、移動式送風機から細霧・噴霧する微細粒子の飛散距離(送風距離)及び/又は角度等を調整することができことから、例えば、敷地面積が広い運動場においても、その細霧・噴霧が効率よく行えること、また、設置台数の軽減、ランニングコストの低廉化と、電力・水等を必要最低限に抑えることができ、省エネに寄与できること、等の実益がある。さらに環境維持に貢献できる利点がある。
【0033】
請求項3の発明は、請求項1、又は請求項2に記載の移動式送風機であって、
送風機は、略90度の範囲で起伏し、送風機を倒して、送風機を、支持杆内に収納し、かつ第4の支持杆に近接可能に収納する構成とした移動式送風機である。
【0034】
従って、請求項3は、請求項1、又は請求項2の目的を達成すること、この目的を達成するのに最適な移動式送風機の傾斜角度を提供できること等の特徴を有する。
【0035】
請求項4の発明は、請求項1、又は請求項2に記載の移動式送風機であって、
前記送風機の立設又は収納を、主軸の起伏で行う構成であり、この起伏を第2の支持杆と、主軸との間に設けたシリンダーで行う構成とした移動式送風機である。
【0036】
従って、請求項4は、請求項1、又は請求項2の目的を達成すること、この目的を達成するのに最適な回転軸の回転部材を提供できること等の特徴を有する。
【0037】
請求項5の発明は、請求項1、又は請求項2に記載の移動式送風機であって、
前記送風機は、ケーシング内部に、送風手段用の回転羽根と、この回転羽根を軸支する回転軸と、この回転軸を回転するモータと、噴射口を備えた環体枠、又はホースとで構成した移動式送風機である。
【0038】
従って、請求項5は、請求項1、又は請求項2の目的を達成すること、この目的を達成するのに最適な移動式送風機を提供できること等の特徴を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
本発明の図面の説明をすると、図1は移動式送風機の立設状態を示した側面図、図2は移動式送風機の収納状態を示した側面図、図3は図2の平面図、図4は他の送風機の立設状態を示した側面図、図5−1はアウトリガーの一例を示した斜視図、図5−2はアウトリガーの他の一例を示した斜視図、図6は図1の使用例を示した参考図である。
【0040】
そこで、本発明の好ましい実施例の主要部及び/又は作用を分節し、この分節にしたがって、下記の構成の順で説明する。
(1) 移動式送風機である。
(2) 送風機である。
(3) ベースである。
(4) 主軸である。
(5) アウトリガーである。
(6) 移動式送風機の流れの説明である。
(7) その他の構成である。
【0041】
(1)移動式送風機の説明に関して、
図1を基に、移動式送風機1について説明する。この移動式送風機1は、グラウンド、圃場等の土壌グラウンドAに設置し、その土壌グラウンドAの敷地面積、収容人数・土壌グラウンドAにおける土の性質・その他立地条件により、その配置場所・配置数を適宜変更する。
【0042】
その形状を説明すると、移動式送風機1は、車輪7を備えた支持杆6(後述する第2の支持杆と、第3の支持杆で構成する)と、この支持杆6の第2の支持杆6bに差渡して設けたベース板50、及びこのベース板50に立設したフレーム51に設けた軸5と、この軸5に下端を貫設した主軸4と、前記主軸4に設けた架台3(ベース)と、この架台3に設けた送風機2と、前記支持杆6に設けた車輪7と、支持杆6の揺動・妄動を抑止するアウトリガー8と、このアウトリガー8の収納を行う前記支持杆6に付設した収納杆60とで構成されている。そして、この軸5は、フレーム51に回転自在に設けられるか、また、軸5をフレーム51に固止し、この軸5に主軸4を回転自在に設けられるかの構造で、この主軸4を起伏自在(立設、収納可能)に構成する。尚、支持杆6を、第2の支持杆6bと、第3の支持杆6cで構成することは一例である。しかし、この支持杆6及び/又はアウトリガー8を、杆(パイプ)構造とすることは、軽量化と、移動の容易化等に寄与できる。
【0043】
(2)送風機の説明に関して、
その一例を説明すると、図1に示した構造は、この送風機2は、開放型の略筒状のケーシング2aを外郭体とする構造であり、このケーシング2aにおける一方端2a1を吸込口21とし、他方端2b1を吐出口22とする。この一方端2a1の内方は、外気からの風の吸い込みを図る送風手段用の回転羽根23を設ける。この回転羽根23は、ケーシング20に内装した第1のモータ24の回転軸25に軸支することで、この第1のモータ24の回転で、回転羽根23及び回転軸25が所定の回転数で回転し、ケーシング2aの他方端2b1(吐出口22)に向って、送風する。即ち、回転羽根23は土壌グラウンドAの外気の吸込みと、送風を行う構造である。この回転羽根23による外気の吸込み量は、その土壌グラウンドAの立地条件等の条件に応じて、後述する制御盤10を介して、自動制御するか、又は手動制御される。
【0044】
このケーシング2aの他方端2b1の外枠2c(円周部分)に環体枠200を設け、この環体枠200の前面に適宜間隔を設けた微細粒子を噴霧・細霧する多数の噴出口200a(ノズル)を設ける。この噴出口200aの数・形状及び/又は噴霧量等は、環体枠200の外周径、回転羽根23の羽根径・土壌グラウンドAの占有面積・温湿度状況・使用態様等により、適宜変更する。尚、この環体枠200及び噴出口200aには、支持杆6に設けた、後述するポンプ11及び/又はタンク12と、ホース13を介して送られる水が供給される。そして、この水は、噴出口200aより微細粒子(粗い粒子よりも細かい)として噴射されるとともに、回転羽根23からの送風を介して、吐出口22から遠方へと噴霧及び/又は飛散される。尚、噴出口200aの端部を、軸芯方向に傾斜して設けることで、例えば、飛散距離が伸びること(飛散距離の向上)、ポンプ11の小型化、水の損失回避が図れること、等の特徴を有する。
【0045】
尚、その他の一例として、図4に示した送風機2の構造を説明すると、
筒状のケーシング2aの内部に、第1のモータ24と、第1のモータ24の回転軸25に設けた回転羽根26と、第1のモータ24に隣設して設けた第2のモータ27と、第2のモータ27に設け、かつケーシング2aに間隔を於いて設けた碗形(皿形)のガード28と、ガード28内に間隔を設けた第2のモータ27の回転軸29に設けた高速回転する回転板30と、回転板30に水を供給するホース13及びポンプ11と、椀形のガード28の底部に設けた水回収用の孔31とで構成する。そして、ケーシング2aの内面と、回転羽根26とガード28との間には、外気通路Bが構成される。図中200a1は、噴出口(ノズル)を示す。この例においても、水の供給量と、その制御、並びに特徴は前述の例に準ずる。尚、この例では、噴出口200a1より噴射された粒子は、回転板30の高速回転を介して、微粒子化された後、その円周縁より放射方向に拡散されるとともに、外気通路Bを流れる外気で、その吐出口22に誘導された後、空中に噴霧される。
【0046】
そして、回転板30の表面の円盤形状の凹凸条は、供給される水を、広い表面で捉え、かつ滞留時間を確保すること、又は水を放射方向の円周縁に、確実に流動すること、等の目的で設けられている。さらに、この回転板30の強度の向上及び/又は肉薄化が図れる特徴がある。尚、凹凸条の形状及び/又は本数は、限定されない。また、この回転板30には、ホース13に設けた噴出口200a1が、隣接して設置されており、このホース13により圧送された水が、回転板30の回転により飛散される大型粒子が、図示しない突条及び/又はスリット等に衝突し、微細粒子の発生が促進されることで、効率的な噴霧と、外気及び/又は内気の空気の圧送損失の減少化に寄与すること、等の利点が考えられる。
【0047】
(3)架台(俯角調整機構)の説明に関して、
架台3は、送風機2を載置する役割を果たす。そして、垂直方向に架台3の上方3aに筒体30を、下方3bに筒体31を設ける。この筒体30は、送風機2の下方2d(下端)に設けた筒体20を嵌挿し、ボルト・ナット等で緊締する。そして、前記筒体30は、送風機2の俯角調整を行う俯角調節手段が設けてあり、筒体30に穿設した孔30aに、筒体20に設けた外側へと突出したレバー201を嵌挿する。そして、このレバー201を上下方向(左右方向)へと移動することにより(俯角調整機構)、送風機2は俯角調整を行い、図1に矢印「イ」で示した如く、俯角調整ができる。そして、この送風機2の俯角角度の角度幅は、略−10度〜30度である。この角度幅は、もちろん任意であり、前記孔30aの形状・長さを変更することで、調整することができ、占有面積・その他の様々な条件等を考慮して行う。この架台3の下方3bに設けた筒体31には、主軸4が挿嵌される。尚、この主軸4と筒体31との固着方法は、筒体30と同様に、上下端(両端)にボルト・ナット等で緊締する。
【0048】
架台3には、送風機2の首振り用のクランク機構と、送風機2及び/又はポンプ11の制御を司る制御盤10が内装されており、この制御盤10により、外気温の検知・温湿度の検知等の検知を行い、総合的な演算を介し、例えば、タイマー制御、昼間時のみの運転、温湿度の偏差による運転等を個別具体的に制御し、送風機2による微細粒子の噴霧における有効利用と、電気代の無駄遣いを防止し、必要な時にのみ、送風機2の稼動で微細粒子の噴霧を行い、省エネに寄与すること、等もあり得る。
【0049】
(4)主軸の説明に関して、
主軸4の一方端は、前述したように、筒体31に挿嵌される。そして、主軸4は、前述したように、軸5が設けられる。また、支持杆6は、4本の支持杆6a、6b、6c、6dから構成されている。具体的には、軸5のベース板50とフレーム51を支持する第1の支持杆6aと、この第1の支持杆6aに直交方向に交差する第2の支持杆6bと第3の支持杆6cと、前記第1の支持杆6aと水平方向に併設する第4の支持杆6dとで構成されている。そして、この第1の支持杆6a、第2の支持杆6b、第3の支持杆6c、第4の支持杆6dは、平面視すると、方形状であり、この方形状の枠体内に前記送風機2が収容される大きさ・形状である。
【0050】
そして、第1の支持杆6aと第4の支持杆6dは、対の車輪7の車軸70を架設する。この車軸70と第1の支持杆6a〜第4の支持杆6dにより、送風機2・架台3等を支持する。また、第2の支持杆6b・第3の支持杆6cは、側面視すると、山形形状である。この第2の支持杆6b・第3の支持杆6cの下辺には、アウトリガー8を収納する収納杆60を設ける。そして、この収容杆60は、土壌グラウンドAと略水平方向(第2の支持杆6b・第3の支持杆6cと水平方向)に設けてあり、アウトリガー8を収納する場合は、この収納杆60に嵌挿する。この収納杆60を設けることにより、アウトリガー8の安定した収納と、このアウトリガー8のガタツキ・妄動を抑えることが考えられる。そして、この収納杆60は、支持杆6に設置せず、ベース板50に設けることも可能である。また、収納杆60を設置しない場合は、アウトリガー8をベルト、紐等の係止手段を使用して、確実に固着(係止)する。尚、この収納杆60の長さ・形状等は問わず、アウトリガー8が嵌挿できれば、適宜変更するものである。
【0051】
そして、第2の支持杆6b・第3の支持杆6cの形状は、一例であり、例えば各図において図示したように側面視山形形状として、頂部を利用して、移動時、緊急時等の持ち手及び/又は停止時のストッパーとして利用できる。
【0052】
前述した軸5は、フレーム51に回転自在に設けられるか、また、軸5をフレーム51に固止し、この軸5に主軸4を回転自在に設けられるかの構造で、この主軸4を起伏自在(立設、収納可能)に構成する。この例では、主軸4と第2の支持杆6b(基礎のベース)間に設けた油圧シリンダー42を介して、主軸4及び/又は送風機2の立設、収納を行う構造であり、例えば、油圧シリンダー42のピストンロッド(図示しない)を、伸張することで、立設し(使用時であって立てる)、また、その収縮をすることで、収容する(未使用時であって倒す)構造である。この油圧シリンダー42を採用することで、少量の力で、送風機2を簡単に立設又は収納できこと、力の弱い女性・老人等でも送風機2を使用すること、等の利点がある。
【0053】
(5)アウトリガーの説明に関して、
アウトリガー8は、支持杆6(第2の支持杆6bと、第3の支持杆6c)に設ける。このアウトリガー8は、第2の支持杆6b、第3の支持杆6c(基礎のベース)に備えつけられたものであり、その形状は、その一例を挙げると、アウトリガー8は、一端部に基端部8aを有する略L字形状にアーム80(ブーム)と、このアーム80に略90度曲折した曲折部81と、この曲折部81の他端部の接地部8cとで構成する。そして、例えば、使用状態(引出し時)では、この略L字形状にアーム80は、土壌グラウンドAと略水平方向となり、曲折部81が土壌グラウンドAと略垂直状態となる。また、収納状態(差込み時)では、この略L字形状にアーム80のアーム折曲部8bを略90度反転し(手動又は自動操作)、このアーム80を立設することで、このアーム折曲部8bが土壌グラウンドAと略垂直方向となり、かつアーム80のアーム基部8dは、収納杆60に差込み収容する。尚、この回転により、曲折部81は土壌グラウンドAと略水平状態となり、かつ第1の支持杆6a内(基礎のベースの幅内)に収まり、コンパクトになることから、例えば、移動及び/又は保管に有効である。
【0054】
この引出し時は、この移動式送風機1の転倒・妄動を抑えるためである。また、その他としてアウトリガー8のX方向への移動も考えられること、又は底辺長の長さの増加による方法もあり得る。また、前記アーム80は、この長さを長くすることで。その接地面積(底辺長)が広がりを持ち、安定を図れる。しかし、土壌グラウンドAの面積・アウトリガー8のアーム80の長さとアーム折曲部8bから接地部8cにかける長さを考慮しなければならない。前記収納杆60は、このアーム80を収納する長さであるが、収納杆60への差込み固止を確実に行うために、収納杆60に係止部材を設けることも可能である。
【0055】
さらに、この接地部8cは、その接地面積を拡大するために、プレート82を設けることも可能であり、より安定した接地を可能とする。このプレート82の形状は、傘形状、板形状等が挙げられ、土壌グラウンドAとの安定した接地を図る。尚、プレート82を使用しない場合の接地部8cは、その材質をゴム樹脂等とすることにより、その接地部8cの滑り、揺動・転倒等を防止する。
【0056】
また、アウトリガー8の安定状態を保持するため、図示しないストッパー部材(ロック機構)をアウトリガー8及び/又は収納杆60に設ける構成も考えられる。この構成によれば、アウトリガー8を引き出す(アウトリガー8を反転して土壌グラウンドAに設置することをいう)際、アウトリガー8を所定の位置でロックできる。例えば、移動式送風機1の転倒・妄動を防止し、安定して使用できる。その他、アウトリガー8を収納杆60に収納する際も所定の位置でロックすることによりアウトリガー8を安全に収納できる。
【0057】
さらに、図示しないが、アウトリガー8と併せて、傾斜のきつい斜面での使用を行う際、泥等で安定が図りにくい地面等の設置場所でも、車輪7に、アンカー・ストッパー部材(ロック機構)を付設し、移動式送風機1が移動することを抑えることで、確実に希望の場所へと停止する。
【0058】
(6)移動式送風機における流れの説明に関して、
この移動式送風機1における一連の流れについて、以下説明する。
【0059】
まず最初に、微細粒子による噴霧・細霧を行う土壌グラウンドA等に、操作・作業者が移動式送風機1を移動させる。
【0060】
移動式送風機1を移動して、収納杆60に収納されているアウトリガー8を引き出し、曲折部81を土壌グラウンドAに対して水平方向から垂直方向に反転させ、接地部8cを土壌グラウンドAに接地する。このように、アウトリガー8の接地部8cを土壌グラウンドAに接地することにより、移動式送風機1を安定して設置できる。さらに、アウトリガー8の接地部8cにプレート82を付設した場合は、プレート82が土壌グラウンドAと接地し、設置面積が増えるので、安定した設置が可能となる。
【0061】
次に、主軸4を立設し、この送風機2を立設するが、この立設は、主に油圧シリンダー42を使用して行う。油圧シリンダー42を使用して主軸4の立設を行う構成の場合、油圧シリンダー42のピストンロッドの前後動により、軸5が回転し、土壌グラウンドAに対して垂直方向に送風機2が立設する。なお、油圧シリンダー42で行う他、手動で行う構成も可能である。
【0062】
そして、筒体20、30に設けた俯角調整機構により、送風機2の俯角を決定し、生成された微細粒子の噴霧・細霧を行う。尚、移動式送風機1における使用後の流れは、前記作業の逆の手順で行うのが望ましい。
【0063】
尚、この場合のアウトリガー8の操作や、移動式送風機1の移動等の作業は、前述した制御盤10により操作することも可能であり、人が行きにくい場所、例えば、遠隔地・高所等における使用は非常に有益である。
【0064】
(7)その他の構成の説明に関して、
アウトリガー8を両端(対で)に設けることで、アウトリガー8の引き伸ばし時における設置面積も増すため、より安定した接地も可能である。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】図1は移動式送風機の立設状態を示した側面図
【図2】図2は移動式送風機の収納状態を示した側面図
【図3】図3は図2の平面図
【図4】図4は他の送風機の立設状態を示した側面図
【図5−1】図5−1はアウトリガーの一例を示した斜視図
【図5−2】図5−2はアウトリガーの他の一例を示した斜視図
【図6】図6は図1の使用例を示した参考図
【符号の説明】
【0066】
1 移動式送風機
2 送風機
2a ケーシング
2a1 一方端
2b1 他方端
2c 外枠
2d 下方
20 筒体
200 環体枠
200a 噴出口
200a1 噴出口
201 レバー
3 架台
3a 上方
3b 下方
30 筒体
30a 孔
31 筒体
4 主軸
42 油圧シリンダー
5 軸
50 ベース板
51 フレーム
6 支持杆
6a 第1の支持杆
6b 第2の支持杆
6c 第3の支持杆
6d 第4の支持杆
60 収納杆
7 車輪
70 車軸
8 アウトリガー
8a 基端部
8b アーム折曲部
8c 接地部
8d アーム基部
80 アーム
81 曲折部
82 プレート
10 制御盤
11 ポンプ
12 タンク
13 ホース
21 吸込口
22 吐出口
23 回転羽根
24 第1のモータ
25 回転軸
26 回転羽根
27 第2のモータ
28 ガード
29 回転軸
30 回転板
31 回収用の孔
A 土壌グラウンド
B 外気通路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持杆と、この支持杆に設けたベース板と、このベース板に立設したフレームと、このフレームに支持した軸と、この軸に軸支、又は、起伏自在に軸支した主軸と、この主軸に俯角調整機構を介して設けた送風機とでなる移動式送風機であって、
この送風機は、筒状のケーシングの噴射側に設けた微細粒子を噴霧する多数の噴出口を備えた環体枠と、この環体枠に繋がるホース及びポンプとで構成し、
また、前記支持杆には、車輪と、前記移動式送風機の設置及び/又は設置の安定を図るアウトリガーと、このアウトリガーが収納されるこの支持杆に付設した収納杆とで構成する移動式送風機。
【請求項2】
支持杆と、この支持杆に設けたベース板と、このベース板に立設したフレームと、このフレームに支持した軸と、この軸に軸支、又は、起伏自在に軸支した主軸と、この主軸に俯角調整機構を介して設けた送風機とでなる移動式送風機であって、
この送風機は、筒状のケーシング内部に、第1のモータと、この第1のモータの回転軸に設けた回転羽根と、この第1のモータに隣設して設けた第2のモータと、この第2のモータに設け、かつ前記ケーシングに間隔を於いて設けた椀形のガードと、このガードに内装した前記第2のモータの回転軸に設けた回転板と、この回転板に水を供給するホース及びポンプと、前記椀形のガードの底部に設けた水回収用の孔とで構成し、
また、前記支持杆には、車輪と、前記移動式送風機の設置及び/又は設置の安定を図るアウトリガーと、このアウトリガーが収納されるこの支持杆に付設した収納杆とで構成する移動式送風機。
【請求項3】
請求項1、又は請求項2に記載の移動式送風機であって、
前記送風機は、略90度の範囲で起伏し、この送風機を倒して、この送風機を、前記支持杆内に収納し、かつ第4の支持杆に近接可能に収納する構成とした移動式送風機。
【請求項4】
請求項1、又は請求項2に記載の移動式送風機であって、
前記送風機の立設又は収納を、主軸の起伏で行う構成であり、この起伏を第2の支持杆と、主軸との間に設けたシリンダーで行う構成とした移動式送風機。
【請求項5】
請求項1、又は請求項2に記載の移動式送風機であって、
前記移動式送風機は、ケーシング内部に、送風手段用の回転羽根と、この回転羽根を軸支する回転軸と、この回転軸を回転するモータと、噴射口を備えた環体枠、又はホースとで構成した移動式送風機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5−1】
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【図5−2】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−270311(P2009−270311A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−120665(P2008−120665)
【出願日】平成20年5月2日(2008.5.2)
【出願人】(391008294)フルタ電機株式会社 (176)
【Fターム(参考)】