説明

移動案内システム、移動案内装置、移動案内方法及びコンピュータプログラム

【課題】出力されるフレーズの一部を省略することによって、案内の内容に従った適切なタイミングで案内の出力を行うことを可能にした移動案内システム、移動案内装置、移動案内方法及びコンピュータプログラムを提供する。
【解決手段】分岐点、信号機、ランドマーク等の目印対象物候補の内から、案内分岐点の案内を行う目印とする案内目印を設定し、案内分岐点よりも案内経路の出発地側に存在する第1案内開始地点に車両が到達した場合に、案内目印を特定する第1フレーズと、案内分岐点における移動体の移動方向を特定する第2フレーズとをそれぞれ含む案内により、案内分岐点の案内を行い、その後、第1案内開始地点よりも案内分岐点側に存在する第2案内開始地点に車両が到達した場合に、第1フレーズ及び第2フレーズの一方又は両方を省略して案内分岐点の案内を行うように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、案内経路に基づいて移動体の移動を案内する移動案内システム、移動案内装置、移動案内方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両の走行案内を行い、運転者が所望の目的地に容易に到着できるようにしたナビゲーション装置が車両に搭載されていることが多い。ここで、ナビゲーション装置とは、GPS受信機などにより自車の現在位置を検出し、その現在位置に対応する地図データをDVD−ROMやHDDなどの記録媒体またはネットワークを通じて取得して液晶モニタに表示することが可能な装置である。更に、かかるナビゲーション装置には、所望する目的地を入力すると、出発地から目的地までの最適経路を探索する経路探索機能を備えている。そして、探索結果に基づいて設定された案内経路をディスプレイ画面に表示するとともに、右左折等の案内の対象となる分岐点(以下、案内分岐点という)に接近した場合には音声やディスプレイ画面を用いた案内を行うことによって、ユーザを所望の目的地まで確実に案内するようになっている。また、近年は携帯電話機、PDA(Personal Digital Assistant)、パーソナルコンピュータ等においても上記ナビゲーション装置と同様の機能を有するものがある。更に、車両以外にも歩行者や二輪車を対象として上記案内を行うことも可能である。
【0003】
ここで、案内分岐点において右左折等の案内を行う場合には、案内分岐点をユーザに正確に特定させる必要がある。そして、このような案内分岐点をユーザに正確に特定させる案内方法の一つとして、車両から案内分岐点までにある目印を用いた案内がある。尚、目印としては、例えば、信号機、交差点、ランドマーク(店舗、店舗の看板、構造物)等がある。ここで、目印を用いて案内分岐点の案内を行う場合においては、案内の内容に従って案内の出力を適切なタイミングで行うことが重要である。しかし、分岐点の間隔が短い都心部等を車両が走行する場合には、案内の出力を適切なタイミングで行うことができない場合があった。例えば、案内の出力中に複数の目印を通過すると、案内文中に示される目印をユーザが他の目印と誤認する虞が有る。
【0004】
そこで、例えば特開2007−155352号公報では、特に目印として分岐点を用いて案内分岐点の案内を行う場合において、案内の出力中に複数の分岐点を通過する場合には、案内の出力を行わないように構成する技術について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−155352号公報(第9頁〜第12頁)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、上記特許文献1に記載の技術では、分岐点の間隔が短い都心部等では、音声案内がほとんど行われない結果となっていた。しかしながら、案内を行うことによって案内分岐点を正確に特定させることは、分岐点の間隔の広い郊外よりも、分岐点の間隔が短く、案内分岐点を間違え易い都心部等においてより重要な事項となる。従って、上記特許文献1に記載の技術では、案内分岐点をユーザに正確に特定させることができず、右左折操作のタイミングが遅れたり、案内経路を外れて走行する事態が生じていた。
【0007】
本発明は前記従来における問題点を解消するためになされたものであり、分岐点の間隔が短い都心部等においても、出力されるフレーズの一部を省略することによって、案内の内容に従った適切なタイミングで案内の出力を行うことが可能となり、案内分岐点をユーザに正確に特定させる案内を行うことを可能にした移動案内システム、移動案内装置、移動案内方法及びコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するため本願の請求項1に係る移動案内システム(1)は、移動体(61)の移動を案内する案内経路と該案内経路上の案内分岐点(62)を設定する案内経路設定手段(13)と、前記案内分岐点の案内を行う目印とする案内目印を設定する案内目印設定手段(13)と、前記案内分岐点よりも前記案内経路の出発地側に存在する第1案内開始地点に前記移動体が到達した場合に、前記案内目印を特定する第1フレーズと、前記案内分岐点における前記移動体の移動方向を特定する第2フレーズとをそれぞれ含む案内により、前記案内分岐点の案内を行う第1案内手段(13)と、前記第1案内開始地点よりも前記案内分岐点側に存在する第2案内開始地点に前記移動体が到達した場合に、前記第1フレーズ及び前記第2フレーズの一方又は両方を省略して前記案内分岐点の案内を行う第2案内手段(13)と、を有することを特徴とする移動案内システム。
尚、「移動体」としては、車両以外に、歩行者や二輪車も含む。
また、「案内分岐点」とは、案内経路に従って移動体の移動の案内を行う際に、右左折指示等の案内を行う対象となる分岐点が該当する。
また、「目印」とは、ユーザの目印となり得る対象物であり、例えば、信号機、交差点、ランドマーク(店舗、店舗の看板、構造物)等がある。
また、「フレーズ」は、句に相当する。
【0009】
また、請求項2に係る移動案内システム(1)は、請求項1に記載の移動案内システムであって、前記第1案内手段(13)による前記案内分岐点の案内が行われてからの前記移動体の移動距離を取得する移動距離取得手段(13)を有し、前記第2案内手段(13)は、前記第1案内手段による前記案内分岐点の案内が行われてからの前記移動体の移動距離が所定距離以内である場合に、前記第1フレーズ及び前記第2フレーズの一方又は両方を省略して前記案内分岐点の案内を行うことを特徴とする。
【0010】
また、請求項3に係る移動案内システム(1)は、請求項1又は請求項2に記載の移動案内システムであって、前記第1案内手段(13)による前記案内分岐点の案内が行われてからの経過時間を取得する経過時間取得手段(13)を有し、前記第2案内手段(13)は、前記第1案内手段による前記案内分岐点の案内が行われてからの経過時間が所定時間以内である場合に、前記第1フレーズ及び前記第2フレーズの一方又は両方を省略して前記案内分岐点の案内を行うことを特徴とする。
【0011】
また、請求項4に係る移動案内システム(1)は、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の移動案内システムであって、前記移動体(61)から前記案内分岐点(62)までの間に、前記案内目印と同じ種類の他の目印が有るか否か判定する目印判定手段(13)を有し、前記第2案内手段は、前記目印判定手段により前記他の目印が無いと判定された場合に、前記第1フレーズを省略して前記案内分岐点の案内を行うことを特徴とする。
【0012】
また、請求項5に係る移動案内システム(1)は、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の移動案内システムであって、前記第2案内手段(13)は、前記第2フレーズが所定長さ以下のフレーズである場合に、前記第2フレーズを省略して前記案内分岐点の案内を行うことを特徴とする。
【0013】
また、請求項6に係る移動案内システム(1)は、請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の移動案内システムであって、前記案内分岐点(62)の形状を取得する分岐点形状取得手段(13)を有し、前記第2案内手段(13)は、前記案内分岐点が該案内分岐点における前記移動体(61)の移動方向に対して一の退出道路のみが接続されている場合に、前記第2フレーズを省略して前記案内分岐点の案内を行うことを特徴とする。
【0014】
また、請求項7に係る移動案内装置(1)は、移動体(61)の移動を案内する案内経路と該案内経路上の案内分岐点(62)を設定する案内経路設定手段(13)と、前記案内分岐点の案内を行う目印とする案内目印を設定する案内目印設定手段(13)と、前記案内分岐点よりも前記案内経路の出発地側に存在する第1案内開始地点に前記移動体が到達した場合に、前記案内目印を特定する第1フレーズと、前記案内分岐点における前記移動体の移動方向を特定する第2フレーズとをそれぞれ含む案内により、前記案内分岐点の案内を行う第1案内手段(13)と、前記第1案内開始地点よりも前記案内分岐点側に存在する第2案内開始地点に前記移動体が到達した場合に、前記第1フレーズ及び前記第2フレーズの一方又は両方を省略して前記案内分岐点の案内を行う第2案内手段(13)と、を有することを特徴とする。
【0015】
また、請求項8に係る移動案内方法は、移動体(61)の移動を案内する案内経路と該案内経路上の案内分岐点(62)を設定する案内経路設定ステップと、前記案内分岐点の案内を行う目印とする案内目印を設定する案内目印設定ステップと、前記案内分岐点よりも前記案内経路の出発地側に存在する第1案内開始地点に前記移動体が到達した場合に、前記案内目印を特定する第1フレーズと、前記案内分岐点における前記移動体の移動方向を特定する第2フレーズとをそれぞれ含む案内により、前記案内分岐点の案内を行う第1案内ステップと、前記第1案内開始地点よりも前記案内分岐点側に存在する第2案内開始地点に前記移動体が到達した場合に、前記第1フレーズ及び前記第2フレーズの一方又は両方を省略して前記案内分岐点の案内を行う第2案内ステップと、を有することを特徴とする。
【0016】
更に、請求項9に係るコンピュータプログラムは、コンピュータに、移動体(61)の移動を案内する案内経路と該案内経路上の案内分岐点(62)を設定する案内経路設定機能と、前記案内分岐点の案内を行う目印とする案内目印を設定する案内目印設定機能と、前記案内分岐点よりも前記案内経路の出発地側に存在する第1案内開始地点に前記移動体が到達した場合に、前記案内目印を特定する第1フレーズと、前記案内分岐点における前記移動体の移動方向を特定する第2フレーズとをそれぞれ含む案内により、前記案内分岐点の案内を行う第1案内機能と、前記第1案内開始地点よりも前記案内分岐点側に存在する第2案内開始地点に前記移動体が到達した場合に、前記第1フレーズ及び前記第2フレーズの一方又は両方を省略して前記案内分岐点の案内を行う第2案内機能と、を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
前記構成を有する請求項1に記載の移動案内システムによれば、分岐点の間隔が短い都心部等においても、出力されるフレーズの一部を省略することによって、案内の出力に必要な時間を短縮することができ、案内の内容に従った適切なタイミングで案内の出力を行うことが可能となる。また、出力されるフレーズを省略しない案内を、省略する案内を行う前に行うので、案内目印を特定するフレーズや案内分岐点における移動体の移動方向を特定するフレーズがその後の案内で省略された場合であっても、それらをユーザに把握させることが可能となる。
【0018】
また、請求項2に記載の移動案内システムによれば、第1案内手段による案内分岐点の案内が行われてからの移動体の移動距離が所定距離以内である場合に、第1フレーズ及び第2フレーズの一方又は両方を省略して案内分岐点の案内を行うので、案内目印を特定するフレーズや案内分岐点における移動体の移動方向を特定するフレーズが省略された場合であっても、直前に行われた第1案内手段による案内をユーザに参照させることによって案内目印や案内分岐点における移動体の移動方向をユーザに確実に把握させることが可能となる。
【0019】
また、請求項3に記載の移動案内システムによれば、第1案内手段による案内分岐点の案内が行われてからの経過時間が所定時間以内である場合に、第1フレーズ及び第2フレーズの一方又は両方を省略して案内分岐点の案内を行うので、案内目印を特定するフレーズや案内分岐点における移動体の移動方向を特定するフレーズが省略された場合であっても、直前に行われた第1案内手段による案内をユーザに参照させることによって案内目印や案内分岐点における移動体の移動方向をユーザに確実に把握させることが可能となる。
【0020】
また、請求項4に記載の移動案内システムによれば、移動体から案内分岐点までの間に、案内目印と同じ種類の他の目印が無い場合に、第1フレーズを省略して案内分岐点の案内を行うので、案内目印を特定するフレーズが省略された場合であっても、ユーザが案内目印に誤認する虞のある目印が他に存在しないので、案内目印をユーザに確実に把握させることが可能となる。
【0021】
また、請求項5に記載の移動案内システムによれば、第2フレーズが所定長さ以下のフレーズである場合に、第2フレーズを省略して案内分岐点の案内を行うので、案内分岐点における移動体の移動方向を特定するフレーズが省略された場合であっても、案内分岐点における移動体の移動方向をユーザが間違える可能性が低く、案内経路に沿って移動体を移動させることが可能となる。
【0022】
また、請求項6に記載の移動案内システムによれば、案内分岐点が該案内分岐点における移動体の移動方向に対して一の退出道路のみが接続されている場合に、第2フレーズを省略して案内分岐点の案内を行うので、案内分岐点における移動体の移動方向を特定するフレーズが省略された場合であっても、案内分岐点における移動体の移動方向をユーザが間違える可能性が低く、案内経路に沿って移動体を移動させることが可能となる。
【0023】
また、請求項7に記載の移動案内装置によれば、分岐点の間隔が短い都心部等においても、出力されるフレーズの一部を省略することによって、案内の出力に必要な時間を短縮することができ、案内の内容に従った適切なタイミングで案内の出力を行うことが可能となる。また、出力されるフレーズを省略しない案内を、省略する案内を行う前に行うので、案内目印を特定するフレーズや案内分岐点における移動体の移動方向を特定するフレーズがその後の案内で省略された場合であっても、それらをユーザに把握させることが可能となる。
【0024】
また、請求項8に記載の移動案内方法によれば、分岐点の間隔が短い都心部等においても、出力されるフレーズの一部を省略することによって、案内の出力に必要な時間を短縮することができ、案内の内容に従った適切なタイミングで案内の出力を行うことが可能となる。また、出力されるフレーズを省略しない案内を、省略する案内を行う前に行うので、案内目印を特定するフレーズや案内分岐点における移動体の移動方向を特定するフレーズがその後の案内で省略された場合であっても、それらをユーザに把握させることが可能となる。
【0025】
更に、請求項9に記載のコンピュータプログラムによれば、分岐点の間隔が短い都心部等においても、出力されるフレーズの一部を省略させることによって、案内の出力に必要な時間を短縮することができ、案内の内容に従った適切なタイミングで案内の出力を行わせることが可能となる。また、出力されるフレーズを省略しない案内を、省略する案内を行う前に行わせるので、案内目印を特定するフレーズや案内分岐点における移動体の移動方向を特定するフレーズがその後の案内で省略された場合であっても、それらをユーザに把握させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本実施形態に係るナビゲーション装置を示したブロック図である。
【図2】分岐点に配置される信号機の一例を示した図である。
【図3】案内フレーズ条件テーブルの一例を示した図である。
【図4】本実施形態に係る分岐点案内処理プログラムのフローチャートである。
【図5】本実施形態に係る案内設定処理のサブ処理プログラムのフローチャートである。
【図6】本実施形態に係る省略フレーズ設定処理のサブ処理プログラムのフローチャートである。
【図7】フレーズの一部を省略した省略フレーズの一例を示した図である。
【図8】フレーズの一部を省略した省略フレーズの一例を示した図である。
【図9】省略フレーズにより案内を行う場合の案内例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明に係る移動案内システム及び移動案内装置をナビゲーション装置に具体化した一実施形態に基づき図面を参照しつつ詳細に説明する。先ず、本実施形態に係るナビゲーション装置1の概略構成について図1を用いて説明する。図1は本実施形態に係るナビゲーション装置1を示したブロック図である。
【0028】
図1に示すように本実施形態に係るナビゲーション装置1は、ナビゲーション装置1が搭載された車両の現在位置を検出する現在位置検出部11と、各種のデータが記録されたデータ記録部12と、入力された情報に基づいて、各種の演算処理を行うナビゲーションECU13と、ユーザからの操作を受け付ける操作部14と、ユーザに対して車両周辺の地図や施設の関する施設情報を表示する液晶ディスプレイ15と、経路案内に関する音声ガイダンスを出力するスピーカ16と、記憶媒体であるDVDを読み取るDVDドライブ17と、プローブセンタやVICS(登録商標:Vehicle Information and Communication System)センタ等の情報センタとの間で通信を行う通信モジュール18と、から構成されている。
【0029】
以下に、ナビゲーション装置1を構成する各構成要素について順に説明する。
現在位置検出部11は、GPS21、車速センサ22、ステアリングセンサ23、ジャイロセンサ24等からなり、現在の車両の位置、方位、車両の走行速度、現在時刻等を検出することが可能となっている。ここで、特に車速センサ22は、車両の移動距離や車速を検出する為のセンサであり、車両の駆動輪の回転に応じてパルスを発生させ、パルス信号をナビゲーションECU13に出力する。そして、ナビゲーションECU13は発生するパルスを計数することにより駆動輪の回転速度や移動距離を算出する。尚、上記5種類のセンサをナビゲーション装置1が全て備える必要はなく、これらの内の1又は複数種類のセンサのみをナビゲーション装置1が備える構成としても良い。
【0030】
また、データ記録部12は、外部記憶装置及び記録媒体としてのハードディスク(図示せず)と、ハードディスクに記録された地図情報DB31や案内フレーズ条件テーブル32や所定のプログラム等を読み出すとともにハードディスクに所定のデータを書き込む為のドライバである記録ヘッド(図示せず)とを備えている。尚、データ記録部12をハードディスクの代わりにメモリーカードやCDやDVD等の光ディスクにより構成しても良い。
【0031】
ここで、地図情報DB31は、例えば、道路(リンク)に関するリンクデータ33、ノード点に関するノードデータ34、各分岐点に関する分岐点データ35、施設等の地点に関する地点データ、地図を表示するための地図表示データ、経路を探索するための探索データ、地点を検索するための検索データ等が記憶された記憶手段である。
【0032】
ここで、リンクデータ33としては、例えば、該リンクを識別するリンクID、該リンクの端部に位置するノードを特定する端部ノード情報、該リンクを構成する道路の道路種別、車線数等が記憶される。また、ノードデータ34としては、該ノードを識別するノードID、該ノードの位置座標、該ノードがリンクを介して接続される接続先ノードを特定する接続先ノード情報等が記憶される。また、分岐点データ35としては、該分岐点(交差点)を形成するノードを特定する該当ノード情報、該分岐点に接続されるリンク(以下、接続リンクという)を特定する接続リンク情報、分岐点の形状を特定する情報、分岐点の周辺に設置された信号機に関する信号機情報36等が記憶される。
【0033】
また、信号機情報36としては、全国の各分岐点(交差点)の周辺に設置された信号機について、信号機の設置された方向(即ち、信号機のライトが向いている方向であり、以下、設置方向という)や灯数(3灯式、1灯式等)や信号機の設置された位置座標(以下、設置座標という)等が記憶される。更に、一の分岐点に対して複数の信号機が設置されている場合には、複数の信号機毎に上記設置方向や設置座標等が記憶される。例えば、図2に示すように片側2車線の道路が交差する分岐点51では、8個の信号機52〜59が設置されている。従って、分岐点51の信号機情報36としては、信号機52〜59の設置方向や設置座標等が記憶される。
【0034】
尚、信号機情報36としては、分岐点からの退出方向毎に、最も退出側にある信号機(即ち車両が分岐点を通過する際に、その分岐点で最後に視認できる信号機であり、以下、退出側信号機という)に関する情報のみを記憶する構成としても良い。例えば、図2に示す分岐点51では、図の下から上への退出方向に対して退出側信号機である信号機53に関する情報を記憶し、図の上から下への退出方向に対して退出側信号機である信号機55に関する情報を記憶し、図の左から右への退出方向に対して退出側信号機である信号機57に関する情報を記憶し、図の右から左への退出方向に対して退出側信号機である信号機59に関する情報を記憶する。即ち、8個の信号機52〜59の内、信号機53、55、57、59の設置方向と設置座標のみを記憶する構成としても良い。また、分岐点からの進入方向毎に、最も進入側(即ち出発地側)にある信号機(即ち車両が最初に視認できる信号機であり、以下、進入側信号機という)に関する情報のみを記憶する構成としても良い。更に、信号機の代わりに停止線に関する情報を記憶する構成としても良い。
そして、ナビゲーションECU13は、後述のように地図情報DB31に記憶された各データに基づいて、車両の進行方向前方にある案内分岐点と該案内分岐点よりも案内経路の出発地側に存在する案内目印(例えば、信号機付き分岐点)を特定する。そして、特定された案内分岐点や案内目印に基づいて、車両の進行方向前方にある案内分岐点の案内を複数の候補の内から設定する。尚、案内分岐点とは、ナビゲーション装置1に設定されている案内経路に従ってナビゲーション装置1が走行の案内を行う際に、右左折指示等の案内を行う対象となる分岐点である。
【0035】
また、案内フレーズ条件テーブル32は、案内分岐点を案内する為の案内の候補である複数種類の案内候補について、発話されるフレーズ(句)の内容とともに、案内の発話を出力する為に必要な時間(出力所要時間)や、案内の発話を開始する必要のある区間(即ち、その区間に車両が位置する間に案内を開始する必要がある区間)である案内開始区間や、案内の発話を終了する必要のある区間(即ち、その区間に車両が位置する間に案内を終了する必要がある区間)である案内終了区間等がそれぞれ対応付けられて記憶されたテーブルである。
【0036】
以下に、案内フレーズ条件テーブル32について具体例を挙げてより詳細に説明する。図3は案内フレーズ条件テーブル32の一例を示した図である。尚、図3に示す案内候補は、案内分岐点で行われる案内の内、特に案内目印として信号機付きの分岐点を用いて案内分岐点での右左折の案内を行う場合に出力される案内の候補について示す。また、以下の実施例の説明では、案内分岐点の一つ手前側(案内経路に沿った出発地側)の信号機付き分岐点を第1手前分岐点と称し、第1手前分岐点の更に一つ手前側(案内経路に沿った出発地側)の信号機付きの分岐点を第2手前分岐点と称し、第2手前分岐点の更に一つ手前側(案内経路に沿った出発地側)の信号機付きの分岐点を第3手前分岐点と称して説明する。
【0037】
ここで、本実施形態に係るナビゲーション装置1では、案内分岐点の案内に設定される候補となる案内候補は、手前分岐点を特定するフレーズの内容によって基本的に3種類に区分される。具体的には、車両と案内分岐点との位置関係を示すフレーズを含む『通常フレーズ』と、車両と手前分岐点との位置関係を特定するフレーズと、手前分岐点を移動体が通過した後の移動体と案内分岐点との位置関係を特定するフレーズとをそれぞれ含む『特殊フレーズA』及び『特殊フレーズB』とに区分される。そして、案内候補毎にフレーズの内容に合わせて、異なる案内開始区間及び案内終了区間が設定されている。また、後述のように、一定条件下では『通常フレーズ』の内の一部のフレーズを省略した『省略フレーズ』が設定される場合がある。尚、『省略フレーズ』は案内開始区間や案内終了区間は『標準フレーズ』と同じ区間が対応づけられるが、出力所要時間は省略するフレーズ内容によって異なる。尚、『省略フレーズ』の詳細については後述する。
【0038】
また、『通常フレーズ』、『特殊フレーズA』及び『特殊フレーズB』は、それぞれ案内目印を特定する第1フレーズ(例えば「信号」)と、案内分岐点における車両の移動方向を特定する第2フレーズ(例えば「左(右)方向」)とを含むフレーズから構成される。一方、『省略フレーズ』は、第1フレーズ及び第2フレーズの一方又は両方を省略したフレーズにより構成される。
【0039】
案内フレーズ条件テーブル32には、同様にして他の案内候補についても記憶されている。尚、案内分岐点の案内方向は、左(右)方向以外に、右(左)斜め方向や右(左)手前方向等も存在する。また、案内方向によって案内を出力する為に必要な時間も変化する。また、案内開始区間及び案内終了区間の開始端又は終端を特定する各数値(5m、50m、100m等)は適宜変更することが可能である。また、一の案内分岐点に対して異なる種類のフレーズを組み合わせて案内分岐点の案内を行っても良い。例えば、第3手前分岐点の退出側信号機から5m手前に車両が到達した時点で「3つ目の信号を左(右)方向です」との案内を行い、その後に第1手前分岐点の進入側信号機から100m手前に車両が到達した時点で「これから通過する信号の、次の信号を左(右)方向です」との案内を行っても良い。また、案内開始区間や案内終了区間は、進入側信号機の代わりに停止線を用いて規定しても良い。
そして、ナビゲーションECU13は、後述のように案内経路の形状や案内経路上に設置された信号機や分岐点の位置情報や案内フレーズ条件テーブル32等に基づいて、『通常フレーズ』、『特殊フレーズA』、『特殊フレーズB』の内から車両の進行方向前方にある案内分岐点の案内に用いるのに適当な案内候補を選択し、該案内分岐点の案内として設定する。更に、後述のように『通常フレーズ』、『特殊フレーズA』及び『特殊フレーズB』のいずれの案内も案内分岐点の案内として不適であると判定した場合であって、一定の条件を満たした場合には、『通常フレーズ』に含まれる第1フレーズ及び第2フレーズの一方又は両方を省略した『省略フレーズ』を案内分岐点の案内として設定する。
【0040】
一方、ナビゲーションECU(エレクトロニック・コントロール・ユニット)13は、ナビゲーション装置1の全体の制御を行う電子制御ユニットであり、演算装置及び制御装置としてのCPU41、並びにCPU41が各種の演算処理を行うにあたってワーキングメモリとして使用されるとともに、経路が探索されたときの経路データ等が記憶されるRAM42、制御用のプログラムのほか、後述の分岐点案内処理プログラム(図4〜図6参照)等が記録されたROM43、ROM43から読み出したプログラムを記憶するフラッシュメモリ44等の内部記憶装置を備えている。尚、ナビゲーションECU13は、処理アルゴリズムとしての各種手段を構成する。例えば、案内経路設定手段は、車両(移動体)の移動を案内する出発地(例えば、車両の現在位置)から目的地までの案内経路及び案内分岐点を設定する。案内目印設定手段は、案内分岐点の案内を行う目印とする案内目印を設定する。第1案内手段は、案内分岐点よりも案内経路の出発地側に存在する第1案内開始地点に車両が到達した場合に、案内目印を特定する第1フレーズと、案内分岐点における車両の移動方向を特定する第2フレーズとをそれぞれ含む案内により、案内分岐点の案内を行う。第2案内手段は、第1案内開始地点よりも案内分岐点側に存在する第2案内開始地点に車両が到達した場合に、第1フレーズ及び第2フレーズの一方又は両方を省略して案内分岐点の案内を行う。移動距離取得手段は、第1案内手段による案内分岐点の案内が行われてからの車両の走行距離を取得する。経過時間取得手段は、第1案内手段による案内分岐点の案内が行われてからの経過時間を取得する。目印判定手段は、車両から案内分岐点までの間に、案内目印と同じ種類の他の目印が有るか否か判定する。分岐点形状取得手段は、案内分岐点の形状を取得する。
【0041】
操作部14は、走行開始地点としての出発地及び走行終了地点としての目的地を入力する際等に操作され、各種のキー、ボタン等の複数の操作スイッチ(図示せず)から構成される。そして、ナビゲーションECU13は、各スイッチの押下等により出力されるスイッチ信号に基づき、対応する各種の動作を実行すべく制御を行う。尚、操作部14は液晶ディスプレイ15の前面に設けたタッチパネルによって構成することもできる。また、マイクと音声認識装置によって構成することもできる。
【0042】
また、液晶ディスプレイ15には、道路を含む地図画像、交通情報、操作案内、操作メニュー、キーの案内、出発地から目的地までの案内経路、案内経路に沿った案内情報、ニュース、天気予報、時刻、メール、テレビ番組等が表示される。特に本実施形態では、案内分岐点が車両の進行方向前方の所定距離以内(例えば300m)に接近した場合には、案内分岐点付近の拡大図や車両の案内分岐点における進行方向について表示する。
【0043】
また、スピーカ16は、ナビゲーションECU13からの指示に基づいて案内経路に沿った走行を案内する音声ガイダンスや、交通情報の案内を出力する。特に本実施形態では、案内分岐点が車両の進行方向前方にある場合には、案内内容に基づく所定の案内の開始タイミング(例えば、「2つ目の信号を左方向です」との音声案内を出力する場合には、第2手前分岐点の退出側信号機から5m手前(図3参照)に車両が到達するタイミング)で案内分岐点の音声案内を出力する。
【0044】
また、DVDドライブ17は、DVDやCD等の記録媒体に記録されたデータを読み取り可能なドライブである。そして、読み取ったデータに基づいて音楽や映像の再生、地図情報DB31の更新等が行われる。
【0045】
また、通信モジュール18は、交通情報センタ、例えば、VICSセンタやプローブセンタ等から送信された渋滞情報、規制情報、交通事故情報等の各情報から成る交通情報を受信する為の通信装置であり、例えば携帯電話機やDCMが該当する。
【0046】
続いて、前記構成を有するナビゲーション装置1においてナビゲーションECU13が実行する分岐点案内処理プログラムについて図4に基づき説明する。図4は本実施形態に係る分岐点案内処理プログラムのフローチャートである。ここで、分岐点案内処理プログラムは車両のACCがONされた後に所定間隔(例えば車両の現在位置の検出周期毎)で繰り返し実行され、案内経路上にある案内分岐点に対する案内を行うプログラムである。尚、以下の図4〜図6にフローチャートで示されるプログラムは、ナビゲーション装置1が備えているRAM42やROM43に記憶されており、CPU41により実行される。
【0047】
先ず、分岐点案内処理プログラムではステップ(以下、Sと略記する)1において、CPU41は、ナビゲーション装置1において設定された案内経路に基づく経路案内が行われているか否か判定する。ここで、案内経路は、出発地(例えば自車の現在位置)からユーザに選択された目的地までの推奨経路であり、経路探索処理の結果に基づいて設定される。また、経路探索処理は、地図情報DB31に記憶されたリンクデータ33やノードデータ34、VICSセンタから取得した交通情報等を用いて、公知のダイクストラ法等により行われる。
【0048】
そして、ナビゲーション装置1において設定された案内経路に基づく経路案内が行われていると判定された場合(S1:YES)には、S2へと移行する。それに対して、ナビゲーション装置1において設定された案内経路に基づく経路案内が行われていないと判定された場合(S1:NO)には、当該分岐点案内処理プログラムを終了する。
【0049】
S2においてCPU41は、車両の現在位置を現在位置検出部11の検出結果に基づいて取得する。尚、車両の現在位置を地図データ上で特定するマップマッチング処理についても行う。更に、車両の現在位置は、高精度ロケーション技術を用いて詳細に特定することが望ましい。ここで、高精度ロケーション技術とは、車両後方のカメラから取り込んだ白線や路面ペイント情報を画像認識により検出し、更に、白線や路面ペイント情報を予め記憶した地図情報DBと照合することにより、走行車線や高精度な車両位置を検出可能にする技術である。尚、高精度ロケーション技術の詳細については既に公知であるので省略する。
【0050】
次に、S3においてCPU41は、ナビゲーション装置1において設定されている案内経路(案内経路中の案内分岐点を含む)を取得する。
【0051】
続いて、S4においてCPU41は、前記S2で取得した車両の現在位置と前記S3で取得した案内経路に基づいて、車両の進行方向前方の所定距離以内(例えば、1.47km以内)に案内分岐点が有るか否か判定する。尚、案内分岐点とは、前記したようにナビゲーション装置1に設定された案内経路に従ってナビゲーション装置1が走行の案内を行う際に、右左折指示等の案内を行う対象となる分岐点である。
【0052】
そして、車両の進行方向前方の所定距離以内に案内分岐点が有ると判定された場合(S4:YES)には、S5へと移行する。それに対して、車両の進行方向前方の所定距離以内に案内分岐点が無いと判定された場合(S4:NO)には、当該分岐点案内処理プログラムを終了する。
【0053】
S5においてCPU41は、車両の進行方向前方にある案内分岐点に対する案内が既に行われたか否か判定する。尚、前記S5では、案内分岐点に対する案内の内、特に案内分岐点での右左折等を指示する音声案内が行われたか否かを判定する。
【0054】
そして、車両の進行方向前方にある案内分岐点に対する案内が既に行われたと判定された場合(S5:YES)には、当該分岐点案内処理プログラムを終了する。それに対して、車両の進行方向前方にある案内分岐点に対する案内が行われていないと判定された場合(S5:NO)には、S6へと移行する。
【0055】
S6においてCPU41は、車両の進行方向前方にある案内分岐点に対する案内が、後述の案内設定処理(S7)において既に設定されたか否か判定する。尚、前記S6では、案内分岐点に対する案内の内、特に案内分岐点での右左折等を指示する音声案内が設定されたか否かを判定する。
【0056】
そして、車両の進行方向前方にある案内分岐点に対する案内が既に設定されたと判定された場合(S6:YES)には、S8へと移行する。それに対して、車両の進行方向前方にある案内分岐点に対する案内がまだ設定されていないと判定された場合(S6:NO)には、S7へと移行する。
【0057】
S7においてCPU41は、後述の案内設定処理(図6)を実行する。尚、案内設定処理は、後述のように案内フレーズ条件テーブル32に規定された複数の案内候補(本実施形態では『通常フレーズ』、『特殊フレーズA』、『特殊フレーズC』の3種類に加えて『通常フレーズ』に含まれるフレーズの一部を省略した『省略フレーズ』)の内から、案内目印間(本実施形態では信号機付き分岐点)の相対的な位置関係に基づいて、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点を案内する為の最適な案内候補を選択し、該案内分岐点の案内として設定する処理である。
【0058】
次に、S8においてCPU41は、前記S7で案内に設定された案内候補に基づく案内の出力を開始するタイミングとなったか否か判定する。具体的には、前記S7で案内に設定された案内候補に対応付けられた案内開始区間(図3参照)に車両が位置するか否か判定され、該案内開始区間に車両が位置する場合に案内の出力を開始するタイミングとなったと判定する。尚、通常は案内開始区間の内、特に案内開始区間の始点に車両が到達した時点を、案内の出力を開始するタイミングとする。例えば、前記S7において『通常フレーズ』による案内が案内分岐点の案内に設定された場合には、車両が“第3手前分岐点の退出側信号機から更に5m手前”又は“第2手前分岐点の退出側信号機から更に5m手前”又は“第1手前分岐点の退出側信号機から更に5m手前”に到達した時点で、それぞれ案内の出力を開始するタイミングとなったと判定する。但し、案内終了区間に車両が位置する間に案内の出力が終了するのであれば、案内開始区間内の始点以外の地点(例えば終点や中間地点等)に車両が到達した時点を、案内の出力を開始するタイミングとしても良い。例えば、車両の現在位置の検出誤差を考慮し、生じ得る最大の検出誤差(例えば30m)の距離分だけ案内開始区間の始点から終点側に移動した地点に車両が到達した時点を、案内の出力を開始するタイミングとしても良い。また、手前分岐点の間隔が短い場合や案内分岐点が連続する場合等において、案内開始区間の始点に車両が到達した時点で前回の案内が終了していない場合には、前回の案内が終了した後の時点を案内の出力を開始するタイミングとする。
【0059】
そして、前記S7で案内に設定された案内候補に基づく案内の出力を開始するタイミングとなったと判定された場合(S8:YES)には、S9へと移行する。それに対して、前記S7で案内に設定された案内候補に基づく案内の出力を開始するタイミングとなっていないと判定された場合(S8:NO)には、当該分岐点案内処理プログラムを終了する。
【0060】
S9においてCPU41は、前記S7で案内に設定された案内候補に基づいて、案内分岐点に関する案内を行う。具体的には、案内分岐点を特定させる案内と車両の案内分岐点での退出方向を特定する案内(即ち、車両が案内分岐点から退出する退出道路を特定させる為の案内)を行う。例えば、前記S7において「2つ目の信号を左(右)方向です」との案内候補が案内内容に設定された場合には、「2つ目の信号を左(右)方向です」とのフレーズをスピーカ16から出力する。更に、案内分岐点が車両の所定距離以内(例えば300m)に接近した場合には、案内分岐点付近の拡大図や車両の案内分岐点における進行方向について液晶ディスプレイ15に表示する。
その結果、案内分岐点及び該案内分岐点から車両が退出する道路をユーザに正確に特定させることが可能となる。
【0061】
次に、前記S7において実行される案内設定処理のサブ処理について図5に基づき説明する。図5は案内設定処理のサブ処理プログラムのフローチャートである。
【0062】
先ず、S11においてCPU41は、標準フレーズ判定処理を実行する。尚、標準フレーズ判定処理は、案内フレーズ条件テーブル32(図3)に規定された複数の案内候補の内、特に『通常フレーズ』による案内が、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点を案内する為の案内として適しているか否かを判定する。具体的には、先ず、『通常フレーズ』による案内に設定された案内開始区間の始点から案内終了区間の終点までの距離Xと、案内の出力を行うのに必要な距離Yとをそれぞれ算出し、比較する。そして、XよりYが大きい、即ち、『通常フレーズ』による案内に設定された案内開始区間で案内の出力を開始した場合に、同じく設定された案内終了区間内で案内の出力を終了できるか否かを判定する。
【0063】
そして、『通常フレーズ』による案内に設定された案内開始区間で案内の出力を開始した場合に、同じく設定された案内終了区間内で案内の出力を終了できると判定された場合(S12:YES)には、『通常フレーズ』による案内が、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点を案内する為の案内として適していると判定し、S13へと移行する。一方、『通常フレーズ』による案内に設定された案内開始区間で案内の出力を開始した場合に、同じく設定された案内終了区間内で案内の出力を終了できないと判定された場合(S12:NO)には、『通常フレーズ』による案内が、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点を案内する為の案内として適していないと判定し、S14へと移行する。
【0064】
S13においてCPU41は、『通常フレーズ』による案内を、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点を案内する為の案内として設定する。また、『通常フレーズ』による案内に対応付けられた案内開始区間に車両が位置するタイミングを、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点の案内の開始タイミングとして設定する。その後、S8へと移行する。
【0065】
一方、S14においてCPU41は、特殊フレーズA判定処理を実行する。尚、特殊フレーズA判定処理は、案内フレーズ条件テーブル32(図3)に規定された複数の案内候補の内、特に『特殊フレーズA』による案内が、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点を案内する為の案内として適しているか否かを判定する。具体的には、先ず、『特殊フレーズA』による案内に設定された案内開始区間の始点から案内終了区間の終点までの距離Xと、案内の出力を行うのに必要な距離Yとをそれぞれ算出し、比較する。そして、XよりYが大きい、即ち、『特殊フレーズA』による案内に設定された案内開始区間で案内の出力を開始した場合に、同じく設定された案内終了区間内で案内の出力を終了できるか否かを判定する。
【0066】
そして、『特殊フレーズA』による案内に設定された案内開始区間で案内の出力を開始した場合に、同じく設定された案内終了区間内で案内の出力を終了できると判定された場合(S15:YES)には、『特殊フレーズA』による案内が、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点を案内する為の案内として適していると判定し、S13へと移行する。一方、『特殊フレーズA』による案内に設定された案内開始区間で案内の出力を開始した場合に、同じく設定された案内終了区間内で案内の出力を終了できないと判定された場合(S15:NO)には、『特殊フレーズA』による案内が、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点を案内する為の案内として適していないと判定し、S16へと移行する。
【0067】
S13においてCPU41は、『特殊フレーズA』による案内を、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点を案内する為の案内として設定する。また、『特殊フレーズA』による案内に対応付けられた案内開始区間に車両が位置するタイミングを、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点の案内の開始タイミングとして設定する。その後、S8へと移行する。
【0068】
一方、S16においてCPU41は、特殊フレーズB判定処理を実行する。尚、特殊フレーズB判定処理は、案内フレーズ条件テーブル32(図3)に規定された複数の案内候補の内、特に『特殊フレーズB』による案内が、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点を案内する為の案内として適しているか否かを判定する。具体的には、先ず、『特殊フレーズB』による案内に設定された案内開始区間の始点から案内終了区間の終点までの距離Xと、案内の出力を行うのに必要な距離Yとをそれぞれ算出し、比較する。そして、XよりYが大きい、即ち、『特殊フレーズB』による案内に設定された案内開始区間で案内の出力を開始した場合に、同じく設定された案内終了区間内で案内の出力を終了できるか否かを判定する。
【0069】
そして、『特殊フレーズB』による案内に設定された案内開始区間で案内の出力を開始した場合に、同じく設定された案内終了区間内で案内の出力を終了できると判定された場合(S17:YES)には、『特殊フレーズB』による案内が、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点を案内する為の案内として適していると判定し、S13へと移行する。一方、『特殊フレーズB』による案内に設定された案内開始区間で案内の出力を開始した場合に、同じく設定された案内終了区間内で案内の出力を終了できないと判定された場合(S17:NO)には、『特殊フレーズB』による案内が、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点を案内する為の案内として適していないと判定し、S18へと移行する。
【0070】
S13においてCPU41は、『特殊フレーズB』による案内を、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点を案内する為の案内として設定する。また、『特殊フレーズB』による案内に対応付けられた案内開始区間に車両が位置するタイミングを、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点の案内の開始タイミングとして設定する。その後、S8へと移行する。
【0071】
また、S18においてCPU41は、後述の省略フレーズ設定処理(図6)を実行する。尚、省略フレーズ設定処理は、後述のように現在までの案内の出力状況や案内分岐点の形状等を考慮することによって、『通常フレーズ』に含まれるフレーズの一部を省略した『省略フレーズ』の内容を設定する処理である。
【0072】
その後、S19においてCPU41は、前記S18で設定された『省略フレーズ』による案内が、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点を案内する為の案内として適しているか否かを判定する。具体的には、先ず、『省略フレーズ』による案内に設定された案内開始区間の始点から案内終了区間の終点までの距離Xと、案内の出力を行うのに必要な距離Yとをそれぞれ算出し、比較する。そして、XよりYが大きい、即ち、『省略フレーズ』による案内に設定された案内開始区間で案内の出力を開始した場合に、同じく設定された案内終了区間内で案内の出力を終了できるか否かを判定する。尚、『省略フレーズ』は案内開始区間や案内終了区間は『標準フレーズ』と同じ区間が対応づけられる。但し、出力所要時間は省略するフレーズ内容によって異なり、例えば第1フレーズや第2フレーズのみを省略した場合に比べて、第1フレーズと第2フレーズの両方を省略した場合には、出力所要時間は更に短くなる。
【0073】
そして、『省略フレーズ』による案内に設定された案内開始区間で案内の出力を開始した場合に、同じく設定された案内終了区間内で案内の出力を終了できると判定された場合(S19:YES)には、『省略フレーズ』による案内が、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点を案内する為の案内として適していると判定し、S13へと移行する。一方、『省略フレーズ』による案内に設定された案内開始区間で案内の出力を開始した場合に、同じく設定された案内終了区間内で案内の出力を終了できないと判定された場合(S19:NO)には、『省略フレーズ』による案内が、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点を案内する為の案内として適していないと判定し、S20へと移行する。
【0074】
S20においてCPU41は、その他の案内を、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点を案内する為の案内として設定する。その他の案内としては、例えば「まもなく右(左)方向です」とのフレーズを発話する案内や、「300m先(700m先)を右(左)方向です」とのフレーズを発話する案内等が有る。また、設定された案内に対応付けられた案内開始区間に車両が位置するタイミング(例えば、「300m先を右(左)方向です」では、案内分岐点から350m手前に到達したタイミング)を、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点の案内の開始タイミングとして設定する。尚、前記S20では、案内分岐点の案内を行わないように設定しても良い。その後、S8へと移行する。
【0075】
また、上記S11〜S20の案内設定処理は、案内タイミング毎に案内を設定する構成とする。その場合には、一の案内分岐点に対して異なる種類の案内が組み合わせて設定される場合がある。例えば、『標準フレーズ』である「3つ目の信号を左(右)方向です」と、『省略フレーズ』である「2つ目を左(右)方向です」との案内をそれぞれ一の案内分岐点の案内に設定した場合には、第3手前分岐点の退出側信号機から5m手前に車両が到達した時点で「3つ目の信号を左(右)方向です」との案内を行い、その後に第2手前分岐点の退出側信号機から5m手前に車両が到達した時点で「2つ目を左(右)方向です」との案内を行うこととなる。
【0076】
次に、前記S18において実行される省略フレーズ設定処理のサブ処理について図6に基づき説明する。図6は省略フレーズ設定処理のサブ処理プログラムのフローチャートである。
【0077】
先ず、S31においてCPU41は、車両の進行方向前方にある案内分岐点に対して、少なくとも1回以上、第1フレーズと第2フレーズとを両方含む案内が出力されているか否か判定する。ここで、第1フレーズは案内目印を特定するフレーズ(例えば「信号」)であり、第2フレーズは案内分岐点における車両の移動方向を特定するフレーズ(例えば「左(右)方向」)である。尚、第1フレーズと第2フレーズを両方含むのであれば、出力される案内の種類(『通常フレーズ』、『特殊フレーズA』、『特殊フレーズB』)は問わない。
【0078】
そして、車両の進行方向前方にある案内分岐点に対して、少なくとも1回以上、第1フレーズと第2フレーズとを両方含む案内が出力されていると判定された場合(S31:YES)には、S33へと移行する。一方、第1フレーズと第2フレーズとを両方含む案内が出力されていないと判定された場合(S31:NO)には、S32へと移行する。
【0079】
S32においてCPU41は、省略フレーズの内容を設定せず、S19へと移行する。その場合には、その後に実行されるS19において『省略フレーズ』による案内が、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点を案内する為の案内として適していないと判定され、その他の案内が設定されることとなる(S20)。
【0080】
一方、S33においてCPU41は、第1フレーズと第2フレーズとを両方含む直前の案内が行われてからの経過時間を取得する。
【0081】
次に、S34においてCPU41は、前記S33で取得された経過時間が所定時間(例えば10sec)以内であるか否か判定する。
【0082】
そして、前記S33で取得された経過時間が所定時間以内であると判定された場合(S34:YES)には、直前に行われた案内で第1フレーズ及び第2フレーズがそれぞれ案内されているので、次の案内で第1フレーズ及び第2フレーズを省略しても、案内目印や案内分岐点における車両の移動方向をユーザに把握させることができると認定し、S35へと移行する。一方、前記S33で取得された経過時間が所定時間以内でないと判定された場合(S34:NO)には、S36へと移行する。
【0083】
S35においてCPU41は、第1フレーズと第2フレーズの両方を省略したフレーズに『省略フレーズ』の内容を設定する。その後、S19へと移行する。
【0084】
ここで、図7及び図8は当該省略フレーズ設定処理プログラムにおいて設定される『省略フレーズ』の一例を示した図である。
先ず、図7は『標準フレーズ』の一つである「2つ目の信号を左(右)方向です」との案内を省略した場合の省略フレーズの一覧である。図7に示すように、「2つ目の信号を左(右)方向です」の案内の内、第1フレーズのみを省略すると「2つ目を左(右)方向です」との案内内容となる。また、第2フレーズのみを省略すると「2つ目の信号です」との案内内容となる。更に、第1フレーズと第2フレーズのみを省略すると「2つ目です」との案内内容となる。
一方、図8は『標準フレーズ』の一つである「次の信号を左(右)方向です」との案内を省略した場合の省略フレーズの一覧である。図8に示すように、「次の信号を左(右)方向です」の案内の内、第1フレーズのみを省略すると「次を左(右)方向です」との案内内容となる。また、第2フレーズのみを省略すると「次の信号です」との案内内容となる。更に、第1フレーズと第2フレーズのみを省略すると「次です」との案内内容となる。
【0085】
また、S36においてCPU41は、案内分岐点における車両の移動方向を特定する第2フレーズが単純なフレーズであるか否か判定する。ここで、単純なフレーズとしては、例えば所定長さ(例えば8文字)以下のフレーズが有り、“右方向”や“左方向”等が該当する。一方、単純でないフレーズとしては、例えば“斜め右方向”や“左手前方向”等が該当する。また、前記S36で判定対象となる第2フレーズの内容は、地図情報DB31から取得した案内分岐点の形状と、ナビゲーション装置1に設定された案内経路(より具体的には案内分岐点における車両の移動方向)に基づいて、CPU41が決定する。
【0086】
そして、案内分岐点における車両の移動方向を特定する第2フレーズが単純なフレーズであると判定された場合(S36:YES)には、次の案内で第2フレーズを省略しても、ユーザが案内分岐点での移動方向を間違える虞が少ないと認定し、S37へと移行する。一方、案内分岐点における車両の移動方向を特定する第2フレーズが単純なフレーズでないと判定された場合(S36:NO)には、S38へと移行する。
【0087】
S37においてCPU41は、第2フレーズのみを省略したフレーズに『省略フレーズ』の内容を設定する(図7、図8参照)。その後、S19へと移行する。
【0088】
また、S38においてCPU41は、案内分岐点の形状が単純な形状であるか否か判定する。ここで、単純な形状としては、例えば案内分岐点における車両の移動方向に対して一の退出道路のみが接続されている場合等が該当する。一方、単純でない形状としては、例えば案内分岐点における車両の移動方向に対して複数の退出道路が接続されている場合等が該当する。また、前記S38で判定対象となる案内分岐点の形状は、地図情報DB31から取得される。
【0089】
そして、案内分岐点の形状が単純な形状であると判定された場合(S38:YES)には、次の案内で第2フレーズを省略しても、ユーザが案内分岐点での移動方向を間違える虞が少ないと認定し、S37へと移行する。一方、案内分岐点の形状が単純な形状でないと判定された場合(S38:NO)には、S39へと移行する。
【0090】
次に、S39においてCPU41は、車両から案内分岐点までの間に、案内目印と同じ種類の他の目印が有るか否か判定する。尚、案内目印に設定される目印としては、例えば、信号機、交差点、ランドマーク(店舗、店舗の看板、構造物)等があるが、本実施形態では特に信号機付き分岐点を案内目印に設定する。
【0091】
そして、車両から案内分岐点までの間に案内目印と同じ種類の他の目印があると判定された場合(S39:YES)には、S40へと移行する。一方、車両から案内分岐点までの間に案内目印と同じ種類の他の目印が無いと判定された場合(S39:NO)には、次の案内で第1フレーズを省略しても、ユーザが他の目印を案内目印に誤認する虞が少ないと認定し、S41へと移行する。
【0092】
S40においてCPU41は、省略フレーズの内容を設定せず、S19へと移行する。その場合には、その後に実行されるS19において『省略フレーズ』による案内が、車両の進行方向前方に位置する案内分岐点を案内する為の案内として適していないと判定され、その他の案内が設定されることとなる(S20)。
【0093】
一方、S41においてCPU41は、第1フレーズのみを省略したフレーズに『省略フレーズ』の内容を設定する(図7、図8参照)。その後、S19へと移行する。
【0094】
その結果、例えば図9に示すように車両61の進行方向に案内分岐点62があって、案内分岐点62と第1手前分岐点63との間隔や第1手前分岐点63と第2手前分岐点64との間隔が狭い場合であっても、1回目の案内分岐点の案内は『通常フレーズ』により行い、その後の2回目以降の案内分岐点の案内(即ち1回目よりも案内分岐点側で行う案内)を第1フレーズ及び第2フレーズの一方又は両方を省略した『省略フレーズ』により行うことによって、案内の出力に必要な時間を短縮することができ、2回目以降の案内分岐点の案内においても案内の内容に従った適切なタイミングで案内の出力を行うことが可能となる。
【0095】
以上詳細に説明した通り、本実施形態に係るナビゲーション装置1、ナビゲーション装置1を用いた移動案内方法及びナビゲーション装置1で実行されるコンピュータプログラムによれば、分岐点、信号機、ランドマーク等の目印対象物候補の内から、案内分岐点の案内を行う目印とする案内目印を設定し、案内分岐点よりも案内経路の出発地側に存在する第1案内開始地点に車両が到達した場合に、案内目印を特定する第1フレーズと、案内分岐点における移動体の移動方向を特定する第2フレーズとをそれぞれ含む案内により、案内分岐点の案内を行い、その後、第1案内開始地点よりも案内分岐点側に存在する第2案内開始地点に車両が到達した場合に、第1フレーズ及び第2フレーズの一方又は両方を省略して案内分岐点の案内を行うので、分岐点の間隔が短い都心部等においても、出力されるフレーズの一部を省略することによって、案内の出力に必要な時間を短縮することができ、案内の内容に従った適切なタイミングで案内の出力を行うことが可能となる。また、出力されるフレーズを省略しない案内を、省略する案内を行う前に行うので、案内目印を特定するフレーズや案内分岐点における移動体の移動方向を特定するフレーズが省略された場合であっても、それらをユーザに把握させることが可能となる。
また、第1フレーズと第2フレーズとを含む案内分岐点の案内が行われてからの経過時間が所定時間以内である場合に、第1フレーズ及び第2フレーズの一方又は両方を省略して案内分岐点の案内を行うので、案内目印を特定するフレーズや案内分岐点における車両の移動方向を特定するフレーズが省略された場合であっても、直前に行われた第1案内手段による案内をユーザに参照させることによって案内目印や案内分岐点における車両の移動方向をユーザに確実に把握させることが可能となる。
また、車両から案内分岐点までの間に、案内目印と同じ種類の他の目印が無い場合に、第1フレーズを省略して案内分岐点の案内を行うので、案内目印を特定するフレーズが省略された場合であっても、ユーザが案内目印に誤認する虞のある目印が他に存在しないので、案内目印をユーザに確実に把握させることが可能となる。
また、第2フレーズが所定長さ以下のフレーズである場合に、第2フレーズを省略して案内分岐点の案内を行うので、案内分岐点における車両の移動方向を特定するフレーズが省略された場合であっても、案内分岐点における車両の移動方向をユーザが間違える可能性が低く、案内経路に沿って移動体を移動させることが可能となる。
また、案内分岐点が該案内分岐点における車両の移動方向に対して一の退出道路のみが接続されている場合に、第2フレーズを省略して案内分岐点の案内を行うので、案内分岐点における車両の移動方向を特定するフレーズが省略された場合であっても、案内分岐点における車両の移動方向をユーザが間違える可能性が低く、案内経路に沿って移動体を移動させることが可能となる。
【0096】
尚、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論である。
例えば、本実施形態ではナビゲーション装置1による案内分岐点の案内をスピーカ16から音声案内により出力することにより行う構成としているが、液晶ディスプレイ15に文章を表示することにより案内を行う構成としても良い。
【0097】
また、本実施形態では案内目印として、信号機付きの分岐点を用いた場合について説明しているが、他の目印(例えば、信号機、交差点、ランドマーク(店舗、店舗の看板、構造物))を案内目印に用いても良い。
【0098】
また、本実施形態では、前回発話が行われてからの経過時間が所定時間以内である場合に、第1フレーズと第2フレーズを両方省略した省略フレーズを設定する(S35)こととしているが、第1フレーズ又は第2フレーズのいずれか一方のみを省略した省略フレーズを設定することとしても良い。また、前回発話が行われてからの車両の走行距離が所定距離(例えば100m)以内である場合に、第1フレーズと第2フレーズを両方省略した省略フレーズを設定することとしても良い。更に、前回発話が行われてからの経過時間が所定時間(10秒)以内である場合に、第1フレーズと第2フレーズを両方省略した省略フレーズを設定することしても良い。尚、前回発話が行われてからの経過時間が所定時間以内である場合は、前回発話が行われてからの走行距離が所定距離以内である場合に比べて、第1フレーズや第2フレーズを省略しても、運転者に的確に案内をすることが可能となる。また、前回発話が行われてからの経過時間が所定時間以内であって、且つ前回発話が行われてからの車両の走行距離が所定距離以内である場合に、第1フレーズと第2フレーズを両方省略した省略フレーズを設定することしても良い。その場合には、第1フレーズや第2フレーズを省略しても、運転者により的確に案内をすることが可能となる。
【0099】
また、本実施形態では『標準フレーズ』に対して第1フレーズ又は第2フレーズを省略した『省略フレーズ』により案内を行うこととしているが、『特殊フレーズA』や『特殊フレーズB』に対して第1フレーズ又は第2フレーズを省略した『省略フレーズ』により案内を行うこととしても良い。
【0100】
また、本発明はナビゲーション装置以外に、案内経路に基づく経路案内を行う機能を有する装置に対して適用することが可能である。例えば、携帯電話機やPDA等の携帯端末、パーソナルコンピュータ、携帯型音楽プレイヤ等(以下、携帯端末等という)に適用することも可能である。また、サーバと携帯端末等から構成されるシステムに対しても適用することが可能となる。その場合には、上述した分岐点案内処理プログラム(図4〜図6)の各ステップは、サーバと携帯端末等のいずれが実施する構成としても良い。また、本発明を携帯端末等に適用する場合には、車両以外の移動体、例えば、携帯端末等のユーザや2輪車等に対する走行案内を行う場合もある。
【符号の説明】
【0101】
1 ナビゲーション装置
13 ナビゲーションECU
31 地図情報DB
36 目印データ
41 CPU
42 RAM
43 ROM
51 車両
52 案内分岐点
53、54 信号機付き分岐点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体の移動を案内する案内経路と該案内経路上の案内分岐点を設定する案内経路設定手段と、
前記案内分岐点の案内を行う目印とする案内目印を設定する案内目印設定手段と、
前記案内分岐点よりも前記案内経路の出発地側に存在する第1案内開始地点に前記移動体が到達した場合に、前記案内目印を特定する第1フレーズと、前記案内分岐点における前記移動体の移動方向を特定する第2フレーズとをそれぞれ含む案内により、前記案内分岐点の案内を行う第1案内手段と、
前記第1案内開始地点よりも前記案内分岐点側に存在する第2案内開始地点に前記移動体が到達した場合に、前記第1フレーズ及び前記第2フレーズの一方又は両方を省略して前記案内分岐点の案内を行う第2案内手段と、を有することを特徴とする移動案内システム。
【請求項2】
前記第1案内手段による前記案内分岐点の案内が行われてからの前記移動体の移動距離を取得する移動距離取得手段を有し、
前記第2案内手段は、前記第1案内手段による前記案内分岐点の案内が行われてからの前記移動体の移動距離が所定距離以内である場合に、前記第1フレーズ及び前記第2フレーズの一方又は両方を省略して前記案内分岐点の案内を行うことを特徴とする請求項1に記載の移動案内システム。
【請求項3】
前記第1案内手段による前記案内分岐点の案内が行われてからの経過時間を取得する経過時間取得手段を有し、
前記第2案内手段は、前記第1案内手段による前記案内分岐点の案内が行われてからの経過時間が所定時間以内である場合に、前記第1フレーズ及び前記第2フレーズの一方又は両方を省略して前記案内分岐点の案内を行うことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の移動案内システム。
【請求項4】
前記移動体から前記案内分岐点までの間に、前記案内目印と同じ種類の他の目印が有るか否か判定する目印判定手段を有し、
前記第2案内手段は、前記目印判定手段により前記他の目印が無いと判定された場合に、前記第1フレーズを省略して前記案内分岐点の案内を行うことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の移動案内システム。
【請求項5】
前記第2案内手段は、前記第2フレーズが所定長さ以下のフレーズである場合に、前記第2フレーズを省略して前記案内分岐点の案内を行うことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の移動案内システム。
【請求項6】
前記案内分岐点の形状を取得する分岐点形状取得手段を有し、
前記第2案内手段は、前記案内分岐点が該案内分岐点における前記移動体の移動方向に対して一の退出道路のみが接続されている場合に、前記第2フレーズを省略して前記案内分岐点の案内を行うことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の移動案内システム。
【請求項7】
移動体の移動を案内する案内経路と該案内経路上の案内分岐点を設定する案内経路設定手段と、
前記案内分岐点の案内を行う目印とする案内目印を設定する案内目印設定手段と、
前記案内分岐点よりも前記案内経路の出発地側に存在する第1案内開始地点に前記移動体が到達した場合に、前記案内目印を特定する第1フレーズと、前記案内分岐点における前記移動体の移動方向を特定する第2フレーズとをそれぞれ含む案内により、前記案内分岐点の案内を行う第1案内手段と、
前記第1案内開始地点よりも前記案内分岐点側に存在する第2案内開始地点に前記移動体が到達した場合に、前記第1フレーズ及び前記第2フレーズの一方又は両方を省略して前記案内分岐点の案内を行う第2案内手段と、を有することを特徴とする移動案内装置。
【請求項8】
移動体の移動を案内する案内経路と該案内経路上の案内分岐点を設定する案内経路設定ステップと、
前記案内分岐点の案内を行う目印とする案内目印を設定する案内目印設定ステップと、
前記案内分岐点よりも前記案内経路の出発地側に存在する第1案内開始地点に前記移動体が到達した場合に、前記案内目印を特定する第1フレーズと、前記案内分岐点における前記移動体の移動方向を特定する第2フレーズとをそれぞれ含む案内により、前記案内分岐点の案内を行う第1案内ステップと、
前記第1案内開始地点よりも前記案内分岐点側に存在する第2案内開始地点に前記移動体が到達した場合に、前記第1フレーズ及び前記第2フレーズの一方又は両方を省略して前記案内分岐点の案内を行う第2案内ステップと、を有することを特徴とする移動案内方法。
【請求項9】
コンピュータに、
移動体の移動を案内する案内経路と該案内経路上の案内分岐点を設定する案内経路設定機能と、
前記案内分岐点の案内を行う目印とする案内目印を設定する案内目印設定機能と、
前記案内分岐点よりも前記案内経路の出発地側に存在する第1案内開始地点に前記移動体が到達した場合に、前記案内目印を特定する第1フレーズと、前記案内分岐点における前記移動体の移動方向を特定する第2フレーズとをそれぞれ含む案内により、前記案内分岐点の案内を行う第1案内機能と、
前記第1案内開始地点よりも前記案内分岐点側に存在する第2案内開始地点に前記移動体が到達した場合に、前記第1フレーズ及び前記第2フレーズの一方又は両方を省略して前記案内分岐点の案内を行う第2案内機能と、
を実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−29380(P2013−29380A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−164663(P2011−164663)
【出願日】平成23年7月27日(2011.7.27)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】