説明

移動軌跡計測装置、計測方法及び露光記録装置、並びに、これらに用いられるスケール

【課題】極めて簡易且つ安価な構成で、移動体の移動軌跡を高精度に計測することのできる移動軌跡計測装置、計測方法及び露光記録装置、並びに、これらに用いられるスケールを提供する。
【解決手段】マーカm1、m2、…、mkが形成されたスケール13を板材15a側を上として露光ステージ18に設置した後、露光ステージ18を矢印Y方向に移動させてマーカm1、m2、…、mkの位置を計測し、次いで、スケール13を反転させ板材15b側を上として露光ステージ18に設置した後、同様にしてマーカm1、m2、…、mkの位置を計測し、これらの位置の平均値を求めることにより、露光ステージ18の矢印Y方向の移動軌跡を求める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直線状の軌道に沿って移動する移動体の移動軌跡を計測する移動軌跡計測装置、計測方法及び露光記録装置、並びに、これらに用いられるスケールに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、記録媒体が位置決め固定された移動ステージを直線状の軌道に沿って移動させる一方、描画データに従って変調された光ビームを記録媒体に導くことにより、二次元画像を記録媒体に露光記録する露光装置が知られている。
【0003】
このような露光装置では、記録媒体に二次元画像を高精度に記録するため、移動ステージが移動する軌道に高い直線性が確保されていなければならない。しかしながら、高い直線性を確保するには、軌道の精度を向上させなければならないため、コストアップになってしまう。しかも、機械的な精度向上には限界があり、例えば、ミクロンオーダでの直線性を機械的な構成で実現することは、極めて困難である。
【0004】
そこで、軌道の直線性を可能な範囲で確保する一方、移動ステージに基準となるスケールを固定し、移動ステージの移動方向と直交する方向に対するスケールの位置を各移動位置毎に計測して移動ステージの移動軌跡を算出する方法が提案されている(特許文献1参照)。このようにして算出された移動ステージの移動軌跡に基づいて画像の記録位置を補正すれば、移動ステージが蛇行して移動するような場合であっても、記録媒体に二次元画像を高精度に記録することができる。
【0005】
【特許文献1】特開2000−321025号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記の方法に従って二次元画像を高精度に記録できるのは、移動ステージに固定されたスケールの精度が十分に確保されていることが前提である。例えば、スケールが経時的変化によって変形してしまうと、移動ステージの移動軌跡を高精度に算出することができなくなってしまう。
【0007】
本発明は、前記の課題に鑑みてなされたものであり、極めて簡易且つ安価な構成で、移動体の移動軌跡を高精度に計測することのできる移動軌跡計測装置、計測方法及び露光記録装置、並びに、これらに用いられるスケールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る移動軌跡計測装置は、直線状の軌道に沿って移動する移動体の移動軌跡を計測する移動軌跡計測装置において、
前記移動体に設置され、前記移動体の移動方向に沿ってマーカが形成され、反転させることで第1の設置状態から第2の設置状態に設定可能なスケールと、
前記移動体とは独立の所定位置に固定され、前記移動体の移動方向と直交する方向に対する前記マーカの位置を、前記移動体の所定の移動位置毎に計測するマーカ位置計測手段と、
前記マーカ位置計測手段により計測された、前記第1の設置状態における前記マーカの位置と、前記第2の設置状態における前記マーカの位置との平均値から、前記移動体の移動軌跡を算出する移動軌跡算出手段と、
を備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る移動軌跡計測装置は、直線状の軌道に沿って移動する移動体の移動軌跡を計測する移動軌跡計測装置において、
前記移動体とは独立の所定位置に設置され、前記移動体の移動方向に沿ってマーカが形成され、反転させることで第1の設置状態から第2の設置状態に設定可能なスケールと、
前記移動体に設置され、前記移動体の移動方向と直交する方向に対する前記マーカの位置を、前記移動体の所定の移動位置毎に計測するマーカ位置計測手段と、
前記マーカ位置計測手段により計測された、前記第1の設置状態における前記マーカの位置と、前記第2の設置状態における前記マーカの位置との平均値から、前記移動体の移動軌跡を算出する移動軌跡算出手段と、
を備えることを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る露光記録装置は、前記移動軌跡計測装置と、
前記移動体の前記移動軌跡に基づいて、前記移動体によって移動される記録媒体に露光記録を行う露光ヘッドと、
を備えることを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る移動軌跡計測方法は、直線状の軌道に沿って移動する移動体の移動軌跡を計測する移動軌跡計測方法において、
前記移動体の移動方向に沿ってマーカが形成されたスケールを第1の設置状態で前記移動体に設置するステップと、
前記移動体を移動させ、前記移動体とは独立の所定位置に固定されたマーカ位置計測手段により、前記移動体の移動方向と直交する方向に対する前記マーカの位置を、前記移動体の所定の移動位置毎に計測するステップと、
前記第1の設置状態の前記スケールを反転させ、第2の設置状態に設置するステップと、
前記移動体を移動させ、前記マーカ位置計測手段により、前記移動体の移動方向と直交する方向に対する前記マーカの位置を、前記移動体の所定の移動位置毎に計測するステップと、
前記マーカ位置計測手段により計測された、前記第1の設置状態における前記マーカの位置と、前記第2の設置状態における前記マーカの位置との平均値から、前記移動体の移動軌跡を算出するステップと、
を含むことを特徴とする。
【0012】
さらに、本発明に係る移動軌跡計測方法は、直線状の軌道に沿って移動する移動体の移動軌跡を計測する移動軌跡計測方法において、
前記移動体の移動方向に沿ってマーカが形成されたスケールを、前記移動体とは独立の所定位置に第1の設置状態で設置するステップと、
前記移動体を移動させ、前記移動体に設置されたマーカ位置計測手段により、前記移動体の移動方向と直交する方向に対する前記マーカの位置を、前記移動体の所定の移動位置毎に計測するステップと、
前記第1の設置状態の前記スケールを反転させ、第2の設置状態に設置するステップと、
前記移動体を移動させ、前記マーカ位置計測手段により、前記移動体の移動方向と直交する方向に対する前記マーカの位置を、前記移動体の所定の移動位置毎に計測するステップと、
前記マーカ位置計測手段により計測された、前記第1の設置状態における前記マーカの位置と、前記第2の設置状態における前記マーカの位置との平均値から、前記移動体の移動軌跡を算出するステップと、
を含むことを特徴とする。
【0013】
さらにまた、本発明に係るスケールは、直線状の軌道に沿って移動する移動体の移動軌跡を計測するため、前記移動体又は前記移動体とは独立の所定位置に設置されるスケールであって、
直線に沿ってマーカが形成され、当該スケールを反転させた第1の設置状態と第2の設置状態との双方で前記マーカの位置を計測可能に構成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、スケールを反転させて第1の設置状態及び第2の設置状態にそれぞれ設置し、移動体を移動させて各設置状態におけるマーカの位置を計測し、その計測値の平均値を求めることにより、スケールに形成されたマーカの形成位置の誤差を相殺し、安価なスケールを用いて、移動体の移動軌跡を高精度に算出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1は、本発明の移動軌跡計測装置、計測方法及び露光記録装置、並びに、これらに用いられるスケールが適用される露光記録装置10の構成を示す。露光記録装置10では、描画データに基づいて積層プリント配線基板や表示装置構成部材(液晶パネル用フィルタ等)等の露光記録処理が行われる。
【0016】
露光記録装置10は、複数の脚部12によって支持された変形の極めて小さい定盤14を備え、この定盤14上には、2本の直線状のガイドレール16(軌道)を介して露光ステージ18(移動体)が矢印Y方向に往復移動可能に設置される。露光ステージ18には、上面に感光材料が塗布された長方形状の基板Fが吸着保持される。
【0017】
定盤14の中央部には、ガイドレール16を跨ぐようにして門型のコラム20が設置される。このコラム20の一方の側部には、露光ステージ18の移動軌跡を計測するとともに、露光ステージ18に保持された基板Fの設定位置のずれ、変形等のアラインメント情報を取得するためのCCDカメラ22a、22b(マーカ位置計測手段)が固定され、コラム20の他方の側部には、基板Fに対して画像を露光記録する複数の露光ヘッド24a〜24jが位置決め保持されたスキャナ26が固定される。露光ヘッド24a〜24jは、基板Fの移動方向(矢印Y方向)と直交する方向(矢印X方向)に2列で千鳥状(略マトリクス状)に配列される。
【0018】
露光ステージ18の上面には、図2に示すように、一方のガイドレール16側の部位であってガイドレール16に平行に延在する溝部11が形成され、この溝部11には、露光ステージ18の移動軌跡を計測するためのスケール13が着脱自在に設置される。なお、スケール13は、各CCDカメラ22a、22bに対応して、露光ステージ18の上面の両側に設置してもよい。
【0019】
スケール13は、図3に示すように、同一の厚さのガラス、アクリル樹脂等の透明体からなる2本の直線状の板材15a、15bを貼り合わせて構成される。なお、透明体には、半透明体が含まれるものとする。板材15a、15bの対向する一方の面には、黒色インク、金属蒸着パターン等の光非透過性の材料からなる複数のマーカm1、m2、…、mkが矢印Y方向に等間隔で形成される。この場合、マーカm1、m2、…、mkは、板材15a、15bを貼り合わせた状態でスケール13の厚さ方向中央部に配置される。マーカm1、m2、…、mkの形状は、図3では、円形としているが、方形状又は矢印X方向に平行な線状としてもよい。また、複数のマーカm1、m2、…、mkを形成する代わりに、矢印Y方向に延在する1本の直線状のマーカとしてもよい。
【0020】
図4は、各露光ヘッド24a〜24jの構成を示す。露光ヘッド24a〜24jには、例えば、光源ユニット28を構成する複数の半導体レーザから出力されたレーザビームLBが合波され光ファイバ30を介して導入される。レーザビームLBが導入された光ファイバ30の出射端には、ロッドレンズ32、反射ミラー34及びデジタル・マイクロミラー・デバイス(DMD)36が順に配列される。
【0021】
ここで、DMD36は、図5に示すように、SRAMアレイ38の上に格子状に配列された多数のマイクロミラー40を揺動可能な状態で配置したものであり、各マイクロミラー40の表面には、アルミニウム等の反射率の高い材料が蒸着されている。SRAMアレイ38にDMDコントローラ42から描画データに従ったデジタル信号が書き込まれると、その信号に応じて各マイクロミラー40が所定方向に傾斜し、その傾斜状態に従ってレーザビームLBのオンオフ状態が実現される。
【0022】
オンオフ状態が制御されたDMD36によって反射されたレーザビームLBの射出方向には、拡大光学系である第1結像光学レンズ44、46、DMD36の各マイクロミラー40に対応して多数のレンズを配設したマイクロレンズアレー48、ズーム光学系である第2結像光学レンズ50、52が順に配列される。なお、マイクロレンズアレー48の前後には、迷光を除去するとともに、レーザビームLBを所定の径に調整するためのマイクロアパーチャアレー54、56が配置される。
【0023】
図6は、露光記録装置10の制御回路を示す。露光記録装置10は、CCDカメラ22a、22bによって撮影したマーカm1、m2、…、mkの画像、又は、アラインメント情報を取得するための基板Fの基準部位の画像を解析する画像解析部58と、画像解析部58によって解析されたマーカm1、m2、…、mkの画像に基づき、CCDカメラ22a、22bのカメラ基準位置に対する各マーカm1、m2、…、mkの位置を算出するマーカ位置算出部60と、算出されたマーカ位置を記憶するマーカ位置記憶部62と、スケール13の表面及び裏面よりそれぞれ計測したマーカ位置から、露光ステージ18の矢印Y方向に対するステージ移動軌跡を算出するステージ移動軌跡算出部64(移動軌跡算出手段)と、算出されたステージ移動軌跡を記憶するステージ移動軌跡記憶部66とを備える。
【0024】
また、露光記録装置10は、画像解析部58によって解析された基板Fの基準部位の画像に基づき、CCDカメラ22a、22bのカメラ基準位置に対する基板基準位置を算出する基板基準位置算出部68と、基板基準位置を記憶する基板基準位置記憶部70と、ステージ移動軌跡及び基板基準位置に基づき、描画データの描画位置を補正する補正データを算出する補正データ算出部72と、補正データを記憶する補正データ記憶部73と、基板Fに露光記録する描画データを記憶する描画データ記憶部74と、補正データ算出部72で算出された補正データにより描画データの描画位置を補正する描画データ補正部76と、描画位置の補正された描画データに従ってDMD36を駆動制御するDMDコントローラ42とを備える。
【0025】
本実施形態に係る露光記録装置10は、基本的には以上のように構成されるものであり、次に、その動作並びに作用効果について、図7に示すフローチャートに基づいて説明する。
【0026】
先ず、露光ステージ18の溝部11に一方の板材15aを上としてスケール13を設置する(ステップS1)。次いで、露光ステージ18を矢印Y1方向に移動させ、CCDカメラ22aによりスケール13を撮影する(ステップS2)。
【0027】
図8は、露光ステージ18に設置したスケール13に形成された円形のマーカm1、m2、…、mkと、CCDカメラ22aのカメラ視野78の中心に設定したカメラ基準位置80との位置関係を示す。画像解析部58は、撮影したスケール13の画像を解析してマーカm1、m2、…、mkを抽出し(ステップS3)、マーカ位置算出部60は、CCDカメラ22aのカメラ基準位置80に対する各マーカm1、m2、…、mkの中心点の矢印X方向に対する位置をマーカ位置X1、X2、…、Xkとして算出する(ステップS4)。算出されたマーカ位置X1、X2、…、Xkのデータは、スケール13の第1の設置状態のデータとしてマーカ位置記憶部62に記憶される(ステップS5)。
【0028】
次に、図2に示すように、スケール13を溝部11から取り外して矢印θ方向に反転させた後、再び溝部11に設置し(ステップS6、S7)、露光ステージ18を矢印Y2方向に移動させてステップS1〜S6の処理を繰り返す。この場合、マーカm1、m2、…、mkは、板材15a、15bの幅方向中央部に配設されているため、スケール13の反転によってCCDカメラ22a、22bとマーカm1、m2、…、mkとの距離が変化することがなく、CCDカメラ22a、22bは、同一の撮影条件でマーカm1、m2、…、mkを撮影することができる。
【0029】
マーカ位置算出部60は、各マーカm1′、m2′、…、mk′のマーカ位置X1′、X2′、…、Xk′を算出し、このデータをスケール13の第2の設置状態のデータとしてマーカ位置記憶部62に記憶させる。図9は、スケール13を反転させた状態におけるマーカm1′、m2′、…、mk′と、CCDカメラ22aのカメラ基準位置80との位置関係を示す。なお、記号「′」は、板材15bを上として設置されたスケール13から得たデータを表すものとする。
【0030】
この場合、算出されたマーカ位置X1、X2、…、Xk及びX1′、X2′、…、Xk′には、露光ステージ18が矢印Y方向に移動する際に生じる矢印X方向の位置変動と、スケール13に形成されている各マーカm1、m2、…、mkの矢印X方向に対する位置の誤差とが含まれている。図10は、計測されたマーカm1、m2、…、mkのマーカ位置X1、X2、…、Xk及びマーカm1′、m2′、…、mk′のマーカ位置X1′、X2′、…、Xk′をプロットしたものである。
【0031】
そこで、ステージ移動軌跡算出部64は、マーカ位置X1、X2、…、Xk及びX1′、X2′、…、Xk′の平均値<X1>、<X2>、…<Xk>を算出してステージ移動軌跡82を求める(ステップS8)。
【0032】
この場合、平均値<X1>、<X2>、…<Xk>は、スケール13を反転させて得たマーカ位置X1、X2、…、Xk及びX1′、X2′、…、Xk′の平均値<X1>、<X2>、…<Xk>であるため、マーカm1、m2、…、mk及びm1′、m2′、…、mk′の矢印X方向に対する位置の誤差が相殺されたデータとなっている。従って、平均値<X1>、<X2>、…<Xk>は、露光ステージ18の矢印X方向に対する変動成分のみを表している。
【0033】
平均値<X1>、<X2>、…<Xk>として算出されたステージ移動軌跡82は、ステージ移動軌跡記憶部66に記憶される(ステップS9)。なお、ステージ移動軌跡82は、平均値<X1>、<X2>、…<Xk>を補間し、滑らかな曲線を表すデータとしてステージ移動軌跡記憶部66に記憶させることができる。
【0034】
次に、露光ステージ18の所定位置に基板Fを配置した後、露光ステージ18を再び矢印Y1方向に移動させ、CCDカメラ22a、22bによって基板Fの基準部位、例えば、基板Fのコーナ部分を撮影する(ステップS10)。撮影された基板Fの基準部位の画像は、画像解析部58によって解析され、基準部位が抽出される(ステップS11)。次いで、基板基準位置算出部68は、CCDカメラ22a、22bのカメラ基準位置80に対する基板Fの基準部位の位置を基板基準位置として算出し(ステップS12)、基板基準位置記憶部70に記憶させる(ステップS13)。この場合、基板基準位置のデータは、CCDカメラ22a、22bのカメラ基準位置80に対する基板Fの設定位置のずれ、変形等のアラインメント情報に係るデータである。
【0035】
補正データ算出部72は、基板基準位置記憶部70に記憶された基板基準位置と、ステージ移動軌跡記憶部66に記憶されたステージ移動軌跡82(図10参照)とを用いて、露光ステージ18の矢印Y方向の各位置における描画データの描画位置を補正する補正データを算出する(ステップS14)。算出された補正データは、補正データ記憶部73に記憶される(ステップS15)。
【0036】
次に、露光ステージ18を矢印Y2方向に移動させ、スキャナ26を構成する露光ヘッド24a〜24jを用いて、基板Fに二次元画像を露光記録する。
【0037】
そこで、描画データ補正部76は、描画データ記憶部74から描画データを読み出し、補正データ記憶部73に記憶された補正データに従って描画データの描画位置を補正し、DMDコントローラ42に供給する(ステップS16)。DMDコントローラ42は、補正された描画データを各DMD36に順次供給し、基板Fに二次元画像を露光記録する(ステップS17)。
【0038】
すなわち、光源ユニット28から出力されたレーザビームLBは、光ファイバ30を介して各露光ヘッド24a〜24jに導入される。導入されたレーザビームLBは、ロッドレンズ32から反射ミラー34を介してDMD36に入射する。
【0039】
DMDコントローラ42は、描画データの「1」値及び「0」値に従いDMD36を構成する各マイクロミラー40をオンオフ制御する。DMD36を構成する各マイクロミラー40により所望の方向に選択的に反射されたレーザビームLBは、第1結像光学レンズ44、46によって拡大された後、マイクロアパーチャアレー54、マイクロレンズアレー48及びマイクロアパーチャアレー56を介して所定の径に調整され、次いで、第2結像光学レンズ50、52により所定の倍率に調整されて基板Fに導かれる。
【0040】
露光ステージ18は、定盤14に沿って移動し、基板Fには、露光ステージ18の移動方向と直交する方向に配列される複数の露光ヘッド24a〜24jを構成するDMD36により二次元画像が露光記録される。この場合、補正データに基づいて、基板Fの矢印X方向に対する露光ステージ18の位置変動が補正されるとともに、露光ステージ18に対する基板Fの設置誤差が補正されているため、基板Fの所望の位置に二次元画像が高精度に記録される。
【0041】
なお、上述した露光記録装置10では、スケール13が設置された露光ステージ18を移動させ、定位置に固定されているCCDカメラ22a、22bを用いてスケール13のマーカm1、m2、…、mkを撮影することにより、露光ステージ18の移動軌跡を求めるようにしているが、スケールが設置された露光ステージ18を定位置に固定し、CCDカメラ22a、22b及びスキャナ26が搭載されたコラム20側を露光ステージ18に対して移動させるように露光記録装置を構成し、移動体であるCCDカメラ22a、22b及びスキャナ26側のの移動軌跡を求めるようにしてもよい。
【0042】
また、本発明に係る移動軌跡計測装置及び計測方法は、記録媒体に記録されている二次元画像を読み取る画像読取装置に対しても同様に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本実施形態の露光記録装置の構成図である。
【図2】図1に示す露光記録装置の露光ステージに設置されるスケールの設置状態の説明図である。
【図3】図2に示すスケールの分解構成図である。
【図4】図1に示す露光記録装置における露光ヘッドの構成図である。
【図5】図1に示す露光記録装置における露光ヘッドを構成するDMDの説明図である。
【図6】図1に示す露光記録装置の制御回路ブロック図である。
【図7】図1に示す露光記録装置の処理フローチャートである。
【図8】露光ステージにスケールの表面を設定した第1の設置状態における読取処理の説明図である。
【図9】露光ステージにスケールの裏面を設定した第2の設置状態における読取処理の説明図である。
【図10】スケールの表面及び裏面を読み取って得られたマーカ位置と、各マーカ位置から算出した露光ステージの移動軌跡との説明図である。
【符号の説明】
【0044】
10…露光記録装置 13…スケール
15a、15b…板材 16…ガイドレール
18…露光ステージ 22a、22b…CCDカメラ
24a〜24j…露光ヘッド 26…スキャナ
58…画像解析部 60…マーカ位置算出部
62…マーカ位置記憶部 64…ステージ移動軌跡算出部
66…ステージ移動軌跡記憶部 68…基板基準位置算出部
70…基板基準位置記憶部 72…補正データ算出部
73…補正データ記憶部 74…描画データ記憶部
76…描画データ補正部 82…ステージ移動軌跡
F…基板 m1〜mk…マーカ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直線状の軌道に沿って移動する移動体の移動軌跡を計測する移動軌跡計測装置において、
前記移動体に設置され、前記移動体の移動方向に沿ってマーカが形成され、反転させることで第1の設置状態から第2の設置状態に設定可能なスケールと、
前記移動体とは独立の所定位置に固定され、前記移動体の移動方向と直交する方向に対する前記マーカの位置を、前記移動体の所定の移動位置毎に計測するマーカ位置計測手段と、
前記マーカ位置計測手段により計測された、前記第1の設置状態における前記マーカの位置と、前記第2の設置状態における前記マーカの位置との平均値から、前記移動体の移動軌跡を算出する移動軌跡算出手段と、
を備えることを特徴とする移動軌跡計測装置。
【請求項2】
直線状の軌道に沿って移動する移動体の移動軌跡を計測する移動軌跡計測装置において、
前記移動体とは独立の所定位置に設置され、前記移動体の移動方向に沿ってマーカが形成され、反転させることで第1の設置状態から第2の設置状態に設定可能なスケールと、
前記移動体に設置され、前記移動体の移動方向と直交する方向に対する前記マーカの位置を、前記移動体の所定の移動位置毎に計測するマーカ位置計測手段と、
前記マーカ位置計測手段により計測された、前記第1の設置状態における前記マーカの位置と、前記第2の設置状態における前記マーカの位置との平均値から、前記移動体の移動軌跡を算出する移動軌跡算出手段と、
を備えることを特徴とする移動軌跡計測装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の装置において、
前記マーカは、透明体からなる前記スケールに形成される光非透過性の材料から形成されることを特徴とする移動軌跡計測装置。
【請求項4】
請求項3記載の装置において、
前記マーカは、2枚の透明体からなる前記スケール間に形成されることを特徴とする移動軌跡計測装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の移動軌跡計測装置と、
前記移動体の前記移動軌跡に基づいて、前記移動体によって移動される記録媒体に露光記録を行う露光ヘッドと、
を備えることを特徴とする露光記録装置。
【請求項6】
直線状の軌道に沿って移動する移動体の移動軌跡を計測する移動軌跡計測方法において、
前記移動体の移動方向に沿ってマーカが形成されたスケールを第1の設置状態で前記移動体に設置するステップと、
前記移動体を移動させ、前記移動体とは独立の所定位置に固定されたマーカ位置計測手段により、前記移動体の移動方向と直交する方向に対する前記マーカの位置を、前記移動体の所定の移動位置毎に計測するステップと、
前記第1の設置状態の前記スケールを反転させ、第2の設置状態に設置するステップと、
前記移動体を移動させ、前記マーカ位置計測手段により、前記移動体の移動方向と直交する方向に対する前記マーカの位置を、前記移動体の所定の移動位置毎に計測するステップと、
前記マーカ位置計測手段により計測された、前記第1の設置状態における前記マーカの位置と、前記第2の設置状態における前記マーカの位置との平均値から、前記移動体の移動軌跡を算出するステップと、
を含むことを特徴とする移動軌跡計測方法。
【請求項7】
直線状の軌道に沿って移動する移動体の移動軌跡を計測する移動軌跡計測方法において、
前記移動体の移動方向に沿ってマーカが形成されたスケールを、前記移動体とは独立の所定位置に第1の設置状態で設置するステップと、
前記移動体を移動させ、前記移動体に設置されたマーカ位置計測手段により、前記移動体の移動方向と直交する方向に対する前記マーカの位置を、前記移動体の所定の移動位置毎に計測するステップと、
前記第1の設置状態の前記スケールを反転させ、第2の設置状態に設置するステップと、
前記移動体を移動させ、前記マーカ位置計測手段により、前記移動体の移動方向と直交する方向に対する前記マーカの位置を、前記移動体の所定の移動位置毎に計測するステップと、
前記マーカ位置計測手段により計測された、前記第1の設置状態における前記マーカの位置と、前記第2の設置状態における前記マーカの位置との平均値から、前記移動体の移動軌跡を算出するステップと、
を含むことを特徴とする移動軌跡計測方法。
【請求項8】
直線状の軌道に沿って移動する移動体の移動軌跡を計測するため、前記移動体又は前記移動体とは独立の所定位置に設置されるスケールであって、
直線に沿ってマーカが形成され、当該スケールを反転させた第1の設置状態と第2の設置状態との双方で前記マーカの位置を計測可能に構成されることを特徴とするスケール。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2008−70180(P2008−70180A)
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−247752(P2006−247752)
【出願日】平成18年9月13日(2006.9.13)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】