説明

移動物体の監視システム

【課題】監視する必要のある移動物体をより的確に監視できるようにする。
【解決手段】漏洩伝送装置を伝送媒体として漏洩伝送装置の両端の一方の端側から他方の端側へ第1の送信信号を送出する第1の機器100、漏洩伝送装置を伝送媒体として漏洩伝送装置の両端の他方の端側から一方の端側へ第2の送信信号を送出する第2の機器200、及び第1及び第2の漏洩伝送路301,302の一方の漏洩伝送路から第1の送信信号が放射した第1の電波が監視対象の移動物体に反射した第1の反射電波を漏洩伝送装置を介して受信した第1の受信信号の変化と第1及び第2の漏洩伝送路の一方の漏洩伝送路から第2の送信信号が放射した第2の電波が監視対象の移動物体に反射した第2の反射電波を漏洩伝送装置を介して受信した第2の受信信号の変化との違いに基づいて監視対象の移動物体の2次元の動きを検知する検知部400を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、漏洩ケーブル等の漏洩伝送路を使って移動物体を監視する移動物体の監視システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1においては、送信用漏洩ケーブルから電波を放射した電波を受信用漏洩ケーブルで受信し、この受信信号のレベルを監視する。上記漏洩ケーブル間に物体が侵入すると、物体に反射した電波の伝搬遅延時間だけ遅延して観測される電波が変動し受信信号のレベルが低下する。受信信号のレベルは所定のしきい値で常時判定しており、受信信号のレベルがそのしきい値を下回ったとき、侵入物体ありとして警報を出力する構成である。
【0003】
また、スペクトル拡散信号を使用して漏洩ケーブル間への物体侵入を検知するシステムも案出されている。(特許文献2参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−95338号公報(図1及びその説明)
【特許文献2】特開2004−306909号公報(図1〜3及びその説明)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のシステムでは、漏洩ケーブルのケーブル長手方向と直角方向の距離、すなわち離隔距離を計測できないため、遠方であっても十分電波を反射する物体を検知してしまう問題があった。つまり、本質的に、漏洩ケーブルからの離隔距離を判定指標に使えない問題があった。
【0006】
また、送信用漏洩ケーブルから電波を放射した電波を受信用漏洩ケーブルで受信するまでの伝搬遅延時間だけに基づいて物体の位置を求めるため、漏洩同軸ケーブルに沿った距離として物体位置を算出する。よって、漏洩同軸ケーブルから、当該漏洩同軸ケーブルの長手方向(延在方向)と直角をなす方向に離れた位置を、漏洩ケーブルの延在方向に移動する車両等の大型物体を検出して「漏洩同軸ケーブル上の位置に侵入物体あり」と誤って警報を鳴らす問題があった。
【0007】
また、小物体であっても漏洩ケーブルに非常に近いと受信レベルが大きく変動するため、小物体を検知してしまう問題があった。すなわち、物体の大きさを警報の判定指標に使えない問題があった。
【0008】
この発明は、前述のような実情に鑑みてなされたもので、監視する必要のある移動物体をより的確に監視できるようにすることを目的とするものである。
【0009】
また、漏洩同軸ケーブルから、当該漏洩同軸ケーブルの長手方向(延在方向)と直角をなす方向に離れた位置を、漏洩ケーブルの延在方向に移動する大型物体を侵入物体であると誤検知しないように監視動作する移動物体の監視システムを実現することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明に係る移動物体の監視システムは、互いにほぼ平行を成して延在する第1及び第2の漏洩伝送路を備えた漏洩伝送装置、この漏洩伝送装置を伝送媒体として当該漏洩伝送装置の両端の一方の端側から他方の端側へ第1の送信信号を送出する第1の機器、前記漏洩伝送装置を伝送媒体として当該漏洩伝送装置の両端の前記他方の端側から前記一方の端側へ第2の送信信号を送出する第2の機器、及び前記第1及び第2の漏洩伝送路の一方の漏洩伝送路から前記第1の送信信号が放射した第1の電波が監視対象の移動物体に反射した第1の反射電波を前記漏洩伝送装置を介して受信した第1の受信信号の変化と前記第1及び第2の漏洩伝送路の一方の漏洩伝送路から前記第2の送信信号が放射した第2の電波が監視対象の移動物体に反射した第2の反射電波を前記漏洩伝送装置を介して受信した第2の受信信号の変化との違いに基づいて前記監視対象の移動物体の2次元の動きを検知する検知部を備えたものである。
【発明の効果】
【0011】
この発明は、互いにほぼ平行を成して延在する第1及び第2の漏洩伝送路を備えた漏洩伝送装置、この漏洩伝送装置を伝送媒体として当該漏洩伝送装置の両端の一方の端側から他方の端側へ第1の送信信号を送出する第1の機器、前記漏洩伝送装置を伝送媒体として当該漏洩伝送装置の両端の前記他方の端側から前記一方の端側へ第2の送信信号を送出する第2の機器、及び前記第1及び第2の漏洩伝送路の一方の漏洩伝送路から前記第1の送信信号が放射した第1の電波が監視対象の移動物体に反射した第1の反射電波を前記漏洩伝送装置を介して受信した第1の受信信号の変化と前記第1及び第2の漏洩伝送路の一方の漏洩伝送路から前記第2の送信信号が放射した第2の電波が監視対象の移動物体に反射した第2の反射電波を前記漏洩伝送装置を介して受信した第2の受信信号の変化との違いに基づいて前記監視対象の移動物体の2次元の動きを検知する検知部を備えているので、監視する必要のある移動物体をより的確に監視できるようにする効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】この発明の実施の形態1を示す図で、システム構成の事例を示すブロック図である。
【図2】この発明の実施の形態1を示す図で、相関演算部を構成する別の例として、遅延回路と積和演算器を用いる事例を示すブロック図である。
【図3】この発明の実施の形態1を示す図で、物体が一つの場合の差分IQデータ列と伝搬遅延時間の関係を説明する図である。
【図4】この発明の実施の形態1を示す図で、物体が二つの場合の差分IQ信号列と伝搬遅延時間の関係を説明する図である。
【図5】この発明の実施の形態1を示す図で、パターンマッチングの説明図である。
【図6】この発明の実施の形態1を示す図で、第1のセンサで観測した第1の物体、第2の物体のIQ時間データA及び第2のセンサで観測した第1の物体、第2の物体のIQ時間データBの各事例を示す図ある。
【図7】この発明の実施の形態1を示す図で、第1のセンサの第1の伝搬遅延時間T1と第2のセンサ第2の伝搬遅延時間T2とから、物体の位置を導出する基本原理を説明する図である。
【図8】この発明の実施の形態1を示す図で、漏洩同軸ケーブルがLの字状に敷設された事例を示す図である。
【図9】この発明の実施の形態2を示す図で、システム構成の他の事例を示すブロック図である。
【図10】この発明の実施の形態3を示す図で、システム構成のさらに他の事例を示すブロック図である。
【図11】この発明の実施の形態3を示す図で、増幅終端の構成例を示すブロック図である。
【図12】この発明の実施の形態3を示す図で、第1のセンサが観測する伝搬遅延時間レンジビン毎のIQ信号と差分IQ信号列を示す図である。
【図13A】この発明の実施の形態3を示す図で、第1のセンサから出力した信号が第1の漏洩同軸ケーブルから放射し、第2の漏洩同軸ケーブルで受けて第1のセンサに入力されるパスを例示する図である。
【図13B】この発明の実施の形態3を示す図で、物体の検知を行う信号パスを示す図であり、第1のセンサから出力した信号が、第1の漏洩同軸ケーブルから放射し、物体で反射して第2の漏洩同軸ケーブルで受けて第1のセンサに戻る成分を示す図ある。
【図13C】この発明の実施の形態3を示す図で、第1のセンサから出力した信号が第1の漏洩同軸ケーブルから放射し、第2の漏洩同軸ケーブルで受けて、第2の増幅終端に向かい増幅され、再び第2の漏洩同軸ケーブルを通って第1のセンサに入力する成分を示す図である。
【図13D】この発明の実施の形態3を示す図で、第1のセンサから出力した信号が第1の増幅終端で増幅され、再び第1の漏洩同軸ケーブルを通り、そこから放射した信号が第2の漏洩同軸ケーブルで受けて第1のセンサに入る成分を示す図である。
【図13E】この発明の実施の形態3を示す図で、第1のセンサから出力した信号が、第1の漏洩同軸ケーブルから放射し、物体で反射して第2の漏洩同軸ケーブルで受けて、第2の増幅終端で増幅され再び第2の漏洩同軸ケーブルを通過して第1のセンサに戻る1回反射成分を示す図である。
【図13F】この発明の実施の形態3を示す図で、第1の物体で反射する信号パスと第2の物体で反射する信号パスがあり、これら信号パスが第2の漏洩同軸ケーブルと第1の物体、第2の物体のそれぞれの離隔距離が同じ場合、同一のパス長となることを示す図である。
【図13G】この発明の実施の形態3を示す図で、第1のセンサが出力した信号が、第1の増幅終端で増幅され再び第1の漏洩同軸ケーブルを通り、そこから放射した信号が第2の漏洩同軸ケーブルで受けて第2の増幅終端に向かい、第2の増幅終端で増幅され再び第2の漏洩同軸ケーブルを通って第1のセンサに入力する2回反射成分を示す図である。
【図13H】この発明の実施の形態3を示す図で、物体の検知を行う信号パスを示す図である。
【図14】この発明の実施の形態4を示す図で、2次元配列のテーブルの事例を示す図である。
【図15】この発明の実施の形態4を示す図で、伝搬遅延時間T1の振幅変動波形Aの値であるL1をG1倍しS1とし、伝搬遅延時間T2の振幅変動波形Bの値であるL2をG2倍しS2とする事例を示す図である。
【図16】この発明の実施の形態4を示す図で、処理フローを例示する図である。
【図17】この発明の実施の形態5を示す図で、地図照合部の動作事例を説明する図である。
【図18】この発明の実施の形態5を示す図で、地図照合部の動作フローを例示する図である。
【図19】この発明の実施の形態6を示す図で、地図照合部の他の動作事例を説明する図である。
【図20】この発明の実施の形態7を示す図で、遮蔽板の設置事例を示す概念図である。
【図21】この発明の実施の形態8を示す図で、システム構成の事例を示すブロック図である。
【図22】この発明の実施の形態8を示す図で、遠端結合波抑圧器の構成事例を示すブロック図である。
【図23A】この発明の実施の形態8を示す図で、第1の遠端結合波のパスを説明する図である。
【図23B】この発明の実施の形態8を示す図で、第2の遠端結合波のパスを説明する図である。
【図24】この発明の実施の形態8を示す図で、第1の遠端結合波と第2の遠端結合波と合成遠端結合波の関係を説明する図である。
【図25】この発明の実施の形態8を示す図で、第1の遠端結合波と第2の遠端結合波と合成遠端結合波の関係を説明する図である。
【図26】この発明の実施の形態8を示す図で、第1の遠端結合波と第2の遠端結合波と合成遠端結合波と受信信号レベルの関係を説明する図である。
【図27A】この発明の実施の形態8を示す図で、可変移相器の具体例を示すブロック図である。
【図27B】この発明の実施の形態8を示す図で、可変移相器の伝送線路が短い状態を示す図である。
【図27C】この発明の実施の形態8を示す図で、可変移相器の伝送線路が長い状態を示す図である。
【図28】この発明の実施の形態8を示す図で、可変増幅減衰器の具体例を示すブロック図である。
【図29A】この発明の実施の形態8を示す図で、遠端結合波抑圧器で合成遠端波の抑圧手順を説明する図である。
【図29B】この発明の実施の形態8を示す図で、遠端結合波抑圧器で合成遠端波の抑圧手順を説明する図である。
【図29C】この発明の実施の形態8を示す図で、遠端結合波抑圧器で合成遠端波の抑圧手順を説明する図である。
【図29D】この発明の実施の形態8を示す図で、遠端結合波抑圧器で合成遠端波の抑圧手順を説明する図である。
【図30】この発明の実施の形態9を示す図で、システム構成の事例を示すブロック図である。
【図31】この発明の実施の形態9を示す図で、遠端結合波抑圧器の構成事例を示すブロック図である。
【図32A】この発明の実施の形態9を示す図で、抑圧信号のパスを説明する図である。
【図32B】この発明の実施の形態9を示す図で、第1の遠端結合波のパスを説明する図である。
【図32C】この発明の実施の形態9を示す図で、第2の遠端結合波のパスを説明する図である。
【図33】この発明の実施の形態9を示す図で、抑圧信号と合成遠端結合波と抑圧遠端結合波と受信信号レベルの関係を説明する図である。
【図34A】この発明の実施の形態9を示す図で、遠端結合波抑圧器で合成遠端波の抑圧手順を説明する図である。
【図34B】この発明の実施の形態9を示す図で、遠端結合波抑圧器で合成遠端波の抑圧手順を説明する図である。
【図34C】この発明の実施の形態9を示す図で、遠端結合波抑圧器で合成遠端波の抑圧手順を説明する図である。
【図34D】この発明の実施の形態9を示す図で、遠端結合波抑圧器で合成遠端波の抑圧手順を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
実施の形態1.
以下この発明の実施の形態1を図1〜図8までを参照しながら説明する。図1は、移動物体の監視システムの代表的な事例としての侵入検知システムのシステム構成の一例を示すブロック図である。なお、図では移動物体をターゲットと記してある。
【0014】
図1に例示するように、本実施の形態の侵入検知システムは、第1の機器(以下「第1のセンサ」と記す)100、第2の機器(以下「第2のセンサ」と記す)200、第1の漏洩伝送路(以下「第1の漏洩同軸ケーブル」と記す)301、第2の漏洩伝送路(以下「第2の漏洩同軸ケーブル」と記す)302、検知部400、及び警報器501を備えている。第1の漏洩同軸ケーブル301と第2の漏洩同軸ケーブル302とが信号伝送媒体である伝送装置を構成する。
【0015】
第1のセンサ100と第2のセンサ200は第1の漏洩同軸ケーブル301、302の両端とそれぞれ接続されている。第1のセンサ100と第2のセンサ200は検知部400とそれぞれ接続されている。検知部400は警報器501と接続されている。
【0016】
第1のセンサ100は、信号発生手段110と信号受信手段120からなる伝搬時間別IQ成分計測手段101と記憶部130と判定手段140を備えている。信号発生手段110は、符号生成部111と送信部112とを備えている。信号受信手段120は、受信部121と相関演算部122とを備えている。判定手段140は、閾値設定部141と判定部142とを備えている。
【0017】
第2のセンサ200は、信号発生手段210と信号受信手段220と記憶部230と判定手段240とを備えている。信号発生手段210は、符号生成部211と送信部212とを備えている。信号受信手段220は受信部221と相関演算部222とを備えている。判定手段240は閾値設定部241と判定部242とを備えている。
【0018】
検知部400は、物体照合部401と地図照合部402と判定部403とエリア設定部404とを備えている。
【0019】
次の動作について説明する。
【0020】
第1のセンサ100と第2のセンサ200は物体の存在の有無を検知し、検知部400は物体の位置を検知し、物体位置に応じて警報器501は警報を発令する。はじめに、第1のセンサ100と第2のセンサ200が物体の存在の有無を検知する動作について説明し、次に検知部400が物体の位置を検知して、警報を発令するかどうか判定し、警報器501が発令する動作について説明する。
【0021】
第1のセンサ100は、信号発生手段110から後述する発振信号を搬送波として符号信号でBPSK(Binary Phase Shift Keying)変調したスペクトル拡散信号を生成し送信信号として第1の漏洩同軸ケーブル301へ出力する。なお、スペクトル拡散信号は前記特許文献2等に詳述されており周知の信号である。
【0022】
第1の漏洩同軸ケーブル301は送信信号を電波として空間に放射する。
【0023】
第2の漏洩同軸ケーブル302は第1の漏洩同軸ケーブル301が放射した電波がそのまま入射する直接波と、物体で反射した反射波を受信し、受信信号として信号受信手段120へ出力する。
【0024】
信号受信手段120はスペクトル逆拡散によって、予め設定した時間分解能をもつ伝搬遅延時間レンジビン(range bin)毎に受信信号を分離し、振幅と位相とからなるIQ信号列を、記憶部130へ出力する。IQ信号列とはレンジビン毎の振幅と位相情報である。
【0025】
以上が伝搬時間別IQ成分計測手段101の動作であり、伝搬時間別IQ成分計測手段101は信号発生手段110が送信信号を出力してから信号受信手段120が受信信号を受信するまでの伝搬遅延時間毎の振幅と位相であるIQ信号を計測するものである。
【0026】
判定手段140はIQ信号列の予め設定した基準との差が所定の閾値を超えた場合に物体が存在すると判定する。
【0027】
第2のセンサ200も、第1のセンサ100と同様の動作を行う。
【0028】
第1のセンサ100の信号送信手段110内において、符号生成部111は、予め設定した第1の符号を第1の符号信号として送信部112と信号受信手段120内の相関演算部122へ出力する。
【0029】
第1の符号は、伝搬遅延時間を測定するために鋭い自己相関特性を有する符号系列で構成する。また、第1の符号は、第1のセンサ100と第2のセンサ200が同じ周波数帯を共用しても干渉しないようにするために、第2のセンサ200の信号送信手段210で生成する第2の符号は第1の符号と相互相関が低い符号系列を設定する。この特性を有する符号系列には、例えば、周知のGOLD系列、周知の最小相互相関M系列などがある。
【0030】
送信部112は、予め設定した第1の発振信号を搬送波として符号信号でBPSK変調したスペクトル拡散信号を所定のレベルまで増幅し第1の送信信号として第1の漏洩同軸ケーブル301へ出力する。また、第1の発振信号は信号受信手段内の受信部121へ出力する。
【0031】
第1の漏洩同軸ケーブル301は、第1の送信信号を電波として空間に放射する。第2の漏洩同軸ケーブル302は、第1の漏洩同軸ケーブル301が放射した電波が直接入射する直接波と物体によって反射した反射波を受信し受信信号として第1のセンサ100の信号受信手段120へ出力する。
【0032】
第1の漏洩同軸ケーブル301、302の特性について説明する。第1の漏洩同軸ケーブル301、302は、スロットが周期的に並んだ構造で、信号の周波数によって放射指向性が変化するケーブルである。スロットピッチPと電波の波長λと放射角度θには次式が成り立つ。
θ=arcsin(−√(εr)―nλ/P)
但し、εrは漏洩同軸ケーブルの誘電率、nは−1、−2、−3・・・と負の整数である。n=−1のとき、基本波の放射角度、n=−2の時、2次モードの放射角度、・・・である。
【0033】
漏洩同軸ケーブルには、スロット間にサブスロットが開けられた構造のものがあり、高次の放射モードを抑圧するために設けられたものである。本実施例では、基本波のみ考慮した場合について述べる。
【0034】
第1のセンサ100の信号受信手段120内において、受信部121は第2の漏洩同軸ケーブル302を通って入力された受信信号から不要なスペクトルの信号をフィルタで除去し所定のレベルまで増幅する。そして、第1の発振信号を基準信号としてベースバンド信号にIQ検波して検波信号を相関演算部へ出力する。IQ検波は直交検波とも呼ばれ、基準信号に対して同相成分I(In−Phase成分)と直交成分Q(Quadrature成分)に分けるものであって、搬送波が除去されたベースバンド成分が出力される。
【0035】
相関演算部122は、遅延させた第1の符号信号と検波信号の相互相関を演算し、検波信号を伝搬遅延時間レンジビン毎に分離し、それぞれI成分に対応する相関値IとQ成分に対応する相関値Qを計算しIQ信号を求める。各伝搬遅延時間レンジビンのIQ信号は記憶部130へ出力する。伝搬遅延時間レンジビン毎の相関値Iと相関値Qの二乗和の平方根は、伝搬遅延時間レンジビン毎に分離した受信信号の振幅であり、相関値Iと相関値Qの逆正接は位相である。
【0036】
第1のセンサ100と第2のセンサ200を同時に動作させたとき、検波信号は様々な位相遅延量を持つ第1の符号信号と第2の符号信号の和で構成される。この位相遅延量は伝搬遅延時間に相当している。第1の符号信号は鋭い自己相関特性を有しているので、符号系列が同じパターンであっても位相差がゼロのとき相関関数は1となり、位相差が1符合ずれただけで無相関な状態となる。この特性より、所定の位相遅延量だけ遅延させた第1の符号信号と検波信号との相互相関演算により、所定の位相遅延量と異なる遅延量を持った検波信号の影響を受けることなく、所定の伝搬遅延時間を持つ検波信号を分離して取り出すことができる。
【0037】
また、第1の符号信号と第2の符号信号は、相互相関が低い符号系列を設定しているので、いかなる位相差であっても、第1の符号信号と第2の符号信号はほぼ無相関な状態となる。この特性より、遅延させた第1の符号信号と検波信号の相互相関を演算すると、第2の符号信号の影響をほとんど受けることなく、所定の伝搬遅延時間を持つ検波信号を分離して取り出すことができる。
【0038】
検波信号と符号信号の相互相関演算から検波信号を伝搬遅延時間レンジビン毎に分離する相関演算部122の動作の一例として、離散フーリエ変換を用いる方法がある。第1の符号1周期分の検波信号の同相成分を実部、直交成分を虚部とした複素信号をx[n]とし、符号生成器111が出力した第1の符号をy[n]とする。x[n]の離散フーリエ変換後の信号をX[k]とし、y[n]の離散フーリエ変換後の信号をY[k]とし、符号信号1周期のサンプル数をNとすると、符号信号と検波信号の相互相関値rxy[m]は次式で計算される。
X[k] = DFT[x[n]]
Y[k] = DFT[y[n]]
rxy[m]=(1/N)IDFT[X[k]*・Y[k]]
ここで、X[k]*はX[k]の複素共役を表し、X[k]*・Y[k]はクロススペクトルと呼ばれる。DFTは離散フーリエ変換を表し、IDFTは離散逆フーリエ変換を表す。得られた相関値の実部は相関値I、虚部は相関値Qとなる。mは、検波信号と符号信号の位相差であり、各伝搬遅延時間レンジビンである。演算のタイミングは、符号信号の1周期ごとに行う。この離散フーリエ変換を用いる方法によって、レンジビン毎のIQ信号が得られる。
【0039】
また、相関演算部122を構成する別の例として、図2に示す、遅延回路123と積和演算器124を用いる方法がある。
【0040】
n個の遅延回路123は、n個の遅延回路123a、123b、・・・123nで構成されている。また、n個の積和演算器124は、積和演算器124a、積和演算器124b、・・・積和演算器124nで構成されている。
【0041】
符号生成器111から出力された符号信号は、遅延回路123のn個の遅延回路123a、遅延回路123b、・・・遅延回路123nに入力され、各遅延回路でそれぞれ異なる遅延時間だけ遅延された遅延符号信号が積和演算器124へ出力される。
遅延時間は、伝搬遅延時間レンジビンに従って設定されている。
積和演算器124は積和演算器124a、積和演算器124b、・・・積和演算器124nそれぞれで遅延符号信号と検波信号の乗算の結果を順次加算する積和演算を符号信号1周期分のサンプル数分行い相関値Iと相関値Qを算出する。この複数の遅延回路と複数の積和演算器を用いる方法でもレンジビン毎のIQ信号が求められる。
【0042】
記憶部130は、信号受信手段120から出力された伝搬遅延時間レンジビン毎のIQ信号をIQ信号列として保存する。IQ信号列は第1の符号信号の周期で追加される。
記憶部130に保存された所定の過去時間までのIQ信号列をIQデータ配列として判定手段140に送る。IQデータ配列はIQ信号列が時間方向に積み上げた2次元配列である。
【0043】
判定手段140は、IQデータ配列内の最新のIQ信号列に対し、予め取得しておいた物体不在時のIQ信号列であるIQ基準信号列との差分を取り、差分IQ信号列を求める。そして、差分IQ信号列と、予め設定したしきい値である判定信号列で判定を行い、しきい値を上回ったレンジビンに対し、物体有りを示すビットフラグを立てる。具体的には物体フラグ配列のレンジビン番号に対応したビットを1にする。そして、物体フラグ配列と差分IQデータ配列を物体照合部401に出力する。差分IQデータ配列とは所定の過去時間までの差分IQ信号列を時間方向に積み上げた2次元配列である。
【0044】
第2のセンサ200も同様の動作を行う。
【0045】
図3は物体が一つの場合の差分IQデータ列と伝搬遅延時間の関係を説明する図である。
【0046】
第1のセンサ100から送信された信号は、漏洩同軸ケーブル内を伝搬し空間へ電波として放射される。放射された電波は、第1の物体701で反射され反射波は再び空間を伝搬し漏洩同軸ケーブルへ到達する。漏洩同軸ケーブルに到達した電波は再び漏洩同軸ケーブル内を伝搬し第1のセンサ100で受信される。
【0047】
第1のセンサ100において、判定部142で求まった差分IQ信号列について、横軸に伝搬遅延時間レンジビンA、縦軸に信号強度をとると図3のようなピーク波形が得られる。ピーク位置の伝搬遅延時間レンジビンの値は伝搬遅延時間に相当する。伝搬遅延時間T1は漏洩同軸ケーブル内を伝搬する時間t1と空間を伝搬する時間t2とから
T1=2(t1+t2)
と求まる。
【0048】
同様に第2のセンサ200においても、判定部242で求まった差分IQ信号列について、横軸に伝搬遅延時間レンジビンB、縦軸に信号強度をとると図のようなピーク波形が得られる。伝搬遅延時間T2は漏洩同軸ケーブル内を伝搬する時間t3と空間を伝搬する時間t4とから
T2=2(t3+t4)
と求まる。
【0049】
図4は物体が二つの場合の差分IQ信号列と伝搬遅延時間の関係を説明する図である。
【0050】
漏洩同軸ケーブルから放射された電波は第1の物体701で反射し反射波は漏洩同軸ケーブルまで伝搬する。
【0051】
同様に漏洩同軸ケーブルから放射された電波は第2の物体702で反射し反射波は漏洩同軸ケーブルまで伝搬する。
【0052】
第1のセンサ100において、判定部142で求まった差分IQ信号列について、横軸に伝搬遅延時間レンジビンA、縦軸に信号強度をとると図4のような二つのピークが得られる。二つのピーク位置の伝搬遅延時間レンジビンの値はそれぞれ第1の物体701による伝搬遅延時間と第2の物体702による伝搬遅延時間に相当する。横軸に伝搬遅延時間レンジビンA、縦軸に信号強度をとったときに得られる波形を振幅変動波形Aと呼ぶ。
【0053】
同様に、第2のセンサ200において、判定部242で求まった差分IQ信号列について、横軸に伝搬遅延時間レンジビンB、縦軸に信号強度をとると図のように二つのピークが得られ、ピーク位置の伝搬遅延時間レンジビンの値は第1の物体701による伝搬遅延時間と第2の物体702による伝搬遅延時間となる。横軸に伝搬遅延時間レンジビンB、縦軸に信号強度をとったときに得られる波形を振幅変動波形Bと呼ぶ。
【0054】
以上のように、第1のセンサ100と第2のセンサ200は、物体有無の検知および物体で反射した反射波の伝搬遅延時間の算出を行う。
【0055】
ここからは、検知部400が物体の2次元位置の検知および警報発令の動作について説明する。
【0056】
検知部400内の物体照合部401は、第1のセンサ100で求めた第1の差分IQデータ配列と第2のセンサ200で求めた第2の差分IQデータ配列を用いて、同一物体の組合せをパターンマッチングで求める。そして、物体毎の伝搬遅延時間T1と伝搬遅延時間T2とを地図照合部402に送る。
【0057】
次に上記パターンマッチングの方法を説明する。
【0058】
第1のセンサ100から送られる第1物体フラグ配列からフラグが1となっているレンジビン番号を確認し、第1の差分IQデータ配列から該当するレンジビンの時間方向のデータであるIQ時間データAを抽出する。
【0059】
同様に、第2のセンサ200から送られる第2物体フラグ配列からフラグが1となっているレンジビン番号を確認し、第2の差分IQデータ配列から該当するレンジビンの時間方向のデータであるIQ時間データBを抽出する。上記IQ時間データの抽出時間は数秒間程度とする。
【0060】
そして、IQ時間データAから振幅を計算したものを実時刻波形A、IQ時間データBから振幅を計算したものを実時刻波形Bとして出力する。この実時刻波形Aと実時刻波形Bの相関率を計算する。実時刻波形Aを固定し、第2物体フラグが1となっている全ての実時刻波形Bの相関率を計算し、最も相関率が大きい組合せを同一の物体を観測したものだと、同一視する。同一視した場合、各レンジビンに対応した伝搬遅延時間T1、T2を地図照合部402に出力する。この操作を第1物体フラグが1となっている全ての物体分行う。
【0061】
図5は上記パターンマッチングの説明図である。
【0062】
図(a)(b)は、それぞれ第1のセンサ100で観測した第1の物体と第2の物体の実時刻波形Aで横軸に実時刻、縦軸に振幅値とした場合の図である。
【0063】
同様に図(c)(d)は、それぞれ第2のセンサ200で観測した第1の物体と第2の物体の実時刻波形Bである。
【0064】
各センサにおいて、実時刻波形は2つあって、その2つの間で実時刻波形のパターンが同じ組合せを見つける。物体の検知エリアへ接近してくるタイミング、物体の大きさや挙動による振幅レベルの時間変動により、物体毎に異なる波形が得られるので、相関の高い組合せを見つける。これより、図(a)と図(c)、図(b)と図(d)の組合せが求められる。
【0065】
ここで、上記パターンマッチングの別の方法を説明する。
【0066】
この方法はIQ時間データA、IQ時間データBの時間変化軌跡の相関率を求める。
図6(a)(b)はそれぞれ第1のセンサ100で観測した第1の物体、第2の物体のIQ時間データA、図6(c)(d)はそれぞれ第2のセンサ200で観測した第1の物体、第2の物体のIQ時間データB、である。
【0067】
同じ組合せを見つけるため、各IQ時間データのI信号を実数、Q信号を虚数として複素数にする。そして、複素相互相関を演算する。そして、前の例で説明したように、IQ時間データAを固定し、IQ時間データBとの間の相関値を計算し、その中で最も相関値が大きい組合せを同一視する。同一視した場合、各レンジビンに対応した伝搬遅延時間T1、T2を地図照合部402に出力する。この操作を第1物体フラグが1となっている全ての物体分行う。
【0068】
ところで、物体が漏洩同軸ケーブルと平行方向に移動すると、第1のセンサ100で物体が接近すると観測された場合、第2のセンサ200で物体は離反すると観測される。これより、IQ平面上に描かれる軌跡の回転方向は正反対となる。
【0069】
また、物体が漏洩同軸ケーブルと垂直方向に移動すると、第1のセンサ100と第2のセンサ200で物体の接近離反が同じように観測される。これより、IQ平面上に描かれる軌跡の回転方向は同方向となる。
【0070】
このように、物体の移動方向と、IQ平面上に描かれる軌跡の回転方向には相関がある。また、IQ平面上の振幅の大きさや時間変動は、前述した場合と同様に物体の大きさや挙動により変化が異なる。IQパターンをパターンマッチングすることで、図(a)と図(c)、図(b)と図(d)の組合せを求めることができる。
【0071】
地図照合部402は、伝搬遅延時間T1、T2から、予め設定した算出テーブルに従って、物体座標を算出し判定部403に物体座標を出力する。
算出テーブルとは、2つの2次元配列で、1つ目は伝搬遅延時間T1、T2を引数にx座標が、2つ目は伝搬遅延時間T1、T2を引数にy座標が設定されたものである。
この算出デーブルは直線部分は理論的に設定値を求めることができる。
【0072】
図7は第1のセンサ100の第1の伝搬遅延時間T1と第2のセンサ200の第2の伝搬遅延時間T2とから、第1の物体701の位置を導出する基本原理を説明する図である。
【0073】
長さLの第1の漏洩同軸ケーブル301、302を略平行に敷設し、第1の物体701のケーブル平行方向距離を第1のセンサ100側からの距離をx、第2のセンサ200側からの距離をL−x、ケーブル垂直方向距離をyとする。第1のセンサ100の第1の漏洩同軸ケーブル301と302の放射指向性を角度θ1、第2のセンサ200の第1の漏洩同軸ケーブル301と302の放射指向性を角度θ2とする。
【0074】
物体の距離x、L−x、yを光速c、漏洩同軸ケーブルの波長短縮率Kを用いると、
【数1】

となる時間が求まる。
これらの時間と放射指向性の角度θ1とθ2を用いると伝搬遅延時間T1とT2はそれぞれ
【数2】

と表せる。
物体の座標(x、y)は、伝搬遅延時間T1と伝搬遅延時間T2から次式により求められる。
【数3】

【0075】
また、t3とt4はケーブル長Lより次式の関係がなりたつ。
L=(t3+t4)・K・c ・・・・・・・・・(6)
【0076】
式(4)〜(6)の連立方程式を解くと、t3とt4とt5とが求まる。
そして、式(1),(3)より第1の物体701の座標(x,y)が求められる。
【0077】
算出テーブルは上記の原理に基づいて作成できる。これらの式は、第1の漏洩同軸ケーブル301、302が略平行に設置された場合に成り立つ。
【0078】
そのため、図8のように漏洩同軸ケーブルがLの字やSの字に設置された周辺エリア等に関しては、実測データに基づいて作成する。このとき、データベースを作成したい領域において、予め物体を動かして得られたデータからデータベースを作成する。
【0079】
また、周辺に建物や金属物があって、伝搬時間に偏差が生じるような場合も実測にて算出テーブルを補正する。
【0080】
判定部403は、予め設定した発報テーブルを用いて、地図照合部402が算出した物体座標を判定する。発報テーブルは座標x、yを引数に1か0が設定されている。物体座標の発報テーブルの値が1であれば発報情報を警報器501へ出力する。
【0081】
警報器501は、物体の位置をディスプレイ等に出力し、物体位置に基づいた音声をスピーカー等に出力する。
【0082】
ここで、本実施の形態1では漏洩同軸ケーブルを用いたが漏洩導波管や開放同軸ケーブルなど、電波の送受信が可能な線状のケーブルに代えて用いてもよい。
【0083】
また、伝搬時間別IQ成分計測手段として、符号系列で変調した方式でなく、FM-CW信号、FMパルス信号、OFDM信号などその手段を達成する方法は、いくつも考えられるが、それらの方法を代表して、本実施の形態1では符号系列で変調した方式で説明した。
【0084】
[実施の形態1の効果]
実施の形態1によれば、複数の物体のそれぞれの物体座標を求めることができる。
2台のセンサー装置が相互相関の低い符号系列で変調した信号で物体を観測するため、同一の周波数帯で観測できる。周波数帯が同じであれば同一のH/Wで構成できるため、低コストに観測システムを構成できる。
レンジビン毎にIQ時間データを算出し、IQ時間データで複数の物体の組合せ問題を解くため、複数の物体が存在する場合でも正確に各物体の座標を算出できる。
算出テーブルを用いることで、第1の漏洩同軸ケーブル301、302が直線でない部分でも物体座標を正確に計測できる。また、建物や金属物が周囲にあっても正確に計算できる。
発報テーブルを用いることで、発報領域を細かく設定でき、必ずしも監視領域に沿って漏洩同軸ケーブルを引く必要はない。そのため、敷設の自由度が増し、敷設が容易になる。また、近くに自動車など大型物体が通る領域を発報しないように設定できるため、不要な発報が生じない。
【0085】
実施の形態2.
図9は実施の形態2のシステム構成の事例を示すブロック図である。
【0086】
図9において、405は制御部である。
【0087】
図9の中で、図1と同一番号のブロックは図1と同一の動作と機能を有する。ただし、送信部112、212、相関演算部122、222は制御部405と接続されており、制御部405からの動作信号によってON/OFF制御される。
【0088】
制御部405は初め若しくは後述する第2の受取情報を受けると、送信部112、相関演算部122をONにし、送信部212、相関演算部222をOFFにする。ON状態となった。第1のセンサ100は、物体の観測を行い、第1の物体フラグ配列と第1の差分IQデータ配列を物体照合部401に出力する。
【0089】
物体照合部401は第1のセンサ100から第1の物体フラグ配列と第1のIQデータ配列を受け取ると、第1の受取情報を制御部405に送る。
【0090】
制御部405は第1の受取情報を受けると、送信部112、相関演算部122をOFFにし、送信部212、相関演算部222をONにする。ON状態となった。第2のセンサ200は、物体の観測を行い、第2の物体フラグ配列と第2のIQデータ配列を物体照合部401に出力する。
【0091】
物体照合部401は第2のセンサ200から第2の物体フラグ配列と第2の差分IQデータ配列を受け取ると、第2の受取情報を制御部405に送る。
【0092】
次に、物体照合部401は第1の物体フラグ配列と第1の差分IQデータ配列と第2の物体フラグ配列と第2の差分IQデータ配列を受けたので、実施の形態1で説明したように物体照合部401は、第1のセンサ100で求めた第1の差分IQデータ配列と第2のセンサ200で求めた第2の差分IQデータ配列を用いて、同一物体の組合せをパターンマッチングで求める。そして、物体毎の伝搬遅延時間T1と伝搬遅延時間T2を地図照合部402に送る。その後の動作は実施の形態1で説明したのと同じである。
【0093】
実施の形態1では同時に第1の送信信号と第2の送信信号が同時に出力されるが、この実施の形態2では交互に出力される。すなわち、時分割で観測を行う。第1の送信信号と第2の送信信号が同時に出力させるために実施の形態1では、互いの干渉を抑えるため、相互相関の低い異なる符号系列を使う。しかし、相互相関は完全にゼロにならないため、高感度観測を行う場合に干渉の影響がでる。つまり、非常に遠方の物体や、非常に小さい物体を観測する場合、その物体が干渉によってかき消され観測できない問題が生じる。
【0094】
実施の形態2では交互に観測を行うため非常に遠方の物体や、非常に小さい物体の観測を高感度に観測することが可能となる。
【0095】
実施の形態3.
図10は実施の形態3を説明する装置構成図である。
【0096】
図10において、601、602は第1及び第2増幅終端(第2の機器)である。
【0097】
実施の形態3では、実施の形態1で説明した第2のセンサ200の代わりに、第1の増幅終端601と第2の602を第1の漏洩同軸ケーブル301の端点に接続することを特徴とする。
【0098】
増幅終端とは、入力された信号を増幅し、信号の伝搬する向きを変えるものである。
つまり、あたかもそこにセンサが接続されたかのように振舞う。すなわち、センサのイメージを作り出すことができる。この理由は図13を用いて後述する。
【0099】
図11は増幅終端の構成例である。
【0100】
図11において、611は方向性結合器、612はフィルタ、613は増幅器である。
【0101】
方向性結合器611は、第1の漏洩同軸ケーブル301とフィルタ612と増幅器613が接続されており、第1の漏洩同軸ケーブル301から入力された信号をフィルタ612に通過させ、増幅器613から入力された信号を第1の漏洩同軸ケーブル301に通過させるものである。ここで、増幅器613から入力された信号がフィルタ612に抜ける成分は十分に減衰する。
【0102】
フィルタ612は入力した信号から不要な周波数帯域の成分を除去し、増幅器613に出力する。増幅器613は第1の漏洩同軸ケーブル301の損失分だけ増幅する。
【0103】
次に第1のセンサ100がこのイメージ信号の処理方法を説明する。
【0104】
図12は第1のセンサ100が観測する伝搬遅延時間レンジビン毎のIQ信号と差分IQ信号列を示す。
【0105】
図12において、波形620は第1の漏洩同軸ケーブル301から第2の漏洩同軸ケーブル302に結合した成分で、ケーブルの長さ分だけ伝搬遅延時間レンジビンにIQ信号レベルが高くなる。
図13Aの信号パス650は、その成分の1つを表したもので、第1のセンサ100から出力した信号が第1の漏洩同軸ケーブル301から放射し、第2の漏洩同軸ケーブル302で受けて第1のセンサ100に入力されるパスである。この高くなった領域を領域A(図12参照)とする。
【0106】
図12における波形621は鋭いピークを持つ信号成分である。これは図13Cの信号パス652に示すように、第1のセンサ100から出力した信号が第1の漏洩同軸ケーブル301から放射し、第2の漏洩同軸ケーブル302で受けて、第2の増幅終端602に向かい増幅され、再び第2の漏洩同軸ケーブル302を通って第1のセンサ100に入力する成分である。また、図13Dの信号パス653のように、第1のセンサ100から出力した信号が第1の増幅終端601で増幅され、再び第1の漏洩同軸ケーブル301を通り、そこから放射した信号が第2の漏洩同軸ケーブル302で受けて第1のセンサ100に入る成分もある。
【0107】
このような、第1の漏洩同軸ケーブル301を通り、そこから放射した信号が第2の漏洩同軸ケーブル302で受けるパスは漏洩同軸ケーブルの至る所にあり、しかもそれぞれの伝搬遅延時間は全て同じであるため、波形621(図12参照)は鋭いピークとなる。
【0108】
図12における波形622は、図13Gの信号パス657で示すように、第1のセンサ100が出力した信号が、第1の増幅終端601で増幅され再び第1の漏洩同軸ケーブル301を通り、そこから放射した信号が第2の漏洩同軸ケーブル302で受けて第2の増幅終端602に向かい、第2の増幅終端602で増幅され再び第2の漏洩同軸ケーブル302を通って第1のセンサ100に入力する2回反射成分である。そのため、ケーブルの長さ分だけ伝搬遅延時間レンジビンにIQ信号レベルが高くなる。この高くなった領域を領域B(図12参照)とする。
【0109】
ここで、領域Aの信号成分は実施の形態1で説明した第1のセンサ100が観測する信号と同じものである。一方、領域Bの信号成分は、実施の形態1で説明した第2のセンサ200が観測する信号と同じ、第1のセンサ100に対し漏洩同軸ケーブルの反対側から観測したものである。
領域Aと領域Bは伝搬遅延時間が異なるため、伝搬遅延時間で分離設定する。図12において、起点640は領域Aの先頭の基準、基点641は領域Bの先頭の基準を指す。
【0110】
前記2回反射成分は、信号波形はケーブル長の2倍だけ遅延しているが、あたかも終端側に第2のセンサ200が接続されたような波形を観測することができる。
【0111】
つまり、第2のセンサ200が観測する信号イメージが、第1のセンサ100が観測する信号の領域Aより後方に射影されるため、先ほど、この信号をイメージ信号と呼んだ。
【0112】
本実施の形態では、図13Bの信号パス651、図13Hの信号パス658を使って物体の検知を行う。
【0113】
また、図12において、領域Aと波形621、波形621と領域Bの間に信号のないギャプがある。これは、増幅終端を経由するときの伝搬遅延時間である。この遅延時間の存在によって、領域AとBが波形621と重なることなく分離できる。そのため、レンジビンの分解能として必要な遅延を設けると良い。遅延は、増幅終端内のフィルタ612の群遅延を利用して作り出すのが効率がよい。
この遅延が適切でないと、領域AとBと波形621が重なり、漏洩同軸ケーブルの増幅終端付近の物体を正しく位置計測出来なくなる。
【0114】
次に物体反射成分の観測信号を説明する。
【0115】
図12のピーク630は、実施の形態1で説明した振幅変動波形Aに相当する。
【0116】
図13Bの信号パス651に示したように、第1のセンサ100から出力した信号が、第1の漏洩同軸ケーブル301から放射し、物体で反射して第2の漏洩同軸ケーブル302で受けて第1のセンサ100に戻る成分である。第1の漏洩同軸ケーブル301の第1のセンサ100側の端点から第2の漏洩同軸ケーブル302の第1のセンサ100側の端点までの伝搬遅延時間を伝搬遅延時間(T1)642とする。
【0117】
図12のピーク631は図13Eの信号パス654で示したように、第1のセンサ100から出力した信号が、第1の漏洩同軸ケーブル301から放射し、物体で反射して第2の漏洩同軸ケーブル302で受けて、第2の増幅終端602で増幅され再び第2の漏洩同軸ケーブル302を通過して第1のセンサ100に戻る1回反射成分である。
【0118】
この信号は波形621に対し、第1の漏洩同軸ケーブル301から放射され物体で反射し第2の漏洩同軸ケーブル302に入る空間伝搬分だけ遅延するが、ここで、物体が2つある場合、図13Fに示すように第1の物体701で反射する信号パス655と第2の物体702で反射する信号パス656がある。この信号パス655、656は第2の漏洩同軸ケーブル302と第1の物体701、第2の物体702のそれぞれの離隔距離が同じ場合、同一のパス長となる。また、それぞれの離隔距離が異なる場合、ピーク631の近くにピーク633が生じる。波形621とピーク631、633の間隔が離隔距離に相当する遅延時間になるが、図から明らかなように、ピーク631と633のどちらが、それぞれ物体701、702の離隔距離に対応するのか判別できない。また、多数の物体がある場合、ピーク631と633の間に多数のピークが生じ、もはやそれぞれのピークを分離できなくなる。このように、漏洩同軸ケーブルから出力した信号が物体で反射して漏洩同軸ケーブルで受けた信号で、出力するときに伝搬している方向と、受けた信号の伝搬する方向が同じ信号(これを遠端波という)を使った物体観測は本質的に複数物体を分離できない。よって、本発明ではこれを利用しない。
尚、図13Bの信号パス651や、次に示すが図13Hの信号パス658は、出力するときに伝搬している方向と、受けた信号の伝搬する方向が逆向き(これを近端波という)であり、この近端波を使うことが本発明の特長である。
【0119】
図12の632は、実施例1で説明した振幅変動波形Bに相当する。
【0120】
図13Hの信号パス658に示したように、第1のセンサ100から出力した信号が、第1の漏洩同軸ケーブル301を通って、第1の増幅終端601で増幅され再び第1の漏洩同軸ケーブル301を通り、そこから放射した信号が物体で反射して第2の漏洩同軸ケーブル302で受けて、第2の増幅終端602で増幅され、再び第2の漏洩同軸ケーブル302を通って第1のセンサ100に戻る成分である。第1の漏洩同軸ケーブル301の第1の増幅終端601側の端点から第2の漏洩同軸ケーブル302の第2の増幅終端602側の端点までの伝搬遅延時間を伝搬遅延時間(T2)643とする。
【0121】
ここで、起点640は第1のセンサ100が観測する領域Aの伝搬遅延時間レンジビンの伝搬遅延時間(T1)642の基準であり、起点641は領域Bの伝搬遅延時間(T2)643の基準である。
【0122】
物体照合部411は、実施の形態1での物体照合部401と同じように、同一物体の組合せをパターンマッチングで求める。
【0123】
予め起点640、641を設定し、伝搬遅延時間レンジビンから振幅変動波形のピークとなるレンジビンの伝搬遅延時間を算出することで、伝搬遅延時間(T1)642と伝搬遅延時間(T2)643が求められる。そして、物体毎の伝搬遅延時間T1と伝搬遅延時間T2を地図照合部402に送る。
【0124】
以降は実施の形態1と同じ動作を実行する。
【0125】
さて、波形626は第1のセンサ100のノイズフロアである。このノイズフロア626以下の信号はノイズに埋もれて観測出来ない。例えば、波形623は増幅終端の代わりに、短絡終端を用いた場合の領域Bの波形である。短絡終端とは0オーム抵抗で同時ケーブルの内導体と外導体を接続したものである。増幅終端を接続した場合の波形622と比較し、レベルが低下するが、漏洩同軸ケーブルが短く、十分なレベルが観測できる場合はこの方法でも領域Bの信号が得られる。
【0126】
ところで、増幅終端は両方の漏洩ケーブルに接続せず、送信漏洩ケーブルにだけ接続する方法がある。この場合、受信漏洩ケーブルは短絡終端を接続する。
増幅終端は低ノイズアンプなど、雑音の小さいアンプで構成する必要があるが、多少の雑音が入る。受信側にだけ増幅終端を入れないことで、NF(ノイズフィギュア)が改善し、感度向上につながる。
【0127】
実施の形態3では増幅終端の構成例として、方向性結合器と増幅器を組み合わせた方式を説明した。これは一例であり、信号を増幅し、信号の伝搬方向を変えられる手段であれば何でもよい。
【0128】
このように、実施の形態3によれば、
増幅終端を用いることで、第2のセンサ200が不要となり、低コストで物体の2次元位置を求めることができる。
フィルタに必要な遅延時間を持たせることで、領域Aと領域Bが不要な波形621と分離でき、漏洩同軸ケーブルの全領域で正しく物体の位置を検知出来る。
【0129】
実施の形態4.
図14は実施の形態4を説明する図である。
【0130】
実施の形態1〜3では、物体の2次元位置が所定の範囲に入った場合に警報をならしたが、本実施の形態4では物体の散乱断面積やスピードで警報を鳴らす判定の要素に加える。
【0131】
以下の説明は実施の形態1〜3における、物体照合部401の動作である。
【0132】
図14において、701は2次元配列のテーブルを示し、702は2次元配列のある要素を示す。
【0133】
テーブル701は伝搬遅延時間T1、T2を引数に要素702が割り当てられている。各要素には、それぞれ2つの数値が予め設定されている。要素702の数値をG1、G2とする。
【0134】
G1は、図15に示すように振幅変動波形Aの値を乗算する数値で、伝搬遅延時間T1の振幅変動波形Aの値であるL1をG1倍しS1とする。
【0135】
G2は、振幅変動波形Bの値を乗算する数値で、伝搬遅延時間T2の振幅変動波形Bの値であるL2をG2倍しS2とする。
【0136】
処理フローを図16に示す。
【0137】
ステップ703では実施の形態1〜3で説明したように、パターンマッチングで物体毎の伝搬遅延時間T1、T2を算出する。
【0138】
ステップ704では伝搬遅延時間T1、T2よりテーブル701からG1、G2を抽出する。
【0139】
ステップ705では先に説明したように、S1、S2を求め、S=(S1+S2)÷2で物体散乱レベルSを求める。
【0140】
ステップ706では差分IQ時間データA,Bをフーリエ変換してドップラー周波数を算出し、それぞれのドップラー周波数の絶対値の平均からスピードVを算出する。
【0141】
ステップ707で伝搬遅延時間T1、T2と物体散乱レベルS、スピードVを地図照合部402に出力する。
【0142】
地図照合部402では、実施の形態1〜3と同様に、物体座標を求め、物体座標と物体散乱レベルS、スピードVを判定部403に送る。
【0143】
判定部403は、予め設定した発報テーブルを用いて、物体座標と物体散乱レベルを判定する。発報テーブルは座標x、yを引数に、散乱レベルの範囲とスピードの範囲が設定されている。地図照合部402が出力した物体座標に基づいて、散乱レベル範囲とスピード範囲を発報テーブルから引き、物体散乱レベルSとスピードVがこの範囲であれば、発報情報を警報器501へ出力する。
【0144】
数値G1とG2の設定方法を説明する。
【0145】
これらの数値は、漏洩ケーブルの伝送損失の往復分と放射した電波の送信漏洩ケーブルから物体までの往復分の伝搬損失、を補償するように設定する。このとき、漏洩ケーブルの放射角度も考慮する。
【0146】
ここでは放射角度が90度の場合を説明する。
【0147】
片道の伝送損失はケーブル方向の距離Xに対し、
【数4】

で表わされる。
ここで、L0は1m当たりの伝送損失(単位dB)。
【0148】
また、片道の伝搬損失は、離隔方向の距離Yに対し、
【数5】

で表わされる。
ここで、Gtは漏洩ケーブルのアンテナ利得(結合損失)である。
【0149】
実施の形態1で説明したように、XとYからT1とT2が式(4)、(5)で計算でき、(T1、T2)のテーブルに、
【数6】

を設定すればよい。
【0150】
ここで、散乱レベルについて説明する。散乱レベルは物体の素材や形状によって変化する。物体が金属など電波を反射しやすい素材であれば、散乱レベルは大きくなる。また、散乱レベルは基本的に物体の大きさにほぼ比例しているため、散乱レベルで判定することは、おおむね物体サイズを判定することになる。
【0151】
スピードの算出について説明する。
【0152】
物体の移動によって、受信信号はドップラーシフトを受ける。
【0153】
このドップラーシフトは、図6で説明したような回転となって観測されるため、フーリエ変換によって、この回転周波数が分かる。
【0154】
この回転周波数をΔF、観測波長をLとすると、
V=−ΔF×L÷2
で求められる。
【0155】
以上のように、実施の形態4では、
伝搬遅延時間T1、T2の組合せに応じて設定した数値G1、G2で観測した変動量を乗算し物体の散乱レベルを計算できるため、物体散乱レベルで発報の有無を制御でき、小動物やトラックなど非常に大きな物体による不要な警報を削除できる。
また、物体の座標によって、発報させる散乱レベルの範囲を変えられる。そのため、特定のエリアに大型物体が入ってきたときに警報を鳴らすことができる。
また、スピードによって発報の有無を制御できるため、たとえば、高速物体が通過したときのみ反応させることができる。または、特定のエリアに、物体が静止した時に警報を鳴らすこともできる。
【0156】
実施の形態5.
図17は実施の形態5を説明する図である。
【0157】
実施の形態1〜4はここの物体を抽出し物体座標などを抽出し判定していたが、実施の形態5では予め設定した観測領域全体の2次元的な電界状態を観測する。
【0158】
図17は地図照合部402の動作を説明する図である。
【0159】
図17において、711は2次元配列のテーブルである。
【0160】
712はテーブル711の要素であり、各要素には、t1,t2,G1,G2が設定されている。
【0161】
図18は地図照合部402の動作フローである。
【0162】
ステップ720はXを0からXLまで回すFOR文とYを0からYLまで回すFOR文である。つまり、横XL、縦YLの範囲をスキャンさせる。
【0163】
ステップ721は座標X,Yに対応したt1,t2,G1,G2をテーブル711から抽出する。
【0164】
ステップ722では変動量Aのt1のレベルL1をG1倍しS1を、変動量Bのt2のレベルL2をG2倍しS2を算出し、S1×S2=物体散乱レベル積Sを求める。
【0165】
ステップ723では、物体散乱レベル積Sを、予め設定した色変換テーブルに基づいて色番号に変換する。また、画面上の座標X,Yにこの色をプロットする。
【0166】
ステップ724ではスキャンが完了するまでステップ720に戻る。
【0167】
物体散乱レベルSが小さいと白、大きいと黒を割り当て、その間の値を線形に白→灰色→黒と変化させると、物体がいない領域は白くなり、物体が存在する座標が黒くなる。
【0168】
図17の713は物体散乱レベルSのピーク地点を、例えば紫色で表示したものである。
【0169】
このピーク点を画面上に残すようにすると、物体の移動に伴う2次元的な軌跡が現れる。715は過去のピーク点であり、物体の移動軌跡が残ったものである。
【0170】
そして、このピーク点の座標を物体座標として、判定部403に出力する。
【0171】
ここで、実施の形態5では、与えた物体座標に対し、物体散乱レベルの積を求める。これは物体存在確率、つまり尤度を求めることになる。これは最尤推定で物体座標を求めることとなる。最尤推定は精度の高い推定方法であるため、物体座標を正確に求めることが出来る。
【0172】
G1とG2の設定方法は実施の形態4で説明した通りで、t1とt2はそれぞれ、実施の形態1で説明した式(4)、(5)を用いればよい。
【0173】
ここで、漏洩ケーブルが直線でない場合、実測でt1とt2を求めればよい。
また、周囲物体からの反射がある場合、G1とG2を適宜、実測により修正すればよい。
【0174】
以上のように、実施の形態5では、
横XL、縦YLの範囲をスキャンして変動量を色で表わすため、範囲全体の電界状態を観測出来る。
また、物体散乱レベル積Sのピーク地点を別の色で示し、その軌跡を残すため、物体の移動軌跡を知ることができる。
物体座標を尤度で計測するため、物体座標を正確に求めることができる。
また、漏洩ケーブルは直線でなくても物体の2次元位置と物体の散乱レベルを正確に求められる。
電波状態が観測できるため、実施の形態5では、例えばトンネル内の崩落、交通事故、その他異常検出など状態監視に利用できる。
また、鉄道の在線検知、踏切障害物検知、ホーム転落検出などのレール軌道監視の利用、空港の滑走路、道路状況の監視など、直線的に延びた領域の状態監視に利用できる。
【0175】
実施の形態6.
図19は実施の形態6の説明図である。
【0176】
実施の形態6では、地図照合部402を別の方法で実現する。
【0177】
図19において、730(実線)、731(破線)は等時間線AとBである。
等時間線とは、この線上に物体が存在するとき、それらは全て同じ伝搬遅延時間で観測されることを意味する。
【0178】
等時間線A730は伝搬遅延時間レンジビンAに、等時間線B731は伝搬遅延時間レンジビンBに対応する。
【0179】
ここで、物体の反射波が建物など近くの反射体で2次反射した場合を考える。
【0180】
740は振幅変動波形Aの物体による電界変動で、741はその2次反射成分である。
742は振幅変動波形Bの物体による電界変動で、743はその2次反射成分である。
【0181】
この波形の変動量の大きさを、伝搬遅延時間に対応する等時間線上にプロットする。振幅変動波形740を等時間線上にプロットしたのが732で、波形741をプロットしたのが733である。同様に、波形742を等時間線上にプロットしたのが734で、波形743を等時間線上にプロットしたのが735である。図19では色に変換してプロットしているが、2次元配列上にプロットしてもよい。
ここで、プロットするとき、プロットする前の値との乗算値をプロットする。
【0182】
このようにして、振幅変動波形Aと振幅変動波形Bを重ねる。乗算して重ねるため、乗算値は存在確率(尤度)となる。
【0183】
ところで、2次反射成分は常に、物体より遅延して観測され、レベルも低い。よって、振幅変動波形Aと振幅変動波形Bを重ねると、物体同士の重なりである736が最も存在確率が大きくなる。
【0184】
ここで、プロット位置は等時間線A、Bで定まるが、等時間線A、Bは実施の形態1で説明した式(1)〜(5)を使い、
【数7】

と表わされる。
【0185】
実施の形態6では、
等時間線を用いる実施の形態6では、実施の形態5のようにテーブル711が不要で、数学的な関数でプロット位置が定まるため、メモリ量が削減できる。
また、振幅変動波形Aと振幅変動波形Bのピーク点のみプロットすればよいので高速化が図れる。
【0186】
実施の形態7.
図20は実施の形態7の説明図である。
【0187】
図20において、801は地面、301、302は漏洩ケーブル、802は遮蔽板、803は遮蔽板802がないときの観測エリア、804は遮蔽板802があるときの観測エリア、805は支持柱である。
【0188】
支持柱805は漏洩ケーブル301、302を支えるものである。
【0189】
遮蔽板802が無い場合、物体の2次元位置は観測エリア803全体で観測される。
そのため、図20における右側に物体がいるのか、左側にいるのか区別がつかない。そのため、遮蔽板802を漏洩ケーブルの近くに設置する。
【0190】
このようにすることで、物体の2次元位置は観測エリア804で観測されるようになり、図20における左側だけが観測エリアとなる。
【0191】
支持柱805を使って漏洩ケーブルを縦に配置した場合も同じである。
【0192】
ここで、遮蔽板802は電波を通過させない素材を利用する。例えば、金属板、金属フェンス、コンクリート塀などがある。
【0193】
以上のように、実施の形態7では、
遮蔽板によって観測エリアを制限するため、物体位置の左右の不確定さがなく、位置を正しく計測できる。
【0194】
実施の形態8.
図21は、実施の形態8を説明する装置構成図である。
本実施の形態8は、実施の形態3で説明した構成で、第2の増幅終端602の代わりに、遠端結合波抑圧器1000を接続することを特徴とする。
【0195】
実施の形態3の装置構成で、第1の漏洩同軸ケーブル301と第2の漏洩同軸ケーブル302を長くすると図12で説明した波形621が増大し、第2の漏洩同軸ケーブル302から出力される受信信号レベル全体が増大する。
以下、波形621を合成遠端結合波と呼ぶ。
合成遠端結合波は、図13Cの信号パス652の第1の遠端結合波と図13Dの信号パス653の第2の遠端結合波の合成波である。合成波は、第2の漏洩同軸ケーブル302から出力される段階で合成される。
【0196】
センサ100内の信号受信手段120は、受信信号レベルの増大に対応できず飽和する。信号受信手段120が飽和しないように、信号発生手段110から出力する送信信号のレベルを下げると、図12で説明した波形620や波形622のレベルの一部もしくは全体がノイズフロア626以下となりノイズに埋もれて観測できない。そのため、漏洩同軸ケーブルを長距離化できず、物体観測を長距離範囲で行えない課題がある。
【0197】
また、上記の装置で長距離範囲を計測する場合は、装置を複数設置しなければならない。しかし、複数の装置を設置するため、構成が複雑かつ高価になるという課題がある。
【0198】
また、受信信号レベルの増大に対応する方法として、センサ100内の信号受信手段120を広ダイナミックレンジにする方法がある。すなわち、最低受信感度を保ったまま、最大入力レベルを上げる方法である。しかし、広ダイナミックレンジを持つ装置は、複雑かつ高価という課題がある。
【0199】
実施の形態8はこの課題を解決し、安価な装置構成で、合成遠端結合波レベル増大による信号受信手段120の飽和を防ぎ、漏洩同軸ケーブルを長距離化し長距離範囲の計測ができるようにすることを目的とする。
【0200】
図22は、遠端結合波抑圧器1000の装置構成の一例を示すブロック図である。遠端結合波抑圧器1000は、可変移相器1001と方向性結合器611とフィルタ612と可変増幅減衰器1002で構成されている。
【0201】
次に、遠端結合波抑圧器1000の動作について説明する。
【0202】
図23Aと図23Bは実施の形態8での第1の遠端結合波と第2の遠端結合波の信号のパスを説明する図である。第1の遠端結合波は図23Aの信号パス1101で、第2の遠端結合波は図23Bの信号パス1102で、合成遠端結合波はこれらの合成波である。合成波は、第2の漏洩同軸ケーブル302から出力される段階で合成される。図23Aの信号パス1101は実施の形態3で説明した図13Cの信号パス652に相当し、図23Bの信号パス1102は図13Dの信号パス653に相当する。
【0203】
遠端結合波抑圧器1000は、第1の遠端結合波の振幅と位相を調整し、第1の遠端結合波と第2の遠端結合波を干渉させて合成遠端結合波を抑圧する。第1の遠端結合波と第2の遠端結合波の振幅レベルを揃えて逆位相にして、合成遠端結合波を抑圧する。
【0204】
可変移相器1001は、入力された信号を設定した位相量だけ位相を回転させて出力する。
【0205】
方向性結合器611は、可変移相器1001とフィルタ612と可変増幅減衰器1002が接続されており、可変移相器1001から入力された信号をフィルタ612へ出力し、可変増幅減衰器1002から入力された信号を可変移相器1001へ出力する。ここで、可変増幅減衰器1002から入力された信号がフィルタ612に出力される成分は十分に減衰される。
【0206】
フィルタ612は入力した信号から不要な周波数帯の成分を除去し出力する。
【0207】
可変増幅減衰器1002は、第1の遠端結合波と第2の遠端結合波の振幅レベルが揃うように、入力された信号を増幅もしくは減衰させて出力する。
【0208】
図24は、第1の遠端結合波と第2の遠端結合波と合成遠端結合波の一例をIQ平面で説明する図である。
【0209】
プロット点1201は第1の遠端結合波の振幅と位相で、プロット点1202は第2の遠端結合波の振幅と位相で、プロット点1203は合成遠端結合波の振幅と位相である。
【0210】
遠端結合抑圧器1000は、第1の遠端結合波の振幅と位相を変える。
【0211】
図中の破線1204は、可変移相器1001で第1の遠端結合波の位相を回転させた時の、合成遠端結合波のIQ軌跡である。第1の遠端結合波と第2の遠端結合波の位相が同相のとき、合成遠端波の振幅と位相はプロット点1203Aに位置し振幅レベルは最大となる。一方で、第1の遠端結合波と第2の遠端結合波の位相が逆相のとき、合成遠端波の振幅と位相はプロット点1203Bに位置し振幅レベルは最小となる。
【0212】
第1の遠端結合波と第2の遠端結合波で振幅レベル差がある場合、合成遠端波の振幅の最小値は、その振幅レベル差となり完全に抑圧できない。
【0213】
図25は、可変増幅減衰器1002で第1の遠端結合波と第2の遠端結合波の振幅レベルを一致させた場合の、第1の遠端結合波と第2の遠端結合波と合成遠端結合波の一例をIQ平面で説明する図である。図中の破線1205は、可変移相器1001で位相を回転させた時の、合成遠端結合波のIQ軌跡である。
【0214】
第1の遠端結合波と第2の遠端結合波の位相が同相のとき、合成遠端波の振幅と位相はプロット点1203Cに位置して振幅レベルは最大となる。一方で、第1の遠端結合波と第2の遠端結合波の位相が逆相のとき、合成遠端波の振幅と位相はプロット点1203Dに位置し、振幅レベルは最小かつ完全に抑圧される。
【0215】
以上は、第1の遠端結合波と第2の遠端結合波の振幅レベルを揃えて、逆位相にして合成遠端結合波を完全に抑圧する方法について述べた。
【0216】
以下、信号受信手段120の飽和を防ぐ方法を説明する。
【0217】
図26は、第1の遠端結合波と第2の遠端結合波と合成遠端結合波の一例をIQ平面で説明する図である。図中の領域1301は、センサ100内の信号受信手段120が飽和しないレベルの領域である。領域1201内に合成遠端結合波のプロット点1203が存在するとき信号受信手段120は飽和せず、領域1301外にプロット点1203が存在するとき信号受信手段120は飽和する。
【0218】
可変増幅減衰器1002で第1の遠端結合波と第2の遠端結合波の振幅レベル差が、受信可能な振幅レベル以下となるように振幅を調整し、可変移相器1001で位相を回転させた場合の合成遠端結合波のIQ軌跡の一例を1302に示す。合成遠端結合波のIQ軌跡の一部は、領域1301内を通過する。
【0219】
合成遠端結合波のプロット1203が領域1301内に存在するように、可変移相器1001と可変増幅減衰器1002を調整すると、信号受信手段120が飽和しない。
【0220】
以下、具体的な手順について説明する。
【0221】
可変移相器1001には、例えば機械式移相器1401を使用する方法がある。図27Aは機械式移相器1401の構成を説明する図である。金属製の同軸パイプを組み合わせて用いた伝送線路で構成されている。図27Bと図27Cに示すように、この伝送線路を伸び縮みさせて位相を自由に回転させる。
【0222】
可変増幅減衰器1002は、例えば可変増幅器1402と可変減衰器1403を使用する方法がある。図28は構成を説明する図である。可変増幅器1402は、入力された信号を設定した増幅量だけ増幅し出力する。可変減衰器1403は、入力された信号を設定した減衰量だけ減衰して出力する。
【0223】
可変移相器1001の調整と、可変増幅減衰器1002の調整は、図29Aに示す第1のセンサ100で求めた伝搬遅延時間レンジビンごとのIQ信号列を観測しながら実施する。図中の波形1501は図12の波形620に相当し、図中の波形1502は図12の波形621に相当し、図中の波形1503は図12の波形622に相当する。図中の波形1502は合成遠端結合波である。また、図中の破線1504はセンサ内の信号受信手段の飽和レベルである。信号受信手段の飽和レベルをP1とする。
【0224】
はじめに、波形1502のレベルが飽和レベルP1を超えているので、信号生成手段から出力される送信信号のレベルをP2下げて、図29Bのように波形1502のレベルが
飽和レベルP1を超えないようにする。
【0225】
次に第1の遠端結合波と第2の遠端結合波のレベル差を計測する。
【0226】
遠端結合抑圧器1000の変わりに無反射終端器を接続し、図29B中の波形1502のレベルを読み取って第2の遠端結合波のレベルを計測する。第2の遠端結合波のレベルをP3とする。
【0227】
無反射終端器は、同軸ケーブルの内導体と外導体に同軸ケーブルの特性インピーダンスと同じインピーダンスを負荷に接続したものである。無反射終端器に入力された信号は反射しない。無反射終端器を接続すると、第1の遠端結合波を受信しないので第2の遠端結合波と合成遠端結合波は同一となり、波形1502のレベルは第2の遠端結合波のレベルとなる。
【0228】
同様に、増幅終端601の変わりに無反射増幅器を接続し、図29B中の波形1502のレベルを読み取って第1の遠端結合波のレベルを計測する。第1の遠端結合波のレベルをP4とする。
【0229】
次式により第1の遠端結合波と第2の遠端結合波のレベル差P5が算出される。
P5=P3−P4
レベル差P5が正の時、可変増幅器1402の増幅量をP5増加する。また、レベル差P5が負の時、可変減衰器1403の減衰量をP5減衰する。
【0230】
増幅終端601を第1の漏洩同軸ケーブル301と遠端結合抑圧器1000を第2の漏洩同軸ケーブル302にそれぞれ接続する。
【0231】
次いで、機械式移相器1401で位相を回転させながら、波形1502のレベルを読取る。図29Cの波形1502のように、位相を回転させると波形1502のレベルP6は増減する。波形1502は波形1502のレベルP6が破線1505で示したレベルP1−P2を下回る次式を満足したところで、位相の回転を止める。
P6<P1−P2
【0232】
最後に、送信信号のレベルをP2だけ元に戻すと図29Dに示すように、波形1502は飽和レベルP1より低くなり、信号受信手段は飽和しない。
【0233】
実施の形態8では、第2の漏洩同軸ケーブルに遠端結合波抑圧器を接続する方法を説明した。これは一例であり、第1の漏洩同軸ケーブルに遠端結合波抑圧器を接続してもよい。
【0234】
実施の形態8では、遠端結合抑圧器の構成例として、可変増幅減衰器と可変遅延線と方向結合器とフィルタを組み合わせた方法を説明した。これは、一例であり、信号の振幅と位相を変えられて、信号を返す手段であれば何でもよい。
【0235】
前述のように本実施の形態8では、
遠端結合波抑圧器1000は合成遠端結合波を抑圧するので、広ダイナミックレンジを持たない安価な装置でも漏洩同軸ケーブルを長距離化でき、長距離範囲の計測が可能となる。
【0236】
実施の形態9.
実施の形態9は、実施の形態8で述べた合成遠端結合波を抑圧する別形態について説明する。
図30は、実施の形態9を説明する装置構成図である。
【0237】
本実施の形態9は、実施の形態3で説明した構成で、センサ100と第1の漏洩同軸ケーブル301の間とセンサ100と第2の漏洩同軸ケーブル302の間に、遠端結合波抑圧器1600を接続することを特徴とする。また、遠端結合波抑圧器1600はセンサ100内の記憶部130と接続することを特徴とする。
【0238】
図31は、遠端結合波抑圧器1600の装置構成の一例を示すブロック図である。遠端結合波抑圧器1600は、遠端結合波形監視部1601と抑圧信号生成部1602で構成されている。抑圧信号生成部1602は、第1の方向性結合器1603と可変減衰器1604と可変移相器1605と第2の方向性結合器1606とで構成されている。
【0239】
次に、遠端結合波抑圧器1600の動作について説明する。
【0240】
遠端結合波抑圧器1600は、センサ100から入力された送信信号から抑圧信号を出力する。抑圧信号は図32Aの信号パス1701を通る。
【0241】
合成遠端結合波は第1の遠端結合波の信号パス1702と第2の遠端結合波の信号パス1703の合成波である。合成波は、第2の漏洩同軸ケーブル302から出力される段階で合成される。
【0242】
遠端結合波抑圧器1600は、抑圧信号を用いて合成遠端結合波を抑圧する。
【0243】
遠端結合波形監視部1601は、記憶器130と接続されており合成遠端結合波形のIQ信号を読み出し、合成遠端結合波形を抑圧する所定の振幅位相制御信号を抑圧信号生成部1602内の可変減衰器1604と可変移相器1605へ出力する。
【0244】
抑圧信号生成部1602内の第1の方向性結合器1603は、センサ100と可変減衰器1604と第1の漏洩同軸ケーブル301に接続されている。センサ100から入力された送信信号を第1の漏洩同軸ケーブル301へ出力し、センサ100から入力された送信信号を可変減衰器1604へ出力する。ここで、可変減衰器1604から入力された信号が第1の漏洩同軸ケーブルに出力される成分は十分に減衰される。
【0245】
可変減衰器1604は、第1の方向性結合器1603から入力された送信信号を、遠端結合波形監視部1601から入力された振幅位相信号で設定された減衰量だけ信号を減衰させて減衰送信信号として可変移相器1605へ出力する。
【0246】
可変移相器1605は、可変減衰器1604から入力された減衰送信信号を、遠端結合波形監視部1601から入力された振幅位相信号に基づいて位相を回転させ抑圧信号として第2の方向性結合器1606へ出力する。
【0247】
第2の方向性結合器1606は、センサ100と可変移相器1605と第2の漏洩同軸ケーブル302に接続されている。第2の漏洩同軸ケーブル302から入力された受信信号をセンサ100へ出力し、可変移相器1605から入力された抑圧信号をセンサ100へ出力する。第2の漏洩同軸ケーブル302から入力された信号が可変移相器1605へ出力される成分は十分に減衰される。
【0248】
図33は、抑圧信号のIQ信号と合成遠端結合波のIQ信号の一例をIQ平面で説明する図である。
【0249】
プロット点1801は抑圧信号の振幅と位相で、プロット点1802は合成遠端結合波の振幅と位相で、プロット点1803は第1の遠端結合波の振幅と位相で、プロット点1804は第2の遠端結合波の振幅と位相で、プロット点1805は、抑圧信号と合成遠端結合波を合成した抑圧遠端結合波の振幅と位相である。
【0250】
図中の破線1806は可変移相器1605で位相を回転させた時の、抑圧遠端結合波の振幅と位相のIQ軌跡である。
【0251】
抑圧遠端結合波は、抑圧信号と合成遠端結合波の位相が同相のとき振幅レベルが最大となり(プロット点1805A)、逆相のとき最小(プロット点1805B)となる。合成波の振幅の最小値は、合成遠端結合波と抑圧信号の振幅レベル差となる。
【0252】
図中の領域1807は、センサ100内の信号受信手段120が飽和しないレベルの領域である。遠端結合波形監視部1601は、合成遠端結合波と抑圧信号を合成し抑圧後の合成遠端結合波の振幅と位相が領域1807内となるように、抑圧信号の振幅と位相を決定し、振幅位相信号を可変減衰器1604と可変移相器1605へ出力する。
【0253】
具体的な手順について述べる。
【0254】
遠端結合抑圧器1600は、図34Aに示す第1のセンサ100で求めた伝搬遅延時間レンジビンごとのIQ信号列を観測しながら実施する。図中の波形1901は図12の波形620に相当し、図中の波形1902は図12の波形621に相当し、図中の波形1903は図12の波形622に相当する。図中の波形1902は合成遠端結合波である。また、図中の破線1904はセンサ内の信号受信手段の飽和レベルである。飽和レベルをP10とする。
【0255】
はじめに、波形1902のレベルが飽和レベルP10を超えているので、信号生成手段から出力される送信信号のレベルをP11下げて図34Bのように波形1902のレベルが飽和レベルP10を超えないようにする。
【0256】
次ぎに、はじめに、合成遠端結合波のレベルを波形1902から読取る。合成遠端結合波のレベルをP12とする。
【0257】
次に、遠端結合波形監視部1601は、送信信号のレベルをP13としたとき、可変減衰器1604の減衰量を次式のP14と設定する。
P14=P13−P12
【0258】
遠端結合波形監視部1601は、可変移相器1605で位相を回転させながら、波形1902のレベルを読取る。図34Cの波形1602に示すように、位相を回転させると波形1902のレベルP15は増減する。波形1902のレベルP15が破線1905で示したP10−P11を下回る次式を満足したところで、位相の回転を止める。
P15<P10−P11
【0259】
最後に、送信信号のレベルをP11だけ元にもどすと図34Dに示すように波形1902は飽和レベルP10より低くなり、信号受信手段は飽和しない。
【0260】
前述のように、本実施の形態9では、
遠端結合波抑圧器1600は合成遠端結合波を抑圧するので、広ダイナミックレンジを持たない安価な装置でも漏洩同軸ケーブルを長距離化でき、長距離範囲の計測が可能となる。
【0261】
前述の実施の形態1〜7の技術的特徴点を以下に列挙する。
【0262】
特徴点1:線状漏洩送信手段の片方の接続点から第1の送信信号を入力し、前記第1の送信信号が前記線状漏洩手段から放射した第1の電波と、前記第1の電波が物体に反射した第1の反射波からなる第1の受信信号を、前記線状漏洩送信手段と略平行に敷設した線状漏洩受信手段の前記第1の送信信号の入力側と同じ接続点で観測し、前記線状漏洩送信手段の反対側の接続点から第2の送信信号を入力し、前記第2の送信信号が前記線状漏洩送信手段から放射した第2の電波と、前記第2の電波が前記物体に反射した第2の反射波からなる第2の受信信号を、前記線状漏洩手段の前記第2の送信信号の入力側と同じ接続点で観測し、前記第1の受信信号と前記第2の受信信号を用いて前記物体の2次元位置を計測することを特徴とする物体検知・状態監視装置である。
【0263】
特徴点2:前記特徴点1に記載した物体検知・状態監視装置であって、第1の送信信号と第2の送信信号を交互に時分割で出力し、時分割で第1の受信信号と第2の受信信号を観測することを特徴とする物体検知・状態監視装置である。
【0264】
特徴点3:反対側に増幅終端手段を接続した線状漏洩送信手段の片方の接続点から第1の送信信号を入力し、前記第1の送信信号が前記線状漏洩手段から放射した第1の電波と、前記第1の電波が物体に反射した第1の反射波からなる第1の受信信号を、前記線状漏洩送信手段と略平行に敷設した反対側に増幅終端手段を接続した線状漏洩受信手段の前記第1の送信信号の入力側と同じ接続点で観測し、第1の受信信号を伝搬遅延時間に基づいて2つの時間領域に分割し、前記2つの時間領域の信号を用いて前記物体の2次元位置を計測することを特徴とする物体検知・状態監視装置である。
【0265】
特徴点4:特徴点3に記載した物体検知・状態監視装置であって、増幅終端手段の代わりに短絡終端を接続することを特徴とする物体検知・状態監視装置である。
【0266】
特徴点5:特徴点1〜4の何れか一に記載した物体検知・状態監視装置であって、物体位置の2次元位置に対応した補正値に基づいて、受信信号を解析し物体の散乱レベルを計測することを特徴とする物体検知・状態監視装置である。
【0267】
特徴点6:特徴点1〜5の何れか一に記載した物体検知・状態監視装置であって、2次元平面上の物体の存在確率を算出することを特徴とする物体検知・状態監視装置である。
【0268】
特徴点7:特徴点6に記載した物体検知・状態監視装置であって、物体の移動軌跡を残すことを特徴とする物体検知・状態監視装置である。
【0269】
特徴点8:特徴点1〜5の何れか一に記載した物体検知・状態監視装置であって、予め設定した等時間線に従って物体の2次元位置を計測することを特徴とする物体検知・状態監視装置である。
【0270】
特徴点9:特徴点1〜4の何れか一に記載した物体検知・状態監視装置であって、線状漏洩送信手段若しくは線状漏洩受信手段の近傍に遮蔽板を配置することを特徴とする物体検知・状態監視装置である。
【0271】
特徴点10:特徴点1〜9の何れか一に記載した物体検知・状態監視装置であって、計測した物体の2次元平面上の位置と物体の散乱レベルを所定の閾値により警報発令の可否を判定することを特徴とする物体検知・状態監視装置である。
【0272】
特徴点11:侵入検知や物体通過監視に用いるもので、監視領域に沿って配置した漏洩ケーブルを使って、侵入物体や通過物体の2次元位置を計測し、物体の移動軌跡を求めると共に、所定のしきい値に従って警報を出力する装置及び方法である。
【0273】
特徴点12:物体の漏洩ケーブルからの離隔距離を含む2次元位置を計測して、2次元位置を警報の判定指標とすることを可能とし、不用意に遠方の物体で警報をならすことを防ぐことができるシステムである。
【0274】
特徴点13:物体の大きさに概ね比例する物体の散乱レベルを計測する方法を提供する。
これによって、物体の大きさを警報の指標にすることを可能とし、不用意に小さい物体で警報をならすことを防ぐことができるシステムである。
【0275】
特徴点14:互いにほぼ平行を成して延在する第1及び第2の漏洩伝送路を備えた漏洩伝送装置、この漏洩伝送装置を伝送媒体として当該漏洩伝送装置の両端の一方の端側から他方の端側へ第1の送信信号を送出する第1の機器、前記漏洩伝送装置を伝送媒体として当該漏洩伝送装置の両端の前記他方の端側から前記一方の端側へ第2の送信信号を送出する第2の機器、及び前記第1及び第2の漏洩伝送路の一方の漏洩伝送路から前記第1の送信信号が放射した第1の電波が監視対象の移動物体に反射した第1の反射電波を前記漏洩伝送装置を介して受信した第1の受信信号の変化と前記第1及び第2の漏洩伝送路の一方の漏洩伝送路から前記第2の送信信号が放射した第2の電波が監視対象の移動物体に反射した第2の反射電波を前記漏洩伝送装置を介して受信した第2の受信信号の変化との違いに基づいて前記監視対象の移動物体の2次元の動きを検知する検知部を備えた移動物体の監視システムである。
【0276】
特徴点15:特徴点14に記載の移動物体の監視システムにおいて、前記第1の機器及び第2の機器の何れも送信信号を発生する機能を有していることを特徴とする移動物体の監視システムである。
【0277】
特徴点16:特徴点14に記載の移動物体の監視システムにおいて、前記第1の機器が送信信号を発生する機能を有し、前記第2の機器が前記第1の機器が送出した送信信号の反射波を増幅して前記第2の送信信号として送出する機能を有することを特徴とする移動物体の監視システムである。
【0278】
特徴点17:第1の漏洩伝送路の両端の一方の側から第1の送信信号を入力し、
前記第1の送信信号が前記第1の漏洩伝送路から放射した第1の電波と前記第1の電波が監視対象の移動物体に反射した第1の反射波とからなる第1の受信信号を、前記第1の漏洩伝送路と略平行に敷設された第2の漏洩伝送路の前記第1の送信信号の入力側で観測し、 前記第1の漏洩伝送路の両端の他方の側から第2の送信信号を入力し、前記第2の送信信号が前記第1の漏洩伝送路から放射した第2の電波と前記第2の電波が前記監視対象の物体に反射した第2の反射波とからなる第2の受信信号を、前記第2の漏洩伝送路の前記第2の送信信号の入力側と同じ側で観測し、
前記第1の受信信号と前記第2の受信信号を用いて前記監視対象の移動物体の2次元位置を検知部で計測することを特徴とする移動物体の監視システムである。
【0279】
特徴点18:特徴点14〜17の何れか一に記載の移動物体の監視システムにおいて、前記第1の送信信号と前記第2の送信信号とを交互に時分割で出力し、時分割で前記第1の受信信号と前記第2の受信信号とを観測することを特徴とする移動物体の監視システムである。
【0280】
特徴点19:両端の一方の側に増幅終端手段を接続した第1の漏洩伝送路の他方の側から第1の送信信号を入力し、
前記第1の送信信号が前記第1の漏洩伝送路から放射した第1の電波と、前記第1の電波が監視対象の移動物体に反射した第1の反射波とからなる第1の受信信号を、前記第1の漏洩伝送路と略平行に敷設され両端の一方の側に増幅終端手段が接続された第2の漏洩伝送路の前記第1の送信信号の入力側と同じ側で観測し、
第1の受信信号を伝搬遅延時間に基づいて2つの時間領域に分割し、前記2つの時間領域の信号を用いて前記監視対象の移動物体の2次元位置を検知部で計測することを特徴とする移動物体の監視システムである。
【0281】
特徴点20:特徴点19に記載の移動物体の監視システムにおいて、増幅終端手段の代わりに短絡終端を接続することを特徴とする移動物体の監視システムである。
【0282】
特徴点21:特徴点14〜20の何れか一に記載の移動物体の監視システムにおいて、前記移動物体の前記2次元位置に対応した補正値に基づいて、前記受信信号を解析し前記移動物体の散乱レベルを計測することを特徴とする移動物体の監視システムである。
【0283】
特徴点22:特徴点14〜21の何れか一に記載の移動物体の監視システムにおいて、2次元平面上の物体の存在確率を算出することを特徴とする移動物体の監視システムである。
【0284】
特徴点23:特徴点22に記載の移動物体の監視システムにおいて、前記移動物体の移動軌跡を残すことを特徴とする移動物体の監視システムである。
【0285】
特徴点24:特徴点14〜21の何れか一に記載の移動物体の監視システムにおいて、予め設定した等時間線に従って前記移動物体の2次元位置を計測することを特徴とする移動物体の監視システムである。
【0286】
特徴点25:特徴点14〜24の何れか一に記載の移動物体の監視システムにおいて、前記第1及び第2の漏洩伝送路の少なくとも一方の近傍に遮蔽板が配置されていることを特徴とする移動物体の監視システムである。
【0287】
特徴点26:特徴点14〜25の何れか一に記載の移動物体の監視システムにおいて、計測した前記移動物体の2次元平面上の位置と前記移動物体の散乱レベルを所定の閾値により警報発令の可否を判定することを特徴とする移動物体の監視システムである。
【0288】
前述の実施の形態8および9の技術的特徴点を以下に列挙する。
【0289】
特徴点27:センサから出力した信号が第1の漏洩同軸ケーブルから放射し、第2の漏洩同軸ケーブルで受けて、第2の漏洩同軸ケーブルの端末で反射して、再び第2の漏洩同軸ケーブルを通ってセンサに入力する第1の成分と、センサから出力した信号が第1の漏洩同軸ケーブルの端末で反射して再び第1の漏洩同軸ケーブルを通り、そこから放射した信号が第2の漏洩同軸ケーブルで受けて第1のセンサに入る第2の成分とが、センサ入力時に合成され、その合成波レベルをいずれか一方の成分の振幅と位相を調整して合成波レベルを抑圧することを特徴とし、遠端結合波抑圧器は合成遠端結合波を抑圧するので、広ダイナミックレンジを持たない安価な装置でも漏洩同軸ケーブルを長距離化でき、長距離範囲の計測が可能となる。
【0290】
特徴点28:センサから出力した信号が第1の漏洩同軸ケーブルから放射し、第2の漏洩同軸ケーブルで受けて、第2の漏洩同軸ケーブルの端末で反射して、再び第2の漏洩同軸ケーブルを通ってセンサに入力する第1の成分と、センサから出力した信号が第1の漏洩同軸ケーブルの端末で反射して再び第1の漏洩同軸ケーブルを通り、そこから放射した信号が第2の漏洩同軸ケーブルで受けてセンサに入る第2の成分とが、センサ入力時に合成されてできた合成波のレベルを、センサから入力された信号の振幅と位相を調整してセンサに出力した抑圧信号で抑圧することを特徴とし、遠端結合波抑圧器は合成遠端結合波を抑圧するので、広ダイナミックレンジを持たない安価な装置でも漏洩同軸ケーブルを長距離化でき、長距離範囲の計測が可能となる。
【0291】
特徴点29:略平行に設置した第1の漏洩同軸ケーブルと第2の漏洩同軸ケーブルを備えた移動物体監視システムであって、第1の漏洩同軸ケーブルと第2の漏洩同軸ケーブルの一方に接続し、第1の漏洩同軸ケーブルから放射して第2の漏洩同軸ケーブルで受信した信号から物体の位置を計測するセンサと、第1の漏洩同軸ケーブルの他方に接続され、入力された信号を増幅して第1の漏洩同軸ケーブルに返す増幅反射手段と、第2の漏洩同軸ケーブルの他方に接続され、入力された信号の振幅と位相を変化させて第2の漏洩同軸ケーブルに返す遠端結合波抑圧手段とで構成し、増幅反射手段から出力された信号と遠端結合波抑圧手段から出力された信号が第2の漏洩同軸ケーブルから出力され合成されるときに位相干渉させ合成波レベルを抑圧することを特徴とする移動物体監視システムであり、遠端結合波抑圧器は合成遠端結合波を抑圧するので、広ダイナミックレンジを持たない安価な装置でも漏洩同軸ケーブルを長距離化でき、長距離範囲の計測が可能となる。
【0292】
特徴点30:略平行に設置した第1の漏洩同軸ケーブルと第2の漏洩同軸ケーブルを備えた移動物体監視システムであって、第1の漏洩同軸ケーブルと第2の漏洩同軸ケーブルの一方に接続し、第1の漏洩同軸ケーブルから放射して第2の漏洩同軸ケーブルで受信した信号から物体の位置を計測するセンサと、第1の漏洩同軸ケーブルの他方に接続され、入力された信号を第1の漏洩同軸ケーブルに返す反射手段と、第2の漏洩同軸ケーブルの他方に接続され、入力された信号の振幅と位相を変化さえて第2の漏洩同軸ケーブルに返す遠端結合波抑圧手段とで構成し、反射手段から出力された信号と遠端結合波抑圧手段から出力された信号が第2の漏洩同軸ケーブルから出力され合成されるときに位相干渉させ合成波レベルを抑圧することを特徴とする移動物体監視システムであり、遠端結合波抑圧器は合成遠端結合波を抑圧するので、広ダイナミックレンジを持たない安価な装置でも漏洩同軸ケーブルを長距離化でき、長距離範囲の計測が可能となる。
【0293】
特徴点31:略平行に設置した第1の漏洩同軸ケーブルと第2の漏洩同軸ケーブルを備えた移動物体監視システムであって、第1の漏洩同軸ケーブルと第2の漏洩同軸ケーブルの一方に接続し、第1の漏洩同軸ケーブルから放射して第2の漏洩同軸ケーブルで受信した信号から物体の位置を計測するセンサと、第1の漏洩同軸ケーブルの他方に接続され、入力された信号の振幅と位相を変化させて第1の漏洩同軸ケーブルに返す遠端結合波抑圧手段と、第2の漏洩同軸ケーブルの他方に接続され、入力された信号を増幅して第2の漏洩同軸ケーブルに返す増幅反射手段とで構成し、増幅反射手段から出力された信号と遠端結合波抑圧手段から出力された信号が第2の漏洩同軸ケーブルから出力され合成されるときに位相干渉させ合成波レベルを抑圧することを特徴とする移動物体監視システムであり、遠端結合波抑圧器は合成遠端結合波を抑圧するので、広ダイナミックレンジを持たない安価な装置でも漏洩同軸ケーブルを長距離化でき、長距離範囲の計測が可能となる。
【0294】
特徴点32:略平行に設置した第1の漏洩同軸ケーブルと第2の漏洩同軸ケーブルを備えた移動物体監視システムであって、第1の漏洩同軸ケーブルと第2の漏洩同軸ケーブルの一方に接続し、第1の漏洩同軸ケーブルから放射して第2の漏洩同軸ケーブルで受信した信号から物体の位置を計測するセンサと、第1の漏洩同軸ケーブルの他方に接続され、入力された信号の振幅と位相を変化させて第1の漏洩同軸ケーブルに返す遠端結合波抑圧手段と、第2の漏洩同軸ケーブルの他方に接続され、入力された信号を第2の漏洩同軸ケーブルに返す反射手段とで構成し、反射手段から出力された信号と遠端結合波抑圧手段から出力された信号が第2の漏洩同軸ケーブルから出力され合成されるときに位相干渉させ合成波レベルを抑圧することを特徴とする移動物体監視システムであり、遠端結合波抑圧器は合成遠端結合波を抑圧するので、広ダイナミックレンジを持たない安価な装置でも漏洩同軸ケーブルを長距離化でき、長距離範囲の計測が可能となる。
【0295】
特徴点33:略平行に設置した第1の漏洩同軸ケーブルと第2の漏洩同軸ケーブルを備えた移動物体監視システムであって、第1の漏洩同軸ケーブルと第2の漏洩同軸ケーブルの一方に接続し、第1の漏洩同軸ケーブルから放射して第2の漏洩同軸ケーブルで受信した信号から物体の位置を計測するセンサと、第1の漏洩同軸ケーブルの他方に接続され、入力された信号の振幅と位相を変化させて第1の漏洩同軸ケーブルに返す第1の遠端結合波抑圧手段と、第2の漏洩同軸ケーブルの他方に接続され、入力された信号の振幅と位相を変化さえて第2の漏洩同軸ケーブルに返す第2の遠端結合波抑圧手段とで構成し、第1の遠端結合波抑圧器から出力された信号と第2の遠端結合波抑圧器から出力された信号が第2の漏洩同軸ケーブルから出力され合成されるときに位相干渉させ合成波レベルを抑圧することを特徴とする移動物体監視システムであり、遠端結合波抑圧器は合成遠端結合波を抑圧するので、広ダイナミックレンジを持たない安価な装置でも漏洩同軸ケーブルを長距離化でき、長距離範囲の計測が可能となる。
【0296】
特徴点34:略平行に設置した第1の漏洩同軸ケーブルと第2の漏洩同軸ケーブルを備えた移動物体監視システムであって、第1の漏洩同軸ケーブルと第2の漏洩同軸ケーブルの一方に接続し、第1の漏洩同軸ケーブルから放射して第2の漏洩同軸ケーブルで受信した信号から物体の位置を計測するセンサと、第1の漏洩同軸ケーブルの他方に接続され、入力された信号を増幅して第1の漏洩同軸ケーブルへ返す第1の増幅反射手段と第2の漏洩同軸ケーブルの他方に接続され、入力された信号を増幅して第2の漏洩同軸ケーブルへ返す第2の増幅反射手段とセンサから入力された信号を減衰し位相を回転させてセンサへ出力する遠端結合波抑圧手段とで構成し、遠端結合波抑圧手段から出力された信号と、第1の増幅反射手段から出力された信号と、第2の増幅反射手段から出力された信号が、センサに入力される時に合成し、位相干渉によりその合成波のレベルを抑圧することを特徴とする移動物体監視システムであり、遠端結合波抑圧器は合成遠端結合波を抑圧するので、広ダイナミックレンジを持たない安価な装置でも漏洩同軸ケーブルを長距離化でき、長距離範囲の計測が可能となる。
【0297】
特徴点35:略平行に設置した第1の漏洩同軸ケーブルと第2の漏洩同軸ケーブルを備えた移動物体監視システムであって、第1の漏洩同軸ケーブルと第2の漏洩同軸ケーブルの一方に接続し、第1の漏洩同軸ケーブルから放射して第2の漏洩同軸ケーブルで受信した信号から物体の位置を計測するセンサと、第1の漏洩同軸ケーブルの他方に接続され、入力された信号を第1の漏洩同軸ケーブルへ返す第1の反射手段と第2の漏洩同軸ケーブルの他方に接続され、入力された信号を第2の漏洩同軸ケーブルへ返す第2の反射手段とセンサから入力された信号を減衰し位相を回転させてセンサへ出力する遠端結合波抑圧手段とで構成し、遠端結合波抑圧手段から出力された信号と、第1の反射手段から出力された信号と、第2の反射手段から出力された信号が、センサに入力される時に合成し、位相干渉によりその合成波のレベルを抑圧することを特徴とする移動物体監視システムであり、遠端結合波抑圧器は合成遠端結合波を抑圧するので、広ダイナミックレンジを持たない安価な装置でも漏洩同軸ケーブルを長距離化でき、長距離範囲の計測が可能となる。
【0298】
特徴点36:センサから出力した信号が第1の漏洩同軸ケーブルから放射し当該した信号を第2の漏洩同軸ケーブルで受けて当該第2の漏洩同軸ケーブルの端末で反射して再び前記第2の漏洩同軸ケーブルを通って前記センサに入力する第1の成分と、前記センサから出力した信号が前記第1の漏洩同軸ケーブルの端末で反射して再び前記第1の漏洩同軸ケーブルを通り当該第1の漏洩同軸ケーブルから放射した信号を前記第2の漏洩同軸ケーブルで受けて前記センサに入る第2の成分と、が前記センサへの入力時に合成されてできた合成波のレベルを、前記第1の成分および前記第2の成分のいずれか一方の成分の振幅と位相を調整して前記合成波のレベルを抑圧することを特徴とする移動物体の監視システムである。
【0299】
特徴点37:センサから出力した信号が第1の漏洩同軸ケーブルから放射し当該した信号を第2の漏洩同軸ケーブルで受けて当該第2の漏洩同軸ケーブルの端末で反射して再び前記第2の漏洩同軸ケーブルを通って前記センサに入力する第1の成分と、前記センサから出力した信号が前記第1の漏洩同軸ケーブルの端末で反射して再び前記第1の漏洩同軸ケーブルを通り当該第1の漏洩同軸ケーブルから放射した信号を前記第2の漏洩同軸ケーブルで受けて前記センサに入る第2の成分と、が前記センサへの入力時に合成されてできた合成波のレベルを、前記センサから入力された信号の振幅と位相を調整して前記センサに出力した抑圧信号で抑圧することを特徴とする移動物体の監視システムである。
【0300】
特徴点38:互いに略平行に設置された第1の漏洩同軸ケーブルと第2の漏洩同軸ケーブルとを備えた移動物体の監視システムであって、前記第1の漏洩同軸ケーブルおよび前記第2の漏洩同軸ケーブルの一方に接続され前記第1の漏洩同軸ケーブルから放射して前記第2の漏洩同軸ケーブルで受信した信号から物体の位置を計測するセンサと、前記第1の漏洩同軸ケーブルの他方に接続され入力された信号を増幅して前記第1の漏洩同軸ケーブルに返す増幅反射手段と、前記第2の漏洩同軸ケーブルの他方に接続され入力された信号の振幅と位相を変化させて前記第2の漏洩同軸ケーブルに返す遠端結合波抑圧手段とを備え、前記増幅反射手段から出力された信号と前記遠端結合波抑圧手段から出力された信号とが前記第2の漏洩同軸ケーブルから出力され合成されるときに位相干渉させ合成波レベルを抑圧することを特徴とする移動物体の監視システムである。
【0301】
特徴点39:互いに略平行に設置された第1の漏洩同軸ケーブルと第2の漏洩同軸ケーブルとを備えた移動物体の監視システムであって、前記第1の漏洩同軸ケーブルおよび前記第2の漏洩同軸ケーブルの一方に接続され前記第1の漏洩同軸ケーブルから放射して前記第2の漏洩同軸ケーブルで受信した信号から物体の位置を計測するセンサと、前記第1の漏洩同軸ケーブルの他方に接続され入力された信号を前記第1の漏洩同軸ケーブルに返す反射手段と、前記第2の漏洩同軸ケーブルの他方に接続され入力された信号の振幅と位相を変化さえて前記第2の漏洩同軸ケーブルに返す遠端結合波抑圧手段とを備え、前記反射手段から出力された信号と前記遠端結合波抑圧手段から出力された信号とが前記第2の漏洩同軸ケーブルから出力され合成されるときに位相干渉させ合成波レベルを抑圧することを特徴とする移動物体の監視システムである。
【0302】
特徴点40:互いに略平行に設置された第1の漏洩同軸ケーブルと第2の漏洩同軸ケーブルとを備えた移動物体の監視システムであって、前記第1の漏洩同軸ケーブルおよび前記第2の漏洩同軸ケーブルの一方に接続され前記第1の漏洩同軸ケーブルから放射して前記第2の漏洩同軸ケーブルで受信した信号から物体の位置を計測するセンサと、前記第1の漏洩同軸ケーブルの他方に接続され入力された信号の振幅と位相を変化させて前記第1の漏洩同軸ケーブルに返す遠端結合波抑圧手段と、前記第2の漏洩同軸ケーブルの他方に接続され入力された信号を増幅して前記第2の漏洩同軸ケーブルに返す増幅反射手段とを備え、前記増幅反射手段から出力された信号と前記遠端結合波抑圧手段から出力された信号とが前記第2の漏洩同軸ケーブルから出力され合成されるときに位相干渉させ合成波レベルを抑圧することを特徴とする移動物体の監視システムである。
【0303】
特徴点41:互いに略平行に設置された第1の漏洩同軸ケーブルと第2の漏洩同軸ケーブルとを備えた移動物体の監視システムであって、前記第1の漏洩同軸ケーブルおよび前記第2の漏洩同軸ケーブルの一方に接続され前記第1の漏洩同軸ケーブルから放射して前記第2の漏洩同軸ケーブルで受信した信号から物体の位置を計測するセンサと、前記第1の漏洩同軸ケーブルの他方に接続され入力された信号の振幅と位相を変化させて前記第1の漏洩同軸ケーブルに返す遠端結合波抑圧手段と、前記第2の漏洩同軸ケーブルの他方に接続され入力された信号を前記第2の漏洩同軸ケーブルに返す反射手段とを備え、前記反射手段から出力された信号と前記遠端結合波抑圧手段から出力された信号とが前記第2の漏洩同軸ケーブルから出力され合成されるときに位相干渉させ合成波レベルを抑圧することを特徴とする移動物体の監視システムである。
【0304】
特徴点42:互いに略平行に設置された第1の漏洩同軸ケーブルと第2の漏洩同軸ケーブルとを備えた移動物体の監視システムであって、前記第1の漏洩同軸ケーブルおよび前記第2の漏洩同軸ケーブルの一方に接続され前記第1の漏洩同軸ケーブルから放射して前記第2の漏洩同軸ケーブルで受信した信号から物体の位置を計測するセンサと、前記第1の漏洩同軸ケーブルの他方に接続され入力された信号の振幅と位相を変化させて前記第1の漏洩同軸ケーブルに返す第1の遠端結合波抑圧手段と、前記第2の漏洩同軸ケーブルの他方に接続され入力された信号の振幅と位相を変化さえて前記第2の漏洩同軸ケーブルに返す第2の遠端結合波抑圧手段とを備え、前記第1の遠端結合波抑圧器から出力された信号と前記第2の遠端結合波抑圧器から出力された信号とが前記第2の漏洩同軸ケーブルから出力され合成されるときに位相干渉させ合成波レベルを抑圧することを特徴とする移動物体の監視システムである。
【0305】
特徴点43:互いに略平行に設置された第1の漏洩同軸ケーブルと第2の漏洩同軸ケーブルとを備えた移動物体の監視システムであって、前記第1の漏洩同軸ケーブルおよび前記第2の漏洩同軸ケーブルの一方に接続され前記第1の漏洩同軸ケーブルから放射して前記第2の漏洩同軸ケーブルで受信した信号から物体の位置を計測するセンサと、前記第1の漏洩同軸ケーブルの他方に接続され入力された信号を増幅して前記第1の漏洩同軸ケーブルへ返す第1の増幅反射手段と、前記第2の漏洩同軸ケーブルの他方に接続され入力された信号を増幅して前記第2の漏洩同軸ケーブルへ返す第2の増幅反射手段と、前記センサから入力された信号を減衰し位相を回転させて前記センサへ出力する遠端結合波抑圧手段とを備え、前記遠端結合波抑圧手段から出力された信号と前記第1の増幅反射手段から出力された信号と前記第2の増幅反射手段から出力された信号とが、前記センサに入力される時に合成され、位相干渉によりその合成波のレベルを抑圧することを特徴とする移動物体の監視システムである。
【0306】
特徴点44:互いに略平行に設置された第1の漏洩同軸ケーブルと第2の漏洩同軸ケーブルとを備えた移動物体の監視システムであって、前記第1の漏洩同軸ケーブルおよび前記第2の漏洩同軸ケーブルの一方に接続され前記第1の漏洩同軸ケーブルから放射して前記第2の漏洩同軸ケーブルで受信した信号から物体の位置を計測するセンサと、前記第1の漏洩同軸ケーブルの他方に接続され入力された信号を前記第1の漏洩同軸ケーブルへ返す第1の反射手段と、前記第2の漏洩同軸ケーブルの他方に接続され入力された信号を前記第2の漏洩同軸ケーブルへ返す第2の反射手段と、前記センサから入力された信号を減衰し位相を回転させて前記センサへ出力する遠端結合波抑圧手段とを備え、前記遠端結合波抑圧手段から出力された信号と前記第1の反射手段から出力された信号と前記第2の反射手段から出力された信号とが、センサに入力される時に合成され、位相干渉によりその合成波のレベルを抑圧することを特徴とする移動物体の監視システムである。
【0307】
なお、図1〜図34の各図中、同一符号は同一または相当部分を示す。
【符号の説明】
【0308】
100 センサ(第1の機器)、
200 センサ(第2の機器)、
301 漏洩同軸ケーブル(第1の漏洩伝送路)、
302 漏洩同軸ケーブル(第2の漏洩伝送路)、
400 検知部、
601,602 増幅終端(第2の機器)(増幅反射手段)、
701,702 監視対象の移動物体、
802 遮蔽板、
1000,1600 遠端結合波抑圧手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いにほぼ平行を成して延在する第1及び第2の漏洩伝送路を備えた漏洩伝送装置、この漏洩伝送装置を伝送媒体として当該漏洩伝送装置の両端の一方の端側から他方の端側へ第1の送信信号を送出する第1の機器、前記漏洩伝送装置を伝送媒体として当該漏洩伝送装置の両端の前記他方の端側から前記一方の端側へ第2の送信信号を送出する第2の機器、及び前記第1及び第2の漏洩伝送路の一方の漏洩伝送路から前記第1の送信信号が放射した第1の電波が監視対象の移動物体に反射した第1の反射電波を前記漏洩伝送装置を介して受信した第1の受信信号の変化と前記第1及び第2の漏洩伝送路の一方の漏洩伝送路から前記第2の送信信号が放射した第2の電波が監視対象の移動物体に反射した第2の反射電波を前記漏洩伝送装置を介して受信した第2の受信信号の変化との違いに基づいて前記監視対象の移動物体の2次元の動きを検知する検知部を備えた移動物体の監視システム。
【請求項2】
請求項1に記載の移動物体の監視システムにおいて、前記第1の機器及び第2の機器の何れも送信信号を発生する機能を有していることを特徴とする移動物体の監視システム。
【請求項3】
請求項1に記載の移動物体の監視システムにおいて、前記第1の機器が送信信号を発生する機能を有し、前記第2の機器が前記第1の機器が送出した送信信号の反射波を増幅して前記第2の送信信号として送出する機能を有することを特徴とする移動物体の監視システム。
【請求項4】
第1の漏洩伝送路の両端の一方の側から第1の送信信号を入力し、
前記第1の送信信号が前記第1の漏洩伝送路から放射した第1の電波と前記第1の電波が監視対象の移動物体に反射した第1の反射波とからなる第1の受信信号を、前記第1の漏洩伝送路と略平行に敷設された第2の漏洩伝送路の前記第1の送信信号の入力側で観測し、
前記第1の漏洩伝送路の両端の他方の側から第2の送信信号を入力し、前記第2の送信信号が前記第1の漏洩伝送路から放射した第2の電波と前記第2の電波が前記監視対象の物体に反射した第2の反射波とからなる第2の受信信号を、前記第2の漏洩伝送路の前記第2の送信信号の入力側と同じ側で観測し、
前記第1の受信信号と前記第2の受信信号を用いて前記監視対象の移動物体の2次元位置を検知部で計測することを特徴とする移動物体の監視システム。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか一に記載の移動物体の監視システムにおいて、前記第1の送信信号と前記第2の送信信号とを交互に時分割で出力し、時分割で前記第1の受信信号と前記第2の受信信号とを観測することを特徴とする移動物体の監視システム。
【請求項6】
両端の一方の側に増幅終端手段を接続した第1の漏洩伝送路の他方の側から第1の送信信号を入力し、
前記第1の送信信号が前記第1の漏洩伝送路から放射した第1の電波と、前記第1の電波が監視対象の移動物体に反射した第1の反射波とからなる第1の受信信号を、前記第1の漏洩伝送路と略平行に敷設され両端の一方の側に増幅終端手段が接続された第2の漏洩伝送路の前記第1の送信信号の入力側と同じ側で観測し、
第1の受信信号を伝搬遅延時間に基づいて2つの時間領域に分割し、前記2つの時間領域の信号を用いて前記監視対象の移動物体の2次元位置を検知部で計測することを特徴とする移動物体の監視システム。
【請求項7】
請求項6に記載の移動物体の監視システムにおいて、増幅終端手段の代わりに短絡終端を接続することを特徴とする移動物体の監視システム。
【請求項8】
請求項1〜7の何れか一に記載の移動物体の監視システムにおいて、前記移動物体の前記2次元位置に対応した補正値に基づいて、前記受信信号を解析し前記移動物体の散乱レベルを計測することを特徴とする移動物体の監視システム。
【請求項9】
請求項1〜8の何れか一に記載の移動物体の監視システムにおいて、2次元平面上の物体の存在確率を算出することを特徴とする移動物体の監視システム。
【請求項10】
請求項9に記載の移動物体の監視システムにおいて、前記移動物体の移動軌跡を残すことを特徴とする移動物体の監視システム。
【請求項11】
請求項1〜8の何れか一に記載の移動物体の監視システムにおいて、予め設定した等時間線に従って前記移動物体の2次元位置を計測することを特徴とする移動物体の監視システム。
【請求項12】
請求項1〜11の何れか一に記載の移動物体の監視システムにおいて、前記第1及び第2の漏洩伝送路の少なくとも一方の近傍に遮蔽板が配置されていることを特徴とする移動物体の監視システム。
【請求項13】
請求項1〜12の何れか一に記載の移動物体の監視システムにおいて、計測した前記移動物体の2次元平面上の位置と前記移動物体の散乱レベルを所定の閾値により警報発令の可否を判定することを特徴とする移動物体の監視システム。
【請求項14】
センサから出力した信号が第1の漏洩同軸ケーブルから放射し当該した信号を第2の漏洩同軸ケーブルで受けて当該第2の漏洩同軸ケーブルの端末で反射して再び前記第2の漏洩同軸ケーブルを通って前記センサに入力する第1の成分と、前記センサから出力した信号が前記第1の漏洩同軸ケーブルの端末で反射して再び前記第1の漏洩同軸ケーブルを通り当該第1の漏洩同軸ケーブルから放射した信号を前記第2の漏洩同軸ケーブルで受けて前記センサに入る第2の成分と、が前記センサへの入力時に合成されてできた合成波のレベルを、前記第1の成分および前記第2の成分のいずれか一方の成分の振幅と位相を調整して前記合成波のレベルを抑圧することを特徴とする移動物体の監視システム。
【請求項15】
センサから出力した信号が第1の漏洩同軸ケーブルから放射し当該した信号を第2の漏洩同軸ケーブルで受けて当該第2の漏洩同軸ケーブルの端末で反射して再び前記第2の漏洩同軸ケーブルを通って前記センサに入力する第1の成分と、前記センサから出力した信号が前記第1の漏洩同軸ケーブルの端末で反射して再び前記第1の漏洩同軸ケーブルを通り当該第1の漏洩同軸ケーブルから放射した信号を前記第2の漏洩同軸ケーブルで受けて前記センサに入る第2の成分と、が前記センサへの入力時に合成されてできた合成波のレベルを、前記センサから入力された信号の振幅と位相を調整して前記センサに出力した抑圧信号で抑圧することを特徴とする移動物体の監視システム。
【請求項16】
互いに略平行に設置された第1の漏洩同軸ケーブルと第2の漏洩同軸ケーブルとを備えた移動物体の監視システムであって、前記第1の漏洩同軸ケーブルおよび前記第2の漏洩同軸ケーブルの一方に接続され前記第1の漏洩同軸ケーブルから放射して前記第2の漏洩同軸ケーブルで受信した信号から物体の位置を計測するセンサと、前記第1の漏洩同軸ケーブルの他方に接続され入力された信号を増幅して前記第1の漏洩同軸ケーブルに返す増幅反射手段と、前記第2の漏洩同軸ケーブルの他方に接続され入力された信号の振幅と位相を変化させて前記第2の漏洩同軸ケーブルに返す遠端結合波抑圧手段とを備え、前記増幅反射手段から出力された信号と前記遠端結合波抑圧手段から出力された信号とが前記第2の漏洩同軸ケーブルから出力され合成されるときに位相干渉させ合成波レベルを抑圧することを特徴とする移動物体の監視システム。
【請求項17】
互いに略平行に設置された第1の漏洩同軸ケーブルと第2の漏洩同軸ケーブルとを備えた移動物体の監視システムであって、前記第1の漏洩同軸ケーブルおよび前記第2の漏洩同軸ケーブルの一方に接続され前記第1の漏洩同軸ケーブルから放射して前記第2の漏洩同軸ケーブルで受信した信号から物体の位置を計測するセンサと、前記第1の漏洩同軸ケーブルの他方に接続され入力された信号を前記第1の漏洩同軸ケーブルに返す反射手段と、前記第2の漏洩同軸ケーブルの他方に接続され入力された信号の振幅と位相を変化さえて前記第2の漏洩同軸ケーブルに返す遠端結合波抑圧手段とを備え、前記反射手段から出力された信号と前記遠端結合波抑圧手段から出力された信号とが前記第2の漏洩同軸ケーブルから出力され合成されるときに位相干渉させ合成波レベルを抑圧することを特徴とする移動物体の監視システム。
【請求項18】
互いに略平行に設置された第1の漏洩同軸ケーブルと第2の漏洩同軸ケーブルとを備えた移動物体の監視システムであって、前記第1の漏洩同軸ケーブルおよび前記第2の漏洩同軸ケーブルの一方に接続され前記第1の漏洩同軸ケーブルから放射して前記第2の漏洩同軸ケーブルで受信した信号から物体の位置を計測するセンサと、前記第1の漏洩同軸ケーブルの他方に接続され入力された信号の振幅と位相を変化させて前記第1の漏洩同軸ケーブルに返す遠端結合波抑圧手段と、前記第2の漏洩同軸ケーブルの他方に接続され入力された信号を増幅して前記第2の漏洩同軸ケーブルに返す増幅反射手段とを備え、前記増幅反射手段から出力された信号と前記遠端結合波抑圧手段から出力された信号とが前記第2の漏洩同軸ケーブルから出力され合成されるときに位相干渉させ合成波レベルを抑圧することを特徴とする移動物体の監視システム。
【請求項19】
互いに略平行に設置された第1の漏洩同軸ケーブルと第2の漏洩同軸ケーブルとを備えた移動物体の監視システムであって、前記第1の漏洩同軸ケーブルおよび前記第2の漏洩同軸ケーブルの一方に接続され前記第1の漏洩同軸ケーブルから放射して前記第2の漏洩同軸ケーブルで受信した信号から物体の位置を計測するセンサと、前記第1の漏洩同軸ケーブルの他方に接続され入力された信号の振幅と位相を変化させて前記第1の漏洩同軸ケーブルに返す遠端結合波抑圧手段と、前記第2の漏洩同軸ケーブルの他方に接続され入力された信号を前記第2の漏洩同軸ケーブルに返す反射手段とを備え、前記反射手段から出力された信号と前記遠端結合波抑圧手段から出力された信号とが前記第2の漏洩同軸ケーブルから出力され合成されるときに位相干渉させ合成波レベルを抑圧することを特徴とする移動物体の監視システム。
【請求項20】
互いに略平行に設置された第1の漏洩同軸ケーブルと第2の漏洩同軸ケーブルとを備えた移動物体の監視システムであって、前記第1の漏洩同軸ケーブルおよび前記第2の漏洩同軸ケーブルの一方に接続され前記第1の漏洩同軸ケーブルから放射して前記第2の漏洩同軸ケーブルで受信した信号から物体の位置を計測するセンサと、前記第1の漏洩同軸ケーブルの他方に接続され入力された信号の振幅と位相を変化させて前記第1の漏洩同軸ケーブルに返す第1の遠端結合波抑圧手段と、前記第2の漏洩同軸ケーブルの他方に接続され入力された信号の振幅と位相を変化さえて前記第2の漏洩同軸ケーブルに返す第2の遠端結合波抑圧手段とを備え、前記第1の遠端結合波抑圧器から出力された信号と前記第2の遠端結合波抑圧器から出力された信号とが前記第2の漏洩同軸ケーブルから出力され合成されるときに位相干渉させ合成波レベルを抑圧することを特徴とする移動物体の監視システム。
【請求項21】
互いに略平行に設置された第1の漏洩同軸ケーブルと第2の漏洩同軸ケーブルとを備えた移動物体の監視システムであって、前記第1の漏洩同軸ケーブルおよび前記第2の漏洩同軸ケーブルの一方に接続され前記第1の漏洩同軸ケーブルから放射して前記第2の漏洩同軸ケーブルで受信した信号から物体の位置を計測するセンサと、前記第1の漏洩同軸ケーブルの他方に接続され入力された信号を増幅して前記第1の漏洩同軸ケーブルへ返す第1の増幅反射手段と、前記第2の漏洩同軸ケーブルの他方に接続され入力された信号を増幅して前記第2の漏洩同軸ケーブルへ返す第2の増幅反射手段と、前記センサから入力された信号を減衰し位相を回転させて前記センサへ出力する遠端結合波抑圧手段とを備え、前記遠端結合波抑圧手段から出力された信号と前記第1の増幅反射手段から出力された信号と前記第2の増幅反射手段から出力された信号とが、前記センサに入力される時に合成され、位相干渉によりその合成波のレベルを抑圧することを特徴とする移動物体の監視システム。
【請求項22】
互いに略平行に設置された第1の漏洩同軸ケーブルと第2の漏洩同軸ケーブルとを備えた移動物体の監視システムであって、前記第1の漏洩同軸ケーブルおよび前記第2の漏洩同軸ケーブルの一方に接続され前記第1の漏洩同軸ケーブルから放射して前記第2の漏洩同軸ケーブルで受信した信号から物体の位置を計測するセンサと、前記第1の漏洩同軸ケーブルの他方に接続され入力された信号を前記第1の漏洩同軸ケーブルへ返す第1の反射手段と、前記第2の漏洩同軸ケーブルの他方に接続され入力された信号を前記第2の漏洩同軸ケーブルへ返す第2の反射手段と、前記センサから入力された信号を減衰し位相を回転させて前記センサへ出力する遠端結合波抑圧手段とを備え、前記遠端結合波抑圧手段から出力された信号と前記第1の反射手段から出力された信号と前記第2の反射手段から出力された信号とが、センサに入力される時に合成され、位相干渉によりその合成波のレベルを抑圧することを特徴とする移動物体の監視システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13A】
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【図13B】
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【図13C】
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【図13D】
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【図13E】
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【図13F】
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【図13G】
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【図13H】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図18】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23A】
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【図23B】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27A】
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【図27B】
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【図27C】
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【図28】
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【図29A】
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【図29B】
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【図29C】
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【図29D】
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【図30】
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【図31】
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【図32A】
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【図32B】
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【図32C】
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【図33】
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【図34A】
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【図34B】
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【図34C】
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【図34D】
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【図17】
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【図19】
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【公開番号】特開2011−158461(P2011−158461A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−192084(P2010−192084)
【出願日】平成22年8月30日(2010.8.30)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成22年3月2日 社団法人 電子情報通信学会発行の「電子情報通信学会2010総合大会講演論文集(DVD)」に発表
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】