移動案内システム、移動案内装置、移動案内方法及びコンピュータプログラム
【課題】ユーザに案内分岐点を正確に特定させることを可能にした移動案内システム、移動案内装置、移動案内方法及びコンピュータプログラムを提供する。
【解決手段】手前側分岐点の進入側信号機の出発地側の所定距離手前から手前側分岐点の退出側信号機周辺までの区間を案内開始区間に設定し、手前側分岐点の進入側信号機周辺から次の手前側分岐点又は案内分岐点の進入側信号機周辺までの区間を案内終了区間に設定し、設定された案内開始区間に位置する車両に対して案内分岐点の案内の出力を開始した場合に、案内終了区間に車両が位置する間に該案内の出力を終了できると判定された場合であって、車両が案内開始区間に位置すると判定された場合に、『特殊フレーズA』による案内により案内分岐点の案内を行うように構成する。
【解決手段】手前側分岐点の進入側信号機の出発地側の所定距離手前から手前側分岐点の退出側信号機周辺までの区間を案内開始区間に設定し、手前側分岐点の進入側信号機周辺から次の手前側分岐点又は案内分岐点の進入側信号機周辺までの区間を案内終了区間に設定し、設定された案内開始区間に位置する車両に対して案内分岐点の案内の出力を開始した場合に、案内終了区間に車両が位置する間に該案内の出力を終了できると判定された場合であって、車両が案内開始区間に位置すると判定された場合に、『特殊フレーズA』による案内により案内分岐点の案内を行うように構成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、案内経路に基づいて移動体の移動を案内する移動案内システム、移動案内装置、移動案内方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両の走行案内を行い、運転者が所望の目的地に容易に到着できるようにしたナビゲーション装置が車両に搭載されていることが多い。ここで、ナビゲーション装置とは、GPS受信機などにより自車の現在位置を検出し、その現在位置に対応する地図データをDVD−ROMやHDDなどの記録媒体またはネットワークを通じて取得して液晶モニタに表示することが可能な装置である。更に、かかるナビゲーション装置には、所望する目的地を入力すると、出発地から目的地までの最適経路を探索する経路探索機能を備えている。そして、探索結果に基づいて設定された案内経路をディスプレイ画面に表示するとともに、右左折等の案内の対象となる分岐点(以下、案内分岐点という)に接近した場合には音声やディスプレイ画面を用いた案内を行うことによって、ユーザを所望の目的地まで確実に案内するようになっている。また、近年は携帯電話機、PDA(Personal Digital Assistant)、パーソナルコンピュータ等においても上記ナビゲーション装置と同様の機能を有するものがある。更に、車両以外にも歩行者や二輪車を対象として上記案内を行うことも可能である。
【0003】
ここで、案内分岐点において右左折等の案内を行う場合には、案内分岐点をユーザに正確に特定させる必要がある。そして、案内分岐点をユーザに正確に特定させる為には、案内の内容に従って案内の出力を開始するタイミング及び案内の出力を終了するタミングをそれぞれ適切なタイミングに行うことが特に重要である。適切なタイミングで行わないと、ユーザが案内分岐点を誤って認識する虞が高くなる。例えば、分岐点に設置された信号機を用いた「2つ目の信号を左方向です。」との案内を行う場合には、案内分岐点に対して2つ手前側にある信号機付きの分岐点の信号機がユーザの視界から消えた後に案内の出力を開始し、案内分岐点に対して1つ手前側にある信号機付きの分岐点の信号機がユーザの視界に残っている状態で案内の出力を終了することが望ましい。
【0004】
そこで、例えば特開2002−156242号公報には、信号機の数を用いた音声案内で案内分岐点の案内を行う場合において、案内分岐点に対して1つ手前側にある信号機付きの分岐点の信号機を通過する前に音声案内の出力が終わる場合には、信号機の数を用いた音声案内を行い、案内分岐点に対して1つ手前側にある信号機付きの分岐点の信号機を通過する前に音声案内の出力が終わらない場合には、音声案内を行わないように構成する技術について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−156242号公報(第4頁〜第6頁、図3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、上記特許文献1に記載の技術では、分岐点の間隔が短い都心部等では、音声案内がほとんど行われない結果となっていた。しかしながら、案内を行うことによって案内分岐点を正確に特定させることは、分岐点の間隔の広い郊外よりも、分岐点の間隔が短く、案内分岐点を間違え易い都心部等においてより重要な事項となる。従って、上記特許文献1に記載の技術では、案内分岐点をユーザに正確に特定させることができず、右左折操作のタイミングが遅れたり、案内経路を外れて走行する事態が生じていた。
【0007】
本発明は前記従来における問題点を解消するためになされたものであり、分岐点の間隔が短い都心部等において分岐点の通過中に案内を出力しなければならない場合であっても、手前分岐点の信号機の位置に基づく適切なタイミングで案内の出力を開始及び終了することによって、案内分岐点をユーザに正確に特定させる案内を行うことを可能にした移動案内システム、移動案内装置、移動案内方法及びコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するため本願の請求項1に係る移動案内システム(1)は、移動体の移動を案内する案内経路と該案内経路上の案内分岐点(61)を設定する案内経路設定手段(13)と、前記案内分岐点よりも前記案内経路の出発地側に存在する手前分岐点(62、64)の進入側信号機(65)及び退出側信号機(66)の位置を取得する信号機位置取得手段(13)と、前記信号機位置取得手段により取得した前記進入側信号機及び前記退出側信号機の位置に基づいて、前記進入側信号機の出発地側の所定距離手前から前記退出側信号機周辺までの区間を、案内開始区間に設定する案内開始区間設定手段(13)と、前記信号機位置取得手段により取得した前記進入側信号機の位置に基づいて、前記進入側信号機周辺から目的地側の次にある他の手前分岐点又は前記案内分岐点の進入側信号機周辺までの区間を、案内終了区間に設定する案内終了区間設定手段(13)と、前記案内開始区間に位置する前記移動体に対して前記案内分岐点の案内の出力を開始した場合に、前記案内終了区間に前記移動体が位置する間に該案内の出力を終了できるか否か判定する案内判定手段(13)と、前記移動体の位置を取得する移動体位置取得手段(13)と、前記移動体の位置と前記案内開始区間の位置とに基づいて、前記移動体が前記案内開始区間に位置するか否か判定する位置判定手段(13)と、前記案内判定手段によって案内の出力を終了できると判定された場合であって、前記位置判定手段によって前記移動体が前記案内開始区間に位置すると判定された場合に、前記案内分岐点の案内の出力を開始する分岐点案内手段(13)と、を有することを特徴とする。
尚、「移動体」としては、車両以外に、歩行者や二輪車も含む。
また、「案内分岐点」とは、案内経路に従って移動体の移動の案内を行う際に、右左折指示等の案内を行う対象となる分岐点が該当する。
【0009】
また、請求項2に係る移動案内システム(1)は、請求項1に記載の移動案内システムであって、前記分岐点案内手段(13)は、前記移動体と前記手前分岐点(62、64)との位置関係を特定する第1フレーズと、前記手前分岐点を前記移動体が通過した後の前記移動体と前記案内分岐点(61)との位置関係を特定する第2フレーズとをそれぞれ含む案内により、前記案内分岐点の案内を行うことを特徴とする。
尚、「移動体と手前分岐点との位置関係を特定する第1フレーズ」は、移動体と手前分岐点自体との位置関係を特定するフレーズであっても良いし、手前分岐点の周囲にある地物(例えば、信号機や停止線)を用いて手前分岐点との位置関係を特定するフレーズであっても良い。
また、「移動体と案内分岐点との位置関係を特定する第2フレーズ」は、移動体と案内分岐点自体との位置関係を特定するフレーズであっても良いし、案内分岐点の周囲にある地物(例えば、信号機や停止線)を用いて案内分岐点との位置関係を特定するフレーズであっても良い。
【0010】
また、請求項3に係る移動案内システム(1)は、請求項2に記載の移動案内システムであって、前記第1フレーズは、前記手前分岐点(62、64)を前記移動体が現在通過中の分岐点であることを示すフレーズであることを特徴とする。
【0011】
また、請求項4に係る移動案内システム(1)は、請求項2又は請求項3に記載の移動案内システムであって、前記第2フレーズは、前記手前分岐点(62、64)から前記案内分岐点(61)までに存在する分岐点の数を特定するフレーズであることを特徴とする。
尚、「手前分岐点から案内分岐点までに存在する分岐点の数を特定するフレーズ」は、手前分岐点から案内分岐点までに存在する分岐点の数を直接案内するものである必要は無く、間接的に案内するフレーズであっても良い。例えば、手前分岐点から案内分岐点までに存在する分岐点に設置された地物(信号機等)の数を用いることによって、該分岐点の数を特定させるフレーズであっても良い。
【0012】
また、請求項5に係る移動案内システム(1)は、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の移動案内システムであって、前記移動体は車両であって、前記車両に関する車両情報を取得する車両情報取得手段(13)と、前記車両情報に基づいて、前記車両の乗員から前記進入側信号機(65)が視認できる状態から視認できなくなる状態へと切り替わる第1切替地点を特定する第1切替地点特定手段(13)と、前記車両情報に基づいて、前記車両の乗員から前記退出側信号機(66)が視認できる状態から視認できなくなる状態へと切り替わる第2切替地点を特定する第2切替地点特定手段(13)と、前記車両情報に基づいて、前記車両の乗員から前記他の手前分岐点又は前記案内分岐点の進入側信号機(67)が視認できる状態から視認できなくなる状態へと切り替わる第3切替地点を特定する第3切替地点特定手段(13)と、を有し、前記案内開始区間設定手段(13)は、前記進入側信号機の出発地側の所定距離手前から前記第2切替地点までの区間を前記案内開始区間に設定し、前記案内終了区間設定手段は、前記第1切替地点から前記第3切替地点までの区間を前記案内終了区間に設定することを特徴とする。
【0013】
また、請求項6に係る移動案内装置(1)は、移動体の移動を案内する案内経路と該案内経路上の案内分岐点(61)を設定する案内経路設定手段(13)と、前記案内分岐点よりも前記案内経路の出発地側に存在する手前分岐点(62、64)の進入側信号機(65)及び退出側信号機(66)の位置を取得する信号機位置取得手段(13)と、前記信号機位置取得手段により取得した前記進入側信号機及び前記退出側信号機の位置に基づいて、前記進入側信号機の出発地側の所定距離手前から前記退出側信号機周辺までの区間を、案内開始区間に設定する案内開始区間設定手段(13)と、前記信号機位置取得手段により取得した前記進入側信号機の位置に基づいて、前記進入側信号機周辺から目的地側の次にある他の手前分岐点又は前記案内分岐点の進入側信号機周辺までの区間を、案内終了区間に設定する案内終了区間設定手段(13)と、前記案内開始区間に位置する前記移動体に対して前記案内分岐点の案内の出力を開始した場合に、前記案内終了区間に前記移動体が位置する間に該案内の出力を終了できるか否か判定する案内判定手段(13)と、前記移動体の位置を取得する移動体位置取得手段(13)と、前記移動体の位置と前記案内開始区間の位置とに基づいて、前記移動体が前記案内開始区間に位置するか否か判定する位置判定手段(13)と、前記案内判定手段によって案内の出力を終了できると判定された場合であって、前記位置判定手段によって前記移動体が前記案内開始区間に位置すると判定された場合に、前記案内分岐点の案内の出力を開始する分岐点案内手段(13)と、を有することを特徴とする。
【0014】
また、請求項7に係る移動案内方法は、移動体の移動を案内する案内経路と該案内経路上の案内分岐点(61)を設定する案内経路設定ステップと、前記案内分岐点よりも前記案内経路の出発地側に存在する手前分岐点(62、64)の進入側信号機(65)及び退出側信号機(66)の位置を取得する信号機位置取得ステップと、前記信号機位置取得ステップにより取得した前記進入側信号機及び前記退出側信号機の位置に基づいて、前記進入側信号機の出発地側の所定距離手前から前記退出側信号機周辺までの区間を、案内開始区間に設定する案内開始区間設定ステップと、前記信号機位置取得ステップにより取得した前記進入側信号機の位置に基づいて、前記進入側信号機周辺から目的地側の次にある他の手前分岐点又は前記案内分岐点の進入側信号機周辺までの区間を、案内終了区間に設定する案内終了区間設定ステップと、前記案内開始区間に位置する前記移動体に対して前記案内分岐点の案内の出力を開始した場合に、前記案内終了区間に前記移動体が位置する間に該案内の出力を終了できるか否か判定する案内判定ステップと、前記移動体の位置を取得する移動体位置取得ステップと、前記移動体の位置と前記案内開始区間の位置とに基づいて、前記移動体が前記案内開始区間に位置するか否か判定する位置判定ステップと、前記案内判定ステップによって案内の出力を終了できると判定された場合であって、前記位置判定ステップによって前記移動体が前記案内開始区間に位置すると判定された場合に、前記案内分岐点の案内の出力を開始する分岐点案内ステップと、を有することを特徴とする。
【0015】
更に、請求項8に係るコンピュータプログラムは、コンピュータに、移動体の移動を案内する案内経路と該案内経路上の案内分岐点(61)を設定する案内経路設定機能と、前記案内分岐点よりも前記案内経路の出発地側に存在する手前分岐点(62、64)の進入側信号機(65)及び退出側信号機(66)の位置を取得する信号機位置取得機能と、前記信号機位置取得機能により取得した前記進入側信号機及び前記退出側信号機の位置に基づいて、前記進入側信号機の出発地側の所定距離手前から前記退出側信号機周辺までの区間を、案内開始区間に設定する案内開始区間設定機能と、前記信号機位置取得機能により取得した前記進入側信号機の位置に基づいて、前記進入側信号機周辺から目的地側の次にある他の手前分岐点又は前記案内分岐点の進入側信号機周辺までの区間を、案内終了区間に設定する案内終了区間設定機能と、前記案内開始区間に位置する前記移動体に対して前記案内分岐点の案内の出力を開始した場合に、前記案内終了区間に前記移動体が位置する間に該案内の出力を終了できるか否か判定する案内判定機能と、前記移動体の位置を取得する移動体位置取得機能と、前記移動体の位置と前記案内開始区間の位置とに基づいて、前記移動体が前記案内開始区間に位置するか否か判定する位置判定機能と、前記案内判定機能によって案内の出力を終了できると判定された場合であって、前記位置判定ステップによって前記移動体が前記案内開始区間に位置すると判定された場合に、前記案内分岐点の案内の出力を開始する分岐点案内機能と、を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
前記構成を有する請求項1に記載の移動案内システムによれば、分岐点の間隔が短い都心部等において分岐点の通過中に案内を出力しなければならない場合であっても、手前分岐点の信号機の位置に基づく適切なタイミングで案内の出力を開始及び終了することによって、案内分岐点をユーザに正確に特定させる案内を行うことが可能となる。また、分岐点の間隔が短い都心部等においても従来のような案内が行われない事態が発生することを防止し、ユーザに案内分岐点を正確に特定させることを可能にする。
【0017】
また、請求項2に記載の移動案内システムによれば、移動体と手前分岐点との位置関係を特定する第1フレーズと、手前分岐点を移動体が通過した後の移動体と案内分岐点との位置関係を特定する第2フレーズとをそれぞれ含む案内により案内分岐点の案内を行うので、手前分岐点の通過中に案内を出力しなければならない場合であっても、移動体の手前分岐点の通過を考慮した案内を行うことにより、案内分岐点の位置をユーザに容易に特定させることが可能となる。また、案内分岐点までの距離を用いて案内する場合と比較して、ユーザに案内分岐点をより正確に特定させることが可能となる。
【0018】
また、請求項3に記載の移動案内システムによれば、手前分岐点を移動体が現在通過中の分岐点であることを示す第1フレーズを含む案内により案内分岐点の案内を行うので、フレーズ中に示される手前分岐点をユーザに正確に特定させることが可能となる。その結果、手前分岐点を基準に案内分岐点の位置をユーザに容易に特定させることが可能となる。
【0019】
また、請求項4に記載の移動案内システムによれば、手前分岐点を移動体が通過した後の移動体から案内分岐点までの分岐点の数を特定する第2フレーズを含む案内により案内分岐点の案内を行うので、分岐点の数によって移動体と案内分岐点との位置関係をユーザに容易に特定させることが可能となる。その結果、ユーザに案内分岐点を正確に特定させることが可能となる。
【0020】
また、請求項5に記載の移動案内システムによれば、手前分岐点の退出側信号機が視認できなくなる前、即ち手前分岐点をユーザが現在通過していると認識できる状態で案内分岐点の案内の出力を開始し、手前分岐点の前方にある分岐点が次の分岐点と認識できる状態で案内分岐点の案内の出力を終了することが可能となる。その結果、案内内容に基づく適切なタイミングで案内分岐点の案内を開始することが可能となる。特に信号機や分岐点を用いた案内を行う場合には、その効果は顕著なものとなる。
【0021】
また、請求項6に記載の移動案内装置によれば、分岐点の間隔が短い都心部等において分岐点の通過中に案内を出力しなければならない場合であっても、手前分岐点の信号機の位置に基づく適切なタイミングで案内の出力を開始及び終了することによって、案内分岐点をユーザに正確に特定させる案内を行うことが可能となる。また、分岐点の間隔が短い都心部等においても従来のような案内が行われない事態が発生することを防止し、ユーザに案内分岐点を正確に特定させることを可能にする。
【0022】
また、請求項7に記載の移動案内方法によれば、分岐点の間隔が短い都心部等において分岐点の通過中に案内を出力しなければならない場合であっても、手前分岐点の信号機の位置に基づく適切なタイミングで案内の出力を開始及び終了することによって、案内分岐点をユーザに正確に特定させる案内を行うことが可能となる。また、分岐点の間隔が短い都心部等においても従来のような案内が行われない事態が発生することを防止し、ユーザに案内分岐点を正確に特定させることを可能にする。
【0023】
更に、請求項8に記載のコンピュータプログラムによれば、分岐点の間隔が短い都心部等において分岐点の通過中に案内を出力しなければならない場合であっても、手前分岐点の信号機の位置に基づく適切なタイミングで案内の出力を開始及び終了させることによって、案内分岐点をユーザに正確に特定させる案内を行わせることが可能となる。また、分岐点の間隔が短い都心部等においても従来のような案内が行われない事態が発生することを防止し、ユーザに案内分岐点を正確に特定させることを可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本実施形態に係るナビゲーション装置を示したブロック図である。
【図2】分岐点に配置される信号機の一例を示した図である。
【図3】案内フレーズ条件テーブルの一例を示した図である。
【図4】案内フレーズ条件テーブルで規定された案内開始区間や案内終了区間を説明した図である。
【図5】本実施形態に係る分岐点案内処理プログラムのフローチャートである。
【図6】本実施形態に係る案内設定処理のサブ処理プログラムのフローチャートである。
【図7】本実施形態に係る第1案内判定処理のサブ処理プログラムのフローチャートである。
【図8】第1案内判定処理のサブ処理プログラムの判定方法を説明した図である。
【図9】本実施形態に係る第2案内判定処理のサブ処理プログラムのフローチャートである。
【図10】第2案内判定処理のサブ処理プログラムの判定方法を説明した図である。
【図11】本実施形態に係る第3案内判定処理のサブ処理プログラムのフローチャートである。
【図12】第3案内判定処理のサブ処理プログラムの判定方法を説明した図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明に係る移動案内システム及び移動案内装置をナビゲーション装置に具体化した一実施形態に基づき図面を参照しつつ詳細に説明する。先ず、本実施形態に係るナビゲーション装置1の概略構成について図1を用いて説明する。図1は本実施形態に係るナビゲーション装置1を示したブロック図である。
【0026】
図1に示すように本実施形態に係るナビゲーション装置1は、ナビゲーション装置1が搭載された車両の現在位置を検出する現在位置検出部11と、各種のデータが記録されたデータ記録部12と、入力された情報に基づいて、各種の演算処理を行うナビゲーションECU13と、ユーザからの操作を受け付ける操作部14と、ユーザに対して車両周辺の地図や施設の関する施設情報を表示する液晶ディスプレイ15と、経路案内に関する音声ガイダンスを出力するスピーカ16と、記憶媒体であるDVDを読み取るDVDドライブ17と、プローブセンタやVICS(登録商標:Vehicle Information and Communication System)センタ等の情報センタとの間で通信を行う通信モジュール18と、から構成されている。
【0027】
以下に、ナビゲーション装置1を構成する各構成要素について順に説明する。
現在位置検出部11は、GPS21、車速センサ22、ステアリングセンサ23、ジャイロセンサ24等からなり、現在の車両の位置、方位、車両の走行速度、現在時刻等を検出することが可能となっている。ここで、特に車速センサ22は、車両の移動距離や車速を検出する為のセンサであり、車両の駆動輪の回転に応じてパルスを発生させ、パルス信号をナビゲーションECU13に出力する。そして、ナビゲーションECU13は発生するパルスを計数することにより駆動輪の回転速度や移動距離を算出する。尚、上記5種類のセンサをナビゲーション装置1が全て備える必要はなく、これらの内の1又は複数種類のセンサのみをナビゲーション装置1が備える構成としても良い。
【0028】
また、データ記録部12は、外部記憶装置及び記録媒体としてのハードディスク(図示せず)と、ハードディスクに記録された地図情報DB31や案内フレーズ条件テーブル32や所定のプログラム等を読み出すとともにハードディスクに所定のデータを書き込む為のドライバである記録ヘッド(図示せず)とを備えている。尚、データ記録部12をハードディスクの代わりにメモリーカードやCDやDVD等の光ディスクにより構成しても良い。
【0029】
ここで、地図情報DB31は、例えば、道路(リンク)に関するリンクデータ33、ノード点に関するノードデータ34、各分岐点に関する分岐点データ35、施設等の地点に関する地点データ、地図を表示するための地図表示データ、経路を探索するための探索データ、地点を検索するための検索データ等が記憶された記憶手段である。
【0030】
ここで、リンクデータ33としては、例えば、該リンクを識別するリンクID、該リンクの端部に位置するノードを特定する端部ノード情報、該リンクを構成する道路の道路種別、車線数等が記憶される。また、ノードデータ34としては、該ノードを識別するノードID、該ノードの位置座標、該ノードがリンクを介して接続される接続先ノードを特定する接続先ノード情報等が記憶される。また、分岐点データ35としては、該分岐点(交差点)を形成するノードを特定する該当ノード情報、該分岐点に接続されるリンク(以下、接続リンクという)を特定する接続リンク情報、分岐点の周辺に設置された信号機に関する信号機情報36等が記憶される。
【0031】
また、信号機情報36としては、全国の各分岐点(交差点)の周辺に設置された信号機について、信号機の設置された方向(即ち、信号機のライトが向いている方向であり、以下、設置方向という)や灯数(3灯式、1灯式等)や信号機の設置された位置座標(以下、設置座標という)等が記憶される。更に、一の分岐点に対して複数の信号機が設置されている場合には、複数の信号機毎に上記設置方向や設置座標等が記憶される。例えば、図2に示すように片側2車線の道路が交差する分岐点51では、8個の信号機52〜59が設置されている。従って、分岐点51の信号機情報36としては、信号機52〜59の設置方向や設置座標等が記憶される。
【0032】
尚、信号機情報36としては、分岐点からの退出方向毎に、最も退出側にある信号機(即ち車両が分岐点を通過する際に、その分岐点で最後に視認できる信号機であり、以下、退出側信号機という)に関する情報のみを記憶する構成としても良い。例えば、図2に示す分岐点51では、図の下から上への退出方向に対して退出側信号機である信号機53に関する情報を記憶し、図の上から下への退出方向に対して退出側信号機である信号機55に関する情報を記憶し、図の左から右への退出方向に対して退出側信号機である信号機57に関する情報を記憶し、図の右から左への退出方向に対して退出側信号機である信号機59に関する情報を記憶する。即ち、8個の信号機52〜59の内、信号機53、55、57、59の設置方向と設置座標のみを記憶する構成としても良い。また、分岐点からの進入方向毎に、最も進入側(即ち出発地側)にある信号機(即ち車両が最初に視認できる信号機であり、以下、進入側信号機という)に関する情報のみを記憶する構成としても良い。更に、信号機の代わりに停止線に関する情報を記憶する構成としても良い。
そして、ナビゲーションECU13は、後述のように地図情報DB31に記憶された各データに基づいて、車両の進行方向前方にある案内分岐点と該案内分岐点よりも案内経路の出発地側に存在する分岐点(以下、手前分岐点という)を特定する。また、案内分岐点や手前分岐点の周辺にある信号機の信号機情報36を取得する。そして、特定された案内分岐点や手前分岐点に関する情報や取得した信号機情報36に基づいて、車両の進行方向前方にある案内分岐点の案内を複数の候補の内から設定する。尚、案内分岐点とは、ナビゲーション装置1に設定されている案内経路に従ってナビゲーション装置1が走行の案内を行う際に、右左折指示等の案内を行う対象となる分岐点である。
【0033】
また、案内フレーズ条件テーブル32は、案内分岐点を案内する為の案内の候補である複数種類の案内候補について、発話されるフレーズの内容とともに、案内の発話を出力する為に必要な時間や、案内の発話を開始する必要のある区間(即ち、その区間に車両が位置する間に案内を開始する必要がある区間)である案内開始区間や、案内の発話を終了する必要のある区間(即ち、その区間に車両が位置する間に案内を終了する必要がある区間)である案内終了区間等がそれぞれ対応付けられて記憶されたテーブルである。尚、本実施形態に係るナビゲーション装置1では、案内開始区間及び案内終了区間は、後述のように案内分岐点や手前分岐点に対する車両の相対位置(より具体的には、案内分岐点や手前分岐点に配置される信号機に対する車両の相対位置)によって特定される。
【0034】
以下に、案内フレーズ条件テーブル32について具体例を挙げてより詳細に説明する。図3は案内フレーズ条件テーブル32の一例を示した図である。図4は、図3に示す案内フレーズ条件テーブル32で規定された案内開始区間や案内終了区間を説明した図である。尚、図3に示す案内候補は、案内分岐点で行われる案内の内、特に信号機の設置された分岐点を用いて案内分岐点での右左折の案内を行う場合に出力される案内の候補について示す。また、以下の実施例の説明では、案内分岐点及び手前分岐点はいずれも信号機の設置された分岐点であり、案内分岐点の一つ手前側(案内経路に沿った出発地側)の分岐点を第1手前分岐点と称し、第1手前分岐点の更に一つ手前側(案内経路に沿った出発地側)の分岐点を第2手前分岐点と称し、第2手前分岐点の更に一つ手前側(案内経路に沿った出発地側)の分岐点を第3手前分岐点と称して説明する。
【0035】
ここで、本実施形態に係るナビゲーション装置1では、案内分岐点の案内に設定される候補となる案内候補は、手前分岐点を特定するフレーズの内容によって基本的に3種類に区分される。具体的には、車両と案内分岐点との位置関係を示す第3フレーズを含む『通常フレーズ』と、車両と手前分岐点との位置関係を特定する第1フレーズと、手前分岐点を移動体が通過した後の移動体と案内分岐点との位置関係を特定する第2フレーズとをそれぞれ含む『特殊フレーズA』及び『特殊フレーズB』とに区分される。
【0036】
また、『通常フレーズ』に含まれる第3フレーズは、車両と案内分岐点との位置関係を、案内時点の車両から案内分岐点までに存在する分岐点(より具体的には信号機の設置された分岐点)の数により示すフレーズ(例えば「2つ目の信号」)である。
一方、『特殊フレーズA』に含まれる第1フレーズは、車両と手前分岐点との位置関係を、手前分岐点の内、案内時点で最も車両側にある手前分岐点を将来的に車両が通過する分岐点であることを示すフレーズ(例えば「これから通過する信号」)である。また、『特殊フレーズA』に含まれる第2フレーズは、該手前分岐点を車両が通過した後の車両と案内分岐点との位置関係を、手前分岐点通過後の車両から案内分岐点までに存在する分岐点(より具体的には信号機の設置された分岐点)の数により示すフレーズ(例えば「2つ目の信号」)である。
更に、『特殊フレーズB』に含まれる第1フレーズは、車両と手前分岐点との位置関係を、手前分岐点の内、案内時点で最も車両側にある手前分岐点を車両が現在通過中の分岐点であることを示すフレーズ(例えば「通過中の信号」)である。また、『特殊フレーズB』に含まれる第2フレーズは、該手前分岐点を車両が通過した後の車両と案内分岐点との位置関係を、手前分岐点通過後の車両から案内分岐点までに存在する分岐点(より具体的には信号機の設置された分岐点)の数により示すフレーズ(例えば「次の信号」)である。
【0037】
また、例えば『通常フレーズ』の内、「2つ目の信号を左(右)方向です」との案内を行う場合には、案内分岐点に進入するまでに2箇所の分岐点の信号機をユーザがカウントできる状態にある間に、案内の発話を開始し且つ終了する(即ち、音声案内の出力を開始し且つ出力を終了する)必要がある。従って、図3に示すように、「2つ目の信号を左(右)方向です」との案内候補には、案内開始区間として“第2手前分岐点の退出側信号機から5m手前”から“第1手前分岐点の進入側信号機から50m手前”までの区間(即ち、案内分岐点の進入側信号機に対して2つ手前の分岐点に位置する信号機がユーザの視界から消えてから、案内分岐点の進入側信号機に対して1つ手前の分岐点に位置する信号機をユーザが余裕をもって視認できるまでの区間)が対応付けられている。また、案内終了区間として、案内開始区間と同様の区間が対応付けられている。具体的に図4を用いて説明すると、案内開始区間及び案内終了区間は、案内分岐点61に対して2つ手前側の第2手前分岐点62の退出側信号機63の5m手前の地点Aから、案内分岐点61に対して1つ手前側の第1手前分岐点64の進入側信号機65から更に50m手前の地点Bまでの区間となる。その結果、案内を受けたユーザは、案内分岐点61に進入するまでに第1手前分岐点64と案内分岐点61の2箇所の信号機の設置された分岐点をカウントすることが可能となり、案内文中の『2つ目の信号』が案内分岐点61に設置された進入側信号機67であることを明確に特定することが可能となる。
尚、上記案内開始区間の始点である“第2手前分岐点の退出側信号機から5m手前”は、第2手前分岐点の退出側信号機の周辺であって、特に車両の乗員(特に運転手)から第2手前分岐点の退出側信号機が視認できる状態から視認できなくなる状態へと切り替わる地点に相当する。ここで、車両の乗員から第2手前分岐点の退出側信号機が視認できる状態から視認できなくなる状態へと切り替わる地点は、退出側信号機に対する相対的な位置関係によって特定されるが、その地点は車種毎に(より具体的には車の形状やフロントウィンドウの形状によって)異なる。従って、上述した5mという距離は固定値としても良いが、車種毎に変更する距離Lとしても良い。尚、車種毎に変更する場合には、ナビゲーションECU13は車両情報として車種又は距離LをセンタやDBから取得するように構成する。
尚、案内フレーズ中の信号機の数は、分岐点単位での信号機の数とすることが望ましい。即ち、大型の道路等において同一分岐点に複数の信号機が設けられている場合には、該複数の信号機は1の信号機としてカウントすることが望ましい。その場合には、案内フレーズ中の信号機の数は、信号機の設置された分岐点(即ち、信号機交差点)の数に相当する。但し、分岐点単位でカウントする場合であっても、分岐点以外に設置された信号機(例えば押しボタン式信号機等)も信号機の数としてカウントすることが望ましい。以下の説明でも同様である。
【0038】
また、例えば『特殊フレーズA』の内、「これから通過する信号の、次の信号を左(右)方向です」との案内を行う場合には、案内分岐点の1つ手前の分岐点(案内文中の『これから通過する信号』が示す信号機の設置された分岐点)をユーザが今から通過すると把握できる状態にある間に、案内の発話を開始し且つ終了する(即ち、音声案内の出力を開始し且つ出力を終了する)必要がある。従って、図3に示すように、「これから通過する信号の、次の信号を左(右)方向です」との案内候補には、案内開始区間として“「第1手前分岐点の進入側信号機から100m手前」と「第2手前分岐点の退出側信号機から5m手前」の内、案内分岐点に近い方の地点”から“第1手前分岐点の進入側信号機から5m手前”までの区間(即ち、案内分岐点の進入側信号機に対して1つ手前の分岐点に位置する信号機が車両から最も近くに位置して、ユーザが該信号機を視認できる区間)が対応付けられている。また、案内終了区間として“「第1手前分岐点の進入側信号機から100m手前」と「第2手前分岐点の退出側信号機から5m手前」の内、案内分岐点に近い方の地点”から“第1手前分岐点の退出側信号機から5m手前”までの区間(即ち、案内分岐点の進入側信号機に対して1つ手前の分岐点に位置する信号機が車両から最も近くに位置して、ユーザが該分岐点を通過完了していない(即ち通過中又は通過前)と把握できる区間)が対応付けられている。具体的に図4を用いて説明すると、案内開始区間は、案内分岐点61に対して1つ手前側の第1手前分岐点64の進入側信号機65の100m手前の地点Cから、第1手前分岐点64の進入側信号機65から5m手前の地点Dまでの区間となる。また、案内終了区間は、案内分岐点61に対して1つ手前側の第1手前分岐点64の進入側信号機65の100m手前の地点Eから、第1手前分岐点64の退出側信号機66から5m手前の地点Fまでの区間となる。その結果、案内を受けたユーザは、第1手前分岐点64が案内文中の『これから通過する信号』の示す信号機の設置された分岐点であることが把握でき、案内文中の『次の信号』が案内分岐点61の進入側信号機67であることを明確に特定することが可能となる。
尚、上記案内開始区間の終点である“第2手前分岐点の進入側信号機から5m手前”は、第2手前分岐点の進入側信号機の周辺であって、特に車両の乗員(特に運転手)から第2手前分岐点の進入側信号機が視認できる状態から視認できなくなる状態へと切り替わる地点に相当する。ここで、車両の乗員から第2手前分岐点の進入側信号機が視認できる状態から視認できなくなる状態へと切り替わる地点は、進入側信号機に対する相対的な位置関係によって特定されるが、その地点は車種毎に(より具体的には車の形状やフロントウィンドウの形状によって)異なる。従って、上述した5mという距離は固定値としても良いが、車種毎に変更する距離Lとしても良い。尚、車種毎に変更する場合には、ナビゲーションECU13は車両情報として車種又は距離LをセンタやDBから取得するように構成する。尚、案内開始区間の終点以外に案内開始区間の始点、案内終了区間の始点及び終点についても同様である。
【0039】
また、例えば『特殊フレーズB』の内、「通過中の信号の、次の信号を左(右)方向です」との案内を行う場合には、案内分岐点の1つ手前の信号機(案内文中の『通過中の信号』が示す信号機の設置された分岐点)をユーザが通過していると把握できる状態にある間に、案内の発話を開始し且つ終了する(即ち、音声案内の出力を開始し且つ出力を終了する)必要がある。従って、図3に示すように、「通過中の信号の、次の信号を左(右)方向です」との案内候補には、案内開始区間として“「第1手前分岐点の進入側信号機から50m手前」と「第2手前分岐点の退出側信号機から5m手前」の内、案内分岐点に近い方の地点”から“第1手前分岐点の退出側信号機から5m手前”までの区間(即ち、案内分岐点の進入側信号機に対して1つ手前の分岐点に位置する信号機が車両から最も近くに位置して、ユーザが該信号機を視認できる区間)が対応付けられている。また、案内終了区間として“第1手前分岐点の進入側信号機から5m手前”から“案内分岐点の進入側信号機から5m手前”までの区間(即ち、案内分岐点の進入側信号機に対して1つ手前の分岐点に位置する信号機が車両から最も近くに位置して、ユーザが該分岐点を現在通過していると把握できる区間)が対応付けられている。具体的に図4を用いて説明すると、案内開始区間は、案内分岐点61に対して1つ手前側の信号機付きの分岐点である第1手前分岐点64の進入側信号機65の50m手前の地点Gから、第1手前分岐点64の退出側信号機66から5m手前の地点Hまでの区間となる。また、案内終了区間は、案内分岐点61に対して1つ手前側の信号機付きの分岐点である第1手前分岐点64の進入側信号機65の5m手前の地点Iから、案内分岐点61の進入側信号機67から5m手前の地点Jまでの区間となる。その結果、案内を受けたユーザは、第1手前分岐点64が案内文中の『通過中の信号』の示す信号機の設置された分岐点であることが把握でき、案内文中の『次の信号』が案内分岐点61の進入側信号機67であることを明確に特定することが可能となる。
尚、上記案内開始区間の終点である“第2手前分岐点の退出側信号機から5m手前”は、第2手前分岐点の退出側信号機の周辺であって、特に車両の乗員(特に運転手)から第2手前分岐点の退出側信号機が視認できる状態から視認できなくなる状態へと切り替わる地点に相当する。ここで、車両の乗員から第2手前分岐点の退出側信号機が視認できる状態から視認できなくなる状態へと切り替わる地点は、退出側信号機に対する相対的な位置関係によって特定されるが、その地点は車種毎に(より具体的には車の形状やフロントウィンドウの形状によって)異なる。従って、上述した5mという距離は固定値としても良いが、車種毎に変更する距離Lとしても良い。尚、車種毎に変更する場合には、ナビゲーションECU13は車両情報として車種又は距離LをセンタやDBから取得するように構成する。尚、案内開始区間の終点以外に案内開始区間の始点、案内終了区間の始点及び終点についても同様である。
【0040】
案内フレーズ条件テーブル32には、同様にして他の案内候補についても記憶されている。尚、案内分岐点の案内方向は、左(右)方向以外に、右(左)斜め方向や右(左)手前方向等も存在する。また、案内方向によって案内を出力する為に必要な時間も変化する。また、案内開始区間及び案内終了区間の開始端又は終端を特定する各数値(5m、50m、100m等)は適宜変更することが可能である。
そして、ナビゲーションECU13は、後述のように案内経路の形状や案内経路上に設置された信号機や分岐点の位置情報や案内フレーズ条件テーブル32等に基づいて『通常フレーズ』、『特殊フレーズA』、『特殊フレーズB』の内から車両の進行方向前方にある案内分岐点の案内に用いる案内を設定する。例えば、上述した『通常フレーズ』、『特殊フレーズA』、『特殊フレーズB』の案内候補は、車両と手前分岐点との位置関係及び車両と案内分岐点との位置関係を特定する第1フレーズ〜第3フレーズの内のいずれか一又は複数を用いて案内分岐点を案内する案内候補であるが、そのフレーズの内容が互いに異なる。従って、ナビゲーションECU13は、後述のように車両と手前分岐点及び案内分岐点との位置関係を考慮して、車両と手前分岐点及び案内分岐点との位置関係を示すフレーズが適当な案内候補を案内分岐点の案内として設定することとなる。
【0041】
一方、ナビゲーションECU(エレクトロニック・コントロール・ユニット)13は、ナビゲーション装置1の全体の制御を行う電子制御ユニットであり、演算装置及び制御装置としてのCPU41、並びにCPU41が各種の演算処理を行うにあたってワーキングメモリとして使用されるとともに、経路が探索されたときの経路データ等が記憶されるRAM42、制御用のプログラムのほか、後述の分岐点案内処理プログラム(図5〜図7、図9、図11参照)等が記録されたROM43、ROM43から読み出したプログラムを記憶するフラッシュメモリ44等の内部記憶装置を備えている。尚、ナビゲーションECU13は、処理アルゴリズムとしての各種手段を構成する。例えば、案内経路設定手段は、車両(移動体)の移動を案内する出発地(例えば、車両の現在位置)から目的地までの案内経路及び案内分岐点を設定する。信号機位置取得手段は、案内分岐点よりも案内経路の出発地側に存在する手前分岐点の進入側信号機及び退出側信号機の位置を取得する。案内開始区間設定手段は、手前分岐点の進入側信号機及び退出側信号機の位置に基づいて、手前分岐点の進入側信号機の出発地側の所定距離手前から手前分岐点の退出側信号機周辺までの区間を、案内開始区間に設定する。案内終了区間設定手段は、手前分岐点の進入側信号機の位置に基づいて、手前分岐点の進入側信号機周辺から目的地側の次にある他の手前分岐点又は案内分岐点の進入側信号機周辺までの区間を、案内終了区間に設定する。案内判定手段は、案内開始区間に位置する車両に対して案内分岐点の案内の出力を開始した場合に、案内終了区間に車両が位置する間に該案内の出力を終了できるか否か判定する。移動体位置取得手段は、車両の位置を取得し、位置判定手段は、車両の位置と案内開始区間の位置とに基づいて、車両が案内開始区間に位置するか否か判定する。分岐点案内手段は、案内判定手段によって案内の出力を終了できると判定された場合であって、位置判定手段によって車両が案内開始区間に位置すると判定された場合に、案内分岐点の案内の出力を開始する。車両情報取得手段は、車両に関する車両情報を取得する。第1切替地点特定手段は、車両情報に基づいて、車両の乗員から手前分岐点の進入側信号機が視認できる状態から視認できなくなる状態へと切り替わる第1切替地点を特定し、第2切替地点特定手段は、車両情報に基づいて、車両の乗員から手前分岐点の退出側信号機が視認できる状態から視認できなくなる状態へと切り替わる第2切替地点を特定する。第3切替地点特定手段は、車両情報に基づいて、車両の乗員から他の手前分岐点又は案内分岐点の進入側信号機が視認できる状態から視認できなくなる状態へと切り替わる第3切替地点を特定する。
【0042】
操作部14は、走行開始地点としての出発地及び走行終了地点としての目的地を入力する際等に操作され、各種のキー、ボタン等の複数の操作スイッチ(図示せず)から構成される。そして、ナビゲーションECU13は、各スイッチの押下等により出力されるスイッチ信号に基づき、対応する各種の動作を実行すべく制御を行う。尚、操作部14は液晶ディスプレイ15の前面に設けたタッチパネルによって構成することもできる。また、マイクと音声認識装置によって構成することもできる。
【0043】
また、液晶ディスプレイ15には、道路を含む地図画像、交通情報、操作案内、操作メニュー、キーの案内、出発地から目的地までの案内経路、案内経路に沿った案内情報、ニュース、天気予報、時刻、メール、テレビ番組等が表示される。特に本実施形態では、案内分岐点が車両の進行方向前方の所定距離以内(例えば300m)に接近した場合には、案内分岐点付近の拡大図や車両の案内分岐点における進行方向について表示する。
【0044】
また、スピーカ16は、ナビゲーションECU13からの指示に基づいて案内経路に沿った走行を案内する音声ガイダンスや、交通情報の案内を出力する。特に本実施形態では、案内分岐点が車両の進行方向前方にある場合には、案内内容に基づく所定の案内の開始タイミング(例えば、「通過中の信号の、次の信号を左方向です」との音声案内を出力する場合には、第2手前分岐点の進入側信号機から50m手前(図3参照)に車両が到達するタイミング)で案内分岐点の音声案内を出力する。
【0045】
また、DVDドライブ17は、DVDやCD等の記録媒体に記録されたデータを読み取り可能なドライブである。そして、読み取ったデータに基づいて音楽や映像の再生、地図情報DB31の更新等が行われる。
【0046】
また、通信モジュール18は、交通情報センタ、例えば、VICSセンタやプローブセンタ等から送信された渋滞情報、規制情報、交通事故情報等の各情報から成る交通情報を受信する為の通信装置であり、例えば携帯電話機やDCMが該当する。
【0047】
続いて、前記構成を有するナビゲーション装置1においてナビゲーションECU13が実行する分岐点案内処理プログラムについて図5に基づき説明する。図5は本実施形態に係る分岐点案内処理プログラムのフローチャートである。ここで、分岐点案内処理プログラムは車両のACCがONされた後に所定間隔(例えば車両の現在位置の検出周期毎)で繰り返し実行され、案内経路上にある案内分岐点に対する案内を行うプログラムである。尚、以下の図5〜図7、図9、図11にフローチャートで示されるプログラムは、ナビゲーション装置1が備えているRAM42やROM43に記憶されており、CPU41により実行される。
【0048】
先ず、分岐点案内処理プログラムではステップ(以下、Sと略記する)1において、CPU41は、ナビゲーション装置1において設定された案内経路に基づく経路案内が行われているか否か判定する。ここで、案内経路は、出発地(例えば自車の現在位置)からユーザに選択された目的地までの推奨経路であり、経路探索処理の結果に基づいて設定される。また、経路探索処理は、地図情報DB31に記憶されたリンクデータ33やノードデータ34、VICSセンタから取得した交通情報等を用いて、公知のダイクストラ法等により行われる。
【0049】
そして、ナビゲーション装置1において設定された案内経路に基づく経路案内が行われていると判定された場合(S1:YES)には、S2へと移行する。それに対して、ナビゲーション装置1において設定された案内経路に基づく経路案内が行われていないと判定された場合(S1:NO)には、当該分岐点案内処理プログラムを終了する。
【0050】
S2においてCPU41は、車両の現在位置を現在位置検出部11の検出結果に基づいて取得する。尚、車両の現在位置を地図データ上で特定するマップマッチング処理についても行う。更に、車両の現在位置は、高精度ロケーション技術を用いて詳細に特定することが望ましい。ここで、高精度ロケーション技術とは、車両後方のカメラから取り込んだ白線や路面ペイント情報を画像認識により検出し、更に、白線や路面ペイント情報を予め記憶した地図情報DBと照合することにより、走行車線や高精度な車両位置を検出可能にする技術である。尚、高精度ロケーション技術の詳細については既に公知であるので省略する。
【0051】
次に、S3においてCPU41は、ナビゲーション装置1において設定されている案内経路(案内経路中の案内分岐点を含む)を取得する。
【0052】
続いて、S4においてCPU41は、前記S2で取得した車両の現在位置と前記S3で取得した案内経路に基づいて、車両の進行方向前方の所定距離以内(例えば、1.47km以内)に案内分岐点が有るか否か判定する。尚、案内分岐点とは、前記したようにナビゲーション装置1に設定された案内経路に従ってナビゲーション装置1が走行の案内を行う際に、右左折指示等の案内を行う対象となる分岐点である。
【0053】
そして、車両の進行方向前方の所定距離以内に案内分岐点が有ると判定された場合(S4:YES)には、S5へと移行する。それに対して、車両の進行方向前方の所定距離以内に案内分岐点が無いと判定された場合(S4:NO)には、当該分岐点案内処理プログラムを終了する。
【0054】
S5においてCPU41は、車両の進行方向前方にある案内分岐点に対する案内が既に行われたか否か判定する。尚、前記S5では、案内分岐点に対する案内の内、特に案内分岐点での右左折等を指示する音声案内が行われたか否かを判定する。
【0055】
そして、車両の進行方向前方にある案内分岐点に対する案内が既に行われたと判定された場合(S5:YES)には、当該分岐点案内処理プログラムを終了する。それに対して、車両の進行方向前方にある案内分岐点に対する案内が行われていないと判定された場合(S5:NO)には、S6へと移行する。
【0056】
S6においてCPU41は、車両の進行方向前方にある案内分岐点に対する案内が、後述の案内設定処理(S7)において既に設定されたか否か判定する。尚、前記S6では、案内分岐点に対する案内の内、特に案内分岐点での右左折等を指示する音声案内が設定されたか否かを判定する。
【0057】
そして、車両の進行方向前方にある案内分岐点に対する案内が既に設定されたと判定された場合(S6:YES)には、S8へと移行する。それに対して、車両の進行方向前方にある案内分岐点に対する案内がまだ設定されていないと判定された場合(S6:NO)には、S7へと移行する。
【0058】
S7においてCPU41は、後述の案内設定処理(図6)を実行する。尚、案内設定処理は、後述のように案内フレーズ条件テーブル32に規定された複数の案内候補(本実施形態では『通常フレーズ』、『特殊フレーズA』、『特殊フレーズC』の3種類)の内から、手前分岐点間の相対的な位置関係に基づいて、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点を案内する為の最適な案内候補を選択し、該案内分岐点の案内として設定する処理である。
【0059】
次に、S8においてCPU41は、前記S7で案内に設定された案内候補に基づく案内の出力を開始するタイミングとなったか否か判定する。具体的には、前記S7で案内に設定された案内候補に対応付けられた案内開始区間(図3参照)に車両が位置するか否か判定され、該案内開始区間に車両が位置する場合に案内の出力を開始するタイミングとなったと判定する。尚、通常は案内開始区間の内、特に案内開始区間の始点に車両が到達した時点を、案内の出力を開始するタイミングとする。例えば、前記S7において『通常フレーズ』による案内が案内分岐点の案内に設定された場合には、車両が“第3手前分岐点の退出側信号機から更に5m手前”又は“第2手前分岐点の退出側信号機から更に5m手前”又は“第1手前分岐点の退出側信号機から更に5m手前”に到達した時点で、それぞれ案内の出力を開始するタイミングとなったと判定する。但し、案内終了区間に車両が位置する間に案内の出力が終了するのであれば、案内開始区間内の始点以外の地点(例えば終点や中間地点等)に車両が到達した時点を、案内の出力を開始するタイミングとしても良い。例えば、車両の現在位置の検出誤差を考慮し、生じ得る最大の検出誤差(例えば30m)の距離分だけ案内開始区間の始点から終点側に移動した地点に車両が到達した時点を、案内の出力を開始するタイミングとしても良い。また、手前分岐点の間隔が短い場合や案内分岐点が連続する場合等において、案内開始区間の始点に車両が到達した時点で前回の案内が終了していない場合には、前回の案内が終了した後の時点を案内の出力を開始するタイミングとする。
【0060】
そして、前記S7で案内に設定された案内候補に基づく案内の出力を開始するタイミングとなったと判定された場合(S8:YES)には、S9へと移行する。それに対して、前記S7で案内に設定された案内候補に基づく案内の出力を開始するタイミングとなっていないと判定された場合(S8:NO)には、当該分岐点案内処理プログラムを終了する。
【0061】
S9においてCPU41は、前記S7で案内に設定された案内候補に基づいて、案内分岐点に関する案内を行う。具体的には、案内分岐点を特定させる案内と車両の案内分岐点での退出方向を特定する案内(即ち、車両が案内分岐点から退出する退出道路を特定させる為の案内)を行う。例えば、前記S7において『特殊フレーズB』による案内が案内分岐点の案内に設定された場合であって、車両が通過中の手前分岐点から案内分岐点までに存在する分岐点の数が、該手前分岐点を除き案内分岐点を含めて2つである場合には、車両が案内開始区間に位置するタイミングで「通過中の信号の、2つ目の信号を左(右)方向です」とのフレーズをスピーカ16から出力する。また、車両が通過中の手前分岐点から案内分岐点までに存在する分岐点の数が、該手前分岐点を除き案内分岐点を含めて1つである場合には、「通過中の信号の、次の信号を左(右)方向です」とのフレーズをスピーカ16から出力する。尚、手前分岐点から案内分岐点までに存在する分岐点の数は、前記S2で取得した車両の現在位置と地図情報DB31に基づいて取得される。更に、案内分岐点が車両の所定距離以内(例えば300m)に接近した場合には、案内分岐点付近の拡大図や車両の案内分岐点における進行方向について液晶ディスプレイ15に表示する。
その結果、案内分岐点及び該案内分岐点から車両が退出する道路をユーザに正確に特定させることが可能となる。
【0062】
次に、前記S7において実行される案内設定処理のサブ処理について図6に基づき説明する。図6は案内設定処理のサブ処理プログラムのフローチャートである。
【0063】
先ず、S11においてCPU41は、後述の第1案内判定処理(図7)を実行する。尚、第1案内判定処理は、後述のように案内フレーズ条件テーブル32(図3)に規定された複数の案内候補の内、特に『通常フレーズ』による案内が、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点を案内する為の案内として適しているか否かを判定する処理である。尚、『通常フレーズ』による案内は、車両と案内分岐点との位置関係を、案内時点の車両から案内分岐点までに存在する分岐点(より具体的には信号機の設置された分岐点)の数により示す第3フレーズ(例えば「2つ目の信号」)を含む案内である。
【0064】
次に、S12においてCPU41は、前記S11の第1案内判定処理の判定の結果、『通常フレーズ』による案内が、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点を案内する為の案内として適していると認定されたか否かを判定する。
【0065】
そして、『通常フレーズ』による案内が、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点を案内する為の案内として適していると判定された場合(S12:YES)には、S13へと移行する。それに対して、『通常フレーズ』による案内が、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点を案内する為の案内として適していないと判定された場合(S12:NO)には、S14へと移行する。
【0066】
S13においてCPU41は、『通常フレーズ』による案内を、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点を案内する為の案内として設定する。また、『通常フレーズ』による案内に対応付けられた案内開始区間に車両が位置するタイミングを、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点の案内の開始タイミングとして設定する。その後、S8へと移行する。
【0067】
また、S14においてCPU41は、後述の第2案内判定処理(図9)を実行する。尚、第2案内判定処理は、後述のように案内フレーズ条件テーブル32に規定された複数の案内候補の内、特に『特殊フレーズA』による案内が、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点を案内する為の案内として適しているか否かを判定する処理である。尚、『特殊フレーズA』による案内は、車両と手前分岐点との位置関係を、手前分岐点の内、案内時点で最も車両側にある手前分岐点を将来的に車両が通過する分岐点であることを示す第1フレーズ(例えば「これから通過する信号」)と、該手前分岐点を車両が通過した後の車両と案内分岐点との位置関係を、手前分岐点通過後の車両から案内分岐点までに存在する分岐点(より具体的には信号機の設置された分岐点)の数により示す第2フレーズ(例えば「2つ目の信号」)とをそれぞれ含む案内である。
【0068】
次に、S15においてCPU41は、前記S14の第2案内判定処理の判定の結果、『特殊フレーズA』による案内が、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点を案内する為の案内として適していると認定されたか否かを判定する。
【0069】
そして、『特殊フレーズA』による案内が、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点を案内する為の案内として適していると判定された場合(S15:YES)には、S13へと移行する。それに対して、『特殊フレーズA』による案内が、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点を案内する為の案内として適していないと判定された場合(S15:NO)には、S16へと移行する。
【0070】
S13においてCPU41は、『特殊フレーズA』による案内を、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点を案内する為の案内として設定する。また、『特殊フレーズA』による案内に対応付けられた案内開始区間に車両が位置するタイミングを、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点の案内の開始タイミングとして設定する。その後、S8へと移行する。
【0071】
また、S16においてCPU41は、後述の第3案内判定処理(図11)を実行する。尚、第3案内判定処理は、後述のように案内フレーズ条件テーブル32に規定された複数の案内候補の内、特に『特殊フレーズB』による案内が、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点を案内する為の案内として適しているか否かを判定する処理である。尚、『特殊フレーズB』による案内は、車両と手前分岐点との位置関係を、手前分岐点の内、案内時点で最も車両側にある手前分岐点を車両が現在通過中の分岐点であることを示す第1フレーズ(例えば「これから通過する信号」)と、該手前分岐点を車両が通過した後の車両と案内分岐点との位置関係を、手前分岐点通過後の車両から案内分岐点までに存在する分岐点(より具体的には信号機の設置された分岐点)の数により示す第2フレーズ(例えば「2つ目の信号」)とをそれぞれ含む案内である。
【0072】
次に、S17においてCPU41は、前記S16の第3案内判定処理の判定の結果、『特殊フレーズB』による案内が、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点を案内する為の案内として適していると認定されたか否かを判定する。
【0073】
そして、『特殊フレーズB』による案内が、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点を案内する為の案内として適していると判定された場合(S17:YES)には、S13へと移行する。それに対して、『特殊フレーズB』による案内が、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点を案内する為の案内として適していないと判定された場合(S17:NO)には、S18へと移行する。
【0074】
S13においてCPU41は、『特殊フレーズB』による案内を、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点を案内する為の案内として設定する。また、『特殊フレーズB』による案内に対応付けられた案内開始区間に車両が位置するタイミングを、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点の案内の開始タイミングとして設定する。その後、S8へと移行する。
【0075】
それに対して、S18においてCPU41は、信号機を用いない案内を、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点を案内する為の案内として設定する。信号機を用いない案内としては、例えば「まもなく右(左)方向です」とのフレーズを発話する案内や、「300m先(700m先)を右(左)方向です」とのフレーズを発話する案内等が有る。また、設定された案内に対応付けられた案内開始区間に車両が位置するタイミング(例えば、「300m先を右(左)方向です」では、案内分岐点から350m手前に到達したタイミング)を、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点の案内の開始タイミングとして設定する。その後、S8へと移行する。
【0076】
また、S11で判定対象となる『通常フレーズ』による案内と、S14で判定対象となる『特殊フレーズA』による案内と、S16で判定対象となる『特殊フレーズB』による案内にそれぞれ対応付けられた案内開始区間を比較すると、S11で判定対象となる『通常フレーズ』による案内に対応付けられた案内開始区間が最も案内経路の出発地側にあり、S16で判定対象となる『特殊フレーズB』による案内に対応付けられた案内開始区間が最も案内分岐点側にある。即ち、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点を案内する為の案内として適していると判定される案内候補が複数ある場合には、案内開始区間が出発地側にある(即ち、案内の開始されるタイミングの早い)案内候補が優先的に該案内分岐点の案内に設定されることとなる。
【0077】
次に、前記S11において実行される第1案内判定処理のサブ処理について図7に基づき説明する。図7は第1案内判定処理のサブ処理プログラムのフローチャートである。
【0078】
先ず、S31においてCPU41は、判定対象となる『通常フレーズ』による案内に対して、案内開始区間及び案内終了区間を設定する。尚、設定される案内開始区間及び案内終了区間は、案内フレーズ条件テーブル32(図3)に予め対応付けて記憶されている。
【0079】
次に、S32においてCPU41は、地図情報DB31に記憶されたリンクデータ33、ノードデータ34、分岐点データ35等に基づいて、前記S31で『通常フレーズ』による案内に設定された案内開始区間の始点から案内終了区間の終点までの距離Xを算出する。尚、図3に示すように、『通常フレーズ』による案内としては、第3フレーズで示す案内分岐点までの分岐点の数が異なる3種類の案内フレーズ(「3つ目の信号を左(右)方向です」、「2つ目の信号を左(右)方向です」、「次の信号を左(右)方向です」)が存在する。そして、前記S32ではそれぞれの案内フレーズ毎に距離Xを算出する。
【0080】
以下に、『通常フレーズ』による案内の内、「2つ目の信号を左(右)方向です」との案内フレーズを例に挙げて、距離Xの算出方法について図8を用いて説明する。
図8に示すように、先ずCPU41は、地図情報DB31に記憶されたリンクデータ33、ノードデータ34、分岐点データ35等に基づいて、案内分岐点61に対して2つ手前側の信号機付きの分岐点である第2手前分岐点62の退出側信号機63から案内分岐点61までの距離aを取得する。続いて、案内分岐点61に対して1つ手前側の信号機付きの分岐点である第1手前分岐点64の進入側信号機65から案内分岐点61までの距離bを取得する。その後、距離aに5mを追加した距離と、距離bに50mを追加した距離の差分を距離Xとして算出する。
【0081】
次に、S33においてCPU41は、車両の現在の車速や案内フレーズ条件テーブル32に基づいて、『通常フレーズ』による案内の出力を行うのに必要な距離Yを算出する。具体的に、距離Yは、案内フレーズ条件テーブル32に記憶された案内(音声案内)を出力する為に必要な時間(例えば4秒)に、車速センサ22により検出した現在の車速を乗じた距離となる。尚、現在の車速の代わりに所定車速(例えば60km/h)を乗じても良い。また、所定車速は、車両が走行する道路の道路種別によって変更しても良い(例えば、国道、県道は60km/h、その他の一般道が40km/h)。尚、図3に示すように、『通常フレーズ』による案内としては、案内タイミングの異なる3種類の案内フレーズ(「3つ目の信号を左(右)方向です」、「2つ目の信号を左(右)方向です」、「次の信号を左(右)方向です」)が存在する。そして、前記S33ではそれぞれの案内フレーズ毎に距離Yを算出する。
【0082】
続いて、S34においてCPU41は、前記S32で算出した案内開始区間の始点から案内開始区間の終点までの距離Xが、前記S33で算出した案内の出力を行うのに必要な距離Yより長いか否か、即ち、前記S31で『通常フレーズ』による案内に設定された案内開始区間で案内の出力を開始した場合に、同じく設定された案内終了区間内で案内の出力を終了できるか否か判定する。尚、図3に示すように、『通常フレーズ』による案内としては、案内タイミングの異なる3種類の案内フレーズ(「3つ目の信号を左(右)方向です」、「2つ目の信号を左(右)方向です」、「次の信号を左(右)方向です」)が存在する。そして、前記S34ではそれぞれの案内フレーズ毎に距離Xと距離Yとを比較する。そして、前記S34では全ての案内フレーズについて距離Xが距離Yより長いか否かを判定することが望ましい。
【0083】
そして、案内開始区間の始点から案内開始区間の終点までの距離Xが、案内の出力を行うのに必要な距離Yより長いと判定された場合(S34:YES)、即ち前記S31で『通常フレーズ』による案内に設定された案内開始区間で案内の出力を開始した場合に、同じく設定された案内終了区間内で案内の出力を終了できると判定された場合には、『通常フレーズ』による案内が、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点を案内する為の案内として適していると認定する(S35)。その結果、前記したようにS13においてCPU41は、『通常フレーズ』による案内を、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点を案内する為の案内として設定する。
【0084】
一方、案内開始区間の始点から案内開始区間の終点までの距離Xが、案内の出力を行うのに必要な距離Yと同じ又は短いと判定された場合(S34:NO)、即ち前記S31で『通常フレーズ』による案内に設定された案内開始区間で案内の出力を開始した場合に、同じく設定された案内終了区間内で案内の出力を終了できないと判定された場合には、『通常フレーズ』による案内が、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点を案内する為の案内として不適であると認定する(S36)。その後、S12へと移行する。
【0085】
次に、前記S14において実行される第2案内判定処理のサブ処理について図9に基づき説明する。図9は第2案内判定処理のサブ処理プログラムのフローチャートである。
【0086】
先ず、S41においてCPU41は、判定対象となる『特殊フレーズA』による案内に対して、案内開始区間及び案内終了区間を設定する。尚、設定される案内開始区間及び案内終了区間は、案内フレーズ条件テーブル32(図3)に予め対応付けて記憶されている。
【0087】
次に、S42においてCPU41は、地図情報DB31に記憶されたリンクデータ33、ノードデータ34、分岐点データ35等に基づいて、前記S41で『特殊フレーズA』による案内に設定された案内開始区間の始点から案内終了区間の終点までの距離X´を算出する。尚、図3に示すように、『特殊フレーズA』による案内としては、第2フレーズで示す案内分岐点までの分岐点の数が異なる2種類の案内フレーズ(「これから通過する信号の、2つ目の信号を左(右)方向です」、「これから通過する信号の、次の信号を左(右)方向です」)が存在する。そして、前記S42ではそれぞれの案内フレーズ毎に距離X´を算出する。
【0088】
以下に、『特殊フレーズA』による案内の内、「これから通過する信号の、次の信号を左(右)方向です」との案内フレーズを例に挙げて、距離X´の算出方法について図10を用いて説明する。
図10に示すように、先ずCPU41は、地図情報DB31に記憶されたリンクデータ33、ノードデータ34、分岐点データ35等に基づいて、案内分岐点61に対して2つ手前側の信号機付きの分岐点である第2手前分岐点62の退出側信号機63から案内分岐点61までの距離aを取得する。続いて、案内分岐点61に対して1つ手前側の信号機付きの分岐点である第1手前分岐点64の進入側信号機65から案内分岐点61までの距離bを取得する。更に、案内分岐点61に対して1つ手前側の信号機付きの分岐点である第1手前分岐点64の退出側信号機66から案内分岐点61までの距離cを取得する。その後、CPU41は、距離bに100mを追加した距離が、距離aに5mを追加した距離より長いか否かを判定する。そして、図10に示す例では、距離bに100mを追加した距離よりも、距離aに5mを追加した距離の方が長いので、案内開始区間の始点として、「第1手前分岐点64の進入側信号機65から更に100m手前」を選択する。更に、CPU41は、案内開始区間の始点から案内分岐点までの距離dを、距離bに100mを追加した距離に設定する。その後、CPU41は、距離dと、距離cに5mを追加した距離との差分を距離X´として算出する。
【0089】
次に、S43においてCPU41は、車両の現在の車速や案内フレーズ条件テーブル32に基づいて、『特殊フレーズA』による案内の出力を行うのに必要な距離Y´を算出する。具体的に、距離Y´は、案内フレーズ条件テーブル32に記憶された案内(音声案内)を出力する為に必要な時間(例えば6秒)に、車速センサ22により検出した現在の車速を乗じた距離となる。尚、現在の車速の代わりに所定車速(例えば60km/h)を乗じても良い。また、所定車速は、車両が走行する道路の道路種別によって変更しても良い(例えば、国道、県道は60km/h、その他の一般道が40km/h)。尚、図3に示すように、『特殊フレーズA』による案内としては、案内タイミングの異なる2種類の案内フレーズ(「これから通過する信号の、2つ目の信号を左(右)方向です」、「これから通過する信号の、次の信号を左(右)方向です」)が存在する。そして、前記S43ではそれぞれの案内フレーズ毎に距離Y´を算出する。
【0090】
続いて、S44においてCPU41は、前記S42で算出した案内開始区間の始点から案内開始区間の終点までの距離X´が、前記S43で算出した案内の出力を行うのに必要な距離Y´より長いか否か、即ち、前記S41で『特殊フレーズA』による案内に設定された案内開始区間で案内の出力を開始した場合に、同じく設定された案内終了区間内で案内の出力を終了できるか否か判定する。尚、図3に示すように、『特殊フレーズA』による案内としては、案内タイミングの異なる2種類の案内フレーズ(「これから通過する信号の、2つ目の信号を左(右)方向です」、「これから通過する信号の、次の信号を左(右)方向です」)が存在する。そして、前記S44ではそれぞれの案内フレーズ毎に距離X´と距離Y´とを比較する。そして、前記S44では全ての案内フレーズについて距離X´が距離Y´より長いか否かを判定することが望ましい。
【0091】
そして、案内開始区間の始点から案内開始区間の終点までの距離X´が、案内の出力を行うのに必要な距離Y´より長いと判定された場合(S44:YES)、即ち前記S41で『特殊フレーズA』による案内に設定された案内開始区間で案内の出力を開始した場合に、同じく設定された案内終了区間内で案内の出力を終了できると判定された場合には、『特殊フレーズA』による案内が、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点を案内する為の案内として適していると認定する(S45)。その結果、前記したようにS13においてCPU41は、『特殊フレーズA』による案内を、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点を案内する為の案内として設定する。尚、『特殊フレーズA』による案内では、案内開始区間は対象となる手前分岐点の通過を開始する前の区間に設定され、案内終了区間は対象となる手前分岐点を超えないように設定されているので、該手前分岐点の通過を開始する前に少なくとも案内の一部は出力され、且つ該手前分岐点の通過を完了する前に案内の出力が終了することとなり、ユーザはフレーズ中の『これから通過する信号』の示す信号機の設置された分岐点を正確に把握することが可能となる。
【0092】
一方、案内開始区間の始点から案内開始区間の終点までの距離X´が、案内の発話を行うのに必要な距離Y´と同じ又は短いと判定された場合(S44:NO)、即ち前記S41で『特殊フレーズA』による案内に設定された案内開始区間で案内の出力を開始した場合に、同じく設定された案内終了区間内で案内の出力を終了できないと判定された場合には、『特殊フレーズA』による案内が、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点を案内する為の案内として不適であると認定する(S46)。その後、S15へと移行する。
【0093】
次に、前記S16において実行される第3案内判定処理のサブ処理について図11に基づき説明する。図11は第3案内判定処理のサブ処理プログラムのフローチャートである。
【0094】
先ず、S51においてCPU41は、判定対象となる『特殊フレーズB』による案内に対して、案内開始区間及び案内終了区間を設定する。尚、設定される案内開始区間及び案内終了区間は、案内フレーズ条件テーブル32(図3)に予め対応付けて記憶されている。
【0095】
次に、S52においてCPU41は、地図情報DB31に記憶されたリンクデータ33、ノードデータ34、分岐点データ35等に基づいて、前記S51で『特殊フレーズB』による案内に設定された案内開始区間の始点から案内終了区間の終点までの距離X´´を算出する。尚、図3に示すように、『特殊フレーズB』による案内としては、第2フレーズで示す案内分岐点までの分岐点の数が異なる2種類の案内フレーズ(「通過中の信号の、2つ目の信号を左(右)方向です」、「通過中の信号の、次の信号を左(右)方向です」)が存在する。そして、前記S52ではそれぞれの案内フレーズ毎に距離X´´を算出する。
【0096】
以下に、『特殊フレーズB』による案内の内、「通過中の信号の、次の信号を左(右)方向です」との案内フレーズを例に挙げて、距離X´´の算出方法について図12を用いて説明する。
図12に示すように、先ずCPU41は、地図情報DB31に記憶されたリンクデータ33、ノードデータ34、分岐点データ35等に基づいて、案内分岐点61に対して2つ手前側の信号機付きの分岐点である第2手前分岐点62の退出側信号機63から案内分岐点61までの距離aを取得する。続いて、案内分岐点61に対して1つ手前側の信号機付きの分岐点である第1手前分岐点64の進入側信号機65から案内分岐点61までの距離bを取得する。更に、案内分岐点61に対して1つ手前側の信号機付きの分岐点である第1手前分岐点64の退出側信号機66から案内分岐点61までの距離cを取得する。その後、CPU41は、距離bに50mを追加した距離が、距離aに5mを追加した距離より長いか否かを判定する。そして、図12に示す例では、距離bに50mを追加した距離よりも、距離aに5mを追加した距離の方が長いので、案内開始区間の始点として、「第1手前分岐点64の進入側信号機65から更に50m手前」を選択する。更に、CPU41は、更に、CPU41は、案内開始区間の始点から案内分岐点までの距離eを、距離bに50mを追加した距離に設定する。一方で、案内分岐点61の進入側信号機67から案内分岐点61までの距離fを取得する。その後、CPU41は、距離eと、距離fに5mを追加した距離との差分を距離X´´として算出する。
【0097】
次に、S53においてCPU41は、車両の現在の車速や案内フレーズ条件テーブル32に基づいて、『特殊フレーズB』による案内の出力を行うのに必要な距離Y´´を算出する。具体的に、距離Y´´は、案内フレーズ条件テーブル32に記憶された案内(音声案内)を出力する為に必要な時間(例えば5秒)に、車速センサ22により検出した現在の車速を乗じた距離となる。尚、現在の車速の代わりに所定車速(例えば60km/h)を乗じても良い。また、所定車速は、車両が走行する道路の道路種別によって変更しても良い(例えば、国道、県道は60km/h、その他の一般道が40km/h)。尚、図3に示すように、『特殊フレーズB』による案内としては、案内タイミングの異なる2種類の案内フレーズ(「通過中の信号の、2つ目の信号を左(右)方向です」、「通過中の信号の、次の信号を左(右)方向です」)が存在する。そして、前記S53ではそれぞれの案内フレーズ毎に距離Y´´を算出する。
【0098】
続いて、S54においてCPU41は、前記S52で算出した案内開始区間の始点から案内開始区間の終点までの距離X´´が、前記S53で算出した案内の出力を行うのに必要な距離Y´´より長いか否か、即ち、前記S51で『特殊フレーズB』による案内に設定された案内開始区間で案内の出力を開始した場合に、同じく設定された案内終了区間内で案内の出力を終了できるか否か判定する。尚、図3に示すように、『特殊フレーズB』による案内としては、案内タイミングの異なる2種類の案内フレーズ(「通過中の信号の、2つ目の信号を左(右)方向です」、「通過中の信号の、次の信号を左(右)方向です」)が存在する。そして、前記S54ではそれぞれの案内フレーズ毎に距離X´´と距離Y´´とを比較する。そして、前記S54では全ての案内フレーズについて距離X´´が距離Y´´より長いか否かを判定することが望ましい。
【0099】
そして、案内開始区間の始点から案内開始区間の終点までの距離X´´が、案内の出力を行うのに必要な距離Y´´より長いと判定された場合(S54:YES)、即ち前記S51で『特殊フレーズB』による案内に設定された案内開始区間で案内の出力を開始した場合に、同じく設定された案内終了区間内で案内の出力を終了できると判定された場合には、『特殊フレーズB』による案内が、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点を案内する為の案内として適していると認定する(S55)。その結果、前記したようにS13においてCPU41は、『特殊フレーズB』による案内を、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点を案内する為の案内として設定する。尚、『特殊フレーズB』による案内では、案内開始区間と案内終了区間とが重複する区間である手前分岐点内の走行中に少なくとも案内の一部が出力されることとなり、ユーザはフレーズ中の『通過中の信号』の示す信号機の設置された分岐点を正確に把握することが可能となる。
【0100】
一方、案内開始区間の始点から案内開始区間の終点までの距離X´´が、案内の発話を行うのに必要な距離Y´´と同じ又は短いと判定された場合(S54:NO)、即ち前記S51で『特殊フレーズB』による案内に設定された案内開始区間で案内の出力を開始した場合に、同じく設定された案内終了区間内で案内の出力を終了できないと判定された場合には、『特殊フレーズB』による案内が、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点を案内する為の案内として不適であると認定する(S56)。その後、S17へと移行する。その結果、案内フレーズ条件テーブル32に規定された複数の案内候補の内から、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点を案内する為の最適な案内が選択され、該案内分岐点の案内として設定される。特に、上記実施例では、手前分岐点を示すフレーズが適当な案内候補を案内分岐点の案内として設定することが可能となる。
【0101】
以上説明したように、上述した分岐点案内処理プログラム(図5〜図7、図9、図11)では、基本的には『通常フレーズ』が案内分岐点の案内として設定され、手前分岐点の間隔が狭く、『通常フレーズ』を用いると案内分岐点が誤認識される虞がある状況(具体的には、車両が手前分岐点の所定距離手前(例えば進入側信号機の50m手前)に到達する前に案内が終了しない場合)では、『特殊フレーズA』や『特殊フレーズB』が案内分岐点の案内として設定される。そして、『特殊フレーズA』と『特殊フレーズB』のいずれを案内分岐点の案内として設定するかは、手前分岐点間の相対的な位置関係を考慮して決定される。特に、案内分岐点の案内が開始される時点で車両が手前分岐点の通過を開始しておらず、案内が行われている間に車両が手前分岐点を通過完了しない(即ち手前分岐点の通過前又は通過中である)場合には、『特殊フレーズA』を案内分岐点の案内として設定する。また、案内分岐点の案内が開始される時点で車両が手前分岐点の通過を開始していないか通過中であって、案内が行われている間に車両が手前分岐点への通過を開始するか通過を完了する場合には、『特殊フレーズB』を案内分岐点の案内として設定する。また、『特殊フレーズA』と『特殊フレーズB』とでは、『特殊フレーズA』が優先的に設定される。従って、結果的に案内が行われている間に車両が手前分岐点を通過完了しない場合には、『特殊フレーズA』が案内分岐点の案内として設定されることとなる。そして、特に分岐点の間隔が狭く、車両が手前分岐点の通過を開始した後に案内分岐点の案内が開始される場合又は案内が行われている間に車両が手前分岐点を通過完了する場合に限って、『特殊フレーズB』が案内分岐点の案内として設定されることとなる。
【0102】
以上詳細に説明した通り、本実施形態に係るナビゲーション装置1、ナビゲーション装置1を用いた移動案内方法及びナビゲーション装置1で実行されるコンピュータプログラムによれば、含まれるフレーズ内容が異なる複数種類の案内候補が、案内の発話を開始する必要の有る区間である案内開始区間と、案内の発話を終了する必要のある区間である案内終了区間に対応付けられて記憶された案内フレーズ条件テーブル32を有し、上記複数種類の案内候補の内から、車両の進行方向前方にある案内分岐点を案内するのに適当な案内候補を選択し、選択された案内候補を該案内分岐点の案内として設定する(S12、S13)。特に複数種類の案内候補の内、『特殊フレーズB』は、手前側分岐点の進入側信号機の出発地側の所定距離手前から手前側分岐点の退出側信号機周辺までの区間が案内開始区間に設定され、手前側分岐点の進入側信号機周辺から次の手前側分岐点又は案内分岐点の進入側信号機周辺までの区間が案内終了区間に設定される。そして、設定された案内開始区間に位置する車両に対して案内分岐点の案内の出力を開始した場合に、案内終了区間に車両が位置する間に該案内の出力を終了できると判定された場合であって、車両が案内開始区間に位置すると判定された場合に、設定された案内により案内分岐点の案内を行う(S9)ので、分岐点の間隔が短い都心部等において分岐点の通過中に案内を出力しなければならない場合であっても、手前分岐点の信号機の位置に基づく適切なタイミングで案内の出力を開始及び終了することによって、案内分岐点をユーザに正確に特定させる案内を行うことが可能となる。また、分岐点の間隔が短い都心部等においても従来のような案内が行われない事態が発生することを防止し、ユーザに案内分岐点を正確に特定させることを可能にする。
また、『特殊フレーズA』や『特殊フレーズB』は、車両と手前分岐点との位置関係を特定する第1フレーズと、手前分岐点を車両が通過した後の車両と案内分岐点との位置関係を特定する第2フレーズとをそれぞれ含む案内により案内分岐点の案内を行うので、手前分岐点の通過中に案内を出力しなければならない場合であっても、車両の手前分岐点の通過を考慮した案内を行うことにより、案内分岐点の位置をユーザに容易に特定させることが可能となる。また、案内分岐点までの距離を用いて案内する場合と比較して、ユーザに案内分岐点をより正確に特定させることが可能となる。
また、『特殊フレーズB』による案内では、手前分岐点を車両が現在通過中の分岐点であることを示す第1フレーズを含む案内により案内分岐点の案内を行うので、フレーズ中に示される手前分岐点をユーザに正確に特定させることが可能となる。その結果、手前分岐点を基準に案内分岐点の位置をユーザに容易に特定させることが可能となる。
また、『特殊フレーズB』による案内では、手前分岐点を移動体が通過した後の移動体から案内分岐点までの分岐点の数を特定する第2フレーズを含む案内により案内分岐点の案内を行うので、分岐点の数によって車両と案内分岐点との位置関係をユーザに容易に特定させることが可能となる。その結果、ユーザに案内分岐点を正確に特定させることが可能となる。
また、『特殊フレーズB』による案内は、手前側分岐点の進入側信号機の出発地側の所定距離手前から手前側分岐点の退出側信号機が車両の乗員から視認できなくなる地点までの区間が案内開始区間に設定され、手前側分岐点の進入側信号機が車両の乗員から視認できなくなる地点から次の手前側分岐点又は案内分岐点の進入側信号機が車両の乗員から視認できなくなる地点までの区間が案内終了区間に設定されるので、手前分岐点の退出側信号機が視認できなくなる前、即ち手前分岐点をユーザが現在通過していると認識できる状態で案内分岐点の案内の出力を開始し、手前分岐点の前方にある分岐点が次の分岐点と認識できる状態で案内分岐点の案内の出力を終了することが可能となる。その結果、案内内容に基づく適切なタイミングで案内分岐点の案内を開始することが可能となる。特に信号機や分岐点を用いた案内を行う場合には、その効果は顕著なものとなる。
【0103】
尚、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論である。
例えば、本実施形態ではナビゲーション装置1による案内分岐点の案内をスピーカ16から音声案内により出力することにより行う構成としているが、液晶ディスプレイ15に文章を表示することにより案内を行う構成としても良い。
【0104】
また、本実施形態では、分岐点の周辺に設置された進入側信号機や退出側信号機の位置に基づいて、案内開始区間や案内終了区間を特定することとしているが、分岐点(案内分岐点、第1手前分岐点、第2手前分岐点)の位置に基づいて特定する構成としても良い。また、その場合には、案内分岐点の案内は、信号機ではなく分岐点を用いた案内(例えば「2つ目の分岐点を左(右)方向です」、「この分岐点の次の分岐点を左(右)方向です」、「通過中の次の分岐点を左(右)方向です」など)で行うこととしても良い。更に、分岐点を用いる上記構成とすれば、信号機情報36は不要となる。
【0105】
また、本実施形態では、案内分岐点が車両の進行方向前方の所定距離以内に位置する場合に、その前方に位置する案内分岐点の案内を設定する構成としているが、案内分岐点に対して案内を設定するタイミングは他のタイミングであっても良い。例えば、案内経路を設定した時点で案内経路に含まれる各案内分岐点に対して案内を設定しても良い。また、案内経路を設定する前に、各分岐点に対して案内を設定する構成としても良い。
【0106】
また、第1案内判定処理(図7)、第2案内判定処理(図9)、第3案内判定処理(図11)の各処理中で用いられる数値(5m、50m、100m等)は適宜変更することが可能である。例えば、車種によって変更することも可能である。
【0107】
また、本実施形態では、案内開始区間や案内終了区間の始点や終点を、進入側信号機や退出側信号機の周辺であって、車両の乗員から手前分岐点の進入側信号機や退出側信号機が視認できる状態から視認できなくなる状態へと切り替わる切替地点としているが、車両の乗員から手前分岐点の進入側信号機や退出側信号機が視認できない状態となる地点であれば、他の地点としても良い。例えば、切替地点から所定距離(例えば3m)だけ案内分岐点側の地点としても良い。また、手前分岐点の進入側信号機や退出側信号機の設置された位置としても良い。
【0108】
また、本実施形態では信号機情報36として分岐点の周辺に配置された全ての信号機に関する情報を記憶する構成としているが、分岐点からの退出方向毎に最も退出側にある信号機に関する情報のみを記憶する構成としても良い。その場合には、本実施形態中の進入側信号機を退出側信号機に置き換えることによって、本発明を実施することが可能である。更に、分岐点への進入方向毎に最も進入側にある信号機に関する情報のみを記憶する構成としても良い。また、信号機の代わりに停止線に関する情報を記憶する構成としても良い。その場合には、本実施形態中の進入側信号機及び退出側信号機を停止線に置き換えることによって、本発明を実施することが可能である。尚、信号機の代わりに停止線を用いる場合であっても、案内は信号機や分岐点を用いて行うことが望ましい。
【0109】
また、本実施形態では、案内分岐点の案内に設定する案内候補として3種類の『通常フレーズ』、『特殊フレーズA』、『特殊フレーズB』を例に挙げて説明しているが、上記3種類以外の案内候補を用いても良い。また、案内候補である3種類の『通常フレーズ』、『特殊フレーズA』、『特殊フレーズB』は、案内の開始されるタイミングが早い『通常フレーズ』、『特殊フレーズA』、『特殊フレーズB』の順に優先的に設定される構成としているが、優先順位は他の基準に基づいて設定しても良い。
【0110】
また、本発明はナビゲーション装置以外に、案内経路に基づく経路案内を行う機能を有する装置に対して適用することが可能である。例えば、携帯電話機やPDA等の携帯端末、パーソナルコンピュータ、携帯型音楽プレイヤ等(以下、携帯端末等という)に適用することも可能である。また、サーバと携帯端末等から構成されるシステムに対しても適用することが可能となる。その場合には、上述した分岐点案内処理プログラム(図5〜図7、図9、図11)の各ステップは、サーバと携帯端末等のいずれが実施する構成としても良い。また、本発明を携帯端末等に適用する場合には、車両以外の移動体、例えば、携帯端末等のユーザや2輪車等に対する走行案内を行う場合もある。
【符号の説明】
【0111】
1 ナビゲーション装置
13 ナビゲーションECU
31 地図情報DB
32 案内フレーズ条件テーブル
41 CPU
42 RAM
43 ROM
61 案内分岐点
62、64 手前分岐点
63、65〜67 信号機
【技術分野】
【0001】
本発明は、案内経路に基づいて移動体の移動を案内する移動案内システム、移動案内装置、移動案内方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両の走行案内を行い、運転者が所望の目的地に容易に到着できるようにしたナビゲーション装置が車両に搭載されていることが多い。ここで、ナビゲーション装置とは、GPS受信機などにより自車の現在位置を検出し、その現在位置に対応する地図データをDVD−ROMやHDDなどの記録媒体またはネットワークを通じて取得して液晶モニタに表示することが可能な装置である。更に、かかるナビゲーション装置には、所望する目的地を入力すると、出発地から目的地までの最適経路を探索する経路探索機能を備えている。そして、探索結果に基づいて設定された案内経路をディスプレイ画面に表示するとともに、右左折等の案内の対象となる分岐点(以下、案内分岐点という)に接近した場合には音声やディスプレイ画面を用いた案内を行うことによって、ユーザを所望の目的地まで確実に案内するようになっている。また、近年は携帯電話機、PDA(Personal Digital Assistant)、パーソナルコンピュータ等においても上記ナビゲーション装置と同様の機能を有するものがある。更に、車両以外にも歩行者や二輪車を対象として上記案内を行うことも可能である。
【0003】
ここで、案内分岐点において右左折等の案内を行う場合には、案内分岐点をユーザに正確に特定させる必要がある。そして、案内分岐点をユーザに正確に特定させる為には、案内の内容に従って案内の出力を開始するタイミング及び案内の出力を終了するタミングをそれぞれ適切なタイミングに行うことが特に重要である。適切なタイミングで行わないと、ユーザが案内分岐点を誤って認識する虞が高くなる。例えば、分岐点に設置された信号機を用いた「2つ目の信号を左方向です。」との案内を行う場合には、案内分岐点に対して2つ手前側にある信号機付きの分岐点の信号機がユーザの視界から消えた後に案内の出力を開始し、案内分岐点に対して1つ手前側にある信号機付きの分岐点の信号機がユーザの視界に残っている状態で案内の出力を終了することが望ましい。
【0004】
そこで、例えば特開2002−156242号公報には、信号機の数を用いた音声案内で案内分岐点の案内を行う場合において、案内分岐点に対して1つ手前側にある信号機付きの分岐点の信号機を通過する前に音声案内の出力が終わる場合には、信号機の数を用いた音声案内を行い、案内分岐点に対して1つ手前側にある信号機付きの分岐点の信号機を通過する前に音声案内の出力が終わらない場合には、音声案内を行わないように構成する技術について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−156242号公報(第4頁〜第6頁、図3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、上記特許文献1に記載の技術では、分岐点の間隔が短い都心部等では、音声案内がほとんど行われない結果となっていた。しかしながら、案内を行うことによって案内分岐点を正確に特定させることは、分岐点の間隔の広い郊外よりも、分岐点の間隔が短く、案内分岐点を間違え易い都心部等においてより重要な事項となる。従って、上記特許文献1に記載の技術では、案内分岐点をユーザに正確に特定させることができず、右左折操作のタイミングが遅れたり、案内経路を外れて走行する事態が生じていた。
【0007】
本発明は前記従来における問題点を解消するためになされたものであり、分岐点の間隔が短い都心部等において分岐点の通過中に案内を出力しなければならない場合であっても、手前分岐点の信号機の位置に基づく適切なタイミングで案内の出力を開始及び終了することによって、案内分岐点をユーザに正確に特定させる案内を行うことを可能にした移動案内システム、移動案内装置、移動案内方法及びコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するため本願の請求項1に係る移動案内システム(1)は、移動体の移動を案内する案内経路と該案内経路上の案内分岐点(61)を設定する案内経路設定手段(13)と、前記案内分岐点よりも前記案内経路の出発地側に存在する手前分岐点(62、64)の進入側信号機(65)及び退出側信号機(66)の位置を取得する信号機位置取得手段(13)と、前記信号機位置取得手段により取得した前記進入側信号機及び前記退出側信号機の位置に基づいて、前記進入側信号機の出発地側の所定距離手前から前記退出側信号機周辺までの区間を、案内開始区間に設定する案内開始区間設定手段(13)と、前記信号機位置取得手段により取得した前記進入側信号機の位置に基づいて、前記進入側信号機周辺から目的地側の次にある他の手前分岐点又は前記案内分岐点の進入側信号機周辺までの区間を、案内終了区間に設定する案内終了区間設定手段(13)と、前記案内開始区間に位置する前記移動体に対して前記案内分岐点の案内の出力を開始した場合に、前記案内終了区間に前記移動体が位置する間に該案内の出力を終了できるか否か判定する案内判定手段(13)と、前記移動体の位置を取得する移動体位置取得手段(13)と、前記移動体の位置と前記案内開始区間の位置とに基づいて、前記移動体が前記案内開始区間に位置するか否か判定する位置判定手段(13)と、前記案内判定手段によって案内の出力を終了できると判定された場合であって、前記位置判定手段によって前記移動体が前記案内開始区間に位置すると判定された場合に、前記案内分岐点の案内の出力を開始する分岐点案内手段(13)と、を有することを特徴とする。
尚、「移動体」としては、車両以外に、歩行者や二輪車も含む。
また、「案内分岐点」とは、案内経路に従って移動体の移動の案内を行う際に、右左折指示等の案内を行う対象となる分岐点が該当する。
【0009】
また、請求項2に係る移動案内システム(1)は、請求項1に記載の移動案内システムであって、前記分岐点案内手段(13)は、前記移動体と前記手前分岐点(62、64)との位置関係を特定する第1フレーズと、前記手前分岐点を前記移動体が通過した後の前記移動体と前記案内分岐点(61)との位置関係を特定する第2フレーズとをそれぞれ含む案内により、前記案内分岐点の案内を行うことを特徴とする。
尚、「移動体と手前分岐点との位置関係を特定する第1フレーズ」は、移動体と手前分岐点自体との位置関係を特定するフレーズであっても良いし、手前分岐点の周囲にある地物(例えば、信号機や停止線)を用いて手前分岐点との位置関係を特定するフレーズであっても良い。
また、「移動体と案内分岐点との位置関係を特定する第2フレーズ」は、移動体と案内分岐点自体との位置関係を特定するフレーズであっても良いし、案内分岐点の周囲にある地物(例えば、信号機や停止線)を用いて案内分岐点との位置関係を特定するフレーズであっても良い。
【0010】
また、請求項3に係る移動案内システム(1)は、請求項2に記載の移動案内システムであって、前記第1フレーズは、前記手前分岐点(62、64)を前記移動体が現在通過中の分岐点であることを示すフレーズであることを特徴とする。
【0011】
また、請求項4に係る移動案内システム(1)は、請求項2又は請求項3に記載の移動案内システムであって、前記第2フレーズは、前記手前分岐点(62、64)から前記案内分岐点(61)までに存在する分岐点の数を特定するフレーズであることを特徴とする。
尚、「手前分岐点から案内分岐点までに存在する分岐点の数を特定するフレーズ」は、手前分岐点から案内分岐点までに存在する分岐点の数を直接案内するものである必要は無く、間接的に案内するフレーズであっても良い。例えば、手前分岐点から案内分岐点までに存在する分岐点に設置された地物(信号機等)の数を用いることによって、該分岐点の数を特定させるフレーズであっても良い。
【0012】
また、請求項5に係る移動案内システム(1)は、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の移動案内システムであって、前記移動体は車両であって、前記車両に関する車両情報を取得する車両情報取得手段(13)と、前記車両情報に基づいて、前記車両の乗員から前記進入側信号機(65)が視認できる状態から視認できなくなる状態へと切り替わる第1切替地点を特定する第1切替地点特定手段(13)と、前記車両情報に基づいて、前記車両の乗員から前記退出側信号機(66)が視認できる状態から視認できなくなる状態へと切り替わる第2切替地点を特定する第2切替地点特定手段(13)と、前記車両情報に基づいて、前記車両の乗員から前記他の手前分岐点又は前記案内分岐点の進入側信号機(67)が視認できる状態から視認できなくなる状態へと切り替わる第3切替地点を特定する第3切替地点特定手段(13)と、を有し、前記案内開始区間設定手段(13)は、前記進入側信号機の出発地側の所定距離手前から前記第2切替地点までの区間を前記案内開始区間に設定し、前記案内終了区間設定手段は、前記第1切替地点から前記第3切替地点までの区間を前記案内終了区間に設定することを特徴とする。
【0013】
また、請求項6に係る移動案内装置(1)は、移動体の移動を案内する案内経路と該案内経路上の案内分岐点(61)を設定する案内経路設定手段(13)と、前記案内分岐点よりも前記案内経路の出発地側に存在する手前分岐点(62、64)の進入側信号機(65)及び退出側信号機(66)の位置を取得する信号機位置取得手段(13)と、前記信号機位置取得手段により取得した前記進入側信号機及び前記退出側信号機の位置に基づいて、前記進入側信号機の出発地側の所定距離手前から前記退出側信号機周辺までの区間を、案内開始区間に設定する案内開始区間設定手段(13)と、前記信号機位置取得手段により取得した前記進入側信号機の位置に基づいて、前記進入側信号機周辺から目的地側の次にある他の手前分岐点又は前記案内分岐点の進入側信号機周辺までの区間を、案内終了区間に設定する案内終了区間設定手段(13)と、前記案内開始区間に位置する前記移動体に対して前記案内分岐点の案内の出力を開始した場合に、前記案内終了区間に前記移動体が位置する間に該案内の出力を終了できるか否か判定する案内判定手段(13)と、前記移動体の位置を取得する移動体位置取得手段(13)と、前記移動体の位置と前記案内開始区間の位置とに基づいて、前記移動体が前記案内開始区間に位置するか否か判定する位置判定手段(13)と、前記案内判定手段によって案内の出力を終了できると判定された場合であって、前記位置判定手段によって前記移動体が前記案内開始区間に位置すると判定された場合に、前記案内分岐点の案内の出力を開始する分岐点案内手段(13)と、を有することを特徴とする。
【0014】
また、請求項7に係る移動案内方法は、移動体の移動を案内する案内経路と該案内経路上の案内分岐点(61)を設定する案内経路設定ステップと、前記案内分岐点よりも前記案内経路の出発地側に存在する手前分岐点(62、64)の進入側信号機(65)及び退出側信号機(66)の位置を取得する信号機位置取得ステップと、前記信号機位置取得ステップにより取得した前記進入側信号機及び前記退出側信号機の位置に基づいて、前記進入側信号機の出発地側の所定距離手前から前記退出側信号機周辺までの区間を、案内開始区間に設定する案内開始区間設定ステップと、前記信号機位置取得ステップにより取得した前記進入側信号機の位置に基づいて、前記進入側信号機周辺から目的地側の次にある他の手前分岐点又は前記案内分岐点の進入側信号機周辺までの区間を、案内終了区間に設定する案内終了区間設定ステップと、前記案内開始区間に位置する前記移動体に対して前記案内分岐点の案内の出力を開始した場合に、前記案内終了区間に前記移動体が位置する間に該案内の出力を終了できるか否か判定する案内判定ステップと、前記移動体の位置を取得する移動体位置取得ステップと、前記移動体の位置と前記案内開始区間の位置とに基づいて、前記移動体が前記案内開始区間に位置するか否か判定する位置判定ステップと、前記案内判定ステップによって案内の出力を終了できると判定された場合であって、前記位置判定ステップによって前記移動体が前記案内開始区間に位置すると判定された場合に、前記案内分岐点の案内の出力を開始する分岐点案内ステップと、を有することを特徴とする。
【0015】
更に、請求項8に係るコンピュータプログラムは、コンピュータに、移動体の移動を案内する案内経路と該案内経路上の案内分岐点(61)を設定する案内経路設定機能と、前記案内分岐点よりも前記案内経路の出発地側に存在する手前分岐点(62、64)の進入側信号機(65)及び退出側信号機(66)の位置を取得する信号機位置取得機能と、前記信号機位置取得機能により取得した前記進入側信号機及び前記退出側信号機の位置に基づいて、前記進入側信号機の出発地側の所定距離手前から前記退出側信号機周辺までの区間を、案内開始区間に設定する案内開始区間設定機能と、前記信号機位置取得機能により取得した前記進入側信号機の位置に基づいて、前記進入側信号機周辺から目的地側の次にある他の手前分岐点又は前記案内分岐点の進入側信号機周辺までの区間を、案内終了区間に設定する案内終了区間設定機能と、前記案内開始区間に位置する前記移動体に対して前記案内分岐点の案内の出力を開始した場合に、前記案内終了区間に前記移動体が位置する間に該案内の出力を終了できるか否か判定する案内判定機能と、前記移動体の位置を取得する移動体位置取得機能と、前記移動体の位置と前記案内開始区間の位置とに基づいて、前記移動体が前記案内開始区間に位置するか否か判定する位置判定機能と、前記案内判定機能によって案内の出力を終了できると判定された場合であって、前記位置判定ステップによって前記移動体が前記案内開始区間に位置すると判定された場合に、前記案内分岐点の案内の出力を開始する分岐点案内機能と、を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
前記構成を有する請求項1に記載の移動案内システムによれば、分岐点の間隔が短い都心部等において分岐点の通過中に案内を出力しなければならない場合であっても、手前分岐点の信号機の位置に基づく適切なタイミングで案内の出力を開始及び終了することによって、案内分岐点をユーザに正確に特定させる案内を行うことが可能となる。また、分岐点の間隔が短い都心部等においても従来のような案内が行われない事態が発生することを防止し、ユーザに案内分岐点を正確に特定させることを可能にする。
【0017】
また、請求項2に記載の移動案内システムによれば、移動体と手前分岐点との位置関係を特定する第1フレーズと、手前分岐点を移動体が通過した後の移動体と案内分岐点との位置関係を特定する第2フレーズとをそれぞれ含む案内により案内分岐点の案内を行うので、手前分岐点の通過中に案内を出力しなければならない場合であっても、移動体の手前分岐点の通過を考慮した案内を行うことにより、案内分岐点の位置をユーザに容易に特定させることが可能となる。また、案内分岐点までの距離を用いて案内する場合と比較して、ユーザに案内分岐点をより正確に特定させることが可能となる。
【0018】
また、請求項3に記載の移動案内システムによれば、手前分岐点を移動体が現在通過中の分岐点であることを示す第1フレーズを含む案内により案内分岐点の案内を行うので、フレーズ中に示される手前分岐点をユーザに正確に特定させることが可能となる。その結果、手前分岐点を基準に案内分岐点の位置をユーザに容易に特定させることが可能となる。
【0019】
また、請求項4に記載の移動案内システムによれば、手前分岐点を移動体が通過した後の移動体から案内分岐点までの分岐点の数を特定する第2フレーズを含む案内により案内分岐点の案内を行うので、分岐点の数によって移動体と案内分岐点との位置関係をユーザに容易に特定させることが可能となる。その結果、ユーザに案内分岐点を正確に特定させることが可能となる。
【0020】
また、請求項5に記載の移動案内システムによれば、手前分岐点の退出側信号機が視認できなくなる前、即ち手前分岐点をユーザが現在通過していると認識できる状態で案内分岐点の案内の出力を開始し、手前分岐点の前方にある分岐点が次の分岐点と認識できる状態で案内分岐点の案内の出力を終了することが可能となる。その結果、案内内容に基づく適切なタイミングで案内分岐点の案内を開始することが可能となる。特に信号機や分岐点を用いた案内を行う場合には、その効果は顕著なものとなる。
【0021】
また、請求項6に記載の移動案内装置によれば、分岐点の間隔が短い都心部等において分岐点の通過中に案内を出力しなければならない場合であっても、手前分岐点の信号機の位置に基づく適切なタイミングで案内の出力を開始及び終了することによって、案内分岐点をユーザに正確に特定させる案内を行うことが可能となる。また、分岐点の間隔が短い都心部等においても従来のような案内が行われない事態が発生することを防止し、ユーザに案内分岐点を正確に特定させることを可能にする。
【0022】
また、請求項7に記載の移動案内方法によれば、分岐点の間隔が短い都心部等において分岐点の通過中に案内を出力しなければならない場合であっても、手前分岐点の信号機の位置に基づく適切なタイミングで案内の出力を開始及び終了することによって、案内分岐点をユーザに正確に特定させる案内を行うことが可能となる。また、分岐点の間隔が短い都心部等においても従来のような案内が行われない事態が発生することを防止し、ユーザに案内分岐点を正確に特定させることを可能にする。
【0023】
更に、請求項8に記載のコンピュータプログラムによれば、分岐点の間隔が短い都心部等において分岐点の通過中に案内を出力しなければならない場合であっても、手前分岐点の信号機の位置に基づく適切なタイミングで案内の出力を開始及び終了させることによって、案内分岐点をユーザに正確に特定させる案内を行わせることが可能となる。また、分岐点の間隔が短い都心部等においても従来のような案内が行われない事態が発生することを防止し、ユーザに案内分岐点を正確に特定させることを可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本実施形態に係るナビゲーション装置を示したブロック図である。
【図2】分岐点に配置される信号機の一例を示した図である。
【図3】案内フレーズ条件テーブルの一例を示した図である。
【図4】案内フレーズ条件テーブルで規定された案内開始区間や案内終了区間を説明した図である。
【図5】本実施形態に係る分岐点案内処理プログラムのフローチャートである。
【図6】本実施形態に係る案内設定処理のサブ処理プログラムのフローチャートである。
【図7】本実施形態に係る第1案内判定処理のサブ処理プログラムのフローチャートである。
【図8】第1案内判定処理のサブ処理プログラムの判定方法を説明した図である。
【図9】本実施形態に係る第2案内判定処理のサブ処理プログラムのフローチャートである。
【図10】第2案内判定処理のサブ処理プログラムの判定方法を説明した図である。
【図11】本実施形態に係る第3案内判定処理のサブ処理プログラムのフローチャートである。
【図12】第3案内判定処理のサブ処理プログラムの判定方法を説明した図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明に係る移動案内システム及び移動案内装置をナビゲーション装置に具体化した一実施形態に基づき図面を参照しつつ詳細に説明する。先ず、本実施形態に係るナビゲーション装置1の概略構成について図1を用いて説明する。図1は本実施形態に係るナビゲーション装置1を示したブロック図である。
【0026】
図1に示すように本実施形態に係るナビゲーション装置1は、ナビゲーション装置1が搭載された車両の現在位置を検出する現在位置検出部11と、各種のデータが記録されたデータ記録部12と、入力された情報に基づいて、各種の演算処理を行うナビゲーションECU13と、ユーザからの操作を受け付ける操作部14と、ユーザに対して車両周辺の地図や施設の関する施設情報を表示する液晶ディスプレイ15と、経路案内に関する音声ガイダンスを出力するスピーカ16と、記憶媒体であるDVDを読み取るDVDドライブ17と、プローブセンタやVICS(登録商標:Vehicle Information and Communication System)センタ等の情報センタとの間で通信を行う通信モジュール18と、から構成されている。
【0027】
以下に、ナビゲーション装置1を構成する各構成要素について順に説明する。
現在位置検出部11は、GPS21、車速センサ22、ステアリングセンサ23、ジャイロセンサ24等からなり、現在の車両の位置、方位、車両の走行速度、現在時刻等を検出することが可能となっている。ここで、特に車速センサ22は、車両の移動距離や車速を検出する為のセンサであり、車両の駆動輪の回転に応じてパルスを発生させ、パルス信号をナビゲーションECU13に出力する。そして、ナビゲーションECU13は発生するパルスを計数することにより駆動輪の回転速度や移動距離を算出する。尚、上記5種類のセンサをナビゲーション装置1が全て備える必要はなく、これらの内の1又は複数種類のセンサのみをナビゲーション装置1が備える構成としても良い。
【0028】
また、データ記録部12は、外部記憶装置及び記録媒体としてのハードディスク(図示せず)と、ハードディスクに記録された地図情報DB31や案内フレーズ条件テーブル32や所定のプログラム等を読み出すとともにハードディスクに所定のデータを書き込む為のドライバである記録ヘッド(図示せず)とを備えている。尚、データ記録部12をハードディスクの代わりにメモリーカードやCDやDVD等の光ディスクにより構成しても良い。
【0029】
ここで、地図情報DB31は、例えば、道路(リンク)に関するリンクデータ33、ノード点に関するノードデータ34、各分岐点に関する分岐点データ35、施設等の地点に関する地点データ、地図を表示するための地図表示データ、経路を探索するための探索データ、地点を検索するための検索データ等が記憶された記憶手段である。
【0030】
ここで、リンクデータ33としては、例えば、該リンクを識別するリンクID、該リンクの端部に位置するノードを特定する端部ノード情報、該リンクを構成する道路の道路種別、車線数等が記憶される。また、ノードデータ34としては、該ノードを識別するノードID、該ノードの位置座標、該ノードがリンクを介して接続される接続先ノードを特定する接続先ノード情報等が記憶される。また、分岐点データ35としては、該分岐点(交差点)を形成するノードを特定する該当ノード情報、該分岐点に接続されるリンク(以下、接続リンクという)を特定する接続リンク情報、分岐点の周辺に設置された信号機に関する信号機情報36等が記憶される。
【0031】
また、信号機情報36としては、全国の各分岐点(交差点)の周辺に設置された信号機について、信号機の設置された方向(即ち、信号機のライトが向いている方向であり、以下、設置方向という)や灯数(3灯式、1灯式等)や信号機の設置された位置座標(以下、設置座標という)等が記憶される。更に、一の分岐点に対して複数の信号機が設置されている場合には、複数の信号機毎に上記設置方向や設置座標等が記憶される。例えば、図2に示すように片側2車線の道路が交差する分岐点51では、8個の信号機52〜59が設置されている。従って、分岐点51の信号機情報36としては、信号機52〜59の設置方向や設置座標等が記憶される。
【0032】
尚、信号機情報36としては、分岐点からの退出方向毎に、最も退出側にある信号機(即ち車両が分岐点を通過する際に、その分岐点で最後に視認できる信号機であり、以下、退出側信号機という)に関する情報のみを記憶する構成としても良い。例えば、図2に示す分岐点51では、図の下から上への退出方向に対して退出側信号機である信号機53に関する情報を記憶し、図の上から下への退出方向に対して退出側信号機である信号機55に関する情報を記憶し、図の左から右への退出方向に対して退出側信号機である信号機57に関する情報を記憶し、図の右から左への退出方向に対して退出側信号機である信号機59に関する情報を記憶する。即ち、8個の信号機52〜59の内、信号機53、55、57、59の設置方向と設置座標のみを記憶する構成としても良い。また、分岐点からの進入方向毎に、最も進入側(即ち出発地側)にある信号機(即ち車両が最初に視認できる信号機であり、以下、進入側信号機という)に関する情報のみを記憶する構成としても良い。更に、信号機の代わりに停止線に関する情報を記憶する構成としても良い。
そして、ナビゲーションECU13は、後述のように地図情報DB31に記憶された各データに基づいて、車両の進行方向前方にある案内分岐点と該案内分岐点よりも案内経路の出発地側に存在する分岐点(以下、手前分岐点という)を特定する。また、案内分岐点や手前分岐点の周辺にある信号機の信号機情報36を取得する。そして、特定された案内分岐点や手前分岐点に関する情報や取得した信号機情報36に基づいて、車両の進行方向前方にある案内分岐点の案内を複数の候補の内から設定する。尚、案内分岐点とは、ナビゲーション装置1に設定されている案内経路に従ってナビゲーション装置1が走行の案内を行う際に、右左折指示等の案内を行う対象となる分岐点である。
【0033】
また、案内フレーズ条件テーブル32は、案内分岐点を案内する為の案内の候補である複数種類の案内候補について、発話されるフレーズの内容とともに、案内の発話を出力する為に必要な時間や、案内の発話を開始する必要のある区間(即ち、その区間に車両が位置する間に案内を開始する必要がある区間)である案内開始区間や、案内の発話を終了する必要のある区間(即ち、その区間に車両が位置する間に案内を終了する必要がある区間)である案内終了区間等がそれぞれ対応付けられて記憶されたテーブルである。尚、本実施形態に係るナビゲーション装置1では、案内開始区間及び案内終了区間は、後述のように案内分岐点や手前分岐点に対する車両の相対位置(より具体的には、案内分岐点や手前分岐点に配置される信号機に対する車両の相対位置)によって特定される。
【0034】
以下に、案内フレーズ条件テーブル32について具体例を挙げてより詳細に説明する。図3は案内フレーズ条件テーブル32の一例を示した図である。図4は、図3に示す案内フレーズ条件テーブル32で規定された案内開始区間や案内終了区間を説明した図である。尚、図3に示す案内候補は、案内分岐点で行われる案内の内、特に信号機の設置された分岐点を用いて案内分岐点での右左折の案内を行う場合に出力される案内の候補について示す。また、以下の実施例の説明では、案内分岐点及び手前分岐点はいずれも信号機の設置された分岐点であり、案内分岐点の一つ手前側(案内経路に沿った出発地側)の分岐点を第1手前分岐点と称し、第1手前分岐点の更に一つ手前側(案内経路に沿った出発地側)の分岐点を第2手前分岐点と称し、第2手前分岐点の更に一つ手前側(案内経路に沿った出発地側)の分岐点を第3手前分岐点と称して説明する。
【0035】
ここで、本実施形態に係るナビゲーション装置1では、案内分岐点の案内に設定される候補となる案内候補は、手前分岐点を特定するフレーズの内容によって基本的に3種類に区分される。具体的には、車両と案内分岐点との位置関係を示す第3フレーズを含む『通常フレーズ』と、車両と手前分岐点との位置関係を特定する第1フレーズと、手前分岐点を移動体が通過した後の移動体と案内分岐点との位置関係を特定する第2フレーズとをそれぞれ含む『特殊フレーズA』及び『特殊フレーズB』とに区分される。
【0036】
また、『通常フレーズ』に含まれる第3フレーズは、車両と案内分岐点との位置関係を、案内時点の車両から案内分岐点までに存在する分岐点(より具体的には信号機の設置された分岐点)の数により示すフレーズ(例えば「2つ目の信号」)である。
一方、『特殊フレーズA』に含まれる第1フレーズは、車両と手前分岐点との位置関係を、手前分岐点の内、案内時点で最も車両側にある手前分岐点を将来的に車両が通過する分岐点であることを示すフレーズ(例えば「これから通過する信号」)である。また、『特殊フレーズA』に含まれる第2フレーズは、該手前分岐点を車両が通過した後の車両と案内分岐点との位置関係を、手前分岐点通過後の車両から案内分岐点までに存在する分岐点(より具体的には信号機の設置された分岐点)の数により示すフレーズ(例えば「2つ目の信号」)である。
更に、『特殊フレーズB』に含まれる第1フレーズは、車両と手前分岐点との位置関係を、手前分岐点の内、案内時点で最も車両側にある手前分岐点を車両が現在通過中の分岐点であることを示すフレーズ(例えば「通過中の信号」)である。また、『特殊フレーズB』に含まれる第2フレーズは、該手前分岐点を車両が通過した後の車両と案内分岐点との位置関係を、手前分岐点通過後の車両から案内分岐点までに存在する分岐点(より具体的には信号機の設置された分岐点)の数により示すフレーズ(例えば「次の信号」)である。
【0037】
また、例えば『通常フレーズ』の内、「2つ目の信号を左(右)方向です」との案内を行う場合には、案内分岐点に進入するまでに2箇所の分岐点の信号機をユーザがカウントできる状態にある間に、案内の発話を開始し且つ終了する(即ち、音声案内の出力を開始し且つ出力を終了する)必要がある。従って、図3に示すように、「2つ目の信号を左(右)方向です」との案内候補には、案内開始区間として“第2手前分岐点の退出側信号機から5m手前”から“第1手前分岐点の進入側信号機から50m手前”までの区間(即ち、案内分岐点の進入側信号機に対して2つ手前の分岐点に位置する信号機がユーザの視界から消えてから、案内分岐点の進入側信号機に対して1つ手前の分岐点に位置する信号機をユーザが余裕をもって視認できるまでの区間)が対応付けられている。また、案内終了区間として、案内開始区間と同様の区間が対応付けられている。具体的に図4を用いて説明すると、案内開始区間及び案内終了区間は、案内分岐点61に対して2つ手前側の第2手前分岐点62の退出側信号機63の5m手前の地点Aから、案内分岐点61に対して1つ手前側の第1手前分岐点64の進入側信号機65から更に50m手前の地点Bまでの区間となる。その結果、案内を受けたユーザは、案内分岐点61に進入するまでに第1手前分岐点64と案内分岐点61の2箇所の信号機の設置された分岐点をカウントすることが可能となり、案内文中の『2つ目の信号』が案内分岐点61に設置された進入側信号機67であることを明確に特定することが可能となる。
尚、上記案内開始区間の始点である“第2手前分岐点の退出側信号機から5m手前”は、第2手前分岐点の退出側信号機の周辺であって、特に車両の乗員(特に運転手)から第2手前分岐点の退出側信号機が視認できる状態から視認できなくなる状態へと切り替わる地点に相当する。ここで、車両の乗員から第2手前分岐点の退出側信号機が視認できる状態から視認できなくなる状態へと切り替わる地点は、退出側信号機に対する相対的な位置関係によって特定されるが、その地点は車種毎に(より具体的には車の形状やフロントウィンドウの形状によって)異なる。従って、上述した5mという距離は固定値としても良いが、車種毎に変更する距離Lとしても良い。尚、車種毎に変更する場合には、ナビゲーションECU13は車両情報として車種又は距離LをセンタやDBから取得するように構成する。
尚、案内フレーズ中の信号機の数は、分岐点単位での信号機の数とすることが望ましい。即ち、大型の道路等において同一分岐点に複数の信号機が設けられている場合には、該複数の信号機は1の信号機としてカウントすることが望ましい。その場合には、案内フレーズ中の信号機の数は、信号機の設置された分岐点(即ち、信号機交差点)の数に相当する。但し、分岐点単位でカウントする場合であっても、分岐点以外に設置された信号機(例えば押しボタン式信号機等)も信号機の数としてカウントすることが望ましい。以下の説明でも同様である。
【0038】
また、例えば『特殊フレーズA』の内、「これから通過する信号の、次の信号を左(右)方向です」との案内を行う場合には、案内分岐点の1つ手前の分岐点(案内文中の『これから通過する信号』が示す信号機の設置された分岐点)をユーザが今から通過すると把握できる状態にある間に、案内の発話を開始し且つ終了する(即ち、音声案内の出力を開始し且つ出力を終了する)必要がある。従って、図3に示すように、「これから通過する信号の、次の信号を左(右)方向です」との案内候補には、案内開始区間として“「第1手前分岐点の進入側信号機から100m手前」と「第2手前分岐点の退出側信号機から5m手前」の内、案内分岐点に近い方の地点”から“第1手前分岐点の進入側信号機から5m手前”までの区間(即ち、案内分岐点の進入側信号機に対して1つ手前の分岐点に位置する信号機が車両から最も近くに位置して、ユーザが該信号機を視認できる区間)が対応付けられている。また、案内終了区間として“「第1手前分岐点の進入側信号機から100m手前」と「第2手前分岐点の退出側信号機から5m手前」の内、案内分岐点に近い方の地点”から“第1手前分岐点の退出側信号機から5m手前”までの区間(即ち、案内分岐点の進入側信号機に対して1つ手前の分岐点に位置する信号機が車両から最も近くに位置して、ユーザが該分岐点を通過完了していない(即ち通過中又は通過前)と把握できる区間)が対応付けられている。具体的に図4を用いて説明すると、案内開始区間は、案内分岐点61に対して1つ手前側の第1手前分岐点64の進入側信号機65の100m手前の地点Cから、第1手前分岐点64の進入側信号機65から5m手前の地点Dまでの区間となる。また、案内終了区間は、案内分岐点61に対して1つ手前側の第1手前分岐点64の進入側信号機65の100m手前の地点Eから、第1手前分岐点64の退出側信号機66から5m手前の地点Fまでの区間となる。その結果、案内を受けたユーザは、第1手前分岐点64が案内文中の『これから通過する信号』の示す信号機の設置された分岐点であることが把握でき、案内文中の『次の信号』が案内分岐点61の進入側信号機67であることを明確に特定することが可能となる。
尚、上記案内開始区間の終点である“第2手前分岐点の進入側信号機から5m手前”は、第2手前分岐点の進入側信号機の周辺であって、特に車両の乗員(特に運転手)から第2手前分岐点の進入側信号機が視認できる状態から視認できなくなる状態へと切り替わる地点に相当する。ここで、車両の乗員から第2手前分岐点の進入側信号機が視認できる状態から視認できなくなる状態へと切り替わる地点は、進入側信号機に対する相対的な位置関係によって特定されるが、その地点は車種毎に(より具体的には車の形状やフロントウィンドウの形状によって)異なる。従って、上述した5mという距離は固定値としても良いが、車種毎に変更する距離Lとしても良い。尚、車種毎に変更する場合には、ナビゲーションECU13は車両情報として車種又は距離LをセンタやDBから取得するように構成する。尚、案内開始区間の終点以外に案内開始区間の始点、案内終了区間の始点及び終点についても同様である。
【0039】
また、例えば『特殊フレーズB』の内、「通過中の信号の、次の信号を左(右)方向です」との案内を行う場合には、案内分岐点の1つ手前の信号機(案内文中の『通過中の信号』が示す信号機の設置された分岐点)をユーザが通過していると把握できる状態にある間に、案内の発話を開始し且つ終了する(即ち、音声案内の出力を開始し且つ出力を終了する)必要がある。従って、図3に示すように、「通過中の信号の、次の信号を左(右)方向です」との案内候補には、案内開始区間として“「第1手前分岐点の進入側信号機から50m手前」と「第2手前分岐点の退出側信号機から5m手前」の内、案内分岐点に近い方の地点”から“第1手前分岐点の退出側信号機から5m手前”までの区間(即ち、案内分岐点の進入側信号機に対して1つ手前の分岐点に位置する信号機が車両から最も近くに位置して、ユーザが該信号機を視認できる区間)が対応付けられている。また、案内終了区間として“第1手前分岐点の進入側信号機から5m手前”から“案内分岐点の進入側信号機から5m手前”までの区間(即ち、案内分岐点の進入側信号機に対して1つ手前の分岐点に位置する信号機が車両から最も近くに位置して、ユーザが該分岐点を現在通過していると把握できる区間)が対応付けられている。具体的に図4を用いて説明すると、案内開始区間は、案内分岐点61に対して1つ手前側の信号機付きの分岐点である第1手前分岐点64の進入側信号機65の50m手前の地点Gから、第1手前分岐点64の退出側信号機66から5m手前の地点Hまでの区間となる。また、案内終了区間は、案内分岐点61に対して1つ手前側の信号機付きの分岐点である第1手前分岐点64の進入側信号機65の5m手前の地点Iから、案内分岐点61の進入側信号機67から5m手前の地点Jまでの区間となる。その結果、案内を受けたユーザは、第1手前分岐点64が案内文中の『通過中の信号』の示す信号機の設置された分岐点であることが把握でき、案内文中の『次の信号』が案内分岐点61の進入側信号機67であることを明確に特定することが可能となる。
尚、上記案内開始区間の終点である“第2手前分岐点の退出側信号機から5m手前”は、第2手前分岐点の退出側信号機の周辺であって、特に車両の乗員(特に運転手)から第2手前分岐点の退出側信号機が視認できる状態から視認できなくなる状態へと切り替わる地点に相当する。ここで、車両の乗員から第2手前分岐点の退出側信号機が視認できる状態から視認できなくなる状態へと切り替わる地点は、退出側信号機に対する相対的な位置関係によって特定されるが、その地点は車種毎に(より具体的には車の形状やフロントウィンドウの形状によって)異なる。従って、上述した5mという距離は固定値としても良いが、車種毎に変更する距離Lとしても良い。尚、車種毎に変更する場合には、ナビゲーションECU13は車両情報として車種又は距離LをセンタやDBから取得するように構成する。尚、案内開始区間の終点以外に案内開始区間の始点、案内終了区間の始点及び終点についても同様である。
【0040】
案内フレーズ条件テーブル32には、同様にして他の案内候補についても記憶されている。尚、案内分岐点の案内方向は、左(右)方向以外に、右(左)斜め方向や右(左)手前方向等も存在する。また、案内方向によって案内を出力する為に必要な時間も変化する。また、案内開始区間及び案内終了区間の開始端又は終端を特定する各数値(5m、50m、100m等)は適宜変更することが可能である。
そして、ナビゲーションECU13は、後述のように案内経路の形状や案内経路上に設置された信号機や分岐点の位置情報や案内フレーズ条件テーブル32等に基づいて『通常フレーズ』、『特殊フレーズA』、『特殊フレーズB』の内から車両の進行方向前方にある案内分岐点の案内に用いる案内を設定する。例えば、上述した『通常フレーズ』、『特殊フレーズA』、『特殊フレーズB』の案内候補は、車両と手前分岐点との位置関係及び車両と案内分岐点との位置関係を特定する第1フレーズ〜第3フレーズの内のいずれか一又は複数を用いて案内分岐点を案内する案内候補であるが、そのフレーズの内容が互いに異なる。従って、ナビゲーションECU13は、後述のように車両と手前分岐点及び案内分岐点との位置関係を考慮して、車両と手前分岐点及び案内分岐点との位置関係を示すフレーズが適当な案内候補を案内分岐点の案内として設定することとなる。
【0041】
一方、ナビゲーションECU(エレクトロニック・コントロール・ユニット)13は、ナビゲーション装置1の全体の制御を行う電子制御ユニットであり、演算装置及び制御装置としてのCPU41、並びにCPU41が各種の演算処理を行うにあたってワーキングメモリとして使用されるとともに、経路が探索されたときの経路データ等が記憶されるRAM42、制御用のプログラムのほか、後述の分岐点案内処理プログラム(図5〜図7、図9、図11参照)等が記録されたROM43、ROM43から読み出したプログラムを記憶するフラッシュメモリ44等の内部記憶装置を備えている。尚、ナビゲーションECU13は、処理アルゴリズムとしての各種手段を構成する。例えば、案内経路設定手段は、車両(移動体)の移動を案内する出発地(例えば、車両の現在位置)から目的地までの案内経路及び案内分岐点を設定する。信号機位置取得手段は、案内分岐点よりも案内経路の出発地側に存在する手前分岐点の進入側信号機及び退出側信号機の位置を取得する。案内開始区間設定手段は、手前分岐点の進入側信号機及び退出側信号機の位置に基づいて、手前分岐点の進入側信号機の出発地側の所定距離手前から手前分岐点の退出側信号機周辺までの区間を、案内開始区間に設定する。案内終了区間設定手段は、手前分岐点の進入側信号機の位置に基づいて、手前分岐点の進入側信号機周辺から目的地側の次にある他の手前分岐点又は案内分岐点の進入側信号機周辺までの区間を、案内終了区間に設定する。案内判定手段は、案内開始区間に位置する車両に対して案内分岐点の案内の出力を開始した場合に、案内終了区間に車両が位置する間に該案内の出力を終了できるか否か判定する。移動体位置取得手段は、車両の位置を取得し、位置判定手段は、車両の位置と案内開始区間の位置とに基づいて、車両が案内開始区間に位置するか否か判定する。分岐点案内手段は、案内判定手段によって案内の出力を終了できると判定された場合であって、位置判定手段によって車両が案内開始区間に位置すると判定された場合に、案内分岐点の案内の出力を開始する。車両情報取得手段は、車両に関する車両情報を取得する。第1切替地点特定手段は、車両情報に基づいて、車両の乗員から手前分岐点の進入側信号機が視認できる状態から視認できなくなる状態へと切り替わる第1切替地点を特定し、第2切替地点特定手段は、車両情報に基づいて、車両の乗員から手前分岐点の退出側信号機が視認できる状態から視認できなくなる状態へと切り替わる第2切替地点を特定する。第3切替地点特定手段は、車両情報に基づいて、車両の乗員から他の手前分岐点又は案内分岐点の進入側信号機が視認できる状態から視認できなくなる状態へと切り替わる第3切替地点を特定する。
【0042】
操作部14は、走行開始地点としての出発地及び走行終了地点としての目的地を入力する際等に操作され、各種のキー、ボタン等の複数の操作スイッチ(図示せず)から構成される。そして、ナビゲーションECU13は、各スイッチの押下等により出力されるスイッチ信号に基づき、対応する各種の動作を実行すべく制御を行う。尚、操作部14は液晶ディスプレイ15の前面に設けたタッチパネルによって構成することもできる。また、マイクと音声認識装置によって構成することもできる。
【0043】
また、液晶ディスプレイ15には、道路を含む地図画像、交通情報、操作案内、操作メニュー、キーの案内、出発地から目的地までの案内経路、案内経路に沿った案内情報、ニュース、天気予報、時刻、メール、テレビ番組等が表示される。特に本実施形態では、案内分岐点が車両の進行方向前方の所定距離以内(例えば300m)に接近した場合には、案内分岐点付近の拡大図や車両の案内分岐点における進行方向について表示する。
【0044】
また、スピーカ16は、ナビゲーションECU13からの指示に基づいて案内経路に沿った走行を案内する音声ガイダンスや、交通情報の案内を出力する。特に本実施形態では、案内分岐点が車両の進行方向前方にある場合には、案内内容に基づく所定の案内の開始タイミング(例えば、「通過中の信号の、次の信号を左方向です」との音声案内を出力する場合には、第2手前分岐点の進入側信号機から50m手前(図3参照)に車両が到達するタイミング)で案内分岐点の音声案内を出力する。
【0045】
また、DVDドライブ17は、DVDやCD等の記録媒体に記録されたデータを読み取り可能なドライブである。そして、読み取ったデータに基づいて音楽や映像の再生、地図情報DB31の更新等が行われる。
【0046】
また、通信モジュール18は、交通情報センタ、例えば、VICSセンタやプローブセンタ等から送信された渋滞情報、規制情報、交通事故情報等の各情報から成る交通情報を受信する為の通信装置であり、例えば携帯電話機やDCMが該当する。
【0047】
続いて、前記構成を有するナビゲーション装置1においてナビゲーションECU13が実行する分岐点案内処理プログラムについて図5に基づき説明する。図5は本実施形態に係る分岐点案内処理プログラムのフローチャートである。ここで、分岐点案内処理プログラムは車両のACCがONされた後に所定間隔(例えば車両の現在位置の検出周期毎)で繰り返し実行され、案内経路上にある案内分岐点に対する案内を行うプログラムである。尚、以下の図5〜図7、図9、図11にフローチャートで示されるプログラムは、ナビゲーション装置1が備えているRAM42やROM43に記憶されており、CPU41により実行される。
【0048】
先ず、分岐点案内処理プログラムではステップ(以下、Sと略記する)1において、CPU41は、ナビゲーション装置1において設定された案内経路に基づく経路案内が行われているか否か判定する。ここで、案内経路は、出発地(例えば自車の現在位置)からユーザに選択された目的地までの推奨経路であり、経路探索処理の結果に基づいて設定される。また、経路探索処理は、地図情報DB31に記憶されたリンクデータ33やノードデータ34、VICSセンタから取得した交通情報等を用いて、公知のダイクストラ法等により行われる。
【0049】
そして、ナビゲーション装置1において設定された案内経路に基づく経路案内が行われていると判定された場合(S1:YES)には、S2へと移行する。それに対して、ナビゲーション装置1において設定された案内経路に基づく経路案内が行われていないと判定された場合(S1:NO)には、当該分岐点案内処理プログラムを終了する。
【0050】
S2においてCPU41は、車両の現在位置を現在位置検出部11の検出結果に基づいて取得する。尚、車両の現在位置を地図データ上で特定するマップマッチング処理についても行う。更に、車両の現在位置は、高精度ロケーション技術を用いて詳細に特定することが望ましい。ここで、高精度ロケーション技術とは、車両後方のカメラから取り込んだ白線や路面ペイント情報を画像認識により検出し、更に、白線や路面ペイント情報を予め記憶した地図情報DBと照合することにより、走行車線や高精度な車両位置を検出可能にする技術である。尚、高精度ロケーション技術の詳細については既に公知であるので省略する。
【0051】
次に、S3においてCPU41は、ナビゲーション装置1において設定されている案内経路(案内経路中の案内分岐点を含む)を取得する。
【0052】
続いて、S4においてCPU41は、前記S2で取得した車両の現在位置と前記S3で取得した案内経路に基づいて、車両の進行方向前方の所定距離以内(例えば、1.47km以内)に案内分岐点が有るか否か判定する。尚、案内分岐点とは、前記したようにナビゲーション装置1に設定された案内経路に従ってナビゲーション装置1が走行の案内を行う際に、右左折指示等の案内を行う対象となる分岐点である。
【0053】
そして、車両の進行方向前方の所定距離以内に案内分岐点が有ると判定された場合(S4:YES)には、S5へと移行する。それに対して、車両の進行方向前方の所定距離以内に案内分岐点が無いと判定された場合(S4:NO)には、当該分岐点案内処理プログラムを終了する。
【0054】
S5においてCPU41は、車両の進行方向前方にある案内分岐点に対する案内が既に行われたか否か判定する。尚、前記S5では、案内分岐点に対する案内の内、特に案内分岐点での右左折等を指示する音声案内が行われたか否かを判定する。
【0055】
そして、車両の進行方向前方にある案内分岐点に対する案内が既に行われたと判定された場合(S5:YES)には、当該分岐点案内処理プログラムを終了する。それに対して、車両の進行方向前方にある案内分岐点に対する案内が行われていないと判定された場合(S5:NO)には、S6へと移行する。
【0056】
S6においてCPU41は、車両の進行方向前方にある案内分岐点に対する案内が、後述の案内設定処理(S7)において既に設定されたか否か判定する。尚、前記S6では、案内分岐点に対する案内の内、特に案内分岐点での右左折等を指示する音声案内が設定されたか否かを判定する。
【0057】
そして、車両の進行方向前方にある案内分岐点に対する案内が既に設定されたと判定された場合(S6:YES)には、S8へと移行する。それに対して、車両の進行方向前方にある案内分岐点に対する案内がまだ設定されていないと判定された場合(S6:NO)には、S7へと移行する。
【0058】
S7においてCPU41は、後述の案内設定処理(図6)を実行する。尚、案内設定処理は、後述のように案内フレーズ条件テーブル32に規定された複数の案内候補(本実施形態では『通常フレーズ』、『特殊フレーズA』、『特殊フレーズC』の3種類)の内から、手前分岐点間の相対的な位置関係に基づいて、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点を案内する為の最適な案内候補を選択し、該案内分岐点の案内として設定する処理である。
【0059】
次に、S8においてCPU41は、前記S7で案内に設定された案内候補に基づく案内の出力を開始するタイミングとなったか否か判定する。具体的には、前記S7で案内に設定された案内候補に対応付けられた案内開始区間(図3参照)に車両が位置するか否か判定され、該案内開始区間に車両が位置する場合に案内の出力を開始するタイミングとなったと判定する。尚、通常は案内開始区間の内、特に案内開始区間の始点に車両が到達した時点を、案内の出力を開始するタイミングとする。例えば、前記S7において『通常フレーズ』による案内が案内分岐点の案内に設定された場合には、車両が“第3手前分岐点の退出側信号機から更に5m手前”又は“第2手前分岐点の退出側信号機から更に5m手前”又は“第1手前分岐点の退出側信号機から更に5m手前”に到達した時点で、それぞれ案内の出力を開始するタイミングとなったと判定する。但し、案内終了区間に車両が位置する間に案内の出力が終了するのであれば、案内開始区間内の始点以外の地点(例えば終点や中間地点等)に車両が到達した時点を、案内の出力を開始するタイミングとしても良い。例えば、車両の現在位置の検出誤差を考慮し、生じ得る最大の検出誤差(例えば30m)の距離分だけ案内開始区間の始点から終点側に移動した地点に車両が到達した時点を、案内の出力を開始するタイミングとしても良い。また、手前分岐点の間隔が短い場合や案内分岐点が連続する場合等において、案内開始区間の始点に車両が到達した時点で前回の案内が終了していない場合には、前回の案内が終了した後の時点を案内の出力を開始するタイミングとする。
【0060】
そして、前記S7で案内に設定された案内候補に基づく案内の出力を開始するタイミングとなったと判定された場合(S8:YES)には、S9へと移行する。それに対して、前記S7で案内に設定された案内候補に基づく案内の出力を開始するタイミングとなっていないと判定された場合(S8:NO)には、当該分岐点案内処理プログラムを終了する。
【0061】
S9においてCPU41は、前記S7で案内に設定された案内候補に基づいて、案内分岐点に関する案内を行う。具体的には、案内分岐点を特定させる案内と車両の案内分岐点での退出方向を特定する案内(即ち、車両が案内分岐点から退出する退出道路を特定させる為の案内)を行う。例えば、前記S7において『特殊フレーズB』による案内が案内分岐点の案内に設定された場合であって、車両が通過中の手前分岐点から案内分岐点までに存在する分岐点の数が、該手前分岐点を除き案内分岐点を含めて2つである場合には、車両が案内開始区間に位置するタイミングで「通過中の信号の、2つ目の信号を左(右)方向です」とのフレーズをスピーカ16から出力する。また、車両が通過中の手前分岐点から案内分岐点までに存在する分岐点の数が、該手前分岐点を除き案内分岐点を含めて1つである場合には、「通過中の信号の、次の信号を左(右)方向です」とのフレーズをスピーカ16から出力する。尚、手前分岐点から案内分岐点までに存在する分岐点の数は、前記S2で取得した車両の現在位置と地図情報DB31に基づいて取得される。更に、案内分岐点が車両の所定距離以内(例えば300m)に接近した場合には、案内分岐点付近の拡大図や車両の案内分岐点における進行方向について液晶ディスプレイ15に表示する。
その結果、案内分岐点及び該案内分岐点から車両が退出する道路をユーザに正確に特定させることが可能となる。
【0062】
次に、前記S7において実行される案内設定処理のサブ処理について図6に基づき説明する。図6は案内設定処理のサブ処理プログラムのフローチャートである。
【0063】
先ず、S11においてCPU41は、後述の第1案内判定処理(図7)を実行する。尚、第1案内判定処理は、後述のように案内フレーズ条件テーブル32(図3)に規定された複数の案内候補の内、特に『通常フレーズ』による案内が、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点を案内する為の案内として適しているか否かを判定する処理である。尚、『通常フレーズ』による案内は、車両と案内分岐点との位置関係を、案内時点の車両から案内分岐点までに存在する分岐点(より具体的には信号機の設置された分岐点)の数により示す第3フレーズ(例えば「2つ目の信号」)を含む案内である。
【0064】
次に、S12においてCPU41は、前記S11の第1案内判定処理の判定の結果、『通常フレーズ』による案内が、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点を案内する為の案内として適していると認定されたか否かを判定する。
【0065】
そして、『通常フレーズ』による案内が、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点を案内する為の案内として適していると判定された場合(S12:YES)には、S13へと移行する。それに対して、『通常フレーズ』による案内が、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点を案内する為の案内として適していないと判定された場合(S12:NO)には、S14へと移行する。
【0066】
S13においてCPU41は、『通常フレーズ』による案内を、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点を案内する為の案内として設定する。また、『通常フレーズ』による案内に対応付けられた案内開始区間に車両が位置するタイミングを、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点の案内の開始タイミングとして設定する。その後、S8へと移行する。
【0067】
また、S14においてCPU41は、後述の第2案内判定処理(図9)を実行する。尚、第2案内判定処理は、後述のように案内フレーズ条件テーブル32に規定された複数の案内候補の内、特に『特殊フレーズA』による案内が、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点を案内する為の案内として適しているか否かを判定する処理である。尚、『特殊フレーズA』による案内は、車両と手前分岐点との位置関係を、手前分岐点の内、案内時点で最も車両側にある手前分岐点を将来的に車両が通過する分岐点であることを示す第1フレーズ(例えば「これから通過する信号」)と、該手前分岐点を車両が通過した後の車両と案内分岐点との位置関係を、手前分岐点通過後の車両から案内分岐点までに存在する分岐点(より具体的には信号機の設置された分岐点)の数により示す第2フレーズ(例えば「2つ目の信号」)とをそれぞれ含む案内である。
【0068】
次に、S15においてCPU41は、前記S14の第2案内判定処理の判定の結果、『特殊フレーズA』による案内が、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点を案内する為の案内として適していると認定されたか否かを判定する。
【0069】
そして、『特殊フレーズA』による案内が、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点を案内する為の案内として適していると判定された場合(S15:YES)には、S13へと移行する。それに対して、『特殊フレーズA』による案内が、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点を案内する為の案内として適していないと判定された場合(S15:NO)には、S16へと移行する。
【0070】
S13においてCPU41は、『特殊フレーズA』による案内を、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点を案内する為の案内として設定する。また、『特殊フレーズA』による案内に対応付けられた案内開始区間に車両が位置するタイミングを、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点の案内の開始タイミングとして設定する。その後、S8へと移行する。
【0071】
また、S16においてCPU41は、後述の第3案内判定処理(図11)を実行する。尚、第3案内判定処理は、後述のように案内フレーズ条件テーブル32に規定された複数の案内候補の内、特に『特殊フレーズB』による案内が、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点を案内する為の案内として適しているか否かを判定する処理である。尚、『特殊フレーズB』による案内は、車両と手前分岐点との位置関係を、手前分岐点の内、案内時点で最も車両側にある手前分岐点を車両が現在通過中の分岐点であることを示す第1フレーズ(例えば「これから通過する信号」)と、該手前分岐点を車両が通過した後の車両と案内分岐点との位置関係を、手前分岐点通過後の車両から案内分岐点までに存在する分岐点(より具体的には信号機の設置された分岐点)の数により示す第2フレーズ(例えば「2つ目の信号」)とをそれぞれ含む案内である。
【0072】
次に、S17においてCPU41は、前記S16の第3案内判定処理の判定の結果、『特殊フレーズB』による案内が、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点を案内する為の案内として適していると認定されたか否かを判定する。
【0073】
そして、『特殊フレーズB』による案内が、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点を案内する為の案内として適していると判定された場合(S17:YES)には、S13へと移行する。それに対して、『特殊フレーズB』による案内が、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点を案内する為の案内として適していないと判定された場合(S17:NO)には、S18へと移行する。
【0074】
S13においてCPU41は、『特殊フレーズB』による案内を、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点を案内する為の案内として設定する。また、『特殊フレーズB』による案内に対応付けられた案内開始区間に車両が位置するタイミングを、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点の案内の開始タイミングとして設定する。その後、S8へと移行する。
【0075】
それに対して、S18においてCPU41は、信号機を用いない案内を、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点を案内する為の案内として設定する。信号機を用いない案内としては、例えば「まもなく右(左)方向です」とのフレーズを発話する案内や、「300m先(700m先)を右(左)方向です」とのフレーズを発話する案内等が有る。また、設定された案内に対応付けられた案内開始区間に車両が位置するタイミング(例えば、「300m先を右(左)方向です」では、案内分岐点から350m手前に到達したタイミング)を、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点の案内の開始タイミングとして設定する。その後、S8へと移行する。
【0076】
また、S11で判定対象となる『通常フレーズ』による案内と、S14で判定対象となる『特殊フレーズA』による案内と、S16で判定対象となる『特殊フレーズB』による案内にそれぞれ対応付けられた案内開始区間を比較すると、S11で判定対象となる『通常フレーズ』による案内に対応付けられた案内開始区間が最も案内経路の出発地側にあり、S16で判定対象となる『特殊フレーズB』による案内に対応付けられた案内開始区間が最も案内分岐点側にある。即ち、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点を案内する為の案内として適していると判定される案内候補が複数ある場合には、案内開始区間が出発地側にある(即ち、案内の開始されるタイミングの早い)案内候補が優先的に該案内分岐点の案内に設定されることとなる。
【0077】
次に、前記S11において実行される第1案内判定処理のサブ処理について図7に基づき説明する。図7は第1案内判定処理のサブ処理プログラムのフローチャートである。
【0078】
先ず、S31においてCPU41は、判定対象となる『通常フレーズ』による案内に対して、案内開始区間及び案内終了区間を設定する。尚、設定される案内開始区間及び案内終了区間は、案内フレーズ条件テーブル32(図3)に予め対応付けて記憶されている。
【0079】
次に、S32においてCPU41は、地図情報DB31に記憶されたリンクデータ33、ノードデータ34、分岐点データ35等に基づいて、前記S31で『通常フレーズ』による案内に設定された案内開始区間の始点から案内終了区間の終点までの距離Xを算出する。尚、図3に示すように、『通常フレーズ』による案内としては、第3フレーズで示す案内分岐点までの分岐点の数が異なる3種類の案内フレーズ(「3つ目の信号を左(右)方向です」、「2つ目の信号を左(右)方向です」、「次の信号を左(右)方向です」)が存在する。そして、前記S32ではそれぞれの案内フレーズ毎に距離Xを算出する。
【0080】
以下に、『通常フレーズ』による案内の内、「2つ目の信号を左(右)方向です」との案内フレーズを例に挙げて、距離Xの算出方法について図8を用いて説明する。
図8に示すように、先ずCPU41は、地図情報DB31に記憶されたリンクデータ33、ノードデータ34、分岐点データ35等に基づいて、案内分岐点61に対して2つ手前側の信号機付きの分岐点である第2手前分岐点62の退出側信号機63から案内分岐点61までの距離aを取得する。続いて、案内分岐点61に対して1つ手前側の信号機付きの分岐点である第1手前分岐点64の進入側信号機65から案内分岐点61までの距離bを取得する。その後、距離aに5mを追加した距離と、距離bに50mを追加した距離の差分を距離Xとして算出する。
【0081】
次に、S33においてCPU41は、車両の現在の車速や案内フレーズ条件テーブル32に基づいて、『通常フレーズ』による案内の出力を行うのに必要な距離Yを算出する。具体的に、距離Yは、案内フレーズ条件テーブル32に記憶された案内(音声案内)を出力する為に必要な時間(例えば4秒)に、車速センサ22により検出した現在の車速を乗じた距離となる。尚、現在の車速の代わりに所定車速(例えば60km/h)を乗じても良い。また、所定車速は、車両が走行する道路の道路種別によって変更しても良い(例えば、国道、県道は60km/h、その他の一般道が40km/h)。尚、図3に示すように、『通常フレーズ』による案内としては、案内タイミングの異なる3種類の案内フレーズ(「3つ目の信号を左(右)方向です」、「2つ目の信号を左(右)方向です」、「次の信号を左(右)方向です」)が存在する。そして、前記S33ではそれぞれの案内フレーズ毎に距離Yを算出する。
【0082】
続いて、S34においてCPU41は、前記S32で算出した案内開始区間の始点から案内開始区間の終点までの距離Xが、前記S33で算出した案内の出力を行うのに必要な距離Yより長いか否か、即ち、前記S31で『通常フレーズ』による案内に設定された案内開始区間で案内の出力を開始した場合に、同じく設定された案内終了区間内で案内の出力を終了できるか否か判定する。尚、図3に示すように、『通常フレーズ』による案内としては、案内タイミングの異なる3種類の案内フレーズ(「3つ目の信号を左(右)方向です」、「2つ目の信号を左(右)方向です」、「次の信号を左(右)方向です」)が存在する。そして、前記S34ではそれぞれの案内フレーズ毎に距離Xと距離Yとを比較する。そして、前記S34では全ての案内フレーズについて距離Xが距離Yより長いか否かを判定することが望ましい。
【0083】
そして、案内開始区間の始点から案内開始区間の終点までの距離Xが、案内の出力を行うのに必要な距離Yより長いと判定された場合(S34:YES)、即ち前記S31で『通常フレーズ』による案内に設定された案内開始区間で案内の出力を開始した場合に、同じく設定された案内終了区間内で案内の出力を終了できると判定された場合には、『通常フレーズ』による案内が、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点を案内する為の案内として適していると認定する(S35)。その結果、前記したようにS13においてCPU41は、『通常フレーズ』による案内を、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点を案内する為の案内として設定する。
【0084】
一方、案内開始区間の始点から案内開始区間の終点までの距離Xが、案内の出力を行うのに必要な距離Yと同じ又は短いと判定された場合(S34:NO)、即ち前記S31で『通常フレーズ』による案内に設定された案内開始区間で案内の出力を開始した場合に、同じく設定された案内終了区間内で案内の出力を終了できないと判定された場合には、『通常フレーズ』による案内が、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点を案内する為の案内として不適であると認定する(S36)。その後、S12へと移行する。
【0085】
次に、前記S14において実行される第2案内判定処理のサブ処理について図9に基づき説明する。図9は第2案内判定処理のサブ処理プログラムのフローチャートである。
【0086】
先ず、S41においてCPU41は、判定対象となる『特殊フレーズA』による案内に対して、案内開始区間及び案内終了区間を設定する。尚、設定される案内開始区間及び案内終了区間は、案内フレーズ条件テーブル32(図3)に予め対応付けて記憶されている。
【0087】
次に、S42においてCPU41は、地図情報DB31に記憶されたリンクデータ33、ノードデータ34、分岐点データ35等に基づいて、前記S41で『特殊フレーズA』による案内に設定された案内開始区間の始点から案内終了区間の終点までの距離X´を算出する。尚、図3に示すように、『特殊フレーズA』による案内としては、第2フレーズで示す案内分岐点までの分岐点の数が異なる2種類の案内フレーズ(「これから通過する信号の、2つ目の信号を左(右)方向です」、「これから通過する信号の、次の信号を左(右)方向です」)が存在する。そして、前記S42ではそれぞれの案内フレーズ毎に距離X´を算出する。
【0088】
以下に、『特殊フレーズA』による案内の内、「これから通過する信号の、次の信号を左(右)方向です」との案内フレーズを例に挙げて、距離X´の算出方法について図10を用いて説明する。
図10に示すように、先ずCPU41は、地図情報DB31に記憶されたリンクデータ33、ノードデータ34、分岐点データ35等に基づいて、案内分岐点61に対して2つ手前側の信号機付きの分岐点である第2手前分岐点62の退出側信号機63から案内分岐点61までの距離aを取得する。続いて、案内分岐点61に対して1つ手前側の信号機付きの分岐点である第1手前分岐点64の進入側信号機65から案内分岐点61までの距離bを取得する。更に、案内分岐点61に対して1つ手前側の信号機付きの分岐点である第1手前分岐点64の退出側信号機66から案内分岐点61までの距離cを取得する。その後、CPU41は、距離bに100mを追加した距離が、距離aに5mを追加した距離より長いか否かを判定する。そして、図10に示す例では、距離bに100mを追加した距離よりも、距離aに5mを追加した距離の方が長いので、案内開始区間の始点として、「第1手前分岐点64の進入側信号機65から更に100m手前」を選択する。更に、CPU41は、案内開始区間の始点から案内分岐点までの距離dを、距離bに100mを追加した距離に設定する。その後、CPU41は、距離dと、距離cに5mを追加した距離との差分を距離X´として算出する。
【0089】
次に、S43においてCPU41は、車両の現在の車速や案内フレーズ条件テーブル32に基づいて、『特殊フレーズA』による案内の出力を行うのに必要な距離Y´を算出する。具体的に、距離Y´は、案内フレーズ条件テーブル32に記憶された案内(音声案内)を出力する為に必要な時間(例えば6秒)に、車速センサ22により検出した現在の車速を乗じた距離となる。尚、現在の車速の代わりに所定車速(例えば60km/h)を乗じても良い。また、所定車速は、車両が走行する道路の道路種別によって変更しても良い(例えば、国道、県道は60km/h、その他の一般道が40km/h)。尚、図3に示すように、『特殊フレーズA』による案内としては、案内タイミングの異なる2種類の案内フレーズ(「これから通過する信号の、2つ目の信号を左(右)方向です」、「これから通過する信号の、次の信号を左(右)方向です」)が存在する。そして、前記S43ではそれぞれの案内フレーズ毎に距離Y´を算出する。
【0090】
続いて、S44においてCPU41は、前記S42で算出した案内開始区間の始点から案内開始区間の終点までの距離X´が、前記S43で算出した案内の出力を行うのに必要な距離Y´より長いか否か、即ち、前記S41で『特殊フレーズA』による案内に設定された案内開始区間で案内の出力を開始した場合に、同じく設定された案内終了区間内で案内の出力を終了できるか否か判定する。尚、図3に示すように、『特殊フレーズA』による案内としては、案内タイミングの異なる2種類の案内フレーズ(「これから通過する信号の、2つ目の信号を左(右)方向です」、「これから通過する信号の、次の信号を左(右)方向です」)が存在する。そして、前記S44ではそれぞれの案内フレーズ毎に距離X´と距離Y´とを比較する。そして、前記S44では全ての案内フレーズについて距離X´が距離Y´より長いか否かを判定することが望ましい。
【0091】
そして、案内開始区間の始点から案内開始区間の終点までの距離X´が、案内の出力を行うのに必要な距離Y´より長いと判定された場合(S44:YES)、即ち前記S41で『特殊フレーズA』による案内に設定された案内開始区間で案内の出力を開始した場合に、同じく設定された案内終了区間内で案内の出力を終了できると判定された場合には、『特殊フレーズA』による案内が、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点を案内する為の案内として適していると認定する(S45)。その結果、前記したようにS13においてCPU41は、『特殊フレーズA』による案内を、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点を案内する為の案内として設定する。尚、『特殊フレーズA』による案内では、案内開始区間は対象となる手前分岐点の通過を開始する前の区間に設定され、案内終了区間は対象となる手前分岐点を超えないように設定されているので、該手前分岐点の通過を開始する前に少なくとも案内の一部は出力され、且つ該手前分岐点の通過を完了する前に案内の出力が終了することとなり、ユーザはフレーズ中の『これから通過する信号』の示す信号機の設置された分岐点を正確に把握することが可能となる。
【0092】
一方、案内開始区間の始点から案内開始区間の終点までの距離X´が、案内の発話を行うのに必要な距離Y´と同じ又は短いと判定された場合(S44:NO)、即ち前記S41で『特殊フレーズA』による案内に設定された案内開始区間で案内の出力を開始した場合に、同じく設定された案内終了区間内で案内の出力を終了できないと判定された場合には、『特殊フレーズA』による案内が、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点を案内する為の案内として不適であると認定する(S46)。その後、S15へと移行する。
【0093】
次に、前記S16において実行される第3案内判定処理のサブ処理について図11に基づき説明する。図11は第3案内判定処理のサブ処理プログラムのフローチャートである。
【0094】
先ず、S51においてCPU41は、判定対象となる『特殊フレーズB』による案内に対して、案内開始区間及び案内終了区間を設定する。尚、設定される案内開始区間及び案内終了区間は、案内フレーズ条件テーブル32(図3)に予め対応付けて記憶されている。
【0095】
次に、S52においてCPU41は、地図情報DB31に記憶されたリンクデータ33、ノードデータ34、分岐点データ35等に基づいて、前記S51で『特殊フレーズB』による案内に設定された案内開始区間の始点から案内終了区間の終点までの距離X´´を算出する。尚、図3に示すように、『特殊フレーズB』による案内としては、第2フレーズで示す案内分岐点までの分岐点の数が異なる2種類の案内フレーズ(「通過中の信号の、2つ目の信号を左(右)方向です」、「通過中の信号の、次の信号を左(右)方向です」)が存在する。そして、前記S52ではそれぞれの案内フレーズ毎に距離X´´を算出する。
【0096】
以下に、『特殊フレーズB』による案内の内、「通過中の信号の、次の信号を左(右)方向です」との案内フレーズを例に挙げて、距離X´´の算出方法について図12を用いて説明する。
図12に示すように、先ずCPU41は、地図情報DB31に記憶されたリンクデータ33、ノードデータ34、分岐点データ35等に基づいて、案内分岐点61に対して2つ手前側の信号機付きの分岐点である第2手前分岐点62の退出側信号機63から案内分岐点61までの距離aを取得する。続いて、案内分岐点61に対して1つ手前側の信号機付きの分岐点である第1手前分岐点64の進入側信号機65から案内分岐点61までの距離bを取得する。更に、案内分岐点61に対して1つ手前側の信号機付きの分岐点である第1手前分岐点64の退出側信号機66から案内分岐点61までの距離cを取得する。その後、CPU41は、距離bに50mを追加した距離が、距離aに5mを追加した距離より長いか否かを判定する。そして、図12に示す例では、距離bに50mを追加した距離よりも、距離aに5mを追加した距離の方が長いので、案内開始区間の始点として、「第1手前分岐点64の進入側信号機65から更に50m手前」を選択する。更に、CPU41は、更に、CPU41は、案内開始区間の始点から案内分岐点までの距離eを、距離bに50mを追加した距離に設定する。一方で、案内分岐点61の進入側信号機67から案内分岐点61までの距離fを取得する。その後、CPU41は、距離eと、距離fに5mを追加した距離との差分を距離X´´として算出する。
【0097】
次に、S53においてCPU41は、車両の現在の車速や案内フレーズ条件テーブル32に基づいて、『特殊フレーズB』による案内の出力を行うのに必要な距離Y´´を算出する。具体的に、距離Y´´は、案内フレーズ条件テーブル32に記憶された案内(音声案内)を出力する為に必要な時間(例えば5秒)に、車速センサ22により検出した現在の車速を乗じた距離となる。尚、現在の車速の代わりに所定車速(例えば60km/h)を乗じても良い。また、所定車速は、車両が走行する道路の道路種別によって変更しても良い(例えば、国道、県道は60km/h、その他の一般道が40km/h)。尚、図3に示すように、『特殊フレーズB』による案内としては、案内タイミングの異なる2種類の案内フレーズ(「通過中の信号の、2つ目の信号を左(右)方向です」、「通過中の信号の、次の信号を左(右)方向です」)が存在する。そして、前記S53ではそれぞれの案内フレーズ毎に距離Y´´を算出する。
【0098】
続いて、S54においてCPU41は、前記S52で算出した案内開始区間の始点から案内開始区間の終点までの距離X´´が、前記S53で算出した案内の出力を行うのに必要な距離Y´´より長いか否か、即ち、前記S51で『特殊フレーズB』による案内に設定された案内開始区間で案内の出力を開始した場合に、同じく設定された案内終了区間内で案内の出力を終了できるか否か判定する。尚、図3に示すように、『特殊フレーズB』による案内としては、案内タイミングの異なる2種類の案内フレーズ(「通過中の信号の、2つ目の信号を左(右)方向です」、「通過中の信号の、次の信号を左(右)方向です」)が存在する。そして、前記S54ではそれぞれの案内フレーズ毎に距離X´´と距離Y´´とを比較する。そして、前記S54では全ての案内フレーズについて距離X´´が距離Y´´より長いか否かを判定することが望ましい。
【0099】
そして、案内開始区間の始点から案内開始区間の終点までの距離X´´が、案内の出力を行うのに必要な距離Y´´より長いと判定された場合(S54:YES)、即ち前記S51で『特殊フレーズB』による案内に設定された案内開始区間で案内の出力を開始した場合に、同じく設定された案内終了区間内で案内の出力を終了できると判定された場合には、『特殊フレーズB』による案内が、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点を案内する為の案内として適していると認定する(S55)。その結果、前記したようにS13においてCPU41は、『特殊フレーズB』による案内を、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点を案内する為の案内として設定する。尚、『特殊フレーズB』による案内では、案内開始区間と案内終了区間とが重複する区間である手前分岐点内の走行中に少なくとも案内の一部が出力されることとなり、ユーザはフレーズ中の『通過中の信号』の示す信号機の設置された分岐点を正確に把握することが可能となる。
【0100】
一方、案内開始区間の始点から案内開始区間の終点までの距離X´´が、案内の発話を行うのに必要な距離Y´´と同じ又は短いと判定された場合(S54:NO)、即ち前記S51で『特殊フレーズB』による案内に設定された案内開始区間で案内の出力を開始した場合に、同じく設定された案内終了区間内で案内の出力を終了できないと判定された場合には、『特殊フレーズB』による案内が、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点を案内する為の案内として不適であると認定する(S56)。その後、S17へと移行する。その結果、案内フレーズ条件テーブル32に規定された複数の案内候補の内から、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点を案内する為の最適な案内が選択され、該案内分岐点の案内として設定される。特に、上記実施例では、手前分岐点を示すフレーズが適当な案内候補を案内分岐点の案内として設定することが可能となる。
【0101】
以上説明したように、上述した分岐点案内処理プログラム(図5〜図7、図9、図11)では、基本的には『通常フレーズ』が案内分岐点の案内として設定され、手前分岐点の間隔が狭く、『通常フレーズ』を用いると案内分岐点が誤認識される虞がある状況(具体的には、車両が手前分岐点の所定距離手前(例えば進入側信号機の50m手前)に到達する前に案内が終了しない場合)では、『特殊フレーズA』や『特殊フレーズB』が案内分岐点の案内として設定される。そして、『特殊フレーズA』と『特殊フレーズB』のいずれを案内分岐点の案内として設定するかは、手前分岐点間の相対的な位置関係を考慮して決定される。特に、案内分岐点の案内が開始される時点で車両が手前分岐点の通過を開始しておらず、案内が行われている間に車両が手前分岐点を通過完了しない(即ち手前分岐点の通過前又は通過中である)場合には、『特殊フレーズA』を案内分岐点の案内として設定する。また、案内分岐点の案内が開始される時点で車両が手前分岐点の通過を開始していないか通過中であって、案内が行われている間に車両が手前分岐点への通過を開始するか通過を完了する場合には、『特殊フレーズB』を案内分岐点の案内として設定する。また、『特殊フレーズA』と『特殊フレーズB』とでは、『特殊フレーズA』が優先的に設定される。従って、結果的に案内が行われている間に車両が手前分岐点を通過完了しない場合には、『特殊フレーズA』が案内分岐点の案内として設定されることとなる。そして、特に分岐点の間隔が狭く、車両が手前分岐点の通過を開始した後に案内分岐点の案内が開始される場合又は案内が行われている間に車両が手前分岐点を通過完了する場合に限って、『特殊フレーズB』が案内分岐点の案内として設定されることとなる。
【0102】
以上詳細に説明した通り、本実施形態に係るナビゲーション装置1、ナビゲーション装置1を用いた移動案内方法及びナビゲーション装置1で実行されるコンピュータプログラムによれば、含まれるフレーズ内容が異なる複数種類の案内候補が、案内の発話を開始する必要の有る区間である案内開始区間と、案内の発話を終了する必要のある区間である案内終了区間に対応付けられて記憶された案内フレーズ条件テーブル32を有し、上記複数種類の案内候補の内から、車両の進行方向前方にある案内分岐点を案内するのに適当な案内候補を選択し、選択された案内候補を該案内分岐点の案内として設定する(S12、S13)。特に複数種類の案内候補の内、『特殊フレーズB』は、手前側分岐点の進入側信号機の出発地側の所定距離手前から手前側分岐点の退出側信号機周辺までの区間が案内開始区間に設定され、手前側分岐点の進入側信号機周辺から次の手前側分岐点又は案内分岐点の進入側信号機周辺までの区間が案内終了区間に設定される。そして、設定された案内開始区間に位置する車両に対して案内分岐点の案内の出力を開始した場合に、案内終了区間に車両が位置する間に該案内の出力を終了できると判定された場合であって、車両が案内開始区間に位置すると判定された場合に、設定された案内により案内分岐点の案内を行う(S9)ので、分岐点の間隔が短い都心部等において分岐点の通過中に案内を出力しなければならない場合であっても、手前分岐点の信号機の位置に基づく適切なタイミングで案内の出力を開始及び終了することによって、案内分岐点をユーザに正確に特定させる案内を行うことが可能となる。また、分岐点の間隔が短い都心部等においても従来のような案内が行われない事態が発生することを防止し、ユーザに案内分岐点を正確に特定させることを可能にする。
また、『特殊フレーズA』や『特殊フレーズB』は、車両と手前分岐点との位置関係を特定する第1フレーズと、手前分岐点を車両が通過した後の車両と案内分岐点との位置関係を特定する第2フレーズとをそれぞれ含む案内により案内分岐点の案内を行うので、手前分岐点の通過中に案内を出力しなければならない場合であっても、車両の手前分岐点の通過を考慮した案内を行うことにより、案内分岐点の位置をユーザに容易に特定させることが可能となる。また、案内分岐点までの距離を用いて案内する場合と比較して、ユーザに案内分岐点をより正確に特定させることが可能となる。
また、『特殊フレーズB』による案内では、手前分岐点を車両が現在通過中の分岐点であることを示す第1フレーズを含む案内により案内分岐点の案内を行うので、フレーズ中に示される手前分岐点をユーザに正確に特定させることが可能となる。その結果、手前分岐点を基準に案内分岐点の位置をユーザに容易に特定させることが可能となる。
また、『特殊フレーズB』による案内では、手前分岐点を移動体が通過した後の移動体から案内分岐点までの分岐点の数を特定する第2フレーズを含む案内により案内分岐点の案内を行うので、分岐点の数によって車両と案内分岐点との位置関係をユーザに容易に特定させることが可能となる。その結果、ユーザに案内分岐点を正確に特定させることが可能となる。
また、『特殊フレーズB』による案内は、手前側分岐点の進入側信号機の出発地側の所定距離手前から手前側分岐点の退出側信号機が車両の乗員から視認できなくなる地点までの区間が案内開始区間に設定され、手前側分岐点の進入側信号機が車両の乗員から視認できなくなる地点から次の手前側分岐点又は案内分岐点の進入側信号機が車両の乗員から視認できなくなる地点までの区間が案内終了区間に設定されるので、手前分岐点の退出側信号機が視認できなくなる前、即ち手前分岐点をユーザが現在通過していると認識できる状態で案内分岐点の案内の出力を開始し、手前分岐点の前方にある分岐点が次の分岐点と認識できる状態で案内分岐点の案内の出力を終了することが可能となる。その結果、案内内容に基づく適切なタイミングで案内分岐点の案内を開始することが可能となる。特に信号機や分岐点を用いた案内を行う場合には、その効果は顕著なものとなる。
【0103】
尚、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論である。
例えば、本実施形態ではナビゲーション装置1による案内分岐点の案内をスピーカ16から音声案内により出力することにより行う構成としているが、液晶ディスプレイ15に文章を表示することにより案内を行う構成としても良い。
【0104】
また、本実施形態では、分岐点の周辺に設置された進入側信号機や退出側信号機の位置に基づいて、案内開始区間や案内終了区間を特定することとしているが、分岐点(案内分岐点、第1手前分岐点、第2手前分岐点)の位置に基づいて特定する構成としても良い。また、その場合には、案内分岐点の案内は、信号機ではなく分岐点を用いた案内(例えば「2つ目の分岐点を左(右)方向です」、「この分岐点の次の分岐点を左(右)方向です」、「通過中の次の分岐点を左(右)方向です」など)で行うこととしても良い。更に、分岐点を用いる上記構成とすれば、信号機情報36は不要となる。
【0105】
また、本実施形態では、案内分岐点が車両の進行方向前方の所定距離以内に位置する場合に、その前方に位置する案内分岐点の案内を設定する構成としているが、案内分岐点に対して案内を設定するタイミングは他のタイミングであっても良い。例えば、案内経路を設定した時点で案内経路に含まれる各案内分岐点に対して案内を設定しても良い。また、案内経路を設定する前に、各分岐点に対して案内を設定する構成としても良い。
【0106】
また、第1案内判定処理(図7)、第2案内判定処理(図9)、第3案内判定処理(図11)の各処理中で用いられる数値(5m、50m、100m等)は適宜変更することが可能である。例えば、車種によって変更することも可能である。
【0107】
また、本実施形態では、案内開始区間や案内終了区間の始点や終点を、進入側信号機や退出側信号機の周辺であって、車両の乗員から手前分岐点の進入側信号機や退出側信号機が視認できる状態から視認できなくなる状態へと切り替わる切替地点としているが、車両の乗員から手前分岐点の進入側信号機や退出側信号機が視認できない状態となる地点であれば、他の地点としても良い。例えば、切替地点から所定距離(例えば3m)だけ案内分岐点側の地点としても良い。また、手前分岐点の進入側信号機や退出側信号機の設置された位置としても良い。
【0108】
また、本実施形態では信号機情報36として分岐点の周辺に配置された全ての信号機に関する情報を記憶する構成としているが、分岐点からの退出方向毎に最も退出側にある信号機に関する情報のみを記憶する構成としても良い。その場合には、本実施形態中の進入側信号機を退出側信号機に置き換えることによって、本発明を実施することが可能である。更に、分岐点への進入方向毎に最も進入側にある信号機に関する情報のみを記憶する構成としても良い。また、信号機の代わりに停止線に関する情報を記憶する構成としても良い。その場合には、本実施形態中の進入側信号機及び退出側信号機を停止線に置き換えることによって、本発明を実施することが可能である。尚、信号機の代わりに停止線を用いる場合であっても、案内は信号機や分岐点を用いて行うことが望ましい。
【0109】
また、本実施形態では、案内分岐点の案内に設定する案内候補として3種類の『通常フレーズ』、『特殊フレーズA』、『特殊フレーズB』を例に挙げて説明しているが、上記3種類以外の案内候補を用いても良い。また、案内候補である3種類の『通常フレーズ』、『特殊フレーズA』、『特殊フレーズB』は、案内の開始されるタイミングが早い『通常フレーズ』、『特殊フレーズA』、『特殊フレーズB』の順に優先的に設定される構成としているが、優先順位は他の基準に基づいて設定しても良い。
【0110】
また、本発明はナビゲーション装置以外に、案内経路に基づく経路案内を行う機能を有する装置に対して適用することが可能である。例えば、携帯電話機やPDA等の携帯端末、パーソナルコンピュータ、携帯型音楽プレイヤ等(以下、携帯端末等という)に適用することも可能である。また、サーバと携帯端末等から構成されるシステムに対しても適用することが可能となる。その場合には、上述した分岐点案内処理プログラム(図5〜図7、図9、図11)の各ステップは、サーバと携帯端末等のいずれが実施する構成としても良い。また、本発明を携帯端末等に適用する場合には、車両以外の移動体、例えば、携帯端末等のユーザや2輪車等に対する走行案内を行う場合もある。
【符号の説明】
【0111】
1 ナビゲーション装置
13 ナビゲーションECU
31 地図情報DB
32 案内フレーズ条件テーブル
41 CPU
42 RAM
43 ROM
61 案内分岐点
62、64 手前分岐点
63、65〜67 信号機
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体の移動を案内する案内経路と該案内経路上の案内分岐点を設定する案内経路設定手段と、
前記案内分岐点よりも前記案内経路の出発地側に存在する手前分岐点の進入側信号機及び退出側信号機の位置を取得する信号機位置取得手段と、
前記信号機位置取得手段により取得した前記進入側信号機及び前記退出側信号機の位置に基づいて、前記進入側信号機の出発地側の所定距離手前から前記退出側信号機周辺までの区間を、案内開始区間に設定する案内開始区間設定手段と、
前記信号機位置取得手段により取得した前記進入側信号機の位置に基づいて、前記進入側信号機周辺から目的地側の次にある他の手前分岐点又は前記案内分岐点の進入側信号機周辺までの区間を、案内終了区間に設定する案内終了区間設定手段と、
前記案内開始区間に位置する前記移動体に対して前記案内分岐点の案内の出力を開始した場合に、前記案内終了区間に前記移動体が位置する間に該案内の出力を終了できるか否か判定する案内判定手段と、
前記移動体の位置を取得する移動体位置取得手段と、
前記移動体の位置と前記案内開始区間の位置とに基づいて、前記移動体が前記案内開始区間に位置するか否か判定する位置判定手段と、
前記案内判定手段によって案内の出力を終了できると判定された場合であって、前記位置判定手段によって前記移動体が前記案内開始区間に位置すると判定された場合に、前記案内分岐点の案内の出力を開始する分岐点案内手段と、を有することを特徴とする移動案内システム。
【請求項2】
前記分岐点案内手段は、前記移動体と前記手前分岐点との位置関係を特定する第1フレーズと、前記手前分岐点を前記移動体が通過した後の前記移動体と前記案内分岐点との位置関係を特定する第2フレーズとをそれぞれ含む案内により、前記案内分岐点の案内を行うことを特徴とする請求項1に記載の移動案内システム。
【請求項3】
前記第1フレーズは、前記手前分岐点を前記移動体が現在通過中の分岐点であることを示すフレーズであることを特徴とする請求項2に記載の移動案内システム。
【請求項4】
前記第2フレーズは、前記手前分岐点から前記案内分岐点までに存在する分岐点の数を特定するフレーズであることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の移動案内システム。
【請求項5】
前記移動体は車両であって、
前記車両に関する車両情報を取得する車両情報取得手段と、
前記車両情報に基づいて、前記車両の乗員から前記進入側信号機が視認できる状態から視認できなくなる状態へと切り替わる第1切替地点を特定する第1切替地点特定手段と、
前記車両情報に基づいて、前記車両の乗員から前記退出側信号機が視認できる状態から視認できなくなる状態へと切り替わる第2切替地点を特定する第2切替地点特定手段と、
前記車両情報に基づいて、前記車両の乗員から前記他の手前分岐点又は前記案内分岐点の進入側信号機が視認できる状態から視認できなくなる状態へと切り替わる第3切替地点を特定する第3切替地点特定手段と、を有し、
前記案内開始区間設定手段は、前記進入側信号機の出発地側の所定距離手前から前記第2切替地点までの区間を前記案内開始区間に設定し、
前記案内終了区間設定手段は、前記第1切替地点から前記第3切替地点までの区間を前記案内終了区間に設定することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の移動案内システム。
【請求項6】
移動体の移動を案内する案内経路と該案内経路上の案内分岐点を設定する案内経路設定手段と、
前記案内分岐点よりも前記案内経路の出発地側に存在する手前分岐点の進入側信号機及び退出側信号機の位置を取得する信号機位置取得手段と、
前記信号機位置取得手段により取得した前記進入側信号機及び前記退出側信号機の位置に基づいて、前記進入側信号機の出発地側の所定距離手前から前記退出側信号機周辺までの区間を、案内開始区間に設定する案内開始区間設定手段と、
前記信号機位置取得手段により取得した前記進入側信号機の位置に基づいて、前記進入側信号機周辺から目的地側の次にある他の手前分岐点又は前記案内分岐点の進入側信号機周辺までの区間を、案内終了区間に設定する案内終了区間設定手段と、
前記案内開始区間に位置する前記移動体に対して前記案内分岐点の案内の出力を開始した場合に、前記案内終了区間に前記移動体が位置する間に該案内の出力を終了できるか否か判定する案内判定手段と、
前記移動体の位置を取得する移動体位置取得手段と、
前記移動体の位置と前記案内開始区間の位置とに基づいて、前記移動体が前記案内開始区間に位置するか否か判定する位置判定手段と、
前記案内判定手段によって案内の出力を終了できると判定された場合であって、前記位置判定手段によって前記移動体が前記案内開始区間に位置すると判定された場合に、前記案内分岐点の案内の出力を開始する分岐点案内手段と、を有することを特徴とする移動案内装置。
【請求項7】
移動体の移動を案内する案内経路と該案内経路上の案内分岐点を設定する案内経路設定ステップと、
前記案内分岐点よりも前記案内経路の出発地側に存在する手前分岐点の進入側信号機及び退出側信号機の位置を取得する信号機位置取得ステップと、
前記信号機位置取得ステップにより取得した前記進入側信号機及び前記退出側信号機の位置に基づいて、前記進入側信号機の出発地側の所定距離手前から前記退出側信号機周辺までの区間を、案内開始区間に設定する案内開始区間設定ステップと、
前記信号機位置取得ステップにより取得した前記進入側信号機の位置に基づいて、前記進入側信号機周辺から目的地側の次にある他の手前分岐点又は前記案内分岐点の進入側信号機周辺までの区間を、案内終了区間に設定する案内終了区間設定ステップと、
前記案内開始区間に位置する前記移動体に対して前記案内分岐点の案内の出力を開始した場合に、前記案内終了区間に前記移動体が位置する間に該案内の出力を終了できるか否か判定する案内判定ステップと、
前記移動体の位置を取得する移動体位置取得ステップと、
前記移動体の位置と前記案内開始区間の位置とに基づいて、前記移動体が前記案内開始区間に位置するか否か判定する位置判定ステップと、
前記案内判定ステップによって案内の出力を終了できると判定された場合であって、前記位置判定ステップによって前記移動体が前記案内開始区間に位置すると判定された場合に、前記案内分岐点の案内の出力を開始する分岐点案内ステップと、を有することを特徴とする移動案内方法。
【請求項8】
コンピュータに、
移動体の移動を案内する案内経路と該案内経路上の案内分岐点を設定する案内経路設定機能と、
前記案内分岐点よりも前記案内経路の出発地側に存在する手前分岐点の進入側信号機及び退出側信号機の位置を取得する信号機位置取得機能と、
前記信号機位置取得機能により取得した前記進入側信号機及び前記退出側信号機の位置に基づいて、前記進入側信号機の出発地側の所定距離手前から前記退出側信号機周辺までの区間を、案内開始区間に設定する案内開始区間設定機能と、
前記信号機位置取得機能により取得した前記進入側信号機の位置に基づいて、前記進入側信号機周辺から目的地側の次にある他の手前分岐点又は前記案内分岐点の進入側信号機周辺までの区間を、案内終了区間に設定する案内終了区間設定機能と、
前記案内開始区間に位置する前記移動体に対して前記案内分岐点の案内の出力を開始した場合に、前記案内終了区間に前記移動体が位置する間に該案内の出力を終了できるか否か判定する案内判定機能と、
前記移動体の位置を取得する移動体位置取得機能と、
前記移動体の位置と前記案内開始区間の位置とに基づいて、前記移動体が前記案内開始区間に位置するか否か判定する位置判定ステップと、
前記案内判定機能によって案内の出力を終了できると判定された場合であって、前記位置判定機能によって前記移動体が前記案内開始区間に位置すると判定された場合に、前記案内分岐点の案内の出力を開始する分岐点案内機能と、
を実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項1】
移動体の移動を案内する案内経路と該案内経路上の案内分岐点を設定する案内経路設定手段と、
前記案内分岐点よりも前記案内経路の出発地側に存在する手前分岐点の進入側信号機及び退出側信号機の位置を取得する信号機位置取得手段と、
前記信号機位置取得手段により取得した前記進入側信号機及び前記退出側信号機の位置に基づいて、前記進入側信号機の出発地側の所定距離手前から前記退出側信号機周辺までの区間を、案内開始区間に設定する案内開始区間設定手段と、
前記信号機位置取得手段により取得した前記進入側信号機の位置に基づいて、前記進入側信号機周辺から目的地側の次にある他の手前分岐点又は前記案内分岐点の進入側信号機周辺までの区間を、案内終了区間に設定する案内終了区間設定手段と、
前記案内開始区間に位置する前記移動体に対して前記案内分岐点の案内の出力を開始した場合に、前記案内終了区間に前記移動体が位置する間に該案内の出力を終了できるか否か判定する案内判定手段と、
前記移動体の位置を取得する移動体位置取得手段と、
前記移動体の位置と前記案内開始区間の位置とに基づいて、前記移動体が前記案内開始区間に位置するか否か判定する位置判定手段と、
前記案内判定手段によって案内の出力を終了できると判定された場合であって、前記位置判定手段によって前記移動体が前記案内開始区間に位置すると判定された場合に、前記案内分岐点の案内の出力を開始する分岐点案内手段と、を有することを特徴とする移動案内システム。
【請求項2】
前記分岐点案内手段は、前記移動体と前記手前分岐点との位置関係を特定する第1フレーズと、前記手前分岐点を前記移動体が通過した後の前記移動体と前記案内分岐点との位置関係を特定する第2フレーズとをそれぞれ含む案内により、前記案内分岐点の案内を行うことを特徴とする請求項1に記載の移動案内システム。
【請求項3】
前記第1フレーズは、前記手前分岐点を前記移動体が現在通過中の分岐点であることを示すフレーズであることを特徴とする請求項2に記載の移動案内システム。
【請求項4】
前記第2フレーズは、前記手前分岐点から前記案内分岐点までに存在する分岐点の数を特定するフレーズであることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の移動案内システム。
【請求項5】
前記移動体は車両であって、
前記車両に関する車両情報を取得する車両情報取得手段と、
前記車両情報に基づいて、前記車両の乗員から前記進入側信号機が視認できる状態から視認できなくなる状態へと切り替わる第1切替地点を特定する第1切替地点特定手段と、
前記車両情報に基づいて、前記車両の乗員から前記退出側信号機が視認できる状態から視認できなくなる状態へと切り替わる第2切替地点を特定する第2切替地点特定手段と、
前記車両情報に基づいて、前記車両の乗員から前記他の手前分岐点又は前記案内分岐点の進入側信号機が視認できる状態から視認できなくなる状態へと切り替わる第3切替地点を特定する第3切替地点特定手段と、を有し、
前記案内開始区間設定手段は、前記進入側信号機の出発地側の所定距離手前から前記第2切替地点までの区間を前記案内開始区間に設定し、
前記案内終了区間設定手段は、前記第1切替地点から前記第3切替地点までの区間を前記案内終了区間に設定することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の移動案内システム。
【請求項6】
移動体の移動を案内する案内経路と該案内経路上の案内分岐点を設定する案内経路設定手段と、
前記案内分岐点よりも前記案内経路の出発地側に存在する手前分岐点の進入側信号機及び退出側信号機の位置を取得する信号機位置取得手段と、
前記信号機位置取得手段により取得した前記進入側信号機及び前記退出側信号機の位置に基づいて、前記進入側信号機の出発地側の所定距離手前から前記退出側信号機周辺までの区間を、案内開始区間に設定する案内開始区間設定手段と、
前記信号機位置取得手段により取得した前記進入側信号機の位置に基づいて、前記進入側信号機周辺から目的地側の次にある他の手前分岐点又は前記案内分岐点の進入側信号機周辺までの区間を、案内終了区間に設定する案内終了区間設定手段と、
前記案内開始区間に位置する前記移動体に対して前記案内分岐点の案内の出力を開始した場合に、前記案内終了区間に前記移動体が位置する間に該案内の出力を終了できるか否か判定する案内判定手段と、
前記移動体の位置を取得する移動体位置取得手段と、
前記移動体の位置と前記案内開始区間の位置とに基づいて、前記移動体が前記案内開始区間に位置するか否か判定する位置判定手段と、
前記案内判定手段によって案内の出力を終了できると判定された場合であって、前記位置判定手段によって前記移動体が前記案内開始区間に位置すると判定された場合に、前記案内分岐点の案内の出力を開始する分岐点案内手段と、を有することを特徴とする移動案内装置。
【請求項7】
移動体の移動を案内する案内経路と該案内経路上の案内分岐点を設定する案内経路設定ステップと、
前記案内分岐点よりも前記案内経路の出発地側に存在する手前分岐点の進入側信号機及び退出側信号機の位置を取得する信号機位置取得ステップと、
前記信号機位置取得ステップにより取得した前記進入側信号機及び前記退出側信号機の位置に基づいて、前記進入側信号機の出発地側の所定距離手前から前記退出側信号機周辺までの区間を、案内開始区間に設定する案内開始区間設定ステップと、
前記信号機位置取得ステップにより取得した前記進入側信号機の位置に基づいて、前記進入側信号機周辺から目的地側の次にある他の手前分岐点又は前記案内分岐点の進入側信号機周辺までの区間を、案内終了区間に設定する案内終了区間設定ステップと、
前記案内開始区間に位置する前記移動体に対して前記案内分岐点の案内の出力を開始した場合に、前記案内終了区間に前記移動体が位置する間に該案内の出力を終了できるか否か判定する案内判定ステップと、
前記移動体の位置を取得する移動体位置取得ステップと、
前記移動体の位置と前記案内開始区間の位置とに基づいて、前記移動体が前記案内開始区間に位置するか否か判定する位置判定ステップと、
前記案内判定ステップによって案内の出力を終了できると判定された場合であって、前記位置判定ステップによって前記移動体が前記案内開始区間に位置すると判定された場合に、前記案内分岐点の案内の出力を開始する分岐点案内ステップと、を有することを特徴とする移動案内方法。
【請求項8】
コンピュータに、
移動体の移動を案内する案内経路と該案内経路上の案内分岐点を設定する案内経路設定機能と、
前記案内分岐点よりも前記案内経路の出発地側に存在する手前分岐点の進入側信号機及び退出側信号機の位置を取得する信号機位置取得機能と、
前記信号機位置取得機能により取得した前記進入側信号機及び前記退出側信号機の位置に基づいて、前記進入側信号機の出発地側の所定距離手前から前記退出側信号機周辺までの区間を、案内開始区間に設定する案内開始区間設定機能と、
前記信号機位置取得機能により取得した前記進入側信号機の位置に基づいて、前記進入側信号機周辺から目的地側の次にある他の手前分岐点又は前記案内分岐点の進入側信号機周辺までの区間を、案内終了区間に設定する案内終了区間設定機能と、
前記案内開始区間に位置する前記移動体に対して前記案内分岐点の案内の出力を開始した場合に、前記案内終了区間に前記移動体が位置する間に該案内の出力を終了できるか否か判定する案内判定機能と、
前記移動体の位置を取得する移動体位置取得機能と、
前記移動体の位置と前記案内開始区間の位置とに基づいて、前記移動体が前記案内開始区間に位置するか否か判定する位置判定ステップと、
前記案内判定機能によって案内の出力を終了できると判定された場合であって、前記位置判定機能によって前記移動体が前記案内開始区間に位置すると判定された場合に、前記案内分岐点の案内の出力を開始する分岐点案内機能と、
を実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−19788(P2013−19788A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−153779(P2011−153779)
【出願日】平成23年7月12日(2011.7.12)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月12日(2011.7.12)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】
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