説明

移動経路探索装置、その方法、そのプログラム、そのプログラムを記録した記録媒体、および、案内誘導装置

【課題】目的地点周辺への移動経路の探索が容易なナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】要求に基づいて目的地周辺の地図を端末表示手段で画面表示させる。表示領域中心の地点における住所と表示縮尺とを認識し、対照データに基づいて目的地周辺となる行政界領域を認識する。現在位置から行政界と道路との交点までの最短距離の移動経路を探索する。行政界の近傍まで移動すると、リルート探索の実施の有無の設定入力を促す案内をする。利用者の目的地の曖昧な度合いに応じた広さで移動先の目的地周辺を設定でき、曖昧な目的地への移動経路の探索が容易にできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、出発地点から目的地点周辺までの車両の移動経路を地図情報に基づいて探索する移動経路探索装置、その方法、そのプログラム、そのプログラムを記録した記録媒体、および、案内誘導装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の移動経路を探索して車両の移動を案内誘導する案内誘導装置として、例えば目的地までの移動経路を探索し、案内誘導する車載用のナビゲーション装置が知られている。そして、移動経路を探索するナビゲーション装置として、例えば、目的地を地点ではなく所定の領域として設定して移動経路を探索できる構成が知られている(例えば、特許文献1ないし特許文献4参照)。
特許文献1に記載のものは、箱根や御殿場などのエリア毎にそのエリア内の重要な交差点や鉄道の駅前などの複数の地点の位置座標をそれぞれ格納したエリアデータを構築しておく。そして、経路探索の際、目的地が箱根というエリア名で設定された場合、エリアデータから該当するエリアに含まれる複数の地点の位置座標を抽出し、これらを目的地の位置座標として設定する。この後、出発地である車両の現在地から複数の地点の経路探索をそれぞれ実施し、出発地に最も近い地点を目的地として経路探索した演算結果を表示モニタに表示させ、案内誘導する構成が採られている。
特許文献2に記載のものは、経路探索の際に回避したい領域の設定として、2次元に広がるエリアを回避領域として指定可能としている。そして、回避領域の設定としては、エリア指定により日本の諸地方が表示され、さらに例えば「関東」などが選択されると都道府県によって区分された1都6県が表示され、さらに「東京」が選択されるとさらに23区と23区外の市に区分され、さらに詳細に区分した町名が表示され、その町名がエリアとして指定される構成が採られている。
特許文献3に記載のものは、地図上でユーザーが自由な形状の領域を指定し、この指定した領域を通過するように経路計算する構成が採られている。
特許文献4に記載のものは、住居者以外通行禁止規制が存在する地域を、座標値で表される複数の点を結ぶ多角形形状ポリゴンデータとして地図データベースに格納し、ポリゴンデータの属性として住居者以外規制IDを付加し、各交差点ノードについては、住居者以外規制有無フラグおよび住居者以外規制IDを付加する。そして、住居者以外通行禁止規制が存在する住宅地エリア内の地点を目的地あるいは経由地として設定した場合を除いて、エリア内には進入しない誘導経路を設定する構成が採られている。
【0003】
【特許文献1】特開2004−219243号公報
【特許文献2】特開2002−243475号公報
【特許文献3】特開2004−184168号公報
【特許文献4】特開2005−69783号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、利用者が移動先となる目的地点を正確に認識していない場合や方面は認識しているものの目的地点を含むエリアを認識できない場合などでは、仮の地点や仮のエリアを目的地点として設定して移動経路を探索する必要がある。この仮の目的地点の設定の場合には、表示装置に画面表示させた地図上に設定したり、キーワードによる検索にて仮のランドマークを設定したりして仮の目的地点を設定入力することとなる。
しかしながら、目的地点を正確に認識していない場合や目的地点を含むエリアを認識できない場合に利用者が移動経路を探索する場合は、目的地点に向かうおおよその移動経路を曖昧でも探索できればよく、そのために画面表示させる地図の領域を目的地周辺にスクロールしたり、キーワードや目的地点を検索するための入力操作を実施したりするなどが煩わしい。特に、遠方の不知の目的地点へ移動するための移動経路を探索する際には、目的地周辺の地図の表示や目的地周辺のランドマークや交差点などの地物の入力操作などは煩雑である問題が一例として挙げられる。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みて、目的地点周辺への移動経路の探索が容易な移動経路探索装置、その方法、そのプログラム、そのプログラムを記録した記録媒体、および、案内誘導装置を提供することを一つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、出発地点から目的地点までの車両の移動を案内誘導するための移動経路を地図情報に基づいて探索する移動経路探索装置であって、行政界に関する行政界情報を有する地図情報を記憶する地図情報記憶手段と、表示装置で地図情報を画面表示させる異なる表示縮尺に対応して前記行政界の領域である行政界領域の異なる広さに関する広さ情報が前記地図情報の表示縮尺の縮尺度合いの大きさに応じた広さで関連付けられたデータテーブル構造の対照データを記憶する対照データ記憶手段と、表示装置で所定の表示縮尺で前記地図情報を画面表示させる要求に関する地図表示要求信号を認識する地図表示要求認識手段と、この地図表示要求手段にて認識した地図表示要求信号に基づいて前記地図情報を取得して要求された表示縮尺で前記表示装置に画面表示させる制御をする表示制御手段と、前記出発地点から前記目的地点周辺までの前記移動経路の探索の要求に関する経路探索要求信号を認識する経路探索要求認識手段と、前記経路探索要求認識手段にて前記経路探索要求信号を認識すると、前記地図情報および前記対照データに基づいて、前記表示装置で画面表示している前記地図情報の表示領域における略中央の地点と、前記画面表示されている前記地図情報の表示縮尺に対応した行政界領域の広さ情報とを認識し、前記地点およびこの地点における広さ情報に対応した広さの行政界領域のうちの少なくともいずれか一方を前記目的地点として前記移動経路を探索する移動経路探索手段と、を具備したことを特徴とした移動経路探索装置である。
【0007】
請求項9に記載の発明は、演算手段により、出発地点から目的地点までの車両の移動を案内誘導するための移動経路を地図情報に基づいて探索する移動経路探索方法であって、行政界に関する行政界情報を有する地図情報を記憶する地図情報記憶手段と、表示装置で地図情報を画面表示させる異なる表示縮尺に対応して前記行政界の領域である行政界領域の異なる広さに関する広さ情報が前記地図情報の表示縮尺の縮尺度合いの大きさに応じた広さで関連付けられたデータテーブル構造の対照データを記憶する対照データ記憶手段と、を用い、前記演算手段は、表示装置で所定の表示縮尺で前記地図情報を画面表示させる要求に関する地図表示要求信号を認識すると、この地図表示要求信号に基づいて前記地図情報記憶手段から前記地図情報を取得して要求された表示縮尺で前記表示装置に画面表示させる制御をする表示制御工程と、前記出発地点から前記目的地周辺までの前記移動経路の探索の要求に関する経路探索要求信号を認識すると、前記地図情報および前記対照データに基づいて、前記表示装置で画面表示している前記地図情報の表示領域における略中央の地点と、前記画面表示されている前記地図情報の表示縮尺に対応した行政界領域の広さ情報とを認識し、前記地点およびこの地点における広さ情報に対応した広さの行政界領域のうちの少なくともいずれか一方を前記目的地点として前記移動経路を探索する移動経路探索工程と、を実施することを特徴とする移動経路探索方法である。
【0008】
請求項10に記載の発明は、演算手段を、請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の移動経路探索装置として機能させることを特徴とした移動経路探索プログラムである。
【0009】
請求項11に記載の発明は、請求項9に記載の移動経路探索方法を演算手段に実行させることを特徴とした移動経路探索プログラムである。
【0010】
請求項12に記載の発明は、請求項10または請求項11に記載の移動経路探索プログラムが演算手段にて読み取り可能に記録されたことを特徴とした移動経路探索プログラムを記録した記録媒体である。
【0011】
請求項13に記載の発明は、請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の移動経路探索装置と、前記車両の移動状態を検出する検出手段と、前記移動経路探索装置にて探索した移動経路および前記検出手段で検出した前記車両の移動状態に基づいて、前記車両の移動状態を報知する報知手段と、を具備したことを特徴とした案内誘導装置である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明に係る一実施の形態を図面に基づいて説明する。本実施の形態では、本発明の移動経路探索装置を備え車両の移動を案内誘導する案内誘導装置であるナビゲーション装置を例示して説明する。なお、本発明における車両としては、乗用車やトラックなどに限らず、例えばオートバイなど、道路を走行するいずれの車両を対象とすることができる。
図1は、本実施の形態におけるナビゲーション装置の概略構成を示すブロック図である。図2は、地図情報を構成する表示用データのテーブル構造を模式的に示す概念図である。図3は、地図情報を構成するマッチングデータのテーブル構造を模式的に示す概念図である。図4は、対照データのテーブル構造を模式的に示す概念図である。図5は、対照データの行政界情報を説明するための階層構造の異なる広さの行政界領域を示す説明図である。図6は、あいまい目的地として行政界領域を設定入力するための目的地設定入力画面を示す概念図である。図7は、あいまい目的地の行政界領域に近づいた際にリルートの要否設定を促すリルート案内表示画面を示す概念図である。
【0013】
〔ナビゲーション装置の構成〕
図1において、100は案内誘導装置としてのナビゲーション装置である。このナビゲーション装置100は、車両である例えば乗用車の移動状況に対応して乗用車の移動に関する案内を報知する装置である。なお、車両としては、乗用車に限らず、トラック、オートバイなど、道路を走行するいずれの車両が対象となる。また、ナビゲーション装置100としては、例えば乗用車に搭載される車載型に限らず、携帯型、PDA(Personal Digital Assistant)、携帯電話、PHS(Personal Handyphone System)、携帯型パーソナルコンピュータなどの各種形態が適用できる。
このナビゲーション装置100は、図1に示すように、センサ部110と、端末通信手段120と、操作手段としての端末操作手段130と、表示装置としての端末表示手段140と、端末発音手段150と、端末記憶手段160と、演算手段である移動経路探索装置としての端末演算手段170と、などを備えている。
【0014】
センサ部110は、移動体である例えば車両の移動の状態、すなわち現在位置や走行状況などを検出して端末演算手段170に所定の検出信号を出力する。このセンサ部110は、例えば図示しないGPS(Global Positioning System)受信部と、図示しない速度センサ、方位角センサおよび加速度センサなどの各種センサ112などにて構成されている。
GPS受信部は、図示しない人工衛星であるGPS衛星から出力される航法電波をGPSアンテナ111にて受信する。そして、GPS受信部は、受信した航法電波に対応した信号に基づいて現在位置の擬似座標値を演算し、GPSデータとして端末演算手段170に出力する。
センサ部110のセンサ112である速度センサは、例えば車両に配設され、車両の移動速度である走行速度に対応して変動する信号に基づいて、車両の走行速度や実際の加速度を検出する。この速度センサは、例えば車軸や車輪の回転により出力されるパルス信号や電圧値などを読み取る。そして、速度センサは、読み取ったパルス信号や電圧値などの検出信号を出力する。センサ112である方位角センサは、車両に配設され、図示しないいわゆるジャイロセンサを有し、車両の方位角すなわち車両が前進する走行方向を検出し、走行方向に関する検出信号を出力する。センサ112である加速度センサは、車両に配設され、車両の走行方向における加速度を検出し、検出した加速度を例えばパルスや電圧などによる検出信号であるセンサ出力値に変換して出力する。なお、センサ112としては、これらの構成に限られるものではなく、速度センサ、方位角センサおよび加速度センサのうちのいずれか1つのみ、あるいは適宜の組み合わせ、さらに他のセンサを用いるなど、車両の移動状態を検出可能ないずれの構成が適用できる。なお、これら各種センサ112は、ナビゲーション装置100に搭載された構成としてもよい。
【0015】
端末通信手段120は、図示しないネットワークを介して入力される信号に対してあらかじめ設定されている入力インターフェース処理を実行し、処理信号として端末演算手段170へ出力する。また、端末通信手段120は、端末演算手段170から図示しないサーバ装置などの送信先に対して送信すべき処理信号が入力されると、入力された処理信号に対してあらかじめ設定されている出力インターフェース処理を実行し、ネットワークを介してサーバ装置などの送信先へ出力する。
また、端末通信手段120は、例えば、日本国における財団法人道路交通情報通信システム(Vehicle Information Communication System:VICS(登録商標))センタで管理されたシステムなどの道路交通情報配信システムから交通事故や渋滞などの交通情報(以下、VICSデータという。)を取得する図示しないVICSアンテナを有している。具体的には、道路交通情報配信システムから例えばビーコンやFM多重放送などネットワークを介して、渋滞、交通事故、工事、交通規制などのVICSデータを取得する。そして、取得したVICSデータは、端末演算手段170へ所定の信号として出力される。
さらに、端末通信手段120は、サーバ装置から適宜配信される地図情報や交通情報などを受信し、端末記憶手段160へ適宜出力して記憶させる。なお、送信される地図情報や交通情報などのバージョン情報や設定時刻情報などに基づいて、既に取得している場合には記憶する処理をしなくてもよい。
なお、ネットワークとしては、例えば、TCP(Transmission Control Protocol)/IP(Internet Protocol)などの汎用のプロトコルに基づくインターネット、イントラネット、LAN(Local Area Network)、無線媒体により情報が送受信可能な複数の基地局がネットワークを構成する通信回線網や放送網などのネットワーク、さらには、ナビゲーション装置100および道路交通情報配信システムとの間で信号を直接送受信するための媒体となる無線媒体自体などが例示できる。ここで、無線媒体としては、電波、光、音波、電磁波などのいずれの媒体をも適用できる。
【0016】
端末操作手段130は、例えばキーボードやマウスなどで、入力操作される図示しない各種操作ボタンや操作つまみなどを有している。この操作ボタンや操作つまみの入力操作の内容としては、例えばナビゲーション装置100の動作内容の設定などの設定事項である。具体的には、取得する情報の内容や取得する条件などの設定、目的地の設定、情報の検索、車両の移動状況である走行状態を表示させる実行命令、ネットワークを介して各種情報を取得する旨の通信要求情報である通信動作の実行命令、取得する各種情報の内容や取得する条件などの設定、などが例示できる。そして、端末操作手段130は、設定事項の入力操作により、所定の操作信号を端末演算手段170へ適宜出力して設定させる。
なお、この端末操作手段130としては、操作ボタンや操作つまみなどの入力操作に限らず、例えば端末表示手段140に設けられたタッチパネルによる入力操作や、音声による入力操作、リモートコントローラによる入力操作に対応して送信される無線媒体の受信など、各種設定事項を設定入力可能ないずれの構成が適用できる。
【0017】
端末表示手段140は、端末演算手段170にて制御され端末演算手段170から出力される画像データの信号を画面表示させる。画像データとしては、例えば地図情報や検索情報などの画像データの他、図示しないTV受信機で受信したTV画像データ、外部装置など光ディスクや磁気ディスク、メモリカードなどの記録媒体に記録されドライブやドライバなどにて読み取った画像データ、端末記憶手段160からの画像データなどである。
この端末表示手段140としては、例えば液晶や有機EL(Electro Luminescence)パネル、PDP(Plasma Display Panel)、CRT(Cathode-Ray Tube)、FED(Field Emission Display)、電気泳動ディスプレイパネルなど、画面表示する各種表示装置が適用できる。
【0018】
端末発音手段150は、例えば図示しないスピーカなどの発音手段を備えている。この端末発音手段150は、端末演算手段170にて制御され、端末演算手段170からの音声データなどの各種信号を発音手段から音声などにより出力する。音声により出力する情報としては、例えば車両の走行方向や走行状況、交通状況などで、車両の走行を案内する上で運転者などの搭乗者に報知する。
なお、発音手段は、例えばTV受信機で受信したTV音声データや記録媒体さらには端末記憶手段160などに記録された音声データなどをも適宜出力可能である。また、端末発音手段150は、発音手段を設けた構成に限らず、車両に配設されている発音手段を利用する構成としてもよい。
【0019】
端末記憶手段160は、例えば図2および図3に示すような地図情報を記憶する地図情報記憶手段としての地図情報記憶領域161と、例えば図4に示すような対照データを記憶する対照データ記憶手段としての対照データ記憶領域162と、などを有している。また、端末記憶手段160は、渋滞予測のための渋滞予測データベース、ネットワークを介して取得した各種情報、端末操作手段130で入力操作されて設定入力された設定事項、音楽あるいは映像などの各種コンテンツなどを格納、すなわち各種情報を端末演算手段170が読み出し可能に記憶する。また、端末記憶手段160は、ナビゲーション装置100全体を動作制御するOS(Operating System)上に展開される各種プログラムなどを記憶している。
そして、端末記憶手段160としては、HD(Hard Disk)などの磁気ディスク、DVD(Digital Versatile Disc)などの光ディスク、メモリカードなど、各種記録媒体に読み出し可能に記憶するドライブやドライバなどを備えた構成、さらには複数のドライブやドライバにて構築された構成などが適用できる。
【0020】
地図情報記憶領域161に記憶された地図情報は、例えば図2に示すようないわゆるPOI(Point Of Interest)データである表示用データVMと、例えば図3に示すようなマッチングデータMMと、移動経路探索用地図データと、などを備えている。
表示用データVMは、例えばそれぞれ固有の番号が付加された複数の表示用メッシュ情報VMxを備えている。すなわち、表示用データVMは、一部の領域に関する表示用メッシュ情報VMxに複数分割され、表示用メッシュ情報VMxが縦横に複数連続して構成されている。なお、表示用メッシュ情報VMxは、適宜一部の領域に関する下層の表示用メッシュ情報VMxにさらに複数分割されていてもよい。各表示用メッシュ情報VMxは、設定された一辺の長さ、すなわち実際の地形上の長さを地図の縮尺に応じて短縮した長さで矩形状に分割され、所定の角部分に地図情報の全体、例えば地球の地図における絶対座標ZPの情報を有している。
そして、表示用メッシュ情報VMxは、例えば交差点の名称などの名称情報VMxAと、道路情報VMxBと、背景情報VMxCと、にて構成されている。名称情報VMxAは、その領域における他要素データである例えば交差点の名称や地域の名称などを絶対座標ZPとの位置関係で所定の位置に配置表示されるデータのテーブル構造に構成されている。道路情報VMxBは、その領域における道路要素データである道路を絶対座標ZPとの位置関係で所定の位置に配置表示させるデータのテーブル構造に構成されている。背景情報VMxCは、他要素データである著名な場所や建造物などを示すマークや、その著名な場所や建造物などを示す他要素データである画像情報などを絶対座標ZPとの位置関係で所定の位置に配置表示されるデータのテーブル構造に構成されている。
【0021】
一方、マッチングデータMMは、表示用データVMと同様に、例えばそれぞれ固有の番号が付加された一部の領域に関するマッチングメッシュ情報MMxに複数分割され、マッチングメッシュ情報MMxが縦横に複数連続して構成されている。なお、マッチングメッシュ情報MMxは、適宜一部の領域に関する下層のマッチングメッシュ情報MMxにさらに複数分割されていてもよい。各マッチングメッシュ情報MMxは、設定された一辺の長さ、すなわち実際の地形上の長さを地図の縮尺に応じて短縮した長さで矩形状に分割され、所定の角部分に地図情報の全体、例えば地球の地図における絶対座標ZPの情報を有している。なお、マッチングメッシュ情報MMxは、表示用メッシュ情報VMxと異なる領域を表すデータ構造、すなわち分割される領域の縮尺が異なっていてもよい。ここで、縮尺が同一であれば固有の番号の情報を用いてデータを関連付けておけばよく、また縮尺が異なる場合であれば例えば絶対座標を用いてデータを関連付けるなどすればよい。
そして、マッチングデータMMは、例えば、車両の移動状態を地図情報に重畳させて表示させる際に、車両を表す表示が道路上ではなく建物上に位置するなどの誤表示を防止するため、車両を表す表示が道路上に位置するように表示を修正するマップマッチング処理に利用される。このマッチングデータMMは、複数のリンク列ブロック情報を有している。
【0022】
リンク列ブロック情報は、図3に示すように、道路を構成し地点を表す地点情報としてのノードNを結ぶ線分である線分情報としてのリンクLが、所定の規則性で複数関連付けられたデータのテーブル構造である。具体的には、道路の所定の長さ例えば甲州街道や青梅街道などの連続する道路のように、リンクLが折れ線上にそれぞれ連なった連続するリンク列となるもので関連付けられている。
そして、リンクLは、各リンクL毎に付加された固有の番号である線分固有情報としてのリンク情報(リンクID)と、リンクLが結ぶ2つのノードNを表す固有の番号などのノード情報と、トンネルや道路の幅員、踏切、高架などの道路種別である道路の特性に関する属性情報と、などを有している。また、リンクLは、VICSリンクに関連付けられ、VICSデータと地図表示との位置関係が対応するようになっている。
また、ノードNは、各道路の交差点や屈曲点、分岐点、合流点などの結節点に相当する。そして、ノードNに関する情報は、リンク列ブロック情報におけるノードN毎に付加された固有の番号である地点固有情報(ノードID)と、各ノードNが存在する位置の図示しない座標情報と、交差点や分岐点などの複数のリンクが交差する分岐位置か否かの分岐情報と、信号機の有無に関する情報と、などを有している。なお、ノードNには、単に道路の形状を表すためにフラッグ情報を有しない地点固有情報および座標情報のみを有したものや、トンネルや道路の幅員などの道路の特性に関する構成を表す情報である属性情報をさらに有したものもある。なお、フラッグ情報を有しない単に道路の形状を表すためのノードNについては、地点の同一性の判断には利用されない。
さらに、マッチングデータMMのリンク列ブロック情報には、道路の特性に関する情報、例えば車線数、本線か否か、国道や県道、有料道路などの種別やトンネル内などの構成などが関連付けられている。これら道路の特性に関する情報により、表示用データVMに対応して道路を地図表示可能となっている。
また、移動経路探索用地図情報は、例えばマッチングデータMMと同様のテーブル構造、すなわち道路を表すノードNのように地点を表す地点情報とリンクLのように地点を結ぶ線分情報とを有したテーブル構造で、移動経路を探索するために道路を表すための情報構造となっている。
【0023】
対照データ記憶領域162に記憶された対照データは、例えば図4に示すように、表示用データVMを端末表示手段140で画面表示している表示縮尺である縮尺率に関する縮尺情報162Aと、行政界の領域である行政界領域の異なる広さに関する広さ情報である住所階層情報162Bと、がそれぞれ関連付けられて複数記録されたテーブル構造に構成されている。
ここで、住所階層情報162Bは、例えば図4および図5に示すように、地番表示における行政界領域164の異なる広さとして、「東北地方」や「関東地方」などの各地方別の領域、「東京都」や「埼玉県」、「大阪府」、「北海道」などの都道府県別の領域、「目黒区」や「杉並区」などの市区町村別の領域、「下目黒」、「荻窪」などの大字・町丁目別の領域、「一丁目」などの字・丁目別の領域、「1番地」などの地番別の領域、および、「1号」などの地点となる号別の領域の広さを定義する情報である。なお、地点としては、点のみならず、ある程度の領域となる面領域をも含むものである。これら住所階層情報162Bは、所定の地点に対して次第に領域が広くなる階層構造で、領域が広くなるに従って表示縮尺の度合いが大きくなる状態の階層構造に関連付けられている。
なお、図4は、説明の都合上、6段階の階層を例示するがこの限りではなく、また行政界領域164の例示も合わせて記載するが、この例示は対照データとして関連付けられていなくてよい。
【0024】
また、端末記憶手段160には、例えば地図情報における所定の地点の情報を取得するための検索情報が記憶されている。
すなわち、検索情報は、地図情報上で順次細分化される領域となる都道府県名、市町村名、字や丁目などの地区名、地点名などの内容やガイダンスなどの各種情報や、地点としての店舗に関する各種情報などで、例えば階層状に項目情報が関連付けられたツリー構造のテーブル構造となっている。
さらに、端末記憶手段160には、渋滞予測のための渋滞予測データベースが記憶されている。
この渋滞予測データベースは、例えば過去の交通状況を時間的要素にて統計処理した統計交通情報で、任意の場所における過去の交通状況を示すデータ群で、移動経路探索処理であるルート探索処理や地図の表示処理の際の渋滞状況の予測などに用いられる。この渋滞予測データベースは、例えば、日付や曜日などの分類を示す日付分類ID(identification)と、VICSなどから取得したVICSデータをVICSリンク毎に蓄積し、蓄積したVICSリンク毎の時間的要素である日付分類などで10分間隔で統計処理した交通状況である渋滞状況の傾向に関するデータである時系列データと、などが1つのレコードとして複数記録されたテーブル構造に構成されている。
【0025】
端末演算手段170は、例えばCPU(Central Processing Unit)を備え、図示しない各種入出力ポートである、センサ部110のGPS受信部が接続されるGPS受信ポート、センサ部110の各種センサ112がそれぞれ接続されるセンサポート、端末通信手段120が接続される通信ポート、端末操作手段130が接続されるキー入力ポート、端末表示手段140が接続される表示ポート、端末発音手段150が接続される音声制御ポート、端末記憶手段160が接続される記憶ポートなどを有している。そして、端末演算手段170は、各種プログラムとして、出発地点に関する出発地点情報を取得する出発地点情報取得手段である現在位置認識手段171と、目的地点に関する目的地点情報を取得する目的地点情報取得手段である目的地認識手段172と、地図表示要求認識手段および経路探索要求認識手段としても機能する条件認識手段173と、案内報知手段174と、案内報知手段としても機能する表示制御手段175と、移動経路探索手段としての経路処理手段176と、計時手段177と、などを備えている。
【0026】
現在位置認識手段171は、出発地点となる車両の現在位置を認識する。具体的には、センサ部110の速度センサおよび方位角センサから出力される車両の速度データおよび方位角データに基づいて、車両の現在の擬似位置を複数算出する。さらに、現在位置認識手段171は、GPS受信部から出力される現在位置に関するGPSデータに基づいて、車両の現在の擬似座標値を認識する。そして、現在位置認識手段171は、算出した現在の擬似位置と、認識した現在の擬似座標値とを比較し、別途取得された地図情報上における車両の現在位置を算出し、出発地点となる現在位置を認識し、この現在位置に関する出発地点情報としての現在位置情報を取得する。
また、現在位置認識手段171は、加速度センサから出力される加速度データに基づいて、走行する道路の傾斜や高低差を判断し、車両の現在の擬似位置を算出し、現在位置を認識する。すなわち、立体交差点や高速道路など、平面上で重なる箇所でも、車両の現在位置を正確に認識できる。さらに、山道や坂道を走行する際に、速度データや方位角データのみから得る移動距離と、実際の車両の走行距離との誤差を、検出した道路の傾斜を用いて補正するなどにより正確な現在位置を認識する。
なお、現在位置認識手段171は、現在位置として上述した車両の現在位置の他、端末操作手段130にて設定入力された起点となる出発地点などを、擬似現在位置として認識する。そして、現在位置認識手段171で得られた各種情報は、端末記憶手段160に適宜記憶される。
【0027】
目的地認識手段172は、例えば端末操作手段130の入力操作により設定入力された目的地点である目的地に関する目的地点情報である目的地情報を取得し、目的地の位置を認識する。
設定入力される目的地情報としては、例えば緯度・経度などの座標、住所、電話番号など、地点となる場所を特定するための各種情報の他、所定の領域となる行政界領域164も対照とすることができる。そして、この目的地認識手段172で認識した目的地情報は、端末記憶手段160に適宜記憶される。
【0028】
条件認識手段173は、端末操作手段130の入力操作により設定入力された各設定事項を認識する。
例えば、条件認識手段173は、端末表示手段140で所定の表示縮尺で地図情報の表示用データVMを画面表示させる要求に関する操作信号である地図表示要求信号を認識する。具体的には、条件認識手段173は、地図表示要求信号として、端末表示手段140で所定の地図の画面表示の実行を要求する入力操作と合わせて、地図表示させる地図の領域や表示縮尺である縮尺率などの端末表示手段140の表示領域に地図情報を表示させる地図表示条件を認識する。さらに、条件認識手段173は、所定の入力操作により詳細は後述する目的地周辺設定要求を認識すると、端末表示手段140に画面表示されている地図の画面表示領域における中央の地点における地点情報、すなわち地番である例えば「東京都○○区○○町○丁目○番地○号」の地番表示で表される住所情報およびこの地番表示情報と対照データに基づく行政界領域164に関する行政界領域情報を取得する。
また、条件認識手段173は、出発地点となる現在位置から目的地点あるいは目的地点周辺の所定の行政界領域までの移動経路の探索の要求に関する操作信号である経路探索要求信号を認識する。具体的には、条件認識手段173は、経路探索要求信号として、経路処理手段176による移動経路の探索実行を要求する入力操作と合わせて、入力操作により設定入力された移動経路探索のための条件、例えば最短時間や最短距離、有料道路の利用の有無などの各種設定事項も取得する。
そして、条件認識手段173は、各設定事項の内容や要求に対応する指令信号を、案内報知手段174や表示制御手段175あるいは経路処理手段176などへ出力する。
【0029】
案内報知手段174は、端末記憶手段160に記憶され、地図情報や車両の走行状況に対応してあらかじめ取得した移動経路情報さらには地物案内情報などに基づいて、車両の移動に関する案内、例えば車両の走行を支援する内容の案内に関する案内情報を生成する。そして、案内報知手段は、生成した案内情報を、端末表示手段140による画像表示や端末発音手段150による音声出力にて報知する。
具体的には、所定の矢印や記号などを端末表示手段140の表示画面に画面表示させたり、「700m先、○○交差点を△△方面右方向です。」、「移動経路から逸脱しました。」、「この先、渋滞です。」などの音声ガイダンスを端末発音手段150により音声出力させたり、することなどが例示できる。
【0030】
表示制御手段175は、端末表示手段140を適宜制御して各種情報を端末表示手段140で画面表示させる。
また、表示制御手段175は、地図情報に現在位置や目的地を示すアイコンや移動経路、さらには渋滞に関するアイコンなどを重畳し、端末表示手段140で地図情報の表示用データVMを画面表示させる制御をする。
さらに、表示制御手段175は、経路探索のための目的地点周辺の所定の行政界領域を設定入力するための例えば図6に示すような目的地設定入力画面200を画面表示させる。この目的地設定入力画面200は、条件認識手段173で認識した住所情報の地番表示を行政界領域の異なる広さ毎に分割された項目、例えば「東京都」、「○○区」、「下○○」、「○丁目」、「○○番地」、「○○号」などのように項目を認識し、各項目に対応し入力操作により選択可能なコマンドボタン201を複数有し、利用者にいずれかの項目の選択を促す構成となっている。図6は、説明の都合上、「1号」および「7番地」の項目に対応したコマンドボタン201が入力操作可能である旨として太枠線で囲んだ状態を示すが、この限りではない。なお、選択可能なコマンドボタン201は、条件認識手段173で認識している画面表示されている地図情報の表示縮尺より縮尺度合いが1段階大きい表示縮尺に対応する行政界領域164であり、かつ、現在位置が含まれない行政界領域164以下の住所階層までを例示するが、例えば全ての階層の行政界領域164に対応する項目のコマンドボタン201を入力操作可能としてもよい。
そして、この目的地設定入力画面200のいずれかのコマンドボタン201が入力操作されると、条件認識手段173が目的地周辺設定要求として認識し、条件認識手段173は入力操作されたコマンドボタン201に対応する行政界領域164を、地図情報に基づく地点情報から認識し行政界領域情報として取得する。
また、表示制御手段175は、探索した移動経路における目的地点として設定された行政界領域164に現在位置が近接したことを認識すると、現在位置から新たに利用者が設定する目的地までの新たな移動経路の探索の実施を要求するか否かの設定入力を促す例えば図7に示すようなリルート案内表示画面210を端末表示手段140に画面表示させる制御をする。この現在位置が行政界領域164に近接する距離として、例えば1km手前などの所定の距離の閾値、あるいは、行政界領域164の広さに対応して距離が長くなる閾値を端末記憶手段160に記憶しておけばよい。なお、図7は、説明の都合上、行政界を示す行政界アイコン221と移動経路を示す経路アイコン222とが交差する地点を星印223で示すが、この星印223を表示させなくてもよい。さらに、図7は、説明の都合上、現在位置である自車位置を示すアイコン224を重畳表示させている。
また、表示制御手段175は、例えば端末操作手段130による入力操作を促して各種情報を設定入力するための各種表示画面などをも表示制御する。
【0031】
経路処理手段176は、利用者により設定入力される経路設定のための設定事項情報、および、端末記憶手段160に記憶された地図情報に基づいて、車両が走行する移動経路を演算してルート探索する。この経路処理手段176は、利用者の入力操作にて設定入力された設定事項情報に基づいて、交通規制や渋滞、渋滞予測などの交通情報であるVICSデータなどを加味するか否か、最短距離、最短時間などの各種ルート探索のための要求に基づいて移動経路を探索すなわち演算する。
この経路設定のための設定事項情報は、例えば移動経路の設定要求に関する入力操作に応じた操作信号に基づいて、各種条件の設定入力を促す表示画面を表示制御手段175により端末表示手段140で画面表示させ、画面表示に従った入力操作により取得する。この設定された移動経路は、端末記憶手段160へ出力されて適宜記憶される。
そして、移動経路の探索としては、例えば設定事項情報に渋滞予測要求情報が記載されていない場合には、現在位置情報、目的地情報、設定事項情報、現在渋滞情報を取得する。そして、これら取得した情報に基づいて地図情報の移動経路探索用地図情報を利用し、例えば車両が通行可能な道路を探索し、所要時間が短い経路、あるいは移動距離が短い経路、または交通渋滞や交通規制場所を回避した経路などを設定した移動経路情報を生成する。そして、この移動経路情報の各経路における目的地までの所要時間や移動距離などを演算し、これら所要時間に関する所要時間情報や移動距離に関する移動距離情報などを生成する。
一方、設定事項情報に渋滞予測要求情報が記載されている場合には、現在位置情報、目的地情報、設定事項情報、現在渋滞情報を取得する。そして、これら取得した情報に基づいて所要時間が短い経路、あるいは移動距離が短い経路、または交通渋滞や交通規制場所を回避した候補経路などを設定した移動候補経路情報を生成する。そして、現在渋滞情報および渋滞予測情報を取得し、これら取得した情報に基づいて移動候補経路情報の候補経路をさらに絞り込むことにより、経路などを設定した移動経路情報を生成する。そして、この移動経路情報の各経路における目的地までの所要時間や移動距離などを演算し、これら所要時間に関する所要時間情報や移動距離に関する移動距離情報などを生成する。
なお、この移動経路を探索する際、移動経路探索用地図情報の他、地図情報のマッチングデータMMを用いる場合もある。例えば、裏道などの幅の狭い道路などの移動経路探索用地図情報ではない道路を利用して移動経路を探索する場合などである。そして、マッチングデータMMを利用する場合には、道路状態の判断に基づいて、適宜経路を探索する。また、移動経路情報には、例えば車両の走行の際に誘導して走行を補助する経路案内情報をも有する。この経路案内情報は、端末表示手段140で適宜表示あるいは端末発音手段150で適宜音声出力され、走行が補助される。
さらに、経路処理手段176は、渋滞予測情報を加味し、移動経路に対応して車両が走行する場合の所定時間、例えば30分経過毎の車両の到達予測位置を、例えばセンサ部110からの情報や地図情報などを用いて演算する。具体的には、地図情報に含まれる法定速度に関する情報から所定時間経過する間の走行距離を演算し、この演算した走行距離に基づいて地図情報のマッチングデータMMを利用し、到達予測位置を認識する。この到達予測位置に関する予測位置情報は、端末記憶手段160に適宜記憶される。
【0032】
また、経路処理手段176は、利用者により設定入力された曖昧ルート探索要求である所定の行政界領域を目的地点として移動経路を探索する。
具体的には、経路処理手段176は、条件認識手段173が目的地点として設定入力された行政界領域164に基づいて地図情報から行政界の地図情報を認識するとともに、図7に示す星印223の位置のように、行政境界と地図情報におけるリンクLおよびノードNとの交点を認識し、これらの交点を仮の目的地点とする。そして、出発地点となる現在位置から仮の目的地点までを上述したようにそれぞれ移動経路を探索し、例えば最短距離や最短時間となる移動経路を曖昧ルート探索要求に基づく移動経路候補とする。なお、現在位置と各交点とのそれぞれの方位に基づいて、最も方位的に近い交点を認識し、この交点を仮の目的地点として移動経路を探索するなどしてもよい。
【0033】
計時手段177は、例えば内部クロックなどの基準パルスに基づいて現在時刻を認識する。
そして、この計時手段177は、認識した現在時刻に関する時刻情報を適宜出力する。
【0034】
〔ナビゲーション装置の動作〕
次に、上記ナビゲーション装置100の動作として、移動経路の探索処理について図面を参照して説明する。
なお、移動経路の探索として、移動先としての目的地として地点ではなく行政界領域164を目的地点とする曖昧ルート探索を例示するが、地点を目的地として移動経路の探索を実施できることはいうまでもない。また、端末記憶手段160に記憶された検索情報に基づいて、利用者が目的地周辺として認識する地物に関する地点を検索する構成を例示するが、この限りではなく、例えば現在位置を含む領域で端末表示手段140に画面表示されている地図情報をスクロールさせるなど、利用者が目的地周辺と思われる領域の地図を画面表示させるいずれの方法が適用できる。
図8は、ナビゲーション装置における走行支援するための移動経路を探索する移動経路設定処理の動作を示すフローチャートである。図9は、曖昧ルート探索のための目的地周辺を設定するために地物検索した結果の地図情報を画面表示させた状態を示す説明図である。図10は、曖昧ルート探索のための目的地周辺を設定するために地物検索した結果の地図情報の表示形態を変更させた状態を示す説明図である。図11は、ナビゲーション装置における案内誘導処理を実施中にリルート探索の要否を確認する動作を示すフローチャートである。
【0035】
車両に搭乗した利用者である搭乗者がナビゲーション装置100の電源をオンして電力を供給すると、端末演算手段170は、初期設定を実施するとともに、表示制御手段175により端末表示手段140を制御してメインメニューを表示させる。すなわち、利用者にナビゲーション装置100に動作させる内容の設定入力を促す表示画面を端末表示手段140に表示させる。
なお、例えば、初期設定の際、ナビゲーション装置100は、端末演算手段170により、ネットワークを介して地図情報やVICSデータなどを取得する処理を適宜実行してもよい。
【0036】
そして、端末演算手段170は、メインメニューから移動経路の設定を要求する旨の入力操作に応じた操作信号を認識すると、表示制御手段175により、移動経路の探索に必要な各種情報、例えば目的地情報、最短距離か最短時間か、渋滞予測をするか否かなどの各種設定事項情報などの設定入力を促す表示画面を、端末表示手段140に画面表示させる。
すなわち、端末演算手段170は、端末操作手段130の入力操作に基づく移動経路の探索に必要な各種情報を認識すると、まず現在位置認識手段171にて現在位置を認識する処理をする。具体的には、現在位置認識手段171により、センサ部110の速度センサおよび方位角センサから出力される車両の速度データおよび方位角データと、GPS受信部から出力される現在位置に関するGPSデータとに基づいて、車両の現在位置を算出して現在位置情報を取得する。この取得した現在位置情報は、端末記憶手段160に適宜記憶される。
【0037】
また、端末演算手段170は、目的地認識手段172にて設定入力された目的地を認識する処理をする。
具体的には、利用者が端末表示手段140に画面表示された表示画面の指示に従って、目的地周辺となる所定の行政界領域164を設定する処理をする。すなわち、図8のフローチャートに示すように、移動先となる目的地の設定入力を促す画面表示に従って、利用者が端末操作手段130を入力操作して所定の地物などを、地図情報の検索情報などに基づいてキーワード検索などにより検索する(ステップS101)。ここで、目的地の検索として、例えば「目黒駅」や「東京ドーム」などの目的地周辺の駅や施設などの地物を検索したり、目的地周辺に関する「杉並」などの領域に関するキーワードの入力により「東京都杉並区」や「杉並区役所」などの関連する地物を検索したりする。
そして、例えば図9の地図画面表示に示すように、検索した地物301が端末表示手段140の表示領域における略中央に位置する状態に表示制御手段175により地図情報の表示用データVMを所定の表示縮尺で端末表示手段140に画面表示させる(ステップS102)。この図9は、説明の都合上、検索した地物301にカーソル302が重畳して検索した位置を示す状態を表す。なお、「東京都杉並区」などの領域に関する検索結果の地図を画面表示する場合には、例えば「杉並区役所」などの指定領域を管轄する役所を中心として領域の略全域が表示領域に表示される表示縮尺で画面表示させればよい。
【0038】
この後、条件認識手段173は、ステップS102で画面表示された領域を目的地周辺として設定入力するか否かを、例えば設定入力を促す表示画面などを表示制御手段175により画面表示させるなどして認識する(ステップS103)。このステップS103で、例えば図9に示すように検索した地物が中心となる画面表示された地図領域、あるいは適宜表示縮尺を変更したりスクロールにより表示領域を移動したりして例えば図10に示すように画面表示された地図領域を、表示画面に従って目的地周辺とする旨を入力操作することにより、条件認識手段173は、目的地周辺設定要求として認識し、画面表示されている地図領域を曖昧ルート探索のための目的地周辺として設定入力する(ステップS104)。
なお、ステップS103で、画面表示された領域を目的地周辺として設定しない、例えば再検索する旨の設定入力がされた場合には、ステップS101に戻って移動先を再検索する。
【0039】
そして、ステップS104における目的地周辺の設定入力を実行すると、条件認識手段173は、この目的地周辺設定要求に基づいて、端末表示手段140に画面表示されている地図情報の中央における地点、すなわちカーソル302が示す地点の地点情報である例えば「東京都○○区○○町○丁目○番地○号」の住所情報を、地図情報記憶領域161に記憶された地図情報に基づいて認識する。さらに、条件認識手段173は、端末表示手段140に画面表示されている地図情報の表示縮尺を認識し、対照データ記憶領域162に記憶された対照データに基づいて、行政界領域164に関する行政界領域情報を取得する。そして、条件認識手段173は、住所情報と行政界領域情報とに基づいて、目的地周辺としての住所階層を認識する(ステップS105)。
例えば、図9に示すように表示縮尺が「1/1562」でカーソル302が位置する地番が「東京都○○区下○○一丁目7番地1号」である場合には、図4に示す対照データに基づいて、行政界領域164として地点となる号別の領域の広さとなる住所階層として認識する。また例えば、図10に示すように表示縮尺が「1/12500」でカーソル302が位置する地番が「東京都○○区下○○一丁目1番地1号」である場合には、図4に示す対照データに基づいて、行政界領域164として大字・町丁目別の領域の広さとなる住所階層として認識する。
【0040】
また、表示制御手段175は、条件認識手段173で認識した住所情報の地番表示を行政界領域の異なる広さ毎に分割された項目、例えば図9に示す画面表示で目的地周辺が設定された場合には「東京都」、「○○区」、「下○○」、「一丁目」、「7番地」、「1号」などのように住所階層の項目を認識し、図6に示すような目的地設定入力画面200を端末記憶手段160にあらかじめ記憶されたフォームに基づいて生成する。ここで、条件認識手段173により、住所階層として、例えば図9に示す画面表示で目的地周辺が設定されてステップS105で住所階層を号別の領域の広さと認識している。このことにより、表示制御手段175は、図6に示すように、号別の領域の広さの住所階層に対応する「1号」のコマンドボタン201とともに、号別の領域の広さに対して1段階上の住所階層となる字・丁目別の領域の広さの住所階層に対応する「7番地」のコマンドボタン201まで入力操作可能としている。さらに上の住所階層については、例えばコントラストが低い表示状態や明度が低い表示形態などとして入力操作不可能に目的地設定入力画面200を生成する。
なお、表示制御手段175は、現在位置認識手段171にて認識する現在位置が、1つ上の住所階層である字・丁目別の領域である「7番地」の領域内に位置していないことを認識している。仮に、「7番地」の領域内に位置している場合には、その住所階層に対応するコマンドボタン201は、入力操作不可能な状態とする。
そして、表示制御手段175は、生成した目的地設定入力画面200を端末表示手段140に画面表示させる制御をし、利用者に目的地周辺となる行政界領域164である「あいまい目的地」の設定入力を促す。
【0041】
そして、利用者が画面表示された目的地設定入力画面200に従っていずれかのコマンドボタン201が選択される入力操作を実施すると、条件認識手段173は、選択されたコマンドボタン201の項目に対応する行政界領域164を目的地点である「あいまい目的地」として認識する(ステップS106)。
このステップS106の後、目的地認識手段172は、目的地として設定された行政界領域164の行政界に関する行政界領域情報を地図情報から取得し、この行政界に交差する各道路の交点となる地点(例えば図7中の星印223)を、地図情報のリンクLおよびノードNに基づいて認識する。そして、経路処理手段176は、行政界に各道路が交差する各地点までの移動経路を探索する処理を実施する(ステップS107)。
【0042】
すなわち、曖昧ルート探索の処理要求の際や上述した目的地周辺の設定入力の後などのタイミングで、端末演算手段170は、表示制御手段175により、端末表示手段140を制御して移動経路の探索のための最短時間や最短距離などの条件である各種設定事項の入力操作を促す表示をさせる。そして、利用者が表示された表示画面の指示に従って、端末操作手段130の入力操作により設定事項を設定入力すると、端末演算手段170は設定入力された設定事項に関する設定事項情報、さらには端末通信手段120で取得したVICSデータなどを取得する。この取得した設定事項情報やVICSデータも、端末記憶手段160に適宜出力されて記憶される。
そして、経路処理手段176は、設定入力された行政界領域164の行政界と道路が交差する各地点を目的地として、現在位置認識手段171で認識した現在位置からの複数の移動経路候補を探索し、各移動経路候補における現在位置から各目的地までの所要時間や移動距離などを演算し、所要時間情報や移動距離情報などを生成する。そして、経路処理手段176は、設定事項情報に最も適合する移動経路候補、例えば最短距離となる移動経路情報を設定し、表示制御手段175により、端末表示手段140に例えば地図情報と重畳して移動経路を表示させたり、移動経路情報の所定時間や移動距離を合わせて表示させたりする。
この移動経路の設定の際、経路処理手段176は、例えば、設定された移動経路でよいか否かを確認する案内、すなわち画面表示や音声などにて確認する処理をする。そして、利用者が端末操作手段130での入力操作による探索結果を決定する旨の操作信号を認識すると、移動経路を決定する。なお、利用者が表示される移動経路を承諾しない場合は、例えば移動経路を探索する処理を終了したり、ステップS101に戻って再探索したりする処理などが例示できる。そして、設定された移動経路情報は、端末記憶手段160に適宜記憶される。
【0043】
この移動経路の設定により、端末演算手段170の表示制御手段175は、端末記憶手段160から所定の縮尺率の地図情報を読み出すとともに、設定された移動経路および現在位置のアイコン224を地図情報に重畳させて端末表示手段140に表示させる。
なお、あらかじめ所定の交通情報や地物情報などを重畳表示させる旨の入力設定がなされている場合には、それらの情報に基づき地図情報に重畳させて適宜表示させる。
【0044】
そして、端末演算手段170は、車両の現在位置に基づいて、車両の移動を支援するための案内誘導処理を実施する(ステップS108)。すなわち、端末演算手段170は、センサ部110からの現在位置情報を逐次認識し、ステップS107で設定された移動経路情報と比較し、移動経路情報の経路案内情報や案内報知手段174で生成する案内情報に基づいて、案内報知手段174により、端末表示手段140で適宜表示あるいは端末発音手段150で適宜音声出力させ、走行を支援する。
さらに、端末演算手段170は、車両が移動して移動状況が変動する毎に現在位置が目的地に到達したか否かを判断する。ここで、例えば図11のフローチャートに示すように、ステップS108における案内誘導処理を実施中に、目的地として設定入力された地点、すなわち設定入力された行政界領域164と移動経路で設定された道路とが交差する地点(図7中星印223参照)へ、あらかじめ設定された所定の距離の位置まで到達したか否かを判断する(ステップS111)。そして、行政界領域164へ至るまでに所定の距離に到達したことを認識すると、例えば図7に示すようなリルート案内表示画面210を端末表示手段140に画面表示させる制御をし、リルートの要否設定を促す。なお、ステップS111で、まだ所定の距離まで近づいていないと判断すると、ステップS108に戻って案内誘導処理を継続させる。
【0045】
また、ステップS111におけるリルート要否設定を促す画面表示に基づいて、利用者がリルートを要求すると、例えばステップS101に戻って、新たに目的地あるいは目的地周辺を設定させ、リルートを実施する。すなわち、新たな目的地周辺となる目的地ポリゴンである行政界領域164を新たな目的地として設定されたか否かを判断する(ステップS112)。
このステップS112で、新たな行政界領域164が新たな目的地として設定され、新たに移動経路の探索要求を認識すると、上述したように、現在位置から新たな目的地までの移動経路を探索して案内誘導処理を実施する(ステップS113)。このように、リルートを順次実施することにより、行政界の広さが次第に小さくなってより詳細な目的地までの移動経路の案内誘導が繰り返されることで、所望の目的地まで案内誘導されることとなる。
一方、ステップS112で、新たな行政界領域164を新たな目的地として設定されない、すなわちリルート要求を認識しないと、ステップS108に戻って既に設定されている移動経路で案内誘導処理を継続する。なお、案内誘導を中止する旨の設定入力や目的地に到達したことの認識など、を端末演算手段170が認識すると、案内誘導処理が終了し、走行の支援が終了する。
【0046】
〔ナビゲーション装置の作用効果〕
上述したように、上記実施の形態では、端末表示手段140で所定の表示縮尺で地図情報の表示用データVMを画面表示させる要求に関する地図表示要求信号、すなわち目的地周辺を検索するための地物検索を要求する検索要求信号を認識すると、表示制御手段175により、検索要求信号に応じて検索した地物を含む所定の領域の地図情報を地図情報記憶領域161から読み出して所定の表示縮尺で端末表示手段140に画面表示させる。そして、曖昧ルート探索要求を条件認識手段173が認識すると、移動先の目的地周辺として設定された画面表示されている地図情報における略中央の地点の住所情報を地図情報に基づいて認識するととともに、対照データ記憶領域162に記憶された対照データに基づいて画面表示されている地図情報の表示縮尺の縮尺度合いに対応した住所階層を認識し、住所情報および住所階層に基づいて移動先の目的地周辺である「あいまい目的地」を認識する。この後、経路処理手段176は、現在位置から「あいまい目的地」である行政界領域164までの移動経路を探索する。
このため、利用者が目的地を正確に認識していない場合でも、目的地周辺を判断するために一般的によく利用する地図情報を画面表示させ、この画面表示させた地図情報に基づいて利用者が適宜の曖昧な領域を目的地周辺として設定することで、利用者が設定する曖昧な領域を対照テーブルに基づいて、画面の表示状態に応じて所定の広さの行政界領域164として設定している。すなわち、「あいまい目的地」として設定された時点での画面表示されている地図情報の表示領域における略中央の地点情報および画面表示されている地図情報の表示縮尺の度合いに基づいて、目的地周辺としての行政界領域164を設定している。したがって、利用者が目的地を認識していない度合いに対応して目的地周辺の行政界領域164が自動的に設定されることとなり、曖昧な目的地への移動経路の探索が容易にできる。
そして、利用者が目的地周辺を判断する地図情報の表示画面の表示状態から移動経路を探索するための演算として、画面表示されている地図情報の表示領域における略中央の地点情報と、地図情報の表示縮尺の度合いに基づいて目的地周辺の広さ、すなわち行政界領域164の広さを、簡単なデータテーブル構造の対照デーブルを用いて演算しているので、演算負荷が増大することなく容易で、かつ利用者の曖昧さに応じた広さの目的地周辺の設定ができる。
【0047】
また、曖昧ルート探索要求を条件認識手段173により認識すると、表示制御手段175により、画面表示されている地図情報の略中央の地点情報である住所情報を認識するとともに、画面表示されている地図情報の表示縮尺の度合いに対応した広さの住所階層を認識し、住所情報および住所階層に基づいて画面表示されている地図の表示状態に応じた広さの行政界領域164を認識する。さらに、表示制御手段175は、認識した行政界領域164より表示縮尺の縮尺度合いが小さい表示縮尺に対応した行政界領域164と、認識した行政界領域164より表示縮尺の縮尺度合いが1段階大きい縮尺度合いの表示縮尺に対応した行政界領域164とを認識する。すなわち、表示制御手段175は、認識した行政界領域164より小さい広さの各住所階層の行政界領域164と、認識した行政界領域164より1階層上となる1段階広い住所階層の行政界領域164とを認識し、これらの地点および行政界領域164に対応した項目で入力操作によりいずれかを選択可能なコマンドボタン201を有し、いずれかの選択による「あいまい目的地」の設定入力を促す例えば図6に示すような目的地設定入力画面200を画面表示させている。
このため、利用者がおおよそ目的地周辺であると判断した領域のさらに1段階広い領域から地点までの各住所階層に応じた広さ領域のいずれかを「あいまい目的地」として設定できるので、利用者自信が目的地の曖昧さに応じた目的地周辺の広さを設定でき、使い勝手を向上できる。
【0048】
さらに、表示制御手段175は、各コマンドボタン201の各項目として、画面表示している地図情報の略中央の地点情報である住所情報の地番表示を行政界領域164の異なる広さ毎に分割、例えば「東京都」、「○○区」、「下○○」、「○丁目」、「○○番地」、「○○号」のように分割して生成している。
このため、単に地図情報から認識した地点情報を利用するので、演算負荷が増大することなく利用者が曖昧さに応じて目的地周辺の広さを設定することが容易に認識できる。
また、行政界領域164の広さ毎の住所階層に関する情報を表示縮尺の度合いに対応している。
このため、より簡単なデータ構造の対照テーブルにより、行政界領域164を目的地周辺として移動経路を探索する演算がより容易となり、より使い勝手を向上できる。
【0049】
そして、経路処理手段176は、表示制御手段175により端末表示手段140に画面表示される目的地設定入力画面200に基づいて選択されたコマンドボタン201の項目に対応する地点または行政界領域164を目的地周辺である「あいまい目的地」として移動経路を探索する処理を実施する。
このため、画面表示されている地図情報に基づいて表示される目的地設定入力画面200のコマンドボタン201を設定する入力操作で、目的地周辺までの移動経路が探索され、使い勝手をより向上できる。
【0050】
また、経路処理手段176は、現在位置が含まれない行政界領域164を「あいまい目的地」として移動経路を探索している。すなわち、表示制御手段175は、入力操作可能なコマンドボタン201として、現在位置が含まれない行政界領域164以下の住所階層までの行政界領域164に対応する項目までとしている。
このため、経路処理手段176として、現在位置から行政界と道路とが交差する地点(図7中星印223参照)までの移動経路を探索する演算を実施するので、現在位置が含まれる行政界領域164、例えば既に目黒区内に車両が位置するにも係わらず「目黒区」や「東京都」などの広い行政界領域164を目的地周辺として設定可能とすると、現在位置からその目的地周辺外の方向へ移動経路を探索することとなって適切な移動経路の探索が得られなくという不都合が生じることを防止でき、良好に移動経路を探索できる。
【0051】
そして、経路処理手段176は、曖昧ルート探索として、現在位置から行政界と各道路とが交差する各地点である仮の目的地までの移動経路を探索し、最短距離または最短時間となる条件で移動経路を探索する。
このため、「あいまい目的地」まで効率よく移動できる移動経路を探索できるとともに、行政界と道路とが交差する地点である仮の目的地からさらにリルート探索する場合、より内側で狭い行政界領域164へ効率的に移動できる移動経路を探索でき、より使い勝手を向上できる。
【0052】
また、案内報知手段174は、曖昧ルート探索した移動経路と現在位置とに基づいて車両の移動を案内誘導するための移動経路情報の経路案内情報や生成した案内情報を、端末表示手段140で適宜表示あるいは端末発音手段150で適宜音声出力させて走行を支援するとともに、現在位置が行政界領域164の境界位置である行政界と移動経路とが交差する仮の目的地までに所定の距離まで近接したことを認識すると、新たに目的地あるいは目的地周辺を設定して新たな移動経路を再探索させるか否かの設定入力を促すリルート案内表示画面210を端末表示手段140に画面表示させ、リルートの要否設定を促している。
このため、リルートを順次実施することにより、行政界の広さが次第に小さくなってより詳細な目的地までの移動経路の案内誘導が繰り返されるので、所望の目的地まで良好な案内誘導が得られる。
【0053】
そして、CPUに、プログラムとして、条件認識手段173、経路処理手段176、案内報知手段174、表示制御手段175などを構成させて、上述した処理を実施可能に設定している。
このことにより、プログラムを組み込む、さらにはプログラムを記録した記録媒体を用いることで、上記処理が容易に得られ、利用の拡大が容易に図れる。
【0054】
〔実施形態の変形〕
なお、本発明は、上述した各実施の形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲で以下に示される変形をも含むものである。
【0055】
すなわち、車両としては、上述したように、自動車などに限らず、例えばオートバイなどの二輪車両でもよく、道路を走行するいずれの車両を対象とすることができる。
また、車載用の機器に限らず、例えば利用者が直接携帯する構成、例えば携帯電話やPHSなど、各種機器形態が利用できる。
そして、単にナビゲーション装置100の単品構成に限らず、例えば地図情報などはネットワークを介してサーバ装置から適宜取得したり、サーバ装置で車両の移動経路を探索し、探索結果をネットワークを介して車両の端末機器へ送信してこの端末機器で確定したりするなど、システム構成することもできる。
さらに、車両に搭載する構成に限らず、例えばパーソナルコンピュータなどにおいて、仮想の出発地と目的地とを設定してパーソナルコンピュータ上で移動経路や回避移動経路を探索するいわゆるシミュレーションソフトウェアとして利用することもできる。
【0056】
そして、対照データとして、例えば図4に示すように6つの住所階層にて構成して説明したが、より少ない住所階層、もしくはより多い住所階層として構成してもよい。
また、1つの表示縮尺に1つの住所階層を関連付けたが、例えば表示縮尺の度合いが多数ある場合などでは、度合いの大きさで2つや3つの表示縮尺に1つの住所階層を関連付けるなどしてもよい。
そして、表示縮尺の度合いについては、図4に示すような縮尺度合いに限られない。
【0057】
また、曖昧ルート探索にて設定した移動経路に基づいて案内誘導処理の最中に、現在位置に基づいて行政界領域164に近づいたらリルート探索を要求する設定入力を促す案内を実施して説明したが、リルート探索の案内をしなくてもよい。さらに、行政界領域164の位置、すなわち行政界と道路の交点となる仮の目的地に到達してからリルート探索の要求の設定入力を促す案内を実施してもよい。
そして、この案内方法としては、上述した構成に限らない。
【0058】
さらに、曖昧ルート探索における「あいまい目的地」の設定のための目的地設定入力画面200として、上述した構成に限らない。
すなわち、コマンドボタン201に限らず、例えばラジオボタンなど、いずれの選択方法を適用できる。また、地番表示で表される住所情報から分割した項目とせず、対照データの住所階層名をそのまま利用するなどしてもよい。さらに、例えば、画面表示している地図情報に対応する行政界領域164に対応する領域のみとしたり、住所階層の全てを入力操作可能としたりするなどしてもよい。さらには、目的地設定入力画面200を表示させず、例えば画面表示している地図情報で目的地周辺として設定入力する入力操作を認識すると、その行政界領域164を「あいまい目的地」として自動的に設定してもよい。なお、このような場合には、確認する画面表示を「あいまい目的地」として自動設定する旨の表示や確認のための入力操作を促す画面表示などを実施することが、より使い勝手を向上できるので好ましい。
【0059】
また、経路処理手段176として、行政界と道路とが交差する各地点を仮の目的地として現在位置からそれぞれ移動経路候補を演算して説明したが、例えば図12に示すように、現在位置と、行政界および道路の交差する各地点との座標に基づいて、方位的に最も近い地点、あるいは、最短距離となる地点のみを仮の目的地として設定し、この仮の目的地までの複数の移動経路候補を演算するなどしてもよい。
このような構成とすることで、曖昧ルート探索処理の負荷が低減し、より迅速に移動経路を探索でき、使い勝手を向上できる。
【0060】
また、現在位置認識手段171で認識する現在位置情報を各種センサ112からの出力データやGPS受信部から出力されるGPSデータに基づいて取得したが、車両の現在位置を認識する方法としては、いずれの方法でも適用でき、上述したように、端末操作手段130で入力操作した擬似現在位置を現在位置として認識したり、例えばシステム構成としてサーバ装置が車両の位置を認識する場合などで複数の通信基地局からの電波強度に基づいて現在位置を認識したりするなど、各種方法が利用できる。
【0061】
また、上述した各機能をプログラムとして構築したが、上述したように、例えば回路基板などのハードウェアあるいは1つのIC(Integrated Circuit)などの素子にて構成するなどしてもよく、いずれの形態としても利用できる。なお、プログラムや別途記録媒体から読み取らせる構成とすることにより、取扱が容易で、利用の拡大が容易に図れる。
なお、演算手段としては、1つのコンピュータに限らず、複数のコンピュータをネットワーク状に組み合わせた構成、CPUやマイクロコンピュータなどの素子、あるいは複数の電子部品が搭載された回路基板などをも含む。
【0062】
その他、本発明の実施の際の具体的な構造および手順は、本発明の目的を達成できる範囲で他の構造などに適宜変更できる。
【0063】
〔実施の形態の効果〕
上述したように、上記実施の形態では、端末表示手段140で所定の表示縮尺で地図情報の表示用データVMを画面表示させる要求に関する地図表示要求信号、すなわち目的地周辺を検索するための地物検索を要求する検索要求信号を認識すると、表示制御手段175により、検索要求信号に応じて検索した地物を含む所定の領域の地図情報を地図情報記憶領域161から読み出して所定の表示縮尺で端末表示手段140に画面表示させる。そして、曖昧ルート探索要求を条件認識手段173が認識すると、移動先の目的地周辺として設定された画面表示されている地図情報における略中央の地点の住所情報を地図情報に基づいて認識するととともに、対照データ記憶領域162に記憶された対照データに基づいて画面表示されている地図情報の表示縮尺の縮尺度合いに対応した住所階層を認識し、住所情報および住所階層に基づいて移動先の目的地周辺である「あいまい目的地」を認識する。この後、経路処理手段176は、現在位置から「あいまい目的地」である行政界領域164までの移動経路を探索する。
このため、利用者が目的地を正確に認識していない場合でも、目的地周辺を判断するために一般的によく利用する地図情報を画面表示させ、この画面表示させた地図情報に基づいて利用者が適宜の曖昧な領域を目的地周辺として設定することで、利用者が設定する曖昧な領域を対照テーブルに基づいて、画面の表示状態に応じて所定の広さの行政界領域164として設定している。すなわち、「あいまい目的地」として設定された時点での画面表示されている地図情報の表示領域における略中央の地点情報および画面表示されている地図情報の表示縮尺の度合いに基づいて、目的地周辺としての行政界領域164を設定している。したがって、利用者が目的地を認識していない度合いに対応して目的地周辺の行政界領域164が自動的に設定されることとなり、曖昧な目的地への移動経路の探索が容易にできる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の一実施の形態に係るナビゲーション装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】前記一実施の形態における地図情報を構成する表示用データのテーブル構造を模式的に示す概念図である。
【図3】前記一実施の形態における地図情報を構成するマッチングデータのテーブル構造を模式的に示す概念図である。
【図4】前記一実施の形態における対照データのテーブル構造を模式的に示す概念図である。
【図5】前記一実施の形態における対照データの行政界情報を説明するための階層構造の異なる広さの行政界領域を示す説明図である。
【図6】前記一実施の形態におけるあいまい目的地として行政界領域を設定入力するための目的地設定入力画面を示す概念図である。
【図7】前記一実施の形態におけるあいまい目的地の行政界領域に近づいた際にリルートの要否設定を促すリルート案内表示画面を示す概念図である。
【図8】前記一実施の形態におけるナビゲーション装置における走行支援するための移動経路を探索する移動経路設定処理の動作を示すフローチャートである。
【図9】前記一実施の形態における曖昧ルート探索のための目的地周辺を設定するために地物検索した結果の地図情報を画面表示させた状態を示す説明図である。
【図10】前記一実施の形態における曖昧ルート探索のための目的地周辺を設定するために地物検索した結果の地図情報の表示形態を変更させた状態を示す説明図である。
【図11】前記一実施の形態におけるナビゲーション装置における案内誘導中のリルート探索の要否を確認する動作を示すフローチャートである。
【図12】本発明の他の実施の形態におけるナビゲーション装置にて曖昧ルート探索時に設定する仮の目的地を星印で示す説明図である。
【符号の説明】
【0065】
100……案内誘導装置としてのナビゲーション装置
110……検出手段としてのセンサ部
130……端末操作手段
140……報知手段としての表示装置である端末表示手段
150……報知手段としての端末発音手段
161……地図情報記憶手段としての地図情報記憶領域
162……対照データ記憶手段としての対照データ記憶領域
170……演算手段である移動経路探索装置としての端末演算手段
171……現在位置認識手段
173……地図表示要求認識手段および経路探索要求認識手段としても機能する条件認識手段
174……案内報知手段
175……表示制御手段
176……地図情報取得手段としても機能する移動経路探索手段としての経路処理手段
200……目的地設定入力画面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
出発地点から目的地点までの車両の移動を案内誘導するための移動経路を地図情報に基づいて探索する移動経路探索装置であって、
行政界に関する行政界情報を有する地図情報を記憶する地図情報記憶手段と、
表示装置で地図情報を画面表示させる異なる表示縮尺に対応して前記行政界の領域である行政界領域の異なる広さに関する広さ情報が前記地図情報の表示縮尺の縮尺度合いの大きさに応じた広さで関連付けられたデータテーブル構造の対照データを記憶する対照データ記憶手段と、
表示装置で所定の表示縮尺で前記地図情報を画面表示させる要求に関する地図表示要求信号を認識する地図表示要求認識手段と、
この地図表示要求手段にて認識した地図表示要求信号に基づいて前記地図情報を取得して要求された表示縮尺で前記表示装置に画面表示させる制御をする表示制御手段と、
前記出発地点から前記目的地点周辺までの前記移動経路の探索の要求に関する経路探索要求信号を認識する経路探索要求認識手段と、
前記経路探索要求認識手段にて前記経路探索要求信号を認識すると、前記地図情報および前記対照データに基づいて、前記表示装置で画面表示している前記地図情報の表示領域における略中央の地点と、前記画面表示されている前記地図情報の表示縮尺に対応した行政界領域の広さ情報とを認識し、前記地点およびこの地点における広さ情報に対応した広さの行政界領域のうちの少なくともいずれか一方を前記目的地点として前記移動経路を探索する移動経路探索手段と、
を具備したことを特徴とした移動経路探索装置。
【請求項2】
請求項1に記載の移動経路探索装置であって、
前記表示制御手段は、前記経路探索要求認識手段にて前記経路探索要求信号を認識すると、前記地点に対応する地番表示と、画面表示されている前記地図情報の縮尺度合いに対応した広さの行政界領域と、この行政界領域より縮尺度合いが小さい各表示縮尺に対応した各行政界領域と、前記地図情報の縮尺度合いより1段階縮尺度合いが大きい表示縮尺に対応した行政界領域とにそれぞれ対応した項目のいずれかの選択を促す目的地設定入力画面を前記表示装置に画面表示させる制御をする
ことを特徴とした移動経路探索装置。
【請求項3】
請求項2に記載の移動経路探索装置であって、
前記表示制御手段は、前記目的地設定入力画面の各項目を、前記地点の地番表示を行政界領域の異なる広さ毎で分割して生成する
ことを特徴とした移動経路探索装置。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の移動経路探索装置であって、
前記移動経路探索手段は、前記表示制御手段により前記表示装置に画面表示される前記目的地設定入力画面に基づいて選択された項目に対応する前記地点または前記行政界領域のうちのいずれかを目的地点として前記移動経路を探索する
ことを特徴とした移動経路探索装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の移動経路探索装置であって、
前記車両の現在位置を認識する現在位置認識手段を具備し、
前記移動経路探索手段は、前記現在位置認識手段にて認識する現在位置が含まれない行政界領域を前記目的地点として前記移動経路を探索する
ことを特徴とした移動経路探索装置。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の移動経路探索装置であって、
前記移動経路探索手段は、前記行政界領域を目的地点として前記移動経路を探索する場合、前記出発地点から前記地図情報に基づいて行政界と前記車両が移動する道路との各交点までの前記移動経路のうちの最短距離または最短時間となる移動経路を探索する
ことを特徴とした移動経路探索装置。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の移動経路探索装置であって、
前記対照データ記憶手段に記憶された対照データは、各地方別の領域、都道府県別の領域、市区町村別の領域、大字・町丁目別の領域、字・丁目別の領域、地番別の領域、および、地点となる号別の領域の広さ別の階層構造で、前記地図情報の表示縮尺の縮尺度合いに対応して関連付けられたデータテーブル構造である
ことを特徴とした移動経路探索装置。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の移動経路探索装置であって、
前記車両の現在位置を認識する現在位置認識手段と、
この現在位置認識手段にて認識する現在位置および前記移動経路探索手段により探索した前記移動経路に基づいて前記車両の移動を案内誘導するための案内を報知手段にて報知させる案内報知手段と、を具備し、
前記案内報知手段は、前記現在位置が前記移動経路探索手段により探索した目的地点としての前記行政界領域に到達または近接したことを認識すると、前記現在位置から新たな目的地点までの移動経路の探索の実施を要求するか否かの設定入力を促すリルート案内を前記報知手段に報知させる
ことを特徴とした移動経路探索装置。
【請求項9】
演算手段により、出発地点から目的地点までの車両の移動を案内誘導するための移動経路を地図情報に基づいて探索する移動経路探索方法であって、
行政界に関する行政界情報を有する地図情報を記憶する地図情報記憶手段と、表示装置で地図情報を画面表示させる異なる表示縮尺に対応して前記行政界の領域である行政界領域の異なる広さに関する広さ情報が前記地図情報の表示縮尺の縮尺度合いの大きさに応じた広さで関連付けられたデータテーブル構造の対照データを記憶する対照データ記憶手段と、を用い、
前記演算手段は、
表示装置で所定の表示縮尺で前記地図情報を画面表示させる要求に関する地図表示要求信号を認識すると、この地図表示要求信号に基づいて前記地図情報記憶手段から前記地図情報を取得して要求された表示縮尺で前記表示装置に画面表示させる制御をする表示制御工程と、
前記出発地点から前記目的地周辺までの前記移動経路の探索の要求に関する経路探索要求信号を認識すると、前記地図情報および前記対照データに基づいて、前記表示装置で画面表示している前記地図情報の表示領域における略中央の地点と、前記画面表示されている前記地図情報の表示縮尺に対応した行政界領域の広さ情報とを認識し、前記地点およびこの地点における広さ情報に対応した広さの行政界領域のうちの少なくともいずれか一方を前記目的地点として前記移動経路を探索する移動経路探索工程と、を実施する
ことを特徴とする移動経路探索方法。
【請求項10】
演算手段を、請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の移動経路探索装置として機能させる
ことを特徴とした移動経路探索プログラム。
【請求項11】
請求項9に記載の移動経路探索方法を演算手段に実行させる
ことを特徴とした移動経路探索プログラム。
【請求項12】
請求項10または請求項11に記載の移動経路探索プログラムが演算手段にて読み取り可能に記録された
ことを特徴とした移動経路探索プログラムを記録した記録媒体。
【請求項13】
請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の移動経路探索装置と、
前記車両の移動状態を検出する検出手段と、
前記移動経路探索装置にて探索した移動経路および前記検出手段で検出した前記車両の移動状態に基づいて、前記車両の移動状態を報知する報知手段と、
を具備したことを特徴とした案内誘導装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−240438(P2007−240438A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−66142(P2006−66142)
【出願日】平成18年3月10日(2006.3.10)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【出願人】(595105515)インクリメント・ピー株式会社 (197)
【Fターム(参考)】