説明

移動栽培装置

【課題】果菜等を栽培する複数の栽培ベンチ10を循環搬送する閉ループ状の移動栽培装置1において、各栽培ベンチ10の搬送用の構造を簡素化する。
【解決手段】搬送方向を互いに逆向きにする一対の搬送コンベヤ装置40A,40Bと、一方の搬送コンベヤ装置の搬送下流側と他方の搬送コンベヤ装置の搬送上流側とをつなぐ一対の案内装置20A,20Bと、各栽培ベンチ10を各案内装置20A,20B上で摺動させる摺動体13と、各搬送コンベヤ装置40A,40Bの搬送下流側から案内装置20A,20Bに向けて栽培ベンチ10を押し出し移動させる一対の押し出し装置21A,21Bとを備える。各押し出し装置21A,21Bによる栽培ベンチ10の押し出し移動に伴い、各案内装置20A,20B上にある複数の栽培ベンチ10を玉突き状に搬送する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、野菜や花卉を高密植状態で栽培できる移動栽培装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、複数の横長な栽培ベンチを用いて果菜等を栽培する技術はよく知られている。例えば特許文献1には、複数の栽培ベンチを循環搬送する閉ループ状の移動栽培装置が開示されている。
【0003】
特許文献1の移動栽培装置は、搬送方向を互いに逆向きにして平行状に並ぶ一対の搬送コンベヤ装置と、前記一方の搬送コンベヤ装置の搬送下流側と前記他方の搬送コンベヤ装置の搬送上流側とをつなぐ一対の案内装置と、前記栽培ベンチ群を前記各案内装置の長手方向(以下、縦方向という)に移動させる櫛状ロッドと、前記櫛状ロッドを前記縦方向に移動させる移動用アクチュエータと、前記櫛状ロッドを回転させる回転用アクチュエータとを備えている。前記各櫛状ロッドの縦方向搬送と、前記各搬送コンベヤ装置の横方向搬送とを連動させることによって、前記各栽培ベンチが閉ループ状に循環搬送される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−57448号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、前記特許文献1の移動栽培装置では、前記各櫛状ロッド用の駆動機構として、前記櫛状ロッドを前記縦方向に移動させる前記移動用アクチュエータと、前記櫛状ロッドを回転させる前記回転用アクチュエータとが必要になる。このため、駆動機構の構造が大掛かりになるし、部品点数等の関係でもコストが嵩むと解され、コスト抑制の観点から見て改善の余地があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願発明は、上記のような現状を検討して改善を図った移動栽培装置を提供することを技術的課題として成されたものである。
【0007】
請求項1の発明は、果菜等を栽培する複数の栽培ベンチを循環搬送する閉ループ状の移動栽培装置であって、搬送方向を互いに逆向きにして平行状に並ぶ一対の搬送コンベヤ装置と、前記一方の搬送コンベヤ装置の搬送下流側と前記他方の搬送コンベヤ装置の搬送上流側とをつなぐ一対の案内装置と、前記各栽培ベンチを前記各案内装置上で摺動させる摺動体と、前記各搬送コンベヤ装置の搬送下流側からこれに対峙する前記案内装置に向けて前記栽培ベンチを押し出し移動させる一対の押し出し装置とを備えており、前記各押し出し装置による前記栽培ベンチの押し出し移動に伴い、前記各案内装置上にある複数の前記栽培ベンチを玉突き状に搬送するというものである。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1に記載した移動栽培装置において、前記各押し出し装置は前記各搬送コンベヤ装置の搬送下流側に配置されているというものである。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載した移動栽培装置において、前記各栽培ベンチは前記各案内装置の長手方向に延びる当接体を有しており、前記当接体が隣の前記栽培ベンチに当接する状態で、隣り合う前記栽培ベンチの間に前記各案内装置の長手方向に沿って適宜間隔が開くように構成されているというものである。
【発明の効果】
【0010】
本願発明によると、果菜等を栽培する複数の栽培ベンチを循環搬送する閉ループ状の移動栽培装置であって、搬送方向を互いに逆向きにして平行状に並ぶ一対の搬送コンベヤ装置と、前記一方の搬送コンベヤ装置の搬送下流側と前記他方の搬送コンベヤ装置の搬送上流側とをつなぐ一対の案内装置と、前記各栽培ベンチを前記各案内装置上で摺動させる摺動体と、前記各搬送コンベヤ装置の搬送下流側からこれに対峙する前記案内装置に向けて前記栽培ベンチを押し出し移動させる一対の押し出し装置とを備えており、前記各押し出し装置による前記栽培ベンチの押し出し移動に伴い、前記各案内装置上にある複数の前記栽培ベンチを玉突き状に搬送するから、前記複数の栽培ベンチを前記各案内装置上で縦方向搬送するのに必要な駆動機構が前記押し出し装置だけで済み、極めて簡単な構造で確実に前記複数の栽培ベンチを循環搬送できる。前記特許文献1の移動栽培装置のように、前記案内装置毎に櫛状ロッド、移動用アクチュエータ及び回転用アクチュエータを設ける必要がなくなるから、大幅なコスト抑制が図れる。
【0011】
請求項2の発明によると、前記各押し出し装置は前記各搬送コンベヤ装置の搬送下流側に配置されているから、例えば電気や油圧といった駆動力を必要とする構造が前記各搬送コンベヤ装置側にまとまることになり、前記各案内装置側には電気配線や油圧配管等が不要になる。この点でもコスト抑制に貢献できる。
【0012】
請求項3の発明によると、前記各栽培ベンチは前記各案内装置の長手方向に延びる当接体を有しており、前記当接体が隣の前記栽培ベンチに当接する状態で、隣り合う前記栽培ベンチの間に前記各案内装置の長手方向に沿って適宜間隔が開くように構成されているから、前記各栽培ベンチで栽培される果菜等の花梗や果実を、隣り合う前記栽培ベンチの衝突によって傷付けるおそれがない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施形態における移動栽培装置の概略平面図である。
【図2】一対の搬送コンベヤ装置の平面図である。
【図3】短縮状態の押し出し装置を示す拡大平面図である。
【図4】伸長状態の押し出し装置を示す拡大平面図である。
【図5】栽培ベンチの斜視図である。
【図6】栽培ベンチの循環搬送態様を説明する平面図であり、押し出し装置による押し出し前の状態を示す図である。
【図7】栽培ベンチの循環搬送態様を説明する平面図であり、押し出し装置による押し出し途中の状態を示す図である。
【図8】栽培ベンチの循環搬送態様を説明する平面図であり、押し出し装置による押し出し終了の状態を示す図である。
【図9】栽培ベンチの循環搬送態様を説明する平面図であり、各搬送コンベヤ装置の横方向搬送途中の状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本願発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0015】
まず、図1〜図4を参照しながら、移動栽培装置1の概略構造について説明する。以下の説明において必要に応じて特定の方向や位置を示す用語(例えば「左右」「上下」等)を用いる場合は、図1において紙面に直交する方向を平面視とし、紙面上下方向を前後方向又は縦方向とし、紙面左右方向を左右方向又は横方向とする。これらの用語は説明の便宜のために用いたものであり、本願発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0016】
なお、実施形態では、縦方向及び横方向がいずれも水平面(地面)に対して平行(重力方向に対して垂直)であるが、本願発明はこれに限定されるものではなく、イチゴやホウレンソウといった果菜等の栽培に支障を来さない程度で、縦方向及び横方向が水平面に対して多少傾斜していても構わない。
【0017】
図1及び図2に示すように、実施形態の移動栽培装置1は、イチゴやホウレンソウといった果菜等を栽培する複数の栽培ベンチ10を循環搬送する閉ループ状のものである。この場合の移動栽培装置1は、搬送方向を互いに逆向きにして平行状に並ぶ一対の搬送コンベヤ装置40A,40Bと、一方の搬送コンベヤ装置40A(40B)の搬送下流側と他方の搬送コンベヤ装置40B(40A)の搬送上流側とをつなぐ一対の案内装置20A(20B)と、各栽培ベンチ10を各案内装置20A,20B上で摺動させる摺動体13と、各搬送コンベヤ装置40A,40Bの搬送下流側からこれに対峙する案内装置20A,20Bに向けて栽培ベンチ10を押し出し移動させる一対の押し出し装置21A,21Bとを備えている。
【0018】
まず始めに、図5を参照しながら、栽培ベンチ10の詳細構造について説明する。栽培ベンチ10は、上向き開口横長箱状の容器であるプランタ2と、プランタ2が収容される横長箱枠状のフレーム枠11とを備えている。プランタ2は栽培用の土を収容するものであり、その底面には余分な水及び薬液を外部に排出する排出穴(図示省略)が形成されている。プランタ2上面の前後縁部には、フレーム枠11を構成する左右横長のアッパーフレーム12に係合する係止片部2aが形成されていて、係止片部2aがアッパーフレーム12に引っ掛かり係合することによって、プランタ2が栽培ベンチ10に支持されている。
【0019】
フレーム枠11の下面側には、栽培ベンチ10を各案内装置20A,20B上で摺動させる摺動体としての車輪13が、二つ一組の計四組取り付けられている。計四組の車輪13は、各案内装置20A,20Bの案内レール35(詳細は後述する)の配置幅に合わせた適宜間隔で、栽培ベンチ10(フレーム枠11)の横方向に並べて配置されている。なお、摺動体は各案内装置20A,20B側に設けてもよい。また、摺動体は車輪13に限らず、コロ、スライダ又はローラといった別の構造であってもよい。フレーム枠11の上面側には、プランタ2下面の排出穴から排出された余分な水及び薬液を回収する受け樋14が取り付けられている。各栽培ベンチ10の受け樋14に集められた水及び薬液は、案内装置20A,20Bの長手方向(縦方向)に沿って延びる回収樋30A,30B(図1参照)にてまとめられて回収される。
【0020】
各栽培ベンチ10における一方のアッパーフレーム12には、各案内装置20A,20Bの長手方向に延びる当接体としての一対の規制アーム15が着脱可能に取り付けられている。実施形態の規制アーム15は両方とも、手前側搬送コンベヤ装置40Aに向けて突出する平面視L字状に形成されている。両規制アーム15が隣の栽培ベンチ10に当接した状態では、隣り合う栽培ベンチ10の間に各案内装置20A,20Bの長手方向(縦方向)に沿って適宜間隔(実施形態では500mm程度)が開くことになる。規制アーム15を着脱可能に構成すると、隣り合う栽培ベンチ10間の配置間隔を変更して、栽培ベンチ10を増設したり削減したりでき、果菜等の種類や品種によって栽培ベンチ10の増減を図れて便利である。当接体はアッパーフレーム12に固定した規制アーム15の構造に限定されるものではない。隣の栽培ベンチ10に当接した状態で、隣り合う栽培ベンチ10の間に各案内装置20A,20Bの長手方向(縦方向)に沿って適宜間隔を開け得るように、各栽培ベンチ10から突出した構造であればよい。
【0021】
フレーム枠11における両規制アーム15の間には、両規制アーム15と同じ向きに突出する複数の支持アーム16が設けられている。詳細は図示していないが、両規制アーム15の突出片部に形成された固定穴に線材を結び付け、当該線材の中途部を各支持アーム16上面に形成された案内溝に上方から引っ掛け、これらの上に例えばネットを被せ付ける。当該ネットの部分は、両規制アーム15、複数の支持アーム16及び線材にて下方から支持され、栽培中の果菜等においてプランタ2の外まで伸長した部分を保護することになる。
【0022】
なお、フレーム枠11の下部中央側には、栽培ベンチ10にて栽培される果菜等の各種情報を記憶する(読み書きする)ICタグ17が設けられている。当該ICタグ17の使用によって、果菜等のトレーサビリティを向上できる。
【0023】
次に、図1〜図4を参照しながら、搬送コンベヤ装置40A,40B及び案内装置20A,20Bの詳細構造について説明する。一対の搬送コンベヤ装置40A,40Bと一対の案内装置20A,20Bとは、複数の栽培ベンチ10を循環搬送するために閉ループ状に構成されている。
【0024】
一対の搬送コンベヤ装置40A,40Bは、前後方向(縦方向)に間隔を開けた状態で平行状に並べられていて、それぞれ栽培ベンチ10を互いに逆向きの搬送方向(横方向)に搬送するように構成されている。一対の案内装置20A,20Bは、左右方向(横方向)に間隔を開けた状態で平行状に並べられていて、それぞれ栽培ベンチ10を互いに逆向きの方向(縦方向)に案内するように構成されている。
【0025】
手前側搬送コンベヤ装置40Aの左半部は送り側案内装置20Aの手前側に位置し、手前側搬送コンベヤ装置40Aの右半部は戻り側案内装置20Bの手前側に位置している。奥側搬送コンベヤ装置40Bの左半部は送り側案内装置20Aの奥側に位置し、奥側搬送コンベヤ装置40Bの右半部は戻り側案内装置20Bの奥側に位置している。各搬送コンベヤ装置40A,40Bはいずれも、各案内装置20A,20Bとの間で栽培ベンチ10を授受可能に構成されている。各栽培ベンチ10は、手前側搬送コンベヤ装置40A→送り側案内装置20A→奥側搬送コンベヤ装置40B→戻り側案内装置20B→手前側搬送コンベヤ装置40Aの順に、図1の平面視時計回りに循環搬送される。なお、循環搬送方向は図1の平面視反時計回りにしてもよいことは言うまでもない。
【0026】
各搬送コンベヤ装置40A,40Bの基本的な構造は同じである。各搬送コンベヤ装置40A,40Bは、複数本の脚にて支持される左右横長の二本のコンベヤフレーム47を備えている。両コンベヤフレーム47の左右両端部の間に、左右一対のスプロケット42,43が回転可能に軸支されている。両コンベヤフレーム47の間には、駆動及び従動スプロケット42,43を介して2本の略平行なコンベヤチェン41が張設されている。コンベヤチェン41は駆動及び従動スプロケット42,43に掛け回されている。チェン及びスプロケット伝動系を介して、駆動スプロケット42の駆動軸に電動モータ45を連結させ、当該電動モータ45によって2本の略平行なコンベヤチェン41を同期させて同一方向に回動させるように構成されている。
【0027】
両コンベヤチェン41には、各案内装置20A,20Bから受け渡された栽培ベンチ10の車輪13を載せる載置板46が適宜間隔を開けて取り付けられている。栽培ベンチ10の各車輪13が対応する載置板46に載った状態で、電動モータ45にて一対のコンベヤチェン41を回転駆動させることにより、各搬送コンベヤ装置40A,40Bが栽培ベンチ10を横方向に搬送する。
【0028】
実施形態では、手前側搬送コンベヤ装置40Aの手前側スペース(特に戻り側案内装置20B寄りの手前側スペース)が、作業者の作業スペースとして設定される。作業者は、作業スペースにおいて種々の作業(例えば収穫作業、草取り作業、剪定作業及びプランタ2交換作業等)を行える。また、実施形態では、移動栽培装置1において作業スペースから最も離れた位置、すなわち、奥側搬送コンベヤ装置40B側に、灌水装置31及び防除装置32(薬液噴霧装置)が配置されている。灌水装置31は、奥側搬送コンベヤ装置40Bにて横方向搬送される栽培ベンチ10に向けて水を散布するものである。実施形態の灌水装置31は奥側搬送コンベヤ装置40Bの長手中途部に設けられている。防除装置32は、奥側搬送コンベヤ装置40Bにて横方向搬送される栽培ベンチ10に向けて防除剤や薬液を散布するものである。実施形態の防除装置32は灌水装置31と同様に、奥側搬送コンベヤ装置40Bの長手中途部に配置されている。従って、作業スペースに居る作業者に防除剤や薬液が付着するおそれを確実に防止できる点で優れている。
【0029】
一方、各案内装置20A,20Bの基本的な構造は同じである。各案内装置20A,20Bは、多数の支柱や横フレームによってその骨組を構成していて、栽培ベンチ10の車輪13が走行する複数本の案内レール35(実施形態では四本)を備えている。案内レール35群は、左右方向(横方向)に間隔を空けて並べられ、多数の支柱や横フレームからなる骨組にて支持されている。各案内レール35は前後方向(縦方向)に長い金属板を折り曲げ、縦方向から見て概ね上方に開口するV字形状に形成されている。このような断面V字状の案内レール35によって、車輪13を脱輪させることなく、複数の栽培ベンチ10を各搬送コンベヤ装置40A,40Bまで容易に案内できる。
【0030】
各搬送コンベヤ装置40A,40Bの搬送下流側には、当該箇所にある栽培ベンチ10をこれに対峙する案内装置20A,20Bに向けて縦方向に搬送する手段として、押し出し装置21A,21Bが設けられている。実施形態の各押し出し装置21A,21Bは、電磁ソレノイドやエアシリンダ等の直動アクチュエータであって多段に伸縮動するように構成されている。各押し出し装置21A,21Bを構成するピストンロッドの先端側には、栽培ベンチ10に当接する横長の当接バー22が連結されている。
【0031】
押し出し装置21A(21B)が多段伸長して、当接バー22が一方の搬送コンベヤ装置40A(40B)の搬送下流側にある栽培ベンチ10の手前側面(奥側面)に当接し、栽培ベンチ10を案内装置20A(20B)に向けて押し出すことによって、案内装置20A(20B)上にある複数の栽培ベンチ10が次々と玉突き状に追突して、案内装置20A(20B)の最下流側にある栽培ベンチ10が他方の搬送コンベヤ装置40B(40A)の搬送上流側に押し出されることになる(図6〜図9参照)。
【0032】
実施形態では、隣り合う栽培ベンチ10が玉突き状に搬送される際、送り側案内装置20A上では、搬送上流側の栽培ベンチ10の奥側面が搬送下流側の栽培ベンチ10の両規制アーム15に当接する。戻り側案内装置20B上では、搬送上流側の栽培ベンチ10の両規制アーム15が搬送下流側の栽培ベンチ10の奥側面に当接する。なお、各搬送コンベヤ装置40A,40Bの搬送上流側には、各案内装置20A,20Bの最下流側から各搬送コンベヤ装置40A,40Bに受け渡される栽培ベンチ10の縦方向搬送を規制するストッパー23が固定されている。
【0033】
上記の説明並びに図6〜図9から明らかなように、実施形態の移動栽培装置1によると、搬送方向を互いに逆向きにして平行状に並ぶ一対の搬送コンベヤ装置40A,40Bと、前記一方の搬送コンベヤ装置40A(40B)の搬送下流側と前記他方の搬送コンベヤ装置40B(40A)の搬送上流側とをつなぐ一対の案内装置20A,20Bと、前記各栽培ベンチ10を前記各案内装置20A,20B上で摺動させる摺動体13と、前記各搬送コンベヤ装置40A,40Bの搬送下流側からこれに対峙する前記案内装置20A,20Bに向けて前記栽培ベンチ10を押し出し移動させる一対の押し出し装置21A,21Bとを備えており、前記各押し出し装置21A,21Bによる前記栽培ベンチ10の押し出し移動に伴い、前記各案内装置20A,20B上にある複数の前記栽培ベンチ10を玉突き状に搬送するから、前記複数の栽培ベンチ10を前記各案内装置20A,20B上で縦方向搬送するのに必要な駆動機構が前記押し出し装置21A,21Bだけで済み、極めて簡単な構造で確実に前記複数の栽培ベンチ10を循環搬送できる。前記特許文献1の移動栽培装置のように、前記案内装置20A,20B毎に櫛状ロッド、移動用アクチュエータ及び回転用アクチュエータを設ける必要がなくなるから、大幅なコスト抑制が図れる。
【0034】
また実施形態によると、前記各押し出し装置21A,21Bは前記各搬送コンベヤ装置40A,40Bの搬送下流側に配置されているから、例えば電気や油圧といった駆動力を必要とする構造が前記各搬送コンベヤ装置40A,40B側にまとまることになり、前記各案内装置20A,20B側には電気配線や油圧配管等が不要になる。この点でもコスト抑制に貢献できる。
【0035】
更に実施形態によると、前記各栽培ベンチ10は前記各案内装置20A,20Bの長手方向に延びる当接体15を有しており、前記当接体15が隣の前記栽培ベンチ10に当接する状態で、隣り合う前記栽培ベンチ10の間に前記各案内装置20A,20Bの長手方向に沿って適宜間隔が開くように構成されているから、前記各栽培ベンチ10で栽培される果菜等の花梗や果実を、隣り合う前記栽培ベンチ10の衝突によって傷付けるおそれがないのである。
【0036】
本願発明は、前述の実施形態に限らず、様々な態様に具体化できる。その他各部の構成は図示の実施形態に限定されるものではなく、本願発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能である。なお、本明細書中で用いた「果菜等」の文言は、イチゴ等の果菜類やホウレンソウ等の葉菜類などを広く含めた概念として使用している。
【符号の説明】
【0037】
1 移動栽培装置
2 プランタ
10 栽培ベンチ
11 フレーム枠
13 車輪(摺動体)
15 規制アーム(当接体)
20A,20B 案内装置
21A,21B 押し出し装置
22 当接バー
40A,40B 搬送コンベヤ装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
果菜等を栽培する複数の栽培ベンチを循環搬送する閉ループ状の移動栽培装置であって、
搬送方向を互いに逆向きにして平行状に並ぶ一対の搬送コンベヤ装置と、前記一方の搬送コンベヤ装置の搬送下流側と前記他方の搬送コンベヤ装置の搬送上流側とをつなぐ一対の案内装置と、前記各栽培ベンチを前記各案内装置上で摺動させる摺動体と、前記各搬送コンベヤ装置の搬送下流側からこれに対峙する前記案内装置に向けて前記栽培ベンチを押し出し移動させる一対の押し出し装置とを備えており、
前記各押し出し装置による前記栽培ベンチの押し出し移動に伴い、前記各案内装置上にある複数の前記栽培ベンチを玉突き状に搬送する、
移動栽培装置。
【請求項2】
前記各押し出し装置は前記各搬送コンベヤ装置の搬送下流側に配置されている、
請求項1に記載した移動栽培装置。
【請求項3】
前記各栽培ベンチは前記各案内装置の長手方向に延びる当接体を有しており、
前記当接体が隣の前記栽培ベンチに当接する状態で、隣り合う前記栽培ベンチの間に前記各案内装置の長手方向に沿って適宜間隔が開くように構成されている、
請求項1又は2に記載した移動栽培装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−90614(P2013−90614A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−236322(P2011−236322)
【出願日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】