説明

移動装置および移動方法

【課題】垂直方向の装置寸法を小さくした移動装置を提供する。
【解決手段】被移動対象物を支持可能な受け部材と、前記受け部材を回転移動を含んで移動可能に支持するベース部材と、Y方向(第1の方向)に制限されつつ移動可能な第1の移動手段と、前記Y方向(第1の方向)に直交するX方向(第2の方向)に制限されつつ移動可能な第2の移動手段と、前記第1の移動手段を前記Y方向(第1の方向)に移動させる第1の移動機構と、前記第2の移動手段を前記X方向(第2の方向)に移動させる第2の移動機構と、を備える移動装置を提供する。このような装置により、被移動対象物の配置を容易に調整することが可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被移動物を載置して移動する移動テーブル等の移動機構および被移動物(例えば、設備機械)の設置を所定の位置に配置して設置する際にその位置調整を行う移動装置および移動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被載置物を載置して水平面内における所定の範囲内で移動する移動機構としては、X方向へ移動するX移動機構とY方向へ移動するY移動機構とを構成し、それぞれの移動機構が垂直方向へ配置されるように積み重ねて構成され、上部に配置された移動機構の移動部材に載置テーブルが構成されて水平面内における所定の範囲内で移動することを可能にしている(例えば、特許文献1〜4参照)。
【0003】
また、水平面内における所定の範囲内で移動する移動機構および水平回転して載置物の向きを変える回転機構を構成したものとしては、X方向へ移動するX移動機構とY方向へ移動するY移動機構とが交差して垂直方向に構成され、上側に配置された移動機構の移動部材に回転機構が載置構成されたものがある(例えば、特許文献2、3参照)。
【0004】
また、設備の据え付け時に位置合わせを行うもの(特に重量物)としては、水平面内における移動を自由に許容するように垂直方向に構成したX移動機構とY移動機構と載置テーブルを含む移動装置がある(例えば、特許文献1、4参照)。また、載置テーブルの水平面内の移動を自由に許容するように構成される移動機構とともに、載置テーブルを所定の位置で固定して位置を固定させる固定手段とを切換手段により切替えることで、載置テーブルに載置される設備の位置合わせを行うものがある(例えば、特許文献5参照)。そして、これらの移動装置は、複数を一組として設備と床の間に配置され使用されることになる。
【0005】
しかしながら、特許文献1〜4の移動機構においては、載置テーブルが水平面内の所定の範囲内において自由に移動するために、一方向への移動機構となるX移動機構と、一方向と交差する他方向への移動機構となるY移動機構とを垂直方向に積み重ねることで移動することを可能にしているので、垂直方向への寸法が大きくなる。
【0006】
また、特許文献2、3に記載の移動装置においては、載置テーブルを回転するための回転機構を更に垂直方向に重ねて配置構成されているため、ますます垂直方向への寸法が大きくなり、装置が大きくなってしまう。
【0007】
また、特許文献5に記載の移動装置については、所定の水平面内で載置テーブルが回転も含めて自由に移動可能に構成しているが、X方向およびY方向へ移動駆動するための移動手段が構成されていないため、微小な移動を行う際の調整が難しい。また、所定の位置に被移動物を合わせる際には、別に位置決め装置が必要になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】実開平03−103129号公報
【特許文献2】特開平11−300599号公報
【特許文献3】特開平05−198662号公報
【特許文献4】特開2007−062996号公報
【特許文献5】特開2000−180165号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記従来技術の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、垂直方向の装置寸法が小さい移動装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明において、ワークを支持可能な受け部材と、前記受け部材を移動可能に支持するベース部材と、前記受け部材のX方向への移動をガイドし、かつ、受け部材をX方向に交差(直交)するY方向に押圧することが可能な第1の移動手段と、前記受け部材のY方向への移動をガイドし、かつ、受け部材をX方向に押圧することが可能な第2の移動手段と、前記第1の移動手段を前記Y方向に移動させる第1の移動機構と、前記第2の移動手段を前記X方向に移動させる第2の移動機構と、を備える移動装置を提供することができる。
【0011】
より具体的には、以下のようなものを提供することができる。
(1)載置されたワークを水平面内のXY方向に移動させる移動装置であって、平板状の基部および該基部に立設されると共に前記ワークが載置される塔部を有する受け部材と、X方向長さは前記塔部のX方向長さよりも長く、かつ、Y方向長さは前記塔部のY方向長さと同程度で、前記塔部を挿通可能な第1の開口を有する第1の移動手段と、Y方向長さは前記塔部のY方向長さよりも長く、かつ、X方向長さは前記塔部のX方向長さと同程度で、前記塔部を挿通可能な第2の開口を有する第2の移動手段と、前記第1の移動手段の前記Y方向の移動・停止を調整可能に前記第1の移動手段に接続されたY方向調整機構と、前記第2の移動手段の前記X方向の移動・停止を調整可能に前記第2の移動手段に接続されたX方向調整機構と、を備える移動装置を提供することができる。
【0012】
ここで、ワーク(被移動対象物)は、本発明の移動装置により移動されるものをいい、特に重い装置、設備等を含んでよい。また、このようなワークの重量を受けて保持できるような支持可能な受け部材は、例えば、円筒形状(直円筒形状を含む)、円柱形状(直円柱形状を含む)、矩形筒形(直矩形筒形を含む)、矩形柱形(直矩形筒形を含む)を備えてもよい。移動装置を低背とするために、受け部材の高さはできるだけ低い方が好ましい。受け部材は、上部に受け面を備える。受け部材の回転移動は、水平面内の回転を含んでよく、回動、その他の回転を含んでもよい。受け部材の回転移動を考慮すると、円筒形状又は円柱形状を備えることが好ましい。ベース部材は、被移動対象物および受け部材の重量を支持可能なものであれば形状は問わないが、典型的には板状の部材であってよく、低背のものが好ましい。受け部材は、第1の移動手段に当接する第1の側面を備え、第1の移動手段がY方向(第1の方向)にこの第1の側面を押すことにより、受け部材をY方向に移動させることができる。例えば、受け部材が鉛直に立った直円筒形状を呈し、上端面に受け面を備える場合、直円筒の側面の一部(当接部位)が第1の側面に相当する。受け部材の回転等により、この第1の側面は連続的に移動する。また、Y方向(第1の方向)に直交するX方向(第2の方向)は、水平面内に含まれてよい。第1の側面は、第1の移動手段に当接するが、このX方向(第2の方向)には摺動することができる。
一方、受け部材は、第2の移動手段に当接する第2の側面を備え、第2の移動手段がX方向(第2の方向)にこの第2の側面を押すことにより、受け部材をX方向に移動させることができる。直円筒形状においては、これらの第1及び第2の側面は、円筒軸について約90度の回転対象位置にある。第2の側面は、第2の移動手段に当接するが、このY方向(第1の方向)に摺動することができる。
【0013】
(2)更に、前記受け部材の基部を支持するベース部材を備え、前記受け部材の塔部は、円塔形状であることを特徴とする上記(1)に記載の移動装置を提供することができる。
【0014】
(3)前記第1の開口および前記第2の開口は、前記塔部の側面に当接し、前記塔部を挟んで対向する一対の平行な直線部を含むことを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の移動装置を提供することができる。
【0015】
(4)前記第1の開口は、前記塔部をY方向両側から挟んで対向する一対の平行な直線部を含み、該直線部が前記塔部のY方向両側面に当接し、前記第2の開口は、前記塔部をX方向両側から挟んで対向する一対の平行な直線部を含み、該直線部が前記塔部のX方向両側面に当接することを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の移動装置を提供することができる。
【0016】
(5)前記ベース部材と前記受け部材との間には、低摩擦部材を介在させることを特徴とする上記(2)に記載の移動装置を提供することができる。
【0017】
(6)前記第1の移動手段は、前記Y方向調整機構と接続される第1の被調整部を備え、前記第2の移動手段は、前記X方向調整機構と接続される第2の被調整部を備えることを特徴とする上記(1)から(5)のいずれかに記載の移動装置を提供することができる。
【0018】
(7)前記Y方向調節機構は、前記ベース部材に固定される第1の固定ブロックと、前記第1の固定ブロックを基準として前記第1の被調整部に係合しつつ前記第1の被調整部をY方向へ移動する第1ネジ部材と、を含み、前記X方向調節機構は、前記第1の固定ブロックが固定される前記ベース部材上の位置と異なる前記ベース部材上の位置に固定される第2の固定ブロックと、前記第2の固定ブロックを基準として前記第2の被調整部に係合しつつ前記第2の固定ブロックをX方向へ移動する第2ネジ部材と、を含むことを特徴とする上記(6)に記載の移動装置を提供することができる。
【0019】
(8)前記ベース部材は、前記第1の移動手段および/又は前記第2の移動手段の移動方向をそれぞれガイドするガイド部材を備えることを特徴とする上記(2)又は(5)に記載の移動装置を提供することができる。
【0020】
(9)前記ガイド部材は、前記第1の移動手段および/又は前記第2の移動手段の側端部をガイドする部分を備えることを特徴とする上記(8)に記載の移動装置を提供することができる。
【0021】
(10)前記受け部材は、前記第1の開口の前記Y方向長さおよび前記第2の開口の前記X方向長さよりも大きい載置板を上面に備え、前記基部は、前記第1の開口の前記Y方向長さおよび前記第2の開口の前記X方向長さよりも大きいことを特徴とする上記(1)から(9)のいずれかに記載の移動装置を提供することができる。
【0022】
以上述べてきた移動装置は、低背であることが好ましい。低背とは、第1の移動手段および第2の移動手段が当接するに足るだけの高さを有することを意味してよい。例えば、第1の移動手段および第2の移動手段がそれぞれ、第1および第2の板厚を備える板状のものであり、それらが重なって受け部材の側面に当接する場合、その側面の高さは、第1および第2の板厚を足したものであれば十分である。
【0023】
上述の低摩擦部材は、板状のものが好ましく、板厚はなるべく小さいものが好ましい。また、高い耐荷重性があるものが好ましいが、摺動速度が低い(例えば、約1m/min以下)ところで使用できるものが好ましい。摩擦係数は、なるべく小さいものが好ましいが、典型的には、0.3以下が好ましく、0.2以下がより好ましく、0.15以下が更に好ましい。4フッ化エチレン等の固体潤滑剤を含んだものが好ましい。グリースや機械オイル等との併用が可能なものがより好ましい。
【0024】
(11)予め定められた床面の基準位置にワークの所定の位置を大まかに合わせて仮配置し、前記床面と仮置きされた前記ワークの底部との間に、上記(1)から(10)のいずれかに記載の移動装置を前記底部の底面に沿う直線上の対向する離れた2つの位置に第1および第2の移動装置としてそれぞれ挿入して前記ワークの所定の位置を前記基準位置に合わせる移動方法であって、前記2つの位置に、2つの前記移動装置を前記床面と仮置きされた前記ワークの底部との間に挿入する挿入ステップと、前記第1の移動装置の前記X方向調整機構および/又は前記Y方向調整機構をロック状態又はフリー状態とすると共に、前記第2の移動装置の前記Y方向調整機構をフリー状態又はロック状態とし、前記X方向調整機構をフリー状態として前記X方向に調整する調整ステップと、前記調整ステップにより前記ワークの所定の位置を前記基準位置と一致させ、前記ワークの底部から2つの前記移動装置を抜き取り、前記床面に配置、固定する配置ステップと、を備えたことを特徴とする移動方法を提供することができる。
【0025】
ここで、予め定められた床面の基準位置とは、ワークが配置されるべき位置のこと(予め床面に墨打ちして罫書きした位置)を意味することができる。また、ワークの所定の位置とは、床面に記された基準位置に対応する(合わせる)位置をワークにマークした目安位置(例えば、合いマークが記された位置)を意味することもできる。ワークの仮配置は、基準位置から各移動装置の調整範囲の位置になされてよい。例えば、各移動装置のX又はY方向の長さよりもずれが小さくなる位置でもよい。調整は、このような基準位置およびワークの所定の位置が上面視して一致(又はほぼ一致)するようにされてよい。上述してきた移動装置は、複数台でワークをほぼ支持することができてよい。従って、ワークの重心から下ろした垂線がワークの底面(又は床面)と交差する点又はその近傍を通る直線上であって(例えば、移動装置の移動台が上面視で該直線にかぶる)、所定の距離以上離れたところに2又はそれ以上の移動装置を配置し、ワークの重さを支持するのが好ましい。この所定距離は、ワークを安定的に支持可能な距離であってよい。また、ワークの必要な回転を行うために好ましい距離であってよい。3以上の移動装置が配置される場合は、それらの移動装置の配置位置を結ぶ線により周囲を規定可能な面のうち少なくとも1つの面内に上述の垂線と交差する点が存在することが好ましい。かかる移動装置を床面とワーク底面との間に挿入するために、ワークを部分的に持ち上げて空間を作り、その場所に移動装置を挿入してもよい。移動装置の移動台は、ワークの底面の少なくとも一部を支持することが好ましい。対角線上の対向する任意の位置は、ワークの底面に仮想して設定した矩形若しくはほぼ矩形の対角位置にあるコーナー(角部)が移動台上に載ることが可能な移動装置の位置を含むことができる。これらの移動装置は、それぞれ、直角又はほぼ直角に交差する方向にX方向およびY方向に移動する調整機構を備え、X方向およびY方向と、ワークの底面に仮想して設定した矩形の一方向および一方向に直交する他方向とは一致又はほぼ一致するように調整される。各移動装置は、それぞれX方向およびY方向調整機構を備えてよい。これらのX方向およびY方向調整機構は、それぞれのX方向およびY方向において、載置された物の移動が可能なフリー状態および載置されたものの移動が困難なロック状態を構成することができる。一方の移動装置が調整状態にあり、他方の移動装置がロック状態若しくはフリー状態となった場合、一方の該移動装置のX方向又はY方向調整機構の調整により、ワークが床面に対し、回転してもよい。
【0026】
(12)前記底面に沿う前記直線上の離れた2つの位置が、前記ワークの底部の底面のいずれかの対角線上の対向する所定の位置であることを特徴とする上記(11)に記載の移動方法を提供することができる。
【0027】
(13)前記底面に沿う前記直線上の離れた2つの位置が、前記ワークの底部の底面の中心線上の対向する所定の位置であることを特徴とする上記(11)に記載の移動方法を提供することができる。
【0028】
(14)床面に置かれたワークと、該床面との間に、該ワークを安定的に支持可能に置かれた上記(1)から(10)のいずれかに記載の移動装置を2以上含む移動装置群を提供することができる。
【0029】
上記対角線や中心線は、上記ワークの底面が矩形(ほぼ矩形を含んでよい)となる場合に用いてもよい。矩形は、略長方形及び正方形を含んでよい。上記移動装置群において、各移動装置は、同一種類であることが好ましい。また、同一のサイズであることが好ましい。少なくとも床面からの移動台の高さは同一であることが好ましい。各移動装置のそれぞれのX及びY方向が平行な状態になっていることが好ましい。
【発明の効果】
【0030】
以上のように、低背な移動装置とすることにより、被移動対象物の底部に容易にもぐり込ませることができる。また、移動装置の垂直方向の高さ(寸法)を低くすることができる。また、シンプルな移動機構を備えるため、移動装置全体の軽量化を図ることができる。更に、直交する水平な2方向の移動可能方向を備えると共に、水平方向への回転を可能としているため、少なくとも2つの本移動装置を組合せることで、所望の位置に被移動対象物を移動して位置合わせすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施例の移動装置の分解斜視図である。
【図2】本発明の実施例の移動装置の一部組み立てた分解斜視図である。
【図3】本発明の実施例の移動装置のそれぞれの移動部材と受け部材との関係を示す模式上面図である。
【図4】本発明の実施例の移動装置の斜視図である。
【図5】本発明の実施例の移動装置にジャッキを載置した斜視図である。
【図6】本発明の実施例の移動装置の移動メカニズムを説明する模式上面図である。
【図7】本発明の別の実施例の移動装置の一部組み立てた分解斜視図である。
【図8】複数の移動装置を用いて被移動部材の配置位置を調整するようすを示す模式上面図である。
【図9】複数の移動装置を用いた別の実施例における被移動部材の配置位置を調整するようすを示す模式上面図である。
【図10】複数の移動装置を用いて被移動部材を支持するようすを示す模式上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
次に、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。各図面において同一の構成又は機能を有する構成要素および相当部分には、同一の符号を付し、その説明は省略する。また、以下の説明では、本発明に係る実施の態様の例を示したに過ぎず、当業者の技術常識に基づき、本発明の範囲を超えることなく、適宜変更可能である。従って、本発明の範囲はこれらの具体例に限定されるものではない。また、これらの図面は、説明のために強調されて記載されており、実際の寸法とは異なる場合がある。
【実施例1】
【0033】
図1から5は、本発明の実施例の移動装置を図解する。図1および2は分解斜視図、図3はカバー等を透視した模式上面図、図4は略組立後の斜視図、図5はその上にジャッキを載置した使用状態を示す斜視図である。この移動装置10は、ベース部材12である平板の上に低摩擦部材14を配置し、その上に所定の高さを備える受け部材16となる平板状台を重ね、この受け部材16を囲む開口がそれぞれ形成された第2の移動部材20および第1の移動部材18となる各枠板をその順に重ねる。これらの板状のそれぞれの移動部材を積み重ねたものを、受け部材16の上面68を露出するような開口が形成されたカバー22により覆う。尚、受け部材16の上面には、カバー22の開口を覆う移動台24としての円板が配置され、載置される被載置部材(図示せず)を支持する。そして、低摩擦部材14がベース部材12と受け部材16との間に配置される。
【0034】
この低摩擦部材14としては、例えば、オイレス工業株式会社製のオイレス(登録商標)ドライメット(登録商標)LFプレートを用いることができる。このプレートは、約1から2.5mmの厚みを備え、数百mm角の大きさに切り出すことができる。このLFプレートによると、摩擦係数が0.1から0.15で、3.60N/mm・m/s(又は、2,200kgf/cm・m/min)の許容最高PV値を備える。従って、仮に15トンの荷重を径200mmの受け部材16で支えるとすれば、圧力は約48kgf/cmであり、後述するメカニズムで移動させるとすると、その速度は約0.1m/min程度と考えられ、そのPV値は、この許容最大PV値より十分低い。
【0035】
受け部材16は、円板状の基底部66と、基底部66上に設けられ、基底部66よりも小径で低背の円塔部661とを備え、該円塔部661は側周面67と上面68を備える。
【0036】
第1の移動部材18は、中央にX方向(第2の方向)に長く延びた長孔70を備える。第1の移動部材18は薄板部材で構成される。この長孔70に、受け部材16の円塔部661が挿通され、平行な一対の直線部70a,70bを含む長孔70の内周面が、受け部材16の側周面67に当接可能となっている。長孔70の内周面における短径方向(Y方向(第1の方向))の対向部は、互いにほぼ平行に延びる直線部70a,70bとされる。長孔70の長径方向(X方向(第2の方向))の対向部は、円塔部661とほぼ同じ径の半円部とされる。受け部材16の円塔部661は、長孔70の直線部70a,70bによりY方向(第1の方向)の動きは制限されるがX方向(第2の方向)への移動は許容される。長孔70の短径方向(Y方向(第1の方向))の距離は、長孔70と円塔部661との間に受け部材16が移動可能な程度の若干の隙間が生じるよう調整される。
【0037】
第1の移動部材18の外縁において、Y方向(第1の方向)における少なくとも片側部には、第1の移動部材18から一体に延びる延長部18aが設けられる。延長部18a上には、第1の移動ブロック40が固定して設けられる。
【0038】
一方、第2の移動部材20は、第1の移動部材18が重ねて設けられ、中央にY方向(第1の方向)に長く延びた長孔80を備える。第2の移動部材20も、第1の移動部材18と同様に薄板部材で構成される。この長孔80に、受け部材16の円塔部661が挿通され、平行な一対の直線部80a,80bを含む長孔80の内周面が、受け部材16の側周面67に当接可能となっている。長孔80の内周面における短径方向(X方向(第2の方向))の対向部は、互いにほぼ平行に延びる直線部80a,80bとされる。長孔80の内周面における長径方向(Y方向(第1の方向))の対向部は、円塔部661とほぼ同じ径の半円部とされる。受け部材16の円塔部661は、長孔80の直線部80a,80bによりX方向(第2の方向)の動きは制限されるがY方向(第1の方向)への移動は許容される。長孔80の短径方向(X方向(第2の方向))の距離は、長孔80と円塔部661との間に受け部材16が移動可能な程度の若干の隙間が生じるよう調整される。
【0039】
第2の移動部材20の外縁において、X方向(第2の方向)における少なくとも片側部には、第2の移動部材20から一体に延びる延長部20aが設けられる。延長部20a上には、第2の移動ブロック60が固定して設けられる。これら第1の移動部材18および第2の移動部材20は、互いにスライド可能に重ねられているだけであるが、両者の間に潤滑剤として油等を配置してもよい。
【0040】
後述するメカニズムで第1の移動部材18および/又は第2の移動部材20が移動することで、長孔70および/又は長孔80のそれぞれの内周面の直線部70a,70bおよび/又は直線部80a,80bが、受け部材16の側周面67に当接して、それぞれX方向(第2の方向)および/又はY方向(第1の方向)に移動することができる。
【0041】
ベース部材12は、上面視でほぼ正方形の4つの角を45度で面取りしたような8つの辺12a、12b、12c、12d、12e、12f、12g、12h(図1参照)を備える平板において、辺12bの一部(中央)からは拡張板部34が延びており、辺12dの一部(中央)からは拡張板部54が延びており、それぞれY方向(第1の方向)およびX方向(第2の方向)の第1の移動機構30および第2の移動機構50を備える基体となっている。
【0042】
第1の移動機構30は、主に拡張板部34、第1の固定ブロック32、およびボルト36、38で構成される。拡張板部34上に、辺12bにほぼ平行に延びる第1の固定ブロック32が固定され、この第1の固定ブロック32には、Y方向(第1の方向)のマイナス向きに移動させる移動用ネジ部材(ボルト)36を貫通させるねじ切り孔32aと、Y方向(第1の方向)のプラス向きに移動させる移動用ネジ部材(ボルト)38を通す貫通孔32bとが設けられる。また、貫通孔32bにねじ切り孔を合わせるように備えられたナット32cが、第1の固定ブロック32の外向きの側面に配置される。移動用ネジ部材(ボルト)38は、第1の移動ブロック40に固定されているため回転はせず、ナット32cをボルトに螺合した状態で回転させることにより、第1の固定ブロック32の外側面にナットが当接しY方向(第1の方向)のプラス向きにボルト38を移動させることで第1の移動部材18をY方向(第1の方向)のプラス向きに移動させる。ベース部材12から水平に延びる拡張板部34には、固定ブロック32に隣接して開口35が設けられ、作業者が持ち運びを行うときのハンドリング部(取っ手)とすることができる。ベース部材12の辺12bの近傍には、辺12bに平行に延びる辺ブロック42が備えられ、辺ブロック42の上面における長手方向(X方向(第2の方向))のほぼ中央に凹部42aを備える。この凹部42aは、第1の移動ブロック40および延長部18aを移動可能に支持する。ボルト36は、前述した第1の移動部材18の、第1の移動ブロック40の外側側面に設けられる当接部40aに当接される。一方、ボルト38は、同じく第1の移動ブロック40の外側側面に設けられるねじ切りされた開口(雌ねじ部)40bにねじ込められ回転不能に固定される。
【0043】
そして、第1の移動部材18をY方向(第1の方向)のマイナス向きに移動するためには、ナット32cをゆるめ、ボルト38をY方向(第1の方向)の移動をフリーの状態にする。次に、ボルト36をねじ込み方向(第1の移動部材18がY方向(第1の方向)のマイナス方向へ移動する様)に回転させ、第1の固定ブロック32および第1の移動ブロック40の間の距離を大きくするように当接部40aを押しながら第1の移動部材18を移動させる。そして、所定位置まで第1の移動部材18を移動させたところで、ナット32cを回転(固定ブロック32側に移動する方向へ回転)させ、第1の固定ブロック32および第1の移動ブロック40の間の距離が広がらないように固定する。一方、移動部材18をY方向(第1の方向)のプラス向きに移動するためには、ボルト36を抜き出し方向(ボルト36のヘッドが固定ブロック32から離れる方向)に回転させ、当接部40aから離間させる。そして、ボルト38に対してナット32cを回転させ、第1の固定ブロック32および第1の移動ブロック40の間の距離が短くなるように第1の移動部材18を移動させる。そして、所定位置まで第1の移動部材18を移動させたところで、ボルト36をねじ込み方向(ボルト36のヘッドが固定ブロック32へ近づく方向)に回転させ、第1の固定ブロック32および第1の移動ブロック40の間の距離がそれ以上近接しないようにボルト36の先端部を第1の移動ブロック40の当接部40aに当接させて固定する。
【0044】
第2の移動機構50は、主に拡張板部54、固定ブロック52、およびボルト56、58で構成される。拡張板部54上に、辺12dにほぼ平行に延びる第2の固定ブロック52が固定され、この第2の固定ブロック52には、X方向(第2の方向)のマイナス向きに移動させる移動用ネジ部材(ボルト)56を貫通させるねじ切り孔52aと、X方向(第2の方向)のプラス向きに移動させる移動用ネジ部材(ボルト)58を通す貫通孔52bとが設けられる。また、貫通孔52bにねじ切り孔を合わせるように備えられたナット52cが、第2の固定ブロック52の外向きの側面に配置される。移動用ネジ部材(ボルト)58は、第2の移動ブロック60に固定されているため回転はせず、ナット52cをボルトに螺合した状態で回転させることにより、第2の固定ブロック52の外側面にナットが当接しX方向(第2の方向)のプラス向きにボルト58を移動させることで第2の移動部材20をX方向(第2の方向)のプラス向きに移動させる。ベース部材12の辺12dの近傍には、辺12dに平行に延びる辺ブロック62が備えられる(図2)。この辺ブロック62は、逆U字状の形をし、下面における長手方向(Y方向(第1の方向))のほぼ中央に凹部62aを備える。この凹部62aはベース部材12の上面とで開口を形成し、延長部20aの移動を許容する。ボルト56は、前述した第2の移動部材20の、第2の移動ブロック60の外側側面に設けられる当接部60aに当接される。一方、ボルト58は、同じく第2の移動ブロック60の外側側面に設けられるねじ切りされた開口(雌ねじ部)60bにねじ込められ回転不能に固定される。
【0045】
そして、第2の移動部材20をX方向(第2の方向)のマイナス向きに移動するためには、ナット52cをゆるめ、ボルト58をX方向(第2の方向)の移動をフリーの状態にする。次に、ボルト56をねじ込み方向(第2の移動部材20がX方向(第2の方向)のマイナス方向へ移動する様)に回転させ、第2の固定ブロック52および第2の移動ブロック60の間の距離を大きくするように当接部60aを押しながら第2の移動部材20を移動させる。そして、所定位置まで第2の移動部材20を移動させたところで、ナット52cを回転(固定ブロック52側に移動する方向へ回転)させ、第2の固定ブロック52および第2の移動ブロック60の間の距離が広がらないように固定する。一方、第2の移動部材20をX方向(第2の方向)のプラス向きに移動するためには、ボルト56を抜き出し方向(ボルト56のヘッドが固定ブロック52から離れる方向)に回転させ、当接部60aから離間させる。そして、ボルト58に対してナット52cを回転させ、第2の固定ブロック52および第2の移動ブロック60の間の距離が短くなるように第2の移動部材20を移動させる。そして、所定位置まで第2の移動部材20を移動させたところで、ボルト56をねじ込み方向(ボルト56のヘッドが固定ブロック52へ近づく方向)に回転させ、第2の固定ブロック52および第2の移動ブロック60の間の距離がそれ以上近接しないようにボルト56の先端部を第2の移動ブロック60の当接部60aに当接させて固定する。
【0046】
ベース部材12の辺12bの対向する辺12fにおいては、辺12fに平行に延びる辺ブロック44が備えられ、辺12dの対向する辺12hにおいては、辺12hに平行に延びる辺ブロック64が備えられる。これらの辺ブロック42および44の内側面に沿って、それぞれ第2の移動部材20の被ガイド部82および84がスライド摺動され、辺ブロック42および44により第2の移動部材20のX方向(第2の方向)の移動がガイドされる。一方、辺ブロック62および64の内側面に沿って、それぞれ第1の移動部材18の被ガイド部72および74がスライド摺動され、辺ブロック64および62により第1の移動部材18のY方向(第1の方向)の移動がガイドされる。このように、これらの辺ブロック42、44、62、64は、ガイド部材として機能する。尚、本実施例では、辺ブロック42、44、62、64は、ベース部材12に備えられているが、これら全てがカバー22に備えられていてもよい。或いは、辺ブロック42および44をベース部材12に備え、辺ブロック62および64をカバー22に備えてもよい。
【0047】
図4および5からわかるように、組立後の移動装置10は、低背の平たい装置である。例えば、床からわずか数十ミリ程度の高さに移動台24の上面があり、移動装置10を被移動物(例えば、設備装置)の位置合わせの移動に使用する場合は、移動装置10を被移動物の下面に容易にもぐり込ませることが可能である。例えば、カバー22の側壁22a、22c、22e、12gの高さを約23mmとすれば、床面からカバー22の上面までの高さは、ベース部材12の板厚が約2mmであれば、約25mmとなる。典型的には、ベース部材12は、上面視で一辺が350mmの正方形の角部を70mmで面取りしたものであり、大変コンパクトな装置である。各部材を鉄系金属で作成したとしても、総重量を5kg以下とすることも可能であり、片手で持って運ぶことも可能とすることができる。
【0048】
一方、図5に示すように移動台24の上のほぼ中央にジャッキ90を配置して、更に高さ方向に移動可能な移動装置とすることもできる。このジャッキ90は、本体部94と、その上面に被移動物の一部を載置する突出した爪状の部材95と、油圧をかけるレバー92とから主に構成される。この爪状の部材95は、レバー92の操作による油圧の上昇に伴って上昇し、不図示の解除手段により油圧が開放されると下降する。このジャッキ90は、ベース91の上に本体部90が備えられている。移動台24は、円形の板状部材であり、円塔部661の上面68に取り付け固定され、後述するようなメカニズムでY方向(第1の方向)およびX方向(第2の方向)に移動可能である。また、カバー22の開口内で円塔部661が回動可能となっており、それに固定される移動台24もその位置で回動が可能である。従って、ジャッキ90の爪状の部材95に支持されるものも、移動台24の回動運動により回動可能である。このようなジャッキ90以外に、公知の如何なるジャッキも用いることができることはいうまでもない。
【0049】
図6は、このような移動装置10の移動メカニズムを説明する模式図である。図6の移動装置10にはカバー22に相当する部材を省略しているため、上面視において、その移動メカニズムが容易に理解される。図6(a)は、初期位置にある状態であり、図6(b)は初期位置からY方向(第1の方向)のプラス向きに移動した状態を、図6(c)は初期位置からX方向(第2の方向)のプラス向きに移動した状態を示す。移動装置10においては、第1の移動部材18は、中央にX方向(第2の方向)に長く延びた長孔70を備える。第1の移動部材18は薄板部材で構成される。この長孔70に、受け部材16の円筒部が挿通され、平行な一対の直線部70aおよび70bが、受け部材16の側周面67a(+Y方向の部分)および67c(−Y方向の部分)にそれぞれ当接可能となっている。長孔70の長径方向(X方向(第2の方向))の対向部は、受け部材16の径とほぼ同じ径に形成され半円部とされる。受け部材16は、長孔70の直線部70aおよび70bによりY方向(第1の方向)の動きは制限されるがX方向(第2の方向)への移動は許容される。長孔70の直線部70aおよび70bと受け部材16の側周面67aおよび67cとのそれぞれの間は、受け部材16がX方向(第2の方向)に移動可能な程度のクリアランスを備えるように調整される。第1の移動部材18の外縁の一部から、Y方向(第1の方向:図中右側)に延びる延長部18aが設けられる。また、第1の移動部材18は、長孔70の長手方向(X方向(第2の方向))両側に直線部である被ガイド部72および74を備える。これら被ガイド部72および74が、ベース部材12のX方向(第2の方向)両側に設けられ、Y方向(第1の方向)に延びる平行な辺ブロック62および64に沿って摺動することで、第1の移動部材18の移動がガイドされる。
【0050】
一方、第2の移動部材20は、中央にY方向(第1の方向)に長く延びた長孔80を備える。第2の移動部材20は薄板部材で構成される。この長孔80に、受け部材16の円筒部が挿通され、平行な一対の直線部80aおよび80bが、受け部材16の側周面67b(+X方向の部分)および67d(−X方向の部分)にそれぞれ当接可能となっている。長孔80の長径方向(Y方向(第1の方向))の対向部は、受け部材16の径とほぼ同じ径に形成された半円部とされる。受け部材16は、長孔80の直線部80aおよび80bによりX方向(第2の方向)の動きは制限されるがY方向(第1の方向)への移動は許容される。長孔80の直線部80aおよび80bと受け部材16の側周面67bおよび67dとのそれぞれの間は、受け部材16がY方向(第1の方向)に移動可能な程度のクリアランスを備えるように調整される。第2の移動部材20の外縁から、X方向(第2の方向:図中上側)に延びる延長部20aが設けられる(図中上側)。第2の移動部材20は、長孔80の長手方向(Y方向(第1の方向))両側に直線部である被ガイド部82および84を備える。これら被ガイド部82および84が、ベース部材12のY方向(第1の方向)両側に設けられ、X方向(第2の方向)に延びる平行な辺ブロック42および44に沿って摺動することで、第2の移動部材20の移動がガイドされる。
【0051】
例えば、図6(a)に示す初期位置から図6(b)に示すY方向(第1の方向)の移動位置へと変化するように、被移動物をY方向(第1の方向)のプラス向きに移動させる場合、第1の移動機構により第1の移動部材18は、Y方向(第1の方向)のプラス向きに移動させられる。このとき、長孔70の直線部70bが受け部材16の側周面67cに当接し、押圧することにより、受け部材16がY方向(第1の方向)のプラス向きに移動し、その上に載置される被移動物がY方向(第1の方向)のプラス向きに移動する。この第1の移動部材18の移動は、上述した被ガイド部72および74が辺ブロック62および64にガイドされて摺動(スライド)することによりY方向(第1の方向)に移動される。また、第1の移動部材18が停止する際には、直線部70aが側周面67aに当接して受け部材16を係止する。また、第1の移動部材18による受け部材16の移動方向は、第2の移動部材20の長孔80の長手方向であるY方向(第1の方向)への移動であるため、第2の移動部材20は、この移動を許容する。更に、受け部材16は、これら第1の移動部材18および第2の移動部材20に対して、側周面67a、67b、67c、67dという少ない接触面積でのみ接触するため、受け部材16の回動が可能である。
【0052】
また、図6(b)に示す位置から図6(a)に示す位置へと被移動物をY方向(第1の方向)のマイナス向きに移動する場合は、第1の移動機構により第1の移動部材18をY方向(第1の方向)のマイナス向きに移動する。このとき、長孔70の直線部70aが受け部材16の側周面67aに当接し、押圧することにより、受け部材16がY方向(第1の方向)のマイナス向きに移動し、その上に載置される被移動物がY方向(第1の方向)のマイナス向きに移動する。また、第1の移動部材18が停止する際には、直線部70aが側周面67aに当接して受け部材16を係止する。このときの移動のガイドおよび受け部材16の回転については、上述と同様である。
【0053】
また、図6(a)に示す初期位置から図6(c)に示すX方向(第2の方向)の移動位置へと変化するように、被移動物をX方向(第2の方向)プラス向きに移動させる場合、第2の移動機構により第2の移動部材20は、X方向(第2の方向)のプラス向きに移動させられる。このとき、長孔80の直線部80bが受け部材16の側周面67dに当接し、押圧することにより、受け部材16がX方向(第2の方向)のプラス向きに移動し、その上に載置される被移動物がX方向(第2の方向)のプラス向きに移動する。この第2の移動部材20の移動は、上述した被ガイド部82および84が辺ブロック42および44にガイドされて摺動(スライド)することによりX方向(第2の方向)に移動される。また、第2の移動部材20が停止する際には、直線部80aが側周面67bに当接して受け部材16を係止する。また、第2の移動部材20による受け部材16の移動方向は、第1の移動部材18の長孔70の長径方向であるX方向(第2の方向)への移動であるため、第1の移動部材18は、この移動を許容する。更に、受け部材16は、これら第1の移動部材18および第2の移動部材20に対して、側周面67a、67b、67c、67dという少ない接触面積でのみ接触するため、受け部材16の回動が可能である。
【0054】
また、図6(c)に示す位置から図6(a)に示す位置へと被移動物をX方向(第2の方向)のマイナス向きに移動する場合は、第2の移動機構により第2の移動部材20を、X方向(第2の方向)のマイナス向きに移動する。このとき、長孔80の直線部80aが受け部材16の側周面67bに当接し、押圧することにより、受け部材16がX方向(第2の方向)のマイナス向きに移動し、その上に載置される被移動物がX方向(第2の方向)のマイナス向きに移動する。また、第2の移動部材20が停止する際には、直線部80aが側周面67bに当接して受け部材16を係止する。このときの移動のガイドおよび受け部材16の回転については、上述と同様である。
【0055】
このようにして、受け部材16はY方向(第1の方向)およびX方向(第2の方向)に移動が可能であるが、これらの移動を同時に行うことも、更に、これらの移動と回転を同時に行うことも可能である。
【実施例2】
【0056】
図7は、上記実施例とは異なる第2実施例の移動装置の一部組み立てた分解斜視図である。基本的には、図1から4に示した実施例と同じ構成をしているため、重複する説明は省き、異なるところのみを以下に説明する。この移動装置10は、ベース部材12である矩形の平板の上に低摩擦部材(図示せず)を配置する。低摩擦部材の上には、平板状台66および円塔部661を重ねて構成される所定の高さを備える受け部材16が配置される。この円塔部661は、ほぼ平行な移動板240および242並びにこれらの平行板を連結するほぼ平行な連結部材244および246から構成される第2の移動部材20が形成する矩形の開口に囲まれる。また、第2の移動部材20の上方には、ほぼ平行な移動板260および262並びにこれらの平行板を連結するほぼ平行な連結部材264および266から構成される第1の移動部材18が備えられ、同様に矩形の開口を円塔部661が挿通する。従って、円塔部661を囲むように、移動板240および242(又は260および262)と連結部材244および246(又は264および266)とにより開口が形成され、開口を形成する移動板240および242(又は260および262)が円塔部側部67に当接して一の方向となるX(又はY)方向の移動を制限しつつ他の方向となるY(又はX)方向への移動を許容する。実施例1及び2において、基底部66若しくは平板状台66は、何れも円塔部661よりも径が大きくなっているが、ほぼ同じ径であってもよく、また、円塔部661と一体に形成されてもよい。
【0057】
第2の移動部材20は、ベース部材12の上面に備えられたレール250および252によりX方向(第2の方向)の移動がガイドされる。具体的には、連結部材244および246がそれぞれレール250および252に摺動可能にマウントされレールの延びる方向にのみ移動可能となっている。
【0058】
一方、第1の移動部材18は、カバーの下面に備えられたレール270および272によりY方向(第1の方向)の移動がガイドされる。具体的には、連結部材264および266がそれぞれレール270および272に摺動可能にマウントされレールの延びる方向にのみ移動可能となっている。
【0059】
そして、第1および第2の移動部材18および20は、それぞれ2つのレールによりガイドされるが、いずれか一方のレールによりガイドされてもよい。尚、カバーは、カバーの四隅の側面を形成するコーナー部材220、222、224、226、および、これらを連結するカバー板230(図7では透明としている)から構成される。このように、ガイド部材として機能するレール部材によるガイド機構を採用する場合は、ベース部材側、および、カバー側にそれぞれレール部材を設けてもよい。コーナー部材(カバー部材と一体成型されるか又は別部材として取り付けてもよい)は、ベース部材とカバー部材とを組み合わせてスライドテーブルとしたときのコーナー部用のカバーの役割をしてもよい。
【0060】
これまでは、移動装置の機能を単独で説明してきたが、同一の或いは異なる移動装置を組み合わせて、被移動部材(例えば、重量装置)を移動する方法の例を、上面図である図8から10を参照しつつ説明する。図8は、被移動部材200の4隅に4つの移動装置10a、10b、10c、および10dを配置し、それぞれ配置された移動装置10a、10b、10c、および10dにより、被移動部材200を移動し、その位置を調整する方法を示す。図8(a)は調整前の初期位置を、図8(b)は回転による第1の調整後の状態を、図8(c)は下方への移動による第2の調整後の状態を、図8(d)は左方への移動による第3の調整後の状態を示す。図8(a)において、被移動部材200は、その直交する縦中心線204(及び横中心線205)が、配置される床の直交する縦罫書き線202(及び横罫書き線203)から回転方向およびXY方向においてずれて、かつ、4隅が移動装置10a、10b、10c、および10dの支持台上に載置されている。これらの移動装置は、これらの縦罫書き線(以下、「縦基準線」)202及び横罫書き線(以下、「横基準線」)203に対して、等間隔で正規の位置に配置されている。即ち、各移動装置の第1および第2の移動機構の移動方向が、縦基準線202および横基準線203に対して直角又は平行な関係にあり、縦基準線202および横基準線203に対して対称となる位置に配置される。更に、各移動装置の第1および第2の移動機構の調整用のボルトのヘッドが、被移動部材200によって覆われないように、各移動装置における被移動部材200と交差しない2辺に調整用のボルトのヘッドがそれぞれ位置するよう、各移動装置の配置の向きが調整される。そして、各移動装置10a、10b、10c、10dのそれぞれの支持台上には、不図示のジャッキ手段が載置され、被移動部材200はそれぞれのジャッキ手段を使用して床面から離間した状態にて支持され、待機される。
【0061】
まず、初期位置では、図中左上に配置される移動装置10aの第1および第2の移動機構30、50は、ボルトの当接部からの離間や締め込みをゆるめることで、それぞれフリーの状態にされており、その支持台は、図中左右上下(XY)方向に移動自在となっている。また、移動装置10aの第1および第2の移動機構30、50は水平回転も可能である。図中右上に配置される移動装置10bの第1および第2の移動機構30’、50’は、ボルトの当接や締め込み固定により、それぞれ固定状態にされ、その支持台は図中上下左右方向に移動困難となっている。しかし、移動装置10bの第1および第2の移動機構30'、50'は、水平回転は可能である。図中右下に配置される移動装置10cの第1および第2の移動機構30''、50''は、ボルトの当接部からの離間や締め込みをゆるめることで、それぞれフリーの状態にされており、その支持台は図中上下左右方向に移動自在となっている。また、移動装置10cの第1および第2の移動機構30''、50''は水平回転も可能である。図中左下に配置される移動装置10dの第1の移動機構30'''は、ボルトの当接部からの離間や締め込みをゆるめることで、フリーの状態にされており、その支持台は図中左右方向に移動自在となっているが、第2の移動機構50'''は、ボルトの当接や締め込みにより移動調整を行える状態にされ、その支持台の図中上下方向の移動のみが行われる。尚、移動装置10dの第1および第2の移動機構30'''、50'''は、水平回転は可能である。
【0062】
本件の場合、図8(a)に示す被移動部材200の時計回りに傾いた回転ずれを調整するために、移動装置10bにおける両移動機構30'、50'はロックされると共に、移動装置10dにおける第2の移動機構50'''を図中下向きに移動させ、被移動部材200を反時計回りに回転させる。また、移動装置10aおよび10cにおけるそれぞれの移動機構はフリー状態とされる。被移動部材200は四隅の移動装置にほぼ均等に支持される重量物であるため、移動装置10dにおける第2の移動機構50'''の移動により、右上に配置された移動装置10bの受け部材の軸心を中心とした擬似回転運動(図中矢印参照)を行うことになる。このとき、移動装置10dの支持台は下向きに移動されると共に反時計回りに任意の角度で水平回転され、被移動部材200を回転運動させる。移動装置10aおよび10cは、フリー状態であるので必要に応じてそれぞれの支持台が並進運動および回転運動をして、この被移動部材200の回転運動を許容する。移動装置10bは、被移動部材200の回転運動のほぼ中心で、支持台の回転によりこの回転運動を許容する。このようにして、図8(b)のように被移動部材200の回転ずれが補正される。
【0063】
次に、図8(b)に示すように、移動装置10aおよび10cの各移動機構30、50および30''、50''はフリー状態のまま、移動装置10bおよび10dの各第1の移動機構30’、30'''は固定され、左右方向の移動が制限、ロックされる。一方、移動装置10bおよび10dの各第2の移動機構50'、50'''は、フリー若しくは調整可能な状態(本実施例においては、移動装置10bの第2の移動機構50'がフリー状態で、移動装置10dの第2の移動機構50'''で調整可能な状態)にされ、支持台を図中下方へ移動する。これにより、被移動部材200は下方に移動するが、いずれか一方の第2の移動機構をフリーにし、他方を調整した場合は、付加要因により被移動部材200に回転が生じるおそれもあるので、両第2の移動機構の同期した動作による移動がより好ましい。尚、移動装置10bの第2の移動機構50'を調整可能な状態にし、移動装置10dの第2の移動機構50'''をフリーな状態にして、移動装置10bの第2の移動機構50'により支持台を図中下方へ移動し、被移動部材200を下方に移動してもよい。このようにして、図8(c)に示す上下の位置が補正された被移動部材200が得られる。ここで、調整可能な状態とは、移動可能な状態であり、また、移動を実現するための駆動手段が稼働可能な状態を意味することができる。そして、調整するとは、目的とする位置に移動(回転を含んでよい)することを意味することができる。
【0064】
次に、図8(c)に示すように、移動装置10aおよび10cの各移動機構はフリー状態のまま、移動装置10bの第2の移動機構50'および移動装置10dの第2の移動機構50'''は固定され上下方向の移動が制限される。そして、移動装置10bの第1の移動機構30'がフリー状態にされ、移動装置10dの第2の移動機構30'''が調整可能な状態にされる。そして、移動装置10dの支持台は図中左方に移動されて、被移動部材200は左方に並進移動される。上述のように、被移動部材200の不用意な回転のおそれを防ぐためには、同期した移動装置10bの第1の移動機構30’による並進が加えられることがより好ましい。以上のようにして、床面の縦基準線202および横基準線203に被移動部材200の縦中心線204及び横中心線205がそれぞれ重なり合い、図8(d)に示すように、被移動部材200は定位置に移動配置されることとなる。そして、それぞれの移動装置の支持台の上に載置されたジャッキ手段により床面から離間した被移動部材200の支持状態を解除して被移動部材200を所定の位置に配置する。仮に、被移動部材200がアジャストボルトを備える場合は、被移動部材200の水平レベルを維持したままアジャストボルトを下方に移動して床面に着地させ、被移動部材200の重量を直接床面に受けるようにして、移動装置10a、10b、10c、および10dを取り除けば、被移動部材200の移動が完了すると共に水平レベルの位置合わせも完了する。
【0065】
図8(a)から図8(d)に示した位置補正では、移動装置10a、10cにおける両移動機構は使用しないことから、移動装置10a、10cにおいては両移動機構を省略したものであってもよい。すなわち、一対の、両移動機構を備える移動装置(通常移動装置という)と、一対の、両移動機構を省略した移動装置(簡易移動装置という)とを用い、位置補正を行うようにしてもよい。この場合、一対の通常移動装置および一対の簡易移動装置は、それぞれ対角の位置に配置される。
【0066】
次に、図9には、図8の場合と異なり、移動装置10dが傾いて配置された場合を示す。図9(a)は調整前の初期位置を、図9(b)は回転による第1の調整後の状態を、図9(c)は下方への移動による第2の調整後の状態を、図9(d)は左方への移動による第3の調整後の状態を示す。いずれの状態においても、各移動装置の各移動機構は、図8(a)に示した配置と同様な状態に置かれ、操作されるので、重複する説明は省略する。図9(b)では、被移動部材200の回転がほぼ補正された状態となっているが、移動装置10dが傾いて配置されているので図9(c)では再び被移動部材200の回転ずれが生じている。また、図9(d)においても同様である。従って、図9(d)の状態から、移動装置10bおよび10dのそれぞれの各移動機構をこまめに使用しながら被移動部材200が水平回転するように微調整を行い、最終的に床面の縦基準線202および横基準線203に被移動部材200の縦中心線204及び横中心線205がそれぞれ重なり合うように移動調整を行う。
【0067】
以上述べてきたように、床面の基準線に対して傾いた状態で各移動装置10a、10b、10c、および10dを配置すると、被移動部材の移動工程が複雑になり、また、正確な移動の困難性が増すので、床面の基準線に合わせるように配置することがより好ましい。このとき、移動装置のどこかにその基準線と合わせる基準面若しくは基準辺を設けることがより好ましい。例えば、図1から図5においては、移動装置10の外周辺が各移動機構による移動方向に対して、直角若しくは45度の角度を成すので、床面の基準線に合わせることは比較的容易にできる。
【0068】
また、被移動部材200に対して、各移動装置を直角、平行、若しくは45度の角度で配置することが好ましい場合もあり、そのような基準として、各移動装置の外周辺を活用することが好ましい。図10は、被移動部材200を支持する移動装置の配置例を示す上面図である。図10(a)は各移動装置を被移動部材200の四隅に配置した場合であり、図10(b)は各移動装置を被移動部材200の対向する辺に1つずつ配置した場合を示す。いずれも移動装置の移動機構の操作がやりやすいように、移動機構の操作部分を被移動部材200から遠ざける位置に配置することが好ましい。また、その配置角度も、移動装置の外周辺を利用して、直角、平行、若しくは45度の関係にすることがより好ましい。
【0069】
上述では、被移動部材200を直接支持台上に載せたジャッキ手段で支持した場合で説明したが、直接支持台上に被移動部材200を載置して、同様な調整操作を行って調整してもよい。また、被移動部材200がアジャストボルトを備えない場合は、被移動部材200の下部の床面に面する所定の位置と床面との間の隙間(本装置が配置できる隙間)部に本移動装置を配置して被移動部材200を支持・調整し、移動装置10a、10b、10c、および10dを取り除けば、被移動部材200の移動調整が完了する。以上述べた方法において、図示されていないが、各移動装置の移動機構は、モータ等を組み込んだ装置により操作することもでき、その操作の量は、図示しない制御装置(例えば、パソコン)による制御も可能である。この制御装置及び各移動装置の間では無線通信が可能である。プログラムに従って操作することも可能である。
【0070】
これまで述べてきたように、開示される移動装置は、立設される低背の塔部及び上面を有し被移動部材の少なくとも一部を該上面で支持する受け部材と、該塔部のX方向側面に当接してX方向に押圧可能なX方向押圧板状部材と、該X方向押圧板状部材を押圧可能に駆動するX方向調整機構と、塔部のY方向側面に当接してY方向に押圧可能なY方向押圧板状部材と、該Y方向押圧板状部材を押圧可能に駆動するY方向調整機構と、を備え、前記X方向及びY方向が実質的に直交(ほぼ直交を含む)し、前記X方向側面と当接するX当接押部は前記X方向押圧板状部材の厚み部に配されて前記X方向側面に対してY方向に摺動可能であり、前記Y方向側面と当接するY当接押部は前記Y方向押圧板状部材の厚み部に配されて前記Y方向側面に対してX方向に摺動可能である。そのため、被移動部材を支持する前記塔部は、X方向押圧板状部材のX当接押部に押されてX方向に移動しつつ、Y方向側面およびY当接押部がスライド可能となり、受け部材のX方向の移動に何ら支障がない。一方、被移動部材を支持する前記塔部は、Y方向押圧板状部材のY当接押部に押されてY方向に移動しつつ、X方向側面およびX当接押部がスライド可能となり、受け部材のY方向の移動に何ら支障がない。更に、前記塔部はその側周面をX当接押部およびY当接押部にスライドさせながら回転することができる。即ち、X当接押部およびY当接押部が当接する前記塔部の側周面のX方向側面およびY方向側面は、この回転と共に側周面上を動いていくことになる。
【0071】
更に、前記塔部の側周面は、X方向側面に対向する位置に逆X方向側面を備えることができ、X方向押圧板状部材はこの逆X方向側面に当接して逆X方向(前記X方向の逆向き)に押圧可能な逆X当接押部を備えることができる。このように、前記塔部は側周面のX方向側面および逆X方向側面にそれぞれX当接押部および逆X当接押部が当接又は近接することにより、X方向および逆X方向の移動が強制および制限される。そして、前記塔部の側周面は、Y方向側面に対向する位置に逆Y方向側面を備えることができ、Y方向押圧板状部材はこの逆Y方向側面に当接して逆Y方向(前記Y方向の逆向き)に押圧可能な逆Y当接押部を備えることができる。このように、前記塔部は側周面のY方向側面および逆Y方向側面にそれぞれY当接押部および逆Y当接押部が当接又は近接することにより、Y方向および逆Y方向の移動が強制および制限される。
【0072】
例えば、X方向押圧板状部材は、X方向における塔部の長さより若干大きい(又は所定のクリアランスを備える)開口であって、Y方向における塔部の長さよりかなり大きいY方向に長い長孔を備える板状部材であってもよい。この長孔は、X方向における塔部の長さの0.1%から30%大きいX方向の長さを備えてもよく、この長さを保った直線部(直線状の縁部)を備えてよい。この直線部は、塔部をY方向に移動させる距離に準じて設けることができ、長距離移動させるのであれば、それと同等の長さであることが好ましい。例えば、塔部のY方向長さの10%以上とすることができる。方、Y方向押圧板状部材は、Y方向における塔部の長さより若干大きい(又は所定のクリアランスを備える)開口であって、Y方向における塔部の長さよりかなり大きいX方向に長い長孔を備える板状部材であってもよい。この長孔は、Y方向における塔部の長さの0.1%から30%大きいY方向の長さを備えてもよく、この長さを保った直線部(直線状の縁部)を備えてよい。この直線部は、塔部をX方向に移動させる距離に準じて設けることができ、長距離移動させるのであれば、それと同等の長さであることが好ましい。例えば、塔部のX方向長さの10%以上とすることができる。
【符号の説明】
【0073】
10、10a、10b、10c、10d 移動装置
12 ベース部材 14 低摩擦部材 16 受け部材
18、20 移動部材 22 カバー 24 移動台
30、50、30'、50'、30''、50''、30'''、50'''、 移動機構
32、52 固定ブロック 36、38、56、58 ボルト
67、67a、67b、67c、67d、 側周面 70、80 長孔
90 ジャッキ 200 被移動部材 202 中心線
204 罫書線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
載置されたワークを水平面内のXY方向に移動させる移動装置であって、
平板状の基部および該基部に立設されると共に前記ワークが載置される塔部を有する受け部材と、
X方向長さは前記塔部のX方向長さよりも長く、かつ、Y方向長さは前記塔部のY方向長さと同程度で、前記塔部を挿通可能な第1の開口を有する第1の移動手段と、
Y方向長さは前記塔部のY方向長さよりも長く、かつ、X方向長さは前記塔部のX方向長さと同程度で、前記塔部を挿通可能な第2の開口を有する第2の移動手段と、
前記第1の移動手段の前記Y方向の移動・停止を調整可能に前記第1の移動手段に接続されたY方向調整機構と、
前記第2の移動手段の前記X方向の移動・停止を調整可能に前記第2の移動手段に接続されたX方向調整機構と、を備える移動装置。
【請求項2】
更に、前記受け部材の基部を支持するベース部材を備え、
前記受け部材の塔部は、円塔形状であることを特徴とする請求項1に記載の移動装置。
【請求項3】
前記第1の開口および前記第2の開口は、
前記塔部の側面に当接し、前記塔部を挟んで対向する一対の平行な直線部を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の移動装置。
【請求項4】
前記第1の開口は、前記塔部をY方向両側から挟んで対向する
一対の平行な直線部を含み、
該直線部が前記塔部のY方向両側面に当接し、
前記第2の開口は、前記塔部をX方向両側から挟んで対向する一対の平行な直線部を含み、
該直線部が前記塔部のX方向両側面に当接することを特徴とする請求項1又は2に記載の移動装置。
【請求項5】
前記ベース部材と前記受け部材との間には、低摩擦部材を介在させることを特徴とする請求項2に記載の移動装置。
【請求項6】
前記第1の移動手段は、前記Y方向調整機構と接続される第1の被調整部を備え、
前記第2の移動手段は、前記X方向調整機構と接続される第2の被調整部を備えることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の移動装置。
【請求項7】
前記Y方向調節機構は、
前記ベース部材に固定される第1の固定ブロックと、
前記第1の固定ブロックを基準として前記第1の被調整部に係合しつつ前記第1の被調整部をY方向へ移動する第1ネジ部材と、を含み、
前記X方向調節機構は、
前記第1の固定ブロックが固定される前記ベース部材上の位置と異なる前記ベース部材上の位置に固定される第2の固定ブロックと、
前記第2の固定ブロックを基準として前記第2の被調整部に係合しつつ前記第2の固定ブロックをX方向へ移動する第2ネジ部材と、を含むことを特徴とする請求項6に記載の移動装置。
【請求項8】
前記ベース部材は、前記第1の移動手段および/又は前記第2の移動手段の移動方向をそれぞれガイドするガイド部材を備えることを特徴とする請求項2又は5に記載の移動装置。
【請求項9】
前記ガイド部材は、前記第1の移動手段および/又は前記第2の移動手段の側端部をガイドする部分を備えることを特徴とする請求項8に記載の移動装置。
【請求項10】
前記受け部材は、前記第1の開口の前記Y方向長さおよび前記第2の開口の前記X方向長さよりも大きい載置板を上面に備え、
前記基部は、前記第1の開口の前記Y方向長さおよび前記第2の開口の前記X方向長さよりも大きいことを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の移動装置。
【請求項11】
予め定められた床面の基準位置にワークの所定の位置を大まかに合わせて仮配置し、前記床面と仮置きされた前記ワークの底部との間に、請求項1から10のいずれかに記載の移動装置を前記底部の底面に沿う直線上の対向する離れた2つの位置に第1および第2の移動装置としてそれぞれ挿入して前記ワークの所定の位置を前記基準位置に合わせる移動方法であって、
前記2つの位置に、2つの前記移動装置を前記床面と仮置きされた前記ワークの底部との間に挿入する挿入ステップと、
前記第1の移動装置の前記X方向調整機構および/又は前記Y方向調整機構をロック状態又はフリー状態とすると共に、
前記第2の移動装置の前記X方向調整機構をフリー状態又はロック状態とし、前記Y方向調整機構をフリー状態として前記Y方向に調整する調整ステップと、
前記調整ステップにより前記ワークの所定の位置を前記基準位置と一致させ、前記ワークの底部から2つの前記移動装置を抜き取り、前記床面に配置、固定する配置ステップと、を備えたことを特徴とする移動方法。
【請求項12】
前記底面に沿う前記直線上の離れた2つの位置が、前記ワークの底部の底面のいずれかの対角線上の対向する所定の位置であることを特徴とする請求項11に記載の移動方法。
【請求項13】
前記底面に沿う前記直線上の離れた2つの位置が、前記ワークの底部の底面の中心線上の対向する所定の位置であることを特徴とする請求項11に記載の移動方法。
【請求項14】
床面に置かれたワークと、該床面との間に、該ワークを安定的に支持可能に置かれた請求項1から10のいずれかに記載の移動装置を2以上含む移動装置群。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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