説明

移動端末及び連続移動検知方法

【課題】特別なハードウェア機器を要することなく連続歩行検知に必要な消費電力を低減できる移動端末及び連続移動検知方法を提供することを課題とする。
【解決手段】第1の間隔を計測する第1の定期タイマ手段24と、第2の間隔を計測する第2の定期タイマ手段25と、第1の間隔で加速度センサから第1の時間の加速度データを取得し、第1の時間の加速度データから運動加速度を検知する運動加速度検知手段31と、第1の時間の加速度データから運動加速度が検知されると、加速度センサから第1の時間より長い第2の時間の加速度データを取得し、第2の時間の加速度データから歩行状態/非歩行状態の判定を行う歩行状態検知手段32と、第2の間隔において、所定回数以上の歩行状態が検知されると、連続歩行があったと判定する連続歩行判定手段33とを有する移動端末により上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は移動端末及び連続移動検知方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話機には標準的な通話機能の他、GPS(Global Positioning System)機能など、多数の機能が搭載されている。GPS機能を搭載した携帯電話機には、GPS機能を利用して定期的かつ自動的に、位置情報の測位と位置情報のサービス提供者等への通知とを行う機能(以下、オートGPS機能という)を有するものが知られている。なお、一般的にGPS機能は消費電力が高い。そのため、オートGPS機能を有する携帯電話機では消費電力を抑える必要があった。
【0003】
全地球測位システムを用いて現在地の位置情報を取得する位置取得部と、携帯端末装置の移動を検知する移動センサと、位置情報の履歴を保存する保存部と、移動センサで移動が検知される場合にのみ、位置取得部に位置情報を取得させて新たに取得された位置情報を保存部に追記する記録部とを備えたことで、バッテリの不要な消費電力を削減する携帯端末装置は知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−288233号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
オートGPS機能を有する携帯電話機は、省電力化の取り組みとして、例えば加速度センサを利用した連続歩行検知や基地局エリア情報を利用したセクタ切替り検知による移動静止判定を行い、移動中と判定されたときに、所定間隔で位置情報の測位とサービス提供者等への通知とを行う。なお、連続歩行検知による移動静止判定を行う携帯電話機は連続歩行検知に利用する加速度センサを常時作動状態にしておく必要がある。つまり、連続歩行検知による移動静止判定を行う携帯電話機はCPUを常時、アクティブ状態にしておく必要があった。
【0006】
そこで、連続歩行検知による移動静止判定を行う携帯電話機には、例えばメインとなるCPU(ホストCPU)とは別に加速度センサ用のサブCPUを搭載することで、ホストCPUをできるだけアクティブ状態にせず、省電力化を図るものがあった。しかし、加速度センサ用のサブCPUを搭載して省電力化を図る携帯電話機は、加速度センサ用のサブCPU等の特別なハードウェア機器を搭載するというハードウェア要件を満足しなければならなかった。
【0007】
特許文献1の携帯電話機10は歩数計118が携帯電話機10の移動加速度を検出することによってユーザの歩数を計測している。また、CPU101には歩数計118の計測結果に基づいて移動距離を算出する算出部101Aが含まれる。
【0008】
移動距離が所定以上に達すると、CPU101の記録制御部101Bは電源制御部119を介して測位部117を起動し、携帯電話機10の現在位置を示す位置情報を取得したあと、測位部117を停止する。このように、携帯電話機10はユーザが移動していない間、測位部117による位置情報の取得を停止することで電力消費を低減している。
【0009】
しかしながら、特許文献1の携帯電話機10は算出部101A及び記録制御部101Bを含むCPU101が常時アクティブ状態であり、CPU101をできるだけアクティブ状態にしないことで、省電力化を図るものではない。
【0010】
本発明は、上記の点に鑑みなされたもので、特別なハードウェア機器を要することなく連続歩行検知に必要な消費電力を低減できる移動端末及び連続移動検知方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本実施形態の移動端末は、第1の間隔を計測する第1の定期タイマ手段と、第1の間隔より長い第2の間隔を計測する第2の定期タイマ手段と、第1の間隔で加速度センサから第1の時間の加速度データを取得し、第1の時間の加速度データから運動加速度を検知する運動加速度検知手段と、第1の時間の加速度データから運動加速度が検知されると、前記加速度センサから第1の時間より長い第2の時間の加速度データを取得し、第2の時間の加速度データから歩行状態/非歩行状態の判定を行う歩行状態検知手段と、第2の間隔において、所定回数以上の歩行状態が検知されると、連続歩行があったと判定する連続歩行判定手段と、を有することを特徴とする。
【0012】
また、本実施形態は、移動端末によって実行される連続移動検知方法であって、第1の定期タイマ手段が計測した第1の間隔で、加速度センサから第1の時間の加速度データを取得し、第1の時間の加速度データから運動加速度を検知する運動加速度検知ステップと、第1の時間の加速度データから運動加速度が検知されると、前記加速度センサから第1の時間より長い第2の時間の加速度データを取得し、第2の時間の加速度データから歩行状態/非歩行状態の判定を行う歩行状態検知ステップと、第2の定期タイマ手段が計測した第1の間隔より長い第2の間隔において、所定回数以上の歩行状態が検知されると、連続歩行があったと判定する連続歩行判定ステップと、を有することを特徴とする。
【0013】
なお、本発明の構成要素、表現または構成要素の任意の組合せを、方法、装置、システム、コンピュータプログラム、記録媒体、データ構造などに適用したものも本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、特別なハードウェア機器を要することなく連続歩行検知に必要な消費電力を低減できる移動端末及び連続移動検知方法を提供可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】オートGPS機能を搭載した一般的な移動端末の省電力化の取り組みの一例を示す説明図である。
【図2】オートGPS機能を搭載した本実施形態の移動端末の省電力化の取り組みの一例を示す説明図である。
【図3】移動端末の一例のハードウェア構成図である。
【図4】移動端末の一実施形態の処理ブロック図である。
【図5】移動端末の処理手順を表した一例のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明を実施するための実施形態を、図面を参照しつつ説明していく。本実施形態における移動端末はオートGPS機能を有する装置、機器、端末等であって、移動通信端末、携帯情報端末(Personal Digital Assistant :PDA)等であってもよい。移動端末はスマートフォンであってもよい。スマートフォンはアンドロイド(登録商標)などの汎用(オープン)なソフトウェア実行環境(プラットフォーム:PF)に対応している移動端末であってもよい。特にスマートフォンは連続移動検知を行うときに省電力化が大きな課題の一つとなる。
【0017】
移動端末は加速度センサ用のサブCPU等の特別なハードウェア機器を搭載するというハードウェア要件を満足しなくても、下記のようにアプリケーションにて連続移動検知を行うことで省電力化を実現する。
【0018】
また、オートGPS機能とは上記したように、GPS機能や通信事業者の基地局を利用して、ユーザ(移動端末)の位置を定期的かつ自動的に測位し、サービス提供者(コンテンツプロバイダや通信事業者など)へ通知する移動端末の機能である。オートGPS機能を用いることで、移動端末は様々なアプリケーションによりサービスを実現できる。例えばサービスの具体例としては、ユーザの位置情報をもとにピンポイントの天気情報や街のイベント情報などをプッシュ(Push)で配信するサービスや、最寄りの駅の終電情報などをお知らせする行動支援型サービスなどが想定される。
【0019】
(オートGPS機能を搭載した一般的な移動端末の省電力化の取り組み)
図1はオートGPS機能を搭載した一般的な移動端末の省電力化の取り組みの一例を示す説明図である。図1は加速度センサを利用した連続歩行検知により移動静止判定を行うときの省電力化の取り組みを表している。図1に示す移動端末はホストCPUの他、加速度センサ用のサブCPUを搭載する。
【0020】
図1(C)はサブCPUの状態を示している。図1(C)に示すように、サブCPUはバックグラウンドで常時、作動状態である。サブCPUは加速度センサが検出した加速度により歩数をカウントする。
【0021】
図1(B)はホストCPUの状態を示している。図1(B)に示すように、ホストCPUは例えば5分間の定期タイマの間隔で所定時間(例えば1秒間)だけ、スリープ状態からアクティブ状態に変化する。なお、定期タイマの間隔の5分間は一例であって、オートGPS機能における位置情報の測位と位置情報のサービス提供者等への通知とを行う時間であればよい。
【0022】
図1(A)は連続歩行検知部の状態を示している。連続歩行検知部はホストCPUがアクティブ状態であるときに起動される。連続歩行検知は基地局エリア情報を利用したセクタ切替り検知による移動静止判定機能の一部であってもよい。連続歩行検知部はサブCPUによりカウントされた歩数により移動距離を計算し、連続歩行の検知を行う。連続歩行を検知すると、移動静止判定部(図示せず)はGPS機能を利用した位置情報の測位と位置情報のサービス提供者等への通知とを行わせる。
【0023】
図1では歩数のカウントをサブCPUに行わせることで、ホストCPUをできるだけアクティブ状態にしないようにしている。しかし、図1では加速度センサ用のサブCPUという特別なハードウェア機器を搭載するというハードウェア要件を満足しなければ、省電力化を考慮した連続歩行検知が実現できない。
【0024】
(オートGPS機能を搭載した本実施形態の移動端末の省電力化の取り組み)
図2はオートGPS機能を搭載した本実施形態の移動端末の省電力化の取り組みの一例を示す説明図である。図2は加速度センサを利用した連続歩行検知により移動静止判定を行うときの省電力化の取り組みを表している。図2に示す移動端末は加速度センサ用のサブCPUを搭載する必要がなく、アプリケーション処理で省電力化を実現する。
【0025】
図2(B)はホストCPUの状態を示している。図2(B)に示すように、ホストCPUは、例えば1分間の運動加速度検知の定期タイマ(第1の定期タイマ)の間隔で所定時間(例えば0〜5秒間)だけ、スリープ状態からアクティブ状態に変化する。なお、運動加速度検知の定期タイマの間隔の1分間は一例である。アクティブ状態に変化したホストCPUは加速度センサが検出した加速度の生データ(加速度データ)の取得、下記の運動加速度検知、歩行状態検知、連続歩行判定を行う。
【0026】
運動加速度検知とは、1分間の運動加速度検知の定期タイマの間隔で所定時間(例えば1秒間)の加速度データから運動加速度の検知を行い、運動加速度を検知しない完全静止か、運動加速度を検知する何らかの動作中かの判定を行う処理である。
【0027】
歩行状態検知とは、運動加速度検知により運動加速度が検知された場合に継続して実施される処理である。歩行状態検知では、所定時間(例えば5秒間)の加速度データから歩行状態/非歩行状態の判定を行う。
【0028】
連続歩行判定とは、例えば5分間の移動静止判定の定期タイマ(第2の定期タイマ)の間隔において、2回以上の歩行状態が歩行状態検知により検知された場合に、連続歩行があったと判定する処理である。なお、移動静止判定の定期タイマの間隔の5分間は一例であって、オートGPS機能における位置情報の測位と位置情報のサービス提供者等への通知とを行う時間であればよい。
【0029】
図2(B)中、タイミングt1〜t3は例えばホストCPUが1秒間起動し、加速度の生データから運動加速度の検知を行ったが、運動加速度を検知しない完全静止と判定された例である。運動加速度が検知されなかった為、タイミングt1〜t3では歩行状態検知が継続して実施されない。
【0030】
タイミングt4〜t8は例えばホストCPUが1秒間起動し、加速度の生データから運動加速度が検知され、何らかの動作中と判定された例である。タイミングt4〜t8では運動加速度が検知された為、歩行状態検知が継続して実施される。タイミングt4〜t8では例えばホストCPUが5秒間起動し、加速度の生データから歩数変換を行い、非歩行状態と判定された例である。
【0031】
タイミングt9は例えばホストCPUが1秒間起動し、加速度の生データから運動加速度が検知され、何らかの動作中と判定された例である。タイミングt9では運動加速度が検知された為、歩行状態検知が継続して実施される。タイミングt9では例えばホストCPUが5秒間起動し、加速度の生データから歩数変換を行い、歩行状態と判定された例である。
【0032】
タイミングt10〜t11はタイミングt1〜t3と同様、例えばホストCPUが1秒間起動し、加速度の生データから運動加速度の検知を行ったが、運動加速度を検知しない完全静止と判定され、歩行状態検知が継続して実施されなかった例である。
【0033】
タイミングt12〜t13はタイミングt4〜t8と同様、例えばホストCPUが1秒間起動し、加速度の生データから運動加速度が検知され、何らかの動作中と判定された例である。タイミングt12〜t13では運動加速度が検知された為、歩行状態検知が継続して実施され、ホストCPUが5秒間起動し、非歩行状態と判定された例である。
【0034】
タイミングt14はタイミングt10〜t11と同様、例えばホストCPUが1秒間起動し、加速度の生データから運動加速度の検知を行ったが、運動加速度を検知しない完全静止と判定され、歩行状態検知が継続して実施されなかった例である。
【0035】
また、タイミングt15〜t16はタイミングt9と同様、例えばホストCPUが1秒間起動し、加速度の生データから運動加速度が検知され、何らかの動作中と判定された例である。タイミングt15〜t16では運動加速度が検知された為、歩行状態検知が継続して実施され、ホストCPUが5秒間起動し、歩行状態と判定された例である。例えば5分間の移動静止判定の定期タイマの間隔において、2回以上の歩行状態がタイミングt15〜t16で検知された為、連続歩行判定では連続歩行があったと判定する。
【0036】
なお、タイミングt17〜t18は例えば5分間の移動静止判定の定期タイマの間隔において、既に連続歩行があったと判定されている為、ホストCPUが起動されない。タイミングt19〜t20はタイミングt15〜t16と同様、例えばホストCPUが1秒間起動し、加速度の生データから運動加速度が検知され、何らかの動作中と判定された例である。タイミングt19〜t20では運動加速度が検知された為、歩行状態検知が継続して実施され、ホストCPUが5秒間起動し、歩行状態と判定された例である。
【0037】
図2(A)は連続歩行検知部の状態を示している。連続歩行検知部は例えば5分間の移動静止判定の定期タイマのタイミングで起動される。連続歩行検知は基地局エリア情報を利用したセクタ切替り検知による移動静止判定機能の一部であってもよい。連続歩行判定により連続歩行があったと判定された場合、移動静止判定部(図示せず)はGPS機能を利用して位置情報の測位と位置情報のサービス提供者等への通知とを行わせる。
【0038】
図2では連続歩行検知の処理を、運動加速度検知、歩行状態検知、連続歩行判定の処理に分けている。連続歩行検知の処理は、運動加速度検知、歩行状態検知、連続歩行判定の順番で処理される。なお、運動加速度検知に掛かる時間(例えば1秒間)は、歩行状態検知に掛かる時間(例えば5秒間)より短い。図2では運動加速度検知により運動加速度が検知された場合に継続して歩行状態検知を実施することで、ホストCPUがアクティブ状態の時間を短縮している。
【0039】
また、図2では移動静止判定の定期タイマ(例えば5分間)より短い間隔(例えば1分間)の運動加速度検知の定期タイマを利用し、運動加速度検知を運動加速度検知の定期タイマの間隔で行うことで、加速度センサ用のサブCPUという特別なハードウェア機器を搭載するというハードウェア要件を満足しなくても、省電力化を考慮した連続歩行検知が実現できる。
【0040】
さらに、図2では移動静止判定の定期タイマの間隔において、2回以上の歩行状態が歩行状態検知により検知された場合に、2回以上の歩行状態が歩行状態検知により検知された移動静止判定の定期タイマの間隔の以降の運動加速度検知を実施しないことで、ホストCPUがアクティブ状態の時間を更に短縮している。
【0041】
(移動端末のハードウェア構成)
図3は移動端末の一例のハードウェア構成図である。図3の移動端末10は一例として移動通信端末のハードウェア構成を示している。
【0042】
図3の移動端末10は、CPU(Central Processing Unit)11と、RAM(Random Access Memory)12と、ROM(Read Only Memory)13と、通信部14と、表示部15と、操作部16と、音声入出力部17と、GPS受信部18と、加速度センサ19とを有する。移動端末10は、EEPROM(Electronically Erasable and Programmable ROM)を有していてもよい。
【0043】
CPU11はRAM12をワークエリアとして用いてROM13に記憶されているプログラムを実行し、移動端末10の各部の動作を制御する。RAM12はCPU11が実行するプログラムに割り当てられるメモリである。ROM13はCPU11が実行するプログラム等を記憶する。
【0044】
通信部14は外部の基地局等との間で通信を行う。通信部14は音声通信やデータ通信等を行う。表示部15はCPU11の制御下で文字や画像等を表示する。表示部15は例えばCPU11の制御下で液晶駆動回路が液晶駆動を行うことにより液晶ディスプレイに文字や画像等を表示する。
【0045】
操作部16はユーザからの操作を受け付ける。操作部16はボタン、タッチパネル等である。ユーザは操作部16から操作内容を入力できる。操作部16はユーザから受け付けた操作内容をCPU11に通知する。音声入出力部17は受話音声を収音するマイク、送話音声を放音するスピーカ等を有する。GPS受信部18はGPSシステムを利用して移動端末10の現在位置を示す位置情報の測位を行う。加速度センサ19は移動端末10の加速度データを検出する。
【0046】
ROM13に記憶されている連続移動検知プログラムは移動端末10を制御するプログラムの少なくとも一部である。連続移動検知プログラムは記録媒体の配布やネットワーク等からのダウンロードなどによって提供される。
【0047】
記録媒体はCD−ROM、フレキシブルディスク、光磁気ディスク等の様に情報を光学的,電気的或いは磁気的に記録する記録媒体、ROM、フラッシュメモリ等の様に情報を電気的に記録する半導体メモリ等、様々なタイプの記録媒体を用いることができる。
【0048】
CPU11はROM13に記憶されている連続移動検知プログラムをRAM13に割り当て、連続移動検知プログラムを実行することにより、下記の各種処理を実現する。
【0049】
(移動端末の機能構成)
移動端末10は例えば図4に示す処理ブロックを実現する。図4は移動端末の一実施形態の処理ブロック図である。図4の移動端末10は連続移動検知プログラムを含むプログラムを実行することで、連続歩行検知部21、移動静止判定部22、オートGPS機能部23、運動加速度検知の定期タイマ(第1の定期タイマ)24、移動静止判定の定期タイマ(第2の定期タイマ)25を例えばモジュールとして実現する。連続歩行検知部21は運動加速度検知部31、歩行状態検知部32、連続歩行判定部33を有する。なお、図4の処理ブロックは本実施形態の説明に不要な部分を適宜省略している。
【0050】
運動加速度検知部31は上記の運動加速度検知の処理を行う。例えば運動加速度検知部31は、1分間の運動加速度検知の定期タイマ24の間隔で所定時間(例えば1秒間)の加速度データから運動加速度の検知を行い、運動加速度を検知しない完全静止か、運動加速度を検知する何らかの動作中かの判定を行う。
【0051】
歩行状態検知部32は上記の歩行状態検知の処理を行う。例えば歩行状態検知部32は運動加速度検知により運動加速度が検知された場合に継続して実施される。歩行状態検知部32は、所定時間(例えば5秒間)の加速度データから歩行状態/非歩行状態の判定を行う。
【0052】
連続歩行判定部33は上記の連続歩行判定の処理を行う。例えば連続歩行判定部33は5分間の移動静止判定の定期タイマ25の間隔において、2回以上の歩行状態が歩行状態検知部32により検知された場合に、連続歩行があったと判定する。
【0053】
移動静止判定部22は加速度センサ19を利用した連続歩行検知や基地局エリア情報を利用したセクタ切替り検知による移動静止判定を行う。例えば移動静止判定部22は連続歩行判定部33により連続歩行があったと判定された場合、オートGPS機能部23に位置情報の測位と位置情報のサービス提供者等への通知とを行わせる。
【0054】
オートGPS機能部23はGPS受信部18を利用して移動端末10の現在位置を示す位置情報の測位を行い、測位した移動端末10の位置情報を通信部14からサービス提供者等へ通知する。
【0055】
運動加速度検知の定期タイマ24は、移動静止判定の定期タイマ(例えば5分間)25より短い間隔(例えば1分間)のタイマである。移動静止判定の定期タイマ25はオートGPS機能における位置情報の測位とサービス提供者等への通知とを行う間隔のタイマである。
【0056】
(移動端末の処理手順)
移動端末10は例えば図5に示す手順で処理を行う。図5は移動端末の処理手順を表した一例のフローチャートである。なお、図5のフローチャートは本実施形態の説明に不要な部分を適宜省略している。
【0057】
ステップS1において、移動静止判定の定期タイマ25は作動を開始し、連続歩行検知開始から例えば5分間の間隔で起動する。ステップS2において、運動加速度検知の定期タイマ24は作動を開始し、連続歩行検知開始から例えば1分間の間隔で起動する。
【0058】
ステップS3において、運動加速度検知部31は1分間の運動加速度検知の定期タイマ24の間隔で例えば最大5秒間の加速度データの取得を開始する。運動加速度検知部31はステップS4において、例えば1秒間の加速度データから運動加速度を検知したか否かを判定する。
【0059】
例えば1秒間の加速度データから運動加速度を検知しなければ、運動加速度検知部31はステップS9において加速度データの取得を停止する。そして、ステップS10において移動静止判定の定期タイマ25は例えば5分間を満了したか否かを判定する。例えば5分間を満了していなければ、運動加速度検知の定期タイマ24はステップS2に戻る。
【0060】
例えば1秒間の加速度データから運動加速度を検知すると、ステップS5において、歩行状態検知部32は例えば5秒間の加速度データから歩行状態か否か(歩行状態か非歩行状態か)の判定を上記のように行う。
【0061】
例えば5秒間の加速度データから歩行状態でないと判定すると、運動加速度検知部31はステップS9において加速度データの取得を停止する。そして、ステップS10において移動静止判定の定期タイマ25は例えば5分間を満了したか否かを判定する。例えば5分間を満了していなければ、運動加速度検知の定期タイマ24はステップS2に戻る。
【0062】
例えば5秒間の加速度データから歩行状態と判定すると、ステップS6において歩行状態検知部32は歩行フラグに1を加算する。ステップS7において、連続歩行判定部33は歩行フラグが2以上であるか否かを判定する。歩行フラグは、2回以上の歩行状態が歩行状態検知部32により検知された場合に、2以上となる。
【0063】
歩行フラグが2以上でないと判定すると、運動加速度検知部31はステップS9において加速度データの取得を停止する。そして、ステップS10において移動静止判定の定期タイマ25は例えば5分間を満了したか否かを判定する。例えば5分間を満了していなければ、運動加速度検知の定期タイマ24はステップS2に戻る。
【0064】
歩行フラグが2以上であると判定すると、ステップS8において、運動加速度検知部31は次の連続歩行判定(移動静止判定の定期タイマ25の満了)までスリープ状態となり加速度データの取得を停止する。ステップS8の処理は図2のタイミングt17〜t18の処理に相当する。
【0065】
移動静止判定の定期タイマ25が満了すると、ステップS8又はステップS10に続いてステップS11に進み、連続歩行判定部33は連続歩行判定の処理を行う。例えば連続歩行判定部33は歩行フラグが2以上であるとき連続歩行があったと判定し、歩行フラグが2未満であるとき連続歩行が無かったと判定する。ステップS12において、連続歩行判定部33は歩行フラグをリセットし、ステップS1に戻る。
【0066】
図2のタイミングt1〜t3、t10〜t11、t14ではステップS1〜S4、S9及びS10の順番に処理が行われる。図2のタイミングt4〜t8、t12〜t13ではステップS1〜S5、S9及びS10の順番に処理が行われる。また、図2のタイミングt9では、ステップS1〜S7、S9及びS10の順番に処理が行われる。図2のタイミングt15〜t16、t19〜t20では、ステップS1〜S8、S11及びS12の順番に処理が行われる。
【0067】
(移動端末の変形例)
上記した移動端末10では歩行状態検知に特化した記載を行っているが、歩行状態検知に限定するものではない。例えば加速度データから乗り物種別(移動手段)を判定する技術も出現している。本実施形態の移動端末10は連続歩行だけでなく乗り物移動も含めた連続移動検知にも適用可能である。
【0068】
(まとめ)
本実施形態によれば、加速度センサ用のサブCPU等の特別なハードウェア機器を搭載するというハードウェア要件やネイティブソフトウェアの改造等を要することなく、汎用的な加速度センサとアプリケーション処理とで連続歩行検知が可能となる。ネイティブソフトウェアとは、移動端末10のCPU11、プラットフォーム、API向けに特化したソフトウェアである。一般的に、ネイティブソフトウェアの改造は移動端末10のメーカや通信事業者が関わる形でなければ行えない。
【0069】
また、本実施形態によれば、アンドロイド(登録商標)プラットフォームを始めとするオープンなプラットフォームに対応している移動端末(スマートフォン)においても、アプリケーションをアドオンするだけで、省電力化を考慮した連続歩行検知(移動静止判定機能)を実現でき、電池持ちやサービス性を確保したオートGPS機能を提供できる。
【0070】
ここでは省電力化の効果例を示す。仮定した試算条件は、
1)歩行時は30ms程度の間隔で加速度センサ19から加速度データを取得する。
【0071】
2)1日(24時間)のうち、移動端末10を持つユーザが移動(歩行)する時間を8時間、活動しない時間を16時間とする。
【0072】
3)GPS測位や通知、他機能の消費電力は未考慮(連続歩行検知による移動静止判定部分の省電力化の試算)とする。
である。待ち受け状態の電池持ち時間を100%とする。例えばホストCPUが常時、アクティブ状態となる移動端末の電池持ち時間は約84%の劣化となった。一方で、本実施形態の移動端末10の電池持ち時間は約16%の劣化となり、連続歩行検知に必要な消費電力を効果的に低減できた。
【0073】
本発明は、具体的に開示された実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。
【符号の説明】
【0074】
10 移動端末
11 CPU(Central Processing Unit)
12 RAM(Random Access Memory)
13 ROM(Read Only Memory)
14 通信部
15 表示部
16 操作部
17 音声入出力部
18 GPS受信部
19 加速度センサ
21 連続歩行検知部
22 移動静止判定部
23 オートGPS機能部
24 運動加速度検知の定期タイマ(第1の定期タイマ)
25 移動静止判定の定期タイマ(第2の定期タイマ)
31 運動加速度検知部
32 歩行状態検知部
33 連続歩行判定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の間隔を計測する第1の定期タイマ手段と、
第1の間隔より長い第2の間隔を計測する第2の定期タイマ手段と、
第1の間隔で加速度センサから第1の時間の加速度データを取得し、第1の時間の加速度データから運動加速度を検知する運動加速度検知手段と、
第1の時間の加速度データから運動加速度が検知されると、前記加速度センサから第1の時間より長い第2の時間の加速度データを取得し、第2の時間の加速度データから歩行状態/非歩行状態の判定を行う歩行状態検知手段と、
第2の間隔において、所定回数以上の歩行状態が検知されると、連続歩行があったと判定する連続歩行判定手段と、
を有することを特徴とする移動端末。
【請求項2】
前記運動加速度検知手段は、第1の時間の加速度データから運動加速度が検知されなければ、第1の間隔が満了するまで、前記加速度センサからの加速度データの取得を停止すること
を特徴とする請求項1記載の移動端末。
【請求項3】
前記歩行状態検知手段は、第2の時間の加速度データを取得したあと、第1の間隔が満了するまで、前記加速度センサからの加速度データの取得を停止すること
を特徴とする請求項1又は2記載の移動端末。
【請求項4】
前記運動加速度検知手段は、第2の間隔において、所定回数以上の歩行状態が検知されたあと、第2の間隔の満了まで、前記加速度センサからの加速度データの取得を停止すること
を特徴とする請求項1乃至3何れか一項記載の移動端末。
【請求項5】
移動端末によって実行される連続移動検知方法であって、
第1の定期タイマ手段が計測した第1の間隔で、加速度センサから第1の時間の加速度データを取得し、第1の時間の加速度データから運動加速度を検知する運動加速度検知ステップと、
第1の時間の加速度データから運動加速度が検知されると、前記加速度センサから第1の時間より長い第2の時間の加速度データを取得し、第2の時間の加速度データから歩行状態/非歩行状態の判定を行う歩行状態検知ステップと、
第2の定期タイマ手段が計測した第1の間隔より長い第2の間隔において、所定回数以上の歩行状態が検知されると、連続歩行があったと判定する連続歩行判定ステップと、
を有することを特徴とする連続移動検知方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−19761(P2013−19761A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−153292(P2011−153292)
【出願日】平成23年7月11日(2011.7.11)
【特許番号】特許第5103546号(P5103546)
【特許公報発行日】平成24年12月19日(2012.12.19)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】