説明

移動装置

【課題】載置面に載置された対象物を載置面に沿った第1方向に移動することができる移動装置を提供する。
【解決手段】対象物への当接力が第2方向への成分を有するよう載置面に載置された対象物に当接する当接手段51,53と、載置面を有し、当接手段51,53に対し第1方向に相対的に往復動可能な載置手段と、第1方向に相対的に載置手段を往動及び復動させる載置手段駆動手段21f1,21f2,21b1,21b2と、当接手段51,53を駆動する当接手段駆動手段61a、61b、63a、63bとを備え、当接手段駆動手段61a、61b、63a、63bが、当接力の第2方向への成分を載置手段の往動と復動との一方よりも他方で増加させることにより、載置面の第1方向への変位量である載置面変位量と対象物の第1方向への変位量である対象物変位量との差である変位差を載置手段の往動と復動とで異ならせるものである、移動装置11である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物を移動する移動装置に関し、より詳細には、対象物が載置される載置面に沿った第1方向に向いて載置面に対し対象物を移動する移動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
載置面に載置された対象物を載置面に沿った第1方向に移動する移動装置はこれまで既に知られている(例えば、特許文献1等)。
特許文献1には、「装置自体は簡単でかつ、安価であり、しかも少人数の作業で十分安全に、かつ、効率良く作業ができるトラック荷台の荷卸し装置を提供する」(特許文献1、発明の詳細な説明中の段落番号0008)ためになされた「トラック荷台の底板上に、キャビン側から後端へ向けて前後動可能としたスライド板を載置し、このスライド板上に左右の荷台側板に側端が係止可能で、かつ、係止時にはスライド板のみが移動し、非係止時にはスライド板とともに移動する隔壁板を設けたことを特徴とするトラック荷台の荷卸し装置」(特許文献1、請求項1)が開示されており、このトラック荷台の荷卸し装置によって「チップはスライド板上に載置され、このスライド板とともに後方へ移動して、後部のチップはトラック荷台がら外方へでる。この段階ではチップはスライド板上にあるが、隔壁板を荷台側板に係止してチップの前端部を抑えながらスライド板を前側に引けば、後部のチップの下のスライド板がなくなり、落下する。隔壁板と荷台側板との係止を解除して、前記チップのスライド板とともに後方へ移動、およびその後の動作を繰り返して順次、チップを後部から落下させる」(特許文献1、発明の詳細な説明中の段落番号0010〜0011)ことができるというものである。
即ち、特許文献1に開示のトラック荷台の荷卸し装置は、載置面(特許文献1においてはスライド板の上面)に載置された対象物(特許文献1にいう荷)を載置面に沿った第1方向(特許文献1にいう前後)に移動する移動装置である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−72251号公報(例えば、要約、発明の詳細な説明中の段落番号0001〜0012、第1図〜第18図等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1開示の移動装置は、チップ(荷)が載置されたスライド板と隔壁板とを後方向へ移動、隔壁板と荷台側板との係止、スライド板の前方向への移動、隔壁板と荷台側板との係止解除、チップ(荷)が載置されたスライド板と隔壁板とを後方向へ移動、・・・・との動作を繰り返すことにより、スライド板(載置面)に載置されたチップ(対象物)を載置面に沿った前後方向(第1方向)に移動する。
かかる特許文献1開示の移動装置においては、隔壁板と荷台側板との係止及びその解除を頻繁に繰り返す必要があり、この係止及び解除の繰り返し操作(例えば、隔壁板と荷台側板との係合は止めピン等によることができる(特許文献1、発明の詳細な説明中の段落番号0016等))が煩雑であったり、作業性を低下させる問題があった。
【0005】
そこで、本発明では、隔壁板と荷台側板との係止及びその解除を繰り返す必要がない、載置面に載置された対象物を載置面に沿った第1方向に移動することができる移動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の移動装置(以下、「本移動装置」という。)は、対象物が載置される載置面に沿って互いに直交する第1方向及び第2方向のうち第1方向に向いて載置面に対し対象物を相対的に移動する移動装置であって、対象物への当接力が第2方向への成分を有するよう載置面に載置された対象物に当接する当接手段と、載置面を有し、当接手段に対し第1方向に相対的に往復動可能な載置手段と、当接手段に対し第1方向に相対的に載置手段を往動及び復動させる載置手段駆動手段と、当接力の第2方向への成分を増減させるよう当接手段を駆動する当接手段駆動手段と、を備えてなり、当接手段駆動手段が、当接力の第2方向への成分を載置手段の往動と復動との一方よりも他方で増加させることにより、載置面の第1方向への変位量である載置面変位量と対象物の第1方向への変位量である対象物変位量との差である変位差を載置手段の往動と復動とで異ならせるものである、移動装置である。
【0007】
本移動装置は、対象物が載置される載置面に沿った第1方向に向いて載置面に対し対象物を移動する移動装置である。
本移動装置は、載置面に載置された対象物に当接する当接手段と、載置面を有する載置手段と、載置手段駆動手段と、当接手段を駆動する当接手段駆動手段と、を備えてなる。
当接手段は、載置面に載置された対象物に当接し、このときの当接手段の対象物への当接力は第2方向への成分を有する(当接力が第2方向への分力を有する)。なお、第2方向は、対象物が載置される載置面に沿うと共に第1方向に直交する方向である。
載置手段は、対象物が載置される載置面を有し、当接手段に対し第1方向に相対的に往復動可能である。
載置手段駆動手段は、当接手段に対し相対的に第1方向に載置手段を往動及び復動させる。
当接手段駆動手段は、当接手段の対象物への当接力の第2方向への成分(当接力の第2方向への分力)を増減させるよう当接手段を駆動する。
そして本移動装置においては、当接手段駆動手段が、当接力の第2方向への成分(当接力の第2方向への分力)を載置手段の往動と復動とで異ならせる(載置手段の往動と復動との一方よりも他方で増加させる)。このように載置手段の往動における当接力の第2方向への成分f1と、載置手段の復動における当接力の第2方向への成分f2と、を異ならせることで、当接手段と対象物との間に生じる摩擦力を載置手段の往動と復動とで異ならせることができる。詳述すれば、載置手段駆動手段によって当接手段に対し相対的に第1方向に往動及び復動される載置手段の載置面に載置された対象物は、第1方向への載置手段の往復動に伴い当接手段に対し相対的に第1方向に往動及び復動されるので、この往動においては第2方向への成分f1に応じた当接手段と対象物との間の摩擦力を生じ、この復動においては第2方向への成分f2に応じた当接手段と対象物との間の摩擦力を生じる。このとき当接力の第2方向への成分f1とf2が異なることで、当接手段と対象物との間に生じる摩擦力(当接手段に対し対象物を移動させないよう作用する)も異なる。当接手段と対象物との間に生じる摩擦力と、載置面と対象物との間に生じる摩擦力と、の大小関係等に応じ、載置面の第1方向への変位量である載置面変位量(絶対位置での変位量M1)と対象物の第1方向への変位量である対象物変位量(絶対位置での変位量M2)との差である変位差(M1−M2)を載置手段の往動と復動とで異ならせることができ、その変位差(M1−M2)によって第1方向に向いて載置面に対し対象物を相対的に移動させることができる。以上の通り、本移動装置は、特許文献1開示の移動装置のように隔壁板と荷台側板との係止及びその解除を繰り返す必要がなく、当接力の第2方向への成分を増減させることにより、載置面に載置された対象物を載置面に沿った第1方向に移動させることができる。
【0008】
本移動装置においては、当接手段が、第2方向の一方側から対象物に当接する一方当接手段と、第2方向の他方側から対象物に当接する他方当接手段と、を有してなり、一方当接手段と他方当接手段とによって対象物が挟持されるもの(以下、「挟持当接本移動装置」という)であってもよい。
このように第2方向の一方側から対象物に当接する一方当接手段と、第2方向の他方側から対象物に当接する他方当接手段と、によって対象物が挟持されることで、当接手段が、第2方向の一方側と他方側から対象物に当接し(一方側と他方側とのどちらかのみから当接する場合には、当接力によっては対象物が不意に第2方向に移動することが生じうる。)、当接力が第2方向への成分(第2方向への分力)を有した状態により確実に対象物に当接することができる。
【0009】
挟持当接本移動装置の場合、一方当接手段が対象物に当接する平面に沿った一方当接面を有する板状部材を含んでなると共に、他方当接手段が対象物に当接する平面に沿った他方当接面を有する板状部材を含んでなり、載置面に載置された対象物が一方当接面と他方当接面との間に挟持されるもの(以下、「板状部材挟持本移動装置」という)であってもよい。
このように一方当接手段が含む板状部材が、対象物に当接する平面状の一方当接面を有すると共に、他方当接手段が含む板状部材が、対象物に当接する平面状の他方当接面を有し、一方当接面と他方当接面との間に対象物が挟持されることで、両板状部材が有する平らな一方当接面及び他方当接面が対象物にうまく当接することができる。
【0010】
板状部材挟持本移動装置の場合、当接手段駆動手段が、一方当接面と他方当接面とが互いに略平行な状態を保ちつつ一方当接面と他方当接面との間の距離を変化させるよう当接手段を駆動するもの(以下、「両当接面平行本移動装置」という)であってもよい。
このように平面に沿った一方当接面及び他方当接面を互いに略平行な状態を保ちつつ一方当接面と他方当接面との間の距離を変化させるよう当接手段駆動手段が当接手段を駆動することにより、一方当接面と他方当接面との間に対象物が確実に挟持され(一方当接面と他方当接面とが平行でない場合に、それらの間に対象物を挟持すると、一方当接面と他方当接面との距離が大きくなる方向に対象物が不意に移動しうる)、一方当接面及び他方当接面が対象物に確実に当接することができる。
【0011】
両当接面平行本移動装置の場合、一方当接面及び他方当接面が第2方向に対し略垂直なものであってもよい。
互いに略平行な一方当接面及び他方当接面が第2方向に対し略垂直なものであれば、一方当接面と他方当接面との間に対象物を挟持することで、一方当接面と他方当接面とのいずれからの当接力も第2方向に略向くので、当接力を増減させることでその第2方向への成分を効果的に増減させることができる。
【0012】
板状部材挟持本移動装置の場合、当接手段駆動手段が、一方当接面と他方当接面とが互いに当接する状態まで当接手段を駆動し得るものであってもよい。
こうすることで一方当接面と他方当接面とが互いに当接する状態(一方当接面と他方当接面との間の距離が0)まで駆動することができるので、幅が小さな対象物や、土砂等のような粉粒状の対象物であっても、当接手段が対象物に確実に当接できる。
【0013】
板状部材挟持本移動装置の場合、載置面が平面に略沿って形成されるものであり、一方当接面が、載置面に略平行な外縁である一方載置面側外縁を有すると共に、他方当接面が、載置面に略平行な外縁である他方載置面側外縁を有するものであってもよい。
このように平面に略沿った載置面に対し、一方当接面が略平行な外縁である一方載置面側外縁を有すると共に、他方当接面が略平行な外縁である他方載置面側外縁を有することで、対象物が載置される載置面と一方当接面との間(載置面と一方載置面側外縁との間)が一方載置面側外縁のいずれの位置もほぼ同じ大きさであり、そして対象物が載置される載置面と他方当接面との間(載置面と他方載置面側外縁との間)が他方載置面側外縁のいずれの場所もほぼ同じ大きさであるので、載置面に載置された対象物を第1方向のいずれの位置においても一方当接面と他方当接面との間にうまく挟持することができる(例えば、載置面と一方載置面側外縁との間や、載置面と他方載置面側外縁との間が、第1方向のある位置において拡がっていれば、そこから対象物が脱落等する可能性がある。)。
【0014】
本移動装置においては、載置手段の往動及び復動とのいずれか一方では前記変位差が略0であってもよい。
上述の如く、載置面の第1方向への変位量である載置面変位量(絶対位置での変位量M1)と対象物の第1方向への変位量である対象物変位量(絶対位置での変位量M2)との差である変位差(M1−M2)を載置手段の往動と復動とで異ならせることによって第1方向に向いて載置面に対し対象物を相対的に移動させるので、載置手段の往動における変位差(M1−M2)と、載置手段の復動における変位差(M1−M2)と、の差が大きい方が第1方向に向いて載置面に対し対象物を相対的に効果的に移動させることができる。該差を大きくするには、載置手段の往動及び復動とのいずれか一方では変位差(M1−M2)をできる限り小さくし、いずれか他方では変位差(M1−M2)をできる限り大きくすれば良いので、該いずれか一方では変位差(M1−M2)が略0となるようにすればよい。変位差(M1−M2)が略0とは、変位量M1と変位量M2とが略等しいことであるので、載置面の第1方向への変位に伴って同じように対象物が第1方向へ変位するようにすればよく(M1=M2)、例えば、当接手段の対象物への当接力の第2方向への成分(当接力の第2方向への分力)を減少させるようにすればよい(例えば、当接手段が対象物へ当接しない状態とする)。
【0015】
本移動装置においては、載置手段の往動及び復動とのいずれか他方では前記変位差が載置面変位量に略等しいものであってもよい。
上述の如く、載置面の第1方向への変位量である載置面変位量(絶対位置での変位量M1)と対象物の第1方向への変位量である対象物変位量(絶対位置での変位量M2)との差である変位差(M1−M2)を載置手段の往動と復動とで異ならせることによって第1方向に向いて載置面に対し対象物を相対的に移動させるので、載置手段の往動における変位差(M1−M2)と、載置手段の復動における変位差(M1−M2)と、の差が大きい方が第1方向に向いて載置面に対し対象物を相対的に効果的に移動させることができる。該差を大きくするには、載置手段の往動及び復動とのいずれか一方では変位差(M1−M2)をできる限り小さくし、いずれか他方では変位差(M1−M2)をできる限り大きくすれば良いので、該いずれか他方では変位差(M1−M2)が載置面変位量M1となるようにしてもよい(例えば、載置手段駆動手段が、絶対位置において第1方向に載置手段を往動及び復動させ、当接手段は絶対位置において第1方向には移動しないような場合)。変位差(M1−M2)が載置面変位量M1とは、変位量M2が略0であるので、載置面の第1方向への変位M1に逆らって対象物が第1方向へ変位しない(M2=0)ようにすればよく、例えば、当接手段の対象物への当接力の第2方向への成分(当接力の第2方向への分力)を増加させるようにすればよい。
【0016】
本発明は、本移動装置を備える対象物の収容装置も提供する。
即ち、本発明の収容装置(以下、「本収容装置」という。)は、本移動装置と、該移動装置が配設される本体部と、を備えてなる、対象物を載置面に載置し収容空間に収容する収容装置である。
かかる本収容装置では、本移動装置により対象物を外部から収容空間に移動したり、収容空間から外部に移動することができるので、対象物の収容及び取り出しを自由に行うことができる。
【0017】
本収容装置は、挟持当接本移動装置と、第2方向の一方側及び他方側に配置された一対の側板と該一対の側板の間に形成される収容空間とを有し、該移動装置が配設される本体部と、を備えてなる、対象物を載置面に載置し収容空間に収容する収容装置であって、一方当接手段が一方側の側板の内側に存し、他方当接手段が他方側の側板の内側に存し、そして載置手段の載置面が、対象物が収容される収容空間の床面の少なくとも一部を構成し、収容空間に収容された対象物が、載置面に対し第1方向に向いて移動されるものである、収容装置(以下、「一対側板保有本収容装置」という)であってもよい。
一対側板保有本収容装置は、挟持当接本移動装置と、挟持当接本移動装置が配設される本体部と、を備えてなる。本体部は、第2方向の一方側及び他方側に配置される一対の側板と、該一対の側板の間に形成される収容空間と、を有する。そして、挟持当接本移動装置が有する一方当接手段が一方側の側板の内側(収容空間側)に存し、挟持当接本移動装置が有する他方当接手段が他方側の側板の内側(収容空間側)に存する。挟持当接本移動装置が有する載置手段の載置面が、対象物が収容される収容空間の床面の少なくとも一部を構成する。これによって一対側板保有本収容装置においては、対象物を載置面に載置した状態で収容空間に収容することができると共に、収容空間に収容された対象物を、挟持当接本移動装置によって載置面に対し第1方向に向いて移動することができるので、対象物の収容及び取り出しを自由に行うことができる。また、挟持当接本移動装置及び対象物が、本体部の一対の側板の間に形成される収容空間に収容されることから、挟持当接本移動装置及び対象物を保護した状態で収容できる。
【0018】
一対側板保有本収容装置においては、板状部材挟持本移動装置を備えてなり、当接手段駆動手段が、一対の側板の一方と一方当接面を有する板状部材との間に配設された一方のリンク機構と、一対の側板の他方と他方当接面を有する板状部材との間に配設された他方のリンク機構と、を含んでなるものであってもよい。
このように一対側板保有本収容装置における一対の側板の一方と一方当接面を有する板状部材との間に配設された一方のリンク機構により一方当接面を有する板状部材を駆動すると共に、一対側板保有本収容装置における一対の側板の他方と他方当接面を有する板状部材との間に配設された他方のリンク機構により他方当接面を有する板状部材を駆動することで、一方当接面を有する板状部材と他方当接面を有する板状部材とを一対の側板の内側に配設された両方のリンク機構によりうまく駆動することができる。
【0019】
本収容装置においては、前記本体部と載置手段とのいずれか一方に取り付けられた第1方向に沿ったレール部材と、いずれか他方に取り付けられ第1方向に沿って移動自在にレール部材に係合するスライド部と、を含んでなるものであってもよい。
こうすることでレール部材と、レール部材に係合するスライド部と、いう簡単な構成により、前記本体部に対して載置手段を第1方向に相対的に往復動可能ならしめることができる。なお、レール部材が本体部に取り付けられた場合は、スライド部が載置手段に取り付けられ、レール部材が載置手段に取り付けられた場合は、スライド部が本体部に取り付けられる。
【0020】
本発明は、本収容装置を用いた対象物の搬送装置も提供する。
即ち、本発明の搬送装置(以下、「本搬送装置」という。)は、本収容装置が、対象物を収容空間に収容した状態で路面上又はレール上を移動する、搬送装置である。
こうすることで本搬送装置が有する本収容装置により対象物を収容空間に収容した状態で本搬送装置が路面上又はレール上を移動するので、本搬送装置は対象物を搬送することができる。また、本収容装置が備える本移動装置により対象物を外部から収容空間に移動したり、収容空間から外部に移動することができるので、対象物を本搬送装置に積み込んだり(荷積み)、本搬送装置に積み込まれた対象物を本搬送装置から降ろしたり(荷下ろし)することを自由に行うことができる。
【0021】
本搬送装置としては、本収容装置が路面上を移動するものとしてトラック、トレーラー又はダンプカーの荷台部分を構成するのものや、本収容装置がレール上を移動するものとして貨車(貨物輸送用の鉄道車両)を構成するものを例示できる。トラック、トレーラー又はダンプカーの荷台部分については、専用の設備がない場所での荷積みや荷下ろし作業を要求されることもあり、とりわけ本搬送装置の本収容装置が、トラック、トレーラー又はダンプカーの荷台部分を構成することで、本収容装置が備える本移動装置により対象物を荷積みしたり荷下ろしすることができるのでトラック、トレーラー又はダンプカーの荷台部分の使用を便ならしめることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態に係る本搬送装置を示す背面図である。
【図2】図1のE−E断面図である。
【図3】本搬送装置の平面図である。
【図4】本搬送装置の正面図である。
【図5】本搬送装置の分解状態を示す分解断面図である。
【図6】ローラの拡大図である。
【図7】押圧板駆動部の拡大図である。
【図8】本搬送装置に荷物Pを積み込む際(荷積み)の工程を示す図である。
【図9】本搬送装置に荷物Pを積み込む際(荷積み)の工程を示す図である。
【図10】本搬送装置に荷物Pを積み込む際(荷積み)の工程を示す図である。
【図11】本搬送装置に積み込んだ土砂Qを荷下ろしする際の工程を示す図である。
【図12】本搬送装置に積み込んだ土砂Qを荷下ろしする際の工程を示す図である。
【図13】本搬送装置に積み込んだ土砂Qを荷下ろしする際の工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。しかしながら、これらによって本発明は何ら制限されるものではない。
【0024】
図1は、本発明の一実施形態に係る本搬送装置11を示す背面図であり、図2は図1のE−E断面図であり、図3は本搬送装置11の平面図(図1中、矢印F方向から見たところを示す図)であり、図4は本搬送装置11の正面図(参考のためE−E断面の位置を示している)であり、そして図5は本搬送装置11の分解状態を示す分解断面図(図2と同様の断面を示している。)である。図1乃至図5を参照して本搬送装置11について説明する。
【0025】
本搬送装置11は、ここでは本収容装置が、対象物(荷物P、土砂Q)を収容空間に収容した状態で路面上を移動するものであり、具体的には、トレーラー(セミトレーラ)の荷台部分を構成している。本搬送装置11は、貨物自動車において荷物を積載するのに用いられてきた従来のセミトレーラー部分に本移動装置が配設されたものである。
セミトレーラー部分は、詳細には、図示しないトラクタ(トレーラヘッド)により牽引され走行する車台部分101と、車台部分101に載置され車台部分101に着脱自在に取り付けられるあおり装置部分103と、を含んでなる。なお、図示しないトラクタ(トレーラヘッド)により直進状態で水平な面を牽引される際の進行方向Dを前後方向(無論、図示しないトラクタ(トレーラヘッド)方向が前であり、後述のあおり板部103b方向が後である。)といい、前後方向に対して垂直方向な水平な2方向のうち、図示しないトラクタ(トレーラヘッド)の運転手が真っ直ぐ前方を見たときの右方向を右(図1、図3及び図4中、矢印Rにて示す)とし、左方向を左(図1、図3及び図4中、矢印Lにて示す)とし、鉛直上方向を上とし、そして鉛直下方向を下として以下説明する。
【0026】
車台部分101が有する後輪101tは正逆共に回転自在(フリー回転)とされると共に、車台部分101が有する連結部102は図示しないトラクタ(トレーラヘッド)に着脱自在に連結可能であるので、図示しないトラクタ(トレーラヘッド)に連結部102を連結することで、図示しないトラクタ(トレーラヘッド)によって車台部分101は自由に牽引され走行できる。また、車台部分101は、図5に示すが如く、あおり装置部分103を車台部分101に着脱自在に取り付けるための連結部101c1、101c2を有している。
そして、車台部分101は、長手方向が前後方向に沿って配設された一対のH形鋼141、143(互いに平行)を有している。なお、車台部分101には、一対のH形鋼141、143を互いに左右方向に連結するH形鋼142が複数配設されている。
【0027】
あおり装置部分103は、無蓋無底(上面及び下面が開放されている)の中空の直方体形状(該直方体の12の辺のうち、長い4の辺は前後方向に平行になっている)を略なしており、具体的には、車台部分101に着脱自在に取付られるあおり基礎部104と、主表面が略鉛直になるようにあおり基礎部104に下縁が取り付けられたあおり板部103a、103b、103c、103dと、を含んでなる。
あおり基礎部104は、あおり装置部分103が形成する該直方体形状の下縁を巡るように形成された枠部分104aと、枠部分104aに左右方向に架け渡されるように両端が取り付けられた棒状部材により構成される連結部104bと、を含んでなる。枠部分104aは、車台部分101の連結部101c1、101c2それぞれに係脱自在に係合する連結部103f1、103f2を有している(特に図5参照)。さらに、連結部104bには、油圧により伸縮自在なシリンダー21f1、21f2、21b1、21b2の一端が取り付けられている。伸縮自在な一対のシリンダー21f1、21f2は前方に配設され、いずれも一端が連結部104bに取り付けられると共に、他端は後述する載置部31に取り付けられている。伸縮自在な一対のシリンダー21b1、21b2は後方に配設され、いずれも一端が連結部104bに取り付けられると共に、他端は後述する載置部31に取り付けられている。
あおり板部103b、103dはいずれも同様の形状をなしており、あおり板部103b、103dの主表面が前後方向に対して略垂直(あおり板部103b、103dの主表面が左右方向に沿う)になるように配設されている。あおり板部103a、103cはいずれも同様の形状をなしており、あおり板部103a、103cの主表面が左右方向に対して略垂直(あおり板部103a、103cの主表面が前後方向に沿う)になるように配設されている。あおり板部103a、103b、103c、103dがあおり装置部分103の形状である該直方体の4面を略構成している。なお、あおり板部103bは開閉自在にされている。
【0028】
このようなセミトレーラー部分に配設された本移動装置は、載置部31と、押圧板51、53と、押圧板駆動部61a、61b、63a、63bと、シリンダー21f1、21f2、21b1、21b2と、を含んでなる。
【0029】
載置部31は、あおり装置部分103が形成する無蓋無底の中空直方体の内部空間103rの水平面による断面(長方形)よりもやや小さい主表面を有する底板33(底板33の外縁が、あおり板部103a、103cの内面に接触しない程度の隙間が形成される)と、底板33の下面に取り付けられ底板33を担持する底板担持部35と、を有してなる。
【0030】
底板33は、積載される貨物(対象物)が載置される床板を構成するものであり(底板33の上面及び下面のいずれも長方形を略なす)、上述の如く、底板33外縁があおり板部103a、103cの内面に接触しない程度の隙間が形成されると共に、底板33の前縁33aと後縁33bとの間はあおり板部103dとあおり板部103bとの間よりも小さくされている(換言すれば、底板33の前後方向の長さは、あおり装置部分103が有する内部空間103rの前後方向の長さよりも小さい)。従って、底板33はあおり装置部分103の内部空間103rにおいて前後方向に移動可能である。
なお、底板33があおり装置部分103の内部空間103rにて前後方向に移動した際、底板33の上面に積載された貨物が落下することを防止するため、あおり装置部分103は、前方板106a及び後方板106bを有している。前方板106a及び後方板106bいずれも、略水平な平らな板状部材により形成され、底板33の前縁33aとあおり板部103dとの間の空間を前方板106aが塞ぐと共に、底板33の後縁33bとあおり板部103bとの間の空間を後方板106bが塞ぐ。このように底板33があおり装置部分103の内部空間103rにて前後方向に移動しても、前方板106a及び後方板106bによって積載された貨物が落下することを防止する。
【0031】
底板担持部35は、前後方向に略等間隔になるように底板33の下面に複数(ここでは4個)取り付けられている。これら複数の底板担持部35のいずれも同じ構成を有しており、具体的には、長手方向が左右に延びるように底板33の下面に取り付けられた柱状のローラ支持部35bと、ローラ支持部35bの左右に前後に一対配置された回転自在なローラ35a(即ち、1のローラ支持部35bについて、左側に前後一対配置された回転自在なローラ35aと、右側に前後一対配置された回転自在なローラ35aと、の合計4個のローラ35aが配設されている)と、を含んでなる。ローラ35aいずれも、図6に示すように、回転軸Yが左右方向に向いており回転軸Yの周りに回転自在(フリー回転可能)にローラ支持部35bにより支持されている。ローラ35aは、回転軸Yを軸とする回転面をなす外周面を有しており、詳細には、回転軸Yを軸とする直円柱(半径r1、高さh1。但し、h1はH形鋼141、143の幅よりもやや大きくされている)の側面部分をなす第1外周部分35bs1と、第1外周部分35bs1の一方の底面に取り付けられた回転軸Yを軸とする直円柱(半径r2、高さh2、但し、r2>r1、h2<h1)の側面部分をなす第2外周部分35bs2と、第1外周部分35bs1の他方の底面に取り付けられた回転軸Yを軸とする直円柱(半径r2、高さh2、但し、r2及びh2は第2外周部分35bs2のものに同じ)の側面部分をなす第3外周部分35bs3と、を有してなる。
【0032】
ローラ35aいずれも、車台部分101に配設されたH形鋼141、143に跨るように係合しており、詳細には、H形鋼141、143の上面に沿って第1外周部分35bs1が転動することでH形鋼141、143に対しローラ35aが前後方向に移動自在になっている。このH形鋼141、143の上面に沿って第1外周部分35bs1が転動する際、H形鋼141、143の上面の両長縁部(前後方向に沿った縁部)にフランジ状をした第2外周部分35bs2の内面35bs2a及び第3外周部分35bs3の内面35bs3aが係合することでH形鋼141、143の上面から第1外周部分35bs1が脱落することを防止する。
このようにH形鋼141、143の両側から第2外周部分35bs2内面35bs2a及び第3外周部分35bs3内面35bs3aが係合した状態においてH形鋼141、143の上面に沿って第1外周部分35bs1が転動することによって、H形鋼141、143に対して、底板33を含む載置部31が前後方向に移動自在になっている。
連結部104bに一端が取り付けられたシリンダー21f1、21f2、21b1、21b2の他端が、底板担持部35(ローラ支持部35b)に取り付けられている。これによってシリンダー21f1、21f2、21b1、21b2を油圧によって伸縮させることで、底板33を含む載置部31を車台部分101に対して前後方向に自由に移動させることができる。
【0033】
あおり板部103a、103cの内面に沿って一対の押圧板51、53が配設されている。押圧板51、53いずれも両主表面が長方形を略なしており、該長方形の2の長辺のうち一方の長辺が下縁をなし、押圧板51、53の該下縁のいずれも底板33の上面に略平行になると共に該下縁と該上面との間には僅かな隙間が形成されている。そして、該長方形の2の長辺のうち他方の長辺が上縁をなし、押圧板51、53のいずれの該上縁もあおり板部103a、103cの上縁と同じ水平面に略属するようになっている。押圧板51、53がなす該長方形の2の長辺の長さ(押圧板51、53の前後方向の寸法)はあおり板部103a、103cの前後方向の寸法と略同じにされており、積載される貨物(不図示)は押圧板51、53の間で底板33に載置される。
押圧板51、53とあおり板部103a、103cとの間には押圧板駆動部61a、61b、63a、63bが介在している。押圧板駆動部61a、61bによってあおり板部103aに対して押圧板51が支持されると共に後述するようにあおり板部103aに対して押圧板51が左右方向に駆動される。同様に、押圧板駆動部63a、63bによってあおり板部103cに対して押圧板53が支持されると共に後述するようにあおり板部103cに対して押圧板53が左右方向に駆動される。
【0034】
図7は、押圧板駆動部63aの拡大図であり、詳細には、図7(a)は図3における押圧板駆動部63aの拡大図であり、そして図7(b)は図2及び図5における押圧板駆動部63aの拡大図(換言すれば、図7(a)中、矢印Q方向から見たところを示している)である。押圧板駆動部61a、61b、63a、63bはいずれも同様の構造を有しているので、ここでは押圧板駆動部63aを代表として説明する。
【0035】
押圧板駆動部63aは、鉛直方向にのびる直線L1(図7(b)参照)上に存する回動軸の周りに一端が回動自在にあおり板部103cに取り付けられた真っ直ぐな棒状の第1上部部材64と、直線L1上に存する回動軸の周りに一端が回動自在にあおり板部103cに取り付けられた真っ直ぐな棒状の第1下部部材65(第1上部部材64と同じ長さ)と、直線L1と平行な直線L2(図7(b)参照)上に存する回動軸の周りに一端が回動自在に第1上部部材64他端に取り付けられた真っ直ぐな棒状の第2上部部材66(第1上部部材64と同じ長さ)と、直線L2上に存する回動軸の周りに一端が回動自在に第1下部部材65他端に取り付けられた真っ直ぐな棒状の第2下部部材67(第2上部部材66と同じ長さ)と、第1上部部材64他端と第1下部部材65他端とを連結する直線L2に沿ってのびる連結棒68と、直線L1上に存する回動軸の周りに基端が回動自在にあおり板部103cに取り付けられた油圧により伸縮する伸縮シリンダー69aと、直線L1と平行な直線L3(図7(b)参照)上に存する回動軸の周りに伸縮シリンダー69aの先端が回動自在に取り付けられた伝達棒69bと、を有してなり、伝達棒69bの上端及び下端はいずれも直線L3の周りに回動自在に第2上部部材66及び第2下部部材67に取り付けられると共に、第2上部部材66他端と第2下部部材67他端とは直線L1と平行な直線上に存する回動軸の周りに回動自在に押圧板53に取り付けられている。このため油圧により伸縮シリンダー69aを伸縮させることで、押圧板53に取り付けられた第2上部部材66他端及び第2下部部材67他端を左右方向に移動させることができるので、押圧板駆動部63a及び押圧板駆動部63bの伸縮シリンダー69aの伸縮を調節することで、あおり板部103cに対して押圧板53の平行状態を保ちつつ押圧板53を左右方向に自由に移動することができる。
同様に、押圧板駆動部61a及び押圧板駆動部61bの伸縮シリンダー69aの伸縮を調節することで、あおり板部103aに対して押圧板51の平行状態を保ちつつ押圧板51を左右方向に自由に移動することができる。
【0036】
以上の通り、車台部分101とそれに固定されたあおり装置部分103とを含むセミトレーラー部分を有して構成された本搬送装置11においては、シリンダー21f1、21f2、21b1、21b2を油圧によって伸縮させることで底板33を車台部分101及びあおり装置部分103に対して前後方向に自由に移動(往復動)させることができると共に、押圧板駆動部61a、61b、63a、63bの伸縮シリンダー69aを伸縮させることにより押圧板51、53を左右方向に自由に移動(往復動)させることができる。
【0037】
以上説明した本搬送装置11の使用方法について説明しておく。
図8〜図10は、本搬送装置11に荷物P(ここでは直方体形状)を積み込む際の工程を示す図である。図8〜図10には、図(a)〜図(i)の別個の9の図が含まれており(詳細には、図8には図(a)〜図(c)が、図9には図(d)〜図(f)が、そして図10には図(g)〜図(i)が、それぞれ含まれている)、以下、図(a)〜図(i)として説明する。また、図(a)〜図(i)は、いずれも図3と同様に平面を示した図であるが、図示及び理解を容易にするため、底板33と、底板33を前後方向に往復動させるシリンダー21f1、21f2、21b1、21b2と、押圧板51、53と、押圧板51、53を左右方向に往復動させる押圧板駆動部61a、61b、63a、63bと、前方板106a及び後方板106bと、を図示し、その余りの要素については図示を省略している(詳細な構成については先述の通り。なお、あおり板部103bは開放されたものとする。)。
【0038】
図(a)は、シリンダー21f1、21f2、21b1、21b2により底板33を最も後方に移動させた状態(以下、「後方移動状態」という)を示している。後方移動状態においては、底板33の後縁33bは後方板106bの後縁に略一致すると共に、底板33の前縁33aとあおり板部103dとの間を前方板106aが塞いでいる。まず、図(a)に示す通り、後方移動状態で底板33の後縁33b近傍(無論、押圧板51、53の間)の上面に荷物P1を載置する。
次いで、図(a)の状態から、シリンダー21f1、21f2、21b1、21b2により底板33を最も前方に移動させ(以下、この状態を「前方移動状態」という)、図(b)の状態とする。前方移動状態においては、底板33の前縁33aは前方板106aの前縁に略一致すると共に、底板33の後縁33bよりも後方を後方板106bが塞いでいる。図(b)においては、かかる底板33の前方への移動に伴い、荷物P1も前方に移動している。
【0039】
そして、図(c)においては、図(b)の状態から押圧板駆動部61a、61b、63a、63bにより押圧板51、53を中心方向(荷物P1方向)に移動させ、荷物P1を押圧板51、53が挟持している。この押圧板51、53の挟持により荷物P1は押圧板51、53に対して前後左右に移動が制限(実質的には禁止)される。
図(c)のように荷物P1が押圧板51、53により挟持されている状態のまま、図(d)に示す通り底板33を後方に移動させ後方移動状態とする。この図(c)から図(d)への底板33の移動においても、押圧板51、53に挟持された荷物P1は押圧板51、53に対して同じ位置に留まる(即ち、荷物P1と押圧板51、53との摩擦力が、荷物P1と底板33上面との摩擦力よりも大きい)。これにより底板33に対し荷物P1は前縁33a方向に相対的に移動する。
【0040】
図(d)の状態から、押圧板51、53を荷物P1とは反対方向に移動させ、図(e)の如く、荷物P1の押圧板51、53による挟持を解く。
そして、図(f)に示す通り、図(e)の状態において底板33の後縁33b近傍(無論、押圧板51、53の間)の上面に荷物P2を載置する。
さらに、図(f)の状態から、底板33を前方に移動させ前方移動状態とし、図(g)の状態とする。図(g)においては、かかる底板33の前方への移動に伴い、荷物P1及び荷物P2も前方に移動している。
そして、図(h)においては、図(g)の状態から押圧板51、53を中心方向(荷物P1、P2方向)に移動させ、荷物P1、P2を押圧板51、53が挟持している。この押圧板51、53の挟持により荷物P1、P2は押圧板51、53に対して前後左右に移動が制限(実質的には禁止)される。
【0041】
図(h)のように荷物P1、P2が押圧板51、53により挟持されている状態のまま、前述の図(c)から図(d)の如く、底板33を後方に移動させ後方移動状態とする。この底板33の移動においても、押圧板51、53に挟持された荷物P1、P2は押圧板51、53に対して同じ位置に留まり、これにより底板33に対し荷物P1、P2は前縁33a方向に相対的に移動する(図(d))。
以下、前述の図(e)から図(h)の作業をくり返すことで、図(i)に示すように荷物P1、P2、・・・・・P8を順次積み込むことができる。
また、荷物P1、P2、・・・・・P8を荷下ろしする場合は、上の工程を逆に行うようにすればよい。
【0042】
本搬送装置11の別の使用方法について説明しておく。
図11〜図13は、本搬送装置11に積み込んだ土砂Qを荷下ろしする際の工程を示す図である。図11〜図13には、図(j)〜図(r)の別個の9の図が含まれており(詳細には、図11には図(j)〜図(l)が、図12には図(m)〜図(o)が、そして図13には図(p)〜図(r)が、それぞれ含まれている)、以下、図(j)〜図(r)として説明する。また、図(j)〜図(r)は、いずれも図3と同様に平面を示した図であるが、図(a)〜図(i)と同様、図示及び理解を容易にするため、底板33と、底板33を前後方向に往復動させるシリンダー21f1、21f2、21b1、21b2と、押圧板51、53と、押圧板51、53を左右方向に往復動させる押圧板駆動部61a、61b、63a、63bと、前方板106a及び後方板106bと、を図示し、その余りの要素については図示を省略している(あおり板部103bは開放されたものとする。)。
【0043】
図(j)は、前方移動状態の底板33上面と後方板106b上面とに土砂Qが載置された状態であり、かかる状態から土砂Qをあおり板部103b側に荷降ろしする工程を説明する。
図(k)においては、図(j)の状態から押圧板駆動部61a、61b、63a、63bにより押圧板51、53を中心方向(土砂Q方向)に移動させ、土砂Qを押圧板51、53が挟持し押し固めている。
図(k)の状態から、押圧板51、53を土砂Qとは反対方向に移動させ、図(l)の如く、土砂Qの押圧板51、53による挟持を解く。これにより土砂Qはある程度押し固められた状態となる。
【0044】
図(l)の状態から図(m)のように、底板33を後方に移動させ後方移動状態とする。この底板33の移動に際し、後方板106b上面に載置されていた土砂Qが、底板33上面の載置されている土砂Qにより後方に押されて移動し、一部の土砂Qdが荷下ろしされる。
図(m)の状態から図(n)のように、押圧板駆動部61a、61b、63a、63bにより押圧板51、53を中心方向(土砂Q方向)に移動させることで、土砂Qが押圧板51、53により押し固められ挟持されている。この押圧板51、53の挟持により土砂Qは押圧板51、53に対して前後左右に移動が制限(実質的には禁止)される。
図(n)のように土砂Qが押圧板51、53により挟持されている状態のまま、図(o)のように底板33を前方に移動させ前方移動状態とする。この底板33の移動においても、押圧板51、53に挟持された土砂Qは押圧板51、53に対して同じ位置に留まり、これにより底板33に対し土砂Qは後縁33b方向に相対的に移動する。
【0045】
図(o)の状態から、押圧板51、53を土砂Qとは反対方向に移動させ、図(p)の如く、土砂Qの押圧板51、53による挟持を解く。これにより土砂Qはある程度押し固められた状態となっている。
図(p)の状態から図(q)のように、底板33を後方に移動させ後方移動状態とする。この底板33の移動に際し、後方板106b上面に載置されていた土砂Qが、底板33上面の載置されている土砂Qにより後方に押されて移動し、一部の土砂Qdが荷下ろしされる。
図(q)の後、上述の図(n)から図(q)の工程をくり返すことで、図(r)のように全ての土砂Qが土砂Qdとして荷下ろしされ、土砂Qの荷下ろし作業が完了する。このとき押圧板51、53は互いに当接している。
【0046】
以上説明の通り、本搬送装置11が含む本移動装置(載置部31と、押圧板51、53と、押圧板駆動部61a、61b、63a、63bと、シリンダー21f1、21f2、21b1、21b2と、を含んでなる)は、対象物(荷物P、土砂Q)が載置される載置面(底板33の上面)に沿って互いに直交する第1方向(ここでは前後方向)及び第2方向(ここでは左右方向)のうち第1方向(前後方向)に向いて載置面(底板33の上面)に対し対象物(荷物P、土砂Q)を相対的に移動する移動装置であって、対象物(荷物P、土砂Q)への当接力が第2方向(左右方向)への成分を有するよう載置面(底板33の上面)に載置された対象物(荷物P、土砂Q)に当接する当接手段(押圧板51、53)と、載置面(底板33の上面)を有し、当接手段(押圧板51、53)に対し第1方向(前後方向)に相対的に往復動可能な載置手段(載置部31)と、当接手段(押圧板51、53)に対し第1方向(前後方向)に相対的に載置手段(載置部31)を往動及び復動させる載置手段駆動手段(シリンダー21f1、21f2、21b1、21b2)と、当接力の第2方向(左右方向)への成分を増減させるよう当接手段(押圧板51、53)を駆動する当接手段駆動手段(押圧板駆動部61a、61b、63a、63b)と、を備えてなり、当接手段駆動手段(押圧板駆動部61a、61b、63a、63b)が、当接力の第2方向(左右方向)への成分を載置手段(載置部31)の往動と復動との一方(ここでは当接しない状態)よりも他方(当接した状態)で増加させることにより、載置面(底板33の上面)の第1方向(前後方向)への変位量である載置面(底板33の上面)変位量と対象物(荷物P、土砂Q)の第1方向(前後方向)への変位量である対象物変位量との差である変位差を載置手段(載置部31)の往動と復動とで異ならせるものである、移動装置である。また、ここでは当接手段(押圧板51、53)は第1方向(前後方向)に絶対位置では移動せず、載置手段(載置部31)を第1方向(前後方向)に絶対位置で移動させることで、当接手段(押圧板51、53)に対し第1方向(前後方向)に相対的に載置手段(載置部31)を往動及び復動させる。
【0047】
本搬送装置11が含む本移動装置においては、当接手段(押圧板51、53)が、第2方向(左右方向)の一方側から対象物(荷物P、土砂Q)に当接する一方当接手段(押圧板51)と、第2方向(左右方向)の他方側から対象物(荷物P、土砂Q)に当接する他方当接手段(押圧板53)と、を有してなり、一方当接手段(押圧板51)と他方当接手段(押圧板53)とによって対象物(荷物P、土砂Q)が挟持されるものである。
本搬送装置11が含む本移動装置においては、一方当接手段(押圧板51)が対象物(荷物P、土砂Q)に当接する平面に沿った一方当接面(押圧板51内面)を有する板状部材を含んでなると共に、他方当接手段(押圧板53)が対象物(荷物P、土砂Q)に当接する平面に沿った他方当接面(押圧板53内面)を有する板状部材を含んでなり、載置面(底板33の上面)に載置された対象物(荷物P、土砂Q)が一方当接面(押圧板51内面)と他方当接面(押圧板53内面)との間に挟持されるものである。
【0048】
本搬送装置11が含む本移動装置においては、当接手段駆動手段(押圧板駆動部61a、61b、63a、63b)が、一方当接面(押圧板51内面)と他方当接面(押圧板53内面)とが互いに略平行な状態を保ちつつ一方当接面(押圧板51内面)と他方当接面(押圧板53内面)との間の距離を変化させるよう当接手段(押圧板51、53)を駆動するものである。
本搬送装置11が含む本移動装置においては、一方当接面(押圧板51内面)及び他方当接面(押圧板53内面)が第2方向(左右方向)に対し略垂直なものである。
本搬送装置11が含む本移動装置においては、当接手段駆動手段(押圧板駆動部61a、61b、63a、63b)が、一方当接面(押圧板51内面)と他方当接面(押圧板53内面)とが互いに当接する状態(図(r))まで当接手段(押圧板51、53)を駆動し得るものである。
【0049】
本搬送装置11が含む本移動装置においては、載置面(底板33の上面)が平面に略沿って形成されるものであり、一方当接面(押圧板51内面)が、載置面(底板33の上面)に略平行な外縁である一方載置面側外縁(押圧板51の前記下縁)を有すると共に、他方当接面(押圧板53内面)が、載置面(底板33の上面)に略平行な外縁である他方載置面側外縁(押圧板53の前記下縁)を有するものである。
本搬送装置11が含む本移動装置においては、載置手段(載置部31)の往動及び復動とのいずれか一方(当接手段が当接していないとき)では前記変位差が略0である。
本搬送装置11が含む本移動装置においては、載置手段(載置部31)の往動及び復動とのいずれか他方(当接手段が当接しているとき)では前記変位差が載置面変位量に略等しいものである。
【0050】
本搬送装置11が含む本収容装置は、本移動装置(載置部31と、押圧板51、53と、押圧板駆動部61a、61b、63a、63bと、シリンダー21f1、21f2、21b1、21b2と、を含んでなる)と、本移動装置が配設される本体部(車台部分101とあおり装置部分103とを含むセミトレーラー部分)と、を備えてなる、対象物(荷物P、土砂Q)を載置面(底板33の上面)に載置し収容空間(内部空間103r)に収容する収容装置である。
本搬送装置11が含む本収容装置は、本移動装置と、第2方向(左右方向)の一方側及び他方側に配置された一対の側板(あおり板部103a、103c)と該一対の側板(あおり板部103a、103c)の間に形成される収容空間(内部空間103r)とを有し、本移動装置が配設される本体部(車台部分101とあおり装置部分103とを含むセミトレーラー部分)と、を備えてなる、対象物(荷物P、土砂Q)を載置面(底板33の上面)に載置し収容空間(内部空間103r)に収容する収容装置であって、一方当接手段(押圧板51)が一方側の側板(あおり板部103a)の内側に存し、他方当接手段(押圧板53)が他方側の側板(あおり板部103c)の内側に存し、そして載置手段(載置部31)の載置面(底板33の上面)が、対象物(荷物P、土砂Q)が収容される収容空間の床面の少なくとも一部を構成し、収容空間に収容された対象物(荷物P、土砂Q)が、載置面(底板33の上面)に対し第1方向(前後方向)に向いて移動されるものである、収容装置である。
【0051】
本搬送装置11が含む本収容装置は、本移動装置を備えてなり、当接手段駆動手段(押圧板駆動部61a、61b、63a、63b)が、一対の側板の一方(あおり板部103a)と一方当接面(押圧板51内面)を有する板状部材との間に配設された一方のリンク機構(押圧板駆動部61a、61b)と、一対の側板の他方(あおり板部103c)と他方当接面(押圧板53内面)を有する板状部材との間に配設された他方のリンク機構(押圧板駆動部63a、63b)と、を含んでなるものである。
本搬送装置11が含む本収容装置は、前記本体部と載置手段(載置部31)とのいずれか一方(本体部)に取り付けられた第1方向(前後方向)に沿ったレール部材(H形鋼141、143)と、いずれか他方(載置手段)に取り付けられ第1方向(前後方向)に沿って移動自在にレール部材(H形鋼141、143)に係合するスライド部(底板担持部35)と、を含んでなる。
本搬送装置11は、本収容装置が、対象物(荷物P、土砂Q)を収容空間に収容した状態で路面上を移動する、搬送装置である。
本搬送装置11は、本収容装置がトレーラーの荷台部分を構成する。
【符号の説明】
【0052】
11 本搬送装置
21f1、21f2、21b1、21b2 シリンダー
31 載置部
33 底板
33a 前縁
33b 後縁
35 底板担持部
35a ローラ
35b ローラ支持部
35bs1 第1外周部分
35bs2 第2外周部分
35bs2a 内面
35bs3 第3外周部分
35bs3a 内面
51、53 押圧板
61a、61b、63a、63b 押圧板駆動部
64 第1上部部材
65 第1下部部材
66 第2上部部材
67 第2下部部材
68 連結棒
69a 伸縮シリンダー
69b 伝達棒
101 車台部分
101c1、101c2 連結部
101t 後輪
102 連結部
103 あおり装置部分
103r 内部空間
103a、103b、103c、103d あおり板部
103f1、103f2 連結部
104 あおり基礎部
104a 枠部分
104b 連結部
106a 前方板
106b 後方板
141、143 H形鋼
142 H形鋼

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物が載置される載置面に沿って互いに直交する第1方向及び第2方向のうち第1方向に向いて載置面に対し対象物を相対的に移動する移動装置であって、
対象物への当接力が第2方向への成分を有するよう載置面に載置された対象物に当接する当接手段と、
載置面を有し、当接手段に対し第1方向に相対的に往復動可能な載置手段と、
当接手段に対し第1方向に相対的に載置手段を往動及び復動させる載置手段駆動手段と、
当接力の第2方向への成分を増減させるよう当接手段を駆動する当接手段駆動手段と、を備えてなり、
当接手段駆動手段が、当接力の第2方向への成分を載置手段の往動と復動との一方よりも他方で増加させることにより、載置面の第1方向への変位量である載置面変位量と対象物の第1方向への変位量である対象物変位量との差である変位差を載置手段の往動と復動とで異ならせるものである、移動装置。
【請求項2】
当接手段が、第2方向の一方側から対象物に当接する一方当接手段と、第2方向の他方側から対象物に当接する他方当接手段と、を有してなり、一方当接手段と他方当接手段とによって対象物が挟持されるものである、請求項1に記載の移動装置。
【請求項3】
一方当接手段が対象物に当接する平面に沿った一方当接面を有する板状部材を含んでなると共に、他方当接手段が対象物に当接する平面に沿った他方当接面を有する板状部材を含んでなり、
載置面に載置された対象物が一方当接面と他方当接面との間に挟持されるものである、請求項2に記載の移動装置。
【請求項4】
当接手段駆動手段が、一方当接面と他方当接面とが互いに略平行な状態を保ちつつ一方当接面と他方当接面との間の距離を変化させるよう当接手段を駆動するものである、請求項3に記載の移動装置。
【請求項5】
一方当接面及び他方当接面が第2方向に対し略垂直なものである、請求項4に記載の移動装置。
【請求項6】
当接手段駆動手段が、一方当接面と他方当接面とが互いに当接する状態まで当接手段を駆動し得るものである、請求項3乃至5のいずれか1に記載の移動装置。
【請求項7】
載置面が平面に略沿って形成されるものであり、
一方当接面が、載置面に略平行な外縁である一方載置面側外縁を有すると共に、他方当接面が、載置面に略平行な外縁である他方載置面側外縁を有するものである、請求項3乃至6のいずれか1に記載の移動装置。
【請求項8】
載置手段の往動及び復動とのいずれか一方では前記変位差が略0である、請求項1乃至7のいずれか1に記載の移動装置。
【請求項9】
載置手段の往動及び復動とのいずれか他方では前記変位差が載置面変位量に略等しいものである、請求項1乃至8のいずれか1に記載の移動装置。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか1に記載の移動装置と、該移動装置が配設される本体部と、を備えてなる、対象物を載置面に載置し収容空間に収容する収容装置。
【請求項11】
請求項2乃至7のいずれか1に記載の移動装置と、
第2方向の一方側及び他方側に配置された一対の側板と該一対の側板の間に形成される収容空間とを有し、該移動装置が配設される本体部と、を備えてなる、対象物を載置面に載置し収容空間に収容する収容装置であって、
一方当接手段が一方側の側板の内側に存し、他方当接手段が他方側の側板の内側に存し、そして載置手段の載置面が、対象物が収容される収容空間の床面の少なくとも一部を構成し、
収容空間に収容された対象物が、載置面に対し第1方向に向いて移動されるものである、収容装置。
【請求項12】
請求項3乃至7のいずれか1に記載の移動装置を備えてなり、
当接手段駆動手段が、一対の側板の一方と一方当接面を有する板状部材との間に配設された一方のリンク機構と、一対の側板の他方と他方当接面を有する板状部材との間に配設された他方のリンク機構と、を含んでなるものである、請求項11に記載の収容装置。
【請求項13】
前記本体部と載置手段とのいずれか一方に取り付けられた第1方向に沿ったレール部材と、いずれか他方に取り付けられ第1方向に沿って移動自在にレール部材に係合するスライド部と、を含んでなる、請求項10乃至12のいずれか1に記載の収容装置。
【請求項14】
請求項10乃至13のいずれか1に記載の収容装置が、対象物を収容空間に収容した状態で路面上又はレール上を移動する、搬送装置。
【請求項15】
収容装置が、トラック、トレーラー又はダンプカーの荷台部分を構成する、請求項14に記載の搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−39877(P2013−39877A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−178182(P2011−178182)
【出願日】平成23年8月17日(2011.8.17)
【出願人】(511201048)有限会社瀬戸内興商 (1)