説明

移動解析装置およびプログラム

【課題】人等の移動を解析し、その解析結果を報知しうる移動解析装置を提供する。
【解決手段】本発明の移動解析装置は、ユーザに装着された移動検出装置2によって、ユーザが移動した方位とその加速度を検出し、検出結果をユーザに保持されている携帯電話機3へ送信する。携帯電話機3は、予め設定された加速度毎の運動量を示す運動強度に基づいて検出結果の加速度に対応する運動強度を特定し、検出された方位毎の運動強度を集計した集計結果をユーザの移動履歴情報として報知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人等の移動軌跡を解析する移動解析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
GPS(Global Positioning System)機能を携帯電話機に搭載し、携帯電話機を保有するユーザの位置や運動量等を解析する技術が特許文献1に開示されている。この技術は、ユーザの現在位置がそのユーザの予め設定された運動エリア内か否か判断することによりユーザが運動しているか否か判断し、ユーザの移動距離や消費カロリー等を算出するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−306660号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術は、ユーザ自身の運動量や現在位置は容易に確認することはできるが、自分がどのような方向に出向いて行動する傾向があるか等の行動パターンを認識することはできない。
本発明は、人等の移動を解析し、その解析結果を報知しうる移動解析装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る移動解析装置は、解析対象が移動した際の移動方向の方位を検出し、検出した方位を示す方位情報を出力する方位検出手段と、前記解析対象の前記移動方向における運動物理量を検出し、検出した運動物理量を示す運動情報を出力する運動物理量検出手段と、前記方位検出手段により出力された前記方位情報と、前記運動物理量検出手段により出力された前記運動情報とを受付け、受付けた前記方位情報に基づく方位毎の前記運動情報を集計した結果を前記解析対象の移動履歴情報として報知する報知手段とを備えることを特徴とする。
また、本発明に係るプログラムは、解析対象が移動した際の移動方向の方位を検出し、検出した方位を示す方位情報を出力する方位検出手段と、前記解析対象の前記移動方向における運動物理量を検出し、検出した運動物理量を示す運動情報を出力する運動物理量検出手段とを備えるコンピュータに、前記方位検出手段により出力された前記方位情報と、前記運動物理量検出手段により出力された前記運動情報とを受付け、受付けた前記方位情報に基づく方位毎の前記運動情報を集計した結果を前記解析対象の移動履歴情報として報知する報知ステップを実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、解析対象が移動した移動履歴を方位毎に容易に確認することができる。
【0007】
また、前記移動解析装置において、前記方位検出手段は、前記解析対象における脚部又は腕部を少なくとも含む複数の部位毎に移動方向の方位を検出し、検出した前記部位毎の方位を示す方位情報を出力し、前記運動物理量検出手段は、前記部位毎の前記移動方向における前記運動物理量を検出し、検出した前記部位毎の前記運動物理量を示す運動情報を出力し、前記部位毎に予め定められた方位毎の前記運動物理量を基準データとして記憶する基準データ記憶手段を備え、前記報知手段は、前記方位検出手段により出力された前記部位毎の方位情報と、前記運動物理量検出手段により出力された前記部位毎の運動情報とを受付け、前記部位毎に前記方位毎の前記運動情報を集計した結果と、前記基準データ記憶手段に記憶されている前記部位毎の前記基準データとの差異を表す情報を前記移動履歴情報として報知することとしてもよい。この構成によれば、解析対象が移動した移動履歴における、身体の部位毎の運動物理量と基準値との差異を確認することができる。
【0008】
また、前記移動解析装置において、画像を表示する表示手段と、予め定められた方位毎の前記運動物理量に対応する運動強度を記憶する運動強度記憶手段を備え、前記報知手段は、前記運動強度記憶手段に記憶されている前記運動強度に基づいて、前記方位毎の前記運動情報を集計した結果に対応する前記運動強度を特定し、特定した運動強度に応じて前記方位毎の運動強度を表す方位別運動情報画像を生成し、生成した方位別運動情報画像を前記移動履歴情報として前記表示手段に表示させることとしてもよい。この構成によれば、解析対象が移動した移動履歴における、移動した各方向に対する運動強度を画像で確認することができる。
【0009】
また、前記移動解析装置において、音を発音する発音手段と、予め定められた方位毎の運動情報に基づく画像パターンと当該画像パターンに対応する音データとを対応づけて記憶する記憶手段とを備え、前記報知手段は、前記方位別運動情報画像に対応する前記記憶手段に記憶されている前記画像パターンを特定し、特定した画像パターンに対応する前記音データを前記記憶手段から読み出し、読み出した当該音データを前記移動履歴情報として前記発音手段に発音させることとしてもよい。この構成によれば、解析対象の移動履歴における移動方向を音で直感的に確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施形態に係る移動解析装置の構成例を示す図である。
【図2】実施形態に係る移動検出装置の外観を示す図である。
【図3】実施形態に係る移動検出装置の構成を表すブロック図である。
【図4】実施形態に係る携帯電話機のの構成を表すブロック図である。
【図5】(a)は、実施形態における方位変換テーブルの例を示す図である。(b)は、実施形態における運動強度テーブルの例を示す図である。
【図6】実施形態における移動解析処理の動作フローである。
【図7】実施形態における方位別集計結果情報の例を示す図である。
【図8】実施形態における集計画像の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本実施形態に係る移動解析装置について説明する。
(概要)
本実施形態に係る移動解析装置は、ある期間内にユーザがどの方向にどのくらいの運動量で移動したかを解析し、その解析結果をユーザに提示するものである。図1は、本実施形態に係る移動解析装置の例を示している。本実施形態における移動解析装置1は、移動検出装置2と携帯電話機3とで構成されている。以下、移動解析装置1の処理の概略について説明する。
ユーザ4は、この移動検出装置2を胴部に装着し、携帯電話機3を持って移動する。移動検出装置2は、ユーザの移動方向の方位及び移動時における運動の物理量を検出し、移動検出装置2と無線接続された携帯電話機3へ検出結果を送信する。携帯電話機3はその検出結果に基づいて、ユーザが移動した方位毎の運動量を表す運動強度や移動距離を集計する。本実施形態では、方位毎に集計された運動強度や移動距離をユーザ4の移動履歴情報として報知する。以下、本実施形態の移動解析装置1の構成について説明する。
【0012】
(構成)
図2は、移動検出装置2の外観を示す斜視図である。図2に示すように、移動検出装置2は、略直方体状の筐体2aと、ユーザ4の胴部に巻かれその両端が筐体2aの左右端に装着されたベルト2bで構成されている。筐体2aの内部には3軸の加速度センサ2cと3軸の磁気センサ2dが内蔵されている。図2に示すように、筐体2aには、ユーザ4と接する背面からの前後方向をy軸、左右方向をx軸、上下方向をz軸として直交するxyz軸が定義されている。加速度センサ2cと磁気センサ2dの各々に含まれる3つの各軸方向の成分を検出する各センサは、各々の軸方向が筐体2aのxyz軸と一致するように設けられている。加速度センサ2cは、運動物理量としてxyz軸の各軸方向の加速度を検出して、運動情報として加速度(ax,ay,az)(以下、加速度情報と言う)を出力する。また、磁気センサ2dは、地磁気変化に応じて抵抗値が変化する素子で構成され、磁気センサに一定のバイアス電流を流すことにより、筐体2aが向けられた方向に応じて、xyz軸の各軸方向の地磁気を検出して磁気センサで得られる磁界を示す電圧値g(gx,gy,gz)(以下、方位情報と言う)を出力する。
本実施形態では、ユーザの運動物理量を検出する手段として、3軸加速度センサを利用するが、2軸(x軸、y軸)加速度センサを用いてもよいし、加速度センサ以外に、速度センサ、変位センサ、圧力センサ、歪みセンサ、傾き(角度)センサ、角速度センサ、角加速度センサ、衝撃センサ等の各種の運動量センサを用いてもよい。
【0013】
図3は、移動検出装置2の構成を表すブロック図である。移動検出装置2は、制御部20、上述した3軸加速度センサ2cを含む加速度検出部21、上述した3軸磁気センサ2dを含む方位検出部22、及び無線通信インタフェースである通信部23を含んで構成されている。
制御部20は、CPU(Central Processing Unit)と、ROM(Read only Memory)及びRAM(Random Access Memory)のメモリを含んで構成されている。CPUは、RAMをワーキングエリアとして、ROMに記憶された制御プログラムを実行することにより、制御部20に接続された各部を制御する。具体的には、制御部20は、加速度検出部21により出力された加速度情報と、方位検出部22により出力された方位情報を所定時間毎に携帯電話機3へ送信する。
【0014】
通信部23は、Bluetooth(登録商標)の無線通信インタフェースであり、制御部20の制御の下、移動検出装置2を識別するためのID番号を送信データに含めて携帯電話機3に送信し、携帯電話機3によるID番号の認証によって通信を確立し、携帯電話機3とデータ通信を行う。
【0015】
次に、携帯電話機3の構成について説明する。図4は、携帯電話機3のの構成を表すブロック図を示している。携帯電話機3は、制御部30、通信部31、操作部32、音源33、アンプ34、スピーカ35、記憶部36、マイク37、電話通信部38、及び表示部39を含んで構成されている。
【0016】
制御部30は、CPUと、ROM及びRAMのメモリを含んで構成されている。CPUは、RAMをワーキングエリアとして、ROMに記憶された制御プログラムを実行することにより、制御部30に接続された各部を制御する。ROMには、制御プログラムのほか、図5(a)に示す方位変換テーブル110と図5(b)に示す運動強度テーブル120が記憶されている。方位変換テーブル110は、磁界を示す電圧値G(Gx,Gy,Gz)と電圧値に対応する方位情報として絶対方位を示す情報が対応づけられている。なお、本実施形態では、電圧値に対応する方位情報として予め近似する絶対方位を対応づけて記憶する例を用いるが、電圧値に対応する方位情報として北を0度とする方位角を記憶してもよい。
【0017】
また、運動強度テーブル120は、加速度の閾値範囲を定義した加速度値aと、各加速度の閾値範囲における加速度で移動した場合の消費カロリーや熱量等のエネルギー消費量を示す運動強度を対応づけて記憶している。この例では、所定時間内における加速度が所定の閾値a1より小さい場合にはその時間内は動いていないものとみなし、又、加速度が所定の閾値a11より大きい場合には、乗り物等に乗って人が自力で出せる加速度以上で運動(移動)しているために運動はしていないとみなして、その場合における運動強度を0に設定している。他の運動強度についても、予め運動量に対する加速度を測定するなどにより設定されている。なお、本実施形態における運動強度を示す情報として、消費カロリー等を表す例について説明するが、例えば、ウォーキング、ランニング、座っている等の運動の態様を表す情報を記憶するようにしてもよい。
【0018】
制御部30は、方位変換テーブル110と移動検出装置2から受信した所定時間毎の方位情報に基づいて、所定時間内に移動した方向を示す移動方位を特定し、運動強度テーブル120と移動検出装置2から受信した所定時間毎の加速度情報に基づいて運動強度を特定し、移動距離を算出する。また、所定時間毎に特定した運動強度と移動距離を移動方位別に集計し、集計した結果を移動履歴情報として表示部39に表示する。
【0019】
通信部31は、Bluetooth(登録商標)の無線通信インタフェースであり、制御部30の制御の下、移動検出装置2から送信されるID番号を認証して移動検出装置2との接続を確立し、移動検出装置2との間でデータ通信を行う。操作部32は、数字キー、方向キー、実行キー等の各種操作ボタンで構成されており、ユーザからのボタン操作を受付ける。
【0020】
音源33は、MIDI(Musical Instruments Digital Interface)等の楽曲データや音声データ等の音データを音信号に変換して再生する。アンプ34は、制御部30の制御の下、各音信号を増幅してスピーカ35に送出し、アンプ34から入力された音信号をスピーカ35から発音する。
【0021】
記憶部36は、ハードディスク等の記憶媒体で構成されており、ユーザによって設定された画像データや音声データ、移動検出装置2から受信した加速度情報及び方位情報、後述する移動方位別に集計した方位別集計結果情報等を記憶する。
マイク37は、電話通信時におけるユーザ等の音声を収音する。電話通信部38は、図示しないアンテナを介して移動体通信網の基地局と無線接続を行い、マイク37によって収音された音声信号をA/D変換して送信し、また、基地局を介して音声データを受信してD/A変換した音声信号をスピーカ35から出力する。表示部39は、液晶等のディスプレイで構成されており、待ち受け画像やメニュー画像、ユーザデータ、上述した移動方位別の集計結果を示す画像等を表示する。
【0022】
(動作)
次に、本実施形態における移動解析装置1の動作について説明する。図6は、移動解析装置1の移動解析処理フローを示す図である。携帯電話機3の制御部30は、操作部32を介してユーザから移動履歴の計測を開始する指示操作を受付けると (ステップS10:YES)、通信部31を介して移動検出装置2へ計測開始を指示する計測開始情報を送信する(ステップS11)。なお、ユーザから計測開始の指示操作を受付けなかった場合には(ステップS10:NO)、所定時間の経過後に計測処理を終了する。
【0023】
移動検出装置2の制御部20は、携帯電話機3から計測開始情報を受信すると(ステップS20:YES)、方位検出部22により方位の検出を開始し、加速度検出部22により加速度の検出を開始する(ステップS21)。そして、制御部20は、方位検出部22から出力される方位情報と加速度検出部21から出力される加速度情報(ax,ay,az)を所定時間毎に通信部23を介して携帯電話機3へ送信する(ステップS22)。
【0024】
なお、ステップS20において、制御部20は、携帯電話機3から計測開始情報を受信しなかった場合には(ステップS20:NO)、所定時間経過後に計測処理を終了する。また、携帯電話機3から計測終了を示す計測終了情報を受信するまでは(ステップS23:NO)、ステップS21以下の処理を繰り返し行い、計測終了情報を受信した場合には(ステップS23:YES)、方位検出部22及び加速度検出部21による方位情報及び加速度情報の検出を停止して処理を終了する。
【0025】
携帯電話機3の制御部30は、移動検出装置2から送信された所定時間毎の加速度情報及び方位情報を受信し、加速度情報及び方位情報を受信した順にRAMに記憶する(ステップS12)。制御部30は、RAMに記憶されている方位情報を所定時間毎に読み出し、ROMに記憶されている方位変換テーブル110を読み出して、方位情報に対応する方位変換テーブル110における絶対方位を、その所定時間内における移動方位として特定し、当該移動方位をRAMに順次記憶する(ステップS13)。
【0026】
制御部30は、RAMに記憶されている加速度情報(ax,ay,az)を所定時間毎に読み出し、加速度情報における各成分の二乗和の平方根を求めることにより加速度ベクトルの値a(以下、加速度値と言う)を求める。そして、ROMに記憶されている運動強度テーブル120を読み出し、求めた加速度値に対応する運動強度を特定し、ステップS13において特定した移動方位と対応づけてRAMに記憶する(ステップS14)。また、読み出した加速度情報の加速度値に2階時間積分を行って移動距離を算出し、算出した移動距離をステップS13において特定した移動方位と対応づけてRAMに記憶する(ステップS15)。
【0027】
制御部30は、ステップS13において特定した移動方位別に、ステップS14及びS15において特定した運動強度と移動距離の移動情報を集計し、集計結果として方位別集計結果情報を記憶部36に記憶する(ステップS16)。ここで、方位別集計結果情報の例を図7に示す。図7に示すように、方位別集計結果情報210は、移動方位毎の運動強度と移動距離が対応づけられている。なお、この例では、8方位に対する運動強度と移動距離の集計結果を例にしているが、4方位や16方位等でもよく、方位の分解能はこれに限らない。また、方位毎に集計結果を表しているが、例えば「北」を0°とした場合の方位角毎の集計結果として表してもよい。また、この例では、移動方位毎の移動距離を記憶する例を示したが、加速度情報について1階時間積分を行った移動速度を移動方位と対応付けて記憶してもよい。
【0028】
図6に戻り説明を続ける。制御部30は、操作部32を介して移動検出の計測終了を指示するユーザ操作を受付けるまで(ステップS17:NO)、ステップS12以下の処理を繰り返し行う。また、制御部30は、移動検出の計測終了を指示するユーザ操作を受付けた場合には(ステップS17:YES)、計測終了を指示する計測終了情報を通信部31を介して移動検出装置2へ送信する(ステップS18)。そして、ステップS16において記憶部36に記憶した方位別集計結果情報210を読み出し、移動履歴情報の一態様である方位別運動情報画像として、方位別集計結果情報210に基づく集計画像を生成して表示部39に表示する(ステップS19)。
【0029】
ここで、図7の方位別集計結果情報210に基づいて生成された集計画像の例を図8に示す。図8は、8つの移動方位310と、実線320aで示す運動強度及び一点鎖線320bで示す移動距離との関係を表すレーダーチャートの集計画像300を示している。なお、集計画像は、方位毎の運動強度と移動距離との関係を示す棒グラフや円グラフ等で表してもよいし、方位別集計結果情報210のデータを集計画像として表示してもよい。また、運動強度及び移動距離の各値に応じて色を変えて表示してもよいし、各値に応じた図形やイメージ画像等を用いて表示してもよい。
【0030】
図8に示す集計画像300の例では、移動距離は南東方向が最も多く、西や北東方向が少ないのに対し、運動強度は北東方向を除く他の方向と南東方向との間であまり差がないことがわかる。ユーザは、この集計画像により、移動距離が最も多い南東方向への移動時の運動量より、西方向に移動した際の運動量の方が、単位距離当たりの運動量が大きいことを認識することができ、自分の運動内容を運動した後に分析、評価できる。
【0031】
更に、例えば、携帯電話機3において毎日の同じ時間帯の移動履歴を集計した方位別集計結果情報210や集計画像300を記憶し、1週間単位などのある期間単位で移動方位毎に集計した集計結果や、個々の集計結果を並べて表示部39に表示することにより、ユーザは各方位における自分の活動量や行動パターンなどを分析することができる。
【0032】
<変形例>
本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、他の様々な形態で実施可能である。例えば、上述の実施形態を以下のように変形して本発明を実施してもよく、各変形例を組み合わせて実施してもよい。以下、本発明の変形例について説明する。
(1)上述した実施形態は、ユーザの胴部に移動検出装置2を1つだけ装着して移動履歴を解析する例であったが、ユーザの身体の複数部位毎に移動検出装置2を装着し各部位の移動を複数の移動検出装置2で解析するようにしてもよい。例えば、左右の手首に移動検出装置2を装着する場合、左右の手首に装着したときの各移動検出装置2が検出する方位が同じになるように各磁気センサ及び各加速度センサを筐体2a内に設け、各移動検出装置2において手首の移動方向及び加速度を検出し、移動検出装置2毎に各々の検出結果を識別できるようにして携帯電話機3へ送信する。携帯電話機3は、移動検出装置2毎の検出結果を受信し、移動検出装置2毎に移動方位と運動強度及び移動距離を特定し、移動検出装置2毎の方位別集計結果情報210を生成して移動検出装置2毎に集計画像を表示する。ユーザは、表示された集計結果の画像を比較することにより、左右の手首の運動量や動かすパターン等を身体部位毎の動作パターンとして確認することができ、自分の左右の身体のバランスを認識することができる。なお、移動検出装置2を装着する部位は手首に限らず、左右の足に装着したり、左右の手足に装着するなど、移動検出装置2を2つ以上装着してもよい。
【0033】
(2)また、上述した実施形態は、移動方位として絶対方位を用いて移動解析処理を行ったが、ある方位を基準とする相対方位を用いて移動解析処理を行うようにしてもよい。この場合の例として、上記した変形例(1)と同様に、左右の手に移動検出装置2を装着し、ある空間における移動履歴を検出して左右のバランスを確認する場合について説明する。この場合には、ユーザ操作により、携帯電話機3の操作部32を介して移動履歴の計測を開始する計測開始情報を各移動検出装置2に送信し、各移動検出装置2が計測開始情報を受信したときに移動検出装置2毎の方位検出部21において現在位置における方位情報を出力し、携帯電話機3に送信する。携帯電話機3は、各移動検出装置2から送信された方位情報を受信し、その方位情報が示す方位を方位変換テーブル110に基づいて特定し、特定した方位を基準方位としてRAMに記憶する。また、各移動検出装置2から方位情報を順次受信した際、各方位情報について基準方位からの方位角を求め、方位角毎の運動強度及び移動距離を特定する。そして、一定の方位角単位毎に運動強度と移動距離を集計し、基準方位からの一定の方位角単位の各集計結果を示す画像を表示部39に表示する。このように構成した場合、特定の空間におけるユーザの移動方向や運動量のバランスを確認することができる。
【0034】
(3)また、上述した実施形態では、移動解析装置1は移動検出装置2と携帯電話機3で構成されている例について説明したが、移動検出装置2に携帯電話機3の移動解析処理機能の構成を設けるようにしてもよい。また、携帯電話機3に移動検出装置2の機能を設けるように構成してもよい。
【0035】
(4)また、上述した実施形態は、移動履歴情報の報知手段として、方位別の集計結果を示す集計画像を表示する例を説明したが、以下のように報知を行うようにしてもよい。例えば、携帯電話機3にLED等の点灯部材を設け、方位別の集計結果に応じて予め定めた点灯制御情報に従って点灯部材を点滅させたり、色を変えて点灯させるようにしてもよいし、携帯電話機3にバイブレータを設けて、方位別の集計結果に応じて予め定めた振動制御情報に従ってバイブレータを振動させるようにしてもよい。また、方位別の運動強度と移動距離の関係を示すレーダーチャートの形状パターン(画像パターン)と音声等の音とを対応づけて記憶し、集計結果に基づくレーダーチャートの形状パターンと近似する形状パターンの音声をスピーカ35から出力するようにしてもよい。即ち、携帯電話機3において、各運動強度に対応する光の点灯パターン、振動パターン、音の発音パターン等の報知パターンを予め記憶し、方位毎の集計結果に対応する報知パターンにより集計結果をユーザに報知する。又、携帯電話機3において、各方位の運動強度と移動距離に基づく基本図形に対応する上記報知パターンを予め記憶し、集計結果から運動強度と移動距離に基づく図形を生成し、生成した図形が類似する基本図形に対応する報知パターンの画像を表示することでユーザに報知する。
【0036】
(5)また、上述した実施形態は、移動履歴を解析する対象として人を例に挙げて説明したが、犬や猫などの動物を移動軌跡解析対象としてもよい。例えば、携帯電話機3の移動解析処理機能の構成とLED等の点灯部材を設けた移動検出装置2を犬の首輪に装着し、犬の移動履歴を検出して方位別集計結果を求め、集計結果に対応する予め設定された点灯方法により点灯部材を点灯させて集計結果を報知する。また、後で行動パターンを解析できるように、移動検出装置2に方位別の集計結果情報を記憶するように構成してもよいし、無線により集計結果をPC(Personal Computer)等に送信するように構成してもよい。
【0037】
(6)また、上述した実施形態は、ある期間内の人の移動履歴を解析し、方位別の集計結果情報を表示する例であったが、携帯電話機3に移動検出装置2の機能を設け、携帯電話機3が所定の身振り動作パターンに従って動かされた場合に、その身振り動作パターンに予め設定された音声等の音(報知音)を携帯電話機3のスピーカ35から発音するなどして報知するようにしてもよい。この場合には、検出した加速度情報に基づいて加速度が極大となる加速度ピーク値を求め、身振り動作によって形成される形状(例えば、四角形、三角形、円(時計回り、反時計回り)等)を特定する認識ポイントとして、加速度ピーク値における移動方向を方位情報に基づいて求める。そして、加速度ピーク値毎の移動方向が、所定の身振り動作パターンとして規定された認識ポイントの移動方向と同じ順序で検出された場合に、所定の身振り動作パターンに対応する予め設定された音声をスピーカ35から発音させる。なお、所定の身振り動作パターンに対応する音声として、例えば、「こんにちは」を意味する身振り動作であれば、「こんにちは」の音声を出してもよいし、「海」を意味する身振り動作であれば、海をイメージさせる波の音等を発音させるようにしてもよい。
【0038】
(7)また、上述した実施形態では、ユーザの運動量と運動方向を検出し、予め携帯電話機3に記憶された運動強度に基づいて生成した方位別の運動強度及び移動距離を表すレーダーチャートを表示する例について説明したが、以下のように、解析対象となる人物等の脚部や腕部等の1又は複数の部位毎の運動量を解析して移動履歴を報知してもよい。例えば、検出した方位毎の加速度値、運動強度、移動距離等の運動量を示す数値情報や、方位と運動量の関係を表すグラフや図形等の画像を移動履歴として表示してもよいし、予め携帯電話機3に記憶された方位毎の基準データとして、基準運動量を示す数値情報や、方位と基準運動量の関係を表すグラフや図形等の標準画像と、検出された上記移動履歴とを併せて表示するようにしてもよい。更に、検出された移動履歴と基準運動量との差分に応じた評価値を予め記憶し、移動履歴と基準運動量との差分に応じた評価値をユーザに報知するようにしてもよい。
また、基準運動量と移動履歴との差を評価する利用例としては、例えば、方位毎の標準運動量(移動距離)を表す標準画像として、人物の顔(似顔絵)、動物、アニメのキャラクター等、単なる図形ではない特定の画像を用い、ユーザが移動した履歴を描画して標準画像との差分を得点化することにより、目的の標準画像への達成度を競うゲーム等に利用することができる。なお、移動距離の単位としては、実際に一目で見渡せる範囲の距離だけなく、例えば、実際に目視できない数百メートル、数キロメートルの単位で表してもよい。
また、リハビリ、健康増進等を目的として用いる場合には、標準画像として、身体部位を動かす方向と移動量との関係を図形で表した画像を用い、ユーザの身体部位の移動履歴も同様に図形化して描画し、移動履歴に基づく画像と標準画像とを表示して比較してもよい。また、移動履歴と基準運動量との差分を一定期間毎に分析して、運動機能障害の程度を時系列で数値化するなど、目的とする身体部位の動きの正確度合や安定度合を解析した結果を報知してもよい。標準画像としては、運動が定量的に評価できる幾何学的な図形が適当であるが、上記した人物や動物の画像でもよい。
【0039】
(8)また、上述した実施形態及び変形例において、制御部30により、移動方向毎の運動量の偏りを表す指標として一定期間内に移動検出装置2によって検出された運動量の平均値又は予め方位毎に定められている運動量の目標値等の基準値と、移動検出装置2によって検出された各運動量との差分を求めたり、一定期間内に移動検出装置2によって検出された運動量(運動強度や移動距離)の標準偏差を求める等、移動方向毎の基準値との差分や移動方向毎の偏りを表す指標を表示部39に表示するように構成してもよい。
このような構成は、例えば、オフィス内の特定の部署、フロア、階等の移動領域に関する偏りや、ある時間内は殆ど移動せず座り仕事が多い、ある曜日は各部署への移動が多いのに対してある曜日は他の曜日と比べて移動量が少なく運動量が低下している等、時間や曜日等の運動(移動)時間に関する偏り、オフィス内等において座っている、立っている等、運動の態様の偏りを分析する際に利用することができ、このような偏りの分析結果を自分の活動量や行動パターンの改善に役立てることができる。
【符号の説明】
【0040】
1…移動解析装置、2…移動検出装置、3…携帯電話機、20,30…制御部、21…加速度検出部、22…方位検出部、23,31…通信部、32…操作部、33…音源、34…アンプ、35…スピーカ、36…記憶部、37…マイク、38…電話通信部、39…表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
解析対象が移動した際の移動方向の方位を検出し、検出した方位を示す方位情報を出力する方位検出手段と、
前記解析対象の前記移動方向における運動物理量を検出し、検出した運動物理量を示す運動情報を出力する運動物理量検出手段と、
前記方位検出手段により出力された前記方位情報と、前記運動物理量検出手段により出力された前記運動情報とを受付け、受付けた前記方位情報に基づく方位毎の前記運動情報を集計した結果を前記解析対象の移動履歴情報として報知する報知手段と
を備えることを特徴とする移動解析装置。
【請求項2】
前記方位検出手段は、前記解析対象における脚部又は腕部を少なくとも含む複数の部位毎に移動方向の方位を検出し、検出した前記部位毎の方位を示す方位情報を出力し、
前記運動物理量検出手段は、前記部位毎の前記移動方向における前記運動物理量を検出し、検出した前記部位毎の前記運動物理量を示す運動情報を出力し、
前記部位毎に予め定められた方位毎の前記運動物理量を基準データとして記憶する基準データ記憶手段を備え、
前記報知手段は、前記方位検出手段により出力された前記部位毎の方位情報と、前記運動物理量検出手段により出力された前記部位毎の運動情報とを受付け、前記部位毎に前記方位毎の前記運動情報を集計した結果と、前記基準データ記憶手段に記憶されている前記部位毎の前記基準データとの差異を表す情報を前記移動履歴情報として報知することを特徴とする請求項1記載の移動解析装置。
【請求項3】
画像を表示する表示手段と、
予め定められた方位毎の前記運動物理量に対応する運動強度を記憶する運動強度記憶手段を備え、
前記報知手段は、前記運動強度記憶手段に記憶されている前記運動強度に基づいて、前記方位毎の前記運動情報を集計した結果に対応する前記運動強度を特定し、特定した運動強度に応じて前記方位毎の運動強度を表す方位別運動情報画像を生成し、生成した方位別運動情報画像を前記移動履歴情報として前記表示手段に表示させることを特徴とする請求項1又は2記載の移動解析装置。
【請求項4】
音を発音する発音手段と、
予め定められた方位毎の運動情報に基づく画像パターンと当該画像パターンに対応する音データとを対応づけて記憶する記憶手段とを備え、
前記報知手段は、前記方位別運動情報画像に対応する前記記憶手段に記憶されている前記画像パターンを特定し、特定した画像パターンに対応する前記音データを前記記憶手段から読み出し、読み出した当該音データを前記移動履歴情報として前記発音手段に発音させることを特徴とする請求項3記載の移動解析装置。
【請求項5】
解析対象が移動した際の移動方向の方位を検出し、検出した方位を示す方位情報を出力する方位検出手段と、前記解析対象の前記移動方向における運動物理量を検出し、検出した運動物理量を示す運動情報を出力する運動物理量検出手段とを備えるコンピュータに、
前記方位検出手段により出力された前記方位情報と、前記運動物理量検出手段により出力された前記運動情報とを受付け、受付けた前記方位情報に基づく方位毎の前記運動情報を集計した結果を前記解析対象の移動履歴情報として報知する報知ステップを実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−127917(P2011−127917A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−284113(P2009−284113)
【出願日】平成21年12月15日(2009.12.15)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】