移動案内システム、移動案内装置、移動案内方法及びコンピュータプログラム
【課題】ユーザに案内分岐点を正確に特定させることを可能にした移動案内システム、移動案内装置、移動案内方法及びコンピュータプログラムを提供する。
【解決手段】案内を開始する案内開始地点から案内を終了する必要のある案内終了地点までの距離が、案内を行う場合における発話中の移動体の走行距離よりも大きいか否かに基づいて、複数種類の案内内容候補の内から、車両の進行方向前方にある案内分岐点を案内するのに適当な案内内容を選択し、選択された案内内容候補を該案内分岐点を案内する案内内容として設定し、設定された案内内容に対応づけられた案内開始地点に車両が到達した時点で、設定された案内内容により案内分岐点の案内を行うように構成する。
【解決手段】案内を開始する案内開始地点から案内を終了する必要のある案内終了地点までの距離が、案内を行う場合における発話中の移動体の走行距離よりも大きいか否かに基づいて、複数種類の案内内容候補の内から、車両の進行方向前方にある案内分岐点を案内するのに適当な案内内容を選択し、選択された案内内容候補を該案内分岐点を案内する案内内容として設定し、設定された案内内容に対応づけられた案内開始地点に車両が到達した時点で、設定された案内内容により案内分岐点の案内を行うように構成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、案内経路に基づいて移動体の移動を案内する移動案内システム、移動案内装置、移動案内方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【０００２】
近年、車両の走行案内を行い、運転者が所望の目的地に容易に到着できるようにしたナビゲーション装置が車両に搭載されていることが多い。ここで、ナビゲーション装置とは、ＧＰＳ受信機などにより自車の現在位置を検出し、その現在位置に対応する地図データをＤＶＤ−ＲＯＭやＨＤＤなどの記録媒体またはネットワークを通じて取得して液晶モニタに表示することが可能な装置である。更に、かかるナビゲーション装置には、所望する目的地を入力すると、出発地から目的地までの最適経路を探索する経路探索機能を備えている。そして、探索結果に基づいて設定された案内経路をディスプレイ画面に表示するとともに、右左折等の案内の対象となる分岐点（以下、案内分岐点という）に接近した場合には音声やディスプレイ画面を用いた案内を行うことによって、ユーザを所望の目的地まで確実に案内するようになっている。また、近年は携帯電話機、ＰＤＡ（Personal Digital Assistant）、パーソナルコンピュータ等においても上記ナビゲーション装置と同様の機能を有するものがある。更に、車両以外にも歩行者や二輪車を対象として上記案内を行うことも可能である。
【０００３】
ここで、案内分岐点において右左折等の案内を行う場合には、案内分岐点をユーザに正確に特定させる必要がある。その為には、案内内容に従って案内を開始するタイミング及び案内を終了するタミングをそれぞれ適切なタイミングに設定することが重要である。例えば、信号機を用いた「２つ目の信号を左方向です。」との案内を行う場合には、案内分岐点に対して２つ手前側にある信号機付きの分岐点の信号機がユーザの視界から消えた後に案内を開始し、案内分岐点に対して１つ手前側にある信号機付きの分岐点の信号機がユーザの視界に残っている状態で案内を終了することが望ましい。そこで、例えば特開２００２−１５６２４２号公報には、信号機の数を用いた音声案内で案内分岐点の案内を行う場合において、案内分岐点に対して１つ手前側にある信号機付きの分岐点の信号機を通過する前に音声案内の出力が終わる場合には、信号機の数を用いた音声案内を行い、案内分岐点に対して１つ手前側にある信号機付きの分岐点の信号機を通過する前に音声案内の出力が終わらない場合には、音声案内を行わないように構成する技術について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００４】
【特許文献１】特開２００２−１５６２４２号公報（第４頁〜第６頁、図３）
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
ここで、上記特許文献１に記載の技術では、信号機の設置間隔や分岐点の間隔が短い都心部等では、音声案内がほとんど行われない結果となっていた。しかしながら、案内を行うことによって案内分岐点を正確に特定させることは、信号機の設置間隔や分岐点の間隔の広い郊外よりも、信号機の設置間隔や分岐点の間隔が短く、案内分岐点を間違え易い都心部等においてより重要な事項となる。従って、上記特許文献１に記載の技術では、案内分岐点をユーザに正確に特定させることができず、右左折操作のタイミングが遅れたり、案内経路を外れて走行する事態が生じていた。
【０００６】
本発明は前記従来における問題点を解消するためになされたものであり、信号機の設置間隔や分岐点の間隔が短い都心部等においても、ユーザに案内分岐点を正確に特定させることを可能にした移動案内システム、移動案内装置、移動案内方法及びコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００７】
前記目的を達成するため本願の請求項１に係る移動案内システム（１）は、移動体の移動を案内する案内経路と該案内経路上の案内分岐点を設定する案内経路設定手段（１３）と、前記案内分岐点よりも前記案内経路の出発地側に存在する第１分岐点（６４）の位置、及び該第１分岐点よりも前記出発地側に存在する第２分岐点（６２）の位置をそれぞれ取得する分岐点取得手段（１３）と、前記案内分岐点における案内を、複数の案内候補の内から選択された所定の案内に設定する案内設定手段（１３）と、前記案内設定手段によって設定された前記所定の案内を用いて、前記案内分岐点の案内を行う分岐点案内手段（１３）と、を有し、前記案内設定手段は、前記複数の案内候補毎に、前記第１分岐点と前記第２分岐点間にあって前記第１分岐点又は前記第２分岐点に基づく位置に規定され、案内の発話を開始する案内開始地点と、前記第１分岐点又は前記案内分岐点に基づく位置に規定され、案内の発話を終了する必要のある地点である案内終了地点と、をそれぞれ設定するとともに、前記案内開始地点から前記案内終了地点までの距離が、該案内候補で案内を行う場合における発話中の前記移動体の移動距離である発話中移動距離よりも大きいか否か判定し、前記案内候補毎の判定結果に基づいて、前記複数の案内候補の内から前記所定の案内を選択することを特徴とする。
尚、「移動体」としては、車両以外に、歩行者や二輪車も含む。
また、「案内分岐点」とは、案内経路に従って移動体の移動の案内を行う際に、右左折指示等の案内を行う対象となる分岐点が該当する。
また、「第１分岐点の位置」は、第１分岐点自体の位置であっても良いし、第１分岐点の周囲にある地物（例えば、信号機や停止線）の位置でも良い。
また、「第２分岐点の位置」は、第２分岐点自体の位置であっても良いし、第２分岐点の周囲にある地物（例えば、信号機や停止線）の位置でも良い。
【０００８】
また、請求項２に係る移動案内システム（１）は、請求項１に記載の移動案内システムであって、前記案内設定手段（１３）は、前記案内開始地点から前記案内終了地点までの距離が、前記各案内候補で案内を行う場合における発話中の前記移動体の移動距離よりも大きいと判定された前記案内候補を、前記所定の案内に選択することを特徴とする。
【０００９】
また、請求項３に係る移動案内システム（１）は、請求項２に記載の移動案内システムであって、前記案内設定手段（１３）は、前記案内開始地点から前記案内終了地点までの距離が、前記各案内候補で案内を行う場合における発話中の前記移動体の移動距離よりも大きいと判定された前記案内候補が複数ある場合には、前記案内開始地点が前記出発地側にある前記案内候補を、優先的に前記所定の案内に選択することを特徴とする。
【００１０】
また、請求項４に係る移動案内システム（１）は、請求項１乃至請求項３のいずれかに記載の移動案内システムであって、前記複数の案内候補は、前記第１分岐点を用いて前記案内分岐点を案内する案内候補であって、当該第１分岐点を示すフレーズが互いに異なる複数の案内候補を含むことを特徴とする。
尚、「第１分岐点を用いた案内」は、第１分岐点自体を用いた案内でも良いし、第１分岐点の周囲にある地物（例えば、信号機や停止線）を用いた案内でも良い。
また、「第１分岐点を示すフレーズ」は、第１分岐点自体を示すフレーズでも良いし、第１分岐点の周囲にある地物（例えば、信号機や停止線）を示すフレーズでも良い。
【００１１】
また、請求項５に係る移動案内システム（１）は、請求項１乃至請求項４のいずれかに記載の移動案内システムであって、前記案内設定手段（１３）は、前記複数の案内候補毎に、前記第１分岐点又は前記第２分岐点から所定の距離だけ離れた地点を前記案内開始地点として設定することを特徴とする。
尚、「第１分岐点又は第２分岐点から所定の距離だけ離れた地点」は、第１分岐点又は第２分岐点自体から所定の距離だけ離れた地点でも良いし、第１分岐点又は第２分岐点の周囲にある地物（例えば、信号機や停止線）から所定の距離だけ離れた地点でも良い。
【００１２】
また、請求項６に係る移動案内システム（１）は、請求項１乃至請求項５のいずれかに記載の移動案内システムであって、前記案内設定手段（１３）は、前記複数の案内候補の内、少なくとも一の案内候補については、前記第１分岐点よりも前記案内分岐点側に前記案内終了地点を設定し、前記複数の案内候補の内、前記一の案内候補と異なる他の案内候補については、前記第１分岐点よりも前記出発地側に前記案内終了地点を設定することを特徴とする。
尚、「第１分岐点よりも〜側」は、第１分岐点自体を基準としても良いし、第１分岐点の周囲にある地物（例えば、信号機や停止線）を基準としても良い。
【００１３】
また、請求項７に係る移動案内システム（１）は、請求項１乃至請求項６のいずれかに記載の移動案内システムであって、前記案内設定手段（１３）は、前記複数の案内候補のうちの特定の案内候補については、前記案内開始地点と前記案内終了地点との間に案内継続必要地点をさらに設定し、前記案内開始地点から前記案内終了地点までの距離が前記発話中移動距離よりも大きく、且つ前記案内開始地点から前記案内継続必要地点までの距離が前記発話中移動距離よりも小さいか否かを判定し、前記案内開始地点から前記案内終了地点までの距離が前記発話中移動距離よりも大きく、且つ前記案内開始地点から前記案内継続必要地点までの距離が前記発話中移動距離よりも小さいと判定された場合に、前記特定の案内候補を、前記所定の案内に選択することを特徴とする。
【００１４】
また、請求項８に係る移動案内システム（１）は、請求項１乃至請求項７のいずれかに記載の移動案内システムであって、前記案内経路の周囲に配置される信号機（５２〜５９）の位置情報を取得する信号機情報取得手段（１３）を有し、前記第１分岐点の位置を、前記第１分岐点の周辺に設置された前記信号機によって規定し、前記第２分岐点の位置を、前記第２分岐点の周辺に設置された前記信号機によって規定し、前記案内分岐点の位置を、前記案内分岐点の周辺に設置された前記信号機によって規定することを特徴とする。
【００１５】
また、請求項９に係る移動案内システム（１）は、請求項８に記載の移動案内システムであって、前記複数の案内候補は、前記信号機（５２〜５９）を用いて前記第１分岐点、前記第２分岐点又は前記案内分岐点を特定させる案内であることを特徴とする。
【００１６】
また、請求項１０に係る移動案内装置（１）は、移動体の移動を案内する案内経路と該案内経路上の案内分岐点（６１）を設定する案内経路設定手段（１３）と、前記案内分岐点よりも前記案内経路の出発地側に存在する第１分岐点（６４）の位置、及び該第１分岐点よりも前記出発地側に存在する第２分岐点（６２）の位置をそれぞれ取得する分岐点取得手段（１３）と、前記案内分岐点における案内を、複数の案内候補の内から選択された所定の案内に設定する案内設定手段（１３）と、前記案内設定手段によって設定された前記所定の案内を用いて、前記案内分岐点の案内を行う分岐点案内手段（１３）と、を有し、前記案内設定手段は、前記複数の案内候補毎に、前記第１分岐点と前記第２分岐点間にあって前記第１分岐点又は前記第２分岐点に基づく位置に規定され、案内の発話を開始する案内開始地点と、前記第１分岐点又は前記案内分岐点に基づく位置に規定され、案内の発話を終了する必要のある地点である案内終了地点と、をそれぞれ設定するとともに、前記案内開始地点から前記案内終了地点までの距離が、該案内候補で案内を行う場合における発話中の前記移動体の移動距離である発話中移動距離よりも大きいか否か判定し、前記案内候補毎の判定結果に基づいて、前記複数の案内候補の内から前記所定の案内を選択することを特徴とする。
【００１７】
また、請求項１１に係る移動案内方法は、移動体の移動を案内する案内経路と該案内経路上の案内分岐点（６１）を設定する案内経路設定ステップと、前記案内分岐点よりも前記案内経路の出発地側に存在する第１分岐点（６４）の位置、及び該第１分岐点よりも前記出発地側に存在する第２分岐点（６２）の位置をそれぞれ取得する分岐点取得ステップと、前記案内分岐点における案内を、複数の案内候補の内から選択された所定の案内に設定する案内設定ステップと、前記案内設定ステップによって設定された前記所定の案内を用いて、前記案内分岐点の案内を行う分岐点案内ステップと、を有し、前記案内設定ステップは、前記複数の案内候補毎に、前記第１分岐点と前記第２分岐点間にあって前記第１分岐点又は前記第２分岐点に基づく位置に規定され、案内の発話を開始する案内開始地点と、前記第１分岐点又は前記案内分岐点に基づく位置に規定され、案内の発話を終了する必要のある地点である案内終了地点と、をそれぞれ設定するとともに、前記案内開始地点から前記案内終了地点までの距離が、該案内候補で案内を行う場合における発話中の前記移動体の移動距離である発話中移動距離よりも大きいか否か判定し、前記案内候補毎の判定結果に基づいて、前記複数の案内候補の内から前記所定の案内を選択することを特徴とする。
【００１８】
更に、請求項１２に係るコンピュータプログラムは、、コンピュータに搭載され、移動体の移動を案内する案内経路と該案内経路上の案内分岐点（６１）を設定する案内経路設定機能と、前記案内分岐点よりも前記案内経路の出発地側に存在する第１分岐点（６４）の位置、及び該第１分岐点よりも前記出発地側に存在する第２分岐点（６２）の位置をそれぞれ取得する分岐点取得機能と、前記案内分岐点における案内を、複数の案内候補の内から選択された所定の案内に設定する案内設定機能と、前記案内設定機能によって設定された前記所定の案内を用いて、前記案内分岐点の案内を行う分岐点案内機能と、をプロセッサに実行させるコンピュータプログラムであって、前記案内設定機能は、前記複数の案内候補毎に、前記第１分岐点と前記第２分岐点間にあって前記第１分岐点又は前記第２分岐点に基づく位置に規定され、案内の発話を開始する案内開始地点と、前記第１分岐点又は前記案内分岐点に基づく位置に規定され、案内の発話を終了する必要のある地点である案内終了地点と、をそれぞれ設定するとともに、前記案内開始地点から前記案内終了地点までの距離が、該案内候補で案内を行う場合における発話中の前記移動体の移動距離である発話中移動距離よりも大きいか否か判定し、前記案内候補毎の判定結果に基づいて、前記複数の案内候補の内から前記所定の案内を選択することを特徴とする。
【発明の効果】
【００１９】
前記構成を有する請求項１に記載の移動案内システムによれば、複数の案内候補の内から、分岐点の位置に基づく案内の発話を開始するタイミングと案内の発話を終了する必要のあるタイミングとを考慮して、案内分岐点を案内するのに適当な案内を設定して案内することが可能となる。従って、特定の案内候補が案内分岐点を案内するのに不適当であったとしても、他の適当な案内候補を用いて案内することが可能であり、従来のような案内が行われない事態が発生することを防止できる。そして、例えば信号機の設置間隔や分岐点の間隔が短い都心部等においても、ユーザに案内分岐点を正確に特定させることが可能となる。また、案内分岐点までの距離を用いて案内する場合と比較して、ユーザに案内分岐点をより正確に特定させることが可能となる。
【００２０】
また、請求項２に記載の移動案内システムによれば、対応付けられた案内開始地点で案内の発話が開始された場合に、同じく対応づけられた案内終了地点に到達するまでに発話が終了する案内候補を、案内分岐点の案内に設定するので、案内内容と実際のユーザの視界に矛盾の生じない案内を行うことが可能となる。従って、ユーザに案内分岐点を正確に特定させることが可能となる。
【００２１】
また、請求項３に記載の移動案内システムによれば、対応付けられた案内開始地点で案内の発話が開始された場合に、同じく対応づけられた案内終了地点に到達するまでに発話が終了する案内候補が複数ある場合には、案内の開始されるタイミングの早い案内候補を優先的に案内分岐点の案内に設定するので、少しでも早い段階でユーザに対して案内分岐点の案内を行うことが可能となる。それによって、ユーザに適切な走行を行わせることが可能となる。
【００２２】
また、請求項４に記載の移動案内システムによれば、同一の第１分岐点を用いた案内であっても、第１分岐点を示すフレーズを変更することによって、道路形状や移動体の状況に対応した様々な案内を実現することが可能となる。
【００２３】
また、請求項５に記載の移動案内システムによれば、複数の案内候補毎に、第１分岐点又は第２分岐点から所定の距離だけ離れた地点を案内開始地点として設定するので、第１分岐点や第２分岐点との相対位置に基づいて決定された適切なタイミングで案内の発話を開始することが可能となる。
【００２４】
また、請求項６に記載の移動案内システムによれば、複数の案内候補の内、少なくとも一の案内候補については、第１分岐点よりも案内分岐点側に案内終了地点を設定し、他の案内候補については、第１分岐点よりも出発地側に案内終了地点を設定するので、第１分岐点や案内分岐点との相対位置に基づいて決定された適切なタイミングで案内の発話を終了させることが可能となる。
【００２５】
また、請求項７に記載の移動案内システムによれば、特定の案内候補については、案内開始地点と案内終了地点との間に案内継続必要地点をさらに設定し、案内開始地点から案内終了地点までの距離が発話中移動距離よりも大きく、且つ案内開始地点から案内継続必要地点までの距離が発話中移動距離よりも小さいと判定された場合に、特定の案内候補を案内分岐点の案内に設定するので、発話中の移動体の通過地点についても考慮して、案内分岐点を案内するのに適当な案内を設定して案内することが可能となる。従って、案内内容と実際のユーザの視界に矛盾の生じない案内を行うことが可能となる。
【００２６】
また、請求項８に記載の移動案内システムによれば、案内開始地点、案内終了地点及び案内継続必要地点の各位置を正確に特定することができ、また、案内経路の周辺に設置された信号機の位置関係に基づいて、複数種類の案内候補の内から案内分岐点を案内するのに適当な案内を設定することが可能となる。
【００２７】
また、請求項９に記載の移動案内システムによれば、信号機を用いた明確な案内により案内分岐点の案内を行うことが可能となる。また、ユーザが案内文の指定する信号機を他の信号機と誤解する虞を防止し、ユーザに案内分岐点を正確に特定させることが可能となる。
【００２８】
また、請求項１０に記載の移動案内装置によれば、複数の案内候補の内から、分岐点の位置に基づく案内の発話を開始するタイミングと案内の発話を終了する必要のあるタイミングとを考慮して、案内分岐点を案内するのに適当な案内を設定して案内することが可能となる。従って、特定の案内候補が案内分岐点を案内するのに不適当であったとしても、他の適当な案内候補を用いて案内することが可能であり、従来のような案内が行われない事態が発生することを防止できる。そして、例えば信号機の設置間隔や分岐点の間隔が短い都心部等においても、ユーザに案内分岐点を正確に特定させることが可能となる。また、案内分岐点までの距離を用いて案内する場合と比較して、ユーザに案内分岐点をより正確に特定させることが可能となる。
【００２９】
また、請求項１１に記載の移動案内方法によれば、複数の案内候補の内から、分岐点の位置に基づく案内の発話を開始するタイミングと案内の発話を終了する必要のあるタイミングとを考慮して、案内分岐点を案内するのに適当な案内を設定して案内することが可能となる。従って、特定の案内候補が案内分岐点を案内するのに不適当であったとしても、他の適当な案内候補を用いて案内することが可能であり、従来のような案内が行われない事態が発生することを防止できる。そして、例えば信号機の設置間隔や分岐点の間隔が短い都心部等においても、ユーザに案内分岐点を正確に特定させることが可能となる。また、案内分岐点までの距離を用いて案内する場合と比較して、ユーザに案内分岐点をより正確に特定させることが可能となる。
【００３０】
更に、請求項１２に記載のコンピュータプログラムによれば、複数の案内候補の内から、分岐点の位置に基づく案内の発話を開始するタイミングと案内の発話を終了する必要のあるタイミングとを考慮して、案内分岐点を案内するのに適当な案内を設定して案内させることが可能となる。従って、特定の案内候補が案内分岐点を案内するのに不適当であったとしても、他の適当な案内候補を用いて案内させることが可能であり、従来のような案内が行われない事態が発生することを防止できる。そして、例えば信号機の設置間隔や分岐点の間隔が短い都心部等においても、ユーザに案内分岐点を正確に特定させることが可能となる。また、案内分岐点までの距離を用いて案内する場合と比較して、ユーザに案内分岐点をより正確に特定させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【００３１】
【図１】本実施形態に係るナビゲーション装置を示したブロック図である。
【図２】分岐点に配置される信号機の一例を示した図である。
【図３】案内内容候補条件テーブルの一例を示した図である。
【図４】案内内容候補条件テーブルで規定された案内開始地点や案内終了地点や案内継続必要地点を説明した図である。
【図５】本実施形態に係る分岐点案内処理プログラムのフローチャートである。
【図６】本実施形態に係る案内内容設定処理のサブ処理プログラムのフローチャートである。
【図７】本実施形態に係る第１案内内容判定処理のサブ処理プログラムのフローチャートである。
【図８】第１案内内容判定処理のサブ処理プログラムの判定方法を説明した図である。
【図９】本実施形態に係る第２案内内容判定処理のサブ処理プログラムのフローチャートである。
【図１０】第２案内内容判定処理のサブ処理プログラムの判定方法を説明した図である。
【図１１】本実施形態に係る第３案内内容判定処理のサブ処理プログラムのフローチャートである。
【図１２】第３案内内容判定処理のサブ処理プログラムの判定方法を説明した図である。
【発明を実施するための形態】
【００３２】
以下、本発明に係る移動案内システム及び移動案内装置をナビゲーション装置に具体化した一実施形態に基づき図面を参照しつつ詳細に説明する。先ず、本実施形態に係るナビゲーション装置１の概略構成について図１を用いて説明する。図１は本実施形態に係るナビゲーション装置１を示したブロック図である。
【００３３】
図１に示すように本実施形態に係るナビゲーション装置１は、ナビゲーション装置１が搭載された車両の現在位置を検出する現在位置検出部１１と、各種のデータが記録されたデータ記録部１２と、入力された情報に基づいて、各種の演算処理を行うナビゲーションＥＣＵ１３と、ユーザからの操作を受け付ける操作部１４と、ユーザに対して車両周辺の地図や施設の関する施設情報を表示する液晶ディスプレイ１５と、経路案内に関する音声ガイダンスを出力するスピーカ１６と、記憶媒体であるＤＶＤを読み取るＤＶＤドライブ１７と、プローブセンタやＶＩＣＳ（登録商標：Vehicle Information and Communication System）センタ等の情報センタとの間で通信を行う通信モジュール１８と、から構成されている。
【００３４】
以下に、ナビゲーション装置１を構成する各構成要素について順に説明する。
現在位置検出部１１は、ＧＰＳ２１、車速センサ２２、ステアリングセンサ２３、ジャイロセンサ２４等からなり、現在の車両の位置、方位、車両の走行速度、現在時刻等を検出することが可能となっている。ここで、特に車速センサ２２は、車両の移動距離や車速を検出する為のセンサであり、車両の駆動輪の回転に応じてパルスを発生させ、パルス信号をナビゲーションＥＣＵ１３に出力する。そして、ナビゲーションＥＣＵ１３は発生するパルスを計数することにより駆動輪の回転速度や移動距離を算出する。尚、上記５種類のセンサをナビゲーション装置１が全て備える必要はなく、これらの内の１又は複数種類のセンサのみをナビゲーション装置１が備える構成としても良い。
【００３５】
また、データ記録部１２は、外部記憶装置及び記録媒体としてのハードディスク（図示せず）と、ハードディスクに記録された地図情報ＤＢ３１や案内内容候補条件テーブル３２や所定のプログラム等を読み出すとともにハードディスクに所定のデータを書き込む為のドライバである記録ヘッド（図示せず）とを備えている。尚、データ記録部１２をハードディスクの代わりにメモリーカードやＣＤやＤＶＤ等の光ディスクにより構成しても良い。
【００３６】
ここで、地図情報ＤＢ３１は、例えば、道路（リンク）に関するリンクデータ３３、ノード点に関するノードデータ３４、各分岐点に関する分岐点データ３５、施設等の地点に関する地点データ、地図を表示するための地図表示データ、経路を探索するための探索データ、地点を検索するための検索データ等が記憶された記憶手段である。
【００３７】
ここで、リンクデータ３３としては、例えば、該リンクを識別するリンクＩＤ、該リンクの端部に位置するノードを特定する端部ノード情報、該リンクを構成する道路の道路種別、車線数等が記憶される。また、ノードデータ３４としては、該ノードを識別するノードＩＤ、該ノードの位置座標、該ノードがリンクを介して接続される接続先ノードを特定する接続先ノード情報等が記憶される。また、分岐点データ３５としては、該分岐点（交差点）を形成するノードを特定する該当ノード情報、該分岐点に接続されるリンク（以下、接続リンクという）を特定する接続リンク情報、分岐点の周辺に設置された信号機に関する信号機情報３６等が記憶される。
【００３８】
また、信号機情報３６としては、全国の各分岐点（交差点）の周辺に設置された信号機について、信号機の設置された方向（即ち、信号機のライトが向いている方向であり、以下、設置方向という）や信号機の設置された位置座標（以下、設置座標という）が記憶される。更に、一の分岐点に対して複数の信号機が設置されている場合には、複数の信号機毎に上記設置方向や設置座標が記憶される。例えば、図２に示すように片側２車線の道路が交差する分岐点５１では、８個の信号機５２〜５９が設置されている。従って、分岐点５１の信号機情報３６としては、信号機５２〜５９の設置方向と設置座標が記憶される。
【００３９】
尚、信号機情報３６としては、分岐点からの退出方向毎に、最も退出側にある信号機（即ち車両が最後に視認できる信号機であり、以下、退出側信号機という）に関する情報のみを記憶する構成としても良い。例えば、図２に示す分岐点５１では、図の下から上への退出方向に対して退出側信号機である信号機５３に関する情報を記憶し、図の上から下への退出方向に対して退出側信号機である信号機５５に関する情報を記憶し、図の左から右への退出方向に対して退出側信号機である信号機５７に関する情報を記憶し、図の右から左への退出方向に対して退出側信号機である信号機５９に関する情報を記憶する。即ち、８個の信号機５２〜５９の内、信号機５３、５５、５７、５９の設置方向と設置座標のみを記憶する構成としても良い。また、分岐点からの進入方向毎に、最も進入側（即ち出発地側）にある信号機（即ち車両が最初に視認できる信号機であり、以下、進入側信号機という）に関する情報のみを記憶する構成としても良い。更に、信号機の代わりに停止線に関する情報を記憶する構成としても良い。
そして、ナビゲーションＥＣＵ１３は、後述のように地図情報ＤＢ３１に記憶された各データに基づいて、車両の進行方向前方にある案内分岐点を特定するとともに、該案内分岐点の周辺にある信号機の信号機情報３６を取得する。そして、取得した信号機情報３６に基づいて、車両の進行方向前方にある案内分岐点の案内内容を複数の候補の内から設定する。尚、案内分岐点とは、ナビゲーション装置１に設定されている案内経路に従ってナビゲーション装置１が走行の案内を行う際に、右左折指示等の案内を行う対象となる分岐点である。
【００４０】
また、案内内容候補条件テーブル３２は、案内分岐点を案内する為の案内内容の候補である複数種類の案内内容候補について、発話されるフレーズの内容とともに、案内の発話を出力する為に必要な時間や、案内の発話を開始する地点である案内開始地点や、案内の発話を終了する必要のある地点（即ち、その地点に車両が到達するまでに案内の終了をする必要がある地点）である案内終了地点や、案内の発話を継続する必要のある地点である案内継続必要地点等がそれぞれ対応付けられて記憶されたテーブルである。尚、本実施形態に係るナビゲーション装置１では、案内開始地点、案内終了地点及び案内継続必要地点は、後述のように案内分岐点の周辺に配置される信号機に対する車両の相対位置によって特定される。
【００４１】
以下に、案内内容候補条件テーブル３２について、以下の（１）〜（３）の具体例を挙げてより詳細に説明する。図３は案内内容候補条件テーブル３２の一例を示した図である。図４は、図３に示す案内内容候補条件テーブル３２で規定された案内開始地点や案内終了地点や案内継続必要地点を説明した図である。尚、図３に示す案内内容候補は、案内分岐点で行われる案内の内、特に信号機を用いて案内分岐点での右左折の案内を行う場合に出力される案内内容の候補について示す。また、以下の実施例の説明では、案内分岐点は信号機付きの分岐点であり、案内分岐点の一つ手間側（案内経路に沿った出発地側）の信号機付きの分岐点を第１分岐点と称し、第１分岐点の更に一つ手間側（案内経路に沿った出発地側）の信号機付きの分岐点を第２分岐点と称して説明する。
【００４２】
（１）例えば「２つ目の信号を左（右）方向です」との案内を行う場合には、案内分岐点に進入するまでに２つの信号機をユーザがカウントできる状態にある間に、案内の発話を開始し且つ終了する（即ち、音声案内の出力を開始し且つ出力を終了する）必要がある。従って、図３に示すように、「２つ目の信号を左（右）方向です」との案内内容候補には、案内開始地点として“第２分岐点の退出側信号機から更に５ｍ手前”の地点（即ち、案内分岐点の進入側信号機に対して２つ手前に位置する信号機がユーザの視界から消える地点）が対応付けられている。また、案内終了地点として“第１分岐点の進入側信号機から更に５０ｍ手前”の地点（即ち、案内分岐点の進入側信号機に対して１つ手前に位置する信号機がユーザの視界前方に余裕をもって視認できる地点）が対応付けられている。具体的に図４を用いて説明すると、案内開始地点は、案内分岐点６１に対して２つ手前側の信号機付きの分岐点である第２分岐点６２の退出側信号機６３の５ｍ手前の地点Ａとなり、案内終了地点は案内分岐点６１に対して１つ手前側の信号機付きの分岐点である第１分岐点６４の進入側信号機６５から更に５０ｍ手前の地点Ｂとなる。その結果、案内を受けたユーザは、案内分岐点６１に進入するまでに信号機６５（信号機６６）と信号機６７の２つの信号機をカウントすることが可能となり、案内文中の『２つ目の信号』が案内分岐点６１の進入側信号機６７であることを明確に特定することが可能となる。尚、同一の分岐点にある信号機６５及び信号機６６は、カウントする際には１の信号機としてカウントされる。
【００４３】
（２）また、「この信号の次の信号を左（右）方向です」との案内を行う場合には、案内分岐点の２つ手前の信号機（案内文中の『この信号』）をユーザが前方に把握できる状態、又は案内分岐点の２つ手前の信号機（案内文中の『この信号』）をユーザが通過していると把握できる状態にある間に、案内の発話を開始し且つ終了する（即ち、音声案内の出力を開始し且つ出力を終了する）必要がある。従って、図３に示すように、「この信号の次の信号を左（右）方向です」との案内内容候補には、案内開始地点として“第１分岐点の進入側信号機から更に１００ｍ手前”と“第２分岐点の退出側信号機から更に５ｍ手前”の内、案内分岐点に近い方の地点（即ち、案内分岐点の進入側信号機に対して１つ手前に位置する信号機が車両から最も近くに位置して、ユーザの視界前方に余裕をもって視認できる地点）が対応付けられている。また、案内終了地点として“第１分岐点の退出側信号機から更に５ｍ手前”の地点（即ち、案内分岐点の進入側信号機に対して１つ手前に位置する信号機がユーザの視界から消える地点）が対応付けられている。具体的に図４を用いて説明すると、案内開始地点は、案内分岐点６１に対して１つ手前側の信号機付きの分岐点である第１分岐点６４の進入側信号機６５の１００ｍ手前の地点Ｃとなり、案内終了地点は案内分岐点６１に対して１つ手前側の信号機付きの分岐点である第１分岐点６４の退出側信号機６６から更に５ｍ手前の地点Ｄとなる。その結果、案内を受けたユーザは、信号機６５（信号機６６）が案内文中の『この信号』であることが把握でき、案内文中の『次の信号』が案内分岐点６１の進入側信号機６７であることを明確に特定することが可能となる。
【００４４】
（３）また、「通過中の信号の次の信号を左（右）方向です」との案内を行う場合には、案内分岐点の１つ手前の信号機（案内文中の『通過中の信号』）をユーザが通過していると把握できる状態にある間に、案内の発話を開始し且つ終了する（即ち、音声案内の出力を開始し且つ出力を終了する）必要がある。従って、図３に示すように、「通過中の信号の次の信号を左（右）方向です」との案内内容候補には、案内開始地点として“第１分岐点の進入側信号機から更に５０ｍ手前”と“第２分岐点の退出側信号機から更に５ｍ手前”の内、案内分岐点に近い方の地点（即ち、案内分岐点の進入側信号機に対して１つ手前に位置する信号機が車両から最も近くに位置して、ユーザの視界前方に余裕をもって視認できる地点）が対応付けられている。また、案内終了地点として“案内分岐点の進入側信号機から５ｍ手前”の地点（即ち、案内分岐点の進入側信号機がユーザの視界から消える地点）が対応付けられている。更に、案内継続必要地点として“第１分岐点の退出信号機の更に５ｍ手前”の地点（即ち、案内分岐点の進入側信号機に対して１つ手前に位置する信号機をユーザが通過していると把握できる地点）が対応付けられている。具体的に図４を用いて説明すると、案内開始地点は、案内分岐点６１に対して１つ手前側の信号機付きの分岐点である第１分岐点６４の進入側信号機６５の５０ｍ手前の地点Ｅとなり、案内終了地点は案内分岐点６１の進入側信号機６７から５ｍ手前の地点Ｆとなり、案内継続必要地点は案内分岐点６１に対して１つ手前側の信号機付きの分岐点である第１分岐点６４の退出側信号機６６から更に５ｍ手前の地点Ｄとなる。その結果、案内を受けたユーザは、信号機６５（信号機６６）が案内文中の『通過中の信号』であることが把握でき、案内文中の『次の信号』が案内分岐点６１の進入側信号機６７であることを明確に特定することが可能となる。
【００４５】
案内内容候補条件テーブル３２には、同様にして他の案内内容候補についても記憶されている。尚、案内分岐点の案内方向は、左（右）方向以外に、右（左）斜め方向や右（左）手前方向等も存在する。また、案内方向によって案内を出力する為に必要な時間も変化する。
そして、ナビゲーションＥＣＵ１３は、後述のように案内経路の形状や案内経路上に設置された信号機や分岐点の位置情報や案内内容候補条件テーブル３２等に基づいて、車両の進行方向前方にある案内分岐点を案内する案内内容を複数の案内内容候補の内から設定する。例えば、上述した（１）〜（３）の案内内容候補は、いずれも第１分岐点（より具体的には第１分岐点に設置された信号機）を用いて案内分岐点を案内する案内候補であるが、当該第１分岐点（より具体的には第１分岐点に設置された信号機）を示すフレーズが互いに異なる。従って、ナビゲーションＥＣＵ１３は、後述のように案内経路の形状や案内経路上に設置された信号機や分岐点の位置情報等を考慮して、第１分岐点を示すフレーズが適当な案内候補を案内分岐点の案内内容として設定することとなる。
【００４６】
一方、ナビゲーションＥＣＵ（エレクトロニック・コントロール・ユニット）１３は、ナビゲーション装置１の全体の制御を行う電子制御ユニットであり、演算装置及び制御装置としてのＣＰＵ４１、並びにＣＰＵ４１が各種の演算処理を行うにあたってワーキングメモリとして使用されるとともに、経路が探索されたときの経路データ等が記憶されるＲＡＭ４２、制御用のプログラムのほか、後述の分岐点案内処理プログラム（図５〜図７、図９、図１１参照）等が記録されたＲＯＭ４３、ＲＯＭ４３から読み出したプログラムを記憶するフラッシュメモリ４４等の内部記憶装置を備えている。尚、ナビゲーションＥＣＵ１３は、処理アルゴリズムとしての各種手段を構成する。例えば、案内経路設定手段は、車両（移動体）の移動を案内する出発地（例えば、車両の現在位置）から目的地までの案内経路及び案内分岐点を設定する。分岐点取得手段は、案内分岐点よりも案内経路の出発地側に存在する第１分岐点の位置、及び該第１分岐点よりも前記出発地側に存在する第２分岐点の位置をそれぞれ取得する。案内設定手段は、案内分岐点における案内を、複数の案内候補の内から選択された所定の案内に設定し、分岐点案内手段は、案内設定手段によって設定された所定の案内を用いて、案内分岐点の案内を行う。信号機情報取得手段は、案内経路の周囲に配置される信号機の位置情報を取得する。
【００４７】
操作部１４は、走行開始地点としての出発地及び走行終了地点としての目的地を入力する際等に操作され、各種のキー、ボタン等の複数の操作スイッチ（図示せず）から構成される。そして、ナビゲーションＥＣＵ１３は、各スイッチの押下等により出力されるスイッチ信号に基づき、対応する各種の動作を実行すべく制御を行う。尚、操作部１４は液晶ディスプレイ１５の前面に設けたタッチパネルによって構成することもできる。また、マイクと音声認識装置によって構成することもできる。
【００４８】
また、液晶ディスプレイ１５には、道路を含む地図画像、交通情報、操作案内、操作メニュー、キーの案内、出発地から目的地までの走行予定経路、走行予定経路に沿った案内情報、ニュース、天気予報、時刻、メール、テレビ番組等が表示される。特に本実施形態では、案内分岐点が車両の進行方向前方の所定距離以内（例えば３００ｍ）に接近した場合には、案内分岐点付近の拡大図や車両の案内分岐点における進行方向について表示する。
【００４９】
また、スピーカ１６は、ナビゲーションＥＣＵ１３からの指示に基づいて走行予定経路に沿った走行を案内する音声ガイダンスや、交通情報の案内を出力する。特に本実施形態では、案内分岐点が車両の進行方向前方にある場合には、案内内容に基づく所定の案内の開始タイミング（例えば、「２つ目の信号を左方向です」との音声案内を出力する場合には、第２分岐点の退出側信号機から更に５ｍ手前（図３参照）に到達したタイミング）で案内分岐点の音声案内を出力する。
【００５０】
また、ＤＶＤドライブ１７は、ＤＶＤやＣＤ等の記録媒体に記録されたデータを読み取り可能なドライブである。そして、読み取ったデータに基づいて音楽や映像の再生、地図情報ＤＢ３１の更新等が行われる。
【００５１】
また、通信モジュール１８は、交通情報センタ、例えば、ＶＩＣＳセンタやプローブセンタ等から送信された渋滞情報、規制情報、交通事故情報等の各情報から成る交通情報を受信する為の通信装置であり、例えば携帯電話機やＤＣＭが該当する。
【００５２】
続いて、前記構成を有するナビゲーション装置１においてナビゲーションＥＣＵ１３が実行する分岐点案内処理プログラムについて図５に基づき説明する。図５は本実施形態に係る分岐点案内処理プログラムのフローチャートである。ここで、分岐点案内処理プログラムは車両のＡＣＣがＯＮされた後に所定間隔で繰り返し実行され、案内経路上にある案内分岐点に対する案内を行うプログラムである。尚、以下の図５〜図７、図９、図１１にフローチャートで示されるプログラムは、ナビゲーション装置１が備えているＲＡＭ４２やＲＯＭ４３に記憶されており、ＣＰＵ４１により実行される。
【００５３】
先ず、分岐点案内処理プログラムではステップ（以下、Ｓと略記する）１において、ＣＰＵ４１は、ナビゲーション装置１において設定された案内経路に基づく経路案内が行われているか否か判定する。ここで、案内経路は、出発地（例えば自車の現在位置）からユーザに選択された目的地までの推奨経路であり、経路探索処理の結果に基づいて設定される。また、経路探索処理は、地図情報ＤＢ３１に記憶されたリンクデータ３３やノードデータ３４、ＶＩＣＳセンタから取得した交通情報等を用いて、公知のダイクストラ法等により行われる。
【００５４】
そして、ナビゲーション装置１において設定された案内経路に基づく経路案内が行われていると判定された場合（Ｓ１：ＹＥＳ）には、Ｓ２へと移行する。それに対して、ナビゲーション装置１において設定された案内経路に基づく経路案内が行われていないと判定された場合（Ｓ１：ＮＯ）には、当該分岐点案内処理プログラムを終了する。
【００５５】
Ｓ２においてＣＰＵ４１は、車両の現在位置を現在位置検出部１１の検出結果に基づいて取得する。尚、車両の現在位置を地図データ上で特定するマップマッチング処理についても行う。更に、車両の現在位置は、高精度ロケーション技術を用いて詳細に特定することが望ましい。ここで、高精度ロケーション技術とは、車両後方のカメラから取り込んだ白線や路面ペイント情報を画像認識により検出し、更に、白線や路面ペイント情報を予め記憶した地図情報ＤＢと照合することにより、走行車線や高精度な車両位置を検出可能にする技術である。尚、高精度ロケーション技術の詳細については既に公知であるので省略する。
【００５６】
次に、Ｓ３においてＣＰＵ４１は、ナビゲーション装置１において設定されている案内経路を取得する。
【００５７】
続いて、Ｓ４においてＣＰＵ４１は、前記Ｓ１で取得した車両の現在位置と前記Ｓ２で取得した案内経路に基づいて、車両の進行方向前方の所定距離以内（例えば、１ｋｍ以内）に案内分岐点が有るか否か判定する。尚、案内分岐点とは、前記したようにナビゲーション装置１に設定された案内経路に従ってナビゲーション装置１が走行の案内を行う際に、右左折指示等の案内を行う対象となる分岐点である。
【００５８】
そして、車両の進行方向前方の所定距離以内に案内分岐点が有ると判定された場合（Ｓ４：ＹＥＳ）には、Ｓ５へと移行する。それに対して、車両の進行方向前方の所定距離以内に案内分岐点が無いと判定された場合（Ｓ４：ＮＯ）には、当該分岐点案内処理プログラムを終了する。
【００５９】
Ｓ５においてＣＰＵ４１は、車両の進行方向前方にある案内分岐点に対する案内が既に行われたか否か判定する。尚、前記Ｓ５では、案内分岐点に対する案内の内、特に案内分岐点での右左折等を指示する音声案内が行われたか否かを判定する。
【００６０】
そして、車両の進行方向前方にある案内分岐点に対する案内が既に行われたと判定された場合（Ｓ５：ＹＥＳ）には、当該分岐点案内処理プログラムを終了する。それに対して、車両の進行方向前方にある案内分岐点に対する案内が行われていないと判定された場合（Ｓ５：ＮＯ）には、Ｓ６へと移行する。
【００６１】
Ｓ６においてＣＰＵ４１は、車両の進行方向前方にある案内分岐点に対する案内内容が、後述の案内内容設定処理（Ｓ７）において既に設定されたか否か判定する。尚、前記Ｓ６では、案内分岐点に対する案内の内、特に案内分岐点での右左折等を指示する音声案内の案内内容が設定されたか否かを判定する。
【００６２】
そして、車両の進行方向前方にある案内分岐点に対する案内内容が既に設定されたと判定された場合（Ｓ６：ＹＥＳ）には、Ｓ８へと移行する。それに対して、車両の進行方向前方にある案内分岐点に対する案内内容がまだ設定されていないと判定された場合（Ｓ６：ＮＯ）には、Ｓ７へと移行する。
【００６３】
Ｓ７においてＣＰＵ４１は、後述の案内内容設定処理（図６）を実行する。尚、案内内容設定処理は、後述のように案内内容候補条件テーブル３２に規定された複数の案内内容候補の内から、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点を案内する為の最適な案内内容を選択し、設定する処理である。
【００６４】
次に、Ｓ８においてＣＰＵ４１は、前記Ｓ７で案内内容に設定された案内内容候補に基づく案内を行うタイミングとなったか否か判定する。具体的には、前記Ｓ７で案内内容に設定された案内内容候補に対応付けられた案内開始地点（図３参照）に車両が到達したか否かが判定される。例えば、前記Ｓ７において「２つ目の信号を左（右）方向です」との案内内容候補が案内内容に設定された場合には、車両が“第２分岐点の退出側信号機から更に５ｍ手前”に到達した時点で、案内を行うタイミングとなったと判定する。
【００６５】
そして、前記Ｓ７で案内内容に設定された案内内容候補に基づく案内を行うタイミングとなったと判定された場合（Ｓ８：ＹＥＳ）には、Ｓ９へと移行する。それに対して、前記Ｓ７で案内内容に設定された案内内容候補に基づく案内を行うタイミングとなっていないと判定された場合（Ｓ８：ＮＯ）には、当該分岐点案内処理プログラムを終了する。
【００６６】
Ｓ９においてＣＰＵ４１は、前記Ｓ７で案内内容に設定された案内内容候補に基づいて、案内分岐点に関する案内を行う。具体的には、車両の案内分岐点の退出方向を特定する案内（即ち、車両が案内分岐点から退出する退出道路を特定させる為の案内）を行う。例えば、前記Ｓ７において「２つ目の信号を左（右）方向です」との案内内容候補が案内内容に設定された場合には、「２つ目の信号を左（右）方向です」とのフレーズをスピーカ１６から出力する。更に、案内分岐点が車両の所定距離以内（例えば３００ｍ）に接近した場合には、案内分岐点付近の拡大図や車両の案内分岐点における進行方向について液晶ディスプレイ１５に表示する。
その結果、案内分岐点及び該案内分岐点から車両が退出する道路をユーザに正確に特定させることが可能となる。
【００６７】
次に、前記Ｓ７において実行される案内内容設定処理のサブ処理について図６に基づき説明する。図６は案内内容設定処理のサブ処理プログラムのフローチャートである。
【００６８】
先ず、Ｓ１１においてＣＰＵ４１は、後述の第１案内内容判定処理（図７）を実行する。尚、第１案内内容判定処理は、後述のように案内内容候補条件テーブル３２に規定された複数の案内内容候補の内、特に「２つ目の信号を左（右）方向です」とのフレーズを発話する案内内容候補が、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点を案内する為の案内内容として適しているか否かを判定する処理である。
【００６９】
次に、Ｓ１２においてＣＰＵ４１は、前記Ｓ１１の第１案内内容判定処理の判定の結果、「２つ目の信号を左（右）方向です」との案内内容候補が、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点を案内する為の案内内容として適していると認定されたか否かを判定する。
【００７０】
そして、「２つ目の信号を左（右）方向です」との案内内容候補が、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点を案内する為の案内内容として適していると判定された場合（Ｓ１２：ＹＥＳ）には、Ｓ１３へと移行する。それに対して、「２つ目の信号を左（右）方向です」との案内内容候補が、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点を案内する為の案内内容として適していないと判定された場合（Ｓ１２：ＮＯ）には、Ｓ１４へと移行する。
【００７１】
Ｓ１３においてＣＰＵ４１は、「２つ目の信号を左（右）方向です」とのフレーズを発話する案内内容候補を、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点を案内する為の案内内容として設定する。また、「２つ目の信号を左（右）方向です」との案内内容候補に対応付けられた案内開始地点に到達するタイミングを、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点の案内の開始タイミングとして設定する。その後、Ｓ８へと移行する。
【００７２】
また、Ｓ１４においてＣＰＵ４１は、後述の第２案内内容判定処理（図９）を実行する。尚、第２案内内容判定処理は、後述のように案内内容候補条件テーブル３２に規定された複数の案内内容候補の内、特に「この信号の次の信号を左（右）方向です」とのフレーズを発話する案内内容候補が、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点を案内する為の案内内容として適しているか否かを判定する処理である。
【００７３】
次に、Ｓ１５においてＣＰＵ４１は、前記Ｓ１４の第２案内内容判定処理の判定の結果、「この信号の次の信号を左（右）方向です」との案内内容候補が、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点を案内する為の案内内容として適していると認定されたか否かを判定する。
【００７４】
そして、「この信号の次の信号を左（右）方向です」との案内内容候補が、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点を案内する為の案内内容として適していると判定された場合（Ｓ１５：ＹＥＳ）には、Ｓ１３へと移行する。それに対して、「この信号の次の信号を左（右）方向です」との案内内容候補が、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点を案内する為の案内内容として適していないと判定された場合（Ｓ１５：ＮＯ）には、Ｓ１６へと移行する。
【００７５】
Ｓ１３においてＣＰＵ４１は、「この信号の次の信号を左（右）方向です」とのフレーズを発話する案内内容候補を、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点を案内する為の案内内容として設定する。また、「この信号の次の信号を左（右）方向です」との案内内容候補に対応付けられた案内開始地点に到達するタイミングを、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点の案内の開始タイミングとして設定する。その後、Ｓ８へと移行する。
【００７６】
また、Ｓ１６においてＣＰＵ４１は、後述の第３案内内容判定処理（図１１）を実行する。尚、第３案内内容判定処理は、後述のように案内内容候補条件テーブル３２に規定された複数の案内内容候補の内、特に「通過中の信号の次の信号を左（右）方向です」とのフレーズを発話する案内内容候補が、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点を案内する為の案内内容として適しているか否かを判定する処理である。
【００７７】
次に、Ｓ１７においてＣＰＵ４１は、前記Ｓ１６の第３案内内容判定処理の判定の結果、「通過中の信号の次の信号を左（右）方向です」との案内内容候補が、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点を案内する為の案内内容として適していると認定されたか否かを判定する。
【００７８】
そして、「通過中の信号の次の信号を左（右）方向です」とのフレーズを発話する案内内容候補が、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点を案内する為の案内内容として適していると判定された場合（Ｓ１７：ＹＥＳ）には、Ｓ１３へと移行する。それに対して、「通過中の信号の次の信号を左（右）方向です」との案内内容候補が、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点を案内する為の案内内容として適していないと判定された場合（Ｓ１７：ＮＯ）には、Ｓ１８へと移行する。
【００７９】
Ｓ１３においてＣＰＵ４１は、「通過中の信号の次の信号を左（右）方向です」とのフレーズを発話する案内内容候補を、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点を案内する為の案内内容として設定する。また、「通過中の信号の次の信号を左（右）方向です」との案内内容候補に対応付けられた案内開始地点に到達するタイミングを、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点の案内の開始タイミングとして設定する。その後、Ｓ８へと移行する。
【００８０】
それに対して、Ｓ１８においてＣＰＵ４１は、信号機を用いない案内内容候補を、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点を案内する為の案内内容として設定する。信号機を用いない案内内容候補としては、例えば「まもなく右（左）方向です」とのフレーズを発話する案内や、「３００ｍ先（７００ｍ先）を右（左）方向です」とのフレーズを発話する案内等が有る。また、設定された案内内容候補に対応付けられた案内開始地点に到達するタイミング（例えば、「３００ｍ先を右（左）方向です」では、案内分岐点から３００ｍ手間に到達したタイミング）を、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点の案内の開始タイミングとして設定する。その後、Ｓ８へと移行する。
【００８１】
また、Ｓ１１で判定対象となる「２つ目の信号を左（右）方向です」との案内内容候補と、Ｓ１４で判定対象となる「この信号の次の信号を左（右）方向です」との案内内容候補と、Ｓ１６で判定対象となる「通過中の信号の次の信号を左（右）方向です」との案内内容候補にそれぞれ対応付けられた案内開始地点を比較すると、Ｓ１１で判定対象となる「２つ目の信号を左（右）方向です」との案内内容候補に対応付けられた案内開始地点が最も案内経路の出発地側にあり、Ｓ１６で判定対象となる「通過中の信号の次の信号を左（右）方向です」との案内内容候補に対応付けられた案内開始地点が最も案内分岐点側にある。即ち、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点を案内する為の案内内容として適していると判定される案内内容候補が複数ある場合には、案内開始地点が出発地側にある（即ち、案内の開始されるタイミングの早い）案内内容候補が優先的に該案内分岐点の案内内容に設定されることとなる。
【００８２】
次に、前記Ｓ１１において実行される第１案内内容判定処理のサブ処理について図７に基づき説明する。図７は第１案内内容判定処理のサブ処理プログラムのフローチャートである。
【００８３】
先ず、Ｓ３１においてＣＰＵ４１は、地図情報ＤＢ３１に記憶されたリンクデータ３３、ノードデータ３４、分岐点データ３５等に基づいて、案内分岐点６１に対して２つ手前側の信号機付きの分岐点である第２分岐点６２の退出側信号機６３から案内分岐点６１までの距離ａを取得する（図８参照）。
【００８４】
次に、Ｓ３２においてＣＰＵ４１は、地図情報ＤＢ３１に記憶されたリンクデータ３３、ノードデータ３４、分岐点データ３５等に基づいて、案内分岐点６１に対して１つ手前側の信号機付きの分岐点である第１分岐点６４の進入側信号機６５から案内分岐点６１までの距離ｂを取得する（図８参照）。
【００８５】
続いて、距離ａに５ｍを追加した距離と、距離ｂに５０ｍを追加した距離の差分距離（即ち、案内開始地点から案内終了地点までの距離であり、図８に示す距離Ｘ）が、「２つ目の信号を左（右）方向です」との案内の発話を行うのに必要な距離より長いか否か、即ち、「２つ目の信号を左（右）方向です」との案内内容候補に対応付けられた案内開始地点で案内を開始した場合に、同じく対応付けられた案内終了地点に到達するまでに案内を終了できるか否か判定する。尚、案内の発話を行うのに必要な距離は、案内内容候補条件テーブル３２に記憶された案内（音声案内）を出力する為に必要な時間（例えば４秒）に、所定車速（例えば６０ｋｍ／ｈ）を乗じた距離となる。尚、所定車速は、車両が走行する道路の道路種別によって変更しても良い（例えば、国道、県道は６０ｋｍ／ｈ、その他の一般道が４０ｋｍ／ｈ）。
【００８６】
そして、案内開始地点から案内終了地点までの距離が、「２つ目の信号を左（右）方向です」との案内の発話を行うのに必要な距離より長いと判定された場合（Ｓ３３：ＹＥＳ）、即ち「２つ目の信号を左（右）方向です」との案内内容候補に対応付けられた案内開始地点で案内の発話を開始した場合に、同じく対応付けられた案内終了地点に到達するまでに案内の発話を終了できると判定された場合には、「２つ目の信号を左（右）方向です」との案内内容候補が、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点を案内する為の案内内容として適していると認定する（Ｓ３４）。その結果、前記したようにＳ１３においてＣＰＵ４１は、「２つ目の信号を左（右）方向です」とのフレーズを発話する案内内容候補を、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点を案内する為の案内内容として設定する。
【００８７】
一方、案内開始地点から案内終了地点までの距離が、「２つ目の信号を左（右）方向です」との案内の発話を行うのに必要な距離と同じ又は短いと判定された場合（Ｓ３３：ＮＯ）、即ち「２つ目の信号を左（右）方向です」との案内内容候補に対応付けられた案内開始地点で案内の発話を開始した場合に、同じく対応付けられた案内終了地点に到達するまでに案内の発話を終了できないと判定された場合には、「２つ目の信号を左（右）方向です」とのフレーズを発話する案内内容候補が、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点を案内する為の案内内容として不適であると認定する（Ｓ３５）。その後、Ｓ１２へと移行する。
【００８８】
次に、前記Ｓ１４において実行される第２案内内容判定処理のサブ処理について図９に基づき説明する。図９は第２案内内容判定処理のサブ処理プログラムのフローチャートである。
【００８９】
先ず、Ｓ４１においてＣＰＵ４１は、地図情報ＤＢ３１に記憶されたリンクデータ３３、ノードデータ３４、分岐点データ３５等に基づいて、案内分岐点６１に対して２つ手前側の信号機付きの分岐点である第２分岐点６２の退出側信号機６３から案内分岐点６１までの距離ａを取得する（図１０参照）。
【００９０】
次に、Ｓ４２においてＣＰＵ４１は、地図情報ＤＢ３１に記憶されたリンクデータ３３、ノードデータ３４、分岐点データ３５等に基づいて、案内分岐点６１に対して１つ手前側の信号機付きの分岐点である第１分岐点６４の進入側信号機６５から案内分岐点６１までの距離ｂを取得する（図１０参照）。
【００９１】
続いて、Ｓ４３においてＣＰＵ４１は、地図情報ＤＢ３１に記憶されたリンクデータ３３、ノードデータ３４、分岐点データ３５等に基づいて、案内分岐点６１に対して１つ手前側の信号機付きの分岐点である第１分岐点６４の退出側信号機６６から案内分岐点６１までの距離ｃを取得する（図１０参照）。
【００９２】
次に、Ｓ４４においてＣＰＵ４１は、距離ｂに１００ｍを追加した距離が、距離ａに５ｍを追加した距離より長いか否かを判定する。
【００９３】
そして、距離ｂに１００ｍを追加した距離が、距離ａに５ｍを追加した距離より長いと判定された場合（Ｓ４４：ＹＥＳ）には、案内の発話を開始する案内開始地点として、「第２分岐点の退出側信号機から更に５ｍ手前」を選択する。また、ＣＰＵ４１は、案内開始地点から案内分岐点までの距離ｄを、距離ａに５ｍを追加した距離に設定する（Ｓ４５）。
【００９４】
一方、距離ｂに１００ｍを追加した距離が、距離ａに５ｍを追加した距離と同じ又は短いと判定された場合（Ｓ４４：ＮＯ）には、案内の発話を開始する案内開始地点として、「第１分岐点の進入側信号機から更に１００ｍ手前」を選択する。また、ＣＰＵ４１は、案内開始地点から案内分岐点までの距離ｄを、距離ｂに１００ｍを追加した距離に設定する（Ｓ４６）。例えば、図１０に示す例では、距離ｂに１００ｍを追加した距離よりも、距離ａに５ｍを追加した距離の方が長いので、案内の発話を開始する案内開始地点として、「第１分岐点６４の進入側信号機６５から更に１００ｍ手前」を選択する。
【００９５】
次に、Ｓ４７においてＣＰＵ４１は、距離ｄと、距離ｃに５ｍを追加した距離との差分距離（即ち、案内開始地点から案内終了地点までの距離であり、図１０に示す距離Ｙ）が、「この信号の次の信号を左（右）方向です」との案内の発話を行うのに必要な距離より長いか否か、即ち、「この信号の次の信号を左（右）方向です」との案内内容候補に対応付けられた案内開始地点で案内の発話を開始した場合に、同じく対応付けられた案内終了地点に到達するまでに案内の発話を終了できるか否か判定する。尚、案内の発話を行うのに必要な距離は、案内内容候補条件テーブル３２に記憶された案内（音声案内）を出力する為に必要な時間（例えば４秒）に、所定車速（例えば６０ｋｍ／ｈ）を乗じた距離となる。尚、所定車速は、車両が走行する道路の道路種別によって変更しても良い（例えば、国道、県道は６０ｋｍ／ｈ、その他の一般道が４０ｋｍ／ｈ）。
【００９６】
そして、案内開始地点から案内終了地点までの距離が、「この信号の次の信号を左（右）方向です」との案内の発話を行うのに必要な距離より長いと判定された場合（Ｓ４７：ＹＥＳ）、即ち「この信号の次の信号を左（右）方向です」との案内内容候補に対応付けられた案内開始地点で案内の発話を開始した場合に、同じく対応付けられた案内終了地点に到達するまでに案内の発話を終了できると判定された場合には、「この信号の次の信号を左（右）方向です」との案内内容候補が、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点を案内する為の案内内容として適していると認定する（Ｓ４８）。その結果、前記したようにＳ１３においてＣＰＵ４１は、「この信号の次の信号を左（右）方向です」とのフレーズを発話する案内内容候補を、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点を案内する為の案内内容として設定する。
【００９７】
一方、案内開始地点から案内終了地点までの距離が、「この信号の次の信号を左（右）方向です」との案内の発話を行うのに必要な距離と同じ又は短いと判定された場合（Ｓ４７：ＮＯ）、即ち「この信号の次の信号を左（右）方向です」との案内内容候補に対応付けられた案内開始地点で案内の発話を開始した場合に、同じく対応付けられた案内終了地点に到達するまでに案内の発話を終了できないと判定された場合には、「この信号の次の信号を左（右）方向です」とのフレーズを発話する案内内容候補が、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点を案内する為の案内内容として不適であると認定する（Ｓ４９）。その後、Ｓ１５へと移行する。
【００９８】
次に、前記Ｓ１６において実行される第３案内内容判定処理のサブ処理について図１１に基づき説明する。図１１は第３案内内容判定処理のサブ処理プログラムのフローチャートである。
【００９９】
先ず、Ｓ５１においてＣＰＵ４１は、地図情報ＤＢ３１に記憶されたリンクデータ３３、ノードデータ３４、分岐点データ３５等に基づいて、案内分岐点６１に対して２つ手前側の信号機付きの分岐点である第２分岐点６２の退出側信号機６３から案内分岐点６１までの距離ａを取得する（図１２参照）。
【０１００】
次に、Ｓ５２においてＣＰＵ４１は、地図情報ＤＢ３１に記憶されたリンクデータ３３、ノードデータ３４、分岐点データ３５等に基づいて、案内分岐点６１に対して１つ手前側の信号機付きの分岐点である第１分岐点６４の進入側信号機６５から案内分岐点６１までの距離ｂを取得する（図１２参照）。
【０１０１】
続いて、Ｓ５３においてＣＰＵ４１は、地図情報ＤＢ３１に記憶されたリンクデータ３３、ノードデータ３４、分岐点データ３５等に基づいて、案内分岐点６１に対して１つ手前側の信号機付きの分岐点である第１分岐点６４の退出側信号機６６から案内分岐点６１までの距離ｃを取得する（図１２参照）。
【０１０２】
更に、Ｓ５４においてＣＰＵ４１は、地図情報ＤＢ３１に記憶されたリンクデータ３３、ノードデータ３４、分岐点データ３５等に基づいて、案内分岐点６１の進入側信号機６７から案内分岐点６１までの距離ｅを取得する（図１２参照）。
【０１０３】
次に、Ｓ５５においてＣＰＵ４１は、距離ｂに５０ｍを追加した距離が、距離ａに５ｍを追加した距離より長いか否かを判定する。
【０１０４】
そして、距離ｂに５０ｍを追加した距離が、距離ａに５ｍを追加した距離より長いと判定された場合（Ｓ５５：ＹＥＳ）には、案内の発話を開始する案内開始地点として、「第２分岐点の退出側信号機から更に５ｍ手前」を選択する。また、ＣＰＵ４１は、案内開始地点から案内分岐点までの距離ｆを、距離ａに５ｍを追加した距離に設定する（Ｓ５６）。
【０１０５】
一方、距離ｂに５０ｍを追加した距離が、距離ａに５ｍを追加した距離と同じ又は短いと判定された場合（Ｓ５５：ＮＯ）には、案内の発話を開始する案内開始地点として、「第１分岐点の進入側信号機から更に５０ｍ手前」を選択する。また、ＣＰＵ４１は、案内開始地点から案内分岐点までの距離ｆを、距離ｂに５０ｍを追加した距離に設定する（Ｓ５７）。例えば、図１２に示す例では、距離ｂに５０ｍを追加した距離よりも、距離ａに５ｍを追加した距離の方が長いので、案内開始地点として、「第１分岐点６４の進入側信号機６５から更に５０ｍ手前」を選択する。
【０１０６】
次に、Ｓ５８においてＣＰＵ４１は、「通過中の次の信号を左（右）方向です」との案内の発話を行うのに必要な距離が、距離ｆと距離ｅに５ｍを追加した距離との差分距離（即ち、案内開始地点から案内終了地点までの距離であり、図１２に示す距離Ｚ１）より小さく、且つ、距離ｆと距離ｃに５ｍを追加した距離との差分距離（即ち、案内開始地点から案内継続必要地点までの距離であり、図１２に示す距離Ｚ２）より長いか否かを判定する。即ち、前記Ｓ５８でＣＰＵ４１は、「通過中の次の信号を左（右）方向です」との案内内容候補に対応付けられた案内開始地点で案内の発話を開始した場合に、同じく対応付けられた案内終了地点に到達するまでに案内の発話を終了でき、且つ、案内継続必要地点に到達するまでは案内の発話を継続して行う条件を満たすか否かを判定する。尚、案内を行うのに必要な距離は、案内内容候補条件テーブル３２に記憶された案内（音声案内）を出力する為に必要な時間（例えば６秒）に、所定車速（例えば６０ｋｍ／ｈ）を乗じた距離となる。尚、所定車速は、車両が走行する道路の道路種別によって変更しても良い（例えば、国道、県道は６０ｋｍ／ｈ、その他の一般道が４０ｋｍ／ｈ）。
【０１０７】
そして、「通過中の次の信号を左（右）方向です」との案内の発話を行うのに必要な距離が、案内開始地点から案内終了地点までの距離より小さく、且つ、案内開始地点から案内継続必要地点までの距離より長いと判定された場合（Ｓ５８：ＹＥＳ）、即ち「通過中の次の信号を左（右）方向です」との案内内容候補に対応付けられた案内開始地点で案内の発話を開始した場合に、同じく対応付けられた案内終了地点に到達するまでに案内の発話を終了でき、且つ、案内継続必要地点に到達するまでは案内の発話を継続して行う条件を満たすと判定された場合には、「通過中の次の信号を左（右）方向です」との案内内容候補が、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点を案内する為の案内内容として適していると認定する（Ｓ５９）。その結果、前記したようにＳ１３においてＣＰＵ４１は、「通過中の次の信号を左（右）方向です」とのフレーズを発話する案内内容候補を、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点を案内する為の案内内容として設定する。
【０１０８】
一方、「通過中の次の信号を左（右）方向です」との案内の発話を行うのに必要な距離が、案内開始地点から案内終了地点までの距離と同じ又は長い、或いは、「通過中の次の信号を左（右）方向です」との案内の発話を行うのに必要な距離が、案内開始地点から案内継続必要地点までの距離と同じ又は短いと判定された場合（Ｓ５８：ＮＯ）、即ち「通過中の次の信号を左（右）方向です」との案内内容候補に対応付けられた案内開始地点で案内の発話を開始した場合に、同じく対応付けられた案内終了地点に到達するまでに案内の発話を終了できない、又は案内継続必要地点に到達するまでに案内の発話が終了すると判定された場合には、「通過中の次の信号を左（右）方向です」とのフレーズを発話する案内内容候補が、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点を案内する為の案内内容として不適であると認定する（Ｓ６０）。その後、Ｓ１７へと移行する。その結果、案内内容候補条件テーブル３２に規定された複数の案内内容候補の内から、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点を案内する為の最適な案内内容が選択され、該案内分岐点を案内する案内内容として設定される。特に、上記実施例では、第１分岐点（より具体的には第１分岐点に設置された信号機）を示すフレーズが適当な案内候補を案内分岐点の案内内容として設定することとなる。
【０１０９】
以上詳細に説明した通り、本実施形態に係るナビゲーション装置１、ナビゲーション装置１を用いた移動案内方法及びナビゲーション装置１で実行されるコンピュータプログラムによれば、複数種類の案内内容候補が、案内の発話を開始する案内開始地点と、案内の発話を終了する必要のある地点である案内終了地点とに対応付けられて記憶された案内内容候補条件テーブル３２を有し、案内開始地点から案内終了地点までの距離が、案内を行う場合における発話中の移動体の走行距離よりも大きいか否かに基づいて、複数種類の案内内容候補の内から、車両の進行方向前方にある案内分岐点を案内するのに適当な案内内容を選択し、選択された案内内容候補を該案内分岐点を案内する案内内容として設定し（Ｓ１２、Ｓ１３）、設定された案内内容に対応づけられた案内開始地点に車両が到達した時点で、設定された案内内容により案内分岐点の案内を行う（Ｓ９）ので、複数の案内候補の内から、分岐点の位置に基づく案内の発話を開始するタイミングと案内の発話を終了する必要のあるタイミングとを考慮して、案内分岐点を案内するのに適当な案内を設定して案内することが可能となる。従って、特定の案内候補が案内分岐点を案内するのに不適当であったとしても、他の適当な案内候補を用いて案内することが可能であり、従来のような案内が行われない事態が発生することを防止できる。そして、例えば信号機の設置間隔や分岐点の間隔が短い都心部等においても、ユーザに案内分岐点を正確に特定させることが可能となる。また、案内分岐点までの距離を用いて案内する場合と比較して、ユーザに案内分岐点をより正確に特定させることが可能となる。
また、案内開始地点から案内終了地点までの距離が、各案内候補で案内を行う場合における発話中の車両の走行距離よりも大きいと判定された案内候補を、案内分岐点の案内に設定するので、案内内容と実際のユーザの視界に矛盾の生じない案内を行うことが可能となる。従って、ユーザに案内分岐点を正確に特定させることが可能となる。
また、対応付けられた案内開始地点で案内の発話が開始された場合に、同じく対応づけられた案内終了地点に到達するまでに発話が終了する案内候補が複数ある場合には、案内の開始されるタイミングの早い案内候補を優先的に案内分岐点の案内に設定するので、少しでも早い段階でユーザに対して案内分岐点の案内を行うことが可能となる。それによって、ユーザに適切な走行を行わせることが可能となる。
複数の案内候補は、案内分岐点に対して１つ手前側の分岐点（第１分岐点）を用いて案内分岐点を案内する案内候補であって、当該第１分岐点を示すフレーズが互いに異なる複数の案内候補を含むので、同一の第１分岐点を用いた案内であっても、第１分岐点を示すフレーズを変更することによって、道路形状や移動体の状況に対応した様々な案内を実現することが可能となる。
複数の案内候補毎に、第１分岐点又は案内分岐点に対して２つ手前側の分岐点（第２分岐点）から所定の距離だけ離れた地点を案内開始地点として設定するので、第１分岐点や第２分岐点との相対位置に基づいて決定された適切なタイミングで案内の発話を開始することが可能となる。
また、複数の案内候補の内、少なくとも一の案内候補については、第１分岐点よりも案内分岐点側に案内終了地点を設定し、他の案内候補については、第１分岐点よりも出発地側に案内終了地点を設定するので、第１分岐点や案内分岐点との相対位置に基づいて決定された適切なタイミングで案内の発話を終了させることが可能となる。
また、特定の案内候補（本実施形態では「通過中の次の信号を左（右）方向です」）については、案内開始地点と案内終了地点との間に案内継続必要地点をさらに設定し、案内開始地点から案内終了地点までの距離が発話中移動距離よりも大きく、且つ案内開始地点から案内継続必要地点までの距離が発話中移動距離よりも小さいと判定された場合に、特定の案内候補を案内分岐点の案内に設定する（Ｓ５９）ので、発話中の移動体の通過地点についても考慮して、案内分岐点を案内するのに適当な案内を設定して案内することが可能となる。従って、案内内容と実際のユーザの視界に矛盾の生じない案内を行うことが可能となる。
また、本実施形態のように、各分岐点の位置を、分岐点の周辺に設置された信号機によって規定すれば、案内開始地点、案内終了地点及び案内継続必要地点の各位置を正確に特定することができ、また、案内経路の周辺に設置された信号機の位置関係に基づいて、複数種類の案内候補の内から案内分岐点を案内するのに適当な案内を設定することが可能となる。
また、複数の案内候補は、信号機を用いて第１分岐点、第２分岐点又は案内分岐点を特定させる案内であるので、信号機を用いた明確な案内により案内分岐点の案内を行うことが可能となる。また、ユーザが案内文の指定する信号機を他の信号機と誤解する虞を防止し、ユーザに案内分岐点を正確に特定させることが可能となる。
【０１１０】
尚、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論である。
例えば、本実施形態では案内内容候補による案内をスピーカ１６から音声案内により出力することにより行う構成としているが、液晶ディスプレイ１５に文章を表示することにより案内を行う構成としても良い。
【０１１１】
また、本実施形態では、分岐点の周辺に設置された進入側信号機や退出側信号機の位置に基づいて、案内開始地点や案内終了地点や案内継続必要地点を特定することとしているが、分岐点（案内分岐点、第１分岐点、第２分岐点）自体の位置に基づいて特定する構成としても良い。また、その場合には、案内分岐点の案内は、信号機ではなく分岐点を用いた案内（例えば「２つ目の分岐点を左（右）方向です」、「この分岐点の次の分岐点を左（右）方向です」、「通過中の次の分岐点を左（右）方向です」など）で行うことが望ましい。更に、分岐点を用いる上記構成とすれば、信号機情報３６は不要となる。
【０１１２】
また、本実施形態では、案内分岐点が車両の進行方向前方の所定距離以内に位置する場合に、その前方に位置する案内分岐点の案内内容を設定する構成としているが、案内分岐点に対して案内内容を設定するタイミングは他のタイミングであっても良い。例えば、案内経路を設定した時点で案内経路に含まれる各案内分岐点に対して案内内容を設定しても良い。また、案内経路を設定する前に、各分岐点に対して案内内容を設定する構成としても良い。
【０１１３】
また、第１案内内容判定処理（図７）、第２案内内容判定処理（図８）、第３案内内容判定処理（図９）の各処理中で用いられる数値（５ｍ、５０ｍ、１００ｍ等）は適宜変更することが可能である。例えば、車種によって変更することも可能である。
【０１１４】
また、本実施形態では信号機情報３６として分岐点の周辺に配置された全ての信号機に関する情報を記憶する構成としているが、分岐点からの退出方向毎に最も退出側にある信号機に関する情報のみを記憶する構成としても良い。その場合には、本実施形態中の進入側信号機を退出側信号機に置き換えることによって、本発明を実施することが可能である。更に、分岐点への進入方向毎に最も進入側にある信号機に関する情報のみを記憶する構成としても良い。また、信号機の代わりに停止線に関する情報を記憶する構成としても良い。その場合には、本実施形態中の進入側信号機及び退出側信号機を停止線に置き換えることによって、本発明を実施することが可能である。尚、信号機の代わりに停止線を用いる場合であっても、案内は信号機や分岐点を用いて行うことが望ましい。
【０１１５】
また、本実施形態では車両の進行方向前方に位置する案内分岐点を案内する為の案内内容として適していると判定された案内内容候補が複数ある場合には、案内を開始するタイミングの早い案内内容候補が優先的に該案内分岐点の案内内容に設定される構成としているが、案内内容候補の優先順位は他の基準に基づいて設定しても良い。
【０１１６】
また、本実施形態では第３案内内容判定処理（図１１）において、第１分岐点の退出信号機の更に５ｍ手前までに案内を終了する条件を満たさない場合に、「通過中の次の信号を左（右）方向です」との案内内容候補は、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点を案内する為の案内内容として不適であると認定（Ｓ６０）されるが、案内開始地点を補正した結果、第１分岐点の退出信号機の更に５ｍ手前までに案内を終了する条件を満たす場合には、「通過中の次の信号を左（右）方向です」との案内内容候補を、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点を案内する為の案内内容として適当であると認定しても良い。その場合には、補正後の案内開始地点に到達したタイミングを、案内の開始タイミングとして新たに設定する。
【０１１７】
また、本発明はナビゲーション装置以外に、案内経路に基づく経路案内を行う機能を有する装置に対して適用することが可能である。例えば、携帯電話機やＰＤＡ等の携帯端末、パーソナルコンピュータ、携帯型音楽プレイヤ等（以下、携帯端末等という）に適用することも可能である。また、サーバと携帯端末等から構成されるシステムに対しても適用することが可能となる。その場合には、上述した分岐点案内処理プログラム（図５〜図７、図９、図１１の各ステップは、サーバと携帯端末等のいずれが実施する構成としても良い。また、本発明を携帯端末等に適用する場合には、車両以外の移動体、例えば、携帯端末等のユーザや２輪車等に対する走行案内を行う場合もある。
【符号の説明】
【０１１８】
１ ナビゲーション装置
１３ ナビゲーションＥＣＵ
３１ 地図情報ＤＢ
３２ 案内内容候補条件テーブル
４１ ＣＰＵ
４２ ＲＡＭ
４３ ＲＯＭ
５１ 分岐点
５２〜５９ 信号機
【技術分野】
【０００１】
本発明は、案内経路に基づいて移動体の移動を案内する移動案内システム、移動案内装置、移動案内方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【０００２】
近年、車両の走行案内を行い、運転者が所望の目的地に容易に到着できるようにしたナビゲーション装置が車両に搭載されていることが多い。ここで、ナビゲーション装置とは、ＧＰＳ受信機などにより自車の現在位置を検出し、その現在位置に対応する地図データをＤＶＤ−ＲＯＭやＨＤＤなどの記録媒体またはネットワークを通じて取得して液晶モニタに表示することが可能な装置である。更に、かかるナビゲーション装置には、所望する目的地を入力すると、出発地から目的地までの最適経路を探索する経路探索機能を備えている。そして、探索結果に基づいて設定された案内経路をディスプレイ画面に表示するとともに、右左折等の案内の対象となる分岐点（以下、案内分岐点という）に接近した場合には音声やディスプレイ画面を用いた案内を行うことによって、ユーザを所望の目的地まで確実に案内するようになっている。また、近年は携帯電話機、ＰＤＡ（Personal Digital Assistant）、パーソナルコンピュータ等においても上記ナビゲーション装置と同様の機能を有するものがある。更に、車両以外にも歩行者や二輪車を対象として上記案内を行うことも可能である。
【０００３】
ここで、案内分岐点において右左折等の案内を行う場合には、案内分岐点をユーザに正確に特定させる必要がある。その為には、案内内容に従って案内を開始するタイミング及び案内を終了するタミングをそれぞれ適切なタイミングに設定することが重要である。例えば、信号機を用いた「２つ目の信号を左方向です。」との案内を行う場合には、案内分岐点に対して２つ手前側にある信号機付きの分岐点の信号機がユーザの視界から消えた後に案内を開始し、案内分岐点に対して１つ手前側にある信号機付きの分岐点の信号機がユーザの視界に残っている状態で案内を終了することが望ましい。そこで、例えば特開２００２−１５６２４２号公報には、信号機の数を用いた音声案内で案内分岐点の案内を行う場合において、案内分岐点に対して１つ手前側にある信号機付きの分岐点の信号機を通過する前に音声案内の出力が終わる場合には、信号機の数を用いた音声案内を行い、案内分岐点に対して１つ手前側にある信号機付きの分岐点の信号機を通過する前に音声案内の出力が終わらない場合には、音声案内を行わないように構成する技術について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００４】
【特許文献１】特開２００２−１５６２４２号公報（第４頁〜第６頁、図３）
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
ここで、上記特許文献１に記載の技術では、信号機の設置間隔や分岐点の間隔が短い都心部等では、音声案内がほとんど行われない結果となっていた。しかしながら、案内を行うことによって案内分岐点を正確に特定させることは、信号機の設置間隔や分岐点の間隔の広い郊外よりも、信号機の設置間隔や分岐点の間隔が短く、案内分岐点を間違え易い都心部等においてより重要な事項となる。従って、上記特許文献１に記載の技術では、案内分岐点をユーザに正確に特定させることができず、右左折操作のタイミングが遅れたり、案内経路を外れて走行する事態が生じていた。
【０００６】
本発明は前記従来における問題点を解消するためになされたものであり、信号機の設置間隔や分岐点の間隔が短い都心部等においても、ユーザに案内分岐点を正確に特定させることを可能にした移動案内システム、移動案内装置、移動案内方法及びコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００７】
前記目的を達成するため本願の請求項１に係る移動案内システム（１）は、移動体の移動を案内する案内経路と該案内経路上の案内分岐点を設定する案内経路設定手段（１３）と、前記案内分岐点よりも前記案内経路の出発地側に存在する第１分岐点（６４）の位置、及び該第１分岐点よりも前記出発地側に存在する第２分岐点（６２）の位置をそれぞれ取得する分岐点取得手段（１３）と、前記案内分岐点における案内を、複数の案内候補の内から選択された所定の案内に設定する案内設定手段（１３）と、前記案内設定手段によって設定された前記所定の案内を用いて、前記案内分岐点の案内を行う分岐点案内手段（１３）と、を有し、前記案内設定手段は、前記複数の案内候補毎に、前記第１分岐点と前記第２分岐点間にあって前記第１分岐点又は前記第２分岐点に基づく位置に規定され、案内の発話を開始する案内開始地点と、前記第１分岐点又は前記案内分岐点に基づく位置に規定され、案内の発話を終了する必要のある地点である案内終了地点と、をそれぞれ設定するとともに、前記案内開始地点から前記案内終了地点までの距離が、該案内候補で案内を行う場合における発話中の前記移動体の移動距離である発話中移動距離よりも大きいか否か判定し、前記案内候補毎の判定結果に基づいて、前記複数の案内候補の内から前記所定の案内を選択することを特徴とする。
尚、「移動体」としては、車両以外に、歩行者や二輪車も含む。
また、「案内分岐点」とは、案内経路に従って移動体の移動の案内を行う際に、右左折指示等の案内を行う対象となる分岐点が該当する。
また、「第１分岐点の位置」は、第１分岐点自体の位置であっても良いし、第１分岐点の周囲にある地物（例えば、信号機や停止線）の位置でも良い。
また、「第２分岐点の位置」は、第２分岐点自体の位置であっても良いし、第２分岐点の周囲にある地物（例えば、信号機や停止線）の位置でも良い。
【０００８】
また、請求項２に係る移動案内システム（１）は、請求項１に記載の移動案内システムであって、前記案内設定手段（１３）は、前記案内開始地点から前記案内終了地点までの距離が、前記各案内候補で案内を行う場合における発話中の前記移動体の移動距離よりも大きいと判定された前記案内候補を、前記所定の案内に選択することを特徴とする。
【０００９】
また、請求項３に係る移動案内システム（１）は、請求項２に記載の移動案内システムであって、前記案内設定手段（１３）は、前記案内開始地点から前記案内終了地点までの距離が、前記各案内候補で案内を行う場合における発話中の前記移動体の移動距離よりも大きいと判定された前記案内候補が複数ある場合には、前記案内開始地点が前記出発地側にある前記案内候補を、優先的に前記所定の案内に選択することを特徴とする。
【００１０】
また、請求項４に係る移動案内システム（１）は、請求項１乃至請求項３のいずれかに記載の移動案内システムであって、前記複数の案内候補は、前記第１分岐点を用いて前記案内分岐点を案内する案内候補であって、当該第１分岐点を示すフレーズが互いに異なる複数の案内候補を含むことを特徴とする。
尚、「第１分岐点を用いた案内」は、第１分岐点自体を用いた案内でも良いし、第１分岐点の周囲にある地物（例えば、信号機や停止線）を用いた案内でも良い。
また、「第１分岐点を示すフレーズ」は、第１分岐点自体を示すフレーズでも良いし、第１分岐点の周囲にある地物（例えば、信号機や停止線）を示すフレーズでも良い。
【００１１】
また、請求項５に係る移動案内システム（１）は、請求項１乃至請求項４のいずれかに記載の移動案内システムであって、前記案内設定手段（１３）は、前記複数の案内候補毎に、前記第１分岐点又は前記第２分岐点から所定の距離だけ離れた地点を前記案内開始地点として設定することを特徴とする。
尚、「第１分岐点又は第２分岐点から所定の距離だけ離れた地点」は、第１分岐点又は第２分岐点自体から所定の距離だけ離れた地点でも良いし、第１分岐点又は第２分岐点の周囲にある地物（例えば、信号機や停止線）から所定の距離だけ離れた地点でも良い。
【００１２】
また、請求項６に係る移動案内システム（１）は、請求項１乃至請求項５のいずれかに記載の移動案内システムであって、前記案内設定手段（１３）は、前記複数の案内候補の内、少なくとも一の案内候補については、前記第１分岐点よりも前記案内分岐点側に前記案内終了地点を設定し、前記複数の案内候補の内、前記一の案内候補と異なる他の案内候補については、前記第１分岐点よりも前記出発地側に前記案内終了地点を設定することを特徴とする。
尚、「第１分岐点よりも〜側」は、第１分岐点自体を基準としても良いし、第１分岐点の周囲にある地物（例えば、信号機や停止線）を基準としても良い。
【００１３】
また、請求項７に係る移動案内システム（１）は、請求項１乃至請求項６のいずれかに記載の移動案内システムであって、前記案内設定手段（１３）は、前記複数の案内候補のうちの特定の案内候補については、前記案内開始地点と前記案内終了地点との間に案内継続必要地点をさらに設定し、前記案内開始地点から前記案内終了地点までの距離が前記発話中移動距離よりも大きく、且つ前記案内開始地点から前記案内継続必要地点までの距離が前記発話中移動距離よりも小さいか否かを判定し、前記案内開始地点から前記案内終了地点までの距離が前記発話中移動距離よりも大きく、且つ前記案内開始地点から前記案内継続必要地点までの距離が前記発話中移動距離よりも小さいと判定された場合に、前記特定の案内候補を、前記所定の案内に選択することを特徴とする。
【００１４】
また、請求項８に係る移動案内システム（１）は、請求項１乃至請求項７のいずれかに記載の移動案内システムであって、前記案内経路の周囲に配置される信号機（５２〜５９）の位置情報を取得する信号機情報取得手段（１３）を有し、前記第１分岐点の位置を、前記第１分岐点の周辺に設置された前記信号機によって規定し、前記第２分岐点の位置を、前記第２分岐点の周辺に設置された前記信号機によって規定し、前記案内分岐点の位置を、前記案内分岐点の周辺に設置された前記信号機によって規定することを特徴とする。
【００１５】
また、請求項９に係る移動案内システム（１）は、請求項８に記載の移動案内システムであって、前記複数の案内候補は、前記信号機（５２〜５９）を用いて前記第１分岐点、前記第２分岐点又は前記案内分岐点を特定させる案内であることを特徴とする。
【００１６】
また、請求項１０に係る移動案内装置（１）は、移動体の移動を案内する案内経路と該案内経路上の案内分岐点（６１）を設定する案内経路設定手段（１３）と、前記案内分岐点よりも前記案内経路の出発地側に存在する第１分岐点（６４）の位置、及び該第１分岐点よりも前記出発地側に存在する第２分岐点（６２）の位置をそれぞれ取得する分岐点取得手段（１３）と、前記案内分岐点における案内を、複数の案内候補の内から選択された所定の案内に設定する案内設定手段（１３）と、前記案内設定手段によって設定された前記所定の案内を用いて、前記案内分岐点の案内を行う分岐点案内手段（１３）と、を有し、前記案内設定手段は、前記複数の案内候補毎に、前記第１分岐点と前記第２分岐点間にあって前記第１分岐点又は前記第２分岐点に基づく位置に規定され、案内の発話を開始する案内開始地点と、前記第１分岐点又は前記案内分岐点に基づく位置に規定され、案内の発話を終了する必要のある地点である案内終了地点と、をそれぞれ設定するとともに、前記案内開始地点から前記案内終了地点までの距離が、該案内候補で案内を行う場合における発話中の前記移動体の移動距離である発話中移動距離よりも大きいか否か判定し、前記案内候補毎の判定結果に基づいて、前記複数の案内候補の内から前記所定の案内を選択することを特徴とする。
【００１７】
また、請求項１１に係る移動案内方法は、移動体の移動を案内する案内経路と該案内経路上の案内分岐点（６１）を設定する案内経路設定ステップと、前記案内分岐点よりも前記案内経路の出発地側に存在する第１分岐点（６４）の位置、及び該第１分岐点よりも前記出発地側に存在する第２分岐点（６２）の位置をそれぞれ取得する分岐点取得ステップと、前記案内分岐点における案内を、複数の案内候補の内から選択された所定の案内に設定する案内設定ステップと、前記案内設定ステップによって設定された前記所定の案内を用いて、前記案内分岐点の案内を行う分岐点案内ステップと、を有し、前記案内設定ステップは、前記複数の案内候補毎に、前記第１分岐点と前記第２分岐点間にあって前記第１分岐点又は前記第２分岐点に基づく位置に規定され、案内の発話を開始する案内開始地点と、前記第１分岐点又は前記案内分岐点に基づく位置に規定され、案内の発話を終了する必要のある地点である案内終了地点と、をそれぞれ設定するとともに、前記案内開始地点から前記案内終了地点までの距離が、該案内候補で案内を行う場合における発話中の前記移動体の移動距離である発話中移動距離よりも大きいか否か判定し、前記案内候補毎の判定結果に基づいて、前記複数の案内候補の内から前記所定の案内を選択することを特徴とする。
【００１８】
更に、請求項１２に係るコンピュータプログラムは、、コンピュータに搭載され、移動体の移動を案内する案内経路と該案内経路上の案内分岐点（６１）を設定する案内経路設定機能と、前記案内分岐点よりも前記案内経路の出発地側に存在する第１分岐点（６４）の位置、及び該第１分岐点よりも前記出発地側に存在する第２分岐点（６２）の位置をそれぞれ取得する分岐点取得機能と、前記案内分岐点における案内を、複数の案内候補の内から選択された所定の案内に設定する案内設定機能と、前記案内設定機能によって設定された前記所定の案内を用いて、前記案内分岐点の案内を行う分岐点案内機能と、をプロセッサに実行させるコンピュータプログラムであって、前記案内設定機能は、前記複数の案内候補毎に、前記第１分岐点と前記第２分岐点間にあって前記第１分岐点又は前記第２分岐点に基づく位置に規定され、案内の発話を開始する案内開始地点と、前記第１分岐点又は前記案内分岐点に基づく位置に規定され、案内の発話を終了する必要のある地点である案内終了地点と、をそれぞれ設定するとともに、前記案内開始地点から前記案内終了地点までの距離が、該案内候補で案内を行う場合における発話中の前記移動体の移動距離である発話中移動距離よりも大きいか否か判定し、前記案内候補毎の判定結果に基づいて、前記複数の案内候補の内から前記所定の案内を選択することを特徴とする。
【発明の効果】
【００１９】
前記構成を有する請求項１に記載の移動案内システムによれば、複数の案内候補の内から、分岐点の位置に基づく案内の発話を開始するタイミングと案内の発話を終了する必要のあるタイミングとを考慮して、案内分岐点を案内するのに適当な案内を設定して案内することが可能となる。従って、特定の案内候補が案内分岐点を案内するのに不適当であったとしても、他の適当な案内候補を用いて案内することが可能であり、従来のような案内が行われない事態が発生することを防止できる。そして、例えば信号機の設置間隔や分岐点の間隔が短い都心部等においても、ユーザに案内分岐点を正確に特定させることが可能となる。また、案内分岐点までの距離を用いて案内する場合と比較して、ユーザに案内分岐点をより正確に特定させることが可能となる。
【００２０】
また、請求項２に記載の移動案内システムによれば、対応付けられた案内開始地点で案内の発話が開始された場合に、同じく対応づけられた案内終了地点に到達するまでに発話が終了する案内候補を、案内分岐点の案内に設定するので、案内内容と実際のユーザの視界に矛盾の生じない案内を行うことが可能となる。従って、ユーザに案内分岐点を正確に特定させることが可能となる。
【００２１】
また、請求項３に記載の移動案内システムによれば、対応付けられた案内開始地点で案内の発話が開始された場合に、同じく対応づけられた案内終了地点に到達するまでに発話が終了する案内候補が複数ある場合には、案内の開始されるタイミングの早い案内候補を優先的に案内分岐点の案内に設定するので、少しでも早い段階でユーザに対して案内分岐点の案内を行うことが可能となる。それによって、ユーザに適切な走行を行わせることが可能となる。
【００２２】
また、請求項４に記載の移動案内システムによれば、同一の第１分岐点を用いた案内であっても、第１分岐点を示すフレーズを変更することによって、道路形状や移動体の状況に対応した様々な案内を実現することが可能となる。
【００２３】
また、請求項５に記載の移動案内システムによれば、複数の案内候補毎に、第１分岐点又は第２分岐点から所定の距離だけ離れた地点を案内開始地点として設定するので、第１分岐点や第２分岐点との相対位置に基づいて決定された適切なタイミングで案内の発話を開始することが可能となる。
【００２４】
また、請求項６に記載の移動案内システムによれば、複数の案内候補の内、少なくとも一の案内候補については、第１分岐点よりも案内分岐点側に案内終了地点を設定し、他の案内候補については、第１分岐点よりも出発地側に案内終了地点を設定するので、第１分岐点や案内分岐点との相対位置に基づいて決定された適切なタイミングで案内の発話を終了させることが可能となる。
【００２５】
また、請求項７に記載の移動案内システムによれば、特定の案内候補については、案内開始地点と案内終了地点との間に案内継続必要地点をさらに設定し、案内開始地点から案内終了地点までの距離が発話中移動距離よりも大きく、且つ案内開始地点から案内継続必要地点までの距離が発話中移動距離よりも小さいと判定された場合に、特定の案内候補を案内分岐点の案内に設定するので、発話中の移動体の通過地点についても考慮して、案内分岐点を案内するのに適当な案内を設定して案内することが可能となる。従って、案内内容と実際のユーザの視界に矛盾の生じない案内を行うことが可能となる。
【００２６】
また、請求項８に記載の移動案内システムによれば、案内開始地点、案内終了地点及び案内継続必要地点の各位置を正確に特定することができ、また、案内経路の周辺に設置された信号機の位置関係に基づいて、複数種類の案内候補の内から案内分岐点を案内するのに適当な案内を設定することが可能となる。
【００２７】
また、請求項９に記載の移動案内システムによれば、信号機を用いた明確な案内により案内分岐点の案内を行うことが可能となる。また、ユーザが案内文の指定する信号機を他の信号機と誤解する虞を防止し、ユーザに案内分岐点を正確に特定させることが可能となる。
【００２８】
また、請求項１０に記載の移動案内装置によれば、複数の案内候補の内から、分岐点の位置に基づく案内の発話を開始するタイミングと案内の発話を終了する必要のあるタイミングとを考慮して、案内分岐点を案内するのに適当な案内を設定して案内することが可能となる。従って、特定の案内候補が案内分岐点を案内するのに不適当であったとしても、他の適当な案内候補を用いて案内することが可能であり、従来のような案内が行われない事態が発生することを防止できる。そして、例えば信号機の設置間隔や分岐点の間隔が短い都心部等においても、ユーザに案内分岐点を正確に特定させることが可能となる。また、案内分岐点までの距離を用いて案内する場合と比較して、ユーザに案内分岐点をより正確に特定させることが可能となる。
【００２９】
また、請求項１１に記載の移動案内方法によれば、複数の案内候補の内から、分岐点の位置に基づく案内の発話を開始するタイミングと案内の発話を終了する必要のあるタイミングとを考慮して、案内分岐点を案内するのに適当な案内を設定して案内することが可能となる。従って、特定の案内候補が案内分岐点を案内するのに不適当であったとしても、他の適当な案内候補を用いて案内することが可能であり、従来のような案内が行われない事態が発生することを防止できる。そして、例えば信号機の設置間隔や分岐点の間隔が短い都心部等においても、ユーザに案内分岐点を正確に特定させることが可能となる。また、案内分岐点までの距離を用いて案内する場合と比較して、ユーザに案内分岐点をより正確に特定させることが可能となる。
【００３０】
更に、請求項１２に記載のコンピュータプログラムによれば、複数の案内候補の内から、分岐点の位置に基づく案内の発話を開始するタイミングと案内の発話を終了する必要のあるタイミングとを考慮して、案内分岐点を案内するのに適当な案内を設定して案内させることが可能となる。従って、特定の案内候補が案内分岐点を案内するのに不適当であったとしても、他の適当な案内候補を用いて案内させることが可能であり、従来のような案内が行われない事態が発生することを防止できる。そして、例えば信号機の設置間隔や分岐点の間隔が短い都心部等においても、ユーザに案内分岐点を正確に特定させることが可能となる。また、案内分岐点までの距離を用いて案内する場合と比較して、ユーザに案内分岐点をより正確に特定させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【００３１】
【図１】本実施形態に係るナビゲーション装置を示したブロック図である。
【図２】分岐点に配置される信号機の一例を示した図である。
【図３】案内内容候補条件テーブルの一例を示した図である。
【図４】案内内容候補条件テーブルで規定された案内開始地点や案内終了地点や案内継続必要地点を説明した図である。
【図５】本実施形態に係る分岐点案内処理プログラムのフローチャートである。
【図６】本実施形態に係る案内内容設定処理のサブ処理プログラムのフローチャートである。
【図７】本実施形態に係る第１案内内容判定処理のサブ処理プログラムのフローチャートである。
【図８】第１案内内容判定処理のサブ処理プログラムの判定方法を説明した図である。
【図９】本実施形態に係る第２案内内容判定処理のサブ処理プログラムのフローチャートである。
【図１０】第２案内内容判定処理のサブ処理プログラムの判定方法を説明した図である。
【図１１】本実施形態に係る第３案内内容判定処理のサブ処理プログラムのフローチャートである。
【図１２】第３案内内容判定処理のサブ処理プログラムの判定方法を説明した図である。
【発明を実施するための形態】
【００３２】
以下、本発明に係る移動案内システム及び移動案内装置をナビゲーション装置に具体化した一実施形態に基づき図面を参照しつつ詳細に説明する。先ず、本実施形態に係るナビゲーション装置１の概略構成について図１を用いて説明する。図１は本実施形態に係るナビゲーション装置１を示したブロック図である。
【００３３】
図１に示すように本実施形態に係るナビゲーション装置１は、ナビゲーション装置１が搭載された車両の現在位置を検出する現在位置検出部１１と、各種のデータが記録されたデータ記録部１２と、入力された情報に基づいて、各種の演算処理を行うナビゲーションＥＣＵ１３と、ユーザからの操作を受け付ける操作部１４と、ユーザに対して車両周辺の地図や施設の関する施設情報を表示する液晶ディスプレイ１５と、経路案内に関する音声ガイダンスを出力するスピーカ１６と、記憶媒体であるＤＶＤを読み取るＤＶＤドライブ１７と、プローブセンタやＶＩＣＳ（登録商標：Vehicle Information and Communication System）センタ等の情報センタとの間で通信を行う通信モジュール１８と、から構成されている。
【００３４】
以下に、ナビゲーション装置１を構成する各構成要素について順に説明する。
現在位置検出部１１は、ＧＰＳ２１、車速センサ２２、ステアリングセンサ２３、ジャイロセンサ２４等からなり、現在の車両の位置、方位、車両の走行速度、現在時刻等を検出することが可能となっている。ここで、特に車速センサ２２は、車両の移動距離や車速を検出する為のセンサであり、車両の駆動輪の回転に応じてパルスを発生させ、パルス信号をナビゲーションＥＣＵ１３に出力する。そして、ナビゲーションＥＣＵ１３は発生するパルスを計数することにより駆動輪の回転速度や移動距離を算出する。尚、上記５種類のセンサをナビゲーション装置１が全て備える必要はなく、これらの内の１又は複数種類のセンサのみをナビゲーション装置１が備える構成としても良い。
【００３５】
また、データ記録部１２は、外部記憶装置及び記録媒体としてのハードディスク（図示せず）と、ハードディスクに記録された地図情報ＤＢ３１や案内内容候補条件テーブル３２や所定のプログラム等を読み出すとともにハードディスクに所定のデータを書き込む為のドライバである記録ヘッド（図示せず）とを備えている。尚、データ記録部１２をハードディスクの代わりにメモリーカードやＣＤやＤＶＤ等の光ディスクにより構成しても良い。
【００３６】
ここで、地図情報ＤＢ３１は、例えば、道路（リンク）に関するリンクデータ３３、ノード点に関するノードデータ３４、各分岐点に関する分岐点データ３５、施設等の地点に関する地点データ、地図を表示するための地図表示データ、経路を探索するための探索データ、地点を検索するための検索データ等が記憶された記憶手段である。
【００３７】
ここで、リンクデータ３３としては、例えば、該リンクを識別するリンクＩＤ、該リンクの端部に位置するノードを特定する端部ノード情報、該リンクを構成する道路の道路種別、車線数等が記憶される。また、ノードデータ３４としては、該ノードを識別するノードＩＤ、該ノードの位置座標、該ノードがリンクを介して接続される接続先ノードを特定する接続先ノード情報等が記憶される。また、分岐点データ３５としては、該分岐点（交差点）を形成するノードを特定する該当ノード情報、該分岐点に接続されるリンク（以下、接続リンクという）を特定する接続リンク情報、分岐点の周辺に設置された信号機に関する信号機情報３６等が記憶される。
【００３８】
また、信号機情報３６としては、全国の各分岐点（交差点）の周辺に設置された信号機について、信号機の設置された方向（即ち、信号機のライトが向いている方向であり、以下、設置方向という）や信号機の設置された位置座標（以下、設置座標という）が記憶される。更に、一の分岐点に対して複数の信号機が設置されている場合には、複数の信号機毎に上記設置方向や設置座標が記憶される。例えば、図２に示すように片側２車線の道路が交差する分岐点５１では、８個の信号機５２〜５９が設置されている。従って、分岐点５１の信号機情報３６としては、信号機５２〜５９の設置方向と設置座標が記憶される。
【００３９】
尚、信号機情報３６としては、分岐点からの退出方向毎に、最も退出側にある信号機（即ち車両が最後に視認できる信号機であり、以下、退出側信号機という）に関する情報のみを記憶する構成としても良い。例えば、図２に示す分岐点５１では、図の下から上への退出方向に対して退出側信号機である信号機５３に関する情報を記憶し、図の上から下への退出方向に対して退出側信号機である信号機５５に関する情報を記憶し、図の左から右への退出方向に対して退出側信号機である信号機５７に関する情報を記憶し、図の右から左への退出方向に対して退出側信号機である信号機５９に関する情報を記憶する。即ち、８個の信号機５２〜５９の内、信号機５３、５５、５７、５９の設置方向と設置座標のみを記憶する構成としても良い。また、分岐点からの進入方向毎に、最も進入側（即ち出発地側）にある信号機（即ち車両が最初に視認できる信号機であり、以下、進入側信号機という）に関する情報のみを記憶する構成としても良い。更に、信号機の代わりに停止線に関する情報を記憶する構成としても良い。
そして、ナビゲーションＥＣＵ１３は、後述のように地図情報ＤＢ３１に記憶された各データに基づいて、車両の進行方向前方にある案内分岐点を特定するとともに、該案内分岐点の周辺にある信号機の信号機情報３６を取得する。そして、取得した信号機情報３６に基づいて、車両の進行方向前方にある案内分岐点の案内内容を複数の候補の内から設定する。尚、案内分岐点とは、ナビゲーション装置１に設定されている案内経路に従ってナビゲーション装置１が走行の案内を行う際に、右左折指示等の案内を行う対象となる分岐点である。
【００４０】
また、案内内容候補条件テーブル３２は、案内分岐点を案内する為の案内内容の候補である複数種類の案内内容候補について、発話されるフレーズの内容とともに、案内の発話を出力する為に必要な時間や、案内の発話を開始する地点である案内開始地点や、案内の発話を終了する必要のある地点（即ち、その地点に車両が到達するまでに案内の終了をする必要がある地点）である案内終了地点や、案内の発話を継続する必要のある地点である案内継続必要地点等がそれぞれ対応付けられて記憶されたテーブルである。尚、本実施形態に係るナビゲーション装置１では、案内開始地点、案内終了地点及び案内継続必要地点は、後述のように案内分岐点の周辺に配置される信号機に対する車両の相対位置によって特定される。
【００４１】
以下に、案内内容候補条件テーブル３２について、以下の（１）〜（３）の具体例を挙げてより詳細に説明する。図３は案内内容候補条件テーブル３２の一例を示した図である。図４は、図３に示す案内内容候補条件テーブル３２で規定された案内開始地点や案内終了地点や案内継続必要地点を説明した図である。尚、図３に示す案内内容候補は、案内分岐点で行われる案内の内、特に信号機を用いて案内分岐点での右左折の案内を行う場合に出力される案内内容の候補について示す。また、以下の実施例の説明では、案内分岐点は信号機付きの分岐点であり、案内分岐点の一つ手間側（案内経路に沿った出発地側）の信号機付きの分岐点を第１分岐点と称し、第１分岐点の更に一つ手間側（案内経路に沿った出発地側）の信号機付きの分岐点を第２分岐点と称して説明する。
【００４２】
（１）例えば「２つ目の信号を左（右）方向です」との案内を行う場合には、案内分岐点に進入するまでに２つの信号機をユーザがカウントできる状態にある間に、案内の発話を開始し且つ終了する（即ち、音声案内の出力を開始し且つ出力を終了する）必要がある。従って、図３に示すように、「２つ目の信号を左（右）方向です」との案内内容候補には、案内開始地点として“第２分岐点の退出側信号機から更に５ｍ手前”の地点（即ち、案内分岐点の進入側信号機に対して２つ手前に位置する信号機がユーザの視界から消える地点）が対応付けられている。また、案内終了地点として“第１分岐点の進入側信号機から更に５０ｍ手前”の地点（即ち、案内分岐点の進入側信号機に対して１つ手前に位置する信号機がユーザの視界前方に余裕をもって視認できる地点）が対応付けられている。具体的に図４を用いて説明すると、案内開始地点は、案内分岐点６１に対して２つ手前側の信号機付きの分岐点である第２分岐点６２の退出側信号機６３の５ｍ手前の地点Ａとなり、案内終了地点は案内分岐点６１に対して１つ手前側の信号機付きの分岐点である第１分岐点６４の進入側信号機６５から更に５０ｍ手前の地点Ｂとなる。その結果、案内を受けたユーザは、案内分岐点６１に進入するまでに信号機６５（信号機６６）と信号機６７の２つの信号機をカウントすることが可能となり、案内文中の『２つ目の信号』が案内分岐点６１の進入側信号機６７であることを明確に特定することが可能となる。尚、同一の分岐点にある信号機６５及び信号機６６は、カウントする際には１の信号機としてカウントされる。
【００４３】
（２）また、「この信号の次の信号を左（右）方向です」との案内を行う場合には、案内分岐点の２つ手前の信号機（案内文中の『この信号』）をユーザが前方に把握できる状態、又は案内分岐点の２つ手前の信号機（案内文中の『この信号』）をユーザが通過していると把握できる状態にある間に、案内の発話を開始し且つ終了する（即ち、音声案内の出力を開始し且つ出力を終了する）必要がある。従って、図３に示すように、「この信号の次の信号を左（右）方向です」との案内内容候補には、案内開始地点として“第１分岐点の進入側信号機から更に１００ｍ手前”と“第２分岐点の退出側信号機から更に５ｍ手前”の内、案内分岐点に近い方の地点（即ち、案内分岐点の進入側信号機に対して１つ手前に位置する信号機が車両から最も近くに位置して、ユーザの視界前方に余裕をもって視認できる地点）が対応付けられている。また、案内終了地点として“第１分岐点の退出側信号機から更に５ｍ手前”の地点（即ち、案内分岐点の進入側信号機に対して１つ手前に位置する信号機がユーザの視界から消える地点）が対応付けられている。具体的に図４を用いて説明すると、案内開始地点は、案内分岐点６１に対して１つ手前側の信号機付きの分岐点である第１分岐点６４の進入側信号機６５の１００ｍ手前の地点Ｃとなり、案内終了地点は案内分岐点６１に対して１つ手前側の信号機付きの分岐点である第１分岐点６４の退出側信号機６６から更に５ｍ手前の地点Ｄとなる。その結果、案内を受けたユーザは、信号機６５（信号機６６）が案内文中の『この信号』であることが把握でき、案内文中の『次の信号』が案内分岐点６１の進入側信号機６７であることを明確に特定することが可能となる。
【００４４】
（３）また、「通過中の信号の次の信号を左（右）方向です」との案内を行う場合には、案内分岐点の１つ手前の信号機（案内文中の『通過中の信号』）をユーザが通過していると把握できる状態にある間に、案内の発話を開始し且つ終了する（即ち、音声案内の出力を開始し且つ出力を終了する）必要がある。従って、図３に示すように、「通過中の信号の次の信号を左（右）方向です」との案内内容候補には、案内開始地点として“第１分岐点の進入側信号機から更に５０ｍ手前”と“第２分岐点の退出側信号機から更に５ｍ手前”の内、案内分岐点に近い方の地点（即ち、案内分岐点の進入側信号機に対して１つ手前に位置する信号機が車両から最も近くに位置して、ユーザの視界前方に余裕をもって視認できる地点）が対応付けられている。また、案内終了地点として“案内分岐点の進入側信号機から５ｍ手前”の地点（即ち、案内分岐点の進入側信号機がユーザの視界から消える地点）が対応付けられている。更に、案内継続必要地点として“第１分岐点の退出信号機の更に５ｍ手前”の地点（即ち、案内分岐点の進入側信号機に対して１つ手前に位置する信号機をユーザが通過していると把握できる地点）が対応付けられている。具体的に図４を用いて説明すると、案内開始地点は、案内分岐点６１に対して１つ手前側の信号機付きの分岐点である第１分岐点６４の進入側信号機６５の５０ｍ手前の地点Ｅとなり、案内終了地点は案内分岐点６１の進入側信号機６７から５ｍ手前の地点Ｆとなり、案内継続必要地点は案内分岐点６１に対して１つ手前側の信号機付きの分岐点である第１分岐点６４の退出側信号機６６から更に５ｍ手前の地点Ｄとなる。その結果、案内を受けたユーザは、信号機６５（信号機６６）が案内文中の『通過中の信号』であることが把握でき、案内文中の『次の信号』が案内分岐点６１の進入側信号機６７であることを明確に特定することが可能となる。
【００４５】
案内内容候補条件テーブル３２には、同様にして他の案内内容候補についても記憶されている。尚、案内分岐点の案内方向は、左（右）方向以外に、右（左）斜め方向や右（左）手前方向等も存在する。また、案内方向によって案内を出力する為に必要な時間も変化する。
そして、ナビゲーションＥＣＵ１３は、後述のように案内経路の形状や案内経路上に設置された信号機や分岐点の位置情報や案内内容候補条件テーブル３２等に基づいて、車両の進行方向前方にある案内分岐点を案内する案内内容を複数の案内内容候補の内から設定する。例えば、上述した（１）〜（３）の案内内容候補は、いずれも第１分岐点（より具体的には第１分岐点に設置された信号機）を用いて案内分岐点を案内する案内候補であるが、当該第１分岐点（より具体的には第１分岐点に設置された信号機）を示すフレーズが互いに異なる。従って、ナビゲーションＥＣＵ１３は、後述のように案内経路の形状や案内経路上に設置された信号機や分岐点の位置情報等を考慮して、第１分岐点を示すフレーズが適当な案内候補を案内分岐点の案内内容として設定することとなる。
【００４６】
一方、ナビゲーションＥＣＵ（エレクトロニック・コントロール・ユニット）１３は、ナビゲーション装置１の全体の制御を行う電子制御ユニットであり、演算装置及び制御装置としてのＣＰＵ４１、並びにＣＰＵ４１が各種の演算処理を行うにあたってワーキングメモリとして使用されるとともに、経路が探索されたときの経路データ等が記憶されるＲＡＭ４２、制御用のプログラムのほか、後述の分岐点案内処理プログラム（図５〜図７、図９、図１１参照）等が記録されたＲＯＭ４３、ＲＯＭ４３から読み出したプログラムを記憶するフラッシュメモリ４４等の内部記憶装置を備えている。尚、ナビゲーションＥＣＵ１３は、処理アルゴリズムとしての各種手段を構成する。例えば、案内経路設定手段は、車両（移動体）の移動を案内する出発地（例えば、車両の現在位置）から目的地までの案内経路及び案内分岐点を設定する。分岐点取得手段は、案内分岐点よりも案内経路の出発地側に存在する第１分岐点の位置、及び該第１分岐点よりも前記出発地側に存在する第２分岐点の位置をそれぞれ取得する。案内設定手段は、案内分岐点における案内を、複数の案内候補の内から選択された所定の案内に設定し、分岐点案内手段は、案内設定手段によって設定された所定の案内を用いて、案内分岐点の案内を行う。信号機情報取得手段は、案内経路の周囲に配置される信号機の位置情報を取得する。
【００４７】
操作部１４は、走行開始地点としての出発地及び走行終了地点としての目的地を入力する際等に操作され、各種のキー、ボタン等の複数の操作スイッチ（図示せず）から構成される。そして、ナビゲーションＥＣＵ１３は、各スイッチの押下等により出力されるスイッチ信号に基づき、対応する各種の動作を実行すべく制御を行う。尚、操作部１４は液晶ディスプレイ１５の前面に設けたタッチパネルによって構成することもできる。また、マイクと音声認識装置によって構成することもできる。
【００４８】
また、液晶ディスプレイ１５には、道路を含む地図画像、交通情報、操作案内、操作メニュー、キーの案内、出発地から目的地までの走行予定経路、走行予定経路に沿った案内情報、ニュース、天気予報、時刻、メール、テレビ番組等が表示される。特に本実施形態では、案内分岐点が車両の進行方向前方の所定距離以内（例えば３００ｍ）に接近した場合には、案内分岐点付近の拡大図や車両の案内分岐点における進行方向について表示する。
【００４９】
また、スピーカ１６は、ナビゲーションＥＣＵ１３からの指示に基づいて走行予定経路に沿った走行を案内する音声ガイダンスや、交通情報の案内を出力する。特に本実施形態では、案内分岐点が車両の進行方向前方にある場合には、案内内容に基づく所定の案内の開始タイミング（例えば、「２つ目の信号を左方向です」との音声案内を出力する場合には、第２分岐点の退出側信号機から更に５ｍ手前（図３参照）に到達したタイミング）で案内分岐点の音声案内を出力する。
【００５０】
また、ＤＶＤドライブ１７は、ＤＶＤやＣＤ等の記録媒体に記録されたデータを読み取り可能なドライブである。そして、読み取ったデータに基づいて音楽や映像の再生、地図情報ＤＢ３１の更新等が行われる。
【００５１】
また、通信モジュール１８は、交通情報センタ、例えば、ＶＩＣＳセンタやプローブセンタ等から送信された渋滞情報、規制情報、交通事故情報等の各情報から成る交通情報を受信する為の通信装置であり、例えば携帯電話機やＤＣＭが該当する。
【００５２】
続いて、前記構成を有するナビゲーション装置１においてナビゲーションＥＣＵ１３が実行する分岐点案内処理プログラムについて図５に基づき説明する。図５は本実施形態に係る分岐点案内処理プログラムのフローチャートである。ここで、分岐点案内処理プログラムは車両のＡＣＣがＯＮされた後に所定間隔で繰り返し実行され、案内経路上にある案内分岐点に対する案内を行うプログラムである。尚、以下の図５〜図７、図９、図１１にフローチャートで示されるプログラムは、ナビゲーション装置１が備えているＲＡＭ４２やＲＯＭ４３に記憶されており、ＣＰＵ４１により実行される。
【００５３】
先ず、分岐点案内処理プログラムではステップ（以下、Ｓと略記する）１において、ＣＰＵ４１は、ナビゲーション装置１において設定された案内経路に基づく経路案内が行われているか否か判定する。ここで、案内経路は、出発地（例えば自車の現在位置）からユーザに選択された目的地までの推奨経路であり、経路探索処理の結果に基づいて設定される。また、経路探索処理は、地図情報ＤＢ３１に記憶されたリンクデータ３３やノードデータ３４、ＶＩＣＳセンタから取得した交通情報等を用いて、公知のダイクストラ法等により行われる。
【００５４】
そして、ナビゲーション装置１において設定された案内経路に基づく経路案内が行われていると判定された場合（Ｓ１：ＹＥＳ）には、Ｓ２へと移行する。それに対して、ナビゲーション装置１において設定された案内経路に基づく経路案内が行われていないと判定された場合（Ｓ１：ＮＯ）には、当該分岐点案内処理プログラムを終了する。
【００５５】
Ｓ２においてＣＰＵ４１は、車両の現在位置を現在位置検出部１１の検出結果に基づいて取得する。尚、車両の現在位置を地図データ上で特定するマップマッチング処理についても行う。更に、車両の現在位置は、高精度ロケーション技術を用いて詳細に特定することが望ましい。ここで、高精度ロケーション技術とは、車両後方のカメラから取り込んだ白線や路面ペイント情報を画像認識により検出し、更に、白線や路面ペイント情報を予め記憶した地図情報ＤＢと照合することにより、走行車線や高精度な車両位置を検出可能にする技術である。尚、高精度ロケーション技術の詳細については既に公知であるので省略する。
【００５６】
次に、Ｓ３においてＣＰＵ４１は、ナビゲーション装置１において設定されている案内経路を取得する。
【００５７】
続いて、Ｓ４においてＣＰＵ４１は、前記Ｓ１で取得した車両の現在位置と前記Ｓ２で取得した案内経路に基づいて、車両の進行方向前方の所定距離以内（例えば、１ｋｍ以内）に案内分岐点が有るか否か判定する。尚、案内分岐点とは、前記したようにナビゲーション装置１に設定された案内経路に従ってナビゲーション装置１が走行の案内を行う際に、右左折指示等の案内を行う対象となる分岐点である。
【００５８】
そして、車両の進行方向前方の所定距離以内に案内分岐点が有ると判定された場合（Ｓ４：ＹＥＳ）には、Ｓ５へと移行する。それに対して、車両の進行方向前方の所定距離以内に案内分岐点が無いと判定された場合（Ｓ４：ＮＯ）には、当該分岐点案内処理プログラムを終了する。
【００５９】
Ｓ５においてＣＰＵ４１は、車両の進行方向前方にある案内分岐点に対する案内が既に行われたか否か判定する。尚、前記Ｓ５では、案内分岐点に対する案内の内、特に案内分岐点での右左折等を指示する音声案内が行われたか否かを判定する。
【００６０】
そして、車両の進行方向前方にある案内分岐点に対する案内が既に行われたと判定された場合（Ｓ５：ＹＥＳ）には、当該分岐点案内処理プログラムを終了する。それに対して、車両の進行方向前方にある案内分岐点に対する案内が行われていないと判定された場合（Ｓ５：ＮＯ）には、Ｓ６へと移行する。
【００６１】
Ｓ６においてＣＰＵ４１は、車両の進行方向前方にある案内分岐点に対する案内内容が、後述の案内内容設定処理（Ｓ７）において既に設定されたか否か判定する。尚、前記Ｓ６では、案内分岐点に対する案内の内、特に案内分岐点での右左折等を指示する音声案内の案内内容が設定されたか否かを判定する。
【００６２】
そして、車両の進行方向前方にある案内分岐点に対する案内内容が既に設定されたと判定された場合（Ｓ６：ＹＥＳ）には、Ｓ８へと移行する。それに対して、車両の進行方向前方にある案内分岐点に対する案内内容がまだ設定されていないと判定された場合（Ｓ６：ＮＯ）には、Ｓ７へと移行する。
【００６３】
Ｓ７においてＣＰＵ４１は、後述の案内内容設定処理（図６）を実行する。尚、案内内容設定処理は、後述のように案内内容候補条件テーブル３２に規定された複数の案内内容候補の内から、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点を案内する為の最適な案内内容を選択し、設定する処理である。
【００６４】
次に、Ｓ８においてＣＰＵ４１は、前記Ｓ７で案内内容に設定された案内内容候補に基づく案内を行うタイミングとなったか否か判定する。具体的には、前記Ｓ７で案内内容に設定された案内内容候補に対応付けられた案内開始地点（図３参照）に車両が到達したか否かが判定される。例えば、前記Ｓ７において「２つ目の信号を左（右）方向です」との案内内容候補が案内内容に設定された場合には、車両が“第２分岐点の退出側信号機から更に５ｍ手前”に到達した時点で、案内を行うタイミングとなったと判定する。
【００６５】
そして、前記Ｓ７で案内内容に設定された案内内容候補に基づく案内を行うタイミングとなったと判定された場合（Ｓ８：ＹＥＳ）には、Ｓ９へと移行する。それに対して、前記Ｓ７で案内内容に設定された案内内容候補に基づく案内を行うタイミングとなっていないと判定された場合（Ｓ８：ＮＯ）には、当該分岐点案内処理プログラムを終了する。
【００６６】
Ｓ９においてＣＰＵ４１は、前記Ｓ７で案内内容に設定された案内内容候補に基づいて、案内分岐点に関する案内を行う。具体的には、車両の案内分岐点の退出方向を特定する案内（即ち、車両が案内分岐点から退出する退出道路を特定させる為の案内）を行う。例えば、前記Ｓ７において「２つ目の信号を左（右）方向です」との案内内容候補が案内内容に設定された場合には、「２つ目の信号を左（右）方向です」とのフレーズをスピーカ１６から出力する。更に、案内分岐点が車両の所定距離以内（例えば３００ｍ）に接近した場合には、案内分岐点付近の拡大図や車両の案内分岐点における進行方向について液晶ディスプレイ１５に表示する。
その結果、案内分岐点及び該案内分岐点から車両が退出する道路をユーザに正確に特定させることが可能となる。
【００６７】
次に、前記Ｓ７において実行される案内内容設定処理のサブ処理について図６に基づき説明する。図６は案内内容設定処理のサブ処理プログラムのフローチャートである。
【００６８】
先ず、Ｓ１１においてＣＰＵ４１は、後述の第１案内内容判定処理（図７）を実行する。尚、第１案内内容判定処理は、後述のように案内内容候補条件テーブル３２に規定された複数の案内内容候補の内、特に「２つ目の信号を左（右）方向です」とのフレーズを発話する案内内容候補が、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点を案内する為の案内内容として適しているか否かを判定する処理である。
【００６９】
次に、Ｓ１２においてＣＰＵ４１は、前記Ｓ１１の第１案内内容判定処理の判定の結果、「２つ目の信号を左（右）方向です」との案内内容候補が、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点を案内する為の案内内容として適していると認定されたか否かを判定する。
【００７０】
そして、「２つ目の信号を左（右）方向です」との案内内容候補が、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点を案内する為の案内内容として適していると判定された場合（Ｓ１２：ＹＥＳ）には、Ｓ１３へと移行する。それに対して、「２つ目の信号を左（右）方向です」との案内内容候補が、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点を案内する為の案内内容として適していないと判定された場合（Ｓ１２：ＮＯ）には、Ｓ１４へと移行する。
【００７１】
Ｓ１３においてＣＰＵ４１は、「２つ目の信号を左（右）方向です」とのフレーズを発話する案内内容候補を、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点を案内する為の案内内容として設定する。また、「２つ目の信号を左（右）方向です」との案内内容候補に対応付けられた案内開始地点に到達するタイミングを、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点の案内の開始タイミングとして設定する。その後、Ｓ８へと移行する。
【００７２】
また、Ｓ１４においてＣＰＵ４１は、後述の第２案内内容判定処理（図９）を実行する。尚、第２案内内容判定処理は、後述のように案内内容候補条件テーブル３２に規定された複数の案内内容候補の内、特に「この信号の次の信号を左（右）方向です」とのフレーズを発話する案内内容候補が、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点を案内する為の案内内容として適しているか否かを判定する処理である。
【００７３】
次に、Ｓ１５においてＣＰＵ４１は、前記Ｓ１４の第２案内内容判定処理の判定の結果、「この信号の次の信号を左（右）方向です」との案内内容候補が、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点を案内する為の案内内容として適していると認定されたか否かを判定する。
【００７４】
そして、「この信号の次の信号を左（右）方向です」との案内内容候補が、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点を案内する為の案内内容として適していると判定された場合（Ｓ１５：ＹＥＳ）には、Ｓ１３へと移行する。それに対して、「この信号の次の信号を左（右）方向です」との案内内容候補が、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点を案内する為の案内内容として適していないと判定された場合（Ｓ１５：ＮＯ）には、Ｓ１６へと移行する。
【００７５】
Ｓ１３においてＣＰＵ４１は、「この信号の次の信号を左（右）方向です」とのフレーズを発話する案内内容候補を、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点を案内する為の案内内容として設定する。また、「この信号の次の信号を左（右）方向です」との案内内容候補に対応付けられた案内開始地点に到達するタイミングを、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点の案内の開始タイミングとして設定する。その後、Ｓ８へと移行する。
【００７６】
また、Ｓ１６においてＣＰＵ４１は、後述の第３案内内容判定処理（図１１）を実行する。尚、第３案内内容判定処理は、後述のように案内内容候補条件テーブル３２に規定された複数の案内内容候補の内、特に「通過中の信号の次の信号を左（右）方向です」とのフレーズを発話する案内内容候補が、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点を案内する為の案内内容として適しているか否かを判定する処理である。
【００７７】
次に、Ｓ１７においてＣＰＵ４１は、前記Ｓ１６の第３案内内容判定処理の判定の結果、「通過中の信号の次の信号を左（右）方向です」との案内内容候補が、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点を案内する為の案内内容として適していると認定されたか否かを判定する。
【００７８】
そして、「通過中の信号の次の信号を左（右）方向です」とのフレーズを発話する案内内容候補が、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点を案内する為の案内内容として適していると判定された場合（Ｓ１７：ＹＥＳ）には、Ｓ１３へと移行する。それに対して、「通過中の信号の次の信号を左（右）方向です」との案内内容候補が、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点を案内する為の案内内容として適していないと判定された場合（Ｓ１７：ＮＯ）には、Ｓ１８へと移行する。
【００７９】
Ｓ１３においてＣＰＵ４１は、「通過中の信号の次の信号を左（右）方向です」とのフレーズを発話する案内内容候補を、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点を案内する為の案内内容として設定する。また、「通過中の信号の次の信号を左（右）方向です」との案内内容候補に対応付けられた案内開始地点に到達するタイミングを、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点の案内の開始タイミングとして設定する。その後、Ｓ８へと移行する。
【００８０】
それに対して、Ｓ１８においてＣＰＵ４１は、信号機を用いない案内内容候補を、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点を案内する為の案内内容として設定する。信号機を用いない案内内容候補としては、例えば「まもなく右（左）方向です」とのフレーズを発話する案内や、「３００ｍ先（７００ｍ先）を右（左）方向です」とのフレーズを発話する案内等が有る。また、設定された案内内容候補に対応付けられた案内開始地点に到達するタイミング（例えば、「３００ｍ先を右（左）方向です」では、案内分岐点から３００ｍ手間に到達したタイミング）を、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点の案内の開始タイミングとして設定する。その後、Ｓ８へと移行する。
【００８１】
また、Ｓ１１で判定対象となる「２つ目の信号を左（右）方向です」との案内内容候補と、Ｓ１４で判定対象となる「この信号の次の信号を左（右）方向です」との案内内容候補と、Ｓ１６で判定対象となる「通過中の信号の次の信号を左（右）方向です」との案内内容候補にそれぞれ対応付けられた案内開始地点を比較すると、Ｓ１１で判定対象となる「２つ目の信号を左（右）方向です」との案内内容候補に対応付けられた案内開始地点が最も案内経路の出発地側にあり、Ｓ１６で判定対象となる「通過中の信号の次の信号を左（右）方向です」との案内内容候補に対応付けられた案内開始地点が最も案内分岐点側にある。即ち、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点を案内する為の案内内容として適していると判定される案内内容候補が複数ある場合には、案内開始地点が出発地側にある（即ち、案内の開始されるタイミングの早い）案内内容候補が優先的に該案内分岐点の案内内容に設定されることとなる。
【００８２】
次に、前記Ｓ１１において実行される第１案内内容判定処理のサブ処理について図７に基づき説明する。図７は第１案内内容判定処理のサブ処理プログラムのフローチャートである。
【００８３】
先ず、Ｓ３１においてＣＰＵ４１は、地図情報ＤＢ３１に記憶されたリンクデータ３３、ノードデータ３４、分岐点データ３５等に基づいて、案内分岐点６１に対して２つ手前側の信号機付きの分岐点である第２分岐点６２の退出側信号機６３から案内分岐点６１までの距離ａを取得する（図８参照）。
【００８４】
次に、Ｓ３２においてＣＰＵ４１は、地図情報ＤＢ３１に記憶されたリンクデータ３３、ノードデータ３４、分岐点データ３５等に基づいて、案内分岐点６１に対して１つ手前側の信号機付きの分岐点である第１分岐点６４の進入側信号機６５から案内分岐点６１までの距離ｂを取得する（図８参照）。
【００８５】
続いて、距離ａに５ｍを追加した距離と、距離ｂに５０ｍを追加した距離の差分距離（即ち、案内開始地点から案内終了地点までの距離であり、図８に示す距離Ｘ）が、「２つ目の信号を左（右）方向です」との案内の発話を行うのに必要な距離より長いか否か、即ち、「２つ目の信号を左（右）方向です」との案内内容候補に対応付けられた案内開始地点で案内を開始した場合に、同じく対応付けられた案内終了地点に到達するまでに案内を終了できるか否か判定する。尚、案内の発話を行うのに必要な距離は、案内内容候補条件テーブル３２に記憶された案内（音声案内）を出力する為に必要な時間（例えば４秒）に、所定車速（例えば６０ｋｍ／ｈ）を乗じた距離となる。尚、所定車速は、車両が走行する道路の道路種別によって変更しても良い（例えば、国道、県道は６０ｋｍ／ｈ、その他の一般道が４０ｋｍ／ｈ）。
【００８６】
そして、案内開始地点から案内終了地点までの距離が、「２つ目の信号を左（右）方向です」との案内の発話を行うのに必要な距離より長いと判定された場合（Ｓ３３：ＹＥＳ）、即ち「２つ目の信号を左（右）方向です」との案内内容候補に対応付けられた案内開始地点で案内の発話を開始した場合に、同じく対応付けられた案内終了地点に到達するまでに案内の発話を終了できると判定された場合には、「２つ目の信号を左（右）方向です」との案内内容候補が、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点を案内する為の案内内容として適していると認定する（Ｓ３４）。その結果、前記したようにＳ１３においてＣＰＵ４１は、「２つ目の信号を左（右）方向です」とのフレーズを発話する案内内容候補を、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点を案内する為の案内内容として設定する。
【００８７】
一方、案内開始地点から案内終了地点までの距離が、「２つ目の信号を左（右）方向です」との案内の発話を行うのに必要な距離と同じ又は短いと判定された場合（Ｓ３３：ＮＯ）、即ち「２つ目の信号を左（右）方向です」との案内内容候補に対応付けられた案内開始地点で案内の発話を開始した場合に、同じく対応付けられた案内終了地点に到達するまでに案内の発話を終了できないと判定された場合には、「２つ目の信号を左（右）方向です」とのフレーズを発話する案内内容候補が、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点を案内する為の案内内容として不適であると認定する（Ｓ３５）。その後、Ｓ１２へと移行する。
【００８８】
次に、前記Ｓ１４において実行される第２案内内容判定処理のサブ処理について図９に基づき説明する。図９は第２案内内容判定処理のサブ処理プログラムのフローチャートである。
【００８９】
先ず、Ｓ４１においてＣＰＵ４１は、地図情報ＤＢ３１に記憶されたリンクデータ３３、ノードデータ３４、分岐点データ３５等に基づいて、案内分岐点６１に対して２つ手前側の信号機付きの分岐点である第２分岐点６２の退出側信号機６３から案内分岐点６１までの距離ａを取得する（図１０参照）。
【００９０】
次に、Ｓ４２においてＣＰＵ４１は、地図情報ＤＢ３１に記憶されたリンクデータ３３、ノードデータ３４、分岐点データ３５等に基づいて、案内分岐点６１に対して１つ手前側の信号機付きの分岐点である第１分岐点６４の進入側信号機６５から案内分岐点６１までの距離ｂを取得する（図１０参照）。
【００９１】
続いて、Ｓ４３においてＣＰＵ４１は、地図情報ＤＢ３１に記憶されたリンクデータ３３、ノードデータ３４、分岐点データ３５等に基づいて、案内分岐点６１に対して１つ手前側の信号機付きの分岐点である第１分岐点６４の退出側信号機６６から案内分岐点６１までの距離ｃを取得する（図１０参照）。
【００９２】
次に、Ｓ４４においてＣＰＵ４１は、距離ｂに１００ｍを追加した距離が、距離ａに５ｍを追加した距離より長いか否かを判定する。
【００９３】
そして、距離ｂに１００ｍを追加した距離が、距離ａに５ｍを追加した距離より長いと判定された場合（Ｓ４４：ＹＥＳ）には、案内の発話を開始する案内開始地点として、「第２分岐点の退出側信号機から更に５ｍ手前」を選択する。また、ＣＰＵ４１は、案内開始地点から案内分岐点までの距離ｄを、距離ａに５ｍを追加した距離に設定する（Ｓ４５）。
【００９４】
一方、距離ｂに１００ｍを追加した距離が、距離ａに５ｍを追加した距離と同じ又は短いと判定された場合（Ｓ４４：ＮＯ）には、案内の発話を開始する案内開始地点として、「第１分岐点の進入側信号機から更に１００ｍ手前」を選択する。また、ＣＰＵ４１は、案内開始地点から案内分岐点までの距離ｄを、距離ｂに１００ｍを追加した距離に設定する（Ｓ４６）。例えば、図１０に示す例では、距離ｂに１００ｍを追加した距離よりも、距離ａに５ｍを追加した距離の方が長いので、案内の発話を開始する案内開始地点として、「第１分岐点６４の進入側信号機６５から更に１００ｍ手前」を選択する。
【００９５】
次に、Ｓ４７においてＣＰＵ４１は、距離ｄと、距離ｃに５ｍを追加した距離との差分距離（即ち、案内開始地点から案内終了地点までの距離であり、図１０に示す距離Ｙ）が、「この信号の次の信号を左（右）方向です」との案内の発話を行うのに必要な距離より長いか否か、即ち、「この信号の次の信号を左（右）方向です」との案内内容候補に対応付けられた案内開始地点で案内の発話を開始した場合に、同じく対応付けられた案内終了地点に到達するまでに案内の発話を終了できるか否か判定する。尚、案内の発話を行うのに必要な距離は、案内内容候補条件テーブル３２に記憶された案内（音声案内）を出力する為に必要な時間（例えば４秒）に、所定車速（例えば６０ｋｍ／ｈ）を乗じた距離となる。尚、所定車速は、車両が走行する道路の道路種別によって変更しても良い（例えば、国道、県道は６０ｋｍ／ｈ、その他の一般道が４０ｋｍ／ｈ）。
【００９６】
そして、案内開始地点から案内終了地点までの距離が、「この信号の次の信号を左（右）方向です」との案内の発話を行うのに必要な距離より長いと判定された場合（Ｓ４７：ＹＥＳ）、即ち「この信号の次の信号を左（右）方向です」との案内内容候補に対応付けられた案内開始地点で案内の発話を開始した場合に、同じく対応付けられた案内終了地点に到達するまでに案内の発話を終了できると判定された場合には、「この信号の次の信号を左（右）方向です」との案内内容候補が、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点を案内する為の案内内容として適していると認定する（Ｓ４８）。その結果、前記したようにＳ１３においてＣＰＵ４１は、「この信号の次の信号を左（右）方向です」とのフレーズを発話する案内内容候補を、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点を案内する為の案内内容として設定する。
【００９７】
一方、案内開始地点から案内終了地点までの距離が、「この信号の次の信号を左（右）方向です」との案内の発話を行うのに必要な距離と同じ又は短いと判定された場合（Ｓ４７：ＮＯ）、即ち「この信号の次の信号を左（右）方向です」との案内内容候補に対応付けられた案内開始地点で案内の発話を開始した場合に、同じく対応付けられた案内終了地点に到達するまでに案内の発話を終了できないと判定された場合には、「この信号の次の信号を左（右）方向です」とのフレーズを発話する案内内容候補が、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点を案内する為の案内内容として不適であると認定する（Ｓ４９）。その後、Ｓ１５へと移行する。
【００９８】
次に、前記Ｓ１６において実行される第３案内内容判定処理のサブ処理について図１１に基づき説明する。図１１は第３案内内容判定処理のサブ処理プログラムのフローチャートである。
【００９９】
先ず、Ｓ５１においてＣＰＵ４１は、地図情報ＤＢ３１に記憶されたリンクデータ３３、ノードデータ３４、分岐点データ３５等に基づいて、案内分岐点６１に対して２つ手前側の信号機付きの分岐点である第２分岐点６２の退出側信号機６３から案内分岐点６１までの距離ａを取得する（図１２参照）。
【０１００】
次に、Ｓ５２においてＣＰＵ４１は、地図情報ＤＢ３１に記憶されたリンクデータ３３、ノードデータ３４、分岐点データ３５等に基づいて、案内分岐点６１に対して１つ手前側の信号機付きの分岐点である第１分岐点６４の進入側信号機６５から案内分岐点６１までの距離ｂを取得する（図１２参照）。
【０１０１】
続いて、Ｓ５３においてＣＰＵ４１は、地図情報ＤＢ３１に記憶されたリンクデータ３３、ノードデータ３４、分岐点データ３５等に基づいて、案内分岐点６１に対して１つ手前側の信号機付きの分岐点である第１分岐点６４の退出側信号機６６から案内分岐点６１までの距離ｃを取得する（図１２参照）。
【０１０２】
更に、Ｓ５４においてＣＰＵ４１は、地図情報ＤＢ３１に記憶されたリンクデータ３３、ノードデータ３４、分岐点データ３５等に基づいて、案内分岐点６１の進入側信号機６７から案内分岐点６１までの距離ｅを取得する（図１２参照）。
【０１０３】
次に、Ｓ５５においてＣＰＵ４１は、距離ｂに５０ｍを追加した距離が、距離ａに５ｍを追加した距離より長いか否かを判定する。
【０１０４】
そして、距離ｂに５０ｍを追加した距離が、距離ａに５ｍを追加した距離より長いと判定された場合（Ｓ５５：ＹＥＳ）には、案内の発話を開始する案内開始地点として、「第２分岐点の退出側信号機から更に５ｍ手前」を選択する。また、ＣＰＵ４１は、案内開始地点から案内分岐点までの距離ｆを、距離ａに５ｍを追加した距離に設定する（Ｓ５６）。
【０１０５】
一方、距離ｂに５０ｍを追加した距離が、距離ａに５ｍを追加した距離と同じ又は短いと判定された場合（Ｓ５５：ＮＯ）には、案内の発話を開始する案内開始地点として、「第１分岐点の進入側信号機から更に５０ｍ手前」を選択する。また、ＣＰＵ４１は、案内開始地点から案内分岐点までの距離ｆを、距離ｂに５０ｍを追加した距離に設定する（Ｓ５７）。例えば、図１２に示す例では、距離ｂに５０ｍを追加した距離よりも、距離ａに５ｍを追加した距離の方が長いので、案内開始地点として、「第１分岐点６４の進入側信号機６５から更に５０ｍ手前」を選択する。
【０１０６】
次に、Ｓ５８においてＣＰＵ４１は、「通過中の次の信号を左（右）方向です」との案内の発話を行うのに必要な距離が、距離ｆと距離ｅに５ｍを追加した距離との差分距離（即ち、案内開始地点から案内終了地点までの距離であり、図１２に示す距離Ｚ１）より小さく、且つ、距離ｆと距離ｃに５ｍを追加した距離との差分距離（即ち、案内開始地点から案内継続必要地点までの距離であり、図１２に示す距離Ｚ２）より長いか否かを判定する。即ち、前記Ｓ５８でＣＰＵ４１は、「通過中の次の信号を左（右）方向です」との案内内容候補に対応付けられた案内開始地点で案内の発話を開始した場合に、同じく対応付けられた案内終了地点に到達するまでに案内の発話を終了でき、且つ、案内継続必要地点に到達するまでは案内の発話を継続して行う条件を満たすか否かを判定する。尚、案内を行うのに必要な距離は、案内内容候補条件テーブル３２に記憶された案内（音声案内）を出力する為に必要な時間（例えば６秒）に、所定車速（例えば６０ｋｍ／ｈ）を乗じた距離となる。尚、所定車速は、車両が走行する道路の道路種別によって変更しても良い（例えば、国道、県道は６０ｋｍ／ｈ、その他の一般道が４０ｋｍ／ｈ）。
【０１０７】
そして、「通過中の次の信号を左（右）方向です」との案内の発話を行うのに必要な距離が、案内開始地点から案内終了地点までの距離より小さく、且つ、案内開始地点から案内継続必要地点までの距離より長いと判定された場合（Ｓ５８：ＹＥＳ）、即ち「通過中の次の信号を左（右）方向です」との案内内容候補に対応付けられた案内開始地点で案内の発話を開始した場合に、同じく対応付けられた案内終了地点に到達するまでに案内の発話を終了でき、且つ、案内継続必要地点に到達するまでは案内の発話を継続して行う条件を満たすと判定された場合には、「通過中の次の信号を左（右）方向です」との案内内容候補が、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点を案内する為の案内内容として適していると認定する（Ｓ５９）。その結果、前記したようにＳ１３においてＣＰＵ４１は、「通過中の次の信号を左（右）方向です」とのフレーズを発話する案内内容候補を、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点を案内する為の案内内容として設定する。
【０１０８】
一方、「通過中の次の信号を左（右）方向です」との案内の発話を行うのに必要な距離が、案内開始地点から案内終了地点までの距離と同じ又は長い、或いは、「通過中の次の信号を左（右）方向です」との案内の発話を行うのに必要な距離が、案内開始地点から案内継続必要地点までの距離と同じ又は短いと判定された場合（Ｓ５８：ＮＯ）、即ち「通過中の次の信号を左（右）方向です」との案内内容候補に対応付けられた案内開始地点で案内の発話を開始した場合に、同じく対応付けられた案内終了地点に到達するまでに案内の発話を終了できない、又は案内継続必要地点に到達するまでに案内の発話が終了すると判定された場合には、「通過中の次の信号を左（右）方向です」とのフレーズを発話する案内内容候補が、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点を案内する為の案内内容として不適であると認定する（Ｓ６０）。その後、Ｓ１７へと移行する。その結果、案内内容候補条件テーブル３２に規定された複数の案内内容候補の内から、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点を案内する為の最適な案内内容が選択され、該案内分岐点を案内する案内内容として設定される。特に、上記実施例では、第１分岐点（より具体的には第１分岐点に設置された信号機）を示すフレーズが適当な案内候補を案内分岐点の案内内容として設定することとなる。
【０１０９】
以上詳細に説明した通り、本実施形態に係るナビゲーション装置１、ナビゲーション装置１を用いた移動案内方法及びナビゲーション装置１で実行されるコンピュータプログラムによれば、複数種類の案内内容候補が、案内の発話を開始する案内開始地点と、案内の発話を終了する必要のある地点である案内終了地点とに対応付けられて記憶された案内内容候補条件テーブル３２を有し、案内開始地点から案内終了地点までの距離が、案内を行う場合における発話中の移動体の走行距離よりも大きいか否かに基づいて、複数種類の案内内容候補の内から、車両の進行方向前方にある案内分岐点を案内するのに適当な案内内容を選択し、選択された案内内容候補を該案内分岐点を案内する案内内容として設定し（Ｓ１２、Ｓ１３）、設定された案内内容に対応づけられた案内開始地点に車両が到達した時点で、設定された案内内容により案内分岐点の案内を行う（Ｓ９）ので、複数の案内候補の内から、分岐点の位置に基づく案内の発話を開始するタイミングと案内の発話を終了する必要のあるタイミングとを考慮して、案内分岐点を案内するのに適当な案内を設定して案内することが可能となる。従って、特定の案内候補が案内分岐点を案内するのに不適当であったとしても、他の適当な案内候補を用いて案内することが可能であり、従来のような案内が行われない事態が発生することを防止できる。そして、例えば信号機の設置間隔や分岐点の間隔が短い都心部等においても、ユーザに案内分岐点を正確に特定させることが可能となる。また、案内分岐点までの距離を用いて案内する場合と比較して、ユーザに案内分岐点をより正確に特定させることが可能となる。
また、案内開始地点から案内終了地点までの距離が、各案内候補で案内を行う場合における発話中の車両の走行距離よりも大きいと判定された案内候補を、案内分岐点の案内に設定するので、案内内容と実際のユーザの視界に矛盾の生じない案内を行うことが可能となる。従って、ユーザに案内分岐点を正確に特定させることが可能となる。
また、対応付けられた案内開始地点で案内の発話が開始された場合に、同じく対応づけられた案内終了地点に到達するまでに発話が終了する案内候補が複数ある場合には、案内の開始されるタイミングの早い案内候補を優先的に案内分岐点の案内に設定するので、少しでも早い段階でユーザに対して案内分岐点の案内を行うことが可能となる。それによって、ユーザに適切な走行を行わせることが可能となる。
複数の案内候補は、案内分岐点に対して１つ手前側の分岐点（第１分岐点）を用いて案内分岐点を案内する案内候補であって、当該第１分岐点を示すフレーズが互いに異なる複数の案内候補を含むので、同一の第１分岐点を用いた案内であっても、第１分岐点を示すフレーズを変更することによって、道路形状や移動体の状況に対応した様々な案内を実現することが可能となる。
複数の案内候補毎に、第１分岐点又は案内分岐点に対して２つ手前側の分岐点（第２分岐点）から所定の距離だけ離れた地点を案内開始地点として設定するので、第１分岐点や第２分岐点との相対位置に基づいて決定された適切なタイミングで案内の発話を開始することが可能となる。
また、複数の案内候補の内、少なくとも一の案内候補については、第１分岐点よりも案内分岐点側に案内終了地点を設定し、他の案内候補については、第１分岐点よりも出発地側に案内終了地点を設定するので、第１分岐点や案内分岐点との相対位置に基づいて決定された適切なタイミングで案内の発話を終了させることが可能となる。
また、特定の案内候補（本実施形態では「通過中の次の信号を左（右）方向です」）については、案内開始地点と案内終了地点との間に案内継続必要地点をさらに設定し、案内開始地点から案内終了地点までの距離が発話中移動距離よりも大きく、且つ案内開始地点から案内継続必要地点までの距離が発話中移動距離よりも小さいと判定された場合に、特定の案内候補を案内分岐点の案内に設定する（Ｓ５９）ので、発話中の移動体の通過地点についても考慮して、案内分岐点を案内するのに適当な案内を設定して案内することが可能となる。従って、案内内容と実際のユーザの視界に矛盾の生じない案内を行うことが可能となる。
また、本実施形態のように、各分岐点の位置を、分岐点の周辺に設置された信号機によって規定すれば、案内開始地点、案内終了地点及び案内継続必要地点の各位置を正確に特定することができ、また、案内経路の周辺に設置された信号機の位置関係に基づいて、複数種類の案内候補の内から案内分岐点を案内するのに適当な案内を設定することが可能となる。
また、複数の案内候補は、信号機を用いて第１分岐点、第２分岐点又は案内分岐点を特定させる案内であるので、信号機を用いた明確な案内により案内分岐点の案内を行うことが可能となる。また、ユーザが案内文の指定する信号機を他の信号機と誤解する虞を防止し、ユーザに案内分岐点を正確に特定させることが可能となる。
【０１１０】
尚、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論である。
例えば、本実施形態では案内内容候補による案内をスピーカ１６から音声案内により出力することにより行う構成としているが、液晶ディスプレイ１５に文章を表示することにより案内を行う構成としても良い。
【０１１１】
また、本実施形態では、分岐点の周辺に設置された進入側信号機や退出側信号機の位置に基づいて、案内開始地点や案内終了地点や案内継続必要地点を特定することとしているが、分岐点（案内分岐点、第１分岐点、第２分岐点）自体の位置に基づいて特定する構成としても良い。また、その場合には、案内分岐点の案内は、信号機ではなく分岐点を用いた案内（例えば「２つ目の分岐点を左（右）方向です」、「この分岐点の次の分岐点を左（右）方向です」、「通過中の次の分岐点を左（右）方向です」など）で行うことが望ましい。更に、分岐点を用いる上記構成とすれば、信号機情報３６は不要となる。
【０１１２】
また、本実施形態では、案内分岐点が車両の進行方向前方の所定距離以内に位置する場合に、その前方に位置する案内分岐点の案内内容を設定する構成としているが、案内分岐点に対して案内内容を設定するタイミングは他のタイミングであっても良い。例えば、案内経路を設定した時点で案内経路に含まれる各案内分岐点に対して案内内容を設定しても良い。また、案内経路を設定する前に、各分岐点に対して案内内容を設定する構成としても良い。
【０１１３】
また、第１案内内容判定処理（図７）、第２案内内容判定処理（図８）、第３案内内容判定処理（図９）の各処理中で用いられる数値（５ｍ、５０ｍ、１００ｍ等）は適宜変更することが可能である。例えば、車種によって変更することも可能である。
【０１１４】
また、本実施形態では信号機情報３６として分岐点の周辺に配置された全ての信号機に関する情報を記憶する構成としているが、分岐点からの退出方向毎に最も退出側にある信号機に関する情報のみを記憶する構成としても良い。その場合には、本実施形態中の進入側信号機を退出側信号機に置き換えることによって、本発明を実施することが可能である。更に、分岐点への進入方向毎に最も進入側にある信号機に関する情報のみを記憶する構成としても良い。また、信号機の代わりに停止線に関する情報を記憶する構成としても良い。その場合には、本実施形態中の進入側信号機及び退出側信号機を停止線に置き換えることによって、本発明を実施することが可能である。尚、信号機の代わりに停止線を用いる場合であっても、案内は信号機や分岐点を用いて行うことが望ましい。
【０１１５】
また、本実施形態では車両の進行方向前方に位置する案内分岐点を案内する為の案内内容として適していると判定された案内内容候補が複数ある場合には、案内を開始するタイミングの早い案内内容候補が優先的に該案内分岐点の案内内容に設定される構成としているが、案内内容候補の優先順位は他の基準に基づいて設定しても良い。
【０１１６】
また、本実施形態では第３案内内容判定処理（図１１）において、第１分岐点の退出信号機の更に５ｍ手前までに案内を終了する条件を満たさない場合に、「通過中の次の信号を左（右）方向です」との案内内容候補は、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点を案内する為の案内内容として不適であると認定（Ｓ６０）されるが、案内開始地点を補正した結果、第１分岐点の退出信号機の更に５ｍ手前までに案内を終了する条件を満たす場合には、「通過中の次の信号を左（右）方向です」との案内内容候補を、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点を案内する為の案内内容として適当であると認定しても良い。その場合には、補正後の案内開始地点に到達したタイミングを、案内の開始タイミングとして新たに設定する。
【０１１７】
また、本発明はナビゲーション装置以外に、案内経路に基づく経路案内を行う機能を有する装置に対して適用することが可能である。例えば、携帯電話機やＰＤＡ等の携帯端末、パーソナルコンピュータ、携帯型音楽プレイヤ等（以下、携帯端末等という）に適用することも可能である。また、サーバと携帯端末等から構成されるシステムに対しても適用することが可能となる。その場合には、上述した分岐点案内処理プログラム（図５〜図７、図９、図１１の各ステップは、サーバと携帯端末等のいずれが実施する構成としても良い。また、本発明を携帯端末等に適用する場合には、車両以外の移動体、例えば、携帯端末等のユーザや２輪車等に対する走行案内を行う場合もある。
【符号の説明】
【０１１８】
１ ナビゲーション装置
１３ ナビゲーションＥＣＵ
３１ 地図情報ＤＢ
３２ 案内内容候補条件テーブル
４１ ＣＰＵ
４２ ＲＡＭ
４３ ＲＯＭ
５１ 分岐点
５２〜５９ 信号機
【特許請求の範囲】
【請求項１】
移動体の移動を案内する案内経路と該案内経路上の案内分岐点を設定する案内経路設定手段と、
前記案内分岐点よりも前記案内経路の出発地側に存在する第１分岐点の位置、及び該第１分岐点よりも前記出発地側に存在する第２分岐点の位置をそれぞれ取得する分岐点取得手段と、
前記案内分岐点における案内を、複数の案内候補の内から選択された所定の案内に設定する案内設定手段と、
前記案内設定手段によって設定された前記所定の案内を用いて、前記案内分岐点の案内を行う分岐点案内手段と、を有し、
前記案内設定手段は、
前記複数の案内候補毎に、
前記第１分岐点と前記第２分岐点間にあって前記第１分岐点又は前記第２分岐点に基づく位置に規定され、案内の発話を開始する案内開始地点と、前記第１分岐点又は前記案内分岐点に基づく位置に規定され、案内の発話を終了する必要のある地点である案内終了地点と、をそれぞれ設定するとともに、
前記案内開始地点から前記案内終了地点までの距離が、該案内候補で案内を行う場合における発話中の前記移動体の移動距離である発話中移動距離よりも大きいか否か判定し、
前記案内候補毎の判定結果に基づいて、前記複数の案内候補の内から前記所定の案内を選択することを特徴とする移動案内システム。
【請求項２】
前記案内設定手段は、前記案内開始地点から前記案内終了地点までの距離が、前記各案内候補で案内を行う場合における発話中の前記移動体の移動距離よりも大きいと判定された前記案内候補を、前記所定の案内に選択することを特徴とする請求項１に記載の移動案内システム。
【請求項３】
前記案内設定手段は、前記案内開始地点から前記案内終了地点までの距離が、前記各案内候補で案内を行う場合における発話中の前記移動体の移動距離よりも大きいと判定された前記案内候補が複数ある場合には、前記案内開始地点が前記出発地側にある前記案内候補を、優先的に前記所定の案内に選択することを特徴とする請求項２に記載の移動案内システム。
【請求項４】
前記複数の案内候補は、前記第１分岐点を用いて前記案内分岐点を案内する案内候補であって、当該第１分岐点を示すフレーズが互いに異なる複数の案内候補を含むことを特徴とする請求項１乃至請求項３のいずれかに記載の移動案内システム。
【請求項５】
前記案内設定手段は、前記複数の案内候補毎に、前記第１分岐点又は前記第２分岐点から所定の距離だけ離れた地点を前記案内開始地点として設定することを特徴とする請求項１乃至請求項４のいずれかに記載の移動案内システム。
【請求項６】
前記案内設定手段は、
前記複数の案内候補の内、少なくとも一の案内候補については、前記第１分岐点よりも前記案内分岐点側に前記案内終了地点を設定し、
前記複数の案内候補の内、前記一の案内候補と異なる他の案内候補については、前記第１分岐点よりも前記出発地側に前記案内終了地点を設定することを特徴とする請求項１乃至請求項５のいずれかに記載の移動案内システム。
【請求項７】
前記案内設定手段は、
前記複数の案内候補のうちの特定の案内候補については、前記案内開始地点と前記案内終了地点との間に案内継続必要地点をさらに設定し、
前記案内開始地点から前記案内終了地点までの距離が前記発話中移動距離よりも大きく、且つ前記案内開始地点から前記案内継続必要地点までの距離が前記発話中移動距離よりも小さいか否かを判定し、
前記案内開始地点から前記案内終了地点までの距離が前記発話中移動距離よりも大きく、且つ前記案内開始地点から前記案内継続必要地点までの距離が前記発話中移動距離よりも小さいと判定された場合に、前記特定の案内候補を、前記所定の案内に選択することを特徴とする請求項１乃至請求項６のいずれかに記載の移動案内システム。
【請求項８】
前記案内経路の周囲に配置される信号機の位置情報を取得する信号機情報取得手段を有し、
前記第１分岐点の位置を、前記第１分岐点の周辺に設置された前記信号機によって規定し、
前記第２分岐点の位置を、前記第２分岐点の周辺に設置された前記信号機によって規定し、
前記案内分岐点の位置を、前記案内分岐点の周辺に設置された前記信号機によって規定することを特徴とする請求項１乃至請求項７のいずれかに記載の移動案内システム。
【請求項９】
前記複数の案内候補は、前記信号機を用いて前記第１分岐点、前記第２分岐点又は前記案内分岐点を特定させる案内であることを特徴とする請求項８に記載の移動案内システム。
【請求項１０】
移動体の移動を案内する案内経路と該案内経路上の案内分岐点を設定する案内経路設定手段と、
前記案内分岐点よりも前記案内経路の出発地側に存在する第１分岐点の位置、及び該第１分岐点よりも前記出発地側に存在する第２分岐点の位置をそれぞれ取得する分岐点取得手段と、
前記案内分岐点における案内を、複数の案内候補の内から選択された所定の案内に設定する案内設定手段と、
前記案内設定手段によって設定された前記所定の案内を用いて、前記案内分岐点の案内を行う分岐点案内手段と、を有し、
前記案内設定手段は、
前記複数の案内候補毎に、
前記第１分岐点と前記第２分岐点間にあって前記第１分岐点又は前記第２分岐点に基づく位置に規定され、案内の発話を開始する案内開始地点と、前記第１分岐点又は前記案内分岐点に基づく位置に規定され、案内の発話を終了する必要のある地点である案内終了地点と、をそれぞれ設定するとともに、
前記案内開始地点から前記案内終了地点までの距離が、該案内候補で案内を行う場合における発話中の前記移動体の移動距離である発話中移動距離よりも大きいか否か判定し、
前記案内候補毎の判定結果に基づいて、前記複数の案内候補の内から前記所定の案内を選択することを特徴とする移動案内装置。
【請求項１１】
移動体の移動を案内する案内経路と該案内経路上の案内分岐点を設定する案内経路設定ステップと、
前記案内分岐点よりも前記案内経路の出発地側に存在する第１分岐点の位置、及び該第１分岐点よりも前記出発地側に存在する第２分岐点の位置をそれぞれ取得する分岐点取得ステップと、
前記案内分岐点における案内を、複数の案内候補の内から選択された所定の案内に設定する案内設定ステップと、
前記案内設定ステップによって設定された前記所定の案内を用いて、前記案内分岐点の案内を行う分岐点案内ステップと、を有し、
前記案内設定ステップは、
前記複数の案内候補毎に、
前記第１分岐点と前記第２分岐点間にあって前記第１分岐点又は前記第２分岐点に基づく位置に規定され、案内の発話を開始する案内開始地点と、前記第１分岐点又は前記案内分岐点に基づく位置に規定され、案内の発話を終了する必要のある地点である案内終了地点と、をそれぞれ設定するとともに、
前記案内開始地点から前記案内終了地点までの距離が、該案内候補で案内を行う場合における発話中の前記移動体の移動距離である発話中移動距離よりも大きいか否か判定し、
前記案内候補毎の判定結果に基づいて、前記複数の案内候補の内から前記所定の案内を選択することを特徴とする移動案内方法。
【請求項１２】
コンピュータに搭載され、
移動体の移動を案内する案内経路と該案内経路上の案内分岐点を設定する案内経路設定機能と、
前記案内分岐点よりも前記案内経路の出発地側に存在する第１分岐点の位置、及び該第１分岐点よりも前記出発地側に存在する第２分岐点の位置をそれぞれ取得する分岐点取得機能と、
前記案内分岐点における案内を、複数の案内候補の内から選択された所定の案内に設定する案内設定機能と、
前記案内設定機能によって設定された前記所定の案内を用いて、前記案内分岐点の案内を行う分岐点案内機能と、をプロセッサに実行させるコンピュータプログラムであって、
前記案内設定機能は、
前記複数の案内候補毎に、
前記第１分岐点と前記第２分岐点間にあって前記第１分岐点又は前記第２分岐点に基づく位置に規定され、案内の発話を開始する案内開始地点と、前記第１分岐点又は前記案内分岐点に基づく位置に規定され、案内の発話を終了する必要のある地点である案内終了地点と、をそれぞれ設定するとともに、
前記案内開始地点から前記案内終了地点までの距離が、該案内候補で案内を行う場合における発話中の前記移動体の移動距離である発話中移動距離よりも大きいか否か判定し、
前記案内候補毎の判定結果に基づいて、前記複数の案内候補の内から前記所定の案内を選択することを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項１】
移動体の移動を案内する案内経路と該案内経路上の案内分岐点を設定する案内経路設定手段と、
前記案内分岐点よりも前記案内経路の出発地側に存在する第１分岐点の位置、及び該第１分岐点よりも前記出発地側に存在する第２分岐点の位置をそれぞれ取得する分岐点取得手段と、
前記案内分岐点における案内を、複数の案内候補の内から選択された所定の案内に設定する案内設定手段と、
前記案内設定手段によって設定された前記所定の案内を用いて、前記案内分岐点の案内を行う分岐点案内手段と、を有し、
前記案内設定手段は、
前記複数の案内候補毎に、
前記第１分岐点と前記第２分岐点間にあって前記第１分岐点又は前記第２分岐点に基づく位置に規定され、案内の発話を開始する案内開始地点と、前記第１分岐点又は前記案内分岐点に基づく位置に規定され、案内の発話を終了する必要のある地点である案内終了地点と、をそれぞれ設定するとともに、
前記案内開始地点から前記案内終了地点までの距離が、該案内候補で案内を行う場合における発話中の前記移動体の移動距離である発話中移動距離よりも大きいか否か判定し、
前記案内候補毎の判定結果に基づいて、前記複数の案内候補の内から前記所定の案内を選択することを特徴とする移動案内システム。
【請求項２】
前記案内設定手段は、前記案内開始地点から前記案内終了地点までの距離が、前記各案内候補で案内を行う場合における発話中の前記移動体の移動距離よりも大きいと判定された前記案内候補を、前記所定の案内に選択することを特徴とする請求項１に記載の移動案内システム。
【請求項３】
前記案内設定手段は、前記案内開始地点から前記案内終了地点までの距離が、前記各案内候補で案内を行う場合における発話中の前記移動体の移動距離よりも大きいと判定された前記案内候補が複数ある場合には、前記案内開始地点が前記出発地側にある前記案内候補を、優先的に前記所定の案内に選択することを特徴とする請求項２に記載の移動案内システム。
【請求項４】
前記複数の案内候補は、前記第１分岐点を用いて前記案内分岐点を案内する案内候補であって、当該第１分岐点を示すフレーズが互いに異なる複数の案内候補を含むことを特徴とする請求項１乃至請求項３のいずれかに記載の移動案内システム。
【請求項５】
前記案内設定手段は、前記複数の案内候補毎に、前記第１分岐点又は前記第２分岐点から所定の距離だけ離れた地点を前記案内開始地点として設定することを特徴とする請求項１乃至請求項４のいずれかに記載の移動案内システム。
【請求項６】
前記案内設定手段は、
前記複数の案内候補の内、少なくとも一の案内候補については、前記第１分岐点よりも前記案内分岐点側に前記案内終了地点を設定し、
前記複数の案内候補の内、前記一の案内候補と異なる他の案内候補については、前記第１分岐点よりも前記出発地側に前記案内終了地点を設定することを特徴とする請求項１乃至請求項５のいずれかに記載の移動案内システム。
【請求項７】
前記案内設定手段は、
前記複数の案内候補のうちの特定の案内候補については、前記案内開始地点と前記案内終了地点との間に案内継続必要地点をさらに設定し、
前記案内開始地点から前記案内終了地点までの距離が前記発話中移動距離よりも大きく、且つ前記案内開始地点から前記案内継続必要地点までの距離が前記発話中移動距離よりも小さいか否かを判定し、
前記案内開始地点から前記案内終了地点までの距離が前記発話中移動距離よりも大きく、且つ前記案内開始地点から前記案内継続必要地点までの距離が前記発話中移動距離よりも小さいと判定された場合に、前記特定の案内候補を、前記所定の案内に選択することを特徴とする請求項１乃至請求項６のいずれかに記載の移動案内システム。
【請求項８】
前記案内経路の周囲に配置される信号機の位置情報を取得する信号機情報取得手段を有し、
前記第１分岐点の位置を、前記第１分岐点の周辺に設置された前記信号機によって規定し、
前記第２分岐点の位置を、前記第２分岐点の周辺に設置された前記信号機によって規定し、
前記案内分岐点の位置を、前記案内分岐点の周辺に設置された前記信号機によって規定することを特徴とする請求項１乃至請求項７のいずれかに記載の移動案内システム。
【請求項９】
前記複数の案内候補は、前記信号機を用いて前記第１分岐点、前記第２分岐点又は前記案内分岐点を特定させる案内であることを特徴とする請求項８に記載の移動案内システム。
【請求項１０】
移動体の移動を案内する案内経路と該案内経路上の案内分岐点を設定する案内経路設定手段と、
前記案内分岐点よりも前記案内経路の出発地側に存在する第１分岐点の位置、及び該第１分岐点よりも前記出発地側に存在する第２分岐点の位置をそれぞれ取得する分岐点取得手段と、
前記案内分岐点における案内を、複数の案内候補の内から選択された所定の案内に設定する案内設定手段と、
前記案内設定手段によって設定された前記所定の案内を用いて、前記案内分岐点の案内を行う分岐点案内手段と、を有し、
前記案内設定手段は、
前記複数の案内候補毎に、
前記第１分岐点と前記第２分岐点間にあって前記第１分岐点又は前記第２分岐点に基づく位置に規定され、案内の発話を開始する案内開始地点と、前記第１分岐点又は前記案内分岐点に基づく位置に規定され、案内の発話を終了する必要のある地点である案内終了地点と、をそれぞれ設定するとともに、
前記案内開始地点から前記案内終了地点までの距離が、該案内候補で案内を行う場合における発話中の前記移動体の移動距離である発話中移動距離よりも大きいか否か判定し、
前記案内候補毎の判定結果に基づいて、前記複数の案内候補の内から前記所定の案内を選択することを特徴とする移動案内装置。
【請求項１１】
移動体の移動を案内する案内経路と該案内経路上の案内分岐点を設定する案内経路設定ステップと、
前記案内分岐点よりも前記案内経路の出発地側に存在する第１分岐点の位置、及び該第１分岐点よりも前記出発地側に存在する第２分岐点の位置をそれぞれ取得する分岐点取得ステップと、
前記案内分岐点における案内を、複数の案内候補の内から選択された所定の案内に設定する案内設定ステップと、
前記案内設定ステップによって設定された前記所定の案内を用いて、前記案内分岐点の案内を行う分岐点案内ステップと、を有し、
前記案内設定ステップは、
前記複数の案内候補毎に、
前記第１分岐点と前記第２分岐点間にあって前記第１分岐点又は前記第２分岐点に基づく位置に規定され、案内の発話を開始する案内開始地点と、前記第１分岐点又は前記案内分岐点に基づく位置に規定され、案内の発話を終了する必要のある地点である案内終了地点と、をそれぞれ設定するとともに、
前記案内開始地点から前記案内終了地点までの距離が、該案内候補で案内を行う場合における発話中の前記移動体の移動距離である発話中移動距離よりも大きいか否か判定し、
前記案内候補毎の判定結果に基づいて、前記複数の案内候補の内から前記所定の案内を選択することを特徴とする移動案内方法。
【請求項１２】
コンピュータに搭載され、
移動体の移動を案内する案内経路と該案内経路上の案内分岐点を設定する案内経路設定機能と、
前記案内分岐点よりも前記案内経路の出発地側に存在する第１分岐点の位置、及び該第１分岐点よりも前記出発地側に存在する第２分岐点の位置をそれぞれ取得する分岐点取得機能と、
前記案内分岐点における案内を、複数の案内候補の内から選択された所定の案内に設定する案内設定機能と、
前記案内設定機能によって設定された前記所定の案内を用いて、前記案内分岐点の案内を行う分岐点案内機能と、をプロセッサに実行させるコンピュータプログラムであって、
前記案内設定機能は、
前記複数の案内候補毎に、
前記第１分岐点と前記第２分岐点間にあって前記第１分岐点又は前記第２分岐点に基づく位置に規定され、案内の発話を開始する案内開始地点と、前記第１分岐点又は前記案内分岐点に基づく位置に規定され、案内の発話を終了する必要のある地点である案内終了地点と、をそれぞれ設定するとともに、
前記案内開始地点から前記案内終了地点までの距離が、該案内候補で案内を行う場合における発話中の前記移動体の移動距離である発話中移動距離よりも大きいか否か判定し、
前記案内候補毎の判定結果に基づいて、前記複数の案内候補の内から前記所定の案内を選択することを特徴とするコンピュータプログラム。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図１２】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図１２】
【公開番号】特開２０１２−２１５３９８（Ｐ２０１２−２１５３９８Ａ）
【公開日】平成２４年１１月８日（２０１２．１１．８）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２０１１−７９１５５（Ｐ２０１１−７９１５５）
【出願日】平成２３年３月３１日（２０１１．３．３１）
【出願人】（０００１００７６８）アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２４年１１月８日（２０１２．１１．８）
【国際特許分類】
【出願日】平成２３年３月３１日（２０１１．３．３１）
【出願人】（０００１００７６８）アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Ｆターム（参考）】
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