説明

移動要求装置、移動要求方法、移動要求プログラム

【課題】1台の物理マシンに複数の仮想マシンが稼働する場合に、より安全に仮想マシンを提供する。
【解決手段】ユーザ端末からの要求に応じて複数の物理マシンのいずれかに仮想マシンを起動させ、入力される移動要求に応じて、物理マシンに起動された仮想マシンを他の物理マシンに移動させる仮想マシン管理装置に接続された移動要求装置であって、仮想マシン管理装置に移動要求を送信する条件を示す移動条件が記憶される移動条件記憶部と、ユーザ端末から送信される移動条件を受信し、移動条件記憶部に記憶させる受信部と、移動条件記憶部に記憶されている移動条件に基づいて、仮想マシン管理装置に移動要求を送信する移動要求送信部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仮想環境における仮想マシンのセキュリティを確保する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザ端末からの要求を受けて、予め用意した物理マシンに仮想マシンを起動させ、起動した仮想マシンをユーザに利用させるコンピュータリソースの利用形態が一般的になりつつある。例えば、図8は、このようにコンピュータリソースを提供する仮想マシン提供システム100の例を示す図である。仮想マシン管理装置120は、複数の物理マシン130(物理マシン130−1、物理マシン130−2、・・・物理マシン130−n)によって構成される仮想環境に接続されており、ユーザ端末110から仮想マシンの起動要求を受信すると、複数の物理マシン130のうちいずれかの物理マシン130に仮想マシンを起動させる。1台の物理マシン130は、仮想化技術により複数の仮想マシンを起動させることが可能である。特許文献1には、このような仮想マシン提供システム100において、複数の仮想マシン間の依存関係を考慮して仮想マシンを配置することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−140134号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このように1台の物理マシン130において複数の仮想マシンが起動して稼働する場合、複数の仮想マシン間でのセキュリティが完全に確保されない場合があると考えられる。例えば、ユーザが、自身の要求によって起動された仮想マシンの動作状況を監視することで、同一の物理マシンに稼働している他の仮想マシンのCPU(Central Processing Unit)負荷やディスクI/O(Input/Output)、ネットワークトラフィックなどに関する情報を利用者の承諾なしに得るような可能性が考えられる。これらの情報の不正取得は、攻撃の第一歩または予兆と捉える必要がある。そこで、このような攻撃の可能性がある場合にも、より安全に仮想マシンを提供することが望ましい。
【0005】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたもので、1台の物理マシンに複数の仮想マシンが稼働するような仮想マシン提供システムにおいて、より安全に仮想マシンを提供する移動要求装置、移動要求方法、移動要求プログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明は、ユーザ端末からの要求に応じて複数の物理マシンのいずれかに仮想マシンを起動させ、入力される移動要求に応じて、物理マシンに起動された仮想マシンを他の物理マシンに移動させる仮想マシン管理装置に接続された移動要求装置であって、仮想マシン管理装置に移動要求を送信する条件を示す移動条件が記憶される移動条件記憶部と、ユーザ端末から送信される移動条件を受信し、移動条件記憶部に記憶させる受信部と、移動条件記憶部に記憶されている移動条件に基づいて、仮想マシン管理装置に移動要求を送信する移動要求送信部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、移動条件には、定められた期間毎に移動要求を送信することが定められ、移動要求送信部は、期間毎に仮想マシン管理装置に移動要求を送信することを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、移動条件には、ユーザ端末から送信される移動要求に応じて仮想マシン管理装置に移動要求を送信することが定められ、移動要求送信部は、ユーザ端末から送信される移動要求に応じて仮想マシン管理装置に移動要求を送信することを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、同一の物理マシン上に、異なるユーザからの要求に応じた複数の仮想マシンが起動していることを検知する検知部を備え、移動条件には、検知部が検知した場合に移動要求を送信することが定められ、移動要求送信部は、検知部が検知した場合に移動要求を送信することを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、ユーザ端末からの要求に応じて複数の物理マシンのいずれかに仮想マシンを起動させ、入力される移動要求に応じて、物理マシンに起動された仮想マシンを他の物理マシンに移動させる仮想マシン管理装置に接続され、仮想マシン管理装置に移動要求を送信する条件を示す移動条件が記憶される移動条件記憶部を備えた移動要求装置の移動要求方法であって、ユーザ端末から送信される移動条件を受信し、移動条件記憶部に記憶させるステップと、移動条件記憶部に記憶されている移動条件に基づいて、仮想マシン管理装置に移動要求を送信するステップと、を備えることを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、ユーザ端末からの要求に応じて複数の物理マシンのいずれかに仮想マシンを起動させ、入力される移動要求に応じて、物理マシンに起動された仮想マシンを他の物理マシンに移動させる仮想マシン管理装置に接続され、仮想マシン管理装置に移動要求を送信する条件を示す移動条件が記憶される移動条件記憶部を備えた移動要求装置のコンピュータに、ユーザ端末から送信される移動条件を受信し、移動条件記憶部に記憶させるステップと、移動条件記憶部に記憶されている移動条件に基づいて、仮想マシン管理装置に移動要求を送信するステップと、を実行させる移動要求プログラムである。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように、本発明によれば、ユーザ端末からの要求に応じて複数の物理マシンのいずれかに仮想マシンを起動させ、入力される移動要求に応じて、物理マシンに起動された仮想マシンを他の物理マシンに移動させる仮想マシン管理装置に接続された移動要求装置であって、仮想マシン管理装置に移動要求を送信する条件を示す移動条件が記憶される移動条件記憶部と、ユーザ端末から送信される移動条件を受信し、移動条件記憶部に記憶させる受信部と、移動条件記憶部に記憶されている移動条件に基づいて、仮想マシン管理装置に移動要求を送信する移動要求送信部と、を備えるようにしたので、1台の物理マシンに複数の仮想マシンが稼働する場合に、より安全に仮想マシンを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態による仮想マシン提供システムの構成例を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態による割り当て情報のデータ例を示す図である。
【図3】本発明の一実施形態による利用状況のデータ例を示す図である。
【図4】本発明の一実施形態による移動条件のデータ例を示す図である。
【図5】本発明の一実施形態により定期的に仮想マシンを移動させる仮想マシン提供システムの動作例を示すフローチャートである。
【図6】本発明の一実施形態により同一の物理マシンに異なるユーザの仮想マシンが同居した場合に仮想マシンを移動させる仮想マシン提供システムの動作例を示すフローチャートである。
【図7】本発明の一実施形態によりユーザ端末からの要求に応じて仮想マシンを移動させる仮想マシン提供システムの動作例を示すフローチャートである。
【図8】従来技術による仮想マシン提供システムの構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態による移動要求装置50を備えた仮想マシン提供システム1の構成を示すブロック図である。仮想マシン提供システム1は、移動要求装置50の他に、ユーザ端末10と、仮想マシン管理装置20と、物理マシン30−1、物理マシン30−2、・・・物理マシン30−nと、利用状況監視装置40とのコンピュータ装置を備えており、これらのコンピュータ装置はネットワークを介して接続されている。複数の物理マシン30は同様の構成であり、特に区別しない場合には「−1」、「−2」等を省略して物理マシン30として説明する。
【0015】
仮想マシン提供システム1は、ユーザ端末10からの仮想マシンの起動要求に応じて、複数の物理マシン30によって構成される仮想環境に仮想マシンを起動させ、ユーザ端末10に利用させるリソース提供サービスを提供する。このようなサービスはクラウドサービスなどとも呼ばれるものである。クラウドサービスとしては、広くインターネット経由で仮想マシンを提供するパブリッククラウド、ファイアーウォール内の企業内などに限定して仮想マシンを提供するプライベートクラウド、特定の企業群によって形成されるコミュニティに対して仮想マシンを提供するコミュニティクラウドなどの形態が考えられる。仮想マシン提供システム1は、これらのどの形態におけるクラウドサービスを提供するものであっても良い。
【0016】
ユーザ端末10は、仮想マシン提供システム1によって提供される仮想マシンを利用するユーザのコンピュータ装置である。ユーザ端末10は、ユーザからの入力に応じて、仮想マシンの起動要求を仮想マシン管理装置20に送信する。ユーザ端末10は、起動された仮想マシンにネットワークを介して接続し、利用することができる。また、ユーザから入力される仮想マシンの移動要求や移動条件を、移動要求装置50に送信する。ここでは、1台のユーザ端末10を示して説明するが、仮想マシン提供システム1には複数のユーザの複数のユーザ端末10が接続されていて良い。複数のユーザのそれぞれには、自身を識別する識別情報であるユーザIDが予め付与されているものとする。
【0017】
仮想マシン管理装置20は、ユーザ端末10からの仮想マシンの起動要求に応じて、複数の物理マシン30のいずれかに仮想マシンを起動させるクラウド管理装置である。例えば、仮想マシン管理装置20は、ユーザ端末10から、そのユーザ端末10を利用するユーザのユーザIDとともに仮想マシンの起動要求を受信する。仮想マシン管理装置20は、物理マシン30に仮想マシンを起動させる際、仮想マシンの起動要求元のユーザIDと、その起動要求に応じて仮想マシンを起動した物理マシン30を識別する識別情報である物理マシンIDと、起動した仮想マシンを識別する仮想マシンIDとを対応付けた割り当て情報を自身の記憶領域に記憶する。図2は、仮想マシン管理装置20に記憶される割り当て情報のデータ例を示す図である。ここでは、例えば、物理マシンIDが「1」である物理マシン30に、ユーザIDが「A」であるユーザからの起動要求に基づいて起動された、仮想マシンIDが「i−aaa111」である仮想マシンと、ユーザIDが「B」であるユーザからの起動要求に基づいて起動された、仮想マシンIDが「i−bbb222」である仮想マシン仮想マシンとが稼働していることが示される。ここで、仮想マシン管理装置20が、複数の物理マシン30のうちいずれの物理マシン30に仮想マシンを起動させるかは、例えば物理マシン30のコンピュータリソースの利用状況等に基づいて決定することができる。
【0018】
また、仮想マシン管理装置20は、移動要求装置50から送信される移動要求に応じて、物理マシン30に起動された仮想マシンを他の物理マシン30に移動させる移動処理を行う。ここでは、仮想マシン管理装置20は、物理マシン上で稼働している仮想マシンを停止させずに他の物理マシン上に移動させるマイグレーション(ホットマイグレーション)の処理を行う。例えば、物理マシン30−1上に起動された仮想マシンa、仮想マシンb、仮想マシンcのうち、仮想マシンcに対する移動要求を受信すると、仮想マシンcを物理マシン30−1から物理マシン30−2に移動させる(仮想マシンc´)。ここで、仮想マシン管理装置20が、複数の物理マシン30のうちいずれの物理マシン30に仮想マシンを移動させるかは、起動時と同様に、例えば物理マシン30のコンピュータリソースの利用状況等に基づいて決定することができる。
【0019】
物理マシン30は、コンピュータリソースを仮想化し、複数の仮想マシンを起動させる仮想化機能を備えるコンピュータ装置である。物理マシン30は、仮想マシン管理装置20からの起動要求により、自身のコンピュータリソースに仮想マシンを起動する。
【0020】
利用状況監視装置40は、複数の物理マシン30の利用状況を監視するコンピュータ装置である。例えば、利用状況監視装置40は、複数の物理マシン30のそれぞれから、その物理マシン30において稼働している仮想マシンの稼働状況等の情報を収集し、自身の記憶領域に記憶させる。図3は、利用状況監視装置40に記憶される利用状況のデータ例を示す図である。例えば、利用状況には、物理マシンIDに対応付けた、仮想マシン数、空きCPU数、空きメモリ容量、空きディスク容量等の情報が含まれる。
【0021】
移動要求装置50は、移動条件記憶部51と、通信部52と、検知部53と、移動要求送信部54とを備えている。
移動条件記憶部51には、仮想マシン管理装置20に仮想マシンの移動要求を送信する条件を示す移動条件が記憶される。移動条件としては、例えば、定められた期間毎に移動要求を送信することが定められる。または、ユーザ端末10から送信される移動要求に応じて仮想マシン管理装置20に移動要求を送信することが定められる。または、後述する検知部53が、同一の物理マシン30に異なるユーザの仮想マシンが同居したことを検知した場合に移動要求を送信することが定められる。また、このような条件のうちいずれかまたは複数の条件を適用しても良い。
【0022】
図4は、移動条件記憶部51に記憶される移動条件のデータ例を示す図である。移動条件には、仮想マシンを識別する識別情報である仮想マシンIDに対応付けて、定期マイグレーション期間と、前回マイグレーション日時と、次回マイグレーション日時と、同居検知時にマイグレーションを実行するか否かを示すフラグとの情報が対応付けられる。仮想マシンIDは、移動対象である仮想マシンの識別情報である。定期マイグレーション期間は、仮想マシン管理装置20から送信される移動条件によって示される情報であり、仮想マシン管理装置20に対して仮想マシンの移動要求を送信する時間間隔を示す。
【0023】
通信部52は、ネットワークを介して接続された他のコンピュータ装置と通信を行う。例えば、通信部52は、ユーザ端末10から送信される移動条件を受信し、受信した移動条件を移動条件記憶部51に記憶させる。
検知部53は、仮想環境における複数の物理マシンのうち、同一の物理マシン上に、異なるユーザからの要求に応じた複数の仮想マシンが起動していることを検知する同居検知処理を行う。例えば、検知部53は、仮想マシン管理装置20の記憶領域に記憶されている割り当て情報を読み出して監視し、同一の物理マシンIDに、異なるユーザIDが対応付けられて記憶されているか否かを判定する。ここで、同一の物理マシンIDに、異なるユーザIDが対応付けられて記憶されていると判定すれば、同一の物理マシンに異なるユーザの仮想マシンが同居したことを検知する。
【0024】
移動要求送信部54は、移動条件記憶部51に記憶されている移動条件に基づいて、仮想マシン管理装置20に移動要求を送信する。例えば、移動要求送信部54は、移動条件として定期マイグレーション期間が移動条件記憶部51に記憶されていれば、定期マイグレーション期間が示す期間毎に、仮想マシン管理装置20に移動要求を送信する。移動条件記憶部51に記憶されている移動条件に含まれる同居検知時マイグレーション実行フラグがOnであれば、検知部53が同居検知した場合に、仮想マシン管理装置20に移動要求を送信する。あるいは、ユーザ端末10から移動要求が送信された場合には、受信した移動要求に応じて、即時に仮想マシン管理装置20に移動要求を送信する。移動要求送信部54が送信する移動要求には、移動要求の対象である仮想マシンの仮想マシンIDが含まれる。
【0025】
次に、本実施形態による移動要求装置50を備えた仮想マシン提供システム1の動作例を説明する。
図5は、定期的に仮想マシンを移動させる仮想マシン提供システム1の動作例を示すフローチャートである。まず、ユーザ端末10が、ユーザからの入力に応じて、ユーザIDが含まれる仮想マシン起動要求を仮想マシン管理装置20に送信する。また、ユーザから入力される移動条件を、移動要求装置50に送信する。仮想マシン管理装置20は、ユーザ端末10から送信された仮想マシン起動要求を受信し、移動要求装置50は、ユーザ端末10から送信された移動条件を受信する(ステップS1)。
【0026】
仮想マシン管理装置20は、ユーザ端末10から送信された起動要求に応じて、物理マシン30に仮想マシンを起動させる(ステップS2)。移動要求装置50の通信部52は、ユーザ端末10から受信した移動条件を移動条件記憶部51に記憶させる。また、移動条件に含まれる期間に基づいて、次回マイグレーション日時を算出し、移動条件記憶部51に記憶させる(ステップS3)。ここで、次回マイグレーション日時の起算時点は、仮想マシンが起動された時点でも良いし、期間に応じて予め定められた時点でも良い。
【0027】
移動要求送信部54は、自身が備える計時機能から現在時刻を取得し、移動条件記憶部51に記憶されている次回マイグレーション日時を読み出し、現在時刻と次回マイグレーション日時とを比較する監視処理を開始する(ステップS4)。移動要求送信部54が、現在時刻が次回マイグレーション日時を超過していないと判定すると(ステップS5:NO)、ステップS4に戻り、監視処理を継続する。移動要求送信部54が、現在時刻が次回マイグレーション日時を超過していると判定すると(ステップS5:YES)、その仮想マシンの移動要求を仮想マシン管理装置20に送信する(ステップS6)。仮想マシン管理装置20は、移動要求装置50から移動要求を受信すると、受信した移動要求に含まれる仮想マシンIDが示す仮想マシンを、他の物理マシン30に移動させる移動処理を行う。移動要求装置50は、移動条件記憶部51に記憶されている前回マイグレーション日時を、現在時刻で更新し、定期マイグレーション期間に基づいて新たな次回マイグレーション日時を算出して、移動条件記憶部51に記憶させ(ステップS7)、ステップS4に戻り、再び監視処理を行う。
このようにすれば、物理マシン30に起動されている仮想マシンを、一定期間毎に他の物理マシン30に移動させることができる。これにより、同一の物理マシン30に稼働している他の仮想マシンからの攻撃を受ける可能性を減らすことができる。
【0028】
図6は、同一の物理マシンに異なるユーザの仮想マシンが同居した場合に仮想マシンを移動させる仮想マシン提供システム1の動作例を示すフローチャートである。
上述の動作例と同様に、仮想マシン管理装置20が、ユーザ端末10から送信された仮想マシン起動要求を受信し、移動要求装置50が、ユーザ端末10から送信された移動条件を受信する(ステップS11)。仮想マシン管理装置20は、ユーザ端末10から送信された起動要求に応じて、物理マシン30に仮想マシンを起動させる(ステップS12)。移動要求装置50の通信部52は、ユーザ端末10から受信した移動条件を移動条件記憶部51に記憶させる。そして、検知部53が、同居検知処理を開始する(ステップS13)。
【0029】
検知部53が、同一の物理マシンに異なるユーザの仮想マシンが同居していないと判定すれば(ステップS14:NO)、ステップS13に戻る。検知部53が、同一の物理マシンに異なるユーザの仮想マシンが同居していると判定すれば(ステップS14:YES)、その仮想マシンの移動要求を仮想マシン管理装置20に送信し(ステップS15)、ステップS13に戻る。仮想マシン管理装置20は、移動要求装置50から移動要求を受信すると、受信した移動要求に含まれる仮想マシンIDが示す仮想マシンを、他の物理マシン30に移動させる移動処理を行う。
このようにすれば、同一の物理マシンに異なるユーザの仮想マシンが同居した場合に、一方の仮想マシンが他の物理マシンに移動されるので、同一の物理マシンに異なるユーザの仮想マシンが同居したまま稼働することを防ぐことができる。これにより、仮想マシンが、同一の物理マシン30に稼働している他のユーザの仮想マシンから攻撃を受ける可能性を減らすことができる。
【0030】
図7は、ユーザ端末10からの要求に応じて仮想マシンを移動させる仮想マシン提供システム1の動作例を示すフローチャートである。
上述の動作例と同様に、仮想マシン管理装置20が、ユーザ端末10から送信された仮想マシン起動要求を受信すると(ステップS21)、仮想マシン管理装置20は、ユーザ端末10から送信された起動要求に応じて、物理マシン30に仮想マシンを起動させる(ステップS22)。ユーザ端末10は、ユーザからの入力に応じて、自身の起動要求に応じて起動された仮想マシンIDが含まれる移動要求を、移動要求装置50に送信する。移動要求装置50は、ユーザ端末10から送信された移動要求を受信すると(ステップS23)、受信した移動要求を、仮想マシン管理装置20に送信する(ステップS24)。仮想マシン管理装置20は、移動要求装置50から移動要求を受信すると、受信した移動要求に含まれる仮想マシンIDが示す仮想マシンを、他の物理マシン30に移動させる移動処理を行う。
【0031】
このようにすれば、ユーザからの要求に応じて、仮想マシンを他の物理マシンに移動させることができる。これにより、ユーザ任意のタイミングで仮想マシンを移動させることができ、仮想マシンが、同一の物理マシン30に稼働している他のユーザの仮想マシンから攻撃を受ける可能性を減らすことができる。
【0032】
なお、本実施形態において、移動要求装置50が備える各機能部を、ユーザ端末10が備えるようにすることもできる。この場合、ユーザ端末10は、移動要求の送信時間を監視したり、仮想環境における同居検知を監視したりする必要があるため、常に起動状態にして、かつネットワークに接続しておく。
【0033】
以上説明したように、本実施形態によれば、同一の物理マシン上で、異なるユーザの仮想マシンが同居する時間を減らすことができ、同居する他の仮想マシンからの攻撃を受ける可能性を減らすことができる。また、仮想マシンの稼働を停止させずに移動させるため、ユーザ端末10からの仮想マシンの利用が止められることがない。
さらに、同一の物理マシンにおいて複数の仮想マシンが稼働している場合、CPUやメモリなどを他の仮想マシンと共有することになり、他の仮想マシンの稼働状況によって性能上の影響があることが考えられるが、同居する他の仮想マシンがコンピュータリソースを大量に消費している場合でも、その他の仮想マシンからの影響を受ける時間を減らすことができる、
【0034】
なお、本発明における処理部の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより移動要求を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)を備えたWWWシステムも含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
【0035】
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【符号の説明】
【0036】
1 仮想マシン提供システム
10 ユーザ端末
20 仮想マシン管理装置
30 物理マシン
40 利用状況監視装置
50 移動要求装置
51 移動条件記憶部
52 通信部
53 検知部
54 移動要求送信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザ端末からの要求に応じて複数の物理マシンのいずれかに仮想マシンを起動させ、入力される移動要求に応じて、前記物理マシンに起動された前記仮想マシンを他の物理マシンに移動させる仮想マシン管理装置に接続された移動要求装置であって、
前記仮想マシン管理装置に前記移動要求を送信する条件を示す移動条件が記憶される移動条件記憶部と、
前記ユーザ端末から送信される前記移動条件を受信し、前記移動条件記憶部に記憶させる受信部と、
前記移動条件記憶部に記憶されている前記移動条件に基づいて、前記仮想マシン管理装置に移動要求を送信する移動要求送信部と、
を備えることを特徴とする移動要求装置。
【請求項2】
前記移動条件には、定められた期間毎に前記移動要求を送信することが定められ、
前記移動要求送信部は、前記期間毎に前記仮想マシン管理装置に移動要求を送信する
ことを特徴とする請求項1に記載の移動要求装置。
【請求項3】
前記移動条件には、前記ユーザ端末から送信される移動要求に応じて前記仮想マシン管理装置に移動要求を送信することが定められ、
前記移動要求送信部は、前記ユーザ端末から送信される移動要求に応じて前記仮想マシン管理装置に移動要求を送信する
ことを特徴とする請求項1に記載の移動要求装置。
【請求項4】
同一の前記物理マシン上に、異なるユーザからの要求に応じた複数の仮想マシンが起動していることを検知する検知部を備え、
前記移動条件には、前記検知部が検知した場合に前記移動要求を送信することが定められ、
前記移動要求送信部は、前記検知部が検知した場合に前記移動要求を送信する
ことを特徴とする請求項1に記載の移動要求装置。
【請求項5】
ユーザ端末からの要求に応じて複数の物理マシンのいずれかに仮想マシンを起動させ、入力される移動要求に応じて、前記物理マシンに起動された前記仮想マシンを他の物理マシンに移動させる仮想マシン管理装置に接続され、前記仮想マシン管理装置に前記移動要求を送信する条件を示す移動条件が記憶される移動条件記憶部を備えた移動要求装置の移動要求方法であって、
前記ユーザ端末から送信される前記移動条件を受信し、前記移動条件記憶部に記憶させるステップと、
前記移動条件記憶部に記憶されている前記移動条件に基づいて、前記仮想マシン管理装置に移動要求を送信するステップと、
を備えることを特徴とする移動要求方法。
【請求項6】
ユーザ端末からの要求に応じて複数の物理マシンのいずれかに仮想マシンを起動させ、入力される移動要求に応じて、前記物理マシンに起動された前記仮想マシンを他の物理マシンに移動させる仮想マシン管理装置に接続され、前記仮想マシン管理装置に前記移動要求を送信する条件を示す移動条件が記憶される移動条件記憶部を備えた移動要求装置のコンピュータに、
前記ユーザ端末から送信される前記移動条件を受信し、前記移動条件記憶部に記憶させるステップと、
前記移動条件記憶部に記憶されている前記移動条件に基づいて、前記仮想マシン管理装置に移動要求を送信するステップと、
を実行させる移動要求プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−194868(P2012−194868A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−59245(P2011−59245)
【出願日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(000102728)株式会社エヌ・ティ・ティ・データ (438)
【Fターム(参考)】