移動装置
【課題】 ローラー装置を用いた移動装置において、ローラーの軸線方向のガタを好適に抑えるとともに、動作抵抗が小さく、ローラーの磨耗の少ない移動装置を提供する。
【解決手段】 支持レール2の案内面2aには、移動体4を案内する案内方向に沿って溝部40が形成され、ローラー6b,7bの外周面には、溝部40内に入り込む、溝部40の深さより低い高さの突周部42が形成され、溝部40および突周部42は、溝部40の両縁部40a,40bと突周部42の両縁部42a,42bとが当接し、突周部42の外側面42cが溝部40の内側面40cに当接しないように、溝部40および突周部42の当接する両縁部において、案内面2aと溝部40の内側面40cとがなす角度θ1が、案内面2aと突周部42の外側面42cとがなす角度θ2より小さくなるよう形成されている。
【解決手段】 支持レール2の案内面2aには、移動体4を案内する案内方向に沿って溝部40が形成され、ローラー6b,7bの外周面には、溝部40内に入り込む、溝部40の深さより低い高さの突周部42が形成され、溝部40および突周部42は、溝部40の両縁部40a,40bと突周部42の両縁部42a,42bとが当接し、突周部42の外側面42cが溝部40の内側面40cに当接しないように、溝部40および突周部42の当接する両縁部において、案内面2aと溝部40の内側面40cとがなす角度θ1が、案内面2aと突周部42の外側面42cとがなす角度θ2より小さくなるよう形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支持レールに案内されて移動可能に設けられた移動体と、支持レールに接触するローラー装置とを備える移動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の移動装置の例としては、特許文献1に記載されているような、移動体(ガイドキャリッジ)と支持レール(ガイドレール)との間にローラー装置(ガイドローラ)を設けた移動装置がある(特許文献1 第1図、段落0037,0074)。
【0003】
特許文献1に記載された移動装置のような、ローラー装置を介して支持レールと移動体とが接する移動装置においては、ローラー装置のローラーの軸線方向のガタを抑えることが困難であるという問題がある。
この点、特許文献1に記載された移動装置においては、支持レールに断面円形ロッドを設け、その断面円形ロッドの外周面の形状に合うように、ローラーが凹面状の周面を有している(特許文献1 第1図、段落0037)。これにより、ローラーの軸線方向の遊びを小さくして、その方向のガタを抑制している。
【特許文献1】特開平7−54843号公報(第1図、段落0037,0074)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された移動装置のように、ローラー装置のローラーを、前記断面円形ロッドの外周面に沿った形状の凹面状に形成すると、図7の断面説明図に示すように、ローラー90の外周面上の位置によって、ローラー90の回転軸線Oからの距離(半径)が、r1,r2のように異なる。したがって、移動体の直動に伴ってローラー90が所定の角速度で回転した際、ローラー90の外周面上の位置によって、その周速に差ができ、支持レール(断面円形ロッド)92との相対速度が異なる。そのため、ローラー90の外周面上に、支持レール(断面円形ロッド)92との間でスリップを起こす位置が存在し、動作抵抗が大きくなるとともに、ローラー90や支持レール92の過度な磨耗を引き起こすという課題がある。
【0005】
そこで、本発明は上記課題を解決すべくなされ、その目的とするところは、ローラー装置を用いた移動装置において、ローラーの軸線方向のガタを好適に抑えるとともに、動作抵抗が小さく、ローラーの磨耗の少ない移動装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る移動装置は、上記課題を解決するために、以下の構成を備える。すなわち、基体に固定された支持レールと、該支持レールに案内されて移動可能に設けられた移動体と、前記支持レールの案内面に接触して、案内面上を転がるローラーを有するローラー装置と、前記移動体に設けられ、前記ローラー装置を前記支持レールに向けて所要力で常時押圧する予圧手段とを備える移動装置において、前記支持レールの前記案内面には、前記移動体を案内する案内方向に沿って溝部が形成され、前記ローラーの外周面には、前記溝部内に入り込む、溝部の深さより低い高さの突周部が形成され、前記溝部および前記突周部は、前記溝部の両縁部と前記突周部の両縁部とが当接し、前記突周部の外側面が前記溝部の内側面に当接しないように、溝部および突周部の当接する前記両縁部において、前記案内面と溝部の内側面とがなす角度が、案内面と突周部の外側面とがなす角度より小さくなるよう形成されていることを特徴とする。
これによれば、支持レールの溝部およびローラーの突周部が、両者の両縁部同士で当接し、突周部の外側面が溝部の内側面に当接しないよう形成されている。したがって、支持レールとローラーとは、溝部と突周部との両縁部同士、および、支持レールの案内面とローラーの外周面とでのみ当接するから、当接部のローラーの回転軸線からの距離(半径)が均一となって、ローラーと支持レールとの間でローラーの外周面の周速差に起因するスリップが起こることがない。なおかつ、溝部と突周部との両縁部同士が当接していることから、ローラーの軸線方向のガタは好適に抑えられる。
【0007】
また、基体に固定された支持レールと、該支持レールに案内されて移動可能に設けられた移動体と、前記支持レールの案内面に接触して、案内面上を転がるローラーを有するローラー装置と、前記移動体に設けられ、前記ローラー装置を前記支持レールに向けて所要力で常時押圧する予圧手段とを備える移動装置において、前記支持レールの前記案内面には、前記移動体を案内する案内方向に沿って突条部が形成され、前記ローラーの外周面には、前記突条部が入り込む、突条部の高さより深い溝部が形成され、前記突条部および前記溝部は、前記突条部の両縁部と前記溝部の両縁部とが当接し、前記突条部の外側面が前記溝部の内側面に当接しないように、突条部および溝部の当接する前記両縁部において、前記案内面と溝部の内側面とがなす角度が、案内面と突条部の外側面とがなす角度より小さくなるよう形成されていることを特徴とする。
これによれば、支持レールの突条部およびローラーの溝部が、両者の両縁部同士で当接し、突条部の外側面が溝部の内側面に当接しないよう形成されている。したがって、支持レールとローラーとは、突条部と溝部との両縁部同士、および、支持レールの案内面とローラーの外周面とでのみ当接するから、当接部のローラーの回転軸線からの距離(半径)が均一となって、ローラーと支持レールとの間でローラーの外周面の周速差に起因するスリップが起こることがない。なおかつ、突条部と溝部との両縁部同士が当接していることから、ローラーの軸線方向のガタは好適に抑えられる。
【0008】
また、前記予圧手段は、前記ローラー装置を前記支持レールに向けて付勢する付勢部材と、前記ローラー装置を前記支持レールから離間する方向には移動させない逆止手段とを有することを特徴とする。
これによれば、予圧手段は、付勢部材の付勢力によってローラー装置を支持レールに押圧して予圧を与える。また、摩耗等により支持レールと接触体との間にクリアランスが発生した場合には、付勢部材の付勢力によりローラー装置が支持レールに向かって移動してそのクリアランスを埋める。その一方、支持レールからローラー装置に、付勢部材の付勢力に抗して逆行する力が掛かった際には、逆止手段により、ローラー装置の逆行が抑止される。
【0009】
また、前記支持レールは、アルミニウムを主成分とする金属から成り、前記ローラーは、合成樹脂材から成ることを特徴とする。
これによれば、支持レールの材質がローラーの材質より硬質であるため、支持レールの磨耗を少なくできるとともに、ローラーは粘りのある材質であるために減りにくい。
本願発明者は、各種の材料の組み合わせにより実験を繰り返した結果、支持レールとローラーに同程度の硬度をもつ材料を選択した場合に比較して、支持レールをアルミニウムを主成分とする金属で構成し、ローラーを合成樹脂によって構成する組み合わせによれば、両者の磨耗を小さく抑えられることを見出した。
【0010】
また、前記支持レールは、アルミニウムを主成分とする金属を押し出し成型することにより形成されていることを特徴とする。
これによれば、支持レールを簡単かつ安価に構成できる。
成型精度の低い押し出し成型により支持レールを形成しても、特に前記予圧手段との組み合わせによれば、支持レールとローラー装置との間のクリアランスは好適に埋められ、ガタを抑えることができる。
【0011】
また、基体に設けられたローラー装置と、該ローラー装置のローラーに接触する案内面を有し、ローラー装置に案内されて移動可能に設けられたレール状の移動体と、前記基体に設けられ、前記ローラー装置を前記移動体に向けて所要力で常時押圧する予圧装置とを備える移動装置において、前記移動体の前記案内面には、前記ローラー装置による案内方向に沿って溝部が形成され、前記ローラーの外周面には、前記溝部内に入り込む、溝部の深さより低い高さの突周部が形成され、前記溝部および前記突周部は、前記溝部の両縁部と前記突周部の両縁部とが当接し、前記突周部の外側面が前記溝部の内側面に当接しないように、溝部および突周部の当接する前記両縁部において、前記案内面と溝部の内側面とがなす角度が、案内面と突周部の外側面とがなす角度より小さくなるよう形成されていることを特徴とする。
これによれば、移動体の溝部およびローラーの突周部が、両者の両縁部同士で当接し、突周部の外側面が溝部の内側面に当接しないよう形成されている。したがって、移動体とローラーとは、溝部と突周部との両縁部同士、および、移動体の案内面とローラーの外周面とでのみ当接するから、当接部のローラーの回転軸線からの距離(半径)が均一となって、ローラーと移動体との間でローラーの外周面の周速差に起因するスリップが起こることがない。なおかつ、溝部と突周部との両縁部同士が当接していることから、ローラーの軸線方向のガタは好適に抑えられる。
【0012】
また、基体に設けられたローラー装置と、該ローラー装置のローラーに接触する案内面を有し、ローラー装置に案内されて移動可能に設けられたレール状の移動体と、前記基体に設けられ、前記ローラー装置を前記移動体に向けて所要力で常時押圧する予圧装置とを備える移動装置において、前記移動体の前記案内面には、前記ローラー装置による案内方向に沿って突条部が形成され、前記ローラーの外周面には、前記突条部が入り込む、突条部の高さより深い溝部が形成され、前記突条部および前記溝部は、前記突条部の両縁部と前記溝部の両縁部とが当接し、前記突条部の外側面が前記溝部の内側面に当接しないように、突条部および溝部の当接する前記両縁部において、前記案内面と溝部の内側面とがなす角度が、案内面と突条部の外側面とがなす角度より小さくなるよう形成されていることを特徴とする。
これによれば、移動体の突条部およびローラーの溝部が、両者の両縁部同士で当接し、突条部の外側面が溝部の内側面に当接しないよう形成されている。したがって、移動体とローラーとは、突条部と溝部との両縁部同士、および、移動体の案内面とローラーの外周面とでのみ当接するから、当接部のローラーの回転軸線からの距離(半径)が均一となって、ローラーと移動体との間でローラーの外周面の周速差に起因するスリップが起こることがない。なおかつ、突条部と溝部との両縁部同士が当接していることから、ローラーの軸線方向のガタは好適に抑えられる。
【0013】
また、前記予圧手段は、前記ローラー装置を前記移動体に向けて付勢する付勢部材と、前記ローラー装置を前記移動体から離間する方向には移動させない逆止手段とを有することを特徴とする。
これによれば、予圧手段は、付勢部材の付勢力によってローラー装置を移動体に押圧して予圧を与える。また、摩耗等により移動体と接触体との間にクリアランスが発生した場合には、付勢部材の付勢力によりローラー装置が移動体に向かって移動してそのクリアランスを埋める。その一方、移動体からローラー装置に、付勢部材の付勢力に抗して逆行する力が掛かった際には、逆止手段により、ローラー装置の逆行が抑止される。
【0014】
また、前記移動体は、アルミニウムを主成分とする金属から成り、前記ローラーは、合成樹脂材から成ることを特徴とする。
これによれば、移動体の材質がローラーの材質より硬質であるため、移動体の磨耗を少なくできるとともに、ローラーは粘りのある材質であるために減りにくい。
本願発明者は、各種の材料の組み合わせにより実験を繰り返した結果、移動体とローラーに同程度の硬度をもつ材料を選択した場合に比較して、移動体をアルミニウムを主成分とする金属で構成し、ローラーを合成樹脂によって構成する組み合わせによれば、両者の磨耗を小さく抑えられることを見出した。
【0015】
また、前記移動体は、アルミニウムを主成分とする金属を押し出し成型することにより形成されていることを特徴とする。
これによれば、移動体を簡単かつ安価に構成できる。
成型精度の低い押し出し成型により移動体を形成しても、特に前記予圧手段との組み合わせによれば、移動体とローラー装置との間のクリアランスは好適に埋められ、ガタを抑えることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の移動装置によれば、ローラーの軸線方向のガタを好適に抑えられるとともに、動作抵抗が小さく、ローラーの磨耗を少なく抑えることができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明に係る移動装置を実施するための最良の形態を、添付図面に基づいて詳細に説明する。
【0018】
図1は、本実施の形態に係る移動装置を備える樹脂成型品の取り出し装置Aの斜視説明図である。図2は、樹脂成型品の取り出し装置Aの水平移動装置(後述)を、水平支持レール(後述)の長手方向から見た部分拡大図である。
【0019】
樹脂成型品の取り出し装置Aは、基体1と、樹脂成型品を挟んで把持するための、開閉制御自在に設けられたチャック部50と、チャック部50を水平方向および鉛直方向にそれぞれ往復移動制御する水平移動装置および鉛直移動装置とを備える。
【0020】
(水平移動装置)
水平移動装置は、基体1に、長手方向が水平となるよう取り付けられた水平支持レール2と、水平支持レール2に案内されて移動可能に設けられた水平移動体4と、水平支持レール2の上下面に形成された案内面2aに接触して、案内面2a上を転がるローラー6b,7bを有するローラー装置6,7(図2参照)と、水平移動体4に設けられ、ローラー装置7を水平支持レール2に所要力で常時押圧する予圧手段としての予圧装置8とを備える。
【0021】
水平支持レール2は、アルミニウムを主成分とするアルミニウム合金を押し出し成型することで形成されている。
【0022】
ローラー装置6,7は、図2に示すように、板状の水平移動体4に固定された基部6a,7aと、基部6a,7aに対して回転可能に設けられ、水平支持レール2の案内面2aに当接するローラー6b,7bとから成る。ローラー6b,7bは、樹脂によって構成され、内部にボールベアリング軸受等を有し、スムーズに回転することができる。
ローラー装置6は、水平支持レール2の進行方向前後に二つ設けられ、ローラー装置7は、二つのローラー装置6の中間付近の、水平支持レール2に対して反対側に設けられる。
【0023】
予圧装置8は、図2に示すように、水平移動装置4にロッド4aを介して固定された板部材4bに固定される。予圧装置8にはローラー装置7が取り付けられる。予圧装置8は、板部材4bに形成された開口部を貫通するよう配設され、取付部8aを介して板部材4bにビス止め等の取り付け手段により固定されている。
【0024】
(鉛直移動装置)
鉛直移動装置は、水平移動体4上に設けられる。すなわち、水平移動体4が、鉛直移動装置の基体となっている。
鉛直移動装置においては、水平移動装置における水平支持レール2と同形状のレール状の部材52が、鉛直方向に移動する鉛直移動体となっている。すなわち、鉛直移動装置の構成は、前記水平移動装置とほぼ同様であるが、それぞれの基体に固定される部材と移動する部材(移動体)の関係が逆になっているものである。
【0025】
鉛直移動装置は、その基体としての水平移動体4に設けられた、ローラーを有するローラー装置56,57と、そのローラーに接触する案内面52aを有し、ローラー装置56,57に案内されて移動可能に設けられたレール状の鉛直移動体52と、基体としての水平移動体4に設けられ、ローラー装置56,57を鉛直移動体52に向けて所要力で常時押圧する図示しない予圧装置とを備える。
この鉛直移動装置においては、鉛直移動装置の基体としての水平移動体4上にローラー装置56,57が設けられ、レール状の鉛直移動体52が、ローラー装置56,57に案内されて、水平移動体4に対して鉛直方向に移動するよう設けられている。
【0026】
鉛直移動装置の構成は、水平移動装置と比較して、それぞれの基体に固定される部材と移動する部材(移動体)の関係が逆になっているものであり、その他の構成は実質的に同一のものであるから、以降、水平移動装置の構成についてのみ説明する。
【0027】
(溝部、突周部)
次に、本願発明の特徴である、水平支持レール2に形成された溝部と、ローラー装置6,7のローラー6b,7bに形成された突周部について、図3を用いて説明する。図3は、水平支持レール2とローラー7b(もしくはローラー6b)との当接部分の拡大図である。
【0028】
水平支持レール2の案内面2aには、水平移動体4を案内する案内方向に沿って複数の溝部40が形成されている。他方、ローラー7bの外周面には、溝部40内に入り込む、溝部40の深さより低い高さの複数の突周部42が形成されている。
【0029】
溝部40および突周部42は、溝部40の両縁部40a,40bと突周部42の両縁部42a,42bとが当接するよう、同幅に形成される。
本願明細書および特許請求の範囲において、溝部40の縁部40a,40bとは、溝部40の開口縁部である。突周部42の縁部42a,42bとは、突周部42の隆起が始まる根本の縁部である。
【0030】
さらに、溝部40および突周部42は、突周部42の外側面42cが溝部40の内側面40cに当接しないように、溝部40および突周部42の当接する両縁部40a,40bおよび両縁部42a,42bにおいて、案内面2aと溝部40の内側面40cとがなす角度θ1が、案内面2aと突周部42の外側面42cとがなす角度θ2より小さくなるよう形成されている。突周部42の外側面42cは、溝部40の内側面40cの形状に対して先細りに形成されて、突周部42の外側面42cが溝部40の内側面40cに当接しないようにされている。
【0031】
なお、溝部40および突周部42の形状は、必ずしも、本実施の形態のように断面縁部が直線状となるよう形成する必要はない。
溝部および突周部は、溝部の両縁部と突周部の両縁部とが当接するよう形成されるとともに、突周部の外側面が溝部の内側面に当接しないように、案内面2aと溝部の内側面とがなす角度が、案内面2aと突周部の外側面とがなす角度より小さくなるよう形成されていればよい。
例えば溝部または突周部の断面縁部が、円弧状等に形成されていてもよい。
【0032】
(予圧装置)
次に、予圧装置8の構成について詳述する。
図4(a),(b)は予圧装置8および予圧装置8に取り付けられたローラー装置7の斜視図であり、図5はその側断面図であり、図6はそのX−X断面図である(図4においては、突周部42は省略されている)。
【0033】
予圧装置8は、図4(a),(b)および図5に示すように、水平移動体4に予圧装置8を取り付けるための前記取付部8aと、取付部8aに固定されたほぼ円筒状の本体12と、本体12に同軸に挿入され、ベアリング11を介して本体12に対して回動可能に設けられた、回動体としてのロッド10と、本体12内に同軸に配設され、ロッド10が挿入された、対向部としてのフランジ部材13と、ロッド10とは独立に相対回転可能に設けられた解除部材14と、一端18aが解除部材14に連繋され、他端18bがロッド10に連繋されて、ロッド10を本体12(水平移動体4)に対して所定の方向に回動させるよう付勢する第一付勢部材としての渦巻ばね18と、本体12とロッド10との間に、両者に接するよう配設された三つの球状部材20,20,20とを有する。
【0034】
図5に示すように、ローラー装置7は、予圧装置8のロッド10に固定された基部7aと、基部7aに対して、ベアリング7cを介して回転可能に設けられ、支持レール2の前記コの字部2aの内天井面に当接するローラー7bとから成る。
【0035】
ローラー装置7は、その基部7aから、ローラー7bの回転軸線aに沿って延びるボルト部7dが、ロッド10の一端面に設けられたメスねじ部10dに螺合されて、ロッド10に取り付けられる。ローラー装置7は、その回転軸線aが、ロッド10が回動する際の回動軸線b(ロッド10の軸線)から偏心した位置に来るよう、ロッド10に取り付けられる。これにより、ロッド10が回動することにより、ローラー装置7が、その軸線aとは偏心した回動軸線bを中心に回動され、支持レール2の案内面2aに対し接離動することになる。
ロッド10は、初期状態においてはローラー装置7が上方へ移動可能な状態(ローラー装置7が最も上側に位置しない状態)となる回転角度に設定され、予圧装置8は、この状態で、ローラー7bが支持レール2の案内面2aに当接するよう、脚部4a上に配置されて固定されている。そして、ロッド10が所定方向に回動することで、ローラー装置7が上昇して、支持レール2の案内面2aに圧接される。
【0036】
本体12は、その外周部において取付部8aに固定される。取付部8aが水平移動体4の脚部4aに固定されることで、本体12も水平移動体4に対して固定される。
本体12とロッド10との間には、ベアリング11が設けられ、ロッド10は本体12の中でスムーズに回動可能となっている。
【0037】
フランジ部材13は、ロッド10が挿入され、本体12およびロッド10のそれぞれに対して独立して相対回転可能に設けられる。
フランジ部材13は、一端側が、ロッド10に沿って延びる小径部13aに形成され、他端側は、その外周壁が本体12の内周に接し、その内側はロッド10との間に所定の間隙を形成する中空状となる大径部13bに形成される。本体12には、フランジ部材13の小径部13aと大径部13bとを結ぶ段差部13cに沿って、内側に突出する段差部10aが形成される。段差部10aの、フランジ部材13との対向壁には、ラチェット爪16が固定される。フランジ部材13のラチェット爪16の当接面(球状部材20が配される中空部の反対面)には、ラチェット爪16が引っ掛かる複数の凹凸部13dが設けられ、ラチェット爪16と凹凸部13dから成るラチェット機構(逆止機構)により、フランジ部材13は所定回転方向(図6における右回転方向)にのみ回転可能となっている。
【0038】
また、フランジ部材13の大径部13bのロッド10との対向面13eとロッド10との間には、両者に接するよう、球状部材20が配設されている。フランジ部材13の大径部13bの前記対向面13eは、図6に示すように、フランジ部材13の前記回転可能な方向(図6中では右回転方向)に沿って、ロッド10の外周面との距離が次第に連続的に離間するよう形成されている。また、ロッド10の外周面には、各球状部材20,20の外面に沿って当接する溝部30が、周方向に形成される。
【0039】
また、図6に示すように、球状部材20は、一端が球状部材20に当接し、他端がフランジ部材13の内周壁の段差部13fに支持された第二付勢部材としてのスプリング36により、フランジ部材13の前記回転可能な方向の逆方向(ロッド10の外周面とフランジ部材13の対向面13eとの距離が狭くなる方向。図6中では左回転方向)に付勢されている。
【0040】
球状部材20およびスプリング36は、図6に示すように、ロッド10の周方向に、互いに120°ずつの間隔をあけて、三組設けられる。
【0041】
上記構成によれば、ロッド10は、フランジ部材13に対し、図6中の右回転方向には自由に回動できるが、その逆方向の回転力が生じた際には、球状部材20が接するロッド10とフランジ部材13の対向面13eとの間隔が、前記逆方向に向かって狭く形成されていることから、ロッド10とフランジ部材13との間に球状部材20が挟まって、球状部材20との摩擦力によって前記逆方向の回動が抑止される(逆止手段)。
【0042】
図5に示すように、解除部材14は、ロッド10に同軸に挿通されるフランジ状に形成されて、フランジ部材13とロッド10の軸線方向の軸線方向に隣接して配設され、ロッド10とは独立に相対回転可能に設けられる。解除部材14の一端部は本体12から突出して設けられ、ユーザーは解除部材14を回転操作することができる。
解除部材14の、フランジ部材13の反対側には、解除部材14の中空部14cを塞ぐキャップ22が設けられる。また、キャップ22の外面側には、フランジ部材13、解除部材14、およびキャップ22がロッド10から抜け落ちるのを防ぐ留金24が設けられる。キャップ22および留金24は、それぞれロッド10および/または解除部材14に対して相対回転可能に設けられており、解除部材14のロッド10に対する相対回転を妨げない。
【0043】
フランジ部材13と解除部材14とは、解除部材14のフランジ部材13側に形成された凹部14bと、凹部14b内に進入するフランジ部材13の突部13gとにより係合される。凹部14bと突部13gとは、その周方向に若干の遊びが形成されて、所定角度だけ互いに相対回動可能に設けられている。
解除部材14には、ロッド10に沿って、フランジ部材13側に向かって延びる押接部14aが形成されている。図6に示すように、押接部14aは、各球状部材20の間にそれぞれ進入するよう設けられる。解除部材14が、ユーザーにより、ロッド10の外周面とフランジ部材13の対向面13eとの距離が広くなる方向と同方向、すなわち図6中では右回転方向に回動されることにより、押接部14aが球状部材20をスプリング36の付勢力に抗して移動させることができる(解除手段)。互いに係合されたフランジ部材13と解除部材14との間の周方向の前記遊びは、押接部14aが球状部材20を押圧できる程度に設定される。そして、押接部14aが球状部材20を押圧して、なおも前記遊びの範囲を超えてユーザーにより解除部材14が同回転方向に回転された場合には、前記突部13gと凹部14bとの係合により、解除部材14とフランジ部材13は一体回転する。
【0044】
解除部材14の押接部14aで、球状部材20をスプリング36の付勢力に抗して移動させることによれば、ロッド10に、フランジ部材13に対して前記逆方向に回動する力が掛かった際、ロッド10とフランジ部材13との間に球状部材20が挟まることがないため、ロッド10の前記逆方向の回動が抑止されることがなくなり、ロッド10の前記逆方向の回動の抑止が解除される(これが解除手段の作用である)。
【0045】
図5に示すように、渦巻ばね18の一端18aは、直線状に形成され、ロッド10の軸線方向に形成された切り込み部10bにはめ込まれて、ロッド10に連繋される。渦巻ばね18の他端18bは、直線状に形成され、解除部材14の軸線方向に形成された溝部14dにはめ込まれて、解除部材14に連繋される。解除部材14とフランジ部材13とは、前述の通り凹部14bと突部13gとにより係合されているため、渦巻ばね18の付勢力は、フランジ部材13とロッド10との間に働くことになる。
【0046】
次に予圧装置8の初期設定方法につき説明する。
まず、ユーザーは、解除部材14を、ロッド10の外周面とフランジ部材13の対向面13eとの距離が広くなる方向と同方向、すなわち図6中での右回転方向に回転させる。この操作によれば、まず解除部材14の押接部14aが、前記凹部14bと突部13gとの遊びの範囲で、フランジ部材13に対して右回転方向に回動されて、球状部材20を押圧する。そして、球状部材20が移動されて、ロッド10のフランジ部材13に対する前記逆方向の回動の抑止が解除される。
【0047】
その後、ユーザーによる解除部材14のさらなる回転操作により、前記凹部14bと突部13gとにより係合されたフランジ部材13が、解除部材14と共に一体回転されるとともに、解除部材14に連繋された渦巻ばね18を介して、ロッド10にも解除部材14と同方向の回転力が生じる。
そして、ロッド10の回動に伴って、ロッド10の回動軸に対して偏心して取り付けられたローラー装置7が上昇され、ローラー7bが支持レール2の案内面2aに当接する。
ローラー装置7が支持レール2に当接してロッド10がこれ以上は同方向に回動できないこの状態で、さらに解除部材14を回転させれば、渦巻ばね18が巻かれて、ロッド10に対し、同方向への付勢力が印加される。
【0048】
そして、ユーザーが解除部材14の回転操作を止めて解除部材14を放すと、巻かれた渦巻ばね18の付勢力により、解除部材14には、解除部材14回転操作した回転方向(右回転方向)とは逆方向の回転力が働く。この力により、解除部材14はその逆方向に回動されて、押接部14aが球状部材20から離れる。すると、球状部材20は、スプリング20の付勢力によって、ロッド10の外周面とフランジ部材13の対向面13eとの両者に接する位置に復帰する。これにより、ロッド10がフランジ部材13に対して前記逆方向に回動することが抑止される(逆止手段)。
【0049】
また、解除部材14が前記遊びの分だけ前記逆方向に回転した後には、渦巻ばね18の前記逆方向の付勢力は、解除部材14を介して、解除部材14に係合されたフランジ部材13に対して働く。しかし、フランジ部材13は、前記ラチェット機構により、当該逆方向の回転が抑止されているため、当該逆方向に回動することがない(逆止手段)。
したがって、渦巻ばね18の付勢力は、ロッド10を前記回転方向へ回動させる力として働き、ローラー装置7を介して、支持レール2に対して予圧が与えられることになる。
【0050】
本実施の形態に係る水平移動装置によれば、摩耗等により支持レール2の案内面2aとローラー装置7のローラー7bとの間にクリアランスが発生した場合には、渦巻ばね18の付勢力によりロッド10およびローラー装置7が回動されてローラー装置7が移動(上昇)してそのクリアランスを埋める。その一方、水平移動体4の移動時に、支持レール2からローラー装置7を押圧する力が掛かった際には、球状部材20が接するロッド10とフランジ部材13との間がロッド10の付勢方向の逆方向に向かうにしたがって狭く形成されていることから、ロッド10とフランジ部材13との間に球状部材20が挟まって、球状部材20との摩擦力によってロッド10の逆回動が抑止される。
【0051】
このように、摩耗等により発生する支持レール2とローラー装置7との間のクリアランスは、ロッド10の回動により好適に埋められるとともに、ロッド10が逆回動しないため、水平移動体4の移動時に支持レール2からローラー装置7に大きな力が掛かっても、ローラー装置7と支持レール2との間にクリアランスが生じることがなく、したがってガタが生じることがない。また、渦巻ばね18によって与える予圧力は、摩耗等により発生する支持レール2とローラー7bとの間のクリアランスを埋めるべくロッド10を回動させる力だけで十分であるため、渦巻ばね18の付勢力(予圧力)を、水平移動体4に掛かり得る最大力に対抗できるほど大きくする必要がない。
【0052】
また、球状部材20は、スプリング36に押圧されることで常時ロッド10およびフランジ部材13に当接する位置に維持されるため、ロッド10に渦巻ばね18の付勢力とは逆行する力が掛かった際に、ロッド10の逆回動を遊びなく即座に規制することができる。
【0053】
また、球状部材20は、ロッド10の外周の周方向に複数(本実施の形態では三つ)並べられて配設されているため、ロッド10に渦巻ばね18の付勢力に逆行する力が掛かった際に、球状部材20とロッド10およびフランジ部材13との間に掛かる力が、複数の球状部材20に分散される。したがって、個々の球状部材20と、ロッド10およびフランジ部材13との間に掛かる力が分散されて、それらの損傷や過度の食い付きを抑えて、安定した駆動を行うことができる。
【0054】
また、渦巻ばね18の前記他端18bが、解除部材14を介してフランジ部材13に連繋されていることから、解除部材14を介してフランジ部材13を前記回動方向に回す操作を行うことで、渦巻ばね18を巻いて、ロッド10に渦巻ばね18の付勢力を作用させることができる。
また、解除部材14の押接部14aにより球状部材20を前記回動方向へ移動させることで、回動体の回動の規制を解除することができる。
さらには、フランジ部材13は、解除部材14が回動された際、所定の遊びを介して解除部材14と一体回転されるよう解除部材と係合されている。
このため、解除部材14を前記回動方向に回す操作を行うことで、ロッド10の逆止抑制を解除でき、さらに解除部材14を回すことで渦巻ばね18を巻くことができる。また、渦巻ばね18の付勢力は、解除部材14に対しては、前記回動方向の逆方向に作用するため、解除部材14が操作されていないときには解除部材14の押接部14aが球状部材20を押圧しない位置に待機させることができる。
この構成により、本実施の形態に係る水平移動装置の予圧装置8は、操作性およびメンテナンス性に優れている。
【0055】
なお、本実施の形態においては、予圧装置8の回動体としてのロッド10が、直接、接触体としてのローラー装置7に連結されているが、この構成に限定されない。
例えば、回動体と接触体との間に、他の伝達部材を設けて、伝達部材を介して間接的に接触体を押圧するよう構成しても良い。
【0056】
さらに、本実施の形態に係る水平移動装置は、水平支持レール2の溝部40とローラー6b,7bの突周部42とにより、以下の作用効果を奏する。
すなわち、水平支持レール2の溝部40およびローラー6b,7bの突周部42が、両者の両縁部40a,40bおよび両縁部42a,42b同士で当接し、突周部42の外側面42cが溝部40の内側面40cに当接しないよう形成されている。したがって、水平支持レール2とローラー6b,7bとは、溝部40と突周部42との前記両縁部40a,40b,42a,42b同士、および、水平支持レール2の案内面2aとローラー6b,7bの外周面とでのみ当接する。したがって、その当接部分のローラー6b,7bの回転軸線からの距離(半径)が均一となるため、特許文献1記載の従来の移動装置と異なり、ローラー6b,7bと水平支持レール2との間でローラー6b,7bの外周面の周速差に起因するスリップが起こることがなく、動作抵抗を小さく、かつローラー6b,7bの磨耗を少なく抑えることができる。なおかつ、溝部40と突周部42との両縁部40a,40b,42a,42b同士が当接していることから、ローラー6b,7bの軸線方向のガタは好適に抑えられる。
【0057】
特に、予圧装置8の逆止手段の作用により、ローラー6b,7bと水平支持レール2とが離間することがないため、突周部42の前記角度θ2を緩やかに形成しても、溝部40の縁部が突周部42に乗り上げてしまうようなことがなく、突周部42の外側面42cと溝部40の内側面40cとが当接せずに動作抵抗や磨耗を抑えることができる。
【0058】
また、溝部40および突周部42が複数組設けられているため、水平支持レール2とローラー6b,7bとの間に係る、ローラー6b,7bの軸線方向の力が、前記両縁部40a,40b,42a,42bに分散されて掛かるため、ローラー6b,7bに無理な力が掛かって破損等をすることがない。
【0059】
なお、本実施の形態における溝部40と突周部42との構成を逆転させて、水平支持レール2の溝部40に替えてローラー6b,7bに溝部を形成し、ローラー6b,7bの突周部42に替えて水平支持レール2に突条部を設けても、同様の作用効果を得ることができることはもちろんである。
【0060】
また、前記鉛直移動装置においても、本水平移動装置と同様の作用効果を得ることができることはいうまでもない。
【0061】
そして、この水平移動装置および鉛直移動装置を採用したことにより、本実施の形態に係る樹脂成型品の取り出し装置Aは、チャック部50をガタなく、かつ動作抵抗が小さい状態で移動させることができ、樹脂成型品を好適に取り出すことができる。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明は、樹脂成型品の取り出し装置における移動装置のみならず、支持レールに案内されて移動する移動体、またはローラー装置に案内されて移動するレール状の移動体を備えるあらゆる移動装置に適用することが可能である。
また、直線軌道上を移動する移動装置に限らず、例えば、曲がった支持レールを採用すれば、移動体を曲線運動させることが可能な移動装置を構成することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明に係る移動装置を採用した樹脂成型品の取り出し装置Aの斜視図である。
【図2】樹脂成型品の取り出し装置Aの部分拡大図である。
【図3】支持レールとローラーとの当接部分の拡大図である。
【図4】予圧装置の斜視図である。
【図5】予圧装置および接触体の側断面図である。
【図6】予圧装置のX−X断面図である。
【図7】従来の移動装置における支持レールとローラーとの当接部分の拡大図である。
【符号の説明】
【0064】
A 直動装置
2 支持レール
4 移動体
5 モータ(駆動装置)
6 ローラー装置(接触体)
7 ローラー装置(接触体)
8 予圧装置
10 ロッド(回動体)
12 予圧装置の本体
13 フランジ部材(対向部)
13e 対向面
13d 凹凸部
14 解除部材(解除手段)
14a 押接部
18 渦巻ばね(第一付勢部材)
20 球状部材
30 溝部
36 スプリング(第二付勢部材)
a ローラー装置の回転軸線
b ロッド(回動体)の回動軸線
【技術分野】
【0001】
本発明は、支持レールに案内されて移動可能に設けられた移動体と、支持レールに接触するローラー装置とを備える移動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の移動装置の例としては、特許文献1に記載されているような、移動体(ガイドキャリッジ)と支持レール(ガイドレール)との間にローラー装置(ガイドローラ)を設けた移動装置がある(特許文献1 第1図、段落0037,0074)。
【0003】
特許文献1に記載された移動装置のような、ローラー装置を介して支持レールと移動体とが接する移動装置においては、ローラー装置のローラーの軸線方向のガタを抑えることが困難であるという問題がある。
この点、特許文献1に記載された移動装置においては、支持レールに断面円形ロッドを設け、その断面円形ロッドの外周面の形状に合うように、ローラーが凹面状の周面を有している(特許文献1 第1図、段落0037)。これにより、ローラーの軸線方向の遊びを小さくして、その方向のガタを抑制している。
【特許文献1】特開平7−54843号公報(第1図、段落0037,0074)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された移動装置のように、ローラー装置のローラーを、前記断面円形ロッドの外周面に沿った形状の凹面状に形成すると、図7の断面説明図に示すように、ローラー90の外周面上の位置によって、ローラー90の回転軸線Oからの距離(半径)が、r1,r2のように異なる。したがって、移動体の直動に伴ってローラー90が所定の角速度で回転した際、ローラー90の外周面上の位置によって、その周速に差ができ、支持レール(断面円形ロッド)92との相対速度が異なる。そのため、ローラー90の外周面上に、支持レール(断面円形ロッド)92との間でスリップを起こす位置が存在し、動作抵抗が大きくなるとともに、ローラー90や支持レール92の過度な磨耗を引き起こすという課題がある。
【0005】
そこで、本発明は上記課題を解決すべくなされ、その目的とするところは、ローラー装置を用いた移動装置において、ローラーの軸線方向のガタを好適に抑えるとともに、動作抵抗が小さく、ローラーの磨耗の少ない移動装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る移動装置は、上記課題を解決するために、以下の構成を備える。すなわち、基体に固定された支持レールと、該支持レールに案内されて移動可能に設けられた移動体と、前記支持レールの案内面に接触して、案内面上を転がるローラーを有するローラー装置と、前記移動体に設けられ、前記ローラー装置を前記支持レールに向けて所要力で常時押圧する予圧手段とを備える移動装置において、前記支持レールの前記案内面には、前記移動体を案内する案内方向に沿って溝部が形成され、前記ローラーの外周面には、前記溝部内に入り込む、溝部の深さより低い高さの突周部が形成され、前記溝部および前記突周部は、前記溝部の両縁部と前記突周部の両縁部とが当接し、前記突周部の外側面が前記溝部の内側面に当接しないように、溝部および突周部の当接する前記両縁部において、前記案内面と溝部の内側面とがなす角度が、案内面と突周部の外側面とがなす角度より小さくなるよう形成されていることを特徴とする。
これによれば、支持レールの溝部およびローラーの突周部が、両者の両縁部同士で当接し、突周部の外側面が溝部の内側面に当接しないよう形成されている。したがって、支持レールとローラーとは、溝部と突周部との両縁部同士、および、支持レールの案内面とローラーの外周面とでのみ当接するから、当接部のローラーの回転軸線からの距離(半径)が均一となって、ローラーと支持レールとの間でローラーの外周面の周速差に起因するスリップが起こることがない。なおかつ、溝部と突周部との両縁部同士が当接していることから、ローラーの軸線方向のガタは好適に抑えられる。
【0007】
また、基体に固定された支持レールと、該支持レールに案内されて移動可能に設けられた移動体と、前記支持レールの案内面に接触して、案内面上を転がるローラーを有するローラー装置と、前記移動体に設けられ、前記ローラー装置を前記支持レールに向けて所要力で常時押圧する予圧手段とを備える移動装置において、前記支持レールの前記案内面には、前記移動体を案内する案内方向に沿って突条部が形成され、前記ローラーの外周面には、前記突条部が入り込む、突条部の高さより深い溝部が形成され、前記突条部および前記溝部は、前記突条部の両縁部と前記溝部の両縁部とが当接し、前記突条部の外側面が前記溝部の内側面に当接しないように、突条部および溝部の当接する前記両縁部において、前記案内面と溝部の内側面とがなす角度が、案内面と突条部の外側面とがなす角度より小さくなるよう形成されていることを特徴とする。
これによれば、支持レールの突条部およびローラーの溝部が、両者の両縁部同士で当接し、突条部の外側面が溝部の内側面に当接しないよう形成されている。したがって、支持レールとローラーとは、突条部と溝部との両縁部同士、および、支持レールの案内面とローラーの外周面とでのみ当接するから、当接部のローラーの回転軸線からの距離(半径)が均一となって、ローラーと支持レールとの間でローラーの外周面の周速差に起因するスリップが起こることがない。なおかつ、突条部と溝部との両縁部同士が当接していることから、ローラーの軸線方向のガタは好適に抑えられる。
【0008】
また、前記予圧手段は、前記ローラー装置を前記支持レールに向けて付勢する付勢部材と、前記ローラー装置を前記支持レールから離間する方向には移動させない逆止手段とを有することを特徴とする。
これによれば、予圧手段は、付勢部材の付勢力によってローラー装置を支持レールに押圧して予圧を与える。また、摩耗等により支持レールと接触体との間にクリアランスが発生した場合には、付勢部材の付勢力によりローラー装置が支持レールに向かって移動してそのクリアランスを埋める。その一方、支持レールからローラー装置に、付勢部材の付勢力に抗して逆行する力が掛かった際には、逆止手段により、ローラー装置の逆行が抑止される。
【0009】
また、前記支持レールは、アルミニウムを主成分とする金属から成り、前記ローラーは、合成樹脂材から成ることを特徴とする。
これによれば、支持レールの材質がローラーの材質より硬質であるため、支持レールの磨耗を少なくできるとともに、ローラーは粘りのある材質であるために減りにくい。
本願発明者は、各種の材料の組み合わせにより実験を繰り返した結果、支持レールとローラーに同程度の硬度をもつ材料を選択した場合に比較して、支持レールをアルミニウムを主成分とする金属で構成し、ローラーを合成樹脂によって構成する組み合わせによれば、両者の磨耗を小さく抑えられることを見出した。
【0010】
また、前記支持レールは、アルミニウムを主成分とする金属を押し出し成型することにより形成されていることを特徴とする。
これによれば、支持レールを簡単かつ安価に構成できる。
成型精度の低い押し出し成型により支持レールを形成しても、特に前記予圧手段との組み合わせによれば、支持レールとローラー装置との間のクリアランスは好適に埋められ、ガタを抑えることができる。
【0011】
また、基体に設けられたローラー装置と、該ローラー装置のローラーに接触する案内面を有し、ローラー装置に案内されて移動可能に設けられたレール状の移動体と、前記基体に設けられ、前記ローラー装置を前記移動体に向けて所要力で常時押圧する予圧装置とを備える移動装置において、前記移動体の前記案内面には、前記ローラー装置による案内方向に沿って溝部が形成され、前記ローラーの外周面には、前記溝部内に入り込む、溝部の深さより低い高さの突周部が形成され、前記溝部および前記突周部は、前記溝部の両縁部と前記突周部の両縁部とが当接し、前記突周部の外側面が前記溝部の内側面に当接しないように、溝部および突周部の当接する前記両縁部において、前記案内面と溝部の内側面とがなす角度が、案内面と突周部の外側面とがなす角度より小さくなるよう形成されていることを特徴とする。
これによれば、移動体の溝部およびローラーの突周部が、両者の両縁部同士で当接し、突周部の外側面が溝部の内側面に当接しないよう形成されている。したがって、移動体とローラーとは、溝部と突周部との両縁部同士、および、移動体の案内面とローラーの外周面とでのみ当接するから、当接部のローラーの回転軸線からの距離(半径)が均一となって、ローラーと移動体との間でローラーの外周面の周速差に起因するスリップが起こることがない。なおかつ、溝部と突周部との両縁部同士が当接していることから、ローラーの軸線方向のガタは好適に抑えられる。
【0012】
また、基体に設けられたローラー装置と、該ローラー装置のローラーに接触する案内面を有し、ローラー装置に案内されて移動可能に設けられたレール状の移動体と、前記基体に設けられ、前記ローラー装置を前記移動体に向けて所要力で常時押圧する予圧装置とを備える移動装置において、前記移動体の前記案内面には、前記ローラー装置による案内方向に沿って突条部が形成され、前記ローラーの外周面には、前記突条部が入り込む、突条部の高さより深い溝部が形成され、前記突条部および前記溝部は、前記突条部の両縁部と前記溝部の両縁部とが当接し、前記突条部の外側面が前記溝部の内側面に当接しないように、突条部および溝部の当接する前記両縁部において、前記案内面と溝部の内側面とがなす角度が、案内面と突条部の外側面とがなす角度より小さくなるよう形成されていることを特徴とする。
これによれば、移動体の突条部およびローラーの溝部が、両者の両縁部同士で当接し、突条部の外側面が溝部の内側面に当接しないよう形成されている。したがって、移動体とローラーとは、突条部と溝部との両縁部同士、および、移動体の案内面とローラーの外周面とでのみ当接するから、当接部のローラーの回転軸線からの距離(半径)が均一となって、ローラーと移動体との間でローラーの外周面の周速差に起因するスリップが起こることがない。なおかつ、突条部と溝部との両縁部同士が当接していることから、ローラーの軸線方向のガタは好適に抑えられる。
【0013】
また、前記予圧手段は、前記ローラー装置を前記移動体に向けて付勢する付勢部材と、前記ローラー装置を前記移動体から離間する方向には移動させない逆止手段とを有することを特徴とする。
これによれば、予圧手段は、付勢部材の付勢力によってローラー装置を移動体に押圧して予圧を与える。また、摩耗等により移動体と接触体との間にクリアランスが発生した場合には、付勢部材の付勢力によりローラー装置が移動体に向かって移動してそのクリアランスを埋める。その一方、移動体からローラー装置に、付勢部材の付勢力に抗して逆行する力が掛かった際には、逆止手段により、ローラー装置の逆行が抑止される。
【0014】
また、前記移動体は、アルミニウムを主成分とする金属から成り、前記ローラーは、合成樹脂材から成ることを特徴とする。
これによれば、移動体の材質がローラーの材質より硬質であるため、移動体の磨耗を少なくできるとともに、ローラーは粘りのある材質であるために減りにくい。
本願発明者は、各種の材料の組み合わせにより実験を繰り返した結果、移動体とローラーに同程度の硬度をもつ材料を選択した場合に比較して、移動体をアルミニウムを主成分とする金属で構成し、ローラーを合成樹脂によって構成する組み合わせによれば、両者の磨耗を小さく抑えられることを見出した。
【0015】
また、前記移動体は、アルミニウムを主成分とする金属を押し出し成型することにより形成されていることを特徴とする。
これによれば、移動体を簡単かつ安価に構成できる。
成型精度の低い押し出し成型により移動体を形成しても、特に前記予圧手段との組み合わせによれば、移動体とローラー装置との間のクリアランスは好適に埋められ、ガタを抑えることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の移動装置によれば、ローラーの軸線方向のガタを好適に抑えられるとともに、動作抵抗が小さく、ローラーの磨耗を少なく抑えることができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明に係る移動装置を実施するための最良の形態を、添付図面に基づいて詳細に説明する。
【0018】
図1は、本実施の形態に係る移動装置を備える樹脂成型品の取り出し装置Aの斜視説明図である。図2は、樹脂成型品の取り出し装置Aの水平移動装置(後述)を、水平支持レール(後述)の長手方向から見た部分拡大図である。
【0019】
樹脂成型品の取り出し装置Aは、基体1と、樹脂成型品を挟んで把持するための、開閉制御自在に設けられたチャック部50と、チャック部50を水平方向および鉛直方向にそれぞれ往復移動制御する水平移動装置および鉛直移動装置とを備える。
【0020】
(水平移動装置)
水平移動装置は、基体1に、長手方向が水平となるよう取り付けられた水平支持レール2と、水平支持レール2に案内されて移動可能に設けられた水平移動体4と、水平支持レール2の上下面に形成された案内面2aに接触して、案内面2a上を転がるローラー6b,7bを有するローラー装置6,7(図2参照)と、水平移動体4に設けられ、ローラー装置7を水平支持レール2に所要力で常時押圧する予圧手段としての予圧装置8とを備える。
【0021】
水平支持レール2は、アルミニウムを主成分とするアルミニウム合金を押し出し成型することで形成されている。
【0022】
ローラー装置6,7は、図2に示すように、板状の水平移動体4に固定された基部6a,7aと、基部6a,7aに対して回転可能に設けられ、水平支持レール2の案内面2aに当接するローラー6b,7bとから成る。ローラー6b,7bは、樹脂によって構成され、内部にボールベアリング軸受等を有し、スムーズに回転することができる。
ローラー装置6は、水平支持レール2の進行方向前後に二つ設けられ、ローラー装置7は、二つのローラー装置6の中間付近の、水平支持レール2に対して反対側に設けられる。
【0023】
予圧装置8は、図2に示すように、水平移動装置4にロッド4aを介して固定された板部材4bに固定される。予圧装置8にはローラー装置7が取り付けられる。予圧装置8は、板部材4bに形成された開口部を貫通するよう配設され、取付部8aを介して板部材4bにビス止め等の取り付け手段により固定されている。
【0024】
(鉛直移動装置)
鉛直移動装置は、水平移動体4上に設けられる。すなわち、水平移動体4が、鉛直移動装置の基体となっている。
鉛直移動装置においては、水平移動装置における水平支持レール2と同形状のレール状の部材52が、鉛直方向に移動する鉛直移動体となっている。すなわち、鉛直移動装置の構成は、前記水平移動装置とほぼ同様であるが、それぞれの基体に固定される部材と移動する部材(移動体)の関係が逆になっているものである。
【0025】
鉛直移動装置は、その基体としての水平移動体4に設けられた、ローラーを有するローラー装置56,57と、そのローラーに接触する案内面52aを有し、ローラー装置56,57に案内されて移動可能に設けられたレール状の鉛直移動体52と、基体としての水平移動体4に設けられ、ローラー装置56,57を鉛直移動体52に向けて所要力で常時押圧する図示しない予圧装置とを備える。
この鉛直移動装置においては、鉛直移動装置の基体としての水平移動体4上にローラー装置56,57が設けられ、レール状の鉛直移動体52が、ローラー装置56,57に案内されて、水平移動体4に対して鉛直方向に移動するよう設けられている。
【0026】
鉛直移動装置の構成は、水平移動装置と比較して、それぞれの基体に固定される部材と移動する部材(移動体)の関係が逆になっているものであり、その他の構成は実質的に同一のものであるから、以降、水平移動装置の構成についてのみ説明する。
【0027】
(溝部、突周部)
次に、本願発明の特徴である、水平支持レール2に形成された溝部と、ローラー装置6,7のローラー6b,7bに形成された突周部について、図3を用いて説明する。図3は、水平支持レール2とローラー7b(もしくはローラー6b)との当接部分の拡大図である。
【0028】
水平支持レール2の案内面2aには、水平移動体4を案内する案内方向に沿って複数の溝部40が形成されている。他方、ローラー7bの外周面には、溝部40内に入り込む、溝部40の深さより低い高さの複数の突周部42が形成されている。
【0029】
溝部40および突周部42は、溝部40の両縁部40a,40bと突周部42の両縁部42a,42bとが当接するよう、同幅に形成される。
本願明細書および特許請求の範囲において、溝部40の縁部40a,40bとは、溝部40の開口縁部である。突周部42の縁部42a,42bとは、突周部42の隆起が始まる根本の縁部である。
【0030】
さらに、溝部40および突周部42は、突周部42の外側面42cが溝部40の内側面40cに当接しないように、溝部40および突周部42の当接する両縁部40a,40bおよび両縁部42a,42bにおいて、案内面2aと溝部40の内側面40cとがなす角度θ1が、案内面2aと突周部42の外側面42cとがなす角度θ2より小さくなるよう形成されている。突周部42の外側面42cは、溝部40の内側面40cの形状に対して先細りに形成されて、突周部42の外側面42cが溝部40の内側面40cに当接しないようにされている。
【0031】
なお、溝部40および突周部42の形状は、必ずしも、本実施の形態のように断面縁部が直線状となるよう形成する必要はない。
溝部および突周部は、溝部の両縁部と突周部の両縁部とが当接するよう形成されるとともに、突周部の外側面が溝部の内側面に当接しないように、案内面2aと溝部の内側面とがなす角度が、案内面2aと突周部の外側面とがなす角度より小さくなるよう形成されていればよい。
例えば溝部または突周部の断面縁部が、円弧状等に形成されていてもよい。
【0032】
(予圧装置)
次に、予圧装置8の構成について詳述する。
図4(a),(b)は予圧装置8および予圧装置8に取り付けられたローラー装置7の斜視図であり、図5はその側断面図であり、図6はそのX−X断面図である(図4においては、突周部42は省略されている)。
【0033】
予圧装置8は、図4(a),(b)および図5に示すように、水平移動体4に予圧装置8を取り付けるための前記取付部8aと、取付部8aに固定されたほぼ円筒状の本体12と、本体12に同軸に挿入され、ベアリング11を介して本体12に対して回動可能に設けられた、回動体としてのロッド10と、本体12内に同軸に配設され、ロッド10が挿入された、対向部としてのフランジ部材13と、ロッド10とは独立に相対回転可能に設けられた解除部材14と、一端18aが解除部材14に連繋され、他端18bがロッド10に連繋されて、ロッド10を本体12(水平移動体4)に対して所定の方向に回動させるよう付勢する第一付勢部材としての渦巻ばね18と、本体12とロッド10との間に、両者に接するよう配設された三つの球状部材20,20,20とを有する。
【0034】
図5に示すように、ローラー装置7は、予圧装置8のロッド10に固定された基部7aと、基部7aに対して、ベアリング7cを介して回転可能に設けられ、支持レール2の前記コの字部2aの内天井面に当接するローラー7bとから成る。
【0035】
ローラー装置7は、その基部7aから、ローラー7bの回転軸線aに沿って延びるボルト部7dが、ロッド10の一端面に設けられたメスねじ部10dに螺合されて、ロッド10に取り付けられる。ローラー装置7は、その回転軸線aが、ロッド10が回動する際の回動軸線b(ロッド10の軸線)から偏心した位置に来るよう、ロッド10に取り付けられる。これにより、ロッド10が回動することにより、ローラー装置7が、その軸線aとは偏心した回動軸線bを中心に回動され、支持レール2の案内面2aに対し接離動することになる。
ロッド10は、初期状態においてはローラー装置7が上方へ移動可能な状態(ローラー装置7が最も上側に位置しない状態)となる回転角度に設定され、予圧装置8は、この状態で、ローラー7bが支持レール2の案内面2aに当接するよう、脚部4a上に配置されて固定されている。そして、ロッド10が所定方向に回動することで、ローラー装置7が上昇して、支持レール2の案内面2aに圧接される。
【0036】
本体12は、その外周部において取付部8aに固定される。取付部8aが水平移動体4の脚部4aに固定されることで、本体12も水平移動体4に対して固定される。
本体12とロッド10との間には、ベアリング11が設けられ、ロッド10は本体12の中でスムーズに回動可能となっている。
【0037】
フランジ部材13は、ロッド10が挿入され、本体12およびロッド10のそれぞれに対して独立して相対回転可能に設けられる。
フランジ部材13は、一端側が、ロッド10に沿って延びる小径部13aに形成され、他端側は、その外周壁が本体12の内周に接し、その内側はロッド10との間に所定の間隙を形成する中空状となる大径部13bに形成される。本体12には、フランジ部材13の小径部13aと大径部13bとを結ぶ段差部13cに沿って、内側に突出する段差部10aが形成される。段差部10aの、フランジ部材13との対向壁には、ラチェット爪16が固定される。フランジ部材13のラチェット爪16の当接面(球状部材20が配される中空部の反対面)には、ラチェット爪16が引っ掛かる複数の凹凸部13dが設けられ、ラチェット爪16と凹凸部13dから成るラチェット機構(逆止機構)により、フランジ部材13は所定回転方向(図6における右回転方向)にのみ回転可能となっている。
【0038】
また、フランジ部材13の大径部13bのロッド10との対向面13eとロッド10との間には、両者に接するよう、球状部材20が配設されている。フランジ部材13の大径部13bの前記対向面13eは、図6に示すように、フランジ部材13の前記回転可能な方向(図6中では右回転方向)に沿って、ロッド10の外周面との距離が次第に連続的に離間するよう形成されている。また、ロッド10の外周面には、各球状部材20,20の外面に沿って当接する溝部30が、周方向に形成される。
【0039】
また、図6に示すように、球状部材20は、一端が球状部材20に当接し、他端がフランジ部材13の内周壁の段差部13fに支持された第二付勢部材としてのスプリング36により、フランジ部材13の前記回転可能な方向の逆方向(ロッド10の外周面とフランジ部材13の対向面13eとの距離が狭くなる方向。図6中では左回転方向)に付勢されている。
【0040】
球状部材20およびスプリング36は、図6に示すように、ロッド10の周方向に、互いに120°ずつの間隔をあけて、三組設けられる。
【0041】
上記構成によれば、ロッド10は、フランジ部材13に対し、図6中の右回転方向には自由に回動できるが、その逆方向の回転力が生じた際には、球状部材20が接するロッド10とフランジ部材13の対向面13eとの間隔が、前記逆方向に向かって狭く形成されていることから、ロッド10とフランジ部材13との間に球状部材20が挟まって、球状部材20との摩擦力によって前記逆方向の回動が抑止される(逆止手段)。
【0042】
図5に示すように、解除部材14は、ロッド10に同軸に挿通されるフランジ状に形成されて、フランジ部材13とロッド10の軸線方向の軸線方向に隣接して配設され、ロッド10とは独立に相対回転可能に設けられる。解除部材14の一端部は本体12から突出して設けられ、ユーザーは解除部材14を回転操作することができる。
解除部材14の、フランジ部材13の反対側には、解除部材14の中空部14cを塞ぐキャップ22が設けられる。また、キャップ22の外面側には、フランジ部材13、解除部材14、およびキャップ22がロッド10から抜け落ちるのを防ぐ留金24が設けられる。キャップ22および留金24は、それぞれロッド10および/または解除部材14に対して相対回転可能に設けられており、解除部材14のロッド10に対する相対回転を妨げない。
【0043】
フランジ部材13と解除部材14とは、解除部材14のフランジ部材13側に形成された凹部14bと、凹部14b内に進入するフランジ部材13の突部13gとにより係合される。凹部14bと突部13gとは、その周方向に若干の遊びが形成されて、所定角度だけ互いに相対回動可能に設けられている。
解除部材14には、ロッド10に沿って、フランジ部材13側に向かって延びる押接部14aが形成されている。図6に示すように、押接部14aは、各球状部材20の間にそれぞれ進入するよう設けられる。解除部材14が、ユーザーにより、ロッド10の外周面とフランジ部材13の対向面13eとの距離が広くなる方向と同方向、すなわち図6中では右回転方向に回動されることにより、押接部14aが球状部材20をスプリング36の付勢力に抗して移動させることができる(解除手段)。互いに係合されたフランジ部材13と解除部材14との間の周方向の前記遊びは、押接部14aが球状部材20を押圧できる程度に設定される。そして、押接部14aが球状部材20を押圧して、なおも前記遊びの範囲を超えてユーザーにより解除部材14が同回転方向に回転された場合には、前記突部13gと凹部14bとの係合により、解除部材14とフランジ部材13は一体回転する。
【0044】
解除部材14の押接部14aで、球状部材20をスプリング36の付勢力に抗して移動させることによれば、ロッド10に、フランジ部材13に対して前記逆方向に回動する力が掛かった際、ロッド10とフランジ部材13との間に球状部材20が挟まることがないため、ロッド10の前記逆方向の回動が抑止されることがなくなり、ロッド10の前記逆方向の回動の抑止が解除される(これが解除手段の作用である)。
【0045】
図5に示すように、渦巻ばね18の一端18aは、直線状に形成され、ロッド10の軸線方向に形成された切り込み部10bにはめ込まれて、ロッド10に連繋される。渦巻ばね18の他端18bは、直線状に形成され、解除部材14の軸線方向に形成された溝部14dにはめ込まれて、解除部材14に連繋される。解除部材14とフランジ部材13とは、前述の通り凹部14bと突部13gとにより係合されているため、渦巻ばね18の付勢力は、フランジ部材13とロッド10との間に働くことになる。
【0046】
次に予圧装置8の初期設定方法につき説明する。
まず、ユーザーは、解除部材14を、ロッド10の外周面とフランジ部材13の対向面13eとの距離が広くなる方向と同方向、すなわち図6中での右回転方向に回転させる。この操作によれば、まず解除部材14の押接部14aが、前記凹部14bと突部13gとの遊びの範囲で、フランジ部材13に対して右回転方向に回動されて、球状部材20を押圧する。そして、球状部材20が移動されて、ロッド10のフランジ部材13に対する前記逆方向の回動の抑止が解除される。
【0047】
その後、ユーザーによる解除部材14のさらなる回転操作により、前記凹部14bと突部13gとにより係合されたフランジ部材13が、解除部材14と共に一体回転されるとともに、解除部材14に連繋された渦巻ばね18を介して、ロッド10にも解除部材14と同方向の回転力が生じる。
そして、ロッド10の回動に伴って、ロッド10の回動軸に対して偏心して取り付けられたローラー装置7が上昇され、ローラー7bが支持レール2の案内面2aに当接する。
ローラー装置7が支持レール2に当接してロッド10がこれ以上は同方向に回動できないこの状態で、さらに解除部材14を回転させれば、渦巻ばね18が巻かれて、ロッド10に対し、同方向への付勢力が印加される。
【0048】
そして、ユーザーが解除部材14の回転操作を止めて解除部材14を放すと、巻かれた渦巻ばね18の付勢力により、解除部材14には、解除部材14回転操作した回転方向(右回転方向)とは逆方向の回転力が働く。この力により、解除部材14はその逆方向に回動されて、押接部14aが球状部材20から離れる。すると、球状部材20は、スプリング20の付勢力によって、ロッド10の外周面とフランジ部材13の対向面13eとの両者に接する位置に復帰する。これにより、ロッド10がフランジ部材13に対して前記逆方向に回動することが抑止される(逆止手段)。
【0049】
また、解除部材14が前記遊びの分だけ前記逆方向に回転した後には、渦巻ばね18の前記逆方向の付勢力は、解除部材14を介して、解除部材14に係合されたフランジ部材13に対して働く。しかし、フランジ部材13は、前記ラチェット機構により、当該逆方向の回転が抑止されているため、当該逆方向に回動することがない(逆止手段)。
したがって、渦巻ばね18の付勢力は、ロッド10を前記回転方向へ回動させる力として働き、ローラー装置7を介して、支持レール2に対して予圧が与えられることになる。
【0050】
本実施の形態に係る水平移動装置によれば、摩耗等により支持レール2の案内面2aとローラー装置7のローラー7bとの間にクリアランスが発生した場合には、渦巻ばね18の付勢力によりロッド10およびローラー装置7が回動されてローラー装置7が移動(上昇)してそのクリアランスを埋める。その一方、水平移動体4の移動時に、支持レール2からローラー装置7を押圧する力が掛かった際には、球状部材20が接するロッド10とフランジ部材13との間がロッド10の付勢方向の逆方向に向かうにしたがって狭く形成されていることから、ロッド10とフランジ部材13との間に球状部材20が挟まって、球状部材20との摩擦力によってロッド10の逆回動が抑止される。
【0051】
このように、摩耗等により発生する支持レール2とローラー装置7との間のクリアランスは、ロッド10の回動により好適に埋められるとともに、ロッド10が逆回動しないため、水平移動体4の移動時に支持レール2からローラー装置7に大きな力が掛かっても、ローラー装置7と支持レール2との間にクリアランスが生じることがなく、したがってガタが生じることがない。また、渦巻ばね18によって与える予圧力は、摩耗等により発生する支持レール2とローラー7bとの間のクリアランスを埋めるべくロッド10を回動させる力だけで十分であるため、渦巻ばね18の付勢力(予圧力)を、水平移動体4に掛かり得る最大力に対抗できるほど大きくする必要がない。
【0052】
また、球状部材20は、スプリング36に押圧されることで常時ロッド10およびフランジ部材13に当接する位置に維持されるため、ロッド10に渦巻ばね18の付勢力とは逆行する力が掛かった際に、ロッド10の逆回動を遊びなく即座に規制することができる。
【0053】
また、球状部材20は、ロッド10の外周の周方向に複数(本実施の形態では三つ)並べられて配設されているため、ロッド10に渦巻ばね18の付勢力に逆行する力が掛かった際に、球状部材20とロッド10およびフランジ部材13との間に掛かる力が、複数の球状部材20に分散される。したがって、個々の球状部材20と、ロッド10およびフランジ部材13との間に掛かる力が分散されて、それらの損傷や過度の食い付きを抑えて、安定した駆動を行うことができる。
【0054】
また、渦巻ばね18の前記他端18bが、解除部材14を介してフランジ部材13に連繋されていることから、解除部材14を介してフランジ部材13を前記回動方向に回す操作を行うことで、渦巻ばね18を巻いて、ロッド10に渦巻ばね18の付勢力を作用させることができる。
また、解除部材14の押接部14aにより球状部材20を前記回動方向へ移動させることで、回動体の回動の規制を解除することができる。
さらには、フランジ部材13は、解除部材14が回動された際、所定の遊びを介して解除部材14と一体回転されるよう解除部材と係合されている。
このため、解除部材14を前記回動方向に回す操作を行うことで、ロッド10の逆止抑制を解除でき、さらに解除部材14を回すことで渦巻ばね18を巻くことができる。また、渦巻ばね18の付勢力は、解除部材14に対しては、前記回動方向の逆方向に作用するため、解除部材14が操作されていないときには解除部材14の押接部14aが球状部材20を押圧しない位置に待機させることができる。
この構成により、本実施の形態に係る水平移動装置の予圧装置8は、操作性およびメンテナンス性に優れている。
【0055】
なお、本実施の形態においては、予圧装置8の回動体としてのロッド10が、直接、接触体としてのローラー装置7に連結されているが、この構成に限定されない。
例えば、回動体と接触体との間に、他の伝達部材を設けて、伝達部材を介して間接的に接触体を押圧するよう構成しても良い。
【0056】
さらに、本実施の形態に係る水平移動装置は、水平支持レール2の溝部40とローラー6b,7bの突周部42とにより、以下の作用効果を奏する。
すなわち、水平支持レール2の溝部40およびローラー6b,7bの突周部42が、両者の両縁部40a,40bおよび両縁部42a,42b同士で当接し、突周部42の外側面42cが溝部40の内側面40cに当接しないよう形成されている。したがって、水平支持レール2とローラー6b,7bとは、溝部40と突周部42との前記両縁部40a,40b,42a,42b同士、および、水平支持レール2の案内面2aとローラー6b,7bの外周面とでのみ当接する。したがって、その当接部分のローラー6b,7bの回転軸線からの距離(半径)が均一となるため、特許文献1記載の従来の移動装置と異なり、ローラー6b,7bと水平支持レール2との間でローラー6b,7bの外周面の周速差に起因するスリップが起こることがなく、動作抵抗を小さく、かつローラー6b,7bの磨耗を少なく抑えることができる。なおかつ、溝部40と突周部42との両縁部40a,40b,42a,42b同士が当接していることから、ローラー6b,7bの軸線方向のガタは好適に抑えられる。
【0057】
特に、予圧装置8の逆止手段の作用により、ローラー6b,7bと水平支持レール2とが離間することがないため、突周部42の前記角度θ2を緩やかに形成しても、溝部40の縁部が突周部42に乗り上げてしまうようなことがなく、突周部42の外側面42cと溝部40の内側面40cとが当接せずに動作抵抗や磨耗を抑えることができる。
【0058】
また、溝部40および突周部42が複数組設けられているため、水平支持レール2とローラー6b,7bとの間に係る、ローラー6b,7bの軸線方向の力が、前記両縁部40a,40b,42a,42bに分散されて掛かるため、ローラー6b,7bに無理な力が掛かって破損等をすることがない。
【0059】
なお、本実施の形態における溝部40と突周部42との構成を逆転させて、水平支持レール2の溝部40に替えてローラー6b,7bに溝部を形成し、ローラー6b,7bの突周部42に替えて水平支持レール2に突条部を設けても、同様の作用効果を得ることができることはもちろんである。
【0060】
また、前記鉛直移動装置においても、本水平移動装置と同様の作用効果を得ることができることはいうまでもない。
【0061】
そして、この水平移動装置および鉛直移動装置を採用したことにより、本実施の形態に係る樹脂成型品の取り出し装置Aは、チャック部50をガタなく、かつ動作抵抗が小さい状態で移動させることができ、樹脂成型品を好適に取り出すことができる。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明は、樹脂成型品の取り出し装置における移動装置のみならず、支持レールに案内されて移動する移動体、またはローラー装置に案内されて移動するレール状の移動体を備えるあらゆる移動装置に適用することが可能である。
また、直線軌道上を移動する移動装置に限らず、例えば、曲がった支持レールを採用すれば、移動体を曲線運動させることが可能な移動装置を構成することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明に係る移動装置を採用した樹脂成型品の取り出し装置Aの斜視図である。
【図2】樹脂成型品の取り出し装置Aの部分拡大図である。
【図3】支持レールとローラーとの当接部分の拡大図である。
【図4】予圧装置の斜視図である。
【図5】予圧装置および接触体の側断面図である。
【図6】予圧装置のX−X断面図である。
【図7】従来の移動装置における支持レールとローラーとの当接部分の拡大図である。
【符号の説明】
【0064】
A 直動装置
2 支持レール
4 移動体
5 モータ(駆動装置)
6 ローラー装置(接触体)
7 ローラー装置(接触体)
8 予圧装置
10 ロッド(回動体)
12 予圧装置の本体
13 フランジ部材(対向部)
13e 対向面
13d 凹凸部
14 解除部材(解除手段)
14a 押接部
18 渦巻ばね(第一付勢部材)
20 球状部材
30 溝部
36 スプリング(第二付勢部材)
a ローラー装置の回転軸線
b ロッド(回動体)の回動軸線
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基体に固定された支持レールと、
該支持レールに案内されて移動可能に設けられた移動体と、
前記支持レールの案内面に接触して、案内面上を転がるローラーを有するローラー装置と、
前記移動体に設けられ、前記ローラー装置を前記支持レールに向けて所要力で常時押圧する予圧手段とを備える移動装置において、
前記支持レールの前記案内面には、前記移動体を案内する案内方向に沿って溝部が形成され、
前記ローラーの外周面には、前記溝部内に入り込む、溝部の深さより低い高さの突周部が形成され、
前記溝部および前記突周部は、
前記溝部の両縁部と前記突周部の両縁部とが当接し、
前記突周部の外側面が前記溝部の内側面に当接しないように、溝部および突周部の当接する前記両縁部において、前記案内面と溝部の内側面とがなす角度が、案内面と突周部の外側面とがなす角度より小さくなるよう形成されていることを特徴とする移動装置。
【請求項2】
基体に固定された支持レールと、
該支持レールに案内されて移動可能に設けられた移動体と、
前記支持レールの案内面に接触して、案内面上を転がるローラーを有するローラー装置と、
前記移動体に設けられ、前記ローラー装置を前記支持レールに向けて所要力で常時押圧する予圧手段とを備える移動装置において、
前記支持レールの前記案内面には、前記移動体を案内する案内方向に沿って突条部が形成され、
前記ローラーの外周面には、前記突条部が入り込む、突条部の高さより深い溝部が形成され、
前記突条部および前記溝部は、
前記突条部の両縁部と前記溝部の両縁部とが当接し、
前記突条部の外側面が前記溝部の内側面に当接しないように、突条部および溝部の当接する前記両縁部において、前記案内面と溝部の内側面とがなす角度が、案内面と突条部の外側面とがなす角度より小さくなるよう形成されていることを特徴とする移動装置。
【請求項3】
前記予圧手段は、
前記ローラー装置を前記支持レールに向けて付勢する付勢部材と、
前記ローラー装置を前記支持レールから離間する方向には移動させない逆止手段とを有することを特徴とする請求項1または2記載の移動装置。
【請求項4】
前記支持レールは、アルミニウムを主成分とする金属から成り、
前記ローラーは、合成樹脂材から成ることを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか一項記載の移動装置。
【請求項5】
前記支持レールは、アルミニウムを主成分とする金属を押し出し成型することにより形成されていることを特徴とする請求項1〜4のうちのいずれか一項記載の移動装置。
【請求項6】
基体に設けられたローラー装置と、
該ローラー装置のローラーに接触する案内面を有し、ローラー装置に案内されて移動可能に設けられたレール状の移動体と、
前記基体に設けられ、前記ローラー装置を前記移動体に向けて所要力で常時押圧する予圧装置とを備える移動装置において、
前記移動体の前記案内面には、前記ローラー装置による案内方向に沿って溝部が形成され、
前記ローラーの外周面には、前記溝部内に入り込む、溝部の深さより低い高さの突周部が形成され、
前記溝部および前記突周部は、
前記溝部の両縁部と前記突周部の両縁部とが当接し、
前記突周部の外側面が前記溝部の内側面に当接しないように、溝部および突周部の当接する前記両縁部において、前記案内面と溝部の内側面とがなす角度が、案内面と突周部の外側面とがなす角度より小さくなるよう形成されていることを特徴とする移動装置。
【請求項7】
基体に設けられたローラー装置と、
該ローラー装置のローラーに接触する案内面を有し、ローラー装置に案内されて移動可能に設けられたレール状の移動体と、
前記基体に設けられ、前記ローラー装置を前記移動体に向けて所要力で常時押圧する予圧装置とを備える移動装置において、
前記移動体の前記案内面には、前記ローラー装置による案内方向に沿って突条部が形成され、
前記ローラーの外周面には、前記突条部が入り込む、突条部の高さより深い溝部が形成され、
前記突条部および前記溝部は、
前記突条部の両縁部と前記溝部の両縁部とが当接し、
前記突条部の外側面が前記溝部の内側面に当接しないように、突条部および溝部の当接する前記両縁部において、前記案内面と溝部の内側面とがなす角度が、案内面と突条部の外側面とがなす角度より小さくなるよう形成されていることを特徴とする移動装置。
【請求項8】
前記予圧手段は、
前記ローラー装置を前記移動体に向けて付勢する付勢部材と、
前記ローラー装置を前記移動体から離間する方向には移動させない逆止手段とを有することを特徴とする請求項6または7記載の移動装置。
【請求項9】
前記移動体は、アルミニウムを主成分とする金属から成り、
前記ローラーは、合成樹脂材から成ることを特徴とする請求項6〜8のうちのいずれか一項記載の移動装置。
【請求項10】
前記移動体は、アルミニウムを主成分とする金属を押し出し成型することにより形成されていることを特徴とする請求項6〜9のうちのいずれか一項記載の移動装置。
【請求項1】
基体に固定された支持レールと、
該支持レールに案内されて移動可能に設けられた移動体と、
前記支持レールの案内面に接触して、案内面上を転がるローラーを有するローラー装置と、
前記移動体に設けられ、前記ローラー装置を前記支持レールに向けて所要力で常時押圧する予圧手段とを備える移動装置において、
前記支持レールの前記案内面には、前記移動体を案内する案内方向に沿って溝部が形成され、
前記ローラーの外周面には、前記溝部内に入り込む、溝部の深さより低い高さの突周部が形成され、
前記溝部および前記突周部は、
前記溝部の両縁部と前記突周部の両縁部とが当接し、
前記突周部の外側面が前記溝部の内側面に当接しないように、溝部および突周部の当接する前記両縁部において、前記案内面と溝部の内側面とがなす角度が、案内面と突周部の外側面とがなす角度より小さくなるよう形成されていることを特徴とする移動装置。
【請求項2】
基体に固定された支持レールと、
該支持レールに案内されて移動可能に設けられた移動体と、
前記支持レールの案内面に接触して、案内面上を転がるローラーを有するローラー装置と、
前記移動体に設けられ、前記ローラー装置を前記支持レールに向けて所要力で常時押圧する予圧手段とを備える移動装置において、
前記支持レールの前記案内面には、前記移動体を案内する案内方向に沿って突条部が形成され、
前記ローラーの外周面には、前記突条部が入り込む、突条部の高さより深い溝部が形成され、
前記突条部および前記溝部は、
前記突条部の両縁部と前記溝部の両縁部とが当接し、
前記突条部の外側面が前記溝部の内側面に当接しないように、突条部および溝部の当接する前記両縁部において、前記案内面と溝部の内側面とがなす角度が、案内面と突条部の外側面とがなす角度より小さくなるよう形成されていることを特徴とする移動装置。
【請求項3】
前記予圧手段は、
前記ローラー装置を前記支持レールに向けて付勢する付勢部材と、
前記ローラー装置を前記支持レールから離間する方向には移動させない逆止手段とを有することを特徴とする請求項1または2記載の移動装置。
【請求項4】
前記支持レールは、アルミニウムを主成分とする金属から成り、
前記ローラーは、合成樹脂材から成ることを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか一項記載の移動装置。
【請求項5】
前記支持レールは、アルミニウムを主成分とする金属を押し出し成型することにより形成されていることを特徴とする請求項1〜4のうちのいずれか一項記載の移動装置。
【請求項6】
基体に設けられたローラー装置と、
該ローラー装置のローラーに接触する案内面を有し、ローラー装置に案内されて移動可能に設けられたレール状の移動体と、
前記基体に設けられ、前記ローラー装置を前記移動体に向けて所要力で常時押圧する予圧装置とを備える移動装置において、
前記移動体の前記案内面には、前記ローラー装置による案内方向に沿って溝部が形成され、
前記ローラーの外周面には、前記溝部内に入り込む、溝部の深さより低い高さの突周部が形成され、
前記溝部および前記突周部は、
前記溝部の両縁部と前記突周部の両縁部とが当接し、
前記突周部の外側面が前記溝部の内側面に当接しないように、溝部および突周部の当接する前記両縁部において、前記案内面と溝部の内側面とがなす角度が、案内面と突周部の外側面とがなす角度より小さくなるよう形成されていることを特徴とする移動装置。
【請求項7】
基体に設けられたローラー装置と、
該ローラー装置のローラーに接触する案内面を有し、ローラー装置に案内されて移動可能に設けられたレール状の移動体と、
前記基体に設けられ、前記ローラー装置を前記移動体に向けて所要力で常時押圧する予圧装置とを備える移動装置において、
前記移動体の前記案内面には、前記ローラー装置による案内方向に沿って突条部が形成され、
前記ローラーの外周面には、前記突条部が入り込む、突条部の高さより深い溝部が形成され、
前記突条部および前記溝部は、
前記突条部の両縁部と前記溝部の両縁部とが当接し、
前記突条部の外側面が前記溝部の内側面に当接しないように、突条部および溝部の当接する前記両縁部において、前記案内面と溝部の内側面とがなす角度が、案内面と突条部の外側面とがなす角度より小さくなるよう形成されていることを特徴とする移動装置。
【請求項8】
前記予圧手段は、
前記ローラー装置を前記移動体に向けて付勢する付勢部材と、
前記ローラー装置を前記移動体から離間する方向には移動させない逆止手段とを有することを特徴とする請求項6または7記載の移動装置。
【請求項9】
前記移動体は、アルミニウムを主成分とする金属から成り、
前記ローラーは、合成樹脂材から成ることを特徴とする請求項6〜8のうちのいずれか一項記載の移動装置。
【請求項10】
前記移動体は、アルミニウムを主成分とする金属を押し出し成型することにより形成されていることを特徴とする請求項6〜9のうちのいずれか一項記載の移動装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【公開番号】特開2006−46472(P2006−46472A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−227397(P2004−227397)
【出願日】平成16年8月4日(2004.8.4)
【出願人】(302012822)有限会社浜インターナショナル (12)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年8月4日(2004.8.4)
【出願人】(302012822)有限会社浜インターナショナル (12)
【Fターム(参考)】
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