説明

移動農機の収納具取付構造

【課題】小型の農作業器具,収穫物,資材等を搭載する簡便な移動農機の収納具取付構造を提供する。
【解決手段】この発明は、バスケット等の収納具21を備えた移動農機であって、機体1に取付けられた左右方向の横杆19,37と、該横杆19,37に設けられたアタッチメント26とを備え、該アタッチメント26と係合可能な係合部33,34を上記収納具21の外周面に設けている。
横杆は、機体1前方から突出するループ状の持ち手19又は歩行型移動農機の操作用ハンドル9に横設された横杆37であってもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、移動農機の収納具取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
カゴや袋等の収納具を備えた移動農機が公知となっており(特許文献1)、通常上記収納具には鎌等の農作業用具や小物類,収穫した作物等を収納する。
【特許文献1】特開2004−19316号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記文献においては、収納具の取付構造が開示されていないため、どのようにして収納具を機体に取付けるかが問題になる。ちなみに、移動農機は、用途等によってその構成が異なり(例えば、図14と図15に示す歩行型管理機においては、機体1を持ち上げる持ち手19の位置、操作用のハンドル9の形状等が異なる。)、移動農機の種類毎に取付構造が異なり、汎用性が乏しいという欠点がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するため本発明の移動農機の収納具取付構造においては、第1に収納具21を備えた移動農機であって、機体1に取付けられた左右方向の横杆19,37と、該横杆19,37に設けられたアタッチメント26とを備え、該アタッチメント26と係合可能な係合部33,34を上記収納具21の外周面に設けてなることを特徴としている。
【0005】
第2に、横杆が、機体1前方から突出するループ状の持ち手19又は歩行型移動農機の操作用ハンドル9に横設された横杆37であることを特徴としている。
【発明の効果】
【0006】
以上のように構成される本発明の移動農機の収納具取付構造によれば、左右方向の横杆を備える移動農機であれば、アタッチメントを介して収納具を取付けることができるため、収納具の取付構造の汎用性が高くなる。そして収納具の取付構造の汎用性が高くなれば取付用部品の製造コストを低く抑えることも可能になる。
【0007】
また、歩行型管理機の操作用ハンドルに横設された横杆にアタッチメントを設け、該アタッチメントを介して収納具を取付ければ、オペレータが移動農機を操作しながら収納具を利用することができるため利便性が良くなる。さらに、移動農機の持ち手を横杆とすることにより、持ち手を備える移動農作業機であれば収納具を取付けることが可能になり、収納具取付構造の汎用性がさらに高くなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下移動農機が管理機である場合の本発明のいくつかの実施例につき説明すると、図1〜4はこの発明の第1実施例を示している。
【0009】
機体1は機体フレームとなるミッションケース2の後方に車輪3を軸支し、前方には耕耘ロータリー4が軸支されている。その後方上部にはエンジン6及び燃料タンク5が搭載され、後方にはハンドルフレーム7が突設されており、機体1の後方の持ち手を兼ねたハンドル取付用の支点軸8を介してループ型のハンドル9の前端が取付けられている。
【0010】
ハンドル9のループ部11の前方には走行クラッチハンドル12が揺動自在に横設され、ループ部11中央部に突設した補助ハンドル13と前後に重なるように把持して入操作する。14は耕耘用のクラッチレバーで、左右のハンドルフレーム7間に架設されたガイドプレートに沿って揺動操作する。
【0011】
またロータリー4の上方から後部上方を覆うように円弧状のロータリー(耕耘)カバー17が後端においてミッションケース2に取付けられており、該カバー17は前方に突出する左右のカバーフレーム18を備え、カバーフレーム18の前端にはループ状の横杆からなる前方の持ち手19が設けられ、後方の持ち手(支点軸)8と共に機体持ち上げ時の把手となる。
【0012】
前記持ち手19は平地走行姿勢で斜め前方に突出しており、該持ち手19と燃料タンク5及びエンジン6との間には比較的広いスペース(収納具スペース)が設けられ、このスペースには例えばメッシュ材やパンチングメタル等製の篭又は箱型の容器からなる小型の農作業具,小物,収穫物等を収納する収納具21が設置される。
【0013】
さらにロータリー4の前方には、ゲージ輪ガイド(ブラケット)22を介してゲージ輪23が前方下向きに且つ上下揺動位置調節可能に設けられ、このゲージ輪23は上方基端部側にゲージ輪揺動操作用の把手24が突設されている。上記収納具21は持ち手19に対して後述するアタッチメント26を介して取付けられ、収納具21自体は図2(A)〜(D)及び図4に、アタッチメント26は図3(A),(B)にそれぞれ詳細に示している。
【0014】
図2(A)〜(D)は市販されている上部開放型のバスケット(収納具)で、平面視(A)及び背面視(B)は共に長方形をなし、背面側には左右に縦長のフック孔27a,27aが形成され、その上部中央には横長のロック孔27bが形成された取付プレート27が付設されている。
【0015】
さらにバスケット21の左右両側上端にはゲート状の把手28の基端部が把手プレート29を介して起伏回動自在に取付けられており、図2(C)は把手が倒伏した状態を、同(D)は起立して保持可能な状態をそれぞれ示す。
【0016】
図3(A),(B)に示すアタッチメント26は、バスケット21に対してワンタッチ係脱可能に取付けられる本体部31と横杆(持ち手)19に対して取付けられる押圧具32とからなり、本体部31は左右に円弧状凹部からなる受部31aを有し、押圧具32は平面視ゲート状でその両側は側面視で共に円弧状のループ部32aを備えている。ループ部32aの4本の開放端は本体部31の端面の挿入孔31bに挿入され、反対端面から挿入されるボルト35によって押圧具32自体が本体部31に締着固定される構造になっている。
【0017】
そして上記締着により本体部31の受部31aと押圧具32のループ32aは、その内周面によって形成される側面視円形のリング状部内に横杆19を挿通して締着し、アタッチメント26自体が横杆19に締着固定される。平面視における押圧具32のループ部32bは、アタッチメント26の横杆19に対する回動角を調節する際の把手(ハンドル)にもなる。
【0018】
また本体部31の基端面側には前述したバスケット21のフック孔27aに下側から上向きに挿入されてプレート27を介してバスケット21自体を係止保持する上向きの2本のフック33が突設されている。さらに該フック33,33間の上部にはプレート27のロック孔27bに弾力的に挿入されるロック爪34が突設され、該ロック爪34上には、ロック爪34と一体的に前後スライドするロック解除操作用のスライダー36が設けられ、フック33とロック爪34とによって係止ロック状態のバスケット21とアタッチメント26との係止を、上記スライダー36を弾力的にスライド操作することによって解除する。
【0019】
このようにバスケット(収納具)21を取付ける場合、図1(B)に示すようにゲージ輪23を上昇させた(図6(B)仮想線参照)状態の深耕ラインL,ゲージ輪23を最下方に回動させた非耕耘(地上走行)ラインLのいずれの場合も収納具として使用可能な高さ及び姿勢となっている。
【0020】
図6(A),(B)及び図7の管理機はロータリーカバー17の左右2本のカバーフレーム18の先端とループ状の持ち手(横杆)19の基端部が互いにスライド自在に嵌合し合っており、このためバスケット21の位置も前後位置調節又は収納具スペースの調節が可能となる。図6(B)ではゲージ輪23の上限位置と下限位置が共に示されている。図7はハンドル9を支点軸8において前方に折畳み回動させた図であり、管理機を格納する姿勢である。
【0021】
図8はカバーフレーム18に対してスライド調節可能な横杆(持ち手)19とゲージ輪ガイド22及びこれらの一体構造を示す側面図で、持ち手19の両端には前後2段の差込孔19aが上下方向に穿設されており、その差込孔19aにはカバーフレーム18先端に設けた係止部20の係止ピン20aが選択的に差込まれ、持ち手19の突出長さが前後調節される。上記ピン20aはスプリング20bにより弾力的に差込まれ、引抜く時は弾力に抗して上方に引抜かれる。
【0022】
18aはカバーフレーム18に軸方向に穿設されたスライドガイド溝であり、19bは持ち手19側に突設され、上記スライドガイド溝18a内に収容されて持ち手19のスライド量を規制しながら案内するガイドピンである。
【0023】
ゲージ輪ガイド22はカバーフレーム18側に固着されて機体フレーム2側に取付けられるが、側面視後方にゲージ輪アームの揺動支点溝22aが、また側面視前方には、円弧状のガイド溝22bが穿設され、ここでゲージ輪23の高さが複数段に上下回動調節される。
【0024】
図9(A),(B)は図8に示す持ち手19のスライド量調節機構と係止部20を備えた管理機のハンドル折畳み前後の側面図を示すものである。
【0025】
図10(A),(B)は共に図1の管理機の持ち手19に対し、前方(機体外側)に突出させてバスケット21を取付けた図である。
【0026】
図11,図12は共に車輪自体にロータリー4を備え又は車輪を備えない一軸型管理機を示し、図11はハンドル9側の横杆37にバスケット21を取付けたものを、図12は持ち手19をスライド式にしたものにバスケット21を付設したものをそれぞれ示している。
【0027】
39はいずれも抵抗棒である。図13はスライド式の持ち手19を最深部まで挿入して、バスケット21を取付けない状態の管理機である。
図14(A),(B),図15はいずれも従来公知の管理機の例を示している。
尚、各図において共通の符号は共通の部品,部材等を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】(A),(B)は共に本発明の第1実施例を示す管理機の平面図及び側面図である。
【図2】(A)〜(D)は本発明の実施例に用いる収納具の平面図,背面図,右側面図及び左側面図である。
【図3】(A),(B)は本発明の実施例に用いるアタッチメントの分解平面図及び分解斜視図である。
【図4】アタッチメントを取付けた収納具の側面図である。
【図5】本発明の第2実施例を示す管理機の側面図である。
【図6】(A),(B)は本発明の第3実施例を示す管理機の平面図及び側面図である。
【図7】本発明の第3実施例におけるハンドル折畳み状態側面図である。
【図8】管理機のバンプを兼ねた第3実施例で用いるロータリーカバーフレームと収納具取付用横杆(持ち手)及びゲージ輪ガイドの拡大側面図である。
【図9】(A),(B)は第3実施例で用いる管理機のハンドル起立状態及び折畳み状態の側面図である。
【図10】(A),(B)は収納具を前方横杆(持ち手)の外側(前方)に付設した本発明の第4実施例を示す管理機の平面図及び側面図である。
【図11】一軸型管理機に応用した第5実施例の側面図である。
【図12】同じく一軸型管理機に応用した第6実施例を示す側面図である。
【図13】収納具を付設していない状態の一軸型管理機の例を示す側面図である。
【図14】(A),(B)は従来公知の管理機を示す平面図及び側面図である。
【図15】従来公知の管理機を示す側面図である。
【符号の説明】
【0029】
1 機体
19 横杆(持ち手)
23 フック(係合部)
26 アタッチメント
34 ロック爪(係合部)
37 横杆

【特許請求の範囲】
【請求項1】
収納具(21)を備えた移動農機であって、機体(1)に取付けられた左右方向の横杆(19),(37)と、該横杆(19),(37)に設けられたアタッチメント(26)とを備え、該アタッチメント(26)と係合可能な係合部(33),(34)を上記収納具(21)の外周面に設けてなる移動農機の収納具取付構造。
【請求項2】
横杆が、機体(1)前方から突出するループ状の持ち手(19)又は歩行型移動農機の操作用ハンドル(9)に横設された横杆(37)である請求項1の移動農機の収納具取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2008−142039(P2008−142039A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−334790(P2006−334790)
【出願日】平成18年12月12日(2006.12.12)
【出願人】(000001878)三菱農機株式会社 (1,502)
【Fターム(参考)】